2021年2月5日 自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会 議事録

健康局健康課栄養指導室

日時

令和3年2月5日(金)10:00~12:00

場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス ROOM A+B及びオンライン
 

出席者

構成員(五十音順・敬称略)

オブザーバー(順不同・敬称略)
  • 松下 茜(農林水産省 食料産業局 企画課長補佐)
  • 宮﨑 桃介(農林水産省 食料産業局 食品製造課長補佐)
  • 伊藤 希(経済産業省 産業技術環境局 環境経済室 係長)
  • 植松 黎(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 係長)
  • 名倉 良雄 (環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課長)
  • 村井 啓朗(環境省 地球環境局 地球温暖化対策課長補佐)
  • 宇野 薫(消費者庁食品表示企画課長補佐)

事務局

議題・議事

議題
  1. (1)自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた基本的な方向性について
  2. (2)その他

議事
2021-2-5 第1回自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会
 
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第1回「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方には、御多忙のところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
検討会の開催に当たりまして、本来はここで健康局長の正林から御挨拶させていただくところでございますが、本日、業務の都合により出席させていただくことが困難な情勢でございますので、健康課長の鷲見が代読させていただきます。
○鷲見健康課長 皆さん、おはようございます。健康課長の鷲見でございます。
健康局長の代理で、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まず、本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃より厚生労働行政に格別のお力添えを賜り、この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。
我が国は、既に超高齢社会を迎えており、今後、少子高齢化の一層の発展が予測されている中、社会の活力を維持・向上しつつ「全世代型社会保障」を実現していくためには、特に生活習慣病の予防や健康の保持・増進のための取組を強化して、健康寿命のさらなる延伸を図っていくことが大きな課題となっております。この課題解決に向けて、栄養・食生活は最も重要な要素の一つであり、健康無関心層も含め自然に健康になれる食環境づくりの推進が急務です。
こうした中、一昨年5月に厚生労働省が策定いたしました「健康寿命延伸プラン」や、昨年7月に閣議決定されました「成長戦略フォローアップ2020」等の政府方針において、「産学官連携による推進体制を整備し、自然に健康になれる食環境づくりを推進する」方針が示されたところであります。
厚生労働省といたしましては、令和6年度からの次期健康日本21の策定の議論がこれから本格化していくことを見据え、この検討会において、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた産学官等の連携のあり方等を検討し、検討成果を基に、産学官等の関係者が緊密に連携して、食環境づくりを進め、活力ある持続可能な社会の実現につなげてまいりたいと考えております。
構成員の皆様には、こうした目標の達成に向けて、それぞれの御立場から活発に御議論いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、本日御出席くださいました構成員の皆様を御紹介させていただきます。お手元、資料1の開催要綱の別紙にございます構成員名簿の順に御紹介させていただきます。
まず初めに、お茶の水女子大学基幹研究院教授、赤松利恵構成員。
味の素株式会社グローバルコミュニケーション部エグゼクティブ・スペシャリスト、シニア・マネージャー、畝山寿之構成員。
一般社団法人アグリフューチャージャパン代表理事副理事長、合瀬宏毅構成員。
株式会社ファミリーマート商品マーケティング本部デリカ食品部部長、木下紀之構成員。
キッコーマン株式会社研究開発本部研究開発推進部部長、五味恵子構成員。
一般社団法人シンク・ジ・アース、笹尾実和子構成員。
株式会社エブリー取締役執行役員、DELISH KITCHENカンパニー長共同創業者、菅原千遥構成員。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部長、瀧本秀美構成員。
女子栄養大学大学院研究科長、武見ゆかり構成員。
日清食品ホールディングス株式会社グローバルイノベーション研究センター健康科学研究部部長兼シニアマイスター、田辺創一構成員。
特定非営利活動法人日本高血圧学会減塩・栄養委員会副委員長、土橋卓也構成員。
一般社団法人全国消費者団体連絡会、廣田浩子構成員。
株式会社ニューラル代表取締役CEO、夫馬賢治構成員。
公益社団法人日本栄養士会理事、諸岡歩構成員。
イオンリテール株式会社食品商品本部食品コーディネーター部長、鷲見尚彦構成員。
また、本日は、関係省庁からオブザーバーといたしまして、4省庁、計7名の方に御出席をいただいておりますので、御紹介させていただきます。
農林水産省食料産業局企画課の松下課長補佐です。
農林水産省食料産業局食品製造課の宮崎課長補佐です。
経済産業省産業技術環境局環境経済室、伊藤係長にも御参画いただく予定でございますが、後ほど遅れての参加になる見込みでございます。
続きまして、経済産業省商務・サービスグループ、ヘルスケア産業課、植松係長です。
環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課の名倉課長です。
環境省地球環境局地球温暖化対策課、村井課長補佐です。
消費者庁食品表示企画課の宇野課長補佐です。
続きまして、事務局を紹介させていただきます。
私は、健康課栄養指導室長補佐の塩澤でございます。
健康課長の鷲見でございます。
なお、栄養指導室長の清野と健康課長補佐の溝田は、業務の関係で遅れてまいります。
どうぞお願いいたします。
また、本検討会におきましては、資料1の開催要綱の5「その他」にございますとおり、検討会、議事録及び資料を原則として公開とさせていただきたく思います。
それでは、会を進めてまいりたいと思います。
冒頭、座長の選出を行いたいと思いますが、どなたか、御推薦等ございますでしょうか。
諸岡構成員、お願いいたします。
○諸岡構成員 本検討会のほうですけれども、やはり健康、栄養、食環境という辺りを主軸に進めていく上におきましては、構成員でいらっしゃいます女子栄養大学大学院研究科長の武見構成員のほうに座長をお願いさせていただきたいと思いますけれども、皆様、いかがでしょうか。
○塩澤栄養指導室長補佐 ただいま、武見構成員を座長にとの御発言がございましたが、武見構成員に座長をお願いするということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、武見先生に一言御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武見座長 女子栄養大学の武見でございます。それでは、皆様に御同意いただいたということで、座長を務めさせていただきます。
私自身は、2000年のときの健康日本21、第一次のときからこの食環境づくりということに関わって、研究や具体的な活動などを進めてまいりました。現在、20年ちょっとたちましたけれども、改めてこの食環境づくりということは非常に重要だと考えております。
というのは、やはり個人に働きかけて行動変容していただくということではなかなか変わっていただけない、いわゆる低関心層、無関心層の存在、そこに働きかけるには、本当にこの食環境づくり、食環境整備ということが重要だと考えております。
このたび、産学官、いろいろな御立場の方と皆様と議論できますことを大変私も楽しみにしておりますし、実りある成果を皆様と御協力して生んでいきたいと思いますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 ありがとうございます。
これ以降の進行につきましては、武見座長にお願いしたく思います。よろしくお願いいたします。
○武見座長 では、議事次第に沿いまして、検討事項に入ってまいります。
まずは、「議事(1)自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた基本的な方向性について」ということで進めたいと思います。
まず、「食環境を取り巻く社会情勢」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、資料2につきまして御説明させていただきたく思います。よろしいでしょうか。
こちらの資料でございますけれども、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進の方向性、それから、主な論点の検討に先立ちまして、その導入といたしまして、食環境を取り巻く社会情勢を概観するための資料でございます。
それでは、1ページ目から順に説明させていただきます。
まず、幾つかの章立てがございます。初めが「少子高齢社会の更なる進展と迎えつつある「人生100年時代」」ということで数枚スライドをおつけしてございます。
では、2ページ目にまいります。こちらのスライド、「少子高齢社会の更なる進展」ということで、人口構成、年次推移、それから今後の見通しにつきまして、グラフをお載せしております。これは構成員の方々にもおなじみの図かと思いますけれども、御覧いただきますとおり、総人口が減少する中、高齢者の方、この割合は上昇している一方、現役世代は減少していて、今後ますます少子高齢社会が進展していく見通しとなっております。
3ページ目でございます。こちら、「人生100年時代」というタイトルになっておりますけれども、御覧いただけますとおり、平均寿命、これは年々延びているという状況でございます。今後、人生100年時代を見据えまして、全ての方が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会づくり、これが重要な課題となっているところでございます。
次に4ページでございます。こちら、「健康寿命」について御紹介しているものでございます。こちらもグラフを御覧いただくとお分かりになると思いますけれども、このところ、健康寿命は延びておりまして、この延びは平均寿命の延びよりも大きいという状況になっております。しかしながら、全ての方が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会づくりを行うという観点からいたしますと、この平均寿命と健康寿命の差というのを一層縮小していく必要があるというところでございます。
こうした中、5ページ目でございます。こちら、令和元年の5月に厚生労働省が策定いたしました「健康寿命延伸プラン」でございます。中段、赤字のところの2行目にございますけれども、この健康寿命延伸する上でいろいろな取組をしていくたいということの中に、自然に健康になれる環境づくり、この中には食事関係も含まれるところでございますけれども、こちらを推進してまいりたいというのを厚生労働省としても掲げているところであります。
続きまして6ページ目でございます。こちら、令和元年の6月21日に閣議決定がなされました「経済財政運営と改革の基本方針2019」でございます。これは一般的には骨太の方針と言われている閣議決定でございますが、こちらの中にも同様の内容が盛り込まれております。
具体的には、囲みの一番下の赤字部分になりますけれども、産学官連携による推進体制を2020年度末までに整備し、自然に健康になれる食環境づくりを推進するということが示されました。
下に(注)としてお書きしている事項がございます。先ほど来、食環境づくりというのを申し上げておりますけれども、ここで言う食環境づくりというのは、人々がより健康的な食生活を送れるよう、人々の食品へのアクセス、また情報へのアクセス、この両方を整備していくものを指しております。
この辺りの考え方は、2000年から始まりました健康日本21の第一次のときから、これを踏まえて今までやってきているというものでございます。したがいまして、ここの食環境づくりという言葉の環境、この環境が指すものというのは、いわゆる地球環境とか自然環境というものではなく、この黒字の部分で書かれたものを指すということで御認識いただければ幸いに存じます。
次、7ページでございます。こちらが令和2年7月17日に閣議決定がなされました「成長戦略フォローアップ2020」でございます。今、御紹介しました食環境づくりの推進につきまして、もう少し深掘った書きぶりがなされております。
下の赤字の部分でございますけれども、健康無関心層も含め自然に健康になれる食環境づくりの推進に向けて、2020年秋頃に、これはやや後ろ倒しになっておりますけれども、産学官と連携体制を整備するとともに、効果的なアプローチ等、こういったものも進めていく。そして、後ほど御紹介させていただきますが、栄養サミットのコミットメントにすること、また、アジア諸国等への国際展開も視野に検討を進めていくということが示されました。
では次、8ページ目以降でございます。「持続可能な活力ある社会の実現に立ちはだかる主な栄養課題」について御紹介させていただきます。
9ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらが「食事と非感染性疾患の関連」というスライドでございます。こちらのデータでございますけれども、世界195カ国を対象に、NCDsによる死亡、障害調整生命年、これはDALYsと言いますけれども、これに対する不健康な食事の影響を見た研究報告からということで簡単にまとめております。
この研究報告によりますと、多くの世界の地域で全粒穀類の摂取不足が死亡、DALYsに最も影響を与えているとなっている一方で、東アジア、また日本を含むアジア太平洋地域の高所得国におきましては、ナトリウムの多量摂取の影響が最も大きいという結果になっております。
右下に円グラフありますけれども、ここでも、見ていただけると、High-income Asia Pacific、ここに日本が入りますけれども、えんじ色になっているナトリウム多量摂取の割合が大きいというのが見て取れるかと存じます。
10ページでございます。日本に特化した場合に、非感染性疾患の状況がどのようになっているかというのを簡単にまとめたスライドがこちらになります。左下の円グラフにも御紹介しておりますが、人口動態統計によりますと、日本の死因の50%以上はいわゆる非感染性疾患に該当するという状況でございます。
食事の因子を見ていきますと、食塩の過剰摂取というのが最も高いという状況になっております。
続きまして11ページでございます。こちら、日本人の食塩摂取状況がどのような状況になっているかというものでございます。成人1日当たりの食塩摂取量の平均値につきましては、直近の国民健康・栄養調査結果によりますと10.1グラムとなっております。この10.1というのは、左下の年次推移のグラフを見ていただくとお分かりのとおり、確かに年々減少傾向になっているという状況です。しかしながら、健康日本21、第二次の目標でございます8グラムには達していない状況です。
また、右下のグラフを御覧いただくとお分かりになると思いますが、各国の食塩摂取量を比較しますと、日本は他国よりも多い傾向になっております。
また、グラフの下に(注)という形で小さい字でお示ししておりますけれども、世界保健機関、WHOが推奨しております1日5グラム未満という値と比べると、約倍ぐらい取ってしまっているという状況でございます。
続きまして12ページ。では、日本人がどのような形で食塩を摂取しているのかというのをまとめたものでございます。日本人で食塩摂取源がどうなっているのかというのを把握するために研究がなされております。具体的には、自宅で調理した料理、それから、加工食品、この加工食品というのは自宅で食べるレディメイドスタイルの食品と御認識いただければと思いますけれども、こういった食品、それから、外で食べる外食のそれぞれのナトリウム摂取割合等を検討した研究報告の結果を見ますと、自宅調理からの摂取が最も多いという状況になっておりまして、こちらの占める割合が、男性では約52%、女性では約57%となっております。
では食品群で一番何が食塩摂取源になっているかというのを見てまいりますと、調味料が最も多いという状況でございます。右下の円グラフの赤で囲っているところでございますけれども、調味料類の占める割合、男性、約62%、女性、約63%となっております。
一方、他の研究報告を見ていきますと、欧米におきましては加工食品由来のナトリウムの割合が最も高いという状況でございまして、今、御紹介いたしました日本の状況と、それから欧米などの諸外国とは若干異なる傾向になっております。
下の※印にも書いてございますけれども、パン、穀類、シリアル、こういったもの由来のナトリウムの摂取割合は、イギリスでは34.6%、アメリカでは19.5%といった報告がございます。
13ページ目でございます。それでは、日本ではどのような減塩政策がとられているかというのを簡単に一枚にしているスライドでございます。幾つか取組がなされておりますけれども、主なものといたしまして、一番上に日本人の食事摂取基準(2020年版)を御紹介しています。これは、2020年度から2024年度の5年間、これを参考に種々の栄養政策を進めていくという手引きになるものでございます。
2ポツ目を御覧いただきますと、この直近版の食事摂取基準では、ナトリウムにつきまして、成人の目標量を1日当たり0.5グラム引き下げ、男性は7.5グラム、女性は6.5グラム未満と設定しておりますので、一層この減塩に向けた取組を強化していく必要があるといった状況でございます。
続きまして14ページ目であります。こちらが「諸外国における減塩政策」。いろいろな政策がとられているわけですけれども、どのような感じになっているかを一枚の紙にまとめております。一番上に書かせていただいておりますけれども、世界保健機関、WHOでは、2025年までに、加盟国におきまして食塩摂取量を30%削減するということで同意がなされております。そして、各国の減塩政策の取組状況を把握した研究報告を見ていきますと、75カ国で何らかの減塩に関する取組がなされているという状況です。
例えば、下に御紹介差し上げておりますとおり、消費者教育ですとか、あるいは食品業界を巻き込んだ取組のようなものもございますし、あとは、Front of Package、これは食品のパッケージの前面にいろいろな情報を表示するというものでございますけれども、こういったものもなされております。
15ページでございます。こちら、イギリスの取組の御紹介でございます。これは結構有名な取組でございますけれども、簡単に一枚にまとめております。イギリスでは高血圧が重要な健康課題となっておりまして、2003年から国民運動として減塩活動が展開されました。イギリス人の1人当たりの食塩摂取量、これは2011年までの8年間で、この取組によって有意に減少しました。そして、血圧が下がりつつ、虚血性心疾患、脳卒中の死亡率も有意に減少できたと推定されているというものです。
具体的にどういう取組事項がなされたかというのも簡単に紹介しておりますけれども、まず、国が加工食品中の食塩含有量を40%減らすという目標を設定したことから始まっております。そして、この目標を達成するために、パン、シリアル、パスタソース、スープ等の代表的な加工食品、これは85品目とのことですが、こちらについて、食品企業が共同して食塩含有量の低減目標を期限つきで定めて、自主的に下げていこうとしたとのようです。
そして、国民が無意識のうちに減塩できるよう、段階的に食塩含有量を低減していったということもポイントかと思います。そして、国はこの食塩含有量の低減に関する食品事業者の取組状況について評価したというようなことが報告されております。
下に成果をまとめております。先ほども御紹介しましたが、注)という形でも載せておりますけれども、イギリスでは、パン、それからシリアルなど、主食となる加工食品からの食塩摂取というのが多い。しかし、日本では調味料由来、家庭調理の調味、それから調味料、こういった食塩摂取量が多いということですので、イギリスの方法がそのまま全ての国民に当てはめられるかというと、もしかすると難しいかもしれないという状況でございます。ただ、大いに参考にはなるかと思っております。
こうした中、16ページでございますけれども、参考情報としておつけしておりますが、我が国でも、産学による減塩の取組がなされております。日本高血圧学会におきましては、一定の基準を満たした食品につきまして、JSH減塩食品というのを認証されておりまして、こういった減塩の取組が推進されております。
そして、下のグラフにもお示ししておりますけれども、年々この食品リストの掲載品数、また売上高ともに増加しておりまして、相対的減塩量というのも約5320トンに及んでいるとなっております。
私どもといたしましては、全体としても相対的にどのぐらい減塩量がなされたかというのを算出しているというところは非常に興味深いと考えております。
続きまして17ページでございます。こちらも参考資料でございますけれども、「産学による食環境づくりの取組」ということで御紹介しているものでございます。
こちら、上の2ポツ目にございますけれども、厚生労働省で取りまとめました「健康な食事」の考え方、この普及に向けて、日本栄養改善学会が中心となって食環境づくりに関する認証制度が平成30年の4月に創設されております。そして、こういった食環境づくりの取組が、これまで合計419事業者、事業所給食ですとか、外食、中食、こういったところで認証がなされているところでございます。
次に18ページでございます。今回、誰もがより健康になるというようなスローガンでこれから進めていくわけですけれども、誰もがと言ったときに、国民の食習慣の改善に関する意識具合がどのようになっているのか把握する必要がありますが、令和元年の国民健康・栄養調査では、そのような観点からの調査をしております。
食習慣の改善の意思に関して、「改善することに関心がない」、また、「関心はあるが改善するつもりはない」と言っている方、グラフ中では赤の囲みでお示ししておりますけれども、こういった方の割合は、男性41.1%、女性35.7%となっておりまして、決して少なくない数の方がこういった食習慣の改善の意識レベルにあるという状況でございます。
先ほど来、食塩の話を申し上げておりますけれども、食塩に関して同じような観点でまとめましたのが19ページ目のスライドでございます。こちら、食塩摂取量の状況別で見たものですけれども、1日の食塩摂取量が8グラム以上の方と8グラム未満の方を比較したものでございます。
見ていただきますと、赤で囲った部分が、「改善することに関心がない」「関心はあるが改善するつもりはない」。また、右側の赤でございますけれども、自分は食習慣に問題はないので改善する必要はないと考えておられる方、この赤で囲った方の割合というのが、男性では62.3%、女性では56.9%となっております。ですので、国民の中では、こういった方が塩に関してもこういう認識でおられるということを踏まえた上で種々の取組をしていく必要があるのではないかと考えております。
続きまして、20ページ目以降、テーマは変わりまして、「持続可能な開発目標(SDGs)と今後の食環境づくりに向けた国際動向」ということで何枚かスライドを御紹介させていただきます。
21ページ目でございますけれども、SDGsの簡単な御紹介です。こちら、構成員の方々にもかなりおなじみのものと思います。SDGsには全部で17個目標がございますけれども、栄養改善の取組は目標2の「飢餓をゼロに」、また、目標3「すべての人に健康と福祉を」を初め、17個全ての目標の達成に寄与し得るものでございますので、SDGsを達成する上でも栄養改善取組というのは不可欠であると言えるかと存じます。
22ページ目でございます。こちら、参考データでございますけれども、日本のSDGs達成状況がどうなっているかというものの簡単なまとめになっております。関連のレポートによりますと、日本では、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、また目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」などにつきまして評価が低い状況になっているということが報告されております。
続きまして23ページでございます。こちらは「SDGs達成に向けて国連が特に重視する6つのポイント」ということで御紹介しております。御存じのとおり、SDGsは国連で提唱されているものでございますけれども、国連自らSDGsを達成する上でこの6点が重要だと示しているのが下の囲みに6つほど御紹介しているものになります。このうち、今回の検討と強く関連するものが3番でありまして、「持続可能なフードシステムと健康的な栄養パターンの構築」となっております。
この重点的対策を見ていきますと、環境への影響を最小限に抑えながら、世界中で健康を促進し栄養不良を解消していくためにいろいろ実質的な変革を起こしていく必要があると示されております。
続きまして24ページ目でございます。こちら、今の御紹介したのと関連する話でございますけれども、「持続可能で健康的な食事に関する指針」がFAOとWHOから出されております。こちらの指針は2019年の7月に策定されており、持続可能で健康的な食事の実現のためには、健康面と環境面の両面での対策が重要であると示されております。
そのために幾つかアクションが提言されておりまして、こちらのスライドの一番下に、持続可能で健康的な食事の実行のための9つのアクションを掲載しております。
例えば1番目でありますけれども、持続可能で健康的な食事の供給を可能とする環境づくりということで、インセンティブを含めていろいろとアクションを起こしていく必要があるということ。また、ちょっと飛びますけれども、7番は手頃な価格での購入の保障、これは貧困格差への対策ということでありますけれども、こういったものも必要なアクションとして示されております。
また、一番下、9番目でありますけれども、行動変容に向けた能力開発の推進、消費者のエンパワーメント、栄養教育の推進といったようなことも示されているところであります。
次に25ページ目でございます。こちら、「気候変動と栄養・食生活への影響」についてであります。先ほど、環境という言葉が出てまいりました。環境に関してはいろいろな要因、重要な事項があると思いますけれども、昨今最も危機的な状況にあると指摘されているものの一つに、この気候変動、温暖化対策というのがあろうかと思います。
こちらにつきましては、一番上にもありますけれども、気候変動に関する政府間パネル、IPCCと言いますけれども、ここを中心にいろいろ科学的な議論がなされ、報告書などが取りまとめられ、世界的ないろいろな取組がなされております。
この報告書の中には、気候変動と栄養・食生活との関係の文章が幾つかありまして、主なものを御紹介しておりますけれども、例えば下から2番目、気候変動により、2050年には穀類の価格が上昇し、特に低収入の消費者で飢餓のリスクが増加するということが示されております。
また、一番下につきましては、CO2が増加することにより食料の栄養価が低下することが、高レベルの確信度というエビデンスレベルで示されている状況でございます。
したがいまして、我々としては、こうしたことも念頭に置きつつ、栄養政策、そして食環境づくりを進めていく必要があるのではないかと考えております。
次の26ページ目のスライド、こちら、参考でございますけれども、先ほどのIPCCの報告書の中に書かれている図でございます。気候システム、フードシステム、生態系、社会経済システム、これらが相互に関係し合っていることが図として示されているもので、適宜御参照いただければと存じます。
次、27ページ目のスライドでございますけれども、「世界経済に対する主要リスク」ということでまとめております。こちら、世界経済フォーラムが評価しているものでございますけれども、下の表を御覧いただくとお分かりのとおり、環境問題が世界経済に特に影響を及ぼすということで、種々リストアップされているところでございます。
こうした中、28ページ目のスライドでございますけれども、世界経済フォーラムが「健康的で持続可能なフードシステム」の構築を必要視しているという状況にございます。2ポツ目にありますけれども、この世界経済フォーラムが、昨年、2020年のダボス会議に合わせまして、フードシステムに関する包括的な報告書、これを初めて取りまとめております。
何が書かれているかというと、1ポツ目ですけれども、世界のフードシステムは健康面にも環境面にも配慮した持続可能なものとなるよう、抜本的な見直しが必要ということが書かれております。
それで、3ポツ目の小さい1ポツ目の2行目にもありますけれども、こうした抜本的な見直しに向けて、適切なインセンティブ(外発的動機づけ)、こういったものも改めて構築していく必要があるとされておりまして、右下の囲みに、4つの要因について記載しておりますけれども、こういったものを念頭に置きつつ、抜本的な見直しを進めていき、健康的な持続可能なフードシステムをみんなでつくっていく必要があるということがこの報告書の中に記されております。
また、同じような動きでございますけれども、29ページ目のスライドにございますとおり、EUから新たな戦略が示されています。2020年の5月でございますけれども、新たな食品産業政策といたしまして、「Farm to Fork」という戦略が公表されております。健康面と環境面に配慮した期限つきのアクションプランが示されておりまして、EUは、この戦略をもとに、こうしたフードシステムの構築において世界をリードしていくということも示されております。
下の表を御覧いただくと、幾つかアクションプランの具体例がございます。例えば2番目でございますけれども、企業ガバナンスの枠組みの向上(食品産業自らの企業戦略に持続可能な観点を組み込むことを求める)といったこと。それから、4つ目でございますけれども、EU域内共通の栄養プロファイルを作成するということも示されています。また、下から2番目でございますけれども、消費者が健康的な食品を入手できるよう、食品の容器包装前面、先ほどもFOPというのを御紹介しましたけれども、こういった形で栄養成分表示を義務化していく。こうしたことが全て期限つきの目標として定められているという状況にございます。
続きまして30ページ目でございます。冒頭でも少し触れさせていただきましたが、東京栄養サミット2021の開催が予定されております。栄養のサミットについては、2013年にロンドンで初めて開催されまして、2回目が2016年のリオ、3回目が2021年、東京という流れになっております。こちらは、本来は昨年2020年に東京で開催する予定でございましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がございましたので、1年後ろ倒して、2021年の12月に開催予定ということで今準備が進められております。
この栄養サミットでございますけれども、従来は飢餓とか低栄養というところにフォーカスして、世界でどういう取組をしていくかという議論が行われてきたわけでございますが、今回の栄養サミットで特筆すべき点といたしまして、こうした、いわゆる低栄養の問題だけではなくて、過栄養ですとか、この過栄養というのはいわゆるNCDと関係してくるものでございますけれども、こういったもののほか、低栄養と過栄養が2つ存在するという問題、同じ国、同じ地域とか、同じ世帯、あるいは、同じ人の一生涯でも、例えば幼少時には低栄養、それが成長するに従って過栄養になってくるというようなこと、こういったものは栄養不良の二重負荷と呼んでおりますけれども、これが今世界的に非常に課題になっているということもありますので、こういう多面的な栄養課題について、このSDGsの推進にも資するような形で議論していくということで、東京栄養サミット2021が計画されております。
下のポツのところでございますけれども、今後、東京栄養サミット2021に向けまして、国内外の栄養課題の解決に向けたコミットメントも我々として検討してまいりたいと思っております。
このコミットメントというのは一体何かといいますと、下の表のところにもありますけれども、一番下に想定される成果として、「Tokyo Nutrition for Growth Compact」という成果文書がございます。ロンドンのときもそうだったのですけれども、この成果文書の最初の数ページに世界的な栄養課題に関する概要が書かれ、それに向けてこうしていこうという世界的な取組が示されるわけですが、その下に添付される形で、国ですとか産業界とか、いろいろなステークホルダーがその文脈に合う具体的な取組として、我々はこうしていきたいというものを掲げるというスタイルになる予定です。ロンドンのときは日本政府としてもコミットメントを出したわけですが、今回も同様に日本からもコミットメントを出すことを考えておりまして、ぜひ厚生労働省といたしましては、今回のこの産学官でやっていく取組についても何らかこのコミットメントに入れていけないかと考えている次第でございます。
先ほど、東京栄養サミットとSDGsの関連について申し上げましたが、31ページ目に「SDGs実施指針改定版」について簡単に御紹介しておりますけれども、ここにも、東京栄養サミットの話が出てまいります。
また、2つ目の赤字のほうでございますけれども、この中には、SDGsの理念や日本の取組を世界に発信する絶好の機会、サミットを初め、こうした絶好の機会を活用して、国内のステークホルダー及び国際機関との協力のもと、日本のSDGsモデルの発信と日本全国でのSDGsの主流化に努めていくということがSDGs推進本部で策定された内容にも示されているところでございます。
32ページ目以降は最新のSDGsアクションプランでございますけれども、ここにも東京栄養サミットの話が出てまいりますし、33ページ目を見ていただきますと、厚生労働省を中心に今計画を進めております東京栄養サミットのテクニカルセッションについても示されております。
34ページ目でございますけれども、骨太の方針2020の中にも、このSDGs関係のくだりが多々ございます。上のほうを見ていただきたいのですけれども、今回の新型コロナの感染症の拡大を機に、我が国としても官民が連携して、国内外でSDGsの推進の気運、これを醸成していくということも書かれております。
また、最後、35ページ目でございますけれども、今年度の成長戦略の中にも、東京栄養サミットの記載もございますし、先ほどと同じような内容でございますけれども、日本のSDGsモデル、これを国際社会に共有・展開していくということも示されております。
こうした情勢の中、我々といたしましては、誰もが自然に健康になれる持続可能な食環境づくりを進めてまいりたいと考えている次第でございます。
私からの説明は以上です。
○武見座長 ありがとうございました。「食環境を取り巻く社会情勢」ということで、国内外の膨大な資料を御説明いただいたことになります。この後、今日の議題である検討の方向性及び主な論点についてという、そこまで事務局に説明をお願いして、その後、意見交換に進めていきたいと思います。
では、続けて事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、資料3、一枚紙につきまして御説明を簡単にさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
こちら、「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討の方向性及び主な論点(案)」としてお示ししているものでございます。
上に、方向性として2つほど項目を出させていただいております。ほとんど先ほどの資料2で申し上げたことと重なる内容でございます。
まず1つ目でありますけれども、自然に健康になれる持続可能な食環境づくりは、減塩の推進等の健康の保持増進に関する視点、これを軸としつつ、事業者が行う環境面に配慮した取組にも焦点を当てた取組といたしまして、事業者がこの取組の趣旨に見合う食品を供給、そして消費者がそうした食品をふだんの食事において利活用しやすくすることで、国民の健康の保持増進を図るとともに、活力ある持続可能な社会の実現を目指すものとしてはどうかと考えております。
続きまして2つ目でございますけれども、本取組は、産学官等連携の下、PDCAサイクルに沿って進めていくとともに、続可能な開発目標の達成にも資するものとして、東京栄養サミット2021等の機会も活用しつつ、我が国のこうした取組について国内外に広く情報発信していくこととしてはどうかと考えております。
これに対応する主な論点といたしまして、4つほどお示ししております。
1番目、健康の保持増進に関するものとして、活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組むべき栄養課題は何かという点です。
また、環境面に関するものとして、適切な栄養・食生活やそのための食事を支える食環境の持続可能性を高めるといった視点から、どのような事業者の取組に焦点を当てるべきかというのも主な論点の一つであろうかと思います。
なお、この検討に当たっては、事業者の規模について十分に留意していく必要があると考えております。
3点目は、消費者が、自身の健康関心度の程度にかかわらず、健康の保持増進等に配慮された食品を選択し、ふだんの食事において利活用しやすくするための効果的な方策としてどのようなものがあるのかという点。
また、本取組の実効性を確保し、成果を適正に評価できるようにするにはどういった効果的な方策があるのかという点。
以上4点が、この方向性に沿って検討を進めていく上で主な論点になるのではないかと考えております。
以上です。
○武見座長 ありがとうございました。
ということで、これから意見交換に移りたいと思います。まずは、先ほどの資料2、前半で御説明いただいた「食環境を取り巻く社会情勢」の説明について、御質問、あるいは補足などあれば、まずそちらのほうから少し御意見を伺っていきたいと思います。
赤松構成員、お願いいたします。
○赤松構成員 ありがとうございます。赤松です。塩澤さん、御説明どうもありがとうございました。
1点、修正をお願いしたいのですが、私、現在栄養改善学会の会員としてスマートミールに関わっていまして、資料2の17ページのコンソーシアムの参加団体は、現在13団体になっています。日本がん予防学会も参加いただいておりますので、日本がん予防学会をこのコンソーシアムの参加団体に加えてください。
○塩澤栄養指導室長補佐 大変失礼いたしました。そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
○武見座長 ありがとうございます。資料訂正ですね。
では、それ以外。今日初めての会議ですので、何でも、やや感想めいたことも含めて、御質問、御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
合瀬構成員、お願いします。
○合瀬構成員 詳細な説明、ありがとうございました。我々の健康をめぐる状況、大変よくまとまっていて、参考になりました。
1つちょっと教えてほしいものがあるのですが、11ページに、食塩摂取量の平均値の年次推移というのがずっとありまして、様々な努力をされてきた結果と思うのですが、ずうっと下がっております。これは、先ほど健康に関心のない層が半分以上いるという状況の中で、どのようにして下がってきたのかという要因を分析されているのか。さらに、ここ3年ほどですか、下げ止まりみたいな感じで、10グラムのところで下げ止まりになっているような感じもしているのですが、その辺りの要因みたいなのは分析されているのか、それを教えていただきたいというのが1つ。
それからもう一つ、これまで健康日本などで目標としている、野菜を1日350グラム取りましょうだとか、果物を200グラム取りましょうとかいうのは、自分が摂った数量がよく分かるのですね。ところが、塩って、食品の中にどのぐらい含まれているか、自分がどのぐらい取っているのかというのはなかなか分かりません。消費者の自主的な取組を進めるためにも、どのぐらい取っているかというのが分かるような仕組みというのはあるのか、そういうものがあれば教えていただきたい。
2つであります。以上です。
○武見座長 では、事務局からお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 御質問ありがとうございます。2つ御質問があったと思います。
まず1つ目が、年々食塩の摂取量が減っているけれども、その要因分析を国としてやっているのかといった御質問だったかと思います。きちんとした体系立った解析というのは、残念ながら、あいにくできていない状況ではございますが、ただ、同時進行的に、我々、種々の減塩の取組を進めてきたということもありますし、今日御参画いただいている食品関連事業者様もそうだと思いますけれども、これまで食品産業界でもいろいろ減塩の取組をされているといったことも伺っておりますので、そういったことも総合的に作用して年々減っているのではないかと考えております。ただ、食塩摂取量がどのような要因で下がってきているか、そのエビデンス構築というのは今後我々としても進めていく必要があるであろうと考えております。
それから、2番目の御質問、御指摘に関してでございます。食塩というのはなかなか、消費者、国民の方が定量的に自分がどれだけ取っているのか分かりにくいのではないかということだったと思います。まさにおっしゃるとおりであります。ですので、我々としては、これはなかなか容易に進むものではないかもしれませんけれども、何らかの形で、1つは、先ほどからのFOPというのもあったと思いますけれども、表示というものが、今、基本的には加工食品のパッケージでなされているわけですけれども、ここをできるだけ見ていただくようにという取組も重要だと思いますし、あとは、他のもっと消費者教育的な取組になるかもしれませんけれども、こういうものにはどのぐらい食塩が入っているかということが、もっと浸透していくような取組も必要ではないかとは考えております。この検討会におきまして、そういったことのポイントになるようなことも種々御提言賜れると幸いに思っております。
○武見座長 ありがとうございます。今の点に関して、もし補足、それぞれいろいろやっている方々もいらっしゃるので、続けて、今の点に関して、もし何か御発言あれば。瀧本構成員とか土橋先生とか、何かもしあればと思ったのですが。
○土橋構成員 土橋でございます。
昨年の10月まで、日本高血圧学会減塩委員会の委員長として減塩について活動させていただきました。今の御質問の1番目に関しましては、やはり1つは、高血圧学会としても、高血圧に対する啓発をずっとやってまいりましたので、受療率もすごく上がってきていると思います。今、高血圧の方、4300万人と言われておりますけれども、そういった高血圧に対する認識度が大分上がってきたことが減塩に対する意識の上昇につながっているのではないかなと考えています。
私どもも、2012年から減塩サミットというような国内での取組を何回かやってまいりましたし、啓発活動はそれなりにやってきていることと、それから、国民全体の健康に対する意識が上がっていることが考えられるのではないかなと思っています。
ただ、高血圧患者さんに対して、私ども、繰り返して減塩指導を行いながら、24時間の蓄尿で評価していますけれども、ここのカーブと同じように、ある程度まで下がった後、ずっと横ばいになってまいります。そこがいわば個人の努力の限界であって、そこから先が、今回のこの検討委員会の本論である食環境整備に期待するところだと思います。要するに、関心がない人も下がる、あるいは努力している人がもっと下がるようにするということです。プラス1、プラス2グラムの減塩の強化というのは個人の努力を超えていますので、高血圧の方も8グラムぐらいで止まってしまうのですね。そこから1グラム、2グラムを減らすためには、個人の努力ではなくて、環境整備が必要ではないかなと思っております。
それからもう一つの評価法については、私がライフワークとしてやってきたことですけれども、1つはやはり、何を食べているかという、入り口調査と私は言っているのですけれども、簡単なチェックシートをつくって、スコアをつけて、大体どれぐらい取っているだろうと評価するのが一番簡単な方法として今提案しております。しかし、数値として何グラムとは出てきませんので、尿中のナトリウム、出口調査と言っていますけれども、検尿からナトリウムをはかって、それで推定する方法である程度、通常の診療とか健診では評価できるのではないかと思います。
したがいまして、私ども高血圧学会としてはぜひ、特定健診や一般の健診の場でせっかく尿を取りますので、蛋白や潜血に加えて、ナトリウムをはかって、食塩摂取量を個人にフィードバックしていただきたい。それと食環境整備の二本立てで進めないと、この食塩摂取量の推移のカーブは下に向かないと考えております。
以上でございます。
○武見座長 ありがとうございます。
では、瀧本構成員もお願いいたします。
○瀧本構成員 ありがとうございます。
私どもで国民健康・栄養調査の年次のデータを解析して公表しているのですけれども、摂取エネルギー当たりの食塩の摂取量も、健康日本21が始まってからずっと減少傾向のトレンドを示しているので、やはり国として明確なメッセージを出してきたということが人々の行動に影響しているのではないかと思っています。
ただ、おっしゃるように、最近ちょっと停滞ぎみではあるのですけれども、やはりここで再度分かりやすいメッセージをまた出していくというのが大事なのではないかと思います。こちらの計算のベースになっている日本標準食品成分表も8訂が昨年出まして、いろんな食品についてさらに分析値が増えてきていますので、そういったものもうまく活用しながら、1食当たりでこれぐらい取っていますよということが分かりやすく出していくことができたらなあと考えています。
以上です。
○武見座長 ありがとうございました。今ちょっと食塩のお話に集中していますけれども、それ以外のたくさんの情報が今ありますので、広く、どのような御意見でもと思います。
では、畝山構成員、お願いいたします。
○畝山構成員 畝山です。
食塩のことでもう一つですけれども、11ページに各国の食塩摂取量の棒グラフがあって、少しあっと思ったのですが、これは日本とかアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアが低くなってきているのはよく分かるのですけれども、それは加工食品中心から塩分を取っている。でも、韓国ってどちらかというと日本に近いようなイメージがあったのですが、料理、調味料中心。ここまで下がっているというのは何か、どんなことをやったのかなあというのはちょっと教えていただきたいと思いました。
○武見座長 では、事務局から。
○塩澤栄養指導室長補佐 事務局です。
どのような取組をやったかというところは、今、すみません、そこまで情報を持ち得ていないので何とも申し上げられないのですけれども、ただ、御指摘のように、そんなに違う食文化でないような韓国でも、日本に比べるとやや低目となっているところでございますので、我々としても、もう少し頑張っていく必要があるのかなと思っております。
○武見座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
では、夫馬構成員、お願いいたします。
○夫馬構成員 夫馬です。どうもありがとうございます。
少し確認というか、質問させていただきたいのです。全般に係るものですが、今回の検討会、持続可能という言葉がついている上での少し尺度、時間軸をどのように最終的に設定していくかについて少し確認したいなあと思っておりまして、今回の先ほどの説明でも、SDGsという言葉で、2030年とありましたが、後半では気候変動の話題がありまして、気候変動の話題ですと、もう既に2050年を見据えた2030年というような考え方が出てきているという、かなり長期的な軸での検討や政策というものが進んできているかなあと思うのですが、本件とかのこの持続可能というのはどれぐらいの時間軸で考えていく、で、さらにPDCAをつくっていくような感じでしょうか。
○武見座長 まず、事務局のほうでそこの考え方。ある部分は今後の議論というところもあるかもしれませんが、まずは事務局からお願いします。
○塩澤栄養指導室長補佐 御質問ありがとうございます。先ほど、今後の検討の方向性とか論点というところでも簡単には御紹介したのですけれども、我々のこの検討会、やはり厚生労働省でやっているということもありますので、基本的なメインのテーマは健康軸、健康面でどういう取組をしていくか、主に健康の観点からサステナブルな社会にするにはどうすればいいかという観点になります。
そういう意味では、余りロングスパンでということではなく、基本的には2030年、あるいは、先ほど冒頭、課長の鷲見から申し上げましたけれども、今後、次期国民健康づくり運動を進めていくと、これが令和6年度からスタートする予定で、大体10年ぐらい走らせるということになりますので、取りあえず我々の焦点というのは、そのぐらいのタイムスパンとしてまず考えたいということでございます。よろしいでしょうか。
○武見座長 よろしいですか。
ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか、皆様方。
では、菅原構成員、そして諸岡構成員というふうにいきたいと思います。では、菅原さん、お願いします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
ありがとうございます。
先ほど畝山さんがおっしゃっていた韓国の事例についてですけれども、韓国って、日本に比べてスパイスの摂取量がすごく多いです。分かりやすいところで言うと、唐辛子など     を取っていたりされるのですが、塩分での味付けに頼らずスパイスで補填するという食文化があるのかなと思っております。
一方、日本の食文化では、スパイスやハーブ類の使い方があまり上手ではないというか、あまり使われないようなお料理が多い印象です。なので、先ほど教育という観点があるというお話が挙がっていたかと思いますけれども、そういったスパイスだったりハーブの使い方を教えていくとか、あと、日本の食文化で言うと、一汁三菜という概念が文化として残っていますけれども、それによって塩分量が増えてしまう側面もあるのかなと思っております。そのため、そういった献立でなくてもいいんだよという見直しや文化づくり     だったり、教育の側面からできることはあるのかなと思っております。
あとは、ちょっと視点が変わってきますけれども、やはり栄養意識について高まっている中で、カロリー表示を見る方はすごく多くいらっしゃるのですよね。ではその内訳について皆さん詳しく理解していらっしゃるかというと、そうでない方も多いと思います。また、今だと、ナトリウムの含有量が食品の栄養表示に書いてある場合もありますけれども、そもそもナトリウム=塩分量だということが伝わっていないという場合もあるのかなと思っておりますので、そういったところの見せ方だったり教育、文化づくりみたいなところで考えられるところがあるのかなと思いました。
○武見座長 ありがとうございます。今の教育の話というのは、先ほど事務局の説明にもあったように、食環境づくりと言っている中には、モノとしての食物、食品を動かすことと同時に情報をどうしていくかということもあるので、まさにそちらのほうに関連することかなあと思います。
そうしましたら、廣田構成員からも手が挙がりましたが、まず諸岡構成員から聞いて、その次、廣田構成員と進めていきます。では、諸岡さん、お願いします。
○諸岡構成員 ありがとうございます。
減塩についてのお話が出ておりまして、先ほど合瀬構成員からも、どのようにして食塩摂取量が下がってきたのかというご質問がありましたが、1つは管理栄養士、栄養士が中心になりながら、広く住民に減塩教育をしてきたということです。また、昨今やはり、KDBであったり、ビッグデータという辺りのところが全国各地で確認や活用ができるようになりそのような背景から、例えば脳卒中の発生率が高い地域であれば、どのような食習慣や食行動が脳卒中発生の原因になっているのかということをきちっと分析し、エビデンスを関係者と共有、連携をして、ターゲットを絞った減塩のアプローチが進められています。つまり、各種データの効果的な利活用と課題に基づく健康・栄養施策が可能になったというところも食塩摂取量が低下してきた要因の一つであると考えております。
○武見座長 ありがとうございます。地域での取組ですね。
では、廣田構成員、お願いいたします。
○廣田構成員 全国消団連の廣田と申します。御説明ありがとうございました。
既に減塩の取組は、消費者目線でもそうですけれども、事業者側としてもある程度進んでいて、少しずつ成果も出ているという中で、特に今ここで減塩ということに焦点を当てて取り組むということの意味合いというのが少し伝わりづらい感じがしました。でも、御説明を聞く中で、さらに社会全体として無関心層へ向けた後押しとしても必要だということはよく分かりました。
そうは申しましても、生活習慣病を誘発する要因としてはほかにも同じぐらい必要なことがたくさんあるのではないかなと。カロリーの過多もそうですし、糖質とか脂質とか、そういったこともたくさんあるということも理解しつつ、同じように、食生活からの健康の意識を高めていくきっかけになればいいのではないかなと感じました。
もう一つ、日本は調味料由来の食塩摂取量が多いという御説明がありましたけれども、幼い頃から慣れ親しんでいる家庭の味というのは一生の食の嗜好性を左右するのではないかなあと、そういう部分もあるのではないかなと思います。その家庭ならではの、例えば調理法や味つけ、あと常備菜が何かとか、家族が何を好んで食べるとか、土地ならではの伝統食や地域性もあると思うのですけれども、家庭での調理に携わる人が、女性とは限りませんけれども、また家族の形態にも多様性がもちろんございますが、食事をつくる、自分が食べる、子供に食べさせる、家族に提供するという時点での自覚をやはりきちんと持ち、栄養ですとか食事摂取基準についての知識を持つということがすごく重要だと思います。そのための継続的な広い意味での消費者教育が必要なのではないかなと感じました。
以上です。
○武見座長 ありがとうございます。前半のお話に関しては、今、減塩の話がたくさん御意見出ていますけれども、どの栄養課題を取り上げていくか、これは論点の一つにも挙がっていますので、今後そこはまた議論していくことかなあと思います。消費者教育の話が出ました。これは当然食育とか、そういうところとも絡む話かなと思います。
そのほかいかがでしょうか。
では、赤松構成員、お願いします。
○赤松構成員 すみません。1つ、今の話に関係して、今日のお話は減塩に焦点を当てたてお話になっていますが、ここでは減塩だけを取り扱うわけでないのですね。
○武見座長 それについてはまた今後の議論になります。
○赤松構成員 減塩を考えるときには、他の食品を考える必要があります。例えば、今国が推奨している野菜の摂取を増やそうとすると、やはり食塩も増えるといったトレードオフの関係にあります。健康な食事をとして考える場合は、全体的に見る必要があるのではないかと思いました。
○武見座長 大事な御指摘ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
後半の資料は、必ずしも健康面だけではない、もう少し広い視点での持続可能性に関するとか、SDGsとの関係も資料に入っていましたので、そういうことも含めて、まずここの段階では御質問なり御意見をと思いますが、どうでしょう。特に企業様のほうでいろいろもう既に両面の取組を進めていらっしゃるところもあると思いますが、どなたかいかがですか。
鷲見構成員、よろしくお願いいたします。
○鷲見構成員 皆様の貴重な御意見、本当に勉強になっているのですけれども、やはり原因をしっかりと分析しないと、これから減塩に対して取り組むその的確な打ち手というのがちょっと打てないのかなと感じております。先ほど、毎年減塩が進んでいるという中で、様々なお取組をされた、その結果が10グラムまで減ってきているという、それは事実としてはあるのですけれども、実際どの打ち手が効果的に効いたのかというところをもう一つ深掘りして、やはり調査をしていって、さらにそこから下げるためにどういう打ち手があるのかというようなステップに進んでいくべきではないかなと考えております。
ちょっと皆様の意見を聞きながら、やはりここが重要ではないかと思ったのが、18ページ目にあります、食生活改善意思があるかどうかというところですけれども、若年層が思ったよりも全く関心がないというところがやはり、ここは危機意識を持たなければいけないかなと。先ほど、教育が非常に重要だというお話もありましたけれども、特に教育は、やはり小さいうち、幼少期の教育というものが非常に重要と感じておりますので、その段階から、食事、食生活、食習慣に関する教育をしっかりとした上で取り組んでいくということも重要なのではないかと考えましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。
○武見座長 ありがとうございます。前半のところについてはまたちょっと事務局とも相談して、具体的な、どこまで何が、この現段階で提示できるかお願いしたいと思います。
教育の重要性、またここでも御指摘いただいたかと思います。そういう意味では、もちろん健康日本21も、健康づくりですから教育入っていましたし、あとは、食育基本法ができて、平成17年からですね。いろんな形で、食育、それこそ家庭での食育、それから保育所、学校で取り組んできていて今に至っていると。その中で、やはり必ずしも教育のこういう呼びかけに応えてくださらない層が一定いるということが今の、ちょうど鷲見さんが指摘くださったようなデータに出てきているのかなあと思います。
ですから、今までどおりの教育ではない、この違う手は何なのかということをまさにここで考えていくということになるのかなと、御意見伺いながら思っておりました。ありがとうございます。
そのほかございますか。最初の資料に関して。
最初の資料だけではなくて、資料3のほうで御説明いただいた方向性と論点、ある程度重なってきますので、ここについて御意見を伺っていけたらいいかなと思いますが、いかがでしょうか。
五味さん、お願いいたします。
○五味構成員 いろんな側面からの情報があって、非常に参考になって、勉強になっているかなと、おもしろい話だなと思って聞いておりました。
何人かの方から御指摘あったように、まず食塩にいくのかどうかというところは丁寧な議論が必要だと思います。これは別途ということなので、またお話しさせていただきたいと思っております。
そのほか、これは質問なのですけれども、食環境というか、食文化といいますか、アジア、日本は諸外国とは異なる傾向だという、塩分を取るのが加工食品よりも調味料が多いという話があったと思いますけれども、これは過去からずうっとそういう傾向が強いのか、それともこれから変わる可能性あるのかというところが、もし情報があったら教えていただきたいなと思っていまして、12ページのところで、若年層と高年層のところで若干数値は違ってきているところもあるので、10年たったらそれがシフトしていくのかどうなのかといったところを、もし情報がございましたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○武見座長 事務局に振っていいですか、今の件。
○塩澤栄養指導室長補佐 御質問ありがとうございます。調味料の話、出てまいりました。これはこれまでのトレンドがどうだったかというお話かと思います。先ほど、資料2の12ページでその調味料の話が出てまいりましたけれども、これはあくまでも一つの研究報告を基に御紹介しているものでございますので、経年的にこうだというふうに今ここで申し上げられるものではございません。
ただ、おっしゃった点で非常に重要だと思うのは、やはり日本人の自ら調理し食べる文化というのは非常に重要ではありつつも、ただ、もう少しできる方策がもしあるのであれば、それが何であるのかといった辺りのことを、特に事業者の方々のいろいろな御知見なども御提供いただきながら、日本の食文化を変に乱すことはなく、でも、賢く工夫して減塩の方向に向かっていくための道は何なのかというのを、いろいろな御意見を賜って、日本型の歩みをしていければと思っております。
○武見座長 ありがとうございます。今の国民の食塩摂取量に関する過去からのトレンドということでは、当然国民健康・栄養調査あると思いますので、瀧本構成員のほうで、もし今の点について補足があれば、いかがでしょうか。
○瀧本構成員 国民健康・栄養調査でどの食品群から食塩を取っているかというトレンドを前にちょっと出したことがあるのですけれども、調味料の割合が高いのは変わらないのですが、だんだん占める割合は少しずつ減ってきています。ちょっと今すぐお出しできないのですけれども、また次回にでもお示しできればと思います。
○武見座長 ありがとうございます。そのほか。
夫馬委員、お願いいたします。
○夫馬構成員 ありがとうございます。
先ほど少し、消費者教育以外での何か新しい策をという話題があったと思いましたので、私が日々している企業投資家の観点から少しお話しできればと思いますが、特に先ほど社会経済フォーラムのスライドを出していただいて、経済界でもこういう危機意識高まっているというお話がありましたが、海外でもやはりこの分野、世界経済フォーラム含めてですけれども、どうしても消費者さん向けに伝えていっても、行動変容というものは即効性がないですし、一部の無関心層は、一部ではない、多数かもしれませんけれども、続くとなると、需要側だけではなくて、やはり生産者側がどれだけ長期的に意識を持てるかという議論にどんどん移ってきているかなあと思っています。
そこで、世界経済フォーラムの中にでも、先ほど機関投資家という言葉が入ってきたり、ビジネスイノベーションを起こして企業が自主的に、この少し矛盾しているような消費者ニーズと健康というのを解決していくためには、彼らが1つ重要なアクターとして登場してきているかなあと思っていますので、この辺りも含めて何かレポートの中では、世界経済フォーラムさんが打ち出しているように、これもしっかり入れていきたいなと私は考えております。
○武見座長 ありがとうございます。これからの大事な視点だと本当に思います。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
今日のこの検討会では、今、資料3にあります方向性と主な論点、これについて大枠合意を取っていく、あるいは追加があるのであればここを修正していくというところまでは今日の段階である程度意見の集約を見たいと思いますので、その辺に関連しまして、何かもう少し論点、こういうことを追加とかあればと思います。
畝山構成員、お願いいたします。
○畝山構成員 論点という観点だと、先ほども皆様から、減塩にフォーカスだけでいいのかという話がありましたけれども、確かによくあるのが、減塩はできました。でも、生活者のニーズ、おいしさを保つためには、ほかの、砂糖を加えていたり、あるいは脂肪を増やしたり。で、減塩しているけれども、ほかのものを増やしてバランス崩れたものを提供するというパターンもあるので、減塩から攻めるというのは、我々としてもとても、日本としても、和食を考えた場合は絶対そこはやらないといけないと思っていますが、それにしても、ほかのところも、高シュガーとか高脂肪とかも含めた形で健康な食事に持っていくという議論をぜひしていただきたいなと思いました。
あともう一つが、コロナ禍でいわゆる、情報のパンデミックでないですけれども、インフォデミックがかなり起きています。今後特に、あと、家庭で調理するという機会も増えているので、本当に正しい情報の提供の仕方なりその規制なりというのはやはりぜひ並行してあるべきだと思いました。
以上です。
○武見座長 ありがとうございます。今の前半のほうのお話は、この論点のところ、優先して取り組むべき栄養課題ということで、減塩の話、今日多かったのですけれども、どこに論点をしていくかということは今後の論点でということで取り上げたいと思います。また、今の情報面についてもというのは、もしかすると、今この論点だけだとちょっと足りないかもしれないので、そこの情報面も十分視野に置いた形で議論を進めるということは、場合によってはちょっと論点として追加していただくといいのかなと。すみません。私が余り話してはいけない。皆様の御同意が得られればと思います。
そのほか、いかがでしょう。
菅原構成員、お願いします。
○菅原構成員 先ほどから健康の意識についてのお話が挙がっていて、ちょっと補足でお話させていただければと思います。私どものほうで調査を行い、データを取っているのですけれども、一般の方に対して、「献立を決めるときに重視するような点はどこですか」という調査を行ったところ、一番大きかったのが「時短で調理できること」、2番目が「材料費が安く済むこと」、3番目が「栄養バランスが取れていること」という3つがすごく多く挙がっていて、皆さん、栄養バランスが取れていることについては、興味・関心自体はあるのですね。その調査データと、今挙がっている”食生活を改善することに興味がない人が多い”というデータを比べていくと、自分たちの献立に対して課題感を持っていないという方がすごく多いのかなと感じました。確かに減塩を意識するタイミングを見ていくと、ご家族だったり、周りの方が減塩を必要とするような状態になって初めて意識するというケースが多いのかなと思いましたので、実はバランス良く栄養を採れていると思っているけれども、実は採れていないかもしれない、といった喚起をする機会があったらいいのかなと思います。
○武見座長 貴重な情報ありがとうございます。
そうしますと、まだ御発言いただいていない方に先に御発言をお願いしたいと思うのですけれども、笹尾構成員、いかがでしょうか。
○笹尾構成員 ありがとうございます。
皆さんのお話いろいろ聞いておりまして、私自身、栄養の観点から詳しいというわけではないので、例えば塩分のことでしたり、いろいろな課題があるのだなあということを、お話を聞きながら感じました。
やはり一般の立場といいますか、私もふだん活動で若い子たちとかにもよく接する機会があるのですけれども、そもそも、先ほどお話もあったように、健康って失ってから気づくというか、何が悪かったみたいな。健康なときに、何がいけなかったかって分かりづらいと思うのですよ。この病気になったから、塩分取り過ぎたのだとか、そういった因果関係があれば皆さん気づくと思うのですけれども、なので、まずはやはり、今日の論点にもなるかと思うのですが、どういう状態が健康で、どういう状態が健康でないというのを一般の方がちゃんと理解するということが1つ大事かなあと思いました。
今日のテーマで、食環境づくりというのが、食品へのアクセスと情報へのアクセスということだと思うので、今は例えばネットで、意欲だったり関心を持てば必要な情報にたどり着くことはできると思うのですよね。でも、それがなかったりすると、まず情報にアクセスしないですし、あとは、関心がないとやはりそこにはたどり着かないということで、まず、どうやってその意欲をつくるかということが1つ大事な、今日も教育の話が出ていましたけれども、やはり小さい頃からの教育、大事だと思います。
一方で、教育だけだとなかなか成果がすぐ出ないですし、効果測定も難しいので、事例にありました英国の事例で、やはり食品を提供する側の事業者さんたちが減塩の商品をつくったり、あとは、その取組に自主的に活動していった。最近だと、よくダイエットの観点で、低GIの商品だったり蛋白質を多目に取るとかいうのは商品の表示にも出ていますし、それを選ぶ消費者って多くなってきていると思うのですね。なので、栄養には関心がなくても、例えば若い子だと、きれいになりたいとか、やせたいとか、そういうインセンティブって結構大事だと思うので、知らないうちに、無自覚のうちにそういった商品を取るというのも1つですし、教育ということも1つだし、両軸で進めていくのが大事なのかなあと思いました。
○武見座長 まとめていただくような御意見、ありがとうございます。そのとおりだと思います。
赤松構成員から手が挙がったのですが、ちょっと待っていただいて、木下構成員、まだ御発言いただいていないと思うので、よろしければ、今まさに事業者側の御立場だと思いますので。
○木下構成員 ファミリーマートの木下です。
私ども、コンビニエンスの立場として、実は2018年から減塩の活動に取り組んでおりまして、1年間の実績で、当社販売で1億食分、減塩相当量で100トン分の減塩ができております。我々、民間事業者側の課題として感じているのが、先ほど御説明あったとおり、無関心層の方へどうアプローチするかということで、関心がある方、リテラシーの高い方というのは減塩標榜されている商品を買われるということがあるのですが、無関心層の方にアンケートをとると、減塩標榜というのは明らかに、味が薄そう、おいしくなさそうというところで、減塩商品をむしろ避けるみたいな傾向があるので、当社は、基本的には大半は減塩標榜せずに、「こっそり減塩」と呼んでいるのですけれども、我々、自主的に減塩をして、名より実を取っているというところがあると思います。
ですので、多分、関心のある方と関心のない方の2軸でアプローチするのがいいのではないかなと感じております。
以上です。
○武見座長 ありがとうございます。
では、同じく田辺構成員にも御発言いただいてよろしいでしょうか。事業者側の御立場ということで。それから赤松構成員にいきます。
○田辺構成員 事業者サイドとして参加させていただいています。
弊社でも、減塩というものは非常に大きな問題だと捉えておりまして、大きなウエート、関心を持って進めておるところです。改めて機会をいただきまして、簡単に御紹介させていただければと思うわけですけれども、製造者として、減塩一つとっても、多面的に見ていく必要があると感じました。
例えば韓国の食塩摂取量が低いというのは私も同感で、恐らく香辛料によるものだと思うのですけれども、一方で、食塩を減らすのと野菜の摂取量を上げるというのはトレードオフという御意見もありまして、一つの問題だけでも多面的に見ていく必要があるということを改めて実感した次第です。これもコメントのみなのですけれども、今回の検討会に参加させていただいて、ぜひこれは食品業界全体として製造上のそういう工夫というところで多面的に解決できる方策を探していきたいと感じた次第です。
以上です。ありがとうございます。
○武見座長 ありがとうございます。
では、赤松構成員、お願いいたします。
○赤松構成員 ありがとうございます。赤松です。
今回議論する自然に健康になれる環境づくりに関しましては、やはり価格のことは外せないと思います。価格のことを考えると、企業の方たちに負担になってはいけないと思っています。やはりウィン・ウィン・ウィン、すなわち、企業の方にもウィン、そして健康にもウィン、そして環境にもウィンという、この3つにとってメリットになるような道が探せたらと思っております。
○武見座長 ありがとうございます。まさに方向性とか論点の中でそういうことを意識していくということかと思います。
そのほかいかがでしょうか。まだもうちょっとお時間ありますので。
資料3、方向性と論点のペーパーですけれども、方向性は非常に大きいことで、どういう、何のためかという辺りで、国民の健康の保持増進を軸に置きながら、一方で事業者の立場にも立ってのことになるかなと思います。
また、さっきPDCAのことで、どのぐらいのスケジュール、期間の感じかというのを夫馬委員が質問してくださいましたけれども、ということと、あと、東京栄養サミット、前半のほうの御説明にありましたけれども、そこでの、ここで検討会で取りまとめたことを出していくというような方向性、これについては皆様御同意いただけますか。
(首肯する委員あり)
○武見座長 ありがとうございました。
あと、下の論点ですけれども、今、4つ、ポチで挙がっております。今まで出た御意見ですと、いわゆる情報の扱いということですかね。そういう辺りを少し視野に置いて1つ立てるのか、あるいは、むしろ効果的な方策、3つ目の中の入ってくるところで、そういう要素もしっかり両側面を見ていくというふうに扱うことかなと思いますし、一般の方の健康の捉え方みたいなことを踏まえてというのも、恐らくこの方策、先ほど関心のある方とない方という2軸で考える、そういうのもみんなここの方策のところに入れ込んでいく内容でいいのかなあとはちょっと私のほうで思っておりますけれども、いかがでしょうか。
よろしいですか。
あと、最後の評価のところについても、どうでしょう。何か御意見があれば少しいただければと思います。
赤松構成員、お願いします。
○赤松構成員 難しいと思うのですけれども、今回の報告書では、評価の案を出せばいいということでしょうか。
○武見座長 そうですね。どのように評価をしていくかということを考えるということですね。評価を出すというより。そこ、もうちょっと説明していただいたほうがいいかもしれません。事務局のほうからお願いいたします。
○塩澤栄養指導室長補佐 ありがとうございます。この点については、まさにここに書かれているとおりですけれども、どのような形で、各事業者の方々のいろいろな取組を評価していくのがいいのかというのがまさにポイントです。ややもすると、こうした健康的な取組というのは定性的なスローガンで終わってしまって、結果、それがどのぐらい貢献したのか評価できないというのが過去いろいろ反省としてあって、さっき栄養サミットの話がありましたけれども、国際的な議論でも、やはり定性的なコミットメントではなく、しっかり定量的に評価できるようなコミットメント、そして、さっき期限の話もありましたけれども、期限つきでいついつまでにどのぐらいとか、そういった文脈でコミットメントしていくというのが世界のルールになりつつあります。今回の東京栄養サミットでのコミットメントも、いわゆるSMARTコミットメントと呼んでいるのですけれども、具体的で定量的で、いついつまでにとか、そういう文脈のコミットメントでないといけないというような要件になっていく予定です。
ですから、そういった国際的な流れも踏まえつつ、今回の取組でも、そのような文脈できちんと評価できるというものにしてはどうかというのが我々としての素案でございます。これについては、具体的には今後の検討会での議論になろうかと思いますけれども、一応そういう形でやるということが、冒頭にも申し上げたこの取組を世界に発信していくというところにもつながってくると考えております。
○武見座長 ありがとうございます。よろしいですか、赤松先生。
○赤松構成員 ということは、今後モニタリングをしていくのですか。
○塩澤栄養指導室長補佐 というようなことを考えているのですけれども、その辺りは今後の検討会でディスカッションできればと思っています。
○武見座長 そのモニタリングを誰がするのか。例えば事業者側自身が何をするかとか、いろいろ考え方あると思うので、そういうことを議論していくということだと思います。
では、土橋先生、お願いします。
○土橋構成員
先ほど御紹介になった、ファミリーマートさんが100トンと言っていただきましたけれども、高血圧学会が認定している減塩食品が今30社、133品目で、相対的減塩量が1年間に960トンぐらいなのですね。ですから、日本人1億人が10グラム食べるとしたら、1日1000トンということで、大体日本人の1日分ぐらいは減らせましたというのがメッセージとしては出していますけれども、この高血圧学会が扱っているものは本当にごく一部のもので、世の中には減塩と称するものが、表示してあるかないかは別として山のようにあるわけでして、それを一つの学会とかでやるのは無理なわけですから、少なくとも減塩に関する許認可を与えている部署が、減塩と表示している商品がどれぐらい売れているかを調査していただいて、それで、前年に比べて何%減っている、それがグラムにすると何グラムぐらいになっているという可視化する指標で示す必要があると思います。それがないと多分目標の達成は難しいと思いますし、現在の国民健康・栄養調査の線をどれだけ伸ばしても、日本人の食事摂取基準の7.5gとか6.5gには到達しないと思います。
そう考えると、先に成果が出るであろうという目標を何らか掲げるとしたら、現状、日本人の食塩摂取量はこれぐらい。食塩の消費量ですね。売れた量でいいと思います。販売量はこれぐらいあって、それが1年間の間に減塩食品の販売量からこれぐらい減っていると想定されるというような数字を出していただく、まさにそれは官がやっていただくことではないかと思います。それに協力して、各企業がそれぞれの企業でつくったもののデータを正確に上げていただくという、そういう仕組みづくりをつくるというのが、ある意味、この会での提言ではないかと思います。
もう一つは、先ほど来議論になっているとおり、我々も、食塩を減らすとカリウムも減る、野菜を取ると食塩増えるというそのジレンマにずっと悩まされてきているわけですけれども、昨年の日本人の食事摂取基準の検討委員会の議論の中でも、高齢者は減塩すると食欲が低下して低栄養、フレイルになるという議論がありました。したがって、摂取基準の本文中にも、高齢者では減塩することによってエネルギーや蛋白質、ほかの栄養素が損なわれることのないように配慮するよう記載しました。したがって、高齢者を含めて全体の栄養評価はどのようにすればいいか、減塩はもちろん大事だけれども、その方にとって、エネルギーの維持がもっとも大事なのか、蛋白質維持が大事なのか、減塩が大事なのかというのは、健常人と、例えば高血圧や心不全、腎不全がある人で全然違うかもしれませんけれども、ある程度、評価の指標みたいなものがないと難しいと思います。
この検討会議には栄養の専門の先生方もたくさんいらっしゃるので、健常な高齢者にはこのような栄養成分が重要で、他の栄養成分を損なわず減塩するためにはどうすればいいかという方略についてぜひ提言いただきたいというのが、私の個人的な意見です。
○武見座長 ありがとうございます。この検討会でどこまで盛り込むかということも含めて、貴重な御意見としてまた今後議論していきたいと思います。
そうしましたら、そろそろ時間なのですが、今、廣田委員、手を挙げてくださいましたので、ここの議論、廣田構成員までで一回閉じさせていただくので、廣田構成員、お願いいたします。
○廣田構成員 時間のないところを申し訳ございません。このコミットメントですね。単なるスローガンに終わらないで、きちんと可視化できるものであったり、定量評価ができるということはすごく大事なことだと思っております。この減塩の政策というのが国を挙げての政策になっていくような流れになったときに、食品産業ですとか事業者側の目線ということで考えた場合に、やはりいろいろな側面があると思いまして、例えばすごくコストがかかり、小規模事業者に負担がかかるような結果になってしまう、そこは十分配慮するというふうな御説明はありましたけれども、あるいは、減塩することで、減塩の商品によって賞味期限の規定を変更したりするような、そういった賞味期限に左右されるような食品の構成もあるかと思います。そうすると、食品ロスの観点などから言うとSDGsの理念に反することにもなると思いますので、そういった広い視野を持って対応していくという、そういった考え方が重要なのではないかと考えております。
以上です。
○武見座長 大事な御指摘、ありがとうございます。今後の議論の中でしっかりそういうことも視野に置きながら進めていきたいと思います。
それでは、今までたくさん御意見いただきましたけれども、資料3の方向性及び主な論点、事務局案で出てきたもの、大きくは変えることなく、一部ちょっと加筆していただくような感じで整理していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○武見座長 ありがとうございます。
では、次に事務局のほうから、今後のスケジュールについて御説明をお願いしたいと存じます。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、スケジュールの御説明をさせていただきます。資料4でございます。
こちら、検討会のスケジュール(案)ということでお示ししております。御覧いただきますと、先ほどの資料3とほぼ整合するような形になっております。まず、1回目、すなわち本日でございますけれども、こちらは、こうした食環境づくりの推進に向けた基本的な方向性ということで、先ほど座長からもお話がございましたが、おおむね、方向性と論点は、これでよしということになりましたので、このもと、今後進めてまいりたいと思っております。
そして、3月、第2回目です。こちら、先ほどの論点でいきますと、論点1つ目と2つ目に該当するものとして書かせていただきましたが、健康の保持増進に関するものとして、活力ある持続可能な社会の実現を目指す観点から、優先して取り組む栄養課題等について御議論賜りたいと考えております。
そして、4月頃の第3回でございますけれども、先ほどの資料3でいきますと、3ポツ目と4ポツ目に該当する議論をしていただいた上で、報告書(案)の骨子を御紹介し、御議論いただきたいと思っております。
そして、取りまとめは第4回、5~6月頃を考えております。
なお、この報告書(案)でございますけれども、この食環境づくりというのは、当然ながら、この検討会が終わったら終わりというわけでは全くなくて、今後、先ほどスパンの話もありましたけれども、ずっと本格的にやっていきたいと考えております。その本格的な流れに持っていくために、基本的な取組のあり方や評価のあり方など大枠のところを今回の検討会で御議論いただいて、報告書という形で取りまとめていただきたいと考えております。ですので、それを踏まえた形で今後よりたくさんのステークホルダーの方々にも御参画いただきつつ、こうした食環境づくりを進めていきたいと考えておりますので、そういった意味でも、今回の検討会で議論し、取りまとめいただくことになりますこの報告書(案)というのは、今後の羅針盤になる位置づけでございますので、活発な御議論を賜りたく思っております。
以上です。
○武見座長 ありがとうございました。今のスケジュールと、それぞれの内容に関しての大枠の御説明でしたけれども、何か御意見、御質問ございますか。
なかなかにタイトなスケジュールで、いろいろ御議論をお願いすることになるということですが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
では、このスケジュール(案)で進めさせていただくということで、次回は、もう一度後ほど確認をお願いしたいと思います。
では、私のほうで議論のほうはここまでにして、事務局にお戻ししたいと思います。
○塩澤栄養指導室長補佐 それでは、今後の日程につきまして御案内を申し上げます。
第2回の検討会、先ほど3月と御紹介いたしましたが、3月29日月曜日の15時から17時半、2時間半の開催を予定しております。開催案内につきましては、後日、構成員の皆様方には御案内を差し上げます。
また、次回以降に御発表をお願いする構成員の皆様におかれましては、私ども事務局から改めて御連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武見座長 ありがとうございました。
では、初回、無事に終わりました。以上で閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。