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第19回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録
医政局研究開発振興課
日時
令和3年1月13日(水) 13:00~15:00
場所
厚生労働省専用第15会議室(12階)
議事
- ○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第19回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に、システム機能から「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いします。また、御発言終了後は、再度、マイクをミュートにしてくださいますようお願い申し上げます。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしたWeb会議マニュアルに記載されている連絡先に御連絡ください。本日は、部会の定数14名に対しまして、全14名の先生に御出席いただいております。定足数に達していることを御報告申し上げます。まず、事務局より、委員及び事務局の交代について御報告いたします。臨床研究部会委員については、平川先生が御退任され、新たに、今回から、公益社団法人日本医師会常任理事の渡辺弘司先生に御参画いただきます。渡辺先生、御挨拶を一言、お願い申し上げます。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。この度、参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 どうもありがとうございます。続いて、事務局についても人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。本日、医政局長の迫井と審議官の間は、用務のため欠席とさせていただきます。医政局研究開発振興課長の笠松でございます。
○医政局研究開発振興課長 笠松でございます。どうぞよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 続いて、医政局研究開発振興課治験推進室長の野村でございます。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 野村でございます。よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 最後に、私、医政局研究開発振興課治験推進室長補佐の藤巻でございます。よろしくお願いします。
続いて、本日の会議資料についてです。会場参加の先生におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いします。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいは、Web上での資料を投影いたしますので御覧ください。資料については、資料1「『臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ』に係る今後の対応について」、資料2「令和元年度及び2年度業務報告に係る方針案」、資料3「臨床研究法に関する検討について」、資料4「臨床研究法における疾病等報告について」、そのほか、参考資料1から参考資料3となっております。お手元で不足等がございましたら、事務局宛てにお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いします。以降の進行については、楠岡部会長にお願い申し上げます。
○楠岡部会長 部会長の楠岡です。久しぶりの臨床研究部会ですが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。それでは、早速、議事に入らせていただきます。議題1は、「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ」に係る今後の対応についてです。それでは、事務局より資料1の説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料1について御説明します。これより以降、資料の右下に通し番号がありますので、通し番号をお示ししながら御説明いたしますので、よろしくお願いします。それではまず、資料1「『臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ』に係る今後の対応について」を御説明します。2ページ、2019年版とりまとめの策定までに係るこれまでの経緯について、簡単に御紹介します。平成9年に新GCPが導入されましたが、その後、治験の届出数が3分の1に減少するなど、治験の空洞化が顕著化したことがあります。その後、平成15年、平成19年、平成24年に、それぞれ治験・臨床研究の活性化について計画を策定いただき、これに基づいて活性化を進めてきました。昨年度ですが、平成元年12月6日、本部会で御議論を頂き、「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ」をとりまとめいただき公表したところです。
3ページ、このとりまとめに関する内容をまとめたものです。5つの柱を立てていただきました。まずⅠ.「新薬・新医療機器等の開発」と「診療の最適化のための研究」のバランス、Ⅱ.人材育成の強化と財政的リソースの効率化、Ⅲ.リアルワールドデータの利活用促進、Ⅳ.小児疾病・難病等の研究開発が進みにくい領域の取組、Ⅴ.国民・患者の理解や参画促進といったことを挙げていただきました。
4ページ、これらの5本の柱について、今年度実施した事業について御紹介します。まず、医療系ベンチャー育成支援ということで、これは、下にある四角の所に、関連する所を括弧して緑色で番号を入れております。①「新薬・新医療機器等の開発」と「診療の最適化の研究」のバランスの所に該当するかと思いますが、医療系のベンチャー支援の事業をいたしました。②リアルワールドデータの活用、③生物統計家育成事業、④臨床研究・治験従事者研修プログラム、⑤国際共同臨床試験の体制整備の事業を行いました。これらの中身について、7ページ以降で紹介いたします。
7ページ、これは、人材育成に係る臨床研究・治験従事者研修プログラムについて御紹介したものです。右下の赤い点線の四角で囲った所を御覧ください。ここでは、臨床研究に従事する方々の養成研修を実施する事業ということで、座学だけではなく、現場の研修を行うことを実施しました。また、実際に、既にIRBの委員を担っておられる方や、今後、委員になる可能性のある方々を対象に事業を実施したところです。
8ページは、医療系ベンチャー育成、リアルワールドデータの活用、国際共同治験に係る事業について御紹介します。医療系ベンチャー育成支援については、これも下の赤い点線がある真ん中、四角が4つ並んでいる所の左から2番目です。医療系ベンチャー育成支援プログラムがあります。これは、臨床研究中核病院に設置されたベンチャー支援部門を通して、ベンチャー企業の育成を図るものです。リアルワールドデータの活用については、その右隣、未承認医薬品等臨床研究安全性確保支援プログラムで実施しています。ここでは、臨床研究中核病院の自施設内の診療情報の標準化などを行い、これらのデータを統合解析できるように、出力するための適切なコード化などを整備するものです。そして、国際共同治験の体制整備については、一番左側、国際共同臨床研究実施推進プログラムにて2拠点を中心に実施したところです。
9ページは生物統計家人材育成事業です。こちらの事業は、製薬企業からの寄附金と国の研究資金を基として実施しました。東京大学と京都大学に拠点を置き、そこでOJTも含めたカリキュラムを設けて、生物統計家の育成を支援したものです。
それでは、4ページにお戻りください。今年度については、このような形で、5つの柱の中の一部について事業を実施しておりますが、来年度以降の実施について御相談をしたく、資料を整理しました。5つの柱の中で赤く囲っている3つについて、来年度を中心に実施してはどうかと事務局で考えております。Ⅰにある診療の最適化に係る臨床研究の実施、Ⅱにある人材の育成、それからリソースのより一層の活用、Ⅴの国民・患者の臨床研究・治験に関する理解と参画を促す取組を行うということで、5ページを御覧ください。
5ページについては、この3つの論点について、とりまとめ策定時の議論と対応策を御参考までに抜き出しております。診療の最適化に係る臨床研究の推進については、対応策として、現在、どのような程度、どのような形で実施がされているのか、まず現状を把握した上で対応を検討すべきという御意見を頂いております。また、Ⅱ.人材の育成の強化、財政的リソースの効率化についても、CRC、生物統計家等、特に非医療職の処遇について、専門職の給与体系の整備であるとか、そういったことをするに当たって、実態の把握がまず必要であるという御意見を頂いております。また、国民・患者の理解や参加促進については、対応策として、患者会との協力等について推進する方策を検討すべきということで御意見を頂いたところです。特に①と②については、来年度、まずは実態の調査をすることになろうかと思いますが、調査対象をどのようにするのか、調査に当たって外せない事項としてどのようなものが考えられるのか、あるいは留意点などについて広く御意見を賜ればと思います。御審議をどうぞよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から御説明しました来年度に実施予定の事業等について、御意見を賜ればと思います。よろしくお願いします。山口委員、手を挙げられていると思います。よろしくお願いします。
○山口委員 ありがとうございます。山口です。今の5ページの②の対応策で、CRCや生物統計家等、非医療職の処遇を書いてありますが、やはり待遇面をしっかりする必要があることと、働き続けられるキャリアパスを明確化しないことには、なり手がなかなか増えてこないと思いますので、そこの対策が必要かと思います。それから、③の国民・患者の理解や参画促進についてですが、対応策に2つのことが書いてあって、まず前半が幅広い国民・患者の理解を深めるということなのですが、これは本当の意味で幅広く理解を深めることになれば、やはり一般常識にするぐらいのことが必要ではないかと思っています。そういう意味からすると、これは縦割りではなくて、文科省などとの協働ということが実際に考えられているのかどうかということを、事務局にまずお尋ねしたいと思います。
それから、後半の意見発信についての教育・研修です。これは、私たちのグループCOMLで実際に行っているのですが、やはり、これを本格的にやるとなれば、研修もさることながら、そこに参加したら誰でもOKですよというわけにはなかなかいかないかなということを実感しています。ですので、どういう所が主体になってやっていくかの検討も必要ですし、ある程度、どのレベルまでを求めるかもしっかり考えた上で、実りある、実効性のある内容を練っていく必要があるのではないかと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。では、事務局からお答えできる範囲でお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 貴重な御指摘、ありがとうございました。山口先生から、特に理解を深めるという点について、一般常識とするところまでということで文部科学省との協力の状況についてお尋ねがありました。正直申し上げると、これからというところです。今、医薬品に関しては、適正使用であるとか薬害などについて、文部科学省で中学生とかのカリキュラムに入れることが進んでいまして、恐らく、花井先生にも御尽力いただいているところかと思いますが、まだまだ臨床研究であるとか治験といったところまでは、一般の方々に対する教育のプログラムに入っていないところがあります。今後、いろいろ御意見を頂きながら、こういった関係省庁とも協力する形で進めていきたいと考えております。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 是非ともお願いします。今回のことに限らず、やはり一般常識にしないといけないような医療の問題は多々あると思いますので、そこを整理した上で、ほかのものも含めて検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。今回のCOVID-19のことに関しても、治験がすごく話題になって、今まで以上にマスコミ等で取り上げられたわけですが、逆に、それが少し混乱、誤解の原因になっているような部分もあるかと思います。その辺もきっちり整理しながら進めていく必要があるかと思っております。引き続いて、藤原委員、お願いします。
○藤原委員 藤原です。同じく5ページのそれぞれの論点について希望を述べたいと思います。1つ目、診療の最適化、これはアメリカで言うコンパラティブ・エフェクティブ・リサーチのことにはつながりますが、現状把握の際に、私の理解では、昔、この領域で治験等を組もうとすると、試験薬、あるいは医師主導治験薬の治験薬かもしれませんが、マーケットからの調達が日本では非常に難しい。その背景には、製薬協さんが設けている紳士協定があり、マーケットから研究費で試験薬を購入して使うことがなかなかしにくい現状があったりとかしていましたので、その辺りの現状を調べていただきたいというお願いがあります。
それから2つ目、人材育成の強化は非常に大事なのですが、非医療職について言えば、これからデータサイエンティストが、たくさん全国に学部ができて市場に出てきますので、データサイエンティストさんが今後どのような処遇になっていくかというところも調査で注目していただきたいのと、医療職についても、やはりきちっとした調査が必要かと思います。例えば、日本では看護師の専門性に、専門看護師に臨床試験看護という領域はないのですが、米国等を見ていきますと、臨床試験看護というのはしっかりした領域で確立されていますので、そういう看護師を含めた医療職についても、卒前卒後のカリキュラムの中で、こういう臨床研究・治験がどのように教えられているのか。私の理解では、薬剤師さんは、多分、非常に豊富に教育されていますが、看護師、臨床検査技師、あるいは診療放射線技師などについてはまだまだ弱い部分もあるので、その実態も調べていただきたいと思います。
最後に、この2に関連して、生物統計家育成事業などをやっていますが、卒業生は、これはお金が企業から入っているところもあって、ほとんど企業に就職されていますが、その一番の背景は、官民の給与格差です。アカデミックホスピタルでも、そういう方々を処遇しようとして、任期付常勤といって少し給与を高めにしようとしますが、企業のほうがそれよりも全然上で給与が高いので、幾らアカデミアで呼んでも給与で来てくれないという実態がありますので、そこを正直に調べていただきたいと思います。
最後、3番目は対応策の所で、これは先ほど山口委員もおっしゃっていましたが、私どもが今回のCOVID-19のパンデミックを見て感じるのは、サイエンスに関するリテラシーが、非常に専門家と、それから一般の方々の間にギャップがあって、先日のJAMAでも同じような見解のコメントがありましたが、ヘルスリテラシーの現状とか、どのようにこのヘルスリテラシー、あるいはサイエンスのリテラシーを日本の中で向上させるかということを、今後、考えていただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。生物統計家育成事業の就職率なのですが、この事業においては、在籍をしている20名中15名がアカデミアに就職をしたということで、75%、生物統計家の中では比較的高いとは思いますが、先生の御指摘のとおり、実際、このような事業以外で御卒業される方々については、給料の格差などが非常に大きく影響しているところもあるかと思います。今、御指摘を頂きました4点を踏まえ、調査を進めたいと考えております。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。それでは、引き続いて渡辺弘司委員、お願いします。
○渡辺委員 渡辺です。山口委員がお話をされたところと同じです。5ページの3番目の国民・患者の理解という点ですが、山口委員も、恐らく教育ということを視点に文科省という御発言をされたと思うのですが、まず、幅広い国民と言っても、ターゲットを明確にしたほうがいいと思います。対象を明確にして、言葉の意味を正確に理解してもらうことが一番先ではないかと思います。健康21で、COPDやフレイルという言葉を周知するという項目がありましたが、何年か掛かっても60%とか70%の言葉の周知がやっとできたことになります。まずは、治験というのがモルモットとか、そのように受け取られるところもありますので、治験とか臨床研究という意味を正確に理解してもらうことから始めて、それで、どういう方にどのような方法で対応するのかということと、幅広いというのは非常に分からないではないかと思いますので、できれば、具体的な方法をどこかで検討していただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。今、国民・患者と少しざっくりとしておりますが、先生の御指摘のように、どういう方々にそれぞれどういうアプローチがあるのか、ちょっと私どもで少し整理をして、また次回以降に方針などをお示しできればと思いますので、よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは続いて、花井委員、その後、佐藤典宏委員、お願いします。まず花井委員からお願いします。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。幾つかあるのですが、5ページの特に①についてです。一般的にこういう研究に関しては、1つは、どこの学会でもそうですが、治療のどれが適正かという、例えばレジメン等々について、これは逆にメーカーの非常にコンペティティブな領域と言いますか、各メーカーがしのぎを削って、学会等でも、いわゆるライバル社がいろいろな良いデータを出したりしながら闘ったりしているわけです。その中で起こったのが、2012年のバルサルタンの件です。あの場合は、いわゆる資金面という部分で、かなり高額な、億単位の奨学寄附金というのを、別に使用目的はないのだけれど、何となく忖度して、ああいった形で、結果的には不正も招いてしまったということがあるのです。
ですので、1つは、いわゆる2012年当時問題になった、いわゆる研究費です。研究費が、例えば紐が付いていないのだけれども何となく紐が付いていてとか、そういうことが改善されたのかどうかということも含めて、こういった研究に対してどれだけの研究費がAMED、どうしてもこういうのはAMEDとか科研とか、公的研究費に頼らざるを得ないと思うのですが、それがどのくらいきちんと潤沢にあるかということを調べてほしい。
それからもう1つは、こういう研究は、いわゆる臨床医、クリニカルドクターが行うわけです。現状は、勤務医の先生方は非常に多忙であって、日本の現状として、研究に係るエフォート率が世界的に比較してもどんどん減っているのです。ですので、いわゆる臨床の先生方が研究に使える時間がどうなっているかというところも、ちょっと同時に調べていただいて、現実に忙しい、一番リサーチクエスチョンは思い付くのだけれど、とてもそこに手が回らないというところがあると思うので、そういう実態を調べるのが必要かと思うのです。ここに書いてあるように、「現状を把握することとし」の方法として、事務局としてどのようなことを考えているか。又は、もし今、私が2点申し上げましたが、その点についても考えていただけるかどうかを教えてもらえますでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。研究費、それから、実際にドクターが研究に割ける時間なり、そういった余裕の状況についての御指摘は非常に大事だと思いますので、今後、調査をする際に留意をしていきたいと思います。この点が実際にどのような形で行われているのか、どのような調査であきらかになるかを考えております。学会でガイドラインをお作りになっているようなものについて、どういう試験が根拠になっているのか、あるいは今、jRCTやUMINといったデータベースもありますので、そういうものを紐解いてということも考えておりましたが、今、御指摘を頂いた費用の点なども含めて調査していきたいと思います。
○花井委員 よろしくお願いします。
○楠岡部会長 それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。先ほどから藤原委員がおっしゃっていました①の件です。藤原委員の意見では、何を調査するかという問題ですが、第Ⅲ相的な比較試験的なイメージで捉えられているかなとは聞いたのですが、この①については、どういった研究をターゲットにするかということで、非常に調査が難しくなったりとか、漫然としたものになったりするので、どういった結論を導きたくて、そのためにどういうデータが必要かということをよく考えていただきたいと思います。
診療ガイドラインも、当然、エビデンスレベルが高いものは、第Ⅲ相試験で一対一比較のようなものになりますが、例えば、患者層が少ないものですとか、比較試験が難しいものは、場合によっては、観察研究であったりとかレジストリーデータみたいなものからガイドラインを作らざるを得ない疾患というのもかなりありますので、何でもかんでも集めてしまったらどんな結論も得られないと思いますので、どういったところにターゲットを絞って比較をして、ここの議論にある開発とのバランスをよくすることを考えていただきたいと思います。若しくは、ガイドラインに絞るのであれば、学会のほうを主体にして調べていくことも結構だと思いますし、日常診療に資するということであれば、かなり一般病院のところまで下げていかなくてはならない可能性もありますので、そこのところをよく考えていただければと思います。バランスよく進めるための方策として、最適化の研究を調べるということですが、カウンターパートとして、では、新薬・新医療機器の開発にどのくらいお金を付けているのかという、そもそものデータもあるのかなという気も若干しないでもないですから、どういった結論が必要で、この政策にいかしていけるかということをよくよく考えた上で調べていただきたいと思います。
あと、②については、これも藤原委員がおっしゃったことと少し重なりますが、特に、「非医療職」と書いてありますが、臨床試験の専門職ということと、医療の専門職というのは、カウンターパートの言葉ではなくて重なり合う言葉になります。CRCも御存じのとおり、看護師もいれば、薬剤師もいれば、医療職を持っていない人もいますし、モニタリングその他も全てそうですので、職種はそうですので、非医療職という形にしてしまうと、全体像を間違ってしまう可能性がありますので、そこのところをきちんと専門職の実態に合わせた調査の仕方をしないとということになりますし、給与体系までいきますと、それぞれの施設で違ってくることもありますので、その辺も、調査対象とする組織の在り方とか基盤とかも考慮に入れないと、少し偏ったデータになるかもしれませんので、注意していただきたいと思います。私からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。大変貴重な御指摘を頂きました。ターゲットを絞ってということで、実際に臨床研究は、先生の御指摘のように、国の予算は限られたものではありますが、やはり新薬、新しいものに予算が偏っているという御指摘もありますので、その辺の資金的なことも含めて整理ができればと思います。
また、2番についても、御指摘を頂いたように、それぞれ設立主体でお給料の体系なども違うかと思いますので、その辺もよく分かるような形で調査ができればと思います。また、医療職についても、視野に入れてということで承りました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。後にもいろいろ議題がありますので、この議題1に関しては、ここで一旦、終了させていただきたいと思います。ただいま頂いた意見については、事務局において整理の上、今後の臨床研究部会にフィードバックして、加えてまた意見を頂くことになるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは、続いて、議題2に移りたいと思います。議題2は、臨床研究中核病院 令和元年度及び令和2年度業務報告に係る方針についてです。事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料2について御説明をいたします。10ページを御覧ください。まず背景です。先ほども御紹介をした2019年版のとりまとめにおいて、臨床研究中核病院については、承認された後の取組の評価の方法として毎年度、その前の年の業務報告が報告されますので、この実績を基に翌半期の最初に開催される臨床研究部会で御報告をすることになりました。
一方、昨年の1月から新型コロナウイルスが日本にも影響を及ぼしてきまして、臨床研究や治験の実施が困難になっているというような状況もあります。このような中、前回の臨床研究部会において、例年どおり令和元年の業務報告書については、令和2年10月5日までに提出を頂くことにするものの、令和元年、それから令和2年度の承認要件充足に係る評価については、実態を把握しながら柔軟な対応とするべく、その後の部会で議論をするとされました。
続いて、令和元年度業務報告に係る方針案です。昨年の10月5日に令和元年度の業務報告書がそれぞれから出されておりますので、まず速報として、とりまとめの状況について御報告をいたします。11ページを御覧ください。それぞれの充足状況をとりまとめたものとなっています。
右下に充足条件があり、1つ目に自ら行う特定臨床研究の実施件数があって、こちらの条件としては、医師主導治験を単独で4件又は医師主導治験1件、これに加えて臨床研究80件、この2つのポツのいずれかを充足している必要があります。これについてはグラフ、上の2つですけれども、左に医師主導治験の件数があって、4件の所に赤い実線を引いています。また、1件の所に点線、それから右の臨床研究80件の所にも赤の点線を引いています。全ての機関について、医師主導治験4件以上を達成しているということですが、一部要件ぴったりという所もありました。それから、併せて論文数45報以上ということで、これは筆頭著者が申請機関に所属をしているという条件がありますが、これに合致するものとして報告された件数をそれぞれの機関で並べています。これもぎりぎり45件という所もありますが、いずれも充足はしている状況でした。
続いて、12ページを御覧ください。こちらも左下に充足条件を書いていますけれども、多施設共同治験、特定臨床研究などの実施件数ということで、多施設共同医師主導治験を2件行うか、あるいは多施設共同臨床研究を30件以上行うかということで、左に医師主導治験、右に臨床研究の件数を示しています。いずれも医師主導治験2件以上というところで条件を満たしていることになります。また、ほかの医療機関が行う特定臨床研究に対する支援の件数は15件以上となっていて、これは左下のグラフですが、いずれも充足しています。
ただ、これは四角にあるように、現時点は速報ということで、現在それぞれの中身について精査をしていて、場合によっては定義が異なるものが含まれていたりした場合、一部の試験を除外する必要が出てきまして、このようなことになった場合、承認条件を満たさない病院が出てくる可能性が懸念されます。
10ページにお戻りください。先ほども御覧いただいた令和元年度業務報告に係る方針案です。今、御覧いただいたように、速報ベースではいずれも満たしているということになりますが、一部ぎりぎりの所もあって、定義によっては場合により満たさない所が出てくる可能性もあります。ただ、今申し上げたとおり、新型コロナウイルスの影響などもありますので、仮にこういった所が出た場合も件数等により一律に判断することはせずに、個別に経過等をお伺いした上で当部会に状況を報告し、御意見を頂くこととしたいと思います。具体的には年度明けの部会で、精査をした結果について再度御報告をさせていただきます。
その際、万が一そのような所があったときには、個別の経緯なども含めて御審議を賜りたいと考えています。また、令和2年度の業務報告については、通常であれば今年10月に報告書が出てくることになりますが、令和元年度に比べて更にコロナの影響が大きく出ることが懸念されますので、これもまた状況を見ながら御議論を頂きたいと考えています。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの令和元年度及び令和2年度業務報告に係る方針について、御意見はありますか。佐藤委員、お願いできますか。
○佐藤(暁)委員 佐藤です。佐藤典宏先生からもあるかもしれないのですけれども、臨床研究中核病院の連携協議会で、こういったコロナの影響でどうなっているかというのは議論しています。今年度に関してはまだそれほど減っていないのですけれども、恐らくこれからかなり影響が出てくるのではないかというのが、会の病院長の先生方の御意見です。
またもう1つ、これは3年の統計値で、今後、来年度から条件が厳しくなることももともと決まっていますので、そこを満たさない所も増えてくるのかなという気が個人的にはしています。ただ、もちろんコロナでなかなか臨床研究とかの新規が止まっている病院が多いので、そこは是非考慮して見ていったほうがいいのかと個人的には思っている状況です。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは引き続いて、渡辺弘司委員、お願いします。
○渡辺委員 すみません、この度初めて入ったので、この質問の内容はもう既に皆様御存じのことかもしれませんけれども、中核病院の充足条件に関して、例えば医師主導治験単独で4件又は医師主導治験1件と臨床研究80件で、80件のほうは充足できていないように思います。これは途中経過だからということなのでしょうか。それともこちらの80件、30件というのは、どういう基準でこの数字になったのかというのが、もし事務局に教えていただければ有り難いのですけれども。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 まず、条件ですけれども、例えば11ページを御覧ください。充足要件、自ら行う特定臨床研究の実施件数については2つ要件があり、いずれかを満たせばよいという形になっています。その1つが医師主導治験4件、これを満たすか、あるいは医師主導治験1件に加えて、臨床研究80件。要するに医師主導治験1件プラス臨床研究80件をするか、単独で医師主導治験4件どちらかを満たせばいいと。ちょっとややこしいのですが、このような条件になっています。この件数の設定は、医療法に臨床研究中核病院を位置付けるとき、これまでの実績などを踏まえ、審議会でお決めいただいた数字と伺っています。コロナなどがない状況でのこれまでの活動状況などを踏まえ、設定された数字となっています。
○渡辺委員 ありがとうございます。前者の要件は、皆さん満たされているようですけれども、後者の要件を満たしていない施設がないのに、付け加えた意図がよく分からなかったのでお聞きしたわけです。ありがとうございます。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。このあと御審議いただきますけれども、臨床研究法の施行があり、少し臨床研究の実施が難しくなっているという状況もあって、過去に実施をしていた実績に比べると、現状減っている所もあろうかと思います。それから施設の方針として、治験のほうで積極的に対応するということで、自ずと相対的に臨床研究を控えている施設もあると伺っています。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。続いて、佐藤典宏委員、お願いします。
○佐藤(典)委員 失礼しました。今ちょうど議論があった、渡辺委員から質問があった臨床研究の件数の件で、1つコメントしようと思って手を挙げました。中核病院の承認要件の評価そのものというよりは、臨床研究の数をどこも満たしていないと言いますか、全ての施設で、治験のほうで満たしていて臨床研究のほうで満たしていないということについて、先ほどの議題であった開発の予算と、最適化の予算のバランスの問題というのも、ここに1つ出てくる可能性もありますし、野村室長もおっしゃった、この後で出てくる臨床研究法に伴う臨床研究の減少にも関わってくるということもあろうかと思います。ただ、どのような方策を取ったとしても、治験と臨床研究の数のバランスと言いますか、今ある基準というのは、なかなか今の状態とはそぐわなくなってきている可能性もあります。今、承認要件をどうこうというのが議題ではありませんから、直接議論する必要はないと思いますけれども、各委員の先生方におかれましては、その辺のところを少し念頭に置いて、今後の議論を一緒にさせていただければと思います。
あと、中核病院の立場でちょっと辛いことを言いますと、臨床研究の数がこのように80が40になり、40が更に低いとなってきますと、論文の数にも若干影響をしてくるというところが本音としてはあって、なかなかこれから承認要件を毎年満たしていくということが、少し辛い所が出てくる。もちろん頑張ることは頑張りますから、辛い辛いというのが私の言いたいことではありませんけれども、そういうこともあるということも少し知っておいていただければ有り難いと思って、一言コメントしました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。医師主導治験への偏りの1つの原因として、現在、臨床研究中核病院の多くの所は、文部科学省の橋渡し研究事業にも参加していて、そのKPIが医師主導治験の数になっていて、特定臨床研究は入っていません。どうしても医師主導治験へ行きやすくなっているといいますか、その傾向はあるかと思います。今後、文部科学省の橋渡し研究は今年度で終了しますので、その辺りが今後どう変わっていくかも見ていかなければいけないかと思います。
臨床研究に関しても、特定臨床研究しかカウントしていませんので、既存薬を比較するような場合、これは研究資金がメーカーから出れば特定臨床研究になりますけれども、公的資金で行うと特定臨床研究にならない。結局それは実績にカウントされないという問題も出てきますので、この後、臨床研究中核病院の要件に関しましても、いろいろ御議論いただかねばならないところかと思います。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 楠岡先生、ちょっとだけコメントさせていただきますと、確かに橋渡しのほうは臨床研究はなくて治験の数になりますけれども、求められている数が全然中核病院の数より少ないです。ですから、そこは頑張ってやるということになりますけれども、治験の数をここまで頑張ってやらなければならない根本的な理由は、中核病院のほうにあるということで、その辺のところを先生、ほかの委員の方も含めて、もし少し誤解があれば訂正しておいていただければと思います。余計なことかもしれませんけれども、コメントです。
○楠岡部会長 先生のおっしゃるとおりで、ただ実際今、KPIをはるかに超えていっていますので、どうしても全体的にそちらへの流れはあろうかと思います。またこの辺りはいろいろ議論をしたいと思います。他にございますでしょうか。もしなければ次の議題に移ります。この臨床研究中核病院に関しての令和元年度、令和2年度の方針に関しては、ただいまの提案どおりに進めさせていただきたいと思いますので、御了承のほどよろしくお願いします。議題3は臨床研究法に関する検討についてです。これは事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 それでは、資料3について御説明します。資料の15ページからを御覧ください。臨床研究法ですけれども、まず背景として、法律の附則に見直しについての規定があります。法律の施行の状況、臨床研究を取り巻く状況の変化などを勘案して、施行後5年までに検討をし、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされています。
これについて今年度、令和2年度ですけれども、厚生労働科学特別研究を実施しています。研究目的を御覧ください。臨床研究法については、ここにありますように、日本医学連合会などから幾つか要望書を頂いています。また、現場の臨床研究を実施されている方々からも御指摘を頂いています。
この中では国際的な整合性であるとか、あるいは適応外・未承認の取扱いなどについて、臨床研究がなかなかやりにくくなっているといった御意見を頂いています。こういった中で、特別研究においては法改正の要否、あるいは運用上の改善事項について整理対応策の検討を行って、臨床研究部会に提供いただくことを目的に、今、検討を進めていただいていまして、年度末までとなっていますので、研究班としてはまだ検討されている途中ですが、この途中の検討状況について、まずは御紹介します。
課題として挙げられている論点、例としてありますが、今回、比較的大きな論点として挙げられている4点について御紹介します。研究班の中では、これ以外にも医療機器なども含め、幾つかの論点も並行して検討していただいていますので、また次回以降の臨床研究部会において、検討の内容などについて順次御紹介、審議をお願いしたいと思いますが、本日はこの4点になります。
まず1点目として、事務手続の負担の軽減。2点目として、がん、小児の分野で大きな問題となっている「適応外」の問題。3番目として、観察研究の位置付け。4番目として、国際的規制との整合性に必要な「スポンサー」概念の導入ということで、この4点について御紹介します。
本日の御検討はキックオフの位置付けとしていまして、今申し上げましたとおり、今後、研究班でお認めいただいた内容、あるいは事務局で検討した内容などを含め、次回以降、引き続き御検討いただきたいと考えています。
それでは、16ページから具体的な御説明をします。まず、主な論点の1つ目ということで、事務手続負担の軽減です。先に17ページを御覧ください。背景となる現在の臨床研究法の運用について御紹介します。実施計画の提出に係る事務手続ですが、まず左下、研究責任医師が実施計画、いわゆるプロトコールなどを作りますと、上にある②の認定臨床研究審査委員、CRBと略しますが、CRBで審議いただいて、その結果をもって厚生労働大臣に届け出るという手続になっています。
これは当初の計画を策定したときもそうですし、研究について変更が出た場合、その都度このフローを回す。CRBに審議を頂いた後、厚生労働大臣に届け出るというフローで進めています。16ページにお戻りください。背景にあります1つ目のポツが今申し上げた手続のフローです。このような形で毎回CRBの審議をお願いするということで、3ポツ目にもありますとおり、その度に費用も掛かりますし、時間も掛かるということがあります。
一方、実際の臨床研究の中では、研究の本質に関わらない軽微な変更というものもあり、法律上の立て付けも2つ目の矢印でありますように、軽微な変更ということで、審議までは必要がなく、事後的な届出を行えばよいというカテゴリーもありますが、この対象が、研究者の氏名の変更、住所変更のみということで、非常に限定的に運用されています。
一方、3点目にありますように、病院管理者の名前の変更であるとか、実際の研究の本質とは関わらないような変更が、実際の研究の中ではいろいろ起こってくるのですが、これが先ほど申し上げたように、全てCRBの審査、それから厚生労働大臣への届出というフローが必要となってくることがあって、研究の本質に関わらない手続については、例えば軽微な変更のほうに移すなどとして、大事なところはしっかり議論していただきつつ、本質に関わらないところは円滑に変更が行われるような手順の変更ができないか、という御指摘を頂いています。
また、現在jRCT、保健医療科学院に運営していただいている公開データベースがあって、こちらで臨床研究の中身を公表していますが、この公表事項と厚生労働大臣への届出事項が全く一致しています。実際に情報公開をすべき中身と、厚生労働大臣への届出をすべき事項というのは、自ずと区別がありますので、今、全く一致しているところについて、大臣への届出については、本当に必要なところに限るべきではないかといったことを議論していただいていて、下に研究班における議論の例がありますけれども、今申し上げたとおり、本質に関わらない部分については、軽微な変更の範囲を拡大するとか、あるいは届出事項と情報公表事項を分離してはどうかと。それから、押印の廃止などもあり、オンライン化が進んでいますので、現在、紙で届出を頂いていますが、これはオンラインの形で実施をできないかというような議論が進められています。
続いて、18ページを御覧ください。こちらも事務手続負担の軽減ですが、COI、利益相反の管理の手続部分を合理化できないかというものがあります。こちらについても19ページで、まず実際にどのような管理、手続になっているかを御覧ください。
中ほどに研究責任医師がありますけれども、まず、研究の実施に当たって、研究責任医師が利益相反管理基準を作成します。これに沿って各参加医師が基準への合致状況を報告するわけですが、左にあります所属機関、実施医療機関の長のほうで実際に医師が届け出た状況について、利益相反管理基準の確認、それから利益相反状況の事実確認を実施していただいて、それに基づく報告書を作成いただきます。この報告書を研究責任医師に渡して、研究責任医師から右にあるCRBに掛けて、基準と管理計画を審査していただくという中身になっています。
18ページにお戻りください。今申し上げたことが背景の1つ目に書いてある手続ですけれども、2ポツ目にありますように、必ずしも医療機関側が所属医師の全ての収入、例えば個人で受け取られている講演料など、設立主体によってはそういったところは医師に任せられていることもありますので、医療機関によっては実質的な確認が困難であったり、主体によって事実確認の程度が異なっているという指摘もありました。こういった中で利益相反の確認は非常に大事ですので、製薬企業などが公表している資金提供状況などを活用して、透明性のある形で合理的な確認の仕組みが構築できないかということで、研究班で御検討いただいているところです。
実際の例として3点ほどありますけれども、1つは、あくまで自己責任で管理していただいた上で、悪意のあるような虚偽報告があった場合、何らかペナルティーをかけることができるのか。あるいはCOIありの場合は確認がしやすいのですが、COIなしと報告があった場合、これも同じように所属医療機関で利益相反がないことを確認していますが、実際の実務手順で言いますと、ないことを確認するのに非常に手間が掛かるということで、そこについて何らか改善ができないかと。先ほど申し上げたように、透明性を高めた形で、研究者側の開示あるいは製薬企業側からの情報提供がありますので、こういったものがうまく活用できると、手続自体が少し軽減できるのではないかという議論をしていただいています。
続いて、20ページを御覧ください。こちらからは特定臨床研究の定義、範囲に係る課題について御紹介しています。背景にありますが、現在の臨床研究法においては、特定臨床研究に当たるものは、医薬品などについて、例えば用法・用量、効能・効果ということで承認事項があります。この承認事項と少しでも異なる場合、全て特定臨床研究に該当すると定義されています。実際は例えばの所にありますように、学会の診療ガイドラインに記載されている使用方法、それから保険診療で使用経験がある使用方法ということで、実際の医療で広く使われているようなもの、それから承認された用法・用量よりも少量投与する、いわゆる減量プロトコール、明らかに承認よりもリスクが低いもの、こういったものも定義上、一律に特定臨床研修の対象となっています。
実際にこのような形で、特定臨床研究になりますと、先ほどから申し上げたような様々な手続が義務化されているということがあり、3ポツにありますように、特にがんの領域であるとか小児の領域において、このような研究が特定臨床研究に当たるということで、医療上必要な臨床研究の実施であるとか、医療の向上が阻害されているというような御意見を頂いています。こういったところに対し、研究班で今御議論を頂いている中身ですけれども、今申し上げた一定の使用経験であるとか、あるいは明らかにリスクが低いようなものをうまく切り出して、こういったものを特定臨床研究から除外してはどうかということで、議論を頂いています。
具体的に1つ例という形にはなりますが、効能・効果が同じで再審査期間、医薬品によって8年から10年ありますが、これが終わると再審査報告書というものが出されて一定の評価がありますが、こういったものが終わった医薬品は対象外としてはどうか。あるいは、保険診療で使用経験があるようなものを除外してはどうか、というような御意見があり、どういう形で一般にもう既に使われているもの、リスクが低いものというのを切り出すことができるか、という観点で御議論を頂いています。
続いて21ページを御覧ください。こちらは特定ではなくて臨床研究そのものの定義でして、ここにおける観察研究の取扱いをどうするかという点についての論点です。背景にありますが、法の対象としての臨床研究については、いわゆる観察研究の定義として、この括弧にくくられた部分の研究を除外するとなっていて、具体的に申し上げますと、研究の目的で検査、投薬その他の診断又は治療のための医療行為の有無及び程度を制御することなく、患者のために最も適切な医療を提供した結果としての診療情報又は試料を利用する研究という定義にしまして、これを観察研究として除外していますが、実際の現場ではちょっと混乱が起きているということで、この下の表を御覧ください。
この定義については、Q&Aなどについて、運用も含めて考え方を示していますが、まず1番目、医薬品等の使用の所ですけれども、あらかじめ作成した研究計画に従って、患者に対し医薬品等を使用するということで、これはいわゆる介入を含む臨床試験、クリニカルトライアルということになりますが、これについては明確に対象になっています。一方、3番目で、個々の患者の病状に応じて、当該患者にとって適切な医療として医薬品等を使用する。なお、検査としても診療に必要な検査のみで、追加の検査などはなされない、いわゆる医療を行った後にその結果を収集するような観察研究については、明確に対象外とされています。
問題となってくるのがこの2番でして、医薬品そのものには介入を伴わず、それぞれ適切な医療として実施されるわけですが、これに研究目的での検査、侵襲が一部伴ってくるものがあります。このうち患者への傷害・負担の小さいものについては対象外、それ以外については対象と現在整理をしていますが、臨床研究法の対象になるか否か、右の所の赤線がありますけれども、これは一つ一つの研究についてはCRB、認定審査委員会で御判断いただいていますが、非常に厳しく御判断される所ですと、侵襲の小さい検査であっても最適な医療とまでは言えないということで、対象となってしまっているケースがあります。
一方で緑の所にありますように、そもそも臨床研究法については観察研究が除外されているはずではないかということで、対象は1番のみ。2番、3番については対象外とすべきではないかという議論も頂いています。そういった中で、赤くなっている2番の上のカラム、対象かどうか、対象外とすべきか、こういったところについて現在、議論を頂いているところです。
続いて23ページを御覧ください。これが4つ目、最後の論点です。国際整合性の観点から御指摘を頂いている点でして、課題で挙げられている論点にありますように、ICH-GCP、これは日本では治験が対象となっていますけれども、欧米では治験にかかわらず、臨床試験一般に考え方が使われているものになると思いますが、この中にスポンサーという概念があり、こういったものを導入すべきかどうかという点が挙げられています。
これは右下の図を御覧ください。現在、臨床研究法では、多施設で試験を実施する場合でも、それぞれの実施をする医療機関が実施責任者ということで、ここにありますように、モニタリングであるとか監査、疾病等報告などについて、それぞれの施設が責任を持って実施をしているという形になります。
一方でICH-GCPですけれども、こちらではスポンサー、この背景の2つ目の矢印にありますように、試験を責任を持って計画運営をする方という位置付けになりますが、こういった方々が試験全般を管理するということで、今申し上げたモニタリング、監査それから疾病等報告などについては一括して実施をする。各施設についてはinvestigator、実際の研究そのものに責任を負うということで、役割を分担して実施しているという形で、試験の実施体制が構築されています。日本が国際共同研究に参画しようとすると、この実施体制の差が障壁になって参加しづらいという指摘があって、日本でもスポンサーという概念を導入すべきではないかという御指摘を頂いています。
また、3ポツ目にありますように、現在、臨床研究を実施する方としては自然人たる医師となっていますが、実際には学会などを含めた法人としても実施できるようにできないかというようなことや、あるいは今、製造業者は臨床研究法に入ってきませんけれども、再審査期間が終了した後の企業が実施される試験の位置付けとして、薬機法あるいは臨床試験法のどちらかに位置付けて、きちんと規制に沿って実施をすべきではないかという御指摘もあります。
こういった中で国際整合性に対応するスポンサー概念を導入してはどうか。これは体制を変える非常に大きな話になろうかと思いますが、こういったところが大きな論点として現在、議論をされています。本日は、これら論点の御紹介となっていますけれども、こういった各論点、それから本日の論点として挙げられていなかった所も含めて、臨床研究法に対しての御意見を賜ればと思います。どうぞよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの説明にもありましたように、本日はキックオフという位置付けですので、今、論点として挙がっていることそれぞれについてもいろいろ御意見があろうかと思います。それらについては今後、臨床研究法の改正作業の中でまた御議論いただくことになると思います。本日は専ら論点として取り上げるべきもの、ここに挙げられたもの以外、あるいはこういう具体的な問題があるということについての御指摘を頂ければと思っております。
本日、4つの分野に関しての事例が挙げられておりますが、その順番で議論いただいて、その後まとめて御意見を頂きたいと思っております。まず最初は、①の事務手続に関する部分について御意見がありましたらお願いしたいと思います。山口委員、どうぞ。
○山口委員 特に論点に意見がある場合でもお伝えしてよろしいでしょうか。
○楠岡部会長 どうぞ。
○山口委員 私もある大学病院のCRBの委員を務めていること、それから今回の臨床研究法の見直しということからしますと、非常に大事な問題だと思い、いろいろ現場の研究者の方たちの御意見も含めて、この間、いろいろ聞いてまいりました。特に論点①について、私も見ていて、非常に事務手続が煩雑であると思っています。ちょっとした変更でもまた開かないといけないということで、非常に短い時間のためにCRBが招集されるというようなことも経験しております。そういうことからしますと、煩雑さをできるだけ解消して、軽微な変更の範囲は拡大すべきではないかと思います。特にオンライン化をこれから進めていくということからすると、jRCTにWeb登録した後に、わざわざそれを印刷して、捺印して、提出するというのは、非常に無駄ではないかと思いますので、そういう二度手間もなくしていく必要があるのかなと思います。
COIは、本人が確認したものを確認する手立てがない以上は、虚偽申告をした場合の本人の責任を重くすることでしか対応の方法はないのではないかと思っていますが、一方で製薬企業等で公開された資金提供情報が活用可能な場合、実際に医療機関の確認が不要にできることが望ましいのではないかと思います。
今日、近藤委員が製薬協から出ておられると思いますが、1つ近藤委員に質問させていただきたいのが、折角、製薬企業で今、情報公開ということをされているので、いろいろな製薬企業で公開された研究者のデータベースみたいなものを製薬協で構築するようなことが有効ではないかと思うのですが、そういった動きがあるのかどうかということと、もしそういったことをやるとしたら、実現の可能性はどうなのかということを是非お聞きしたいと思っております。以上です。
○楠岡部会長 近藤委員、お答えできる範囲でお願いします。
○近藤委員 今、山口委員からありましたように、確かに製薬企業で公開している情報を活用いただくというのは、方法としては非常に良い方法だと考えております。ただ、製薬協の中で、全てのデータを一元化でまとめてデータベース化するという形で現在、取り組まれているかということで言いますと、まだ個別の会社単位で対応いただいている部分をとりまとめているというような部分になってくるかと存じます。ただ、その取組というのは非常に素晴らしいことではないかと考えるとともに、懸念点としてありますのは、製薬協に加盟している会社が全ての企業ではないという点、それから製薬会社から公開する情報には当然ながらタイムラグが出てきてしまうという点については、十分考慮しないといけないのではないかと考えております。頂いた御意見を参考にして、製薬協の中でも検討させていただきたいと存じます。以上です。
○山口委員 ありがとうございます。それこそ製薬協のお仕事ではないかと思いますので、前向きに取り組んでいただきたいということと、そういう方向性になれば、製薬協に加入しないといけないという1つのインセンティブになるのではないかと思いますので、是非御検討いただいて、前向きに進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 それでは次、佐藤典宏委員、お願いします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。この点については非常に重要ですが、各論になると、どこがどうという、念のためという思考がどうしても働くので、各論はどうしても考えなくてはならないですが、臨床試験、臨床研究ですから臨床研究のデータも含めた信頼性の問題と被験者保護というのが2つの大事なポイントになりますので、そういったことを損なわない程度に積極的に簡略化するという基本的な姿勢ですよね。念のため、ここではちょっと大変だからここを抜こうということではなくて、ポリシーをしっかり持って、抜けるものはしっかり抜くという考え方で行かないと、何となくまたでこぼこしてしまうような考えになると思います。その辺、簡略化のポリシーをしっかり持ったほうがよろしいかなと感じています。
COIの件は山口委員もおっしゃっていましたが、もともとが自己申告なので、それに上乗せしていろいろ中途半端な確認をしても意味がかなり薄いというのは、個人的には非常に賛同できますし、意味のないことをやっているかなという気はします。ただ、なかなか代替方法が難しい。今の製薬協の件もそうですけれども、そこをどう考えるかというのは難しいので、臨床研究法のどこを変えるかというよりも、根本的にCOIがどうあるべきかという、その辺の議論をしっかりしていかないと。骨抜きになってしまうと、また何か中途半端なことをしそうなので、全体を通すと、しっかりポリシーを持ってやっていかないと、またでこぼこした改正になってしまいますから、そういった観点が重要ではないかと思って考えています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。引き続き藤原委員、お願いします。
○藤原委員 まず全体的な所に関して、この論点以外で将来的にどうするかも含めて事務局に確認しておきたいと思います。臨床研究法は法律なので、実際の法律の本体に関する意見というのは、恐らく国会で議論されることになると思います。臨床研究部会としては、法律本体でも問題があるようなことがあれば一応、論点として出しておく、最終的には国会で議論していただくという理解でいいかを確認したいのが1点です。
全体的なものとしてあと他に2つあり、皆様方に認識していただきたいのは、我が国だけが医療機器とか、要するに医薬品以外で非常に厳しい規制をしているのは我が国だけだという現状があることを皆さんに知っておいていただきたい。例えばEUのClinical Trial Regulationなどについても、インターベンションをするような、医薬品の臨床試験に限って厳しく規制しているだけで、医療機器に関してはルーズ。ルーズと言ってはおかしいですけれども、そんなに規制はしていませんし、米国でも同じような状況だと思います。その辺り、臨床研究法を次に見直すときに、日本だけ特殊に厳しく全体をやるのかということは議論してほしいなと思います。
これは研究班で議論されているかもしれませんけれども、次回の法律改正のときには、疾病等報告という名前は是非やめていただきたい。こんな名前は英訳しても誰にも通じませんので、有害事象とか、全世界で共通する用語に変更していただきたいというのが、全体的なものに関するコメントです。
個別的には先ほどからいろいろお話になっているCOIで、論文の投稿の際にはICMJEのCOIのディスクロージャーフォームがあって、それに書けば大体どこの雑誌も受け付けてくれるような状況に今なりつつあります。このCOIに関しては日本医学会とも連携しながら、統一フォームにして、統一的なところで管理するのが、よほど楽かなと思います。その際には、製薬協もそうかもしれませんけれども、つい先日も三重大学で医療機関をめぐる金の不透明な取引がありましたように、医療機器業界はいろいろな問題点がまだ残っていると思います。例えばカテを入れるときの立会いとか、様々な悪い習慣もまだ残っていると思いますので、製薬協さんだけでなく医機連さんにもしっかり見ておいていただきたいなということがあります。
業界のホームページなどを見ると、COIの開示のコーナーは、ホームページのものすごく深い所とか見にくい所にこそっと載せているだけのことが多いので、それは業界としてすぐアクセスできるような所にアップするとか、企業の公開の仕方は同一のフォームで公開するという努力は要るかなと思います。企業におんぶに抱っこではいけないので、保健医療科学院や厚生労働省かもしれませんけれども、国が一括して管理するほうがより楽かもしれないでしょう。あるいは日本医学会連合さん、我々、学会などの参加のときにも必ずCOIの提出を求められますので、日本医学会で統一的にCOIを管理するような方策も議論されてはどうかなと思います。
論点②の適応外ですけれども、是非改定していただきたいのは。
○楠岡部会長 先生、適応外は後ほど議論したいので。
○藤原委員 はい。
○楠岡部会長 事務局から法の立て付けの点に関して。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございました。説明がわかりにくく申し訳なかったのですが、先生御指摘のように、まず実質的な中身をどういう形にしようかというところは、この臨床研究部会で御議論をお願いしたいと思います。その中には運用で解決できるところもございましょうし、法律を変えないといけないところもあるかと思います。それぞれについてどういうような方向で変えていくといいのか、その辺りを次回以降、順次御議論いただきたいと思います。
その上で、御指摘を頂いたように、法改正が必要なところは、私どもで国会にお諮りをするという形になりますが、そこに掛かっていく前の実際にどういう形、どういう方向で持っていくかについては是非、この部会で御議論をお願いしたいと考えております。
それから、御指摘を頂きました医療機器、今回の論点には挙げておりませんけれども、機器特有の改良・改善であったり、有効性・安全性というよりは、例えば使い勝手を評価するような試験もありますので、またこれも次回以降、論点として御議論を頂きたいと考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。花井委員、お願いします。
○花井委員 各論はいろいろ意見があるのですが、今回、総論として1つ申し上げたいことは、基本的に研究班で一応、現行の立て付けの中で運用で見直せる部分については、ためにするような無駄な手続をどうするのかということについては、割とリーズナブルに議論していただいていると思っています。それはやはり進めるべきで、先ほどあった大臣への報告と情報を紙ベースでやるのか、ネットで出せばいいではないかという議論も含めて、やっていただいたらいいのではないかと思っています。それは研究班として、リーズナブルに議論が進んでいるなと認識しています。
立て付け全体の話、藤原委員からも意見が出ていましたけれども、基本的にこの法律の出てきた経緯というのが御案内のとおり、もともと日本の臨床研究で何を守るかというと、1つは被験者の保護であって、もう1つは研究結果の信頼性がちゃんとされる、この2点が大きな柱だったと。
それが、いわゆるバルサルタンの件で大きく揺らいだことによって、それまでも全体として網を掛ける必要があるかなという議論は出ていたのですが、余り網を掛けると研究の自由が損なわれるのではないかという議論との兼ね合いでなかなか進まなかったのが、それで一気に、何かしなきゃとなったのが、この法律と承知しています。
なので、全体として、この法律は臨床研究全体を見ようよということだったのですが、全部をガチガチにするのは問題だから最低限どこなのという議論が次にあって、そのときにいわゆるバルサルタンの事件があったので、メーカーからのファンディングがあった部分についてはそうしよう。もう1つ、オフラベルはリスクがより高いということで、そこが決まったという経緯なので、そこはやはり歴史的背景として決まったところなので、粗々やったところもあるので、そこを見直すというのはやぶさかではないだろうと思います。
ただし、1つだけ、法律の本体についてちょっと議論するのであれば、留意する点があると思います。研究に対する法統制を掛けるということで国際比較をするのでしょうが、実は被験者保護とかデータの信頼性はそれだけで保たれているわけではないのです、ほかの国では。具体的に言うと、人に対する統制システムというものが、やはりあると思います。例えば医師免許とか病院の基準とか。そういったものが国際的に違うので、日本においてあのようなことが生じた原因は、単純に規制が緩いからという問題ではないというところを分析すると、やはり日本には日本の事情というのがあるわけです。例えば具体的な大学名は出しませんが、ある臨床研究について不正があったからといって、内部の人がこれはいけないではないかと、プロフェッショナルオートノミーが働こうとしたら、逆にその人がキャリアを失っていく。
それから、ある大学で、明らかに医療現場で不正が行われている、みんな見ているのに、誰も指摘しない。そういうことは多分、アメリカ辺りだとないのではないか。プロフェッショナルオートノミーは日本はないと言うと怒られてしまうからあれなのですが、やはりそういうところや病院の医療の責任体制とか、いろいろなことに差がある。やはり欧米のシステム、薬機システムや研究に対する規制システムだけを比較するということでやってしまうと、本当の意味での被験者保護やデータ信頼性が失われることにもなりかねない。もしそういう議論をするのであれば、事務局としてその辺の国際的差異も十分俎上に上げていただきたいと思います。総論としては以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。まだ他に論点がございますので、渡辺弘司委員、手短にお願いします。
○渡辺委員 意見というよりもお願いです。研究班で提案された論点というのが唐突に出てきているのですが、研究班で行っている議論の内容や議事録のようなものを提示いただければ経過が分かって有り難いのですが、そのようなことは不可能なのですか。中間報告も出ていないと思うのですが、研究班の議事録はないのですか。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 すみません、今日は議論の状況の御報告ということで、このような形にさせていただきました。今、研究班でも中間報告などを御検討いただいていると聞いておりますので、次回以降、まとまったものがございましたら、またそういったものをお示ししたいと考えております。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。それでは、次に適応外へ移りたいと思います。藤原委員、どうぞ。藤原委員、適応外の先ほどの続きをお願いします。
○藤原委員 この研究班の議論の論点が非常に大事でして、保険診療では、支払基金の審査情報提供委員会の審査提供事例として保険では面倒をみられているのに、薬事法の添付文書での記載に引きずられて適応外の範囲が広がっているというのは、現場で臨床研究をやる方々には大きな障壁になっているのは間違いないので、その辺は今回、これは省令改正が多分できると思うので、臨んでいただきたい。
医療機器に関しては、後からまたお話されると先ほど事務局がおっしゃっていましたのでそこに譲りますが、医療機器の適応外の判断というのは非常に難しい。工夫をしたりする機器の開発の問題というのは非常に大きいので、そこはまた別途議論いただければと思います。
○楠岡部会長 引き続き山口委員、お願いします。
○山口委員 まず、先ほど聞けばよかったのですけれども、事務局から、今日は研究班の議題の紹介であって、本格的な議論はこれからだというお話があったのですけれども、今日、こうやって意見を皆さんが述べていることは、研究班にフィードバックされて、何か議論に反映されるのかどうかということを、まず前提として後からお答えいただきたいと思います。
この適応外のことですが、用法・用量が微妙に違っていたりとか、ガイドラインで推奨されていても実際にちょっと違うだけで適応外になってしまうとか、臨床上一般的なのにということまで含まれていて、それがもし先進医療Bに該当しない研究であると、混合診療の問題と抵触するということもあって、研究自体が後退するようなことが生じていると聞き及んでいます。だからといって、適応外の範囲を見直して緩めるだけでは、真の問題解決にはならないのではないかと思います。例えば、適応外の医薬品を使った特定臨床研究をして、ある程度きちんと根拠あるものを成果として出した場合には、添付文書の改訂を行った上で、国の承認下に置く必要があるのではないかと思います。
実際に今後、臨床研究法の見直しをしていくということですけれども、2017年にこの法律が成立したときの附帯決議の中で、衆参共通で出された「臨床研究で得られた情報、医薬品・医療機器等の承認申請に係る資料として利活用できる仕組みについて速やかに検討すること」という附帯決議があったかと思います。この臨床研究法の問題の1つとして、ほかの法律との連携がないということが、よく挙げられていると思います。
この附帯決議の今申し上げた内容について、動きというのが見られないなと思っているのですけれども、実際に何か変えずに、例えばこの特定臨床研究で成果を出したものが、薬機法で実際に承認されるということが、既に方法があるから動いていないのか、それとも本当に動きがないのかということを、もし今の現状で分かっていることがあれば教えていただきたいという、2つ質問させていただきたいと思います。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。まず1点目、御指摘いただきましたように、本日賜った議論については、研究班のほうにもフィードバックをさせていただきたいと思います。その上で、また論点など、私どもとしても今日頂いたことを含めて整理をした上で、次回以降、一つ一つについて、また方向性も含めて御議論をお願いしたいと思います。研究班のほうでも、頂いたものを介して、それも含めて議論を進めていただければと考えております。
それから2つ目、附帯決議についての御指摘がありました。現在、御指摘のように医薬品の承認申請を行うためには、治験を実施することが必要となっており、まだ附帯決議について明示的な対応が取られていないところではあります。ここについては、私どもで医薬担当局と相談をこれからすることを考えているところでして、今、医薬局でも期限条件付承認や未承認会議の公知申請ということで、特に難病であるとか、なかなか治験の実施が難しい分野について、広く情報を取って、市販後にも情報を取るという形で、承認審査の在り方などが変わってきておりますので、そういった中で一定の、今御指摘のあった信頼性なども含めて、担保をされている臨床研究がどのように使えるのか、この辺りは、今申し上げたように、担当局と相談をしながら、またこの部会でも状況について御紹介し、御意見を賜ればと思います。よろしくお願いします。
○山口委員 もし法改正しなくてもそういうことができるのであれば、次回以降、是非情報として御紹介いただければと思います。
○楠岡部会長 はい、次、お願いします。渡部歌織委員。
○渡部委員 渡部です。附帯決議に関しては、COVID-19の臨床試験データに関しては、確か公的基金を使ったものであれば、承認申請にも使えるという告知が出てますので、小児や難病に関しても、そういったことを議論する必要があるのかなと感じております。また、見直しをすることで試験の本数自体が減ってしまうことになりますと、結局、CRBの要件で何本以上とか、そういうのもありますので、小児や難病を得意としているようなCRBの要件も見直さないといけないのかなと思いましたので、ちょっと一言述べさせていただきました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、時間の関係もありますので、3番目の観察研究の位置付けに関しまして、近藤委員、お願いします。
○近藤委員 近藤です。私自身、この観察研究の位置付けについて整理するのは非常に大切なことだと考えておりますけれども、先ほども議論されていましたように、2の下記以外、侵襲の程度によって、患者に与えるリスクも異なりますので、そちらについては十分考慮しながら慎重に検討いただく必要性があるのではないかと考えます。以上です。
○楠岡部会長 次に、山口委員、その後に佐藤典宏委員、お願いします。
○山口委員 何度もありがとうございます。この論点③については、いろいろ調べてみると、例えば同じ医薬品を使ったり、同じ処置を行ったとしても、どのタイミングで投薬や処置を行うのか、そのタイミングによって介入研究になり、観察研究にもなり得るということで、例えば研究開始前に投薬や処置を行っていれば介入ですし、投薬や処置後に研究が開始されれば観察研究と位置付けられるので、今回事務局で共有で出してもらっている2の例示の、個々の患者の病状に応じて当該患者に適切な医療として、医薬品等使用という内容自体がもう観察研究前提なので、そうなってくると、全て臨床研究法の対象外になると考えられてしまうのではないかと思いましたので、その辺りをちょっと事務局に確認です。
ただ、この問題の根本的なところが、臨床研究法は介入研究を対象にしていますけれども、一般的に臨床研究というと、介入だけではなくて観察研究も含めて臨床研究と呼ばれているので、臨床研究法という名前になったことで非常に現場が混乱しているのではないかと感じます。そこに大きな問題があるのではないでしょうか。だからこそ先ほど御説明があったように、CRBによっては判断が異なってくる。これを介入と見なすのか、観察研究と見なすのかという根本的な問題があるのではないかと思います。
この根本的な問題をもし解決するとすれば、例えば介入研究のみを対象にするのだったら、臨床試験法という名前にしないと混乱が続くのではないかと思うわけですけれども、一旦成立した法律の名前を変更すること自体がかなり困難を来すと私は認識しているので、その名称を変えるに相当するような何らかの対策を講じる必要が、根本的な問題解決には必要ではないかと思っております。そのことについても何か、研究班でお話が出てきているようなことがあれば、是非、事務局から教えていただきたいと思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。まず、最初に御質問頂いたところかと思います。今、幾つかポリシーのお話も頂いていたかと思いますけれども、観察研究のうちでも侵襲が非常に大きいもの、患者のリスクが大きいものについては、患者の保護の観点から現状では対象としております。その上で、今御指摘のあった法律の名称とかそういったところ、確かに今の段階で研究班、事務局も含めてこれをどのような範囲にすべきかについて明示的な方針はありませんで、今日頂いたことも含めて御意見を賜りながら決めていくことになりますし、御指摘を頂いたように法律名は大きな問題ですので、ここをどのように整理して、それを、法律を改正するとして、どのような形で反映をしていくのか。単に制度が変わるだけではなくて、分かりやすい形でお示しできるようなところについて今後御議論を賜ればと思います。
○山口委員 今御説明があったように、侵襲が大きいとか小さいとかいうのは、CRBによって非常に判断が変わってくるところだと思うのです。その辺りにやはり問題があるのではないかと思っています。
○楠岡部会長 臨床研究に関する名称の問題も、これは臨床研究に関する倫理指針が出たときに、あれは臨床試験の倫理指針であって、臨床研究の倫理指針ではないという意見がありました。けれども、疫学研究との対比で臨床研究のままできて、現状、臨床研究法につながっているという状況です。混乱はもう既に十何年前からスタートしているので、この辺りのところはまたちょっと1回整理はする必要があるのではないかと思います。次に、佐藤典宏委員、お願いします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。正に私も、話したいところは今、山口委員がおっしゃったようなところと、楠岡先生がおっしゃった歴史的背景も含めてになろうかと思います。御存じのとおり、次の議題で国際整合性の話も出てきますけれども、そもそもこの法律は、Clinical Trial Act、日本語に直すと臨床試験法そのものですから、国際的にも臨床研究法という言葉は日本語と英語が違ったりとか、混乱のもとはそこにあるということは、楠岡先生のおっしゃるとおりです。それで、この研究班が挙げてくださった論点も観察研究の位置付けについてということで、観察研究の定義として書かれている、前半部分と後半部分がちょっと問題なのだろうと思います。前半部分の、医療行為の有無の程度を制御することなくというのはみんな理解できますけれども、患者のための最適な医療うんぬんという辺りの解釈がややこしくなってくるということだと思っております。
ただ、先ほどから議論に出ていますように、私はこの観察研究の位置付けをうんぬんよりも、そもそもこの法律の適用をしっかり議論して、介入研究であることを明確にして、インターベンションの定義をしっかりさせることによって、この法律の適用範囲はここですよということだと思います。
それで、侵襲の大きなものはうんぬんという話がありますけれども、山口委員がおっしゃった侵襲の程度が強いか小さいかの判断は難しいこともありますけれども、一方、倫理指針で介入と侵襲の定義をしっかりして区別して、なおかつ軽微の定義もしっかりして、いくらしっかり書いても個別の判断は難しいのですが、そこでしっかりやられているところがあるのに、臨床研究法でまたその介入と侵襲がごっちゃになってきているという印象を私としては持っています。
ですから、臨床研究法の適用に関してはインターベンション一本で行ってよろしくて、侵襲は、介入なし侵襲ありについては、倫理指針で、実はモニタリングをしなくてはならないですとか、監査も必要によってはしなくてはならないとか、同意を取らなくてはならないとか、実際の運用上は臨床研究法と同じものが求められていて、ある程度の担保はされていると。もちろんその倫理指針ですから、国が関与できないとか、コントロールできないとか、いろいろな付随的な問題、周辺の問題はあろうかと思いますけれども、倫理指針の適用下でもコントロールできることはできるということになりますので、やはり臨床研究法の適用範囲を介入、インターベンションに絞ってきちんと明確にすることが、研究者の混乱を防ぐことにもなりますし、国際的にも日本のレギュレーションはこうだということも説明できて、国際共同研究にもつながっていくと思います。多少ドラスティックになるかもしれませんけれども、定義、適用範囲からしっかり議論したほうがよろしいのではないかと考えております。以上です。
○楠岡部会長 次に、掛江委員、お願いします。
○掛江委員 私の疑問点というか、少し検討をお願いしたい点は、論点③だけではなくて、論点②にも関係するのですけれども、この臨床研究法からの除外を検討するのが正しいのか、除外すれば全てが解決するという話なのか、若しくは、この法律の中でリスクであるとかいろいろな条件を勘案して部分的に規制を緩和することを検討するべきものなのか。ちょっとその辺りがよく分からないというか、臨床研究法の対象から除外することが前提でいろいろ検討が進む印象を受けてしまっています。その辺りを少し丁寧に、厳し過ぎるといわれる臨床研究法が、何に対して、どう厳し過ぎるのか、適切な規制の在り方はどういうものなのかという辺りを、少し具体的に示して検討していただけると非常に有り難いと思います。
また、事務局に質問ですけれども、今後、医学系指針とこの臨床研究法を寄せていくような考えがあるのかどうか、臨床研究法と指針、この2つの規制枠組みがある状態が最終形なのか。細かく縦割りし、治験もまた別規制ですし、日本のように細かく研究の種類によって規制枠組みが違うという状況は、素人目にも非常に複雑だと思っているのですけれども、今後、もし大きな議論をこの研究班ですることが可能であれば、やはり臨床研究の全体的な、適正な規制の在り方も少し御検討していただけると有り難いと思います。
かつ、この臨床研究法自体は、被験者保護だけではなく、もちろん被験者保護は最大の課題というか、重要な論点ですけれども、研究不正の防止という点もこの法律の重要課題であるということで、議論がいつも具体的に言語化されていない、いろいろなものが、先生方の認識というか、御発言の中にも含まれている感じがして、素人目にちょっと、正確に先生方の御発言を理解しているかどうかも不安になるような部分があります。具体的にどういう事例で、どういうところがどう困っていて、そこをどう改善することが提案されているのかというようなことを示していただけると非常に有り難いと思っています。
○楠岡部会長 それでは指針との関連について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 ありがとうございます。先ほど法律の除外の話や要件の緩和がありましたけれども、まず、研究被験者保護あるいは信頼性の確保と直接関係ないような煩雑な規制部分はもちろん軽減していく必要があろうかと思っております。その上で種々御意見を頂いております範囲についても、法律の定義、国際整合性、様々な観点から、どのようにくくるのが適切なのか、これは今後の議論ということで、少し縦軸と横軸が交錯しているようなところがありますが、今後その辺り少し整理をした上で、また御議論をお願いできればと思います。
御指摘を頂いた指針と法律ですが、やはり法律となりますと、必要に応じて罰則もかかりますし、義務の程度としては非常に強くなります。そういったものとガイドライン、指針の形でそれぞれ強制力が違うようなところもあって、先ほども法律の中でどこをカバーするのかという議論があったという御紹介も頂きましたけれども、正にきちんと、罰則も含めて手当をする部分、それからガイドラインという形で広くお示しする部分が出てこようかと思います。ただ、先ほど佐藤先生からも御指摘を頂いたように、具体的な中身について相当重複、中身的に重複というか、類似しているところがありますので、それがそれぞれの法律の指針で非常に異なっているということになりますと混乱のもとになりますので、この辺りは一度整理をして、必要に応じてそこの定義なり程度が同じような形に見えるようにというところは大事な御指摘として、今日承りました。なかなかきちんと整理し切れていないところがあると思いますので、その辺りも視野に入れて、全体を見たときに大きな絵として余り齟齬のないような形で、どこまでできるかをまた御相談してまいりたいと思います。
○楠岡部会長 時間が迫ってしまいましたので、次に移りたいと思います。4番目のスポンサーですが。
○新谷委員 すみません、発言よろしいですか。時間もありますので、議論はこれからということで、1点だけお願いしたいのですけれども。国際的な整合性というお話があったのですが、アメリカでは、どちらかと言いますと、侵襲があるかないかというところで、やはり線引きがされているというような、私の経験を踏まえて感じております。アメリカではClinical Trial Actというような、類似な、同じようなものはないと思いますので、直接比較はできないのですけれども、侵襲がある研究から独立のデータセーフティモニタリングボードを設定して、かなり密にモニタリングをして研究はやるべきだという考え方でやっていましたので、その辺の線引きというのは、軽微でない侵襲があるかどうか、人に対してリスクがあるかどうかというところで線引きをされているような気がします。ですので、余りClinical Trial Actという言葉に引っ張られてインターベンションだけにするべきだというような議論は、もう少し慎重に今後議論いただきたいと思いました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、スポンサーのところです。余り時間もございませんので、ここは一番議論の出るところかと思いますが、5分間という時間に絞って御意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか、お願いします。佐藤先生、お願いします。
○佐藤(典)委員 何度もすみません。スポンサーという概念もそうですけれども、ここでもちょっと書かれていますが、今の臨床研究法の運用で非常に気になるのが、それぞれ施設の研究責任医師がいて、その中で代表を選ぶ形になっていますけれども、本当にその絵にありますとおり、施設の研究責任医師の判断でいろいろなことが報告したりされなかったりとか、クオリティが変わったりするので、中央としてのきちんとした管理をするという視点で、ここら辺のところを議論していくことも大事かなと思っています。スポンサーという言葉だけではなくて、その辺の議論が大事なのかなと思っています。以上です。
○楠岡部会長 他にございますでしょうか。藤原先生、よろしいですか。
○藤原委員 これは前回のというか、昔から倫理指針でも何度も何度も出てきては消えていく話題なので、病院長の先生方、医療機関の長の先生方からすると、自分たちの傘下の臨床研究をきちんと把握しておきたいというのと、今回の臨床研究法というのは、医療機関の長へは後から報告する立て付になっていたりとか、ここは丁寧に議論していかないと、病院長の先生方は、このスポンサーということで、一貫しての抵抗感は多いかなと思いますが、今後の議論でもう一度考え直してみます。
○楠岡部会長 他にございませんか。よろしいでしょうか。それでは、この臨床研究法に関する検討について、ただいま頂きました議論をもう一度整理し、また研究班へのフィードバック並びに研究班からの中間報告等を踏まえて、今後また検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。議題4、臨床研究法における疾病等報告について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 資料4について御説明いたします。25ページを御覧ください。臨床研究法第15条の1の規定により、定期的に特定臨床研究で報告をされた疾病等について、この部会に御報告するものです。なお、2ポツにありますように、報告に当たっては、ものによってはCRBから、非常に臨床研究への重大な影響があるものとして、例えば臨床研究を中止すべきなどの特記事項が付けられるようになっておりますけれども、この期間に報告をされたものについては、そのような特記事項はありませんでした。
中身については27ページを御覧ください。この期間に、ここに御覧いただいております210件の報告がありました。なお、このそれぞれは、報告直後に楠岡先生、藤原先生にも内容の御確認を頂き、それぞれの研究に対して特段の措置は必要ないとされたものです。ちなみに1件、2番の死亡されたという転帰のものがありますが、こちらはこの研究にあるように、再発膠芽腫に対してベバシズマブを投与されたということで、この方は7か月程度投与されたようですが、死亡して見つかったということで、心停止となっていますが、この方は状況が不明であったということです。その後、死因が探索などもされておりませんが、ベバシズマブで報告をされている副作用の状況などから、報告には至ったものの、特に臨床研究に何か影響があるものとは判断されておりません。他についても同様です。こちらについては以上です。
○楠岡部会長 ただいまの事務局からの説明に関して、何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がないようでしたら、この報告は御了承頂いたということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございました。本日の議題は以上ですが、それ以外、事務局から何かございますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 最後ですが、1つ御紹介いたします。49ページ、参考資料2です。毎回、jRCTの臨床研究などの登録の状況についてお示ししております。今回、各期間に分けて登録状況を御報告しております。特定臨床研究について31年からの1年間と、令和2年からということで、数は減っておりますが、これは12月1日時点のもので、またその後も増えている状況です。それから、治験について令和2年からの所が非常に多くなっておりますが、これは※の2番にあるように、医薬局で今後、新規に開始する治験については9月1日以降、jRCTに統一をされて、ここに集中的に登録がきておりますので、数が多くなっております。こちらについては、今後、定期的に状況の御報告をさせていただければというものです。以上です。
○楠岡部会長 これに関しまして何か御意見はございますか。コロナの影響で、新規の臨床研究の開始が難しくなっているという状況とは思いますが、現状、またこの数字では何ともまだ判断しにくい状況ですので、今後の数字の変化を見守っていきたいと思います。よろしくお願いします。それ以外に事務局からございますか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長補佐 次回の開催については改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上となります。
○楠岡部会長 先生方の御協力を頂き、時間内に終わることができました。まだ若干時間が残っていますが、臨床研究法に関しまして、何か言い残したことがあるという委員がいらっしゃいましたら手を挙げていただければと思いますが、よろしゅうございますか。また次回、引き続き検討になると思いますので、何か御意見がありましたら事務局にメール等でお願いします。
○花井委員 花井です、よろしいですか。先ほど掛井先生がおっしゃったことと関係があるのですが、結局、臨床研究法は、別に特定ではなくても、これを守るほうが望ましいという努力義務が掛かっているのですよね。指針のほうとか、どちらか選べるようになるけれども、実務としてはCRBに掛けないほうがいいから、通りやすいほうに行くみたいな議論になっていて、そもそも倫理審査委員会のリソース配分というか、質の向上と、どれだけの数がどれだけの質を保ったらいいかという政策誘導という目的があったと思うのです。そこの関連で、普通の倫理委員会とCRBの稼動のバランスで、もし最終的に統合されるのであれば、別にCRBも全部審査できるわけだから、どういう審査委員会の配分が政策誘導としてうまくいっているのか、今はちょっと増え過ぎている割に質がどうかとか、そういう観点があると思うので、そういう情報もここの議論のために、事務局として用意していただいてもらうと助かるなと思いました。以上です。
○楠岡部会長 臨床研究法の施行前に、主立った臨床研究を積極的に行っている大学とか大規模病院にアンケートを取ったところ、今後、特定臨床研究でないものもCRBに掛けるようにするという答えが結構多かったのですが、現実にはどうもそうなっていないような状況です。
○花井委員 そうですよね、なっていませんね。
○楠岡部会長 御指摘の点を踏まえて、またいろいろ検討したいと思います。それではこれで終了いたします。本日はどうもありがとうございました。