薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和2年度第3回献血推進調査会議事録

日時

令和3年1月28日(木)15:00~17:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(12名):五十音順、敬称略 ◎座長 ○座長代理





日本赤十字社:敬称略
 
  • 松田 由浩(日本赤十字社血液事業本部経営企画部次長)
  • 鹿野 千治(日本赤十字社血液事業本部経営企画部献血推進課長)



参考人:敬称略
 
  • 田中 純子(広島大学大学院医系科学研究科教授)




事務局:
 
  • 中谷 祐貴子 (血液対策課長)
  • 菅原 高志  (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.座長の選出及び座長代理の指名
  2. 2.血液需給将来予測推計について
  3. 3.献血推進に係る新たな中期目標について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

○菅原血液対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和2年度第3回献血推進調査会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。 本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 初めに、本年1月25日付けで、薬事・食品衛生審議会血液事業部会委員の改選がありましたので、お手元の名簿に沿って御紹介いたします。石田明委員、海老名英治委員、喜多村祐里委員、柑本美和委員、近藤翔太郎委員、佐々木司委員、武田飛呂城委員、田中里沙委員、根岸久美子委員、松本剛史委員、宮川政昭委員、村井伸子委員です。
 また、本日の委員の出席状況ですが、献血推進調査会委員12名中、12名全員の御出席を頂いていることを申し添えます。なお、これまで委員でいらっしゃった衞藤隆委員、花井十伍委員、田中純子委員については、今回の改選に伴い退任されたことを御報告申し上げます。
 本日は参考人として、広島大学大学院医系科学研究科、田中純子教授に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業部より、松田経営企画部次長、鹿野経営企画部献血推進課長に御出席いただいております。
 本日は、改選後初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項について、2点説明いたします。まず第1に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とすると規定されております。委員の皆様は非常勤の国家公務員として、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願い申し上げます。第2に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規程第11条において、委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧門等に就任した場合には辞任しなければならないと規定されております。審議の中立性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合又は、任期中に該当することになった場合は、速やかに事務局に御連絡を頂くようお願い申し上げます。留意事項の説明は以上です。
 次に、ただいま説明いたしました薬事分科会規程第11条について、全ての委員の皆様より適合している旨を御報告いただいておりますので報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担を掛けておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
 それでは、これより議事に入ります。議題1「座長の選出及び座長代理の指名」についてです。座長が選出されるまでの間は事務局にて進行させていただきます。献血推進調査会設置要綱第4条第1項により、座長は委員の互選により選出することとなっておりますが、どなたか御推薦いただけますでしょうか。
○武田委員 武田です。これまでの御経験等も踏まえて、佐々木司委員にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 皆様、いかがでしょうか。それでは御異議がありませんでしたので、佐々木委員が座長に互選されました。それでは、以後の進行は佐々木座長にお願いいたします。佐々木座長、席の移動をお願いいたします。
○佐々木座長 佐々木です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、献血推進調査会設置要綱第4条第3項により、座長はあらかじめ座長代理を指名すると定められております。座長代理を石田委員にお願いしたいと思いますが、石田先生、いかがでしょうか。
○石田委員 謹んでお受けいたします。よろしくお願いいたします。
○佐々木座長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それでは、議事を進めます。最初は議題2「血液需給将来予測推計について」です。日本赤十字社より、資料1-1の説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部鹿野献血推進課長 日本赤十字社の鹿野と申します。資料1-1を御用意ください。また、今回、参考資料1~4まで御用意しておりますが、そちらの説明については時間の関係等がありますので、割愛させていただければと思います。資料1-1「需要推計に基づく必要献血者シミュレーションについて」です。2ページ目です。需要推計に基づく献血者シミュレーションの経緯ですが、平成30年度第2回本推進調査会において、中間報告をさせていただきました。その後、令和元年度第2回本調査会において、献血者のシミュレーションも含めた報告をさせていただいている状況になっております。また、下段に記載の令和2年度第2回本調査会において、平成27年度から実施してきました「献血推進2020」が令和2年度で終了することから、「献血推進に係る新たな中期目標(案)」の項目が示された状況になっております。
 3ページ目は、献血推進に係る新たな中期目標の案です。新たな中期目標の設定については、「献血推進2025」を設定し、令和3年度から7年度までの5か年を目標とするということで、国から示されております。また下段の目標項目については、若年層の献血者数の増加を、10代、20代、30代の献血率の増加ということで、今回、需要推計に基づく必要献血者シミュレーションの説明をさせていただきたいと思っております。
 4ページ目は、これまでの需要予測及び献血者のシミュレーションです。1つ目の輸血用血液製剤の需要推計については、医療計画に基づく地域医療構想を踏まえて検証させていただいております。全国47都道府県各血液センター管内で、輸血用血液製剤の使用量が多い672医療機関、さらに、当該医療機関において使用量が多い2診療科を選出し、各血液製剤ごとに5年後、10年後の使用動向について、各血液センター所長が中心になって医療機関を直接訪問し、調査を実施しております。また2つ目の献血者シミュレーションについては、各地域血液センター地域特性及びブロック内採血役割分担を考慮し、作成をしていただいている状況です。また3つ目の必要原料血漿については、平成30年度第4回運営委員会において、国から示されています数値を基に作成をさせていただいております。
 5ページ目は、需要推計のシミュレーションになります。左側の折れ線グラフですが、赤い折れ線グラフが赤血球製剤、青の折れ線グラフが血小板製剤、オレンジの折れ線グラフが血漿製剤になります。2025年度の赤血球製剤については約637万単位、血漿製剤については約26万 L、血小板製剤については約901万単位を予測している状況です。
 6ページ目は、必要原料血漿量になります。こちらが第4回運営委員会において国から示された数値となっております。2025年度については、ポジティブ予測124万L、ネガティブ予測111万Lの数値に基づき、必要献血者数のシミュレーションを作成させていただいております。
 7ページ目は、表の左側が献血可能人口、右側が献血者数の推移です。2025年度の献血可能人口が約7,781万人に対して、必要献血者数のポジティブ予測では約509万人、献血率で6.5%。ネガティブ予測では、485万人、献血率は6.2%といった状況です。
 8ページ目は、需要推計と献血者のシミュレーションになります。上段の表については、輸血用血液製剤の需要推計になります。赤枠が、2025年度の予測値になります。赤血球製剤については、先ほど説明したとおり、636万8,953単位、血漿製剤については25万9,704L、血小板製剤については901万801単位という予測を立てております。また下段の必要献血者数については、ポジティブ予測で200mL献血者が10万325人、400mLでは327万2,303人、血漿製剤の製品用については19万3,700人、原料用については91万5,549人、また血小板献血数については61万3,065人、合計で509万4,942人という予測を立てております。またネガティブ予測については、先ほどの原料血漿のポジティブ予測とネガティブ予測に伴うシミュレーションですので、下段の原料用の66万6,829人が変更になっており、それ以外は変更ありませんので、右側の合計では484万6,222人の必要献血者数のシミュレーションという状況になっております。
 9ページ目は、年代別の献血者数の推移です。ポジティブ予測の2025年度の合計欄ですが、献血可能人口に対して献血率6.5%のシミュレーションになります。また、上段の10代については6.6%、20代については6.8%、30代については6.6%といった状況で、以下40代以降の数値については割愛いたします。また右側のネガティブ予測については、下段の合計欄で献血率6.2%ということで、可能人口に対して示しております。上段の10代については6.4%、20代については6.5%、30代については6.3%といったシミュレーションになっております。
 10ページ目は、2025年度の献血者数のシミュレーションのポジティブ予測になります。16~69歳までの全献血者を、折れ線グラフで示したものです。上段の折れ線グラフは男性、下段の折れ線グラフは女性になります。また黄色の折れ線グラフは2018年度、青の折れ線グラフは2022年度、赤の折れ線グラフは2025年度、グレーの折れ線グラフは2027年度となっております。
 11ページは、採血種別ごとになりますが、200mL献血、12ページは400mL献血、13ページは血漿献血、14ページは血小板献血となっております。15ページ以降は、ネガティブ予測の状況です。示している資料については同様ですので、割愛いたします。
 次に、20ページ目を御覧ください。今回、献血者のシミュレーションをする上で、やはり初回献血者についても目標を定めて実施をしております。右側の赤枠の2025年度については、合計欄の下段ですが、献血可能人口に対して初回献血者の予測を37万3,017人とシミュレーションさせていただいております。また人口に対しては、0.48%の状況になっております。また上段の10代については、約15万1,000人、20代については約13万2,000人、30代については約4万1,000人の初回献血者に献血いただくシミュレーションをさせていただいております。
 21ページ目は、初回献血者数のシミュレーションになっており、折れ線グラフで各歳ごとに示しております。赤の折れ線グラフは2025年度を示しており、2018年度は黄色の折れ線グラフで、10代は2018年度が約14万1,000人に対して、2025年度の目標は約15万1,000人と、約1万人ほど増加をすると。20代は、2018年度は約11万3000人に対して、2025年度は約13万2,000人と、1万8,000人ほど増加するシミュレーションとなっております。22ページ目は、先ほどお示しした年代別のものを棒グラフで示したものです。特に10代は、2025年度は先ほど説明したとおり、15万1,545人ということで、10代の初回献血者数53.6%を占めている状況です。また、10代の初回献血者は全年代のうちの約40%を占めていることになります。
 23ページ目は、今後の検討事項になります。先ほどまで説明しました2025年度に向けたシミュレーションについては、「献血推進2025」を定める参考資料として提示させていただきたいと考えております。また下段の表の左側が、2020年度の10代から30代までの目標値でしたが、今回示しました右側のポジティブ予測、ネガティブ予測の数値を参考値としてお示ししたいと思っております。
 24ページ目です。課題の1つ目としては、今回の各シミュレーションについては、新型コロナウイルス感染症に伴う影響を考慮できていないという状況があります。2つ目の課題は、若年層、特に学生についてはオンライン授業を推奨していることから、2020年度の10代から20代前半の協力者が減少傾向にあります。以上の経緯を考えますと、様々な動向を踏まえて、再度シミュレーションを見直し、検証する必要があるのではないかと考えております。
 25ページ目は、参考で示しておりますが、下段の青の折れ線グラフの10代を御覧ください。2019年度は約26万5,000人の献血者に御協力いただきましたが、2020年度の見込みとしては約19万1,000人と、約7万人の減少という見込みとしております。また下段の表にありますとおり、前年度と比較しますと、20代は95.2%、30代は101.9%となっております。さらに26ページは、40~60代までの2020年度の見込みの折れ線グラフです。各年代とも前年度と比較しますと増加傾向にあるといった見込みを立てております。
 27ページ目は、課題の2つ目です。必要原料血漿量についても、以下の状況を考慮し、見直し検証をしてきましたが、再度、検討を重ねる必要があるといった判断をさせていただいております。1つ目は、日本赤十字社で、日本神経免疫学会の加盟医療機関に調査を実施しております。約285医療機関に対して、91の医療機関、約31.9%から回答を頂きました。アンケート結果においても、使用患者数、使用量とも増加傾向にあるという予測を立てております。2つ目の日本輸血・細胞治療学会の調査結果においても、令和元年度の第2回適正使用調査会において、免疫グロブリン製剤の使用量は増加しており、主に大規模医療施設を中心に1病棟当たりの使用量が増加しているという報告もあったことから、見直しが必要ではないかと判断をしております。
 28ページ目は、日本赤十字社で日本神経免疫学会に調査をした結果になります。上段の棒グラフは、左から2017年度、2018年度、2022年度、2027年度の予測をしていただいています。こちらは、患者数の推移になります。左側の棒グラフは疾患患者数、右側の棒グラフは使用患者数になっております。全体をまとめますと、左下段の使用患者数の推移を見ても、2018年度を軸に、将来2027年度については患者数も増加傾向にあるという調査結果でした。また右側の使用量についても、同様に増加をしていくという調査結果になっております。
 29ページ目は、日本輸血・細胞治療学会の調査結果です。左側の棒グラフは、免疫グロブリン使用の年次推移です。左側下段の疾患患者別のグロブリン製剤の使用状況についても増加傾向にあったという報告でありました。
 30ページ目は、今後の対応です。1つ目は、新型コロナウイルス感染症の今後の動向を見極めながら、輸血用血液製剤の使用実態等を検証する必要があるのではないかと考えております。2つ目は、それに伴う在宅勤務、及びオンライン授業により献血協力層も変化している状況もありますので、それらを分析し、新たな献血推進基盤の構築を図る必要があると考えております。3つ目は、献血可能人口の推移です。都道府県によって異なる環境があることから、中長期的な需要推計の結果を基に、地域ごとの特性を踏まえた効率的な献血推進活動に努める必要があると。4つ目は、ブロック内の採血役割分担の更なる検討を進め、安定かつ効率的な事業運営の構築を図る必要があると考えております。
 31ページ目です。最後になりますが、過不足ない事業展開を進めていく上で、輸血用血液製剤の需要推計、献血者推移のシミュレーションを踏まえて、国民運動としての献血基盤の構築、又は血液事業としての事業戦略を踏まえて、中長期的にも過不足ない事業展開を進めていくということを検討していきたいと思っております。説明は以上です。
○佐々木座長 ありがとうございます。続いて、資料1-2について、参考人の田中純子教授よりお願いいたします。質疑は、その後まとめてお願いいたします。
○田中参考人 聞こえますでしょうか。
○佐々木座長 聞こえております。
○田中参考人 では、広島大学の田中です。資料1枚目を御覧ください。私は厚生労働省の政策研究事業の「新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究」を受け持っておりまして、この中での献血の需要と供給の将来予測について解析を行って、数値を出しましたので御報告します。
 2ページを御覧ください。本研究は、ここの上に書いてある3つの研究の柱からなりますけれども、今日は一番上の「血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究」の一部の結果についてです。
 次を御覧ください。本予測は、「献血推進2025」に向けた基礎資料を提示することを目的としております。下の1、2、3を御覧ください。今からこの3ステップを説明いたします。
 まず、1番ですが、血液製剤の供給数をもとに血液製剤の需要予測を行っているのが1つ目です。2025年にどれぐらい血液製剤が必要になるかという予測の数値です。2番ですが、これは、近年の国民の献血行動ですけれども、今年献血に1回行った人が、次の年に2回行くか、3回行くかということを年齢別、性別、地域ブロック別に解析を行い、モデルに当てはめまして、2025年献血者の予測を行うものであります。これについては、過去に同様の研究を行っておりまして、バリデーションも行い、かなり予測値が良いということも分かっております。
 それから、今回、調査会でもいろいろ議論されたとおり、出生年、生まれ年、同級生というのは同じような教育あるいはいろいろな環境のものを同じように経験してきていますので、出生年という年齢コホートというようなものが、献血行動に影響しているのではないかということがあります。今回は出生年を交絡要因としたモデルを作って、2つの方法で将来の献血者の予測を行っています。
 1番目の、将来に血液製剤がどれぐらい必要になるかという需要の予測数と、2番目のどれぐらい献血者数が見積もれるか、ということの需要と供給の差分を算出しまして、2025年にどれぐらい献血率を上げなければならないかを推定しましたので、それを今日、3ステップでお話するということです。
 まず、ステップ1.どれぐらい血液製剤が必要になるか、ということの推計方法の概要です。日赤の血液事業の現状から、2010~2018年の供給単位数のデータがあります。それの年齢を3分類しまして、どの年齢層にどれぐらいの供給がされたのかということを東京都の20の大きな病院の調査を基に割合を出します。その割合を供給単位数で按分しまして、年齢区分ごとの、1,000人当たりの供給単位数が出ます。これを2010~2018年までをプロットすることによって、これは一般化線形モデルに当てはめます。2019~2035年の将来推計人口が出ていますので、それを性・年齢区分別1,000人当たりの供給単位数推定値に乗じることによって、推定需要単位数が出るということであります。
 この需要単位数が製剤別に出ますので、この推計の単位数を基に、下の段にいきますけれども、まず、赤血球製剤については、これを200mLと400mLの比率、実績で按分しまして、検査不合格率を1.5%上積みしまして、将来の献血者数というのを200mL、400mLの全血で出します。
 次ページは、血小板製剤、血漿製剤についても、先ほど線形モデルで出した推定需要単位数を、それぞれの単位別に按分しまして、それから献血者数を推定します。この1単位、2単位というのは全血献血由来でできるものですので、これでカウントするとダブルカウントになりますので、こちらは計上しません。血漿製剤についても、全血由来のものは計上せず、480mLの血漿製剤の推定需要本数の按分をしたものを献血者数にします。プラス、原料血漿転用分を加えるという作業です。こちらの黄色の原料血漿用については、別にNDBという全保険者の何億枚にも及ぶレセプト解析を行いまして、実際に医療機関で使用された量、免疫グロブリン量をここに加えることによって、血漿成分全体の必要献血者数を製品用と原料分に分けて推定いたしました。
 では、今述べました、どれぐらい必要かということについての手順をグラフでお示しします。まず、2010~2019年の日赤の供給単位数があります。これは製剤別ですけれども、これが年齢別にどれぐらい供給されたのか分かりませんので、こちらは東京都の調査結果ですが、年齢層別に3分類した供給の割合を按分することによって、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤別の年齢別の単位数の推移が分かります。
 次ページは、人口千人当たりの供給単位数を出しました。これを2009年以降、点線が線形モデルに基づく当てはめの予測値ですけれども、この予測値を基に、最終的に推定値を出します。
 8ページを御覧ください。これが2010~2018年の実績に基づき、当てはめた予測値です。この2015~2035年の製剤別の需要単位予測数に基づきまして、どれぐらいの献血者数が必要かということになります。
 必要な献血者数を計算したのが、次のスライド9ページです。2025年の所を見ていただくと、全血200mL、400mLで血漿製品、血小板製品それぞれ製品用の人数が出てまいります。これに血漿成分献血からの原料血漿分を出さないといけませんので、まず、転用分を算出します。全血献血、血小板献血から原料血漿用に転用されている部分がありますので、その割合を計算したのが下の表です。この数値を基に次の10ページを御覧ください。
 2025年でいきますと、全血献血の200mL、400mLから原料血漿用に転用されるのが200mLでは9,871L、400mL全血からは55万L、血小板からは14万Lが転用されることが分かっております。そこで、転用分を、必要な原料血漿から引くことになります。下の表を御覧ください。一番左側がNDB解析により、実際、医療現場で使われた免疫グロブリンから必要な原料血漿を推定したリットルであります。94万3,000L分が必要だということが分かりましたので、この右の9,871万Ⅼと55万Ⅼの全血献血と14万Ⅼの血小板献血から転用される分を引きまして、結局、血漿成分献血から血漿成分を原料血漿に転用しなければならない量が23万Lとなります。これを人数に換算しますと、48万5,274人分を確保しなければならないということになります。これまでは51万人を設定して算出に使っていたわけですけれども、2025年分については48万5,274人分と算出されました。
 そこで11ページを御覧ください。NDB解析に基づく免疫グロブリン製剤使用本数の2018年の実績は、192万本だったのですが、日赤からの2018年度実績は、これよりも13%ぐらい多い219万本という報告がありました。つまり、日赤の事業報告よりも、実際に医療現場で使われているのは13%減ぐらいであります。その原因については、病院とか製薬会社のストック分等が考えられますので、先ほど、前のページでお示しした原料血漿で必要な献血者数は低めの予測だということで、13%を上積みしたものをHigh予測としまして、こちらの下の表の2025年を御覧ください。
 NDBの推計したものに13%上積みした107万5,315万Lを必要な原料血漿の推計値としまして、これから全血分と血小板からの転用分を引きまして、血漿成分献血から原料血漿に転用しなければならない量は36万4,900L、これを人に換算した76万人をHigh予測としまして、必要な献血分ということで、12ページにまとめました。
 下の表を御覧ください。必要な献血者数ですが、2025年のLowとHighがありますが、全血分の200mL献血が12万9,000人、400mLが311万人、血漿献血は製品用と原料用でLowとHighの推計がありまして、合計で477万4,211人から504万9,327人ということです。477万人から505万人ぐらいが必要ではないかということを、日赤とは全く違う方法により算出いたしました。
 次に、では、どれぐらいの献血者数が予測されるかということについて、13ページを御覧ください。2つの方法で献血者の予測を行っています。まず、マルコフモデルです。先ほど御説明したように献血行動を確率としまして、年齢(10歳刻みの年齢)、性別、地域7ブロック別に献血行動推移確率で算出したものです。14ページを御覧ください。2016年に495万人、2025年には444万人と推定されました。
 次に、もう1つの、同じ出生年、同級生効果が献血行動に関係しているのではないかという想定に基づいたage-Cohortモデルによる献血者数の算出です。平成18年から平成30年度の全献血者のデータを用いました。
 16ページを御覧ください。これは、男性と女性の献血率を西暦年と年齢に分けて、例えば2006年に何歳だったかというのを立体的に3Dで示したものです。下段の等高線図を見ていただくと、このグリーンの所は献血率が高い所ですけれども、右上から左下に斜めに同じ色があります。これは献血率が高い集団が確かに同じ年に生まれた集団にある。生まれ年によって献血行動が違うということが、特に男性で顕著であります。女性については右の等高線図を見ていただくと、やはり、同級生効果があると考えられます。
 17ページを御覧ください。左が年齢の効果、他の影響を調整した献血率の年齢の効果です。上が男性で、下が女性です。年齢が高くなるにしたがって献血率は下がる傾向があります。男性はほぼ20代から50代までが一緒で、60代近くから献血率が下がるということがあります。右図が出生コホート効果を示したものです。上図の男性を見ていただくと、出生年が1960年ぐらいから1970年、1980年前ぐらいまでの世代の献血率が高い。女性については、ちょっと緩やかですけれども、やはり同じような効果が見られるということが明らかになりました。そこで、このモデルを使って実測値とのバリデーションを行ったところ、ほぼ同じ献血率が再現できまして、このモデルの当てはまりが良いということが明らかでありました。そこで、このモデルを使いまして、2035年までの献血率、献血者数の予測を行ったものが19ページです。
 20ページです。まとめたものをお示ししますと、最初のマルコフモデルによる推定総献血本数は、2025年で444万本、黄色です。Age-Cohortモデルによる推定総献血本数は、オレンジの440万本と、余り違いはない感じになっております。実際の実測値の総献血本数はブルーですけれども、このように重なっておりまして、モデルの当てはめが、まずまずだということが分かりました。
 そこで、ステップ1で示しましたが、どれぐらい献血者数が必要かという477万人から505万人と、どれぐらい2025年に献血者数が来るかという440万人、440万本、と換算していますので、その差分を献血率に上乗せしてお示ししたのが21ページです。2025年の必要献血者数と推定献血者数との差分が、結局、約33~65万人となりますので、それを確保するために、推定される献血率に上乗せしまして、この右の田中班による2025年目標値というのを出しています。この上乗せ分を19歳から69歳の全年齢で捕捉する場合の献血率が、10代では5.7~6.2%、20代が6~6.7%、30代が5.3~6.0%となります。この不足分を39歳以下の年齢層で全て捕捉する場合には、やや高い値になることをお示ししています。
 2020年の目標値と比べまして、10代、20代、30代のいずれも2025年の予測目標値は低くなっております。その理由については、右下に書いておりますように、平成26年に推計された2020年の必要献血者数は537万人と、高い値でしたので、目標献血率は高い値として掲げておりました。今回、私どもの研究では、2025年の必要献血者数は477~505万人になりますので、需要との差が少し小さくなるため、2020年目標値よりもやや低くなっております。
 以上、御説明差し上げました。22ページからは、NDBを利用した免疫グロブリン製剤の使用実態解析から、実際に原料血漿がどれぐらい必要かという予測を行った資料が付いておりますので、御参考にしていただければと思います。以上です。
○佐々木座長 どうもありがとうございました。それでは、資料1-1の日赤からの御説明と、ただいまの資料1-2による田中先生からの御説明について、御意見、御質問があればお願いいたします。
○武田委員 御説明いただいて、ありがとうございます。資料1-1のほうで、日本赤十字社からの資料の27ページの所の課題②ということで、「必要原料血漿量についても以下の状況を考慮し、見直し検証したが、再度、検討を重ねる必要がある」と資料の中でありました。今後の詳しいところというか、検討を重ねていくということで、どのような手順で、どのようなスケジュールで検討していかれる予定なのかをお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○鹿野課長 御意見ありがとうございます。日本赤十字社の鹿野です。今後の状況ですけれども、①に記載の日本神経免疫学会にも今回の結果を踏まえて検証の協力をしていただきたいと考えておりますし、②の日本輸血・細胞治療学会におきましても、毎年適正使用調査会で報告を頂いているといった状況もありますので、こちらを参考にさせていただきたいと思っております。
 また、日本赤十字社内で委員会を開催しており、日本神経免疫学会に加盟していただいている大学病院の先生、また、日本輸血・細胞治療学会で実態調査を担当している病院の先生にも、日本赤十字社の委員会に参加いただいて検討を重ねておりますので、そちらの御意見も聞きながら進めさせていきたいと考えております。
○佐々木座長 ほかにいかがでしょうか。
○柑本委員 日本赤十字社にお伺いしたいのですが、資料の24ページの課題①の所で、10代、20代の献血者数を増やすことについてですが、学生等については、オンライン授業等が今行われているので、かなり厳しい数字になるのではないかと思います。実際、東海大学も昨年は12回献血車の配車を予定していたらしいのですけれども、一度もそれは行われなかったと聞いています。来年度、うちの大学では、50%を目標に何とか対面授業を実施しようと言っているのですけれども、とてもではないですが、100%に至るような状況ではないという感じです。このシミュレーションの見直しですが、どこまで減少数というか、そういったことを考慮に入れてなさる予定なのか教えていただけると有り難いです。
○鹿野課長 御意見ありがとうございます。日本赤十字社の鹿野です。こちらについても、今年度の高校又は大学等の献血については、今、御意見を頂いたとおり、昨年度の約半分ぐらいの協力という状況になっています。
 また、このようなコロナウイルス禍におきまして、オンライン授業がかなり推奨されているといった状況もありますので、こちらについても、やはり将来的な若年層の献血者の基盤構築していく上では、何らかの対策を検討しなくてはいけない状況にあり、各血液センターでも模索しているような状況があります。この中で、やはり学校側とも協力をしていただきながら、オンライン授業の中に献血セミナーを取り入れて、献血の誘導又は固定施設等に献血に来ていただけるような方策を検討しながら進めていきたいと考えております。
○佐々木座長 石田委員、お願いいたします。
○石田委員 資料1-1の質問ですが、先ほどあった質問と近いのですが、2020年度は、10代が27.8%減少しているということですけれども、全ての年代において、全体ではどのぐらい献血者が減少しているのでしょうか。同時に、血液の供給量が減っているのか、あるいは供給量は変わらないのか、その予測値もあれば教えていただけますか。
○鹿野課長 日本赤十字社の鹿野です。1つ目の供給量については、昨年度とほぼ変わらない状況になります。また、献血者についても、原料血漿の確保量が増加していることもありますので、全体ですと、昨年度より増加するかと見込んでおります。以上になります。
○石田委員 献血者数は、10代は減っているということですけれども、全ての年代で何パーセントぐらい減っているという予測になっているのか分かりますでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 日本赤十字社経営企画部の松田でございます。御質問ありがとうございます。今、10代、20代、30代については、今、鹿野がお話したように、まず、10代については、今現在計画達成率では70%ほど、20代については、90%ぐらいというところです。30代以上については、対前年度に比べましても、計画あるいは前年度を上回っているような状況で推移しています。特に40代、50代以上については、昨年度を10%近く上回っているという状況で推移しているところです。
○石田委員 そうすると、全体では、むしろ増えているという理解でよろしいですか。
○松田次長 はい、そのように御理解いただいてよろしいかと思います。
○石田委員 もう1点は、免疫グロブリンのほうについての意見ですけれども、実際に日本神経免疫学会や日本輸血・細胞治療学会に調査をしておられますが、適応拡大等によって供給量が変わってくる可能性もありますので、製造元の情報も併せて、引き続き、継続的に情報を確認していただいたほうがいいと思いました。
○鹿野課長 御意見ありがとうございます。
○佐々木座長 ほかにいかがでしょうか。どうもありがとうございました。日本赤十字社におかれましては、引き続き、需要推計及び献血者シミュレーションの見直し検証のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題3「献血推進に係わる新たな中期目標について」の議論をお願いいたします。事務局より資料の説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。これから中期目標について御説明いたします。ちょっとお待ちください。まず資料2-1、献血推進に係る新たな中期目標案、手元の資料を基に説明します。まず、お手元の資料2-1を御覧ください。昨年10月に開催しました当調査会で、中期目標の設定に関し、皆様に御議論をいただきました。こちらの資料は、その際に御意見を頂いたものをまとめたものと、それに対する対応についてお示ししたものです。
 最初に委員からの御意見がありました。こちらにありますとおり、若年層へのアプローチが重要であること。あとは新型コロナウイルス感染症の関係であるとか、あるいは成分献血を評価項目に入れるのはどうかとか、あるいは献血セミナー自体が献血の周知度になるのかといった目安など、様々な御意見を頂戴いたしました。
 これらを踏まえて私どもで対応したのが、次の御意見を踏まえた対応案です。まず、献血の周知度に関してです。評価項目については、とりわけ平成30年10月から開始された献血Web会員サービスのラブラッドについては非常に有益なサービスですので、特にWebで献血の予約ができるなど、現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況下においても非常に有益なサービスですから、まずは会員数を増やすことが肝要と考え、今回、会員数を評価すると同時に、それに併せて評価項目についても献血Web会員サービスの会員数の拡大ということでお示しいたしました。
 次に、成分献血についてです。これ以上の目標項目を増やす必要はないとの御意見もあり、今回については目標項目とはしないものの、やはり原料血漿の確保の状況のモニタリングを考えています。なお、これに加えて昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、採血及び供給状況においても影響を受けているという状況を踏まえ、またこれ自体がマスコミにも報道されていることも鑑みて、採血及び供給状況についてもモニタリングさせていただくとともに、以前より調査会で献血推進の取組についての効果測定の必要性についても御意見がありましたので、いわゆるラブラッドの効果測定ということで実献血者数におけるラブラッド会員の割合について御報告いただくことを考えています。
 今後、日赤等へどういう形で報告するかは現在調整中ですけれども、まずこちらとしては調査会でこれらの項目を、第1回については前年度の下半期の分を、第2回で当該年度の上半期分を報告していただくようなイメージを考えています。
 また、需要動向については、先ほど御紹介いただいた日赤のシミュレーション結果に加えて、田中参考人からお示しいただいた研究成果を踏まえ、今回の目標の1つである若年層の献血率の増加の基準を設定いたしました。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、先ほどの繰り返しになりますけれども、かなり献血の採血状況に影響が及んでおります。そういった状況を踏まえ、今回、中期目標については、中間年である令和5年度を目途に、見直しなどの再検証を行うことを考えています。
 最後に、企業、団体等への取組ですけれども、中期目標とは別に、状況を適宜モニタリングしつつ、業界団体等へ働き掛けを献血推進ということで行っていきたいと考えております。なお、目標項目については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、今回については、広い意味で、献血推進に御協力いただく企業団体数ということで考えています。
 それでは、資料2-2を御覧ください。まず新たな目標の名称と期間については、先の調査会にて御了解いただいたと思いますけれども、名称は「献血推進2025」とし、期間は5年間で御了解いただいております。この目標の設定の背景及び目的については、こちらにある「背景及び目的」に記載しておりますけれども、献血者は昭和60年度以降減少が続いていたところを、平成17年に「献血構造改革」、平成22年には「献血推進2014」、平成27年度からは「献血推進2020」といった中期目標を掲げて、献血推進に取り組んできました。
 しかしながら、依然、20代、30代といった若年層の献血者が減少していることを踏まえ、また将来、献血が不足するだろうという推計については、いかに必要な血液を確保していくかということを、血液法に基づき、毎年度作成している年度計画とともに、中期的な目標を掲げて取り組んでいこうというものです。
 まず献血率の目標値です。若年層への献血者数の増加ですが、日赤及び田中参考人のシミュレーション結果を踏まえ、今回は16~39歳までの若年層について献血率をトータルとして6.7%とさせていただきたいと考えています。こちらの数値については日赤のポジティブ予測から取っているもので、血漿分画製剤、特にグロブリン製剤の需要が今後伸びるとの見解、日赤の資料にある学会からの御意見等の見解を踏まえると、高めに目標を設定する必要があると考えたものです。
 また今回、各年代をまとめたものは、10代の取組については数年後には20代につながり、同様に20代への取組については30代にもつながるところから、若年層として広く捉える必要があったことから今回の設定といたします。ただ、10代、20代、30代の各年代の献血についても、今の傾向を把握する必要があると考え、それぞれの年代の献血率について、こちらは日赤のポジティブ予測の数字ですけれども、モニタリングの観点から挙げさせていただきました。
 続いて、献血推進に御協力いただける企業・団体については、7万社とさせていただいています。こちらについては。少々お待ちください。こちらの参考資料7にあるとおり、過去4年間の献血に御協力いただいた企業・団体数の増加率を鑑みて、その増加率が今後継続するものとして目標値にしています。
 次に複数回献血の増加ですが、参考資料5にあるとおり、前回どおり目標値を120万人としています。これについては、過去4年間の実献血数の比率、例えば平成30年度ですと、35.6%になっています。参考資料5、今4ページを説明したのですけれども、5ページのほうに令和元年度の比率が出て、36.7%となっています。これらの比率は過去の比率のそれぞれ平均を取って、その比率が年々増加するものと考えて換算し、目標として120万人としたものです。
 続いて、今回新たに加える「ラブラッド」会員数は、過去4年間の増加率、同じく参考資料5の7ページを御覧ください。こちらに平成31年3月末現在と令和2年3月末現在、いわゆる平成30年度と31年度の比率があって、それぞれ平均増加率が今回の場合120%強なのですけれども、過去4年間の平均増加率が今後継続すると鑑み、目標として500万人としています。
○佐々木座長 7ページですね、資料5の。
○菅原血液対策課長補佐 はい、参考資料5ですね。
○佐々木座長 どこの数字を見たらよろしいのですか。
○菅原血液対策課長補佐 こちらに関しては、7ページの献血Web会員サービス「ラブラッド」の状況です。上のほうが平成30年度で、168万8,000人となっています。それから下のほうに令和元年度の数字があって、200万人となっております。これだけを拝見すると、120%になっているのですが、過去4年間の数字をそれぞれ見ますと、平均の増加率が16%ありますので、今後その増加率が継続するものと換算した上で、努力目標として500万人とさせていただきました。
 資料2-2に戻ります。2ページの「重点的な取組について」、こちらの目標を達成するための取組事項について記載しています。まず、(1)献血の普及啓発については、広く国民に重点的に取り組むべき事項としてやってもらうこと、そのための効果的な普及啓発が必要であるとしています。
 (2)若年層対策の強化ということで、①で10代への働き掛けについては、SNSを含むインターネットを主体とした情報発信を行うとともに、献血セミナーなどの活用としています。一方、②の20代、30代への働き掛けについては、そういった20、30代の方々に複数回献血に協力していただくような普及啓発、環境整備に取り組むことが必要であるとしています。また、予約献血の活用など、献血に御協力を頂ける方の利便性に配慮した取組についても検討するものとしています。
 (3)安心・安全で心の充足感が得られる環境の整備です。こちらは「献血推進2020」の重点的な取組事項に記載していますけれども、まずは献血に御協力いただける方々がより安心・安全に献血に協力いただけるように、心の充足感を得られるようにし、継続して献血を行っていただけるよう環境整備を図る必要があるとしています。
 併せて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況下でも、安心・安全な環境の保持と感染防止対策を講じるとともに、そういった取組について周知するものとしています。
 最後に、先ほど申し上げました成分献血の状況であるとか、採血と供給の状況並びに献血推進活動の普及効果のモニタリングの項目を挙げました。また先ほど申しましたとおり、中間年での見直しなどの再検証について明記いたしました。御説明は以上です。すみません、機材のトラブルで不手際になりました。よろしくお願いします。
○佐々木座長 ただいまの資料2-1、資料2-2及び参考資料5に基づく説明について、御意見、御質問等がございましたらお願いします。
○喜多村委員 資料2-2の中期目標の設定の所で、令和元年と令和7年の比較で、令和7年の数値は日赤シミュレーションのポジティブ予測によるという御説明でした。出し方も平均値のようになっていて分かりやすいのですが、田中班でのシミュレーション結果も出していただいているので、それと比較するとネガティブ予測に近いような印象を受けます。目標設定には、ネガティブではなくポジティブ予測のほうを用いる理由はお聞かせいただいていたのでしょうか。聞き逃していたらすみません。
○佐々木座長 田中先生のものはネガティブ予測に近い値ではないかと。
○喜多村委員 そのような印象を受けました。それは例えば資料1-2の21ページあたりでしょうか、比較可能な単位で示していただいているのが21ページ辺りで、日赤社で出していただいているシミュレーションの予測でいくと、資料1-1の8、9ページの辺りかと思うのですが、もし9ページでしたら、一番下段の合計値を見ていただいたらいいと思います。その辺を見ますと、田中班のほうは、よりいろいろな要因を入れていただいているので小さめに出ているように思うのです。献血量の目標値を設定において、必ずしも大きいほうがいいとは私は思わないので、ポジティブ予測のほうを採用する根拠をお示しいただきたいと思いました。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。田中先生のネガティブ予測の場合、低い数値ですと447万人、高い数値であると505万人になっております。ただ、私どものほうでも企業などにお話を聞きますと、特に血漿分画製剤、グロブリンというのは今後伸びていくと想定しております。これに関しては、日本赤十字社のシミュレーションでも、各学会からも今後は増加するものという御見解が示されております。
 私どもとしては、目標を達成したけれども、今後は足りなくなるとか、そういった状況を鑑みるとき、そういった状況にならないようにということを鑑みたということで、それを踏まえて、私どもとしては高めの設定、いわゆるポジティブ予測について目標値を挙げさせていただいた次第です。
○喜多村委員 不足するのは困るということでポジティブ予測のほうで目標値を設定するという理解で大丈夫でしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 おっしゃるとおりです。私どもとしては、グロブリンが今後かなり伸びていくという状況もありますので、それを踏まえて、こういう数字を挙げさせていただいた次第です。
○喜多村委員 理解しました。ありがとうございます。
○佐々木座長 よろしいですか。日赤のほうから何かありますか。
○田中参考人 田中です。21ページのスライドですが、右の真ん中のほうの16~69歳で捕捉する場合を見て、率が低いのではないかと言われていますが、これは16~69歳の全ての年齢層で、今推定される献血率に上乗せする、その中の10代から30代の値を出したものです。つまり、どの年齢層も率をプラスした上で、10代と30代だけ抜き出したのです。しかし、今までの研究成果から、中高年層になってからそれまでの献血行動を変えるというのは、なかなか難しいです。やはり右側のオレンジの16~39歳で捕捉した場合を考えると、今回御提示いただいた数字の範囲に入っていると思います。高齢者の献血行動を変えて献血率プラス何パーセントというのは、なかなか難しいことと思っています。私の意見です。
○佐々木座長 田中参考人、この目標値というのは、必要量のほうの推測からくるのかなと思うのですが、21ページの最後のほうのページは献血者の予測ですね。
○田中参考人 献血者と需要のほうの差分を献血率に上乗せしての目標値にしています。
○佐々木座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○田中(里)委員 丁寧に分析と検討をいただき、適正な資料を組んでいただきましたが、1点、ラブラッド会員数について質問と意見を述べさせて戴きます。これまでの経緯から120%の伸び率できていて、5年後にも順調に伸びるだろうという推測による計算で、500万人という数値目標が出されています。500万人はハードルが高いと思われる目標と感じますが、いかがでしょうか。会員において、複数回献血をされる方にはとても便利で、登録者のメリットもすごく大きい面があり、利用者の方は皆さん認識されているところですが、新規で接点を持って会員になる、登録をするところにはハードルがあって、例えば広報プロモーション予算も投入し、積極的なアピールをしていかないと果たせられないのではないかと思われるところがあります。ここをどう見るか、数字の根拠、狙いについて伺いたく思います。
 もう一つは、血液の安定的な確保のために、企業・団体で活動に協力いただけるよう、中堅・中小企業も含めて、企業数、接点を増やしたほうが良いと思っていたのですが、コロナ禍もあり、企業単位には課題と限界があるように感じます。先ほどのいろいろなシミュレーションでも、日赤の計画でも、10代、20代、30代など、年代別に丁寧に木目細かく対応していくと同時に、異なる年齢層の方が集うコミニュティのような集まりを対象にしてはどうか。例えば商店街・商店会、趣味や関心で集う団体など、これからまだまだ接点が持てるところはあるかと思います。これらも勘案して7万社というのは目標として置きやすいですし、規模を問わず接点を増やすという方針はよく、効果も出せるのではないかと期待します。よろしくお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。まず、500万人というのはハードルが高いのではないかという御質問です。確かに、令和元年度の実績値というのは200万人ですので、倍以上ということですので、確かにハードルは高いかと思います。しかしながら、平成30年10月にラブラッドが、それまでの複数回の献血クラブからWebサービスに切り替わって、ラブラッドになったということを踏まえまして、そのときの伸び率が120%を超えております。その状況を考えますと、あと5年ですので、そこはかなり伸びるのではないかと私どもは考えて、今回の500万人という数字を設定させていただいたところです。
○田中(里)委員 現状では献血者が493万人ということなので、関わる方が順調に増えるという前提でと考えれば良いでしょうか。少し高いと思われる数値目標を置くと、目標ですからこれに対してできたかどうかが問われ、検証される形で、ハードルは高いとの印象でしたが、適切であり、見えている目標ということであれば、承知いたしました。
○佐々木座長 続きまして、石田委員お願いいたします。
○石田委員 資料2-2の達成目標の件について、意見を述べさせてください。田中委員からあった安定的な献血の確保についてですが、企業の数を増やすことも非常に重要ですが、コロナ禍になってニューノーマルのいろいろな対応が増え、例えばリモートワークが増えたり企業戦略が随分変わってくることが予測されますので、企業・団体の数だけではなくて、例えば企業向けにバス献血を行う場合には予約を取るとか、安定的に行うための具体的な方策を加えていくことが重要だと思いました。
 それからラブラッドの件ですが、実際に120%ずつ増えていくと500万人になるわけですが、ラブラッド会員には70歳になって献血ができなくなる方もどんどん含まれるわけです。そう考えると、ラブラッド会員の登録者数よりは会員の献血率、あるいは献血者の中の会員率を高めることを考えていく必要もあり、また、ラブラッド会員を永久会員ではなくある年齢を越えたら会員ではなくすというような、会員の定義を見直すことも重要だと思いました。
 それから、複数回献血の増加についてですが、「複数回献血の増加」という言葉はおかしくて、「複数回献血数の増加」、「複数回献血人数の増加」、「複数回献血の推進」といったほうが、より正確な表現かなと思います。これについては、実際に2回以上献血をされた方を増やすという考えも重要なのですが、それ以上に、例えば1回の方は2回にする、2回の方は3回にするというような、それぞれもっと木目細かな方策が重要なのかなと思いました。つまり、献血の効率を一度評価して、効率を高めるということが非常に重要ではないかなと思いました。
 それらのことはここに組み込む必要はないのかもしれませんが、具体的な方策としては、そのようなことを検討していくことが重要かなと思いました。
○菅原血液対策課長補佐 おっしゃるとおり、1回の方を2回、複数回献血者でも2回だけではなくて3回とか、400mLですと最大で年3回なのですが、例えばそれ以上しているような方につきましては、今後、具体的に私ども及び日本赤十字社とともにいろいろ考えていきたいと考えております。
 あと、先生から御指摘のあった「複数回献血の増加」ではなくて、「複数回献血の推進」ではないかということですが、これは以前もこういう形にさせていただいたかと思うのですが、よろしければ「増加」ではなくて「推進」というように修正させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○佐々木座長 そのようにお願いいたします。
○石田委員 ラブラッド会員が永久会員のような形に今なっているので、ラブラッド会員が増えても、献血をできない会員が増えるので、ラブラッド会員の定義を見直したほうがいいのではないかと思います。実際に会員がどのぐらい献血をしたのかという会員献血率という数字で評価していくほうが重要だとと思いました。この辺りも御検討をお願いします。
○佐々木座長 それは年齢が上がると献血ができなくなるということでしょうか。
○石田委員 そうです。献血の対象年齢を超えてもラブラッド会員のままだと500万人、600万人、700万人と会員数としては増えて、献血できない会員だけが増えてしまう可能性があるということです。
○中谷血液対策課長 事務局の血液対策課長の中谷です。ラブラッド会員については御指摘のとおりで、今、目標の案にさせていただいているラブラッド登録者数の人数というのは延べ人数になってまいります。献血可能年齢から外れた方も、理論上含まれるという数字です。
 当面、この2025年まではもっと普及させたいという普及段階としては、まだステップ1.5ぐらいにあるのかなと思いまして、こうさせていただいておりますが、頂いた御指摘もよく分かりますので、2ページ目の最後ですが、モニタリングする視点として、実献血者におけるラブラッド会員の割合は並行してモニターさせていただいて、次に中期目標を見直すときには、どちらを取るかというのは議論させていただければなと思いまして、今回はこのような案とさせていただきました。
○石田委員 よく理解できました。どうもありがとうございます。
○宮川委員 今、石田委員がおっしゃったことが非常に的を射ているので、そのことをしっかりと考えていただくことが重要かと思います。2.の「達成目標」という数値のことだけを議論するのではなくて、今お話になったところを、重点的な取組というものをどうやって実現させるかという議論に進まないと、ただの時間の浪費になってしまいます。ただ数値だけを追いかけてくるということになりますので、是非とも内容についての厚い議論をされることを強く望みます。
○菅原血液対策課長補佐 こちらにつきましては先生のおっしゃるとおりで、実際に我々が何をするのかという話になってくるわけです。それに関しましては、私どもとしても、当然、推進の中で取り組んでいくところではありますが、併せて具体的な話になりますと、この中期目標というのは、あくまでも目標でありまして、実際にどういうことをやっていくかというのは、また今後の献血推進調査会等で御報告させていただき、また御議論いただくのかなと感じている次第です。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 よく分かりました。ただ、数値が低いとか高いということが目的ではないわけです。数値に対して、どのように努力するか、どのような方策を立てるかということのほうが、もっと大事なことです。数値の値が低いとか高いということを議論するのではなく、具体的な内容について踏み込んで議論したいものです。
 ラブラッドについても、従来の歴史を見ると、今までさまざまな委員の方たちが非常に努力して、各地で個別に努力することによって、ここまでラブラッドの会員が増えてきました。そういう委員たち、委員を取り巻く人間たちの努力の結果なのだろうと思います。そのように重要なことを、これからもしっかりと議論して具体的な行動に結びつけられることができれば幸いです。
○佐々木座長 委員の先生方、御意見をありがとうございました。事務局において、頂いた御意見を踏まえて、新たな中期計画、目標を、献血推進2025を決定していただければと思います。最終的な文言等につきましては、座長一任とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○佐々木座長 では、そのようにさせていただきます。
 厚労省と日本赤十字社においては、目標を達成すべく献血推進に取り組んでいただくこと、また、中間年に向けての再検証をお願いしたいと思います。また、日本赤十字社におかれましては、モニタリング項目について、来年度の調査会での報告をお願いいたします。併せて事務局におかれましては、血液事業部会への報告をお願いしたいと思います。
 それでは、議題4「その他」に移りたいと思います。今回、村井委員より、御勤務されておられる高校で学校献血を行った際の、参加された生徒の献血についての意識調査の結果について、また、海老名委員より、栃木県における若年層向けの献血啓発の施策について、御紹介いただきたいと思います。まず、村井委員からお願いいたします。
○村井委員 よろしくお願いします。本校では毎年11月に、校内で献血をしています。今回、生徒の意識調査をしようということで、76名という少ない人数ではあるのですが、協力者に対してアンケートを実施しました。校内での調査なので、資料として皆さんに見ていただくことは控えさせていただきました。ですので、口頭で簡単に紹介させていただきます。10代の献血推進ということで、高校生のなまの声を聞いて参考にしていただければと思います。簡単に説明いたします。
 献血の希望者は76名で、1年生、2年生、3年生で初回献血か、何回目かという回数の調査をしました。1年生はもちろん100%初回献血ですが、2年生になると6割が初めて、4割が2回以上献血をしている、3年生については4割が初めて、3割が2回、更に3割が3回以上ということで、学校献血の機会が複数献血につながっているということが分かりました。それを裏付けるものとして、献血をしようと思ったきっかけも聞いております。これは選択肢のある理由ではあるのですけれども、初回献血者は「社会貢献のため」が約3割、「学校でやるから」が25%、「血液検査等の結果を知りたい」という理由が11%という辺りが多かったです。複数回献血の生徒のきっかけとしては、「社会貢献」が約3割というのは初回献血の生徒と一緒ですが、「学校でやるから」「ポスターを見たから」という生徒が40%になっており、あと、「献血を続けているからやる」という生徒が10%です。なので、学校で献血をやる意義がこれでも分かるのではないかと思います。
 「今後も献血を続けようと思うか」という質問については、ほぼ100%の生徒が「次回以降も続けようと思う」という回答でした。その理由は、初回献血の生徒については「社会貢献」が6割で、次に多かったのが「思ったより痛くなかったから」というのが2割、そして約1割が、「血液検査の結果等が知りたい」でした。複数回献血の生徒の今後も続けようと思う理由は、「社会貢献」が7割以上で、「血液検査の結果等が知りたい」というのが1割でした。自分の家族が献血で助けてもらったので、その恩返しのために続けているという理由を書いた生徒もいました。
 若者の献血者が減っている、どうしたら献血に興味を持ってもらえると思うかということを具体的に記述式で生徒に書かせました。大まかに幾つかに分かれるのですが、一番多かった方法は、まずは献血を行う意義や重要性、現状などをとにかく伝えることが大切であると。あるいは自分の家族のように、献血で助かる命があるということ、実体験に基づいた話をどんどん紹介するべきである、手軽に社会貢献ができるということを伝えて、現状等を伝えることが大切という意見がとても多かったのです。それとは別に、どんな形で伝えたほうがいいかという意見もありました。その中には「講演などをするのがいいのではないか」という意見もありましたが、「学校の授業でやれば増えると思う」という生徒の意見もありました。
 実は、今年献血をしようと思ったきっかけに、「授業で話を聞いたから」という生徒がいたのです。ちょうど献血をアピールしているときに、生物の教員が1年生の生物の授業で、血液についての単元の授業をやっていました。そのときに献血について、ちょっと触れてくださったのです。事前に「資料、何かありますか」と、保健室にも聞きに来てくれたのです。その授業で話を聞いて、やろうと思ったという生徒もいましたので、授業の中で教員が献血について触れるということも、きっかけにつながるのだなということが分かりました。
 次に多かった方法は、これまでの目標にもあったような、著名人や芸能人、アスリート、漫画、アニメ等のコラボレーション、テレビやYouTubeなどの広告を増やす、SNS上での宣伝などでどんどんアピールしていくべきだという意見がありました。
 次に多かったのが、痛いとか怖いというイメージを持っている人がいるので、不安を軽減する広報活動が効果的だと思うと。献血というのは重苦しくないということをアピールする必要があるという意見もありました。
 その次に多かったのが、血液検査ができるとか、記念品やジュースがもらえるという献血する側のメリットを、もっと宣伝して分かりやすく知らせたらどうか、あるいは何かの待ち時間に、献血というのは本当に手軽にできるということをアピールしてもいいのではないかという意見もありました。
 その次に多かったのは、学校で実施しなければやらなかったので、学校や施設に呼び掛けるのが効果があるのではないかと。駅前で宣伝しているのを見かけるけれども、正直、献血に行くのが恥ずかしいという人もいると思う、でも学校や会社だと友達と気軽に行けると思うのでということで、学校での献血の機会が有効、いろいろな施設で献血をするべきだという意見も多かったです。
 そして「献血経験者が周りの人を巻き込んでやっていけばいいのではないか。来年は自分も友達と来るようにしたい」という意見を書いていた生徒もいました。その他の意見としてあったのですが、「行った人が誘うことでもらえる記念品を作れば、友達からの軽い誘いで献血人数を増やせるのではないか」という、具体的な案もありました。
 以上のようなアンケートを実施しました。この調査会で10代、高校生献血をどう増やしていくかということで、いろいろな意見交換や議論をしておりますが、その取組の裏付けとなるような結果で、高校生も同じようなことを考えているということが分かりましたので、この場で紹介させていただきました。以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。続いて、海老名委員お願いいたします。お手元の資料3にありますので、これを御覧いただければと思います。
○海老名委員 栃木県の海老名です。本日は貴重な機会を頂きまして、ありがとうございました。資料3に基づいて説明いたします。先ほど2020年度の献血のお話がありましたけれども、本県の状況を簡単に御紹介させていただきます。昨年度と比べると12月末までの時点で、全年齢を通して112.5%ということで、10%ほど増えています。中でもいわゆる10代、16~19歳は96.7%で、かなり多くの10代の方に御協力を頂いている状況にあります。栃木県は、もともと骨髄バンクの登録者数も大変多いという状況があります。こういったボランティアといったものに非常に関心が高い県民性が、もともとあるのではないかと考えております。そのような中、先ほど来お話にある若年層の取組についても、これまでにも栃木県で様々な取組をしてきましたので、御紹介させていただきたいと思います。
 「はじめに」で書いているのですけれども、栃木県で10代の方の献血が多いのは、先ほどもお話がありましたように、学校内での献血というのが、非常に大きい要因だと分析しています。毎年、9割以上の学校で実施していただいています。今年も予定どおり実施しようとしたところ、新型コロナウイルス感染症の影響がありました。それで見送った学校がある中でも、日程を調整して実施いただいた学校もありましたので、そういったところを御紹介させていただこうと思っています。
 最初のスライドの青い折れ線グラフが栃木県の状況で、オレンジ色が全国の状況です。かつては全国でも多くの都道府県で高校献血が行われていたと承知しております。本県においては一度下がった時期はありますけれども、基本的に高い割合で、多くの学校で高校献血が行われています。先ほども、学校でやる機会があればというお話がありました。そういう意味で本県では学校の御協力を得て、生徒さんが献血に触れる機会が年に1回はあるという状況が生まれています。
 次は、全国の状況です。これは他の都道府県を比較するわけではないので、県名は出せませんけれども、本県において100%ということがあります。全ての高校において献血の場を提供しているという状況が、10代の献血者が多い、非常に大きな要因だと分析しております。
 次のスライドは、高校献血者数の推移です。先ほどのグラフは学校の状況ですけれども、実際に高校で献血をしてくださる生徒さんの数です。こちらもやはり少子高齢化などの影響があり、下がってきているという状況にはありますけれども、おおむね横ばいできているということで、やはり学校で献血する機会があるということをもって、生徒さんたちが献血に足を運んでくださるという状況につながっているのではないかと分析しております。
 次のスライドは、高校生1,000人当たりでどれぐらいの方が献血をしてくださっているかということです。これは文部科学省さんのデータと日本赤十字社さんのデータを組み合わせたものです。栃木県においては1,000人の高校生がいると、そのうち133.7人の方が実際に献血に足を運んでくださっているということになっていますので、おおむね8人に1人ぐらいの方が御協力いただいているという状況になっています。
 次のスライドは言い訳になってしまってすみません。本県においては高校生に御協力いただくために、200mLの献血が非常に多く、400mLの献血の実施率で言うと、残念ながら全国では下位になってしまっています。高校以外の所ではなるべく400mL献血を推進しているということで、何とかカバーしようとしております。
 先ほどのお話にあった、学校の中で受けやすい環境を作る、あるいは献血の重要性を知っていただくということで、次のスライドにありますように、献血セミナーをやっていただいています。これは学校の保健委員の生徒さん、あるいは将来、医療系の分野に進学したいという生徒さんに御協力いただいて、献血セミナーを実施しています。その上で、次のスライドにありますように、その後に自分たちでポケットティッシに差し込むメッセージを作ってもらって、次のスライドにありますように、登校してきた同級生にそのポケットティッシュを配って、同世代の方が声掛けをしています。そういう取組をすることによって、献血の重要性を理解し、同世代の方が呼び掛けをして、接種しやすい環境を整えるということを、学校のほうでやっていただいているという状況になっています。
 次のスライドですが、そういう中で新型コロナウイルス感染症対策としては、例年だと下の参考にあるとおり、年1回ですけれども、今年は2回に分散してやっていただいた学校があります。、9月では約90名近く、2回目は100名を超える方が400mL献血を含めて御協力いただいているという状況になっています。
 次のスライドですが、高校献血については、今簡単に説明しているところですけれども、やはり学校側との連絡調整が非常に重要で、養護教諭の先生方の御協力を得ながらやらせていただいているところです。先ほどの実施率からいくと、本県はこれまでずっと全校で実施してきて、学校側とも連携がスムーズにできていますけれども、これから始めようとする都道府県は、なかなか大変かもしれません。しかし他の都道府県でも高校献血をやっている学校は、現在もまだあるかと思います。そういった学校のノウハウを他の学校に広げていくということを、教育委員会、日本赤十字社の方、衛生部局が連携してやることによって、うまく進むのではないかと考えています。本県においては献血推進協議会の中にも中学校長会、高等学校長会や私立学校の方にも参加いただいて、教育委員会等とも連携しながら、学校献血をはじめとする献血推進を議論いただいているところです。
 次のスライドですが、高校から年齢が進んでいきますが、大学などの方たちにも御協力を頂いて、若年者層の対応をしているところです。「かけはし」という学生献血推進連盟にも御協力を頂きながら、例えば上の写真にありますように、地元のラジオ局に出演いただいて、同世代の方に呼び掛けをしていただいています。
 最後に「まとめ」のページです。今後はやはり若年者層への対応というのが、非常に重要だと思っています。繰り返しになりますけれども、本県においてはいわゆる学校献血という取組をこれまで続けられていることが、他の都道府県に比べても非常に高い率で推移している理由だと考えております。本県の取組について、他の都道府県あるいは他の地域の参考になればと思っております。先ほどもお話があったとおり、高校生が献血をするきっかけになるのは確実だと思います。私自身も先般の全国衛生部長会で、日本赤十字社さんからお声掛けがあった場合には、衛生部局と教育委員会で連携した対応をお願いしますということを、各都道府県に呼び掛けをさせていただいております。是非、日本赤十字社さんからも各地の血液センターから各都道府県の衛生部局に御相談いただいて、教育委員会と連携を図っていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。説明は以上です。
○佐々木座長 どうもありがとうございました。ただいま村井委員、海老名委員から御紹介がありましたけれども、御意見、御質問等がありましたらお願いします。
○武田委員 武田です。お二人の先生方、今、10代の献血者が減っているという状況の中で、非常に重要な取組をされていると思います。紹介を頂き、本当にありがとうございました。そこで1点、お二人の先生方に御質問したいと思います。生徒の中には病気があったり、事前の問診等で献血ができない方もいらっしゃると思うのです。そうした生徒へのフォローというか、ケアを含めてどのような取組をされているかということをお伺いしたいのです。いかがでしょうか。
○佐々木座長 では、村井委員からお願いできますか。
○村井委員 実は本校では、受付まで来て献血ができない生徒というのは、大変少ないのです。ですので、受けられなかった……とか、御飯を食べてなくて、体調不良でという意味で献血ができない生徒はいませんので、特別にそのフォローはやっていませんす。お陰さまでそういう状況です。申し訳ありません。
○佐々木座長 海老名委員、いかがでしょうか。
○海老名委員 御質問、ありがとうございました。例えば、血色素の不足、あるいは問診事項で何かあった場合には、現場で問診医の先生が養護教諭と連携を取って対応いただいているというように認識しております。こちらのほうで特段、そういったところでトラブルがあるということは聞いておりませんし、通常学校の中で体調に配慮が必要なお子さんというのは、養護教諭の方がしっかりフォローしていただいていると思うので、献血の中で得られた新たな情報は、そういった活動の中で生かしていただいているのではないかと考えております。
○武田委員 ありがとうございます。人数自体は少ないかもしれませんが、例えば私も血友病で献血ができないという状況です。そういったお子さんも中にはいらっしゃると思いますので、そのときに友達同士や仲間内で何かあるようなことがないように、きちんとフォローしていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○村井委員 すみません。1点追加させていただいてよろしいでしょうか。今の件です。献血はやりたいけれども、自分はできないという生徒の相談がありました。そういう生徒もいるということで、保健だより等に献血の案内をするときには、できない事情がある場合には、献血を勧める、アピールするという立場で取り組んでほしいという文言は、必ず入れるようにしております。
○武田委員 ありがとうございます。是非、そのような取組をどうぞよろしくお願いいたします。
○佐々木座長 日本赤十字社のほうから一言お願いいたします。
○松田次長 日本赤十字社経営企画部の松田です。貴重なお話、本当にありがとうございました。埼玉県、栃木県については全国でも若年層の高い県であるというところで、なおかつこのような取組を行っていただいているということで、本当に感謝申し上げます。村井先生からのお話でいきますと、やはり若い方からのアンケートといった部分も参考にさせていただいて、今後取り進めていきたいと考えます。栃木県については、養護教諭の先生を中心にというようなお話がありました。地域によっては保健体育の先生という位置づけもありますので、保健授業にも絡むことを含めて、このコロナ禍の中で、正しく若年層の皆様方の献血のきっかけとなるような発信をしていただくことも有り難く思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。以上です。
○佐々木座長 村井委員、海老名委員、どうも貴重な話をありがとうございました。本日の議題は以上となりますが、ほかに何か御意見等はありましたらお願いいたします。
○柑本委員 柑本です。今の先生方の埼玉県、栃木県での取組というのは非常に参考になりました。本当に貴重なお話をありがとうございました。高校の段階でそれだけ動機付けられいるお子さんたちがいらっしゃるのでしたら、是非それは大学に入ってからも続けてもらえればと思うのですけれども、私自身が大学でいろいろ調べますと、やはり現状では、大学一体となって取り組むような感じには、なかなかなっておりませんし、どこの部署が統括しているかというのも、あそこではないか、ここではないかというような感じで、学内でも余り認識されていないような状況があるのではないかと思います。
 このコロナ禍において、今度は大学生にどういうように働き掛けるかということになりますと、赤十字社さんのほうでもいろいろお考えになっていらっしゃるとは思うのですが、多分4月というのが、大学生への働き掛けのすごく重要な時期になるのではないかと思います。神奈川のセンターのほうに問い合わせても、やはり4月の配車数はできる限り多くしたいというようなことをおっしゃっていました。また、通常授業が行われている間に配車するといっても、授業の合間の時間とか、食堂で講義がない時間の学生さんたちをつかまえるとか、4限の終わりに学生さんをつかまえるとか、ものすごく細切れな時間で学生さんたちをリクルートしてこなくてはならなくて、それはなかなか大変だと思うのです。この次の年度、大学に対して具体的にどういうように働き掛けをしようとなさっているのか、お考えがあったら赤十字社の方にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松田次長 御意見、ありがとうございます。経営企画の松田です。4、5月というのは全国でも学域を中心として献血を行う時期ですが、コロナ禍の中で中止となったことが全体的に大きく減少した一因です。これからどうなるかということではありますけれども、まずは大学に働き掛けるということはもちろん、現状がオンライン授業あるいは時間差の授業といったところで、地域でどういった体制で行っているのかという実態的な聞き取りが必要であると考えます。
 また、学校側では献血が受け入れが難しいということでありましたら、我々としては街頭あるいは地域の献血ということで、前回献血された方々に、メールや郵送物、電話などを利用した献血協力の御案内するということです。しかし、若年層確保の問題は、初回の方々です。学校初めて友達同士で献血を行うというところが1つのポイントなので、今、私どもでも学生のボランティアの位置付けが重要でありますので、学生ボランティアの方々とも密接に協議を整えながら、実際に同世代の方々がどう考えているか、どういうようにすれ献血のきっかけとなるのかなどを含めて取り進めていければと考えております。以上です。
○柑本委員 ありがとうございます。すみません。もう1点だけお尋ねしてよろしいですか。個人的に私の学部のことで言えば、ガイダンスの中で学生さんたちに働き掛けるというのが、多分、大学としては一番効果的なのかなと思います。赤十字社さんから各大学に対して、例えば新入生のガイダンスあるいは新学期のガイダンスの中で、こういったことを宣伝してほしいというお願いはされたりしているのでしょうか。
○松田次長 御質問、ありがとうございます。こちらについても、今日もこういった議題がありますけれども、各都道府県ごとに若年層の底上げという中では重要なポイントです。今後、全国の学校の状況を聞きとりを行いつつ対応していくことが必要と考えます。国あるいは教育委員会、文科省などとの連携をとり、今までとは違う働き掛けなども重要になってくるのではないかと考えます。以上です。
○柑本委員 ありがとうございます。
○佐々木座長 時間も押しておりますので、それでは事務局から何かありますか。
○菅原血液対策課長補佐 皆様、お時間ありがとうございます。最後に1つだけ申し上げます。冒頭で御紹介させていただいたとおり、委員の改選に伴い、本年1月25日付けで献血推進調査会において退任された3名の委員がいらっしゃいますので、改めて御紹介いたします。まず前任の座長でいらっしゃった衞藤隆前委員です。衞藤前委員においては、平成22年から血液事業部会の委員を務められ、また献血推進調査会では座長を務められるなど、献血推進において御活躍されました。次に花井十伍前委員です。花井前委員については、平成14年の血液事業部会から委員として、また献血推進調査会の委員として、18年もの長きにわたり御尽力いただきました。最後に、本日参考人として御出席いただいている田中純子前委員です。田中前委員におかれましては、平成21年から当調査会及び適正使用調査会において、疫学研究等の観点から、その御見識をお示しいただきました。退任されたそれぞれの皆様におかれましては、血液事業並びに献血推進について長年にわたりお導きいただいたことに、厚く御礼申し上げますとともに、お体を大切にされながら、今後の御活躍をお祈り申し上げます。以上です。
○佐々木座長 ここで退任された田中前委員より、一言御挨拶を頂ければと存じます。よろしくお願いします。
○田中参考人 田中でございます。10年間にわたり、委員会に携わらせていただきました。もともと献血事業に関しては、強い関心を持っておりました。貢献できたかどうか不安な点もありますけれども、今日は、皆さんの御意見を聞き、更に献血推進についての施策が進むものと感じました。これまでどうもありがとうございました。
○佐々木座長 どうもありがとうございました。では、本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。これからの調査会は、どうやって目標を達成していくかということについての議論を、しっかりとしていきたいと考えておりますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。どうもお疲れさまでした。