第6回 審査支払機能の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年1月22日(金)15:00~17:00

場所

AP新橋 4階 D+Eルーム
港区新橋1-12-9 A-PLACE新橋駅前
(オンライン開催)

出席者

構成員(五十音順)

議題

  1. 1.審査結果の不合理な差異の解消について
  2. 2.その他

議事

(議事録)
○姫野保険課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催いたします。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。会議中、御発言の際はZoomの機能で挙手をしていただくか、難しい場合には画面越しに手を挙げていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
次に、本日の出欠状況ですが、全構成員から出席との御連絡をいただいております。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 本日も、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。
回を重ねて、第6回となります。本日もお諮りする議題が多くございます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
なお、本日支払基金と国保中央会のヒアリングは予定しておりませんが、構成員からの質疑に対応していただくため、両機関からの御出席をいただいております。どうか活発な御議論をお願いいたします。
それでは、早速、議事に入ります。
まず、議題の1につきましては、前回に引き続きまして「審査結果の不合理な差異の解消」を議題としておりますが、これまでの構成員の皆様の御意見を基に、方向性のたたき台を事務局に用意していただいてございますので、御説明をよろしくお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。資料1について御説明をいたします。
ページをおめくりいただきまして、1ページだけのものでございますけれども、これまでの構成員の皆様からの多岐にわたる御意見、それから、支払基金、国保中央会からのプレゼンテーションなども踏まえまして、方向性の議論に資するためのたたき台として事務局にて取りまとめたものでございます。
ポンチ絵になっていますけれども、縦軸に審査のプロセスを書いてございます。まずコンピューターチェックをかけて、それに基づきまして、職員・審査委員で事務点検・審査を行っていく。そして、自動レポーティングによって差異の見える化を図り、コンピューターチェックの精緻化、あるいは職員・審査委員へのフィードバックにつなげていくというプロセスを記載してございます。
横軸に時間軸をとってございますが、まず一番上段、コンピューターチェックの部分につきましては、前回コンピューターシステムの部分で御議論いただいた際にもございましたけれども、支払基金のコンピューターチェックについては21年10月に向けて全国の統一を図っていくということでございました。国保総合システムにつきましても22年10月に向けて全国の統一を図っていくということでもございましたので、そういったことを記載してございます。また、24年4月に国保のシステム刷新を目指しまして、その際には支払基金と国保連の整合的なコンピューターチェックの実現ということも前回のコンピューターシステムの際に記載しておりましたので、同様の記載としてございます。それ以降につきましては、新たにコンピューターチェックルールを設けることもあるかと思いますが、一定期間後の統一を前提に設定していくという基本原則的なことも記載してございます。
2段目の事務点検・審査の部分ですけれども、前回この審査基準につきまして、基金、国保連合会の現在の基準の数などを御報告いたしました。ただ、その中身が重複しているものですとか、あるいは整合性が取れているかどうかといったもののチェックが現時点ではなかなか難しいということを申し上げたところでございました。このため、審査基準につきましては、まず重複や整合性を検証していくというプロセスが必要ではないかということで、こういった矢印を引いているところでございます。
また、並行してこういった審査基準の統一については現在も取り組んでいるところでありますけれども、その右側にありますように、例えば集中取組期間といった形でこの審査基準を原則全国で統一していくというプロセスもその次に考えてはどうかということで記載してございます。具体的な年限については現時点ではなかなか書き込めてございませんけれども、例えば24年4月まで検討を一巡するということですとか、あるいは統一を完了するまでに要する期間については、22年10月までにこういった検証をする中で確定していくという考え方でいかがかということで記載をしてございます。
その下に2行ほどございますけれども、具体的に審査基準を統一していくための取組といたしまして、現状でも連絡会議というものを設けまして、両機関の基準の調整をしておりますので、こういったものに引き続き取り組んでいくということを記載してございます。
また、委員の先生方から、支払基金と国保連の審査委員、同じ者が担えば差異が生じにくくなるのではないかという御意見も議論の中でございましたので、そういった点も踏まえまして、審査委員の併任を順次実施ということも記載してございます。
最後に、自動レポーティングの部分でございますけれども、支払基金でコンピューターチェックの付箋処理の差異の見える化をするということでこれまでもプレゼンテーションをいただいておりましたが、そういった内容を書いてございます。また、委員の皆様方からは、コンピューターチェック付箋がついていないレセプトについても何らかの形で対応してはどうかという御意見もありましたので、優先順位をつけつつ、コンピューターチェックを設定することで差異の見える化を図っていくという考え方も記載しているところでございます。
また、国保につきましても、24年のシステム刷新に合わせまして、支払基金と整合的な自動レポーティング機能を実装していくというスケジュール感を示してございます。それ以降につきましては、基金と国保連で共同で自動レポーティングを実施していくといった考え方を示しているところでございます。
資料の説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、挙手の上、御発言をいただきたいと存じます。
なお、この議題につきましては、これまでも御議論をいただいておりまして、その主な御意見も後のほうにつけております参考資料にまとめられております。このため、本日はこれまで御発言をいただいていない新たな内容に絞って御発言いただければありがたく存じます。
いかがでしょうか。
印南副座長、お願いいたします。
○印南副座長 これは本当に新たな論点かどうか自信がないのですが、質問なのですけれども、この取組の図表は予測なのでしょうか。それとも目標なのでしょうか。あるいは、実質的なスケジュールなのでしょうか。その性格がどういうものかということをお聞きしたいです。
それから、一番上の時間軸を見ると、23年4月から24年4月のところは半年ではなく1年空いておりまして、これはそれだけかかるからという意図で、この間は1年分の期間が半年分に縮めてあるという趣旨でしょうか。
以上です。
○菊池座長 事務局、いかがでしょうか。
○姫野保険課長 御質問ありがとうございます。
この資料の位置づけでございますけれども、もともと審査支払の差異の解消に向けた工程、取組といったものを議論いただくという前提で進めておりますので、そういった意味では、今後の工程あるいは目標といった趣旨で整理をしていきたいと考えてございますので、そういった観点から御意見を賜れればありがたいと思っております。
また、23年から24年のところが、確かに御指摘のとおり、同じ幅ですけれども1年分ということでございます。ここはどういう表記の仕方がいいのか、改めて整理をしたいと思います。
○菊池座長 印南先生、いかがでしょうか。
○印南副座長 いろいろな政府全体の動きを見ると、こういう取組はなるべく早くということだと思うのですが、23年4月から24年4月まで、ここは1年かかるということなのですねという理解でよろしいでしょうか。これはいろいろ調整されたと思うのですが、それは半年ではなく1年かかるという趣旨だということですよね。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。
この部分については、前回もシステムの部分で御説明しておりましたが、国保総合システムの刷新が24年4月ということで、そこを目指してコンピューターチェックの整合性なども図っていこうということでたたき台を示させていただいておりました。そういった意味では、24年4月に向けてというところが前回までの議論の到達点でしたので、それをこの資料でも記載したということでございます。そういった意味では、23年から24年まで時間がかかるであろうということを見込んでこういった記載にしている部分でございます。
○印南副座長 ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。確かにここだけ同じ幅で1年というのは、よく見るとやや不自然なような気もいたします。
ほかにいかがでしょうか。
河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
内容について特段の異論はございませんけれども、何点か要望を申し上げたいと思います。
まず、事務点検・審査のところで、審査基準の統一のための連絡会議による両機関の調整とございますけれども、これを迅速に進めるためには、国が統一に向けた見解を示すとか、早期解決に向けてリーダーシップを取るということが必要だと思いますので、よろしくお願いしたいというのが1点でございます。
それから、その下の自動レポーティングのところで、支払基金で見える化した差異を公表という記載がございますけれども、この公表、情報提供というのは定期的にきちんと実施していただきたいというのが2点目でございます。
なお、再審査結果の不合理な差異についても解消が必要であるということを従来から申し上げておりましたけれども、一番下の※1は、再審査請求が多いものについては自動レポーティングの対象にし、差異の見える化をして審査基準の統一化をしていただけると読めますので、これは大変重要な話でございますので、順次拡大とございますが、なるべく早くよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。御要望ということですが、事務局のほうで受け止めていただくということでお願いいたします。
森構成員、それから、佐藤主光構成員の順番でお願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
今回、審査結果の不合理な差異の解消に向けて、支払基金と国保連の審査委員の併任ということが挙げられております。併任することにより、それぞれの機関での審査のプロセスであったり、加入者の属性を踏まえた審査の在り方などを確認することができますので、差異解消に向けて意味があることではないかと思います。
ただ、そのためには、併任できる審査委員の体制の整備が必要なのではないかと思います。支払基金においては、平成23年から、調剤報酬明細書の審査機能強化のために薬剤師が審査委員として関与する体制となりました。当時、たしか各県3名の体制でスタートしたと思うのですけれども、現在も各県3名の審査委員が審査に当たっています。当時と比べてレセプトの件数が大幅に伸びております。平成23年当時、年間約2.9億件であったものが、令和元年度約3.9億件となり約30%、1億件伸びています。審査委員の併任に当たっては、審査委員の体制整備をお願いしたいことと、また、今お話ししましたように、近年薬剤師1人当たりの審査件数の増加のみならず、調剤報酬明細書の審査の必要性が増大しています。薬剤師の審査委員の体制強化についても御検討いただきたいと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。確かにこの併任のところは今回初めて出てきたところかと思いますので、御意見として受け止めさせていただきます。
それでは、お待たせしました。佐藤主光構成員、お願いいたします。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございます。
1点質問と1点コメントになるのですけれども、1つ質問は、自動レポーティングのところの右下のほうでPDCAの状況を公表するとあるのですが、実際にこのPDCAというときに、誰が具体的にチェックをし、もっと一般的には、コンピューターチェックからレポーティングまでの3本を誰がどういう形で進捗管理をすると思えばよろしいのでしょうか。こういう感じの検討会をつくるのか、あるいは内部でやっていくのか。その辺り、進捗管理のチェック体制はどうなっているのかなということについてお聞かせいただければと思います。
もう一つは、例えば今、政府では政府共通プラットフォームを含めて、あと、デジタル庁をつくるとか、政府は政府でデジタル化を急速に進めています。先ほど御指摘があったと思いますけれども、これはそちらとの歩調は大丈夫なのですか。見た目、ちょっと時間をかけ過ぎではないのということもあると思いますので、できるだけ政府のほうのデジタル化と歩調を合わせることが必要かなと思いました。
最後のはコメントです。以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
事務局のほうからいかがでしょうか。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。
ここの自動レポーティングの結果の公表については、支払基金、国保連が共同でと記載してございますけれども、その後の結果のチェックなどはどうするかというのは、詳細について特に現時点で固めているものはございませんが、これまでの御意見、また、今日の御意見なども踏まえて、さらに検討を進めていくものと考えてございます。
○菊池座長 2点目は御意見ということではありましたけれども。
○姫野保険課長 デジタル庁との関係につきましては、今日の資料にはございませんけれども、前回提出させていただきましたシステムの整合性を図っていく資料の中で、デジタル庁との連携というものも記載させていただいていたところでございます。そういった意味では、当然、政府全体のデジタル化の推進とも足並みを揃えながら進めていくべきと考えてございます。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
それでは、佐藤好美構成員、お願いいたします。
○佐藤(好)構成員 ありがとうございます。産経新聞佐藤です。
素人である患者の立場から発言させていただきます。
1ページ目の真ん中あたりに、審査基準統一のための連絡会議による両機関の調整とあるのですけれども、基準を統一したり調整したりするというのは緩やかなルールをつくっていくということではないかと思います。ここでの調整を、例えば療担規則であるとか、Q&Aであるとか、ちょっとよく分かりませんけれども、意識的にルールに反映していくようなことができるのかどうか、御検討いただければと思いました。
とりわけ、古い治療について御検討いただけないかと思いました。といいますのは、例えばがんの患者団体から、相談事業の中で「今時そんな治療を受けているのか、と驚くケースがある」というような話を聞くのです。がん治療はルールが極めて厳密で、しかも、順守率も高い分野ですのに、そういうことがやはりあるというのは驚くところです。例えば9割方のお医者さんが古いと思うような治療は、少なくとも医師の方にアラートが出たほうがいいと思っていて、そういったものがこうした機能の中でできないのだろうかと思います。
診療報酬改定のときになくなっていく項目はあるのですけれども、ごくわずかで、一方で、新しい治療については、例えばオプジーボが登場したときに学会とPMDAと厚生労働省が適正使用ガイドラインをつくったようなケースがありました。私、あの取り組みを高く評価しているのですけれども、当時、皆さんの頭の中にはイレッサがあったと思うし、コストがあったと思うのです。それに比べると、古い治療を整理するルールづくりは、エネルギーの割にコスト削減にもならないですし、被害も目立たないので見直しが放置される傾向にあるのではないかと思います。患者のためには、9割方の医師が古いと思うのであれば、落ちていくか、どこかの時点で審査支払の機能を通してそういう治療を行われるお医者さんにアラートが出るような仕組みにできないかと思います。
ぜひ、こういった調整や差異の解消に向けた取組の中で、そういったルールとかアラートの仕組みを厚生労働省でつくっていくようなことができればありがたい、と思いました。御検討いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
保険給付の範囲にも関わるようなお話かなと思いましたが、いかがでしょうか。
○井内医療課長 医療課長でございます。
今いただきました御意見の中で、まず連絡会議による調整の結果をどうしていくかということは、個別にそこは見させていただきまして、できるだけ柔軟な対応を考えております。御指摘がありましたように、Q&Aを出すとかというようなことも含めて、我々医療課のほうから出したほうがいいのか、それとも、基金や国保中央会のほうでのルールづくりの中でやっていただいたほうがいいのか、その辺は十分見極めた上で対応させていただきたいと思います。
もう一つ出ておりましたいわゆる古い治療への対応ということは、ここの議題とは少し違うのかなとは思っております。今御指摘がありましたようなこともありますし、ただ、そういった治療が実際に行われて効果も出ているというようなところもあって、そういった中で、消してしまうとその治療は保険の中では全くできなくなるというような側面もあるということです。ただ、我々のほうとしても、時代に合ったもの、学会等もガイドラインをどんどんアップデートしております。あと、各学会から改定のたびにそういった要望もいただいております。そういった中で、我々としてもしっかりと実情を踏まえた上で、どういった範囲を保険の診療報酬の中で見ていくかということは、我々も日々努力させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、平川構成員、お願いいたします。
○平川構成員 今までの御意見はそのとおりと思うのですけれども、私は1つ心配なことがありまして、たしか国保連が2030年までかかるというようなことが最初のほうの御報告にあったと思うのです。それがいつの間にか消えてしまって、2024年で持っていくような話になっていますが、国保連のほうはその件についてどのような見解なのか教えていただきたいと思いまして、質問です。
○菊池座長 よろしくお願いいたします。
○原国保中央会理事長 中央会理事長でございます。
前回12月24日に私どもの国保総合システムの更改の在り方について、本検討会で御議論いただいたときの内容でございますけれども、私どもとしては、当初は、最終的な姿としては2031年度ということで、この検討会でも考え方を御説明しましたけれども、ちょっとスピード感がないのではないかというようなことで、12月24日での厚生労働省の事務局の提案では、まずは2024年に私どもの次期更改がやってまいりますので、そこでは支払基金さんの新システムの中の受付領域を国保のほうに導入するとともに、クラウド化をやらせていただく。
その上で、いつということではありませんが、2031年度というような少し先ではなくて、もっと早くできるところから支払基金さんと私どものほうで共同開発し、そして、最終的には共同で利用するという方向で、スピード感を持って開発を進めていくと。
その結果、それが最終的に何年になるかはやってみないと分からないのですけれども、少なくとも2031年度は遅いというような御指摘があり、厚生労働省からの御提案がありましたので、私どもとしてもそういった方向でこれから努力をしていきたいと考えているところでございます。そういった経過であったと理解をしております。
○菊池座長 平川構成員、何かございますか。
○平川構成員 これは国保も社保もそうですけれども、保険料にいろいろなシステムの費用がはね返ってくる。それがスピード感を高めたためにまたその負担が増えるということがないように、ぜひ国のほうも、国策を進めるのであれば、お金の面でも支援をしていただくようなことについては御検討されているのでしょうか。
○菊池座長 いかがでしょうか。これは事務局のほうですかね。
○森田国民健康保険課長 国民健康保険課長です。
中央会のほうからそういう御要望はもちろん受けておりますので、政府全体のデジタル化という流れの中で、かつスピード感を持ってということが政府全体の方針ですので、そういう中でどう対応ができるかしっかり考えたいと思っております。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
それでは、お待たせしました。横尾構成員、お願いいたします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
このことについては、スケジュール表も示していただいてありがたいと思っています。
意見としましては、前回ペーパーも出しましたし、少しコメントも添えましたけれども、ぜひそこに書かれている内容で、実務者、実務レベルのことをしっかり踏まえながら対応していただくのが重要と思っています。
その上で、3点だけ意見を言います。
一つは、今後このことを進めながら、次々にいろいろな気づきが発生したりしてくると思うのですけれども、スケジュールどおりきっちりやるというのが大前提だとしても、スケジュールを守ることを急ぐために、あらゆるところに課題が残ったまま前に行ってしまうと、後々トラブルが出たりしますので、ぜひ柔軟でかつ的確な対応ができるような姿勢の中でやっていただくのが重要かと思っています。取りあえず手直しをして前へ進んでいっても、根本的なものが解決していないと絶対に後でトラブルが出ますし、今回の場合は両審査機関に関わることは全国と関係しますので、ぜひそこは柔軟で的確な対応をしていただくことが物すごく大事だと思っています。
そういうことを踏まえながら、2点目ですけれども、問題を解決するときに当たっては、政府も進めておられるデジタル改革という大前提、第一の基盤となるものがありますので、この問題はデジタルソリューションとしてどうあるべきかということをぜひ専門の知見なども入れながら考えていただくことがとても大切だと思っています。当座の手作業で解決するとか、取りあえず目の前のことだけ解決ではなくて、根本的にどうなるかということを踏まえながら、デジタルソリューションを施行するということを2点目にお願いしたいと思っています。
最後、3点目ですけれども、私はITとかAIの専門家ともお会いしていますが、聞くと、AIなどの分野は4~5年で大進化していく分野ということなのです。だから、5年前と今と、そして、5年後の段階を考えていくと、大きく変化、進化していくだろうと思います。この1年ほどはコロナの影響があってそういった話題が少なくなっているのと、展開がなかなか見えない状況になっていますけれども、センシング技術とかと融合してIoTでつないでお互いのメリットがあることを相乗効果で何倍にもしていくという加速度的な変化が起こると想定されているそうです。
それから見ていくと、今、我々が2年後、3年後、5年と考えた計画というのは、ひょっとしたら途中で時代遅れになる危険性もあると思うのです。ですから、IT、IoT、AIがどのように進化するかということを片方ではにらみながら、これは多分デジタル庁の分野とか厚生労働省においてもその分野の方々がウオッチされると思うのですけれども、ぜひそのことも踏まえながら、今後推進については御尽力いただきたいとこれから期待したいと思っています。
以上です。
○菊池座長 いずれも貴重な御意見、ありがとうございました。
それでは、岡﨑構成員、お願いいたします。
○岡﨑構成員 ありがとうございます。
前の会議でも申し上げたので少しかぶりますけれども、やはり市町村の保険者にとりましてはコストの問題が出てまいりますので、課題としてはスケジュール感とコストの問題。特に国保総合システムを含めてシステム開発の負担は市町村負担になって、最終的には保険料負担になりますので、その点はまた十分御留意いただきたいということと、前回にも要望しましたけれども、国に対してはそういう意味で国からの支援ということも改めて要望しておきたいと思います。
スケジュールの問題だけではなくて、いろいろ進めていくと最終的にコストの壁というものが出てくるので、今、事務協議で、それぞれ厚生労働省も入っていただいて、基金と中央会と進めているはずなのですが、そこはまた一定の御配慮をいただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。スケジュール感とコストの問題、それに対する国の支援の在り方という先ほども御意見をいただいたところで、重ねて御意見をいただいたと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
神田理事長、お願いいたします。
○神田支払基金理事長 先ほど河本構成員からお尋ねのありました件ですけれども、今後のコンピューターチェックをしっかりと設定していってほしいということですが、1ページの注にある348項目というのは今年6月までを目途に精査してコンピューターチェックをしていくということで考えておりますので、レポーティングの対象を広げるために、今後は査定の箇所数や支部数などの基準を下げて対象を広げていきたいと思っております。
それから、1点は要望ということなのですけれども、1ページ目にあります審査基準の統一に向けて連絡会議で両機関の調整をするということについてであります。今、この連絡会議にかける前に、国保連もそうですし、私どももそうなのですけれども、8割の取扱いがそろったものをお互いに取扱いを決めて意見交換をするとなっているわけであります。そういう意味で言うと、38都道府県の取扱いがそろって初めて取扱いを決めてお互いに意見交換をするということなのですが、今後、支払基金は令和4年10月に組織改革がありまして、審査結果の不合理な差異を解消するために事務点検を行う職員を全国14か所に集約して、一人の職員が複数の都道府県の審査を担当する。従前ですと、保険者から再審査請求があって初めて差異に気づくということであったわけでありますけれども、今後はそういう複数の都道府県を担当する過程で同じブロック内にある差異に日々気づけるようにして、それで問題があるものについては各都道府県の審査委員の代表で構成される内科、外科、その他の科、歯科といった診療科別ワーキンググループで調整をしていただくというスキームを考えております。
そういう意味で、今後、支払基金としては、同じブロック内である都道府県については疑義付箋を付しても査定となるけれども、ある都道府県では請求どおりとなってしまうということですと、拠点に配属される職員の仕事が回らなくなりますので、できるだけまずブロックの中で取扱いをそろえていきたい。それを診療科別の組織と診療科別のワーキンググループでそろえていきたいと考えております。
ブロック間の差異が生じることのないように、ブロック間で差が生じた場合には本部の検討会でしっかりと調整していくようにしたいと思っているわけでありますけれども、今後、審査結果の不合理な差異を解消するために、今申し上げたような組織改革を行って枠組みをつくりますので、例えばブロック間で取扱いをそろえるときには、それを国保のほうに投げさせていただいて、決めて間もないうちに、早い段階で現場に近いところで調整できるように、私どもの組織改革をした新しい仕組みを活かした調整の仕組みというものをぜひ併せて検討していただきたいと思っております。最終的な両機関の調整の枠組みとしてはこの連絡会議が重要であるということについては、そう思っておりますけれども、そういう意味で言うと、早い段階で現場に近いところで調整できるような枠組みの検討を併せてお願いしたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、原理事長のほうからお願いいたします。
○原国保中央会理事長 支払基金の神田理事長から御発言がございましたので、私ども連合会としても御説明をさせていただきたいと思います。
私どものほうも全国8割ルールで統一をしているということでございますが、基本は、全国に8ブロックございますけれども、そのブロックの連合会がまずは調整できるものを出し合って、その調整の中で全国に上げていくというプロセスを経ていますので、基本的には支払基金さんが指向される方向と同じようなことを既にやっております。
先ほどの支払基金さんからの御提案は、実は現在でも都道府県ごとにある程度は連合会と基金の支部の間では意見交換、協議が行われているようでございますけれども、それをさらに精力的にやっていく。もうちょっとシステマティックな仕組みにしていくことが必要かと思っております。その上で、今、御提案があったブロック、これはまだ私どものほうに具体的に協議をいただいていませんで、今初めて聞きましたが、そういうような御提案であれば、私たちとしても協議にはもちろん応じていきたいと思います。ただ、難しい問題は、支払基金さんの考えておられるブロックの単位と私たちのブロックというのは違ったりしておりますので、その辺、どうやって調整をしていくのか。そこはこれから我々審査機関同士できちんと実務的に詰めていかないと、そうそう簡単なことではないかなという気はしておりますけれども、集約の仕方としては一つの御提案ではないかと思いながら、今、御発言を聞いておりました。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。この場での支払基金の組織改革として、それに対しての国保側の前向きな受け止めをいただけたのかなと思います。
もともと河本構成員の御発言に対するお答えだったかと思いますが、河本構成員のほうから何かございますか。
○河本構成員 ありがとうございます。
先ほども申し上げましたけれども、自動レポーティングのところについてはできるだけ幅広に対応していただけるということでございますので、期待しております。よろしくお願いします。
以上です。
○菊池座長 ほかにはよろしいでしょうか。
ないようですので、この議題につきましてはここまでとさせていただきます。
続きまして、議題の2「その他」でございますが、資料2から5まで4つのテーマがございます。1つずつ扱っていきたいと思います。
まずは「オンライン請求の促進に向けた対応の方向性」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。資料2「オンライン請求の促進に向けた対応の方向性」について御説明をさせていただきます。
まず1ページ目でございますけれども、前回提出させていただいた資料でございます。紙レセプトを少しでも減らしていけないかということでございますけれども、現状、どこで出てきているかということを申し上げますと、左側、保険医療機関側からオンライン請求をしていただいた場合であっても、審査支払機関で審査して返戻をするという場合にオンラインと出力した紙レセプト両方で返しているということでございます。そういったわけで、それに基づいて再請求をする場合には紙レセプトの選択がなされていることが多いということかと思います。もう一方、右側でございますけれども、保険者の方々から再審査の申出をいただくときも、出力した紙レセプトの選択が可能になっているということでございます。
2ページ目でございます。こちらも前回提出させていただいた資料を基にしておりますけれども、前回は医療機関側と保険者をまとめて課題ということで一枚にしておりましたけれども、医療機関等と保険者を分けております。
2ページ目が医療機関等における課題でございまして、システム上の課題と業務上の課題ということでございます。システム上の課題につきましては、システム上オンライン請求の機能が備わっているものが多いということではございますけれども、それを活用していない、使っていないということで、それを開放する必要があるということが1点。あとは、そもそもその機能が備わっていないところも一部あるということでございます。
あと、業務上の課題といたしましては、やはり紙を活用したものが業務フローとして定着しているということもございます。オンラインでやるときも、一旦レセプトのデータをダウンロードしてきてオンライン請求端末にダウンロードするわけですけれども、それをレセコンにUSBなどを使って別途読み込ませる必要があるということもございますし、医師の方に紙で持っていって修正を依頼するというところがある程度定着しているところがあるということかと思っております。これが課題ということでございます。
続いて、3ページ目が保険者側における課題でございまして、同じくシステム上の課題と業務上の課題があるということでございます。オンラインの対応機能が備わっているけれども、それを開放していないという話と、その機能に関する改修が必要になる場合があるということがシステム上の課題です。
あとは、業務上の課題といたしまして、これも紙をある程度ベースにしているところがあるということ、紙も使われているということかと思います。
そういったわけで、4ページ目、今回提出させていただいている資料になりますけれども、今後どういう変化が予定されているかということで資料をつけさせていただいております。
一つは、この3月からオンライン資格確認というものが始まるということでございますし、10月からはレセプトの振替という仕組みが始まるということでございます。これが一定のインパクトがあるだろうと考えておりまして、レセプト振替というものにつきましては、具体的には医療機関側が把握した医療保険の資格と、保険者側で把握している資格にタイムラグが生じることがあるということでございます。転職などをした場合に資格の喪失が起こったりするということでございますけれども、そういったいわゆる資格喪失後受診の場合などについて、医療機関側からレセプトを請求するわけですけれども、資格喪失後受診ということで医療機関のほうに資格過誤であるということでレセプトが戻っていくことになります。
一方で、このレセプト振替の仕組みが始まりますと、資格誤りのものにつきましては医療機関のほうには返戻をせず、審査支払機関のほうで振替をするということになります。もちろん資格がないというか無保険ということもあり得ますので、完全にゼロになるというわけではないとは思いますけれども、相当程度資格過誤に関するものが減っていくということかと考えております。
そういったわけで、このオンライン資格確認の仕組み、レセプト振替の仕組みが導入されることによって、資格過誤によるレセプト返戻が削減されるということでございます。
それでデータとしてお示ししているのがこの資料でございまして、保険者、公費実施機関から支払基金に再提出されているレセプトの数字でございます。
具体的なメッセージというか、読み取れることとしては、右下に字で書いてございますけれども、保険者が提出している年間1139万件のレセプトのうち、赤枠で囲ってございますけれども、資格過誤返戻が145万件を占めているということでございます。また、保険者に請求した後に保険医療機関に返戻されるレセプトが205万件ございますけれども、このうち資格過誤に関するものが145万件を占めるということでございます。この205万と145万の差分は保険医療機関側からの申出によるレセプトなども含まれているということでございます。これが一つ今後の動きとしてあるということでございます。
続いて、5ページ目でございます。同じくオンライン資格確認が導入されて、医療機関・薬局におけるシステムがどのように少し変わり得るかということでお示ししております。
1つ目の○でございます。これまでということで、左下の図になりますけれども、オンラインの請求をする端末と院内/局内のネットワークが切り離されているのが一般的であったということでございます。これはレセプトのオンライン請求のガイドラインというものがございますけれども、その中で他システムとネットワーク接続をする場合には他のシステムからの悪影響を遮断することというような記載がなされておりまして、それを踏まえてある意味厳重に管理をするということかと思いますけれども、分離させることが多かったと理解をしております。
そういったわけで、レセプトが返戻で返ってきますと、これを電子媒体で処理するためには、一旦オンライン請求端末にデータをダウンロードした上で、それをUSBなどでレセプトコンピューターに移すということが行われていたということでございます。これはそもそもオンライン請求自体が月1回程度ということであったと思いますので、その都度USBでやり取りをすることが比較的多く見られたということかと理解しております。
一方で、今後ということになりますけれども、2つ目の○、また、右下の図になりますが、オンライン資格確認というものが導入されます。そうしますと、ルーター、ネットワークを制御する機器を介してということになりますけれども、資格確認端末、オンライン請求端末とレセコンといった院内システムがつながることが一般的になってくるということかと考えております。引き続き別の端末ではありますけれども、USB以外にもルーター経由で回線がつながるのが一般的になりますので、USB以外の連携も可能になるということかと考えております。例として書いてございますけれども、共有フォルダなどをオンライン請求端末につくって連携するということもあり得るのではないかということでございます。こういった形で少し院内のシステムが変わり得るということでございます。
以上を踏まえまして、資料6ページ目になりますけれども、前回も御説明させていただいたとおり、大きい流れとして社会全体としてデジタル化を進めているという中で、医療保険事務についても効率化を図っていきたいということでございます。そういう中で紙レセプトを極力減少させていくということもございますし、また、オンラインの請求をしていただくとそもそも管理がしやすいとか安全だとか、受付時間が長いといったメリットもあるので、こういった機にオンライン化を進めていけないかということでございます。
そういったわけで、2つ目の○になりますけれども、オンライン資格確認やレセプト振替によってそもそも返戻が大きく減っていくということと、手続、院内システムも少し変わって楽になる部分がある可能性があるということでございまして、そういった状況を踏まえて、医療機関側、また、保険者側について、ある意味歩調も合わせながら紙媒体を減らしていけないかということでございます。
下の図になりますけれども、2021年、今年10月からレセプト振替が始まるというタイミングを一つ機会としまして、医療機関・薬局側につきましては、オンラインで請求を行っている医療機関についてということでございますが、紙媒体とオンラインで戻しているものについて、紙媒体による返戻をなくしてはどうかということでございます。その上で、その1年後、2022年10月以降になりますけれども、再請求についてもオンラインでお願いできないかということでございます。また、保険者側につきましては、同じく今年10月から大規模保険者をまずということで、オンラインでの対応をお願いしたいということと、その1年後、2022年10月から保険者の皆様方についてオンラインでの提出、再審査の申出をお願いできないかということでございます。
以上につきましては、下の※で書いてございますけれども、レセプト振替で実際にどの程度資格過誤が減るかというところもあると思いますし、システム改修とかシステムの影響、また、実際に定着しているフローというものもあるかと思いますので、そういったものも踏まえて進めていくことが必要であると考えております。また、前回も紙も含めたフローの定着ということについて御意見を非常に多くいただいておりましたので、そういったことも踏まえて進めていきたいと考えております。
資料2については以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問などをお願いできればと存じます。
松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。松本です。
前回、私、医療現場でなぜ紙で対応しているかを把握して、ペナルティーや義務化ということではなくて、自然と紙レセプトが減る、現場に負担をかけない対応策を検討していただきたいと申し上げたわけであります。
6ページの対応案を見ますと、オンライン資格確認の仕組みが導入されることで資格過誤返戻が減るから、期限を切って例外の余地なく返戻は全てオンラインだけにするという厳しいもののように感じます。4ページにありますように、年間205万件の返戻のうち、資格過誤145万件がオンライン資格確認によって一体どのぐらい減ってくるのか、本来はその効果を見極めた上で再請求のオンライン化に取り組めばよいのではないかと思います。
また、医学的判断が必要な返戻につきましては、医療機関では事務の人が多忙な医師に確認する際には結局紙に打ち出して見てもらうという行為がなくなりません。現場で実際にどのような返戻に対して対応しているかというと、例えば返戻は医療機関は全部、かなりの枚数、複数のレセプトが残ってくるわけです。それを事務の方がいろいろな部署を回って返戻に対して対応する。その1レセプトに対して一人の医師だけで関与しているわけではありません。複数の医師や、あるいは医療関係者が1レセプトに関係していることが非常に多いです。
前回、私は電子でも紙と遜色ない修正方法で対応できるようになれば現場も受け入れやすいとも述べました。現在、レセコン業界はオンライン資格確認に対応するため、様々な検討を行っているのだと思いますけれども、返戻後の再請求を紙と遜色ないもので行えるような改修までは予定されていないと考えております。顔認証端末や資格確認パソコンの実際の機械がまだ現場に届いていない中で、これから医療現場で導入の混乱がある程度予想されます。もし強引に返戻の電子化を義務化させるならば、例えば保険情報だけでなく、返戻データも自動でレセコンに取り込んで修正して再送信できるような仕組みとするなど、自然と紙が減る、現場に負担をかけないで対応できるような策を本気で実現させていただきたいと思います。
コロナ禍で医療機関は国民の命と健康を守ることを最優先に日々尽力しております。新型コロナの終息がまだ見えない状況において、費用と手間をかけて、期限を決め、強引に進めるメリットは現場では全く感じておりません。もう少し血の通った対策を取っていただきたいと思います。また、振替開始によるそういった効果をまず見極めた上でやるべきであって、ただオンライン化するというだけで、返戻が減るということはないだろうと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。案に対して厳しい御意見をいただいたかと思います。
続きまして、岡﨑構成員、お願いいたします。
○岡﨑構成員 現場のそれぞれの医療機関にはいろいろ御負担をかけております。
保険者の立場から、ここに書かれていないことの課題が1点ありますので、少し申し上げたい点がございます。
各都道府県の連合会ですけれども、それぞれの医療機関から、現在は資料の1ページでいうと紙レセプトの返戻の戻しということになっていますけれども、実は医療機関ベースで御提出を受けますものについては、この返戻の紙レセプト以外にも磁気媒体がありまして、例えばCDとかDVDへ入れたものを御提出いただくということもあります。それが医療機関の数ベースでいうと全請求の約3割。または、レセプト件数ベースでいいますと、全請求の約2割が磁気媒体でそれぞれ保険者側が受け付けております。その中でもいわゆるオンラインではない部分が実はこの外側にもあるわけですので、当然オンライン請求というところに改善していくということであれば、こういうような磁気媒体での提出の部分もオンラインに順次移行していくという作業が必要になりますので、その点、記述はありませんけれども、そういう御配慮もお願いしたいということを保険者の立場から1点申し上げておきたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございました。
磁気媒体に関して今御指摘がありましたが、これは事務局から何かコメントはありますか。
○大竹保険データ企画室長 磁気媒体につきましては、今回の資料の中には含めておりませんけれども、要は支払基金なり審査支払機関側から戻すときに、オンラインでつながっていないので、どうしてもそこは紙にならざるを得ないところなのかなと思っております。ただ、磁気媒体のところも含めてですけれども、オンライン請求そのものは我々としても推進していきたいということでやっておりますし、今、オンライン資格確認の仕組みを始めようとしておりますけれども、併せてオンライン請求もお願いしていくというか、これを機に導入していただいてはどうかというような働きかけもしております。また、補助金の対象にもしておりますので、そういった形でそもそもオンライン請求自体を推進していきたいと考えております。
○菊池座長 それでは、進めさせていただきます。
大石構成員、森構成員、木倉構成員の順番でお願いいたします。
まず大石構成員からお願いいたします。
○大石構成員 ありがとうございます。
これは私、前回のときに申し上げたのですけれども、要は、複数の機関、複数のプレイヤーをまたがっているプロセスがあるときには、一部分だけを効率化しても全体の効率化にはならなくて、やはり医療機関側も保険者側もできるだけ紙をなくすということは必須だと思います。なので、いろいろ課題はあるかと思うのですけれども、基本的には進めるという方向性を強い意志を持ってやるべきだと思っていて、そのためにどうすればいいのかということに力を注いだほうがいいのではないかなと思っています。
ですから、資格確認のところがかなり変わっていく中で効率化するであるとか、そもそも紙で返戻が来るから紙で返しているところを、紙をやめてみたらどの程度減っていくのかだとか、あと、当然システムのベンダーさんも医療機関側で最も効率よく運用できるような仕組みを考えてもらわなくてはいけないのですけれども、これが目標であるということを言わないと動かないので、目標としては紙をなくしていくのだ、大体いついつまでにやっていくのだということはきっちり決めていくべきだと思っています。
あと、その結果、確かに医療機関側で負担がかかるかもしれないのですけれども、医療事務の方々の一番大きな仕事というのは、きちんと請求を上げて正しくお金をもらえるということなので、そこで、手間と言えば手間なのですけれども、プリントアウトして、これをドクターの分だけコピーを取って回ってきちんと記入してもらう。手間ではあるのですけれども、本来業務だと思いますので、ここはやっていただくということではないかと考えています。なので、これはぜひ実行していただきたいと思っています。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。
2ページに医療機関等における返戻再請求のオンライン化を進める上での課題が示されていますが、システム上の課題が解決できないと、そもそもオンラインによる再請求はできないのではないかと思います。また、業務上の課題が解決できない中で進めると、薬局の業務負担という点で、デジタル化によるメリットではなくデメリットになってしまうと思います。まずはシステム上、業務上の課題を解決することが先で、解決した後に、ここにあるスケジュールのような内容で進めるのか、検討していくべきだと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、木倉構成員、お願いいたします。
○木倉構成員 ありがとうございます。協会けんぽの木倉です。
この資料の4ページで協会けんぽの状況を見ていただきますと、単一の保険者ということもありますので、支払基金のほうからは一律に、画像データとテキストデータを併せて送っていただいていろいろ分析できるのですが、それでもピンク色の部分が少しずつ残っております。
資格過誤の部分は、今のお話のようにオンライン資格確認がスタートして、それが普及していけば減っていくものと思っておりますが、左側の保険者再審査の部分について、6ページの御提案の一番下にもありますが、再審査の申出で残る部分として、括弧の中に「紙媒体で請求されたレセプトに係る再審査申出を除く」とあります。これは今の実態として、過去の経緯がよく分かりませんが、医療機関から支払基金に紙レセで請求されたものについては、我々には画像データとテキストデータで送っていただいているのですが、点検等が終わった後、再審査の申出をするときには、我々のほうで紙に印字して戻す仕組みになっております。支払基金との間でこれが合意されてきたのだと思いますが、支払基金から我々に送られてきているのが画像データとテキストデータであれば、これも支払基金までそのまま紙にせずに再審査申出をさせていただいていいのではないかと思います。
もちろんお互いにシステムの改修等が必要にはなってまいりますが、これからのことを考えますと、支払基金との間では再審査申出も返すほうだけは紙ということではなくてやらせていただければ、我々の手間も減ります。医療機関さんの間も紙媒体での請求というのもまた別途の議論として解消を図っていく必要があると思いますが、ぜひこの点の改善はともにやらせていただきたいと思っております。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
続きまして、黒田構成員、河本構成員の順でお願いいたします。
まず黒田構成員、お願いいたします。
○黒田構成員 ありがとうございます。
本日いただいた資料の6ページの手順に関して言うと、この手順で進めるのが適切であろうと私は考えます。基本的に、松本先生がおっしゃったように、確かに病院もしくは医療機関から戻すところについて、これでなければならないと言われると大変なことになるのですが、戻ってくるものを全て電子化するというのが今回の御提案だと理解していますので、それをまずする。その後の時間は、1年でできるのかどうかという議論はあると思いますが、一定の目標を設定するという意味では目標があったほうがいいので、「これは絶対ではないよ」ということでよいのではないかなと考える次第です。
その上で、2ページ目に医療機関側のシステム上の課題、業務上の課題とございますけれども、システム上の課題を考える上で1つ重要なポイントとして、これまでオンライン請求のネットワークに関わるような案件についてはセキュリティー優先で、利便性のところを全て無視していくような形で議論が進んできたと理解しています。結果として、オンライン請求のネットワークへの接続は非常に限られており、レセプトコンピューターがつながらないという事例が結構多かったと理解していますので、全体を設計し直す必要があるので1年ぐらいの時間でできるかどうかちょっと怪しいなと思いつつも、1年ぐらいの時間を一応目標として、そのときには条件がそろっているという形に持ち込むことが重要なのではないかなと考える次第です。
私の意見は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
資料の6ページにあるように、保険医療機関等からの返戻再請求等、保険者からの再審査申出、この両者の歩調を合わせつつ、紙媒体の削減を進めるべきであると考えております。
2021年10月から大規模保険者については再審査申出はオンラインによるという記載がございますけれども、そういうことであれば、一定規模以上の病院については、少なくとも資格関係についてはオンラインによる再請求とするべきではないかと考えます。
また、先ほど岡﨑構成員からもございましたけれども、現在磁気媒体によって請求を行っている医療機関がございますが、これについては早期にオンライン化を促していただけるように要望したいと思います。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、林構成員、お願いいたします。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
先ほど医師会の松本先生のほうからも御発言がございましたように、紙レセプトに関しましては、自然に電子請求に移行していくということに関しましては当然理解しておりますが、再審査請求も含めまして情報提供等で我々医療機関が再請求に対して返事をするにしても紙で見なければならないこともございますし、電子で返っている場合もそれをプリントアウトするということは本当によくある事実でございます。オンライン請求を含めまして、デジタル化の取組に関しましては、歯科におきましては特にそうなのですが、個人立が多くございますので、医療機関にとって分かりやすく説明していただいて、その取組に対して医療情報の共有などを含んでですけれども、インセンティブをしっかりとつけていきながら丁寧に説明していただきたいと思っております。
マイルストーンを示し、時系列でいろいろ議論はされておりますけれども、一旦止まって検証しながら、後戻りも含めて議論をしていただきたいと我々は考えております。デジタル化に関しましては、医療の生産性を高めるということは理解しておりますが、今後さらに進めていくに当たりまして、地域における医療提供がデジタル化の推進等で妨げられないように、審査支払機関も含めて、注意深く進めていっていただきたいと思っております。早々の紙レセプトの廃止ということに関しては強く反対いたします。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
松本構成員からお手が挙がっています。
○松本構成員 何人かの構成員の方から早くしなさいという御指摘をいただきましたけれども、現場の負担感からすると非常に無理があると思います。診療側としては、これを性急に進めることには断固反対いたします。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
様々な御意見をいただきました。
事務局からは何か。
○大竹保険データ企画室長 まさに様々な御意見をいただいたということかと思いますし、現場の負担感をしっかり考慮するようにというお話もおっしゃるとおりかと思いますので、そちらを踏まえてまた引き続き調整をさせていただければと思います。
○菊池座長 横尾構成員、どうぞ。
○横尾構成員 このことについては資格認証が一つポイントだと思うのですが、そこら辺はちゃんとできればメリットがあると思うのですけれども、それよりも手間とか現場の煩雑さとかいろいろな負担が大きいという御意見だったのですかね。何人かの構成員の意見は。
○菊池座長 様々な御意見をいただいたと思います。取りまとめに進まなければいけないので。
○横尾構成員 要は、資格が確認できないままに診療を受けてしまうと、保険対象にならない現実が生じてしまって、保険者からの給付ができなくなりますよね。そうすると、医療機関としてはいろいろ経済的にも困られると思うのです。それを是正する意味もこの資格確認はあると思うのですけれども、そういったメリットというのはなかなか御理解が難しいということなのでしょうか。
○菊池座長 ちょっと事務局から補足をいたします。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。
あくまでも私の理解ということになりますけれども、紙レセプトが発生している理由がいろいろあるわけですけれども、もちろん今御指摘のあったような資格に関する中身もあれば、医療の中身に関するものもあるということかと思います。なので、資格に関するものについてどこまで減らせるかということも当然ございますし、医療の中身に関するものですと、業務フローとして紙が定着していて、また、ドクターの方にとってもそれがやりやすいということかと思いますので、そういう流れの中でいかに負担をかけずに進めていくかということかと考えております。
○菊池座長 松本構成員、何かございますか。
○松本構成員 ちょっと誤解があるように思いました。今日、私ども診療側はオンライン資格確認について反対している発言はしておりません。それはそれで進めていただいて結構かと思っております。あくまで返戻の紙レセプトのところについて反対をさせていただいております。まずそれを性急に進めるべきではないという考えでありますので、現時点ではそこは反対しているということであります。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 横尾構成員、よろしいですか。
○横尾構成員 おっしゃっている趣旨は分かりました。
○菊池座長 様々な御意見を踏まえつつ、今、大竹室長からも、その中でも様々なものがある中で取りまとめに向けてどこまで集約できるかということで、引き続き御尽力いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まだ幾つかありますので、次に進ませていただきます。
レセプト原本データの一元管理の現状と課題につきまして、御説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。資料3につきまして御説明をいたします。
1ページを御覧いただければと思います。
こちら、その他のテーマの一つということで掲げてございますが、平成29年に策定しております支払基金業務効率化・高度化計画の中で課題とされていたものでございます。具体的には、再審査の対象となるレセプトに添付される情報について、審査支払業務を効率化する観点から、レセプトの原本データを関係者がやり取りするのではなく、関係者が原本データを参照するシステム構築を検討するということが課題とされてございました。これによりまして、どういう効果が期待されるかということと考え得る対応案を整理してございます。
まず、期待される効果でございますけれども、現在、レセプトにつきましては保険者さんに原本管理をしていただいておりますが、こういったものの管理コストがなくなるということが期待される点でございます。
また、2点目ですけれども、レセプトデータの送信事務の効率化ということも考えられてございます。具体的には、次のページを御覧いただければと思いますけれども、例えば支払基金における再審査の申出に係る業務フローを記載してございますが、保険者さんから審査が出てくる場合には保険者が管理しているレセプトを支払基金に申出をして送付すれば足りるということでございますが、下側にありますように、医療機関側から再審査の申出をする場合には、支払基金には原本がございませんので、一旦保険者に原本データの送付を依頼し、レセプトを送付してもらった上でそちらを審査する。その結果を医療機関、保険者両者に送付するという黄色の点線で囲った部分の手間が生じるということでございます。
次のページは公費負担医療の場合の例でございますけれども、公費負担医療の場合につきましては、原本のレセプトは保険者に送られており、都道府県などの公費負担実施機関については写しのレセプトのみが送られております。こういった場合には再審査を申し出る場合にやはり保険者さんから原本データを再度支払基金に送っていただくというプロセスが必要になりますし、また、下側にありますように、レセプトの中身といいますか、資格についての申出をする場合にも改めてレセプトを取り寄せないといけないといった手間が生じるということでございます。
1ページに戻っていただきまして、こういったやり取りが省力化されるというのが2点目の効果でございます。
また、3点目、こういった送受信の手間がかかる結果、時として保険者からレセプトが送付されるまでの間、再審査処理が保留されてしまうということもありますが、こういったことが解消されるのではないかということでございます。
考え得る対応案として2つ考えてございますが、電子レセプトのアーカイブ機能を支払基金として備えるというのが案1でございます。案2はもう少し小規模にするということで、写しのレセプトを一定期間支払基金において保存しておき、これによる再審査というものを認めてはどうかという案でございます。
参考までに、4ページから国保の取組を御紹介してございます。国保については平成19年度から保険者レセプト管理システムの提供・導入を進められているということでございます。
具体的には5ページから業務フローが記載されてございますけれども、医療機関から国保連合会に請求をされますと、そこで審査が行われ、確定処理がされます。その後、レセプトの登録ということで保険者業務への連携のためにレセプトが登録されます。
次のページでございますけれども、レセプト公開という表現になってございますが、確定したレセプトについては市町村国保、後期広域連合の保険者が閲覧できるというような形になります。これを用いまして保険者業務としてレセプトの点検などを行い、必要があれば再審査の申出をするということで、レセプトのやり取りが不要な形が構築されているということでございます。
7ページ以降に、先ほど申し上げました対応案の1と2につきまして簡単に具体的なスキーム、課題、費用などを記載してございます。
まず案1のアーカイブ機能を所持するということにつきましては、全ての電子レセプトデータを原本として支払基金が保管するという形になります。そして、保険者は支払基金が保管しているデータにアクセスして閲覧をしていくということになりますので、レセプトを移動することなく再審査処理が可能になります。
一方で、課題でございますけれども、保険者業務の機能を維持するということで、給付業務、保健事業など保険者業務のために過去の電子レセプトが必要になりますけれども、保険者の基幹システムから基金が保存しているアーカイブに接続しまして、従来どおり保険者業務が行えるようなシステム改修が必要になってくるかと思います。
効率的な機能構築と費用負担ということでございますが、こういった機能を構築・運用する場合と、従来どおり保険者が保管する場合とを比較して費用対効果が上げられるかということも課題となるかと思います。また、より効率的に運用するために、保険者ごとのサービス利用の有無が区々にならずに、少なくとも保険者種別ごとに一括契約するといったことも求められてくるかと思います。
具体的な費用の見積りにつきまして、支払基金のほうにもお願いをしてみましたけれども、初期的な投資として約14億円、運用コストとして0.4億円が推計されているところでございます。
次の案2の場合ですけれども、写しレセプトによる再審査といった場合につきましては、まず全ての電子レセプトを写しとして支払基金が一定期間保存することにするという考え方でございます。一方で、原本レセプトは保険者が従来どおり保管、管理をするということですが、再審査の申出があった場合には原本レセプトは不要という整理をするという考え方でございます。
課題でございますけれども、先ほどのアーカイブ機能を設けるということに比べまして、保険者がこのアーカイブにアクセスするということは不要になりますけれども、原本と写しが一致していると同期させることが必要になってくるというのが1点目でございます。
また、効率的な機能構築と費用負担ということにつきましても、費用対効果がきちんと確保できるかというのは案1と同様でございますし、契約の方式についても同様の課題がございます。
こちらも費用について見積もっていただきましたけれども、初期的な投資額としては約9億円、運用コストとしては年間200万円程度ということで試算がされてございます。
こういったところを少し整理してみましたけれども、こういった運用をすることについての御意見などいただければありがたいと思ってございます。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問等お願いできればと存じます。いかがでしょうか。
岡﨑構成員、お願いいたします。
○岡﨑構成員 特に問題ということではないですけれども、国保連合会とか国保中央会の資料が4ページ、5ページにかけて出ていますので、今年の3月11日で2011年3月11日東日本大震災から10年ですので、あのときに東北の国保保険者等でレセプトが津波によって流されるといった事案が発生いたしました。いわゆる原本レセプトそのものが流されるとかということがありましたし、医療機関によっても、医療機関が持っていたものが流されるということがありました。国保連合会はそこにありますように平成18年から全部データ化しており、県内の国保保険者、後期高齢者医療のレセプト情報を保有していますので、大規模災害時に、被災者の同意を得た医療機関及び保険者から照会を受け、国保連合会が被災者の既往歴や服薬情報を提供したことがあります。例えばそういうふうに我々は活用したという事例がありますので、御紹介だけしておきたいと思います。
○菊池座長 貴重な情報をありがとうございます。
それでは、河本構成員、木倉構成員の順でお願いいたします。
河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
先ほどの御説明の中にも費用対効果というお話がございましたけれども、まず対応案1については、保険者側の基幹システムの改修費とかといったことも考えると、現時点では電子レセプトの保管費用の軽減のみでは費用に見合う効果は得られないと考えております。ただ、一方では、今後保険者業務のデジタル化がさらに進むことも想定されますけれども、そういったデジタル化を見据えたその他の活用方法を検討する中で費用対効果が改善する可能性もございますので、現状での実施は難しいと思いますけれども、今後継続的に検討すべきものかなと考えております。
一方、対応案2については、課題に記載されている原本レセプトと写しレセプトの同期のための追加費用の発生が見込まれるということもございますし、そういう意味で、費用に見合う効果が得られないことと、また、今後のさらなる発展の可能性はどちらかというと低いのではないかと考えておりますので、案2の検討は難しいかと考えます。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、木倉構成員、お願いいたします。
○木倉構成員 ありがとうございます。協会けんぽの木倉です。
今の河本構成員の御発言と同じようなことで、ちょっと立場は違うのですが、7ページ、8ページの案1、案2ですが、私ども協会けんぽのほうとしては、今の審査支払業務をより効率化する、原本レセが行ったり来たりしないという形でやりたいという視点は分かるわけですが、これをやるのであれば、私どもは案2でお願いしたいと思っております。
今、協会けんぽにおきましては、4000万人を超えるような人たちのデータを管理しておりますが、これは支払基金の側から、先ほどありましたように審査が終わった後でオンラインで、画像データ、CSVを送っていただき、それを我々は傷病手当金等の現金給付のときのチェック、あるいは保健事業での健診・保健指導等、いろいろな支部単位での活用にも使えておるということで、非常に便利に使えております。これを今後のシステムの中でも生かしていきたいと思っております。
今でも、案2の一番最後に書いてありますように、支払基金のほうでは審査が終わって送付いただいた後でも半年ぐらいは写しのレセを置いておられるのではないかと理解しておったのですが、この案2にもありますように、一定期間コピーのレセを残しておいていただいて、どこまで同時同期といいますかオンライン同期をするか、その費用はどうかという点はありますが、それによりまして、基金でレセプトデータがなくなるということを避ければ、これはできるのだろうと。
逆に案1のほうですと、私ども、各支部においても保険者機能発揮のために常に分析を加えながら240万人の事業所の健康指導をしておるわけですが、そのときにいちいちアーカイブのほうに参照しにいかなければいけないということになって、常に分析を加えながら使いたいという思いであります。そういう意味では、案1のほうはなぜ一回一回のアクセスする必要があるのかという思いがあります。資料3の最後のページに半年で81%、1年で95%と書いてありますので、案2のように必要な期間コピーレセを残していただきながら、我々の本来持つべきデータは自由に活用させていただきたいと思います。
もう一点、今回のオンライン資格確認の振替機能で、例えば薬剤情報等はレセから直接抽出して、私どもが特定健診データを中間サーバーに送り込まなくてもいいような仕組みを取っていただいていると思います。これがスタートしていくと、検査、手術記録等にもこのレセプト抽出が薬剤に続いて進められていくのだろうと思っております。そういうときもレセプトをコピーレセの中からやっていただくことで十分対応可能と思いますから、支障はないのではないかと思っておる次第でございます。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
佐藤主光構成員、お願いいたします。
○佐藤(主)構成員 御説明ありがとうございます。
確かに再審査のためだけにと言われると費用対効果は随分悪いという印象があるかもしれませんが、先ほど国保のほうから御紹介があったとおり、災害対応であるとか、あるいはデータのその他利活用にこういうものが資するということであれば、それはまた考え方が違うと思うのです。なので、ちょっと幅広に考えられたほうがよろしいのではないかなと思いました。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
国保中央会さん、支払基金さん、特に何かございますか。よろしいですか。
保険者のお考えはそれぞれだったかなと思いますが、これも取りまとめに向けまして引き続き調整をお願いいただきたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、支払スケジュールの柔軟化等の現状と課題につきまして御説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
資料4につきまして御説明をいたします。
まず、支払スケジュールの柔軟化等ということでございますので、1ページで診療報酬の請求から支払までの流れを図示してございます。ここにありますように、例えば4月の診療の場合ですと、翌月5月10日までに請求をし、そして、支払基金、国保連で審査をした上で翌月6月10日までに保険者さんに請求をする。保険者さんからは、例えば6月の国保ですと18日、基金ですと20日までにそれぞれ支払がなされ、そして、それを6月20日あるいは21日に医療機関に対して支払われるといったサイクルになってございます。
次の2ページでございますが、こちらも先ほどと同様、平成29年の業務効率化・高度化計画の中で検討課題とされているものでございます。ここにありますように、レセプトの受付処理の平準化によって審査支払業務の平準化が図られる仕組みを順次推進する。また、支払のスケジュールの柔軟化についても早急に検討するとされてございました。
これによりまして、期待される効果を整理してございますけれども、1点目はシステムリソースの余剰の削減ということが当時考えられていたと考えております。まず、計画策定当時ですけれども、支払基金では自前のサーバーを保有しておりましたので、受付時の情報処理のピークに合わせて高性能サーバーを購入するなどの必要がありまして、受付時以外にはそういったシステムリソースに余剰が生じていたという課題でございます。このため、自前でサーバーを保有する前提の下では、受付処理を平準化することによってシステムコストの低減が可能ではないかと考えていたものでございます。
また、2点目ですけれども、支払時期のさらなる早期化ということで、それが実現すれば医療機関への支払時期をさらに早めることも可能ではないかというのが当時の期待された効果でございました。
次の3ページでございますが、こういったことを前提に、具体的に対応する場合の対応案の例を記載してございます。まず、例えばレセプトにつきましては、月単位ではなくて随時(毎日)の請求、支払という形にするか、あるいは週単位での請求、支払といったことも考えられると思います。他方で、こうした場合の課題でございますが、医療機関につきましては日次あるいは週次の提出でレセプト件数が増加することになりますので、請求事務の負担が増えることも考えられます。また、柔軟化に対応するための医事コンピューターの改修コストというものも発生すると考えられます。
また、保険者さんにつきましては、支払時期が早期化されますので、保険料の収納時期などとの兼ね合いも考えますと、資金調達の課題が大きくなると思ってございます。また、振込回数も増えますので、少なからず振込手数料の増加もありますし、支払に関する内部での決裁事務の負担も増加する。そして、システム改修コストというものも発生するかと考えてございます。
審査支払機関につきましては、受付・審査事務等を随時行うという形に業務が変わりますので、それに伴う職員の負担の増加。また、1月単位のレセプトが1日あるいは週単位に分かれることになりますので、様々な診療報酬点数のルールに合わせた点検につきましても、突合点検、縦覧点検の仕組みを見直すなど、システムの改修が必要になってくるかと考えてございます。審査委員会につきましても随時の開催が求められますので、審査委員の方々の負担増加ということも考えられるかと思ってございます。
次の4ページでございますが、こういった課題も踏まえまして、これまでの取組と今後の対応ということを記載してございます。
まず、システムリソースの余剰の削減につきましては、これまでも支払基金からのプレゼンテーションにありましたように、今年9月からの新システムでは自前のサーバー保有からクラウド活用へと変更されることになってございます。そういったことで需要に応じてサーバーを利用することが可能となりますので、受付処理を平準化することなくシステムコストの低減が可能になっているということでございます。
また、国保連合会につきましても、これまでのプレゼンテーションの中でクラウド化も検討するという方針も示されてございますので、同様の効果が期待されると考えてございます。
2点目の支払時期のさらなる早期化につきましては、実は平成27年に支払の早期化が一部進められてございます。当時、それより前につきましては、2か月後の25日から月末までに診療報酬が支払われてございましたけれども、それを5日以上早めまして、現在のように20日前後の支払となってございます。このため、民間の医療機関等の給与の支払日、おおむね月末前後になるかと思いますが、そういったところまでの診療報酬の支払が実現しているということでございます。
また、支払スケジュールの柔軟化につきましては、先ほど御説明したとおり、業務及び資金フローの大きな変更を伴いますので、医療機関、保険者・支払機関にとってどのような課題があるのかということを踏まえまして、対応方針を慎重に検討すべきものと考えてございます。
こういったことにつきまして御意見を賜れれば幸いです。
○菊池座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問等をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
岡﨑構成員、いかがでしょうか。お願いいたします。
○岡﨑構成員 平成24年のときの5日以上早めるというところでも、たしか内部でも、また、当時の医療保険部会等でもかなり審議をした記憶が少しあるのですが、あのときも実務者側、いわゆる医療機関の請求、そして、我々保険者としての支払側を含めて、どこまでなら短縮できるかというところで、相当詰めて議論をした記憶が自分ではあります。それでぎりぎりできるのかここだということで、1週間程度だったと思いますが、24年の支払の短縮をしていた記憶が今もあります。
これは、随時というのは結構無理なことを書いていると思います。医療機関側のほうの請求側にも無理がいきますし、支払側については資金調達のめどがつかないので、24年のときは資金調達も考えながら調整しましたので、1週間ごとの請求というのはまず無理だと思うので、ここはやはり慎重に、請求側、支払側それぞれを含めて、実際にできるかどうかというところを詰めていったほうがいいと思います。
もちろんおっしゃっている意味で、サーバーの負担を減らすということはあるかもしれませんが、逆に請求事務、支払事務、資金調達を含めて、トータルコストで増える可能性もあるので、はっきり言ってそんなに単純に移行できる話ではないのではないかと保険者側としては考えているところです。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、松本構成員、河本構成員、大石構成員の順番でお願いいたします。
松本構成員からお願いいたします。
○松本構成員 総論として、今の岡﨑構成員の意見に賛成いたしますけれども、支払スケジュールの柔軟化は一つの方向性ではあると思いますが、3ページ目にありますような例示に関しては非常に無理があると思います。
各国で導入されている制度を日本でも導入することを検討してはどうかということだと理解しておりますけれども、日本医師会では2016年に韓国を視察いたしました。その際、韓国では週単位で請求できることとなっているものの、実際には95%の医療機関が月1回で請求をしていることを確認しております。
御存じのように、韓国はそもそも保険給付の水準が低いために混合診療が可能となっています。給付水準が低いので、医療機関はおのずとオーバーサービスをするので、これを統制するために細かな給付基準がたくさん設けられています。例えばアルブミンを投与するためには、アルブミン値が2.5g/dl未満となっています。この基準を満たしているか否かが韓国のこの場合の唯一の基準となっており、日本のように基準値を考慮した上で医師の判断で患者さんの病状を考慮してアルブミンを投与するかどうかという医学的判断が尊重されるべきだと思います。
日本の診療報酬の算定は韓国とは異なり、非常にきめ細やかなものとなっております。先ほど申し上げましたけれども、柔軟化ということを考える方向はあるとは思いますけれども、現行の提案ではなかなか難しいのではないかと思いますし、また、月1回の請求として現行の国の報酬体系はかなり成り立っております。例えば管理医療の問題とか、あるいは高額療養費の問題等、非常にいろいろな問題を抱えておりますので、週ごと、あるいは随時とかというのは、今、私は国保の審査委員もしておりますけれども、審査委員の立場としても非常に負担が増えるだけなのかなという感じがいたしております。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
やはり私ども保険者といたしましては、3ページ目にも記載をしていただいておりますし、先ほど岡﨑構成員からもお話がございましたけれども、様々な課題があると思います。対応は難しいと考えておるところでございます。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
大石構成員、お願いいたします。
○大石構成員 私もこれは見送ってもいいのではないかなと思っております。最大のメリットである部分はクラウド化することによって既に達成されていますし、現行でも給与日よりも早く支払われているということであったり、あとは、通常医療機関の場合は2か月の支払サイクルで動いているので、これ以上早くする必要はそんなに感じていないと思うのです。片一方で、事務負担は、保険者側もそうですし、医療機関側も大変なものになると思うので、昔は検討する理由はあったかもしれないのですけれども、クラウド化の話が出ている中ではもういいのではないかなと思っています。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
佐藤主光構成員、お願いいたします。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございます。
私はそこまで優先順位は高いとは思っていないのですが、ただ、今回例えばコロナとか、あるいはさっき何回か出てきました災害のときとか、何らかの形で緊急に、要するに医療機関が患者さんに対応して、もちろん病院の経営も悪化していますので、緊急にキャッシュが必要というケースもあり得ると思うのです。多分、有事はそんなに優先順位の高い話ではなくて、緊急時どうするかというのはまた別途考えなければいけないことではないかなと思います。もちろん税金を投入するとか、ほかのやり方は幾らでもあるのですけれども、診療報酬で対応するということであれば、非常時の対応というのはどこかで考えておいたほうがいいと思います。今回のこのやり方が一番いいとは思いませんけれども。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいですか。
佐藤主光構成員から非常時、緊急対応については考慮する余地があるのではないかという御意見がありましたが、少なくとも平時、通常の問題としては保険者サイド、医療機関サイドからも消極論が多かったかなという印象を受けました。ということで、ありがとうございました。
それでは、最後になります。診療データの審査における活用につきまして、前回宿題となっておりましたコストについて費用推計がなされておりますので、御説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。資料5につきまして御説明をいたします。
まず1ページ目は前回の5回目の検討会で御説明した資料でございます。レセプトの提出に合わせまして、検査などの動画を含むエビデンスデータの添付が選択的に可能となるような仕組みを導入してはどうかということで御議論いただきました。その際に、診療データなどを添付することによって、左に掲げていますような効果があるということ、そして、論点といたしましては、どういう有用性があるのか、あるいはデータの送受信の量、そして、追加費用がどの程度かという形で論点提示をさせていただきましたが、追加の費用などについても試算をするべきという御指摘もいただきましたので、次の2ページに試算を掲げてございます。
最初の箱囲みにありますように、前提といたしましては、現在審査委員会からの依頼に基づいて提出されています診療データ、月に数千件程度の画像といったものをオンラインで送受信するということを基本的な前提といたしまして、追加的なコストを試算していただいてございます。
参考までに、通常の診療報酬改定の際にも様々な仕様の変更がございますけれども、そういった場合の改修コストは通常2~3億程度かかっているということでございます。
前提条件は左側にあるとおりでございますけれども、右側にあるコスト試算で御覧いただきますと、画像データ、動画などを送受信できるようにするための改修として、初期コストとしては4億から6億程度、運用コストとしてはクラウドでのファイル保管コストということで年間200万、300万程度という試算をしているところでございます。
これを基に御議論いただければ幸いでございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問などございませんでしょうか。
松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
レセプトは暗号化されて送付されていますので、審査委員会からの要請で画像などを送る場合、一番心配しているのは安全性でございます。オンライン請求と同じ回線で送るにしても、安全性をしっかりと担保する必要があると思いますので、この点についていかがでしょうか。
○菊池座長 いかがでしょうか。
○神田支払基金理事長 安全性については、現状も専用回線を使うということになっておりますので、従前と同様に安全性を担保することは可能ではないかと考えております。
○菊池座長 神田理事長から御発言をいただきましたが、松本構成員、何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、河本構成員、いかがでしょうか。
○河本構成員 ありがとうございます。
審査委員会から添付を依頼することによって提出するデータのうち、検査値あるいは手術記録については、審査に必要な事項をコメントとして記録することが可能かなと思います。また、手術後の画像については、記録はできませんけれども、保険者が提供を受けて点検に活用するということは難しいというか現実的にはないので、保険者としてのニーズはあまりないのかなと考えております。
あと、令和3年9月の新システム稼働後2年以内に90%の審査をコンピューターチェックで完結するという取組が進む中で考えますと、現状の診療データに基づく審査の有用性を分析、検証して、審査に必要なケースと対象記録を最小限のものとした上で厚労省令等によってレセプトに選択的に記録するということで足りるのではないかと考えております。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
佐藤好美構成員、お願いします。
○佐藤(好)構成員 ありがとうございます。
前回申し上げたかどうか覚えていないのですけれども、血液検査の結果、特に肝機能や腎機能などについてぜひ載せていただければと思います。マイナポータルなどでいろいろなデータが見られるようになりますが、検査値については特定健診のデータしか載らないのは大変不思議なことだと思っておりまして、そういったところにも診療時の血液検査のデータが載って、まだタイムラグがあるけれども、いずれタイムラグなく見られるようになると、薬局でもダブルチェックができますし、患者にとっても利便性があると思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、まだ少し時間はございますけれども、議論がほぼ尽きたということで、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
次回の日程など、事務局からお願いいたします。
○姫野保険課長 1点御報告でございますが、前回横尾構成員から御発言メモをいただき、机上配付とさせていただいておりましたが、資料として提出した形にしてもらいたいとの御要望をいただきました。座長とも御相談の結果、ホームページ上の前回の資料の中に掲載することとしたいと思ってございます。
次回の検討会の開催日時につきましては、2月10日水曜日の15時からを予定してございますが、詳細につきましては追って御連絡をいたします。
○菊池座長 本日も御協力ありがとうございました。次第に取りまとめに向けて詰めの議論に入ってまいります。引き続きどうかよろしく御議論のほど、お願いいたします。
それでは、以上をもちまして第6回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を終了いたします。
どうもありがとうございました。