薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和2年度第4回運営委員会議事録

日時

令和2年11月25日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(7名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 大隈 和



日本赤十字社:敬称略
     
  • 松田 由浩
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子
  • 鹿野 千治




事務局:
 
  • 中谷 祐貴子 (血液対策課長)
  • 菅原 高志  (血液対策課長補佐)
  • 中村 梨絵子 (血液対策課長補佐)
  • 野寺 快明  (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.令和2年度第2回献血推進調査会の審議結果について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

 ○中村血液対策課長補佐 それでは、少し時間より早いですが、皆さんお揃いですので、血液事業部会令和2年度第4回運営委員会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席については、委員7名全員に御出席いただいていることを御報告いたします。本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室、大隈和室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博中央血液研究所所長、後藤直子技術部安全管理課長、松田由浩経営企画部次長、鹿野千治献血推進課長に御出席いただいております。

 続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますよう、お願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際はマイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、チャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いする場合があります。その場合は、記入されたメッセージに応じて委員長より発言者を御指名いただきます。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者において、マスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影は、ここまでということでお願いいたします。

 それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。

○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。これまでの御説明に何か御質問とか、分からないことなど、宜しいでしょうか。そうしましたら、議事に入らせていただきます。はじめは、議題1、感染症定期報告について、事務局より資料の説明をお願いします。

○中村血液対策課長補佐 それでは、資料1-1を御覧ください。感染症定期報告、研究報告の概要の一覧表ですが、2ページを御覧になっていただきまして、論文等ですけれども、今年7~8月のPMDAからの提出資料をまとめたものです。全部で9件ありまして、C型肝炎に関するものが1つ、COVID-19に関するものが4つ、ジカウイルスに関するものが1つ、細菌感染に関するものが1つ、ロッキー山紅斑熱に関するものが1つ、クロイツフェルト・ヤコブ病に関するものが1つとなっております。それでは、順に上から御説明させていただきます。

 まず、C型肝炎ウイルスに関してです。米国における疫学研究において、2009年と比較して2018年では、新規のC型肝炎患者が増えたということが報告され、CDCにおいては、C型肝炎検査の推奨をしているということです。

 次は、COVID-19についてです。こちらも米国ですが、FDAにおいて血液施設向けの情報が更新され、7点ほどですけれども、例えば、COVID-19と診断された方については14日間の供血延期をするとか、採血後に診断が判明した場合には血液の回収とか、あるいは報告をいただくというような指示をしても良いといったような内容が含まれております。

 次は、COVID-19の患者の方の精液よりウイルスRNAが検出されたということで、感染病期については回復期から急性期まで分布しているということです。精液を介した感染のリスクというものが示唆されたということです。

 次は、オランダのミンク農場において、従業員1例が無症候のミンクから感染した疑いがあるということで、また、敷地内のネコにおいてもウイルス抗体の陽性が判明し、動物が感染源となるリスクというものが報告されました。

 次も、COVID-19の患者の糞便及び尿においてウイルスの核酸が検出され、糞便経口感染の可能性があることが示唆されたということです。

 次は、ジカウイルス感染についてです。こちらは中国のベトナム国境地域において、ジカウイルス抗体の陽性者が確認されたということで、中国とか、東アジア、東南アジアへのジカウイルス感染の拡大が懸念されるという報告です。

 その他としては、まず、1つ目、細菌感染ですが、こちらは日本赤十字社の報告ですが、血小板製剤の有効期間が短いほど、輸血による細菌感染の発生率が低いといった関連が報告されたということで、こちらの対策としては、有効期間を短くするだけではなくて、新たな戦略等が必要となる可能性があるといった報告です。

 その次はロッキー山紅斑熱についてですが、ダニに刺された、あるいは環境曝露歴のない方、男性の看護師が患者の針刺し事故によって感染し、さらに死亡したといった報告が上がっております。発端となった患者は曝露歴があったということですが、看護師自体にはなかったということです。

 最後、クロイツフェルト・ヤコブ病ですけれども、こちらは孤発性のクロイツフェルト・ヤコブ病に関してですが、供血者あるいは輸血者等に関する情報のデータベースを用いたレトロスペクティブのコホート研究によると、輸血を介した感染のエビデンスは認められなかったという報告です。

 次は、外国症例の報告一覧で、5ページを御覧になっていただきまして、今年7月-8月の報告は1例のみですが、こちらはCSLベーリング社からの報告ですけれども、乾燥濃縮人C1-インアクチベーターを投与されたアメリカの40歳の女性ですが、C型肝炎ウイルスの検査が陽性になったということで、転帰等は不明ですが、自発報告ということで報告が上がっています。こちらの資料については以上です。資料1-2については論文等の詳細を載せております。御説明は以上です。

○田野﨑委員長 これについて、大隈参考人から何か追加の御発言等がありましたらお願いいたします。

○大隈参考人 国立感染症研究所の大隈です。宜しくお願いいたします。文献2と4について、コメントさせていただければと思います。まず、1つ目の文献2ですが、FDAの新型コロナウイルス感染症のCOVID-19のアウトブレイクに関する血液事業者向けの更新情報になっております。現時点でもFDA、それからAABBCDCですけれども、新型コロナウイルスの輸血感染のリスクを示唆するデータがないので、供血スクリーニング検査における特段の対応策は求めておりません。FDAでは、COVID-19と診断された又は疑われた方は、症状が完全に回復して、少なくとも14日以降に、もしくは無症候でも新型コロナウイルス陽性の方は、陽性結果から少なくとも14日以降に供血制限の解除としておりますけれども、国内では、現時点では異なる対応、つまり、献血制限の解除の必要性はないという対応が取られております。

 文献4ですが、オランダのミンク農場の従業員1名が無症候のミンクから、新型コロナウイルスに感染した疑いがあるというレターによる報告です。本文献は既に論文として報告されておりまして、ミンク農場で、ミンクにアウトブレイクが発生しておりまして、空気中のウイルスを含んだ粉塵への曝露、つまり、粉塵の吸入により、ミンクからヒトに感染した可能性が示唆されております。また、最近ですが、デンマークのミンク農場でミンクにアウトブレイクが発生しまして、ミンクから比較的多くのヒトに感染したことが報告されております。分離されたウイルスの一部に変異が見られるものがありまして、抗原性や抗体の反応性が変化している可能性が示唆されております。このように、ミンク等の動物が新たな感染源になることが報告されていますので、今後も本感染状況の動向を注視して、情報収集する必要があると考えております。コメントは以上になります。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に御質問とか、コメントはありますでしょうか。

○岡田委員 埼玉医大の岡田です。1番のC型肝炎ですが、これは血液の安全性確保の上では重要なウイルスですけれども、米国で若い世代に陽性率が高くなっているということで、大体米国で起こったことは数年後に日本でも起こるのですが、そういう面で日本赤十字社としては、日本におけるC型肝炎の抗体陽性率が今後どうなるかということを注意してもらいたいと思います。

 2つ目は、一番最後のCJDの輸血を介した感染というエビデンスはないということですが、これは過去にも同様な報告がありましたけれども、今度はスウェーデンとデンマークで対象が非常に大きいということで論文になったと思います。以前の運営委員会のときに報告された論文で、CJDを発症した患者さんの血液を、ヒトのプリオンをトランスジェニックマウスか何かの脳に入れると感染が成立したという論文があって、微量ながら、発症した孤発性のCJDの患者さんの血中にはプリオンタンパクがいるということが示されたのですが、そういうこともあって、こういう報告になったのではないかと思います。献血する方というのは全く症状がありませんので、これまでの報告も含めて、クラシカルタイプのCJDの発症をする前の方からの感染というのは、まず考えなくても良いのではないかと、9番の論文は示していると思います。以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他はいかがでしょうか。

○濵口委員 感染研の濵口です。私は細菌感染の論文が少し気になったのですが、内容としては、今、日本赤十字社でされている血小板供給のところでの課題が浮き彫りにされたかなと思います。ただ、こうしたデータをきちんと論文として報告されるのは、非常に素晴らしいことというように考えております。透明性が非常に高くて、良い内容と思います。そこで、一応、中身について日本赤十字社の方にお聞きしたいのですが、4日目が、2日目、3日目に比べて、若干、感染の率が高くなるというデータだったということですが、私の認識では、日本の何も加えずに供給している血小板の体制というのは、海外に比べても引けをとらないレベルの安全性は保っているのかと思っております。この4日目のデータというのは、他の国と比べても、若干、気になるようなものになるのでしょうか。まず、そこをお聞かせいただきたいのですけれども。

○田野﨑委員長 日本赤十字社の方、いかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 佐竹ですが、4日目のリスクがどのぐらいかといった海外でのデータというのはあまり見ません。ただ、4日目のものが1日のものよりもリスクが高いというデータは、1991年か何かに出ております。もともとの献血者の中でのバクテリアの汚染率というのは、日本も欧米も同じですので、恐らく保存期間によるリスクというものは、日本と欧米と同じかと思います。ただ、欧米は4~6日の血小板の方が圧倒的に多いですので、それで向こうの方がリスクが高いということになっているのかと思います。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。宜しいでしょうか。他はいかがでしょうか。

○武田委員 武田です。最初のC型肝炎のところですが、著増しているということで、増えている何か理由のようなことが推測されているのかということを教えていただきたいということが1点です。また、先程、岡田先生から、今後、日本でもというお話があったのですが、現時点で日本でC型肝炎が増えてきていることとか、そういった傾向が今あるのかどうかということも併せてお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

○田野﨑委員長 こちらはどなたか、はじめの御質問、少し聞き取りづらかったかもしれませんけれども。

○武田委員 はじめの方の質問は、C型肝炎が今、アメリカの方で著増しているということで、その理由が何かあるのであれば教えていただきたいということです。

○田野﨑委員長 C型肝炎が増えている理由、そして、日本では増えているのかどうかという2点ですが、こちらに関して、どなたか委員の先生方、いかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日本赤十字社の佐竹ですが、この文献は、今、ちょっと忘れてしまいましたけれども、理由については分かりませんが、ただ、先程、指摘のありました、欧米で起こったことが日本で起こることはあるわけですが、ただ、HCVの感染に限りましては、欧米においては圧倒的にドラッグが大きな理由になっておりますので、日本ではちょっと状況が違うと思います。向こうのHCVの波が日本にそのまま来るということは、日本のドラッグの使われ方等を見ますと、実際、現在の日本でそういうことが増えている状況は、我々は観察しておりませんので、そこは日本が同じようになるかどうかは、少し違うのかなと思います。以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。日本では、今後の動きをよく注視するということかと思います。他はいかがでしょうか。そうしましたら、どうもありがとうございました。引き続き事務局におかれましては、今後とも感染症の定期報告をお願いします。

 次に、議題2に移りたいと思います。血液製剤に関する感染症報告事例等について、事務局より資料の説明をお願いします。

○中村血液対策課長補佐 それでは、資料2-1を御覧になっていただきまして、1ページの感染症報告事例のまとめです。今年7~8月に報告があった感染症報告ですが、輸血用血液製剤が15件、血漿分画製剤が2件で、うち輸血用血液製剤、血漿分画製剤とも因果関係が否定された報告は0件でした。輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳ですが、HBV感染が3件、HCV感染が1件、HIV感染が0件、その他としてHEV感染が4件、細菌等が7件でした。

 2番目、HBV感染の報告事例ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例が3件ありまして、このうち献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件。また、劇症化、輸血後に死亡した事例は0件です。3番目、HCV感染報告事例ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は1件、このうち献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件。また、劇症化又は輸血後に死亡した事例は0件です。4番目、HIV感染報告事例ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は0件です。その他の感染症報告事例として、E型肝炎の報告事例は4件です。また、細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性となった事例が0件、このうち死亡した事例は0件です。

 続いて、その後に詳細の資料をおつけしております。8ページ、試行的HEV-NATの実施状況ですけれども、今年8月に試行的なHEV-NATから全例のHEV-NATに移行しましたので、試行的HEV-NATに関する状況の報告は、今回が最後になります。平成17年から御報告いただいており、今年は、1~8月までで陽性者の数が52名で、献血者のうち0.034%が陽性でした。平均年齢は44歳±11歳程度で、Genotypeは3が38、4が13で、3が優位ですが、4の報告もあるという状況です。

 続いて、資料2-2について御説明させていただきます。資料2-2で、供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。1ページ目の遡及調査の実施内容としては、調査の対象とした献血件数は、今年4月から8月31日までの速報値ですが、1,452件が調査の対象で、このうち調査の対象とした輸血用血液製剤の本数は1,575本、このうち医療機関に情報提供を行った本数が1,002本、そして、遡及調査実施対象のうち、個別NATの結果が陽性となった献血件数は1件、このうち医療機関へ供給された製剤に関する報告件数は1件で、この1本は使用されたということです。このうち受血者情報が判明した件数ですが、退院・未検査ということで、情報はこれ以上得られていないということですが、こちらについて副作用感染症報告は行われていないということです。2ページ目に回収報告状況をお示ししておりますけれども、7~8月で11件ありまして、赤血球に関するものが9件で、新鮮凍結血漿に関するものが2件となっております。こちらの御説明は以上です。

○田野﨑委員長 ただいまの御説明について、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○花井委員 花井です。E型肝炎については、いよいよ検査が導入されるということで、ぎりぎり一安心ということだと思うのですが、ここ15年ぐらい、最初は北海道の問題だみたいなことがあり、そのうち、むしろ陽性率は東京の方が多くなったりして、要は、全国的に広がるウイルスになったわけですね。これはやはり、ほぼ口腔感染ということで、端的にジビエブームとか、そういうことが影響しているのかと思いますが、血液の安全対策としては、ひとまずここで、ぎりぎり良かったなということですけれども、E型肝炎の感染拡大については何らかの対策というのはやっているのですか。例えば食肉のときの注意とか、それをE型肝炎と関連付けて注意喚起するようなことはやっているのですか。結局、ここ15年間で広がったということですね、端的に。ちょっとそこが気になったので、もし、事務局の方で御存じであれば教えてください。

○中村血液対策課長補佐 こちらに関しては、食品安全という観点で、こちらでということではないのですが、担当の部署において、そういった注意喚起等は行っているものと承知しております。

○花井委員 ありがとうございます。あまり無防備に、生でジビエ料理を普通に口にするという食文化というのは結構浸透してしまっているので、非常に気になるところなので、また関係部局の方に、血液の方はこういう対策を、逆に言えば、これだけの対策を取るに至ったということなので、ある意味、全国的に言えば、ちょっと広がってしまったなということかもしれないので、また連携を取っていただけたらと思います。以上です。

○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。他にはコメントとかありますか。E型肝炎の感染の今後の報告の仕方としては、今、検討中ということで宜しかったでしょうか、事務局。

○中村血液対策課長補佐 はい、何分、開始したばかりですので、すぐにというわけにもいかないのですが、ある程度その情報が集まったところで、また御報告する機会は設けさせていただきたいと考えております。

○田野﨑委員長 他に御意見はいかがでしょうか。今回、感染が確定できた事例というのは、E型肝炎の4例のみで、他は確定はされていないと。E型に関しては、いずれも主治医のコメントとしては、非重篤ということになるかと思います。宜しいでしょうか。そうしましたら、どうもありがとうございました。

 次の議題に移ります。議題3、令和2年度の第2回献血推進調査会の審議結果についてに移ります。事務局より資料の御説明をお願いします。

○菅原血液対策課長補佐 事務局です。1015日に開催されました第2回献血推進調査会の議事について御報告いたします。当日の献血推進調査会におきましては、令和3年度の献血推進計画の案について御議論いただき、また、その他として、「献血推進2025 ()について」御議論いただいたところです。資料については、お手元の資料1-1から資料1-3が献血推進計画についての議題です。資料2-1が中期目標、「献血推進2025について」のその他の議題でした。

 それでは、献血推進計画の方から御報告いたします。令和3年度の献血推進計画においては、先程申しました資料1-1、資料1-2、資料1-3の資料をお示しし、御議論いただきました。献血推進に関し、令和元年度の献血の実績を踏まえて、第1回献血推進調査会の御議論を踏まえた上で、令和3年度の献血推進計画の案をお示しし、それについて御議論いただきました。

 2ページを御覧ください。資料1-1が計画の概要です。今回、令和2年度の計画から大きく変更したものとして、第3「その他献血の推進に関する重要事項」に、昨今の新型コロナウイルス感染症の蔓延を踏まえ、「災害時における献血の確保」に、進行・再興感染症蔓延時の対応を追記させていただきました。なお、13ページ、資料1-2の方が本文ですので、こちらを後で御覧になっていただければと存じます。

 こちらについては、調査会で御議論の結果、座長一任とされ、御了承いただきました。なお、今後の予定としては、資料1の4、告示日等にありますとおり、来年3月下旬に告示し、4月から適用を予定している次第です。議題1-1は以上です。

 次に、議題2として、その他です。中期目標、「献血推進2025」についてです。25ページ、資料2-1を御覧ください。令和3年度から令和7年度までの中期目標として「献血推進2025」について、改めて前回の調査会で新たな中期目標を設定するとされたところですが、それについて私どもで案を作成して、それをお示しいたしました。そして、()の達成目標ですけれども、まだ調査会の時点では数字等は設定中ということでお示ししておりませんが、こちらの数字については、日本赤十字社のシミュレーション結果を基とするもので、併せて献血推進調査会委員である田中純子先生が厚生労働科学研究にて行っている、献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究結果は資料2-2にありますので、こちらも後で御覧になっていただければと存じますが、そちらの研究結果や、あるいは調査会での御議論と御指摘を踏まえて、次回の調査会にて改めて御議論していただくことといたしました。また、委員会は、項目に対する目標設定については、より適切なものにする必要があること。また、目標の表現を分かりやすいものにして欲しいとの意見がありました。献血推進調査会の御報告は以上です。宜しくお願いいたします。

○田野﨑委員長 ありがとうございました。事務局の御説明に対して何か御質問、御意見はございますか。

○武田委員 武田ですが、宜しいでしょうか。

○田野﨑委員長 武田委員、宜しくお願いします。

○武田委員 令和3年度の計画等についてということで、来年度以降のことで御説明いただき、ちょっとずれてしまうかもしれませんが、今、また新型コロナの警戒レベルが上がってきたりで、一時期、控えられていた手術がされていたりということで、現在の血液の赤血球製剤と在庫量も少し減ってきていると感じているところです。その現状と、今はどのように対応されているかということについて御説明いただければと思います。

○田野﨑委員長 以上につきましては、日本赤十字社の方からの方が宜しいでしょうか。お願いいたします。

○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 日本赤十字社経営企画部の松田と申します。宜しくお願いいたします。今のお話ですが、4月から6月までが全国の緊急事態宣言をもって大きく下回ったという状況で、献血者だけでなく、先程、先生からもお話があったように、医療機関も手術の延長等々で使用率が10%ほど減ったということで、お互い減ったという中での需要に合った形で供給ができていたというのが6月まででした。

 7月以降、医療機関での手術の方も平常に戻り、献血推進については、全国的に我々血液センターだけでなく、国や都道府県と連携し協力体制を講じたことで、安定した輸血用血液の在庫確保ができました。しかしながら、10月中旬、下旬から、これは例年のごとくですけれども、協力者が少なくなる時期でもあります。そして、今年に限ってはコロナ禍の影響というところで言いますと、先程の話に戻りますけれども、4月から6月まで全国的に企業、団体、イベントの中止が多く発生し、全国で約5,000か所から辞退の申し出があり、その代替場所として街頭献血、あるいは、今、お話したように国、都道府県と連携し、駐車場をお借りして地域の皆様の御協力を得たというところで、そこが例年とはちょっと違うところです。正直、献血御協力は国民から理解を得て辛うじて確保はしていますけれども、苦慮しているというのは、一つ言えるのではないかと思っています。

 11月頃から天候に左右される、あるいは寒さというところで例年減っていく、献血の御協力が減少する時期に入ってきました。そこに輪をかけてコロナ禍というようなところで、正直、年末年始を控えて企業からの辞退も発生しており、特に首都圏では月でまだ100150ヶ所程からの申し出があるという報告も受けています。そういったところを何とか全国でカバーしなければならないのですが、最近の状況では、特に北海道、大阪、愛知といった所も徐々に献血辞退の申し出が多くなってきておりますので、今後対応をどう行っていくかというところですが、日本赤十字社として都道府県、国とも相談・連携を図りながら対策を進めていければと考えているところです。私の方からは以上です。

○田野﨑委員長 ありがとうございました。宜しいでしょうか。他にはいかがでしょうか。

○岡田委員 埼玉医大の岡田です。良いでしょうか。

○田野﨑委員長 お願いいたします。

○岡田委員 中期目標で達成目標という所に、献血の周知度の上昇ということで献血セミナーの実施回数が挙げられていますけれども、この献血セミナーに限らず、周知度を上げるような方法を考えるというのを入れた方が良いのではないかと思います。献血セミナーと言っても、対象として、そのセミナーに接することができる世代は限られてくるので、何かもっと違う方法を使って、献血を周知するのが必要ではないかと思います。私自身、具体的な方法は分かりませんけれども、達成目標の中に、そういうセミナー以外の方法を考えるというのも入れた方が良いのではないかと思います。以上です。

○田野﨑委員長 ありがとうございます。こちらに関しては宜しいでしょうか。貴重な御意見、ありがとうございました。また検討していただければと思います。他にはいかがでしょうか。COVID-19が増えることによって、特定の血液製剤が患者さん側に使われるということがないのかどうか。あるいは原料血漿が、今、問題になっていたと思いますが、これに関して何か状況が変わったりしていないかどうかについて、日本赤十字社の方は何か御意見はございますか。

○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 佐竹ですが、1つ、血液の使われ方については、特にこのCOVID-19に関して、特殊な血液の需要があると我々は感じていません。先程、ありましたように4月、5月頃の供給量の10%ぐらいの減少、その後、103%、104%と、ここのところは例年より多い使われ方をしていますが、特に血小板や赤血球など偏ったもの、あるいは血液型、血漿交換といったもので特殊な需要が増えたというのは、我々は把握していません。それから、原料血漿につきましては、現在、国から示された量について、ほぼ100%確保できています。この辺はあまり心配はない感じがいたします。以上です。

○田野﨑委員長 こちらの原料血漿の確保に関しても、COVID-19の状況下で今後とも特に変わらず、予定通りいけそうだということで宜しいでしょうか。

○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 今のところはそのように考えています。

○田野﨑委員長 ありがとうございます。他に何か御意見はございますか。宜しければ、議題4のその他に移りたいと思います。こちらに関しては、松下委員より資料の御説明をお願いしたいと思います。

○松下委員 松下です。参考資料1となっているものがあるかと思いますので、御覧ください。先生方も御存じのように、新興感染症としてのCOVID-19から回復された方が持っている血漿が、患者さんの治療に有効ではないかという話が欧米中心に広く研究されています。ニュースによりますと、そのような製剤の一部が緊急承認されたというお話も伝わってきています。そういった意味で、目的の所にも書いてありますように、いわゆる回復者からの献血ということも念頭に置かなければいけないのですが、欧米と違って我が国では、本日の会議の冒頭でもございましたように、既感染者の献血をまだ受け付けない状態になっていますので、そうしますと、医療機関などで採血をすることが考えられます。実際に行っている医療機関もあるわけですが、そこでドナーとしていらっしゃる方は、元患者と言っても一般の方、つまりボランティアドナーですので、ドナーの安全性を厳しく担保した上で、安全な採血の指針というのがあるべきだという考えが成り立って、今回、10月スタートになったのですが、特別研究がこのような形で発足いたしました。ですから、血漿療法や分画製剤が、もし有効であるということであれば、それを現時点では医療機関において採漿し、日本国内において製造できるための道筋を作らなければいけません。

 イメージ図にございますように、当班といたしましては、一番左側の対象者の選定基準及び採血の手順に関して、専門家集団である日本輸血・細胞治療学会のメンバーの協力を求め、手順を作成しつつあるところです。新型コロナ感染症を診療している医療機関は全国にたくさんあるわけですが、患者さんが増えてくると、当然、回復される方も増えてきますので、そういった方に協力いただいて自院で血漿を採ることも、今後、増えてくるかと思います。そういった場合に、正しい手順とか正しい選択基準、あるいは指針があった方が良いということで、今回、このような事業が展開されているところです。ですから、本研究班の目的としては、()のア)の有効な抗体価の測定法を検討しつつ、安全かつ効率的な採血実施体制を追い求めていくというところに尽きるかと思います。

 その上で、イメージ図の右の方に移動して行くに従って、小規模か中規模か大規模かは分かりませんけれども、回復者血漿を国内で確保していくということがもし必要となってくれば、新興感染症が突然起こると、対応はどうしても後手々々になりますから、今後、そういった事態に対応できるような準備をしておく意味合いも含めて、このタイトルで研究班が発足して活動しているところです。以上、御報告いたします。

○田野﨑委員長 松下委員、ありがとうございます。いわゆる血清療法は、以前から日本でも古い歴史の中で行われていたものですが、これの抗体を使ってという治療です。今回、海外ではかなり先行しているわけですけれども、まだエビデンスが十分ではないというところで、日本の中で、第3波に向けて、まず体制を整えるというのと同時に、今後、新興感染症が発生したときに速やかに、こういう治療ができるようにということで、国を挙げて行われるというところです。これに関して今回、はじめて動き出したということの御説明をしていただいたわけですけれども、何か御質問とかコメントがあれば、宜しくお願いいたします。十分議論が必要だというふうに思っています。

○武田委員 武田ですが、宜しいでしょうか。

○田野﨑委員長 お願いいたします。

○武田委員 私たちの方でも、こうした回復者の血漿を用いた療法、是非、研究を進めていただきたいということで以前から申入れもしていたところですが、今回、こうした形で松下先生の方でも研究していただけるということを非常にうれしく思っています。先程、松下先生からも御説明がありましたが、松下先生の研究班の中では、有効性や安全性等については特にやらずに、そういったことを既に研究されている研究班と共同してというか協力してというか、そういう形で進めていくという理解で宜しいでしょうか。

○松下委員 おっしゃるとおりです。あとで血液対策課の方から御説明があるかもしれませんが、別の活動として、都内で行われている治療行為を全国で最初はできるようにしたいということで動いていますので、当班としても、その活動に間に合うような形で急ピッチで作業を進めているところです。

○武田委員 分かりました。ありがとうございます。

○田野﨑委員長 他は、いかがですか。

○花井委員 宜しいですか。

○田野﨑委員長 お願いいたします。

○花井委員 若干、先走った議論ではあるのですが、今後、ワクチンが何千万単位で接種されるということになってくると、一般のドナーの中に一定程度、抗体価が上がっているドナーが、いわゆる供血者として大きく含まれてくるという実態になっていくわけです。そのときに、例えばワクチネーションによる抗体価みたいなところも踏まえて、何か考えていらっしゃるのですか。今は回復者ということですが、ワクチンを打ち出すと、かなり大量の供血者、いわゆるSARS-CoV-2抗体陽性者がドナーになってくるわけです。そうすると、それをスクリーニングするかどうかは別として、そういった方の血漿というのは、一定程度治療効果がある可能性はあるのでしょうか。あるとすれば、そういうことも想定されているのでしょうか。

○松下委員 それは、私が知る範囲でお答えできるかどうかだと思いますが、回復者の血漿に含まれているイムノグロブリンが、今後、発生するワクチン接種後の方に発生する抗体と同じ治療効果を持つかどうかというのは、現時点でまだ検証されていません。ワクチンの作り方によるかと思いますけれども、一般的にはスパイクに対する抗体が高い方の血漿は、ある程度治療効果があるということも分かっているようですので、大いに期待できるところかと考えています。ですから、今、先生がおっしゃったように、国民全員分が確保されているとしますと、国民全員が献血者になり得るということになりますので、優先的にどういった方々から接種されていくのかということは、今後、決まっていくのだと思います。例えば医療関係者にB型肝炎ワクチンを注射した後、医療関係者の方に献血していただくという流れが、もっと大きなものになっていくとすると、ワクチン接種後、大体、何週間ぐらいで献血をお願いしますといったタイムフレームも、併せて行政と一緒になって考えていかざるを得ないのかなと。

○花井委員 なるほど、ありがとうございます。

○岡田委員 埼玉医大の岡田です。発言、良いでしょうか。

○田野﨑委員長 宜しくお願いします。

○岡田委員 現在、開発中のワクチンですが、今、血漿分画製剤で特殊免疫グロブリンというものがあって、例えば抗破傷風とか抗HBsの抗体が非常に高い抗体を含む製剤が市販されていますけれども、そのドナーとなる方は何回もワクチンを打ち、ブースターをかけて、すごい高力価にした人から血漿を採血しているので、このコロナウイルスが特別ではなく、通常のウイルスであれば、ワクチンは接種しても、その接種された個人がコロナに感染するのを防止する程度の抗体価であって、その血漿を他の方に輸血して治療効果が出るかというと、もしあったらかなりラッキーだと思います。やはり感染をして、かなり曝露されてハイタイターがないと、効果は期待できないと思います。

 ついでに言いますと、この回復者由来の血漿の、どんな血漿を使ったかという解析もあり、そうなると個人差があって、中和活性がすごく高い方と、あまり高くない方がいるので、治療効果を見るときには、必ず中和活性がどの程度あるかということをデータとして持っておかないと、本当に効かなかったというのは、どういう理由で効かないかも分からないし、そういうことで、治療しながら基礎的なデータを溜めていかないと厳しいと思います。ですから、ワクチンを接種したからと期待しない方が良いと思います。以上です。

○花井委員 関連して岡田先生にお伺いしたいのですが、基本的に回復者の高力価というのは、IgGという理解で宜しいのでしょうか。

○岡田委員 そうです。しかも、IgGであっても、ウイルスのどこに結合するIgGなのかということも重要だと思います。それをトータルに判断するのは中和活性だと思います。例えばELISAで抗体価が高いと言っても、それはあくまでもウイルスにバインディングする抗体であって、中和するかどうかというのは分からないのですね。もちろん、将来的にそういうELISAの抗体の値が、中和活性とパラレルだということが分かれば良いですが、それが分かるまでは、ちゃんとウイルスを中和するものを、いちいち調べていかないと厳しいと思います。

○花井委員 なるほど、ありがとうございます。

○田野﨑委員長 ありがとうございます。今の御意見について、せっかくですので感染研の濵口委員から何か御発言はございませんか。

○濵口委員 感染研の濵口です。今、松下先生の研究班の中で花井委員がおっしゃった内容というのも、検討課題として挙げています。現在、国内に入ってくるのは4つの会社がワクチンを準備しているところですけれども、それぞれのワクチンメーカーが、臨床試験として出してきているデータを基に、実際に接種後、1回ではなく2回接種が必要ですけれども、その後、何日目ぐらいに抗体ができてくるのかということ。抗体の量だけでなく、中和活性がどうなっているかということを、データとして出して、それを基に大体何パーセントぐらい効くということが、今、公表されているところかと思います。検討したところでは、回復者の血漿の中の抗体と、ワクチンを接種した後、ある一定期間後の血中抗体が、ほぼ同じレベルまであるのではないかというデータが、メーカーサイドのデータですけれども、一応、取れているところかなと考えています。今後、色々な知見が溜まってくる中で、可能性としては一応、考えておいても良いのかなというのが我々の見解です。以上です。

○田野﨑委員長 ありがとうございました。今回、このプロジェクトの中で、単なる血漿製剤だけではなく、これを大量に集めることによって、ハイパーイミューンの高力価免疫グロブリン製剤を製造するというところも視野に入れてやられているということです。これによって万が一、ウイルスが混入していたとしても、ウイルスの低減化、これの保管の仕方、輸送の問題、予防にまで使える可能性も出てくる。そして品質の安定化ですね、バリエーションが減ってくる。そういうようなことも含めてということで、これに関しては大量に採れないといけないので、個々の施設が頑張ってもなかなかできないところを国の方で動いて、今、進めているところかと思います。

 ただし、リスクが普通の献血とは訳が違う。かなり多くの方が後遺症で悩んでいらっしゃるということも報告されていますし、重症者であればあるほど中和抗体価は高いということも言われているので、その辺をどこまで入れていくか。そうしますと、私も松下先生の班で議論させていただいていますが、ドナーの安全性です。ドナーは自分の治療のためではないですから、基本的にはノーリスクというのが原則ではないかと思うのですが、そのドナーをどこまで組み入れていくかということになって、恐らく100人大丈夫だからといって、輸血は安全とは言えないのではないか。献血は私たちはずっと議論していますけれども、1,000人、1万人やった中で、ドナーに万が一のことがあったら大変なことであるわけですから、そこをどうやって進めていくかということを慎重に議論し、色々な方々の意見を伺って、そうは言いながらも、いざというときにサッと動けるような体制づくりも必要なので、そこのバランスを取りながら、見直しもしながら、それでやっていくということが非常に重要ではないかと考えています。

 他の先生方で何か御意見がございましたら、宜しくお願いします。宜しいでしょうか。取り敢えず、このコンバレスセントプラズマ、今回は血漿のバンキングのところが中心になっていて、今後、これをいかに投与するかという話に段々進んでいくと思いますが、また引き続き色々な議論が必要かと思っています。他に何か委員の先生方から御意見、御質問などがございましたら、宜しくお願いします。それでは、どうもありがとうございました。本日の議題は以上となります。それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。

○中村血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途、御連絡を差し上げます。これで、血液事業部会令和2年度第4回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。

 

(了)