第17回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和2年11月10日(火) 10:00~12:00

場所

中央労働委員会 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館7階)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員、山崎喜比古委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
北野眞一委員、仁平章委員、則松佳子委員、八野正一委員
使用者代表委員
佐久間一浩委員、鈴木重也委員、山鼻恵子委員

議題

(1)令和2年版過労死等防止対策白書について
(2)令和2年度の取組状況及び令和3年度概算要求について
(3)今後の過労死等防止対策の進め方について
(4)その他

議事

議事内容
○中窪会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第17回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらず、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、御都合により堤委員と湊元委員が御欠席でございます。
それから、事務局に異動があったとのことですので、御紹介をお願いいたします。
○小島企画官 おはようございます。労働基準局総務課小島と申します。
この後、着席のまま御説明させていただくことを御了承願います。
事務局に異動がありましたので、私から御紹介させていただきます。
労働基準局長の吉永でございます。
大臣官房審議官の小林でございます。
労働基準局総務課長の石垣でございます。
労働基準局監督課長の尾田でございます。
労働基準局安全衛生部労働衛生課長の髙倉でございます。
事務局の紹介は以上となります。
○中窪会長 それでは、カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○中窪会長 本日は、各委員にタブレットを配付して、ペーパーレスにより資料等を御確認いただきながら議論をいただくことになっております。タブレットの操作が分からない場合には、随時職員をお呼びください。
それでは議事に入ります。まず、先月閣議決定で公表されました「令和2年版過労死等防止対策白書について」、厚生労働省から説明いただき、引き続きまして「令和2年度の過労死等防止のための取組状況及び令和3年度概算要求について」、厚生労働省から15分程度で御説明いただきます。
その後で、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順でそれぞれの取組状況を5分程度で御説明いただいた後に、一括して質問等の時間を設けたいと思います。できるだけ多くの委員から発言をいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いいたします。
○小島企画官 それでは、厚生労働省より御説明申し上げます。
まず、資料1の2ページになります。令和2年版「過労死等防止対策白書」、こちらの御説明を申し上げます。お手元に白書の本文及び図表の一部の抽出データを用意しておりますので、併せて御確認いただきたいと存じます。
3ページになりますが、過労死等防止対策白書は、過労死等防止対策推進法に基づく法定白書で今回5回目となり、先月30日に閣議決定されたところでございます。主なポイントは、大綱の全業種における調査分析をまとめたこと。疫学研究について、これまでの主な分析結果を記載したこと。また、中小企業や業界団体におけるメンタルヘルス対策等の取組事例についてコラムとして多く掲載したことがポイントとなります。
4ページになります。第1章「労働時間やメンタルヘルス対策等の状況」でございます。労働時間の状況につきましては、労働時間、年次有給休暇の取得率、勤務間インターバル制度の周知導入の各条件につきましては、大綱の数値目標に対しまして、緩やかながらも改善が図られているところでございます。
5ページのメンタルヘルス対策の各取組状況につきましても、大綱の数値目標に対し、緩やかながらも改善が図られているところでございます。いずれにしましても、数値目標に届いていない項目がございますので、小規模事業者の取組を促すなど、その到達に向け引き続きの努力が必要となっているところでございます。
5ページの下段でございますが、自殺の状況につきまして、勤務問題を原因・動機の一つとする自殺者は昨年度より減少しておりますが、自殺者総数も減少していることから、その占める割合で見ますと9.7%と横ばい傾向が続いているところでございます。
続きまして6ページ、第2章「過労死等の現状」でございます。民間雇用労働者、国家公務員、地方公務員の補償状況となりますが、過労死等の認定件数は脳・心臓疾患、精神障害とともに、近年ばらつきはあるものの横ばい傾向が続いているところでございます。
7ページになります。第3章「過労死等をめぐる調査・分析結果」でございます。労災認定事案の分析につきまして、平成22年4月以降8年間における労災認定事案について分析をしたところでございます。左図のとおり、脳・心臓疾患事案を見ますと、発症前6か月の労働時間以外での負荷要因としましては、拘束時間の長い勤務、こういったものが多かったところでございますが、業種別の特徴としまして、医療・福祉や建設業では、精神的緊張を伴う業務が他の要因と比べて高い傾向がありました。
また、右図のとおり精神障害事案を見ますと、主な具体的出来事としましては、仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があったが多いところでございましたが、業種別の特徴を見ますと、医療・福祉や運輸業・郵便業では悲惨な事故や災害の体験、目撃をした、こういったものが他の要因と比べて高い傾向が現れておりました。
8ページは、平成27年、28年度の2か年度間に認定された精神障害事案のうち、自殺事案の167件を抽出して分析したものでございます。左図のとおり、自殺事案を発病から死亡までの日数別に見ますと29日以下が半数以上でありました。また、労災認定の疾病に関して、医療機関の受診歴なしが約6割あったところでございます。
右図のとおり、自殺事案を職種別の事案割合で見ますと、専門的・技術的職業従事者、あるいは管理的職業従事者の順で多く、その割合は、精神障害事案全体の構成と比べても高い傾向が示されておりました。
9ページになります。こちらは労働・社会分野の調査結果につきまして、全業種の企業及び労働者にアンケート調査を行った結果、左図のとおり約3割の労働者が4、5年前と比較して労働時間が短くなった、休日・休暇を取得しやすくなったというような回答を得られております。
一方、右図のとおり、過重労働防止に向けて、労働者が必要と感じる取組は、人数を増やす、あるいはタイムカード等の客観的な方法による労働時間管理をしてほしいというような回答が多かったところでございます。
一方、過重労働防止を実施する上で企業側が困難と感じることは、人員不足のため対策を取ることが難しい、あるいは労働者間の業務の平準化が難しい、こういった回答が多かったところでございます。
10ページになります。こちらも同様に法人役員・自営業者にアンケート調査を行った結果、左図のとおり、法人役員・自営業者ともに約3割が4、5年前と比べて就労時間が短くなったと回答いただいております。また、法人役員の約3割、自営業者の約2割が休日・休暇を取得しやすくなったというような回答を得られたところでございます。
一方、右図のとおり、自身の過重労働防止のために必要と感じる取組は、法人役員・自営業者とともに、病気や通院等を踏まえた働き方の調整とする回答が最も多かったところでございます。また、自身の過重労働防止に向けた取組を実施する上で困難と感じることは、法人役員が人員不足のため対策を取ることが難しい、自営業者は収益が悪化する恐れがあるとの回答が多かったところでございます。
11ページになります。こちらは疫学研究の分析1から3についてまとめたものでございます。過労死等防止調査研究センターにおきまして、過労死等の危険因子と疾病との関連の解明、効果的な予防対策に関する研究を継続的に行っているところでございます。現時点におきまして、長時間労働と血圧の関係とか健康影響への分析結果が得られたところございますが、内容につきましては11~13ページの分析結果のとおりとなっているところでございます。
14ページ以降が、第4章「過労死等防止のための対策の実施状況」でございます。これまで大綱によって定められた国が取り組む重点対策につきまして、取組状況をまとめているところでございます。
14ページは、長時間労働の削減に向けた取組やメンタルヘルス対策、パワーハラスメント防止対策などの労働行政機関における対策。
15ページは、国が重点的に取り組むべき過労死等事案の分析や疫学研究等の調査研究の取組。
16ページ以降は、啓発の取組内容となりまして、毎年11月の過労死等防止啓発月間におけますシンポジウムの実施など、国民に向けた周知・啓発実施の内容でございます。
また、17ページは、大学、高等学校等への講師派遣事業や過重労働解消キャンペーンなどの取組をまとめているところでございます。
18ページは、勤務間インターバル制度の推進。
19ページは、年次有給休暇制度の取得促進。
20ページは、メンタルヘルス対策に関する各種サポート。
21ページは、職場ハラスメントの予防・解決のために実施した周知・啓発内容をまとめたところでございます。
22~23ページにつきましては商慣行・勤務環境等を踏まえた取組の推進としまして、トラック運送業、教職員、医療従事者、情報通信業、建設業につきまして、過労死等防止のための各種対策の実施内容をまとめているところでございます。
24ページは、若年労働者、高年齢労働者等に対する取組の内容、また、公務員に対して実施しました周知・啓発の取組をまとめさせていただきました。
25ページは、相談体制の整備としまして「労働条件相談ほっとライン」や「こころの耳」における相談の実施状況。また、産業保健総合推進センターで実施します各種専門的研修等の内容をまとめたところでございます。
26ページは、民間団体の活動に対する支援としまして、過労死等防止対策推進シンポジウムの開催状況となり、
年1回開催されます過労死遺児交流会につきましては、27ページに実施状況をまとめているところでございます。
28ページは、先ほど申し上げました企業や業界団体の取組の好事例をまとめたコラムを一覧として整理しているところでございます。
本編の取りまとめは以上ですが、29ページより、特別編で新型コロナウイルス感染症の対応状況をまとめたところでございます。
我が国におきましても、令和2年1月に最初の新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、感染者の数は増加し、運輸業・郵便業、医療・福祉など労働環境に様々な影響を及ぼしたことから、本編とは別に特別編としてコロナウイルス対策の対応状況を取りまとめました。
30ページは、そういったコロナ禍におきましても、労働者が安心して働き続けられる労働環境の整備・支援を行っておりますのでその内容を、また一方で、万が一ウイルスに感染しました医療従事者等に対しましては、適切な労災補償を実施できる環境を整備いたしました。
31ページは、医療従事者、トラック運転者等の健康管理のために個別実施したそれぞれの支援・対策を取りまとめたところでございます。
以上、令和2年版の白書の御説明を申し上げました。
続きまして、令和2年度の取組状況を御説明させていただきます。
32ページの、資料2「『過労死等防止対策推進法』及び『過労死等の防止のための対策に関する大綱』に基づく施策の実施状況について」ですが、こちらの資料は、これまで国が取り組んできた重点対策を年度ごとに取りまとめた資料となりますので、御参考としていただきまして、令和2年度の厚生労働省の主な取組につきましては、65ページの資料3で説明申し上げます。
66ページになります。過労死等防止対策推進シンポジウムにつきましては、コロナ対策を十分踏まえた上で今月の啓発月間を中心に、本年度におきましても47都道府県48会場で開催することとしております。なお、東京中央会場大会は明日11日の開催を予定しているところでございます。
67ページは、過重労働解消キャンペーンの取組としまして、過労死等に係る労災請求が行われた事業場等への重点監督を実施すること。また、今月1日には無料の電話相談、過重労働解消相談ダイヤルを実施させていただきました。
68ページは、調査研究としまして、過労死等事案の収集・分析を継続実施しているところでございますが、今年度の重点業種の分析につきましては、自動車運転従事者、また、外食産業について解析し、令和3年度に公表を予定しているところでございます。
69ページのアンケート調査でございますが、同様に自動車運転従事者、外食産業の企業労働者に対して調査を実施することとしておりますが、過重労働防止のための取組状況のほか、新型コロナウイルス感染症の影響等についても調査項目に加えまして、調査を実施する考えでおります。
70ページは相談窓口の設置としまして、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」について、SNS相談等の拡充を図ったところでございますが「労働条件相談ほっとライン」におきましても、最近相談件数が増えているところですので、SNSによる相談実施を検討しているところでございます。
71ページは過労死等防止対策等労働条件に関する啓発事業としまして、現在コロナの影響で少し取組が遅れたところでございますが、9月末時点で110回の申し込み受理があり、9月末時点で25回開催、受講者は約2,400人となっております。引き続き関係者の御協力の下、年度内申込者に対しましては、適切に実施することとしております。
72、73ページにつきましては、自動車運送業、建設業、情報通信業、医療従事者に対する商慣行・勤務環境等を踏まえた取組につきまして、引き続き各省横断的に取引関係者への啓発・働きかけや業種の枠を超えた取組を進めていくところでございます。
74ページの過労死等遺児交流会につきましては、今年12月に静岡県で開催する予定で、現在調整を続けているところでございます。
資料4~7はこの後各省の御担当者から御説明申し上げますので、先に102ページ、資料8を御説明させていただきます。
「過労死等防止対策の推進」、令和3年度の概算要求の概要でございますが、新型コロナウイルス感染症対策で、政府予算全体が厳しい中でありますが、過労死等防止対策の推進に必要となる予算額は、各省適切に要求しているところでございます。年末に向けましてしっかり予算確保できるよう、引き続き努力をするところでございます。
なお、102ページの調査研究にあります過労死等の労働・社会分野の調査・分析につきましては、より効果的に実施できますよう、令和3年度より労災認定事案の分析や疫学研究等の分析を行っております独立行政法人労働者健康安全機構で一元的に実施できるよう予算を組み換えての要求となっているところでございます。
以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 それでは、人事院職員福祉局でございますけれども、一般職国家公務員の過労死防止のための対策について御説明をさせていただきます。
資料4、75ページを御覧ください。人事院では国家公務員の過労死防止につきまして、内閣人事局と連携をして取組を進めております。今年度におきましても長時間労働の是正等、心の健康づくり対策、パワーハラスメント防止対策、過労死等事案の分析、こういったことを柱にした対策を講じているところでございます。
まず、1つ目の柱は長時間労働の是正等でございます。国家公務員につきましても民間労働法制の改正を踏まえまして、超過勤務命令を行うことができる上限を御覧のとおり設定しているところでございます。ただし、大規模災害への対処等の重要な業務であって、特に緊急に処理を要する業務に従事する職員に対しては、上限の時間を超えて超過勤務を命ずることができますけれども、その場合には、各府省各庁の長に上限を超えた超過勤務に係る要因の整理分析検証を義務づけております。
各府省においては、令和元年度において上限を超えた要因の整理分析及び検証が行われ、現在人事院におきまして取りまとめの作業を行っているところですけれども、令和元年度において上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合は、他律的業務の比重が高い部署で約9%、それ以外の部署では約7%でありました。今後、各府省における整理分析・検証の詳細をヒアリング等を通じて把握するとともに、各府省に対する情報提供や必要な指導を行っていくこととしております。
また、職員の健康確保措置につきましても、御覧のとおり面接指導を強化したところでございます。この措置も昨年4月から施行しております。
次に右側にまいりまして、心の健康づくり対策、パワーハラスメント防止対策について御説明いたします。公務におけるパワハラの防止対策につきましては、各省各庁の長の責務、パワーハラスメントの禁止、苦情相談への対応などを定めました人事院規則10-16等を本年4月1日に公布し、民間法制と同様に6月1日に施行いたしました。人事院は規則等の施行に向けて、各府省が円滑かつ効果的に制度を実施できるよう、各府省に対し規則等の内容を周知するとともに、資料の提供や助言を行ったところですけれども、今後も研修教材の提供やセミナー開催を通じて各府省を支援することにより、公務におけるパワハラ防止等に努めてまいります。
また、ストレスチェックの結果を用いたハラスメント等の予防のための方策について、有識者の意見を聴取して検討を進めてまいります。
次に、各府省で心の健康づくりを推進するキーパーソンの研修に力を入れております。例えば各府省の健康管理者や健康管理医に対し心の健康づくりの必要性や、管理監督者や職員等に対する研修のカリキュラムに関する説明、あるいは外部講師から健康管理者等が行うメンタルヘルス対策の講義などを行っております。それから、心の健康づくりのための職場環境改善ファシリテーター研修というものも行っております。
今年度は新型コロナウイルスの感染予防に留意しながら、このような研修を可能な限り実施していきたいと考えております。
3つ目の○の周知につきましては、メンタルヘルスのガイドブックを職員用と管理監督者用の2種類作成しておりますけれども、今年はこれ大幅に改定しまして、超過勤務の縮減、ハラスメント防止、ストレスチェックの活用など、最近の過労死等防止のための取組を記載して配付をしております。また、過労死等防止のための取組に関する内容を盛り込んでおりますe-ランニングに関する自習用教材を各府省に提供しております。
4つ目の○、相談体制の運営でございます。霞が関の人事院の本院と9か所ある地方事務局等でどこの府省の職員の方でも利用可能な職場復帰相談室、それから、こころの健康相談室を開設してございます。職場復帰相談室と申しますのは、メンタルでお休みされていた方が職場に復帰されるに当たって、専門家のアドバイス等が必要ということで、各府省が利用できる体制を本院と全国の事務局に設けているところでございます。こころの健康相談室は、それぞれの府省において心の健康相談の体制はありますけれども、自分の役所にはなかなか相談しづらいといった事情もございますので、どこの府省の方でも匿名で人事院に利用可能な制度を設けているところでございます。今後は相談を希望する職員が相談しやすい環境の整備を図っていく予定としております。
また、パワハラということで申し上げますと、職員からの苦情相談を受け付ける制度がございます。職員本人は匿名でも利用が可能で人事院の職員が対応いたします。もちろんパワハラだけを扱っているわけでございませんけれども、ここの表にございますように、パワハラの件数が一番多くなってございます。
最後、左下にまいりまして3つ目の柱、過労死等事案の分析、公務災害相談窓口の周知につきまして、令和元年度は平成22年度から30年度までの9年間に公務災害と認定された事案について分析を行いました。令和2年度は、脳・心臓疾患及び精神疾患等に係る公務災害認定事案の分析結果に基づきまして、過労死等防止の観点から各府省に対して指導・助言を行うこととしております。
また、2つ目の○ですけれども、各府省の公務災害相談窓口について、人事院及び各府省のホームページやイントラネット等で周知し、併せて職員等から各府省に相談があった場合の対応について通知をいたしました。
御説明は以上でございます。
○内閣官房参事官(福利厚生、ハラスメント防止担当) 内閣人事局でございます。よろしくお願いいたします。
資料5、76ページを御覧ください。内閣人事局では人事院と連携しながら、国家公務員に対する啓発や相談体制の整備のための取組を進めております。令和2年度における過労死等防止対策の実施状況につきましては「Ⅰ ワークライフバランスの推進」と、次のページにございます「Ⅱ 心身の健康の保持増進」を2つの柱として取組を進めているところでございます。
まず、1つ目の柱の「ワークライフバランスの推進」につきましては、国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針に基づきまして、超過勤務の縮減、年次休暇の取得の促進といった取組によって、ワークライフバランスを推進しているところです。
令和2年度の取組につきましては、1つ目として、7月から9月に国家公務員の働き方改革推進強化月間を実施いたしました。実施期間は当該期間の間で少なくとも1か月間とし、各府省の判断で決定しております。当該月間中は超過勤務の縮減や休暇の計画的な取得などの取組を重点的に実施するとともに、ワークライフバランスの取組を推進し、また、非常時における業務継続の両面から業務の効率化やテレワーク、フレックスタイム制の推進等を実施いたしました。
2つ目としまして、ワークライフバランス推進のため、特に管理職に対する取組を進めております。
まず、アにあります超過勤務予定の事前把握の徹底でございます。これは管理職が超過勤務の理由や見込時間を事前に把握することによって超過勤務の原因を取り除き、超過勤務を縮減するという取組でございます。また、年次休暇につきましても、連続休暇の取得を促進するとともに、計画的に取得するために計画表を活用するといったことを推進しております。
また、イの管理職向けe-ラーニングも平成29年度から実施しており、約3万7000人の全管理職を対象として行っております。
さらにウのマネジメントセミナーを本府省及び全国の地方機関等の管理職を対象として開催しており、今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンラインも活用しまして、管理職として求められる行動・役割について講義のほか、グループ討議などを通じて研修を実施しております。
続きまして、2つ目の柱の「心身の健康の保持増進」につきましては、管理職員などによる健康マネジメントの推進という観点で進めております。まず、国家公務員に対する周知・啓発の具体的な取組として4点ございます。
1つ目として、管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーを実施しております。これはメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーで、全国6ブロックで実施しております。
2つ目は、健康管理に対する意識啓発講演会として、毎年10月1日から7日の国家公務員健康週間中、健康管理に関する講演会を開催しております。今年度は「コロナ禍における職場のメンタルヘルス」と題しまして、コロナ禍の下、テレワークという新たな働き方が進む中でのメンタルヘルスケアにつきまして、講演を有識者からいただきました。昨年度までは東京の会場での開催でございましたが、今年度はオンラインでの形式での開催に変更しまして、全国から約500名の職員が参加しております。
3つ目のe-ラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習につきましては、新任管理者・課長補佐・係長クラスの職員を対象に、メンタルヘルス、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントなどの基礎知識や、部下からの相談への対応方法などを習得させるため、e-ラーニングを実施しております。併せて新任の幹部職員及び課長級職員を対象に、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの防止や、問題が生じた場合の対処に関して、その果たすべき役割と責任を理解・習得させるための講習を実施しております。
なお、これらの講習については、本年6月に施行されましたパワーハラスメント防止に関する人事院規則に規定されたパワーハラスメントの定義や、パワーハラスメントになり得る言動の例、管理監督者をはじめ職員の責務などを具体的に盛り込み、周知・啓発の徹底を図っております。
4つ目は、生活習慣病対策などの健康増進対策の推進でございます。過労死などの原因となる脳血管疾患や心臓疾患を予防する観点から、健康診断において要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診の指導などを行っているところでございます。
また、国家公務員に対する相談体制の整備についてでございますけれども、各府省等カウンセラー講習会を全国6ブロックで実施しております。受講者の中には既に様々な基礎資格や経験がある方もいらっしゃいますけれども、人事異動により初めてカウンセリングの業務につく方もおられますので、よりカウンセリング能力を高めていただくための実践的講義を行っているところでございます。
内閣人事局としての取組は以上となります。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長 続きまして、総務省でございます。
それでは資料6、78ページから総務省の令和2年度における地方公務員の過労死等防止対策の実施状況につきまして御説明を申し上げます。
79ページでございますけれども「地方公共団体における時間外勤務縮減の取組」についてでございます。総務省から各地方公共団体に対しまして、労働時間の適正な把握と時間外勤務縮減につきまして、制度改正時に要請をしてございます。
また、令和2年度につきましても、働き方改革への取組を通知や地方公共団体の人事担当課長が出席する全国会議などにおきまして要請をしてございます。さらに平成29年度に立ち上げました女性活躍・働き方改革推進協議会につきまして、今年度一部、新型コロナウイルス感染症の影響で見送りになったものもございますけれども、基本的には全国のブロックで分科会を開催し、意見交換・情報交換を行ったところでございます。
続きまして、80ページでございます。上段は平成28年度から毎年度実施しております地方公務員の過労死等に関する調査・研究事業についてでございます。本年度におきましても、平成22年1月から平成31年3月までに公務災害と認定された事案につきまして、データベースの構築とその分析を行うこととしてございます。
下段は地方公共団体における安全衛生体制の整備状況と、ストレスチェックの実施状況でございます。安全衛生体制につきましては、ほとんどの事業場で整備済みとなっておりますけれども、人事異動等のタイミングで設置や選任ができない時期が若干あるということでございます。ストレスチェックの実施状況につきましては、主に小規模の事業場において未達成の団体がありますので、引き続き助言をしてまいりたいと思っているところでございます。
最後に81ページでございます。上段は地方公務員に対する講義・研修の状況でございます。例年、総務省の自治大学校におきまして講演を、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会において研修を実施しておりまして、本年度におきましても表のとおり実施、または実施予定でございます。なお、今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、主に年度前半に中止した研修もあり、昨年度と比較して半分程度の開催となっております。
下段は地方公務員に対する相談の取組でございまして、各人事委員会等におきまして、苦情相談窓口を設置しているほか、各地方公務員共済組合、あるいは地方公務員災害補償基金におきまして、メンタルヘルス相談を実施しているところでございます。
総務省からの説明は以上でございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。よろしくお願いいたします。
文部科学省における対策の実施状況につきまして、特に前回の会議が開催されました7月以降の状況を中心に簡潔に御説明申し上げます。
資料7の83ページをお願いいたします。公立学校における働き方改革についての全体イメージでございますが、左上の上限時間に関するガイドラインにつきましては、既に指針として告示をし、取組を進めているところです。右上の箱になりますが、令和元年の給特法改正で、地方公共団体の判断により、休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制を適用できるようにしたところです。
1ページ飛ばしていただきまして、85ページをお願いいたします。上段の在校等時間の上限につきましては、本年4月から既に施行されており、下段の1年単位の変形労働時間制につきましては、来年の4月1日より施行されることとなっておりますが、7月に中央教育審議会で議論をし、省令の制定や指針の告示等を行ったところです。適用に当たりましては各都道府県等で条例などの整備が必要となりますので、早ければということで、9月議会等で条例制定と記載しておりますけれども、現時点ではまだ条例が策定されたという話は聞いておりません。
86ページをお願いいたします。これは7月に改正をした指針の概要でございますが、88ページに飛んでいただきまして、第3章「長期休業期間における集中した休日の確保のための1年単位の変形労働時間制」を追加いたしました。この中で服務監督教育委員会等が講ずべき措置とあるところですが、制度を適用しようとする教育委員会や学校が講ずる措置を示しています。例えば2つ目の矢印のところでは、制度を適用するに当たっては、上限時間の範囲内であることが前提であることや、制度を適用とする期間で上限時間の範囲内となることが見込まれる場合に限り、本制度の適用を行うことなどを記載しております。
また、3つ目の矢印のところでは、制度を適用するに当たっては、服務監督教育委員会及び校長は以下の全ての措置を講ずることとし、イのタイムカードなどによる客観的な方法での時間の把握や、ホの休日を長期休業日に集中して設定するといったようなことを記載しております。
こうした内容につきまして、各教育委員会に通知するとともに、Q&Aを作成して趣旨を伝えているところです。
少し飛びまして93ページをお願いいたします。「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理と『休日のまとめ取り』のための1年単位の変形労働時間制等における不適切な運用に関する相談窓口」でございます。10月8日に文部科学省ホームページに開設をいたしました。地方公務員である公立学校の教職員の勤務条件等については、一義的には各教育委員会において対応すべきものでございますが、制度の適切な運用が担保されるため、文部科学省においても相談を受け付けるということにいたしました。教育職員からの相談を文科省において確認をし、対応が必要と認めるものについては、対象となる教育委員会に伝えて対応を促すということにしております。
次に95~97ページまででございますが、令和2年度の補正予算、それから、令和3年度要求に関する資料です。働き方改革のための環境整備や新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた児童生徒の学びの保障のため、必要な人的体制の充実などにも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
98ページをお願いいたします。学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてです。9月の初めに示しました。御案内のとおり部活動は教師の献身的な勤務の下で成り立ってきましたが、休日を含め長時間勤務の要因であることや指導経験のない教師にとっては多大な負担であるという現状がございました。持続可能な部活動と教師の負担軽減の両方を実現できる改革が必要という観点で、休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築する、一方で、部活動の指導を希望する教師には、休日に指導を行うことができる仕組みを構築するという方向性を示しております。
具体的な方策としては、休日の部活動の段階的な地域移行を進めるということで、これを令和5年度以降、段階的に進めることといたしまして、来年度以降、スポーツ庁や文化庁において、そのための実践研究を進めていくということにしております。また、併せて合理的で効率的な部活動の推進についても進めていくということにしております。
文部科学省からの説明は以上でございます。
○中窪会長 どうもありがとうございました。
ただいまの各府省からの御説明につきまして、御質問や御意見等をいただきたいと思います。また、事務局におかれましては複数の委員からの質問・意見等について、まとめて御回答いただきたいと思います。
それでは挙手の上、要点を簡潔に御発言お願いいたします。
渡辺委員から、どうぞ。
○渡辺委員 ありがとうございます。東京過労死等を考える家族の会の代表と全国遺児交流会の代表世話人をしております渡辺と申します。
今年度の白書でも遺児の交流会を取り上げてくださいまして、ありがとうございました。本日の資料ですと27ページにあるのですけれども、民間団体の活動に対する支援ということで、親を過労死で亡くした子供たちに活動の場、心の癒やしの場を与えていただきました。過労死の子供たちというのは親が働き過ぎで亡くなったということで、小さい頃に亡くなっても大きくなるまで心の問題をずっと引きずっております。そして、母親も過労死とか過労自死という亡くなり方では特別に問題になるのですが、亡くなった理由を子供に伝えられないという御遺族がありまして、ずっとその葛藤を引きずっております。過労死というのは、次の世代にも影響を残すような亡くなり方です。
この事業は過労死が起こってしまったという負の出来事の未来への影響できるだけ少なくするために国が取り組んでくださっている事業で、本当にありがたいと思います。毎年このような場を設けていただきまして、お礼を申し上げたいと思います。
子供の支援というのは、親の支援でもありまして、子供のプログラムだけではなくて、お母さんたちのプログラムも設けていただいていることをお礼申し上げます。このような活動に御理解と御支援をいただいて本当にありがとうございます。
今年の参加者なのですけれども、29家族だったのですが、写真を見ていただくと分かるように小さい子が多いのです。本当に就学前とか小学校低学年みたいな子が多いということは、若い父親が過労死で亡くなっているのです。白書の86ページとかを見ていただくと分かるのですけれども、若い人、30代から20代の人を合わせると、自死で45%ぐらいがもう若い方なのです。若い方はやはり経験が少ないので、職場でいろいろな負荷がかかったときにやはりストレスを強く感じて自死を選んでしまうという可能性がとても高いので、そのようなケアをぜひ願いしたいと、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
父親ばかりでなくて、若くて就職したての方もたくさん亡くなっておりまして、私たちの会にも相談で伺っている事案ですと、入社して1年目は上司の下について仕事ができたのですけれども、2年目から上司の仕事をそのまま引き継ぐことになり、あまりに負荷が多かったために精神的な重圧で言葉遣いが乱暴になったり、対人関係でイライラをぶつけたりしたところ、産業医の方から休職ということを強制的に命じられました。精神科に受診しろと強制的に言われ、1年間自宅療養になりました。その後、復職したのですけれども、職場でそこから先にすごいハラスメントを受けました。退職を突きつけられたり、産業医に寮を出ていけとか言われて、メンタルのバランスを崩して最終的に自死という選択をされてしまうという本当に残念な事案がありました。
こういう事案も一つではないのですけれども、私たちの相談に来る方の中で、やはり産業医の方の態度とか知識ですとか、メンタルヘルスに関する対応の仕方、心の弱い方に対する産業医という上からの言葉がけとかで、やはり精神のバランスを崩してしまうという方もとても多くいらっしゃいます。
今日の資料の中の48ページにいろいろとメンタルヘルスの実施の実績の数値が出ているのですけれども、この中でやはり産業医さんに対する研修に対しての数値が出ているのですけれども、だんだん少なくなっていて、産業保健関係者への専門的研修というのが平成27年度は1,865回だったのですけれども、令和元年は1,098回になっている理由というのは、どんなところにあるのかなというのが一つ質問です。
それから、メンタルヘルスで休職に追い込まれた方の復職に関して、国としてはどのような考え方を持っているのかとか、どのような方針があるのかというのをお伺いしたいと思います。以前、スウェーデンのメディアの取材を受けたときに、過労死というのを説明するのはとても難しかったのですけれども、あちらの国でもやはりメンタルヘルスで休職に追い込まれる方というのは多いという話で、そのときに復職に当たっては、同じ職場には絶対戻さないということをおっしゃっていました。そういう配慮が日本の社会風土に適か不適か分からないのですけれども、そういった支援の方法も一つあるかなと思いまして、どのように考えているのかというのを伺いたいと思います。
それから、やはり若い人たちの相談で、こころの耳のポータルサイトというのはとてもいい仕組みだと思うのですけれども、メンタルヘルスの相談で、メール相談を取り上げていただきまして、これがとても利用されている実績があるのですけれども、これも今の48ページを見ていただけると、メール相談の件数が平成30年度に比べて令和元年度は減っているのです。これに対してもどのようなお考えとか、実際にはどのような原因があるのかなというのが、もし分かりましたらお答えいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
工藤委員と寺西委員が先ほど手を挙げられていましたので、まずは工藤委員からお願いいたします。
○工藤委員 ありがとうございます。神奈川過労死を考える家族の会代表の工藤と申します。私からは2点質問させていただきます。
まず、教員の遺族として、文科省のほうから相談窓口の設置など多くの対策が出されていることに心強く感謝を申し上げます。白書のコラムにもそのことを21で書かせていただきました。先ほど93ページで不適切な運用に関する相談窓口が文科省内で置かれたというお話も聞いて、私としては、現場の先生がどこにも言えないような悩みとかを文科省から委員会、管理職教員が一体となって、それを把握して働き方の改善などが進められて、現場の先生も救われるものと大変期待しております。
一方で、これが出されたときの周りの反応というのは、委員会には絶対言えないとか、管理されてしまうという不信感が多く、実際に11月1日にある委員会がハラスメントの被害者教員に口外禁止を要求したり、11月5日には見た目の残業超過を避けるために教員に休日出勤分の削除をさせたというブラック企業のようなことが行われてしまっていて、すごく残念に思いまして、全国でも同じようなことがあるという多くの先生の声もお聞きいたしました。このような状態が、今後全国でどのように行われているか把握して、改善させていくかということの具体策があるとしたらお聞きしたいです。
こういう時短ハラスメントが行われているということが、来年度から始まる変形労働時間制について、また、講ずべき措置についてなどが適切な根拠や条件の下、きちんとした条件の下で行われるかという不信感もぬぐえません。相談窓口もせっかく善意で行われているのに、このような不信感から適切に機能しなくなるというのが非常に私はもったいないなと思っています。文科省のほうでもQ&Aとか通知などをたくさん出されていて、そうであってはいけないよというのが出されているのですけれども、それが現場にダイレクトに通じていないので、何かダイレクトに通じるような施策がないのかをお聞きしたいと思います。
2点目なのですが、白書に発症から自死まで29日以内におけるという衝撃的な数字が出ていて、早期の相談、周りの気づきが必要だと感じております。厚労省のこころの耳や労働条件の相談のポータルサイトなどで、たくさん相談が寄せられていると思いますけれども、例えば相談者の年齢とか業種とか、相談内容などの統計、属性とかもありましたら、お伺いしたいです。これだけの数の相談の内容を分析するということは、今後の過労死等の防止対策において、すごく役立つのではないかと思っております。
以上になります。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、寺西委員、お願いいたします。
○寺西委員 ありがとうございます。家族の会の寺西と申します。よろしくお願いいたします。私から2点、意見と要望を述べます。
まず1点目は、本日の資料の11ページから今年度白書の中に疫学研究等について書かれて、分析を報告していただいています。白書の本文の第3章の143ページからのところなのですけれども、過労死等の発生の実態解明を進めるために、どのような要因が過労死等のリスク要因として影響が強いか調査することを目的にされたもので、大変重要なものと認識しております。
今回はトラック運転者と交代制勤務の看護師、このリアルな分析に加えて(3)では長時間労働を模擬した実験の手法により検証された分析を見させていただきました。高年齢層の長時間労働による心血管系負担がより大きいということが示されています。こうした模擬の症例としては理解できるのですが、実際の職場は仕事のストレスや過重負荷が伴いますので、できれば、私たち、家族の会の仲間もこの白書は注目して、常に勉強しておりますので、こうした解説を載せていただければ、健康管理や過労死防止への理解がより深まると思いますので、御検討いただければ幸いします。
もう一点は、白書の第2章の過労死の現状であります。本文の33ページから載っています。過労死等に関わる労災補償の状況で、脳・心臓疾患に関わる労災請求件数の推移はずっと高水準で、昨年については936人という数字に増え続けています。
また、43ページの精神障害に関わる労災請求件数の推移は右肩上がりで増え続けていって、昨年は2,000人を超えました。しかし、労災認定されるのは厳しい数字になっておりますので、こうした労災認定をされないと、やはり過労死の取組にも影響すると考えております。今、他方で、労災認定基準の改定作業が行われていますが、近年の働き方の変化の実態や適正に評価される認定基準に改正されることを強く望んでいるところであります。
最後に、パワハラによる自死が増え続けています。家族の会にもそういった相談が多く寄せられているところでありまして、会員の中で精神疾患、また自死遺族という仲間が半数以上いるところです。私のように遺族から見ますと、なぜもっと早く気づかなかったのかなと悔やんでいる仲間がたくさんいます。そうした症状が重くなる前に相談体制の充実が求められていると思います。今、電話相談やメール、SNSなどのツールが圧倒的に多いわけですけれども、できれば、また違った方向で、例えば名刺サイズのような小さなペーパーに心に寄り添ったメッセージと相談先を明記したものをいろいろな各所に取りやすい状態で置いていただいたらどうかという提案をさせていただきたいと思います。
こうした形で少しでも思い悩んでいる人、またはそうした家族の人が相談に結びつく、そうした体制の整備をぜひ検討していただきたいなと思って発言させていただきました。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
宮本委員、お願いします。
○宮本委員 宮本でございます。
まず、先ほどの渡辺委員のお話、大変心にしみました。大変不幸な事例でお悔やみ申し上げたいと思います。
私は産業医の立場としてお話ししますと、多くの産業医は極めて真面目に対応しているのですけれども、ごく一部の方の悪しき事例が顕在化してしまうのではないかなと思っております。そう考えますと、一つ事件になったとか、事案化したものというのは、多分産業医があまりいい関わりをしていないのだろうということが想像されます。こういったまじめな産業医が普通にやったら何も事件は起こらないということをうまくアピールしにくいところではあるのですけれども、良好事例というか、些細なことでもいいので真摯に活動した事例というものを拾い上げていただいて、何かコラムでも結構ですので載せていくことができないだろうかと思っております。
産業医、あるいは保健師さんの活動などは、一生懸命やればやるほど何も事件が起きないというところがありますので、そこをアピールできたらなと思っています。
また、今回の資料の8ページにもありますが、先ほどお話があったように、なるべく早く医師や保健師が関わりたいということからすれば、今回は発病から自死までの時間が書かれていますが、もし可能でしたら次回の分析までに、出来事から自死までの時間を分析できないだろうかと思っています。と申しますのは、例えば長時間労働ですとか、何かハラスメントがあったとか、そういう出来事からどのぐらいのスピード感を持って、例えば産業医面接をするですとか、様々な介入をどこのタイミングでやるかということも分かると思いますので、知りたいなというところでございます。これは次回に向けてで結構です。
また、同じ状況で、80ページの地方公務員に関係するお話も出ておりました。こちらで産業医が99.4%いるという大変すばらしいことなのですけれども、去年から今年にかけて、自然災害、あるいはコロナなどで、地方自治体の方や保健所の方が大変長時間労働をするはめになっていると思います。こういった緊急的に起こった場合に、例えば産業医の面接ですとか介入ができるような体制になっているのかどうかという、そういう契約になっているのかどうかというのは、ひとつ確認をしていただけるとありがたいと思います。
国家公務員に関しては、医師の面接というお話が75ページに出ておりましたけれども、地方公務員は産業医の選任までで、そこから先の活動が緊急時にできるのかどうか。もしかすると、最小限の予算ということで、本当に最小限の活動しかできない契約になっていると、緊急時対応ができないということもあろうかと思います。実際に昨年度、千葉県の台風のときもそういった事例がありましたので、過重労働に対する柔軟な対応ができるかどうかということも視野に入れて御検討いただければと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員までで、ちょっと回答をいただくようにしたいと思います。
○髙橋委員 ありがとうございます。髙橋幸美でございます。
過労死等防止啓発シンポジウムでは、私は今年度、6県で遺族の訴えをさせていただいているところです。娘が亡くなり来月で5年になります。娘は広告代理店で過酷な長時間労働と厳しい上下関係、ハラスメントから、入社してわずか9か月で自殺に追い込まれました。娘は入社当初の研修中から自宅に持ち帰り企画書の作成などを行っておりましたが、試用期間が終わり正社員になった途端に、さらに深夜、徹夜勤務が続き、約一月で鬱病を発病しました。勤務間インターバル制度もなく、朝9時から翌朝4時まで19時間働いて、5時間後に出社しておりました。2日徹夜の後、40分後に出社したこともありました。あるときは1週間で10時間しか寝ていない状況でした。上司から勤務時間を短く申告させられており、産業医の面接も受けられませんでした。
私はこの防止法がもっと早くできていたら、娘は死なずに済んだのではないかと思っておりました。しかし、過労死防止法が施行され6年になりますが、精神障害からの労災請求は年々増加しており、昨年度の勤務問題を原因とする自殺者は1,949人になります。この方たちは仕事を頑張って頑張って苦しみながら亡くなった人たちです。娘やこの方たちは理不尽にも幸せを奪われ、苦しみながら亡くなり、残された私たちは最愛の家族を失い、残りの人生を苦しみと悲しみの中で生きているのです。
白書の第3章にあるように、過労死の発生する原因である恒常的な長時間労働を改善しない事業所では社員の健康被害の可能性が常にあるということです。2016年10月25日のこの協議会で川人先生が言われたように、娘の会社では、娘が亡くなる24年前と3年前にも社員の過労死が起きており、4か月前には労基署の是正勧告が出ていたのに娘が犠牲になりました。このことを十分な反省と教訓を踏まえて取り組んでいく必要があります。その後も娘の会社では、また是正勧告を受けていたことが昨年末に明らかになりました。先日は別の会社ですが、入社わずか2か月の女子社員を過労自殺に追い込んだ飲食グループでまたも是正勧告の事例があったことが報道で明らかになりました。
若者の使い捨てが疑われる事業所を重点的に指導を続けていただくとともに、過労死の発生があった企業グループに対しては一層注視し監督指導され、娘のような悲劇が繰り返されることのないように切にお願いします。
さらに、それを踏まえてお願いと提案です。
第1に、前回協議会でお願いした法令違反の公表制度においては、残念ながら厚労省のホームページのどこにあるのか一般の人には全く分かりません。プレスリリースという形ではトップページから到底たどり着けない。企業への過労死ゼロの啓発の意味のあるものにするために公表リストを分かりやすく、さらに白書に載せるなど、掲示をしてもらいたいと思います。
第2に、勤務間インターバル制度について、業種・職種・雇用形態を問わず、11時間の義務化に向けて進めてほしいと思っておりますが、インターバルがないと娘のような悲劇につながります。11時間でも1日4時間の時間外労働で20日勤務すると80時間の過労死ラインになります。眠らないで生命を維持できる人間などいないのですから、当たり前に義務化を進めていってほしいところです。そこで、導入企業に対して、くるみんマークのように認定マークを発行するなどして、導入の促進をしてはどうかということを提案いたします。
第3に、厚労省ではあかるい職場応援団などSNSで公式IDをつくったり、動画や漫画で労働条件を分かりやすく説明されており、若い人みんなに見て欲しいなと思っているところなのですが、これがどれだけの人に見ていただいているのか。また、新聞広告で過労死等防止啓発月間という広告を見たのだけれども、厚労省のホームページを探したけれども、全くどこにあるのか分からないという声がありました。せっかく良いコンテンツをつくられているので、一般の人からもすぐに目に留まるような工夫をしていただきたいと思います。
最後に、こころの耳もLINEの相談が開始され、私も昨年、産業医面談を受けたこともあり、利用させていただきました。しかし、私の下には、どこに相談したらよいのか分からないという声がいまだに届いております。これも、せっかく良いコンテンツをつくっておられるので。多くの人の目に留まるように工夫をしていただきたいと思います。また、相談窓口で話を聞いてもらえたら、すぐにメンタルが安全して解決に結びつくものではありません。職場環境を根本から改善しなければ過労死の原因は解決しない。遺族の思いは日本から過労死がなくなることです。調査・研究・啓発にとどまらず、協議会での提案を基にし、長時間労働やハラスメントの対策を一つ一つ確実に実行していただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは以上、様々な御意見、御質問いただきましたので、事務局及び担当のところからお願いいたします。
○西村補償課長 補償課長の西村でございます。寺西委員から労災の認定のお話がございました。お話しいただいたように、脳・心臓疾患の請求件数は引き続き高水準でございます。また、精神障害の請求件数につきましては、令和元年度、過去最高という水準に達しているところであります。そのような状況を踏まえて、しっかり適切に認定していくべきだというお話をいただいたところでございまして、これは私どももそのとおりだと思っております。各労働基準監督署において、労災の認定事務を行っておりますけれども、脳・心の認定基準、精神の認定基準、これに基づいて、しっかり適切にやっていきたいと思っております。
さらに認定基準につきまして、時代に合うようなものにしていくべきだというお話を承りました。御案内のとおり、脳・心臓疾患の労災認定基準につきましては、平成13年度につくられたものでございます。これにつきましては、医学的知見の収集を踏まえて、今年の6月から検討会を開催して、全般的な検証をしているところでございます。できるだけ早く検証を行っていきたいと考えております。
一方、精神障害の認定基準でございますけれども、これにつきましては、平成23年度からですけれども、いろいろな労働環境の変化がございますので、ストレスも変わってきております。こういうストレスの調査を今年度実施しておりますし、また、医学的知見の収集につきましても、今年度行っているところでございます。これを踏まえまして、令和3年度には検討会を立ち上げて検討を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○髙倉労働衛生課長 労働衛生課でございます。たくさんの御意見いただきました。
産業医の内容に関して、委員の先生からございましたように、ごく一部のよろしくない事案が実際に存在するということで、我々といたしましては、産業保健総合支援センターで産業医をもちろん含めた産業保健スタッフに対して、メンタルヘルス対策もそうですし、過重労働に関する防止対策等の研修・指導などを実施しているところでございます。それに関しては、引き続き当然のことながら産業保健スタッフのスキルアップというのは、メンタルヘルス、過重労働の防止にしても、いずれに対しても大変重要ですので、今後も力を入れて取り組んでまいりたいところでございます。
メンタルヘルス関連の研修の回数が減っているのではないかという御指摘がございました。実際、御指摘のとおり、回数は減っているというのは事実でございますが、産業保健スタッフ向けの専門的研修というのは、メンタルヘルスももちろんその中で大変重要な一つでございます。一方で、一般健康管理、例えば生活習慣病に関する就業上の指導も産業保健の分野で必要ですので、そういった一般的な健康管理のこと、あるいは労働衛生に関する法令のこと、あるいはカウンセリングであったり、治療と仕事の両立支援などに関する研修などのように、特に近年はカウンセリングとか両立支援に関する研修といったものが回数としては増えているような状況であります。
引き続き、必要な研修というのが十分に提供できるように、我々としては実績を引き続き注視しながら、十分な研修が行えるように今後も取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、若年労働者のメンタルヘルス対策の重要性というものも、我々は当然のことながら重要だと考えておりまして、こころの耳というポータルサイトのほうで、これまでいただいた意見等も踏まえまして、若年労働者のためのサイトも新たに、若年労働者のメンタルヘルス対策、セルフケア、ラインケア、家族の連携、そういったもののコンテンツのページをつくりまして、事業場内での基本的な対応等の一つとして、家族との連携の重要性などを示すとともに、実際の企業での取組事例などを紹介するようなコンテンツをおつくりしているところでございます。
また、こころの耳の相談窓口に関して、メールの相談の件数が減っているという御指摘もございました。こちらに関しましては、メール、電話は従来から行っておりましたけれども、LINEなどSNSを利用した相談の受け付け、特に若年の方が利用しやすいようにということもございまして、令和元年には試行として行っております。あと、こころの耳以外にも様々な相談窓口がございますので、そういったところも各々拡充されていることもありまして、令和元年度のメールというところだけで言うと、少し減ったのかなと考えているところでございます。
一方、こころの耳のほうでもLINEによる相談というのは、令和元年度は試行でしたけれども、今年度の6月からは本格的に稼動ということで、電話の回線等も拡充しておりますので、引き続き相談を受けやすいような体制の拡充を必要な予算などを要望しながら進めていきたいと考えているところでございます。
さらに、こころの耳に関する周知をより図るということに関しましても、インターネットの広告などを使うなど、今までも様々な媒体、ポスター・リーフレット等も含めまして、周知に取り組んでいるところでもありますが、より一層の周知、多くの方に御利用していただきやすいようにということで、そのほかの媒体を使いまして周知の検討も進めているところでございますので、今後も引き続き、より多くの方に使っていただけるように取り組んでまいりたいと思います。
○尾田監督課長 監督課長の尾田でございます。
髙橋委員から法令違反の企業の公表制度について、どこに公表されているのか分からないので分かりやすくというような御指摘がございました。現状は、厚生労働省のホームページの中に長時間労働削減に向けた取組という情報が出ておりまして、平成28年からこうした取組を進めているところですが、その中で企業名の公表を定期的に行っております。
長時間労働対策の取組の一環として実施しているという趣旨から、同じページに掲載しているわけでございますが、髙橋委員からの非常に分かりにくいという御指摘、その点はごもっともかと思っております。企業名公表制度の目的は幾つかございますが、労働基準法違反について、企業名の公表によりまして改善を促すということがもともとの趣旨でございますので、それぞれの企業名公表制度の趣旨を踏まえながら、御指摘について対応を考えてまいりたいと思っております。
○石垣総務課長 基準局総務課長でございます。
寺西委員と宮本委員から、調査・研究に関連して、実際の職場、寺西委員からは調査をしたこと自体は意義があるけれども、もっとその調査の仕方ですとか、そういったところについていろいろと御意見をいただきました。また、宮本委員からは労災の発生からのところで、出来事のところから分析できないかと、そういうお話をいただきました。いずれにしても、私ども調査・研究、いろいろな切り口で少しずつ充実をさせていきたいと思っているところでございまして、今回いただきましたような御意見も大変貴重だと思いますので、どういった取組ができるのか整理をしまして、少しずつでも取り組んでいけるようにしたいと考えております。
それから、髙橋委員からインターバルの関係について御意見を頂戴いたしました。勤務間インターバル制度につきましては、私ども厚生労働省では、労働時間等設定改善指針というものを今設けておりまして、このインターバルの導入によって労働者の方の生活時間、睡眠時間を確保して、健康を保持して、仕事と生活の調和を図るためには有効でございますので、導入に努めていくということを基本姿勢にしてやってきております。そのために、今、民間企業の方々から導入する場合のマニュアル作りですとか、周知ですとか、いろいろな支援策というものに取り組んでおりまして、またその先、マークをつけるとかという御意見も頂戴しましたので、関係部署とも共有をしまして、どういった取組をさらに進めていけるのかということで、さらに引き続き検討していきたいと思います。
どうもありがとうございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。
工藤委員から文科省が設置をいたしました相談窓口に関連して御意見をいただきました。まさにこの相談窓口は学校や教育委員会が対応してくれないときに、直接文科省に声を寄せいただいて、教育委員会にその改善を求めるというものでございます。これまでも先生方からの個別の問い合わせであったりとか、教育委員会からの相談、それから、報道を端緒といたしまして、何らかの問題がありそうなものを確認した場合には、事実関係を確認した上で、必要な指導・助言ということでやってきたところでございますが、業務量の適切な管理に関しましては、上限時間について、その上限時間を遵守することが目的になってしまって、その目的を守るために取組としては適切でない方法が行われたのは非常に残念に思います。
配付をしております資料の中でも、86ページの文部科学省で示しました指針の中で、留意事項といたしまして、(2)のところで「虚偽の記録等について」ということで「在校等時間を上限時間の範囲内とすることが目的化し、授業など教育課程内の学校教育活動であって真に必要な活動であるものをおろそかにすることや、実際より短い虚偽の時間を記録に残す、または残させることがあってはならない」と、明確にこの考え方を示し、また、虚偽で時間を残したりして上限時間を守るということよりも、そのような実態を把握した上で、必要な改善策を図っていくことも重要だということをこれまでも伝えてきたつもりでございますけれども、今後一層、こういったことを伝えていく必要があるのだなと、改めて感じているところでございます。
現場にダイレクトに通じる施策がないかというお話もございましたが、この指針を含めまして、しっかりとこの取組の内容、また、その趣旨を学校現場に伝わるところまで周知を繰り返し繰り返しやっていくことが必要だと思っております。新型コロナウイルス感染症の対応もございまして、今年はなかなか各都道府県に出向いていっての説明会というのは数が減っておりますが、またタイミングを見まして、様々な形で周知をしていきたいと思っております。
以上です。
○髙倉労働衛生課長 厚生労働省の衛生課でございます。
先ほど1点回答をし損ねた産業医・産業保健スタッフによる職場復帰の支援についてでございます。メンタルヘルス、心の問題によってお休みになられて、業務に復帰するのに問題ない程度に回復したとされる労働者を対象に、実際に労働現場に復帰する場合に事業者が行うべき職場復帰支援の内容を総合的に示した、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きというものを作成しておりまして、これは厚生労働省のホームページのほうで掲示しております。
また、国が職場復帰支援の事例集というのは取りまとめておりまして、これらを分析して、事業場に応じた活用ができるようなモデルプログラムというものを作成して、こちらは独立行政法人労働者健康安全機構のホームページで提供しております。このような職場復帰の支援というものも当然のことながら強化していかなければならない重要な課題でございますので、これらに関しては、産業保健スタッフに対する専門研修のほうでも取り上げて教育を進めているところでございます。これらをより活用して、職場復帰が医学的に、あるいは事業者のほうと連携しながら進めるようにということで問題意識を持って取り組んでまいりたいと思います。
御指摘ありがとうございました。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長 総務省でございます。
先ほど、宮本委員から災害等の緊急時の産業医の体制について御質問がございました。産業医の専任自体につきましては、労働安全衛生法の第13条を踏まえまして、その徹底を図っておりまして、先ほども調査結果をお示ししましたけれども、各地方公共団体において適正に対応していただいていると思っております。
御指摘がありましたように、大規模災害時等におきまして、被災団体の職員の健康確保を図るということは大変重要な課題でございまして、産業医の先生方の職務は極めて重要であると認識しているところでございます。先ほどの安全衛生体制の実態調査に際しましては、各地方公共団体に対しまして、実はヒアリングも実施しておりますので、その実態をよく聞いて適正化を図ってまいりたいと思っております。
産業医との契約自体につきましては、各地方公共団体において締結されていますけれども、産業医による面接指導の実施も含めまして、各団体において適切な取組が進められるように進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室長 それでは、職場のハラスメント対策の強化について若干説明させていただきたいと思います。
資料の21ページにございますけれども、パワーハラスメントの防止のための事業主の措置義務の新設、あるいはセクシャルハラスメント防止対策等が強化され、改正法が本年6月に施行されております。事業主の措置義務といたしましては、企業におけるパワーハラスメント等を行ってはならない旨の方針の周知、必要な相談体制の整備、あるいは企業の中で相談があった場合の迅速かつ適切な対応でありますとか、相談者のプライバシーの保護などが企業には求められております。
企業におきまして、これらの措置義務が行われていないということであれば、都道府県労働局で相談に対応しておりまして、措置義務違反ということであれば、助言・指導等を行って、是正を図っております。また、労働者と企業との間で紛争があるということであれば、労働局長による援助なども行っているところでございます。
また、21ページの一番下にございますけれども、労働局以外でも、夜間や休日に電話、メール相談に対応することにしております。さらに「あかるい職場応援団」について、先ほど御指摘いただきましたが、ポータルサイトでハラスメントに関する総合的な情報提供を行っております。実績につきましては、資料の49ページにございますけれども、平成30年度は210万件のアクセスがあったところです。内容の充実を図るとともに、さらに、アクセスしていただくように、リーフレットでの周知、あるいはインターネット広告など、周知・啓発を図っていきたいと考えているところでございます。
○髙倉労働衛生課長 改めて労働衛生課でございます。
こころの耳における相談件数や相談者の属性といいますか、そういったことが分かるかどうかという御指摘を受けております。こころの耳は電話、メール、LINE、SNSと3つ設けておりますが、電話相談においては一定程度、その属性を聞き取りながら対応をいたしておりますので、電話相談につきましては、例えば業種別、あるいは相談者の属性、労働者御本人なのか、御家族なのか、あるいはそのほか職場の方なのかといったことの聞き取りをしております。
令和元年度の電話相談に関して言うと、業種としては医療福祉、あるいは複合サービス業の方が24%、建設業や製造業の方が22%、あるいは相談者の属性では労働者の方が88%と大半を占めていることが分かっております。今後、しっかりと集計いたしまして、年齢性別等々、包括的に得られる属性に応じて内容や傾向といったようなことも今後分析しながら、相談体制、対応体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
○中窪会長 ありがとうございました。
本日はもう一つ、大綱に関する御説明と議論も予定されておりますが、この白書等の関係につきまして、ここでさらに御質問等がございましたら、幾つか。
では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員
白書を御説明いただき、ありがとうございます。4ページに大綱の目標と推移が出ており、全体の傾向としては前進しているということだと考えておりますが、過労死等の労災申請件数は依然として増え続けているということでございます。過労死等ゼロに向けての実効性ある取組という点では、何が課題となっているのか、現場の感覚も含めて、この協議会でより詳細に見ていくことで、それぞれの取組につなげていくことが大事だと考えております。
大綱では、過労死等が多く発生している、または長時間労働が多いとされている業種・職種を重点業種として定めております。この間、具体的な調査分析を実施してきたこと自体は良いと思うのですが、問題はこうした詳細なデータ分析をどう生かしていくのか、PDCAサイクルを如何にまわしていくのか、ということだと考えております。例えば、重点業種の1つである自動車運転を含む運送業、郵便業については、2020年に60時間以上の長時間労働者の割合を全体の5%以下にするという目標に対して、2019年時点でいまだ15%以上と突出して高い実態にございます。脳・心臓疾患の労災認定数も、業種別で一番高いということでございます。重点業種とするからには、より強力な取組を実施していくべきであろうと考えております。
加えまして、特別編で付け加えていただいておりますが、新型コロナウイルス感染症への対応によりさらなる過重労働となっている方もいると認識しておりまして、その一つが運輸業であったり、医療福祉であると考えております。こういった現下の状況も検証した上での対策も今後重要であり、しっかり取り組むべきと考えております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
則松委員、お願いします。
○則松委員 ありがとうございます。則松です。日本教職員組合に勤めております。
私からは3点、質問と考えを述べさせていただきます。一つが啓発に関わる点、もう一つが労災申請に関わる点、あと、学校の部活動改革に係る点です。
まず、啓発に関してなのですが、先ほども指摘がありました、発症から自死に至るまでの日数が29日以下の方が一番高いというのはかなり衝撃的で、かつその方の半数以上が医療機関を受診していないということについて、やはりここからかなり考えていく必要があるだろうと考えています。
もう一つの点が、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を22年までに80%以上にするという目標を掲げている中で、今は59.2%にとどまっており、特に、小規模な事業所は取り組めていないということが分かっています。私はこの29日という数字を見たときに、やはり日常的にまず職場で早く気づく体制ですとか、医療につなぐ体制であるとか、そういったことが本当に必要なのだということを実感しました。この医師による面接が受けやすい環境や、会社風土の重要性などを改めて小規模の企業も含めて啓発をしていく必要があると思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
また、労災申請に関わる件ですが、先ほども出てきましたけれども、勤務問題を原因とした自殺について、白書のグラフで詳細な理由を見てみると仕事疲れだとか職場の人間関係ということで、かなり精神的なものだと思いますが、この勤務問題を原因とする自死が去年1,949人という数字ですが、一方で、精神障害の労災申請件数を調べてみますと202件ということです。この数字のギャップをどのように見ておられるか。精神疾患の労災申請ですので、内容的には重なるのかと考えています。この点をどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。
最後に学校の部活動改革に関してです。これは意見になるかもしれませんが、休日の部活動を地域に移していくというようなことを議論されていくということが、98ページで示されています。皆さん、部活動と言われたときに、どの様な部活動を想像されるかなと思うのですが、私は現場にいたときに、10年程演劇部の顧問をしておりましたが、平日の部活動と休日の部活動を切り離すことはほぼ考えられないと思っています。なぜならば、地域に指導者がほかにいないであるとか、1つの作品をつくりながら、全国大会を目指していくというときに、平日の部活動は非常に重要なキーワードになるからです。
今、文科省より示されている資料98ページのような内容であれば、休日の部活動の段階的な地域移行ということで、これは意見ですが、ぜひとも学校の部活動全体について、今後の議論では総括的に工夫を出していただいて、現場を救っていただければと思っております。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
岩城委員、お願いします。
○岩城委員 私は啓発シンポと啓発事業に関わっているのですが、今年はコロナの問題がありまして、既に啓発シンポについては、例年の2分の1から3分の1に減らしていると聞いております。大阪でも例年は450人ぐらいですが、今年は150人ということで、ある程度やむを得ないところがあると思うのですけれども、せっかくの講演や体験談がわずかな人にしか届かないというのは大変残念に思います。
今、全国的にZoomなどによるウェブ会議システムや、ユーチューブなどによる配信というような試みがされております。著作権の問題では様々な配慮が必要だと思いますけれども、講演者や出演者の同意を条件として、適切な形で、より参加者を増やしたり、事後的な配信などについて御検討をいただけたらと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
よろしければ、今のお三方からの御質問、御意見につきまして。
○西村補償課長 補償課長でございます。
則松委員から労災の関係の御質問がございました。勤務問題を原因とする自殺者の方の1,949人に対して、労災の請求件数が202件と少ないではないかという御質問でございました。統計等の違いにつきましては、なかなか申し上げられませんけれども、私どもとしては積極的に請求について周知していく。こういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
以上でございます。
○髙倉労働衛生課長 労働衛生課でございます。
仁平委員から5ページの職場におけるメンタルヘルス対策の状況として取り組んでいる事業者の割合が目標に達していない。特に小規模事業場において割合が低いというような御指摘をお受けいたしました。
メンタルヘルス対策、あるいはストレスチェックなどについてですけれども、特に小規模の事業場におきましては、法律上の産業医の選任の義務がないなどといったような形で、体制の不十分なところがあるというのは、我々も承知しておりまして、しかしながら一方で、事業場の規模に関わらず、労働者のメンタル不調の予防対策に取り組むということは重要であると考えておりますので、小規模な事業場においても、その取組を支援するために、労働局や労働基準監督署による周知・啓発はもちろん行っておりますし、それ以外に都道府県に設置しております産業保健総合支援センターによる制度導入の支援を行ったり、医師の面接指導の実施、実際にスタッフを派遣しての実施支援を行っています。
また、ストレスチェックの実施や、その結果に基づく事後措置に関わる費用などの一部助成などを通しまして、小規模事業場における実施体制の整備というのを支援していくというところでございます。
引き続き、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の取組というのは、いろいろな形で支援をしていきたいと考えているところでございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。
則松委員から部活動改革について、御意見ということでございましたけれども、コメントをいただきましたので、私からもお話をさせていただきます。
部活動改革につきましては、先ほど申し上げましたとおり、教員の長時間勤務の大きな要因になっていること、それから、指導経験のない教員にとっては多大な負担になっていること、これを何とか解消したいという思いでございます。
御指摘がありましたように、演劇部、吹奏楽部といった文化部活動以外にも、運動部活動であったとしても、平日と休日の指導であったり取組の一貫性という問題であったり、または休日の受け皿というのは果たしてつくれるのかどうかということが課題となることは承知しております。来年度以降の運動部活動、文化部活動、それぞれ、スポーツ庁、文化庁において検証を実施していくこととしておりまして、今、申し上げたような課題も含めまして、様々な取組をまずは試してみるというような状況でございますので、いただいた御意見もしっかり踏まえて取組を進めていきたいと考えております。
以上です。
○石垣総務課長 基準局総務課長でございます。
手短に、御指摘いただいたものについて2点ほど申し上げます。
仁平委員からお話のございました、調査で出た結果を踏まえて取組をというところでございますが、私どもは先ほども申し上げましたが、いろいろな切り口で調査をしたり、実態を把握するようにしておりまして、これはそれぞれ施策を実施する部局のほうとも共有をしておりますので、そういう中で実効性が上がる対策が取れるように、取組をよく進めてまいりたいと思います。
それから、岩城委員からございました啓発のシンポジウムですけれども、参加者はどうしてもコロナの関係で減らさざるを得ないところは大変恐縮なのですけれども、ウェブ会議のシステムなどを活用するというところも、しっかりこのぐらいできるかというところを検討してまいりたいと思います。一方で、御講演いただく方や参加者の方々のほうで、あまりウェブシステムでいろいろと広まることに懸念をお持ちになる方々もいらっしゃいますので、そういったところをよく御相談をして、御同意が得られるようなところ、条件が整うようなところでは、しっかりとやってまいりたいと思います。
○中窪会長 ありがとうございました。
まだまだいろいろな御質問、御意見あるかと思いますけれども、時間の関係もございますので、前半についてはこのぐらいにしたいと思います。関係機関におかれましては、委員により出されました御意見を踏まえながら、今後、さらに対策をしっかり行っていただきたいと思います。
次に「今後の過労死等防止対策の進め方について」ということで、厚生労働省から5分程度で御説明をお願いいたします。
○小島企画官 それでは、資料9の105ページをお開けください。過労死等防止対策大綱におきましては、3年を目途に見直しすることとされておりまして、前回の平成30年度見直し後3年目となります来年、令和3年に見直しの時期を迎えます。
105ページに大綱の見直しスケジュール案としまして、前回見直し時の検討経過を参考としまして、スケジュール案を示しておりますが、本日のいろいろな御意見を踏まえまして、年明け1月から5月にかけて3回ほど協議会で検討いただき、大綱案を作成して、その後、各種手続を踏まえて7月の閣議決定を目指すようなスケジュール案としておりますので、このスケジュール案につきまして御意見いただきたいこと。
また、106ページにおきましては、現在の大綱の構成を示しておりますが、この枠組みにつきまして、見直しの必要性も含めて御検討いただきたいこと。
また、107ページになりますが、この大綱の内容としまして、現時点の到達状況を記載しておりますが、まず数値目標、2020年までの目標もございますから、この数値目標はどうするか。また、調査研究の重点業種につきまして、今7業種ありますが、こちらをどうしていくべきか、国が取り組む重点対策につきまして、従来の取り組んだ対策の検証もありますが、また新たに新型コロナウイルスの新たな影響も出ておりますので、そういったことを今後3年間どう取り組むべきか、検討のポイントになるか、そんなことも御意見をいただきたいと考えております。
本日は、今後の具体的検討に向けての御意見を幅広くいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ということで、本格的には来年1月以降にこういう形で議論していくわけですけれども、そのスケジュールとか、全体的な枠組み等につきまして総括的な御意見をこの場でいただければと思います。
木下委員、お願いします。
○木下委員 木下でございます。
この大綱の見直しも2度目の見直しになってまいりまして、非常に重要な見直しだと考えております。今回、資料9で予定スケジュールを示していただいておりますけれども、1月、3月、5月と集中的な議論が必要と思いますので、ぜひこの1月、3月、5月の開催日程について、前広に3回分決めていただいて、多くの参加者の方が発言の機会を得られるように調整をしていただきたいと思います。ときには参加できないということがないように、早めに3回分を決めるということが、多分、充実した審議につながると思いますので、その点をぜひお願いしたいと思います。
それから、大綱の内容と今後の見直しなのですけれども、今まで私どもが見てきた過労死の状況、その人の状況は、やはりどうしても大企業中心、それから、大都市中心の議論になっていたと思います。今日出ましたように中小企業ではまだまだ対策も取り組まれておりませんし、地方でもその点を考えていきたいと思っております。どうしてもこの分析も大企業、大都市中心になっておりますので、ぜひ次回の大綱では、これを日本全国に、地域に広げるための取組について提案というか、大綱の内容に入れていただきたいと私どもは思っております。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
黒田委員、お願いします。
○黒田委員 ちょっと発言の機会が前半のほうがよかったのかなと思っていますけれども、今後のことも含めて二つ発言させてください。
一つは、コロナ禍でマスコミ等も含めて急に注目を浴びるようになったフリーランス、あるいは雇用に寄らない働き方に関してです。その実態をどのように調査をし、研究していくのかというのは、大変難しさもあるとは思うのですけれども、これらは恐らくICTの普及、SNSの普及の中で、今後も広まっていく可能性の高い働き方だと思うのです。従来までは個人事業主、あるいは建設関係では一人親方と言われていたものですけれども、そういうものの範疇をはるかに超えた形で、しかも、なかなか実態が把握しにくい分野だと思います。
厚生労働省では、恐らくいろいろな形でこの実態調査は進められると思っておりますけれども、この協議会のところでも働き過ぎ、あるいは労災という視点において、この雇用に寄らない働き方、あるいは雇用類似の問題について、その労働の実態や労災の実態、働き方の実態ということを今後の調査研究の中に、ぜひ加えていく必要があるのではないかと思っております。
実態調査についてもう一つですが、詳しく話すと長くなりますので詳細は省略しますが、ダブルワークの問題も、この協議会で注意深く考えていく必要があるのではないでしょうか。このダブルワーク問題を調査研究の中の重要な課題として加えていくことを検討いただきたいのです。
それから、2つ目に、来年度の予算要求の中で示されていたことなのですが、これは質問と要望があるのです。一つは、来年度から、これまで労働社会分野の調査分析がみずほ総研を通してやっていたと思うのですけれども、これを一元化して、過労死防止センターで行うとなっているのですけれども、一元化するということの根拠というか、理由はどんなことがあったのか、ちょっと聞きそびれたので御回答いただきたい。また調査主体が変わり、これまでの調査のノウハウの蓄積と断絶が生まれてしまうと、調査の意味がなくなってしまいます。当然ながらそこのところは注意深くやっていただけるとは思うのですけれども、資料の継続性という点から見ても、ぜひそこは注意深くやっていただくことをお願いしたいのです。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
岩城委員、どうぞ。
○岩城委員 今の黒田委員のお話にもありましたけれども、私はテレワークの問題とダブルワークの問題について、今後の調査研究などに生かしていただきたいと思います。テレワークについてはこの半年あまりの間で急速に広がったと思います。特に自宅での在宅ワークというのはノートパソコン1台で、自分の机もないとか、照明が暗い、小さな子供がいるなどの就労環境が悪い状態が多いのではないかと、それから、労働時間の管理が十分に行えない、中抜けや時間外労働の申告ができない、上司からの指示がメールによることになり、厳しい叱責や責任追及、メルハラと言われるような実態もあると聞いております。
そのような中で、長時間労働や心理的負荷が強まって精神障害を発症する例が今後増えてくるのではないかということを危惧いたします。これについては、平成30年2月にガイドラインができているということは承知しておりますけれども、まだまだ一般の企業には周知されておらず、あまり守られていないのではないかと思います。今後、周知に努めていただくとともに、ガイドラインの内容を取り込んだ独自の労働協約や就業規則が作りやすくなるよう、モデル就業規則などの形で示していただくというのは非常に有効ではないかと思います。
また、今後の調査研究や大綱の策定に当たっては、このテレワークをする労働者の過労死等の防止についても、ぜひ取り入れていただきたいと思います。
ダブルワークにつきましては、最近、企業の経営悪化、業務量の減少などによって、企業の側もダブルワークを推奨したり、労働者の側もダブルワークをせざるを得ない状況が広がっていると思います。この点につきましては、今年9月1日から、労災保険法の改正で賃金額の合算であるとか、業務上の負荷の総合的評価、特別加入した場合にも出来事の評価など、かなり前進したと思っておりますが、重要なのは過労死ラインを超えるような長時間労働をどのように規制していくのか、労働者自身から労働時間について正確な申告が期待しにくい中で、どのように適切な把握をしていくのか。それぞれの企業の安全配慮義務というものをどのように捉えるかという難しい問題があると思います。
いずれにしましても、長時間労働による疲労やストレスで過労自殺や精神障害、過労死が多発するのではないかということ、しかも立証が難しいために労災認定も受けられないといったことがないように、厚労省及び関係省庁の十分な対応をお願いしたいと思いますし、今後の調査研究や大綱策定に当たっても、ぜひこの点を取り入れていただきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
初めに、私から最近の経団連の取組について、皆さんに御紹介させていただきたいと思います。今週金曜日13日に、経団連は川人先生にもお越しをいただき、過労死等防止対策セミナーをウェブで開催いたします。その中で、長時間労働につながる商慣行が残っているトラック業界の方から、その実態を御紹介いただくとともに、経団連として荷主の方に悪しき慣行の是正を呼びかける予定です。そして当日は、何よりも過労死はあってはならないということを訴えてまいりたいと思っております。
国が取り組むべき重点対策ということでは、岩城先生からも御指摘のあったテレワークの労働時間管理が大変重要であります。
テレワークの場合、職場のようにタイムカードを押すということができず、自己申告によらざるを得ない面もあるわけでございます。過重労働防止の1丁目1番地は、労働時間管理であると思いますので、その啓発を図っていくということ、さらに勤怠システムを入れてない会社もまだあるかもしれませんので、こうしたシステム導入の支援をすること、必要に応じてパソコンのログイン・ログアウトのデータの突合をすること、さらに仕事が終わった以降はメールの送受信をしないというような、労働管理以外の周辺の様々な工夫も含め、進めていく必要があると思っておるところでございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
北野委員、お願いします。
○北野委員 ありがとうございます。
先ほど黒田先生や岩城先生、そして、鈴木委員からもあったとおり、2018年の大綱見直しより、我々働く者を取り巻く状況は大きく変わってきたと考えております。テレワークに関して申し上げますと、連合が実施したテレワークに関する調査でも、50%以上が通常より長時間労働になったと答えておりますし、小規模の職場においては、23%がテレワークの際、労働時間管理をできていないという回答もございます。
さらに、通勤時に比べて、やはりコミュニケーションを取るのが難しく、孤独感や疎外感を感じるという声も多くあるところでございますので、過労死等の防止に向けて、経済、社会の変化に伴う働き方の影響を迅速に捉える必要があるのではないか。また、適正な労働時間管理、さらには健康確保が行われるよう対策を講じていくことが極めて重要だと考えております。
そういう意味では、今回の資料の9で、テレワークにおける労働時間管理等について国が取り組む重点課題として取り上げてありますが、先ほどからありますように、雇用類似で働くいわゆる雇用によらない働き方、さらには副業・兼業など、ダブルワークの方も含めた、従来の労働時間管理ではカバーされにくい人々の対策をいかに行っていくかという視点での論議も必要ではないかと考えておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。
○中窪会長 八野委員、お願いします。
○八野委員 どうもありがとうございます。
今、出た新しい働き方のところについては、もちろん今度の大綱の中に盛り込んでいくべきだと思うのですが、もう一点、働き方改革の関連法が労政審などでの議論を経て順次施行されており、時間外労働の上限規制や、先ほど出ました勤務間インターバル制度などが、実際の長時間労働削減にどう影響しているのか、課題解決に結びついているのか、いないのか、この辺の検証をしっかりと行い、課題があれば大綱で明らかにすべきだろうと思っております。
加えて、商慣行の是正に向けた取組も進められてきております。また、先ほどもありましたけれども、関連機関等と連携を取りながら取り組みを進めていくということですが、こういった連携を引き続きどの様に行っていくのかということです。なぜこの点に触れるかというと、今年度、外食産業の調査・分析をやられるとのことで今の外食産業の実態を皆さん御存じだと思いますが、企業の存続、事業所の閉鎖、労働人員の削減という状況の中で、どういう調査をするのか、さらに、過労死、過労自殺、または過重労働ということを考えていくときに、今まで同じ業種・業態では同じ傾向だったものが、コロナ禍において全く状況が違ってきており、同じ業種の中でも、業績も、または働き方も、そして事業所の今後の在り方、要するに企業の存続という事も異なり、一つの業種・業態ではもう見れない状況に今来ているという中で、過重労働の状況やその防止、または過労死等防止については、かなり個々を見ていかなくてはならない状況になっているということです。こういった状況への取組というのは、我々としても初めての経験ですので、如何に課題提供していくのかということも重要だと考えます。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
川人委員、お願いします。
○川人委員 川人と申します。
何点か、ぜひ今後の大綱の議論に生かしていただければと思います。
まず、働き方改革関連法の適用除外になった業種・職種について、きちんと過労死防止対策をして、どのように今後進めるかということを議論していただきたい。つい最近ですけれども、首都圏のある労基署で死亡直前の1か月が183時間、直前2か月で139時間、直前3か月で181時間、時間外労働だったということで労災として認定された事案があります。建設業です。あるいはつい最近も首都圏のある労働基準監督署で、また研修医の長時間労働による過労死の労災認定が出ています。適用を除外された、あるいは適用を猶予された職種、あるいは業界において、どのような実態になっているか、それがどのように是正されようとしているのかということを、ぜひ議論していただきたいと考えております。
2つ目に、官公庁の関係ですが、今日も国家公務員についての報告等がございました。端的に言いまして、立法府と国家公務員の関係の悪しき慣行を是正すると、こういうところまで踏み込んだ大綱の議論をしていただきたい。国会待機等がいかに多くの公務員の健康を蝕んでいるかということは、恐らく周知の事実と言っていいと思います。そういう意味で、国家公務員の働き方を変えていくために、立法府と行政がどういう関係にあるべきなのかという議論をしていただきたいのです。
また、官公庁と民間との関係、官公庁の様々な働き過ぎによって、民間がそれに従属するような形で大変長時間労働や深夜労働を余儀なくされている。あるいは公共工事の発注等の在り方の問題。こういうことも含めて官公庁と民間との関係について、議論を進めていただきたいと思います。
最後に、デジタル革命という問題について申し上げたいのですが、先ほどからITの問題、テレワーク問題が出されていますが、私どもへの相談の実感から言いますと、もっとデジタル革命における過密度、労働時間の長さとは別に非常に労働が過密になっている。この問題をぜひ健康面での調査を含めて議論していくことが、とても重要なテーマになっている。4Gから5Gに移行するにしたがってとても忙しくなったという話をよく聞きます。ある人はテレワークをやっている中で画面の前で倒れて亡くなった、そういう相談も来ています。こういう目に見えない、見えにくい過密度の問題についての調査研究を、ぜひ進めていくような大綱にしていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 お時間のない中で申し訳ございません。この大綱をこれから議論していくわけですけれども、こちらの点について、発言させていただきたいと思います。
まず、資料の107ページの論点であります。次の大綱についても、過労死等の関係で亡くなった原因や要因について詳細に文面にしていくことが必要だと思うのですけれども、中心になるのは「数値目標」ということになると思います。2年前、次回の大綱の作成時点では3年前になるのでしょうが、大綱の数字目標のうち、現時点で見ると達成をしている可能性があるのは、勤務間インターバル制度についての認知率と職場におけるメンタルヘルス対策に係るストレスチェック結果を活用した事業場の割合になると思います。 特にインターバルについては、制度を知らなかった、要は把握しているというのは達成をしているかもしれないけれども、ほかの項目については、なかなか数値的に近づいてはいるのですけれども、達成をしていないという状況になっています。
ですから、この目標についても、達成する目標がちょっと高過ぎたのか。いや、やはりこれはやり方がちょっと悪かったのかとか、その辺の検証というのは必要だろうなと思っています。
特に私はこのインターバル制度、今、努力目標になっておりますけれども、この制度を導入している企業の割合というのは、努力目標ではありながら、4.2%となっていますけれども、まだまだ伸びる要素はあるのではないかなと思っています。このような状況の中で、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)ですけれども、ホームページを拝見させていただくと、10月15日で一応終わりましたということが掲載されているのです。企業がせっかく取り組もう、新型コロナウイルス感染症を乗り切ろうとして、これからやっていこうというときに助成金がなくなってしまったとなると、やはりちょっと水を差すような想いも出てくるのではないかなと思っています。
この年間予算の確保等、こちらのほうもお願いをしたいなと思います。この数値目標を中心に達成できるようなことで、また皆さんと議論していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
よろしければ、先ほど黒田委員から御質問があったかと思いますけれども、それも含めて、もし何かありましたら。
○小島企画官 先ほど黒田委員から、来年度の調査研究を、過労死等防止調査研究センターに移行して問題はないかというご意見について、これまで国の委託事業として毎年公募して、民間のシンクタンクで調査をしていたのですが、やはり事業の継続性を考える上で、過労死等防止センターに今後一元的にとしたところですが、過労死等防止センターはこれまで労災認定事案の分析、あるいは疫学研究の分析を継続的に続けているところでございますので、これまでの知見の蓄積を生かして、足下の調査に対しても、どのような調査が望ましいか、それを一元的な取組として、もう少し深く調査できるのではないかという考えで移行することとしております。
これまでの調査実施につきましては、私ども国も一緒に検討委員会に入り、また、過労死等防止センターの先生方も検討委員会に入られていますので、事業の継続性としましては、今後は過労死等防止センターの委員の方が引き継いで、これまでのデータ、あるいは調査方法といったものを継続的に実施できますので、そういった問題は生じないと考えているところでございます。よろしくお願いします。
また、木下委員から、日程の関係の御助言をいただき、ありがとうございました。本日、協議会の一番最後のところで調整させていただきますので、よろしくお願いします。
○石垣総務課長 ただいま、来年度の過労死防止大綱の見直しに向けて、各委員の方々から様々な観点で御意見をいただきました。本日は、これについてどうというよりは、御意見をまとめて頂戴をいたしまして、また次回に向けて整理をして、事前に御相談などをさせていただきながら、私どもは充実した御議論をいただくためにちょっと整理をしてまいりたいと思います。
皆様方から重複してテレワークですとか、ダブルワークについてですとか、あるいは雇用類似とかフリーランス的なものについて、それから、労基法などの猶予業種の状況、官公庁の状況、デジタル革命の関係とか、そういった様々な切り口をいただきましたので、そういったものを少し整理させていただいて、次回以降、また御議論のほうをよろしくお願いしたいと思います。
一つ一つについてということではなくて恐縮ですが、概括的に以上でございます。
○中窪会長 今、お話がありましたように、次回以降、大綱を見直す中で、先ほどのような御意見、御要望につきましては、取り込んでいくように進めていきたいと思います。また、その他いろいろ御指摘をいただきましたことにつきましては、関係機関におかれまして、今後の対策に取り込んでいただければと思います。
最後になりますけれども、今後の協議会の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
○小島企画官 ありがとうございます。
お手元に2021年のカレンダーを用意していますので御参考としていただきたいのですが、先ほどの大綱見直し案で示したとおり、本日、いろいろな御意見をいただきましたので、来年1月に引き続きの議論を進めさせていただきまして、3月下旬に素案の協議、5月の下旬で大綱案の協議、こういった流れでお願いしたく、日程につきましては1月下旬、3月下旬、5月下旬を一括で日程を確定してお伝えさせていただければと考えております。
本日、御了解いただけましたら、協議会終了後、追って事務局から各委員の皆様に御連絡をさしあげ、今週中を目途に速やかに協議日程を確定しまして、改めて皆様に御提示できればと考えております。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ただいま御説明のありましたように、1月下旬、3月下旬、5月下旬ということで、この場では調整できませんので、個別に御都合をお聞きして、適切な日を決めたいと思いますけれども、このことについて、何か特段の御意見、現時点でございますでしょうか。よろしければ、そういうことで各委員の御都合をお聞きした上で、事務局において速やかに日程調整を進めてください。
それでは、これをもちまして、第17回「過労死等防止対策推進協議会」は閉会といたします。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。