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第48回厚生科学審議会感染症部会 議事録
健康局 結核感染症課
日時
令和2年10月9日(金)17:00~19:00
場所
厚生労働省 専用第21会議室(17階)
議題
(1)新型コロナウイルス感染症に関する検疫について
(2)新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種について(報告)
(3)新型コロナウイルスに関するサーベイランスの研究の紹介
(2)新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種について(報告)
(3)新型コロナウイルスに関するサーベイランスの研究の紹介
議事
- 〇加藤エイズ対策推進室長 それでは、ただいまから第48回「感染症部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開でございますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、メディア関係の皆様方におかれましては、御理解・御協力のほどよろしくお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
本日ですが、前回に引き続きまして新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案いたしまして、Web会議での開催となっております。
まず、Web会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡いたします。
発言される場合は、まずお名前を御発言いただいた上で、座長から指名をいたしますので御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですのでタイムラグがあるかもしれませんが、そこは御理解いただければ幸いです。
会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルがございましたら、あらかじめお知らせしております番号まで電話をいただければ対応させていただきます。
続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。
出席の委員の皆様におかれましては、通信の確認も兼ねましてお名前をこちらから申し上げたいと思いますので、一言お返事を頂戴できればと思います。
まず、名簿順ですが、今村委員。続きまして、岩本委員、大曲委員、釜萢委員、菊池委員、越田委員、白井委員、調委員、菅原委員、谷口委員、戸部委員、中野委員、中山委員、森田委員、山田委員、脇田委員。
ありがとうございました。なお、味澤委員、加来委員、本田委員、矢内委員からは御欠席の連絡を頂戴しております。
現在、委員20名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
では、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。なお、これ以降の写真撮影、ビデオ撮影、録音はできませんので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○加藤エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に資料の確認をいたします。
議事次第、委員名簿、座席表。資料が1と2の2種類。参考資料が1~5の5種類でございます。
参考資料5につきましては、谷口委員の提出資料となっております。
万が一、ファイル等の不足がございましたら、事務局まで御連絡いただければ幸いです。
では、ここからの進行は脇田座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田座長 承知しました。皆さん、こんばんは。今日も前回に引き続きリモートの会議となります。少し不慣れな点がありますけれども、どうぞよろしくお願いします。
発言がある先生方は、実際に挙手していただくか、手を挙げるボタンがありますから、そちらを使っていただいても、こちらから指名させていただきますので、よろしくお願いします。
それでは、議事次第を御覧ください。今日は議題が3つございます。早速議事に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。
まず、議題1「新型コロナウイルス感染症に関する検疫について」及び議題2「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種について(報告)」ということです。
最初に、まとめて事務局から説明をお願いいたします。
○岡野政策統括室企画官 資料1について御説明させていただきたいと思います。企画官の岡野でございます。
まず、措置の概要ということで、先に4ページから御覧いただきたいと思います。「検疫法に基づく感染症の類型と措置の概要」がございます。
検疫法は、国内に常在しない感染症の病原体が船舶や飛行機を介して国内に侵入することを防止することなどを目的としておりますけれども、検疫法の対象の感染症として左側の「類型」に記載しております。まず、検疫感染症ということで3つございまして、感染症法の一類感染症、新型インフルエンザ等感染症、政令で指定する感染症ということで、法律で定まっております。
その3つについて、それぞれ右側にありますとおり疑似症患者への適用や無症状者への適用、あるいはそれぞれの措置について適用される状況を表しているものでございます。
例えば、感染症法の一類感染症であれば、質問、診察・検査、患者の隔離、感染したおそれのある者の停留、あるいは消毒・廃棄等といったものが全て適用になっているということでございますが、政令で指定する感染症については、隔離、停留については適用されていないということでございます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、検疫法上、検疫感染症としてではなくて、法律の第34条に基づいて政令で指定して法律の規定を適用しているという位置づけとなっております。疑似症患者への適用、無症状者への適用、隔離、停留などについても、適用されている状況になっているということでございます。
2ページに戻って御覧いただければと思います。今、申し上げました検疫法第34条の規定になります。検疫感染症以外の感染症ということで、「外国に検疫感染症以外の感染症が発生し、これについて検疫を行わなければ、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるときは、政令で、感染症の種類を指定し、一年以内の期間を限り、規定の全部又は一部を準用することができる」という規定になっております。期間については1年以内ということで、新型コロナウイルス感染症の場合は政令指定の期限としては令和3年2月13日ということになっていて、延長はできないことになっております。
これに対しまして、前回、感染症法の指定感染症について御説明させていただきましたけれども、感染症法の指定感染症については感染症法の7条において、1年以内の政令で定める期間に限り、その規定を準用するということになっていまして、1年以内の政令で定める期間に限り延長することができるという規定もございます。感染症法の場合は、政令指定の期限は令和3年1月31日で、場合によって延長は可能になるという状況になっているということでございます。
1ページに戻っていただきますけれども、こうした中、検疫について新型コロナウイルス感染症を巡る状況ということで上の段に書いてありますが、今現在、新型コロナウイルス感染症については、性質にいまだ明らかではない点が多く、今後の流行状況等が必ずしも見通せない状況にございます。
今申し上げましたとおり、感染症法上においては一類感染症から五類感染症まで、あるいは新型インフルエンザ等感染症のいずれにも分類できる状況にはなっていなくて、感染症法上は指定感染症として講ずることができる措置などを個別に政令指定し対応しているという状況になっております。
検疫法におきましても、先ほど申し上げました34条の規定によって政令で感染症を指定しまして、個別に措置を政令で指定している状況になっているということでございます。
こうした中で、検疫法上の位置づけについても感染症法と同様に、この感染症の外国及び国内における発生及び蔓延の状況並びに当該感染症に係るワクチン等の医薬品の研究開発の状況に応じて、今後起こり得る状況に即した柔軟な対応が必要になっているという状況にございます。特に、水際対策の実効性を確保するためには、隔離あるいは停留などができる権限が引き続き必要になっているということでございまして、※にもあるとおり、これまで令和2年2月14日に新型コロナウイルス感染症を検疫法第34条の感染症として政令で指定して以降は、陽性者は951人発見しておりますけれども、そのうちの266人が医療機関に隔離されているという状況にございます。
また、停留の措置についても、宿泊療養施設での療養のための待機の要請に従わず施設を出ようとした場合などに取り得ることになっておりますけれども、これは権限があるということで皆さん従っているということでございまして、現時点では適用していないという状況になっていますが、こういった隔離・停留という権限は引き続き必要ではないかということでございます。
下の「対応方針」でございますが、こうした状況の中で、検疫法第34条の感染症の政令指定の期限が1年以内で延長できないという状況になっていますけれども、感染症法による指定感染症の政令指定の権限と同様に、1年以内に限り延長できるようにしてはどうかということが本日御審議いただきたい内容でございます。
中身は以上でございますけれども、参考資料としては7ページ以降に感染症に関する水際対策関係の資料をつけております。7ページに全体像、8ページ、9ページで検査体制を拡充していくという話、10ページ以降は国際的な人の往来を部分的・段階的に再開していくということで、ビジネス上必要な人材の出入国についての措置ということで、一般の水際措置プラス追加的な防疫措置をすることによって、そういった人材の入国を段階的に認めていこうということでやってきているという資料をおつけしております。説明は割愛させていただきますけれども、検疫の関係ということで参考までにおつけしております。
資料1の説明は以上でございます。
○林予防接種室長 続きまして、ワクチンについて説明をさせていただきます。参考資料1、2、3の参考資料1から順に御説明させていただきます。
これは、去る10月2日に厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会にお諮りした資料で、そちらで了承されておりまして、こちらの感染症部会の所掌というわけではないのですけれども、関連する事項ですので御紹介させていただくという趣旨でございます。
それでは、参考資料1でございます。かいつまんで御説明させていただきます。
2ページ、新型コロナワクチンの開発状況ですけれども、いろいろな開発が進んでおります。今回の特徴として、新たな手法によるワクチンの開発が進められております。ウイルスの遺伝子情報の一部を接種するようなメッセンジャーRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンといったタイプのものがございます。海外のメーカーが開発を進めておりますし、また国内の研究開発や生産体制についても国が支援を行っているところでございます。
4ページが、海外で開発されたワクチンの確保に関する取組で、ファイザー、アストラゼネカ、モデルナとの基本合意や協議について公表させていただいているところです。
5ページは、政府の感染症対策本部で決定している内容でございますけれども、令和3年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指すことや、供給契約の締結を順次進めること、接種を受けられる仕組み、健康被害を生じた場合の適切な救済措置についてやっていくということが既に了解されているところでございます。
次に、参考資料2を中心に御説明したいと思います。今回、新型コロナウイルス感染症に関して行うワクチンの接種事業の枠組みについて、予防接種・ワクチン分科会でお諮りした資料でございます。
それに先だって、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で9月25日に中間取りまとめが行われました。そこで接種の目的、実施体制といった大枠について議論がなされましたので、それを踏まえて厚労省側で予防接種法等との関連について制度設計を進めていくという順序になっております。
3ページ、予防接種法等の接種類型との関係についてということでございます。予防接種法には定期接種、臨時接種、新臨時接種という枠組みがございます。また、新型インフル等特措法には特定接種、住民接種という枠組みがございます。
今般の新型コロナウイルスワクチンの接種については、既存の接種類型と比較した場合に、定期接種のような平時の蔓延予防ではなく、臨時接種と同様に蔓延予防上緊急の必要があるととらえております。
新臨時接種とは、病原性が低い疾病のときに適用するものでございますので少し違うのではないか。また、特定接種は、社会機能維持者への接種を目的としたものであること、住民接種は緊急事態宣言下での接種しかできないこと、こういったことを踏まえると、今回の新型コロナワクチンの接種については、臨時接種をベースに考えていくのが適切ではないかということでございます。
しかしながら、4ページにありますように、臨時接種のルールを細かく見ていきますと、実施主体や費用負担などもう少し検討したほうがいい部分がございますので、こうした部分についても検討を行いました。
5ページが接種の実施体制についてです。臨時接種というのは、例えば1項のものであれば、都道府県知事が指示をして都道府県知事または市町村長が実施するという枠組みでございますけれども、今回は全国的な規模で新型コロナワクチン接種を行うということで、国の主導的役割も重要であると考えているところでございます。
一方で、通常の予防接種の事務というのは市町村にやっていただいているものですので、今回これを実現するためには、市町村が実施主体となっていただいた上で、特例的に国が優先順位を決定し、市町村に対して接種を実施するよう指示できるようにする。こうした仕組みがふさわしいのではないかということでございます。
6ページは費用負担についてでございます。社会・経済の影響、国の主導的役割といったことを踏まえると、国が特例的に全額の負担を行って、国として国民からの実費徴収も行わないこととしてはどうかというのが結論でございます。ただ、こうした取扱いにつきましても、今後の感染状況や新型インフルエンザ特措法の適用あるいはどんなワクチンができてくるかといったことによっても変わってきますし、また、いつか終わりを迎えるということでございますので、こうしたことは特例な的ものであり、また取扱いについても今後の状況に応じて見直しを検討していくこととしてはどうかとしております。
7ページは、接種の勧奨と努力義務についてでございます。予防接種法に基づく予防接種については、その接種の趣旨を鑑みて、接種類型ごとに自治体から住民の皆様への接種勧奨の規定であるとか、住民の皆様の接種を受ける努力義務といった規定を設けているところです。
今回の新型コロナウイルスワクチンについても、臨時接種と同様の趣旨で実施するものですので、原則としては接種勧奨、接種を受ける努力義務といったものを適用することを考えておりますが、ただ、まだワクチンが出てきていない状況で現時点では評価確定できないことや、使用実績が乏しい状態でワクチン接種が始まるということを鑑みて、必要に応じて接種勧奨・努力義務といった規定を適用しないこともできるようにしてはどうかとしております。
8ページは、副反応疑い報告についてでございますけれども、定期接種で行っている副反応疑い報告、その情報の審議会での評価、それに基づく措置については、今回の特例的な臨時接種においてもしっかりと行うべきではないかということです。
9ページ、健康被害の救済措置でございます。これにつきましては、臨時接種は定期接種のA類疾病と同様に、予防接種法の類型の中では最も高い水準の障害年金や死亡一時金といったものが、万一の健康被害の際にはお支払いされる仕組みになっております。今回の特例的な接種についても臨時接種と同様に、高水準の救済給付としてはどうかということでございます。
10ページ、ワクチンの確保と損失補償契約についてでございます。世界でワクチンの開発が進められておりますけれども、メーカー側としてはワクチンの未知の健康被害、いろいろなリスクがあるということでございまして、これにちゅうちょしてワクチンが開発されない、あるいは日本に供給されないということであっては困るという背景がございます。こういう中で、ワクチンの使用による健康被害が生じて、企業側が損害賠償しなくてはいけないということになった場合に、メーカーの損失を国が補償することができるように接種の開始前までに法的措置を講じることが、最初に御紹介しました政府の対策本部の決定の中でも示されております。これを踏まえて、法的措置として今回の新型コロナウイルスワクチンの確保に際して、損失補償契約を締結できるようにすることを検討しております。
参考資料2は以上です。
参考資料3につきましては、リスクコミュニケーションのためにワクチンの有効性・安全性が今どこまで分かっているか、今後、副反応をどう捉えていくかについて御紹介した資料です。
要点だけお話しいたしますけれども、2ページ、新型コロナワクチンの有効性・安全性が今どこまで進んできているかをまとめた資料です。一部の海外開発のワクチンで、第1相や第2相の臨床試験の結果が発表されています。少人数の人に投与した結果、幾つかのことが分かっています。接種によって新型コロナウイルスへの抗体がつくことや、軽い有害事象(頭痛、疲労感など)がある一定の割合の方で見られると。実際には、既存のワクチンと比べて少し高めの割合が見られているという結果もございます。
一方で、新型コロナウイルス感染症の発症を防げるかについては、第1相・第2相の臨床試験ではまだ分からないところでございまして、既に一部の海外開発のワクチンでは第3相の臨床試験が進められています。第3相の臨床試験は接種群と非接種群を比較して、実際に発症が減るかどうかを確認するものでございまして、夏に相次いで開始されていますので、秋から冬にかけて一定の結果が明らかになる可能性もございます。
第3相の臨床試験の結果を踏まえて、海外や国内で承認申請がなされていくと考えられますけれども、承認される段階では、ワクチンが発症の予防に効果があるかどうか、あるいは重症化の予防に効果があるかどうかについては、治験のデザインから判明している可能性がありますけれども、ワクチンで感染が防げるかどうかについては、この段階では分からないと考えています。感染予防に効果があるかについては、社会の中で接種してみないと立証がなかなか難しい課題であるということでございます。
3ページからは、今申し上げたことの詳細について資料をまとめております。
3ページは、感染予防と発症予防、重症化予防の関係において、どう評価するかについて。
4ページは、これまでに分かっている論文の簡潔なダイジェストを書いています。
5ページは、薬事の承認に当たって、どういった観点で審査・評価するかについての考え方として示されているものです。
6~12ページまでは、現在既に公表されている論文等による有効性・安全性についてのデータでございます。
続いて、14ページを御紹介させていただこうと思いますけれども、副反応の評価につきまして、予防接種法に基づき接種が行われるワクチンについては、薬機法に基づく副作用の報告制度に加えて、一定の副反応を疑う事例について、より幅広く報告する仕組みを設けています。こうした報告から、ワクチン接種後の病気や症状の頻度等を評価・分析し、副反応の探知を行っています。
接種後に被接種者に生じたとして報告される疾病や症状には、ワクチンとの因果関係が明らかなものや不明なのも、他の原因によるものが混在しています。
通常、予防接種と関係なくさまざまな疾病・症状が発生していることから、ワクチンとの因果関係がなくても、接種後にこうした疾病や症状が起きることがございます。
特に高齢者は、さまざまな疾病が発症したり重症化しやすい状況にありますので、接種後にたまたまそうした疾病が発症・重症化することも考えられます。多人数に接種を行うと、そういった報告の件数も多くなる可能性があるということでございます。
16ページですけれども、接種後に起きた病気や症状と、その中でワクチン接種と因果関係のある病気や症状には包含関係があるのではないかということです。いろいろな症状が報告されますし、その中の一定の基準を満たすものについては、副反応疑いとして予防接種法等によって報告されることになりますけれども、その中で因果関係があるものをどうのように見つけていくかが大きな課題であるということでございます。
全てに因果関係があるということではなく、17ページにありますように、因果関係が否定的な場合や分からない場合もあります。
18ページ、19ページでは、高齢者の方はどうしても一定の頻度で救急車に乗られたり、死亡されることもあるということで、実際に新型インフルエンザの予防接種を行った際には、ワクチン接種後の死亡例が133例報告されておりますけれども、死亡とワクチン接種との直接の明確な関連が認められた症例はなかったということでございます。
20ページには、予防接種による不可避な副反応として、幾つかのものがあることを御紹介していますが、予防接種は体内に異物を投与し、免疫反応を誘導するものですので、100%の安全性を求めることはできない。こうした中で、有効性が副反応のリスクを上回る場合、接種が許容されますけれども、丁寧な情報発信・説明をしていく必要があるということを書いております。
22ページ以降は、リスクコミュニケーションが重要であるということについて、予防接種・ワクチン分科会で議論した資料でございます。
以上、ワクチンに関する報告事項でございますので、かいつまんで御説明させていただきました。説明は以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
まず、検疫の説明、資料1、ワクチンについては資料1~3で説明していただきました。
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種については、10月5日に予防接種・ワクチン分科会で事務局提案をされて了承されたところですので、その御報告ということになりますが、この案件は国内の感染症対策に関わりますから、この部会においても御意見をいただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症に関する検疫について、資料1で事務局から御提案があったとおり、感染症法における指定感染症の政令指定の期限と同様に、1年以内に限り延長できるようにはしてはどうかという案ですけれども、こちらに関して委員の皆様から御意見と御質問をいただきたいと思いますので、もし何かありましたら。
岩本先生、お願いします。
○岩本委員 基本的に賛成なのですけれども、1点だけ質問させていただきます。感染症法の期限と同様、1年に限りということですけれども、回数に関しては記載がないように思うのですが、1回限りのことなのか複数回可能なのかについて質問したいと思います。よろしくお願いします。
○脇田座長 ありがとうございます。そのほか御質問・御意見いかがですか。
白井先生、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
1つ、2つあるのですけれども、まず、これは1年限りということですけれども、見通しとしてはいつまでの予定なのかということなのですが、指定感染症法と同じように延長可能だということは、指定感染症も延長する必要があるのではないかという見通しの中でこういう議論が出てきたのではないかと思いますので、1年のうちに丸々1年延ばす必要があるのかとか、2月では十分ではないので何か月か延ばす必要があるのではないかとか、その辺の想定があるのであれば教えていただきたいと思います。
また、これは指定感染症と連動してということになると、今回は新型コロナウイルスに関するということですが、「指定感染症」といった場合に、今後の指定感染症についても検疫感染症としても同じような形に連動して、1年延長するという形の対策ができるという見通しで提案されているのかをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○脇田座長 ありがとうございます。
白井先生、2つ目の質問は、今後の指定感染症はというのは、今回の新型コロナではなくて、次に新たなものが出た場合も連動させるのかという話ですね。分かりました。
そのほかはいかがですか。
では、とりあえず、今、岩本先生、白井先生から出た御質問、検疫の期限の延長、指定感染症もそうだと思いますが、これは1年限り延長ですが、回数に制限があるのか。それから、白井先生の、これも似たような話ですけれども、いつまでの延長を見通しているのか、今後の新たな指定感染症が出た場合も連動させるのかといった質問でございますので、事務局から回答をお願いします。
○小野大臣官房参事官 参事官の小野と申します。私からお答えいたします。
まず、岩本先生の御質問につきましては、法律としては延長できない、1回限りと解釈しております。
白井先生の御質問につきまして、実際にどれくらいの期間延長するのかということですけれども、実際に延長する場合には感染症法につきましても、検疫法につきましても、それぞれ政令で期間を定めることになりますので、1月なり2月までにどれくらい延ばすかを、まさにこの審議会で御議論いただいて決めるということになります。
それから、連動するかどうかにつきましては、必ずしも法律上連動しなければいけないというわけではありませんので、次に発生した感染症の性質に応じて考えていくということになろうかと思います。
以上でございます。
○脇田座長 わかりました。ありがとうございます。感染症の性質によって水際対策が、コロナの場合はまだかなり重要であることが見込まれるという理由で今回は連動させると。ただ、感染症の性質によっては、そういうことがない可能性もあるということだと理解しました。
そのほかいかがでしょうか。検疫に関する期限の延長に関して、御意見ございますか。現在の検疫の状況等に関する御質問でもいいと思いますが。
それでは、ワクチンに関しても御意見をいただければと思います。ワクチンは予防接種・ワクチン分科会で議論したところですけれども、今現在2種類のRNAあるいはベクターを使ったワクチンが用意されていて、来年前半までに国民全員に接種ができるような準備をしていくということで、接種の類型は臨時接種で、ただし、費用は国が全額負担するということで、接種勧奨・努力義務は一応考えているけれども、柔軟に考えるというお話だったと思いますけれども、こちらに関しても御意見があれば。
岩本先生どうぞ。
○岩本委員 1点だけ教えて下さい。7ページの新臨時接種という項目に、2009年A/H1N1パンデミックインフルエンザが、病原性が低い疾病だということが書いてあるのですけれども、新臨時接種というのはいつごろ決まったのでしょうか。私は、2009年にワクチンを緊急輸入する際にPMDAの委員として、外国から緊急にワクチンを輸入するための会議に参加しました。当時、2009年A/H1N1パンデミックの病原性が低いという認識はなかったと思いますけれども、何年ぐらいたってから新臨時接種ができたのかについて教えていただきたいと思います。
○脇田座長 ありがとうございます。そのほかいかがですか。
それでは、事務局から今の岩本先生の御質問、新臨時接種の枠組みがいつごろ決まったのか、お答えいただけますでしょうか。
○林予防接種室長 予防接種室長の林でございます。
参考資料2の19ページでございます。平成23年に行いました予防接種法の改正について記載しておりまして、その主な内容の1つとして、20ページにあります新たな臨時接種の創設がございます。前回の新型インフルエンザのときには予算事業として接種を行いましたけれども、それに近いようなものを法律に位置づけるということで、病原性の高くない新型インフルエンザ等に対応できる新たな臨時接種を設けるという改正を、平成23年に行わせていただきました。
以上です。
○岩本委員 平成23年は西暦で何年ですか。
○林予防接種室長 2011年になります。
○岩本委員 2年後ですね。
○脇田座長 そうですね、2009年の流行から2年後ということですね。
○岩本委員 今度の臨時接種は、新臨時接種に移る可能性はあるのですか。
○林予防接種室長 今回の状況に応じた特例的なものとして、法的整備を図ろうと思っております。それが終わった後どうなるかについては、現時点ではまだ分からないといいますか、今後の課題であると思っております。
○脇田座長 現在計画しているのは、今回、臨時接種の枠組みを使って、少しそこを変えながら使っていくと。これは1回目の接種、つまり来年前半に予定されている国民全員分の、主なワクチンは2回接種が必要ですけれども、2回セットの接種をこれでやるということで、その後接種が再度必要になるかもしれませんけれども、それはまた今後の検討になると理解しています。
○岩本委員 ありがとうございました。
○脇田座長 ほかにいかがでしょうか。検疫のことも含めてワクチンも委員の皆様から御意見があればいただきたいと思います。
では、私から、水際対策のところで少し質問させてほしいのですけれども、今、毎日5,000人程度が入ってきているというところで、厚労省のホームページ等で確認すると、毎日数名から10人程度の陽性者が報告されている、検疫で陽性になっているのが分かりますけれども、情報によりますと、主には抗原定量検査をやっているということですが、どこから日本に入ってきたかを見ると、中国やベトナムも結構あるわけですね。ヨーロッパや南米とか結構流行が多いところがそれなりに引っかかるのは分かるのですけれども、今あまり流行が報告されていないところからでも、それなりに陽性者が出ているということで、我々としては本当の陽性なのか、あるいは偽陽性も一部含まれているのかは少し心配するのですが、そういったフォローアップというのはどのくらいできているのかを教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○浅沼生活衛生・食品安全審議官 審議官の浅沼でございます。ただいまの御質問にお答えしたいと思います。
脇田座長から5,000人というお話がございました。実際には、レベル3と言われている、いわゆる日本人が入国できない国々から入ってくる方々に対しまして空港検疫で検査しているのですが、一番今まで多いところで2,400を超えたぐらいなので、レベル2と言っている我々が有症者だけ検査をしてくるエリアを入れても、多分5,000という数字にはならないのではないかと。実際我々とすると、マックスでも2,400~2,500、大体すると2,000を切っているぐらいが実情でございます。
この前、報道等でも申し上げましたけれども、検疫で今まで2月から対応させていただいた結果、大体1,000人を超えたような段階になっているところでございます。国々につきましては、例えば、東南アジア、フィリピン、パキスタン、一部ヨーロッパ、アメリカといったところが検疫で陽性者として補足しておりまして、世界の流行状況と比較しまして一定程度関連がありそうだということは分かっております。
フォローアップ等につきましては、基本的に、陽性者の方々につきましては無症候陽性者が非常に多いので、その方々につきましては原則として、私ども検疫のほうで用意しました施設、具体的にはホテル、いわゆるホテル療養を今現在させていただきまして、そちらで10日間は入っていただきまして、私どものほうでお食事等あるいは宿泊等の対応をさせていただいております。
症状のある方につきましては、感染症の病院等で引き受けていただき、治療等を行っていただいているところでございます。そうした方々についてのフォローアップはできております。
また、陰性で入国された方々につきましても、LINEでフォローアップシステムをつくりましたので、LINEができる方々につきましては、定期的に健康状態のフォローがされている。LINEができない、例えばスマホを持っていない、あるいはスマホを持っているのですが、日本のキャリアではなく外国のスマホなので、LINEがそもそもアプリとしてインストールできないといった方々につきましては、人工知能の電話みたいなものもありますので、それで連絡したりすることでフォローアップしているような状況です。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。私が5,000人と言ったのは、最大限今の枠が5,000人枠という話を聞いたので、その数字を申し上げました。
岩本先生どうぞ。
○岩本委員 関連の質問ですけれども、今、抗原検査、PCR、ある検査を使って入国者の検査を行うこと、非常に利便性の高いものを使ってやるのはいいことだと思うのですけれども、できれば、検体も数がかなりあるので保存して、感染研なりで研究費として再検査をして、偽陰性・偽陽性がどのくらいあったのかをやったほうがいいのではないかと。例えば、目標1,000件とか決めてやったほうがいいのではないかという気がいたします。単なる意見です。
○脇田座長 ありがとうございます。精度管理をちゃんとしましょうということですね。
山田先生、お願いします。
○山田委員 一部報道によると、検疫の14日間の待機をなくすという話が聞こえていると思うのですけれども、この辺の議論は今出てこなかったので、その辺がどうなっているか少し御説明いただければと思います。
もう一点は、ポンペオ長官が来日されていろいろ会談等されたわけですけれども、それはどのような枠組みで行われたか。米軍基地の米軍関係者、軍属とかそういった人たちに対しては、どういう検疫がなされているのか、検疫のようなことをきちんとやっているのか。日本政府がやるのと同じことをやるような協定が多分あるのだろうと思うのですけれども、その辺がどうなっているか教えていただければと思います。
○脇田座長 ありがとうございます。
それでは、今の質問ですけれども、事務局からいかがですか。
○浅沼生活衛生・食品安全審議官 ただいま脇田座長からも5,000話とか出ていましたが、私どもとしますと、今、目標としまして成田空港検疫所、羽田空港検疫所、関西空港検疫所で1万を超えるキャパシティ、検査能力を保持していて、そこまでの検査が必要な入国者には対応できる準備をしております。
そういう中におきまして、今、14日間待機と公共交通機関の不使用というのがセットになって、いわゆる3点セットで検疫を対応しているところです。質問の14日間待機がなくなる等々というのは、多分報道等で先生のお目に入ったのではないかと思いますが、正しく言うと、14日間待機は原則としてはございます。ただし、感染が安定している国、日本とほぼ同等に落ち着いている国から来るところで、二国間協議の中でビジネスの往来につきまして合意が取れたところにつきましては、追加的防疫措置をすることによって、日本に入ってきたときの14日間待機を自宅でするだけでなく、14日間の間に例えばオフィス、工場といったビジネスでどうしても行かなければいけないところにつきましては、ビジネストラックと称して追加的防疫措置に基づいて対応していただく。
具体的には、出国時にPCR等検査をしていただき、また、入国時に私どもが検査をすると。両方陰性だった場合には、オフィス等にも行っていただけますよということでありまして、自由奔放にするというわけではないです。それでビジネス往来を緩和することによって、不自由な往来をもう少し現実的に対応できるようにしなければいけないのではないかということでやらせていただいています。ただ、今これが成立しているのはシンガポールと韓国のみでありまして、まだ現在交渉中の国々がございます。
ポイントは、日本もそれを受け入れますけれども、相手国も同じ条件をのんでいただく。相互主義なので、例えば、シンガポールでしたら我々日本人もシンガポールでビジネスマンが14日間待機するのではなくて、オフィス等にもすぐ行っていただけるような体制をのんでいただくことが前提になっております。
その他、14日間待機は自宅等待機を維持して、一定の感染が落ち着いているような国々から長期滞在をさせていただくレジデンストラックも片ややっておりますので、それについては14日間待機を維持しているところです。
もう一つのポンペオ長官がとのような話をしたかは私も存じ上げておりません。担当でもございませんし、どういった内容なのかはうかがい知れておりません。
ちなみに、米軍の検疫ですが、私の所管ではないですが、検疫実務を担当する立場として一般に的に言われていることは、米軍の中でも日本と同等の検疫をやっていただいており、そうした報告というのは所管の検疫所も実績としては受けている状況でございます。日本の検疫と同等の検疫をしていただいていると承知している次第でございます。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
続いて、中野先生と戸部先生から手が挙がっているので、お願いします。その後に森田先生。
○中野委員 中野から質問させていただきます。
先ほどの御回答でちょっと見えたような気もしたのですけれども、御質問したかったのは資料1のビジネストラック、レジデンストラックという言葉の定義なのですが、これが何らかの法令等である程度定められているものなのか、あるいは便宜的な枠組みなのかということをお教えいただきたいことと、あと、このような定義に関して国際的な共通理解はあるものなのでしょうか。それが私からの質問です。
○脇田座長 ありがとうございます。
戸部先生どうぞ。
○戸部委員 臨時接種の特例についてですが、具体的には予防接種法を改正するのか、あるいは特別措置法のようなものをつくるのか、この法形式はどのようになるのでしょうか。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
では、続いて森田先生どうぞ。
○森田委員 ちょっと方向性が違うのですが、うちの研究所は、ベトナムとかケニアで活動していました現地の感染研に当たるような機関とCOVID-19の調査研究を続けているのですけれども、ベトナムでは今、外国から来た人は2週間クアランティンして2回PCRするんです。その中で今まで何度もあったのですけれども、先週も帰国したベトナム人が陽性になった事例があるのですが、そういう情報は日本でのクラスターたたきに有用だと思うのですけれども、現実的にそういうものはリアルタイムで国同士でやりとりされて活用されているのかという点について、御存じであれば教えていただきたいと思います。
○脇田座長 ありがとうございます。
森田先生、今のは日本からベトナムへ帰国した人ですか。
○森田委員 今言ったのは、日本から帰国したベトナム人の話なのですけれども、当然逆もまたあると思うんですよね。そういうときに、ベトナムはかなり封じ込めに走っていますので、そういう情報があれば物すごく有用なのですけれども、そういうものは日本からベトナムに提供されているのかという点についても教えていただけたらと思います。
○脇田座長 ありがとうございます。では、今の3名の先生からの御質問、事務局から御回答願えますか。
○浅沼生活衛生・食品安全審議官 ビジネストラック、レジデンストラックの命名につきまして御質問がございました。これにつきましては法律に基づく命名ではなく、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で決定したルールでございます。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございます。
戸部先生の臨時接種の特例措置は法改正をするのかという御質問ですが、いかがですか。
○林予防接種室長 予防接種法の改正なのか、特例法をつくるのかという御質問でした。結論から言うと現在検討中です。テクニカルには予防接種法の現在の規定を何らか読み替えるような措置を講ずることになりますので、どちらでも可能だということです。
ただ、予防接種法の本則を丸々書き換えてしまうようなものではなくて、あくまで今回特例的な措置としてできるような立てつけを考えていきたいと思っています。
○脇田座長 ありがとうございます。
最後に森田先生の質問ですけれども、ベトナムへ帰国した人が、今も国際保健規則(IHR)を通して等で通報しているのかという話だと思いますが、いかがですか。
○加藤エイズ対策推進室長 今、脇田座長に御指摘いただいたとおり、国家間の移動に伴う患者さんの追跡の情報につきましては、WHOのIHRの規則にのっとりまして、それぞれの国家間で通報を行って情報共有しているところでございまして、これはコロナに限らず全て重要な疾患についてはさせていただいているところでございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
今村先生、手が挙がりましたのでどうぞ。
○今村委員 資料1の11ページ、「国際的な人の往来の再開」というページを見ていただくと、国の名前が幾つか書いてあるのですけれども、現在「感染状況が落ち着いている以下の国」の中に入っている、例えばミャンマーやマレーシアは、この1か月ぐらいで急速に患者の報告数が増えています。感染者の動きというのはよく見ておかないと、国によって大きな変化をしてきますので、その変化が急速に出てきたときにどのように危機管理をするのか、あるいは止めたりするのかということは検討が必要かなと思うのが1点。
もう一点は、本日もタイから帰ってこられた方が検疫で抗原で陽性になって、こちらでPCRを2回やったのですけれどもマイナスらしいんです。抗原のキットに関しては、事前確率の低い人でやればやるほど陽性的中率が下がってしまうので、偽物の陽性という方が増えると思います。ということは逆に、入国を増やしていこうというリスクの低い国というのは、罹患率が低いですから事前確率も低くなり、抗原は陽性で実は陰性だったという人が増えてくると思うのですが、その辺の注意喚起は行わなくていいかという点です。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
11ページの落ち着いている国の中に入っているミャンマー、マレーシアは、今また急激に増えてきているという状況にあります。そういったことがあるときに、どのような危機管理体制があるのかということと、抗原キットのPCRも含めてですけれども、事前確率が低い場合に対してどう考えるか、その点についてお願いします。
○浅沼生活衛生・食品安全審議官 御覧になっていた資料1の11ページは、7月22日付の政府対策本部の資料でございます。確かにこのころと比べれば、御指摘の国々以外も感染状況は変化があると承知しております。しかしながら、10万人当たりの新規感染者数だけで判断しているわけではなくて、各国の医療状況等を総合的に勘案して評価しているので、そういう意味では、ここに名前が挙がっていないような国々と比べれば、感染が日本と比べて差がない、落ち着いているという状況であると思います。しかしながら、御指摘のとおりで、急激に感染者が爆発的に増える等々の状況があった場合には、そうした国々との交渉・調整・協議というのは、また変化が生じるものと承知しております。
2点目のタイのPCRのマイナスの件、こちらが陽性でつかんだという話は私も承知しております。検査は全て100%のものがないと思っておりますので、私どもの検査が正しいか、PCRが正しいかといった論争をするつもりはないですが、いずれにしても3割程度はどうしてもすり抜けるみたいな話はございます。ただ、我々検疫実務を担っている者からすると、できる限り漏れがないようにしていく。しかしながら、それを迅速に大量にこなさなくてはいけないという使命を考えますと、抗原検査は非常に有用な武器でございまして、実際、抗原定量検査を導入した結果、空港検疫のキャパシティは上がったと承知しております。ただ、今後、入国者が増えてくれば先生の御指摘のとおりで、先ほど岩本先生からもお話があったとおりで、検査の精度として見たときにどういった課題が出てくるのかなどは確かに重要な課題であると思っておりますので、引き続き今回御指摘のようなケースがあるかどうかというのは追っていきたいと思っているところです。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
ただいまのところは、さまざまな国から入国者があり、それで陽性の方もいらっしゃるということで、感染研でも陽性の検体を確認して、さらにゲノム配列を同定するということもやっていますので、そういったところで精度の確認もやっていく必要があるかなと、先ほど岩本先生から御指摘があったとおりだと思っています。
これで最後にしたいと思いますけれども、白井先生と越田先生の順番でお願いします。
○白井委員 検疫、水際対策をまだ徹底する必要があるということですけれども、3空港のほかに国際空港として地方空港もどのように拡大していくのか、そのときの検査体制などもどのような予定があるのかをお聞きしたいのと、今、ビジネストラック以外のほかの方々については、保健所で2週間の健康観察をやっているわけですけれども、これはお願いというか技術的な確認になるかもしれませんが、そこのつなぎが悪くてLINEを使えないだけではなくて、電話をしたが国際電話だからつながらないとか、電話番号が全く違うというのも何回も経験がありますし、果ては御本人ではないということもあったりして、どこまでの確認を検疫所でしていただいて、所在地というか保健所につないでいただいているのかというところで苦労しておりますので、その辺についてのつなぎをうまくしていただかないと、これからどんどん海外の方が増えるに当たっては対応できないことが危惧されますので、よろしくお願いします。
○脇田座長 ありがとうございます。
越田先生、お願いします。
○越田委員 聞き逃したかもしれないのですけれども教えてください。予防接種に関してです。参考資料の1ページに、市町村の役割として集団的な接種を行う場合と書いてあります。接種に関しては、集団接種でも個別接種でも原則どちらでもいいということを今の時点では想定していらっしゃるのでしょうか、この辺を教えていただきたいと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
それでは、今の白井先生、越田先生の御意見について、事務局からお答えいただいてもいいでしょうか。
○浅沼生活衛生・食品安全審議官 白井先生の御質問にお答えしたいと思います。
水際対策は、3空港になるべく集約する形で対応しておりました。先ほど申し上げたとおり、成田空港、羽田空港、関西空港の3つの空港合わせて一日当たり1万人の検査体制を整備したところでございますが、実は既に中部空港と福岡空港に日に1便くらい、週に数便今既に飛んできております。この検疫につきましては、現在の空港検疫で通常業務の中で対応しておりますから、日に1便程度でしたら十分対応できるのですが、今後、人の往来をさらに広げていくに当たりまして、御指摘の中部空港も含めて地方空港も往来が増えていくだろうと。
特に、中韓便につきましては、この感染症が中国由来だったこともありまして、成田空港と関西空港に便を集約していた事実がございます。これにつきましては、現在の我々の検査能力あるいは人の往来の今後の状況などを踏まえまして解除することになりましたので、御指摘の中部空港にも中韓便が飛んでくることは今後、航空会社等々との交渉の中で想定できるところでございます。
つきましては、私どもも中部空港等々の地方空港の検疫体制の強化は既に進めておりまして、例えば、抗原定量検査の機器につきましては、既に大きな地方空港につきましては整備を整えているところでございます。
また、具体的にどういった便がどれくらい入ってくるかというのは、私どもだけではなくて航空会社と空港会社との調整の中でやっていくものもございますし、もちろんその背景にあるのは地方自治体の皆様、例えば、私どもは無症候陽性者につきましてはホテル療養等で対応しますが、重篤な方については私どもは直接病院を持っていませんので、どうしても地元自治体の協力を得て対応しなければいけない。そういった準備体制ができるかも含めて、具体的に空港をどうやって開けていくかというのは対応しないといけません。また、特に今まで海外との便の実績のある空港に対してどういった空港検疫をやっていくかは、追って進めていきたいと考えているところでございます。
2点目のLINEの話でございますが、日本のいわゆるスマホキャリアを持っていない方々に対しては大変苦労をかけていまして、保健所の皆さんにも御迷惑をかけているのかもしれませんが、こちらもアプリ開発を今後進めていって、外国のキャリアであってもLINEと同等のフォローアップができるようにして、なるべくデジタル化を図りながら、保健所の皆さんに直接の作業をなるべくしていただかないような形でフォローアップできるように今鋭意取り組んでいるところでございますので、もう少しお時間をちょうだいできればと思っております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
それでは、越田先生の御質問はいかがでしょうか。
○林予防接種室長 予防接種の接種体制ということでございます。集団接種なのか、個別接種なのか、どちらでもいいのかというお話でした。今回たくさんの方に接種していかなければいけませんので、ある程度まとまった数を接種していただけるような接種会場がたくさん必要になると思います。そういった観点から、いろいろなパターンといいますか方策があると思いますし、何かに限定するということは今のところ考えていなくて、いろいろな形で総力を挙げていくことが基本になると思います。
○脇田座長 ありがとうございます。
以上で、大体御意見をいただいたところでまとめたいと思います。部会としましては、資料1で御提案いただいている新型コロナウイルス感染症に関する検疫についての方針におおむね賛成できるということでまとめたいと思います。見直しに当たりましては、今回いただきました御意見、その他関係者の意見を踏まえつつ進めていただきたいと考えますので、事務局にはよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
次に、議題3に進みたいと思います。「新型コロナウイルスに関するサーベイランスの研究の紹介」についてです。事務局から簡単に説明していただきます。併せてこの議題については、谷口先生からの資料の提出がございますので、こちらは谷口委員から説明していただきます。
それでは、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室長 新型インフルエンザ対策推進室長の竹下から説明させていただきたいと思います。
資料2を見ていただきたいと思います。「インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症のサーベイランスに関する検討について」ということで、まず現状のサーベイランスについて、インフルエンザと新型コロナウイルスについて説明させていただきます。
季節性インフルエンザの場合は、今、全国約5,000か所の定点医療機関から以下の基準で患者数が報告されています。1つは、突然の発症、光熱、上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状全てを満たす。これは臨床診断もできることになっておりまして、国際的によく使われているインフルエンザ様疾患(ILI)を含むことになります。もう一つは、迅速診断キットによる病原体の抗原検出となっております。ただし、実際には上記の2の迅速診断キットによる病原体の抗原検出によりインフルエンザと診断し、報告される割合が多くを占めております。
一方、新型コロナウイルス感染症の場合は、現在は全数報告となっております。全国全ての医療機関からPCR等の検査で新型コロナウイルス感染症と診断された患者数が報告されています。
現在今言われている課題としましては、臨床上インフルエンザと新型コロナウイルス感染症、今後これからの季節に非常に多くなったときどうしようというところでよく議題になっている中で、この患者の病気が区別できないことに関して、それぞれ疑う患者のうち実際にインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症である患者の割合が不明であるということで、検査する際の検査前確率の把握が課題になるとこれまでも指摘をいただいております。それぞれの検査前確率の評価を可能とするためのサーベイランスを今後検討する必要があるということで、それに関しまして、今回検討されているサーベイランスの研究班の内容を報告させていただきたいと考えております。
次のページは、三重県での研究班の今冬の試みです。これは谷口先生のほうで実施していただいていますので、詳細は後ほど谷口先生からも御説明いただきたいと考えておりますが、まず簡単に事務局から紹介させていただきたいと思います。
2020年40週(9月末)から三重県内における全てのインフルエンザ定点医療機関72か所において、臨床定義でのILI及び新型コロナウイルス様疾患(CLI)の報告を予定し、ILI及び新型コロナウイルス様疾患の報告が行われた症例については、インフルエンザ及び新型コロナウイルスの両方の病原体検査を行い、以下の指標を把握するという内容でございます。主には、今言った臨床的な内容だけではなく、実際の検査を行った陽性率、また実際に鑑別を行った対象者数がどのくらいいるのかも含めて、9項目について報告するという内容でございます。
この三重県の取り組みについて、本研究班のサポートの下実施していただける都道府県を、今冬もう少し募集してはどうかというのを考えております。
詳細につきましては、谷口先生から御紹介いただきたいと思っております。谷口先生、よろしくお願いします。
○脇田座長 では、谷口先生、お願いします。
○谷口委員 実は、内容は、せんだっての感染症学会で少し御報告させていただいたのですが、参考資料5の1枚目を見ていただければと思います。
今、竹下先生から御紹介のあったように、日本のインフルエンザサーベイランスというのはほとんどが迅速診断キット陽性例になっています。ただ、今年の冬に限ってはそれが安全に行えるかどうか、あるいは流行状況が分からないとなかなか検査自体ができない、あるいは発熱患者を拒否してしまうことが既に起こっているわけです。ただ、一方では、世界標準と言われるインフルエンザのサーベイランスは、ILI、つまり発熱とせきのある症状のある方の数を報告していただく。その全外来受診者数に占める比率を見ることによって、医療負荷を見ています。その中で、サンプリングをしてインフルエンザウイルスが実際に陽性であった比率を併せて報告しているわけです。つまり、ILIサーベイランスの世界標準は、外来でインフルエンザ様症状を診た場合に、これがインフルエンザであるリスクを示す、これが本来のインフルエンザサーベイランスです。
2ページを見ていただきますと、日本の季節性インフルエンザは2019/20シーズン、ちょうど1月に入って上が抜けたような形になっていますが、これは本当にインフルエンザ様疾患の患者が減ったのか、単に診断数が減ったのか分からないわけです。
3ページはアメリカのILIですが、2019/20シーズンは3つのピークがあります。1つ目と2つ目はILI、3つ目もILIなのですが、4ページのインフルエンザの陽性率を見てみますと、3つ目のピークはインフルエンザウイルスはほとんど検出されていないんです。つまり、こういったインフルエンザ様症候群の中で比率を見ていけば、これがインフルエンザによるものなのか、あるいは別のものなのかが分かってくるわけです。これを地域で共有することによって、今インフルエンザ、発熱とせきのある患者はどういう病原体なのかを共有することによって、より効率的な診療ができるのではないか。
ただ、日本のILIというのは4つの症状を満たすもの、世界のILIというのは単に発熱とせきですから、把握している患者数が違います。アメリカは、ILIプラスCLI、CLIというのはほとんどが上気道炎なのですけれども、これを併せてやっています。これは5ページになります。
オーストラリアの状況を見ますと、これもILIを見ているわけですけれども、明らかに例年よりも少ない。ただ、7ページを見ていただきますと、それに対して毎週3万検体以上のインフルエンザの検査を行っていますが、インフルエンザ陽性例はほとんどいないわけです。そうすると、ILIはいるけれどもインフルエンザはほとんどいないということになります。
今冬のインフルエンザを考えた場合に、症状によって鑑別診断は難しいわけですし、重複感染もあります。インフルエンザはもちろん重症化のリスクがある、コロナは拡大すると医療体制の崩壊につながるというリスクもあります。
これは感染症学会が勧奨しているように、検査診断が必要不可欠ですけれども、医療機関によっては十分な感染対策ができていないと、なかなか検査ができない。既に発熱患者は診ないと言っているところもあります。今回の研究は、それが発端なんです。
それでは、きちんと診られるところで診断をして、今地域でインフルエンザの流行がどれくらいなのか、あるいはコロナは今、地域内感染例は三重県ではないと思っていますが、これが広がってきているかどうかも一般外来で検査のできるところでやっていくことによって分かるだろうと。これを一般と共有することによって、受診控えの減少も期待できるのではないかということで、実際にインフルエンザ様疾患あるいはそれ以下のより軽い上気道炎といった患者さんが実際どのぐらいいて、そのうちのどのぐらいがインフルエンザ陽性になるのか。それがインフルエンザでないとしたら何なのかといったことに答えていく必要があるだろうと。
先ほどお話がありましたように、インフルエンザ定点におきまして、これは法律に従って通常の枠組みと同様のILI、インフルエンザを報告していただきます。それだと多くの上気道炎は漏れますので、それをCLIとして御報告いただく。全ての定点医療機関では検査ができません。ただ、一定の病原体定点がもともとございますし、設備も整った発熱者外来を設置している医療機関も入っていますから、そこでは感染症学会の勧告に従って検査を行っていく。それを地域で共有することによって、医療機関が今どういう状況であるか分かる、これをやっていきたいと思っています。
実際の指標として、これは既にホームページには出しています。11ページのURLを見ていただくと第40週から始めましたので、第40週のデータだけ入っています。まだILIというのは非常に少なくて、ほとんどはARI(急性呼吸器感染症)です。インフルエンザ陽性例もほとんどいません。ただ、たまたまある地域でコロナがあったものですから、それがここには入っています。ただ、これは地域内感染伝播のものではありません。今はまだ見えにくいのですが、もう少しすると見えてくるようになるのではないかと思います。
同時に、学校サーベイランスのデータもやっていて、学校の中で発熱患者あるいは上気道炎患者が増えてきた場合に、同じくアラートを出すということをやっています。こういったところで地域の感染状況を共有して、より効果的な診療を行おうではないかと。
13ページはおまけみたいなものですけれども、現在の南北アメリカの状況です。インフルエンザは南アメリカでも中央アメリカでも、ほとんど陽性になっていません。RSウイルスもほとんど陰性、ほぼゼロです。何かというと、それ以外のウイルスを全部調べているわけですけれども、検出されているものはほとんどSARSコロナウイルスです。
こういった状況になるのであれば、地域で共有しておけば、あらかじめ手が打てるのではないかという研究を今やっております。
以上でございます。
○脇田座長 ありがとうございました。
ただいま事務局から資料2、谷口先生から参考資料5について御説明をいただきました。それでは、委員の皆様から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
白井先生、お願いします。
○白井委員 貴重な報告ありがとうございました。インフルエンザ、ILIの報告は、現在の定点サーベイランスとして定点医療機関を活用しているのだと思いますが、CLIもインフルエンザ定点というか、診療所と病院の定点を活用して見ていただいたのでしょうか。
○谷口委員 基本的に、三重県の感染症対策部門と三重県医師会と全て合意をとりまして、こちらの定点から全て報告をいただいております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
中野先生、手が挙っていますので、お願いします。
○中野委員 谷口先生にお尋ね申し上げます。三重県で非常にいい研究を立ち上げられてすばらしいと思います。
教えていただきたいのは、インフルエンザが流行した状況であれば確かにインフルエンザの患者数は件数が多いですから、ILIとインフルエンザの検査が一番大事になってくると思うのですが、ベースの感染症が全部少ない状況だと、CLIや呼吸器感染症の患者さんがいたとき、例えばRSウイルスにしても、アデノウイルスにしても、小規模とか中程度の流行があったとき、発熱患者さんが集積する可能性があると思うんですよね。そういった他の病原体をこういった定点でどのように調べる計画をしておられるのか、お教えいただけますか。
○谷口委員 基本的には、コロナとインフルエンザを主眼としておりますが、一定の医療機関、多分ほとんどの定点医療機関では、それ以外の検査はできないです。ただ、我々の病院や限られたところでは、感染研のプロトコルを教えていただいてやっているのですけれども、マルチプレックスPCRで他の病原体も調べられるようになっています。ゆえに実際のILIが増えてきて、インフルエンザも陰性、コロナも陰性という場合には、そういったところを調べる。つまり、アウトブレイク、エピデミックの際には他の病原体も同時に調べるという計画で考えております。
以上です。
○中野委員 ありがとうございます。確かに、全ての医療機関では無理なのだと私も思ったのですが、そのように特定の機関ででも網羅的に発熱患者の病原体を解析できると、地域や国民の皆様が今何が流行しているのか安心できる気がしましたので、お尋ねしました。ありがとうございます。
○脇田座長 そのほかいかがでしょうか。
白井先生どうぞ。
○白井委員 もう一度、定点なのですが、三重県の定点がバランスよくというか、インフルエンザであれば、ある程度網羅的であると思うのですけれども、従来インフルエンザ定点だと小児科が多くて内科が少ないような地域も多いですので、現在の定点を全国的に活用するとなると、三重県のような協力を得られるのか少し懸念がありますし、現在もまだ地域によっては、実際のコロナの患者さんについては指定医療機関であるとか、特定のところしか診ていないとなると、その辺の活用をどうするかが悩ましかったので、定点自体の制度を考えないといけないと思いました。アドバイスがあればお願いします。
○谷口委員 三重県の定点サーベイランスは、過去の神谷先生、庵原先生、中野先生を含めていろいろな方の御努力で割とバランスよくできておりますし、熱心な先生がそろっています。
あと、これに皆さんが御賛同いただいたのは、コロナはいつかインフルエンザやほかの上気道炎のように地域内感染伝播をすることになるのではないか、まだ分かりませんけれども、今のうちにそういうことも考えていったほうがいいのではないかということもあって、いろいろなところで診ていく必要もあるだろうということで、御賛同いただいております。いつかはそうなるのかならないのか分かりませんけれども、考えていかねばならないのかなと思っています。
実際に、病原体定点といっても先生も御存じのように、ほとんどの地域ですごく熱心な先生方がやられています。日本中どこでもあまり変わらないと思いますが、それが割と分散していれば地域性もよく分かりますし、おおむねほとんどの地域で基幹的な医療機関が入っていますので、少なくともそういったところできちんと把握していければ、地域内感染伝播が広がってくれば分かるのではないか考えております。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
そのほかいかがですか。岩本先生、釜萢先生の順番でお願いします。
○岩本委員 アメリカのILIの3つ目のピーク時にはインフルエンザがほとんど陰性だったのでコロナではないかということですが、アメリカは大きな国なので場所によって全然ポジティブレートとか、いつ流行したかが違うので難しいと思います。アメリカ全体で見ていると、第14週か15週にはずっとILIが減っていったというのは、アメリカのコロナの流行の経過とかなり相違があるように思います。これはどこで調べられたのか、どう説明するのかという点をお聞きしたい。
もう一点はコメントですけれども、さっき中野先生がおっしゃったように、日本の冬の感冒症候群はどんなウイルスで起こっているのか、感冒を起こすコロナウイルスの割合はどのくらいかなど、研究としてちゃんとやられるべきだと思います。
○脇田座長 ありがとうございます。
釜萢先生どうぞ。
○釜萢委員 三重県は今、谷口先生からお話があったように、長い歴史があってそれぞれの定点になっている医療機関のレベルも高いのですけれども、今回の取組は大変すばらしくて、研究のレベルでおやりになるわけですが、三重のようにはできないにしろ、それぞれの地域でできる範囲で取組をしていくほうがいいだろうと思うんです。そのあたりについて、三重県の成果がある程度しっかり評価できるくらいのものがまとまった後になるのか、それともできるところでは少しまねをしてやっていったほうがよいかということについては、谷口先生はどのようにお考えになられますか。
○脇田座長 ありがとうございます。
では、谷口先生、今、岩本先生のアメリカの地域差の問題、釜萢先生の御質問についてお願いします。
○谷口委員 岩本先生が言われましたように、CDCのデータというのは全部をまとめたデータですので、地域差は実際には分かりませんし、最初のうちはまだコロナがよく分かっていなかった状況で出てきて、その後分かってきたら急速に下がっていますので、ある程度臨床家の行動の変化や検査の変化、報告の変化が多分重なって、ああいう形になっているものですから、実際にコロナの流行曲線とは合わないと私も思っております。ただ、少なくともあれは最初の発熱・呼吸器疾患の上昇をとらえていたのだろうとは思っています。
あと、釜萢先生のお話ですけれども、実際に我々がやるときも最初はILIの定義を広めて、ILIとかCLIとか細かいことをせずに、もう少し広く捉えたかったのですが、県としては感染症法を外すわけにはいかない。つまり、感染症法上のインフルエンザサーベイランスはそのまま続けたい。ただ、それ以下の37.5分くらいの発熱と上気道症状も、地域内感染が起こったときにはコロナであり得るので、そこもとりたいというわけで、ILIとCLIと一緒にしたわけです。感染症法という形でインフルエンザサーベイランスがある以上は、地方自治体もそれを勝手に変えるわけにはいかないところもありますので、国レベルでILIのサーベイランスで、今それが全部迅速診断キットで陽性のものだけを届けるようになりますと、それ以外の病原体が地衛研でやってもあまり出てこないわけですので、日本もILIとして報告いただいて、その中で占めるインフルエンザの割合、あるいはほかの病原体の割合という形になっていくといいのではないかと思っています。
○釜萢委員 どうもありがとうございます。
確かに、これまでの報告と大分違って、例えば上気道炎の報告も大事なのだけれども、それはあまり経験がないので、そのあたりを今後どうしていくかということをぜひ御指導賜りたいと思います。ありがとうございました。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室長 すみません、事務局からですけれども、まさに今この取組に関しましては、本研究班、谷口先生からのサポートの下、もし今回、早目に実施したいなど御協力いただけるような都道府県がございましたら、この取組も今回からぜひ取り組んでいただきたいと考えておりますので、事務局または谷口先生に御連絡いただければ、私たちのほうでもつながせていただきます。
○脇田座長 ありがとうございます。
調先生どうぞ。
○調委員 谷口先生、非常にすばらしい御提案ありがとうございました。
確かに、どのようにして冬の、特にインフルエンザやCOVID-19の流行をとらえていくのかということは、すごく重要な問題だと思いますけれども、普通の定点医療機関がある一方で、これから外来検査センターが立ち上がって、患者さんの中でどっちにどれくらいいくのかというのは私もよく分からない部分があって、外来検査センターの受診数や、そこから出てくる検査結果を集計するというのはありかなと思っているのですけれども、実際のところ患者さんの流れというのはどのように予測されているか、厚労省の方でもいいのですが、もし想定がありましたら教えていただきたいと思います。
○脇田座長 これはちょっと難しいかもしれないですけれども、谷口先生お願いします。
○谷口委員 基本的には、一般外来に来る人たちの間での陽性率というのを見ていかないと、いろいろな診療所の先生方の日常診療には役に立ちません。ただ、三重県ではラッキーなことに、いわゆる検査センターあるいは発熱外来というのは、ほとんどが基幹医療機関の中あるいは隣でやられていますので、多くは包含することができます。そういったところから、ラボラトリーベースというのも考えたのですけれども、ラボラトリーベースであれば確かに全体の陽性率というのは出てくるのですが、ただ、臨床の先生方が、これは風邪だね、あるいは上気道炎だねと診断して、それがどれくらいかというデータを出したかったものですから、先生がおっしゃるようにまだ分からない部分があるので、実際にはまず始めてみて、どうなるかを見つつ考えていこうというスタンスです。
○脇田座長 ありがとうございます。
私からも1つ。特にコロナのほうは谷口先生も言われたように、市中感染という状況になっていると、こういった定点観測がかなり役に立ってくると思うんです。ただ、既に東京などを見ていますと、感染がある程度循環しているような状況になってきている。沖縄も少しそういう状況になってきているのかなという感じがあります。ですから、地域によってかなり感染状況が違いますから、そういった地域を研究で、東京や大都市あるいは沖縄のようなところと地方と見ていただいて、状況によってコロナの定点観測がどういうことになるのかというのは、ぜひ研究をお願いしたいと思っていますので、よろしくお願いします。
○加藤エイズ対策推進室長 事務局でございます。先ほどの今後の患者の流れがどのようになるのかという御質問の回答ですけれども、実際はどのような患者の流れになるのかの予想自体は難しいというのはあった上で、我々としては8月下旬でしたか、感染症部会でも御議論いただきましたとおり、今年の冬の発熱患者の診療体制につきましては、それぞれ地域の医療機関でしっかりと診ていただけるような体制をつくっていきたいと考えているところでございますので、そういった現場の先生方で、今目の前にいる患者さんの検査前確率がどのような状況なのかを谷口先生のほうで御研究いただいているところかと思いますので、そういったところに合致したようなモデルを、ほかの自治体にどのように御検討いただくのかというところが大事なのかなと思っております。
○脇田座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、今御紹介がありました、新型コロナウイルスに関するサーベイランスの研究については、今後の対策に重要であると考えておりますので、今、皆様からいただいた御意見を踏まえつつ、研究を進めていただくということをお願いしたいと思います。
それから、10月5日の部会で議論しました、新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針について、委員の皆様からの御意見を踏まえて、既に関係者の先生方に周知しておりますので、この報告をしていただきます。参考資料4を事務局からよろしくお願いします。
○加藤エイズ対策推進室長 参考資料4でございますけれども、前回の感染症部会で御議論いただきました、新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針の最終版、発出済みのものでございます。
中身は重複になりますので繰り返しの説明は割愛いたしますが、主な変更点といたしましては、前回御議論いただいた際には、鼻腔拭い液の検体の取扱いがまだ御検討の途中だったというところで、引き続き検討が必要であるといった書きぶりになっておりましたけれども、その部分を最終的に御承認いただいたということで削除いたしまして、鼻腔拭い液の検体の使用が前提となっている指針となっております。詳細は御覧いただければと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございました。
それでは、用意した議題は以上になりますけれども、全体を通して委員の皆様からさらに御意見等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
釜萢先生どうぞ。
○釜萢委員 先ほど脇田座長が言われました、コロナのサーベイランスをどうするかということは非常に大事な問題です。今まだ構築中ではありますが、10月中に大分手が挙がってくることを期待している診療・検査医療機関のうちで、コロナの検査まで対応できるところがあります。一般公表はさておき、少なくとも自治体・国の間、地域の医療機関の間ではどこで検体採取までやれるかの情報は上がってくるわけですから、そこの情報をなるべくいち早くしっかり把握することと、地域において検査につなげられる医療機関の分布が偏っていて、その地域の流行の状況をなかなかうまく把握できないのではないかという懸念がある場合には、国の指導の下に都道府県がそのあたりも踏まえて、報告可能な医療機関の分布が地域の感染状況をしっかり反映できるように改善することは早急にやっていただきたいと思います。
以上です。
○脇田座長 ありがとうございます。
ただいま釜萢先生からコロナに対応できる医療機関の地域的な分布について、早急にできるだけ早く把握して偏りがないようにしてほしいということですけれども、事務局はこちらについてはいかがですか。
○佐々木内閣審議官 審議官の佐々木でございます。
今、各都道府県におきまして、診療・検査医療機関の議論を地域の医師会と県で進めていただいているという認識でございます。最終的な段階までの間に我々も状況を聞かせていただきながら、今の釜萢先生のような御指摘を踏まえて、できるだけ今回の秋冬を乗り越えられるような医療体制を組んでいただけるように、技術的助言をしてまいりたいと思っております。
○脇田座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。ありがとうございました。
それでは、議事を事務局にお返しします。
○加藤エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。本日の委員の皆様の御議論を踏まえまして、今後取組を進めさせていただきたいと思っております。
会議後でございますけれども、当方で事務方の記者ブリーフィングを予定しております。
また、次回の開催につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日は、お忙しいところ集まりいただき、また御議論いただきまして誠にありがとうございました。以上で終了いたします。
○脇田座長 ありがとうございました。