薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和2年度第3回運営委員会議事録

日時

令和2年9月16日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(7名):五十音順、敬称略 ◎委員長




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 大隈 和



日本赤十字社:敬称略
     
  • 村井 利文
  • 会川 勝彦
  • 松田 由浩
  • 佐竹 正博
  • 石丸 健
  • 後藤 直子




事務局:
 
  • 中谷 祐貴子 (血液対策課長)
  • 菅原 高志  (血液対策課長補佐)
  • 中村 梨絵子 (血液対策課長補佐)
  • 野寺 快明  (血液対策課長補佐)

議題

  1. 1.委員長代理の指名
  2. 2.感染症定期報告について
  3. 3.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  4. 4.日本赤十字社の令和元年度血液事業報告について
  5. 5.各調査会の審議結果について
  6. 6.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 
 
○中村血液対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、「血液事業部会令和2年度第3回運営委員会」のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席については、委員7名全員に御出席のお返事をいただいておりますが、松下委員が遅れているということです。御出席のお返事はいただいているということで、現時点で6名御出席いただいていることを御報告いたします。なお、薬事・食品衛生審議会血液事業部会委員及び運営委員会委員であった大平勝美委員ですが、6月21日に御逝去されましたことを御報告いたします。大平委員におかれましては、平成14年の血液事業部会から委員として、また、運営委員会では平成15年の第1回から委員として、血液事業について多大なる御尽力をいただきました。心より御冥福をお祈りいたします。
本日は、参考人として国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室の大隈和室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より村井利文副本部長、会川勝彦経営企画部次長、松田由浩経営企画部次長、佐竹正博中央血液研究所所長、石丸健技術部次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
なお、事務局の異動がありましたので、御報告いたします。血液対策課長、中谷祐貴子の異動がありましたので紹介します。
○中谷血液対策課長 古元の後任で、8月1日より着任いたしました中谷でございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
○中村血液対策課長補佐 併せて、課長補佐以下の異動もありましたので、こちらで御紹介させていただきます。田井の後任で課長補佐の村岡が着任していますので、どうぞ引き続き宜しくお願いいたします。
本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いをする場合があります。その場合は、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとなります。
それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。田野﨑でございます。宜しくお願いいたします。まず、最初に事務局から御報告いただきました大平勝美委員が御逝去されたことに関しまして、大平委員は、本当に前回の委員会のときでも、最後の最後まで多大なる御貢献をいただきました。ここで故人を偲び黙祷をささげたいと思います。
○中村血液対策課長補佐 それでは皆様、大平委員の御冥福をお祈りし黙祷をささげます。会場の方は御起立願います。黙祷。黙祷を終わります。会場の方は御着席ください。ありがとうございました。
○田野﨑委員長 それでは、議事に入らせていただきます。議題1ですが、大平委員の後任になりますが、「委員長代理の指名」であります。運営委員会規程第4条第3項により、委員長代理をあらかじめ委員長が指名すると定められておりますので、松下委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。皆さん、宜しいですね。それでは、松下委員、宜しくお願いいたします。
○松下委員 了解いたしました。
○田野﨑委員長 それでは、議事を進めさせていただきます。議題2「感染症定期報告について」、事務局より資料の説明をお願いします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料1を説明いたします。資料1-1を御覧ください。こちらは令和2年4月~6月に受理した感染症定期報告の研究報告です。文献は計29件ありまして、病原体ごとに報告日順に並べて概要等を記載しており、右から2列目に番号を付しております。新型コロナウイルス関連の文献が17件ありまして、数が多いため、一部の文献について御説明いたします。文献1、11、14、17番は、アメリカFDAの情報です。
文献1番、今年2月4日時点で公表された「採血業者へ向けた新型コロナウイルスのアウトブレイクに関わる重要な情報」でして、どのような者については供血延期措置を取っても構わないかを示しており、また、例えばCOVID-19と診断され、症状がなくなってから少なくとも28日間は供血を避けることなどを推奨しております。
文献11番、今年3月11日時点での1番のアップデートとなっており、血中において新型コロナウイルスが検出されているのは患者のうち重症患者のみであり、症状のない供血者に対するスクリーニング検査を推奨しない旨などが記載されております。なお、その後、5月11日時点で更新されておりまして、例えば症状がなくなってから少なくとも28日間供血延期の「28日間」は、「14日間」に変更されております。
文献14番、今年4月に発出された業界向けガイダンスで、血液の安定供給のため、COVID-19の公衆衛生上の緊急事態における措置として3点が示されました。マル1マル3が問診に関する手順の変更となっており、マル2が原料血漿の貯留保管期間を、従来の「60日」から「45日」に変更するとのことです。
文献17番、今年4月に発出されたHIV感染関連の業界向けガイダンスで、COVID-19のアウトブレイク下における血液製剤の安定供給のため、男性同士での性交渉を行った男性ドナー、そのような男性と性交渉を行った女性ドナーなどの供血延期期間が暫定的に「12か月」から「3か月」に短縮されました。イギリスやカナダでは既に供血延期期間が「3か月」に変更されているとのことです。
文献2、13、16番は、新型コロナウイルス感染患者の各種検体の検査結果に関する文献となっております。
文献2番、口腔スワブ及び血液に加え、肛門スワブからウイルスRNAが検出されたことから、新型コロナウイルスが糞口経路で感染する可能性が示唆されたとのことです。
文献13番、2番とは別の症例でして、9例中1例で尿からウイルスRNAが検出され、新型コロナウイルスが尿から検出された初の報告とのことです。
文献16番、中国湖北省の1施設における新型コロナウイルス患者38例のうち12例が眼症状を呈し、うち2例が結膜スワブでウイルスRNA陽性であったとされ、涙液を介した新型コロナウイルスの伝播の可能性が指摘されております。
なお、文献15番ですが、中国武漢市の血液センターでは、2020年1月25日から全ての供血血液について新型コロナウイルスRNAスクリーニングを行っており、スクリーニング開始前の検体も含む7,425件の血液検体のうち4件で陽性であったが、いずれのドナーも供血時は無症候であったとのことです。
文献18から28番については、例えば新種の病原体による初めてのヒト感染が確認されたといった内容になります。
文献29番、アメリカFDAが血液関連のクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)にかかるガイダンスを発出しておりまして、供血者のスクリーニング事項のうち、欧州の米軍基地への滞在歴、特定の変異型vCJDリスク国における輸血歴などに係る事項が改訂又は削除されました。各文献は資料1-2にまとめております。資料1の説明は以上です。
○田野﨑委員長 以上の説明について、大隈参考人から追加で御発言等をお願いできますと大変幸いです。宜しくお願いいたします。
○大隈参考人 国立感染症研究所の大隈です。いくつかコメントさせていただきますが、宜しくお願いします。まず、コロナウイルス感染症ですけれども、文献1、11、12についてまとめてコメントさせていただければと思います。現時点では、AABB、FDA、CDCは新型コロナウイルスの輸血感染のリスクを示唆するデータがないため、供血スクリーニング検査における特段の対応策を求めておりません。ウイルス血症、つまりRNAaemiaは、軽症者ではなく重症者に多く見られる傾向があります。FDAでは、COVID-19患者もしくは疑いの方からの供血延期や、診断後症状が完全に回復して供血制限解除までの期間を一応決めておりますけれども、回復後、症状が再燃して、咽頭スワブPCRで陽転する事例が国内で散見されることから、供血制限解除、再エントリーの時期については十分検討する必要があると考えます。
次に、文献2、13、16をまとめてコメントさせていただければと思います。今回の報告では、口腔咽頭スワブや血液に加えまして、肛門スワブ、尿、結膜スワブ、涙液から新型コロナウイルスのRNAが検出されております。異なる呼吸器感染症であるSARS、MERS、インフルエンザでも気道由来の検体、鼻咽頭スワブとか喀痰などですが、それだけでなく、血液、糞便、尿からも一定の頻度でウイルスRNAが検出されることから、気道以外の部位からのウイルス検出は比較的共通した事象と言えるかもしれないと考えております。この事象から、呼吸器系だけでなく糞口経路などによる感染の可能性も念頭に置いておく必要があると考えます。
さらには、文献15ですが、先程、御説明がありましたけれども、中国武漢の血液センターにおける供血スクリーニングの解析結果の報告ですが、2020年1月25日から導入されたプールNATにおける全数調査、それから、後方視的調査による個別NATによって、7,000検体以上の検体から4件で新型コロナウイルスのRNAが検出されております。
実際に検出されたウイルスが感染性を有していたかどうかは分かっておりません。いずれのドナーも供血時は無症候でした。これらの血液から製造された血液製剤は全て回収されておりまして、患者には使用されていないとのことです。
また、著者らによると、1月下旬以降、供血血液から本ウイルスは検出されていないとのことですが、今後も本感染状況の動向を注視して情報を収集する必要があると考えます。
最後のコメントですが、文献29のクロイツフェルト・ヤコブ病についてですが、FDAは本ドラフトガイダンスによって、血液及び血液成分を収集する血液施設に、CJD及びvCJDの伝播リスクの可能性を減らすことを目的とした推奨事項を改訂しました。
具体的には、供血永久延期の条件について、次の事項を改訂又は削除しました。1つ目は、「vCJD又はCJD類縁疾患と診断された」というものに「家族性プリオン病と診断された血縁者がいる」が追加されております。それから、「硬膜移植を受けた」という条件が、「ヒトの死体(同種)の硬膜移植を受けた」となっております。「ヒト死体下垂体由来の成長ホルモン(hGH)の投与を受けた」というものがここでは削除になっておりますが、その後の改訂を経て、また復活しております。それから、「1980年から現在まででフランスに通算5年以上滞在した」というものについては、「アイルランド」が追加されておりまして、「現在まで」を、「2001年末までに」というように変更されております。それから、「ヨーロッパの米軍基地に滞在した」という条件ですが、これについては削除されております。それから、「1980年から現在までで、英国かフランスで輸血を受けた」については「アイルランド」が追加されております。「ウシインスリンの投与を受けた」については削除されております。最後に、「1980年から現在までで欧州に5年以上滞在した」は削除になっております。これらのガイダンスの推奨事項は、今後、我が国の献血の問診項目を見直す際に参考になるのではないかと考えております。コメントは以上になります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。それでは、他の委員の方々から何か御質問、御意見等がありましたら宜しくお願いいたします。本日は対面ではありませんので、発言のときにはスイッチを入れて、お名前を名乗ってから御発言いただけますと幸いです。宜しくお願いします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。一番最後のCJDに関しては、我が国は、ヨーロッパの滞在歴が、かなり前に評価したのがそのまま継続になっているのです。そのために現在でも加算されている地域があります。それで、vCJDの発生状況とかウシのプリオン病の発生状況を考えると、FDAが今回の改訂をしたように、英国、フランス、アイルランドの3つの地域に関しては継続してもいいのではないかと思いますが、それ以外に関しては緩和しても良いのではないかと考えています。
22番のポリオーマの件ですが、JCウイルスはほとんどの方が持続感染をしているので、輸血による感染とかというのはあまり考えなくてもいいのではないかと思いましたけれども、22番の文献では血中から5.4%でポリオーマのDNAがあったということで、今後、共存している抗体による中和がどの程度あるかということを考えて、免疫不全症の患者さんに輸血された場合のリスク等を考える必要があるのではないかと考えます。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。他の委員の方からいかがでしょうか。今の御意見についてでも結構です。
田野﨑からですが、これまでのFDAのデータの報告はあれですけれども、現在、アメリカの感染状況を見ますと、武漢の報告だけでなく今の献血の血液の中にPCR陽性のものがたくさん混ざっているのではないかというように推察されるわけですが、米国では今、PCRを何らかの形で献血者、スクリーニングをかけているかどうかについて御存じの委員の方はいらっしゃいますでしょうか。大隈参考人あるいは濵口委員、いかがでしょうか。
○濵口委員 濵口です。一応、SARS-2についてはNAT検査はやらないという方向で全世界的に進んでいると私は理解しておりますが、先程ありました中国武漢でのスクリーニングで、当初7,500名で4名陽性というデータは結構早期に得られていたかなと思います。その後の情報というのは、もしかすると日本赤十字社の方で把握されているのではないかなと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。こちらに関しては赤十字の方に御意見を伺っても宜しいでしょうか。佐竹委員他日本赤十字の方。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。武漢の7,000例のスクリーニングのデータもありますけれども、もう1つは、同じ武漢がある湖北省で、実際に大規模な数万人のスクリーニングが行われております。その中では、陽性は1例もないという報告が出ております。
それから、アメリカのスタンフォード大学内の血液センターですが、そこでも個別NATでのスクリーニングをトライアルとしてやっていますが、その中でたった1例ですけれども、陽性らしいものが見つかったというニュースが入っております。ただ、極めて低濃度でありまして、それがあったことでアメリカの考え方が変わっているという様子は全く見えていません。
それからスクリーニングとは別ですけれども、もう1つの重要なポイントは、末梢血に、ウイルスというかRNAが見つかった場合、そのRNAは本当にインタクトなものかどうかということも評価しなければならないと思います。
これについては、今回のSARS-CoV-2についてもスタンフォード大学できちんとしたスタディをやっておりまして、献血者ではめったに見つかりませんから、ほとんど見つかりませんので、患者でRNAaemiaが見つけられた人、その人の末梢血から増殖可能なウイルスを取り出そうという試みを重点的に行いましたけれども、増殖可能なウイルスを分離することは成功しておりません。これは2003年のSARSと、その後のMERSにおいてもしかりで、その2つのパンデミックのときもいくつかの施設がウイルスの分離を試みましたけれども、増殖可能なウイルスを分離することは一切成功しておりません。これらのことで患者さんに見つかったRNAも増殖可能なものはないのではないかと現在も考えられております。
もう1つは、献血者に見つかるRNAが見つかったとしても、世界でこれまで10例か、それぐらいしか報告はありませんが、その中のウイルス濃度というのは、極めて低濃度であるということは一致した認識であります。我々の得ている情報はそのようなところです。
つけ加えますと、スクリーニングではそうなのですけれども、献血後情報のあるものに集中して行いますと、少しRNAが見つかる例があると考えられています。これはフランスとスイスのRNA陽性の例がありました。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。他に御意見等はありますか。宜しいでしょうか。今までのところは、明らかに感染するというデータの報告はないということかと思いますけれども、引き続き注意深くフォローしていかなければいけないことではないかと思います。他に宜しければ、次の議題に移りたいと思いますが、宜しいでしょうか。事務局におかれましては、今後も感染症定期報告をお願いします。
次に、議題3に移りたいと思います。「血液製剤に関する感染症報告事例等について」です。事務局から資料の説明をお願いします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。今回から、資料の順番を医療機関からの感染症報告事例等、供血者からの遡及調査の進捗状況等の順にしております。資料2-1を御説明します。「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」です。1ページの「感染症報告事例のまとめ」を御覧ください。今回は令和2年4月~6月の報告分となります。この間の感染症報告は、輸血用血液製剤で15件、血漿分画製剤で1件です。因果関係が否定された報告はありません。輸血用血液製剤の報告の病原体の内訳としては、HBV感染が4件、HCV感染が2件、その他としてHEV感染が1件、細菌が8件ありました。HBV及びHCVに関して、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例はありません。その他、細菌事例については、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験の陽性事例が1件ありましたが、当該患者の症状は軽快したとのことです。事案の詳細については2~5ページでまとめております。
6ページは北海道で行っている「試行的HEV-NATの実施状況」となっております。表の一番下から1つ上が令和2年1月~6月の結果をまとめたものです。HEVの陽性者数は47名、陽性率は0.037%となっており、Genotypeについては、G3が35件、G4が11件、検査不能が1件となっております。個別NAT導入後の平成27年以降の陽性率は0.04%前後で推移しております。資料2-1については以上です。
資料2-2を御説明します。「供血者からの遡及調査の進捗状況等について」です。1ページが日本赤十字社からの提出資料です。左から平成30年度、令和元年度、令和2年度の年度ごとにHBV、HCV、HIVの病原体ごとに件数などを分けて示しており、表の一番右が令和2年4月1日~6月30日の速報値となっております。遡及調査の実施内容として、調査の対象とした献血件数が945件あります。そのうち、調査の対象とした輸血用血液製剤が1,044本あります。そのうち、医療機関に情報提供を行った本数が629本となっております。また、遡及調査実施対象のうち、個別NATの結果が陽性となった献血はありません。
2ページ、「医薬品医療機器法第68条11に基づく回収報告状況」をまとめたものです。令和2年4月~6月の間で計7件ありました。資料2-2は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ただいまの説明についての御意見、御質問とかございましたら宜しくお願いします。E型肝炎で同定、感染が確認された例が1例あるということ。それと、最後の細菌感染症のもので、フェシウムが、エンテロコッカス・フェシウムが出ているということでよろしかったでしょうか。こちらについてはまだ確認中という。
○岡田委員 宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○岡田委員 最後の血小板のバッグと患者さんから同じ菌種が出たのですが、これは最終的には遺伝子検査が実施予定となっておりますが、結果は出たのでしょうか。
○田野﨑委員長 こちらはいかがでしょうか。事務局、日赤。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。
○田野﨑委員長 お願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 これは、パルスフィールドで完全に一致していることを確認しております。
○岡田委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。4日目の血小板ということで伺っております。他にはいかがでしょうか。
○松下委員 松下です。宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 お願いします。
○松下委員 資料2-2の1ページ、今年の4月~6月のHBVの調査対象件数がその前の年に比べて減少しているのか、それともこのままでいくと同じペースになるのか、その辺の見込みはいかがでしょうか。
○田野﨑委員長 これに関しては。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。これは、特にコア抗体とか検査法を変えたために新たに陽性になった方が増えていたのですが、その方々が大体一巡して落ち着いてきているために少なくなってきていると考えております。
○松下委員 分かりました。特にカットオフをいじったとかそういうことはないということですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 カットオフというよりは検査法そのもののシステムが変わりましたので、それによって陽性となる人、別のポピュレーションが陽性になったということがあります。
○松下委員 ですので、キットが変更になって、ある程度カットオフとかが変わってしまったと思うのですが、今回、こういった形で陽性の方が増えてしまったので、そこの判定を見直したとかということは今のところないということなのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 カットオフ、実際にはかなり感度が高まっていますので、特にHBVのコア抗体がそうですが、それでこれまで陰性だった人が陽性になったというところがあると思います。その方々が排除と言いますか、不合格になってだんだんそういう人がいなくなって落ち着いてきたというところがあると思います。
○松下委員 分かりました。
○田野﨑委員長 他はいかがでしょうか。
○花井委員 花井ですが宜しいですか。
○田野﨑委員長 お願いします。
○花井委員 北海道のE型肝炎の、いわゆる試行的テストなのですが、これは、今後はどうしていくのかというところの対応と、それから今度、導入した検査スクリーニングキットと北海道で使っているものはレベルが違うのでしょうか。
○田野﨑委員長 日本赤十字からはいかがでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 すみません、ちょっと聞こえづらかったのですが、もう一度お願いできますでしょうか。
○花井委員 北海道のHEVの検査キットと新たに導入するものとのスペックというのは差異があるのかということと、今後これをどのように北海道では対応していくかという2点です。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 北海道と全国のをどうするかということでしょうか。
○花井委員 はい。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 これまで北海道で行ったものは全て全国共通の個別NATに切り替わりました。感度はこれまで北海道でやっていた個別のものよりもさらに高感度になっております。現在、特に問題なくスクリーニングは全国的に進められております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。宜しいでしょうか。
○花井委員 はい。
○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。輸血後感染症の検査をこれまで必ずするようにと輸血療法の実施に関する指針の中で謳われていたものですが、これが指針が少し今回、変更になりました。各医療施設では、必ずしも輸血後には検査はしなくていいという、あるいは、状況を見て検査しなさいということになったわけです。今回、E型肝炎は実際に肝機能が悪くなって、それで医療機関から報告があって、このように上がってきた事例があったのかと思います。E型肝炎に関しては、輸血後の検査などについてはどのように取り扱うべきであると考えられるのかと思いますが、何か御意見のある方はいらっしゃいますか。E型肝炎はIgAの抗体だけ保険に通っているところではありますが、肝機能が悪くなったら日本赤十字社に相談して、その検査をすることになるのかどうか。松下先生、お願いできれば。松下先生、松本先生、どちらでも医療現場で実際に感染症検査、輸血後、特にE型肝炎ですね、どのように考えていったらいいのかについて何か御意見があれば伺えますでしょうか。
○松下委員 松下です。
○田野﨑委員長 お願いします。
○松下委員 輸血後感染症検査に対する輸血係のスタンスを、先だって輸血・細胞治療学会のホームページでもリリースしたところなのです。基本的には、改訂された実施指針の精神に基づいて、担当医が、もしも輸血後に感染症がうつってしまった場合に、この患者さんにとっては重大なことが起こると判断した場合は行ってください。ですが、必ずしも全ての患者さんに対して行うべきものではないと情報発信しております。個人的にもそう思いますし、多くの医療機関でこれを受けて、まず全員を対象に輸血後感染症検査をB型肝炎、C型肝炎、HIVを行うことは今後、減ってくるのではないかと考えています。
○松本委員 松本です。HBV、HCV、HIVももちろんそうではありますし、E型肝炎も同じような形で、肝障害が出て肝炎が発症して、疑った場合に行うという方向で、それはもう各医療機関、主治医の判断で行われると予想されます。
○田野﨑委員長 E型肝炎に関しては。
○松本委員 E型肝炎についても。
○田野﨑委員長 これはNAT検査、PCRは今のところ一般的にはできないかなと思いますが。
○松本委員 そうですね。判断、なかなか難しいところではあるかと思うのですが、コマーシャル的にはできますので、保険に通っていないというようなこと、我々もたまにというか、疑う症例はありますので、そういう場合には病院の費用で行うことはありますが、今後はやはり保険等々でもE型肝炎の検査に関しては広げていっていただきたいとは思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
○松下委員 松下です。E型に関しては、今、確かに田野﨑先生の御指摘のように、これまでルーチンの輸血後感染症検査には入っていなかったわけなのですが、輸血後に発生したと疑われる症例に関しては、消化器内科医はE型肝炎の検査を通常はすると考えられます。E型肝炎の個別NATも、これまで日赤の方で準備されてきて、今後、個別NATが行われる期待も大いにありますので、状況を学会としては見守っているところです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他は宜しいでしょうか。事務局におかれましては、今後も感染症症例や遡及調査結果の報告をお願いしたいと思います。
○岡田委員 ちょっと宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 お願いします、岡田委員。
○岡田委員 輸血後感染症検査は必須ではなくなりましたが、保険診療として認められているのですよね。これが削除というか、認められなくなるとか、そういうことはないのでしょうか。
○田野﨑委員長 事務局、お願いします。
○中村血液対策課長補佐 事務局です。もちろん先程、お話のあったように、疑われる場合に検査をする際には、それは保険で査定されるようなものではないとは認識しております。
○岡田委員 分かりました。
○田野﨑委員長 今の岡田委員からの質問の追加です。今まで全例にやっていたわけですが、疑うか疑わないかというのは結構主観的なところとか、色々なところがあるのかもしれないのですが、例えばやってしまった場合に切られるという、何にもデータが動いていないのにやった場合に切られるということはありますでしょうか。
○中村血液対策課長補佐 事務局です。そうですね、一律、全例をやったという場合に査定をしているか、どうかという点については、内部でもそういった事例があるかどうかは確認したいとは思いますが、すみません、そういった事例があることを今現在、把握している状況ではないです。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。各医療機関で少しこれから混乱する可能性があるかと思っております。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 ちょっと宜しいでしょうか。日赤の佐竹ですが。
○田野﨑委員長 まずは花井委員から。
○花井委員 すみません。宜しいですか、先で。
○田野﨑委員長 花井委員からどうぞ。
○花井委員 今は、ですから輸血とセットでいける話になっていて、わざわざそれを変えなければ、頻度が減るだけで、保険者としてはそのままでも影響はないと。心配なのは、HIVのときにあったのですが、疑うというときに、疑った理由をきちんと欄外に書かないと撥ねるという厳しい扱いがあって、それはもう正に、審査機関の判断になるのです。ですから、条件として「疑ったとき」と書かれると、場合によっては運用上ちょっと厳しくなる可能性はあるのです。ですから、今後もし点数表を変えて、今回、今までセットになっていたものを、わざわざ「疑ったとき」と絞るかどうかというのは今後の動向なので、もしその対応が分かれば事務局としても把握していただいて、現場に合った形で運用していただくようにしていただけたらと思います。
○中谷血液対策課長 中谷です。重要な御指摘なので適切に対応させていただきます。
○田野﨑委員長 日赤佐竹委員はいかがでしょうか。宜しいでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 はい。話は戻るのですが、医療機関のHEVの感染についてです。今度、輸血後にHEVの検査をするかしないかということに関しては、もう1つの事実として、北海道で、20プールのNATを開始してからは輸血後のHEV感染は1例も起きていないという事実があります。ですので、これから全国的により高感度のと言いますか、相当高感度ですが、そのHEVのスクリーニングがあるということで輸血後のHEV肝炎そのものは極めて起こりにくい状況ではあろうと考えております。もちろん、しばらく観察をしなければなりませんが、これまでよりは相当頻度は低くなるだろう。それは言えるかと思います。
○田野﨑委員長 貴重な御意見をありがとうございました。あとは。
○岡田委員 宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 岡田委員どうぞ。
○岡田委員 輸血後感染症の考え方なのですが、今、担当医が感染を疑ったときにということなのですが、感染を疑うというのは、要するに、多量の輸血をしたから、もしかしたら感染が生じているのではないかという疑いなのか、それとも、何らかの症状が出ているから感染しているのではないかということで検査をするのか、この二通りの解釈があると思うのです。それで、3つのウイルスに関しては、必ずしも症状が出ませんというか、無症状で慢性化するので、これは発症よりも、やはり輸血を使用した状況から、非常に低い頻度ですが感染している恐れがあるということで、輸血後感染症検査を出すという、そういう理解、解釈にした方が良いのではないかと思います。
○中村血液対策課長補佐 そうですね。すみません、事務局です。ちょっと現状でどういった基準で査定をしているかというのも、何て言いますか、ちょっと一度確認したいとは思いますが、特にこれが変更されたからといって、そこの運用が変わるかどうか。変わるとも限らないとは思いますので、まずはちょっと現状を確認させていただきたいと思います。
○田野﨑委員長 それでは引き続き、ちょっと。中谷さん。
○中谷血液対策課長 中谷です。一般論ですが、医師が疑う場合には当然、輸血をしたという事象も含まれるのが一般的な解釈です。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。そういうようなことです。
○岡田委員 分かりました。
○松下委員 松下です。岡田先生の御懸念はもっともだと思いますし、その議論は今回、指針の改訂を議論したときに当然ありました。ですので、担当医がものすごくたくさん輸血をしてしまったので、できれば感染症の検査もしておきたい。あるいは、患者さんがそれを希望された場合です。患者さんの免疫能力も落ちてきたし、もしも感染症にかかったら大変だというときに、オーダーすることを現在の指針とかガイドラインは妨げていないと考えています。ですが、この検査に関しては、今回このようなメッセージが出てくる以前から、しばしば審査機関がデクラインするということは、あちこちの病院から報告されておりました。
実際かなり点数も高い検査になっていますので、今後はこういったことをもとに審査機関が切ってくるという可能性は私はあると思っています。ですので、そういった場合には、恐らく何で行ったかという症状詳記なり、病名で疑いを付けるとかという方法もあるのですが、そういったことをしていかないと支払機関が払ってくれないという可能性も出てくるのではないかと思いますので、そこは担当医が理由を説明すべきだと考えております。
○岡田委員 分かりました。恐らく、今回の指針でかなり輸血後感染症検査の件数そのものは減るのではないかと思います。
○松下委員 はい。
○田野﨑委員長 引き続き、状況報告を事務局ではお願いしたいと思います。そうしましたら、次、議題4に移りたいと思います。「日本赤十字社の令和元年度血液事業報告について」です。日本赤十字社より資料の説明をお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部村井副本部長 血液事業本部の村井です。令和元年度の血液事業への取組について御説明させていただきます。
○田野﨑委員長 今、資料は委員のお手元にありますので、村井さん、宜しくお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部村井副本部長 2ページです。はじめに、「令和元年度の事業概要」を御説明申し上げます。令和元年度は約493万人の方に献血の御協力をいただき、1,748万本の輸血用血液製剤を医療機関に供給しております。また、血漿分画製剤用原料として、120万Lの血漿を国内製薬メーカーに送付しております。
次をお願いします。こちらは「輸血用血液製剤の需要動向」です。医療技術の向上や適正使用の推進などにより、スライドの棒グラフにありますように、この数年間は漸減傾向にありましたが、令和元年度は前年度から率にして0.8%、本数にして14万本増加しております。
次をお願いします。こちらは「製剤別の供給状況」ですので、後ほど御覧ください。
次をお願いします。続いて、「血漿分画製剤用原料血漿の確保及び送付状況」です。原料血漿の必要量の増加に伴い、令和元年度は前年度から6万L増加の120万Lの原料血漿を国内製薬メーカーに送付しております。
次をお願いします。続いて「献血協力の状況」です。令和元年度もスライドの円グラフにありますように、400mL献血や成分献血を中心に献血に御協力をいただき、医療需要に見合った血液量を安定的に確保しております。献血者数については、血漿分画製剤用原料血漿の必要量増加に対応したことで、棒グラフにありますように、前年度から率にして4%、献血者数にして19万人の増加となり、折れ線グラフにありますように献血量も15万Lほど増加しております。
次をお願いします。こちらは献血種別ごとの献血協力状況ですので、詳細な説明は割愛させていただきますけれども、右下のグラフにありますように、採血の稼働数については、移動採血と固定施設を合わせて約300稼働減少しており、必要な血液量を効率的に確保していることがお分かりいただけると思います。
次をお願いします。続いて、令和元年度における重点施策の取組状況を御報告させていただきます。まず、献血者の安定的確保については、必要血液量を安定的に確保するため、献血WEB会員サービス「ラブラッド」を活用した献血予約の推進に取り組み、全ての献血種別において予約率が向上しております。献血予約については献血協力の集中を回避し、新型コロナウイルスへの対応として、献血時における三密の発生を防ぐ観点からも有効であることから、今後もさらなる推進を図ってまいります。
次をお願いします。献血者の確保対策として令和元年6月からアイドルグループ、「乃木坂46」をイメージキャラクターに起用した、献血つながりプロジェクト「みんなの献血」を新たに開始しております。このプロジェクトは若年層を主たる対象としており、令和元年度の10~30代までの献血者数については、当プロジェクトの効果もあり、前年度と比べて約2万人ほど増加をしております。
次をお願いします。「みんなの献血」においては対象に応じて、スライドにある「イベントでつながる!」「学校でつながる!」「絵本でつながる!」の3つの取組を軸として、プロジェクトを展開しております。
次をお願いします。まず、「イベントでつながる!」です。10~30代の若年層を対象として、「乃木坂46」を起用した動画広告の配信や、握手会会場周辺での献血を実施しております。
次をお願いします。「学校でつながる!」は、献血の大切さを訴える献血セミナーを、スライドにありますように高校を中心に開催し、学生に対する献血の普及啓発に努めているところです。
次をお願いします。続いて、「絵本でつながる!」です。親から子への読み聞かせを通じて、献血の大切さを次の世代にも伝えていきたいとの考えの下、全国で絵本の読み聞かせイベントを開催し、親と子の双方に関して献血の啓発を行っているところです。
次をお願いします。その他に献血血液の確保については、国民に献血血液の使われ方を御理解いただくことが重要ですので、輸血用血液製剤に加えて、血漿分画製剤用の原料としても使われていることについて、ホームページや冊子等を通じて積極的に周知を進めているところです。
次をお願いします。続いて、「血液製剤の安全性向上」です。現在も様々な安全対策により、輸血による副作用の発生を低減した製剤を供給しておりますけれども、さらなる安全性の向上に向けて、令和元年度においては、血小板製剤に対する細菌スクリーニング検査の検討やE型肝炎ウイルスの感染対策など、スライドにある各種安全対策に取り組んでいます。
次をお願いします。「事業改善の推進」です。スライドにありますとおり、必要血液量の効率的な確保や供給体制の効率化など、あらゆる部門において事業改善に向けた取組を進めてきました。具体的な取組内容については、次ページ以降で御説明をさせていただきます。
次をお願いします。はじめに、成分献血における「必要血液量の効率的な確保」です。血漿分画製剤用の原料血漿を確保するため、スライドの漫画にありますように献血者の承諾を得た上で、循環血液量に応じた採血を推進したことにより、成分献血者お一人当たりの採血量が前年度と比べて増加しております。この結果、必要血液量の効率的な確保が図られ、結果として採血キットや試薬などの費用の抑制にもつながっています。
次をお願いします。必要血液量の効率的な確保に向けては、今ほど御説明した循環血液量に応じた採血の推進の他にも、製造工程における血漿の分離確保など、スライドにある各種対策に取り組んでいます。必要血液量の確保に当たっては、これらの対策に取り組むことで安易に献血者数を増加させることなくコストの抑制を図っていくことが重要であると考えています。
次をお願いします。事業改善の取組事例の2つ目、「医療需要に基づく400mL献血の推進」です。赤血球製剤についてはオレンジ色の折れ線グラフのとおり、医療機関では400mL献血由来の需要が多いという状況になっています。そのため、青色の折れ線グラフにあるように400mL献血を推進しており、令和元年度の全血献血に占める400mL献血の割合は95.9%と、前年度から0.1%向上しているという状況です。
次をお願いします。事業改善の取組事例の3つ目、「設備の稼働効率の向上」です。計画的な採血を推進したことで、左のグラフにあるように、移動採血車においては1稼働当たりの献血者数が46.5人と、前年度から0.4人増加しております。この結果、移動採血の稼働数は、前年度と比べて約125稼働の減少が図られています。また、右のグラフにあるように、固定施設の1ベッド当たりの献血者数についても、全血献血・成分献血のいずれも前年度から増加し、設備の稼働効率の向上が図られています。
次をお願いします。事業改善の取組事例の4つ目、「血小板製剤の分割製造の増加」です。血小板製剤は、献血者お一人の血小板献血から2本の血小板製剤を分割して製造することができます。令和元年度においてはこの分割製造用の血小板成分採血数を、前年度比で14%増加させております。この結果、通常製造と比べ約13万人の血小板成分献血の抑制につながり、血小板製造コストの抑制を図っています。
次をお願いします。事業改善の取組事例の5つ目、「製剤の配送体制の効率化」です。現在、血液製剤の医療機関への配送は、スライドにあるように、定時配送、随時配送、緊急配送の3つの形態があります。配送体制の効率化を図る上では不定期な随時配送を減少させることで、計画的な配送体制とすることが必要不可欠となります。令和元年度においては、血液センターにおける配送体制の見直しや医療機関に対する定時配送への協力依頼を進めた結果、前年度と比べて定時配送の割合が向上し、計画的な製剤配送による配送体制の効率が僅かながら進んでいるところです。
次をお願いします。事業改善の取組事例の6つ目、「製剤の受発注体制の効率化」です。令和元年度においては、医療機関への「血液製剤発注システム」の導入を推進し、インターネットを利用した効率的な受発注体制への移行を進めています。この結果、当システムを使用した発注割合が増加するとともに、製剤供給量の多い医療機関を中心に、当システムの利用率が増加しております。今年度中に利便性を高めた新たな発注システムの導入を予定しており、これによってインターネットを利用した発注割合のさらなる向上を見込んでいます。
次をお願いします。続いて「健全な財政の確立」です。令和元年度においてもスライドにあるとおり、費用全般にわたる内容の見直しや設備、機器の更新時期の見直しなど、様々な取組を進め、費用の低減化を図っております。
次をお願いします。続いて、「新型コロナウイルスの感染拡大を受けての対応」です。本年2月以降の新型コロナウイルスの国内での感染拡大を受けて、在宅勤務の推奨やイベントの中止などにより、移動採血の中止が相次ぎました。こうした状況下においても必要血液量を安定的に確保するために、スライドにある安心・安全な献血環境の保持や、各種媒体を通じた献血協力の呼びかけなどにより、製剤需要の減少もあり、緊急事態宣言下も含め、血液製剤の安定供給を維持しています。
次をお願いします。こちらは令和元年度の歳入歳出決算の概要です。まず収益的収入です。輸血用血液製剤の供給量や原料血漿の送付量の増加、消費税の増税等により、前年度比で45億円増加の1,654億円となりました。一方、収益的支出ですが、各種費用の削減等により、前年度比で24億円減少の1,534億円となりました。この結果、令和元年度の収支差引額については、前年度の51億円を上回る120億円の黒字となりました。また、資本的支出ですけれども、血液センターの施設整備や借入金等の償還に約80億円を支出しており、自己資金と補助金等を財源として充てているところです。
次をお願いします。こちらは「収支改善の主な要因」です。スライドにあるとおり、輸血用血液製剤及び原料血漿の需要増加より収入が32億円増加した一方、各種費用の削減により費用を5億円減少させたことが主な要因です。
次をお願いします。こちらは収支状況の近年の推移です。過去の収支推移を見ますと、グラフのとおり赤字・黒字の波はありますけれども、これは安全対策や設備投資等を実施した場合、費用金額が大きいために収支に影響が生じているということが一因です。特に平成24年度以降は、広域事業運営体制の構築や血液事業の基幹システムの更新などに多くの費用を要した結果、多額の赤字を計上しましたが、平成27年度からの取組として、施設整備の凍結などにより経費の圧縮に努めてきた他、業務の効率化を強く推進してきました。
次をお願いします。最後に、血液事業における「今後の取組予定」です。令和元年度の収支差引額は120億円の黒字でしたが、今後はスライドにあるとおり、新型コロナウイルスの感染防止対策をはじめ、血液製剤の安全性や品質のさらなる向上に向けた対策、業務の一層の効率化に向けた職場環境の整備などを予定しております。これらの取組を進めていくことで、引き続き事業環境の変化に対応した安定的な事業運営に努めていきたいと考えているところです。私からの報告は以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。委員の方々から何か御質問、コメントなどをお願いいたします。
○濵口委員 濵口です。
○田野﨑委員長 濵口委員、どうぞ。
○濵口委員 御報告ありがとうございました。特に「ラブラッド」を取り入れた方法などは、素晴らしい取組ではないかと思いました。これは令和元年度の報告ということですけれども、実は現在、コロナウイルスの発生に伴って、実際に今年度も同じような形で採血が十分にできているのかどうか、ちゃんと事業が回せているかどうかというのは、非常に、重要なポイントではないかと思います。9月になっておりますが、例えば採血の状況などはどういうことになっているのか、少し教えていただけませんか。
○田野﨑委員長 日赤の方から宜しくお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 それでは、血液事業本部の松田から報告させていただきます。やはり2月からコロナウイルスの発症ということで、献血自体は4、5月と、計画よりも10%ほど前年度を下回ったという状況でした。しかしながら5月末、緊急事態宣言が解除になってから6月以降、献血の方は安定した形で今も推移しています。供給の方についても、やはり手術等々の延期等々もあったようで、8%ほど前年度を下回ったところでしたけれども、こちらも6月以降、今は昨年と同等の供給量です。そういうことで、今のところは両方とも計画的な安定した形で、確保あるいは供給を実施しているという状況です。
○濵口委員 今お聞きしたことの1つは、前回の安全技術調査会の中で、例えば回復者からの採血をどう設定するかという議論があったのです。海外においては、かなり需要の部分を考えて、期間をある程度設定した形での対応をしているのです。一方で日本では、感染者からは採血しないということで一応決まったと思います。ただ、それについては今後、場合によっては見直しが必要になるかもしれないという話をしていました。今の御報告だと、現状ではその必要性もそんなに高い状況ではないと考えて宜しいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部村井副本部長 血液事業本部の村井です。濵口先生、どうもありがとうございます。安全技術調査会は7月だったと思いますけれども、そのような議論があったことは十分承知しております。今、献血者数は493万人ぐらいで、国内の総人口が1億2,500万人程度ですので、総人口に占める献血率は3.9%です。現下の感染者数が7万6,000人程度なので、献血率を当てはめますと2,900人程度です。ですから、今のところそれほど影響がありません。残りの90数パーセントという大多数の方々に、どのように献血を啓発していくかということが重要かと考えております。
○濵口委員 ありがとうございました。
○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。
○岡田委員 岡田です。
○田野﨑委員長 お願いします。
○岡田委員 米国とヨーロッパで新型コロナがだいぶ流行しておりますので、血漿分画製剤の原料血漿の確保が、海外では結構厳しいのではないかと思うのです。そうなると日本への血漿分画製剤、特に免疫グロブリンの供給が予定されたものが確保できるかどうか確実ではないと思うのです。国内で、原料血漿である程度確保していないと欠品というか、品薄になる可能性があると思うのです。令和2年度は一応120万Lでしょうか。これは確保できる見込みがあるのでしょうか。
○田野﨑委員長 こちらに関しては日本赤十字社ですか、事務局ですか。
○日本赤十字社血液事業本部村井副本部長 血液事業本部の村井からお答えいたします。先程、松田の方からもお話申し上げましたけれども、輸血用の血液製剤が計画を下回っている状況です。特に血小板の減少もあり、血小板献血者を原料血漿の採血に協力していただくことで、原料血漿の確保は採血が順調に推移していますので、今年度120万Lの確保については間違いなくできると考えております。
○岡田委員 どうもありがとうございました。
○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。これは田野﨑からですが、今回のCOVID-19のことなども含めますと、以前検討されたであろう病原体の低減化技術の導入については、改めて再検討する時期でもあるのではないかと思っております。これに関して、日本赤十字社の方から御意見はいかがでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 佐竹です。今回のCOVID-19については2つのメーカーで、ある程度低減化ができるということが示されております。ただ、我々が病原体の低減化を導入するとすれば、その目的は細菌感染症を目的としてこれまで考えてきました。先程、討論がありましたように、SARSコロナウイルス-2に関して輸血についてのリスクは、現在のところ極少であると考えております。それで病原体の低減化の導入に関して、新たにもう1回考え直すということは我々はしておりません。細菌感染症を目的としていることに関しては、現在培養によるスクリーニングが導入できないかということを、精力的に内部で検討しております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に宜しいでしょうか。
○松下委員 松下です。23ページに書いてある、医療機関からのWEB発注システムの件です。実は、全国大学病院輸血部会議という会議を毎年秋にやっており、昨年の会議のときに、今、御提案いただいている医療機関の意見を踏まえたものが紹介されたのです。かなり活発な質問が出て、画面の二次元バーコードを撮影するといった新しい試みもされています。特にたくさん発注する大学病院のような医療機関に関しては、スムーズな発注システムというのは、業務において結構クリティカルなので、ここら辺の現在の進捗状況とか導入のスケジュールが、もし分かれば教えてください。
○日本赤十字社血液事業本部村井副本部長 血液事業本部の村井です。大学輸血部会議は、確か10月22日にもこのシステムについての説明のオファーをいただいておりますので、そちらでも御説明をさせていただきます。WEB発注の関係については更新のシステムを11月にリリースすべく、今、準備を進めているところです。詳しくはまた輸血部会議の方で御説明させていただければと思います。
○松下委員 分かりました。楽しみにしております。
○田野﨑委員長 他には宜しいでしょうか。それでは、日本赤十字社におかれましては、引き続き安定した血液事業の運営をお願いしたいと存じます。
次に、議題5に移りたいと思います。「各調査会の審議結果について」です。資料4-1について、事務局より説明をお願いいたします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料4-1は安全技術調査会の審議結果となっております。1ページ3項の議事概要に会議の内容をまとめております。議題1は感染症安全対策体制整備事業についてです。こちらは、新たな病原体が国内に侵入した場合などに備えて血液対策課が国立感染症研究所に実施を依頼している事業です。昨年度の成果として、チクングニアウイルス、ジカウイルス、黄熱ウイルスの3種類のウイルスを1度に検出できるマルチプレックス高感度核酸検出系を開発し、検査落ちとなった献血血液での検査の結果は全て陰性であったこと等が報告されました。
議題2は、NATコントロールサーベイ事業についてです。こちらはNATの精度管理の実情を把握するため、血液対策課が国立感染症研究所に実施を依頼している事業です。昨年度の成果として日赤の各ブロック血液センター及び血漿分画製剤メーカーの施設を対象に調査を実施した結果、全施設においてHCV NATの精度管理が適切に実施されていたことが報告されました。
議題3の日本赤十字社のヘモビジランスでは、主に昨年、医療機関から報告された輸血後感染症、輸血副作用などについて説明がありました。
議題4では、HBV、HCV、HIVに加えHEVを同時に検出するNATの全数検査を令和2年8月5日採血の検体から実施する旨が報告されました。委員から、国によってかなり温度差はあるものの、WHO関連の血液行政の会議において、世界的にHEV対策が進められようとしており、今回、日本が先行してHEV NATの全数検査を実施できる体制を整備したことは他の国々にとって非常に有用な情報だと考えられるため、情報提供する予定であるとのことでした。
議題5は、新型コロナウイルス感染症に係る安全対策についてです。現時点での輸血用血液製剤の安全性確保に係る日本赤十字社や血漿分画製剤メーカーの対応は科学的に妥当と考えられること、新型コロナウイルス既感染者の献血制限については、再燃及び再々燃の事例の感染性に関する詳しい情報を収集し、供給量の状況も考慮した上で検討すべきと研究班の先生から御説明をいただきました。委員からは、今後、定期的にその時点での安全対策が妥当であったか検証していく必要があるとの御意見をいただきました。資料4-1は以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。ただいまの説明について御意見、コメントなどありましたら宜しくお願いいたします。宜しければ、続いて資料4-2について事務局より説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。9月10日に開催いたしました献血推進調査会の御報告をいたします。当日の献血推進調査会においては、令和元年度の献血推進の評価、「献血推進2020」の評価、「はたちの献血」キャンペーンの在り方の3点について御議論いただきました。概要については、2ページを御覧ください。
まず、令和元年度の献血実績の評価については、資料1、2、3及び参考資料1、2で、資料をお示ししながら議論を進めておりました。献血推進については、令和元年度の献血実績を踏まえて、来年度、令和3年度の献血推進計画の策定に当たっての方向性等について御議論いただいたものです。最初に、日本赤十字社より取組について御説明をいたしました。内容としては、先程、日本赤十字社よりお話いただいたとおりですが、それについて御報告をいただきました。
次に、私ども厚生労働省の取組、主に、若年層に対する働きかけ等の説明をしております。このような昨年度の日赤の取組及び厚生労働省の取組を踏まえ、令和3年度の献血推進計画をどのようにしていくか、私どもの資料でお示しいたしました。引き続き、10代の献血への取組等を維持するとともに、2回目以降の継続的な献血への取組の必要性、また、20代、30代の献血人口底上げのための取組の必要性を踏まえて、来年度の献血推進計画を策定することとした次第です。
委員からは、Withコロナの環境で、どのような広報が効果的かを考え、献血推進計画を策定することが望ましいのではないか。また、献血実績のデータについて都道府県の人口規模を考慮した分析を行い、都道府県ごとに好事例を見つけ横展開することに役立てると良いのではないかといった御意見をいただきました。
続いて、中期目標「献血推進2020」の評価です。こちらは、平成27年度から令和2年度までの中期目標である2020、本年度が最終年度で、昨年度の献血状況について資料2に基づいて報告を行いました。結果としては、資料のとおりあまり芳しくないものでしたが、今後の少子高齢化社会を踏まえ、血液の安定供給を図るに当たり、現在、掲げている目標は今後も重要であることから、次回の中期目標は「献血推進2025」とし、逮成目標については同様とするものの、目標値について必要に応じて見直しをしつつ、必要な献血者数に関する新たな推計を基に設定することとされました。
委員の意見は、「献血推進2020」の項目についてデータを集め効果測定を行うことが望ましいが、献血者へのアンケート等の活用も検討していただきたい。献血セミナーの実施率と10代献血率の地域分析を行うなど、取組の評価を行いながら広報活動に利用する必要があるのではないかという意見を賜りました。
最後に、「はたちの献血キャンペーンの在り方について」です。こちらは、私ども血液対策課が行ったアンケート結果及び法務省事務局検討会報告書の成人式の時期や在り方等に関する報告書についての内容を御説明し、当日、御議論いただきました。
委員からは「はたちの献血」は認知度が高く、キーワードとしては残した方が良い。時代に合わせて「はたち」の意味や位置づけ、キャンペーンの在り方についてアンケート等を行いながら検討すると良いのではないかという意見がありました。献血推進調査会の報告は以上です。宜しくお願いします。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。委員の先生方からの御意見、御質問はいかがでしょうか。
○花井委員 花井から宜しいですか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○花井委員 献血推進調査会はリモートだったのであまり発言できなかったのですが、日本赤十字社としては、この広告資材が、どちらかというと若い男子向けになっている。もちろん男子の方が体格もいいし、優良なドナーではあるのですが、これはもう故意というか、明らかに戦略的に若い男性に訴求しようという観点でやられているのでしょうか。もし、そうだとしたら、女性の献血者も大切なので、その辺は、何かお考えがあって男子向けのような戦略なのでしょうか。教えていただきたいです。
○田野﨑委員長 日本赤十字社からいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 血液事業本部の松田です。取り敢えず、男子向けということでは、特には、私ども焦点を合わせておりません。ただし、人口動態を見てもお分かりだとは思いますが、若年層にターゲットを置くことを第一前提として考えているところです。一番人気のある乃木坂というところでは男性となりますが、やはり、好感度を目指して、日赤としては進んでいると考えていただければと思います。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。今のことについて田野﨑からです。実際には、妊娠歴のある方、抗HLA抗体保有率、不規則抗体の保有率が少し高くなるので、女性からの血漿製剤の献血などが推進されていることもありますので、ある程度は問題がないのかなとは思いましたが、それに加えて、高校生の頃からの献血というのは非常に重要な方策だと思いますが、これについては、どの程度力を入れておられますでしょうか。日赤からお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 血液事業本部の松田です。こちらについては、やはり10代に力を入れているということで、先程も報告がありましたが、今回はコロナ禍の中での3月を迎えたところですが、例年、卒業献血等々、2月、3月と行っており、昨年も10代は前年を上回った状況でした。今年は昨年と同等ということで結果を終えております。しかしながら、今お話したように、10代、特に高校については、ホップ、ステップ、ジャンプではないですが、献血の経験ということを重要視しておりますので、献血前の献血セミナーなどを開催し、とにかく献血につなげていく対策で私どもは考えているところです。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。再度、田野﨑からです。平成30年度から令和元年にかけては献血者数が4%増え、19万人も増えたということで非常に素晴らしい実績かと思います。これに関しては、これまでの様々な取組のうち、何が最も有効であったか、そして、この19万人増えた方々は、どのような方々が増えたのか、今までの分析についてどのように評価されているか御意見を伺えますか。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 血液事業本部の松田です。こちらについては、残念ながら、先程、お話したように、……。
○田野﨑委員長 音声が。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 他の。
○田野﨑委員長 もう一度、少し音声が分からなくなりましたので。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 聞こえていますでしょうか。
○田野﨑委員長 今、聞こえました。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 すみません。年代別の推移ではありますが、10代については、先程もお話しましたが、年代的には上がっているのですが、コロナの絡みで同等の99.9%で終えております。それ以外の20代、30代、40代、50代、60代については、お陰様で献血の協力は前年度を上回っている状況です。やはり、実人数が一番多い50代、60代については、成分献血を中心にリピートしていただいているところでの延べ回数が増えている状況もあります。若い人については、今のこういったイベント、キャンペーンがきっかけで増加していると私どもは見ているところです。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。資料4-2の9ページに、献血者数の年代別では、50代の伸びが一番顕著だと思ったのですが、今の松田さんのお話によりますと、必ずしもそうではなく、全年代層にわたってという理解で宜しいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 そのとおりです。やはり今、御指摘のありましたように、50代については前年度比が9.2%ということで、大きく50代、60代は110%近く上回っているところです。他のところは、大体前年度101%前後で推移しており、今、お話したように、下がっているということではなく、増加傾向で何とか御協力が多くなっていると言えるかと思います。
○田野﨑委員長 何度も申し訳ありませんが、そうしますと「はたちの献血」キャンペーンや「みんなの献血」は、どの施策が一番効果的であったと評価されているのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部松田経営企画部次長 血液事業本部の松田です。以前は、ポスター等々でPR等々を行っていたのですが、今は若い方から支持のあるYouTubeや私どもが配信しているラブラッドのPR効果なども出ているかと思います。また、学校へ出向いてセミナーを開く。あるいは幼児向けの、幼児といっても親が大体30代前後の父母が多いかと思いますが、そういった方々に何とか献血に御協力いただくきっかけをと、以前とは違う趣向で私どももやっているところです。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。宜しいでしょうか。最後に、議題6の「その他」です。事務局から何かありますか。
○中村血液対策課長補佐 特にありません。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。そうしますと、本日の議題は以上です。他に何か御意見はありますか。
○岡田委員 少しいいですか。
○田野﨑委員長 岡田委員どうぞ。
○岡田委員 今日の報道で流れたのですが、保健所が多忙のためにHIVの検査件数がだいぶ減っているのです。そうすると、中には、検査目的で献血を利用する方もおられる可能性があるので、各地域単位でもブロックセンターでもいいのですが、HIVの陽性となった件数をフォローして、増加傾向にある地域に関しては、行政を通してそのような検査目的で献血をしないでくれなどという警報を出すようにした方がいいかと思います。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。こちらに関しては、事務局で検討していただければと思います。何か御意見は宜しいでしょうか。
○中村血液対策課長補佐 貴重な御意見をいただきましたので検討したいと思います。
○田野﨑委員長 他にはいかがでしょうか。特にないようでしたら、事務局に議事進行を戻したいと思います。
○中村血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途御連絡いたします。これで血液事業部会令和2年度第3回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。


 
(了)