第16回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和2年7月2日(木) 15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター15D
(東京都千代田区内幸町1-3-1)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員、山崎喜比古委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
仁平章委員、則松佳子委員、八野正一委員
使用者代表委員
佐久間一浩委員、鈴木重也委員、湊元良明委員、山鼻恵子委員

議題

  • 過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について

議事

議事内容
○中窪会長 それでは、定刻少し前ではありますけれども、皆様おそろいでありますので、ただいまから第16回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらず、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
初めに、前回の協議会から本日までの間に委員の異動がございましたので、御報告いたします。
全体資料の一番最後になりますけれども、88ページの参考資料の委員名簿を御覧ください。
労働者代表委員の村上陽子委員が退任され、後任に仁平章委員が、使用者代表委員の輪島忍委員が退任され、後任に鈴木重也委員が、それぞれ厚生労働大臣から任命されております。
それぞれ一言御挨拶をお願いいたします。
○仁平委員 村上から代わりました、連合の仁平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
本日は、御都合により北野委員が御欠席、山鼻委員が15時30分頃からの御出席でございます。なお、文部科学省は所用により16時30分頃から出席される予定と聞いております。
それから、事務局にも異動があったとのことですので、御紹介をお願いいたします。
○小島企画官 前回協議会以降、事務局に異動がありました。
労働基準局総務課企画官の小島でございます。よろしくお願いいたします。
事務局の異動は以上です。
○中窪会長 カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
本日は、各委員にタブレットを配付して、ペーパーレスにより資料等を御確認いただきながら議論いただくことになっております。
タブレットのほうは大丈夫でしょうか。もしお分かりにならない場合には、随時職員をお呼びください。
それでは、議事に入ります。
「過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について」につきまして、まず厚生労働省から10分程度で御説明いただきたいと思います。
その後、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順で各府省の取組についてそれぞれ5分程度で御説明いただいた後、一括して質問等の時間を設けたいと思います。
なお、文部科学省につきましては、到着次第説明をいただくことにいたします。
できるだけ委員の方から多くの御発言をいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いいたします。
○小島企画官 それでは、厚生労働省の取組につきまして、資料1-1、1-2、資料6、7の順で御説明を申し上げます。
お手元のタブレット資料の3ページをお開けください。
まず、大綱の数値目標と現状につきまして、大綱に基づいて設定した6つの数値目標に関しましては、現在、直近データによって数値を示しておりますが、資料のとおり、緩やかながらも全ての目標の到達度は対前年比で高まっている状況でございます。
続きまして、昨年度の前回協議会以降の主な行政の取組と新たな方針等を御説明いたします。資料は5ページになります。
大綱に基づく令和2年度の委託事業につきましては、全国48か所でのシンポジウム、過労死遺児交流会、啓発月間を中心とした周知・啓発事業、学生、生徒に対する労働問題等の啓発のための講師派遣事業など、本年度も継続して実施する予定としております。
なお、過労死等の労働・社会面のアンケート調査につきましては、7つの重点業種、職種を個別に対象とした調査が一巡しましたので、大綱の方針に沿い、一定期間経過後の繰り返し調査を行うこととしまして、令和元年度におきましては全業種の企業・労働者、法人役員、自営業者を対象に調査を実施しております。この結果につきましては、本年度版の白書で公表を予定しております。
続きまして、6ページになります。
「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な安全衛生研究」ということで、これまで平成30年3月までの過労死等事案の収集、分析を行っております。引き続き、平成30年4月からの過労死事案を収集、追加しまして、引き続き分析を続けていくこととしております。
7ページになります。
相談窓口の設置につきまして、様々なツールによりまして相談体制を整備しておりますが、令和2年度におきましては、ポータルサイト「こころの耳」の相談ツールにSNS相談を加え本格実施するなど、さらに相談体制の充実を図っているところでございます。
8ページから9ページが、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)の内容になります。
高年齢労働者の就労が促進される中で、労働災害における高年齢者の割合が増加傾向にあるなど、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場健康づくりが重要になることから、このようにエイジフレンドリーガイドラインを策定いたしました。
それぞれ事業者あるいは労働者が取り組むべき取組をまとめまして、7ページに示しましたとおり、このガイドラインの策定を踏まえた今後の対策としまして、ガイドラインを周知するセミナーの開催や個別事業に対するコンサルティング、加えて、中小企業等事業者に対しまして、労働災害防止のために講じた措置に対します経費補助を行うエイジフレンドリー補助金を創設しております。これらの支援対策によりまして、高年齢労働者の安全と健康確保のための取組をさらに推進してまいります。
10ページから13ページがハラスメント対策の強化でございます。
ハラスメント対策の強化などが盛り込まれた女活法等の一部改正案が昨年成立し、本年6月1日より施行されております。これにより、パワーハラスメントの防止措置が事業主の義務となっております。これに伴いまして、職場におけるパワーハラスメント問題に関し、事業主が雇用管理上講ずべき措置を示しましたパワーハラスメント防止のための指針が作成されております。
11ページ以降が概要でございますが、11ページではパワーハラスメントについての3要素、あるいは定義づけについて具体的な内容を加えて示しております。
また、12ページでは、パワーハラスメントの判断としまして、代表的な言動の類型ごとにそれぞれ該当する例、該当しない例を、行為を明示しまして分かりやすく整理しております。
さらには、13ページになりますが、これら雇用管理上講ずべき措置につきまして、事業主の方針の明確化、あるいは相談ができる適切な体制、事後措置の適切な対応など、一連の事業主が取り組むべき対策を示しておりまして、労働者の御理解もいただきながら、ハラスメント対策の一層の推進を図ることとしております。
続きまして、14ページになります。
パワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえまして、精神障害の労災認定基準に関する専門検討会の報告を受けて、パワーハラスメントの出来事を心理的負荷評価表に追加するなど、見直しを行っているところでございます。改正のポイントは、出来事の類型に「パワーハラスメント」を追加しまして、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加することにより、パワーハラスメント事案の評価対象を明確化、具体化したものでございます。これを受けて、請求の容易化・審査の迅速化に資するものと考えております。
なお、精神障害の労災認定基準につきましては、今後、最新の医学的知見等を収集しまして、令和3年度に認定基準全般の検討を行う予定としております。また、脳・心臓疾患の労災認定基準につきましても、本年6月に第1回を開催しまして、複数就業者に係る認定基準の運用方法などについて検討しております。今後、第2回目以降に最新の医学的知見等を踏まえまして、認定基準全般の検討を行う予定としております。
15ページ、16ページは、商慣行・勤務環境等を踏まえた取組を整理したものでございます。
自動車運送業の取組としましては、トラック運送における取引環境・労働時間の改善やトラック運送業の生産性向上に関する各協議会の検討により、具体的対策を継続的に実施しておりますが、令和2年度は輸送品目別ガイドラインを策定し、広く周知することとしております。
また、自動車運転者の労働時間改善に向けた荷主等の対策事業も継続的に取り組んでおりまして、令和2年度におきましては、トラック運送業について荷主向け動画の作成、継続運用されるポータルサイトの拡充の実施を予定しております。
下段になりますが、建設業への取組としましては、建設業の働き方改革に関する検討会で検討される、建設業従事者の長時間労働の是正や週休2日の確保等の建設業の働き方改革に関する取組を引き続き促進してまいります。また、昨年度の入札及び契約の適正化の促進等の法律改正を受けて設置されましたワーキンググループで検討されております、適正な工期による契約締結に向けた建設工事の工期に関する基準に盛り込むべき項目の検討を引き続き進めていくこととしております。
16ページになります。
情報通信技術者の労働条件を向上させる取組としまして、IT業界の長時間労働対策につきまして、業界団体と連携して、実態把握に基づきます長時間労働改善対策を継続して実施しておりますが、令和2年度は社労士を対象としたIT業界の働き方改革支援手法に関するセミナー等を実施することを予定しております。
中段になりますが、医師の働き方改革に関しましては、引き続き医師の働き方改革の推進に関する検討会において、医師の時間外労働時間の上限の在り方、あるいは労働時間の短縮方法について具体的な検討が進められております。また、医療勤務環境改善支援センターによる労務管理支援などの実施によりまして、引き続き医療従事者の確保・定着に向けた勤務環境改善の取組を促進することとしております。
17ページになります。
中小企業・小規模事業者等を訪問し、労働時間管理のノウハウとコンサルティングを行う働き方改革推進支援センターの取組につきまして、より機動的な活動ができますよう、令和2年度におきましては、専門家研修を実施し、的確な派遣調査を行うなど、センター事業のさらなる拡充を図りまして、中小企業・小規模事業者等の働き方改革をさらに推進することとしております。
18ページになります。
生産性を高めながら働く時間の縮減等に取り組む中小企業等を支援する時間外労働等改善助成金につきまして、より効果的な支援ができますよう、令和2年度におきましては働き方改革推進支援助成金に改称しまして、労働時間の短縮や年休取得促進の環境整備、勤務間インターバルの導入促進等の支援内容を拡充するなど、さらに働き方改革推進のための助成金等予算を最大限確保しているところでございます。
続きまして、19ページの資料1-2になります。
過労死等の現状ということで、先月末に民間雇用労働者に関します令和元年度の労災補償状況が取りまとめられました。脳・心臓疾患、精神障害、それぞれの認定件数についてこの資料で整理したところでございます。
続きまして、資料は飛びますが、52ページの資料6になります。
過労死大綱に基づきます施策の実施状況につきましては、令和2年度から順次実施しておりまして、令和元年度の取組状況まで実績等も踏まえて整理している資料でございますので、御参照いただければと存じます。
最後になりますが、85ページの資料7になります。
こちらも大綱に基づく過労死等防止対策予算につきまして、啓発や相談体制整備に係る予算を拡充するなど、過労死対策の一層の推進のために必要となる予算を適切に確保しております。内容については御確認いただきたいと思います。
厚生労働省からの説明は以上となります。
○役田職員福祉課長 引き続きまして、人事院から一般職国家公務員の過労死等防止のための対策について御説明させていただきます。
20ページの資料2を御覧ください。
人事院では長時間労働の是正等、こころの健康づくり対策、パワハラ防止対策、過労死事案分析といったことを柱にして対策を講じているところでございます。
まず1つ目、長時間労働の是正等についてでございます。国家公務員につきましても、民間労働法制の改正を踏まえまして、昨年4月からこの表にございますように超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で定めておりまして、原則1か月について45時間かつ1年について360時間。それから、国会業務など他律的な業務の比重が高い部署に勤務する職員につきましては、1月100時間未満かつ1年について720時間等と設定しているところでございます。
ただし、公務の特性としまして、大規模災害への対処等の重要な業務でありまして、特に緊急に処理することを要する業務に従事する職員に対しては、上限の時間を超えて超過勤務を命ずることができるとしておりますが、その場合には各省各庁の長に上限を超えた超過勤務にかかる要因の整理、分析、検証を義務づけております。
制度の導入から1年が経過しておりまして、現在各府省において上限を超えた要因の整理、分析、検証が行われるところでございまして、人事院といたしましても引き続き制度の運用状況を把握し、指導していきたいと考えております。
また、職員の健康確保措置につきましても、1か月につきまして100時間以上の超過勤務を行った職員等に対しましては、職員からの申出がなくても医師による面接指導を実施する。また、申出があった場合の面接指導につきましても、対象となる基準を1月100時間超から80時間超に引き下げるなど、健康確保措置を強化してございます。
次に、資料の右側に参りまして、こころの健康づくり対策、パワハラ防止策について御説明申し上げます。
公務におけるパワハラの防止対策につきましては、各省各庁の長の責務、パワーハラスメントの禁止、苦情相談への対応などを定めました人事院規則を本年4月1日に公布し、民間法制と同様に6月1日に施行いたしました。これに合わせまして、各府省が円滑に制度の運用を開始できるよう、人事院は各府省に対する資料の提供や助言を行ったところでございますが、引き続き研修の実施を支援するなどによりまして、パワハラ防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、研修につきましては、例えば各省の健康管理の担当者に対しまして、健康管理制度の説明会の中でこころの健康づくりの取組に関する説明を行ったり、あるいは「心の健康づくりの研修」におきまして、過労死等に関する説明や外部講師による講義などを行ったりしてございます。また、過労死等防止のための取組に関する内容を盛り込んだe-Learningによる自習用研修教材を各府省に提供してございます。
また、職場環境改善に係る実習としまして、「心の健康づくりのための職場環境改善ファシリテータ研修」というものを行ってございます。このファシリテータは各部署における健康管理者、あるいは保健スタッフ等になっていただくことを想定しているものでございます。今年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めつつ、開催の際には感染予防に留意しながら、できる限り開催する方向で進めてまいりたいと考えてございます。
それから、周知につきましてでございます。メンタルヘルスにつきましてはガイドブックとしまして職員用、管理監督者用の2種類を作り、いずれも過労死防止等の取組を含めて配布してございます。パワーハラスメントにつきましては、先ほど御説明しましたように、新たに制定しました人事院規則について職員に周知するためのリーフレット等を作成し、配布してございます。また、昨年度新たに作成しましたハラスメントに関する自習用研修教材も改訂を行いまして、パワハラに関する内容を盛り込み、各府省に配布する予定としてございます。
次に4つ目の○、相談体制の運営でございますが、霞ヶ関の人事院、それから9か所にある地方事務局におきまして、どの府省の職員の方でも利用可能な職場復帰相談室、こころの健康相談室を開設してございます。職場復帰相談室というのは、メンタルでお休みされていた方が職場に復帰されるに当たって専門家のアドバイスを得られるというものでございます。また、こころの健康相談室は、それぞれの府省におきましてこころの健康相談の体制がございますけれども、自分の府省では相談しづらいという事情も踏まえまして、どこの府省の方からでも匿名で利用可能な相談室を設けているところでございます。
また、パワーハラスメントということで申しますと、職員からの苦情相談を受け付ける制度がございますが、下の表にもございますように、パワハラの相談は数が多くなっておりまして、全体の相談の3分の1をパワハラが占めているという状況になってございます。
最後、左下に参りまして、3つ目の柱とする過労死等の事案の分析、公務災害相談窓口の周知につきましては、令和元年度は平成22年度から平成30年度までの9年間に公務災害と認定された事案につきまして分析を行いました。令和2年度は引き続き公務災害と認定された事案を中心に、その傾向について分析を行ってまいります。また、各府省の公務災害相談窓口について、人事院及び各府省のホームページやイントラネット等で周知することとし、併せて職員等から各府省に相談があった場合の対応について通知をいたしました。
説明は以上でございます。
○櫻井内閣官房内閣参事官 引き続きまして、内閣人事局より御説明申し上げます。
21ページからの資料3に基づきまして説明いたします。
内閣人事局では、人事院と連携しながら、国家公務員に対しまして啓発や相談体制の整備のための取組を進めております。
令和元年度における過労死防止対策の実施状況ですけれども、Ⅰのワークライフバランスの推進、次のページにありますⅡの心身の健康の保持増進という2本の柱を立てて取組を進めております。
まず、1点目のワークライフバランスの推進についてでございますが、国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針に基づきまして、超過勤務の縮減、年次休暇の取得の促進といった取組によってワークライフバランスの推進を進めているところでございます。
令和元年度につきましては、まず1点目といたしまして、7~8月に国家公務員のワークライフバランス推進強化月間を実施いたしました。この期間中は、終業時刻を普段より1時間早める「ゆう活」をはじめといたしまして、長時間労働を打破することを目的とした様々な取組を各府省等において実施いたしました。この取組は平成27年度から実施し、昨年度で5回目であったものでございます。なお、本年度におきましては、この月間の名称を「働き方改革推進強化月間」と変更いたしまして、今般の新型コロナ対応に係る出勤回避等の取組状況も踏まえつつ、非常時における業務継続の観点、ワークライフバランス推進等の観点の両面から働き方改革に集中的に取り組む期間として実施することとしております。
続きまして、2です。超過勤務の縮減と休暇取得の促進、ワークライフバランスのためのマネジメント能力の向上といたしまして、特に管理職に対する働きかけを進めたところでございます。
まず、アの超過勤務予定の事前把握の徹底でございます。これは、管理職が超過勤務の理由や見込み時間を事前に把握することによりまして、その原因を取り除き超過勤務を縮減するという取組でございます。また、年次休暇につきましても、連続休暇の取得を促進するとともに、計画的に取得するため、計画表を活用するといった取組を推進いたしました。
また、イですけれども、働き方改革と女性活躍、ワークライフバランス推進に係る管理職員向けのe-Learningというものを平成29年度から実施しております。これにつきましては、オフラインも含めまして約3万5000人の全管理職を対象として行っております。
こういったe-Learningに加えまして、ウにありますとおり、対面形式でのマネジメントセミナーを本府省及び全国の8ブロックで開催し、合計約250名が参加いたしました。今年度は新型コロナウイルスの拡大防止等の観点から、一部開催方法の見直しなどを行う予定でございますが、管理職として求められる行動や役割について、講義のほか、グループ討議などを通じまして実践的な研修を実施しているところでございます。
続きまして、22ページでございます。
心身の健康の保持増進についてですが、こちらも管理職員などによる健康マネジメントの推進という観点で進めております。まず、周知・啓発等の実施といたしまして、管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーを実施しております。これは、メンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーでございまして、昨年度は全国6ブロックにおいて管理職員などを対象に合計約260名が参加いたしました。
また、2のe-Learningを用いたメンタルヘルス講習・ハラスメント防止講習について御説明いたします。こちらは平成28年度から新任の管理者、課長補佐などの者につきまして、こころの健康づくりとハラスメント防止に関する研修の受講を必修化しております。また、平成30年から幹部職員及び課長級職員に対しまして、セクシュアルハラスメント防止のための研修が義務化されました。
これらを踏まえまして、各府省での取組に加えて、内閣人事局としてe-Learningを用いた講習を提供しております。昨年度は新任管理者、課長補佐など約1万2000人を対象といたしまして、メンタルヘルス、セクハラ、パワハラ、マタニティーハラスメントの基礎知識や、部下との相談対応方法などを習得するもの。それから、新任の幹部職員及び課長級の職員約1,500人を対象といたしまして、セクシュアルハラスメントをはじめとするハラスメント防止や、問題が生じた場合の対処に関して幹部職員等が果たすべき役割と責任に対する理解を習得するためのものを実施いたしました。
3でございますが、生活習慣病対策等の健康増進対策の推進でございます。過労死等の原因となります脳血管疾患や心臓疾患を予防する観点から、健康診断等の結果、要医療・二次健診の対象となった職員の方に確実な受診等をしていただくための指導を行っているところでございます。
また、国家公務員に対する相談体制の整備といたしましては、各府省等のカウンセラー講習会を全国6ブロックで実施いたしまして、各府省等に配置されているカウンセラー約240名が参加されました。こういった方々におきましては、様々な基礎資格や経験をお持ちですけれども、よりカウンセリング能力を高めていただくための実践的講義を行ったものでございます。
以上でございます。
○飯山安全厚生推進室長 続きまして、総務省でございます。
資料4に基づきまして、地方公務員の過労死等防止対策の実施状況につきまして御説明いたします。
24ページを御覧ください。
地方公共団体における時間外勤務縮減の取組についてでございます。総務省から各地方公共団体に対しまして、労働時間の適正な把握、時間外勤務縮減を各種通知で要請しているところです。
また、地方公共団体の人事担当課長等が出席する各種の全国会議においても要請をしているところでございます。今年も実施予定なのですが、例えば3の上から2つ目に書いてある人事委員会ブロック会議(全7ブロック)というものを去年やったのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の関係で実施できておりませんでしたけれども、近々ウェブ会議によって実施する予定でございます。
下段ですけれども、地方公共団体と総務省の担当者が協力しまして、平成29年度から女性活躍・働き方改革推進協議会というものを立ち上げてございます。昨年度につきましても、具体的・実践的な取組手法につきまして意見交換、情報交換を行う場として、記載のとおり分科会あるいは市町村部会を開催しているところでございます。
25ページでございます。
地方公共団体における「ゆう活」等の取組としまして、30年度に作成しました「地方公務員における女性活躍・働き方改革推進のためのガイドブック」というものがございますが、これの改訂版を昨年3月に作成し、その中で取組事例の紹介を行っております。また、5月には「ゆう活」等の取組を促す通知を発出するとともに、先ほど申し上げたような会議で取組の要請をしているところでございます。
26ページでございます。
上段ですけれども、平成28年度から毎年度実施しております地方公務員の過労死等に関する調査研究事業についてでございます。元年度におきましても、平成22年1月から平成30年3月までに公務災害と認定された事案につきまして、データベースを構築してございます。そして、元年度は、職種別のうち、一般職員等に係る事案を分析したところでございます。今年度も実施予定でございます。
下段は地方公共団体における安全衛生体制の整備状況とストレスチェックの実施状況でございます。一番右側に専任率あるいは検査実施事業場率が書いてありますが、どちらもほぼ100%に近い数字にはなっておりますけれども、具体的にこの中を見てみますと、主に小規模の事業場におきまして未達成の団体がありますので、引き続き助言をしてまいりたいと思います。また、内容の充実にも努めていただくようにお願いしようと思っているところでございます。
27ページでございます。
上段は地方公務員に対する講義・研修の状況でございます。例年、総務省の自治大学校におきまして講義、地方公務員安全衛生推進協会におきまして研修会を実施しております。元年度におきましても表のとおり実施いたしました。今年度につきましてはまだ実施できておりませんけれども、状況を見ながらウェブ会議等も活用しながら実施したいと思っております。
下段は地方公務員に対する相談の取組でありまして、苦情・相談窓口の設置につきまして各地方公共団体に要請をしてございます。このほか、各地方公務員の共済組合、あるいは地方公務員災害補償基金におきましてメンタルヘルスの相談を実施しているところでございます。
総務省からの説明は以上でございます。
○中窪会長 どうもありがとうございました。
ただいまの各府省からの御説明につきまして、御質問や御意見等をいただきたいと思います。
また、事務局は複数の委員からの質問、意見等をまとめて回答いただきますようにお願いいたします。
それでは、挙手の上、要点を簡潔に御発言をお願いいたします。
川人委員。
○川人委員 川人と申します。
3点御質問をしたいと思います。
まず、労災補償課の関係でございますが、先日、厚労省のほうから令和元年度の過労死の労災補償状況についての公式発表がありました。この点について、特に私が気になったのは、請求件数と処理件数のギャップが大変拡大しているという点であります。
具体的に申し上げますと、令和元年度につきまして、脳・心臓疾患、精神疾患含めて2,996件、約3,000件新規請求がある。他方、令和元年度に処理した件数は2,270件にすぎない。つまり、その差は726件に及びます。
約10年前を見るとどういう状況だったかといいますと、平成22年度については請求件数が1,983件ありました。他方、処理件数が1,757件で、その差が226であります。つまり、約10年前は請求件数と処理件数の差が約200件程度だったわけです。ところが、令和元年度においてはその3倍以上の請求件数と処理件数の差があるということです。これは端的に言いまして、労災申請の現場において、申請はしても担当官の人手が足らないということで、労災申請の手続がどんどん遅れていることの一つの証拠だと思います。こういう状況が数年前から拡大しているわけであります。
確かに今年に関しては、実務上、2月ぐらいからコロナの影響もあったとは思うのですが、しかし、精神疾患を中心にして明らかに請求件数が増えている。さらに、令和元年度に関しては脳・心臓疾患の請求件数も増えている。それに見合うだけの労災の担当者がいない。むしろ、働き方改革の監督行政の強化のために、監督官のほうには人数は回すが、労災の担当者が少なくなっているという現場の声をよく聞きます。
こういう状況の下では、病院崩壊ではないですが、労災崩壊、監督署崩壊というか、申請をしても手続が始まらない。病院に行っても診てもらえない、検査してもらえないのと同じような状況が生まれつつある。
この傾向は毎年毎年明らかに顕著になっておりまして、本省においてよほどしっかりと対策を講じないと、労災の請求に見合う調査と決定を行うことができなくなると思います。ぜひ担当者の人員を大幅に増加することを検討すること。そのためにも、これから概算要求等もあると思いますが、ぜひ予算の確保にも厚労省全体として力を注いでいただきたい。労災認定の決定が遅れるということは、結局その分対策予防にも悪影響が出ます。もちろん被災者の救済という意味でも悪影響が出ます。ぜひこの点、意見を申し上げたいのですが、労災課のほうからこの問題についての御認識、あるいは今、何か対策を取っているのかどうかをお伺いしたいと思います。
もう一つ、国家公務員の問題について、今日、厚生労働省の方々の長時間残業の実態がメディアで報道されていました。月200時間以上の時間外労働もあったという報道もされていました。
先ほど、人事院あるいは内閣官房からもこの問題についてのお話があったのですが、私のほうで質問したいのはこういうことです。現在、在職中死亡や在職中疾病が発生した場合には、それをどこの部署がまず責任を持って業務との関係を考え、判断しているのかどうか。そして、公務上災害の認定手続に移行するのかどうかということはどこの部署がまず判断しているのか。ここが大変曖昧であります。
この間、私どもが調べた範囲あるいは相談を受けた範囲でいっても、例えば昨年過労死の疑いがあるような形で在職中死亡が発生しているけれども、結局最近になって御遺族がその省庁に申立てをするまで何らの調査もしていないということがあります。あるいは、国会最中に毎日薬を飲みながら2時間、3時間の睡眠で仕事をしているという人についても、誰がその病気の対策なりを把握し指導しているのかということがとても曖昧な状況がある。その点、救済のためにも予防のためにも、国家公務員の各省庁の人たちの健康対策、あるいは公務上対策についての現在の体制の現状なり改善の課題などがありましたらぜひ教えていただきたい。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
後でまとめてお答えいただきますけれども、そのほかに御質問や御意見は。
では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。
私も、先週発表された過労死等の労災補償の状況について、まずは一言コメントさせていただきたいと思います。
資料の19ページにもございますが、2019年の過労死等に関する請求件数は引き続き増加傾向にありまして、状況が改善しているとは言い難いと考えております。特に精神障害の労災請求件数が増えております。
さらに、資料には記載がございませんが、裁量労働制の対象者に関する労災認定件数なども発表されており、様々な課題がこの中から見えたのではないかと認識しているところでございます。
また、政労使あるいは専門家、関係者の皆さん方でこれまで実施してきた取組に加えて、今般やはり新しい状況の中での課題もあるのではないかということで、一点申し上げたいと思います。
連合では労働相談を行っているのですが、新型コロナウイルス感染症の関係で、3月、4月と例年の約1.5倍の相談を受けております。その中で、医療関係やインフラ関係など、感染のリスクと隣り合わせで働いている労働者からの相談がこの間増えておりまして、これも様々に報道されているところではありますが、そういった方々へのハラスメント、偏見、差別などもある中、精神的ストレスの高まりが気になるところです。
加えて、連合は6月にテレワークで働く方へのアンケート調査を実施したのですが、その中で半数以上の方が今までより労働時間が長くなったと答えております。労務管理の問題や、急にテレワークを導入した場合もあろうかと思いますが、これも課題ではないかと考えております。
こうした新たな状況の中で、過労死等をいかに未然に防ぐかといった観点で、今回分かった課題も含めて、実態の把握、対策の検討を進めていくべきではないかと考えております。
大綱自体の見直しは来年の作業とお伺いしておりますが、この4月から「働き方改革」関連法が本格的に施行されており、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、職場でどれくらい「働き方改革」が浸透したのか、社会の中で本当に改革が定着していくのか、という視点も踏まえて、取組状況の検証が必要なのではないか、また現行の数値目標も、今年の結果を数値として如何に見るか、新型コロナウイルスの影響も含めてよく考えなければいけないのではないか、そういった結果の検証も今後の課題なのではないかと考えております。この様な分析、評価を実施した上で、過労死ゼロを実現するための実効性ある対策、着実な実施に向けた数値目標を設定することを今後の課題として指摘しておきたいと思います。
ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、寺西委員、お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。
過労死家族の会の寺西です。
私から、内定者のインターンシップに関しての意見と質問を述べます。
今年6月、つい最近ですが、家族の会のホームページの相談事例ですが、東京の有名私立大学の4年生の娘さんを持つ母親から相談がありました。今年2月に若者が憧れているIT関係のベンチャー企業から内定をもらったということで、大学は週2回オンライン授業なので、それ以外3月から18人の内定者インターンシップに参加されました。3月の給料は時給1,000円換算で約20万円あったそうです。ただ、4月、5月はコロナ禍でリモートワークになり、Zoomでミーティングや感想文、報告書の作成といったことでほとんどパソコンと向き合って、娘さんの睡眠時間は1日2時間程度で、それでも成果が出せず給料は時給計算すれば110円くらいにしかならないというような状態でした。
親御さんは心配されて、ある団体に相談されましたが、そういう団体から本人から話を聞かないと進められないと言われて、私のほうに相談があったわけです。家族が心配されて、娘さんにいろいろ話をするのですが、娘さんは自分が行きたい就職先なので聞く耳を持たないという経過でした。
この相談事例で、企業は早期の人材育成や入社後の研修の前倒しを目的にした、また、本人も就職に有利と考えて、内定者インターンシップは年々増加しているという実態が分かったわけであります。若者の過労死を未然に防ぐためにも大変重要なことと考えて、本日問題提起をしました。
次の5つの質問をします。
1つ目は、給料が発生する内定者インターンシップの身分は何になるのか。
2つ目は、労働法規は適用されるのか。
3つ目は、内定者の通達はしているのでしょうか。
4つ目は、厚生労働省や文科省は内定者インターンシップの統計を把握しているのでしょうか。
最後に、家族からの通報で、例えば臨検監督などをしていただけるのでしょうか。
以上5つの質問について、分かる範囲で御回答をお願いいたします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございます。
あともうお一人ぐらい。
それでは、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 家族の会の渡辺と申します。ありがとうございます。
私も資料の19ページの過労死等の現状が先日発表された中で、この資料ですと請求件数が出ていないのですけれども、先ほど川人先生がおっしゃったように、今年度の請求件数が2,996件と出ておりまして、前年度比プラス299件です。特に精神疾患のほうが増えておりまして、請求件数が前年度比240件。
私たちの家族の会でも、若い、就職して1年、2年で息子さん、娘さんを亡くされた御家族の方が、こんなはずではなかったと言って泣きながら入会してくる事例が増えております。メンタル不調で、多分職場でもそういう兆候があったのに、どうして親族に教えてくれなかったのだろうかと涙ながらに話していらっしゃいました。
あと、私は過労死の遺児の交流会のほうにも関わらせていただいているのですけれども、そこでも若いお母さんと幼い子供の参加者が増えております。まだ父親が30代、未就学児の子供もいるような御家族が、父親を自死で亡くし、幼い子供と若い奥さんが遺児交流会にやっとの思いで来てくれるということも増えております。
特に、若いお父さんが亡くなるのはハラスメントを受けている場合が多くて、私たちが関わった事例ですと、あまりにもひどいハラスメントなので奥さんが労基署に相談して、労基署が調査に入ってくれました。労基署は職場に行って話を聞くのですけれども、当人はハラスメントはないと答えざるを得ない場面で質問をされています。労基署の方はそれでお帰りになったのですけれども、その後、その当事者は自死なさっております。それはまさに助けられる直前までいった命だったのですけれども、仕組みが不十分だったために亡くなってしまって、幼い子供が残された。私たちはそれで本当に悔しい思いをしております。
メンタル不調の方を助ける仕組みというのは本当に難しいと思います。本人がその場でずっと働いていたいと思ったら、ヘルプが出せない状況です。でも、家族はおかしいと感じています。ただ、ヘルプを出せない、でもこの苦しみから逃れるには死ぬしかないと追い詰められていく若い方がとても増えているのが悔しくてなりません。
厚労省さんのほうで、メンタルヘルスの救済の一つとしてポータルサイト「こころの耳」というものをつくっていただいておりまして、よくできているなと思って見させていただいております。この中で「ご家族の方へ」という項目もあって、去年度の令和元年度の白書でも「困ったとき、悩み事があるときに相談する人は」という項目では親とか家族というのが一番だったと思います。家族はやはり心配していまして、当人の様子を一番近くで見ている、相談したいと。ポータルサイトのほうでも「家族の方へ」という項目があるのですけれども、その項目を読んでも見守るとか環境を整えてあげるみたいなことが書いてありまして、家族が見て、職場の過重労働やハラスメントが原因でメンタル不調になっているということがはっきり分かるときに、家族に何ができるか、家族にどういう手助けができるかという項目をポータルサイトの「こころの耳」に入れていただけたらなというお願いが一つです。
もう一つ、本当に若い方を亡くしてしまった後の御家族の嘆きや、何物にも代え難い命を目の前で亡くしてしまうというつらさを何とか防ぐために、会社で若い方がメンタル不調であったら、一人暮らしの方は特になのですけれども、職場と御家族が連絡を取って、職場で家族も両方が見守って支えていく仕組みをつくっていけたらなと私は思っております。
このポータルサイトの中に「事業者の方へ」という項目があるのですけれども、この中に、若い、一人暮らしの社員がメンタル不調を抱えているように見えたら、家族等にも連絡を取ってくださいというような項目を加えていただけたらなという希望があります。
もう一つは質問なのですけれども、このポータルサイトにどのぐらい役に立ったかという評価項目がありまして、「とても役に立った」とか「少し役に立った」とかあるのですが、この項目が集計されているのかということと、内容がどのくらいフィードバックされて、より使う人に役立つような仕組みに変えていくような作業がされているのかというところを質問させていただきたいと思います。
最後なのですけれども、メンタルヘルス不調で離職してしまった方は復職がとても難しくて、私のたちの会の会員の中でも本当に苦しい思いでやっと復職をしようとしたときに、コロナの影響でお約束した雇用は、今はちょっと無理です、と言われております。弱い立場の人がコロナの影響をもろに受けておりますので、そういうところの調査や守る仕組みなども御検討いただけたらと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、今、4人の方から御質問がありましたので、それぞれについて担当のほうから御回答をお願いいたします。
○久知良総務課長 基準局の総務課長の久知良でございます。
個々の論点はそれぞれの担当から説明させていただくことになりますが、1点、仁平委員のほうから、大綱の目標数値、今年度の結果の検証のときの留意点というようなお話をいただいたところでございます。
確かに毎年一定の統計を使ってこの数字を出してきているわけでございますけれども、今年度これからコロナの状況がどういうふうになるかというのは現状不透明な状況であって、その中で調査をした場合にどういう数字が出るか。ある意味少し通常の状態とは違う状況での数字が出るかもしれない。その可能性というのは確かにあろうかと思います。ですから、いずれ今年度の数字を検証する段階では、そのときの状況も十分頭に置いて考えていかなければならないと我々としても思っております。
○西村補償課長 補償課長の西村でございます。
一番最初の川人委員からの御指摘は、過労死等事案に係る労災認定の事務処理についてもっと迅速にすべきではないかというような御指摘と受け止めてお答えさせていただきたいと思います。
御指摘のとおり、先週発表させていただきましたけれども、過労死の事案については、特に何人か委員からもありましたが、精神障害の事案については請求件数が前年度比240件と大幅に増えております。脳心のほうも非常に大きな数字でございました。
一方、今日の資料にはございませんけれども、先週発表した資料の中には処理件数といいますか、決定件数というものも入れております。実は、令和元年度の過労死等の決定件数、言い換えると処理件数ですけれども、これは過去最高の件数を処理しております。また、いずれの監督署においても頑張ってやってもらっていると思っております。
しかしながら、川人委員御指摘のとおり、局によっては請求件数の増加に処理が追いついていないということも事実としてあると承知しているところでございます。
私ども本省としましては、まず各局の実態、実情を常にしっかり把握しておくことが大事だと思っております。その上で、効率的な処理をするためにどういう研修が必要なのか、各局幹部における事案の進捗管理がしっかり行われているのかどうか。あるいは、我々本省として各労働局への業務の支援、指導はどういうことができるのか。さらには、各局における体制の確保、しっかり各局の実情を踏まえた業務執行体制になっているのかどうかというようなことをしっかり本省として指導していくことが必要ではないかと思っております。いずれにしましても、迅速、公正な処理というのは労災行政の使命と心得ておりますし、これに携わる職員の基本姿勢でありますので、迅速処理についてしっかり取り組んでいきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○阿部職員福祉局補償課長 人事院の補償課でございます。
先ほど、川人委員のほうから国家公務員の災害補償の公務災害の認定の体制についてお尋ねがありましたので、私のほうから回答します。
各府省の職場、現場ごとに補償事務主任者というのが置かれております。例えば本省でありますと本省の内部部局の局ごと、あるいは出先機関であれば各出先機関ごとに補償事務主任者が置かれておりまして、この補償事務主任者が職場で公務災害が発生したと考える場合、あるいは補償事務主任者に対して、被災職員からこれは公務災害ではないかという申出があった場合には、その内容について本省の災害補償担当部局、実際には人事課だと思うのですが、本省の人事課にこういった公務災害の申出、あるいは公務災害の発生があったというような報告をすることになっております。その報告を受けて、今度は本省の災害補償担当部局、実際には人事課のラインで公務災害か否かの認定をするという手続になっております。このように、公務災害の端緒をつかむのは現場にいる補償事務主任者でございまして、実際に公務災害の認定を行うのは、その報告を受けた本省の人事課、災害補償担当部局の者という流れになっております。
以上でございます。
○櫻井内閣官房内閣参事官 内閣人事局でございます。
国家公務員の健康対策につきましてですけれども、国家公務員法におきまして、内閣総理大臣等が国家公務員の健康増進に関する計画を立てることとされており、当局におきまして、各府省において公務員の健康増進の取組に関する基本方針、重点事項といったものを含む計画を定めているところでございます。また、一部の項目につきましては、目標を立てましてフォローアップをしているところでございます。
現状のものは平成28年に改正されたもので5年計画となっておりますけれども、現状の基本計画におきましても、超過勤務が職員の心身の健康、生活に深刻な影響を及ぼすという観点から取組に関して定めております。当該計画が本年度までということで、現在、来年度以降の改正に向けて検討を行っているところですけれども、超過勤務の上限規制等が導入されたことなども踏まえまして、過労死対策の観点にも配したものとしてまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
○石垣監督課長 労働基準局監督課長でございます。
寺西委員から、個別の事例を挙げられまして、インターンシップの労働者性に関するお尋ねを5点ほどいただいたと思っております。それについて御回答させていただきます。
まず御質問の順に即して申しますと、給料をもらうような内定者のインターンシップの取扱い、それから、2つ目としてこういったものに労働法規が適用されるのかという御質問をいただきました。
結論から申しますと、私どもは、インターンシップの方が企業とどういう契約形態を取っているかとは別にしまして、実態として労働者性があるのかどうかというところで判断いたしますので、仮にインターンシップという形式になっていても、実態が労働者と認定されれば労働者として扱うということになります。つまり、インターンシップということで、学生の就職前の体験というような扱いでも、それが労働なのかどうかということを、例えば指揮命令があるのかどうかですとか、生産活動に実質的に従事しているのかどうかといった個々の具体的な状況を実際に確認させていただいて、総合的に判断することになります。
そういったことにつきまして、私ども、インターンシップの学生の取扱いについては、平成9年に関連の通知を出しておりまして、そういったものに基づいて、個別具体的に各監督署で判断させていただいているところでございます。3点目の御質問にも入りましたが、そういうことでしっかりと対応をしているところでございます。
それから、4点目ということで、統計的な把握をしているのかという御質問をいただきました。これにつきましては、大変恐縮でございますが、インターンシップ生という区切りで集計した統計はございませんでして、結論としては、統計としてはないのですけれども、各相談窓口あるいは監督署に御相談をいただいているということは確かにございますので、そういったときには先ほど申し上げたような扱いでしっかりと対応をしているという状況でございます。
最後の御質問としまして、家族からの通報で臨検監督をするのかどうかというお尋ねでございます。私どもは、労働者である御本人から御相談をいただいて、労働者の方の権利救済、保護ということで取り組むというのがもちろん基本ではありますけれども、御家族の方、あるいは友人の方など、様々な形で情報を寄せていただくことが多くございます。そういった情報も非常に重要なものだと認識しておりまして、中身をいろいろと伺わせていただいて、労働基準法違反の疑いがある場合にはしっかりと調査をしまして、問題があれば厳正に対処して是正をさせていくということで取り組んでおります。このように、例えば家族の方からの通報だから取り扱わないといったことはございませんので、御説明をさせていただきました。
雑駁ですが、以上でございます。
○井内労働衛生課長 安衛部の労働衛生課長でございます。
渡辺委員から「こころの耳」につきまして幾つか御質問をいただきましたので、まずそれにお答えをさせていただきたいと思います。
まず、アンケートをこのポータルサイト内で取っておりますが、その回答をきちんと集計しているのかという御指摘でございました。集計のほうは適時させていただいております。その上で、まず、有効、有用ということでこのポータルサイトが役に立ったというような御意見をいただいた割合ということで、令和元年度につきましては94.6%という回答でございます。その上で、実際にいただいている御意見につきましても集計をさせていただきまして、御意見を拝聴した上でいろいろ関係者とも相談をした上でフィードバックをするという形でよりよいポータルサイトを目指してまいりたいと思っております。
それに加えまして、本日、職場と家族との連絡体制、連携体制を取るような形という御提案をいただいたと思っております。今、この場でどういった形でとか、やるかやらないかということはすぐには申し上げられませんが、本日そういった御意見をいただいたということで持ち帰らせていただきまして、関係者とも相談をさせていただきまして、どういった形であればできるのか、ほかに課題等がないのか等も精査させていただきました上で検討させていただきたいと思っております。
また、仁平委員から、今般、コロナが発生したということで、コロナを踏まえての新たな職場環境を踏まえての健康確保措置の必要性ということで御意見をいただきました。これにつきましては、我々もまだ全容が把握できていないということでありまして、実際にどのような状況になっているのか、どのような問題が新たに発生しているのかといった整理から始めなければいけないと考えております。その上で、必要な健康確保措置をどういった形で進めていくのか、進めるべきなのか、まずは課題の整理からということで今後進めさせていただきたいと考えております。
○渡辺雇用機会均等課長 続きまして、厚生労働省の雇用環境・均等局の渡辺と申します。
渡辺委員からありました1点目の御質問についてでございます。個別の事案だと思うのですけれども、パワハラがあったということで、御家族の方が監督署に相談し、労基署が職場に行って話を聞いたところ、そこに加害者がいたために非常に痛ましい結果になったということでした。ハラスメントの防止対策が強化されたということが今日の説明の中にありましたけれども、これがどういう仕組みかということを御説明させていただいて、今、どういう形で対応を取ろうとしているかということをお答えさせていただければと思います。
今日の資料1の13ページに個別の内容が書いてありますが、冒頭に説明がありましたように、今年の6月1日から改正労働施策総合推進法が施行されていまして、パワーハラスメント防止対策を措置することが大企業に義務づけられています。具体的にはパワーハラスメントの予防から再発防止に至るまでの一連の措置ということで、資料の13ページの2の(1)から(4)まで予防から起こった場合の事後の対応、再発防止策が書かれています。
例えば2の(3)を御覧いただければと思いますが、パワーハラスメントの相談があった場合、企業は事実関係の迅速かつ正確な確認を行うとともに、事実関係が確認された場合は、被害者に対する適正な配慮、行為者に対する適正な措置の実施が義務づけられています。また、2の(4)を御覧いただくと、事実関係の確認を行う際などにおける相談者に対するプライバシー保護のための措置の実施が義務づけられています。中小企業は令和4年3月31日まで努力義務、それ以降が義務となっています。
実際に、こうした義務がなされていないという相談が労働局に寄せられた場合、都道府県労働局の雇用環境均等部あるいは室が対応することになっていまして、企業を訪問したりして、措置義務がなされているかどうか報告の請求により確認を行っております。
この報告の請求は事業主に対して行うもので、企業に適切に運用されているかどうかということを確認する際には、パワハラを行った行為者や被害者が同席されるような仕組みにはなってございません。定期的に行うだけではなくて、パワハラがあったとの相談を端緒として報告の請求を行う場合もありますが、その場合でも相談者の意向を十分に確認して、相談者が労働局に相談した事実であるとか、相談者が氏名を明らかにしたくないという希望がなされた場合は、そういった相談が企業に伝わらない形で報告徴収を行っているところです。
また、もう一つのケースとして、実際にハラスメント行為をやった、やっていないということで、労側と使側が紛争しているという事態も想定されます。こういう企業と労働者との間でパワーハラスメントに関する紛争が生じている場合は、都道府県労働局による紛争解決の援助、助言を行う、あるいは紛争調整委員会による調停という方法があるのですけれども、その際にもパワーハラスメントの行為者から話を聞く必要が生じた場合には、事前に労働者、相談者の了解を得るとともに、当事者同士が顔を合わすことがないような形、例えば待合室を別にするとか、日を分けて話を聞くといった配慮を行っているところです。
厚生労働省としては、労働者の意向を十分に配慮しながら、各企業においてパワーハラスメント防止対策が措置される、適切な運用がなされるようにこれからも指導を徹底してまいりたいと思っています。
以上でございます。
○中窪会長 以上、一通りお答えいただきました。またいろいろあるかもしれませんけれども、まだもう少し皆さん御質問があるかと思いますので、まずはさらに御質問をお受けしてからと思います。
それでは、八野委員、お願いいたします。
○八野委員 ありがとうございます。
意見ということで言わせていただきたいと思います。
この協議会ができて、様々な議論がこういった場で行われることに対しては非常に良いことだと思います。
ただし、今回の大綱目標の数値だけを見ると、ある程度一定の方向に進んでいるものの、資料19ページに載っている令和元年度過労死等の現状を見てみると、決して状況がよくはなっていない。その現実をどう受け止めるのかということが、この協議会において重要なのではないかと思います。
中でも、先ほどから出ていますように、精神障害の労災請求件数が非常に多く、労災認定された方々も1983年度の統計開始以降最多だったこと。そして、女性から請求が非常に増えてきており、また自死の方々が多い。労災認定された精神障害の原因として、いやがらせ、いじめ、暴行、セクハラなどのハラスメント関係が非常に多くなってきている。これらをこの協議会ではどうしていくのか、しっかりと議論していくことが重要なのではないかと考えています。
今まで、確かに過重労働という課題に対しては、労働行政にもかなり踏み込んだ対策を実施していただいております。一方ハラスメントについては、パワー・ハラスメント防止措置の義務化は現時点で大企業に対してのみ施行されているものの、法施行がなされていますが、啓発だけで良いのか。その次のステップをどうしていくのかということを、この協議会の場でしっかりと提示して、議論していかないといけないのではないか。
ですから、資料19ページ記載の過労死等の現状を提示するだけでいいのか。今回の特徴がどういうところで、大綱を策定したときの目標とどういう違いがあるのかを明らかにしていくべきなのではないか。そして、その課題についてここにいらっしゃる皆様で協力し合って取り組み、過労死ゼロに持っていくということが重要だと認識しております。
以上、意見として申し上げておきたいと思います。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、岩城委員、お願いいたします。
○岩城委員 弁護士の岩城です。
私から、2点について意見と質問をさせていただきたいと思います。
1点目は、今、コロナウイルス感染拡大対策で、急速に広がりつつあるリモートワークについてであります。リモートワークないしテレワークについては、これまでも一部の企業で導入され、厚労省のガイドラインが作成されるなどしてきましたが、今般のコロナ禍の中で多くの企業が出勤する社員を減らすために急速に導入が広がっています。
リモートワークについては長時間労働になりやすいと以前から指摘され、また、始業、終業、休憩時間、中抜けといった労働管理が難しいということ。それから、小さな子供さんがいたり、自分の机が自宅にないなど、業務に集中しにくい環境があり、中にはそれを避けるために近くのカラオケ店やビジネスホテルを借りて業務をするといった事例もマスコミなどで報道されております。作業環境が悪い中で長時間にわたりストレスフルなリモートワークを続けることで、脳・心臓疾患を発症したり、鬱病等の精神疾患を発病するといった事例が今後発生してこないか。また、発症しても労働時間や心理的負荷の立証が困難で、労災認定が得られない場合があるのではないかといったことが懸念されるところであります。
そこで、以下の4点について厚労省にお尋ねします。
1つは、現在のリモートワークの導入、拡大状況についてどの程度把握されておられるでしょうか。
2つ目に、リモートワークで就労させる場合の始業、終業、休憩、中抜けなどの労働時間の管理や、時間外、休日出勤手当の支払いなどが十分に行われていると認識しておられるかどうか。
3つ目に、リモートワークの場合に良好な作業環境が確保されていると考えておられるかどうか。
4つ目に、これらについて今後どのような対策を考えておられるかをお聞きしたいと思います。
2点目は、いわゆる雇用によらない働き方、雇用類似の働き方と言われる就労形態の問題です。このようないわば雇用契約の外延の問題は、家内労働や一人親方など古くからありましたが、近年、インターネットの急速な発展拡大の中で、多様化、複雑化しながら広がってきているのではないかと思います。
その背景には、働く側の様々な事情やニーズもあるとは思いますが、簡単に契約を打ち切ることができる、社会保険等の負担が少ない、もしくはない、最低賃金や時間外手当の支払いの不要などといった雇用する側の事情が大きいのではないかと思います。
実際に私が関わっている事案を2つほど御紹介したいのですが、高速道路で事故などをレッカー車で引き取りに行く会社で長年業務をしてきた人が脳内出血を発症したという事例で、倒れる2か月前に税務対策として雇用契約を請負契約に切り替えていたために、奥さんが労災申請をしても、労基署は労災保険の適用がないとされたケースがあります。
2つ目に、大手の楽器会社の系列会社が営んでいる英語教室の講師の方は、全て会社の作成したテキストやマニュアルで授業を行って、自らの裁量が全くない。しかも、源泉徴収までされているのに、会社との契約は委任契約となっておりまして、時期によっては非常に長時間労働になったり、レッスンの30分前到着、各種会議への出席など、報酬が払われない無償の業務がたくさんあり、その結果、実質的最低賃金を割り込むような場合もあったとのことであります。これについて疑問に思った労働者が労働局に相談に行ったところ、あなたは委任契約だから労働者ではないと相手にしてもらえなかったということがありました。
いわゆる労働者性の判断基準については、1985年に当時の労働省に設置された労働基準法研究会の報告書があり、これが現在でも判断基準として使われていると思いますが、労働者の労働実態が全く変わっていないのに、雇用主の都合で請負契約に切り替えられる前と後とで労災補償が受けられるかどうかが全く変わってしまうというのはどう考えてもおかしいと思いますし、また、税務当局が雇用契約と見て源泉徴収を行っているのに、会社が委任契約と扱っていることで様々な不利益が生じている、通勤災害なども補償がないといったことはどう考えてもおかしいように思います。
そこで、以下の2点について厚労省にお尋ねします。
実態から見て労働者なのに、労働契約と別の契約形式で働かされているようなケースについて、労働者から相談や申告がなくても国として積極的に調査をし、実態が労働者であることを把握できれば、労働契約に切り替えるよう積極的に動いていくような仕組みがないのか。是正させる仕組みがないのか。また、そのような積極的な啓発を行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
2つ目に、このようないわゆるグレーゾーンのケースについて、少なくとも労働者から申告があったり、労災申請がなされたりした場合には、労基署は労働者性について労働者保護の観点から調査を行い、従前の経緯や実態から見て問題がある場合は積極的に雇用契約に切り替えるよう指導すべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。過労死防止大綱の表題にある「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」を実現するためには、雇用類似の働き方をされている方たちに対して、労働者保護の見地から働きかけを強めていただければと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員、お願いします。宮本委員はその後で。
○髙橋委員 過労死防止全国センターの髙橋幸美でございます。
若い人の過労自殺が増えていることに心を痛めております。
私からは、労働基準関係法令違反の公表制度と監督について質問と要望を述べさせていただきます。
長時間労働削減と過労死等の防止に向けた取組として、2017年度より法令違反の企業名の公表がされ、4年目になります。法令ごと、労働安全法、労基法32条、40条などの公表件数の推移状況、合計数などを集計されていないかどうかお聞きしたいと思います。
また、これについて、厚労省のホームページで公表していただけないでしょうか。現在は1年経過するとリストが更新され、過去の違反を見ることができません。送検された事業所の是正状況や引き続きの監督指導など、チェック体制がきちんと行われているのか、この項目の記載を設けるなどもしていただけないかと思います。1年ごとの更新ではなく、各年度ごとにリストを残してもらい、公表内容も、時間外労働は最長時間や過労死、過労自殺などの被災状況を記載し、長時間労働や過労死の防止に有効な公表制度へ発展させてもらいたいと要望いたします。
と申しますのも、娘の勤め先だった広告代理店では、労基法違反の有罪後、2018年度に特別条項の75時間を超えた事例4件、最長は156時間54分。また、特別条項を申請せず延長していたり、安全衛生委員会の違法な運営などで三田労働基準監督署が昨年9月に是正勧告を行っていたことが、12月、新聞報道で明らかになりました。東京五輪の運営に携わっていた社員のパワハラ事案についても社内処分をしたことが報じられています。新聞の報道がなければ、労働局からも企業側からも公表の機会はなかったと思います。
この会社は社会的に大変影響力のある大企業です。その企業で何十年にもわたり社員の過労死を何人も出しても社風は変わっていません。娘の入社当時も再三是正勧告を受けていたのに、上司は残業隠しを指示し、長時間労働の末、娘が亡くなりました。社員の命と安全を守らない、これほど危機感のない企業と従業員が経営を続けているのが現状です。
ほかの事例では、社員の過労死があっても送検されていないとリストには載りません。数年前、家族の会の寺西さんが大阪労働局に過労死を出した企業名の開示をする裁判を起こされましたが、公表制度が過労死の防止に有効であるためには、違反内容をより詳しく公表し、公表もわずか1年で更新することなく、一人でも過労死、過労自殺を出した企業の公表と、企業からも再発防止の公表を義務づけるなど、仕組みをつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
相談窓口の充実など、働く人の救済制度と併せて、こういうところからしっかりと使用者側の啓発や働きかけをしてほしいと思います。
最後に、以上を含め、過労死を出した企業への監督もあわせて引き続きお願いいたします。
以上、よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本でございます。
先ほど、岩城委員が御質問されたようなことと似たようなことを思っておりましたので、重複しない範囲でお話しさせていただければと思います。
今のコロナ禍で大分脆弱性が明らかになった部分として、フリーランスの方々の業務実態があろうかと思います。特に放送業界ですとか出版業界、IT業界は大変フリーランスが多いということがありますし、昔から建設業や自動車業界もあったということで、このフリーランスの方々の過重労働の実態、あるいはコロナの影響面についてもそうですけれども、そもそも労働の実態があまり明らかになっていないのではないかと思っております。何かあった場合、先ほど話題になった労災の申請であれば、建設や自動車ですと一人親方制度ですとか特別加入制度というものがあるのですが、放送や出版、ITだとそれに該当していないのではないかと思っておりまして、1つ御質問としては、こういった労働実態の非常に脆弱なフリーランスの方々への特別加入制度が拡大していく可能性はあるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
また、今までの過労死等の実態調査の対象として、フリーランスの方々は入っていないのではないかと思うのですが、かなりの部分をフリーランスの方が占める業界、例えば放送や出版、ITも含めですけれども、こういったところはフリーランスの方を入れた調査が可能なのかどうかということについてもお伺いしたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございます。
それでは今、4名の方から御意見、御質問をいただきましたので、それについて担当のほうから御回答をお願いいたします。
○石垣監督課長 監督課長でございます。
まず、テレワークにつきましてお話がございましたので、私どもの現在の考え方、取組を申し上げたいと思います。
岩城委員からも若干言及がございましたが、テレワークにおいても適正な労働時間管理が必要でありますので、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」というものを、私ども厚生労働省でつくっております。その中で、労働時間管理の仕方について事業主の方々などに周知・啓発を図っております。
このガイドラインの中で一部お話を申し上げますと、テレワークにおける労働時間管理につきましても、社内での勤務時と同様に使用者が労働時間を把握する場合には、原則としてパソコンの使用時間の記録など、客観的な記録で把握をして、自己申告などについてはやむを得ない場合によるとされております。
テレワークの場合も含めてでございますが、労働時間の適正な把握は非常に大事でございますので、私ども厚生労働省としましては、あらゆる機会を通じて周知を図っているところでございます。
また、監督指導などを行いました場合に、適正な労働時間の把握が行われていないと認められる場合には、事業主の方々には指導などを行っております。また、過重労働が認められた場合には、時間外休日労働も削減していただくように指導を行うなど、そういったことで過重労働にならないように取り組んできておりますが、最近コロナの関係でテレワークでの在宅勤務などの形で働く方々も増えているということですので、私どもとしましてもよくそういうところを注意しながら、今後とも業務に当たってまいりたいと考えております。
続けて恐縮でございますが、雇用類似の働き方について岩城委員からもお話をいただきましたし、宮本委員のほうは労災の特別加入絡みということでございますが、雇用類似の働き方でお話をいただいております。
先ほどの学生のインターンシップにもつながるものでございますが、私どもとして、労働者性の判断につきましては、契約の形態が形式上どういう形になっておりましても、指揮監督の状況などの実態を見て判断をするということで取り扱っております。ですので、個別の例を幾つか挙げていただきましたけれども、それについてはここではなかなか言及ができませんが、いずれにしましてもいろいろな状況をよく確認しまして、先ほど申し上げたように労働者としての実態がある場合には労働基準関係法令が適用されますので、必要な是正を図っていくことになろうかと思います。
それから、長くなって恐縮ですが、髙橋委員からお話をいただきました企業名公表制度についてでございます。こちらにつきましては、私ども、御指摘のとおり、企業名公表制度ということで運用しております。
まず、こちらの中で数についてのお話があったかと思うのですが、令和2年6月30日現在で厚生労働省のホームページに掲載している事案の中で、労働安全衛生法違反に関する送検事案は340件となっておりまして、それ以外のものが113件でございます。これについてもう少し詳しく公表する、あるいは1年を超えてもというお話をいただきました。この公表の目的につきましては、公表自体が企業に対する制裁ということではありませんでして、他の企業において労働基準関係法令を遵守すべきことを御認識いただきまして、自主的にお取り組みいただくために公表しているものでございます。
ただ、この公表制度とは別に刑罰もございますし、また、労働基準関係法令に違反しているということで監督官が是正勧告を行った場合には、その後、再監督をする、あるいはちゃんと改善されたか報告をさせるという手法で、その事案ごと、形態ごとによって事後の確認をするような形で業務を行っております。
まだまだ改善をするべき点もあると思いますので、どうやったら再発が防止されてしっかりと労働基準関係法令上問題のない形にしていただけるかということは、今後ともよく検討して、改善をして取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○髙橋委員 もちろん企業への制裁の意味合いではなく、事業所への啓発のために改善に取り組んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い致します。
○久知良総務課長 宮本委員からございました特別加入のお話でございます。直接の担当者がおりませんので、私のほうから答えさせていただきます。
特別加入の制度の見直しについて、先般、6月1日から労働政策審議会の労働条件分科会労災保険部会においてまさに議論を開始しているところでございます。今後、その議論を踏まえまして、また必要な対応を取っていくということにしているところでございます。
○井内労働衛生課長 労働衛生課長でございます。
先ほど岩城委員のほうから、コロナ対策の一環で急速に広がったリモートワーク、テレワークの中での心臓疾患、脳血管疾患、メンタルへの影響ということでどのような対応をということでございました。
これにつきましては、先ほどもお話しさせていただきましたが、我々といたしましては、まずはどのような問題が現場で起きているのかといった整理から始めまして、どのような対応をするか、そういった中で、御指摘もございましたとおり、作業環境による影響というようなこともあるかと思っておりますので、そういった観点も入れまして検討をさせていただきたいと思っております。
○中窪会長 よろしいですか。ありがとうございました。
まだあるかと思いますけれども、先ほど遅れておりました文部科学省の担当者の方が到着しておりますので、資料5について御説明いただくということにしたいと思います。
○菊地初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省初等中等教育企画課の菊地と申します。
本日、ちょうど同じ時間帯に中央教育審議会が開かれておりまして、その関係で遅参いたしましたことをまず最初におわび申し上げます。
文部科学省における対策の実施状況につきまして、特に前回の会議が開催されました10月以降の状況を中心に、簡潔に御説明をさせていただければと思います。
資料5、28ページ以降でございますが、まず29ページをお願いいたします。
学校における働き方改革についてでございます。これまでの本協議会において、中教審における答申の内容などを御説明申し上げてきたところでございますが、教員の勤務実態調査からは、教師の勤務時間が長時間化していること、その原因が若手教師の増加や総授業時間数の増加、中学校における部活動指導の増加などであるということが分かっているところでございます。
こうした状況を改善するために、真ん中の緑色の箱にありますように、上限ガイドラインの設定や学校・教師の業務の適正化、条件整備、右側にあります休日のまとめ取りの推進などの施策を着実に展開していくということとしております。
30ページをお願いいたします。
働き方改革に関連いたしまして、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、給特法と我々は呼んでおりますが、これを改正いたしました。昨年12月に成立しているものでございます。
改正内容は大きく2点ございまして、1つは1ポツにございますように、休日のまとめ取りのため、公立学校の教師に対しても1年単位の変形労働時間制の適用を選択的に導入できるようにするということ。
それから、2つ目のポツにありますように、大臣の定める業務量の適切な管理等に関する指針を策定するということでございます。
31ページ以降に指針の概要を載せております。これまで「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」というものを策定しておりましたが、この給特法に基づく指針という位置づけを与えて、法的根拠をもってその実効性を高めていこうというものでございます。指針自体は令和元年1月に大臣告示として公示いたしまして、今年4月から既に施行されております。
指針の中では、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として、外形的に把握することができる時間を在校等時間として勤務時間管理の対象とし、時間外在校等時間の上限時間を設定するとともに、32ページになりますが、教育職員の服務を監督する教育委員会などが講ずべき措置について記載をして、各教育委員会に取組を求めているところでございます。
少しページが飛びまして、36ページをお願いいたします。
休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制の話でございます。学校に夏休みなどの長期休業日がありますので、そこで連続して休日を設ける場合に活用できる制度となっております。この1年単位の変形労働時間制の関係の規定につきましては、来年、令和3年4月1日から施行されることとなっておりまして、現在文部科学省令などの策定作業を進めているところでございます。
38ページをお願いいたします。
38ページ以降におきましては、昨年12月25日に取りまとめて公表いたしました、教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果というものを載せております。
39ページをお願いいたします。
中央教育審議会の答申や勤務時間上限ガイドラインを踏まえまして、ICカードなどを活用した勤務実態の客観的な方法での把握についての調査でございます。都道府県では66%、政令市では75%まで伸びているところでございます。
40ページ以降になりますけれども、一方で、地域によるばらつきというものも見られることから、今後さらにこの取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
資料飛びまして、42ページ、43ページを御覧いただければと思います。
これは令和2年度の予算、補正予算の資料を載せております。働き方改革のための環境整備や新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた児童・生徒の学びの保障のために必要な人的体制の充実なども引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
このほか、資料にはございませんけれども、現在、中央教育審議会におきまして、新しい時代の初等中等教育の在り方についても議論を行っているところでございます。その中では、小学校高学年からの教科担任制の本格的な導入ということについても現在議論しているというところでございます。
44ページをお願いいたします。
44ページ以降は、公立の教師の公務災害認定における相談窓口などの調査結果でございます。
48ページをお願いいたします。別添1となっているところでございます。
長時間勤務をはじめとする勤務条件についての相談窓口の設置状況でございますが、記載のとおりでございます。中ほどにありますように、都道府県では教育委員会、人事委員会のいずれにも設置していないというところが14、それから、指定都市ではいずれも行っていないというところが11ございます。
49ページでございます。
メンタルヘルス不調等の健康障害についての相談窓口の設置や周知の状況についての調査結果となります。
その次の50ページでございます。
公務災害の可能性がある事態に至った場合に、職員自身が公務災害認定に関する相談ができる窓口の設置や周知の状況でございますが、これも中ほどにありますように、いずれも行っていないという都道府県が29、政令指定都市では14という状況でございました。
調査の結果からは必ずしも対応は十分ではないという状況がございます。文部科学省といたしましては、相談窓口の設置や積極的な周知につきまして、各教育委員会に対して既に通知をしたところではございますけれども、機会を捉えまして繰り返し訴えかけていきたいと考えているところでございます。
文科省からの説明は以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、ただいまの文部科学省からの御説明も含めまして、改めて御質問や御意見等をいただきたいと思います。
工藤委員、お願いします。
○工藤委員 神奈川家族の会の工藤と申します。ありがとうございます。
教師の働き方について2点ほどお尋ねしたいと思います。
まず、今説明いただきました資料5-2についてです。昨年の協議会で教師の労働の相談や公務災害について質問させていただきまして、その後にすぐこのように実態調査をしていただいて、こういう通知を出していただき、御対応いただきましたこと、感謝申し上げます。
予想はしていたのですけれども、先ほどもお話があったように、残念ながらまだ十分ということではないのですが、不十分だと分かったことが私たちにとっては次につながる大きな一歩だと期待しております。
7月1日までに今回のコロナのメンタル対策についても通知が出されていましたが、このようなことが出てもなかなか現場の先生までに行き届かなくて、今も誰にも相談できずに孤立して悩んでいる先生がたくさんいらっしゃるという現状があります。先ほど、これからも周知・啓発をしていかれるというお話をいただきましたけれども、具体的にどのように現場の先生にまで下ろしていくかということをお尋ねしたいと思います。
また、公務災害では、当然ながら総務省との連携として、設置や周知になると思いますけれども、その点と、先ほどの厚生労働省のポータルの「こころの耳」についても、教職員が相談して、そこから専門の機関に回していただくということ、LINEとかで気軽に相談できるのだったらそれは本当にありがたいなと思いますので、そういうことはできるのかということをお尋ねしたいと思います。教職員の方はどうしても委員会や人事委員会に相談しづらいという声を聞きますので、また、今、ハラスメントの問題も大変多くなって相談も多いので、そちらのほうにも重点を置いていただきたいと思います。
それから、資料5-1についてですけれども、教師の働き方について文科省から御説明があった指針や多くの取組などが示されていること、大変心強く思います。
現在コロナ禍でありますけれども、今年4月から始まった上限45時間以内を死守するために、現場では早めにタイムカードを押すように言われて、その後また仕事をさせられるといういわゆる時短ハラスメントの声をよく私のところも聞きます。
また、コロナ休校明けの今、学習の取り戻しや児童・生徒対応、消毒作業などが新たに加わって、長時間、過密、高ストレスの労働となって、土曜出勤も当たり前という現状があります。土曜出勤の振替分は今はできないので夏休みにするようにと言われていると結構聞くのですけれども、ただでさえ夏休みが短くなっている状況で、本当に夏休みに取れるのか、有休はどうなるのか、振替休日はどうするのか、コロナの第2波が来たらどうするのかという不安を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。
このままでは教師はますます無制限で何でも屋のような働き方になってしまって、先生方自身が過労死を身近なものとして、今まで以上に不安に思っている。過労死という言葉が先生から出てくるのは本当にごく最近のことです。ですので、文科省からの通知でも弾力のある指導内容と示されているのですけれども、やはり委員会や管理職が忖度とも思われるような対応をされて、我慢して働きましょうとか教育課程を全部終わらせようという雰囲気に学校自体がなってしまって、現場の先生が何も言えずに我慢して働くしかないとなっているところも多いです。
このような点について、文部科学省のほうでは、どのぐらい把握して、どのように対応されているかということをお伺いしたいのと、また、教職員については文科省がこれだけ働き方について示されているにもかかわらず、過労死等起きたら総務省が過労死等事案を一手に扱い、労働問題の全体は厚労省という縦割りの行政の中で、教師の過労死等についてどこが全体を把握していて、分析して、その結果を生かしてどこが防止をしていくのか。その所在が私の中ではなかなか見えてきません。それが教職員の過労死等防止の対策を遅らせている大きな原因の一つではないかと考えています。その点についても、具体的に各省庁の連携ですとか、中心になって進めていくような所在をお伺いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、まずは則松委員にお願いしまして、その後黒田委員ということでお願いいたします。
○則松委員 ありがとうございます。日教組の則松と申します。
私も今の文部科学省の御説明を受けて、学校現場における直近の状況についてお話ししながら、2点文部科学省のお考えと対応策等をお伺いできればと思います。
まず1点目は、時間外の在校等時間に係る上限規制に関する条例制定についてです。
本年4月の給特法の改正に伴う教職員の時間外の在校等時間、いわゆる時間外勤務の上限に係る条例制定を各自治体が実施しているところですが、日教組の調査によると、3月半ばの段階で条例制定が完了していない自治体が都道府県段階で4割に上っていました。また、この6月の議会に制定が持ち越された自治体もありますが、案の定6月の議会にすら提出がなされていないという自治体も存在しています。
教職員の長時間労働解消に向けては、早期に市町村段階まで条例が整備される必要があり、そのスケジュールが今遅れているということは、過労死等防止という観点からも大変大きな懸念事項だと思っております。この点についてのお考えと御対応があればお聞かせいただきたいと思います。
もう一点は、新型コロナウイルス感染症の拡大に関する事項と、長時間労働についてです。御承知のとおり、2月末からほとんどの自治体が学校の一斉臨時休業という形を取りました。当初、各地の日教組の単位組合へは、臨時講師や非常勤講師という非正規の形で働いている教職員から、授業が実施されなくなったことによりいわゆる雇い止めのような状態になるのではないか、という不安の声が次々と寄せられました。メンタル的にもまいっているという声でした。この不安については、文科省の対応により早々に解消されました。
ただ、休業となった学校現場からはいろいろな声がその後も上がってきまして、1つは、学校に勤めて以降初めて定時出勤、定時退勤ができているという声でした。これは本来の授業とその授業準備がなくてその状態になったということなのですが、一方で、在宅中の子供たちへの個別対応のために、5月の時間外勤務が150時間に及んだという方もいました。この後、教職員にも在宅勤務が拡大していきましたが、家にいて仕事をするなどイレギュラーな生活によってストレスを抱えている教職員は増えていると思われます。
現在、子供たちの登校が徐々に再開されていますが、先ほど工藤委員からもありましたように、遅れを取り戻そうとして頑張っている先生というような見出しの新聞記事も最近見ることがありました。こういうことを称賛するような雰囲気によって、また学校現場にストレスがかかるのではないかと懸念しています。
学校現場が新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に関する業務も行っている中で、一気に休校前の多忙な状況、長時間労働が当たり前の状況に戻ることによって、精神的負荷を感じる教職員が急増しないかということを、今懸念しております。業種によっても課題は様々あると考えておりますけれども、そのようなイレギュラーな状況後の学校スタートということで、この点に着目した対策が必要と考えています。先ほど、メンタルヘルス対策の留意点について、通知が出された旨お話があったかと思いますが、この点につきまして、もう一度どのような対応を考えておられるかということをお聞かせいただければ嬉しく思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、黒田委員。
○黒田委員 過労死防止学会の黒田です。
今日の協議会では、多くの委員からコロナ問題に関わる働き方、労働実態についての議論が出てくるだろうと予想しておりましたけれども、案の定、大変大きな問題を抱えた働き方になっている現状について、いろいろな委員からも発言がありますし、それから要望もありました。
私は、この件は企業で働く人たちにとってみて、景気変動に伴うものではなくて、いわば感染症ですので、この秋にもまた大きな波が来るのではないかと言われていますし、世界的に見ても終息する方向が全く見られない状態の中で、恐らくこの数年間はコロナとどのように付き合っていくのかということは大きな課題になり、働く側にとってみてもそれはとても大きな問題ではないのかなと思うのです。
その点で、具体的には、大きく言えば、以下の3つの課題が浮かび上がっています。まず第1はテレワークが増えていることです。この働き方は、もちろん通勤電車に乗らなくても済むといういい面もあるのですが、しかし、それに伴う様々な負の側面は大きくなってくるのではないでしょうか。先ほどガイドラインとしてPCのログオン、ログアウトで管理するという御返答があったと思うのですが、しかし、もちろんそれをベースにしながらも、今回のテレワークの問題については、こうした危機的な状態の中におけるテレワークですが、これを契機に、今後の平時にも増えていく可能性を持っているのではないかと思うのです。そういう面からすると、このテレワーク問題については、長時間労働を防止するという面から、時間管理を含めた新たな働き方のルールを確立する必要があります。そのためには、ここの協議会だけではなくて全体として客観的にどうなっているかということを把握する必要があるのではないかというのが1つです。
2つ目に、同じような面からすると、医療関係者も含めてエッセンシャルワーカーと言われている人たちの超過密労働、長時間労働を、一方では、3点目に指摘したいと思う失業問題も含めて、こちらは失業ではなくて働き過ぎが強制的に行われているのですが、公務労働、医療関係者などを含めたエッセンシャルワーカーの労働実態はどうなっているのかということ、これを客観的に調査する必要があるということです。それと、先ほど岩城委員がお話しされていたフリーランスの問題も、労働実態がなかなか把握し切れない問題かと思います。エッセンシャルワーカーとフリーランスの問題については、重点を踏まえて特別の調査を実施していく必要があるのではないでしょうか。
最後は、この数日間も報道されていますように、有効求人倍率の数値、それから、失業率の、完全失業者も含めた雇用状態が非常に悪くなっているという現状、これについても緊急に調査すべきです。
今、指摘させていただいた3つ、最初のテレワーク、2つ目はエッセンシャルワーカーとフリーランスの問題を含めた労働実態、最後に、新型コロナ感染拡大に伴う失業と労働市場の悪化状態、これらについて、私のほうからの要望なのですけれども、厚労省の担当者の方でお分かりになれば教えていただきたいのですが、こうした本当に予期せぬ危機的な状態の中で、一体どうなっているかということを客観的に分かるような調査をまずはすべきではないかと思うのです。それ自体は第2波に間に合わないかもしれませんけれども、しかし、将来的にはとても大事な問題ですので、それをぜひ計画の中に入れて、この協議会を超えてしまうかもしれませんが、お願いしたいと思うのです。厚労省の関係者の皆さん、その辺、どうなのかということをお聞きしたいと思います。
以上です。 
○中窪会長 ありがとうございました。
いろいろ御意見をいただきましたけれども、使用者側から何かありましたら、最後にお願いします。
○湊元委員 日本商工会議所の湊元です。
質問ではありません。意見を手短に申し上げたいと思います。
今般の新型コロナウイルスの影響で、企業は非常に大きな打撃を受けております。先行きが不透明な中で雇用調整助成金などを活用しながら、懸命に雇用維持に努めているところです。いずれにしましても、企業が円滑な企業活動を行うためには、労働者が健康で意欲的に働くことが不可欠と思っております。企業としては感染防止に努めながら、時間外労働の抑制や有給休暇取得促進等を通じて、労働者の健康を確保する環境を整備していきたいと思います。
政府の取組もあり、企業の働き方改革が進捗しております。今年4月からは中小企業の時間外上限規制も導入されておりますが、まずはこの働き方改革をしっかり浸透させることが大事だと思っております。しかし、経営資源が限られた中小企業の中には、対応にあたって多くの課題を抱えている企業もあります。商工会議所としては、中小企業の働き方改革が進むよう、昨年4月から厚生労働省と連携して中小企業の支援に取り組んでおります。引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
また、中小企業にとって、働き方改革とともに、いかに生産性を高めていくかが重要です。政府におかれては、資料1の17ページにある中小企業、小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業を通じて、より多くの中小企業にきめ細かな支援が行き渡るよう、充実、強化をいただくとともに、取引の適正化への支援などを通じて生産性を高める環境整備への御支援をお願いいたします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、最後ということで手短にお願いいたします。
○佐久間委員 資料1の16ページに、商慣行・勤務環境等も踏まえた取組というものがあります。情報通信技術者の労働条件を向上させる取組という中で、社会保険労務士を対象としたIT業界の働き方改革のセミナーを開催する等があるのですけれども、重点的にこの分野を対象にして実施することは分かるのですが、ほかにも、例えば医師の関係も例外ではないと思います。それから、運輸、建設の関係、様々な業界でこういう過労死の関係のものがありますから、社会保険労務士の方々に当該業界の特質を知ってもらい、経営の面へも入ってもらうことも重要だと思います。また、中小企業庁と連携をして、中小企業診断士に業務改善を行う手法など、いかに過労死を防ぐために改善をしていくかということも連携を取ってやっていただきたいなと思います。
それと、次の17ページに働き方改革推進支援事業のところで働き方改革推進支援センターの関係が記載されています。働き方改革推進支援センターには、昨年度、年間で約4万5000件を超える相談があったとお伺いしていますけれども、例えば過労死に結びつくような長時間労働とか、この中でも同一労働同一賃金の関係もあります。こういう分類で、長時間労働だけではなくて、様々な項目が結びつくと過労死というものにつながってくるかもしれませんけれども、同支援センターは事業主が相談するところでございますので、もうちょっと分類を明確にしていただいて、集計はされていると思うのですが、過労死の相談がこれだけ増えているのだということが分かるようなことも教えていただきたいなと思っています。
お願いで恐縮ですけれども、以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、幾つか御意見も含めて御質問が出ておりますので、それぞれのところから御回答をお願いいたします。
○菊地初等中等教育企画課課長補佐 御質問ありがとうございました。文部科学省でございます。
まず、総論的なことで申し上げますと、やはり今回の新型コロナウイルス感染症の対応に伴いまして、学校の先生方、職員の方々が大変な苦労をしている実態につきましては、私どもも十分承知しているつもりでございますし、直接または人づてにそういった状況を聞くことも多くございます。そのような中で、先生方がこれまでと異なる環境に置かれて、しかも、子供たちまたは地域のために職務に励まれているというところでございまして、いつもとは違う精神的な緊張や心身の過度な負担につながるというような状況に置かれていることを非常に心配しているところでございます。
そのために、先ほど御紹介もいただきましたけれども、教職員のメンタルヘルス対策について、特に新型コロナウイルス感染症の対応に伴って留意していただきたいことを先月通知したところでございますが、引き続き状況を注視しながら対応していきたいと思います。
御質問いただきましたことについて簡単に御説明いたします。
まず、実態調査の結果について不十分であったということについては、先ほど申し上げたとおり、私どももそう思っております。その上で、今後これを実行するために、どのように現場まで届くようにしていくのかということでございます。まず、様々な働き方改革の各種文書、通知の中で、今回資料にさせていただいております通知も参照しながら、この状況をしっかりと周知をして取組を促すということをやっておりますのと併せて、今後、各都道府県や政令市の人事管理担当者を集めたような研修会の中でもこの話をしていきたいと思います。
あわせて、今、コロナの関係で少し止まっておりますけれども、働き方改革について各都道府県に説明をしていくようなこともやっておりましたが、このようなものを再開できる、またはオンラインでこれをやっていく際には、同じように相談窓口の設置や周知について訴えていきたいと思います。
それから、土曜日の振替の話もございました。今回、夏休みを短くするところもあれば、土曜日に授業をすることで授業日数を確保しようという自治体も多くございます。各自治体において検討されているところでございます。
文部科学省としては、土曜日に授業を行うのであればしっかり振替をしていただきたいということで、これも6月に通知を出させていただいておりますけれども、しっかりと振り替える、ただ、それを夏休みに振り替えるだけではなくて、時間割を柔軟にする、例えば専科の先生の担当のコマをうまく集中させることで、その週の中で振替ができることもあるのではないかとか、工夫例も併せて示した上で取組について通知をしているところでございます。
このようなことも活用しながら、または実態を踏まえて、各教育委員会で適切に運用がされるように注視していきたいと思います。
それから、公務災害の関係で、厚生労働省、総務省、文部科学省とどこが中心になって全体を分析し考えていくのかというような話もございました。基本的には、総務省、厚生労働省、文部科学省3省それぞれしっかりと連携をしながら進めていくというのが答えになるのでございますけれども、例えば地方公務員の公務災害補償制度については、公立学校の教職員も含めて総務省において所管していただいておりますけれども、平成29年度には総務省と協力して教職員の公務災害事案について、その特徴であったり典型事例について調査を実施したり、また、その調査結果について教育委員会に対して周知を行っているというような取組もございます。しっかりと連携をしながら、縦割りだという御批判をいただいて進んでいないと思われないようにしっかり対応していきたいと思うところでございます。
また、併せて「こころの耳」の話もございました。学校の先生方の相談の窓口としては、公立学校共済組合が実施しております健康相談事業というものがございますので、文科省ではこれを積極的に周知しておりますけれども、文科省から各教育委員会に対する通知の中で「こころの耳」も紹介をしていたり、公立学校共済組合のホームページでページをたどっていきますと「こころの耳」のリンクが貼られていたりします。今後機会がありましたら、私もこういったものを紹介していきたいと思っております。
そのほか、上限時間の関係の条例の制定状況についてのお話もございました。おっしゃるとおり、しっかりと国で指針を示すだけではなくて、各都道府県、政令市、または市町村にしっかりと対応していただく必要がございますけれども、私どもが聞いております話だと、今年3月までになかなか準備ができなかったところはございますが、6月議会、また、今後令和2年度中の9月議会、12月議会の中でしっかりと対応していきたいという都道府県、政令市がほとんどでございます。また、条例のみならず、条例と併せて教育委員会規則の中でしっかり上限を設けて、実効的な取組にしていきたいという声も聞いておりますので、この状況も把握していきながら、しっかりと適切に指導、助言をしていきたいと思っているところでございます。
あとは、精神的に先生方が大変な状況については、先ほど申し上げたとおり我々も把握しておるところでございますが、通知を出して、その中で先生方の心のケアもしっかりやっていきたいと思います。
以上です。
○久知良総務課長 黒田委員からもございましたし、多くの委員からもございましたけれども、コロナの関係でございます。私どももある意味3月、4月、5月と本当にリアルタイムで変わっていく状況に対応してこれまでやってきたということがありますので、ある意味、今日の時点で十分な分析やお答えができていない部分はあったかと思います。今後、コロナの状況というのがどういうふうに展開するかというのは、正直まだよく分からない部分もございますけれども、コロナについては本日委員の皆様からいただいた意見も今後の事業運営、検討に生かしてまいりたいと考えております。
また、コロナ以外の御意見もいただいたところでございます。それについても、私どもの今後の事業運営なり検討に生かしていきたいと考えてございます。
○黒澤労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。
湊元委員と佐久間委員から働き方改革の御質問を頂戴いたしました。まず、両団体におかれましては、働き方改革の連携協定、あるいは働き方改革推進支援センターの運営におきましてお力添えをいただいておりますこと、感謝申し上げます。
お二方から御指摘を頂戴いたしましたように、今後とも、特に社労士、中小企業診断士、経営相談の関係、あるいは中小企業庁などとも連携を図りながら、取引環境の改善も含めましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
それから、御指摘がございました働き方改革推進支援センターでの相談の内容などでございますが、やはり主として企業で御利用いただいているということもございまして、この間見てまいりますと、働き方改革関連法によります改正法にどう対応するか。あるいは、そのための一つの策として業務改善をどうやっていくのかというところが中心となってございますが、今後ともよくそういった相談者の生の声、あるいは利用されている実態といったものをよくフォローしてまいりたいと考えてございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、まだほかにいろいろ御意見はあるかと思いますけれども、時間も過ぎておりますので、本日はここまでとさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
関係機関におかれましては、本日出されました意見を踏まえ、今後対策をしっかり行っていただきたいと思います。また、特に本日新型コロナウイルスの関連で過労死等防止対策の話が出ておりますけれども、それについて防止対策の在り方等、いろいろな御意見をいただきましたので、今後の対策や大綱の見直しの議論に生かしていただきたいと思います。
それでは、本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。