薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和2年度第2回運営委員会議事録

日時

令和2年6月10日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(8名):五十音順、敬称略 ◎委員長 ○委員長代理




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 大隈 和



一般社団法人日本血液製剤機構:敬称略
 
  • 植田 正幸
  • 津田 昌重



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 石丸 健
  • 後藤 直子




事務局:
 
  • 古元 重和  (血液対策課長)
  • 菅原 高志  (血液対策課長補佐)
  • 中村 梨絵子 (血液対策課長補佐)
  • 野寺 快明  (血液対策課長補佐)
  • 田井 貴         (血液対策課長補佐)
  • 若林 雅之     (需給専門官)

議題

  1. 1.感染症定期報告について
  2. 2.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3.血液法施行規則等の一部改正案について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 
 
○中村課長補佐 ただいまより、令和2年度第2回運営委員会のWeb会議を開催します。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における出欠状況ですが、委員8名全員に御出席いただいていることを御報告します。また、本日は、参考人として国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室大隈和室長、一般社団法人日本血液製剤機構より植田正幸事業本部長、津田昌重経営戦略部長に御出席いただいています。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所所長、石丸健技術部次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいています。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承をいただければと思います。
なお、事務局の異動がありましたので、御報告します。血液対策課課長古元重和の異動がありましたので紹介します。
○古元課長 委員の皆様、こんにちは。今日はありがとうございます。石川の後任で4月より参りました古元と申します。国民の方に安全な血液製剤を提供できるよう、引き続き皆様の御協力をいただきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。以上です。
○中村課長補佐 併せて、課長補佐以下の異動もありましたので、こちらで御紹介させていただきます。課長補佐の野寺、また需給専門官の若林、私、課長補佐の中村も異動していますので、どうぞ引き続き宜しくお願いします。
それでは、以降の進行は、田野﨑委員長にお願いします。
○田野﨑委員長 皆様、こんにちは。初めてのWebですので、皆さん聞こえていらっしゃると思いますが。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いします。
○中村課長補佐 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問されたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはメッセージに記入していただくよう、事務局又は委員長からお願いをする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて委員長より発言者を御指名いただきます。以上です。
○田野﨑委員長 皆さん、聞こえていらっしゃいますでしょうか。それでは、今までのところで何か御質問があればと思いますが、宜しいでしょうか。何かありましたら、顔が見えていますので、手を挙げていただいても、そういうのでも結構です。それでは、岡田委員がミュートにしていただいたら良いかと思います。そうしましたら、議題1「感染症定期報告について」、事務局より資料の説明をお願いします。
○野寺課長補佐 事務局の野寺と申します。聞こえていらっしゃいますでしょうか。
○田野﨑委員長 皆さん、今、聞こえていますでしょうか。聞こえてらっしゃれば、ちょっと手を上げてとか。聞こえてらっしゃらない。聞こえてないのですね。
○野寺課長補佐 事務局の野寺です。それでは、資料1について説明いたします。資料1-1を御覧ください。こちらは、令和元年12月から令和2年3月に受理した感染症定期報告の研究報告です。文献は計19あり、右から2列目に番号を付しております。文献番号1番は、B型、C型肝炎に関連したものです。スカンジナビアのデータベースを用いた解析の結果、B型、C型肝炎ウイルスのドナースクリーニング導入以降、輸血による肝疾患の発症は稀であることが示唆されたとのことです。
文献番号2番はE型肝炎に関連したものです。米国のデータベースを用いた解析の結果、HEV血清陽性率は、2013から2014年の5%から、2016から2017年の7.7%に増加したとのことです。
文献番号3から7番は、新型コロナウイルス感染症の症例に関する報告です。輸血や血液製剤による感染との記載はありません。
文献番号8から10番はデング熱に関連したものです。通常、デングウイルスを保持した蚊が吸血することで感染するとされておりますが、8、9番がヒト、同性間、10番がヒト、異性間での感染事例に関する報告であり、性感染によるヒト-ヒト感染の可能性を示唆するものとされております。
文献番号11、12番は、重症熱性血小板減少症候群SFTSに関連したものです。SFTSは、主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることによりまして感染するダニ媒介感染症ですが、中国や韓国では、患者血液との直接接触が原因と考えられるヒト-ヒト感染の事例も報告されているところです。
文献番号11番は、血清中のウイルスRNAが消失した後、精液中で検出されたというケースレポートで、性的伝播の可能性を示唆するものです。
文献番号12番は、中国の河南省における健常者を対象としたSFTSウイルス特異抗体の保有率を調査した最初の事例報告で、IgG抗体陽性率は10.46%、IgM抗体陽性率は0.82%であったとのことです。
文献番号13番は、日本において確認された新規のオルソナイロウイルス感染症に関する報告です。マダニに咬まれたと思われる患者で、SFTSに類似する症状を示していたが、SFTSウイルスの検出結果は陰性であったということです。
文献番号14番は、ケニアのハエから単離された新規のウイルスに関する報告です。
文献番号15番は、日本で初めてヒトにおけるBウイルス感染が確認されたとの報告です。
文献番号16番は、牛痘ウイルスのヒト-ヒト感染の可能性が示唆されたとの報告です。
文献番号17番は、長時間室温保存した融解後のクリオプレシピテートにおいて細菌増殖の可能性が示唆されたとの報告です。
文献番号18番は、米国におけるボルデテラ属の細菌の感染に係るケースレポートです。
文献番号19番は、数理モデルを用いて、輸血用血液製剤による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病感染リスクを評価したイギリスの保健福祉省のテクニカルレポートとなっております。各詳細については資料1-2にまとめております。資料1の説明については以上になります。
○田野﨑委員長 田野﨑です。どうもありがとうございました。続いて、ただいまの説明について大隈参考人から追加で御発言等ありましたら宜しくお願いします。
○田野﨑委員長 大隈さんのマイクが今、ミュートになっています。何かありましたらお願いしたいと思います。聞こえますか。そうしましたら、他の委員の先生方、何かございましたらお願いします。
○大平委員 大平ですが。
○田野﨑委員長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 輸血と血液製剤からの伝播はないということで宜しいでしょうか。新型コロナウイルス。
○田野﨑委員長 血液製剤に関してはコロナウイルスは問題はないという。今までの。
○大平委員 輸血から感染はないということで確認しても宜しいですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。それにお答えします。これまでコロナウイルス、同じようなSARS1、それからMERSウイルス、それから今回の新型コロナウイルス、これらについての輸血による感染はこれまで1例も知られておりません。インフルエンザに関してもそうです。WHOにおいても、この新型コロナウイルスの輸血による感染は、理論的には考えられるのだけれども、実際にはそれは起こらないと考えているという見解を出しております。日赤においても、諸文献、これまでの色々な研究を全部見まして、これについては、これまでの項目は心配ないだろうという考えでやっております。もちろん、新しいことですので、これからの動きにも十分注意はしていくつもりです。以上です。
○大平委員 ありがとうございました。
○岡田委員 宜しいでしょうか、埼玉医大の岡田です。
○田野﨑委員長 岡田先生、宜しくお願いします。
○岡田委員 血液中にコロナウイルスがいるかどうかというのはいくつかの論文の報告があるのです。発症しているヒトでも、一部のヒトからウイルスが検出できないので、発症する前、献血の方は当然、熱を計ったりとか健康なヒトであることを確認してからの献血なので、発症する前のヒトにウイルス血症があるかどうかは、武漢で献血血から検出されたという報告がありますが、それ以外ではないので、頻度的には非常に稀なものだと思います。最近の論文で、韓国で、発症する1日か2日前に血小板の献血を行って、その血小板が患者さんに投与された例があるのですが、実際。そのヒトは感染は生じなかったという論文が出ています。ですので、今のところのエビデンスでは、リスクは全くゼロとは言いませんが、事実として輸血による感染はないのが現状です。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。大隈参考人は、もし出られるようであればお願いします。
○大隈参考人 発言しても宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい。
○大隈参考人 宜しくお願いします。新型コロナウイルスの潜伏期間は約2週間以内と推定されておりますが、御存じのように、感染様式としてはヒト-ヒト感染が顕著に見られておりまして、無症候性の感染も認められております。当初、ウイルス血症は、約15%の感染者に存在するという報告がありましたが、これは軽症者ではなくて重症者に見られるようです。今のところ、無症候性感染者におけるウイルス血症の有無は不明かと思います。先程お話がありましたように、WHOとかAABBとかFDA、CDCとかにおいては、一応、新型コロナウイルスの輸血感染のリスクを示唆するデータが現在のところ余りはっきりしていないということですので、血液の検査等における特段の対応策は求めていないのではないかと思います。
今、世界で、回復者血漿の治療目的での使用が臨床試験で試みられておりますが、まだ、有効性とか安全性は明らかではありませんが、一応、現時点では有望視されている治療です。ですので、今後、引き続き、本感染症の動向を注視して、血液の安全性の観点からの情報収集が不可欠と考えております。以上です。
○田野﨑委員長 大隈参考人、どうもありがとうございました。他の文献に関してはいかがでしょうか。何か追加がありましたら。
○大隈参考人 では、引き続き宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○大隈参考人 では次、文献の12番です。重症熱性血小板減少症候群、SFTSについてコメントをいたします。この報告は、中国の河南省において、健常者を対象としたSFTSウイルス、SFTSVですが、の特異抗体の保有率と無症候性感染について調査したものです。SFTSVはウイルス血症が見られますし、無症候性のヒト-ヒト感染も以前報告されているので、献血などでの血液混入のリスクはあると考えられます。今回の報告では、SFTSVの高浸淫地域である河南省において、健常者が高いIgG抗体保有率を示しておりますし、IgM抗体保有者の半数にはRNAも検出されておりますので、無症候性の感染者でのウイルス血症のリスクは実際に存在することが今回示されました。やはり、本報告は、血液の安全性の観点からも重要である可能性があるかと思いますので、今後の情報収集などが更に必要と考えます。
もう1つだけですが、今度は文献の15番です。ウイルス感染、Bウイルスの感染についてです。この報告は、Bウイルスのヒトへの感染が日本で初めて確認されたというものです。Bウイルスのヒトへの感染事例は、これまでのところ世界的に50例程度しかありませんが、そのうち21例が亡くなっておりまして、致死率の高い感染症と言えます。Bウイルスはαヘルペスウイルスに分類されまして、日本ザルなどのマカク属サルに感染しています。ヒトへの感染は、主にサルによる咬傷とか擦過傷によるものですが、ヒトからヒトへの感染例も1例だけですが報告されています。潜伏期間は一般的に2週から5週以内と言われています。ヒトに脳脊髄炎などの重篤な中枢神経感染症を引き起こして死に至る場合があるということです。当該感染者は、サルに咬まれたり傷つけられたりしたことは一度もないということですが、排泄物や唾液に触れたことによる発症の可能性があるということです。この報告を受けまして、新たに早急に対応する必要性はないと考えられますが、やはり注意すべき感染症として、今後も情報収集に努める必要があると考えております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に委員の方々から何かありますか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○岡田委員 宜しくお願いします。デングウイルスとかSFTSで精液からウイルスが検出された。つまり、結構、精巣は免疫寛容の組織なので、そういう面では比較的ウイルスが血中から消えても精液の中にウイルスがいるというのが他のウイルスでも報告されているのです。血液の安全性には直接関係ありませんが、例えば、患者さんが回復して退院するときに、そういう性感染をする可能性があることは、やはり患者さんに伝えておくのが二次感染を防ぐ意味で重要かと思います。以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 佐竹ですが、ちょっと宜しいでしょうか。先程SFTSVの話が出ましたが、これは確かに輸血感染症の観点からは注目しなければならないものだと思いますので、日赤では、日本で一番症例数の多い中国四国地方の献血者を対象にして3,990例の抗体を調べております。ですが、これは抗体陽性者は1例もなかったということで、一応、日本の献血者においては、こういうことは極めて稀ではないかと現在は考えております。以上です。
○田野﨑委員長 貴重な情報どうもありがとうございました。日本では、そうしますと、無症候性のSFTSV感染は、少なくとも中国四国ではいない可能性が高いということですね。他の委員の先生方、いかがでしょうか。宜しいでしょうか。そうしましたら、引き続き、事務局においては感染症の定期報告をお願いしたいと思います。次の議題2「血液製剤に関する感染症報告事例等について」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
○野寺課長補佐 事務局の野寺です。資料2-1を御説明します。供血者からの遡及調査の進捗状況についてをお開きください。1ページが日本赤十字社からの提出資料でして、供血者から始まる遡及調査の実施状況となります。表の一番右が、平成31年4月1日から令和2年3月31日の速報値となっております。遡及調査の実施内容として、調査の対象とした献血件数が5,210例あります。そのうち、輸血用血液製剤となった本数が5,375本あります。そのうち、医療機関に情報提供を行った本数が3,832本となっております。また、遡及調査実施対象のうち、個別NATの結果が陽性となった献血件数は4件で、そのうち、医療機関に提供された製剤に関する報告件数は計4件、そのうち、受血者の情報が判明した件数については4件となっており、陽転事例はありません。医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況については次ページでまとめておりますが、令和元年12月から令和2年3月の間で計11件ありました。資料2-1は以上です。
続いて、資料2-2を御覧ください。資料2-2は、血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についてです。1ページの感染症報告事例のまとめを御覧ください。今回は令和元年12月から令和2年3月の報告分となります。この間の感染症報告は、輸血用血液製剤で24件、血漿分画製剤で7件です。このうち、血漿分画製剤1件については因果関係が否定されております。輸血用血液製剤の報告の病原体の内訳としては、HBV感染が3件、HCV感染が7件、その他として、HEV感染が7件、サイトメガロウイルス感染が3件、パルボウイルス感染が1件、細菌等が3件ありました。HBV及びHCVに関して、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例はありません。その他、細菌事例については、当該輸血用血液の使用済バッグを用いた無菌試験の陽性事例はありません。事案の詳細については2から7ページでまとめております。
続いて8ページを御覧ください。こちらは、北海道で行っている試行的HEV-NATの実施状況となっております。表の一番下から1つ上が令和2年1月から令和2年3月の結果をまとめたものです。HEVの陽性者数は22名、陽性率は0.035%となっております。ジェノタイプについては、G3が15件、G4が7件、検査不能が0件となっております。資料2-2については以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。引き続いて、日本赤十字社からHEV-NATスクリーニングの導入について御報告があるということなので、それを終えてから御質問や何かを受けたいと思います。日本赤十字社からの御説明をお願いします。
○日本赤十字社石丸技術部次長 日赤の石丸から、HEV-NATスクリーニングの導入について報告します。輸血用血液製剤のHEV安全対策については、豚、猪、鹿の生肉の生食等に関する注意喚起や問診の徹底等を行ってきたところですが、抜本的な対策となり得るHEV-NATの全数検査に向けた技術開発として、平成30年度からHBV、HCV、HIVに加えてHEVも同時に検出する4価NAT試薬の開発を試薬メーカーと取り組んできました。そして、その進捗状況については、昨年の安全技術調査会と11月の運営委員会において、本年秋頃の導入を予定していると報告させていただいたところでしたが、今般、4価NAT試薬の評価試験が終了しまして、現行NAT試薬と同等な性能を有していることが確認できましたので、本年の8月5日採血の検体からHEV-NATの全数検査を開始する予定としましたので報告いたします。また、血液製剤の供給については、FFP以外は同月から、FFPは貯留保管6か月後の来年2月以降から順次供給予定となりますので、併せて報告いたします。なお、評価試験の結果等については、来月開催予定の安全技術調査会において報告させていただければと考えております。以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。併せて何か御質問、御意見ございますでしょうか。岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。北海道で試行的に行われているHEVのスクリーニングですが、令和2年のジェノタイプ3と4の比率が非常に接近しているのですが、これは何か特定の地域にジェノタイプ4が多いとか、偏りを説明するような事例が観察できるのでしょうか。それとも全く偶然なのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。特に何もこれを説明するような事実を我々は捉えておりません。クラスターが出ればそのクラスターのジェノタイプがメジャーになるでしょうから、そのようなことが起こったのではないかとは思いますが。
○岡田委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に御意見ありますでしょうか。HEVが移ったことが確認できている事例が2例か3例ありますが、スクリーニングがようやく始まるということですので、今後の状況を見ていきたいと思います。宜しければ次に移りたいと思いますが、事務局においては、遡及調査結果や感染者症例の報告を引き続きお願いしたいと思います。
それでは、議題3「血液法施行規則等の一部改正案について」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
○田井課長補佐 事務局の田井です。議題3について説明します。資料は、資料3と参考資料1、参考資料2です。まず資料3を御覧ください。「血液法施行規則等の一部改正案について」です。昨年12月に医薬品医療機器等法が改正され、併せて血液法が改正されております。施行は令和2年9月1日です。この血液法の改正に伴い、血液法施行規則等の所要の改正を行うこととしていますので、その内容を報告します。改正内容については医薬品医療機器等法施行規則の改正とともに、現在パブコメを実施中で、7月3日までの意見募集期間で行っています。
それではⅡの改正の概要の説明に入りたいと思いますが、その前に血液法改正の内容を、改めて簡単に説明したいと思いますので、参考資料1の「血液法改正について」を御覧ください。皆様に御議論いただいたとおり、改正内容としては3つの柱があります。1点目が採血等の制限の緩和、2点目が採血業の許可基準の明確化、3点目が採血事業者のガバナンスを強化するための措置です。まず採血等の制限の緩和です。資料2ページを御覧ください。これまで国家戦略特区法で認めていた血液由来特定研究用具を製造するための採血を、血液法の枠の中で認めていくという改正です。併せて要望のあった医学的検査の標準品についても、標準品を製造するための採血を認めることとしています。この具体的な内容を省令で規定いたします。
続いて資料の3ページ、採血業の許可基準の明確化です。こちらは複数の事業者による血液供給の必要性が指摘される中で、採血業の許可基準を明確化するということで、資料の右下のマル1からマル5までありますけれども、許可するときの積極的な基準を法律に規定しています。省令ではこれに伴い、申請した採血事業者がこの許可基準を満たしているかどうかを審査する書類について規定しています。後程説明いたします。
法改正の3点目は、4ページのガバナンスを強化するための措置です。採血業許可をこれまでの採血所単位ではなく事業者単位の規制にするという内容と、それに併せて採血を行う現場での採血統括者、採血責任者を法律上位置付けるという改正をしています。これらの詳細について、今回、省令で定めることとしています。
資料3にお戻りください。まず資料3のⅡ、改正の概要です。(1)が採血等の制限の緩和の関係です。採血制限を緩和するものとして、ア.のマル1からマル3までを規定することとしており、マル1とマル2が特区法で認められていた研究用具です。マル3が血液学的検査等の検査の精度を適正に保つために用いるもので、こちらがいわゆる標準品になっております。省令ではこれらを列記するとともに、併せてイ.の献血者等の同意取得等の措置についても規定します。これらマル1からマル3を製造するために採血する者について献血者保護の観点から、以下の措置を講じなければならないものとします。全て当たり前のことではありますけれども、献血者等に説明を行って同意を得ること、目的に照らして必要最小限の採血量とすること、採血によって健康が害された場合には、適切に対応できる体制を整備しておくということを採血者に求めることとしています。
続いて、(2)採血業の許可基準の明確化の関係です。こちらは採血業の許可基準の該当性を確認するために、許可申請書類の添付書類として、採血基準書の案や、採血業を開始してから2年間の事業計画案などを提出するように求めるという内容です。
(3)がガバナンス強化の関係です。ア.の採血業の許可については採血所ごとではなく、事業者ごとに与えることから、採血所の開設や採血所の休止・廃止が、今後は採血業の変更届出という形で国に提出いただくことになりますので、それに関する規定を定めることとしています。イ.が、採血責任者等の設置と遵守事項です。こちらは採血責任者の要件として、採血業務を管理するために必要な能力及び経験を有する者でなければならないということを規定するとともに、その採血責任者が遵守すべき事項として、法令・実務に精通して当該業務を適正に行うという内容と、マル2として採血事業者に対する意見申述、何か問題があった場合には速やかに採血事業者なり採血統括者なりに意見申述をするということを規定しています。
(4)がその他の改正事項です。1つ目が、献血推進計画の中で、現在、目標の血液量等を定めていますが、それを作成するに当たって、採血事業者や血液製剤の製造販売業者から必要なデータを届け出てもらうという規定です。こちらは新規に採血事業者が入ってきた場合も見据えて、適切にデータを提供してもらうために整備したものです。後段の需給計画については、原料血漿の製造業者を今回の血液法に位置付けて明確化しており、その中で、原料血漿の製造業者に実績報告を行ってもらうという規定を設けております。
Ⅱの2は、「採血の業務の管理及び構造設備に関する基準」等について、血液法と血液法施行規則の改正に伴った形式的な改正を行うこととしています。
Ⅱの3がその他です。こちらは省令ではなく通知の話になります。今回の改正で採血制限を緩和することで、研究用具や標準品の原料とする目的で業として採血することが認められます。それに伴い、これらの研究用具や標準品は、今までは「献血血液等の研究開発等への使用に関する指針」に基づき、年1回運営委員会で事前に御評価いただいていましたが、その対象となるものと重複していますので、この機会に見直しを行いたいと考えています。
まず、これまでは研究開発指針に基づいて、年に1回公募を行ってきたところですが、この点については余り使い勝手が宜しくないという御意見もいただいていたので、公募制を廃止したいと考えています。年1回の公募を廃止し、基本的には、随時、企業が受け付けられるようにすることが望ましいと考えています。ただし、それが随時なのか年数回なのかは企業の受入体制を考慮して対応していただくことになりますが、年1回の縛りはなくしたいと考えております。
この年1回の公募の縛りをなくすことに伴い、事前に運営委員会で御評価いただくことがなかなか難しいところがあります。また、御評価いただいている主な項目として、研究の倫理面と研究に用いる使用量とか、採血事業者等の業務負担を御審議いただいていたかと思います。しかし、そもそも倫理については、研究の場合はそれぞれ倫理審査を通すので重複しているのではないか、また、使用量や採血事業者等の業務負担については、それぞれ事業者の方で検討すべき内容であって、運営委員会で評価すべき内容なのかという面があり、そのような御指摘もいただいてきたところです。他のところで検討している内容と重複している面がありましたので、これを今回整理したいと考えており、この事前評価についても廃止する方向で考えたいと思っています。議題3の説明は以上です。
○田野﨑委員長 委員の方々から質問やコメントがありましたら、宜しくお願いします。
○花井委員 花井ですけれども、宜しいですか。整理としては、こういったことになろうかと思うのですが、2つ聞きたいことがあります。そうは言っても、それまでは事実上は期限切れであったり、検査上、血液製剤として使えないものから、要は副産物的なものを渡していたというのが実態だと思うのです。今回の整理だと真っ向から、この目的で採血をして良いということになっているので副産物ではない。つまり、ある一人のドナーに対して、「あなたの献血を全てこのような研究で」と言うことが現実的にあり得るのか。つまりそれだけの量、血液製剤としても出荷可能なものを採血して渡すことが、実態として生じ得るのかということです。
もう1つは、これまで運営委員会でチェックしていたのは、倫理性や事業への影響というものがあって、特に安定供給への影響というのがあったと思うのです。1ページのマル1マル2マル3の目的だったら良いよと決まったのですが、この目的から外れているか外れてないかという判断はどこも見ていないので、事業者がこれに入るのだろうと思ったら、それが民間企業に渡され、マル1マル2ア.の1、1、ア.のマル1マル2マル3に使用されているかどうかというのは調べ様がないので、目的に関してこの枠がどのように担保されるのか。
具体的にこれで書いてあれば、普通はこんなものだというように、常識的には思うのですけれども、例えばそれが細胞製品として何らかの形で販売されるとなると、どこから違法になるのですか。つまり基準は決まったけれども、この基準が守られているかどうかは誰にも分からないということになりかねない。採血事業者がこれに合っているかどうかを判断しているだけです。しかも、これは採血事業者を縛っている規制なので、縛られている採血事業者がこの目的に合っているかどうかを確認するという立て付けだと、統制としてどうなのかというところを事務局の方で説明いただきたいと思います。前者は日赤の感覚だろうし、後者は事務局からの説明だと思いますが、いかがでしょうか。
○田野﨑委員長 まず事務局からお願いできますか。
○田井課長補佐 1点目、2点目それぞれについて事務局の考え方をお答えします。まず1点目の採血量の点です。正面から研究用具の製造のために採血を行う場合に、血液製剤に必要なぐらい大きな量が採れてしまうのかというところですけれども、先程の資料3の1ページで御説明したとおり、採血の目的に照らして必要最小限の採血量でないといけないということは、明示的に省令に規定することを考えています。
2点目の御指摘で、研究用具や標準品に当たっているかどうかを採血事業者の方で判断できてしまうのではないかというところですが、今考えているのは、具体的にどういうものが研究用具に当たるかというところを、通知で例示するという形で縛っていきたいと考えております。事務局からは以上です。
○花井委員 そういう整理ではないかとは思うのですけれども、血液というのはこういう目的で全血がこれだけ要りますというときに、例えば赤血球だけだから赤血球部分だけくださいという研究計画が立ったら、赤血球だけを渡すということがあるかもしれませんが、細分化すると譲渡してしまえば、残りの部分は所有権が移転しているわけですよね。そうすると、そこは色々な二次利用なども可能になったりして、譲渡された側は別に法的規制がないから、自由に使うということもあり得ると思うのです。別にそれ自体が悪いとは思わないのですが、そういうことは合法なのでしょうか。どうなのですか。研究計画があって必要な成分を譲渡するために採血をし、同意も取って渡したけれども、一部残余分を他の目的に使われてしまっても、それは採血事業者には分からないから。ところが採血事業者はそれが目的で採血したというところまでは合法で、渡った後は割と分からなくなるところは致し方ないという制度なのですか。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。まず、倫理審査を通った研究目的に照らして、その研究の範囲で採血事業者は血液を提供するということになっていると思います。そこから先、それを受けた研究機関等が余ったものを、そもそも譲り受けた目的の外で使うということは基本的に予定されていないし、許されることではないという整理ではないかと考えています。
○花井委員 了解いたしました。
○田野﨑委員長 大平委員、お願いします。
○大平委員 花井委員の御指摘は当然だと思います。やはりこれまで検討してきた中で、結構無節操な採血事業者への要望もあったと思います。その辺をどういうように整理をして、結果としてこういう提案になってきたのかというのは、議論すべき点が多いかと思います。ですからある程度の縛りはあっても良いのではないかというところで、整理検討していただきたいと思います。宜しいでしょうか。
○田井課長補佐 御意見ありがとうございます。先程、花井委員からも御指摘いただいたとおり、一定の縛りは必要ではないかということで、通知でその目的を例示するという形で考えておりましたけれども、いただいた御意見も踏まえ、改正内容については検討していきたいと思います。
○田野﨑委員長 宜しいでしょうか。
○濵口委員 はい。
○田野﨑委員長 はい、どうぞ。
○濵口委員 御発言された花井委員や大平委員の意見に賛成です。各施設の倫理委員会で承認を受けたものは、研究をやるという上では条件を満たしているのでしょうけれども、果たして血液法の理念に沿った形で血液の扱いが十分に行われるかどうかということは、私もこの運営委員会で審議をさせていただく中で、出された資料の中では若干その部分が欠けているようなところが見受けられたかと思います。ですので、各医療施設での倫理委員会のデータに加え、やはり血液法の理念にきちんと沿っているかどうかということを、厚生労働省等でチェックしていただくということをお願いしたいと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他には宜しいでしょうか。花井委員。
○花井委員 制度設計上こうしたときに、事前にチェックをするのは難しいというか、必要ないかもしれないと思っています。ただ一方で、研究という立て付けの中の倫理性という倫理委員会の話と、今まで血液の譲渡のときには、一般民間企業のいわゆる試薬の性能チェックなども入れていたわけですよね。そうすると、それは研究ではなくても許すのか。この立て付けで、例えば民間企業の診断及び予防・治療に関する方法の研究開発という中には、純然たる研究プロトコールではなくて、メーカー側の開発の延長線上としての研究的使用も受け入れていたと思うのです。そうすると、倫理性について倫理委員会に押し付けているだけで担保するというのは、研究とは違う形が出てくるのです。
かといってそれが悪くはない。それを防ぐべきかというとそうではなくて、むしろ民間の研究開発も応援しようという理由もあるところなのです。具体的にこれが需給計画の中なのか外なのかは、増えてくれば需給計画の中に入ってしまうかもしれませんが、事前に来年度はこれだけのことが起こりますというのは難しいと思うので、少なくとも年に1回は、こんなことで提供しましたというものを報告事項のように出していただいて、それで立て付けが大体どのように運用されているかというのを、一応運営委員会として見ておくというところが大事かもしれません。それで、これは逸脱ではないかというものが出てくれば、更なる統制を考えなければいけないのですけれども、これで事実上そんなに問題が起こるかというと、そうではないという予想です。ただ、整理としては今のようなことがないと全くザルで、一応基準は決めたけれども、そのとおりになっているかどうか分からなくなってしまうので、報告という形で1年に1回報告するとか、半期に1回でも良いですが、そういう形でやられるのはいかがでしょうか。
○田野﨑委員長 事務局からどうぞ。
○田井課長補佐 事務局です。御意見ありがとうございます。花井委員の御指摘のとおり、報告というのは選択肢としてあると考えておりますので、それも含めて検討したいと思います。
○田野﨑委員長 岡田委員。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。血液を提供して良いかどうか企業が判断に迷うときは、どうするのかという問題が出てくるのです。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。事業者が提供して良いかどうか判断に迷う場合、1つは国に御相談いただくということもありますし、怪しいものは提供しないということかと考えております。
○岡田委員 数年前に、ペットの感染症がヒトに感染するのではないかという研究をしたいという申請があったのですけれども、陽性になった場合の扱いがなかったので却下したという記憶があるのです。そのときに陽性だったら、それはそれで放置して良いのかどうかというのが問題かなと思っているのです。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。確かに陽性の場合にどうすべきかという判断もありますので、そこは今後、どのようなものに規格に適合しない血液等が用いられるかが明らかになるような仕組みを検討したいと思います。ありがとうございます。
○田野﨑委員長 田野﨑です。私からも1つ質問したいと思います。例えばリンパ球の製品を企業で販売しているのですが、これは海外のドナーからのものだったのです。今後、国内で採血したものを用いて、リンパ球製品を企業が販売するということができるようになると考えて宜しいでしょうか。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。今回の業としての採血の緩和の中では、そのようなものも含まれ得ると考えています。
○田野﨑委員長 加えて、例えば骨髄細胞などになると採血とは違うので、これは外れるということで宜しいでしょうか。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。御指摘のとおり、骨髄は血液法の範疇外になりますので、今回の法改正の対象とはなりません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。他に委員の先生方から、コメントや御質問は宜しいでしょうか。
○花井委員 花井です。今の田野﨑先生のお話だと、ここに書かれているのは研究開発となっていて、グレーの所が出てくると思うのです。例えば何かでセル・バンク樹立してしまったら、それがいわゆる医薬品として1つの遠い原料になったりすると、それは研究を超えて製品の原料になるのです。ただ実際上、そういうことは屋上屋というか、こうなるかもしれない、ああなるかもしれないというと結構グレーで、どうなるか分からない部分があります。技術自体も色々変化していますし、培養されればそれが別のものに。元々セルがここから来て培養したら違うものなのかとか、色々あると思うのです。だから当面は様子を見て、実態を把握するというのが重要かと思っています。基本的には田野﨑委員長がおっしゃった、ここから商品原料としてすることは多分含んでないですよね。研究開発までなので、そこははっきりしているのではないかと思うのですが、そうではないのですか。今の事務局の御説明だと、商品原料でも構わないようなニュアンスに聞こえたのです。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。今回の法改正では、元々、特区法で認められていた研究用具の製造のための採血を、血液法の枠内で認めるという改正をしています。現在、特区法で認めているものとしては、例えば、疾患を持った患者から採取した血液からiPS細胞を作製し、そこから神経細胞なりに分化させて、その神経細胞を他企業等の研究開発のために提供するというものです。他企業の医薬品等の研究開発用に提供するために、業として採血を行ってiPS細胞などを作る事業者を、特区法の特例の対象として認めています。このため、先程のリンパ球の話とか、他企業の研究開発のための用具を製造するための採血は、今回の改正で認められるところです。また、花井委員から御指摘のあった医薬品の原料となる場合については、既に現行法で、医薬品の原料とするための採血とか、医療機器の原料とするための採血というのは、別途認められているところになります。
○花井委員 いや、現行法はいわゆる血液製剤他、医療品医療機器等に含んでいたことになるのですよね。逆に現行法がそうなっていれば、研究開発であえて上乗せしなくても、現行法上もできそうなものに思えていたので、整理としてはそういうことであれば良いのではないかと思います。ただ、やはり献血者の同意を取るとはいえ献血事業全体は、1つは安定的に血液製剤を供給するという立て付けの中に、献血者の協力を得てきたという歴史的背景もありますから、多分、やはり一足飛びに何でもありということにはならないので、そこは制度の設計図とは別に、血液法全体の理念との整合性を常に見ておくということは必要かと思いました。
○田井課長補佐 事務局からお答えします。確かに今回、制限を緩和して動き出したところですので、その使われ方を慎重に見ていくというのは一つ、大切なことだと思っています。先程各委員から御指摘のあった、血液が変な使われ方をしないかという確認の仕組みについては、また検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。1つだけ良いですか。私が誤解しているのかもしれませんけれども、採血をする方は事業者になるのですか。それともこれを必要とする企業が勝手に採血して良いということですか。
○田井課長補佐 事務局からお答えいたします。採血が医業であるということは、現行の血液法で明確に定められていますので、企業の中に医師等がいない場合は、医療機関と提携して採血をするという形になります。企業が勝手にやってよいというものではありません。一方で、企業自体の中に医療機関、医療従事者、採血が可能な環境がある場合は、企業の中でやっていただくことは可能という形です。
○岡田委員 分かりました。
○田野﨑委員長 宜しいでしょうか。貴重な御意見をどうもありがとうございました。委員会としては、初めのうちは何かしらの報告やチェック体制をしっかり取ってという意見かなと思いましたので、宜しくお願いいたします。
そうしたら最後に議題4、その他に移りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○若林需給専門官 事務局の若林です。献血ポリグロビンN5%静注及び同10%静注の供給停止について、資料4と参考資料3で御説明いたします。資料4を御覧ください。献血ポリグロビンN5%静注及び同10%静注は、低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病の急性期を効能・効果とする静注用免疫グロブリン製剤です。今般、一般社団法人日本血液製剤機構より、献血ポリグロビンN5%静注及び同10%静注について供給停止したいと相談がありました。
日本血液製剤機構は、平成24年に日本赤十字社の血漿分画事業部門と田辺三菱製薬株式会社子会社で、血漿分画事業を行っておりました株式会社ベネシスが統合してできた法人です。それぞれの旧社工場で2種類の静注用免疫グロブリン製剤を製造しております。今回そのうちの1製剤、献血ポリグロビンNを供給停止し、収率の高い献血ヴェノグロブリンに集約することで、静注用免疫グロブリン製剤の供給量増加を目指すものです。
なお、献血ヴェノグロブリンIHは献血ポリグロビンNの全ての効能・規格を有しております。この点については参考資料3を御覧ください。3、4ページになります。3ページで御説明しますと、PGNと書いてあるところが献血ポリグロビンNです。右側のVGIHが献血ヴェノグロブリンIHです。規格を見ていただきますと、献血ポリグロビンNの規格を全て献血ヴェノグロブリンIHが有していることが見てとれます。4ページに移りまして効能・効果ですが、献血ポリグロビンNの効能・効果を全て献血ヴェノグロブリンIHが有していることが見てとれます。参考資料については以上です。
資料4に戻ります。今後の予定です。今年度内に献血ポリグロビンNを全て献血ヴェノグロブリンIHに置き換えられるだけの製造体制を整え、日本血液製剤機構内で代替可能とする。その代替性が確保された後、供給停止に向けた手続を進めていくものです。説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。これについて、委員の方々から御意見、御質問があればお願いします。
○大平委員 これについては、十分に成分がVGIHに含まれているので、十分かなと思いますが、患者意見はどうだったのでしょうか。
○田野﨑委員長 事務局から患者さんの御意見が何かあれば。
○大平委員 患者さんからの意見がなければ問題はないですけれども。
○若林需給専門官 事務局からお答えします。患者様の御意見については、この運営委員会のあと、伺うものと承知しております。
○田野﨑委員長 失礼しました。他に御意見はありますか。宜しければこの運営委員会のあと患者さんの御意見を伺うということで進めさせていただきたいと思います。
○大平委員 大平ですけれども、ただ十分、患者さんの声がきちんと取れていないとやはり患者が困ると思います。ですから、その患者自身が新しい製剤に変わったときに、今まで使っていたものの方が良かったとか、今までのものでないと効かないとか、そうならないよう、気を付けて意見を聞いてもらいたいと思います。
○松本委員 これは大平先生が言われるように、やはり定期的に使われている患者さんは多分、低又は無ガンマグロブリン血症の方だと思うのですね。この方はやはりこれしか使えないという人が中にはいるかもしれないということを、大平委員はおっしゃっている。これが一番合っているというか、他のものは使えないという方が中には出てくるかもしれないなという懸念があろうかと思いますので、その辺りを考えてのことになると思います。献血ポリグロビンNの他のもの(適応疾患)では一時的な使用が多いと思います。やはり低又は無ガンマグロブリン血症で、ポリグロビンでしか体質的に合わない方がやはりいらっしゃるかもしれないという懸念があります。その辺を配慮いただきたいなと思います。
○田野﨑委員長 貴重な御指摘ありがとうございました。日本血液製剤機構から御説明いただきます。
○日本血液製剤機構植田本部長 日本血液製剤機構の事業本部の植田と申します。宜しくお願いいたします。今、松本先生から御指摘がありましたように、そういう患者様がいらっしゃるということも前提において意見を伺いながら、進めていきたいと考えておりますので、その辺りを重々注意しながらやっていこうと考えております。
○大平委員 是非、患者の十分な意見を聞き取っていただいて、そして心配のないようにしていただきたいと考えています。宜しくお願いします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。効能とかは差がないのですけれども、このグロブリン製剤を安定化するために大量の糖が加えられているのです。その糖に対する酵素の欠損症とかという方が稀ですけれどもあるのです。ですので、PGNを使っている特に免疫不全症の方には糖の代謝の酵素の欠損があるかないかということが結構重要だと思うので、他の会社の糖だったら大丈夫とか、そういう点を確認していただかないと、後でちょっと大変なことになるかなと思いますので、宜しくお願いします。
○田野﨑委員長 貴重な御意見ありがとうございました。今後は日本血液製剤機構では今の御意見を踏まえた上で進めていただければと思います。宜しいでしょうか。どうもありがとうございました。そうしましたら次に移りたいと思います。
新型コロナウイルス感染症による献血件数や血液製剤の安定供給への影響について、日本赤十字社から少し御説明いただければと思います。宜しくお願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。今年の2月からこれまでの大体の血液の動きを御説明したいと思います。まず一番大事な在庫が十分であったかどうかということですけれども、一言で言いますと、医療機関様へ何ら御迷惑をおかけしたようなことは一切ございません。2月は大体安定の在庫を示していたのですけれども、2月を4週に区切りますと1週ごとに確保状況が100%、100%、95%、91%と急激に下がってまいりましたので、その3月の在庫が非常に危惧されたところです。
そこで1つ大きなことがありまして、御存じのように水泳の池江選手が自らツイッターで献血の協力を呼びかけたということが大変大きいことで、もちろんこれは我々とは全く関係のない、池江さん御自身の気持ちの表れでされたことです。それで全国的に非常に献血が増えて、3月いっぱい大変安定した血液をいただくことができました。そういうことで結果的には3月初めに数日注意報水準まで在庫が下がったことがありましたけれども、その後は全く問題なく在庫は確保されています。
実際に献血が予定されたところからどのぐらい減少、増加していたかを経時的に見ますと、月で言いますと1月は計画に対して99%、2月が97%、3月は先程申しましたことがありましてむしろ増えて103.7%になりましたけれども、4月が88.5%まで下がっています。ただ、これはちょうど供給の方も同時に下がっていまして、3月は予定に比べまして99.7%だったのですけれども、4月5月と92.5%、93.8%と、供給の方も医療機関での使用が減ったので、それと合わせて4月の在庫としては安定した状況であったということです。
その後、5月は採血の方は97%まで戻して、現在6月に入りましてもちょうど計画に対して100%の採血を維持しています。ということで、国民の皆さんの大きな協力で充分な安定した在庫を保つことができました。これが全体の状況です。一番大事なのは赤血球なわけですけれども、血小板、血漿についても特に問題はありません。供給につきましては、血漿は2月からずっと減ってきていて、現在90%前後の供給量です。
血小板は、予想されるように大きな減少がなく、現在計画に対して93%ぐらいの供給量で、特に問題はありません。血小板等は、常に予約された実に熱心な方々に支えられていますので、血小板の供給に支障を来したことは一度もありません。これが大体全体の状況です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。何か御質問、コメント等ございますでしょうか。
○岡田委員 輸血用血液は、先程報告がありましたが心配ないとは思うのですけれども、問題は、免疫グロブリン製剤が昨年度は国内の製造が間に合わなくて、海外から輸入したという事例があるのです。それで海外、特にドイツとかアメリカでは、かなりコロナウイルスの感染が拡大していますので、そこの採血量が減っている可能性があるので、グロブリンの供給状況について情報を集めておいた方が宜しいと思います。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。
○大平委員 今、日赤の報告をお聞きして安心したのですけれども、ドイツとか今のグロブリンのお話を聞くと、やはり一つ脆弱なところがあります。日赤では十分確保していただけるよう、これからも努力をお願いしたいと思います。
あともう1点、献血血液の研究開発等への使用の中の問題点ですが、日本で新型コロナウイルスに感染しても、健康で抗体価が高い人が含まれるということを聞いています。そういう方たちのボランティア精神をいかして、何か海外でも始まっている免疫抗体の製造にチャレンジしていただけないかと思っています。日赤がやっていただけると、一番国民は安心で良いのですけれども、無理なら日赤と色々な血液製剤メーカーとタッグマッチでそういうものを作って、国民の課題になっているワクチンなどの製剤を作っていただけると、皆さん安心するのではないかと思います。それもリスクがあるかもしれません。それを色々研究開発の中で押し進め、是非やっていただけることを願っています。以上です。
○田野﨑委員長 貴重な御意見ありがとうございます。大平委員のご意見は、他の複数の委員の方々からも伺っていますし、恐らく日赤でも色々考えられていると思います。これについてはまた別途進めていければと思います。あと何か御意見のある方は、宜しいでしょうか。私から日赤に、結果として日本でのCOVID-19は余り多くなかったので、血液の需要供給のバランスは問題がなかったように思うのですが、今後もしオーバーシュートするようなことになった場合の対策などは考えていますでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所所長 佐竹です。おっしゃるとおりに一応終息に向かっていますので、これから延期していた予定手術とかが増えてくると思います。ただ、どのようなスピードでそれが増えてくるかということは、なかなか予測が難しいですので、どのような状況になってもそれに応えられるような形にしていこうと思っています。このコロナの状況の中で、我々の中でも献血の予約をどんどん推進する、ウェブサイトの利用率を上げるとか、都道府県の担当課、市町村の担当課と密にコラボレートしていくと、かなりそれで献血をしていただくことができる。色々な経験を我々もしましたので、そういった地道なことを積み上げていけば、欧米で起こっているようなことにはならないのではないかと、そのようにしてはなりませんので、我々もそういったことを地道に着実にやっていきたいと思っています。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。どうぞ宜しくお願いいたします。他に何か御意見はありますでしょうか。今日の議題は一応以上になります。そうしましたら議事進行を事務局に戻したいと思います。どうもありがとうございました。
○中村課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。この度は接続等の不備があり、大変御迷惑をおかけしまして失礼いたしました。次回の運営委員会の日程については、別途御連絡を差し上げます。これで令和2年度第2回運営委員会を終了いたします。皆様お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございました。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。

 
(了)