化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)

 ※令和6年2月28日更新
 ※主な更新箇所:No.5-6, 8-3, 12-2-3, 12-7, 14-3を追加
 

一般

 

分類

 

対象物質

 

裾切値

 

対象範囲

 

一般消費者の生活の用

 

経過措置

 

固形物除外

 

供給者

 

ラベル記載内容

 

ラベル貼付箇所

 

SDS記載内容

 

SDS交付

 

事業場内別容器保管時の措置

 

その他

 

本編に無い疑問等は、化学物質管理に関する相談窓口にお問い合わせください。
相談先は、以下のページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046255.html

 
略語   正式名称
     
安衛法 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(厚生労働省所管)「労安法」と略すこともある
化管法 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)(経済産業省、環境省所管)
毒劇法 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)(厚生労働省所管)
化学物質リスクアセスメント指針 化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成27年9月18日 危険性又は有害性等の調査等に関する指針告示第3号)
GHS 化学品の分類およ及び表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)
SDS 安全データシート(Safety Data Sheet)

一般

Q1-1.SDSの提供を義務付けた日本の法律は何か。

A.

日本でSDSの提供を義務付けている法律は次の3つです。
・労働安全衛生法(「安衛法」と略す。)(厚生労働省所管)
・特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(「化管法」と略す。)(経済産業省、環境省所管)
・毒物及び劇物取締法(「毒劇法」と略す。)(厚生労働省所管)
これら3法におけるラベルやSDSの提供制度の詳細については、次の資料をご確認ください。
<-GHS対応- 化管法・安衛法・毒劇法におけるラベル表示・SDS提供制度>
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/130813-01.html

Q1-2.化学物質の危険有害性に関するGHS分類とは何か。

A.

GHSとは2003年7月に国際連合から公表された「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)」のことで、国際的に調和された基準により化学品の危険有害性に関する情報をそれを取り扱う人々に伝達することで、健康と環境の保護を行うこと等を目的とした国連文書です。
GHSには以下の内容が含まれています。
・物質及び混合物を、健康、環境、及び物理化学的危険有害性に応じて分類するために調和された判定基準
・表示及びSDSの要求事項を含む、調和された危険有害性に関する情報の伝達に関する事項
GHS分類とは、上記の基準に従って行われた危険有害性の種類と程度を示す分類方法や分類結果のことです。
なお、日本では、GHS分類及び危険有害性に関する情報の伝達(ラベル・SDS)に関し、GHSに基づく日本産業規格(JIS規格)として次の2つの規格が定められています。
・JIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」
・JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」
<職場のあんぜんサイト GHSとは>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankg_ghs.htm
<日本産業標準調査会 においてJISを検索 (閲覧のみ) >
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html

Q1-3.GHSと労働安全衛生法はどのように関連しているか。

A.

安衛法では、表示及び通知対象物について、ラベル表示及びSDSの交付が義務付けられ、表示又は通知する事項が定められていますが、GHSに基づくJIS規格 (JIS Z 7252/JIS Z 7253)に準拠して作成されたラベル及びSDSであれば当該規定を遵守したものとなります。

分類

Q2-1.国によるGHS分類結果はどこで確認できるか。また、ラベル・SDSの作成にあたり、国によるGHS分類結果を採用しなければならないか。

A.

国(政府)によるGHS分類結果は、(独)製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページで公開されています。なお、各事業者がラベルやSDSを作成する際に、事業者が持つ危険有害性情報に基づき、国によるGHS分類と異なる分類を行うことを妨げるものではありません。

<(独)製品評価技術基盤機構(NITE) NITE統合版 GHS分類結果一覧>
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/ghs_nite_all_fy.html

Q2-2.混合物のGHS分類の方法を知りたい。

A.

GHS分類の方法は、JIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」で標準化されています。また、事業者がGHS分類を行う際の手引きとして「事業者向けGHS分類ガイダンス」(経済産業省)が作成されていますので、併せて参照してください。
 更に、事業者による混合物のGHS分類の実施及びGHSラベル作成を支援することを目的に、NITEがWebツール「GHS混合物分類判定ラベル作成システム(NITE-Gmiccs)」を公開していますので、これも活用してください。

 <日本産業標準調査会 JIS検索においてJIS Z 7252を検索 (閲覧のみ) >
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
<経済産業省 GHS分類ガイダンス>
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_tool_01GHSmanual.html
<(独)製品評価技術基盤機構(NITE) GHS混合物分類判定ラベル/SDS作成支援システム「NITE-Gmiccs」>
https://www.ghs.nite.go.jp/

Q2-3.危険有害性分類と絵表示はどのような関係にあるか。

A.

GHSでは、危険有害性の分類(危険有害性のクラス及び区分)に対応して、9種類の絵表示(ピクトグラム)が割り当てられています。
 具体的な危険有害性のクラス及び区分に応じた絵表示については、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」や「職場のあんぜんサイト」等で確認してください。

 <職場のあんぜんサイト GHSとは>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankg_ghs.htm
<日本産業標準調査会JIS検索においてJIS Z 7253を検索 (閲覧のみ) >
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html

Q2-4.同じ物質であっても、入手したSDSと、「職場のあんぜんサイト」のモデルSDSで危険有害性の分類区分に違いがあるのはなぜか。

A.

同じ物質であっても、GHS分類を行う際に根拠とした文献や試験結果等が異なる場合には、GHS分類結果が異なる場合があります。
SDSに記載するGHS分類は、事業者の責任において行うものであり、モデルSDSの分類結果を採用するか、他の情報をもとに別の分類を行うかは、事業者が判断することになります。

対象物質

Q3-1.「表示対象物」、「通知対象物」、「リスクアセスメント対象物」はそれぞれ何を意味しているのか。

A.

それぞれ、ラベル表示、SDS交付等による通知、リスクアセスメントの実施が義務付けられている物質・混合物であり、具体的には労働安全衛生法施行令別表第3第1号(製造許可物質)及び別表第9で指定された物質並びに(令和7年4月1日以降)労働安全衛生規則別表第2で指定された物質と当該物質を裾切値以上含む混合物です。
ただし、ラベル表示に関しては「固形物の除外」が設けられています(Q8-1参照)。

Q3-2.ラベルおよびSDSの義務対象となっている表示・通知対象物質リストはどこで確認できるか。また英文版もあるか。

A.

表示及び通知対象の物質リストは 「職場のあんぜんサイト」で次の2つのファイルが公開されています。
・物質一覧(Excelファイル) ※物質名としてに日本語・英語が併記されています。
・物質一覧(法令の物質名称を展開(参考))(PDFファイル)

 <職場のあんぜんサイト 表示・通知対象物質の一覧・検索>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/gmsds640.html

また、今後、ラベル表示・SDS交付の義務対象物質(表示・通知対象物質)に追加となる物質については、厚生労働省または(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所のホームページにおいて、CAS登録番号を併記した物質リストを公開しています。

<厚生労働省ホームページ「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について~労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号(令和4年5月31日公布))等の内容~」中の対象物質の一覧>
https//www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
<(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化対象物質リスト>
https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/arikataken_report.html

Q3-3.「シリカ」、「非晶質シリカ」、「結晶質シリカ」の違いを知りたい。

A.

「シリカ」は、「結晶質シリカ」と「非晶質シリカ」に分類できます。
結晶質シリカは、石英やクリストバライト、トロポリなど「原子やイオンあるいは分子が三次元の周期性をもって配列し空間格子を形成した結晶構造を持つ固体物質」です。
非晶質シリカは、石英ガラスやシリカゲルなど「原子または分子が規則正しい空間的配列を持つ結晶を作らずに集合した固体状態の物質」です。
従来、結晶質シリカ及び非晶質シリカを共に「シリカ」として労働安全衛生法施行令別表第9に掲げ、ラベル表示及びSDSの交付の対象としていました。
しかしながら、非晶質シリカは結晶質シリカに比べ健康有害性が低いため、平成29年8月の政省令改正によってラベル表示及びSDS交付の対象から除外され、結晶質シリカのみがラベル表示及びSDSの交付の対象となりました。
ただし、粉状の非晶質シリカについては、鉱物性粉じんとしての有害性があり、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)に定める措置等を講じて高濃度ばく露を防止することが求められています。

Q3-4.新たに表示又は通知対象物が追加された場合、従来の物質数と新規追加された物質数の合計が追加後の総物質数にならない場合があるのはなぜか。

A.

総物質数は、労働安全衛生法施行令別表第3第1号及び別表第9並びに(令和7年4月1日以降)労働安全衛生規則別表第2に規定された物質名称の総数を言います。
 新たに表示及び通知対象物が追加された場合、当該物質と従来の物質との整理が実施されます。
 例えば、これまでの「ヒドラジン(令別表第9第459号)」及び「ヒドラジン一水和物(同表第460号)」 は、令和4年2月の政令改正(令和6年4月1日施行)によって「ヒドラジン及びその一水和物(新令別表第9第459号)に統合される等の整理が行われており、従来の物質数と新規追加された物質数の合計が追加後の総物質数にならない場合があります。

裾切値

Q4-1.表示及び通知対象物ごとに設定されている「裾切値」とは何か。

A.

裾切値とは、製剤(混合物)中の対象物質の含有量(重量%)がその値未満の場合、ラベル表示又はSDS交付の対象とならない値を言います。表示及び通知対象物ごとにラベル表示の裾切値とSDS交付の裾切値がそれぞれ定められており、「職場のあんぜんサイト」等で確認することができます。
なお、物質によってはラベル表示の裾切値とSDSの交付の裾切値が異なる場合があります。

 <職場のあんぜんサイト 表示・通知対象物質の一覧・検索>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/gmsds640.html

今後、ラベル表示・SDS交付の義務対象物質(表示・通知対象物質)に追加となる物質については、以下で確認できます。
<厚生労働省ホームページ「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について~労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号(令和4年5月31日公布))等の内容~」中の対象物質の一覧>
https//www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
<(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化対象物質リスト>
https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/arikataken_report.html

Q4-2.「A及びその化合物」、「A及びその塩酸塩」など複数の物質を包括した名称で指定されている物質や異性体の総称で指定されている物質について、裾切り値との比較は、「該当する物質の総和の含有量」「個々の物質ごとの含有量」のいずれで判断するのか。

A.

複数の物質を包括した名称で指定している物質については、裾切値を規定する法令(労働安全衛生規則別表第2、令和7年4月1日以降は労働安全衛生法施行令第18条第3号及び第18条の2第3号の規定に基づき厚生労働大臣の定める基準)に掲げられた物質名称の単位で、該当する個々の物質の含有量を合算した数値を裾切り値と比較し、裾切り値を超えているかを判断します。

Q4-3.ニトログリセリンやニトロセルローズ、硝酸アンモニウムに裾切値が定められていないのはなぜか。

A.

ニトログリセリンとニトロセルローズは火薬等に使われる爆発性の物質です。また、硝酸アンモニウムは他の物質を酸化させる性質を持っています。
これらの物質を混合物とした場合の危険性は、混合する他の物質により変わります。このため、混合する他の物質によっては、その混合物が爆発性、酸化性又は危険性を持たないことがあります。これらの混合物の危険性等については個別に実測する必要がありますので、裾切値を記載していません。

対象範囲

Q5-1.少量の試験研究用の物やサンプルとして提供する物もラベル表示及びSDSの交付の対象になるか。

A.

ラベル表示及びSDSの交付については、安衛法令上、取扱量による適用除外はありませんので、たとえ研究目的、少量又はサンプル提供であっても、ラベル表示及びSDSの交付が必要です。

Q5-2.ラベル表示及びSDSの交付が義務付けられた表示及び通知対象物以外の化学物質についても、ラベル表示又はSDSの交付を行う必要があるか。

A.

表示及び通知対象物以外についても、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14及び第24条の15に基づき、労働者に対する危険又は健康障害を生ずるおそれのある物を譲渡・提供する場合には、すべてラベル表示及びSDS交付を行うよう努めてください。
なお、労働者に対する危険又は健康障害を生ずるおそれのある物とは、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法―ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」の付属書A(A. 4を除く。)の定めにより危険有害性クラス、危険有害性区分及びラベル要素が定められた物理化学的危険性又は健康有害性を有するものを言います。

Q5-3.製品を運搬するだけの運送業者にSDSを交付する必要はあるか。

A.

化学品を運搬するだけの運送業者は、化学品を譲渡・提供する相手方には該当しないため、SDS交付の義務はありません。 なお、運送業者は、毒劇物や危険物等の輸送時の事故における措置、連絡通報事項を明記したイエローカード(緊急連絡カード)を携行することが推奨されます。

Q5-4.業務用の印刷に用いるトナーカートリッジはラベル表示及びSDSの交付の対象か。

A.

業務用の印刷に用いるトナーカートリッジは使用の過程で内容物が放出されますので、ラベル表示及びSDSの交付が除外される「対象物が密封された状態で取扱われる製品」等の一般消費者の生活の用に供するためのものとは言えません。
そのため、当該トナーカートリッジ内容物の成分に表示又は通知対象物が含まれている場合は、ラベル表示及びSDSの交付の対象となります。

Q5-5.表示及び通知対象物を海外に輸出する際に、労働安全衛生法に基づくラベル表示とSDSの交付は必要か。

A.

安衛法に基づくラベル表示及びSDSの交付に係る規定の対象は国内の「労働者」及び「譲渡・提供する相手方」であり、海外に輸出する物については本条の適用対象外となることから、安衛法上の義務付けはありません。
ただし、GHS分類、ラベル及びSDSは国際調和のために国際連合が公表した仕組みですので、海外の譲渡・提供先にもラベル表示及びSDSの交付を行うことが望まれます。その場合、輸出相手国におけるラベル及びSDSに関わる法令の定めに則り対応してください。

Q5-6.廃棄物は労働安全衛生法に基づくラベル表示及びSDS交付の対象か。

A.

労働安全衛生法では、廃棄物はラベル表示・SDS交付の対象となりません。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)に基づきご対応ください。

一般消費者の生活の用

Q6-1.ラベル表示又はSDSの交付の義務の対象外となる「(容器又は包装のうち)主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」又は「一般消費者の生活の用に供される製品」とはどのようなものか。

A.

ラベル表示では「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、SDS交付では「主として一般消費者の用に供される製品」についてが義務の対象外となっています。
この 「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」および「主として一般消費者の用に供される製品」には、以下のものが含まれます。
・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(昭和35年法律第145号)に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品
・農薬取締法(昭和23年法律第85号)に定められている農薬
・労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状または粒状にならない製品(工具、部品等いわゆる成形品)
・表示対象物が密封された状態で取り扱われる製品(電池など)
・一般消費者のもとに提供される段階の食品。ただし、水酸化ナトリウム、硫酸、酸化チタン等が含まれた食品添加物、エタノール等が含まれた酒類など、表示対象物が含まれているものであって、譲渡・提供先において、労働者がこれらの食品添加物を添加し、又は酒類を希釈するなど、労働者が表示対象物又は通知対象物にばく露するおそれのある作業が予定されるものは除く
・家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品。いわゆる業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品は、一般消費者も入手可能な方法で譲渡・提供されているものであっても除く。

Q6-2.エタノール等を含む食品に表示及び通知対象物を含有している場合にも、ラベル表示又はSDSの交付は必要か。

A.

一般消費者に提供されるもの(そのまま店頭に並ぶもの)、飲食店向けに販売される酒類、食品工場向けに販売される味噌、醤油、たれなど、食品として喫食できる段階のものについては、主として一般消費者の生活の用に供するための容器若しくは包装又は製品に該当し、ラベル表示又はSDSの交付義務の対象から除外されます。
ただし、食品製造段階で使用される添加材、保存料、香料等については、それら化学物質類が製造工程中に作業者にばく露する可能性が考えられますので、ラベル又はSDSによる情報提供が必要となります。
なお、次の資料で、食品用途における適用除外の例が示されていますので、ご参照ください。

 <一般消費者の生活の用に供するための製品(適用除外)の例>
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/tekiyoujogai.pdf

Q6-3.一般家庭用の洗剤等もラベル表示やSDS交付の対象になるか。

A.

家庭用品品質表示法に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品であれば、 「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」および「主として一般消費者の用に供される製品」に該当するため、ラベル表示及びSDS交付義務の対象から除外されます。
しかしながら、業務用洗剤等のように業務に使用することが想定されている製品は、スーパーやホームセンター、一般消費者も入手可能な方法で譲渡・提供されているものであっても上記除外には該当しないため、ラベル表示及びSDS交付義務の対象となります。

Q6-4.センサー、ブレーカー、端子等の電子部品にも表示又は通知対象物を含有している場合、ラベル・SDSが必要か。

A.

労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状または粒状にならない電子部品等は、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」および「主として一般消費者の用に供される製品」に該当し、ラベル表示又はSDSの交付義務の対象から除外されます。

経過措置

Q7-1.表示及び通知対象物が新たに追加される場合、ラベル表示の経過措置に示されている「施行日において現に存するもの」とはどういう意味か。

A.

「施行日において現に存するもの」とは、施行日時点で、すでに対象物質を含む化学品が容器包装されて流通過程にある、または製造者の出荷段階にあるものを意味しており、その場合には、ラベル表示について一定の猶予期間が設けられています。
ただし、施行日時点で容器包装されていない対象物質を含む化学品は「現に存するもの」には該当せず、経過措置による猶予は適用されません。

Q7-2.表示及び通知対象物の新規追加によって、ラベル表示が新たに必要となった製品の場合、追加以前にラベル表示せず譲渡・提供し、追加後に譲渡・提供先が別の事業者に譲渡・提供する場合、ラベルは誰が表示すべきか。

A.

表示及び通知対象物を追加する改正時に定められた経過措置の期日前に譲渡・提供したものに関しては、譲渡・提供者にラベル表示の義務はありません。一方、譲渡・提供先が経過措置で定めた期日以降、更に別の事業者に譲渡・提供する場合は、譲渡・提供先が化学品にラベル表示をしなければなりません。

固形物除外

Q8-1.固形物が、ラベル表示義務の対象から除外される条件は何か。

A.

純物質(含有量100%のもの)のうち、次の金属が粉状以外(塊、板、棒、線など)の場合、ラベル表示義務の対象から除外されます。
アルミニウム、イットリウム、インジウム、カドミウム、銀、クロム、コバルト、すず、タリウム、タングステン、タンタル、銅、鉛、ニッケル、白金、ハフニウム、フェロバナジウム、マンガン、モリブデン、ロジウム
 また、混合物については、運搬中又は貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ粉状にならないもののうち、危険性又は皮膚腐食性を有しないものの場合、ラベル表示の適用除外となります。
なお、上記の適用除外はラベル表示に関するものであるため、SDS交付は必要です。

Q8-2.アルミのインゴットを販売している。当該インゴットはラベル表示又はSDS交付義務の対象か。

A.

運搬中および貯蔵中の過程で固体以外の状態にならず、かつ粉状にならず、危険性又は皮膚腐食性を有しないない場合は、ラベル表示は除外されます。ただし、販売先の労働者による取扱いの過程において、固体以外の状態または粉状、粒状となる場合はSDS交付が必要となります。インゴットは通常販売先において溶融など加工が予定されるため、SDS交付は必要となると考えられます。
また、アルミニウム単体又はアルミニウムを含有する製剤その他の物(以下「アルミニウム等」 という。)であって、サッシ等の最終の用途が限定される製品であり、 かつ当該製品の労働者による組立て又は取付施工等の際の作業によってアルミニウム等が固体以外のものにならず、かつ粉状(インハラブル粒子)にならないものは、「主として一般消費者の生活の用に供するための製品」として、ラベル表示、SDS交付及びリスクアセスメント実施義務の対象にならないものとして取り扱って差し支えありません。

Q8-3.運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物はラベル表示の対象から除くとあるが、使用中に粉体や液体になってしまうものでも、運搬、貯蔵中に固体であれば除外されるのか。

A.

「運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物」に該当すれば、使用中に粉体や液体になるものであってもラベル表示の対象からは除外されます。ただし、SDS交付等は、譲渡提供した相手方において取り扱う際の注意事項等も含めて通知するものであり、運搬・貯蔵する場合に限る措置ではないため、除外対象とはしておらず、「運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物」に該当する物であって使用中に粉体や液体になる物については、SDSの交付等は必要です。

供給者

Q9-1.流通業者(商社等)が化学品をユーザーに販売する場合、ラベルやSDSに記載すべき供給者名は誰になるのか。また、多数の譲渡・提供者が介在する場合、そのすべてを供給者として記載する必要があるか。

A.

化学品の譲渡・提供時には、譲渡・提供者の名称、住所及び電話番号をラベルやSDSに記載しなければならず、製造者の名称と連絡先の記載に加え、流通業者等の販売者の名称と連絡先を追記していただく等の対応が必要です。
上記以外に、
・製造・輸入元のホームページのアドレスの伝達とあわせて自社の名称、住所及び電話番号を電子メール等で伝達する
・製造・輸入元のSDSに自社の名称、住所及び電話番号を併記したものを自社のホームページに掲載し、そのアドレスを伝達し、閲覧を求める
等の方法も可能です。

Q9-2.他社に製造委託した化学品を自社ブランドで販売する場合、ラベル表示及びSDS交付義務は、どちらの事業者になるか。

A.

ラベル表示及びSDS交付の義務は、化学品の譲渡・提供者にあります。そのため、他社が製造したものであっても、販売時には販売する事業者がラベル表示及びSDS交付を行う必要があります。一方、製造者は、自社ブランドでなくても、委託元に譲渡・提供する際はラベル表示及びSDSの交付を行う必要があります。
実務的には、製造者と販売者の名称、住所及び連絡先を併記する等の方法が考えられます。

Q9-3.化学品を輸入し、販売する場合、ラベルやSDSに記載する供給者は海外製造者で良いか。

A.

ラベル及びSDSに記載する供給者情報には、化学品の譲渡・提供者の情報を記載します。国内の事業者が輸入した化学品を販売する場合は、輸入者が譲渡・提供者になるため、海外の製造者ではなく、輸入者の情報を記載する必要があります。

Q9-4.事業場で製造した化学品を同一事業者内の他事業場で使用する場合、ラベル表示及びSDS交付の義務はあるか。

A.

同一の事業者が従業員の管理責任を持つ限り、事業場間での移動であっても、譲渡・提供には該当しないため、表示及び通知対象物についてのラベル表示及びSDS交付義務の適用はありません。
なお、そのような場合であっても、事業者にはSDSの内容を関係する労働者に周知したり、別容器で保管する際の名称等の明示の義務があります。

ラベル記載内容

Q10-1.ラベルの大きさ及び色に関しての規定はあるか。

A.

JIS規格(JIS Z 7253)では、絵表示は一辺が1cm以上の正方形、枠は赤及びマークは黒と規定されています。絵表示以外は、色又は大きさについての規定はありませんが、文字は、容易に読める大きさにする必要があります。

Q10-2.化学品を包装する袋にラベルを印刷する時、絵表示の赤枠の中の下地の色が袋の薄青色になるが、白でなければならないか。

A.

JIS規格(JIS Z 7253)では、絵表示は一辺が1cm以上の正方形、枠は赤及びマークは黒と規定されています。また、平成24年3月29日付け基発第0329011号「化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針について」では、「白色の背景」に「黒のシンボル」とありますが、はっきりとマークが見え読み取れることができれば材料の色のままでも構いません。あくまでも視認性が高いことが求められます。

Q10-3.輸入した化学品を譲渡又は提供する場合、ラベル及びSDSは英語表記で良いか。

A.

危険有害性や取扱い上の注意を、事業者、労働者が読めるようにすることが重要であるため、輸入品を日本国内で最初に譲渡・提供する事業者が、外国語を日本語に翻訳したラベルとSDSを作成して提供する必要があります。通達「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行等(化学物質等に係る表示及び文書交付制度の改善関係)に係る留意事項について」において、ラベルとSDSは邦文で記載するとしており、また、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」においてもラベル及びSDSは日本語で表記すると示されています。

Q10-4.輸入した化学品を自社で使用する場合、日本語のラベル及びSDSは必要か。

A.

輸入した化学品の自社使用は、譲渡・提供には該当しないため、ラベル表示及びSDS交付義務の適用はありません。
ただし、自社事業場内の労働災害を防止するため、労働者が理解できる言語での危険有害性の周知やリスクアセスメント及びその結果に基づくリスク低減措置の実施などが必要になります。

Q10-5.ラベルには、JIS Z 7253で規定されている項目はすべて記載する必要があるか。

A.

安衛法では、ラベル記載項目として次の項目を定めており、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」に準拠した記載を行えば、これらの項目が網羅されることになります。
1.名称
2.注意喚起語
3.人体に及ぼす作用
4.安定性及び反応性
5.貯蔵または取扱い上の注意
6.標章(絵表示)
7.表示をする者の氏名、住所及び電話番号
なお、項目の一部省略についてはQ.10-6を参照してください。 
 

Q10-6.ラベル表示対象物をGHS分類した結果、危険有害性に分類されない場合でもラベルは必要か。

A.

ラベル表示対象物であるため、ラベル表示そのものを省略することはできません。
ただし、ラベルに記載すべき事項のうち「人体に及ぼす作用」「安定性及び反応性」「注意喚起語」「標章」(JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」では「危険有害性情報」「注意喚起語」「絵表示」に相当)については、GHS分類に従い分類した結果、危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合、記載を要しないため、省略可能です。
一方、「名称」や「表示をする者の氏名、住所及び電話番号」は危険有害性に関わらず記載が必要であり、また、「貯蔵または取扱い上の注意」については、災害防止のため必要な措置等を記載することが必要です。
 

Q10-7.ラベルに成分を記載する必要があるか。

A.

JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」では、「混合物の場合、ラベルには含有する成分のうち、取り扱う者に危険有害性を及ぼす可能性があるものを全て記載することが望ましい」とされていますが、安衛法においては、視認性の観点からラベルへの成分記載は任意となっています。
 

Q10-8.「職場のあんぜんサイト」で公表されているモデルラベルやモデルSDSをそのまま自社のラベルやSDSとして利用しても良いか。

A.

「職場のあんぜんサイト」で公表しているモデルラベル及びモデルSDSは、譲渡又は提供者がラベルやSDSを作成する際の参考としていただくためのものですので、ご活用いただいて問題ありません。 ただし、その場合であっても、ラベルやSDSの記載内容については、譲渡・提供者の責任において行っていただくことになります。
なお、モデルSDSの「8.ばく露防止及び保護措置」における保護具に関して、各事業者や製品によって推奨用途が異なり適切な保護具の種類も異なることから、モデルSDSでは「適切な保護具を着用すること」といった記載をしているものがありますが、各事業者においては、SDS作成時に、推奨用途での使用において吸入又は皮膚や眼との接触を保護具で防止することを想定した場合に必要とされる保護具の種類(例:呼吸用保護具であれば、防じんマスク、防毒マスク、送気マスク等)を必ず記載してください。
 

Q10-9.法令改正により販売している化学品がラベル・SDSの義務対象外となった場合に、既に譲渡・提供先に表示・通知したラベル・SDSを回収・修正する必要はあるか。

A.

ラベル・SDSの義務対象外となった場合、すでに譲渡・提供された化学品のラベル・SDSの回収や修正は不要です。

ラベル貼付箇所

Q11-1.容器が小さくてラベルを貼りきれない場合でも、出荷する容器にラベルをつけなければならないか。例えば、容器10本を入れた箱にラベルを貼って出荷することは可能か。

A.

化学物質を取扱う労働者が容器を開封する際にラベルを確認できるよう、個々の容器にラベルを貼付する必要があります。小さい容器であってもラベルは容器に直接貼るか、それが難しい場合は票箋(タグ)で結び付けるのが原則です。
SDSについてはホームページアドレスの伝達や二次元コード等の電子化された伝達方法が可能ですが、ラベルに関しては、ラベルそのものを見て危険有害性情報を伝達できることが重要であることから、容器への直接貼付が継続して求められます。

Q11-2.化学品をタンクローリーやミキサー車で輸送する場合、ラベル表示はどうするべきか。

A.

安衛法第57条第2項により、化学品を容器に入れないで、又は包装しないで譲渡又は提供する場合は、ラベル表示に相当する情報を記載した文書を交付することが義務づけられております。
ほとんどの情報はSDSに含まれておりますので、実行上、SDSの交付により条件を満たしますが、SDSに同法第57条第1項第2号の標章(絵表示)の記載が必要であることにご注意ください。

Q11-3.製品容器に加えて、輸送用の外装段ボールにもラベル表示が必要か。

A.

個々の製品容器にラベル表示されていれば、段ボール等の外装容器に再度ラベル表示する必要はありません。
なお、労働安全衛生法が求めるラベルとは別に、危険物輸送等に関しては消防法等による表示等が求められますので、別途確認してください。

SDS記載内容

Q12-1.SDSの記載項目はどのように決められているか。

A.

安衛法では、SDS記載項目として次の項目を定めており、JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」に準拠した記載を行えば、これらの項目が網羅されることになります。
 1.名称
 2.成分およびその含有量
 3.物理的及び化学的性質
 4.人体に及ぼす作用
 5.貯蔵または取扱い上の注意
 6.流出その他の事故が発生した場合に構ずべき応急の措置
 7.通知を行う者の氏名、住所及び電話番号
 8.危険性または有害性の要約
 9.安定性及び反応性
10.想定される用途及び当該用途における使用上の注意 ※令和6年4月1日より適用
11.適用される法令
12.その他参考となる事項
なお、令和4年5月の省令改正によって、新たに「10.想定される用途及び当該用途における使用上の注意」が追加されました。また関連して通達「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行等(化学物質等に係る表示及び文書交付制度の改善関係)に係る留意事項について」の改正により、「5.貯蔵または取扱い上の注意」の1項目である「保護具の使用」に関して、想定される用途での使用において吸入又は皮膚や眼との接触を保護具で防止することを想定した場合に必要とされる保護具の種類を必ず記載することが必要となりました。

Q12-2.SDSの成分及び含有量の記載に関して、含有量の表記における決まりはあるか。

A.

従来、含有量については10%未満の端数を切り捨てた数値と切り上げた数値との範囲で記載すること(例:10-20%など)が認められていましたが、令和4年5月の省令改正によって、令和6年4月1日から重量%の数値記載が原則となります。
なお、製品の特性上含有量に幅が生じる場合等は、国連GHS文書及びJIS Z 7253:2019に沿って、合理的な濃度範囲による記載も可能です。
また、平成 12 年3月 24 日付け基発第162 号「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行について」により、重量パーセントへの換算方法を明記していれば重量パーセント以外の表記でもよいこととされています。
 

Q12-2-2.SDSに記載する成分の含有量が営業上の秘密に該当する場合、どのように記載すれば良いか。

A.

成分の含有量が営業上の秘密に該当する場合については、SDS にはその旨を記載 (JIS Z7253 に従って作成したSDSにおいては、3項に記載)の上で含有量を10パーセント刻みで記載することが可能です。この場合、譲渡提供する相手方から求めがあるときは、秘密保持契約その他秘密の保全のために一般的に必要とされる方法により、相手方の事業場におけるリスクアセスメントの実施に必要な範囲内で、より狭い幅の濃度範囲又は重量パーセントで通知しなければなりません。また、「成分及びその含有量」が営業上の秘密に該当する場合に、SDSにはその旨を記載の上で成分及びその含有量の記載を省略し、秘密保持契約等を結び別途通知することも可能です。ただし、特別規則対象物質については本規定の適用の対象外です。
 

Q12-2-3.営業秘密に該当する場合も成分の含有量の幅表記が認められているが、幅表記にあたって何か記載要件はあるか。

A.

営業秘密に該当する場合について、省令で規定している「10パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲」とは、「10-20%」等の10パーセント刻みの記載方法を言います。この規定は法令上の最低基準であるため、10パーセント刻みより狭い幅の濃度範囲を通知することは当然に可能です。 例えば、含有量が13%の場合は、10~15%、10~20%等の記載は可能ですが、0~20%、10~40%等の記載は認められません。

Q12-3.SDSの成分及び含有量の記載に関して、成分名の表記は化学物質名(例:重クロム酸カリウム)、法令の名称(例:重クロム酸及び重クロム酸塩)のいずれを記載すべきか。

A.

成分名の記載は化学物質の名称、法令の名称のいずれでも構いません。

Q12-4.適用法令については法令の名称の他に当該法令の基づく規制に関する情報を記載するとなっているが、規制に関する情報はどのように記載するのか。

A.

SDSの適用法令欄について詳細な規定はありませんが、受け取った者が適切に対応できることが必要です。このため、まずはSDSの提供を義務付けている法令(安衛法、化管法及び毒劇法)の適用有無を記載します。安衛法については、どの規定が適用になるのかわかるよう、表示・通知対象物や特定化学物質、有機溶剤、製造許可物質などの別を記載します。さらに、必要に応じて他の法令(消防法や化審法、大気汚染防止法、船舶安全法など)の適用を記載します。

Q12-5.安衛則第577条の2の規定に基づくがん原性物質に該当することは、SDSのどの欄に記載すれば良いか。

A.

SDSの適用法令欄に記載をしてください。なお、営業上の秘密としてSDSにその旨を記載した場合は、秘密保持契約等を結び別途通知してください。
○令和4年12月26日付け基発1226第4号(令和5年4月24日一部改正) 記の第3
4 がん原性物質に該当する旨のSDS等による通知について
安衛則第34条の2の4第4号(令和6年4月1日以降は第5号)の通知事項である「適用される法令」の「法令」には、本告示が含まれること。この場合、リスクアセスメント対象物の名称が包括的な名称で規定されている物質であってそのうち一部の物質が本告示で定めるがん原性物質に該当するものを譲渡し、又は提供するに当たっては、SDS等に記載する成分の名称は、リスクアセスメント対象物の名称に関わらず、該当するがん原性物質の名称とすること。
 
 

Q12-6.安衛則第577条の2の規定に基づき厚生労働大臣が定める濃度の基準(濃度基準値)は、SDSのどの欄に記載すれば良いか。

A.

管理濃度等と同じく、安衛法第57条の2第1項に基づく通知事項である「貯蔵又は取扱い上の注意」として通知することとなりますので、JIS Z7253に基づくSDSの「8.ばく露防止及び保護措置」欄に記載してください。なお、営業上の秘密としてSDSにその旨を記載した場合は、秘密保持契約等を結び別途の方法により通知してください。
○平成18年10月20日付け基安化発第1020001号(令和6年1月9日付け基安化発0109第1号) 記のⅡ第1
5 貯蔵又は取扱い上の注意(法第 57 条の2第1項第5号関係)
(3)管理濃度、濃度基準値(則第 577 条の2第2項の厚生労働大臣が定める濃度の基準をいう。)、許容濃度等
 
 

Q12-7.皮膚等障害化学物質として、厚労省公表物質リストに収載された物質を裾切値以上含む場合、SDSに該当物質が皮膚障害化学物質である旨を記載しなければならないか。

A.

皮膚等障害化学物質に該当する物質については、SDSの「第15項 適用法令」にその旨を記載してください。なお、法令上、SDSへの記載義務がかかるものは、皮膚等障害化学物質のうちラベル・SDS対象物質(リスクアセスメント対象物)となっている物質です。リスクアセスメント対象物となっていない皮膚等障害化学物質のSDSへの記載は、安衛則第24条の15に基づく努力義務となります。
○平成18年10月20日付け基安化発第1020001号(最終改正令和6年1月9日付け基安化発0109第1号) 記のⅡ第1
11 適用される法令(則第34条の2の4第4号(令和6年4月1日以降は第5号)関係)
 化学物質等に適用される法令の名称を記載するとともに、当該法令に基づく規制に関する情報を記載すること。労働安全衛生法関係法令における適用法令としては、令第18条(表示対象物)及び令第18条の2(通知対象物)のほか、令別表第1(危険物)、令別表第3(特定化学物質、製造許可物質)、令別表第6の2(有機溶剤)、鉛則(鉛及び令別表第4第6号に規定する鉛化合物)、四アルキル鉛則(令別表第5第1号に規定する四アルキル鉛)、則第577条の2(がん原性物質)、則第594条の2(皮膚等障害化学物質等)等を記載すること。
 なお、すでに交付されたSDSに係る製品に含有される成分の中に、新たに法令が適用される物質がある場合は、可能な限り速やかに新たな適用法令及び当該法令が適用される含有成分の名称を盛り込んだSDSを譲渡・提供先に通知するように努めるとともに、変更されたSDSが通知されるまでの間、ホームページへの掲載等により、譲渡・提供先に対して、新たな適用法令及び当該法令が適用される含有成分の名称を通知するよう努めること。

SDS交付

Q13-1.SDSはいつ交付しなければならないのか。

A.

化学品の譲渡又は提供者は、化学品を譲渡・提供する時までに譲渡・提供先にSDSを交付します。継続的に反復して譲渡又は提供する場合は、一度SDS交付を行えば都度交付する必要はありませんが、交付漏れ等がないようSDS交付先を管理しておくことが必要です。
また、SDSの記載内容に変更がある場合は、変更後のSDSを速やかに交付するよう努める必要があります。

Q13-2.ホームページでSDSを提供しても良いか。その場合、ホームページに掲載していることをメール等で譲渡・提供先に連絡する必要があるか。

A.

従来、SDSは文書で提供するのが原則であり、譲渡・提供先の承諾を得た場合のみ電子媒体等で提供することが可能でしたが、令和4年5月の省令改正によって、令和4年5月31日から、譲渡・提供先の承諾を要件とせず、電子メールの送信や通知事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む)を伝達し閲覧を求めること等による方法が新たに認められました。
なお、ホームページにSDSを掲載する場合等において、譲渡・提供先が容易に確認可能できるよう、リンク先をメール等で相手側に通知し閲覧を求めることが必要です。
 

Q13-2-1.SDS を相手方の承諾なしにホームページのアドレスや二次元コードで伝達することは、SDS が更新された際に譲渡提供を受ける事業者に伝わらなくならないか。

A.

安衛法第 57 条の2第2項の規定により、SDSの通知事項について、変更を行う必要が生じたときは、その変更後の内容を速やかに譲渡提供した相手方に通知する努力義務があります。SDSの更新後の再通知は、販売記録等を元に電子メールなどで行う方法や、提供者のウェブサイトに更新情報を明確に表示し、提供時に伝えたURLまたはQRコードから最新のSDSを常時閲覧可能にするなど、受け手が簡単に最新のSDSを確認できる手段を用いて行うことが可能です。
 

Q13-2-2.SDSの5年以内ごとの記載内容の変更の要否の確認において、変更の必要がないことを確認した場合は、SDSを更新しなくてよいか。その場合、確認結果を譲渡提供先に通知することなく従来のSDSを使用し続けてよいか。

A.

SDSの記載内容の変更の要否を確認した結果、変更の必要がない場合にはSDSを更新する義務はありません。 また、SDSの記載内容に変更の必要がない場合は、相手方に通知を行う必要もありません。 ただし、各事業者においてSDSの改訂情報を管理する上で、変更の必要がないことを確認した日を記録しておくことが望ましいです。
 

Q13-2-3.独自の試験などの結果、GHS 分類の区分がつかない結果となった場合、また、SDS の「人体に及ぼす作用」や「危険性又は有害性の要約」に記載すべき情報にあてはまらない場合はどう伝達したらよいか。

A.

事業者が独自に持つ情報により分類した結果に基づいて SDS を作成することは妨げませんが、そのように判断した根拠を含めて記載しておくことが望ましいです。

Q13-3.提供しているSDSは定期的に更新しなければならないか。

A.

令和4年5月の省令改正によって、SDSの記載項目のうち「人体に及ぼす作用」については、令和5年4月1日より、5年以内ごとの定期的な確認や、確認の結果変更がある場合には確認後1年以内の更新が義務付けられます。
また、SDS記載項目に変更が生じた場合には、速やかに譲渡・提供先に変更後のSDSを交付するよう努めてください。

事業場内別容器保管時の措置

Q14-1.表示・通知対象物を事業場で納入時の容器から小分けして保管又は取り扱う場合、小分け後の容器に名称等の明示は必要か。

A.

令和4年5月の省令改正によって、令和5年4月1日以降は、表示・通知対象物を別容器で保管する場合や、自ら製造した表示・通知対象物を保管する場合において、ラベル表示項目のうち化学品の「名称」と「人体に及ぼす作用」を次のような方法で当該化学品を取り扱う労働者に明示することが義務付けられます。
・ラベル表示
・文書の交付
・使用場所への掲示
・必要事項を記載した一覧表の備え付け
・電子媒体に記録し、労働者が内容を常時確認可能な機器(パソコンなど)を設置
・作業手順書や作業指示書 など
例えば、各容器にサンプル番号を付し、番号と物質名・人体に及ぼす作用を別途掲示する等の方法も考えられます。

Q14-2.計量し他容器に移し替えるが、すぐに作業を行い、保管しないような場合にも名称等の明示は必要か。

A.

他容器に一時的に移し替えるだけで保管せず、その場で使い切る場合等は、保管する場合には該当しないため、対象とはなりません。

Q14-3.人体に及ぼす作用とは具体的に何を明示すればよいか。GHSの絵表示だけでよいか。

A.

「人体に及ぼす作用」とは、化学物質等の有害性情報のことを指します。
GHSの絵表示は人体に及ぼす作用の情報としては不十分であり、小分け前の容器に記載されている有害性情報に相当する内容を明示してください。

その他

Q15-1.入手したSDSを労働者に周知しなければならないか。

A.

譲渡・提供を受けたSDSは、次のいずれかの方法で化学物質を取り扱う労働者が常時確認できるよう周知することが必要です。
1.作業場に常時掲示するか備え付ける
2.書面を労働者に交付する
3.電子媒体で記録し、作業場に常時確認可能な機器(パソコンなど)を設置

Q15-2.ラベルやSDSの記載内容を労働者に教育する義務はあるか。

A.

令和4年5月の省令改正によって、令和6年4月1日以降は、リスクアセスメント対象物を製造、取扱いまたは譲渡・提供する事業場は化学物質管理者を選任しなければなりません。
この化学物質管理者の職務の1つとして、ラベルやSDSの作成、リスクアセスメントの実施、ばく露防止措置の選択や実施、労働災害発生時の対応といった化学物質の自律的な管理に必要な事項について、労働者に教育や周知を行うことが定められています。
そのため、事業場においては、自律的な化学物質の管理に向けて、ラベルやSDS、リスクアセスメント、ばく露防止措置等について、労働者教育を行うことが求められることになります。

Q15-3.ラベル表示、SDS交付に関する罰則はあるか。

A.

ラベル表示を行わなかった又は虚偽の表示をした場合は「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が設けられています。
一方、SDS交付については罰則は設けられていませんが、法律違反になることに変わりはなく、労働基準監督署の指導対象となります。