第73回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会

日時

令和元年12月16日(月)15:00~17:00

場所

AP虎ノ門 Bルーム

議事

 
○村上勤労者生活課長補佐 それでは、定刻には若干時間がございますが、委員の皆様方、おそろいでございますので、これより第73回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
 私、勤労者生活課の村上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員の皆様の改選後初めての中退部会となりますので、部会長が選任されるまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、事務局を代表いたしまして、雇用環境・均等局長の藤澤より御挨拶を申し上げます。
○藤澤雇用環境・均等局長 この7月から雇用環境・均等局長を拝命しております藤澤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中、委員の先生方にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 皆様御存じのとおり、中小企業退職金共済制度は、独力では退職金制度を設けることのできない中小企業のための相互扶助の仕組みとして、昭和34年に国が法律で設けた制度でございます。以来、時々の社会経済情勢を踏まえた制度改正を経つつ、中小企業の従業員福祉の増進、さらにはそれを通じた中小企業の振興に寄与してまいりました。
 後ほど御説明申し上げますけれども、本日は、まず、中小企業退職金共済制度の現況と、平成30年度の決算について御報告を申し上げます。また、平成26年度以来の、法に基づく5年に一度の財政検証を行う時期となりました。特定業種退職金共済制度に係る掛金や予定運用利回りに基づく退職金の額の検討を行います財政検証について、御議論をいただくこととしているところでございます。
 中小企業で働く方々が安心して働くことができるよう、引き続き中小企業退職金共済制度が安定的に運営され、従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与していけるような結果が得られればと考えておりますので、皆様の御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○村上勤労者生活課長補佐 議事に入ります前に、先ほど申し上げたとおり、今回委員改選後初めての中退部会になりますので、私から委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。
 資料1といたしまして、中小企業退職金共済部会の委員名簿を皆様のお手元に御用意させていただきました。この名簿順に御紹介させていただきます。
 まず、本日御出席いただいている委員の方々でございます。
 公益代表委員といたしまして、みずほ信託銀行株式会社フィデュ-シャリーマネジメント部主席年金研究員、小野正昭委員でございます。
○小野委員 小野でございます。よろしくお願いします。
○村上勤労者生活課長補佐 学習院大学経済学部教授、清水順子委員でございます。
○清水委員 清水でございます。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 慶應義塾大学法学部教授、内藤恵委員でございます。
○内藤委員 内藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 次に、労働者代表委員でございます。
 まず、JAM副書記長、川野英樹委員でございます。
○川野委員 川野です。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 労働者福祉中央協議会事務局長、南部美智代委員でございます。
○南部委員 南部でございます。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長、橋本俊幸委員です。
○橋本委員 橋本でございます。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 全国建設労働組合総連合賃金対策部長、長谷部康幸委員です。
○長谷部委員 長谷部と申します。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 日本労働組合総連合会総合政策推進局労働条件局長、藤川慎一委員です。
○橋本委員 藤川です。よろしくお願いします。
○村上勤労者生活課長補佐 続きまして、使用者代表委員でございます。
 株式会社淺沼組安全品質環境本部安全部長、久保久典委員です。
○久保委員 久保です。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 株式会社シラド化学代表取締役、白土博子委員です。
○白土委員 白土です。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 税理士法人丸の内ビジネスコンサルティング代表社員、須永明美委員です。
○須永委員 須永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 一般社団法人日本中小企業団体連盟専務理事、友利秀則委員です。
○友利委員 友利です。よろしくお願いします。
○村上勤労者生活課長補佐 一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹、新田秀司委員です。
○新田委員 新田でございます。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 本日御欠席でございますが、公益代表委員といたしまして、敬愛大学経済学部教授、髙木朋代委員。名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、山本陽子委員がいらっしゃいます。
 続いて、事務局の紹介に移ります。
 先ほど御挨拶申し上げました雇用環境・均等局長の藤澤のほか、大臣官房審議官の本多です。
○本多大臣官房審議官 本多です。よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 勤労者生活課長の中條です。
○中條勤労者生活課長 よろしくお願いいたします。
○村上勤労者生活課長補佐 勤労者生活課勤労者政策調整官の安藤でございます。
○安藤勤労者政策調整官 安藤です。よろしくお願いします。
○村上勤労者生活課長補佐 そして、私が勤労者生活課長補佐の村上でございます。
 それでは、本日の議題に参ります。
 まず、議題(1)部会長及び部会長代理の選任を行います。部会長につきましては、労働政策審議会令第7条第4項の規定によりまして、部会に属する公益を代表する本審の委員から、当該部会に所属する本審の委員が選挙することとされております。
 当部会におきましては、公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは、内藤恵委員お一人でございますので、審議会令第7条第4項の規定により、内藤委員に部会長をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○村上勤労者生活課長補佐 それでは、以後の議事進行につきましては、内藤部会長にお願いいたします。
○内藤部会長 まことに至りませんが、引き続き委員の皆様の御協力を賜りまして、議事の進行等、また、よりよい退職金共済の将来に向けて努力させていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、部会長代理の指名を行いたく存じます。部会長代理の選出につきましては、労働政策審議会令第7条第6項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という規定がございます。この審議会令の規定に基づきまして、小野委員にお願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○内藤部会長 それでは、小野部会長代理から、一言お願い申し上げます。
○小野部会長代理 ただいま部会長代理に御指名いただきました小野でございます。
 勤労者生活分科会に続きまして御指名いただいたわけですけれども、内藤部会長をお支えし、かつ、中退共制度の安定的な運営に貢献したい所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○内藤部会長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次第に従って議事を進めてまいります。
 議題(2)に入ります。事務局のほうから御説明をお願い申し上げます。
○中條勤労者生活課長 それでは、議題(2)中小企業退職金共済制度の現況及び平成30事業年度決算について御報告をさせていただきます。資料2を御覧いただきたいと思います。
 中小企業退職金共済制度の現況からご説明させていただきます。
 まず、上段の新規加入者の状況でございますけれども、一番下の段が平成30年度の実績になります。左側の共済契約者数、つまり加入事業主の数で見ますと、新規加入は合計で1万9,407件となっており、右側の被共済者数、こちらは従業員の方でございますけれども、新規加入数は48万8,500人となっております。
 前年度と比較いたしますと、共済契約者数は一般中退と建設業の減少が大きかったこと、被共済者数は建設業の減少が大きかったことにより、全体としては減少となっております。
 次に、下の在籍状況について御説明します。
 平成30年度末現在、左側の共済契約者数でございますが、合計で54万6,232件となっております。また、右側の被共済者数につきましては、合計で567万4,869人となってございます。
 中を見ていただきたいのですが、平成28年度以降、建設業の被共済者が大きく減少しております。こちらにつきましては、表の下の注3にございますとおり、平成28年度から、被共済者数につきまして、制度加入の実態と乖離が生じないよう、退職金の受給資格がない掛金納付月数12月未満の被共済者のうち、加入後10年間手帳が未更新となっている方について、統計から除外したためでございます。
 また、平成30年度に、清酒製造業の被共済者数が大きく減少しておりますが、こちらは注4を御覧いただきたいと思いますけれども、平成30年度から、同様に退職金の受給資格がない掛金納付月数24月未満の被共済者のうち、加入後10年間手帳が未更新となっている方について、統計から除外したためでございます。
 2ページを御覧いただきたいと思います。退職金等支給状況でございます。
 平成30年度の支給件数でございますが、33万98件。支給総額は合計で4,179億8,800万円となっております。
 業種別のところで中を見ていただきたいのですが、平成29年度におきまして、清酒製造業の1件当たりの支給金額が大幅に減少しておりますが、これは平成29年度におきまして、現況調査を実施いたしまして、退職金受給資格のある方へ退職金の請求を促し、受給資格のない方には手帳返納手続を要請しました。その結果、脱退者数が前年度比で大幅に増加しまして、その多くが短期間加入者からの請求であったために、受給者の平均掛金納付月数が前年度に比べ大幅に減少したことが要因と考えられます。
 また、建設業の支給件数についてです。平成28年度以降大幅に増加しておりますけれども、こちらは平成28年度から、退職金の未支給期間を掛金納付月数24月未満から12月未満に緩和したことが要因であると考えております。
 3ページを御覧ください。左上が一般の中小企業退職金共済制度の平均掛金月額の状況でございます。
 掛金月額の設定は、5,000円以上30,000円以下の中で任意となっております。また、短時間労働被共済者は2,000円、3,000円、4,000円も設定可能となっておりますけれども、短時間労働者の掛金も含めた平成30年度の平均掛金月額は9,464円となっておりまして、近年は一貫して増加傾向にございます。
 右上の表でございます。特定業種退職金共済制度の掛金日額の状況でございます。
 それぞれ日額で表のように決まっておりまして、建設業310円、清酒製造業300円、林業の掛金につきましては、平成26年度に行われました財政検証の結果を踏まえて、平成27年10月から470円に変更されております。
 下の表は運用資産高の状況でございます。
 平成30年度の運用資産高は合計で約5兆9,545億円となっており、そのうち一般中退が約4兆9,158億円を占めております。建退共が約1兆円、清退共は約43億円、林退共は約151億円となっております。
 資産運用の状況については、次のページで詳しい内訳を載せております。
 まず、一般中退におけます資産運用状況でございます。一番右側が平成30年度末の数字でございます。
 運用につきましては、自家運用と委託運用で行っておりますが、自家運用につきましては国債等の満期保有を行っております。
 平成30年度の自家運用の利回りは、プラス0.52%となっております。国債の低金利傾向を反映して、利回りが低下傾向にございます。
 信託銀行等への委託運用につきましては、1.0%でございました。
 一般中退の運用全体といたしましては、資料の一番右下にございますように0.74%となってございます。一昨年度、昨年度に続いて水準は下がっておりますけれども、プラスとなった状況でございます。
 5ページを御覧いただきたいと思います。建退共におけます資産運用状況です。
 建退共では、中小企業に対する事業を給付経理、附帯的に実施しております中小企業以外の企業に対する事業を特別給付経理に区分しておりますが、上段の表が給付経理、下段の表が特別給付経理となっております。
 上の表を御覧いただきたいと思いますが、右側にございますように、平成30年度の自家運用の利回りはプラス0.81%、委託運用の利回りはプラス0.95%となり、全体の給付経理の運用利回りはプラス0.86%となっております。
 6ページは清退共でございます。
 清退共におきましても、経理を給付経理と特別給付経理に区分をしておりまして、上の給付経理におけます利回りの状況は、平成30年度末の自家運用の利回りがプラス0.24%、委託運用の利回りはマイナス3.44%となりました。国内株式相場が下落したことを主因に委託運用の利回りがマイナスとなり、全体の給付経理の運用利回りではマイナス0.60%となってございます。
 7ページが林退共でございます。
 平成30年度の自家運用の利回りはプラス0.56%、委託運用の利回りはプラス0.97%となり、合計ではプラス0.71%となっております。
 現況については以上でございます。
 配付資料の参考1を御覧いただきたいと思います。
 こちらのリーフレットでございますけれども、本年3月1日の中退部会におきまして、藤川委員から、入管法改正により外国人労働者が建設業界に多く就業する可能性があり、そのような方へ建退共制度の周知・広報を行っていくべきとの御意見を頂戴したところでございます。
 今年度、建退共本部におきましては、パンフレット、建退共制度のあらましの外国語版、英語、中国語、ベトナム語、タガログ語を作成いたしまして、外国人労働者へ向けた周知を行うことによって、建退共制度の理解促進を図っておりますので、御紹介をさせていただきます。
 続きまして、資料3を御覧いただきたいと思います。平成30事業年度決算の状況について御説明をさせていただきます。
 まず、1ページでございます。こちらは勤労者退職金共済機構全体の貸借対照表及び損益計算書の要旨をお示ししております。
 まず、大変申しわけございませんが、一番下の欄外の注を御覧いただきたいと思います。機構の平成30事業年度の貸借対照表、損益計算書につきましては、一般の中小企業退職金共済事業等勘定における誤りがございまして、責任準備金の決算数値が5億8,247万6,732円不足しております。今後、監査法人・監事が確認し、確定する予定となっております。大変申しわけございません。
 これは、平成30事業年度決算処理に当たりまして、機構が新たに構築した決算システムの仕様に誤りがあったこと、加えて、新たな決算システムによる計算に誤りがないかの検証が不十分であったことによるものでございます。
 この決算誤りにより、貸借対照表及び損益計算書で影響を受ける箇所については、着色をしている部分になります。
 決算数値につきましては、今後、監査法人・監事が確認し、確定をいたしますが、確定後の決算数値は機構のホームページに公開する予定としております。
 また、こうした事案が二度と起こらないよう、機構といたしましても、システム構築改修の際は担当者任せとせず管理者も必ず仕様書の内容を確認する、疑問が生じた場合にはシステムに関する専門的知識を有する者に確認する、システムによる計算結果の検証を徹底する等の再発防止策を講じるところでございますが、厚労省といたしましても、これら再発防止策が適切に行われるように指導を徹底してまいりたいと考えております。
 なお、申しわけございませんが、以後の説明は、本資料の数値に基づいて御説明をさせていただきます。
 内容に入らせていただきます。
 まず、1ページ目、損益計算書の中を御覧いただきたいと思います。
 一番下から3番目の数値でございます。当期純損失の額となりますが、平成30年度は機構全体で123億1,700万円の当期純損失を計上いたしました。このため、独法会計基準に則りまして、利益剰余金から132億8,700万円を取り崩し、当期総利益は9億7,000万円となっております。
 個々の事業につきましては、2ページ以降に記載をしております。
 2ページでございますが、一般の中小企業退職金共済事業等勘定についてです。先ほど御説明をいたしましたとおり、責任準備金の決算数値に誤りがございましたので、今後、欄外にお示しした数値になる予定でございます。
 まず、下段の損益計算書から見ていただきたいと思いますけれども、平成30年度につきましては、運用収入等が363億円と、前年比716億円減となったことで、33億6,000万円の当期純損失が発生をいたしました。このため、上段の貸借対照表の下から3行目にございます利益剰余金は4,299億円と、前年比33億円減となったところでございます。
 3ページを御覧ください。建退共事業等勘定についてです。
 こちらにつきましても、下の運用収入等が87億円と、前年比で123億円減となりましたことで、平成30年度は、下から3行目でございますが、97億8,000万円の当期純損失を計上し、上の貸借対照表の下から3行目でございますが、利益剰余金が986億円と、前年比で98億円減となったところでございます。
 4ページを御覧いただきたいと思います。清退共事業等勘定についてです。
 平成30年度におきましては、下の損益計算書の真ん中にございますが、責任準備金戻入が3億4,800万円と、前年比2億2,400万円増となったことで、約1億9,900万円の当期純利益となりました。上の貸借対照表の下から3行目でございますが、利益剰余金は28億円と、前年比2億円増となったところでございます。
 5ページを御覧ください。林退共事業等勘定についてです。
 林退共は、累積欠損金の解消を目指しているところでございますが、下の損益計算書の運用収入等が1億円と、前年比1億9,000万円減となったことが主な要因となりまして、下から2行目でございますが、当期純損失4,100万円を計上しております。
 これによりまして、上の貸借対照表繰越欠損金は、前年度5億8,200万円から、平成30年度は6億2,300万円に悪化をしているところでございます。
 6ページを御覧ください。決算決定までの流れを示したものでございます。
 平成30事業年度決算につきましては、法律に基づきまして、令和元年6月28日に機構から厚生労働大臣に財務諸表が提出され、7月8日に大臣が承認をいたしました。
 なお、最初の1ページで御説明をいたしました決算誤りに伴う決算書の訂正につきましては、独法会計基準及び独法会計基準注解に関するQ&Aによりますと、過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、過去の財務諸表の遡及訂正は行わず、過年度の損益修正額を原則として臨時損益の区分に表示することとされています。このため、決算書の訂正につきましては、令和元事業年度決算において措置する予定でございます。
 以上、簡単ではございますが、中退共制度の現況及び平成30事業年度決算の御報告でございます。よろしくお願いします。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局のほうから議題の(2)についての御説明を賜りましたが、まず、諸委員の先生方の御意見・御質問など、お願い申し上げます。
 どうぞ。
○橋本委員 紙パ連合の橋本です。
 私から一点お願いなのですが、今ほど平成30事業年度決算におけます一般の中小企業退職金共済事業勘定に誤りがあって、責任準備金の決算数値が今後修正されるという御説明がありました。あわせて、その原因と今後の対策についても御説明を受けました。
 こういった誤りというのは、完全に防げることはないのかもしれませんので、これ以上追及するつもりはないのですが、この部会の関係各位、特に事務局の皆さんは、この信頼関係を前提に、決算数値をもとにさまざまな検討を行ってきているということも事実であると思います。
 機構がこの事実をしっかりと認識をして、重く受けとめて、今後このようなことを繰り返すことのないように、厚生労働省よりきちんと御指導していただきたいと思います。組織の体制上難しい部分もあるのではないかと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 事務局のほうからも何かあるでしょうか。
○中條勤労者生活課長 御意見ありがとうございます。
 先ほど御説明させていただきましたが、原因とそれに対する再発防止策を講じさせていただきまして、厚生労働省といたしましても、きちんと再発防止策が徹底されるように指導していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問・御意見はございませんでしょうか。
 小野委員、お願いいたします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
 私からは、清酒製造業の決算について確認をさせていただきたいと思うのですけれども、被共済者数が劇的に減っているというのにすごく驚いたところでございます。建設業のときもそうだったのですけれども、基本的に対象というか、ここから削除された対象者というのは、責任準備金の計上から外れるということだと思いますので、このこと自体は恐らく剰余の要因になるだろうと推測しております。
 結果として、清酒製造業の運用利回りはマイナスだったわけですけれども、財政上は剰余が立っているという形になっておりますので、こういった処理というのは、基本的に財政上はかなりプラスに働いている。建設業のときもたしかそうだったと思うのですけれども、そういう効果があるのではないかと解釈しております。
 そこで一つ確認をさせていただきたいのは、林業については、こういった整理というのが既になされているものなのか。これからなされるということであれば、ひょっとしたら財政上プラスの要因になるかもしれないので、そのあたりを確認させていただきたいということでございます。
○中條勤労者生活課長 林退共につきましても、責任準備金の計算からは同様に除いているという処理を行っているところでございます。
○小野部会長代理 それは大分前に整理を行ったということでしょうか。
○中條勤労者生活課長 申しわけございません。手元にいつからという資料がないのですが、その処理はかなり前からさせていただいているという状況のようでございます。
○小野部会長代理 承知しました。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかの委員から、何か御意見あるいは御質問はございませんでしょうか。使用者側委員の皆様はいかがでございますか。
 それでは、ほかに御意見等おありにならないようでしたら、続いて議題の(3)特定業種退職金共済制度の財政検証について、事務局から御説明をお願いいたします。
○中條勤労者生活課長 続きまして、議題(3)の特定業種退職金共済制度の財政検証について、資料4に基づきまして御説明をさせていただきます。
 資料4をお開きいただければと思います。
 まず、1ページに目次がございますけれども、資料の構成といたしましては、初めに制度の概要、将来推計の前提をお示しした上で、各業種におけます退職金共済制度の財政状況について御説明をすることとしております。
 続きまして、3ページを御覧いただきたいと思います。特定業種退職金共済制度の概要になります。
 委員の皆様におかれましては御承知のことかと思いますので、内容の説明は省略をさせていただきますが、業種ごとに加入事業主の数、従業員の数に大きな差があることに加えまして、予定運用利回り、累積剰余金等にもそれぞれ違いがございますので、今回の財政検証に当たりましては、このような業種ごとの違いにも留意していく必要があるかと考えているところでございます。
 続きまして、4ページでございますが、今回の財政検証の法律上の根拠等について記述をしております。
 中小企業退職金共済法第85条に基づきまして、5年に一度、掛金や予定運用利回りに基づく退職金の額を検討し、必要に応じて見直すこととされておりまして、前回は平成26年度に実施をしております。
 続きまして、6ページを御覧いただきたいと思います。今回の財政検証に用いた将来の財政見通しの推計における前提を記載しております。大きく分けますと2つの要素に分けられまして、まず、1つ目の○にございます掛金収入、退職金支出及び責任準備金につきましては、過去5年間の加入脱退状況の実績値等をもとに推計を行っております。
 次に、2つ目の○にございます運用収入についてです。運用は、先ほども御説明しましたとおり、自家運用と委託運用で行っておりますが、内閣府の中長期の経済財政に関する資産等をもとに、以下のように設定をしております。
 自家運用につきましては、金利横ばいシナリオにより、新規で購入する国債の利回りを0%と置いておりますため、自家運用の利回りが低下していく見通しとなっております。
 委託運用につきましては、下の表にございますが、経済データの推計値等をもとに、コンサルタントが推計された各資産の期待収益率や標準偏差等を用いて推計をしているところでございます。
 一番下の枠外の※をごらんいただきたいと思いますが、今回の財政検証の推計につきましては、従来実施をしておりました将来推計に加えて、平成29年度の一般中退の財政検証にて用いました財政シミュレーションであるモンテカルロ・シミュレーションも実施をしているところでございます。
 ここからは、各業種におけます退職金共済制度の状況について御説明をいたします。
 まず、建退共でございます。8ページを御覧いただきたいと思います。
 ページの一番上に課題を記載しておりまして、建退共におけます課題でございますが、国債利回りの低下等により想定していた運用収入を下回っていることなどから、令和5年度には15.6%の確率で累積欠損金が生じる可能性があり、何らかの対策を講ずる必要があるというものでございます。
 資料に沿って順に御説明をいたします。
 まず、前回の財政検証時の議論でございますけれども、前回、平成26年の財政検証の際には、建退共の累積剰余金は今後も増加することが見込まれ、悲観シナリオにおいても安定的な運営に必要な水準を確実に確保した上で従業員に還元されるよう、予定運用利回りを現行の2.7%から3.0%に引き上げることが適当であると取りまとめられ、平成28年4月に予定運用利回りを引き上げたところでございます。
 足元の財政状況でございますが、平成30年度の累積剰余金は約844億円となってございまして、前回財政検証当時の累積剰余金約868億円と比較しますと減少しておりますが、前回の財政検証時におけます平成30年度の見通しは約823億円でございましたので、前回財政検証時の見通しよりは増加をしているという状況でございます。
 9ページを御覧いただきたいと思います。
 9ページは、何の対応も講じずに、令和5年度までの将来推計及びモンテカルロ・シミュレーションを行ったところでございますが、単年度収支で見ますと、約100億円の赤字が見込まれ、モンテカルロ・シミュレーションによりますと、右下の表の一番右下の数字にございますように、令和5年度には15.6%の確率で累積欠損金が発生する可能性がございます。
 この背景でございますが、10ページを御覧いただきたいと思います。
 左のグラフにございますように、前回の財政検証時の見通しが赤の点線でございますけれども、これよりも国債の実際の利回りが低下をしております。その結果、右の図の前回と今回の推計におけます単年度収支の見通しを比較したものを御覧いただきますと、上の前回の財政検証時の収支見通しは、単年度平均でマイナス27億円程度でございましたけれども、主に運用収入が低下したことによりまして、下の今回の財政検証時の収支見通しは、単年度平均してマイナス107億円程度と悪化している状況でございます。
 11ページを御覧いただきたいと思います。
 では、どういった対応案が考えられるかということでございますが、現在の累積剰余金の水準は、前回の財政検証時に推計された水準と同様の程度となっておりますけれども、単年度収支が約100億円減少していくことが見込まれることを踏まえますと、予定運用利回りを引き下げることが適当ではないか。また、制度の魅力を損なわないように、あわせて掛金日額を引き上げることが適当ではないかと考えられます。
 ※にございますように、掛金日額の引上げを行う場合には、勤退機構の理事長が運営委員会の議を経た上で掛金日額を定めております特定業種退職金共済規程を変更し、変更について大臣の認可を受ける必要がございます。
 こういった対応案に関しまして、建設業界からの御意見としましては、ページの真ん中に線で囲んでいる部分がございます。こちらは、勤退機構に設置しております建退共制度全般に係る所要の検討を行うための委員会である財務問題・基本問題検討委員会において取りまとめられた報告書の内容を記載しております。
 四角の中を見ていただき、「(中略)」以降を御覧いただきたいと思います。制度の安定的な運営、退職金の水準及び共済契約者の掛金負担能力の視点から、退職金額等の見直しについて、下記の結論を取りまとめた。
 1のところでございますが、掛金日額は310円から320円に改定することが適当。また、2の予定運用利回りにつきましては3.0%から引き下げることとし、委員会の中の議論としましては、財務状況の悪化を軽減しつつ、退職金の水準を確保することが必要である点も考慮し、1.6%以上1.8%以下とすることが適当とされており、実施時期といたしましては、証紙の交換やシステムの改修に必要な準備期間を踏まえ、令和3年10月とされているところでございます。
 12ページを御覧いただきたいと思います。予定運用利回りを引き下げた場合の予定運用利回り別の累積剰余金の推移をまとめた表でございます。
 表の一番上でございますが、予定運用利回り3.0%のままでは、令和5年度には累積剰余金は310億円となる見込みでございます。また、令和3年10月に予定運用利回りの引下げを実施した場合、単年度収支の見通しが黒字となる水準は一番下の1.2%ということで、1.2%としますと令和5年度の累積剰余金が601億円となる見込みでございます。
 13ページを御覧いただきたいと思います。
 では、必要な累積剰余金の水準がどの程度かというところでございますけれども、上のポツにつきましては、前回の平成26年度の財政検証におきまして、建退共制度の安定的な運営を図るために必要な累積剰余金の水準ということでお出しした方法でございますが、当時はリーマンショック時の金融情勢の急速な悪化が生じた場合にも対応できる水準といたしまして、責任準備金に対して当時は4.8%の水準とされたところでございます。
 今回同じ方法で計算をいたしますと、その水準は、責任準備金に対し6.5%となりますが、具体的な数字といたしましては、その表にございますように、3.0%のままですと令和5年度に643億円が必要な累積剰余金となります。
 12ページで見ていただきましたとおり、予定運用利回り3%におけます令和5年度の累積剰余金は310億円と見込まれますので、制度の安定的な運営に必要な累積剰余金の水準は、平成26年度の財政検証による方法でも下回っているという状況でございます。
 ただし、この必要な累積剰余金の水準は、予定運用利回りに応じて変動をいたします。例えば予定運用利回り1.8%の水準ですと、令和5年度で494億円、1.6%の水準では令和5年度で468億円、1.2%の水準ですと415億円が必要となります。
 その一方で、下のポツでございますけれども、こちらは平成29年度の一般中退の財政検証のときに実施をした方法でございます。このときには、制度の安定のために必要な累積剰余金の水準は、財政検証の最長サイクルである5年間の財政シミュレーションであるモンテカルロ・シミュレーションにおいて、下位1%の確率で想定される損失額とされておりまして、同様の考え方で算出をした値がページの下の表になります。
 こちらを御覧いただきますと、3.0%では1,236億円、単年度収支が黒字に転じる見込みである予定運用利回り1.2%の水準でも956億円が必要となる見込みでございます。
 ただし、ただし書きにございますけれども、建退共には一般中退の付加退職金のような被共済者へ利益を還元する制度がないため、累積剰余金が増加していく可能性も考えられるところでございます。
 14ページから16ページまでは、予定運用利回りを引き下げた場合の推計結果をお示ししております。
 まず、14ページは、予定運用利回りを1.8%に引き下げたケースでございまして、表の累積剰余金のところを見ていただきますと、令和5年度の累積剰余金は約511億円と見込まれます。13ページの上の前回の財政検証時と同じ方法で求めた必要な累積剰余金が494億円でございますので、この水準は上回っております。
 1.8%にいたしますと、単年度の収支につきましては、単年度平均で約34億円の赤字となる見込みでございます。
 なお、令和5年度に累積欠損金が生じる可能性は、右下の表のところでございますけれども、4.7%と見込まれるところでございます。
 15ページは、予定運用利回りを1.6%にしたケースでございます。同様の累積剰余金を見ていただきますと、令和5年度の累積剰余金は約541億円と見込まれますので、前回の財政検証時と同じ方法で求めた必要な累積剰余金が468億円でございますので、こちらもその水準は上回っているところでございます。
 1.6%にいたしますと、単年度の収支では、平均で約22億円の赤字となる見込みでございます。
 なお、令和5年度に累積欠損金が生じる可能性は、右下にございますように、3.7%と見込まれます。
 最後に16ページでございますけれども、予定運用利回りを1.2%にしたケースでございまして、こちらも累積剰余金を見ていただきますと、令和5年度で約601億円と見込まれまして、単年度では黒字となる見込みでございます。
 前回の財政検証時と同じ方法で求めた必要な累積剰余金の水準は415億円でございますので、その水準は上回っております。
 なお、令和5年度に累積欠損金が生じる可能性は、2.5%と見込まれるところでございます。
 17ページでございます。それぞれの予定運用利回り及び掛金日額におけます退職金の額でございます。
 建退共における平成30年度の退職金受給者の平均掛金納付月数は102月でございますので、それに近い掛金納付月数である120月の水準を見ていただきますと、現行では94万6,000円となっておりまして、予定運用利回りを1.8%、1.6%、1.2%といたしますと、掛金日額310円の場合には88万7,000円、87万8,000円、86万円となり、90万円は下回る値となります。
 そこで、掛金日額を10円引き上げて320円にいたしますと、予定運用利回り1.8%、1.6%では91万5,000円、90万7,000円と、現行の水準には届きませんが、90万円を上回る水準となり、1.2%にいたしますと88万7000円となるところでございます。
 平成29年度の一般中退の財政検証での議論を踏まえますと、建退共におけます必要な累積剰余金の水準は、モンテカルロ・シミュレーションにおいて、下位1%の確率で想定される損失額と考えられますが、現在の累積剰余金の水準では累積剰余金が足りていないため、単年度収支が赤字とならない水準まで利回りを引き下げる必要がございますが、現行の予定運用利回りから単年度収支が赤字にならない水準まで引き下げた場合には、大幅な引下げとなることに加えまして、先ほども御説明しましたが、建退共には一般中退の付加退職金のような被共済者へ利益を還元する制度がないこと、また、特定業種退職金共済制度は、業界の退職金制度でございまして、業界といたしましては、財務状況の悪化を軽減しつつ、退職金の水準を確保する必要があることも考慮して、1.6%以上1.8%以下という要望が取りまとめられていることなども踏まえて御議論いただければと考えております。
 続きまして、清退共になります。19ページを御覧いただきたいと思います。
 清退共におきましては、責任準備金を大きく超える累積剰余金が存在し、かつ、今後も存在し続ける見込みであり、制度の安定的な運用に問題はございません。ただし、下の四角でございますけれども、課題といたしましては、被共済者数が5,000人を割り込んだことに加え、資産規模が小さく、一般中退と比較して運用にかかるコストも高く、資産運用の効率性が低いことがございます。
 順を追って御説明いたします。
 まず、前回の財政検証時の議論でございますけれども、清退共につきましては、制度の当面の運営に支障は生じないと考えられることから、予定運用利回りの見直しは行わないことが適当であるとされ、また、制度の規模が小さく、かつ、今後も縮減していくこと見込まれる中で、次回の財政検証に向けて就労状況等も踏まえつつ、制度の中長期的なあり方について検討を行う必要がある、ととりまとめられたところでございます。
 平成30年度の累積剰余金の水準でございますけれども、約26億円でございまして、前回財政検証当時の累積剰余金である約24億円や、前回の財政検証時における平成30年度の見通しの約23億円よりも増加をしている状況でございます。
 20ページを御覧ください。令和5年度までの将来推計及び財政シミュレーションを行ったところでございますが、表の一番右下にございますように、令和5年度に累積欠損金が生じる見込みはないということでございまして、財政上、制度の安定的な運営に支障はございませんが、幾つかの課題がございます。
 21ページを御覧いただきたいと思います。
 ページの左側のグラフに、清退共におけます被共済者の推移をお示ししておりますが、直近の平成30年度の被共済者は4,621人と、5,000人を下回る水準となっております。
 昨年度と比べて1万人以上減少している背景につきましては、議題2のところで御説明したとおりでございますけれども、退職金受給資格のない、共済手帳の未更新期間が10年以上の方を脱退扱いとしたためでございます。
 また、資産運用面にも課題がございます。右側でございますけれども、資産運用にかかるコストである委託運用先に支払う信託報酬額は現在260万円でございまして、金銭委託運用資産額で除した信託報酬率は0.29%となっておりまして、一般中退の信託報酬率0.09%と比べ割高となっております。
 また、委託運用におけるリスクにつきましては、一般中退よりも清退共のほうが高い水準にございまして、資産運用の効率性のよさを示すシャープ比で比べますと、国内債券と国内株式の2資産のみで運用している清退共のほうが、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4資産で運用している一般中退よりも、わずかながら低いという課題がございます。
 22ページを御覧ください。
 こういった状況を踏まえまして、対応案として、制度の当面の運営には支障が生じないものと考えられることから、予定運用利回りの見直しは行わないことが適当ではないか、と考えられます。
 ただ、資産運用面に課題がございますので、一般中退との合同運用を開始することが適当ではないかと考えているところでございます。
 2つ目の※にございますように、一般中退との合同運用を開始することで、国内債券、国内株式に加えまして、外国債券及び外国株式を含む4資産での運用が可能になり、真ん中の表を御覧いただきますと、合同運用後は、期待収益率は若干下がりますが、自家運用も含めた清退共の資産運用全体のリスクは低減し、シャープ比も0.74から0.86へと改善いたしますので、現在よりも効率的な運用が期待できます。
 この一般中退との合同運用に関する業界等の動きにつきましては、線で囲んでいる部分にございますけれども、清退共の運営委員会におきましては、一般中退との合同運用を開始する方向性について了承され、資産運用委員会においても実施する方向で了承されているところでございます。
 23ページでございますが、こちらは一般中退と合同運用した場合の財政検証結果をお示ししております。合同運用を開始いたしますと期待収益率が下がりますので、令和5年度の累積剰余金の額は減少することが見込まれておりますが、リスクが低減することになるため、運用による変動を抑えることができ、モンテカルロ・シミュレーションにおけます下位1%タイルの値は、合同運用を実施しない場合には、20ページを御覧いただきますと21億5,000万円となっておりますが、合同運用を開始した場合には、23ページにございますとおり、22億1,300万円となりまして、大きな損失が出にくくなりますので、制度の安定的な運営に資するという効果が見込まれると考えているところでございます。
 最後に、林退共について御説明をさせていただきます。25ページを御覧いただきたいと思います。
 林退共における課題でございますが、累積欠損金が生じているということでございます。国債利回りの低下等によりまして、今後想定どおりに累積欠損金の解消が進まない可能性がございますので、さらなる対策を講じる必要があるのではないかと考えております。
 資料に沿って順に御説明をさせていただきます。
 まず、前回の財政検証時の議論でございますが、林退共につきましては、累積欠損金解消計画にのっとり、令和4年度末までに累積欠損金を解消することとされており、厳しい財政状況の中で、予定運用利回りの0.7%から0.5%への引下げ及び掛金日額の460円から470円への引上げ、また、毎年度1,000万円程度の業務委託費の削減、一般中退との合同運用、加入促進、の4つの改善策を講じることにより、制度の安定的運営を図ることが適当である、ととりまとめられたところでございます。
 足元の財政状況でございますが、平成30年度の累積欠損金は約6億でございまして、前回の財政検証当時の約10億円よりは縮小、前回の財政検証時における平成30年度の見通しは約6億円でございましたので、数字上はほぼ想定していた水準となってございます。
 ただし、26ページの累積欠損金解消計画の進捗状況について見ていただきたいと思います。累積欠損金の解消に向けて、平成17年度から勤退機構のほうで作成をしております計画にのっとりまして、令和4年度での累積欠損金の解消を目指しているところでございます。
 ページの中央の表を御覧いただきたいと思いますが、下から2行目が累積欠損金の実績、一番下が累積欠損金解消計画上の目標値となってございます。平成30年度の欄を見ていただきますと、実績値が6億1,300万円、目標値が3億6,100万円でございますので、目標との差額が2億5,000万円程度ありますので、計画の進捗が遅れているという状況でございます。
 また、今回の財政検証の結果を踏まえまして、この累積欠損金解消計画の見直しを行うことが勤退機構の第4期中期計画に明記されておりますので、今回の財政検証が終了した後、9カ月以内に勤退機構にて、この計画の見直しを実施する予定になってございます。
 27ページを御覧いただきたいと思います。
 このまま何ら対応を講じずに、令和5年度までの将来推計と財政シミュレーションを行ったところでございますが、累積欠損金解消計画の解消年限である令和4年度までには解消せず、引き続き累積欠損が続く見込みとなってございます。
 今後5年間よりもより中長期で見たものが、次の28ページにございます。こちらは先ほどの将来推計を令和25年度まで延ばした推計になります。これを御覧いただきますと、令和4年度には解消しないという見込みでございまして、解消しないだけではなくて、むしろ累積欠損金が増加していくことが見込まれているところでございます。
 これは今後購入する国債の利回りがゼロであるという仮定を置いているため、次第に自家運用の利回りが低下し、それに伴い全体の運用利回りが低下することが要因となっているところでございます。
 このため、次のページに対応案を記載させていただいております。29ページを御覧いただきたいと思います。
 累積欠損金を着実に解消するため、前回の財政検証時の対策と同様に予定運用利回りの引下げや、業務費用の削減等のさらなる対策を講ずる必要があると考えられます。
 この点に関して、林業業界からの御意見といたしまして、ページの下に線で囲んでいる部分がございます。こちらは林業業界の横断的な団体であります一般社団法人日本林業協会に設置された検討委員会にてとりまとめられた報告書の内容を記載しているものでございます。
 そこでは、林退共を持続可能な制度とするためには、3の(2)の①にございますように予定運用利回りを引き下げること、②にございますように業務費用について縮減に努めるべきであるということ、③にございますように、運用収入の増加を図るため、資産運用委員会において専門家の意見を踏まえた上で、運用資産に占める金銭信託割合の増加の適否等について検討すること、とされているところでございます。
 この業界のとりまとめ内容を踏まえた具体的な対応案でございますが、ページの真ん中に①から③として記載をしております。
 ①現行の予定運用利回りからの引下げ、②毎年度1,000万円の業務経費を削減、③退職金支給に備えるための余剰資金のうち1億円を自家運用から委託運用に移す、ということを検討しているところでございます。
 以上が対応案になりますが、前回の財政検証では、予定運用利回りの引下げに合わせて掛金日額の引き上げを実施しておりました。しかし、今回、掛金日額の引き上げにつきましては、29ページの囲みの中の3の(2)①のなお書きを御覧いただきたいと思うのですが、今回の財政検証におきましては、掛金日額については、掛金日額の水準が特定業種退職金共済事業の中で最も高いこと、前回の財政検証時に掛金日額の引き上げを実施したこと、林業の経営環境が厳しいことを理由に、据え置くよう林業業界から強く要望を受けているところでございます。
 30ページを御覧いただきたいと思います。
 林退共の掛金日額でございますけれども、現在470円となっておりまして、建退共の310円、清退共の300円と比べますと高い水準となっております。また、建退共が最後に掛金日額を引き上げましたのは平成15年10月、清退共におきましては平成3年7月となっておりますが、林退共は前回財政検証を踏まえて引上げを行っておりますので、前回の引上げ時から4年ほどしか経過していないところでございます。
 さらに、下のグラフでございますが、木材の価格について見ますと、過去から比べると低迷しておりまして、林業の経営環境は依然厳しい状況にあることがうかがえるかと思います。
 続きまして、31ページを御覧いただきたいと思います。林業業界からの要望を踏まえた対策案を全て実施した場合の将来推計を記載しております。
 令和25年度までの累積剰余金の推移を、対策前、引下げ以外の対策、予定運用利回り0.4%、0.3%、0.2%、0.1%のケースごとにお示しをしておりますが、予定運用利回りを0.1%まで引き下げたケース、黄緑の線でございますけれども、ここまで引き下げれば令和24年度に累積欠損金が解消する見込みとなっております。
 32ページのほうは、対応案を全て実施し、予定運用利回りを0.1%まで引き下げた場合の推計結果をお示ししております。
 御覧いただきますと、令和4年度以降単年度収支が黒字で推移をいたしまして、令和5年度には累積欠損金は5億5,800万円まで減る見通しでございます。
 33ページを御覧いただきたいと思います。予定運用利回りを0.1%に引下げ、掛金日額を470円に据え置いたケースと、10円引上げ480円としたケース、20円引上げ490円とした場合の退職金の額を記載しております。
 林業におけます平成30年度の退職金受給者の平均掛金納付月数が117月でございますので、それに近い掛金納付月数でございます120月の水準を見てまいりますと、現行では99万1,000円となっておりまして、予定運用利回りを0.1%引き下げますと、470円では97万円と2万1,000円少なくなる見通しでございます。
 なお、10円引き上げますと99万1,000円となり、退職金額は同水準ということになりますが、業界からは、掛金日額につきましては据え置くよう強く要望されているところでございます。
 資料4に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見・御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
○長谷部委員 全建総連の長谷部と申します。建退共に関しまして発言をさせていただきたいと思います。
 今、いただきました財政検証の御説明を踏まえまして、資料4の17ページに、予定運用利回り引下げに伴う退職金の増減ということで、多くは100カ月前後の退職金支給者が多いということではあるのですけれども、今、例えば40年で現行の3%の利回りですと、600万円ほどの退職金が受け取れるということで、私ども、加入促進を進めておりますけれども、例えばこれが1.8%に引き下がった場合で言いますと、将来的にこの利回りがずっと続くということではありませんけれども、600万円が、例えば掛金が310円でも460万円ということで、140万円ほど下がってくるというところがございます。
 そうしますと、若年層の方にこれから建退共の加入をPRするときに、ちょっとハンデになってくるのかなと感じるところがございます。
 御参考まで、厚生労働省で、平成30年就労条件総合調査結果の概要を昨年発表されております。その中に退職金給付の平均額が出されておりまして、厚労省の調査でも、高校卒の現業職でも、平均の勤続年数が35年以上となっておりますけれども、1,484万円という結果が出ております。東京都の産業労働局が調査している中小企業の賃金、退職金事情の調査を見ましても、従業員数が10人から49人の事業所でも、高校卒の平均の退職金が1,013万円ということで、軒並み平均的な退職金は高校卒でも1,000万円を超えているという事情もございますので、今回、予定運用利回りの引下げというのは、財政検証もある中で仕方ないという認識はありますけれども、予定運用利回りの引下げに関しましては、可能な限り引下げ幅を何とか抑えていただきまして、建退共制度の優位性を確保するようにお願いをさせていただきたいと思います。
 あわせて、加入者を呼び込むために、今、建退共では新規加入者につきましては50日分の掛金助成制度を行っていただいておりますけれども、利回りを下げていくということであれば、そうした掛金助成の日数を増加していただくなど、ぜひ新規加入者募集に当たって何か有効に働く策を検討していただけないかということで、御意見をさせていただきます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 今の御意見につきまして、事務局のほうから何かございましょうか。
○中條勤労者生活課長 御意見ありがとうございます。
 利回りの引下げについては仕方がない部分もあるかなという御認識ということでございましたけれども、処遇改善の観点から、できるだけ退職金額の確保をという御意見だったかと思います。
 先ほど御説明の中でも申し上げたところでございますけれども、制度の安定的な運営がございますので、今後の必要な累積剰余金の水準といったところを考えますと、一般中退の財政検証時の議論では、モンテカルロ・シミュレーションの下位1%のところが示されまして、その剰余金の水準には足りていないことを考えますと、単年度収支が黒字になる程度が必要な水準かと考えております。
 ただ、そうしますと、できるだけ利回りの引下げを抑えていただきたいという御意見だと思いますけれども、そこまで引き下げてしまうと大幅な引下げということになります。
 また、業界のほうからの御要望としましては、できる限り財政状況の悪化を軽減しつつ、ある程度退職金の水準を確保するという点も考慮して、1.6%以上1.8%未満といった御要望もいただいているところでございますので、そういった点も踏まえて、利回りをどうするかというところを御議論いただければと考えておるところでございます。
 また、掛金の助成に関して拡充ができないかといった御意見もいただいたところでございます。現在、退職金共済契約の加入促進等を図ることによりまして、労働者の福祉の向上及び雇用の安定を図るといった目的で、掛金助成ということで国からの補助金を予算措置しているところでございます。
 ただ、この補助金の増額に当たりましては、財源の裏づけが必要となりますので、現下の厳しい財政状況におきましては、増額するということは難しいものであるということについて、御理解いただければと考えております。
 以上です。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、久保委員、お願いいたします。
○久保委員 久保でございます。
 今、建退共の諸制度についてということで、財務問題・基本問題検討委員会の検討報告書も見せていただきましたけれども、この制度が末永くずっと続くという安定的な運営のためにも、ここは予定運用利回りを下げていただくということと、また、掛金日額につきましては、やはり掛金負担能力を考えていただきまして、ここで出ております320円という形、を是非していただきたいと考えております。
○内藤部会長 これにつきましていかがでございますか。事務局から何かございましょうか。
○中條勤労者生活課長 掛金日額のところにつきましては、業界として御議論いただいた中では、中小元請の経営を圧迫するという御意見や、小規模な経営者には十分な配慮が必要といったことを理由に、掛金日額は据え置くべきといった御意見もあった中で、中小企業としましては、経営面では苦しいけれども、労働者のことを考えますと、10円程度の引上げが妥当ではないか。また、負担が大きくなり過ぎないように、とりあえず10円程度の引上げは考えられるのではないかといった御意見があり、こうした御意見を踏まえて現行の310円から10円の引上げで報告書がまとまったと聞いておりますので、掛金を負担する事業主の方、特に小規模事業主の方への配慮も必要ではないかと考えているところでございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。久保委員、よろしいですか。
○久保委員 はい。
○内藤部会長 ほかに御意見はいかがでございますか。
 長谷部委員、どうぞ。
○長谷部委員 今の掛金の引上げに関しまして、小規模事業主に配慮ということなのですが、建退共制度で言いますと、事務組合制度と任意組合制度ということで、一人親方等の個人請負者は任意組合ということで加入をさせていただいております。一人親方等は、まさに自分で掛金を払っていくというところがありますので、もし可能であれば、個人請負とか一人親方のところの掛金のあり方といったところも少し、例えば個人のほうに少し助成ができるとか、何らかの優位な制度が検討できるのであれば、そういったところも検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○内藤部会長 今の点、いかがでしょうか。
○中條勤労者生活課長 掛金についての御意見だと思いますけれども、特定業種退職金共済制度につきましては、掛金の日額といたしましては、法律上特定業種ごとに単一の金額でなければならないため、現在、単一の日額とさせていただいているところでございます。
 また、掛金助成につきましては、先ほども申し上げましたが、現在、一定の掛金助成をさせていただいておりますが、やはりこれの拡充となりますと、厳しい財政状況におきましてはなかなか難しいことについて、改めて御理解をいただければと考えているところでございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 建設業退職金共済に関して、ほかに御意見はおありになりましょうか。
○清水委員 清水でございます。
 きょうが初めてなので、余り詳しくわからずに変な提案かもしれませんが、建退共につきましては、先ほど林退共で出たような自家運用の金額を一部委託運用に回すことで、利益剰余金の先々の安定的な増加を見込むという考え方は出なかったのでしょうか。
○内藤部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○中條勤労者生活課長 今のところ、御議論いただいた中では、そういった御提案は出てきていないところでございます。
○清水委員 本当に安定的な運用ということで国債の割合が多く、特に自家運用で有価証券を保有しているということは非常に納得できる反面、先々金利が上がらないということを鑑みますとマイナス面もあります。例えば資料2の5ページ、自家運用の中の下のほうの委託運用というのが、過去5年間で見ますとずっとプラスが出ている。そのプラスの大きい小さいに差はありましても、マイナスは出ていません。
 こういうことを考えますと、委託運用の割合を少しふやすことで収益、リターンを高めて安定的な運用を行うということも今後検討していくことが、特に建退共の場合は総資産額も大きいので、よろしいのではないかと思います。
○内藤部会長 どうぞ。
○中條勤労者生活課長 建退共におけます資産運用を今後どうしていくかという点につきましては、今回の財政検証を踏まえて利回りなどの見直しが行われましたら、また資産運用委員会のほうで、今後の資産運用、基本ポートフォリオをどうするかという点も含めて見直し、議論をしていくこととしております。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにこちらについての御意見がなければ、清退あるいは林退について御意見を伺えますでしょうか。
 お願いします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
 冒頭申し上げましたとおりで、安定的な運営に貢献できるようにという観点から発言させていただきますけれども、まず留意点として、参考資料3をめくっていただきますと、2ページ以降に予定運用利回りと実際の平均運用利回り、当期損益と累積剰余金ないしは累積欠損金の年次別の推移が特定業種ごとに掲載されております。若干後講釈にはなるかもしれないのですけれども、一つの教訓としては、予定運用利回りの引下げが遅れると、その間に累積欠損金なり当年度の不足金というのが出てきてしまうということなので、タイミングは難しいかもしれないですけれども、早目の御対応が必要ではないかという点が一つでございます。
 それから、これは本論と少しずれるかもしれないのですけれども、先ほどの清酒製造業の件なのですけれども、なぜこんなに剰余金が出ているのかなというのを年次別に見てみますと、どうもリーマンショック前後に、今回とは別に大量に被共済者が減っていますね。そのときに、逆に剰余金が出てしまっているということがありまして、今回も含めて2回目ということになりますけれども、こういった人員の再整理というのは基本的に一過性のものなので、今の剰余金がこれからも期待できるということではないということも、もう一つ御指摘申し上げられる点だと思います。
 そこを踏まえて建設業に関して申し上げますと、特定業種は一般的にそうなのですけれども、私は前回の検証の際に行われた予定運用利回りの引上げというのは若干懐疑的に思ってございました。
 それは、加入している方々から過去に預かった資産の運用によって発生した剰余金というものを、将来のある種の保証利回りとしての配当原資とするという話ですけれども、本来でありますと、過去の期間に配当するというのが常識的な考え方なのだろうと思います。
 しかしながら、特定業種には一般中退のような付加退職金という制度がなかったので、この対応というのも致し方がなかったかなという整理を一度させていただいております。
 今回、一層の低金利になっている以上、将来的な財政悪化要因はできる限り回避する手立てを講じておくのが必要だと思いますし、逆に、予定運用利回りというのは、一旦引き下げたとしても環境が変われば引き上げることも可能だと思いますので、個人的には大胆な引下げというのは躊躇する必要がないのではないのかという気はいたします。
 清酒に関しては、合同運用の御提案というのは支持いたしますけれども、外国の資産に投資できていないということで、分散投資効果が効いていないということは、やはり問題なのだろうと思います。
 予定運用利回りに関しましては、剰余金の水準によって当面は運営に支障がないということなのですけれども、金利環境の乖離というのは引き続き留意していく必要があるのではないかと思われます。
 林業については、予定運用利回りが最も低いというところで非常に気の毒ではありますけれども、この環境下で不足金の解消ないしは増加抑制というのは一層の対策が必要ということだと思いますので、御提案は支持させていただきたいと思います。
 最後ですけれども、清酒製造業と林業に関しては、個人的には規模とか、将来見通しだとか、あるいは運営の効率化等を考えますと、制度のあり方というのを検討すべき時期に来ているのではないかという気がいたします。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 今の点につきまして、事務局のほうから何かコメントはございますか。
○中條勤労者生活課長 それぞれの制度について、御意見をどうもありがとうございます。最後の点についてだけコメントをさせていただきますが、やはり小野委員がおっしゃるとおりでございまして、制度のあり方については、中長期的に何らか検討をする必要があるのかなと考えているところでございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見。藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 藤川でございます。
 今、小野委員がおっしゃった点につきまして、労働者側としてもう少し御意見を申し上げたいと思います。
 この特定業種退職金制度は、各産業におけます特徴的な制度だと考えておりますし、まさにそこで働く受給者の皆さんが安定した退職金と安定した運用ということが大変重要だと思っています。また、人材の確保という点でも、この退職金制度は大変重要だと思っておりますが、そういった意味では、5年に一度の財政検証ということのみならず、そろそろ財政だけではない制度の見直しという時期に来ているのではなかろうかと思っておりまして、小野委員と同じように検討されてはどうかと思いますので、御意見として申し上げておきたいと思います。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 今の御意見について何かございますか。
○中條勤労者生活課長 御意見どうもありがとうございます。御意見として承りたいと考えておりますが、中長期的な課題として、制度そのものについての御議論も必要ではないかという御意見かと思います。今後、事務局としても、いただいた御意見を踏まえて考えていきたいと考えております。
○内藤部会長 ありがとうございます。
 ほか、御意見はございますか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 今しがた小野委員並びに藤川委員からもありましたとおり、私は常々中退共制度で一番大事なのは、やはり制度の安定的な運営を行うことです。我々事業主の全額拠出でありますが、労働者の方々が退職なさった際にそれをきちんと支給するということが一番大事なことだと思っています。
 冒頭に局長のほうからもお話がありましたとおり、なかなか独力で退職金制度が持てない、あるいは持つことが難しい中小事業主の方々に対して、国が共済制度でもってそれをきちんと担保するということが目的でありますので、それが一番大事になるのではないかということを常々申し上げているところでございますし、その考えは今も変わるところではございません。
 その考えに基づいて、今回の特定の3つの業種についての御提案でありますけれども、基本的には御提案どおりで結構と私は思っております。
 特に建設については、それぞれ専門のところでお話し合いもなされていますので、予定運用利回りについて0.2%ポイントほどの差はありますけれども、その点につきまして、私は細かいところまで承知していませんので申し上げられませんが、3.0%から一定程度下げて、きちんと安定性を担保するというのが非常に大事ではないかと思っております。
 林業についても、こういう状況でありますので、予定運用利回りを下げるということについては残念な部分がありますけれども、先ほど小野委員からありましたとおり、また状況がよくなりますれば引上げということも当然議論になりますので、今回、現時点での5年に一度の財政検証という3つの御提案につきましては、繰り返しでございますけれども、私はこの内容でよろしいのではないかと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。事務局のほうからはよろしゅうございますか。
 ほかの委員から御意見はございましょうか。川野委員どうぞ。
○川野委員 モンテカルロ・シミュレーションは、前回、この一般中退の際に初めて出てきたもので、今、委員の方々からお話があったように、やはり安定運用に向けて検証をするに当たって、今までより厳しい見方をして、必要に応じた対処をこの間やってきたことを踏まえると、予定運用利回りの引下げ等々についても検討委員会の中でしっかり議論されてきた意向でございますし、特に建退共は掛金日額を上げるということについても合意をいただいている背景があるということを考えれば、そうした中で一番ふさわしい状況に持っていく、安定運用に資することが必要な検証なのだと思います。
 加えて言うと、一般中退と違って累積剰余金を還元する制度がないために、どこがいいのか、もうちょっと中長期的に見る必要があるのかということの視点が、まだ我々として十分な議論ができていない部分もあるので、1.6%がいいのか、1.8%がいいのかということについては、知見がないというか、もうちょっとどこまで長く見ていいのか。この5年間でより一層、1.2%ということもシミュレーションの中では出していただいていますが、ただ予定運用利回りを下げるのではなくて、1.6%、1.8%なのか、その間なのかも含めて、ちょっと議論をする必要があるのかなと思っています。
 もう一つは、最後に出ました林退の部分で、林退はどんどん人が減っていっている中においては、予定運用利回りの引下げと経費削減等々も急務にあるという部分は、まさしくこの検証からより一層鮮明に見えてきたものでございますから、安定的な運用に向けては、こうした林退の部分の対策についてはお示ししていただいたような方向で進めるべきではないかという2点について、感想じみて申しわけないのですが、そういう感じをいたしました。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 事務局のほうから今の川野委員に何かございますか。よろしゅうございますか。
 川野委員、ありがとうございました。ほかの委員から御意見はございましょうか。
 南部委員、お願いします。
○南部委員 ありがとうございます。南部です。
 初めて出させていただきまして、いろいろと知らないことを勉強させていただきました。
 意見として一点申し上げます。今後、働き方改革等でさまざまな法律が変わってまいります。同一賃金同一労働ということもございますし、今、中小企業では人手不足で大変御苦労なさっている中で、この制度は非常に大切な制度だと、私、本日改めて感じました。見直しというお話もございましたが、それもあわせて、今後この制度があるということの周知と広報も非常に必要かと思います。小さな会社で、なかなか独自で制度をつくれない会社の方々が寄り合ってこういう制度をつくっているということ自体が知られていないような気がしますので、そういったことに国のほうも努力をいただけたらと思っております。
 その上で、補助金の増額というのはなかなか厳しいかと思いますが、そういったことも留意していただければ、中小企業の経営もますます発展していくのではないかと思っておりますので、どうか意見としてお酌み取りください。
 以上でございます。
○内藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はおありになりましょうか。
 もしほかの委員から御意見がおありにならないようでしたら、ただいまの委員の皆様の御意見を踏まえまして、次回の特退共の財政検証に係る議論の際には、事務局にて何か代案になるようなものをおつくりいただいて、とりまとめ案か何かを作成していただいて、さらに御議論いただくというのではいかがでございましょうか。そういったことを事務局にお願いできましょうか。
 では、次回の特退共の財政検証に係る議論については、きょうの諸委員の御意見をとりまとめた上で、何か形になるようなものを御用意いただくということにさせていただきたいと思います。
 よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに何か事務局のほうから御連絡事項等ございましょうか。
 よろしいですか。
 では、本日の議題につきましては御意見が出尽くしたと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。議事録の御署名に関しましては、藤川委員と白土委員にお願い申し上げたいと存じます。
 本日はこれにて散会とさせていただきます。ありがとうございました。