第5回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録

日時

令和2年1月31日(金)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)

議題

1.精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について
2.その他

議事


○高橋室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本検討会は公開ですが、撮影は審議前の頭撮りまでとさせていただきます。また、傍聴される方につきましては、留意事項の順守をお願いいたします。
次に、委員の出欠状況ですが、本日は鹿島構成員から欠席との連絡をいただいております。
なお、前回の検討会の開催以降、事務局に人事異動がございまして、精神・障害保健課長の得津が佐々木にかわっております。そして、私、司会をしております高橋が、溝口の後任として着任しております。よろしくお願いいたします。
本日、申し訳ありませんが、精神・障害保健課長の佐々木は、業務のため欠席となっております。障害保健福祉部長の橋本は遅れて出席と聞いておりますので、御承知願いたいと思います。
前回も御説明いたしましたが、厚生労働省の行う審議会等の会議につきましては、ペーパーレス会議が推奨されており、本検討会につきましてもペーパーレスで実施いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
操作方法につきましては、お手元に操作説明書をお配りしておりますので、こちらを御参照いただきながら使用をお願いいたします。
使用方法ですが、本日の会議資料につきましては、タブレット内に計6つのPDFファイルが表示されているかと思います。表示したい資料を1回タッチして、該当資料の表示をお願いいたします。他の資料を表示する場合は、左上の矢印にて一旦お戻りください。お手元にはスタイラスペンもあります。指でも操作できますが、こちらを使う場合には、胴体をねじっていただければ電源が入ります。
簡単ではありますが、タブレットの操作について説明させていただきました。御不明な点がありましたら適宜事務局がサポートいたしますので、お申しつけください。
それでは、撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
以降の進行は、樋口座長にお願いいたしたいと思います。
○樋口座長 年があけてもう1カ月たってしまいましたけれども、今年もよろしくお願いしたいと思います。
早速でございますが、本日の議題に入ってまいりたいと思います。皆様、タブレットのほうはアクティブでしょうか。大丈夫でしょうか。
それでは、初めに、事務局のほうから、本日の資料の確認をお願いしたいと思います。
○高橋室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。タブレット内をごらんください。
資料1といたしまして「精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について」、資料2として、柏木構成員からの提出資料であります「生涯研修制度について」。以上2点です。資料に過不足等ありましたら、事務局にお申しつけください。
以上になります。
○樋口座長 ありがとうございます。
それでは、早速、議事の「1.精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について」ということに入ってまいりたいと思います。
議事の進め方でございますけれども、これまでと同様で、事務局に資料の説明をいただいた後に、各構成員から意見をいただいて、議論を進めていく形でお願いしたいと思います。
では、資料1「精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について」という資料について、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○風間室長 おはようございます。心の健康支援室長の風間でございます。私のほうから御説明させていただきます。
この検討会は、前回の開催からしばらく時間があいておりますので、これまでの経緯について、まず御説明させていただければと思います。
この検討会につきましては、精神保健福祉士を取り巻く状況に対応できる人材を養成することを目的に、平成30年12月から開催いたしまして、平成31年1月から、検討会の下でワーキンググループも開催していただいた上で、平成31年3月29日に、「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」を取りまとめていただきました。
その後、中間報告書等に沿いまして、ワーキンググループにおいてさらに御検討いただき、取りまとめていただいた内容につきましては、昨年6月28日に開催されました第4回検討会にお諮りさせていただき、精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて取りまとめていただきました。
この検討会におきましては、精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しとともに、精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について検討をお願いしておりますが、精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方につきましては、昨年12月10日及び24日にワーキンググループを開催させていただきまして、検討していただきました。
本日は、これまでのワーキンググループにおける検討の内容等について御意見をいただき、その上で、さらに取りまとめに向けまして、ワーキンググループにおいて御検討いただきたいと考えております。
資料1に沿って御説明させていただきます。その上で、ワーキンググループの構成員の方から補足等があれば、お願いできればと考えております。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1に沿って御説明させていただきます。
まず、1ページ目でございます。「精神保健福祉士法における精神保健福祉士の役割と資質向上の責務」ということで、精神保健福祉士法第2条で「精神保健福祉士」とはということで、定義について規定がございまして、下の段ですけれども、「第41条の2(資質向上の責務)」ということで、資質の向上についての規定が置かれております。
続きまして、2ページ目でございます。「精神保健福祉士の責務と求められる役割」についてでございます。
社会の状況に対応できるように、どのような精神保健福祉士を養成していくのかについて検討するに当たりましては、その前提がぶれてしまうとその後の議論もぶれてしまうということもございまして、昨年、合意形成していただいたものにつきまして、こちらのほうに記載させていただいております。
2点ございまして、1つ目が上の段でございます。日本精神保健福祉士協会において作成されております精神保健福祉士の倫理綱領の抜粋でございます。
「クライエントに対する責務」「専門職としての責務」「機関に対する責務」「社会に対する責務」、この点について記載させていただいております。
2つ目は、平成31年3月29日に取りまとめをしていただきました「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」ということで、でございます。
おめくりいただきまして、次の資料で御説明させていただきます。
まず、「取り巻く環境の変化」についてです。2つ目の○になりますけれども、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築ですとか、ギャンブル等の各依存症などへの対策の推進、そのほか、時代やニーズの変化など、精神保健福祉士を取り巻く環境は年々変化し、働きかける対象や課題はより多様化・複雑化していることを受けまして、精神保健福祉士の役割は拡大していることから、「今後も一層求められる精神保健福祉士の役割」としまして、例えば(1)精神疾患・障害によって医療を受けている者、(3)医療は受けていないが精神保健(メンタルヘルス)について課題がある者への援助、(6)国民の意識への働きかけや精神保健の保持・増進に係る役割、(7)精神保健医療福祉の向上のための政策提言や社会資源の開発と創出に係る役割などが挙げられております。
次のページをお願いいたします。
「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する現状の課題に対する今後の対応の方向性」についてでございます。
こちらにつきましては3つございまして、1つ目が「(1)精神保健福祉士の役割に関する対応」、2つ目が「(2)精神保健福祉士の養成に関する対応」、3つ目は本日御検討いただく内容になりますけれども、「(3)人材育成や資質向上に関する対応」についてでございます。
上のところに記載があります養成課程につきましては、これまでに御検討いただき、事実上、検討は終結しておりますので、本日は、(3)について御議論いただきたいと思います。
こちらにつきましては、これまでに、「基礎教育と卒後教育の在り方の明確化」、「資質向上の在り方の見直し(継続教育)」について方向性が示されております。
次のページをお願いいたします。5ページになります。精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会においてお示しいただいております、これまでの論点についてでございます。
まず1つ目、「基礎教育と卒後教育の役割の明確化に関する課題」についてでございます。主な論点といたしまして、まず、1つ目ですが、ソーシャルワークの領域は拡大傾向にあるが、ソーシャルワークの価値・歴史・世界的動向・本質的な知識と技術、本質的理論や共通基盤を養成課程で押さえる必要がないか。
②多職種との連携・協働という観点では、精神保健福祉士が対応しなければならない分野が広がっており、円滑な連携を進めていくには、各分野を体系的に整理して理解し、各歴史(文化)や業務に関する知識が必要であるが、養成教育で全てを教育するのは困難である。
③養成校や養成課程では、学習された理論等を具体的に展開する力等知識を増やすだけでは養われない能力を醸成することや、指導者や管理者等までを教育することは困難であり、基礎教育と資格取得後の卒後教育をどのようにつなげていけるかが重要である。
この際、④になりますが、限られた養成期間の中でカリキュラムに全ての要素を盛り込むことは困難であるため、卒後・継続教育と一体化した科目構成及び研修の構成を行うことが効果的ではないか。
⑤といたしまして、現任の精神保健福祉士、新人、中堅、指導者、管理者等のそれぞれのレベルで整理する必要がないか、ということが挙げられております。
次の資料をお願いいたします。「継続教育の必要性や仕組みづくりに関する課題」についてでございます。
まず①ですが、資格取得の段階は必要最低限の知識の習得レベルであり、その後の継続教育や生涯学習が不可欠であり、職能団体等において研修等が行われておりますが、研修等に参加しない者こそ学習が必要であることを踏まえ、卒後教育や継続教育といった仕組みづくりを検討する必要がないか。
②といたしまして、就業先の規模や分野によって配置人数が1人または少数のこともあり、どこに就職しても卒後に継続して学べる環境や仕組みが必要ではないか。
③退院後生活環境相談員などとして業務に従事する場合等には、一定の研修を受けることを要件とするような仕組みが必要ではないか。
一つ飛ばさせていただいて⑤ですけれども、多くは同じ職種に囲まれて仕事をしておらず、最少人数の配置が顕著である場合など配属先での教育機会の確保が困難な状況にあり、質の確保を行う必要がないか、ということなどが挙げられております。
次の資料をお願いいたします。「研修やスーパービジョンなど継続教育の内容・方法に関する課題」についてでございます。
①といたしまして、スーパービジョンは結果にスーパーバイザーが責任を負うものであり契約が不可欠となるため、契約支援やマッチングを行う機能として、スーパーバイザーの養成とスーパービジョンの仕組みづくり等を検討する必要がないか。
②養成校が一定期間、卒業生のスーパービジョンを行う仕組みなどを検討する必要がないか。
③ソーシャルワークに求められる領域は拡大傾向にあり、職能団体等を中心に各分野に専門特化した教育の充実を図っていく必要がないか。
④卒業教育の認定の仕組みとして、認定社会福祉士・上級認定社会福祉士の認定の仕組みがあるが、精神保健福祉士の職能団体による卒後教育とその認定について連動化あるいは一部一体化していくことはできないか。
⑤変化の著しい法制度は、養成課程で詳細に学ぶ必要がないが、現場では必要なため、職場や職能団体等による卒後教育の体制を整えて誰もが必ず受講しなければならないという仕組みも必要ではないか、ということが挙げられております。
次のページでございます。検討会ワーキンググループにおける精神保健福祉士資格取得後の継続教育や、人材育成の在り方に関するこれまでの検討の結果を取りまとめて、方向性として示させていただくものでございます。3つに分けて整理しております。
まず1つ目、「精神保健福祉士に求められる役割と能力」についてです。
「(1)精神保健福祉士の責務と求められる精神保健福祉士の役割」についてです。先ほど御説明いたしましたが、精神保健福祉士の倫理綱領に基づく責務を果たすことを前提としつつ、中間方向書で言及されている今後も一層求められる精神保健福祉士の役割について記載する。
「(2)精神保健福祉士に求められる能力の整理」についてでございます。精神保健福祉士の行動特性を明確化することが必要。
キャリアラダーについてですけれども、精神保健福祉士の方々の職務経験等が多様であるという状況がございますので、精神保健福祉士の人材育成において、各人の能力の獲得状況を的確に把握するためには、能力の成長過程を段階的に整理したキャリアラダーが必要。
キャリアラダーは、現在、職能団体等によって作成段階にあるという状況にございますけれども、キャリアラダーの作成、活用に当たりましては、キャリアラダーに示される精神保健福祉士に求める能力を実際の精神保健福祉士業務に対応させるなどにより、詳細かつ具体的に検討することが必要。
また、日本精神保健福祉士協会の生涯研修制度ですとか、日本精神保健福祉士協会が認定しております認定精神保健福祉士についても記載する方向性が示されております。
次の資料をお願いいたします。
2つ目としまして、「研修体制構築の推進の視点」についてでございます。
(1)職場で取り組む人材育成についてでございます。
組織における人材育成方針の作成と人材育成体制の構築の必要性についてです。
就労先によっては配置人数が1名ないしは少数である場合も珍しくなく、就労先で教育・研修の機会の確保が困難であることや、ロールモデルがいない等の状況が考えられます。
職場で研修体制の構築が推進できる環境にある場合には、まずは、精神保健福祉士間で目指すべき精神保健福祉士像や人材育成の方針、体制等について議論を重ねることが必要。その上で、人材育成を体系化できる部門とともに検討する場を設け、精神保健福祉士に求められる能力に応じたキャリアを形成できる人材育成について、組織的に推進することが重要。
組織的に研修体制の構築の推進が可能な場合であっても、職場外の研修等は、職場では得ることのできない知見や仲間の獲得につながる機会にもなることから、積極的に活用することが望まれるとしております。
(2)職場外で取り組む人材育成についてです。
精神保健福祉士の配置状況等から、必ずしも職場で人材育成方針の作成や人材育成体制の構築が可能とは言えないことから、それ以外の方法も考えていく必要がある。
職場外で行われている研修や勉強会等の活用につきましては、職場で必ずしも研修等と認識されていないことから、精神保健福祉士がこれらの機会を活用しやすくする観点から、職場においてこれらを認証する等の働きも重要であることなどを記載することとしております。
次の資料をお願いいたします。
(3)キャリアパスの構築についてです。キャリアパスによる経験の見える化の重要性について記載することとしております。
3つ目、「国、地方公共団体、職能団体等関係団体及び養成施設の役割」についてです。
「(1)国の行政機関等の役割」についてです。
「精神保健福祉士への社会的要請等の周知」ということで、社会的要請に応じて、精神保健福祉士への期待が高くなっておりますが、これらの期待については、必ずしも現任者や養成機関に対して届いているとは言い難いという状況がございますので、関係機関と連携しつつ、周知等の取組を行うべき。
「キャリアラダーの作成の要請及び周知」についてです。
精神保健福祉士に求められる役割に対応できる人材を養成する観点から、キャリアラダーは必要。国はキャリアラダーの開発の要請及び支援をすべき。キャリアラダーが開発された場合、各職場で活用が推進されるよう周知に努めるべきとしております。
「(2)都道府県や精神保健福祉センター、保健所等の役割」についてです。
まず、「都道府県や精神保健福祉センターへの期待」についてです。
地域における推進役となるとともに、関係機関への技術指導及び援助、研修の実施等による人材育成が求められている。市町村や関係団体と連携しつつ、研修の企画及び周知等を行うことが期待される。地域では、関係団体や関係機関が行っている研修や勉強会もあることから、研修等の情報について集約することも期待される。
続いて「保健所への期待」についてです。
精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築する観点から、関係者からなる協議の場を開催していることがある。精神保健福祉士が協議の場等に参加できるような運営が求められるとしております。
次の資料をお願いいたします。
「(3)市町村の役割」についてです。
市町村においても、主体的に精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築する観点から、関係者からなる協議の場を開催していることがございます。また、地域ケア会議等個別事例の支援について議論している場もございます。したがいまして、関係機関において精神保健福祉士が参加できる仕組みの構築が期待されるとしております。
「(4)職能団体等関係団体の役割」についてです。
職能団体が行う研修についてですけれども、日本精神保健福祉士協会では、生涯研修制度や全国規模やブロック単位等の研修を実施しており、精神保健福祉士の自己研さんの機会を提供しており、人材育成の観点から、これらの研修制度等との連携を図ることは重要。
2つ目の○になりますが、職能団体が行う研修の利点と期待される研修内容についてです。
職能団体は職場外であることから、職場では研修や課題設定に至りにくい職場の業務を超えた視点に関する課題設定がしやすいという利点がございます。これらの課題設定は、精神保健福祉士に求められる役割を遂行する上で重要なものであり、職場と職能団体が各々の役割を互いに共有し、効果的に活用できるよう、連携した自己研さんの機会の確保が望まれる。このようなことを記載しております。
続きまして、次の資料をお願いいたします。
「(5)養成施設の役割」についてでございます。
養成施設での卒後教育・継続教育の実態と効果、課題についてです。
約4割強の教育機関において、卒後教育・継続教育が行われているということが、調査の結果わかっております。ここには、教育機関が精神保健福祉士の卒後教育や継続教育に関わる効果ですとか課題につきまして、記載させていただいております。
2つ目の○ですけれども、養成施設での卒後教育・継続教育の推進についてです。職能団体等関係団体が教員に対する講習会等により、教育機関において行う卒後教育・継続教育の重要性についての視点が持てるような課題設定とすることや、各教育機関や教員の取組について意見交換を行う場の設定を行うことが望まれる。
教育機関において、卒後教育・継続教育に取り組まれない背景として、担当教員の時間的余裕のなさが挙げられ、また、取り組んでいても周知方法や予算の確保、オフィシャルな研修と思われない等の課題が挙げられております。
これらの課題は、教育機関が組織として卒後教育・継続教育に取り組むことで解決される側面もあることから、教育機関での卒後教育・継続教育が推進されるよう、組織の意識を醸成する必要もあるとしております。
次の資料は、ワーキンググループのこれまでの検討の経過をまとめております。
その次から、「参考資料」ということでまとめさせていただいております。
今、御説明させていただいたことについての根拠となるものをお示しさせていただいております。
記載されている内容につきまして簡単に御説明させていただきますと、15ページが精神保健福祉士制度の概要についてです。令和元年9月末現在で、8万6703人が登録されております。
16ページは、「精神保健福祉士の配置状況」でございます。
17ページ以降は、平成30年度及び令和元年度において、障害保健福祉部の予算であります障害者総合福祉推進事業によりまして、いずれも日本精神保健福祉士協会さんが実施されました調査の結果でございます。
17ページが「資質向上のための研さん方法や内容」。18ページが「養成校としての卒後教育・継続教育の状況」。19ページが「養成校における卒後教育・継続教育実施による効果、課題」。20ページから25ページが「精神保健福祉士に求められる役割と望ましい教育場所」。26ページが「養成校における精神保健福祉士の卒後教育についての考え」。27ページが「卒後教育・継続教育における養成校と職能団体との連携」。28ページ、29ページが「職能団体としての卒後教育・継続教育の状況」。30ページが「現任教育における職能団体と地域の養成校との連携」でございます。
大変申し訳ございませんが、時間の関係もございますので、具体的な内容の説明は省略させていただきます。
大変雑駁な説明で恐縮ですが、私からの説明は以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、この後、今回の資料をまとめるに当たって、短い期間ではありましたが、ワーキンググループが2回開催されて、大変精力的に議論をしていただいたと伺っております。
最初に、そのワーキンググループで議論された内容につきまして、ワーキンググループの田村座長を初めとする構成員の皆様から、追加といいますか、御報告をいただいて、その後に資料2の生涯研修制度について、柏木構成員から説明をしていただくというように進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず、田村構成員のほうからお願いいたします。
○田村構成員 田村です。
お時間をいただきましてありがとうございます。今、樋口座長からお話がありましたように、12月に2回のワーキングを開催しまして、養成後の卒後教育に関しての検討ということで取り組んでまいりました。
実際には、その2回のワーキングだけということではなくて、昨年度から行われておりますこの検討会とワーキングの中で、養成段階では全てのことをしっかり教育できるというよりも、まず、必要最低限、基礎的なことを教育して、卒後において、実際の現場の中で、職場でも実践的な教育をする必要があること、また、より応用的なことや、制度課題に取り組むソーシャルアクション等をどのように展開していくかということに関しては、実際に実践をしながら研修をしていく必要があるという協議があったかと思います。
そういったことも踏まえて、現任の精神保健福祉士が研修についてどのような取り組み方をしているのかということなど、ワーキングの各メンバーが体験していることも含めて、意見交換をいたしました。
その中では、先ほど御報告がありましたように、一生懸命研修を受けている人は、幾つもの研修の場を積極的に探して参加していますし、それに関しては、職場が必ずしも研修と認めるものでないものであっても熱心にやっている人もいる。
逆に、いろいろ研修の機会はあるけれども、それらの情報をキャッチできていない現任者もいるのではないかということや、情報はキャッチできたとしても、職場の事情等によりなかなか研修に参加できないとか、それは費用面のこともありますし、職場を手薄にしてしまうわけにはいかず、目の前の利用者への支援を優先することで自己研さんの時間がなかなか割けないといったこと、また、そこにおいては、雇用主の理解をもっと得ていく必要があるのではないかといった意見などもございました。
もう一つ、職能団体で行われている生涯研修制度の中で、認定精神保健福祉士という制度がありますけれども、それに関して、プロフェッショナルであれば自身の研さんをするのが当然の責務でありますから、主体的にそれらを活用して力量をつけてほしいものではあるけれども、一方で、研さんの責務を果たすためというだけではちょっとインセンティブが低いのではないかといった御指摘もいただいております。
特に、日本精神科看護協会から参加してくださっている構成員より、かなり体系立った研修制度をお持ちのうえでのご経験から、受講するためには職場の理解も必要であり、まら受講したことによって、例えば御本人の収入という意味でも何らかのインセンティブが働くような要素が加えられていく必要があるのではないか、といった御意見もいただいております。
精神保健福祉士の場合、職場・職域がかなり拡大しておりますので、どこの職場にとっても収益につながる形での研修の仕組みというのは非常に難しいという意見もありましたが、一方で、特定の法制度や特定の職域においては、特に必要とされる高い知識や技能などが求められていますので、それに対してはもう少し認定制度を活用するとか、研修を受けてからでないと行えない業務みたいなものが設定される必要もあるのではないかといった意見もありました。
例えば、精神保健福祉法における精神医療審査会ですとか、医療観察法における精神保健参与員ですとか、障害者総合支援法における障害支援区分の認定審査委員などのように、それぞれに判断が求められる場面がございますけれども、そういったところに出て行くにおいては、一定程度の基準が示される必要があるのではないか。それは研修によって担保する必要があるのではないかといった意見などもありました。
先ほどの参考資料で後ろのほうに、昨年度の推進事業のアンケート結果も載せられており、研修の運営においても、また、参加においても必要なお金というものがあります。今回このように、厚生労働省ではたくさんの時間を割いて、精神保健福祉士の養成と卒後教育について検討していただいているのですけれども、それだけ国民が精神保健福祉士に求める役割が拡大し、期待されている要素も多いということであれば、より専門性の高いプロの精神保健福祉士を育てていくために、何らかの予算づけといったものを多方面に御検討いただく必要があるのではないかということも、協議の中では挙がっておりました。
社会福祉士に関しては、第三者機関が認証している認定制度というものがあります。今回のカリキュラム改正ではかなり多く共通科目も持っている、もう片方の資格である精神保健福祉士においては、それが今のところないという状況で、一職能団体の認定制度は現在もありますが、できることなら認定制度との連動も今後考えていく必要があるのではないかといった意見もございました。そのために、参考として、社会福祉士の認定制度に関しても資料提供などをいただいたところです。
また、キャリアラダーに関しても、先ほど御報告がありましたが、ラダーに関しては、現在、職能団体のほうで開発中で、今、試行的に活用していて、年度末ぐらいまでには一定程度の形が出せるのではないかという御報告もありました。そういうものをより多くの精神保健福祉士が活用できるような形をとっていただきたいということでした。
ただ、それは卒後に始まることではなくて、ラダーの積み上げは、実際には養成段階から始まっているものです。養成と卒後のラダーがつながることが大事だと思いますし、そこがつながることによって、実習で何をどう教えればいいのか、何を獲得してもらえばいいのか、実習ではできなくとも卒業までにはどこまで、卒業時点の自分の課題はこういうこと、だから卒後こうやってもっと研さんしていこう、というプロとしての道筋が一本描けるようになると望ましいと考えています。
今、話したことは、理想的にはそうだと合意が得られやすい内容だと思いますが、これを実際に仕組みとしてどうつくるかが難しい点だと協議しています。本日検討会の構成員の先生方から、多方面に御意見をいただけたらと考えております。
私からは以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
続きまして、伊東構成員のほうからお願いいたします。
○伊東構成員 資料1に対する意見はまた後ほどということで、ワーキングでの追加というところのお話をさせていただきたいと思います。
私の立場としては養成校という立場でございますので、そこからお話をしますと、卒後教育というのは、何もソーシャルワーク専門職の教育だけではなくて、全ての大学で、今、注目されているというか、課せられていると思います。
今、学生自身が自分の成績を評価する。教員だけではなくて、学生自身がどこまで到達したかというのを評価するという取り組みがされています。例えばポートフォリオをつくるわけですが、ポートフォリオを卒業後も継続して活用していけば、それは卒後教育につながっていく重要な道具になると思っております。
そういう意味では、養成校としても卒後教育についての責任が重大であるし、現に先生方も実際にやっておるわけです。しかし、先ほどの資料の説明でありましたように、なかなか公的に認められていない。先生方の努力の範疇になっています。その辺をきちっとしていきたい。
それから、職能団体とか、精神保健福祉センターという組織とうまく協働しながら精神保健福祉士を育てていくという視点が必要なのではないかと思っております。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
続きまして、岩本構成員のほうからお願いいたします。
○岩本構成員 岩本です。
先ほど全体のところは田村先生から御説明いただいたとおりなので、各論的なところを申し上げます。まず、養成校で学ぶべき知識のところなのですけれども、養成校では全てを学ぶことはできないとか、本当に必要最低限という記載があるのですけれども、実は概念、知識量としては養成校でかなり学んできていると思っております。
明日あさってが国家試験ですけれども、受験生は、知識量、知識の幅としては現任者とそんなにそん色ないぐらいのことを学ぶことになっていると思うのですが、むしろそういった概念として身につけたものを実際の複雑な現場の中でどのようにつなげていくか、どのように応用していくかというところが養成校ではできていないところで、演習・実習はあるのですが、本当に入り口の部分で体験するというところかと思います。
ですので、もちろん新たに更新すべき知識というのもあるのですけれども、卒後教育・継続教育というのは、学習した概念というのを現場できちんと使えるように、理解につなげていけるようにという力を養う。知識の量をふやすというよりも、むしろ具体的に応用していく力をつけるというところで整理していく必要があるという話も出ました。
そうなると、現任者の教育や研修を考えるときに、今の養成教育でどういうことを学んでいるかについて現場でのある程度共有していただけないと。どういうことを学んだ新人が入ってきて、どう育てていくかというところでは、教育内容についても現場と共有できるというか、つなぎをしっかりつくっていくことが大事ではないかという話も挙がったと思います。
卒後教育と養成校の役割というところで言うと、かなり地域特性というのもあるのではないか。地域によっては、養成校と職場と職能団体が一枚岩で地域完結型でできるところもあれば、全くそこが希薄なところもあるので、そういった地域特性とか地域の違いも想定しながら、その仕組みを考えていく必要があるだろうという意見もあったと思います。
養成校の役割の中では、この資料にもあるように、職場が養成校から遠くなる卒業生も多いので、養成校が直接教育を行うだけではなくて、卒後少なくとも数年はフォローができるというか、きちんと研修につながっているかとか、きちんとアフターケアを受けられているかとか、そういったフォローをするような仕組みも含めて、養成校の役割をもう少し広く捉えてもいいのではないかという意見もあったと思います。
あと、職能団体の役割ということで、職能団体が卒後教育を担う役割は非常に大きいと思うのですけれども、後で柏木会長からも御説明があると思うのですが、精神保健福祉士が求められる知識も技能も本当に幅が広いので、職能団体の研修だけというのは、開催地も、内容的にも限界があると思います。職能団体は実際に研修を開催するのと同時に、あまたあるいろいろな研修の機会や、あるいは研修だけでなくて、地域活動への参加とか、協議会への参加とか、そういった研さんにつながるものの全体像を示して、その全体をマネジメントするような役割も考えられる。先ほど田村先生がおっしゃったように、それが認定の制度なのかもしれないのですけれども、職能団体は直接開催する研修以上に全体の研修の把握と、いつどの程度の研修を受ける必要があるのかというコーディネートの役割を担う必要があるのではないかという意見も挙がったと思います。
以上です。ありがとうございました。
研さん○樋口座長 ありがとうございました。
引き続きまして、精神保健福祉協会の取り組みについて、柏木構成員のほうからお願いしたいと思います。
○柏木構成員 柏木です。よろしくお願いいたします。
日本精神保健福祉士協会では、2008年に生涯研修制度を創設させていただきました。その背景には、国家資格をとった方たちの中で、ソーシャルワーカーとして質的な低下を嘆かれるような状況であるとか、中には研さん義務であるとか、質の向上といったことを余り意識しない精神保健福祉士がふえてきたというネガティブな背景もあったのではないかと思います。
そのことがありまして、本協会では、仕組みの中で生涯研修制度というのをつくり、精神保健福祉士としての業務を続ける限りは、生涯にわたって研さんを積み重ねていくというのが専門職としての責任であるということで、このような制度をつくらせていただきました。
私たちの基本としているところは、国家資格をとったからといっても、それは本当にPSWのスタートラインに立ったというだけであり、今後の研さんの積み重ねが精神保健福祉士としての成長にもつながるわけですし、個々人の成長だけではなくて、それが社会の期待に応えていくことなのではないかと思っています。けれどそれは少なくとも本協会の構成員にはコンセンサスを得ているとは思いますが、我々の職能団体は任意加入でございますから、全ての精神保健福祉士がそのようなスタートに立っているわけではないというのが大きな欠点というか、大きなつまずきの一つですね。
ですから、生涯教育というのは、まず本人がその必要性を認識するところから始まるわけで、養成教育の段階で、生涯学習の必要性を徹底的に教えていただくということがあった上での職能団体の卒後教育とか専門教育になっていくのかなと思っております。
3ページの生涯研修制度の体系図でございます。
最初は基礎研修といいまして、私どものほうのハンドブックを活用して、自分で自己学習をされて、基幹研修Ⅰというところに入っていくわけですけれども、この場合、今の日本協会では、基幹研修Ⅰは全て都道府県協会が主催になっておりまして、都道府県協会の構成員のみにならず、精神保健福祉士資格をお持ちの方であればどなたでも参加できる仕組みとなっております。
基幹研修Ⅰを修了された後、3年ぐらいの間に基幹研修Ⅱということになりますが、基幹研修Ⅱも、今、都道府県協会への委託がかなり進んでいるという状況です。その基幹研修Ⅱを終えられて3年以内ぐらいに、基幹研修Ⅲを修了していただいた方に、初めて研修認定の精神保健福祉士という資格というか、単にラベルをくれるだけだったような気もしますけれども、そういうものを名刺にはってもいいみたいな感じになります。
そして、研修認定を受けられた後、今度は5年ごとに更新研修というのを受けて、更新研修を一度受けていただいたら、今度は認定精神保健福祉士という、これもラベルをくれるぐらいの仕組みでございます。
ですので、基礎研修から基幹研修Ⅲに進んで認定に至るまで、全くインセンティブなしでございますので、御本人自身が自己研さんしていくという一点にかかっている。それでも、この生涯研修制度に乗っている人は、構成員のうちの半分弱はあった。
もっとありましたか。失礼しました。
もう少しいらっしゃるということで、この生涯研修制度は、精神保健福祉士の質の担保にはかなり有効な仕組みではないかと思います。私の後輩たちも、やはり基幹研修をⅠからⅡ、Ⅲに行くまでに、子育てをしていたり、介護に追われていたり、そういったさまざまなハードルを越えないといけないのですけれども、流してしまったらまたⅠに戻ってしまうということがありますので、高い研修意欲があるというよりは、この仕組みに乗っているということ自体が、実は研さんにつながっていくのかなということは感じます。
それと、また別立てのラインで、課題別研修があります。これはまた次のところで詳しく説明させていただきますけれども、非構成員も受講可能となっていて、その都度その都度の政策的な課題を優先的に取り上げる研修をやっているのと、もう一つは、養成研修の中で、認定スーパーバイザー、認定成年後見人、これは認定精神保健福祉士が条件になっていて、それをクリアしないと本協会の推薦するスーパーバイザーにもなれないし、本協会が運営するクローバーというところの成年後見人の養成には入れないという仕組みがございます。
2008年度から年度別に見ていただいたらいいと思うのですけれども、十数年もさかのぼるのもいかがなものかと思いますのでちょっと端折らせていただいて、2014年ぐらいからですけれども、ソーシャルワーカー研修というところで、これは年2回やっています。知識や技術を高めようということで、業務指針の意義と実践的活用に向けてであるとか、支援の姿勢と面接技法であるとか、あるいは精神保健福祉士による災害支援活動であるとか、PSWの成長を支える力であるとか、改正された精神保健福祉法と本人中心の支援ということで、退院後生活環境相談員と相談支援専門員をターゲットにした支援とか、成年後見に関する研修といったこと。
それから、精神保健福祉士の実習指導者講習会は、この研修を受けないと実習指導者になれないということでございますので、非構成員の方も対象にした研修。
それと、ストレスチェックの制度で、精神保健福祉士が実施できるということになりましたので、ストレスチェックの実施者研修も2015年から始まっております。
最近では新しい領域、例えば産業精神保健福祉士であるとか、依存症の方たちも、依存症にかかわる精神保健福祉士だけでなく、依存症に対してはすべての精神保健福祉士が学びましょうということであるとか、司法領域では精神保健福祉士は特に被害者支援というのを結構重要視して、メンタルヘルスの問題を抱えた被害者の方が多いので、そういうことも盛り込みオリジナルな研修をさせていただいております。
次に8ページになりますが、うちの協会としては最も高度なものを養成されるというのは、恐らく認定スーパーバイザー養成研修だと思います。このスーパーバイザー研修につきましては、私は余り詳細がわからないので、田村さんが補足していただけるとありがたいのです。今まで申し上げた研修はほぼ1日で終わるものが多く、長くても2日ぐらいの研修が多いのですけれども、この認定スーパーバイザー研修はかなりの工程を経た上で認定スーパーバイザーとして認定されるということであるとか、概要はこういうことなのですけれども、スーパーバイザーになった後も5年ごとに更新研修を続けていくという仕組みになっております。
認定スーパーバイザーについて、補足はございますでしょうか。
○田村構成員 座長、よろしいですか。
○樋口座長 どうぞ。
○田村構成員 私も柏木構成員と同じく日本精神保健福祉士協会の役員をしておりまして、認定スーパーバイザーの養成研修に携わっているので補足をさせていただきます。これに関しては1年をかけてスーパーバイザーを養成するということで行っているので、かなりじっくりとやっていまして、現在は試験センターの助成金を得ています。そうした資源がないと、一職能団体のみで実施するのはハードルが高いと言えます。
もう一つ、スーパービジョンは、必ずしも認定を受けた人しかできないということではなくて、世の中には多様なスーパーバイザーが実際には存在しています。ただ、ソーシャルワーカーとしての、そして精神保健福祉士としての価値や理念をしっかり踏まえるということが大事だと思っておりますので、この協会の認定制度においては、アイデンティティーを同一にする職種同士でのスーパービジョンの実施を重視しています。先ほど柏木構成員から御説明がありましたが、研修の受講要件として、基本的な精神保健福祉士としての認定を受けている、協会の認定を受けているということがあるのもそのためです。
一方、先ほど岩本構成員からお話がありました地域格差ということが出てきます。全都道府県にこの認定者を配置するところまで、まだ至っておりません。認定スーパーバイザーが一人もないという県も、いまだあるという状況です。
このあたりをどのようにして広げていくかということについては、協会の課題として考えているところです。多くのスーパービジョンの機会を各地に提供できるようにしていくために模索中というところになります。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
よろしいですか。
○柏木構成員 はい。
○樋口座長 それでは、これから先ほど来事務局のほうからの資料の説明、そして柏木構成員からの資料に基づいた御報告がございましたので、それを踏まえて皆様から御意見を頂戴してまいりたいと思います。
これに捉われませんけれども、本日のこの後のディスカッションの内容としては、主に3点ぐらいあると思います。一つは、体系的な研修体制の構築という視点での話。2番目は、体系的な研修体制の構築の推進を行っていくためにはどうするのかという話。3番目は、国や地方公共団体、職能団体と関係団体及び養成施設の役割について、あるいはその間の連携も含めてだろうと思いますが、この大きな3点。これに限りませんので、御発言は広く行っていただいて結構ですが、視点としてはそういうことを頭に置いていただければと思います。
それでは、どなたからでも結構ですので御発言ください。
伊東構成員、どうぞ。
○伊東構成員 議論に入る前に、資料1の書きぶりについてお願いしたいことがございます。
資料1の5ページを見ていただけますでしょうか。検討会におけるこれまでの論点というところで、私も記憶が定かでなく、検討会で検討されたかどうかもわからないのですけれども、実習について記載する必要があると思います。
③では、卒後教育をどのようにつなげていくかが重要であるというところを書いておるわけですけれども、養成教育の中である実習が、卒後教育とのつなぎになるという話はあったかと思います。連続性の中での接点になるというところがあったと思うので、そこをつけ加えていただければというところでございます。
それと、ここのページで、よくよく読むと「基礎教育」という言葉と「養成教育」「養成課程」という言葉が出てきて、私自身ちょっと混乱しております。例えば先ほどの③の中で「基礎教育と資格取得後の卒後教育」という書きぶりがありますが、卒後教育の中でも基礎教育があるかもしれない。ここは多分、養成教育というところの意味なのだと思うのですが、ちょっとその整理が必要かなという気がしております。
あと、④です。「メリハリのある科目構成」は、多分養成教育の中での科目構成のことを記述していると思うのですが、さらっと読んでしまうと、研修の中の科目構成のことを言っていると捉えてしまうと感じているところです。
11ページに行っていただけますでしょうか。「(4)職能団体等関係団体役割」という記載がございます。「職能団体等」というところで、この「等」の中には、例えば社会福祉士会だとか、関係団体、行政機関、ソ協連も入ってくるかなと思います。右側の四角の中の2つ目の「○職能団体が行う研修の利点と記載される研修内容」では「職能団体等関係団体」という書きぶりにしていただけると理解しやすいと思います。
その下のポツのところでは「職能団体や関係団体等が実施する研修は、組織(職場)外であることで」云々というように、加えていただきたい。
最後でございますが、12ページの2つ目の「○養成施設での卒後教育・継続教育の推進」というところのポツの中に「教員に対する講習会等」というのがあります。ソ協連では教員の研修会をやっているものですから、そこに職能団体等関係団体というところに、教育団体というのを特出ししていただきたい。
すみません。長くなってしまいました。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、ほかに御発言ございますか。
では、岩本構成員から。
○岩本構成員 今の伊東構成員のことについて追加といいますか、職能団体等の記載なのですけれども、やはりここは精神保健福祉士の職能団体と他団体の役割は、多少違うと思うのですね。ですので、11ページの(4)の研さんを行っていく機関としては、精神保健福祉士職能団体も他団体も含むと考えていただいていいと思うのですけれども、一方で、精神保健福祉士の職能団体は、やはり研修を打ち出すだけではなく、質の担保をどう図るかという点で、ほかの研修も含めてちゃんと質が向上するような仕組みをつくっていくというか、そこに関与していく責務があると思うので、そこは一つの枠に並列するのではなく、それぞれ役割の違いというのはあるのではないかと思っています。
以上です。
○樋口座長 では、どうぞ。お待たせしました。
○岡本構成員 日精協のほうから来ている岡本なのですけれども、既にPSWは、精神科医療に関しては欠かせない存在になっています。うちのような200床程度の病院でも10人以上を雇用するという状況で、それは病院単体としてですけれども、日精協の会員は福祉領域まで幅広く施設を持つなど活動しています。先ほどの数字も恐らくオーバーラップしていて、恐らくもっといるだろう。我々が把握しているだけで日精協関連で1万2000人は超えるのですね。
その質の向上というのは切実な問題になってきていまして、初診の場合であると、ケースによってはどこに相談したらいいのかとか、問題解決の仕方はどうしたらいいのかとか、我々のほうにはさまざまな要求が来ているのです。
初期研修のほうでお願いしたいのは、各地域での社会資源のあり方とか、その利用の方法とか、アセスメントの取り方とか、そういう基本的なところを改めてもう一度研修してほしい。私たちも医者になりたてのときには、知識はあるのだけれども、どうしていいかわからない。あの状態だろうと思うので、そこのところをきちんとやっていただければありがたい。
それから、多数いる医療相談室のようなところに配置された方はいいのですけれども、グループホームで一人でやれと新人でやられると、その方にとっては御不幸な状況になるのではないか。そこら辺も救済する必要が出てくる感じがします。組織としては致し方なく配置するのですけれども、そういうところを考えていけるようなものになるといいなと思います。
そういうようなことで、PSW協会は一生懸命やっていらっしゃるのですけれども、日精協としても、我々のことなので、協力をしていくということでどのようなことができるのだろうかということをまた考えています。
それから、最近、高齢化とか、そのほかいろいろな状況の変化が出てきて、関連団体に弁護士さん、司法の関与が物すごく多くなってきているというのがあります。それこそ若いPSWが患者の離婚話に、自己破産の現場に立ち会うなどということが日常茶飯にあったり、そのほかさまざまな問題が出てきています。
我々は弁護士というと精神医療審査会のちょっとイデオロギーの問題のある弁護士さんとのやりとりでえらい目に遭っているのですけれども、そういうことではなくて、本当に弁護士としてお願いしなければいけないという場面が非常に多くなっていますい。
そのほかの行政書士、司法書士の方とも関連してくるのですが、相手方がかなり精神疾患や患者に偏見を持っている場合が多く、その辺を理解し協力していくことに関してもよく考えてやっていかなくてはいけないのかなと思っております。
最後に一つだけ、認定制度は、基幹研修ⅠからⅡ、Ⅲまで、一体何年ぐらいのスパンでいけるのでしょう。
○柏木構成員 最短と最長と?
○岡本構成員 最長というのもある。
○柏木構成員 計算しなければわからなくて、ちょっと計算するまで待ってください。
○岡本構成員 5年研修でいくという看護師の認定制度とは違って、PSW独自の流れでいけばいいと思います。
○柏木構成員 はい。
○岡本構成員 わかりました。
長々とどうもすみませんでした。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、萱間構成員、どうぞ。
○萱間構成員 卒後教育について、強い問題意識を皆さんが共有されているというのがわかりました。看護師も同じ卒後教育の課題を抱えていますので、シンパシーを持ちます。看護師の場合は、まずジェネラリストを基礎教育で育てて、どの領域もできて、卒後教育といったときにスペシャリストになっていくみたいな組み立てで、基礎教育では最初は精神専門でないので、上に積んでいくという指向性があるのです。今の課題を伺っていると、精神保健福祉士の場合は既にスペシャライズされて出てくるので、全体的な一般的な能力を向上させるというところが、今、検討が必要と認識されているのか。それとも、先ほどのスーパーバイザーだったり、後見人だったり、もうちょっとスペシャライズしたものがもっと必要とされているのか。
岡本先生のお話を伺っていると、やはりジェネラルな力ということをおっしゃっているように聞こえたのですけれども、ここで議論するのがそれによってちょっと違ってくるというか、教育機関の役割も違うように思ったのですけれども、それが伺えればと思います。
○樋口座長 いかがでしょうか。今のことに関して何かコメントはございますか。
どうぞ。
○岩本構成員 精神保健福祉士がキャリアを積んでいくプロセスは、かなり多様なのではないかと思っています。特に精神保健福祉士の場合、職場内でジェネラリスト的な動きを要請されたり、管理的な役割を担っていったりということもあるので、そういった場合は専門特化というよりも、全体がカバーできるような、ジェネラルなところで質を上げていくということもあります。一方で、例えば依存症問題とか、司法の問題とか、そういった専門分野に特化してキャリアを重ねていく形もあると思います。今、職能団体で作成中のキャリアラダーでも、幾つかのキャリアのルートというか、そういうものも想定しながら検討されていると聞いております。
ですので、両方が混在するというか、そういう認識なのですけれども、田村さん、いかがですか。
○樋口座長 どうぞ。
○田村構成員 田村です。
今の萱間先生の御意見というか、御質問は、本当に私も同じように感じるのですけれども、ジェネラルといったときのジェネラリストというのが、実はソーシャルワークにおいては相当高度なものがジェネラリストになると思うのですね。
私、ちょっと横文字が苦手なので日本語にさせていただきたいと思うのですけれども、もし一般的というか総合的なソーシャルワーカーという言い方にするとしたら、それは相当レベルが高いというか、何でもわかっているということが必要です。それを卒後すぐのときに要求されると非常に難しい。
ただ、一方で、ソーシャルワーカーだったらこれとこれとこれぐらいは知っていて、これぐらいはできるねという最低限のこと、例えば目の前の人のお話をきちんと聞いて、そこから要点をまとめて記述をするとか、そのときに専門用語が一定程度はわかった上で多職種にも伝えられるとか、そういうことについてはどこの職場でも、入ってきたらすぐにできるだろうと思っているところかと思うのですね。
ですので、そこの部分は養成段階でやっているのだけれども、その職場に合った形で力を発揮できるようにするためにとなると、そこから徐々にスペシフィックな部分というか、特定の領域の専門用語に特に詳しいとか、その制度には特に詳しいとか、その領域で連携しなければいけない職種や資源のことがよくわかっているということになると、養成段階では難しいので、就職した職場で育てていくことが必要になると思います。
そこは、仕事を覚えるプロセスになっていくと思うのですが、その上で、さらにまたソーシャルワーカーは、現在ある資源とか、自分の職場での支援だけでは足りないことなどについて、御本人の立場に立つがゆえにですけれども、課題視し、足りないものを創り出すとか、あるいはよくないことを変えていくとか、そういったより能動的な働きかけを職場を超えてしていく必要があって、本当の意味でのジェネラリストというのはそういうことで、そういう働きができるようになることを目指すのですね。
恐らく看護や医療も同じだと思うのですけれども、そういう考え方に立って卒後の教育、研さんをどうしたらいいのかというのをちょっと幅広に考える必要があるのではないかと思います。一意見として言っておきます。
○樋口座長 ありがとうございました。
萱間構成員、よろしいですか。
○萱間構成員 ジェネラリストといっても高い能力が求められるということがわかりました。基礎的な力をということだと、まず教育機関が教育機関の協議会で到達目標、コアコンピテンシーなどを整備します。看護もコアカリのようなものができたばかりなのですけれども、そういうものがあり、次の段階で職能団体のラダーなど、共通の尺度、項目があって、それをお互いに目指すみたいな形でつながっていくと思うのです。
ただ、先ほどの能動的に資源をつくり出していくみたいなところは、もうちょっと次の段階というか、ネットワーキングとか、IPWとか、それも基礎教育という位置づけでしょうか。
○樋口座長 岩上構成員、どうぞ。
○岩上構成員 やはり地域を基盤としたソーシャルワーカーですから、そこを求めないで精神保健福祉士はあり得ないと思っています。ですので、目指すべきところは、地域基盤をつくっていけるソーシャルワーカーを養成する中で、精神保健福祉士を考えていくと私は思っています。
そういう方が1500人ぐらいいてくれたらいいかなと思っているのです。それは、各地域を回っていて、精神障害にも対応した包括ケアシステムを考えるときに、医療機関に優秀な精神保健福祉士がいても、行政が全然うまくいかない。あるいは相談支援で活躍している精神保健福祉士はいるけれども、医療機関のほうはなかなかうまくいかないとなったときに、基本的に医療機関と、市町村と、保健所と相談支援事業所に、地域を基盤としてソーシャルワークができる精神保健福祉士がいれば、ある程度の地域の基盤整備ができて、なおかつ、もっと専門的な役割を担っていなければいけないと思いますけれども、そのバランスが非常に悪いというのが全国の状況だと認識しているのです。
ですので、目指すべきところは、別に精神保健福祉士だけでなく、ほかの職種との連携はあるのだけれども、ある程度そういった基盤整備ができる人をどれぐらい養成していくのかということ。
ここでの議論ですから、全体としての精神保健福祉士をどのように養成するかというのはもちろんあるのだけれども、やはりソーシャルワークの本質ができる人、本質ができないで精神保健福祉士と言っていいのかというのはあるのだけれども、本質を求められるかなりリーダー的な人をきちんと養成しないと、底辺だけ底上げしていっても、なかなか目指すべき社会はつくれないのかなと私は思っています。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょう。
中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 何点かあるのですけれども、まとめてよろしいでしょうか。
初めに先ほど伊東構成員がおっしゃられた内容なのですが、私も全く同じことを言おうと思っていまして、御発言に対して賛同させていただきます。
やはり一番の問題意識は、養成教育と卒後教育がかなり希薄な時代がずっと続いてきているという状況ではないかと思っていますので、やはり養成団体と専門職団体が、もちろんそれぞれの独自性をちゃんと維持しながらも、連携をとりながら卒後教育・継続教育に当たっていくということが基本的なスタンスになろうかと思いますので、関連する団体としては、社会福祉士会も当然入れていただきたいのですけれども、教育の機関における団体で構成されている団体も含まれるべきかなと考えています。
あとは、8ページのところになるのですけれども、認定精神保健福祉士のくだりのところがあって、そこでは認定社会福祉士との連動というところが書かれているのですけれども、先ほどの議論にありましたように、ジェネラリストソーシャルワーカーであったとしてもかなり高度なものが求められているというお話ですけれども、私も全くそのとおりだと思います。
であるならば、認定精神保健福祉士と認定社会福祉士は、違いは当然あるにしても、かなり共通する部分があるわけですね。単純に言うと、優秀な社会福祉士は精神保健福祉士として無能なのかというと、そんなことはあり得ないわけですね。
ですので、かなり共通する機能や役割、当然価値や倫理みたいなところはほとんど共通するわけですけれども、そういったものがあるので、やはりここら辺のところは、むしろ認定社会福祉士との連動を飛び越えて、将来的には一体的に制度や仕組みをつくるとか、統合化させるぐらいの気持ちで臨んでいったほうがいいのではないかと考えています。もう認定ソーシャルワーカー制度みたいなものをイメージしたらどうなのかと考えているところです。
2点目ですけれども、先ほどおっしゃられたとおりで、認定制度をつくるのはいいのですけれども、かなり高度なことを求めて、かなりの負担を受講者に強いるという状況になりますので、当然インセンティブがないといけないですね。
実は私、広島所属なのですけれども、例えば広島県の教育委員会のスーパーバイザーの要件に、認定社会福祉士というのが入っているのですよ。ですから、配置の要件であったり、加算要件、そういったものに認定社会福祉士資格や認定精神保健福祉士みたいなものが制度に位置づけられていかないと、取得する人はかなり少ないままで、結局絵に描いた餅になってしまうというところがあるので、いろいろな役割の表がありますけれども、政府の役割として入れていくべきではないのかなというのが3点目です。
4点目になりますけれども、6ページを見ていただいて、⑤のところですね。「専門職団体等による研修やスーパービジョンによって質の確保を行う必要がないか」ではなくて、「必要がある」とはっきり書いていただきたいのです。
というのは、先ほどから、この資料にもありますように、一人ソーシャルワーカーというか、同じ組織の中で、先ほど先生がおっしゃられたように、複数のソーシャルワーカーがいる職場というのは非常に少なくて、職場の中でそんなにたくさんソーシャルワーカーとしての同僚がいるわけではないので、職場の中でのスーパービジョンというのはかなり難しいところがありますから、外部のスーパーバイザーに頼らざるを得ないところがあるのですが、専門職団体の場合は、必ず契約に基づいて行う。
そして、何かそこでクライアントの不利益になるようなスーパービジョンが展開された場合は、当然、専門職団体のスーパービジョンというのは保険の加入も強制しているわけですね。
あとは、もしスーパーバイザーとの間でトラブルが起こったときには、専門職団体が仲介するといった仕組みになっているのです。これはしっかりとした仕組みになっているので、そういった形でないと、外部のスーパーバイザーを頼りにスーパービジョンを展開するというのは非常に危険ですし、難しいと考えているので、ここは「専門職団体等によるスーパービジョンによって質の確保を行う必要がある」とはっきり書いていただきたいと考えているところです。
最後の4点目は、私自身のアイデアでもあるのですけれども、この役割論の中に、実は雇用主の役割というのが入っていないのですね。普通、雇用主として自分の被雇用者たる職員を養成するという使命があるはずだと私は思っているのですけれども、先ほど言ったような状況があるので、例えば職場の中で少数しかいないソーシャルワーカーのために外部の講師を呼んで研修会を開くとか、そういったこともなかなか難しいという側面があろうかと思います。
今、介護の分野では、またちょっと違う理由なのですけれども、介護の場合は少人数の職員しかいない小規模事業所がかなり多いのですね。そこで、同じように研修がなかなか打てない。それは費用の問題だったり、会場費の問題であったり、そういったところがあってできない。
それに対して、今、多くの自治体では、複数事業所連携事業みたいなものを独自にやっている。これは何かというと、大体5つぐらいと書いてあることが多いのですけれども、5つ以上の事業所が連携すれば、そこで研修会を開いた場合、研修の会場費であったり、講師の謝金であったり、そういったものを自治体のほうから補塡するというものなのですけれども、これはかなりの自治体でやっている実績があるのです。そういったものを導入して、複数の事業所、法人が集まれば、一定程度の精神保健福祉士の数が確保できますから、そこで研修を打っていくという事業の仕組みみたいなもの、既にあるものをこちらの精神保健福祉士の構造のほうで活用できないかと思っていますので、一つのアイデアとしてお伝えさせていただきたいと思います。
○樋口座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょう。
岡﨑構成員、どうぞ。
○岡﨑構成員 私、1年制の通学の精神保健福祉士養成機関の教員の立場ということでお話しさせていただきたいと思います。
この中に何回か、キャリアラダーの言及がございまして、新人、中堅、指導者、管理者ということなのですが、ちょっと私は不勉強で、これはどういう定義になるのかということを考えたのは、一つは、私どもは1年制で、大学を出てすぐの方もいらっしゃいますが、本当に最高年齢70代の方とかで、年齢的にはラダーの上のほうに来ていらっしゃる方がいらっしゃるのですね。ただ、そのかわり社会人経験をすごく持っていらっしゃる方がいらっしゃいます。
それとちょっと連動している話としまして、社会人経験があるのだけれども、例えば社会人経験の中でうつ病を発症されて、リワークで回復されて来ていらっしゃる方もいらっしゃいまして、その辺のことをどのように考えたらいいのか。そういう方たちは、私どもも学校ですので、なるだけ卒業するような配慮はいろいろ行っているのですけれども、今度実際に働くとなると、やはりそこでいろいろな困難を経験されるという方たちに、何か言及といいますか、配慮を書いていただけるといいますか、検討していただけるとうれしいなと思います。
もう一つ、当事者ということで申し上げますと、私は依存症の専門分野としておりますけれども、アルコール依存症や薬物依存症の方たちが時々入学されています。依存症回復支援施設の職員として、今までは依存症の自分の経験で回復支援ができたのですけれども、最近は重複障害、併存障害の方が非常に多くなってきまして、自分の経験だけでは支援に限界があるということを感じて来られているのですね。
ですので、依存症というのはある種独特の分野でもございますが、例えば覚せい剤の問題のある方だと司法の問題とも関連してきますし、ADHDですとか、統合失調症様の後遺障害的なものも出てきたりしますので、そういう意味で、ほかの分野との連動が非常に大きくなってきています。当事者の方による支援ということと、このキャリアラダーというのをどのように考えたらいいのかということを感じましたので、その点もご検討いただけるとうれしいと思っております。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
塚本構成員、どうぞ。
○塚本構成員 これは精神保健福祉士だけでなくて、全ての職に共通する課題だと思うのですけれども、子育て中の方とか介護をされている方というのは、研修とか教育の機会がなかなか得られないということに対して、どう対処していくのか。eラーニングとか、どこを整備していくのかということも書き込めればなと思いました。
生涯教育の必要性については、多分、実習指導者も強く強調すべきことだと思うのですね。ですので、実習に来ている学生に対して指導者がちゃんと方法とかを示すとか、情報のとり方を示すというのも、実習指導者の養成の課程で盛り込むべきではないかと思いました。
あと、資料1の10ページの人材育成の在り方に関するワーキングのまとめの方向性の中の精神保健福祉センターとか保健所のところの書きぶりなのですけれども、研修の情報を集約して、それを精神保健福祉センターがアップするというのは、かなり現実的ではないのではないかと感覚的に思います。
集まってきますけれども、それはセレクトをかけざるを得なくなると思うのですね。体系をどうやって見るように提示するのかとか、ちょっとお役所的ですけれども、思ったよりは課題があるのではないかというのは、精神保健福祉センターにいた職員としては思います。
以上です。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょう。
どうぞ。
○和気構成員 私は少し視点が違うのですけれども、あしたあさっては国家試験ということで、いま精神保健福祉士と社会福祉士の国家試験の副委員長をしていますので、そういう視点から少しお話をさせていただきたいことがあります。
1つは、国家試験が終わると各大学の合格率が何%かというのが発表されます。しかし、大学のなかには「社会福祉士の合格者数何年連続日本一」というようなことを喧伝している大学もあり、私は合格者数や合格率がいろいろな形で「ひとり歩き」しているところもあるのではないかと思っています。
大事なことは、現在の社会福祉教育が短期的な評価でどれだけの学生を国家試験に合格させるかということに振り回されてしまっているところがあるのではないか。つまり、4年間の教育の最終ゴールが、結局、国家試験に合格させればいいということになっていやしないかということがあります。
大学は、今、ほとんどの大学が国家試験の対策講座を開催し、いかにして合格率を上げるかということに取り組んでいますし、これはあくまでも側聞なのですが、大学によっては秋に模擬試験を行い、点数の悪い学生は受験させないということをしているという話も聞いたことがあります。果たしてそれで大学教育として、つまり高等教育の一環としての社会福祉教育は、そういうことでいいのかという問題が1つあると思っています。
もう一つ、先ほど岩本先生がおっしゃっていましたけれども、私も国家試験の副委員長という立場上、精神保健福祉士の教科書を全て読みましたけれども、それらには知識としては膨大な量が入っていると思います。
国家試験をやると、皆さん方は、合格者はほとんど全ての問に答えられている、ほとんど満点に近いのではないかと思っていらっしゃるかもしれませんが、現実にはそんなことはなくて、合格基準は毎年公表されておりますが、総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正された得点以上できていれば合格になります。事実、知識として問われることが膨大な量なので、やはり合格するのはなかなか難しいのです。
そう考えると、卒業したら何もかも全てがわかっているソーシャルワーカーが現場に出てくると考えるのは間違いで、本当に社会福祉領域の専門職としての、初めの一歩が始まる。少なくとも最低限の知識は持っていますというのを確かめるというのが、いまの国家試験になっていると思います。
そういう意味で言いますと、やはり卒後教育・継続教育がいかに大事かということがよくわかります。つまり、大学を出れば、全てがわかる、あるいは全てができるソーシャルワーカーが現場に出てくるわけではないと考えておくことが非常に重要になります。
言い換えれば、こういう検討会で卒後教育・継続教育をテーマとして議論するというのは、大きな意味があるのではないか。今まではどうしても、4年間教育して国家試験に合格させれば、大学としてはそれでいい、あとは申し訳ないけれども現場にお任せとなりがちだったことに対して、一石を投じていると思っています。
その文脈で言いますと、我田引水といいますか、手前みそなのですが、私が勤務している明治学院大学は、30年以上前から卒業生を相手に、「社会福祉実践家のための臨床理論技術研修会」というのを1年に1回やっています。ささやかなのですが、こういう報告書を出していて、昨年は山崎美貴子先生(明治学院大学名誉教授)が講演をされたり、グループスーパービジョンのようなことをしています。
明治学院大学社会福祉学科は、そういうことを30年以上続けていますが、本日の資料を見ると、新人の研修の中で、大学(養成校)が占める割合というのは比較的大きいので、こういう場をそれぞれの大学が創意工夫をしてつくるということは、とても意味のあることだと思います。
本日の資料の19ページにそのことの効果と課題が出ていますけれども、やはりもう少しいろいろな関係者が知恵を持ち寄って、課題を克服していくようにしていけば、大学(養成校)での卒後教育と、職能団体による継続教育というものがうまくリンクできるようになっていくのではないかと思っています。
少し長くなりましたけれども、明治学院大学での取り組みのご紹介も含め、発言をさせていただきました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○伊東構成員 今の和気先生の御意見にちょっとつけ加えたいと思うのですが、まさしくソ協連、養成校の団体の使命かと思います。要するに、国家試験をパスするだけの教育ではなくて、ちゃんとソーシャルワーカーの専門職を養成する。それも、卒後教育も視野に入れながらやらなくてはいけないよというところだと思います。
もう一点は、精神保健福祉士協会にもお願いしたいところですが、大学は、養成校はワーカーを未熟児で出しているみたいなことをよく言われます。もっと即戦力になる人を出してくれと。一緒になって育てていくという、検討会では、そういう話があるわけですけれども、各会員までそれが浸透してくれると我々もやりやすい。
以上でございます。
○樋口座長 ほかはいかがでしょう。
どうぞ。
○岩上構成員 先ほど落ち着きなく話をしてしまったのですみません。
私は、毎回立場をきちんと言わなければいけないと思っているのです。中島構成員がおっしゃっていたところと近いのですけれども、ここは精神保健福祉士の検討をしていただいているのですが、ちょっと間があいてしまったので再度言いますけれども、このあり方を検討してスタートさせても、それがきちんと形づくにはかなり時間がかかっていく。
その間に少子化は進んでいく中で、社会福祉を担う人材をどう養成していくかとなるときに、私の考えとしては、必ず社会福祉士と精神保健福祉士のあり方というのをできれば一本化してほしい。しかし、法律がもう2つある。それに合わせて、今回のカリキュラム改正も、先ほど田村さんがおっしゃったようにいろいろ連動させていただいているけれども、必ずその方向性を見据えた議論をしなければいけないというのが、私の立場としてずっと認識しているところです。
したがいまして、先ほど中島構成員がおっしゃっていたように、卒後教育のあり方も、社会福祉士の卒後教育のあり方と常に連動させて、卒後教育の部分では一本化できる部分が多いと思うので、そこは常に念頭に置いていただきたいと思っています。
それは終わりまして、先ほど1500人という数を勝手に言ってしまいましたが、1500人ぐらいスペシャルな精神保健福祉士がいればいいというのは、東京は違うのですが、おおむね圏域が300から350とみなしたときに、各圏域に4人程度はいていただくと、地域基盤をつくっていけるのではないかということで、1500という数字を、今、私自身が求めているところなので挙げました。
その上で、養成においてここで議論しているのは、個人に焦点を当てる部分と、ちょっと弱いのではないかという事業所に当てる部分と、地域基盤に当てる部分と、それぞれの団体であり、教育機関がここでどのようにかかわっていただけるかだと思います。
自分の反省としましては、前回もお話ししましたように、伊東構成員とは逆に、大学にお任せしておいて、就職してから育てようということは間違っていた。むしろ大学に私どもが入らせていただいて、その中で実習もそういったところを選んでいただいて、初めまして実習ではなくて、ぜひここで実習したいという人を育てて、地域で働いていただくといったことが必要だと認識を改めまして、そういったことを今年度から始めさせていただいているのです。
なおかつ、実習に来ていただいた先生方にも、私どもの法人の職員の指導をしていただく。加えて、地域全体としても自立支援協議会がありますので、人材育成というのはどこでも求めていくことですね。ですので、そこでも人材育成をして、その中で、ここにも書いてありますが、相談支援専門員であり、サービス管理責任者の養成の中で、精神保健福祉士も育てていただく。そこの連動性がうまくいけば、人材育成というのはかなり進んでいくと思うのですね。
そうなったときにお願いしたいのは、自立支援協議会の会長は大学の先生方がよくなさっておりますので、それを引き受けるに当たっては、この地域の人材育成を私たちにやらせてくださいという認識を必ずお持ちいただいて、事務局に言われたままやるような会長は求めない。そういったことが進むと、人材育成にはかなり力が入っていくかなと思っています。
むしろ厚生労働省は、相談支援の研修とかも見直していただいて、そこが力を入れていただいているところなので、そことも連動をしていただけるといいかな。
何を言いたいかというと、伊東構成員がおっしゃったことの逆ですけれども、卒後教育ではなくて、養成教育と卒後教育がシームレスになるような仕組みをつくっていかなければいけないかなと思っています。
長くなりましたが、失礼しました。
○樋口座長 どうぞ。
○柏木構成員 どなたでもいいのですけれども、卒後教育というのはあくまでも自分のところの卒業生を対象にするものなのですか。
○和気構成員 私たちの大学は、原則として卒業生ということになります。どうしてそういうことをやっているのかについてお話をすると、多分、最初に始めたのは山崎美貴子先生なのですけれども、大学時代の教育の効果がどのように出るのかということを知るためには、卒業後も現場で福祉実践をしている卒業生たちと関係を持っていかないといけない、そして彼らが戻って来れる「場」をつくらなければいけないということがあります。
ですから、広くどなたでも参加していいということではなくて、我々の大学では、教育の効果は5年、10年、15年という長い期間をかけて出てくるものもあるので、それを今の教育にフィードバックさせるためには、やはり卒業生を対象とした卒後教育を長い間継続し、我々の教育の効果を把握することが必要であると考えているわけです。ですから、参加者は、基本的には卒業生に限定をされています。
ただし、そのように限定されたものが、広い意味での「卒後教育」としてどうなのかという議論はまた別の次元であると思います。
○柏木構成員 おっしゃることはよくわかるので、それでいいのだろうなと思うのですけれども、そうなると地域格差ということと、大学の考えの差、それと、例えば明学を卒業されても、職場が鹿児島とか北海道といった遠方にいらっしゃる方がなかなか研修に参加できないということになると、私は、大学は卒業生を大事にするということもあるのですけれども、卒業されたばかりの人たちから何年間かは、それこそオープンキャンパスのように、もっと広く大学の英知を卒業生以外の方にも開いていただけるような仕組みがとれないのかなと思ったりするのですね。
そうすると、実習もそうなのですけれども、実習指導に来られる先生方には、私どもの病院で、できればそれこそ等価交換ではありませんが、引き受けてあげるかわりに、あなたも自分の知恵とか知識とか技術を差し出しなさいみたいなことを言ったり、やったりしているのですけれども、大学と現場の連携というのは、何十年も前から言ってこられている割には、現実仕組みが全くないので、心ある大学と心ある現場の中でやっていらっしゃるだけで、これを仕組みとしてやろうと思ったら、そういうことを打ち出していかないと、なかなか難しいかなと思います。
それと、岡﨑さんがおっしゃったように、1年しか来ない方たちの卒後教育というところの受け皿はどこになるのかしらとか、特に通信の方はそうですね。そういう人たちのことも考えると、広く卒後教育を担保していこうと思ったら、仕組みを少しいじらないと結構厳しいのかなと思います。
あと、岩上さんに質問させていただきたいのですけれども、地域を基盤としたソーシャルワークで、私もよくそれを言っているのですけれども、些末な話で申し訳ないのですが、どこを拠点とした話ですか。就業場所のことですけど。例えば相談支援事業所ということを言っていらっしゃるのか。あるいは地域の福祉系の事業所、地域包括支援センターとか、1500人というのはそういったところにいるワーカーということですか。
○岩上構成員 1500人だけ印象深くなってしまいましたけれども、そういう目標がないとということで考えているのです。地域を基盤としたソーシャルワークができる人は、別に所属はどこであってもいい。もちろん医療機関であってもいい。
医療機関は、まず目の前にいる患者さんを支援していく、寄り添っていく。しかし、その方々が地域で生活していくときに、別に昔のように全て医療機関のソーシャルワーカーが基盤整備をしろということでなくて、そこできちんと連携をして、そこでより御本人が望んでいる生活を支援できる人とつなげていく。あるいはその割合というのが、地域で暮らしていても、やはり医療ベースで支援したほうがいい方もいらっしゃるわけではないですか。しかし、暮らしていくのは医療も含めて地域なので、そういう認識で話しています。
○柏木構成員 わかりました。ありがとうございます。
○樋口座長 ほかに。
どうぞ。
○岩本構成員 今、柏木構成員がおっしゃられたように、養成校と現場というか、職能団体を含めての連携なのですけれども、今年度の調査結果を見ても、精神保健福祉士は割と現場上がりの教員が多くて、やはり現場との近さとか、現場の人を日常的によく知っているとか、職能団体の活動にもいろいろかかわっているというのがあるので、例えば養成校が職能団体と「連携しているか」という質問では、かなり高い割合で「連携している」と回答しているのですけれども、それは結構属人的というか、組織対組織の連携ではなくて、よく知っている人をお願いするようなことが結構多いのではないかと思うのですね。
今後、精神保健福祉士の養成の教員がどういう形になっていくかを考えると、これまでのように現場と近い教員がずっと続くかというと、何か様子が変わってきている印象もありますので、人と人だけではなくて、仕組みとしてちゃんとつくっていかないと、今の形は残っていかないということは懸念しております。
もう一点、全く観点が違うのですけれども、昨年度のようにカリキュラムの内容を示すというはかなりゴールがはっきりしているのですけれども、卒後教育の議論はどこをゴールにしているのかというところがいつも気になっているところです。今回の資料でも、キャリアラダーができることを前提に書かれているところが多いので、その点もどの程度をゴールとして示すのかといいますか、この検討会がどこまでの役割を担うのか。キャリアラダーも余り精密なものをつくろうとすると何年もかかってしまうので、結果的に今の議論が中途半端で終わってしまうとすごくもったいないと思います。ゴールをどこに置くのかと、キャリアラダーも、余り細かいものだと実際に現場で応用するうえでの使い勝手が大変になってくると思うので、どのぐらいのレベルのキャリアラダーをまずつくって活用していくのか、今後の見通しも含めてある程度見えるといいなと思っています。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
今の最後の研修のこと、教育のことのゴールをどこに置くかということに関して、今日は課長さんが席を外しておられますので、事務局のほうから、今のことに関して何かコメントがございましたら出しておいていただいて、もしなければ、また課長がいらっしゃるときに少し意見を出していただこうかと思いますが、そちらのほうはよろしいですか。
○風間室長 こちらのほうで検討させていただきたいと思います。
○樋口座長 わかりました。
どうぞ。
○伊東構成員 最後に、また細かいところで申し訳ございません。資料1の12ページの(5)のところに「養成施設の役割」と書いてあるのですが、「養成校」と書きかえていただければと思っております。
私の理解では、養成施設というと、厚生労働省が指定した施設で大学が含まれなくなってしまうのではないかという認識でございます。確認をしていただければと思います。
○樋口座長 その点は、事務局のほうで検討しておいていただくことにいたしまして、ほかにこれだけはということは。手短にお願いします。
○田村構成員 短くお話しさせていただきます。
研修の仕組みをしっかりつくらないと、心ある人たちの熱意だけでは、なかなか全員がしっかりやるということにならないというのは、この議論の中でかなり共通認識されているのではないかと思います。
例えば精神保健福祉センターの役割として、研修の情報を出すこともなかなか難しいというお話があったのですけれども、先ほど柏木構成員もおっしゃっていたように、各現場と養成校が連携して人を育てる仕組みづくりに関しては責任を負う、としていただくとか、あるいは市町村などは、民間の障害福祉サービス事業所等に事業を委託することが多いと思いますが、委託先である職場の精神保健福祉士の研さん状況について、例えば認定制度なども活用して、質の担保の面から確認していただければと思います。そういった形で、委託をする事業所の選定基準として、職員の研修を項目として入れていただくのはどうかと思います。
もう一つが、先ほど中島構成員が雇用主の責任というお話もされていましたが、社会福祉士の場合だと社会福祉経営者協議会、あるいは精神科病院で言えば、日本精神科病院協会といったように、幾つか雇用主の団体がありますので、そういう方々にしっかり御理解いただいて、研修制度等の仕組みを活用して、御自身が雇った人たちの専門教育に関心を持っていただく、場合によっては出張等で行けるようにしていただくということが、何かの形で書き込んでいただければと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、本日はいろいろな角度からの御意見・御質疑をいただきました。さらに検討すべき課題も幾つか提出されておりますし、再度ワーキンググループのほうで詰めた御議論をいただいて、本検討会に再度御報告をいただくという段取りでいってはどうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(構成員首肯)
○樋口座長 ワーキンググループの先生方、大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。そのようにさせていただくことにいたします。
それでは、本議事につきましては、そういったことで次のステップに進ませていただきますが、そのほか、構成員の皆様から。
どうぞ。
○中島構成員 今日のどこで言うのかなと思いながら、その他しかないのだろうなと思ったのですけれども、例の精神保健福祉士の専門科目から貧困者に対する支援という科目が削除されそうだということに対して、一言申し上げておきたいかなと思うのですね。
一つ、科目から外れるというのは、かなりインパクトがあるといいますか、やはり科目というのは専門体系の一つの柱と捉えていいと思いますので、そこから外れるということはどうなのかということです。やはり科目として残すべきではないのかと思います。
というのは、私自身も二十数年前は学生をしていましたけれども、科目名は覚えているのですね。中身については覚えていないということもありますので、非常に大事なのですね。ですから、残していただきたい。
理由は主に2つです。
一つは、やはり最近、ニーズの多様化・複雑化みたいな議論がありますけれども、まるで日本の社会福祉が、上層部の社会福祉の実践に進展しているかのように受け取られがちではないのかと思うのですけれども、実は足元を見てみると、生活保護の捕捉率や保護率というのは、先進諸国の中でもかなり低い状況にあるわけですね。つまり、ニーズの多様化・複雑化も大事なのですけれども、根源的な社会福祉のニーズに対してまだ対応できていないのではないのかという状況があるというのを捉えたときに、やはりこれは押さえておかないといけないのだろう。つまり、原初的・根源的な社会福祉をカリキュラムの科目として残しておかないとまずいのではないのかというのが一つです。
もう一つは、現実的な問題においても、生活保護の受給者の自殺率というのは物すごく高いわけですね。全体の倍ぐらいの数字が出ている。その要因としては、精神疾患というのがあって、全体の中でも生活保護受給者の精神疾患の割合というのはかなり多く出ていて、医療扶助の中でも精神医療の割合が一番高いわけではないですか。そうなると、現実的にそういう場面があるわけですよ。
理念的にも私はちょっとおかしいと思うし、実際の現実的な場面においても必要な知識・知見であるにもかかわらず、それを科目から外すというのはちょっとまずいのではないかと考えています。
ですので、私の提案は、少なくとも専門科目として残していただきたいということと、もしでき得るならば、社会福祉士にも同じ科目があるので、共通科目として残していただきたいというのが私の意見です。
今さらと言われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、意見としては申し上げておきたいと思います。
○樋口座長 大変重要な御指摘だと思います。
この点に関していかがでしょうか。構成員の皆様で御意見がございましたら、いただければと思います。
○岡﨑構成員 直接それに関してではないのですが、資料の中に前回のものを入れていただくとすぐに参照できるので、資料は持ってくるのも重いですし、今の議論もそういうことを踏まえての御意見だということなので、もし可能であれば前回のものを全部入れていただいて、すぐ参照できるようにしていただけるといいかなと思いました。
以上です。
○樋口座長 そこは事務局で検討していただけますか。そんなに難しいことではなさそうですね。
ありがとうございます。
田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 田村です。 前回とかカリキュラム案の資料が入っていると、今、参照しながら話せるなと私も思いました。
先ほどの中島さんのお話をお聞きしながら、ワーキングでの協議を思い出していたのですけれども、精神障害のある方々で生活保護の方、要保護者が多いということは、私もPSWですのでよく把握していますし、それはワーキングの中でもしきりに出ている話です。
一方で、科目名が印象に残るということはあるかもしれませんが、科目名しか記憶に残っていないのでは現場では使えないわけで、例えば生活保護の実践や、精神障害のある方にとって生活保護制度をどのように活用していったらいいのか、生活保護のケースワーカーとどう連携したり、交渉したりする必要があるかということが、現実には必要な知識であり、技術です。
そのことを、今までの低所得者と生活保護制度という制度を学ぶ科目で教育できたのだろうかということが、議論のスタートだったと思います。
これは制度論全部に言えることでしたが、今回のカリキュラム案は、限られた時間の中で精神保健福祉士が出会うであろう場面や状況の中で、特に必要な制度を精神障害者の支援に重ね合わせて学ぶように、科目構成を変えたところがあります。
ですので、実際には、精神保健福祉の原理や精神保健福祉制度論などの中、それと精神保健福祉の専門科目のほうのソーシャルワーク演習などで、被保護者・要保護者の方あるいは貧困の方々に対してどのように支援していく必要があるか、ということについてしっかり学べるよう、むしろ複数の科目でたびたび繰り返し学ぶことにしたのだと思います。
生活保護の1科目で、30時間の科目で学ぶけれども、ほかで余り出てこないということだと、学生にとっては一人の教員からしか教わりませんが、改正案のように複数の科目の中で、まず、「社会保障」で、生活保護制度は社会保障制度の一つとして学び、その上で精神保健福祉の専門科目の中でたびたび生活保護の話が多角的に出てくることによって、生活保護は、実は精神保健福祉にとってすごく密接なものなのだと、教育の中でより厚く伝えられるのではないかという判断だったと思います。
科目が見えなくなってしまったこと、今回のパブコメが科目名しか出ていないので、あれではやはりわからないだろうと私も思いますし、それだけを見たら反対するなと私も思いますが、検討会の議事録や資料も見返し、これまでの議論を思い出していただきたいと思います。そして、カリキュラムだけが人を育てるわけではなくて、教え方がすごく大事になってくるし、そのための教材をどうつくるかということも大事です。国家試験の出題でも、そのことを認識した上で作問していただくというような幅広い対応が求められるのではないかと思います。
柏木構成員の資料にもありましたが、日本精神保健福祉士協会が生活保護ケースワーカーと連携した研修などを実施してきているというのは、やはり密接に関係しているテーマだからということだと思います。
一科目立てるほうがいいのかどうかということは、その科目をつくると他の複数の科目で生活保護や貧困を入れているところが、すごく重複することになると思います。ワーキングで重複をにらみながらつくってきた立場としては、その他の科目の再検討をどうするのかも気になるところです。今回のカリキュラム案の考え方に関しては、検討会の中では合意事項だと私は思っていたので、そこに関してほかの構成員がどうお考えになるのか、お聞きしたところでもあります。
以上です。
○樋口座長 いかがでしょうか。
○中島構成員 ちょっと補足させていただくと、今、貧困がかなり大きな問題になってきているわけですね。1990年代から世帯収入がずっと下がり続けているわけです。しかも、共働きがふえている。高齢者の労働者の数もふえているにもかかわらず、収入はずっと下がり続けているという状況もあるので、何も生活保護だけに焦点を合わせてとは考えていないです。
ですので、前回のカリキュラムの中身まではちゃんと記憶していないのですけれども、テーマにあるように、貧困者に対する支援といったカテゴリーでいいのかなと考えています。
○樋口座長 そのあたりは、カリキュラムとしては一つの形がかなりでき上がっていて、今のように、あちらこちらで生活保護のことも取り上げてあるという中身を実際に見ていただくと、その中には反映されているということだけれども、そういう貧困に対するかかわり合いということについて、何らかの形できちんと表現されていることが必要なのだろうというのが、中島先生の御意見だと思います。
その形として何か加えられるかどうか、そのあたりを少し検討していただくことはできますか。あるいは現状では、この段階では非常に難しいでしょうか。
○田村構成員 そこはワーキングの立場でどう答えていいかわからないのですけれども、カリキュラム案についてワーキングで協議する時間は用意されていなかったと思います。
もう一つ、ワーキングから検討会に御報告したことを思い起こしていただくと、テーマ別の課題を科目立てしてしまうと、例えば、最近は災害時の支援も大きく取り上げられるようになって、その心のケアはどうなのかとか、虐待問題があるとか、課題は本当に多様化しているし、どんどんふえています。こうした課題が出るたびにそれを科目に立てるのは難しいということで、ワーキングの中ではせめぎ合いがありました。
貧困ということが今後にわたる非常に大きな課題であることはわかりますが、時代や社会状況に応じて生じる課題の一つ一つを科目名にすると、約10年に一度しか改正されないカリキュラムでどのように科目を立てるべきかを検討してきた方針との齟齬が出てしまうのではないかとも感じるところです。
○樋口座長 ありがとうございます。
そういう現状であることもちょっと考慮していただいて、あとどういう扱いにしていくかというのは、座長と事務局でまた話し合いをして、その上で御連絡させていただこうと思います。ありがとうございました。
それでは、そのほかのことで、事務局のほうから連絡がございましたらお願いいたします。
○高橋室長補佐 次回の開催につきまして御連絡さしあげます。
次回につきましては、2月28日金曜日の15時から17時まで、外になりますが、全国都市会館第1会議室において予定しております。追って事務局より御連絡させていただきます。
以上です。
○樋口座長 それでは、予定の時間を少しオーバーいたしましたが、これで本日の検討会は終了させていただきます。
本日はどうもありがとうございました。お疲れさまでした。