2019年1月10日 第34回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会 議事録

日時

平成31年1月10日(木)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)

議事

 

○田中課長補佐 ただいまから「第34回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」を開会いたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 なお、安達委員、井田委員、小幡委員は、本日所用により欠席の御連絡を頂いております。また、参考人として前回に引き続き、埼玉医科大学小児科教授で日本小児科学会小児慢性特定疾病委員会の大竹明先生に御出席いただいております。また、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事進行につきましては、五十嵐委員長にお願いいたします。

○五十嵐委員長 早速議事に入りたいと思います。お手元にコンピューターをお配りしていますが、その中に資料がありますので、事務局から確認をお願いしたいと思います。

○田中課長補佐 お手元の資料ですが、机上に座席表を配布しております。また、このコンピューターの中には001「議事次第」、002「委員名簿」、003「参考人名簿」を付けております。以降が本体資料として、資料1-1「前回(33)委員会の議論の整理」、資料1-2「小児慢性特定疾病(平成31年度実施分)の検討を行う疾病」、資料2「重症患者認定基準の変更について」、資料3-1「児童福祉法第6条の21項の規定に基づき厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病及び同条第2項の規定に基づき当該小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度の修正案のポイント」、資料3-2「疾患群、疾病名、疾病の状態の程度の変更について」、資料3-3「慢性消化器疾患の疾患区分の変更について」です。また、参考資料として「小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方について」を付けています。以上です。

 タブレットが開けない等の不備がありましたら、事務局までお申し付けください。

○五十嵐委員長 議題に入ります。今日は、疾病ごとの個別の検討を行いますので、前回の委員会の議論の整理について事務局から説明していただいて、その後に個別の検討に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○谷口課長補佐 参考資料1を御覧ください。これは前回の委員会のときにもお配りした資料の日付けを変えた変更のものになります。2枚目の資料で、平成31110日の34回が本日となっています。本日、御議論いただいた内容をパブリックコメントと、学会の意見聴取を経て、今後取りまとめというような以下の流れを検討しています。

 続いて、資料1を御覧ください。前回委員会の議論の整理をいたします。研究班や関係学会から情報提供のあった7疾病について、小児慢性特定疾病の要件に該当するかどうか、個別に検討を行っていただきました。その結果、資料1-27疾病ですが、1の中毒性表皮壊死症から、7の巨脳症一毛細血管奇形症候群まで、以下の7疾病について、本委員会として小児慢性特定疾病の要件を満たすと判断することが妥当と考えるものとされました。

 その他、主な指摘事項は以下のとおりです。1つ目は、「中毒性表皮壊死症に関してはスティーヴンス・ジョンソン症候群に含むのがよいのではないか」という御意見を頂きました。しかしながら、「レジストリ登録のことを考えると、分けて考えられるようにすることも必要ではないか」という御意見も頂いております。この御指摘事項に対する事務局からの対応案としては、疾病名としては「スティーヴンス・ジョンソン症候群(中毒性表皮壊死症を含む)」というようにさせていただき、レジストリ登録の元となる医療意見書の内容には、スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症を判別することができる項目を設けることとしたいと思っております。

 指摘事項の2つ目です。「MECP2重複症候群、武内・小崎症候群については遺伝学的検査をどこで行うことができるかを明示するのがいいのではないか」という御意見を頂いております。この御指摘事項に対する事務局からの対応案は、小児慢性特定疾病情報センターのホームページに、両疾病の遺伝学的検査について相談できる窓口を記載することで対応させていただこうと思っております。なお、両疾病とも遺伝学的検査を用いなくても診断ができる基準の作成が可能と研究者の先生方より回答を得ております。以上、報告させていただきました。

○五十嵐委員長 結局、17の疾患の中で2つの疾患について、一部変更あるいは御指摘を頂いて、対応するという御返事を頂いたことになります。

 

 それでは、17の疾病について、何か御質問、御意見等はいかがでしょうか。前回は、基本的には17について、小児慢性特定疾病として追加することは妥当であるというように、基本的には御理解いただいております。今日の事務局から今後の対応について2点ありましたが、これも含めて何か御質問、御意見がありましたら頂きたいと思います。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

 特にないですね。では、17の疾患につきましては、基本的には小児慢性特定疾病として追加することは認める上で、まず1番については現行の疾病の対象の範囲を拡大して含めるというように変更する、27については新規の小児慢性特定疾病とまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 では、そのようにこの委員会で御了解いただきましたので、これらについては小児慢性特定疾病として追加するということで、事務局においては必要な手続きを今後進めていただきたいと思います。そのほかに御意見、御質問等はよろしいですか。

 では、議題2に入ります。(重症患者認定基準)の修正案の検討について事務局から御説明をお願いいたします。

○谷口課長補佐 資料2「重症患者認定基準の変更について」を御覧ください。現在の小児慢性特定疾病重症患者認定基準というものがありまして、この重症患者認定基準を満たす患者に関しては、自己負担の上限額が一般の患者よりも少し低くなります。その中で、疾患群ごとの治療状況等の状態を勘案して重症患者認定基準が設けられているのが、この表になっております。

 この表の中で文字を太くして下線を加えている「先天性代謝異常」「神経・筋疾患」「慢性消化器疾患」「皮膚疾患」の4項目について、小児科学会より変更の要望がありましたので、その変更について御検討いただければと思っております。

 具体的には、2「疾患群ごとの重症患者認定基準(治療状況等の状態)変更案」という所になります。1つ目が、先天代謝異常に関してです。現在は「知能指数が20以下であるもの又は1歳以上の児童において寝たきりのもの」となっているのですが、ほかの疾患群(神経・筋疾患、皮膚疾患)との並びを取り、知能指数検査ができない患者について発達指数検査によっても評価ができるように修正し、「発達指数若しくは知能指数が20以下であるもの又は1歳以上の児童において寝たきりのもの」というように修正案として提出させていただきます。

 もう一点が、神経・筋疾患及び皮膚疾患に関して、現在は「発達・知能指数が20以下であるもの又は1歳以上の児童において寝たきりのもの」となっておりますが、この「・」では記載内容が余り明確ではありませんので、記載内容を明確化するというところで、「発達指数若しくは知能指数が20以下であるもの又は1歳以上の児童において寝たきりのもの」というように修正することを提案させていただきます。

 最後になりますが、「慢性消化器疾患」に関してです。現在は「気管切開管理又は挿管を行っているもの」となっているのですが、これは「慢性消化器疾患において疾病群の特性に合わせた、より適切な治療状況等の状態となるように修正が必要ではないか」という御要望を頂いております。この御要望を受けまして、「気管切開管理若しくは挿管を行っているもの、3か月以上常時中心静脈栄養を必要としているもの又は肝不全状態にあるもの」を重症患者認定基準とさせていただく案を提出いたします。

○五十嵐委員長 資料の2番目の神経・筋疾患及び皮膚疾患の変更も、小児科学会からの要望ですか。

○谷口課長補佐 これに関しては、小児科学会からの要望ではなく、事務局で明確化するという形で提出させていただいております。

○五十嵐委員長 大竹先生、何か追加等はございますか。

○大竹参考人 今の段階では、特にございません。

○五十嵐委員長 それでは、ただいまの御説明に関して、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。

○岡委員 特に意見というわけではなくて、確かに知能検査が実際に実施できない方の場合に、現実的には発達指数で代替しておりますので、現状に合わせた修正ということで、最初の2つの○に関してはよろしいかなと思います。3番目の消化器疾患は、私が小児科学会の委員会の委員をしていたときから、そもそも何で消化器疾患の重症度が気管切開と挿管だけなのだろうかということを、多分決めるときにほかと横並びという形で決められたのだと思いますが、むしろ今回の御提案のほうが現実に即した医療的なニーズに応えているかなと思います。以上です。

○五十嵐委員長 「肝不全状態にあるもの」の定義を簡単に理解できますか。何か基準のようなものはあるのでしょうか。尾花先生いかがでしょうか。

○尾花委員 肝不全状態にある者というのは、逆にすごく難しい気がいたします。常時中心静脈栄養を必要としているので、それに伴うアインハルト(AIH)と言われる経腸静脈栄養関連の肝不全ということを念頭に置かれたものだと思うのですが、肝不全の診断が紙で分かるかと言われると非常に難しいということが1点ございます。

 それと、「常時中心静脈栄養を必要としているもの」とありますが、例えば小児慢性疾患の中の短腸症の場合、短腸症の小慢の基準として、腸の長さが75cmということが規定されていたと思うのですが、75cm以上あっても常時中心静脈栄養を必要としていて小慢の適応にならないお子さん方もいるので。もちろん、これは重症であることは間違いないので、小慢の適応で、これを重症にしていただけるのはすごく有り難いと思いますが、そこだけだと疾患が非常にばらつきがありますので、もう少しレスキューできる方法があればいいかなということが1点です。

 それと、経管栄養なり、あるいは減圧管理、特にヒルシュスプリング疾類縁疾患などで減圧管理が必要な方の場合、管を使って減圧しているとか、そういったものに関しても非常に重症というか、手が掛かることは確かですので、その辺りも排泄管理に関しての考慮を頂ければ有り難いと思います挿管管理以外のことを追加していただいたのは非常に有り難いと思っております。

○五十嵐委員長 そうすると、これは先生から具体的に文言として御提案いただけると、いいのですが。

○尾花委員 例えば肝不全ということでしたら、黄疸を伴うとか、何か症状とかデータとかはいかがでしょうか。データというのはなかなか難しいと思うのですが。

○谷口課長補佐 この肝不全状態にある者に関しまして、小児消化器学会、小児外科学会、小児科学会のほうに、この基準をどのようにするのが適当かということで問合せをいたしまして、この告示の変更に関しては、「肝不全状態にあるもの」というようにしながらも、通知やQ&Aという形で、どういうものが肝不全状態にあるものであるかを発出することを考えております。

 具体的には、小児科学会、小児消化器学会、小児外科学会から御提案いただいているものに関しては、「高度な肝機能異常に基づいてプロトロンビン時間活性値が40%以下、又はプロトロンビン時間国際標準比PT-INR1.5以上を示すものが、肝不全状態として適当なのではないか」という御意見を頂いております。

○五十嵐委員長 肝不全についてはある程度はいいのかもしれませんが、ヒルシュの減圧等は、この記載では含まれません。それについても加えたほうがいいということになりますと、どうしたらいいですか。何か特別な文言としてありますか。

○尾花委員 今回は経管栄養ですとか排泄管理ということは上がってこなかったということでしょうか。

○谷口課長補佐 今回に関しては、小児科学会、小児消化器学会、小児外科学会と事務局で相談させていただきまして、御要望としては、ここにあるものという形が重症患者認定基準として適当なのではないかということで御提案いただいております。

○大竹参考人 少しよろしいですか。

○五十嵐委員長 どうぞ。

○大竹参考人 栄養消化器の担当委員であるクボタ委員とも少しお話させていただいたのですが、肝不全は、先ほど劇症肝炎の米山分類に基づいて、PT40%というのが一番分かりやすいだろうということが1つです。

 あとはIVH、これも3か月というのを何を基準に作ったかというのは、誰も説明ができないのですが、IVHを継続して、持続して3か月というと、やはりこれは非常に分かりやすい基準になるのではないかと。そのほか、非常に細かい重症度をいっぱい持っている方はいらっしゃるのですが、なかなか統一した基準が作りにくいので、IVH3か月で何とかまとめられないかなというところで発議をしたとおっしゃっていました。

○五十嵐委員長 尾花先生いかがですか、よろしいですか。

○尾花委員 せっかく変えていただくのであれば見直しをしてと思います。重症の消化器疾患の研究班があると思いますので、そちらのほうのヒルシュスプリング病類縁疾患の担当とも相談させていただいて、分かりやすくてできるものがあれば探させていただいてということでよろしいでしょうか。

○田中課長補佐 では、先生のほうでお調べいただいて、案を頂き、皆様に。先ほどの予定を確認いただいたと思うのですが、今回、できれば取りまとめをお願いしたいということがありますので、申し訳ないのですがメールベースで皆様に御確認させていただくということでよろしいでしょうか。まず、内容について先生のほうから御提案いただきまして、五十嵐先生と相談させていただいた上で、委員の皆様にメールで御確認いただくということでよろしいですか。

○石川委員 この重症患者認定ですが、これも県とか、それぞれの審査会で認定するわけですよね。そうすると、大体4人から5人の先生方で、分かりやすい基準でないと難しいと思うのです。特に、大人の肝不全というのは結構あるのですが、子供の肝不全というのはなかなかないので、ういう点で余り難しい文言が並んでしまうと、先生方がまず判別できないということがあると思います。

 一般的には、私は大人なども診ていたりしたこともあって、肝不全というと、先ほどの黄疸とか、いわゆる非代償性肝硬変の症状が出てきたときのことを言うわけです。そうすると、そういう症状などでいって、かつプロトロンビンのPTの話が数値的に出てくると非常に分かりやすいので、そういうことで基準を作っていただいたほうがいいのではないかなと思います。重症患者のところでは私も審査員をやっていて大変迷ったことがありますので、よろしくお願いしたいと思います。

○五十嵐委員長 そうすると、肝不全状態に関する説明の文章がどこかに入るという事で理解してよろしいのですか。

○谷口課長補佐 そのとおりです。告示には入らないのですが、Q&Aとして自治体にさせていただく予定としております。

○五十嵐委員長 では、尾花先生から御提案いただく点が1つあります。今後1週間ぐらいの間に事務局に提案していただいて、それを委員の先生方で共有した後に私と事務局で相談して、最終的な案として出したいと思います。基本的には、もしほかに特別な御意見がなければ、今日の修正案をお認めいただいてよろしいでしょうか。

○春名委員 大人の障害認定の類推での素朴な疑問なのですが、消化器系の所で中心静脈栄養のものが入ったのは障害認定もそうですので妥当だと思いますが、そうしますと例えば慢性呼吸器系疾患のところで、酸素療法の該当のものは含まれなくていいのかとか、心疾患のところに例えば人工弁だとかペースメーカーというのはないのかとか、腎疾患のところは透析だけでいいのか、透析に至らないものでも生活上の負担が結構大きな方もいらっしゃるので、そこはどうなのかとか、そういう疑問がありますので、そこは少し指摘しておきたいと思います。

○五十嵐委員長 これは御指摘ですね。特に大きな修正をしたほうがいいということではありませんね。

○春名委員 消化器系疾患のところで、中心静脈栄養の場合が必要だと、後から加わったので、それでしたら他のところも、もしかしたらあるかもしれないと思いましたので、検討が必要だったらということです。

○五十嵐委員長 各疾患についてはあらかじめ小児科学会に問合せをして、御要望を聞いているはずです。

○田中課長補佐 御指摘いただいた点ではありますが、こちらの小慢の重症度については、必ずしも障害と並びになっているものではありません。一部、障害に入っているけれども、こちらに入っていないものがある一方で、こちらに入っているけれども、障害では認められていない基準というのがありまして、それぞれの疾患によって障害の等級に少し幅があるという現状です。

 一方で、障害に合わせる必要というのは事務局では考えてはおりません。障害のほうであれば障害の手帳は取れると。一方で小慢のほうは、各疾病の治療状況をよく勘案して、このような重症度を作っていると整理させていただきたいと。ただ、あくまでも小慢である一定の助成を受けている方に、更なる助成ということで、ある程度の重症な患者を対象とするということで、皆様のこの場で、ほかの領域と見て横並びでどうかというところかなと思っております。

○五十嵐委員長 そのほかにいかがでしょうか。

○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。専門でないのに申し上げていいのか分からないのですが、先ほどの慢性消化器疾患について、例えば膵炎や、尾花先生から御指摘いただいたヒルシュのような重症の方を捕捉できるような基準といったものはないのでしょうか。膵炎もかなり食事の制限が厳しかったり、痛みが非常に激しい方もいたりしますので、そういった重症の方を拾っていただけるような形があるのであれば、御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○尾花委員 具体的には、例えば膵炎の方の特殊な栄養管理が必要とか、そういったことになりますでしょうか。

○福島委員 個別に詳しくは聞いていないのですが、例えば中心静脈栄養ということで重症の方を拾えるということであればそれで構わないのですが、そうでない方がもしいらっしゃるのであれば、何か別の基準というか、そういうものがあるのであれば、御教示いただきたいなと思ったのですが。

○賀藤委員 多分、混乱しているのではないかと思うのですが、疾患の重症度と日常生活の質の低下と、そこの辺りは分けて考えないと駄目なのだろうと思います。今は、前回の委員会でも申し上げたように、現状としては障害という形での重症な疾患の基準にはなっていないので、ちょっと齟齬が出ているのです。そういう疑問が出るのです。そうだと思っています。

 ですので、横串の私の研究班で、そこは今は混乱しているので、重症度とは別に日常生活への支障が出ているほうが患者としては大変なので、いわゆるアドオンで医療的にケアしていけば何とか日常生活は普通にやっていかれる。例えば人工弁だとすると薬を飲んでいれば普通の日常生活はできますし、ペースメーカーをやっていれば日常生活はできるのです、ほとんどの人は。すると、障害はまた別だろうと。そこら辺はうまく切り分けていかないと、今の議論と、すごく日常生活に支障が出るのと区別をして考えていかないと混乱してくるのかなと思うのです。今回は、ここで議論しているのは疾患の重症度です。重症度と、治療の結果における生活の質の低下というのは、また別だと思うので、そこら辺を今、私のほうで整合性を含めて検討させていただいているので、議論はもう少し続くのかなと思っています。

○五十嵐委員長 では、膵炎のことも調べていただきたいという御要望がありました。尾花先生、検討して戴き、提案していただけますか。

○尾花委員 分かりました。今、賀藤先生がおっしゃったように、膵炎の場合は確かに治療を反復するのですが、常時何かをしなければいけないというような治療法ではなくて、重症になったり入退院を繰り返したりというようなことで非常に生活の質が落ちるということではないかと思うのですが、この中心静脈栄養ですとか、あるいは気管切開の管理、呼吸器管理というのは、常時何か必要だというようなことを重症認定としているという認識でいくと、その辺りをどうするかというのは相談してみたいとは思います。

○五十嵐委員長 では、検討していただいた上で、1週間程度で御提案いただきたいと思います。そのほかはいかがでしょうか。

○石川委員 この重症患者認定の話ですが、基本的には資料2の最初に書いてあるように、基準の目的というか、これをやる目的というのが、「治療の内容に照らして、療養に係る負担が特に重いもの」と書いてあるのです。これは、先ほど少し出てきましたが、単に重症度の問題だけではないのです。生活の問題と、私が一番最初に聞いたのは、患者が窓口負担がないので、病院の中で感染などが非常に敏感な場合にも、いちいち病院の中を通ることはなくてとか、そのようなことを聞いたこともあります。

 ですから、高額で非常に経済的な負担が掛かるというところのレスキューと、様々なQOLの問題とか日常の生活の問題があると思うのです。そうするならば、今ここで今様にこのことを考えてみると、実は重症患者認定を持った患者というのは、必ずしも病院に来なくても、在宅でできるような方向で、この基準が少しそちらのほうに振れるといいのではないかと思ったことがあったのです。

 というのは、結構大きな子供もいて、お母さんは大変な思いをして病院に連れて来る方もいるのですが、そういう点では、今は小児の在宅医療が非常にいろいろなところで普及してきている状況を見ると、病院に来なくても、重症患者認定のところで在宅でも少し助成できるような形だとか、そういう条件も少しこの中に盛ると、もう少しよくなるのではないかと思ったので、そういうことも検討していただきたいと思うのですけれども。

○賀藤委員 石川先生がおっしゃったことはそのとおりで、そういうこともできないかと。この重症度の基準というのは、先生がおっしゃったとおりで、疾患の重症度と生活の質への支障というのが概念として混在しているので、実際に困っているのは生活の質の低下なのだろうと思うのです。

 そこをレスキューしてあげないと、患者の家族へはどうかなと思うことがあって、今そこを整理して、先生がおっしゃった方向で、いわゆる生活の質への障害が一番大事なので、そこを少し、この重症度に反映できないかということで、今、私のほうの横串の研究班で検討させていただいておりますので、もう少しお時間を頂ければと思います。

○五十嵐委員長 いろいろと御指摘ありがとうございます。ほかはよろしいですか。今回には間に合わない点も幾つかあるとは思いますが、引き続き、今日御指摘いただいた点は、十分に検討する価値があると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 では基本的に、この重症患者認定基準の修正案については、この委員会としてお認めしてよろしいでしょうか。一部、修正を再確認して、最終案は来週以降に御提示させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○五十嵐委員長 ありがとうございました。事務局は必要な手続きをよろしくお願いします。

 続いて、議題3の小児慢性特定疾病及び疾病の状態の程度の修正案の検討について、事務局から説明をお願いします。

○谷口課長補佐 事務局より説明させていただきます。まず資料3-1を御覧ください。今回の修正案のポイントをまとめています。具体的には、遺伝性出血性末梢血管拡張症、カサバッハ・メリット症候群、スティーヴンス・ジョンソン症侯群、重症筋無力症の4疾患と慢性消化器疾患群に関して、変更の要望がありましたので、それらの変更を検討しています。

 具体的な内容は、資料3-2を御覧ください。疾患群、疾病名、疾病の状態の程度の変更について記載しています。もともとは黒字で書いてあるものになるのですけれども、赤字で修正してあるものに変更の要望という形になります。1つ目が、遺伝性出血性末梢血管拡張症に関して、現在は血液疾患群に分類されているのですが、これに関して、「脈管系疾患群のほうが適当ではないか」という御意見を頂いています。そのため、疾患群の移動を行うとともに、疾病の状態の程度、今は血液疾患群の中で並びを取る形にしているのですけれども、脈管系疾患群の中で並びを取るような形にして、疾病による症状がある場合、又は治療が必要な場合というような変更をするのが案となっています。

 2つ目の疾患が、カサバッハ・メリット症候群。これに関しても、先ほどの疾患と同様で、今は血液疾患群に分類されているのですが、「脈管系疾患群のほうが適当ではないか」という御意見を頂いていますので、疾患群の移動と、併せて疾病の状態の程度の移動を考えています。また、カサバッハ・メリット症候群に関して、学会より、今はカサバッハ・メリット現象という呼び名が世界的にも一般的という形で名称の変更の要望も頂いています。

 続きまして、スティーヴンス・ジョンソン症侯群です。これに関しては、先ほどお認めいただいたように、スティーヴンス・ジョンソン症侯群(中毒性表皮壊死症を含む)という形の名称の変更をさせていただくとともに、今は膠原病の疾患群に分類されているのですが、これは皮膚に症状を起こすことが多く、「皮膚疾患群のほうが適当」というように学会から御意見を頂いています。そのため疾患群の移動を行うとともに、併せて疾患群内での疾病の状態の程度の並びを取り、治療を必要とする場合を基準という形にさせていただきたいと思っています。

 最後に重症筋無力症ですが、今、神経筋疾患群の中で疾病の状態の程度の並びを取るように、この黒字で書いてある疾病の状態の程度というようにしています。この中で眼筋型の重症筋無力症に関しては、今現在は運動障害というところで障害の程度を読み込むことができるのですけれども、なかなか眼筋症状だけではそこが分かりにくいところもあるというような御意見を頂いていまして、眼筋症状というものを運動障害の外に出すという形で修正させていただくことを考えています。

 資料3-3を御覧ください。少し文字が小さくて申し訳ありませんが、今現在、慢性消化器疾患の各疾病に関して、大分類という形で少し分類をしているのですが、これに関して小児消化器学会、小児外科学会から、今、この基準に関しては少し現状に則してない部分もあるという形で御意見を頂きました。一番左の欄にあります赤字の所が変更になるのですけれども、この赤字のように変更ということを考えています。以上、事務局から説明させていただきました。

○五十嵐委員長 御説明ありがとうございました。これから幾つかの変更を加えたいということですけれども、何か御意見、御質問等、いかがでしょうか。

○小国副委員長 鎌倉女子大学の小国です。重症筋無力症の所ですけれども、疾患の状態の程度に羅列してある症状について少し違和感を感じます。羅列してある症状が、重症筋無力症自体の症状と、かなりかけ離れているようにも感じました。他の疾患を見ますと、すっきりとした書き方になっているので、もう少し重症筋無力症の症状としての特性に絞るべきではないだろうかと思いました。例えば、眼筋症状、運動症状、呼吸器症状などのうち1つ以上の症状であるなど、あるいはその前の所に書いてあるような治療による症状がある場合、又は治療が必要な場合とするなど、何か工夫、検討が必要なのではないだろうかと感じましたので、意見させていただきました。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。大竹先生、これについて何か小児学会で御指摘がありましたか。

○大竹参考人 特にそういう他の疾患との並びで、もう少し分かりやすくまとめた表現でということは、ちょっと意見は出なかったのですけれども。

○坂上委員 読売新聞の坂上です。「症状の状態の程度」について言いますと、ほかの病気を見ますと、「疾病名に該当する場合」などと簡潔に説明されているものもあります。

一方、重症筋無力症は細かく説明されており、例外的な感じがしました。「症状の状態の程度」の説明については、統一的な表現にすることも考えた方がいいのかなと個人的には思いました。

○田中課長補佐 事務局から説明させていただきます。この小児慢性特定疾病の中、先ほど疾患群の移動の話もありましたが、神経筋疾患群では多くの病気がこの書き方になっています。その中でも、特段これではなかなか読めないような特別なものについては、例えば先天性ミオパチーなどは、強心薬や利尿薬などの使用があるということで、疾病の状態の程度としては運動障害が続く場合、又は治療として強心薬、利尿薬、抗不整脈薬等を使うといった記載になっております。基本的には、かなり重症筋無力症にフォーカスを当てたものではないのですが、多くの神経筋疾患についてはこの基準を用いているという整理をさせていただいているところです。かなり700を超える病気がありまして、11つの病気に症状の程度が付いてくると、なかなか現場の先生方も混乱されるということは考えられるので、ある程度、今、疾患群の中で寄せてきているということを御理解いただければと思います。

○小国副委員長 ただ、例えば、痙攣発作や行動異常、自傷行為、又は多動というのはあることはあっても、まれですし、ほかの病気の場合には、同様なことがあっても書かれていません。疾患の症状が拡大しすぎているのではないだろうかと、違和感を感じます。せっかく今回クローズアップして出てきた病気ですので、こういう機会に検討したほうがよろしいのではないかなと思いました。

○五十嵐委員長 疾患の特性を踏まえた基準ができれば、一番いいわけですよね。ただ、数が非常に多いということがあるので、骨格になるようなものをまずアプライして、その中で今回は、特にこの重症筋無力症の場合に、眼筋型の方の症状がこれでは読み取れない可能性がある。運動障害というのは、ある意味、読み取れるのかもしれませんけれども。より具体的に眼筋症状というものを加えることで、この疾患を診断する上で役に立つように一部の変更があったということだと思います。

 今、小国先生がおっしゃったことは、非常に重要なことなのですけれども、もしこれをやるとすると相当な時間を掛けて、学会と一緒にやらなければいけないですね。大竹先生、小児学会の中では、今、小国先生がおっしゃったような御指摘というのは、今まではなかったわけですか。

○大竹参考人 出ております。例えば先天代謝異常などは、一番病名としては多いわけですけれども、あの辺は一個一個に作っていくとどうしようもないので全体を統一して、こういう簡単な基準になっているわけです。神経は実は、その中間と言うか正直に申しまして、神経の先生一人一人が、かなり自意識の強い方が多いので、自意識と言うと非常に失礼な言い方になりますけれども。また私はこの病気の専門、この病気だったらこういうものが必要というように、それでもって結構、個別にこういう基準ができてしまっているのです。将来的には、何とか分かりやすく統一していきたいという話は出ています。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。分かりました。そうすると、コンセンサスをえるには相当時間が掛かりそうです。今回の改訂には間に合いそうにありません。小国先生、重症筋無力症に関して今回は一部の修正ということでよろしいでしょうか。

○小国副委員長 はい。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。

○石川委員 別のことでよろしいですか。カサバッハ・メリットということなのですけれども、現象というようなことで、上の項目では「疾病名」の所になりますよね。疾病名で「現象」というのは、お聞きしたいのですけれども、あり得ますかね。診断学の世界では、ちょっとないのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。

○大竹参考人 私も実は学問的なことはよく分からないのですけれども、ただ国際的にこのフェノミナンという言葉を使っていることは確かなのですね。それで悉皆としては、疾病名自体も国際的な分類でも、症候群を外して現象というようになっていて、ちょっと考えますと二次的なものも全て含んでしまって、なかなか診断が難しくなってしまうのではないかと思うのですが、現状としては、致し方がないというところなのですけれども。

○石川委員 反論ですが。これはカサバッハ・メリットというのは、特殊な状況で血小板減少が起こるというのが病態なのです。その特殊な状態というのは、そういう血管腫があるなどというようなことなので、これは症候群で全然問題はないのではないかと。ほかは症候群で許されているので、日本語的には、今までずっとこういうものを使ってきて、いろいろ判定してきたものとして、ここでいきなり現象と言うと、例えばレイノー現象と言うのは確かにいろいろな病気で起こってくるなど、そういうことになりますよね。だから症状名だけで、ここの疾病の所をやると余計に分かりにくくなってしまうと思うのですけれども。本当に、これがもし現象で使い始めますと、これは初めてだと僕は思うのですけれども、それでいいのかということですよね。

○賀藤委員 日本語は決まっているのですか。カサバッハ・メリット・フェノミナンというのは、確かにある。もうそのように分類されて。

○大竹参考人 フェノミナンはもう出てきています。

○賀藤委員 それを日本語にどう訳すか。

○大竹参考人 フェノミナンでも症候群と訳すのは、ちょっと厳しいかなというところがありますので。石川先生がおっしゃるように、概念としては、かなりしっかりとしたものがありますので、診断としてはそれほど困難は生じないのではないかと。その概念に基づくと、かなり重症な症状を来たす概念でもありますので、国際的な名前を使って「現象」で統一させていただければと提案させていただいたわけですけれども。歯切れが悪くて申し訳ありません。

○田中課長補佐 1点、事務局から確認させていただきます。この疾病名の案ですが、日本医学会の用語であるなど、そういったものへの対応は小児科学会としては、今現在、進行中という認識でよろしいでしょうか。

○大竹参考人 これはもう、医学界の用語は、変わったはずなのです。私は今、確認しきれていませんけれども、変わったということでもって、このように変えると私は聞いています。

○石川委員 いや僕は、内科などから怒られてしまうのではないかなと思っているのです、これは小児科でこのように使ってしまうと。確かに厚労省でこうやるという御墨付きが出てきてしまうので、大変なことになるのではないかなとちょっと心配したことです。

○五十嵐委員長 確かにそういう嫌いもあると思うのですが、カサバッハ・メリット現象と言ったとしても、疾患外来が大きく変わるわけではないですよね。極めて限定的な、しっかりとした実体がある疾患を指しているということに違いないと思いますので。確かに、違和感は感じるというのは、この変更で生じる可能性は非常にあるとは思います。どうですかね、国際的な命名がそのようになっているとするならば、仕方がないと言えば仕方がないのではないかと思うのですが、石川先生、よろしいですか。

○石川委員 私は臨床医ですので、どちらでも構わないのですけれども。本当に小児科学会で、そのようにしてしまうと、内科学会など、ほかの診断学を非常に重要視しているところで、またいろいろとガチャガチャと出てくるのではないかなという心配があるのではないかと思います。

○五十嵐委員長 括弧して症候群を残して置くなどの対応の仕方があるのかもしれません。そういう懸念があるのでしたら、括弧して症候群を残しておきますか。

○田中課長補佐 それは大丈夫だと思います。やはり、現象と言うとかなり広く捉えられてしまうということがあります。小児慢性特定疾病の小慢自体が、ちゃんと疾患を対象としているものなので、そういう誤解を招かないようなほうが我々としては有り難い部分があるのですが、一方でやはり皆様に病名を出していただく際にも、国際的な病名であるなど、日本医学会の用語との齟齬がないようにということをお願いをしているところですので、先生の御指摘を踏まえて、(症候群)という形で、学会としてはいかがでしょうか。

○五十嵐委員長 別に間違いではないですよね、では今回は、そういう御指摘、あるいは懸念もあるので、現象(症候群)とするのはいかがでしょうか。それで、よろしいですか。

(異議なし)

○五十嵐委員長 では、そのような変更にしたいと思います。基本的にはこの修正案については、今の御指摘を踏まえた上でお認めするということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○五十嵐委員長 ありがとうございます。そのようにしたいと思います。では事務局は今後、必要な手続を始めていただきたいと思います。

 それでは、全体を通して何か御意見はございますか。本日はいろいろ御指摘もありました。将来、この事業に対する見直しだけでなく、病名や症状の程度の書きぶりについても検討が必要ではないかという重要な御意見も頂きました。引き続き、検討をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、今後の予定について事務局から御説明をお願いします。

○田中課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。本日、御議論いただいた内容について、もう一度、復習をさせていただきたいと思います。まず、御指摘がありました重症患者認定基準の修正に関しては、特に減圧等の消化管の部分について、尾花委員から研究班に確認をし、御意見を頂き、それについて委員長と相談の上、皆様方に御意見を頂くメールさせていただくということでよろしいでしょうか。また、それ以外の御意見を頂きました膵炎等については、賀藤先生に行っていただいている研究班との議論を踏まえて、今後そういったものについての議論をするということでよろしいでしょうか。

 それ以外については、お認めいただいたということ。先ほど、最後にありましたカサバッハ・メリットについては、括孤して症候群として記載をすることでお認めいただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では皆様に御意見を頂く部分を、最終的に確認した後、準備が整い次第、パブリックコメント及び関係学会への意見聴取を行わせていただきたいと思います。パブリックコメント等の結果については、次回の委員会で御報告をさせていただきます。次回の日程については、決定次第、御案内を申し上げます。事務局からは以上となります。

○五十嵐委員長 それでは今日の会議は、これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。