令和元年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録

日時

令和元年10月29日(火)10:30~

場所

田中田村町ビル8E会議室

議事

 
○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、これより令和元年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を始めます。先生方におかれましては、ご多忙なところ、しかも午前中の慌ただしい中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の調査会は御案内のとおり公開で行っております。カメラ撮りに関しましては、議事に入る前までとさせていただいております。傍聴の方におかれましては、御理解と御協力のほどをよろしくお願いいたします。また、あらかじめお伝えしておりますが、留意事項がございますので、こちらの遵守もよろしくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況について報告いたします。調査会の先生方は6名でございますが、本日は柿崎委員よりあらかじめ欠席との御連絡を頂いておりますので、6名中5名の先生方に御出席いただいております。したがって、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議が成立しておりますことを報告いたします。
 続きまして、本日は議題の関係で参考人の先生方にお越しいただいておりますので、紹介いたします。まず、議題1「要指導医薬品のリスク評価について」の関係ということで、京都第二赤十字病院の出島健司先生です。
○出島参考人 よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 次に、報告事項の議題3「抗インフルエンザウイルス薬の安全性について」の関係で4名の先生にお越しいただいております。まず、福岡看護大学の岡田賢司先生です。
○岡田参考人 岡田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 川崎市健康安全研究所の岡部信彦先生です。
○岡部参考人 岡部です。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 東京大学大学院医学系研究科の水口雅先生です。
○水口参考人 水口でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 自治医科大学名誉教授で両毛整肢療護園の桃井眞里子先生です。
○桃井参考人 よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 これより議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いします。
 それでは、以後の進行を五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 初めに、審議参加に関する遵守事項について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議事参加について御報告いたします。本日は議事の関係で、議題2を最後に持っていきたいと思いますので、議題2に関してはその前に御報告いたします。
 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業につきましては、事前にリストを各委員にお送りして御確認を頂いております。出島参考人より、サノフィ株式会社より50万円以下の受取を申告いただいたほかは、受取の申告がありませんでした。なお、その他の委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、参考人におきましても意見を述べることができます。これらの申告についてはホームページで公表させていただきます。
 続いて、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。
 委員の皆様には、開催の都度お手数をお掛けしておりますが、引き続き御協力、御理解をよろしくお願いいたします。審議参加に関する遵守事項についての御説明並びに薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果は以上です。
○五十嵐座長 ただいまの御説明に関して、何か御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含め、御了解いただいたとしたいと思います。
 では、今日の資料の確認を事務局からお願いいたします。
○事務局 事務局より本日の資料について御説明いたします。厚生労働省では業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本調査会も資料はタブレットで閲覧する方式で実施いたします。各委員、参考人におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。まず初めに、タブレット端末の操作方法について説明いたします。お手元にはタブレットと操作説明書を配布しております。いずれも調査会終了後は事務局にて回収いたします。
 それでは、タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されましたら、再度ホームボタンを押してロックを解除してください。するとホーム画面が表示されますことを御確認ください。続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップして、資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際は、各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際は、指を画面上でスライドさせてください。資料を切り替える際は、画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで、資料一覧のページに戻ることができます。
 その他の操作方法については操作説明書に記載しておりますので、各位御参照ください。なお、一定時間操作しておりませんと画面がスリープ状態になるように設定しております。スリープ状態になりましたら、再度起動の操作をしていただくようお願いいたします。御不明な点等ございましたら事務局員までお申出ください。
 続きまして、資料の御説明をいたします。議事次第・資料一覧の2ページ目を御覧ください。本日の資料は、議題1について、資料1-1及び資料1-2。議題2について、資料2-1から資料2-3。議題3について、資料3-1から資料3-8及び参考資料3-1と参考資料3-2。議題4について、資料4-1及び資料4-2となっております。また委員、参考人一覧、競合品目・競合企業リストもありますので適宜御参照ください。不足資料がありましたら事務局員までお申出ください。以上です。
○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。何かありますか。よろしいですか。それでは今日の進め方ですが、審議事項が2つ、それから報告事項が2つあります。こちらの都合で、審議事項1が終わりましたら報告事項に移って、そして最後に審議事項2を審議したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、審議事項1のロラタジンの審議をいたします。御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1の御説明をいたします。「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在要指導医薬品に指定されており、このたび製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
 初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について簡単に説明させていただきます。2ページを御覧ください。「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議はこの部会決定に基づいて実施していただくことになります。
 背景から順に説明いたします。平成25年の旧薬事法改正により、適正使用のために薬剤師による対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に「要指導医薬品」という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。
 2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了まで行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認いただくこととなります。この確認については3.に記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくことにしています。
 要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを説明いたします。4ページを御覧ください。企業は販売開始後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また製造販売後2年以降を経過し、特別調査の目標症例数、内服薬で3,000例、外用薬で1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、4ページ目中ほどの①第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。以上です。
○五十嵐座長 事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 ロラタジンについて説明いたします。資料1-2を御覧ください。販売名はクラリチンEX、クラリチンEXOD錠です。効能・効果は、花粉、ハウスダストなどによる次の症状の緩和、鼻水、鼻づまり、くしゃみです。用法・用量は、成人1回1錠、1日1回食後、毎回同じ時間帯に服用します。
 製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配り、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数3,124症例で、副作用が69例、102件ありました。内訳は傾眠16件、口渇13件、倦怠感10件等でした。このうち、重篤と判断された症例は血便排泄1件でした。
 使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査は、報告された副作用は94例、147件でした。内訳は頭痛16件、口腔咽頭痛10件、咳嗽9件、鼻漏9件等でした。このうち、重篤と判断された症例は、難聴、アナフィラキシー反応、アナフィラキシーショック各1件でした。重篤と判断された症例については22ページ以降に詳細がありますので、適宜御参照ください。医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用はありませんでした。説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 本日は出島参考人においでいただいておりますので、御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○出島参考人 日本耳鼻咽喉科学会保険医療委員会からまいりました、出島でございます。今、御説明がありましたように、このロラタジンに関して、要指導医薬品から第1類医薬品への移行に関する安全性の調査を拝見いたしましたけれども、特に新しい副作用もなく、また移行に関して拒否事由に当たるようなリスクの高いものはないと考えていただくことに矛盾しないと思います。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。では、委員の先生方、何か御意見、御質問等はありますでしょうか。この薬はH1レセプターブロッカー第2世代のものですので、いろいろな副作用が少ないことで広く用いられている薬だと思います。よろしいですか。特に御意見がなかったようですので、議決を取ってもよろしいでしょうか。ロラタジンについては、一般用医薬品とすることでよろしいでしょうか。特に御異議がないようですのでそのようにしたいと思います。今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告いたします。
○五十嵐座長 この件につきまして、何か御意見、御質問等はよろしいでしょうか。では、出島参考人におかれましては、本日は京都からおいでいただきましてありがとうございました。これ以降の議題について特に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席いただいても構いません。
 それでは、報告事項議題3に移ります。資料3-1のインフルエンザ罹患に伴う異常行動研究(2018/2019シーズン報告)について、岡部参考人から御説明をお願いいたします。
○岡部参考人 川崎市の健康安全研究所の岡部です。どうぞよろしくお願いします。毎年ここで御報告をしているのですけれども、インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究ということで、今回は2018/2019シーズン、昨シーズンの報告というような形にさせていただきます。
 資料の3-1を御覧ください。右下にページ番号が振ってありますので、そのページ番号で紹介させていただきます。2ページ目がこの研究班の構成で、ここには当委員会委員の桃井先生がおいでになりますけれども、当研究班には研究協力者として加わっていただいております。
 その次の3、4ページからは表題で、5ページが先シーズンのインフルエンザの状況ですが、流行状況としてこういうものだと御覧いただければと思います。
 少し進み、資料8ページ目が調査概要、これも毎回同じですけれども、重度というような状況で異常な行動を示したことについて、全ての医療機関を対象にして、もしこのような症例がありました場合にはファックスで報告を送っていただくようにお願いしております。この重度の異常な行動は、飛び降り、急に走り出すなどの、制止しなければ生命に影響を及ぼす可能性のある行動が出た場合というようにお願いをしてあります。
 9ページです。一番下の3番目のポツに基準として書いてありますけれども、重度の異常な行動というのは、突然走り出したり、飛び降りたり、先ほど申し上げましたような、制止しなければ危ないようなことについて報告をしていただくようになります。
 それについての分析が次の10ページ以降になります。図2-1、11ページが異常行動の発熱週と発生動向調査です。インフルエンザの発生動向に一致してそういう重度の異常行動の報告がありましたということで、これは従来と同じです。
 12、13ページは、今までのそれぞれのシーズンのデータを出していますが、大きな変化は見られないと言っていいと思います。
 少し進めていただいて、14ページの図3-1、患者の年齢があります。このシーズンはn数が72で、10歳がピークですけれども、その前後に広がっており、スタートは4、5歳辺りからですが、増え始めているのは6、7歳、小学校に入る手前ぐらいです。患者の年齢をシーズンごとに表しているのが15、16ページです。これも傾向としては多少の幅の違いはありますけれども、毎年同じと言っていいと思います。
 少し進めていただき、17ページの図4-1、患者の性別としては圧倒的に青系統の色である男が多く、この傾向も18、19ページのように毎シーズンと同じで、いずれのシーズンも男性、というよりも男の子に多いと。しかし、女の子でも出ないわけではないところも注意しておいたほうがいいと思うのですが、性別の割合から言うと、男児のほうに多いことが言えると思います。
 表の1-1、20ページになりますが、発熱から異常行動発現までの日数ということで、インフルエンザが発症、発熱するとインフルエンザの症状が出てからというように言い替えていいと思うのですが、20ページの左側の上から発現日、発熱後1日以内、2日目、3日目、4日目以降となっていますけれども、ピークは2日目で60%の人が異常行動としての報告がありました。それから、1日以内がその次で30%ですので、9割の異常行動発現は発熱から2日以内であることが言えると思います。
 これも21ページの一覧表で出していますけれども、表1-2の上のカラムで見ていただいて、左側の説明で、発現日、発熱後1日以内、2日目となっていますが、この1日目、2日目の所ですが、やはり同じように圧倒的に熱が出てから2日以内にこういう異常行動が見られるというのが毎シーズン同じ傾向でした。
 22ページが、タミフルあるいは抗インフルエンザウイルス薬・アセトアミノフェン服用の有無別で、発熱から異常行動発現までの日数ですが、これもタミフル服用、その他の抗インフルエンザウイルス薬、アセトアミノフェンの服用について、なしの場合とありの場合で比較をしているわけですけれども、なしの場合でもありの場合でも、特にその出現状況の日数に変更はなくて、いずれも発熱後1日以内ないし2日目に出ているという状況がここに示されています。
 23ページの図5-1が最高体温です。高熱であるということで、多少バラつきがありますけれども、平均値39.2℃、中央値39.1℃ですので、いずれも高熱があったということで、図5-2、図5-3でも毎シーズン同じ傾向が出ています。
 ワクチン接種の有無が26ページにあります。これは接種率も考慮しないといけないと思うのですが、ワクチン接種のない方のほうが多かったと。1回接種の場合がちょっと赤系の色で、青系の色が2回接種となっていまして、これも毎シーズンのグラフが27、28ページですが、ワクチン接種なしの方のほうが多いです。ただし、この年齢層のワクチン接種率がどのくらいかというと、そんなに高くはないので、ワクチン接種率まで比較してないので分かりませんけれども、そこを考慮に入れなければいけないだろうと思います。
 29ページの図7-1が報告を頂いた例について、インフルエンザ迅速診断を行っているかどうかというものでして、おそるべきもので、99%が全部迅速診断を受けているということです。すなわち、インフルエンザ様診断の届出は、実際上はインフルエンザウイルス感染が証明されていると言っていいと思います。その傾向も、次の30、31ページのように、毎年ほとんどの患者は、ほぼ全てと言っていいと思うのですが、迅速診断キットによってインフルエンザであることが証明されているというのがあります。
 32ページ以降は、迅速診断キットによる検査結果が図8-1以下に示されています。これは毎シーズンの流行を反映しているので、そのシーズンのどのウイルスがドミナントであったかによってバラつきがあるのは当然で、いつも流行シーズンと一致していると言っていいと思います。
 35ページの図9-1が異常行動と睡眠の関係です。「異常行動は眠りから覚めて直ちに起こった」というのが圧倒的に多く、それから「異常行動は覚醒していて徐々に起こった」になりますけれども、この状況も36、37ページにあるように、毎シーズン変わっていないです。
 図10-1が最も注目されることだと思うのですが、重度の異常な行動について報告のあった人が、どのような薬剤を服用していたかというようなことが円グラフになっています。今までと少し色を変えたりしているので分かりにくくなっていますけれども、円グラフを右から左に見ていただくと、グレーと黒、その中間で、全て服用なし14%、アセトアミノフェンのみ4%、OTCのアセトアミノフェンの場合が1%で、大体10%弱が全て服用なし、あるいはアセトアミノフェンを使って、抗インフルエンザウイルス薬は使っていないということになります。少し下に、リレンザのみ3%、リレンザ+アセトアミノフェン7%、タミフルのみ7%、タミフル+アセトアミノフェン9%です。すみません、この報告のときは全て商品名で延べさせていただいていますが、オセルタミビルについてはサワイも出しているので、このような表記となっていまして、オセルタミビル「サワイ」が3%。それからイナビルのみが7%、イナビル+アセトアミノフェンが10%です。それから、昨シーズンからゾフルーザが非常に多く使われているということですが、先シーズンの特徴としては今までになく、このゾフルーザを服用した後と思われる患者からの異常行動も報告がありました。それがゾフルーザのみの場合が14%、ゾフルーザ+アセトアミノフェンが21%になります。
 これは市場に出回っている量と大体一致しているところで、資料の中では参考資料3-1にどのくらいの薬剤が使われたかということがありますが、抗インフルエンザ薬においてゾフルーザの占める割合が約43%になっているので、ゾフルーザ+アセトアミノフェンを含めて異常行動が起きているのは35%ぐらいですから、そのほかの薬剤もほぼ市場に出ているというか、使用されている量とほぼ同じ量の中での割合が、使用された薬剤であると言えると思います。
 39ページ以下が、同じように毎シーズンの状況です。最初に申し上げましたように、ゾフルーザが途中から出てきた薬であったり、イナビルが途中で出てきたとか、その都度によって多少変更点が出ていますけれども、私たちが今までも強調しているのは、やはり使った薬の割合に一致した異常行動が出て、なおかつ抗インフルエンザウイルス薬を使ってない、あるいはアセトアミノフェンの場合だけは一定数必ず無視できないだけの数が出ているということなので、インフルエンザそのものに対する感染のときに異常行動に気を付けましょうというのが私たちの結論です。これは新薬であるゾフルーザが出てきた昨シーズンについても同様と考えていいと思います。以前のところでは、白抜きの表示になっている「いずれか不明」というのがありまして、薬剤を使ったのが不明という回答がいずれの年にもあるわけですけれども、それは不明は不明として扱うだけで、昨シーズンについては幸いに不明と書いていただいた報告が非常に少なかったということです。
 少し進めていただいて、42ページの薬の服用の有無です。異常行動を起こした方の服用状況が明らかになった人のうちの服用した数の割合でして、例えばタミフルを飲んだ人の割合は異常行動の中で10%強の形ですので、ゾフルーザを服用した人とアセトアミノフェンを服用した人の数が多かったことが言えます。それぞれの飲んだ数は、先ほどの抗インフルエンザウイルス薬の全体の使用量に大体一致していることが言えると思います。43、44ページにわたって毎シーズンの状況が書いてありますが、これも余り変わりません。
 図12-1、45ページ、異常行動の分類です。昨シーズンは、例えば多いのは、突然走り出す、飛び降り、会話中に突然話が通じなくなるとか、おびえ・恐慌状態といったものなど、どういう症状として現れてきたのかが書いています。これもシーズンによって多少のでこぼこはありますけれども、同じ傾向であるというのが48ページまで続きます。
 49ページ以降は、重度のうち、突然走り出すと飛び降りについてのみ分析をしております。これはその前の今まで申し上げたことと傾向としては全く同じなので、これは説明としては省略させていただきたいと思います。
 ずっと進めていただいて、78ページのナショナルデータベース、今はオープンデータになっているのがあるので、これを用いた解析を一応参考資料として出しております。処方の割合を示してあるのですが、それぞれ一覧表になっています。
 83ページに解析結果のまとめがあります。参考なので、これはもう少し私たちも検討を加えないといけないのですが、これの2番目のポツからでして、5~9歳の最重度では、処方なしがタミフル、リレンザ、イナビルより有意に高く、ラピアクタがタミフル、イナビルより有意に高いという結果です。10~19歳の重度では、イナビルが処方なし、リレンザ、ラピアクタより有意に低いという傾向です。10~19歳の最重度の場合では、イナビルが処方なし、ラピアクタより有意に低い。これはざっとしたもので、あくまで参考に見ておいていただければと思います。
 まとめを84、85ページにわたって記載しております。まとめ(1)では、次のようになっています。昨シーズンのインフルエンザの流行は、過去10シーズンでピーク時の患者数が最も多かった。患者数は2番目に多いというサーベイランスのデータがありますが、重度の異常な行動の報告数は過去10シーズンで4番目に多かった。年齢は10歳が最も多く、男性が多かった。重度の異常の行動の発生状況について、従来のインフルエンザ罹患者における報告とおおむね類似している。それから、重度の異常な行動の服用薬別の報告件数は、オセルタミビルリン酸と書いてあるのは、タミフルと商品名としてのオセルタミビル「サワイ」を含めているわけですが、これが14件、括弧内はほかの薬を一緒にやった場合ですが、14件です。アセトアミノフェンはOTCを含んで38件、リレンザ7件、イナビル12件、ゾフルーザ25件、ラピアクタ0件です。これらの医薬品の服用がなかったのは10件であったというのがまとめになります。
 まとめ(2)が考察のまとめとなります。したがって、これまでと同様に、抗インフルエンザ薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではないと考えられました。2番目、報告内容には、飛び降りなど結果として重大な事案が発生しかねない報告もあった。3番目、以上のことを総まとめしますと、インフルエンザ罹患時における異常行動による重大な転帰の発生は抑えられないけれども、その重大な転帰になることを抑えるためには、抗インフルエンザ薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して注意喚起を行うことが引き続き重要なことであろうと考えました。以上です。ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうも御説明ありがとうございました。今日は参考人の先生も来ていらっしゃいますので、全員から御意見を頂きまして、その後に質疑応答をしたいと思います。
 続きまして、資料3-2以降について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-2について御説明します。オセルタミビルリン酸塩について、2018年9月1日から2019年8月31日まで、以降これを2018/2019シーズンと呼ばせていただきますが、この期間に製造販売業者から寄せられた副作用報告をまとめています。
 1ページを御覧ください。2018/2019シーズンの報告状況を示したものです。タミフルの推定使用患者数は約177万人。製造販売業者からの重篤な報告症例は80例、108件でした。
 3ページを御覧ください。オセルタミビルカプセル及びドライシロップは、推定使用患者数約80万人、製造販売業者からの重篤な報告症例は7例、8件でした。
 4ページからは、2017年9月1日から2018年8月31日までの前シーズンの報告状況を示したものです。両シーズンで大きな変化はありませんでした。
 6ページからは、2018/2019シーズンに報告された異常な行動、すなわち報告された副作用名にかかわらず、急に走り出すなど、飛び降りや転落等に結び付くおそれのある行動が報告された症例について、経緯などの概要をまとめたものです。19症例あり、そのうち小児・10歳代の症例は5症例ありました。
 №15の症例は、10歳代の男性で、本剤服用後、飛び降り自殺したと報告された症例です。№17の症例は、10歳代の男性で、マンション11階から飛び降り自殺したと報告された症例です。№19の症例は、80歳代の女性で、本剤投与5日目に自宅近くの側溝に落ちているのを発見され、死亡が確認されたと報告された症例です。
 11ページからは、2018/2019シーズンに企業が入手した死亡症例をまとめたもので、14例ありました。いずれの症例についても、専門家からは、情報不足等により被疑薬と死亡との因果関係が評価できないものと評価されています。
 資料3-3はリレンザについてのまとめです。1ページを御覧ください。2018/2019シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約53万人。製造販売業者からの重篤な報告症例は11例、14件でした。
 2ページは、前シーズンの報告状況を示したものです。両シーズンで大きな変化はありませんでした。
 3ページからは、2018/2019シーズンに報告された異常な行動についてまとめたものです。4症例ありまして、全て10歳代の症例です。なお、死亡症例はありませんでした。
 次に、資料3-4はラピアクタについてのまとめです。1ページを御覧ください。2018/2019シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約14万人、製造販売業者からの重篤な報告症例は23例、31件でした。
 2ページは、前シーズンの報告状況を示したものです。両シーズンで大きな変化はありませんでした。
 3ページからは、2018/2019シーズンに企業が入手した死亡症例をまとめたもので、4例ありました。いずれの症例についても、専門家からは、被疑薬と死亡との因果関係が認められないもの、又は情報不足等により被疑薬と死亡との因果関係が評価できないものと評価されています。なお、異常な行動の症例はありませんでした。
 資料3-5は、イナビルについてのまとめです。1ページを御覧ください。2018/2019シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約241万人。製造販売業者からの重篤な報告症例は20例、25件でした。
 2ページからは、前シーズンの報告状況を示したものです。両シーズンで大きな変化はありませんでした。
 4ページは、2018/2019シーズンに報告された異常な行動の症例についてまとめたものです。3症例ありまして、そのうち1例は10歳代の症例です。なお、死亡症例はありませんでした。
 資料3-6はゾフルーザについてのまとめです。1ページを御覧ください。2018/2019シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約427万人。製造販売業者からの重篤な報告症例は348例、501件でした。5ページは、前シーズンの報告状況を示したものです。
 6ページからは、2018/2019シーズンに報告された異常な行動の症例についてまとめたものです。16症例ありまして、そのうち小児・10歳代の症例が9症例でした。№7の症例は、70歳代の女性で、徘徊後川辺で凍死したと報告されている症例です。
 15ページからは、2018/2019シーズンに企業が入手した死亡症例をまとめたもので、37例ありました。いずれの症例についても、専門家からは被疑薬と死亡との因果関係が認められないもの、又は情報不足等により被疑薬と死亡との因果関係は評価できないものと評価されています。
 資料3-7は、2010/2011シーズン以降、安全対策調査会に報告されているシーズンごとの重篤副作用報告症例数、異常行動症例数、死亡症例数の推移を示したものです。
 次に、資料3-8は、乳糖を賦形剤として含有する製剤のアナフィラキシーが疑われる症例の報告状況を示したものです。抗インフルエンザウイルス薬のうち、乳糖が含まれるのはオセルタミビルドライシロップ、リレンザ、イナビル吸入粉末剤、ゾフルーザ錠です。これらの製剤の副作用報告のうち、症状名がアナフィラキシー反応、アナフィラキシーショック、アナフィラキシー様反応、アナフィラキシー様ショックとして報告された症例を、アナフィラキシーが疑われる症例として集計しました。また、これらの症例を専門家に評価いただいた上で、専門家の評価を踏まえてアナフィラキシーと考えられる症例の数も示しています。
 参考資料3-1は、製造販売業者がデータベースの情報等を用いて作成した、昨シーズンの抗インフルエンザウイルス薬の使用状況についての資料です。参考資料3-2は、抗インフルエンザウイルス薬の添付文書一覧です。
 最後になりますが、本調査会での抗インフルエンザウイルス薬の安全性の議論については、タミフルの服用と異常行動、突然死などとの関係について検討いただくため発足しましたが、昨年度の調査会において約10年間の科学的知見を総括し、タミフルのみに異常行動との明確な因果関係があるとは言えないことから、全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起を行うこととしました。抗インフルエンザ薬と異常行動との関係については、昨年度の本調査会にて一定の結論を得たことから、今後は特段の懸念がない場合には定例での報告は行わないこととさせていただこうと考えています。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。では、参考人の先生方に御意見を頂きたいと思います。はじめに、岡田先生からお願いいたします。
○岡田参考人 私からはアナフィラキシーに関してです。ワクチンのアナフィラキシーの頻度と抗インフルエンザ薬などの医薬品のアナフィアキシーの頻度と同程度なのかは分かりません。新しいゾフルーザに関してはイナビルに比べると、イナビルが60万人の患者さんに使用されて1例で、ゾフルーザが22万人に使われて1例の頻度になっています。この頻度が高いのかどうかという評価は、なかなか分かりません。通常の医薬品のアナフィラキシーの頻度が、どれくらいあるのかというのがよく分からないことと、新しい薬剤ですから、関心も高くいろいろバイアスが掛かっている可能性があります。抗インフルエンザ薬のアナフィラキシーに関しては、あと数年は定期的に見ていただいたほうが、いいと思います。ゾフルーザがほかの薬剤に比べるとアナフィラキシーが多いのかどうかというのが、初年度ではなかなか評価が難しいかなと思いました。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。では、続いて水口先生からお願いいたします。
○水口参考人 2018/2019シーズンの一番の大きな変化というのは、ゾフルーザが多く処方されるようになったということです。このゾフルーザは、ほかの従来の抗インフルエンザ薬とは作用機序が全く違う薬ですので、その面ではゾフルーザ特有のまれで重篤な副作用ということが一番心配だったわけですが、今日の御報告を伺った限りでは特に特段の傾向はなさそうということですので、よかったのかなと存じています。ほかには特に気になった点はありません。以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。続いて、桃井先生からお願いいたします。
○桃井参考人 当初、異常行動が問題になったときは、ほかの薬剤がなかったということもありタミフルが問題になりました。ました。また、処方されない群のサンプルサイズが非常に小さかったこともあって、妥当な統計的な数値が出にくかったという状況がありましたが、季節によって変動するインフルエンザ感染症という特性も含めて長年にわたる岡部班の辛抱強い、研究で、かつ複数の薬剤が出てたために各薬物が比較的均等に使われる状況があって、サンプルサイズの違いによる統計的なバイアスが出にくくなったということで、真実に近い数値が得られるようになったことは、大変よかったことだと思います。
 また、研究のレポートにもありますように、明確なリスク比が出てきましたので、処方薬にかかわらず、処方の有無にかかわらずということが、明確に受益者に伝わるようになってきたということは、結果としては大変すばらしいことだと思います。
 同時に、このリスク比というのは、あくまで統計的な単なる数字ですので、このデータがオープンになって、それでは処方しないより飲んだほうがいいというような誤解を伴わないようなデータの出し方をしていただきたいと思います。ただでさえ日本は、抗インフルエンザ薬は、国際的にも異常な使われ方をしているという国ですので、それがインフルエンザ対策として妥当なのかどうか、あるいは費用対効果として妥当なのかどうかは、国外からも見られているところですので、国際的には極端に多い薬の使われ方をしているということを念頭に置いて、このリスク比の誤った解釈をされないように、つまり、岡部先生も強調されましたが、まとめ(2)がこの調査から言えることであるということが強く伝わるような公表の仕方をしていただけると、大変有り難いと思います。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、岡部先生の御報告の調査結果も含めまして、本件について委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。よろしいですか、特段ございませんか。では、御報告、御意見等をまとめたいと思います。
 本日、2018/2019シーズンのインフルエンザ罹患時の異常行動研究の報告を頂きました。それから、3名の参考人の先生方から御意見を頂きました。そして、この抗インフルエンザウイルス薬の副作用の報告状況についても、詳しく御報告を頂きました。ありがとうございました。その結果、まとめますと、昨年度までの報告内容と比べて、全体の傾向としては大きく異なることはないと言えると思います。インフルエンザに罹患したときに、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない方も含めまして、インフルエンザ罹患時の注意喚起をこれからも徹底していくことが適当であると考えます。
 抗インフルエンザウイルス薬服用後の異常行動に関する調査をずっとやってきていただいたわけですが、この異常行動に関しては、昨年度の調査会において一定の結論が得られています。ただ、ゾフルーザなどの新しい薬も出てきていますので、今後は特段の必要がなければこの委員会で報告はしないという方針でいたわけですが、しかし新しい薬も出ていますし、それからアナフィラキシー等のこともありますので、何らかの形で引き続き報告はしていただきたいと思います。調査研究はまだ続くのだと思いますので、是非お願いしたいと思います。引き続き、抗インフルエンザウイルス薬の関連情報は収集をします。それから、研究も続くということですので、これまでとは異なる状況の変化がもし現れた場合には、それに基づいた情報により、適切な評価をこれからもしていくとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○望月委員 五十嵐座長のおまとめで私も賛成です。ゾフルーザが、今回加わったことによって、資料3-7で抗インフルエンザウイルス薬の副作用発現状況を各薬剤別に全体像を示していただいているものを拝見しますと、一番最後の6ページの所で推定使用患者数は、例年とそれほど、むしろ昨年よりは減っているのですが、この重篤副作用報告症例数はぐんと上がり、死亡症例数も結構上がっています。これの寄与が、もしかしたらゾフルーザの調査の方法が、ほかのものに比べるとちょっと違っているのかもしれないのですが、先ほど岡田参考人がアナフィラキシーのことではおっしゃっていたのですが、全体としてぐんとこの重篤副作用報告件数が上がるというところは、もう少ししっかり見ておいたほうがいいかなと思います。どこかで適切な形で御報告を頂いたほうがいいと私も思いました。
○五十嵐座長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。4人の参考人の先生方、今日は御出席いただきましてありがとうございました。これ以降の議題については、特に御意見を頂く予定はありませんので、途中で御退席を頂いても結構です。
 では、議題4に移りたいと思います。事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局から議題4、ラニチジン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応について説明させていただきます。資料4-1と4-2がありますが、4-2は参考資料となっていますので、資料4-1に沿って説明させていただきます。
まず1番、事案の概要です。本年9月13日、日本時間で14日ですが、EMA及びFDAにおいて、ラニチジン塩酸塩の原薬及びこれを含む製剤から微量の-ニトロソジメチルアミンが検出された旨の発表がなされました。これを受けて、同月17日に厚生労働省は、資料4-2の事務連絡により、国内の製造販売業者に対し、ラニチジン塩酸塩等の原薬及びこれを含む製剤について適切な検査水準で分析を行うことを指示し、さらに分析の結果、暫定の基準値を上回ることが否定できない場合は、医療機関等への情報提供及びこれを含む製剤を回収すべきことを指示したところです。また、これに加え、予防的な措置として、分析結果が明らかになるまでの間、同製剤の新たな出荷を行わないよう指示しました。これらが厚生労働省としての初動対応になります。
 その後、一部の製造販売業者において予防的措置として自主回収が行われたとともに、製造販売業者や国衛研等で分析が行われた結果、一部のラニチジン原薬において、NDMAが検出されました。このことから、最終的に10月4日までに、ラニチジン製剤の製造販売を行う11社全てが自主回収に着手したという状況です。
 2番、そもそも検出原因は何かということについて、いまだ未確定のところが多いのですが、想定される原因の1つとして、ラニチジンの構造中にジメチルアミノメチル基が存在することから、製造工程においてNDMAが生成される可能性があることが示唆されています。その他、原材料や製造時に生成・混入する可能性や、溶媒中に混入する可能性などが予想されますが、まだ確たる原因は判明していないため、調査を進めているところです。
 3番、海外におけるこれまでの対応です。先の説明のとおり、9月13日に発表がなされた後、同月16日以降、米国、カナダ、ドイツ等で原薬及び製剤が回収されています。また、FDAでは患者のリスクを評価を行っているという発表があり、EMAでは製造販売業者に対し、混入リスクの把握及びリスク回避措置を指示しています。
 また、EMA、FDA、ヘルスカナダ等の規制当局において、今回の件についてはラニチジン製剤を服用している患者に向けた情報として、低レベルのNDMAは食品にも含まれているものであること、自己判断によって服用を中止せず、薬剤の切り替えを希望する場合は医療機関に相談すべきであること等をアナウンスしている状況です。
 4番、本邦におけるこれまでの対応です。先ほど説明しましたとおり、9月17日に、製造販売業社に対し、出荷停止を行うことと、必要に応じて回収すべきことを指示させていただきました。併せて、ラニチジン製剤を服用している方等への対応について、薬剤の切り替えを希望される場合には、治療の選択肢について、医療関係者に御相談いただくということ、さらには今後、新たな治療を開始される場合には、同様の効能・効果を持つ別の薬剤の使用を検討いただくことをお願いしているところです。
 最後に、5番、今後の対応ですが、現在ラニチジン製剤を服用中の方に対しては、引き続き自己判断で服用を中止せず、医療関係者への相談をお願いすることとしています。さらには、現在、製造販売業者や国衛研において、製剤中におけるNDMA含有量に関する分析を進めていますので、その結果を踏まえまして、今後、ラニチジン製剤の服用による健康影響についてリスク評価を行い、医療関係者や患者への必要な情報提供を行うことを考えているところです。事務局から資料の説明は以上です。
○五十嵐座長 それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等はいかがでしょうか。特にありませんか。そうしますと、国衛研等で調査をして、その結果が出たら、近いうちに御報告を改めてこの場で頂けると、そのように理解してよろしいですか。
○事務局 はい、データがいつ取りまとまるかというのが未定ではありますが、調査を整理させていただいて報告内容が定まりましたら、また御報告させていただきます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○伊藤委員 この参考2の所に、ニザチジンについても同様ということが書かれていますが、ほかの薬物については、このような構造はないということは、もうはっきり分かっているのでしょうか。この2剤だけでOKということでよろしいでしょうか。
○事務局 現時点において、疑いが高いということで各国対応しているのは、ラニチジン及びニザチジンです。ただし、先ほど申しましたように確たる原因が分かっていないことから、他のものに全く関係がないかと言われると、現時点で断定するのはなかなか難しいので、引き続き情報収集が必要と考えています。現時点で最も懸念が高く、各国が対応しているというのは、このラニチジンとニザチジンの製剤ということで、説明をさせていただきました。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか、ほかは。
○舟越委員 一応、臨床現場では、この本邦の対応、4ですが、他剤への切替えや同種同効果を持つものに検討していただくことをお願いしているという通知に対して、そのほかのものに切替えとしても、伊藤委員がおっしゃったように、ほかのものが安全性が担保されていないため、分からない状態でどれに切り替えたらいいのか、医師からいろいろと不安の声が上がっている現状です。ほかのものは問題がないといった情報を、できるだけ早めに現場に届けていただきたいということだけはお伝えいただきたいところです。
○五十嵐座長 重要な状況を報告いただきまして、ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、先ほど申し上げましたように、議題2が残っています。これについて審議をしたいと思います。事務局から、まず御説明をお願いいたします。
○事務局 始める前に、議題2の審議参加に関する遵守事項について、御報告します。舟越委員より、協和キリン株式会社、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取、望月委員より、持田製薬株式会社より50万円以下の受取を申告いただいています。そのほかは受取の申告はありませんでした。そのため、全ての委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、参考人はいらっしゃいませんが、参考人におかれましても意見を述べることができます。これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。
○五十嵐座長 では、お願いいたします。
○事務局 それでは、資料の説明をさせていただきます。添付文書の記載要領改正に伴う原則禁忌の取扱いについてです。資料2-1を御覧ください。こちらの議題は、2019年3月11日及び6月26日の安全対策調査会においても御審議いただいており、今回は残りの品目について御審議いただきます。
 まず、背景から説明します。医療用医薬品の添付文書等については、「医療用医薬品添付文書の記載要領について」という通知により、記載要領の改正を行っています。新記載要領における主な改正点としては、「原則禁忌」の項目の廃止、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目の新設などがあります。新記載要領は平成31年4月より施行され、現在、各医薬品の添付文書等について、新記載要領に基づく改訂作業を順次実施しています。本日の調査会では、「原則禁忌」を廃止するに当たり、どの内容をどのように移行するかについて御審議いただきたいと考えています。
 続きまして、移行に当たっての論点を御説明します。「原則禁忌」の項目に記載されている事項は、基本的には「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目に移行する予定です。しかし、中には「禁忌」の項目に移行することが適切と考えられる記載もあります。本日は、「禁忌」に移行すべきと考えられる記載のうち、ウロキナーゼの原則禁忌の記載について御審議いただきたいと考えています。
 当該記載については、事前に当該医薬品を主に使用する診療科に関連する学会から、医療現場における使用状況を踏まえて、「禁忌」に移行することに対する意見を聴取しています。
 2ページの今後の予定を御説明します。今回の審議において、「禁忌」に移行することが適当とされた記載については、今後通知を発出し、「禁忌」に設定します。「原則禁忌」のうち、残りの記載については、新記載要領に移行する際に「特定の背景を有する患者に関する注意」の項に移行する予定です。なお、下の参考の表のとおり、本日の調査会をもって、「原則禁忌」の検討対象品目について、全て御審議いただいたことになります。
 資料2-2には、本日の審議品目及びこれまでの調査会における審議品目をまとめています。「原則禁忌」全体の説明については以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。では、ウロキナーゼについて審議したいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 今回の審議品目のウロキナーゼについて御説明します。資料2-3を御覧ください。ウロキナーゼの効能・効果は、脳血栓症(発症後5日以内で、コンピューター断層診断において出血の認められないもの)、末梢動・静脈閉塞症(発症後10日以内)です。
 今回、「禁忌」への移行を御検討いただく「原則禁忌」の記載は、「瞬時完成型の神経症状を呈する患者[脳塞栓である可能性が高い]」です。この記載については、現行設定されている「禁忌」の「脳塞栓又はその疑いのある患者」と同義であると考えられるため、現行の「禁忌」により注意喚起されていると判断し、2ページの改訂案のとおり、当該記載を削除する案を御提示しています。
 この改訂案についての学会の意見を御紹介します。3ページの日本循環器学会からは、原則禁忌の2.瞬時完成型の神経症状を呈する患者は、禁忌の5.脳塞栓又はその疑いのある患者に含まれるため、原則禁忌を削除する貴省の案に賛同するという御意見を頂いています。なお、原則禁忌1については、「特定の背景を有する患者に関する注意」に移行する予定です。
 4ページの日本脳神経外科学会からは、原則禁忌の記載内容を禁忌に移行すること及び禁忌に移行する場合の記載内容について、当学会において審議した結果、いずれも貴省の意見に異論はありませんでしたという意見を頂いています。
 5ページの日本脳卒中学会からは、原則禁忌(瞬時完成型の神経症状を呈する患者)は、禁忌(脳塞栓又はその疑いのある患者)に含まれているので、原則禁忌を削除することに賛同いたしますという御意見を頂いています。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。「禁忌」という文章の中に、この「原則禁忌」が含まれているのではないかということで、「原則禁忌」の文章を削除するという御提案です。これに対して、関連する3つの学会から賛同を頂いているという御説明を頂きました。委員の先生方、いかがでしょうか。特に御異議はありませんか。
 それでは、議決を取ってよろしいでしょうか。事務局案のとおりの使用上の注意を改訂することで、よろしいでしょうか。御異議がないということにしたいと思います。
 これからの予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 特にございません。本日の議事録については、後日送付させていただきますので、内容の御確認をよろしくお願いいたします。なお、御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載しますので、よろしくお願いいたします。
 また、次回開催については改めて御連絡します。事務局からは以上です。
○事務局 議題2のウロキナーゼについて、今後の予定を説明させていただきます。ただいま御議論いただいた内容を踏まえまして、ウロキナーゼの製造販売業者に対して使用上の注意を改訂するように指示をいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。では、予定していた議題は以上で終了しますが、何か特にありますか、よろしいですか。
○事務局 すみません、先ほども申し上げたとおりで、後日議事録の御確認をお願いいたします。その後、ホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。次回開催は改めて御連絡します。
○五十嵐座長 委員の先生方も、特によろしいですね。では、今日の調査会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。