第140回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和元年8月7日(水)10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館ホール14G
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング14階)

議事

 
○総務課長 一部の委員の方はまだ御到着が遅れているようですが、定刻になりましたので、ただいまから、第140回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。まずはじめに職業安定分科会長の選出について御報告いたします。
 職業安定分科会長は、労働政策審議会令第6条第4項により、当分科会において労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。事前に阿部委員が選出されておりますので御報告いたします。以降の議事進行は阿部分科会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。労働政策審議会令第6条第6項により、分科会長代理を公益委員の中から分科会長である私が指名することになっております。事前に中窪委員にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。議事に先立ちまして、新たに就任された方を御紹介いたします。一言御挨拶をお願いします。当分科会の使用者代表委員として、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎委員です。

○杉崎委員 杉崎と申します。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 また当分科会の下に置かれている各部会に所属する臨時委員については、労働政策審議会令第7条第2項の規定により分科会長である私が指名することになっております。配布している名簿のとおり事前に指名させていただいておりますので、新しい名簿について席上配布しております。御確認いただければと思います。本日の委員の出欠状況については公益代表の鎌田委員、桑村委員、労働者代表の勝野委員、梅田委員、使用者代表の今木委員、後藤委員、吉岡委員が御欠席ということです。また林委員におかれましては遅れて御参加と聞いております。
 事務局である職業安定局の幹部にも異動がありましたので御報告いたします。小林職業安定局長です。岸本職業安定担当審議官です。達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官です。宮本総務課長です。石津外国人雇用対策課長です。松原需給調整事業課長です。石田労働移動支援室長です。
 それでは議事に移りたいと思います。最初の議題は2018年度の評価及び2019年度の目標設定についてです。それでは事務局より説明をお願いします。

○雇用政策課長 雇用政策課長の弓です。議題1、2018年度の評価及び2019年度目標の設定について御説明いたします。資料1-1~資料1-3までがテーマの関係の資料です。資料1-1が2018年度の評価結果をまとめたものの案となっておりますが、個別の評価について資料1-2で御説明いたします。
 1ページ、1つ目の柱、ハローワークにおける職業紹介・人材確保等についてです。この中には7つの項目がありまして、それぞれの目標又実績について記載しております。マル1ハローワーク求職者の就職率については、真ん中から少し右側の所に、2018年度の目標というところがありまして31.5%となっております。一番右端が2018年度の実績で30.9%ということで、目標を下回る結果となっております。
 2番目、人材確保対策コーナー、設置ハローワークにおける人材不足分野の充足数については、13万9,700人の目標に対して、14万0,029人ということで目標達成した実績となっております。マル3ハローワークにおける正社員就職件数については、72万件の目標に対して70万2,935件ということで、こちらについては目標を下回ったという状況です。
 マル4マザーズハローワークの就職率については89.9%に対して、93.1%で目標を上回っている状況です。マル5雇用保険受給者の早期再就職割合については37.5%の目標に対して、38.8%ということで目標を上回っている状況です。
 マル6求職者支援制度による職業訓練の就職率については、基礎コースが55.0%、実践コースが60.0%の目標に対して、基礎コースが60.3%、実践コースが65.1%という目標を上回る実績となっております。なお、こちらについては、9月末までに終了した訓練コース修了者の実績となっております。
 マル7生活保護受給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率については、67.0%に対して、66.7%ということで目標を下回っている状況です。ここの柱の中で申し上げますと、マル1とマル3とマル7については、目標を下回る結果となっております。
 続きまして、目標設定等における考え方などが記載されておりますが、時間の都合もありますので、目標設定の考え方等については割愛させていただきます。4ページ、2018年度施策実施状況に係る分析について御説明いたします。マル1ハローワーク求職者の就職率については、長期にわたり雇用情勢が改善している中で、求職活動に困難を抱える求職者のウエイトの高まり等を背景に、新規求職者数の減少以上に紹介件数が低下しているため目標を下回ったとしております。
 マル2人材確保対策コーナーの充足数については、事業所訪問などによる求人条件見直し等の求人充足支援、事業所見学会や就職面接会の開催等によりまして、目標を上回る実績となっております。
 マル3ハローワークにおける正社員就職件数については、正社員就職を希望する者に担当者制の支援を行うとともに、非正規での就職を希望する求職者に対して正社員求人への応募を働きかけた結果、就職率については過去3年平均よりも減少率は高かったですが、正社員就職を希望する求職者の方が過去3年平均よりも減少率は大きかったと。こうしたことから、就職件数が伸び悩み、目標を下回ったという分析を行っております。
 次のページ、マザーズハローワークの就職率については、個々の求職者の状況に応じたきめ細かな就職支援等によりまして、目標を上回る実績となっております。マル5雇用保険受給者の早期再就職割合については、認定日の職業相談やきめ細かな就職支援を行ったことによりまして、目標を上回る実績となっております。
 マル6求職者支援制度による職業訓練の就職率については、訓練開始前から訓練終了後において訓練受講者に対して、指定来所日におけるきめ細かな就職支援を行った結果、目標を上回る実績となっております。
 マル7生活保護受給者等の就職率については、地方公共団体にハローワークの常設窓口を増設するなど、両機関が一体となり個々の求職者の状況等に応じた就職支援プラン策定等、きめ細かな就職支援に取り組んだことにより、2015年~2017年度の実績平均を上回る実績となったところですが、複合的な課題を有する方、また、より長期に手厚い支援が必要な方の対象者が増加しているということで、就職件数は伸び悩んだということで目標には届かなかったということです。
 次の項目ですが、施策の達成状況を踏まえた評価及び今後の方針については時間も限られておりますので、実績や目標を下回った項目について、マル1とマル3とマル7について御説明します。マル1ハローワーク求職者の就職率については、今後はより一層求職者担当者制、予約相談などの個別支援の強化を行うことにより、個々の求職者の状況に応じたきめ細かな就職支援に取り組むこととしております。
 マル3ハローワークにおける正社員就職件数については、正社員を希望する求職者が減少している現状を踏まえて、引き続きハローワークを利用していない潜在的な求職者層への来所勧奨等の働きかけを行うということです。また正社員を希望する求職者に対しては、求職者の希望や経験等を踏まえた求人情報の積極的な提供、応募の働きかけ、応募書類の作成などを担当者制による支援を行うとともに、求職者ニーズを踏まえた求人の確保、求人内容の見直し、条件緩和の働きかけを行うこととしております。
 6ページ、マル7生活保護受給者等の就職率については、地方公共団体とハローワークの職員等で構成される就労支援チーム内で密に連携をする中で、支援対象者の就労準備状況を適切に見極めつつ、個々の支援対象者の状況に応じてきめ細かな就労支援を実施していくこととし、実績向上に努めていくこととしております。
 7ページ、2つ目の柱、成長分野等への人材移動については、3つの項目について目標を立てております。マル8労働移動支援助成金の早期再就職割合については55%の目標に対して、70.3%と目標を達成しております。マル9については、労働移動支援助成金の雇用形態がフルタイム労働者である方の割合については67.6%に対して、75.2%ということで目標を達成しております。マル10産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率についても64%の目標に対して、68.1%と目標を達成しております。いずれも目標を上回る実績となっております。こちらについての分析の8ページの下段から記載しております。
 労働移動支援助成金の早期再就職割合については、2行目の途中から御説明します。再就職を実現した者のうち、45歳以上の者の早期再就職割合が昨年度と比較して上昇しており、雇用情勢の改善は比較的再就職が困難とされる45歳以上の者の早期再就職が図られたことが要因と考えられるとしております。マル9フルタイム労働者である者の割合については、2行目からの御説明を申し上げます。2016年度から支給要件を厳格化するとともに、良質な雇用の再就職が実現した場合の助成額を優遇するなど、助成金の趣旨に沿った活用がなされるよう、適正化や見直しを行ったことなどによって、目標が達成されたとしております。
 9ページ、産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率についての分析です。積極的な企業訪問を実施したことに加え、出向・移籍の対象者情報の収集、確保に努めるとともに、キャリアコンサルティングによる個々の労働者の出向・移籍に当たっての課題把握、支援メニューの策定、必要に応じた各種講習・訓練等を実施したことなどが雇用情勢の改善による受入れを希望する企業情報の増加と相まって達成したという分析をしております。
 3つ目の柱、10ページ、高齢者・外国人の就労促進については、マル11生涯現役支援窓口のチーム支援による就職率については、2018年度目標が55~64歳については75.8%に対して、実績が79.6%。65歳以上については目標が62.9%に対して、実績が69.5%と目標を達成しております。
 マル12シルバー人材センターにおける会員の就業数については、目標7,100万人日に対して6,977万人日ということで目標を下回っている状況です。マル13外国人雇用サービスセンター等を経由した留学生の就職件数については、2,000件の目標に対して2,293件ということで目標を達成しております。
 11ページ、中段から分析を記載しております。マル11生涯現役支援窓口での就職率については、個別求人開拓など積極的に求人開拓に取り組んだことなどにより、目標を上回ったことを記載しております。
 シルバー人材センターの就業数については、下のポツ、目標達成に至らなかった要因としては、事業者等から仕事の依頼が増加する一方、会員数は減少しており、依頼された仕事に対し、就業を希望する会員が不足していることなどが挙げられます。
 12ページ、外国人留学生の就職件数についての記載があります。外国人雇用サービスセンター等における個別支援や留学生向け就職面接会の実施、外国人雇用サービスセンター等における個別支援、来日して間もない留学生の就職意識啓発、外国人雇用管理アドバイザーによる企業支援等を実施したことにより目標を達成したことを分析しております。
 「今後の方針」のマル12シルバー人材センターについては、今後女性の会員が少ない現状を踏まえ、女性をターゲットとした会員拡充に努めるとともに、特にマッチングが難しいホワイトカラーとして活躍していた高齢者にもなじむ分野の職域拡大に努めることとしております。以上が資料1-2の御説明です。
 資料1-1については、2018年度職業安定分科会における年度目標の評価についての(案)ということを記載しております。2018年度目標として、職業安定分科会によって設定した年度目標について、当該分科会が実施した評価の結果、おおむね以下にあるとおりとしております。こちらの内容については、それぞれの項目の分析結果、また実績が目標を下回った項目については、今後の方針を記載しております。例えば、1番のマル1、ハローワーク求職者の就職率については、まず、2018年度就職率については30.9%であり、目標の31.5%を下回っている実績に関する記載です。これは長期にわたる雇用情勢が改善する中で、求活に困難を抱える求職者のウエイトの高まり等、新規求職者数の減少以上に紹介件数が低下しているためであると考えられるという分析です。さらにその実績が目標を下回った部分については、今年度はより一層求職者担当者制、予約相談などの個別支援の強化に取り組むこととしております。個々の求職者の状況に応じたきめ細かな就職支援に取り組んでいくべきであるということです。先ほど資料1-2で申し上げた分析又は今後の取組の内容を記載しております。以下、それぞれの項目について同様の記載をしております。御説明の中身については説明が重複しますので、こちらについては省略いたします。
 続きまして、2019年度の目標について、資料1-3に基づいて御説明いたします。年度目標の項目については、基本的な構成は2018年度と変更しておりませんが、マル11生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率については、2018年度については55~64歳、又は65歳以上という括りですが、2019年度についてはおおむね60~64歳という形での項目の立て方又は65歳以上、こちらは変わりませんが、こういった立て方をしております。こちらについては支援対象者について、必要性の高い、おおむね60歳以上に重点化するとしておりまして、そちらを踏まえた目標の設定としております。
 マル132018年度については、留学生の就職件数を立てております。2019年度については、これに加えて定住外国人等の就職件数についても目標として設定していただければと考えております。マル11とマル13の目標の項目の内容についての変更を考えております。目標設定の水準について簡単に御説明します。
 参考資料1-3、目標設定における考え方については、マル1ハローワークの求職者の就職率については過去の実績及び中高年求職者の増加等を踏まえて設定ということです。マル2以下については、基本的には過去3年間の実績を考慮しながら、新設等の場合にはそちらも踏まえた目標設定の水準を定めております。マル6職業訓練の部分については、5年間の実績、長期的な観点からの目標設定ということで5年間の実績を考慮しながらの設定を予定しております。
 2ページ、マル11目標設定についての項目の内容の変更については、60~64歳という新たな括りになりますが、こちらは55~64歳の実績から、60~64歳という形を推計して、就職率についての目標を立てております。
 マル13外国人雇用サービスセンターについては、定住外国人の就職件数を今度新たに立てさせていただきますが、こちらについては好景気等の影響によりまして、近年、就職件数が減少傾向で推移しておりますが、就職件数については前年度と同数の1万2,345件(※)としたいと考えております。留学生については、前年度は大きく伸びたところですが、これまでの動向に関しては2,250件という水準に設定していきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。
 (※)会議後に改めて精査したところ、正しくは前年度(2018年度)は1万2,167件でした。なお、2019年度の目標については1万2,345件から変更ありません。

○阿部分科会長 それでは、本件に関しまして御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。

○柴委員 私からは資料ナンバー1-1の1ページ目のマル3のハローワークにおける正社員就職件数についてお伺いしたいと思います。正社員の就職件数が減少した理由として、正社員就職を希望する求職者が対前年度比で6.4%と、過去3年平均の6%減よりも減少率が大きかったと分析されています。正社員就職を希望する求職者が例年以上に減少した理由として、これまでの正社員就職希望者の就職が進む一方で、新規の求職者のうち非正規を希望する割合が高まっているような理由なのか、それとも、他の要因があるのかお伺いしたいと思います。

○阿部分科会長 御質問ですので、事務局からお願いします。

○雇用政策課長 非正規社員求職者の方の割合が非常に大きく高まったということで、希望される方の割合自体の減少ということも1点目としてあるということでして、ただ、そういった中で更にそれに加えまして、就職に結び付ける紹介まで至ることはできなかったということがあります。相談は積極的にさせていただいておりますが、なかなか御本人の希望に合致した求人ということでマッチングに結び付けて紹介という行為まで至ることができなかったということです。求職者の割合の減少、また、就職に至るまでの困難、御本人と求人との条件が合致しないような方の割合も増えているということで件数としては伸びていかなかったことが言えるかと思います。

○柴委員 正社員の就職を希望する求職者ということで、やはり雇用の質にこちらとしてはこだわっていまして、正規、非正規を問わずどのような職業を希望するかは当然就職希望者の意思によるものとは思いますが、来所者が正規、非正規における労働条件の相違などを正しく理解した上で選択ができるように、これまで以上に、先ほど申し上げた雇用の質にこだわりながら、是非取組を進めていただきたいと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

○林委員 私からは高齢者外国人の就労促進に関して、資料ナンバー1-2の12ページのマル12シルバー人材センターにおける会員の就業数について御質問させていただきたいと思います。今後、様々な政策が執り行われる中で、70歳までの就業機会の確保に向けた動きは恐らく加速していくだろうと推測されますけれども、同時にシルバー人材センターへの入会者は、それに比例して減少していくだろうと、なおかつ、60歳代の新規加入者も減少していくことを考えると、やはり登録者の平均年齢も高まることが予想されると思います。シルバー人材センターの今後の政策を考える上で、こうした状況変化に対応することは非常に重要だと思いますが、この状況において、先ほど御指摘させていただきました12ページの所ですが、「女性会員の拡充やマッチングが難しいホワイトカラーとして活躍していた高齢者にもなじむ分野の職域拡大」ということが書かれておりますけれども、具体的にどのようにして女性会員数を伸ばしていくのか、また、ホワイトカラーの高齢者になじむ職域とはどういう分野を想定されているのかというところ、特に女性の場合は、現役世代の就労促進と、何か別の視点・観点があるのかということも含めまして御回答を頂きたいと思います。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○高齢・障害者雇用開発審議官 今、12ページのシルバーの関係で、マル12の今後の対応について御質問いただきました。今の状況の変化の中でということですけれども、まずシルバーが今後、雇用対策70歳までの就労の問題ということもありますが、やはり人手不足が進む中で地域におけるシルバーに果たしていただく役割というのは増大していくのかということです。そういう中で、ここにありますとおり、女性会員の方、特に比率で見ますと、男性と女性で2対1という状況です。また、女性の方をターゲットとした拡充に努めるということでして、例えば各シルバー人材センターにおいて女性向けの周知活動を行うとか、説明会を行うことを各地域においても行っておりますし、あるいは都道府県単位でシルバー人材センター連合というものがありますが、そちらにおいても広報活動を行っており、女性会員を中心に会員の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 また、ホワイトカラーとして活躍した高齢者の方になじむ分野ということですが、例えばスーパーとか、介護施設、保育とか派遣就労の形でお仕事していただくというような者についても、今、取組を進めているところです。11ページの上のほうに、マル12でシルバー人材センターにおける会員の就業数の所で、2行目ですが、「高齢者活用・現役世代雇用サポート事業」等の実施により就業機会の拡大の取組を強化ということで、この事業の取組も含めまして先ほど申し上げたような分野の方において、就労していただくという取組も現在やっております。このような取組を通じて女性の拡大、あるいは職域の拡大というものに努めてまいりたいと考えております。

○林委員 分かりました。ありがとうございました。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○久松委員 2019年度の年度目標について、生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率についてお聞きしたいと思います。生涯現役支援窓口は65歳以上を重点的に支援するものの、55歳以上の方を対象としたサービスであり、これまできめ細かなサービスを提供することで高い就職率を達成してきていると認識しています。その上で2点確認させていただきたいと思います。1点目としては、資料ナンバー1-3にある2019年度の年度目標についてです。先ほどの説明にもありましたが、これまでの55~64歳の就職率から、おおむね60~64歳の就職率に変更されていますが、55~59歳の方についても、引き続き、生涯現役支援窓口の対象であるという理解でいいのかということが1点目です。
 2点目は、55~59歳の方も対象である場合では、55~59歳においても数値目標を設定すべきだと考えますが、今回、目標を立てなかった理由があるのかについて御説明を願いたいと思います。

○阿部分科会長 御質問ですので、事務局にお願いします。

○高齢・障害者雇用開発審議官 今回見直しを行いまして、今、お話いただきました生涯現役支援窓口における対象者の重点化ということを図っておりまして、おおむね60歳以上の方を対象にしたところですが、一方で、55~59歳の方についても、ハローワークにおいて窓口における支援が有効として判断した場合には年齢のみで一律に排除せず、本人の就労ニーズを踏まえて、一般窓口等において提供される正社員就職に向けた各支援も含めまして、当然ハローワークとしてきめ細かく対応していくということですので、一律に排除するわけではないということです。そういう中で私どもとして、やはり窓口のターゲットを絞ったという中で、そこで私どもとしてどれだけの実績を上げられたかというところをしっかり把握していきたいということで、目標を設定させていただいているということです。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○久松委員 分かりました。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○髙松委員 先ほどの林委員の質問に絡むのですが、シルバー人材センターの関係ですけれども、2つありまして、1つは、依頼された仕事に対して就業を希望する会員が不足しているという意味では、依頼される仕事の質が、なかなかマッチしていないのではないかと思います。年齢が上がる中で、なかなか肉体的な就労に対しては対応できないということもありますし、特に現役世代のリタイア年齢が上がっている中ではなかなか厳しい。一度依頼される仕事の内容などを開示した上で、どのようなことが考えられるのか検討してもよいのではないかと思います。
 数年前にシルバー人材センターの職域等を拡大したときにもお話したと思いますが、現職でやっていらっしゃる派遣業とか、そういう方々が仕事していくのが優先というのは思っておりますので、シルバー人材センターがその領域を犯すことのないようなレベルで対応できるように、目標値に近づけるだけではないと思いますので、是非その辺も御配慮いただければと思います。以上です。

○阿部分科会長 御意見として承ります。ほかにいかがでしょうか。

○杉崎委員 先ほどの資料ナンバー1-2で、2018年度の目標に対する実績について御説明を頂きました。一部の事業については、若干、目標を下回っているというものもありますが、いずれも高い実績を上げていると思いますし、有効に機能していることが考えられます。こういった事業は非常に重要ですので、これからも是非、力を入れて推進していただきたいと思います。
 取り分け、外国人材に関してですが、商工会議所が行った全国調査でも、外国人材に対する期待と関心が非常に高まっておりまして、4月に特定技能が創設されたということもありまして、昨年比で確か8ポイント増加するといった非常に期待、関心が高まっているという状況になっています。そういったことを踏まえまして、外国人雇用サービスセンターですが、アドバイザーによる企業支援とか、マッチングに資する事業を色々と行っていただいておりますが、こういったものを是非、更に力を入れていただきたいと思います。
 もう一点は、厚労省が策定された外国人雇用管理指針についても、外国人材を受け入れる企業にとっては非常に重要な内容ですので、是非、こういった指針についても力を入れて周知をしていただければという要望です。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

○太田委員 資料ナンバー1-1の1のマル1で、ハローワークの求職者の就職率について、1つ御質問申し上げたいと思います。就職率が目標をやや下回ったということで、恐らくハローワーク求職者の就職率というのは、ハローワークのパフォーマンスの指標として非常に重要であろうかと思います。その理由として、非常に求職活動に困難を抱える求職者のウエイトが高くなってきているということで、紹介件数の低下というのが最終的な結果として影響しているのだということ。この辺りはそうかなというようにも思いますが、紹介件数が低下するということは、求職者の求職活動そのものが低下したから、紹介件数が低下したというそういう解釈で恐らくここで書かれているというように思いますが、それでよろしいかと。あるいは新規求職者の求職活動の頻度が低下しているような統計みたいなものがお手持ちの何かバックデータとしてあったりするのかをお伺いしたいです。
 私がその認識が不足しているのかもしれませんが、ハローワーク以外に例えば民間の紹介等で就職されたりする傾向が、例えばハローワークに登録された方もそういった形で民間を通じて就職された場合には少し競合が発生して、就職率がハローワークの就職率という形では伸びないということもあったりするのか、その辺りを少し御説明を頂ければと思います。

○阿部分科会長 御質問ですので、事務局からお願いします。

○首席職業指導官 御質問は2点あったと思います。1点目は、求職者の方々の求職活動そのものが落ちてきているのではないかということですけれども、我々は当然就職に至るまでの相談率、相談件数なども取っておりまして、実は相談率、1人当たりの相談件数というのは上がってきております。当然求職者の数が減っておりますので、一人一人に手を掛けることができますので、どんどん窓口に呼び込んで相談自体は充実させております。相談率は10%ポイントぐらい上げてきております。その中で紹介件数が実は下がっている、就職の手前の紹介件数が下がっています。ですから、その相談を充実させていながら紹介の実績、就職の手前の紹介の実績が上がっていないということになります。
 これはどういうことかというと、今、精力的に我々、指導官を地方に行かせてヒアリングをやっておりますが、割と多くの労働局のハローワークの現場の窓口で聞かれることなのですが、昨今、非常に雇用失業情勢は良くなってきておりまして、求職者の方が余裕をもっているというか、いい求人が出るだろうというようなことで、ある程度余裕をもって「待ち」をやっておられるのではないかということが言われております。御存じのとおりハローワークというのは、日々多くの求人を受け付けます。ですから、いい求人がポッと出て、その求人はすぐ充足するわけです。ですから、多くの方がそういう求人を、今日出ないか出ないかと待っているという動きが、一部出てきているのではないかというのが1つありました。それが全てではありませんが、引き続き分析を深めていきたい。こういったレベルになりますと、我々としては、にわかに数字には出ないかもしれませんけれども、やはり相談を充実させて、より良い納得感のある就職をしていただけるような相談を充実させていくということかと思っております。
 2点目の御指摘ですが、これは、正しく分析しているわけではありませんけれども、雇用動向調査が毎年ありまして、過去10年ぐらい見ますと、民間経由というのは、かつて1%ぐらいだったのが、現在は4%ぐらいまでいっているかと思います。民間経由の就職というものが増えているということは事実です。ただ、ハローワークのシェアがその間減っているかというと、そうではありませんので、これが直ちに因果関係に結び付くかということは、そのような分析はしておりません。

○太田委員 なるほど、ありがとうございます。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○村上委員 年度目標の考え方について御質問します。問題だと言っているわけではないのですが、これまでは外国人の雇用サービスセンターを経由した留学生の就職件数だけだったところを、定住外国人も含めた目標を今年度は設定するということについてです。先ほど参考資料では定住外国人の方の就職件数が、近年、減少傾向にあることを踏まえて設定したということだったのですが、減少傾向にあるから設定するのかというのは疑問が残りまして、もう少し御説明いただければと思いました。
 なぜ減少しているのかというところで、外国人の方の求職者数が減っているから減少しているのか、あるいは求職者の方はそれなりにいらしているのだけれども、うまくマッチングできないので、目標として設定されているのかというその辺りの理由を、もしあれば教えていただければと思います。以上です。

○阿部分科会長 御質問ですので、事務局からお願いします。

○雇用政策課長 定住外国人の方については、就職件数については、近年、減少傾向にあります。求職者数については、直近で、新規求職者数で申し上げると、留学生の数については増加しておりますが、全体の求職者の数値については、今は手元にありません。申し訳ありません。就職件数について御紹介させていただきますと、2016年度は1万3,745件だったものが、2017年度は1万2,760件、2018年度に1万2,345件(※)ということでして、その地域の雇用情勢が回復してきているということに伴いまして、地域のネットワークを通じて自己就職をされる方とか、そういった方も増えているのではないかと考えております。そういうことでして、引き続きハローワークを利用された方に対しては、就職に結び付ける対策を実施していきたいと考えているところですが、こうした状況を踏まえまして、2019年度の目標を設定させていただきました。
 (※)会議後に改めて精査したところ、正しくは2016年度が1万3,574件、2017年度が1万2,587件、2018年度が1万2,167件でした。なお、2019年度の目標については1万2,345件から変更ありません。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○大臣官房審議官(職業安定担当) 補足をさせていただきます。外国人雇用サービスセンター、マル13の目標は、従来、留学生を対象にして目標を設定しておりました。今回、定住外国人を追加する理由の補足を申し上げますと、もともと留学生を就職件数を目標としておりましたのはグローバルの人材獲得競争みたいな文脈の中で、特に日本を留学先に選んでくれた学生が、日本で就職先を見付けたいけれども見付からなくて帰るといったことを減らしていくことが、政策的意味があるのではないかということで留学生にフォーカスをしていたのです。ただ、外国人雇用サービスセンター事業の対象層全体、あるいは、より広く外国人労働者政策の中で見ますと、留学生というのは総体的にはウエイトが小さいものですから、それだけで事業評価、政策評価を行う指標とするには狭いのではないかという反省をしまして、よりボリューム的に大きな定住外国人の追加をする、そうすると、外国人雇用サービスセンターの主たる対象層をカバーすることになりますので、より適切ではないかと。ただ、留学生は留学生でこのような政策的意味がありますので、目標を置き換えるのではなくて、追加をするという考え方を主に取っているところです。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。

○玄田委員 先ほどの太田委員の御質問とも関連するのですが、先ほどあったマル1の目標ですが、紹介件数が1年間で、数にすると76万件の減少というのは、その割合という問題を超えた、やはり相当大きなインパクトです。なぜ1年間で76万件もハローワークの紹介が減ったのかということを、かなり深刻に考えるべき問題ではないかと思っております。先ほど御説明があった、どちらかというと、労働者がより良い条件を待って、すぐに就職に飛びつかなくてというのは、ある意味では非常にそれだけの余裕ができてよかったということかもしれませんが、例えば資料1-2の4ページのマル3の所を見ると、一番最後に、「正社員希望求職者数も前年以上に6.4%減少」ということで、そもそも正社員という条件を求めている人が増えているわけではなく、場合によっては減っているという、この辺りを総合的に考えると、今、ハローワークで仕事を求める人たちが何を求めて、どういう紹介を求めてハローワークに期待をしているかということを、より精査に分析する必要があるのだろうと思っています。全く簡単には言えないのですけれども、この数字だけ見ると、1つの仮説としては、正社員というものにこだわらない労働条件の改善というのを求めている可能性があって、今まではどちらかというと、やはり正規雇用化というのが安定化の1つということでいろいろな政策、雇用政策をなされてきた部分も、キャリア形成助成金等、多々あったと思います。もし、この今の2つのことが正しければ、必ずしも労働者は正社員ということではないけれども、比較的働きやすい環境とか、正社員ではなくても、ある程度の賃金は確保したいとか、そういう複合的なニーズから、今、ハローワークに通っているとするならば、やはりこれまで目指してきた雇用政策だけではない必要性が出ているのかもしれないと。
 先ほど御指摘があった、実際にハローワークの現場で紹介されている方の声、ヒアリングをされるのも、極めて大事だと思いますが、やはり研究の分野でも紹介件数というのが一体どのようにして決まるのかということは私が知る限り、まだ十分な研究はされていないので。できればこの辺も、1つのテーマとして「紹介」というものがどういう状況で伸びるのか、果たして「紹介」は本当に増えることがいいのか、先ほど御質問があった「紹介の質」というのはどういう状況が質の改善につながるのかということは、是非、今回の数値から、少し時間を掛けてじっくりと検討いただきたいと私からも要望を申し上げたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御質問、御意見がないということであれば、こちらの議題はこれで終了とさせていただきたいと思います。各委員におかれましては、本日、御指摘の点以外にも、もし、追加で御意見等がありましたら机上に配布されております意見記入用紙、あるいはメール等で、8月16日(金)までに事務局まで御提出をお願いしたいと思います。それで、当分科会としての2018年度の評価並びに2019年度の目標設定については、本日の議論と、これから追加で御提出いただく御意見を踏まえて、私と事務局で相談し、その上で取りまとめていきたいと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。

       (異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
次の議題に移ります。2018年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組についてです。それでは、事務局から説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 議題2ですけれども、タブレットのマル7の資料ナンバー2を御覧いただければと思います。この議題は、この資料だけで御説明させていただきます。まず、表紙に表題があります。次のページの「平成30年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組」を、私どもではいわゆる「ハローワーク総合評価」と言っております。そちらの大きな縦組み、概要について簡単に御説明いたします。
 ハローワークのマッチング機能に関しては従前から、内部のほうでも目標管理などを行っていたわけですが、平成27年度からそちらを、かなり大幅に拡充しております。左側の青い枠を御覧いただければと思います。従来、平成26年度までは就職率等の主要指標に基づいて、ハローワークの中でPDCAサイクルによる目標管理を行っておりましたが、平成27年度からは業務の質に関する補助指標や、ハローワークごとに地域の雇用の課題を踏まえ、重点とする業務に関しての指標である所重点指標、そして直接マッチングの件数ではありませんが、マル3の中長期的なマッチングの機能の強化のために、職員の資質の向上や継続的な業務改善の取組を推奨する評価項目、所重点項目といった項目をまず追加し、平成27年度から始めております。
 また、ハローワークがきちんとマッチング機能の評価をしているということを、よく見える化していく必要があります。真ん中のほうの欄にありますように、ハローワークの総合評価の指標のうち、主要指標については各労働局のホームページで毎月、その進捗状況を公表するとともに、最終的な結果については例年、こちらの分科会に御報告した後、地方労働政策審議会のほうにも御報告します。その後の詳細な結果については、全て各労働局のホームページで公表しているという形でやっております。
 また、チェックアクションということで、評価結果に基づく全国的な業務改善があります。評価結果に基づき当然、本省・労働局のほうから業務改善の指導も行います。特に評価の段階として、相対評価で4段階で評価しておりますが、残念ながら一番悪い評価をしてしまったハローワークについては、業務改善の計画を作っていただき、更に徹底的に指導します。あと、こういうハローワークの総合評価をするに当たり、業務改善の非常にいい取組についても集めております。そちらについては全国で展開し、ハローワーク業務の底上げを図っているところです。
 2ページが、総合評価の評価指標の構成です。大きく1番と2番があり、全てのハローワークが課されている評価指標と、地域の雇用課題等に応じて、ハローワークの所長が選ぶ項目とに分かれております。そのうち1番の主要指標のほうは、就職者数や求人充足数、雇用保険受給者の早期再就職件数といったもの、また補助指標という形で、一種の質を測定する評価指標ということで、求人・求職者に対する満足度、紹介率などを取っております。
 2番は、所長の判断で地域の雇用課題等に応じて選んでいるものですけれども、そのうち(1)の所重点指標のほうは、より就職者件数などをブレークダウンし、生活保護受給者の就職件数や障害者の就職件数といった、より細かいカテゴリーの件数をまとめております。(2)では中長期的なマッチング機能の向上のために、直接就職件数ではないのですが、職員の資質向上や継続的な業務改善に関する取組の評価指標として、例えば2番目にあるようなキャリアコンサルティングの研修を受けて、職員の資格を取っていただこうという話とか、3番目にあるように、今正に求職者が減ってきておりますので、そういった中で手厚く相談をしていく必要がありますから、個別求職者の担当制を持ってやっていこうといった項目でまとめております。
 続いて3ページの具体的なハローワーク総合評価の方法です。まず、年度単位で実施するということです。あと、ハローワークは全国に400~500ありますが、労働市場の状況や業務量の大きさを踏まえ、同じぐらいのハローワークの属性のものを11に大分けした上で、各指標ごとに点数化をして、その11のグループの中で相対評価を行うという形にしております。
 この点数の付け方ですが、下のほうに例として書かせていただいております。評価指標のうち、就職件数的なものの主要指標・補助指標・所重点指標については、指標ごとにある点数が決められています。例えば、この指標を全部目標達成したら100点というように、点数が決まっているのですが、それに目標達成率を掛けるような形にしております。マル1の下の例を御覧いただきますと、例えばA指標の満点の点数が100点、目標達成率が105%とすると、100点×105%=105点という計算をします。その後にマル2として、100%以上目標を達成した場合は追加点があります。その後にマル3として所重点項目ということで、キャリアコンサルティング資格の研修を受けさせたとか、直接件数ではないのですけれども、中長期的な資質の向上のために取り組んだ場合は、こちらに一定の点数を与え、その点数を全部積み上げるという形で、各ハローワークに全部点数を付けます。付けた上で4段階の相対評価を行っております。
 続いて4ページを御覧いただければと思います。そういった形で、全国のハローワーク全てに点数を付けた上で、相対評価なので平均点より上のほうを類型1、類型2として、平均点より下の所を類型3、類型4としております。そして平均点以上のうち、全ての評価指標が大体100%以上達成したハローワークが類型1です。一方で、グループの平均値より80%を下回ってしまったような所を、類型4という形にしております。平成30年度の結果ですけれども、左下のオレンジ色の枠を御覧いただければと思います。平成29年度と比較いたしますと、まず類型4という形で、相対的に一番パフォーマンスが良くなかったハローワークの数が、今回3から0ということで0になっております。また、類型1が10から12と増えており、類型2も197から212と増える一方で、類型3が227から213と減っておりますので、全般的には垂直方向に上昇していると考えております。
 次のページのハローワーク総合評価のほうですが、私どもとしてはこちらを評価するに当たり、やはり平均値がずっと上がっていくことが重要だと考えているというのが、まず1点あります。続いて、ハローワークは全国一律の雇用のセーフティーネットでもありますので、なるべくハローワークによって点数のばらつきが少ないほうがいい、標準偏差や変動係数が少ないほうがいいと考えております。
次のページの右分けの青い表には、全体でハローワーク総合評価の平均値の変動係数が書かれております。平均値は平均値です。変動係数はばらつきを表しているもので、平均値が高ければ高いほどいいです。変動係数はばらつきですので、数字が小さいほどいいのです。数字の脇に右括弧でパーセントを書いておりますが、こちらが昨年度と比べて増えたか減ったかというものです。
 そこで平均値の全体の一番右枠、ポイント総計の一覧を見ていただきますと、ポイント総計が1,061点で100.4%と書いてあります。これは昨年度より僅か、全体として平均値が上がっているということです。そして変動係数のばらつきのほうですが、こちらもポイント総計の一番右下のほうを御覧いただきますと、6.26(93.3%)となっています。これも昨年度の変動係数と比べると93.3%の数字になっているということで、ばらつきも減ってきておりますので、全体的には平均点を僅か上がっておりますし、ばらつきも小さくなってきていると考えております。
 先ほど、11のグループに分けて総合評価を行っているというように御説明いたしましたが、大きさでは大きく5つに分けております。この5つごとに上記の表を踏まえ、図の形でグラフ化しております。最大規模グループの1Gという表を参考として、見方を御説明させていただきます。縦軸と横軸があって、縦軸のほうに主要指標・補助指標・所重点指標とあります。いわばマッチング自体の件数に対する総合評価の点数の平均点を軸でやっております。横軸がキャリアアップコンサルティングの資格の取得とか、所重点項目の平均点を縦軸で表しております。オレンジ色が平成29年度で、青色の点線が平成30年度です。一番いいのは縦軸が右方向に行き、横軸が上方に移動する。この四角は、原点から標準偏差を縦横に書いたものです。要は、この四角の面積が小さくなればなるほど、ばらつきが小さくなっているということですので、ベストとしては縦軸が右に行って横軸が上がって、四角が小さくなった上で右上方に行くのがいいと考えております。
 1グループを例に見ますと、縦軸が右ではなくて、若干左側のほうに移動してしまっております。これは先ほど年度目標のほうでも御報告がありましたが、就職者数、求職者数が減っている関係もあり、そこのほうがちょっと弱くなっております。一方で所重点項目のほうは、しっかり取組が上がっておりますので、横軸のほうが上昇しているということです。四角のほうですが、1グループだと余り四角が小さくなっていません。しかし7ページの左側の表、これが一番小さい小規模グループの表ですが、こちらを見ていただきますと、四角が明らかに小さくなっていると思います。こういった形で図示しております。いずれにしても引き続きハローワーク総合評価を付けていく中で、平均点を上げていく、あるいは分散を小さくしていくという観点から、取組を進めていきたいと考えております。
 例年、ハローワーク総合評価の取組の中で、業務改善の好事例を御紹介しております。今年度も4つほど紹介させていただこうと考えております。昨年度の実績ですが、皆様も御案内のとおり、正に今、求人が求職を大幅に上回るという状況でもありますので、ハローワークとしては可能な限り、求職者の来所を多くするような促しをするとともに、マッチングをするためにハローワークの職員などが求人企業によく足を運んで、求職者のニーズを伝えた上で、求人の条件なども見直してもらうような形にしております。その後は新しくなった求人条件で、改めて求職者に職業相談をするという形で丁寧にやりながら、1人でも多くの方をちゃんとマッチングをして充足率を上げるという形で、地道な取組を進めているわけです。
 今回御紹介するのは、特に求職者をハローワークへ来所させるような取組について御案内をしたいと思います。8ページが1つ目の例、新潟局村上所です。求職者を集めるための工夫として、ピンク色で囲んでいる所ですけれども、まずコンテンツとして「担当者から一言」ということで、求人のアピールコメントを入れた周知用リーフレットを入れて、まず求職者を引くようなリーフレットをお作りするとともに、周知の仕方として新潟局のほうで、市内52か所に配布してあるウイークリー情報誌にもアピールコメントを掲載する。あるいは潜在求職者や安定所の未利用者に、ハローワークに足を運んでもらうことも重要ですので、いろいろな媒体にQRコードを掲載して、スマートフォンですぐに情報が飛ぶような形にしました。現場の話では、QRコードのほうが若者に非常に好評で、結構使われているといったお話がきております。それが1つ目の事例です。
 9ページが2つ目の事例、奈良局の下市所です。ピンク色の所にありますけれども、1月と2月に「紹介・窓口呼び込み強化月間」という月間を設けております。「来所勧奨予約相談」「受付からの声掛けによる窓口誘導」と書いてありますが、例えばハローワークに求職登録をされた方でも、その後、なかなか求職の相談に来られない方にお電話やお手紙で来所勧奨をするとか、積極的にこちらのほうから、職業相談を予約しませんかというような声掛けをする、あるいは受付の声掛けというのは、ハローワークには求人の検索機がありますが、往々にして求人の検索機だけを利用して帰ってしまうお客さんがいます。そういった方にきちんと声掛けをして、窓口のほうに誘導するような取組です。それについてハローワーク下市所のほうでは、ちゃんと4チームに分けて目標件数を定め、目標管理をして多くしようとしたということです。
 3番目が沖縄局八重山所ということで、石垣島にある所です。こちらでは周知の仕方として、石垣島にあるほぼ全てのメディアを使いました。ダイレクトメールや電話、地方新聞社、地元の情報サイト、ラジオ局、ケーブルテレビなどにも依頼して広く周知を行ったということです。
 新規求職者は全国的に減ってきてはいるわけですけれども、今挙げた3つの所については、対前年で上昇している、あるいは減っていても全体よりは減少を縮めているという形で、ある程度のお客様を確保しています。それと同時に、お客様を確保しただけで充足できない所もあるわけですが、充足率が全て対前年より上がっているということですので、ある程度お客さんを確保しながら、充足も高めているという例です。
 最後の4番目の例が、島根局益田所です。こちらも丁寧なマッチングのために、いろいろなサービスをしているのですが、特記すべき点としてはピンク色の所で、地方公共団体が誘致した企業等の会社説明会の定期開催です。当然、私どもハローワークも地方自治体と連携し、しっかり雇用対策に取り組んでいかなくてはいけませんので、特に自治体が誘致した企業の求人の充足には、力を入れているわけです。島根県や益田市の誘致企業としては、2つの誘致企業があります。1つが半導体加工関係の会社で、もう1つがコンビニエンスストアに食料品を提供する、食料品製造業の会社です。
 こちらも求人のベースでは、合わせて50人ほどの求人だったのですが、結構大きな求人だったこともあり、ハローワークも総力戦で求人充足に取り組むために、誘致企業の会社説明会からマッチングまで全力を尽くしたところ、何とか充足率100%を達成しました。実際は100%以上で、50人の求人が出たのですが、52人採用いただきました。いずれにしても私どもとしては今後、こういった好事例も含めて全国のハローワークに展開し、引き続きハローワークのマッチング機能の向上に努めていきたいと考えております。

○阿部分科会長 それでは本件について、御質問や御意見がありましたら御発言ください。

○髙松委員 今、好事例のお話もいただきましたけれども、それぞれの地域が抱えている課題をうまく改善したためでしょうか、ハローワーク職員の独自の工夫というのですか、そういうものも感じられました。その結果だろうと思いますが、スコアが上がっている所については、非常に評価したいと思います。
 一方で、毎年お願いしていることですが、数値のみをもってそれぞれのハローワークの評価を機械的にするのは、リスクが伴っているのではないかと思っています。というのは、やはり民間業者ではありませんから、公共機関として全ての求職者に寄り添うことが求められます。例えば障害者もそうですし、外国人もそうです。全ての求職者に寄り添うところが、非常に大切であろうと思っておりますし、それがハローワークの強みであると理解しております。
 そういう中で、1ページにも概要が書いてありますけれども、PDCAサイクル、目標管理の関係では、統括職業指導官を中心に、かなり事務負担が増えているというお話も聞きます。やはり公務の障害者問題があったり、毎月勤労統計の問題に端を発するような、追加の給付業務もここ最近は増えているということでは、例外的にも作業量が増えていらっしゃるので、そこに人員を割くような状況があるのではないかということを想像しているのです。そういう中で、外国人の受入れや就職氷河期30万人という話もあります。そういうものの対応をはじめとして、新たな課題の解決がどんどん増えていくであろう時期ですので、是非適正な人員をお願いしたいと思います。また、就職状況がいいということで、人員削減の話もしますけれども、そこについては当然、適切な人員を配置していただくということと、職場環境の整備についてもしっかりお願いしたいということを、意見として言わせていただきたいと思います。

○阿部分科会長 では、御意見として承ります。ほかにいかがでしょう。

○正木委員 今の業務改善好事例の沖縄局八重山所の中で、「年金と賃金の併給について」という講座があって、これは非常に面白いなと思いました。先ほど林委員は、これからシルバー人材センターはどうなるのだろうというお話でしたけれども、70歳までの就業機会確保という議論の中で、地域の仕事とか、年金をもらいながら短時間で働くとか、生きがいのために働きたいという人が増えても、企業ではそういうニーズへの対応が難しいため、シルバー人材センターやハローワークにおいて、特に地域の仕事が増えてくるのではないかと思います。そういった方のニーズを考えると、正に年金との併給という知識は非常に重要ではないかと思います。そういう意味ではハローワークだけで取り組むのではなく、いろいろなシルバー人材センターとの連携で、こういった講座をやっていただいて、働く人のニーズを踏まえた対応をしていただくのが、非常にいいのではないかと思います。

○阿部分科会長 ほかにありますか。特になければ、この議題はこれで終了させていただき、次の議題に移りたいと思います。次の議題は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についての諮問です。本件については8月1日付けで、厚生労働大臣から諮問を受けており、同日行われた雇用対策基本問題部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。それでは資料及び部会での議論について、事務局より御説明をお願いします。

○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課です。資料については資料3-1、資料3-2とありますが、資料3-2を使って説明いたします。在留管理基盤の強化に向けた対応についてです。今回、職業安定分科会にお諮りする内容ですが、まず背景から説明させていただきます。昨年、平成30年12月25日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議というものが開催され、その場で「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」という文書が取りまとめられました。この中に、本日お諮りする内容が政府の方針として記載されているということです。
 4の(2)在留管理基盤の強化という所です。現状認識としては、4月1日から特定技能外国人という新しい在留資格が設けられたことにもありますように、今後外国人材の受入れというのがますます拡大し、その活動も多岐にわたっていくと考えられること、外国人材の在留状況・就労状況等を正確かつ確実に把握し、的確な在留管理を行うことがこれまで以上に重要になっていくということが示されています。その上で具体的な施策として何をするかですが、法務省が把握する外国人情報、厚労省が把握する外国人雇用状況届出情報が突合できないような事案について、両省間できちんと情報共有を行って、雇用主に対して届出義務を履行していただくように取組を進めていきます。
 また、本日省令改正としてお諮りする内容ですが、法律に基づいて、現在外国人の労働者を雇い入れたとき、またその方が離職したときには、ハローワークに対して届出を出していただくことになっています。これが、外国人雇用状況届出ですが、この届出事項に在留カード番号を追加させていただきたいということです。在留カード番号と言うのは、このポンチ絵の右下の所に在留カードのサンプルがありますが、カードの右上の所にある12桁のアルファベットとアラビア数字です。この番号を届け出ていただきたいということです。
 その上で、この番号を含めて外国人雇用状況届出情報を法務省、厚労省の両省で共有して、両省の持っているデータを突合し、より一層適切な雇用管理、在留管理を図ることとしたいということです。そして、この内容については、平成31年度中に所要の措置を講ずるというのが政府の方針で、もし本日この職業安定分科会で妥当とお認めいただきましたら、速やかに省令改正をいたしまして、その上で半年程度の周知期間を取りたいと思っております。その上で、下の対応の所に書いていますが、年明けの3月にこの省令を施行させていただきたいと思っております。また併せて必要なシステムの改修を行っていきたいと考えています。この資料の2ページ目を御覧ください。具体的に様式に即して申しますと、左側の様式が現行の様式ですが、右側が改正後の様式で、在留カード番号の12桁を追加したいという内容です。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら御発言ください。

○正木委員 本件、この法務省と厚生労働省の連携を是非深めてほしいというのはいろいろな場面で私も申し上げておりまして、追加するというのは非常によいことだと思っております。
 ここの具体的施策の中にある「より適切な雇用管理、在留管理」というのが、一人一人のことを管理するという意味もあると思われますが、一方で、例えば技能実習をやられた方が特定技能に移るといった場合に、実習を受けた技能が定着または深まっているか、特定技能の外国人が日本国内で地域や職場をどう移動するかということもで把握することで、地域での就労定着に向けた施策等のよりよい施策につながるように、是非この連携を活用していただければと思います。以上です。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

       (異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

       (報告文案配布)

○阿部分科会長 それでは、お手元に配布されました報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

       (異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。
 では、次の議題に移ります。職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(諮問)です。本件については、7月29日付けで厚生労働大臣から諮問を受けており、同日に行われた労働力需給制度部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。それでは、資料及び部会での議論について、事務局より御説明をお願いいたします。

○派遣・請負労働企画官 派遣・請負労働企画官の堀と申します。よろしくお願いいたします。資料4-2を御覧ください。本年の10月1日より、消費税率が8%から10%に引き上げられることに伴いまして、上限制手数料を採用している有料職業紹介事業者において、消費税負担が増える分、求人者・求職者へのサービスの低下などの影響が生じないようにするため、手数料の最高額の見直しを可能とするものです。具体的な手数料の算出方法については、「参考 手数料率の考え方」という所にございますが、消費税が5%から8%に引き上げられた際と同じ考え方に基づいております。また、課税事業者と免税事業者で分かれておりますが、免税事業者についても、自ら消費税を納付する必要はありませんが、事業運営に必要な物品等の仕入れについては、消費税増税分の負担が増えることから、その点を考慮して見直しを行うこととしております。こうした考え方で計算した結果として、改正の内容の所の表にあるとおり、手数料の最高額の見直しを行いたいと考えております。
 施行期日については、消費税の引上げと同日の令和元年10月1日、併せて建設業務有料職業紹介事業者が徴収できる手数料の最高額についても同様の見直しを行うこととしております。
 本改正の要綱については資料4-1のとおりですが、7月29日に開催の労働力需給制度部会において御審議いただき、妥当である旨、部会報告をまとめていただいておりますので、御報告をいたします。御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見等がございましたら御発言ください。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

       (異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。

       (報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

       (異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。
 では、最後に「その他」です。事務局より資料5について御説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長の宮本です。よろしくお願いいたします。資料5を御覧ください。「その他」として、今年6月に閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針と成長戦略実行計画について、職業安定局に関係する主な事項を御説明いたします。本資料につきましては、職業安定局に関係する主な事項を抜粋したもので、該当箇所には下線を引いてございます。適宜御参照ください。
 まず1ページで、骨太の方針についてです。第2章の1.の(2)全世代型社会保障への改革に位置付けられたマル1 70歳までの就業機会の確保、マル2中途採用・経験者採用の促進についてまとめたものです。秋以降、法改正も含めた議論として、関係部会で御議論いただく予定としております。
 続いて、2ページ目を御覧ください。2の(3)のマル1就職氷河期世代支援プログラムについてまとめたものです。左側の「基本認識」の中程にありますとおり、政府全体の取組目標として、3年間で就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増やすことを目指すとされております。職業安定局としては、骨太の方針に先立ちまして、厚生労働省として取りまとめた就職氷河期世代活躍支援プランに取り組みますとともに、骨太の方針において示されている取組を着実に実施してまいります。具体的には、「施策の方向性」にあるとおり、きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立として、ハローワークに専門窓口を設置し、キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、職業訓練の助言、求人開拓等の各専門担当者がチームを結成し、就職から職場定着までの一環した支援に取り組む。右上の下線部ですが、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立として、出口一体型のプログラムや民間ノウハウを活用した教育訓練・職場実習を求職者支援法の公共職業訓練等に含まれる、雇用保険法第63条第1項第3号の職業講習と位置付けて、職業訓練受講給付の給付対象とし、安心した受講に向けた支援を行いますとともに、民間ノウハウの活用として、専門ノウハウを有する民間事業者に対する成果連動型の委託により、教育訓練・職場実習等を行い、安定就職につながるための支援などに取り組んでまいります。
 御説明した事項につきましては、主に2020年度予算の概算要求を予定しておりますが、今年度から現体制で可能な範囲で先行的に取り組むことといたしまして、一部の労働局では、現にハローワークに就職氷河期世代を対象とした窓口を設置しております。今後、可能な範囲で順次広げていく予定です。
 併せて、年齢制限禁止の例外事由として、国の施策として、今申し上げましたハローワークへの窓口設置を位置付け、就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった方に限定した求人、年齢不問求人の中でも就職氷河期世代を積極的に採用する企業の求人票への「就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった方歓迎」などの記載を可能とし、ハローワークの専門窓口等において、就職氷河期世代を対象とした求人の積極的な受理・紹介を行うことができるよう、見直しを検討してまいりたいと考えております。
 続いて、3ページですが、外国人材の受入れとその環境整備等についてまとめたものです。左側です。外国人労働者数が過去最高を更新している中で、新たな在留資格の創設も踏まえ、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策及びその充実の方向性に基づき、政府一体となり取組を進める。そのほか右側ですが、障害者雇用の促進等に関しても引き続き取り組むとともに、雇用保険料と国庫負担の時限的な引下げの継続等に検討するとされております。4ページは、成長戦略実行計画の抜粋ですが、骨太の方針とおおむね同様の記載ですので、説明は割愛いたします。
 職業安定行政については、今申し上げた事項に限らず様々な検討課題がございますので、委員の皆様方に御指導いただきながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。議題5の説明は以上でございます。

○阿部分科会長 本件につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言ください。

○正木委員 私の通常取る立場としては、予算執行に当たっては目標をしっかりと立てて、PDCAを回して、めりはりを付けて執行してくださいということです。しかし、就職氷河期対策については、3年間で30万人の正社員化という数値目標があるわけですが、支援されている現場の方々にお話を伺うと、普段、氷河期世代に年齢を区切って支援をしたり、引きこもりになった理由を限定しているわけでもないので、生きづらさを抱えた方々の生活支援、就労支援に懸命に取り組んでおられると感じております。
 行政の窓口でも、各地の労働局、就労支援窓口、生活支援窓口に対して、氷河期世代の就労に関する数値目標の達成を強調する余りに、例えばリーマンショック後の世代は対象外とするとか、ほかの理由で引きこもりになった方を氷河期世代ではないからといって排除しないように注意して進めていただければと思います。例えば、学校でいじめを受けてひきこもりになった方を支援している方々は、氷河期で就職できずにひきこもりになった方も応援されています。救いを求めてきた人に対し、氷河期世代ではないからといって排除されたら、二度と帰ってこないではないですが、大変なことになってしまうと思いますので、そこだけは注意して進めていただければと思います。以上です。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○村上委員 先ほど御説明いただいた骨太の方針関係について、3点申し上げたいと思います。1点は、今、正木委員からもあった就職氷河期世代の問題でして、これについて政府として課題解決に向けて本格的に動き出すということです。また、今年度からできることはやっていかれるという御説明がありまして、そのことについては是非お願いしたいと思っております。
 ただ、その際に気になる点として、1点は、民間のノウハウの活用もするということで、成果に連動する形での業務委託ということがありました。こういった施策を展開されるときに懸念されることとしては、比較的就職しやすい方、求職者を見付けてきて、成果を挙げていくといったようなことが起こるのではないかということが危惧されますので、そういうことがないように仕様などでしっかりとやっていただきたいと思っております。
 それから、口頭での御説明の中で、労働施策総合推進法では募集時の年齢制限は原則的に禁止となっているけれども、今回、就職氷河期世代については、そういった方々を限定するような求人、あるいは歓迎するような求人については、年齢差別の禁止の例外的な扱いにされるというような御説明があったと思いますが、そのことについて、年齢差別禁止との法的な考え方について御説明を頂ければと思っています。
 2点目は、70歳までの就業機会の確保についてです。これについては意欲ある高齢者の方々が、年齢に関わりなく働き続けることができる環境整備をしていくことは重要であると思っています。別の場で本格的に議論していくことになると思いますので、その際に積極的に議論に参画していきたいと思っておりますが、1点、多様な選択肢として様々な例示がされておりますが、私どもとして、多様な選択肢の中では多様な就労形態や、多様な労働時間といったものも重要だと思っております。これは高齢者に限るものではなく、治療と仕事の両立ができるといった環境も、併せて整備していくことが重要だと思っておりますので、そういった観点から議論に参加していきたいと思っております。
 3点目ですが、少し御説明があった雇用保険における国庫負担の引下げの継続等についても検討することとについてです。雇用保険の国庫負担というのは、雇用対策に関する政府の責任を示すというものでもありますし、また引下げについては3年間の時限措置としてされてきた経過からしますと、こういったことは筋違いではないかと思っておりまして、そのことについても、そういった姿勢で議論をしていきたいと思っています。以上です。

○阿部分科会長 それでは、1点目については御質問があったと思いますので、お願いします。

○雇用政策課長 御質問としまして、年齢制限の禁止の法的な関係につきましてありましたので、そちらについて御説明させていただきます。労働施策総合推進法第9条において、労働者の募集等の際の年齢制限については原則として禁止されています。同法の施行規則第1条の3において、年齢制限が認められる場合を定めているところとなっています。そうした年齢制限が認められる例外事由の1つとして、60歳以上の高齢者、又は特定の年齢層の雇用を促進する施策として、こちらについては国の施策を活用する場合に限るとされておりますが、こちらの対象となる者に限定して募集・採用する場合といった規定がございます。
 こちらの例外事由について具体的に定めているものについては、こちらは施行通達のほうで、この項目に該当する国の施策を定めているところで、特定の年齢層に属する労働者を雇入れた事業主に対する助成金の支給事業及びこれに準ずる事業のみとしているところです。
 こうしたところではありますが、この例外事由については、就職が困難な年齢層の方々の雇用を促進するといった目的のためのものです。就職氷河期世代に対する取組については、正にこうした取組ですので、今般、このハローワークにおける就職氷河期世代を対象とした窓口について、新たに国の施策という形で施行通達のほうに位置付けることを検討しているところです。法的な関係については以上です。

○大臣官房審議官(職業安定担当) もう一点、就職氷河期の関係で村上委員から、民間委託事業が骨太方針の中に記載されていますが、これについて成果連動型ということは方針の中で書かれているわけですが、それが成果を重んずる余りに支援しやすい、就職させやすい方に集中するのではないかという御懸念がございました。
 これは本事業に限らず、成果目標を強調しすぎた場合にいろいろと懸念されることの1つでありまして、その点は正木委員からも同趣旨の御指摘があったと思います。
 民間委託事業については、成果連動型とするにしても、成果の連動による額の増減をどのぐらいの傾斜にするかによっても、そういうバイアスが強く働くかどうかということがあると思いますし、また仕様書の中で、ほかに成果連動型でやっている他の事業もございますので、どのような工夫をしているのかなども見ながら、御懸念のようなことが起こらないような形で運用できるように配慮していきたいと思っております。

○阿部分科会長 いずれにしても、本件は全て基本問題部会あるいは当分科会で今後も議論していくことになると思いますし、また、その進捗状況についても都度御報告いただければと思いますので、今後ともまた議論が進むということで御認識いただければと思います。ありがとうございました。

○玄田委員 氷河期30万人の件で、30万人という評価の仕方がたくさんあって、3年後の時点で、いわゆるネットで純増した30万人というのが恐らく一番狭い見方だと思うのですが、一方でグロスと言うか、つまり30万人が正社員として働くという機会を得たということも、30万人としては当然考えられるわけで、あとは3年後のある時点で正に正社員であるのか、少なくともいろいろな努力で一旦でも正社員として働いた機会があるのか。あと、この正規雇用というのが、昔の言い方で言うと「ピカピカの正社員」ということになるのでしょうけれども、非常に狭い意味での正社員なのか、多様な正社員も含めているのか。いろいろな測り方があって、それを進捗を含めてしっかりと示すことが、厚生労働行政の中では特に大事だと思うので、30万人という枠の評価の仕方については、是非柔軟な評価の設定の仕方と、進捗の提示というのを是非検討いただきたいと思います。

○大臣官房審議官(職業安定担当) 今の御指摘の点ですが、骨太方針で書かれていることを文言として読みますと、ネットとグロスと言うか、あるいはフローとストックと言うかはありますが、3年後にこの年代の正社員が30万人ストックとして増えていることを目標にしているのだと思います。ただ、目標はあくまでもと言うと語弊がありますが、目標ですので、実際の事業運営に当たっては、御指摘のような、先ほどあったような絶対視しないことも必要だと思っていますし、また正社員という概念についても、特にこういった層の方々が、これまでずっと不安定な就労状態にいたことによって、非常に生きづらさとか苦しさを感じていたことを考えると、安定した仕事ということに価値があるのではないかと考えると、いわゆるピカピカの正社員という概念もありますが、雇用期間として無期であることが1つ、そこに到達できればいろいろな面で改善するのではないかという考え方もあり得ると思います。
 そういったことも含めて、正社員30万人という目標をどういう形で個々の事業を推進する中で目指していくかについては、現に支援対象となる方々にとって何がいいかを考えながらやっていきたいと思います。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○森下委員 今日いろいろと御議論を伺っていまして、昨年に決められた働き方改革に基づいて、我々は小企業事業者の代表という立場で伺っておりますが、非常に環境が変わって、今全ての小規模な事業者はいろいろな働き方の仕組みをどうやって改善していこうかということで模索している最中だと思っています。
 また、今回閣議決定した成長戦略という新しい計画が始まるということですが、まず1つは、これに関するタイムスケジュールはどのように想定されているのでしょうか。我々のような小規模な事業者の団体、また小さな会社というのは、少なくとも今日いろいろと御議論のあった中で、働く環境作りというのは非常に検討していまして、例えば正社員の方、パートタイムの方、そういう方も一応平等に、福利厚生の面でも扱って、とにかく働いてほしいと。職場を提供するので来てくれないかという気持ちでいっぱいなのですが、実はなかなか応募が少ないというのが実情です。全国の方に聞いても、応募をしても集まらないと、とにかく若い方もお年寄りの方も、なかなか来てくれない。そういう中で、我々は、なるべく大企業の方と同等な環境を提供して、かつ利益も出さなければいけないというジレンマに陥っているところなのですが、そういう意味では、ちょっと社会情勢も厳しい折ですので、いくら景気はよくなったと言っても、小さな会社に対するビジネスの環境というのはそんなに生易しいものではないというのを分かっていただきたいということです。
 先ほどちょっと話したように、1つは新しい戦略に基づくタイムスケジュールの問題、それといろいろな話があった中で、小規模事業者に対応するような環境整備の問題も含めて、これからの施策を進めていただきたいなと思ったところです。

○阿部分科会長 タイムスケジュール感についていかがですか。

○大臣官房審議官(職業安定担当) タイムスケジュールについて申し上げます。今回の骨太方針、成長戦略に盛り込まれた内容の中で、特に中小企業も含めて法律的にいろいろお願いをしていくような内容としては、高齢者雇用がございますが、これについては骨太方針でもタイムスケジュールまでは定められておりませんので、改正の大きな方向性だけが書かれたという状態になっていますので、タイムスケジュールも含めて、またそういった施策を進めていく上で法律上どうするのかというのとはまた別に、予算も含めた支援策をどうするかということも併せまして、この審議会の関係の部会でもって、これから御議論を頂くという段階です。

○阿部分科会長 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、本日予定されていた議題は以上で全て終了いたしました。委員の皆様から、何か発言等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録ですが、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の林委員、使用者代表の河本委員にお願いしたいと思います。
 本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。以上で終了させていただきます。