2019年9月11日 第44回労働政策審議会 議事録

 

 
2019年9月11日 第44回「労働政策審議会」議事録  
 
1.日時 令和元年9月11日(水) 12:59~15:03
 
2.場所 厚生労働省専用第22会議室(18階)
 
3.出席者
  公益代表委員
  鎌田会長、阿部委員、奥宮委員、小杉委員、城内委員、守島委員
  労働者代表委員
  相原委員、岸本委員、中川委員、難波委員、野田委員、安河内委員、山中委員、山本委員
  使用者代表委員
  伊藤委員、井上委員、浦野委員、淡輪委員、冨田委員、中西委員、中野委員
  事務局
  新谷大臣政務官、土屋厚生労働審議官、田中総括審議官、松村会計管理官、坂口労働基準局長、
  小林職業安定局長、藤澤雇用環境・均等局長、定塚人材開発統括官、伊原政策統括官(総合政策担当)、
  鈴木政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)、山田政策立案総括審議官、田中政策統括官付参事官
 
4.議題
  (1)令和2年度予算概算要求等について
  (2)分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果等について
    (3)労働政策基本部会報告書について
      (4)その他
 
5.議 事
○鎌田会長 定刻より少し早いのですけれども、委員の皆様、おそろいだということですので、ただいまから第44回「労働政策審議会」を開催いたします。
本日は、新谷政務官も御出席いただくことになっておりますが、所用により途中からの御出席となります。
また、浦野委員におかれましては、所用により途中で御退席されると伺っております。
それでは、議事に入ります前に、本日の審議会の説明はタブレットで行いますので、事務局から説明をお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 事務局、政策統括官付参事官の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
厚生労働省、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しておりまして、本日の審議会もペーパーレスで実施させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それぞれお手元にタブレットを配付しておりまして、使用方法につきましては操作説明書をこのような形で机上に配付してございます。ページ数の多い資料をごらんいただく際に、スライドせずに任意のページを指定して表示する方法につきましては、操作説明書の裏面の2(2)にございますので、こちらのほうを御参照いただければと思います。
また、御不明な点がございましたら、お近くの職員にお声がけいただきますようによろしくお願いいたします。
○鎌田会長 続きまして、本年8月23日付で使用者代表委員の2名の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介させていただきます。
資料1の「労働政策審議会委員名簿」を御参照ください。
三井化学株式会社代表取締役社長執行役員の淡輪委員でございます。
○淡輪委員 淡輪です。よろしく。
○鎌田会長 よろしくお願いいたします。
本日は御欠席ですが、東京ガス株式会社常務執行役員の岸野委員です。
また、事務局に異動がございましたので、報告をお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 本年の7月9日付で事務局に異動がございましたので、御報告させていただきます。
まず、厚生労働審議官の土屋でございます。
○土屋厚生労働審議官 土屋でございます。よろしくお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 総括審議官、田中でございます。
○田中総括審議官 田中でございます。よろしくお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 職業安定局長、小林でございます。
○小林職業安定局長 小林です。よろしくお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 雇用環境・均等局長、藤澤でございます。
○藤澤雇用環境・均等局長 藤澤です。よろしくお願い申し上げます。
○田中政策統括官付参事官 人材開発統括官、定塚でございます。
○定塚人材開発統括官 定塚でございます。よろしくお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 総合政策担当の政策統括官、伊原でございます。
○伊原政策統括官(総合政策担当) 伊原です。よろしくお願いします。
○田中政策統括官付参事官 統計・情報政策、政策評価担当の政策統括官、鈴木でございます。
○鈴木政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当) 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 政策立案総括審議官、山田でございます。
○山田政策立案総括審議官 よろしくお願いします。
○田中政策統括官付参事官 以上でございます。
○鎌田会長 それでは、議事に入ります。
本日の議題は、第1に「令和2年度予算概算要求等について」、第2に「分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果等について」、第3に「労働政策基本部会報告書について」、最後に「その他」となっております。
初めに、議題1、議題2につきまして、事務局から一括して説明をお願いいたします。
○田中政策統括官付参事官 それでは、私から、まず資料2につきまして御説明をさせていただきます。「令和2年度予算概算要求等について」という資料をお開きくださいませ。
3枚目ぐらいに行っていただきまして、「令和2年度厚生労働省予算概算要求における重点要求」、資料2-1とございます。来年度に向けての厚生労働省の予算の概算要求でございますが、人生100年時代に対応した全世代型社会保障の構築ということで、多様な就労・社会参加の促進、健康寿命延伸等に向けた保健・医療・介護の充実、安心・安全な暮らしの確保等といった大きな3本柱で概算要求を行っておるところでございます。
本日、労働政策審議会の審議事項に関連いたします事項は、Ⅰの多様な就労・社会参加の促進の部分になりますので、こちらを1枚、次に行っていただきまして、「令和2年度厚生労働省概算要求における重点要求(ポイント)」に沿いまして概略を説明させていただきます。
この分野でございますが、大きく3点の柱立てで構成されております。まず、1番目の柱立てが、働き方改革の推進による誰もが働きやすい職場づくり、次に、多様な人材の活躍促進、そして人材育成の強化と人材確保対策の推進といった3本柱になってございます。
まず、1番目の柱、働き方改革の推進による誰もが働きやすい職場づくりの1番目ですが、長時間労働の是正や安全で健康に働くことができる職場づくりとしまして、359億円の概算要求となってございます。
項目を主なものを4つ挙げておりますが、まず、第1は、47県に設置されております働き方改革推進支援センターで、働き方改革、長時間労働の是正等々についてのワンストップ型の相談支援、それから商工会議所・商工会等での出張相談、個別訪問相談ということで、アウトリーチ型の支援やプッシュ型の支援、出張相談といったことで支援を強化していく内容でございます。
次の項目が、助成金によって、その取組を支援するということで、時間外労働削減ですとか勤務間インターバル、年次有給休暇取得促進に取り組む中小企業等、事業主団体への助成金について拡充を予定してございます。
3点目が高齢者の関係ですが、人生100年時代で、高齢になっても働いていただける方が増加しておりますが、あわせて、その安全面での配慮も非常に求められる状況になってございます。こういったことを鑑みまして、高齢者の特性に配慮した安全確保対策を行う企業への助成金につきまして、新たに創設することとしてございます。
それから、安全・健康という観点から、産保センターの健康確保に取り組む中小企業等への支援等につきましても、あわせてここで計上させていただいてございます。
次の項目が、最低賃金・賃金引上げに向けた生産性向上、それから公正な待遇の確保でございます。
まず、1点目が最低賃金・賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への助成金の拡充でございます。業務改善助成金等につきまして、コースの新設・拡充等によって強化していくことを予定してございます。
また、生産性向上に資する設備投資によって雇用管理改善を図る企業への助成金につきましても、引き続き実施していくこととしてございます。
次の生活衛生の関係は、生活衛生業を担当する別の部局で所管しているものでございますが、最後、非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善を行う企業へのキャリアアップ助成金につきましても、必要な額を計上しているところでございます。
次が、柔軟な働き方でございまして、1点目、テレワークの関係です。就業環境の整備ということで、ガイドラインの周知等々を図るイベントですとか賞とかセミナー等の実施。また、助成金についても用意して支援を行うこととしてございます。
それから、フリーランス等の雇用類似の部分でございますが、こういった働き方の方と発注者等との契約などのトラブルについて相談できる窓口について、新たに創設することとしております。
また、最後のポツですが、兼業・副業を行う労働者の健康確保に向けた支援ということで、兼業・副業を行う労働者の一般健康診断等々の健康確保に取り組む企業へ支援する、助成する制度を創設するといったことを内容としている施策をここに盛り込ませていただいております。
それから、続きまして、総合的なハラスメント対策の関係でございます。先般、労働施策総合推進法等の改正を踏まえまして、ハラスメントの撲滅に向けて積極的に取り組んでいくための費用をここに計上してございます。新たにハラスメント撲滅月間というものを設けまして、ここを中心に集中的な啓発に取り組んでまいります。
それから、中小企業への支援につきまして、専門家による中小企業への個別訪問等々によるハラスメント対策の支援を行うほか、企業のハラスメント対策を支援できる人材の育成支援等につきましても、あわせて予算計上しておるところでございます。
最後が、治療と仕事の両立支援ですが、主治医・会社・コーディネーターの三者がトライアングルになって行う支援につきまして、引き続き推進していくこととしてございます。
次の固まりが多様な人材の活躍促進ということで、右側に移っていただければと思います。
多様な人材のタイプ別に5項目に分けさせていただいておりますが、まず、高齢者の就労・社会参加の促進でございます。
1点目は、ハローワークにおける生涯現役支援窓口ですが、300カ所を目指して増設するということで進めてまいりました。来年度の予算概算要求におきまして、300カ所設置できるような費用につきまして、ここに計上させていただいてございます。
2点目ですが、65歳超ということで、65歳を超える継続雇用等々に向けた環境整備、中途採用拡大を行う企業への助成につきまして、ここに計上させていただいております。
それから、高齢者の特性に配慮した安全確保対策につきましては、先ほどのものの再掲になります。
それから、さまざまな働き方、地域で高齢者の就業促進を図るということで、シルバー人材センター事業、地方自治体との連携による事業につきまして、ここに計上させていただいてございます。
次が、就職氷河期世代の関係です。
まず、1点目、ハローワークで新たに専門相談窓口を設置して、担当者によるチーム制による相談から職場定着までの一貫した伴走型支援を実施するために必要な経費をここに計上してございます。
あわせまして、民間事業者のノウハウも活用して、特に不安定就労者が多いような地域においては、民間委託の形で職場実習等々も組み合わせながら就職支援を行う事業を新たに実施することにしております。
また、3点目が訓練の関係ですが、事業主団体に委託することで、出口を見据えた一体型の訓練を行う事業を新たに創設することとしてございます。
それから、4点目が就職氷河期世代の失業者等を正社員で雇い入れた企業に対しまして、助成金を拡充するという内容でございます。
若者サポートステーションですが、現在、年齢層39歳までということで実施しておりますが、就職氷河期世代につきましても40代になってきているということを踏まえまして、対象年齢につきまして49歳まで拡充する等の強化を行うことにしてございます。
最後、一人ひとりにつながる積極的な広報ということで、SNS等々、さまざまなルートを通じた広報を集中的に実施するための予算を計上してございます。
次が、女性の関係で女性活躍の推進でございますが、女性活躍推進法に基づく取組、中小企業については努力義務でございますが、中小企業について積極的に取り組んでいただけますように、説明会の開催や企業訪問による支援を実施する費用を計上しております。
また、子育て等により離職した女性の再就職の支援といたしまして、マザーズコーナーの拡充等を行う予定にしてございます。
また、男性の育児参加につきまして、その奨励を図るための助成金の拡充やセミナー等を予定してございます。
続いて、障害者の関係です。
1点目は、公務部門における障害者雇用を推進するために、各府省等向けのセミナーや職場見学会、また定着支援などを実施するための予算を計上してございます。
また、民間部門におきましては、障害者雇用ゼロ企業に対しまして、採用段階から職場定着までの一貫したチーム支援の実施等を行うことにしてございます。
最後が外国人でございます。
適正な雇用管理に関します企業への助言・援助。それから、外国人でございますので、多言語相談支援の強化等のための費用を計上するほか、自治体と連携した地域における外国人材の受入れ・定着支援のモデル的な取組の推進。
また、外国人技能実習機構に対する実地検査、相談支援を実施するための必要な経費につきまして、ここに計上させていただいてございます。
最後が人材育成の関係になります。
人材育成と人材確保対策ですが、まず人材育成の件、高齢期も見据えたキャリア形成の推進ということで、新たにキャリアサポートセンターという仮称で、キャリアプランの再設計やコンサルティング導入等々を支援する拠点として整備を行う予定にしてございます。
また、企業の実情に応じた在職者向けのオーダーメイド型の訓練。それから、リカレント教育の推進としまして、教育訓練給付による労働者のキャリア形成支援などにつきまして、ここに計上させていただいております。
最後が人材確保対策ということで、人手不足分野と連携した人材確保支援に取り組んでいくための予算をここに計上させていただいております。
以上が資料2の説明でございます。
続きまして、資料3の「労働政策審議会各分科会・部会の審議状況」と資料4の「法案の国会の審議の結果」、資料5の「厚生労働省統計改革ビジョン2019」につきまして、順に各局から御説明させていただきます。
○坂口労働基準局長 それでは、労働基準局長でございます。私から、順次、各局、御説明させていただきます。資料3の全体版、各分科会・部会の審議状況についてという資料をお開きください。
資料3-1、1ページ以降が労働基準局関係になってございます。
2ページ、3ページが本体でございますけれども、その後ろにそれぞれ資料別紙1という形で添付させていただいております。
まず、2ページでございますけれども、労働条件分科会の関係でございます。
これにつきましては、1つ目の○でございますけれども、別紙1の医師の働き方改革の関係、別紙2が裁量労働制の実態調査の関係、そして別紙3としまして、賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会の報告書につきまして、分科会に報告を行ったというものでございます。
続きまして、2つ目の○でございますが、こちらのほうは労働条件分科会の労災保険部会の関係になります。
まず、後ろにつけております別紙4でございますけれども、こちらのほうは複数就業者への労災保険給付の在り方について議論を行って、6月27日にこれまでの議論や検討すべき課題の整理を行ったというものでございます。
3つ目の○でございます。これは別紙5になります。これは、当本審でもお詫び、御報告申し上げました、毎月勤労統計の不適切な取扱いに伴います労災保険給付の追加給付の額につきまして、メリット収支率の算定に反映させないこととする改正についてということでございます。
また、次の○でございますけれども、こちらは別紙6の関係でございますが、労働保険関係成立届及び概算保険料申告書につきまして、一定の場合に年金事務所、監督署長あるいは安定所長を経由して提出することができることとする改正につきまして、諮問・答申をいただいたものでございます。
次の3ページの一番上からでございますが、ここからが安全衛生分科会の関係でございます。別紙は後ろの別紙7というものでございます。
1つ目は、船内荷役の作業主任者の選任対象となる範囲につきまして、総トン数500トン以上510トン未満の船員育成船舶につきましては除くこととするという改正につきまして、お諮りをしたものでございます。
それから、2つ目の○は、別紙8の関係でございますが、こちらは特別教育の対象となります電気取扱業務の範囲を見直して、電気自動車等の整備の業務について、独立させて当該業務に必要な特別教育の科目、範囲、時間を規定する改正について、諮問し、答申をいただいたものでございます。
また、最後に別紙9としまして、労働基準局所管の分科会における目標について評価を行ったというものでございます。
労働基準局関係は以上でございます。
○小林職業安定局長 職業安定局長、小林でございます。
それでは、職業安定局関係の分科会等におけます審議状況でございますが、資料3-2をお開きいただきたいと思います。32ページ、33ページに概要がございますので、こちらの概要に基づきまして御説明させていただきます。
まず最初の○、それから33ページの最後の○が障害者雇用分科会の関係でございまして、本年6月に改正障害者雇用促進法が成立いたしましたが、それの施行に向けての省令改正になります。
まず、公務部分に係る改正につきましては、既に9月6日に施行されておるところでございまして、今後、これに基づいて取組を進めていくことにしております。
一番最後の障害者の関係でございますが、これが民間部門を中心とした改正に伴うものでございまして、こちらは来年4月の施行になりますので、今後、障害者雇用分科会で御議論いただくことを予定しておるものでございます。
その他は職業安定分科会ということになります。
まず、32ページの主なものということで、3つ目の○をごらんいただきますと、これが外国人の雇用の関係でございまして、外国人雇用状況届というものがございますが、そこに在留カード番号の記載を求めるものでございます。既に答申をいただきまして、来年3月の施行を予定しております。
それから、次の33ページに参りまして、2つ目の○が労働者派遣制度に関する検討、3つ目の○が雇用保険制度に関する検討ということで、いずれも関係部会におきまして御議論を開始いただいております。このうち雇用保険制度につきましては、次の通常国会への改正法案の提出を予定しておるところでございまして、今後、同部会におきまして、さらに御議論いただくことを予定しております。
また、この資料にはございませんけれども、本年6月の成長戦略におきまして、70歳までの高齢者の就業機会の確保を図るという方針が示されております。こちらにつきましても法律改正を予定しているものでございますが、職業安定分科会及び関係の部会で今後御議論いただくことを予定しておるところでございます。
職業安定局関係は以上でございます。
○藤澤雇用環境・均等局長 続きまして、通しページで申し上げますと、80ページになろうかと思いますが、雇用環境・均等局の関係の分科会等の審議状況について申し上げます。資料番号ですと資料3-3になります。よろしくお願いいたします。
初めに、雇用環境・均等分科会でございますが、8月27日と9月4日に開催していただきました。1項目めが、昨年度の年度評価、また今年度の目標設定について御審議をいただきました。
それから、今後の分科会での主な検討事項についてというのが2つ目でございまして、これは通しページの85ページをごらんいただきたいと思いますが、別紙2とございます。全部で3項目ございまして、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部改正する法律の施行について、2つ目が、短時間労働者対策基本方針の改正について、3つ目が、仕事と生活の両立の推進について、この3項目について、今後の分科会での主な検討事項ということで御審議いただいております。
雇用環境・均等分科会の3項目めですが、また資料80ページにお戻りいただきまして、女性活躍推進法等の一部改正法の施行について、御議論を9月4日から始めていただいたところでございます。なお、後ほどごらんいただければと思いますが、資料4には、同改正法の国会での審議結果につきまして掲載してございます。
次が、勤労者生活分科会でございますけれども、こちらは9月9日に開催いただきまして、財形制度をめぐる現状とこれまでの対応について御審議いただきました。
雇用環境・均等局関係は以上でございます。
○定塚人材開発統括官 人材開発統括官の定塚でございます。
資料はその後の通しページ89、資料番号でいきますと、資料3-4でございます。
人材開発統括官関係では、1点目が、2018年度の実績評価及び2019年度の年度目標についてということで、別紙1にございますとおり、分科会で審議し、了承されているところでございます。
また、もう一点、外国人技能実習制度において、監理団体の許可を監理団体審査部会で行っております。別紙2にございますけれども、監理団体の許可申請につきましては、累計で2654団体を許可するという旨の答申が既に行われているところでございます。
以上でございます。
○伊原政策統括官(総合政策担当) 続きまして、政策統括官の伊原でございます。
資料3-5、通し番号でいきますと97ページになります。
政策統括官組織では、労働政策基本部会を運営しておりまして、昨年12月25日からAI等の技術革新の動向と労働への影響等について議論を8回にわたって行いました。6月27日に労働政策基本部会において報告書を取りまとめておりまして、本日の労働政策審議会に報告書を提出させていただいております。これにつきましては、後ほど詳しく説明させていただきます。
以上です。
○鈴木政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当) 続きまして、統計改革ビジョンにつきまして御説明いたします。資料5の3ページ目をお開きください。
毎勤統計を初めといたしまして、常に正確性が求められる政府統計につきまして、一連の問題を引き起こしまして、皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことを、この場をおかりしまして改めて深くお詫びいたしたいと思います。
厚生労働省としましては、今回の問題を反省いたしまして、国民の皆様や統計ユーザーの視点に立った公的統計を作成できる組織に生まれ変わるための厚生労働省統計改革ビジョン2019を8月27日に策定いたしました。
主な内容としましては、再発防止策としまして、組織の改革とガバナンスの強化、統計業務の改善、統計に関する認識・リテラシーの向上の3点を記述しまして、これに加えまして、さらに改革を進めて統計のフロントランナーになることを目指すための取組を記載してございます。今後、このビジョンに基づき工程表を作成し、統計改革を進めてまいりたいと考えておりますので、皆様方の御支援、御協力をお願いいたしたいと思います。
以上でございます。
○伊原政策統括官(総合政策担当) 以上が労働審議会における分科会や部会の審議状況でございました。今後とも労働政策審議会の御議論を十分踏まえながら施策を進めてまいりたいと思っております。
○鎌田会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、一括して御質問がございましたら御発言をお願いいたします。なお、時間の制約がございますので、数名まとめて御質問いただき、事務局からまとめて回答するということで進めたいと思います。また、関連がありましたら、関連ということで挙手いただければ、あわせて扱いたいと思いますので、よろしくどうぞお願いいたします。
それでは、御質問ございますか。
冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。
私から2点申し上げたいと思います。
第1点は、就職氷河期世代の活躍支援プランの実施についてでございます。いわゆる就職氷河期世代の方々の活躍のフィールドを広げる。これは、国の将来にかかわる重要な課題だと考えます。今回のプランの中の、例えば(2)の民間の人材会社に成功報酬型で委託して訓練とマッチングを行う事業や(3)にあります就職に役立つ資格取得の支援事業などは、もう一押しで正社員に手が届く方の背中を押すという意味で、非常に有効な期待される施策だと思います。
一方、ひきこもりの方などについては、就労支援の窓口や企業の努力だけではなかなか対応が難しい場合もあると思いますので、福祉の窓口やNPOなどとの連携が不可欠になってくるだろうと思います。
いずれにしましても、産業界では、こうした就職氷河期世代の人材を積極的に採用しようということでいろいろな取組が始まっております。会社の中には、ミスマッチを防止するために数日間のインターンシップを実施して適性を見きわめるということも行っているようであります。インターンシップというのは、相応の費用もかかりますので、先ほどの資料(4)に雇い入れた企業への助成金がありますが、雇い入れの有無にかかわらずに、インターンシップや職業体験を提供した企業に対する助成の仕組みを御検討いただければ大変ありがたいと思います。これが第1点でございます。
第2点は、いわゆる裁量労働制の実態調査に関する専門家委員会に関する点でございます。言うまでもなく、技術革新が進む、また働く人の意識が変化する中で、私自身も多様性をベースにしたイノベーションを起こして豊かな社会づくりに貢献していく、これは企業として待ったなしの課題だということで、働き方改革にも取り組んできておるつもりでございます。各社で行われている働き方改革を見ますと、長時間労働の是正はもちろんでございますが、主体的なキャリア形成を支援すること、あるいは柔軟な働き方を制度的に支援していくことなど非常に多岐にわたる制度がございます。
前提として、一人一人の社員、いろいろな力を持っています。一律ではない、多様だということだと思います。そういう多様性ということを前提にして、社員の力を引き出して、伸ばして、それを活かしていくことが重要だと思います。そういう点で、裁量労働制というのは、時間の配分や仕事の進め方を労働者の裁量に委ねて、自律的で創造的に働く、これを可能にする仕組みだと思います。企業の働き方改革、私どもも真剣に進めてまいりたいと思いますので、そうした取組を御支援いただく観点から、この裁量労働制の対象業務を拡大する法改正につきまして、ぜひ早期に御検討いただき、実施をお願いしたいということでございます。
以上でございます。
○鎌田会長 それでは、ほかにございますか。
井上委員。
○井上委員 井上でございます。
私からは、資料2の6ページ、総合的なハラスメント対策の推進について申し上げます。職場におけるハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つけるなど、人権にかかわる、絶対にあってはならない行為です。今般、労働施策総合推進法の改正法が成立し、全ての事業主に対して職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけられたことは、職場におけるハラスメントの撲滅に向けて大きく前進するものと考えております。
各企業が職場のパワーハラスメント防止対策を実施する際のガイドとなるのが指針です。雇用環境・均等分科会で、定義や講ずべき措置の具体的な内容、パワーハラスメントに該当する例、しない例などについて具体的な検討が行われると思いますが、企業の規模、そして業種などにかかわらず、全ての企業において実効性のある取組が行えるような内容にしていただければと思います。
また、施行日につきましては、公布後1年以内の政令で定める日とされており、もう余り時間がございませんので、改正法の施行に向けて、パンフレットなどを活用していただきながら、わかりやすい周知をお願いしたく存じます。
私からは以上でございます。
○鎌田会長 関連ですか。どうぞ、山中委員。
○山中委員 ありがとうございます。
私からも総合的なハラスメント対策の推進について、3点ほど要望させていただきたいと思います。
1点目は、ILO総会の国際条約の採択についてです。第108回のILO総会におきまして、ハラスメントに特化した初めての国際条約が採択されたということは、歴史的な成果として大いに評価させていただいております。ただし、この条約につきましては、加盟国に対し、第三者も含めた具体的な対策を講じることや、ハラスメントを禁止するための国内法令の採択を求めています。賛成票を投じた日本政府には、ILO加盟国の一員として、国会における条約採択の早期の報告、並びに批准に向けたさらなる国内法の整備を求めたいと思います。
2点目は、概算要求についてです。6ページの4項目めに、「総合的なハラスメント対策の推進」とありますけれども、その中の(1)と(2)につきまして、都道府県労働局の相談体制の強化、並びに全国の総合労働相談コーナーにおける相談体制の整備というものが掲げられております。参議院の厚生労働委員会の附帯決議におきましては、増員も含めた体制整備を図ることとされておりますので、これらについては着実に進めていただきたいと思っています。
3点目は、フリーランスのハラスメントに対する相談窓口の設置についてです。就職活動中の学生が深刻な被害を受けているセクハラにつきましては、国会の審議を通じまして、これまで積極的に運用されてこなかった個別労働紛争解決促進法による総合労働相談コーナーでの相談が可能であるという旨が明らかになっておりますが、一方で、フリーランスの方については、公的な相談窓口が存在しないということが明らかになっております。
フリーランスの方へのハラスメントにつきましては、これまで詳しい実態を統計的に把握できるデータはないものの、当事者団体の方からは改善を求める声が多く寄せられておりますし、その声は切実でありまして、一刻も早い対応が必要だと感じております。
「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の中には、「フリーランス等雇用類似の働き方の者が発注者等との契約等のトラブルについて相談できる窓口を整備する」とありますけれども、相談窓口では、ハラスメントの相談が受けられるかどうか、相談内容の範囲について、後ほど事務局にお答えいただきたいと思っています。もしハラスメントの相談が受けられない、含まれていないということであれば、ぜひ御対応いただくようにお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○鎌田会長 浦野委員、どうぞ。
○浦野委員 浦野でございます。
私からは、資料2の4ページにございます、労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備について、2点ほど申し上げたいと存じます。
御説明にありましたとおり、第13次労働災害防止計画につきましては、私たち事業者もそれぞれの目標を達成できるよう努めてまいりたいと考えております。当社は製造業でございますが、以前よりトップが安全・健康が全てに優先すると常に社員に言い続けるとともに、実行するための体制や仕組みづくり、自動化などの設備投資、教育の実施、そして改善発表会などを通じました課題やベストプラクティスの共有などの施策を継続的に実施しております。
また、弊社の事業は、多くのサプライヤーさんや販売代理店さんで成り立っておりますが、大多数は規模の小さい会社で、安全の専門家を置くということは非常に負担となっております。したがいまして、情報の共有や合同での教育・実習等を通じまして一緒に実施していくことで、サプライチェーン全体の安全の向上につながると考えております。
さて、労働災害でございますが、関係者の御努力によりまして、死亡災害は1000人を切るところまで改善したものの、災害全体では下げどまりの傾向にございまして、特に第3次産業では労働災害が増加傾向にあり、ここへの対策が大きな課題と考えております。直近の労働災害発生状況を見ましても、残念ながら休業4日以上の死傷災害は、第3次産業等の全ての重点業種で前年から増加している状態でございます。引き続き、重点業種への周知を徹底することとあわせまして、AIやIoT、産業用ロボットなどの最新の技術を活用しました安全対策を積極的に取り入れていらっしゃる企業もふえておりますので、そうした好事例の収集、また公表もぜひお願いしたいと考えております。
次に、高年齢労働者に関してでございます。少子高齢化が言われて久しい中で、労働力人口全体も高齢化しておりまして、その対応は待ったなしというのは、皆さん共通の認識かと思います。今、現場では、知識や経験を持ちました高年齢労働者の存在は欠かせないものとなっております。しかしながら、自然の摂理で、昨日できていたことが今日はできなくなるといったことが、誰の身にも起きております。私自身も日々感じておるところでございます。
厚労省では、人生100年時代を見越しました高年齢労働者の安全衛生対策を、有識者の会合で検討を始めたところと聞いております。そこにはさまざまな課題があると考えておりますが、今あります現場の状況をしっかり把握された上で、労働者本人にとりましても、また事業者にとりましても、荷重となることのない現実的な対策の検討をぜひお願いしたいと存じます。
私からは以上でございます。
○鎌田会長 今、ここで一旦は事務局から回答をいただきたいと思いますので、事務局のほうで、今、幾つか御意見、要望もあったと思いますが、定塚さんからどうぞ。
○定塚人材開発統括官 最初に、冨田委員から就職氷河期プランについて、助成金の点で御質問いただいたところでございます。就職氷河期世代の活躍支援につきましては、産業界あるいは労働組合の皆様にも御理解いただいてスタートを切ったところでございます。大変ありがとうございます。
御質問いただきましたのは、特定求職者雇用開発助成金の就職氷河期世代安定雇用実現コースという助成金でございます。この助成金ですが、就職氷河期に就職するということで、十分なキャリア形成がなされずに不安定な就労状態を繰り返している方々、こうした方々に正規の安定した雇用の場をということで、正規雇用労働者として雇い入れをして、かつ、一定期間、その企業に定着したことを条件として支給しているものでございます。安定した雇用という側面から、定着が重要ということで要件に入れているということで、御指摘のありましたインターンシップ、職場体験だけで助成金を払うということはなかなか難しいのかなと考えているところでございます。
ただ、一方で御指摘いただいたとおり、インターンシップ、職場体験、大変重要であるということはそのとおりでございます。冨田委員にも予算事業、2点ほど御質問いただきました、民間事業者のノウハウを活用した事業であるとか、短期間の資格習得コース、こうした事業のいずれにも職場実習や職場訓練というものが盛り込んでございまして、直接職場実習をした企業に助成金を出すという仕組みではありませんけれども、こうした職場体験、インターンシップをつないだり、進めやすくするという支援は、事業の中でしっかり進めていきたいと思っております。
また、付言いたしますと、就職氷河期対策については、今後、各県ごとに労使の皆様にも加わっていただきまして、各県のプラットフォームをつくって、そこで職場を見つけていく。その過程で職場体験、インターンシップということも出てこようかと思いますので、ぜひ地域の皆さんで、行政も加わって、そういったことに努力してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○鎌田会長 坂口さん。
○坂口労働基準局長 続きまして、労働基準局の関係での御質問等についてでございます。
まず、冨田委員のほうから裁量労働制の関係について、御質問、御意見ございました。裁量労働制につきましては、昨年の働き方改革法案の国会の審議での議論等を踏まえまして、実態を正確に調査・把握した上で制度の在り方について検討するということとされております。このため、裁量労働制の実態を把握するための調査につきましては、先ほど委員のほうからもありましたけれども、昨年9月から統計、労働経済の御専門、あるいは労使関係の専門家の方々にお集まりいただいて検討会を開催し、議論の整理を行って、本年5月に一般統計としての総務大臣の承認を受けたところでございます。
その後、調達手続等を行いまして、この夏、7月に民間事業者と委託契約をした上で、先月末から本調査に先立ってプレ調査を開始しているところでございます。本年11月ごろから本調査を実施すべく準備を進めておりまして、その結果を踏まえた上で、制度の在り方につきましては労政審において検討いただきたいと考えております。
続きまして、基準局の関係で、浦野委員のほうからございました。労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備ということで、2点。
1点は第3次産業に着目してという御指摘でございました。第3次産業への対応につきましては、13次防においても重点を置くということとして取組を展開しておりますけれども、御指摘ございましたように、第3次産業における死傷者数についても増加しており、その主な要因は転倒災害の増加です。このため、STOP! 転倒災害プロジェクトというものの周知に加えまして、今年度から新たに転倒災害が頻発する冬季の対策、あるいは被災する傾向が大きい高齢の女性労働者の方々への注意喚起ということも行ってございます。
また、御指摘がございましたような形に沿うために、毎年、「見える」安全活動コンクールというものも開催しておりますけれども、こういった転倒災害・腰痛を防ぐための見える化とか、いろいろな先進的な取組事例を募集しておりまして、そういったものについては、また御紹介するという取組をしっかり行っていきたいと思っております。
もう一点としては、高齢者の労働災害の防止対策ということについて、御指摘ございました。御指摘の中でもお触れいただきましたとおり、人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議を開催いたしました。この点につきましては、高齢者の労働災害防止対策について、ガイドラインを取りまとめたいということで、幅広いバックグラウンドをお持ちの皆様に御議論いただくということでございますけれども、今ありましたとおり、事業者の方からの取組事例のヒアリングということもしっかり行ってまいりたいと思っておりますし、中小企業への支援あるいはガイドラインの内容の周知方策ということについてもしっかり御議論いただいて、検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○鎌田会長 藤澤さん、どうぞ。
○藤澤雇用環境・均等局長 井上委員、それから山中委員から、ハラスメントにつきまして御意見いただきました。ありがとうございます。
井上委員からは、実効性ある取組、また、わかりやすい周知という御意見を頂戴したものと存じます。先ほどの分科会審議経過でも申し上げましたように、雇用環境・均等分科会におきまして、パワハラ防止措置に関する指針等の御議論を今後いただく予定でございます。各企業が実効性ある形でパワハラ防止対策を進めることができるよう、指針の内容について十分御議論いただき、進めていきたいと考えております。
また、あわせまして、円滑な施行に向けまして、指針の内容などにつきましては、パンフレットなどで工夫を行うほかに、特に中小企業を中心にハラスメント対策に関する個別訪問等による支援など、必要な支援を行いながら、わかりやすい形で積極的な周知を図っていきたいと考えております。
それから、山中委員から全部で3点いただいたと思います。条約、また体制の整備、それからフリーランスということだろうと思いますが、初めに、さきの通常国会でハラスメント防止対策を強化する改正法が成立いたしまして、ハラスメントのない職場づくりに向けて積極的な取組を進めているところでございます。
御指摘の条約の批准との関係でございますが、国内法制との整合性を今後さらに検討する必要がございますが、まずはILO条約の趣旨も踏まえながら、改正法の円滑な施行に向けまして、指針の策定、普及啓発等にしっかりと取り組んで、ハラスメントのない職場づくりに尽力していきたいと考えております。
それから、体制でございますけれども、ハラスメント対策を総合的に推進するために、総合労働相談コーナーに加えまして、都道府県労働局の増員要求も含めまして、相談・指導体制の整備を図っていきたいと考えております。
3点目でございますが、来年度の概算要求で、フリーランス等雇用類似の働き方の者が、発注者との契約等のトラブルについて相談できる窓口について、要求してございますけれども、これは委託事業で、メールや電話の相談を中心に実施する予定でございます。相談の対象となります契約等のトラブルの範囲につきましては、御指摘のとおり、ハラスメントも含めまして、広く相談に応じることとしたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○鎌田会長 私の記憶では、奥宮委員と伊藤委員が冒頭、手を挙げられたと思いますので、奥宮委員、よろしくお願いします。
○奥宮委員 私から、相談体制について、2点発言いたしたいと思います。
1つは、相談体制について、今回の予算は増額になっており、さまざまな相談の強化が図られているわけですが、これは利用者から見て、わかりやすい窓口の体制になっているかどうか。利用者から見ると、相談内容は決して1つではなく、複数抱えている場合があります。そういう利用者から見て、わかりやすい体制になっているかどうか。
このようなことを申し上げますのは、かつて自治体において、いろいろな問題が生じるたびに相談窓口を設けるのですが、それが各部局でばらばらに設けていて、なかなか一つのところでは解決しない、たらい回しになるということがありまして、総合相談窓口という取組をした事例があります。この点については、厚労省としてはどのような体制でわかりやすくという形で臨んでいるのか、これは質問させていただきます。
2つ目は、相談員の質とか内容の問題ですが、私が所属する雇用環境・均等分科会では、各地方労働局によって多少温度差があるという御意見も出ておりました。それから、労働法規そのものの専門的なことだけでなく、特に中小企業などの場合は、経営にも精通した相談員が相談に当たってほしい、そういう相談員を置いてほしいという御要望もございました。
それから、調停とあっせんですが、これも予算が増額になっていることは承知しておりますが、今後、調停、あっせんの役割は非常に大きくなると思います。例えば、パワーハラスメントについて調停制度が新たに法制化されました。それから、セクハラ、パワハラともに、第三者からのハラスメントについても企業は対応する必要があります。これらついて、企業内で解決していただくように、わかりやすいガイドラインを策定していく所存ではございますが、それでもなかなか企業内では解決できないことがあると思います。そういうときに、あっせんと調停というのは非常に有効です。第三者の目が入るということです。
調停については、今般の改正で、第三者からの事情聴取もできるという条項が明確にされました。私の職業上の経験から申し上げると、調停というのは非常に大変なものです。労働法規がわかっているだけではなく、深い経験とかスキルが必要で、背景事情をよく聞き、事実認定をしなければならない。これは裁判と同様にすることは難しいかと思いますが、事実認定をできるだけきちんとやっていき、解決しなければいけない。大変時間がかかります。全国の調停委員、あっせん委員の方々は御苦労なさっていると思いますが、数が足りているのか、さらにスキルアップする必要がないのか、そういうことも御検討いただきたいと思います。
これは、利用者の方が最もよくわかっていると思いますので、労使双方の利用者の声も聴いていただいて、よりよい運用になるように検証していただきたいと思います。さらに、そこでの調停事例、あっせん事例がガイドラインを補完するものとして労使双方に役に立つと思いますので、その点もよろしくお願いいたしたいと思います。これは要望でございます。
○鎌田会長 では、伊藤委員。
○伊藤委員 広島県中小企業団体中央会会長をいたしております伊藤でございます。
私からは、質問と意見でございますけれども、述べさせていただきます。ただし、質問にお答えいただいた後に意見を述べさせていただければと思います。
令和2年度の厚生労働省の概算要求における重点要求にございます、働き方改革推進支援センターについて、質問になりますけれども、平成30年度における全国での相談指導等の実績がわかりましたら教えてください。後ほど広島の事例も踏まえながら御意見を申し上げたいと思います。
○鎌田会長 これは回答いただいてから、また。すぐわかりますか。藤澤さん、どうぞ。
○藤澤雇用環境・均等局長 伊藤委員から、働き方改革推進支援センターの実績について、今、お尋ねをいただきました。昨年度の全国での実績でございますが、働き方改革関連法の改正内容やキャリアアップ助成金などの助成金の活用に向けまして、セミナーを全体で約3000回実施しておりまして、そこで約11万3000名の方に御参加いただきました。それから、個別企業への相談対応につきましては、約2万9000件行ったところでございます。それが30年度1年間の実績でございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。
それでは、意見を申し述べたいと思います。御承知のとおり、働き方改革推進法が本年4月より施行され、中小企業においても年10日以上、年次有給休暇が付与されている労働者に対して、年5日取得義務や労働時間把握義務などが課されております。さらに、来年4月以降には、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金への対応が中小企業にも求められております。全国に約358万者の中小企業がありますけれども、相談件数が多いか少ないか、それはその企業の中に労働管理に詳しい専門のスタッフや顧問の社労士がいたりするので、一概には言えませんけれども、まだまだ利用が不十分ではないかと思います。
広島県の支援センターにお聞きいたしましたところ、全国のデータがないので比較できせんけれども、全国的には悪くない、むしろよい数字とのことでした。しかしながら、セミナーや専門家派遣はともかく、相談件数がまだまだ少ないように思われます。中小企業者への周知が十分に行き届いていないのではないかと感じております。
さらに言えば、一層の周知をぜひともお願いしたいと思います。私どもの中央会が支援センターを通じて、会員企業へ専門家派遣をお願いした際のことでございますけれども、事前に相談内容を伝えていたにもかかわらず、専門家である社労士さんが、自分の専門分野ではないと相談先に言って、相談内容が全く社労士さんの専門外のことがあって、そのまま支援を切り上げて帰ったという事例がございました。今年からのスキーム変更によって、社会保険労務士会に専門家派遣を一括で委託したと聞いておりますけれども、このことがこうした事態を招いた原因の一つであるのではないかと思っております。
中小企業経営者等、多くの方が働き方改革に対して、どう対応すべきかに苦慮しているのが現状であり、これに対し、懇切丁寧な周知と、それから来年度から新たに実施される、専門家が直接企業を訪問するプッシュ型の支援など、相談体制の強化をさらに図っていただきたいと思い、意見として申し上げる次第であります。
○鎌田会長 関連。どうぞ、中川委員。
○中川委員 中川です。ありがとうございます。
先ほど伊藤委員がお話しされましたけれども、私のほうからも47都道府県に設置されている働き方改革推進センターの充実強化について、意見・要望ということで発言させていただきたいと思っております。今、47都道府県に設置されている働き方改革推進センターでは、センターの窓口相談や専門家派遣の相談、それから出張相談会、働き方改革のセミナーなど、さまざまな取組が行われております。2018年4月から開設されている、みやざき働き方改革推進支援センターでは、昨年度の相談件数が117社からあり、当初の事業計画の72社を大きく上回る相談が寄せられております。
相談内容の上位をみると、1番は、人手不足による人材確保が全体の33.3%、そして時間外をどうやって削減したらいいのかという相談が20%、そして年休はどのように付与したらよいのか、就業規則や賃金制度はどうしたらよいのかという相談が15%ぐらいということでございます。産業別にみると、中小・零細が大変多い卸売・小売業が全体の20%、医療・福祉が13%となっており、宿泊業、飲料サービス業からの相談も多いということでございます。地方での中小や事業主の方々が、この働き方改革推進支援センターをいかに頼りにされ、重要な役割を担っているかということがわかると思っております。
今、47都道府県に設置されている働き方改革推進センターでの地方労働局、ハローワーク、各県での十分な連携強化をさらにお願いしたいと思っております。そのことが、4月1日からの働き方改革関連法の施行を円滑に進めていく上で、地方で非常に肝要なことだと思っております。そしてまた、相談しやすい環境づくり、そして、働き方改革推進センターで働かれる方々の休憩時間の確保や年休の確保などの職場環境整備も、あわせてお願いしたいと思っております。
一方で、県や労働局主催の働き方改革セミナーで、弁護士などが法の潜脱を示唆するような解説をしている例があると聞きます。例えば、法定年次有給休暇以外の休暇、バースデー休暇や社員の結婚記念日、子供様の入学式や卒業式のアニバーサリー休暇なども、時季指定対象の休暇とみなし得るといった説明がされたという苦情が連合にも寄せられているところでございます。こうした、法の趣旨や行政解釈から逸脱した解説がなされるのは問題であると思っているところでございます。厚生労働省におかれましては、全国各地でのセミナーや相談が適正に行われるよう、内容を把握いただいて、問題があれば是正をお願いしたいと思っているところでございます。
以上です。
○鎌田会長 難波委員、どうぞ。
○難波委員 ありがとうございます。
先ほど浦野委員の御発言がありましたし、坂口局長からの御回答もあったのですが、70歳までの就業機会の確保に向けた方針が示され、高年齢者の就労拡大が見込まれる中で、高年齢者の安全と健康の確保は待ったなしであるということを発言させていただきたいと思います。
13次防にもございますが、転倒災害・腰痛は、高齢者にはよくあります。ただ、身体各部、それらを統合する機能、私は出身が運輸労連でありますが、トラックドライバーの動態視力であったり、奥行きを認識する深視力等々、個体差はありますが、こうした機能が年齢・加齢とともに低下することは避けられません。そうした心身の変化等を医学的、統計的見地から分析するとともに、職場環境や産業特性等も考慮に入れた上で、労働時間や作業負荷の軽減、あるいは転倒リスク対策を図るなど、高齢者の安全と健康の確保につなげていただきたいと思います。
加えて、これは要望でありますが、資料2の2ページにもございます「高齢者の特性に配慮した安全衛生確保対策を行う企業への助成金の創設」でありますが、結果として、事業場で働く全ての労働者の安全衛生対策に資するものとなっています。したがいまして、内容をより効果的なものにしていただくとともに、中小企業を中心として、事業場での活発な活用に向けた十分な周知・広報をお願いしたいと思います。
以上です。
○鎌田会長 時間がちょっと押していますので、一括して御質問いただいてから。さっき、中西委員が。どうぞ。
○中西委員 ありがとうございます。
私からは、令和2年度予算概算要求について、3点要望させていただきます。
まず、1点目は、働き方改革関連法についてでございます。日本商工会議所が本年春に実施した調査では、課題であった認知度は向上いたしました。一方、同一労働同一賃金に関しましては、対応済み、対応の目処がついていると回答した中小企業は36%にとどまっているところでございます。法のさらなる周知と働き方改革推進支援センターによるきめ細かい支援をお願いいたします。
また、時間外労働の上限規制に関しまして、発注側企業の働き方改革のしわ寄せが下請中小企業に及ばないようにしてほしいとの声が多数聞かれますので、厚生労働省におかれましては、中小企業庁とも連携され、対策を強力に推進していただきたいと思います。11月をしわ寄せ防止キャンペーン月間と設定し、集中的な周知・啓発を実施されることを期待いたしております。ぜひ実効性あるものにしていただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2点目でございますが、最低賃金の大幅な引き上げに伴う支援策につきまして、意見、要望を申し上げたいと思います。骨太の方針には、生産性向上に取り組む中小企業への思い切った支援策や、下請事業者に対する労務費上昇分の価格転嫁対策を講じていく旨が記載されておりますので、これらを早期に具現化されることを強く要望いたします。
3点目は、外国人材の受け入れについてでございます。外国人材を受け入れた経験がない中小企業から、何をどのように準備すべきかわからないとの声が多数上がってきております。この点につきまして、外国人雇用管理指針の周知はもとより、企業向け相談窓口を設置するなどなど、受け入れ企業に対する支援策を強化・拡充していただきたいと思います。
以上でございます。
○鎌田会長 安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 ありがとうございます。
関連して、私も外国人労働者の問題について申し上げます。新しく特定技能制度が施行され、外国人雇用管理指針も出ておりますが、残念ながら現場では全く徹底されていないという認識でございます。こうした指針や法律の趣旨について、しっかりと徹底していただきたいということでございます。
私どもとして、今、ブータン人の留学生などの支援を行っておりまして、9月9日、ブータン人の労働組合を立ち上げました。ブータン人の留学生の問題の特徴は、彼らは貧しくて働きに日本に来ているのではないのです。日本で本当に勉強して大学院に進学したいと思って来た、大変優秀な学生たちであります。彼らはある意味だまされて、日本で2年間、日本語学校で学びさえすれば日本の大学院に進学できますよと言われて来日しました。これが2017年です。2018年の日本にいるブータン人の数、外務省によると836名です。そのうちの700名強が留学生でありますので、大半がそうした留学生でございます。
2年たった今、多くの学生たちがブータンに借金を抱えたまま、日本語もままならず、日本での進学もできずに帰っていきました。一部の学生がもう一度夢を求めようということで、再び借金をして日本語学校にもう一度入学し直して、今、日本でアルバイトをしながら日本語を学んでおります。こうした若者たちが9月1日に、みずからの力で未来を切り開くべく労働組合を立ち上げたということでございまして、このことは、日本国内のみならず、ブータン本国でも大きく報道される事態になっています。
福岡にいる24歳のブータン人の女性が今、結核性髄膜炎で意識不明の重体になっています。ブータン国内では、彼女をブータンに帰すための募金活動をやって、400万円集めています。
実は、日本の20代の結核患者は1530名、昨年だけで増えているのですけれども、そのうち20代が774名です。そのうちの62.9%が外国生まれの方です。外国人労働者の間で、もともと結核を持っていた方が来られたということもあるかもしれませんが、それだけではなくて、集団生活と、栄養状態が極めて悪いことにより、結核が蔓延しております。こうした安全衛生の課題があります。
さらには、これは留学生ではないのですけれども、外国人技能実習生が過重労働のために、メンタルヘルスの問題に陥って自殺する方も多数おられますし、そのために帰国せざるを得なくなった方も多数おられます。
また、私どもの抱えている案件で先日出たのは、指を4本、プレスで落としたという事案がございます。会社の人に病院に連れていってもらったのだけれども、それきり会社は音信不通になって労災も認めてもらえないし、このままでは入院代が払えないので何とか助けてくれといって、我々のところに来ました。これが実態であります。
日本で働いている外国人労働者の80%が100名未満の中小企業で働いています。そういう意味では、なかなか目が届きにくいので、そういったところに対する適正な労働環境と労働条件の確保をしっかりやっていただきたいと思います。
それから、彼らの多くは英語を話せますし、あるいは平仮名は読めるという方も結構おられますので、SNS等、そういった形での相談窓口の設置をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○鎌田会長 野田委員、どうぞ。
○野田委員 ありがとうございます。
私からは、障害者雇用について、要望を申し上げておきたいと思います。報告にもございましたとおり、現状においては、本年6月に成立しております改正障害者雇用促進法に基づく政省令の検討論議が進められていると伺っているところでございますが、改正法の附帯決議に盛り込まれておりました除外率の問題でありますとか、さらには通勤支援等の課題を初めといたしまして、本年2月に障害者分科会に意見書が出されております。
その中で記載されておりました中小企業に対する雇用調整金等の適用の問題、さらには自宅や就労施設等での就業機会の確保などを含めまして、多くの検討課題が残されているという認識を持っておりますので、そのことについて申し上げておきたいと思います。
昨年来の検討論議の主要テーマが、公務部門における問題の再発防止であったことは言うまでもないところでございますけれども、この機会を捉えていただいて、民間も含めた障害者雇用全体の課題解決を図る契機にするべきだと思っております。先ほど申し上げた課題などについても早急な検討を、ぜひお願いしたいと思います。
その上で、8月28日に公表されております、国の機関における障害者の任免状況について、一言申し上げておきたいのですけれども、公務部門全体での障害者雇用率については、2.31%、前年比でプラス1.09ということになっています。これは人数比で申し上げると、実に94.2%の増ということです。その努力については評価するところでございますけれども、一方で、急速な採用によって民間への影響が発生していると思っております。
加えて、さまざまな要因による早期の離職なども報道されているところでございまして、今後は職場の定着というのが大きな課題だと思っておりますし、定期的な意見聴取でございますとか、さらには有識者の知見を生かしていただくことが非常に大事だと思いますので、丁寧な対応をぜひお願い申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○鎌田会長 淡輪委員、どうぞ。
○淡輪委員 淡輪です。
先ほど浦野委員、それから難波委員から関連の御発言がありました、高齢者の就労支援、社会参加の促進に関して申し上げます。
70歳までの就労機会確保に向けては、加齢に伴い、健康面、それから家族状況などの個人差が大きく広がるという中で、時間や場所といった就労ニーズが一層多様化する、高齢者の特性を踏まえた対応が肝要だろうと思います。企業による取組だけでなく、働き手みずからの職業能力向上、生活設計への意識醸成、社会全体での環境整備も重要と考えます。企業における高齢者の就業環境の改善を促す助成金の拡充とともに、国・地方自治体、公的機関のキャリア支援サービス、マッチング機能の充実強化を図るべきであろうと思います。
こうした政策的な支援を行う際には、雇用保険2事業の効果的な活用が重要であろうと思います。したがって、来年度予算における助成金を活用した企業の取組支援、ハローワークにおけるマッチング支援の拡充、地域での多様な就業機会の確保等の方向性には賛同いたします。
なお、高齢者の就労支援や社会参加の促進に向けては、予算措置とあわせて、高年齢者雇用安定法の改正が予定されております。経団連としては、企業労使の創意工夫を生かせる多様で柔軟な選択肢、十分な準備期間の設定を求めたいと思います。
私からは以上でございます。
○鎌田会長 岸本委員、どうぞ。
○岸本委員 ありがとうございます。
私からは、統計改革の関係につきまして、コメント申し上げたいと思います。
毎勤統計を初めとする厚生労働省の統計のデータは、申すまでもなく政策の礎となる重要なものでありますので、今般の改革ビジョンの中にも「閉じた組織」という表記がなされていますが、まさに開かれた組織に向けて、ガバナンスの強化あるいは統計業務の改善の徹底に取り組んでいただくことを期待いたしたいと思います。
その上で簡潔に2点。
1点目は、最近の状況並びに委託の在り方についてであります。先月、大阪労働局におきまして、職員による新たな不正事案が発覚いたしました。職員のコンプライアンスの向上は重要でございますが、調査の精度が職員の力量次第という構造になっているということも課題であると思います。また、毎勤統計の調査につきましては、国から都道府県が委託を受けて実施されているわけでありますが、質の担保の観点から、例えば調査員が負う責任と労力に見合う報酬が確保できる委託の内容になっているのかどうか、自治体からの報告書が適正なのかどうかなど、厚労省も委託元としての検証を行うべきであると考えます。
2点目は調査指標についてです。人が行う調査でありますので、必ずヒューマンエラーが発生するということを念頭に置いた上で、ビジョンの中にも表記いただいてございますが、いわゆるICTの活用によりまして、かかわる方の負担軽減という観点も含めて、フロントランナーを目指すという方向性でございますので、可能な限り速やかに実行に移していただきたいと思います。このことは、補強の意味合いからも意見を申し上げます。
以上です。
○鎌田会長 では、山本委員、どうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。山本でございます。
私からは、女性活躍の推進に関して意見を申し上げたいと思います。
資料2の10ページにありますが、国としては2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標を掲げています。しかし、依然として女性の管理職の割合などは低水準です。目標達成が厳しいという現状であります。女性活躍推進法の改正で、今後101人以上300人以下の中小企業も行動計画の策定などが義務化されるものの、その施行は2022年度以降になると聞いています。
女性活躍推進の加速化に向けて、中小企業の個別支援については、施行を待たずに多くの企業の取り組みが進むように積極的な働きかけをお願いしたいと思いますし、全ての人々が平等に参画できる社会の実現に向けて、「202030」の阻害要因になっているジェンダーバイアス、性別役割分担意識の払拭がまず大事ではないかと思っています。
そして、男性の育児参加の促進についても触れられていますけれども、本当に重要なことだと思っています。今後も周知・啓発を図る必要があると考えます。ただ、「これから結婚・育児に直面する若年層を対象とした普及啓発等を行う」と記してありますけれども、家族形態も多様化しておりますし、結婚・出産の在り方も多様であります。そのこともしっかり注意する必要があるのではないかということも申し上げたいと思っております。
よろしくお願いします。
○鎌田会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から回答をお願いしますが、ちょっと時間が押しておりますので、コンパクトに回答のほうをよろしくお願いしたいと思います。
では、坂口さんから。
○坂口労働基準局長 私のほうからでございますが、働き方改革の関係、周知の関係が伊藤委員、中川委員のほうからもございましたけれども、働き方改革支援推進センターの相談あるいはセミナー等でございますけれども、中小企業の皆様を含めて、わかりやすい周知・啓発ということに努めてまいりたいと思います。
また、いろいろなセミナーもさまざまな団体が主催していただくなどして工夫していただいて、周知も取り組んでいただいているところでございますけれども、当然、その中で法令の内容が正しく伝わるということが重要でございますので、適正な内容の周知を図っていくように、私どもとしても心がけてまいりたいと思っております。
続いて、中西委員のほうから、働き方改革に関連して中小企業へのしわ寄せの未然防止についての御意見いただきました。この点につきまして、私ども、中小企業庁、公正取引委員会とも連携しまして、本年6月に総合対策を策定しました。御紹介いただきました、11月のキャンペーン月間ということもございますけれども、中企庁等との連携、あるいは業所管庁の下請振興基準に対しての行政指導の活性化ということも含めて、しっかり連携しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
また、同じく中西委員のほうから、最低賃金の引き上げに伴う支援策についても御意見、頂戴しました。最低賃金の継続的な引き上げが重要な一方、中小企業・小規模事業者の皆さんの賃上げがしやすい環境を整備していくということについての支援ということも講じていくことが不可欠だと考えてございます。私どもとしましても、これまでもいろいろ業務改善助成金であったり、あるいは関係省庁と連携して、下請企業の取引条件の改善などにも取り組んでおるところでございますけれども、御指摘ございました骨太の方針に基づきまして、思い切った支援策など、しっかり連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
あと、難波委員のほうから、高齢者の労災防止対策について、御指摘ございました。先ほど浦野委員のところでも御紹介しましたとおり、有識者会議でガイドラインを取りまとめるという動きをしてまいりたいと思っておりますけれども、その中でのヒアリングの中では、御指摘ございましたように、加齢に伴う身体機能あるいは健康状態の変化ということがございますので、そういったものを踏まえた検討をしっかり行っていただくように、私どもとしても心がけてまいりたいと思います。
また、資料2にありますような助成金等につきましても、中小企業の皆さんの支援制度がしっかり効果的に実施につながっていくようにということについても、あわせて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○鎌田会長 藤澤さん、どうぞ。
○藤澤雇用環境・均等局長 伊藤委員と中西委員からも働き方改革推進支援センターについて、御意見を頂戴しました。ありがとうございます。ハローワークや労働基準監督署だけではなくて、労使団体さんにも御協力いただいて、働き方改革推進支援センターの周知に我々も努めているところでございます。
また、例えば派遣型の相談支援を行う専門家に対する事務マニュアルの配布であったり、あるいは研修の実施によりまして質の担保を図って、適切な支援を行う専門家の派遣に引き続き努めていきたいと考えておりますが、仮に伊藤委員からございましたような、御指摘のような事案が確認された場合には、適切な対応がとられますように我々も対応していきたいと考えております。
引き続きまして、ワンストップ型の相談支援やセミナーに加えまして、出張相談あるいは個別企業への訪問支援を丁寧に行っていきたいと考えております。
また、来年度の要求でも、御指摘ございましたように、プッシュ型の支援などを要求させていただいております。こういったセンターの機能強化に引き続き努めまして、円滑な法施行に努めていきたいと考えております。
それから、奥宮委員から、相談の強化、利用者から見てわかりやすいようになっているかであったり、あるいは調停とあっせんの体制の充実強化についての御意見を頂戴いたしました。パワハラを初めといたしました労働問題に関してワンストップで対応するために、全国に総合労働相談コーナーを多数置きまして、そこで相談を行っておりますが、引き続き相談体制の整備を図っていきたいと考えております。
また、紛争調停委員会によりますあっせんの迅速な対応などによりまして、個別労働紛争の早期の解決を促進していきたいと考えているところでございます。
山本委員から、女性活躍のこの前の法改正の施行について、御意見、頂戴いたしました。中小企業について、義務化の施行がまだ先でございますけれども、それまでは努力義務でございますけれども、可能な限り早期に、個々の企業さんで対応を進めていただけますように、改正法の附帯決議も踏まえまして、利用しやすい行動計画策定支援ツールの策定であったり、あるいは事業主の説明会や個別訪問支援等を積極的に実施することによりまして、改正法の円滑な施行を図っていきたいと考えております。
また、男性の育児休業の取得促進でございますが、御懸念のような結婚・出産ありきにならないように、広く若い世代に向けて取組を進めていきたいと考えております。
以上です。
○鎌田会長 小林さん、どうぞ。
○小林職業安定局長 まず、中西委員から、外国人の雇用に関しまして、中小企業への支援をきちんと行うべきというお話、ございました。例えば、全国129のハローワークに外国人雇用サービスコーナーというものを設けまして、通訳員等を配置するとともに、事業主の方に対する相談支援を行っておるところでございます。
また、社会保険労務士や中小企業診断士などを外国人雇用管理アドバイザーとして委嘱しておりますので、専門的な指導・援助にも応じられる体制となっております。これは、最寄りのハローワークを通じて申し込みいただくことになっておりますので、ぜひ御活用いただきたいと思っております。令和2年度について、必要な予算を計上しておりますけれども、今後、新たに外国人を雇い入れる事業主の方も増えてくると思いますので、中小企業の皆様の支援、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、安河内委員からは、外国人雇用管理指針等の徹底が不十分だという厳しい御指摘をいただいております。こういったことについては、事業主向けのわかりやすいパンフレットを作成するとともに、セミナーを順次開催しておるところでございますけれども、まだまだそれも不十分という御指摘だと思います。今後、特定技能を初めとして、外国人材の増加が見込まれるところでございますので、事業主訪問みたいな形も含めて、助言、指導にさらに積極的に努めてまいりたいと思っております。
それから、外国人労働者の方々への相談支援のお話、ございました。外国人労働者の方からの労働相談に対しましては、外国人労働者相談コーナーというものを設けておりますし、それから、コーナーに来訪できない方につきましては、相談ダイヤルという形で対応するようにしております。これも多言語対応を図っておるところでございまして、厚生労働省のホームページだけではなくて、厚労省のTwitterですとか大使館、地方公共団体、労使団体等を通じて周知を図っておるところでございますが、SNS等を通じた周知、利用促進という話、ございました。そういうことを含めて、これからさらに取り組んでまいります。
それから、野田委員から、障害者雇用の関係のお話、ございました。最初に申し上げましたように、障害者雇用分科会のほうでは、今般成立した改正法の施行準備を優先的に取り組んでおるところでございますが、御指摘いただきましたように、附帯決議ですとか障害者雇用分科会の意見書におきまして、引き続きの検討課題とされておる事項がございます。これにつきましては、年明け以降、議論を進めてまいることにしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それから、国の機関で雇用した障害者の職場定着の関係でございます。本年6月1日時点で雇い入れ進捗は80.6%のところまで来ておりまして、定着率は94.9%ということで、順調に推移しておると思います。これをより確実なものにしていくということが今後の課題でございます。
今回、障害者の方に満足度調査というのを行って、課題も幾つか見えてきておりますので、そういったことを各省にしっかり働きかけるとともに、職場適応支援者等による定着支援というのをしっかり行っていきたいと思っております。この障害者の方の職場定着は、官民問わず重要な課題ですので、これも一つの契機としながら、官民問わず定着支援というものを積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
それから、淡輪委員から、高齢者の多様な就業ニーズに対応した支援というお話、ございました。これは、来年度の概算要求のところでも説明、ございましたが、65歳超の雇用助成金の拡充ですとか、ハローワークにおけます生涯現役支援窓口の増設、それからキャリア形成支援を行うキャリアサポートセンターの整備などを行っておるところでございまして、企業支援に引き続き積極的に取り組んでまいります。
その上で、法改正についての御指摘、ございました。これは、御指摘のとおり、65歳までと異なって、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍ということを考える必要がございまして、そういった観点から選択肢を広げて検討していくということが成長戦略でも指摘されておるところでございまして、そういった観点で審議会でこれから積極的に御議論いただければと思っております。
以上、よろしくお願いいたします。
○鎌田会長 では、鈴木さん、どうぞ。
○鈴木政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当) 岸本委員から、統計について、2点御意見頂戴いたしました。ありがとうございます。
まず、1点目の委託の在り方ということでございましたけれども、統計につきまして確かに職員や調査員任せではなくて、業務システム全体として統計の質の確保ができることが重要だと考えてございます。そのため、ビジョンにおきましては、適正な事務手引きの整備とか研修の充実に加えまして、例えば調査員の業務の履行状況を厚労省が直接確認・把握できるような仕組みの導入も提言されておりますので、こういったことも速やかに対応したいと思っています。
また、ICTの活用でございますけれども、現在の厚労省所管統計の約7割がオンライン調査を導入しておりますけれども、これをさらに広げること。それから、回答率の向上というのが課題でございまして、それの推進。それから、組織やプロセス間でデータを転記するときの欠落や転記ミスが発生しないようなシステムの見直しやエラーチェックといったものも、ICTを活用して努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○鎌田会長 一通り回答があったと思います。よろしいでしょうか。はい。
私からは、厚生労働省には、年末の予算編成や今後の政策立案において、委員の皆様の御意見を踏まえ、取り組んでいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
続きまして、議題3の「労働政策基本部会報告書について」を議題といたします。
この本審の下に設置された労働政策基本部会において、6月に報告書が取りまとめられましたので、これについて、事務局から説明をお願いいたします。コンパクトによろしくお願いします。
○田中政策統括官付参事官 では、私から、資料6に基づきまして、基本部会の報告書につきまして御説明させていただきます。この6月にまとめていただきました。1枚おめくりいただきまして、資料6-1の概要に基づいて御説明させていただきます。
標題にありますように、働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するためにというのが基本的なコンセプトで、目指すところかと思います。
はじめにということで、この報告をするに当たっての基本的な考え方になりますが、グローバル化と相まって仕事の在り方が変化する。それから、人生100年時代、人口減少という中で、AIの積極的な活用、主体的な活用が労働生産性の向上を通じた経済成長の基盤であり、また労働者にとっても、みずからの能力を発揮できるよりよい環境をつくっていくということを可能にする。ひいては、幸福度の向上、豊かな将来につながるものだというポジティブな視点を持っております。
一方で、ネガティブなラインとしては、代替されるタスクがありますので、そういうタスクから構成される仕事の減少をもたらす懸念がございます。そういう中で、どのようにスキルアップとかキャリアチェンジにどう対応していくのかといった新たな課題に私たちは挑戦していくことが必要ではないかというのが、基本的な視点として、はじめににまとめられております。
1.質の高い労働の実現のためのAI等の活用ということで、AI等の活用がどういうふうに進んでいくのか、どういうことが必要かということをここでまとめております。
(1)人口減少の中でのAI等の積極的な導入の必要性でございます。人口減少の中で、経済社会の活力の維持・向上が重要な課題になってございます。そうした中で、AIはこれまでのような大量消費型といったことではなく、個々のニーズに応えることが可能になりますので、こういうことで大きな付加価値を創出することが可能になってくる。また、個々のニーズに応えた形になるということで、制約のあるような人材にも活躍の場をもたらす効果が期待できるということで、労働条件の改善とか職業生活や社会全体のディーセント・ワークの実現にAI等が活用されていくことができる、不可欠になってくるということをここで書いております。
(2)が次のページにまたがりまして、就業構造の変化に対応したAI等の導入です。現在、我が国はどういう就業構造になっているかということですが、医療・福祉の就業者数が増加傾向を見せており、職種別では、事務従事者の割合が2割、専門的・技術的職業の従事者が増加している。サービス・販売・事務従事者に非正規雇用労働者が多く、その多くは女性というのが現状の足元の姿であります。
今後、AIが実装されていくに従って、RPA等によって事務効率化が進むことが予想されますので、事務職が過剰となる一方で、技術革新をリードするような専門職は不足するといった推計もございます。個別に御紹介いたしませんが、後のほうに資料等をつけておりますので、適宜御参照いただければと思います。
そうすると、事務職といいますか、定型的なタスクのところが減ってくることになるわけですが、介護職員とか自動車運転従事者等の職種では現在どうか。人手不足、心身の負担が課題となっておりますので、こういったことに対応するためには、技術革新に対応した教育訓練、人手不足への対応、労働環境をよくしていくということが必要であって、AIを使った形で対応が進みつつあると現状を分析してございます。
次の紙に行っていただきまして、課題解決が必要な分野で、AI等の積極的な開発・実装が進むことが求められますが、導入状況はどうなっているかを見ますと、導入しているところは企業規模の大小によっても違います。また、導入が進まない理由としては、資金的な制約もありますし、導入した後のビジネスモデルが明らかでない、ノウハウがないということが挙げられておりますので、必要な分野でAI等の実装がしっかり進むような政策的対応も必要だろうということ。
それから、図の下にありますが、地方圏では、AI等の活用によって、より一層の地域の活性化つながることが期待されるということを述べております。
それから、(3)で産業構造の変化と雇用への影響ですが、AI等によって新しいイノベーションが生まれてきます。そうすると、産業構造が変わって、既存産業の在り方が大きく変化する。もちろん、新産業が創出される可能性がありますので、こうした変化は、必ず雇用・労働に影響を及ぼしていきます。これについて、関係者で議論が必要ということで、全体的な人手不足傾向は緩和される中で、ミスマッチの防止ということが課題となりますし、今後、AIでの変化が大きいし、また速度も速いということがありますので、課題への対応を今から検討していくことが求められております。
次に移っていただきまして、AI等の普及により求められる働き方がどう変化するかです。
(1)労働環境の変化への対応方針の協議です。当然のことながら、業務の内容や求められるスキルが変化する。一方で、AIの活用の中で、どういうスキルが今後重要になってくるかという点では、ここの図にありますように、働く側と企業とでは意識のギャップがある部分が見受けられます。このAI等の普及によって、業務の内容や求められるスキルが変化するということは、過去のME化、IT化の際にも、新技術の導入ということで一定、見られたことでございますが、このときには、集団的労使関係のもとで、労使での認識のすり合わせで配置とか職種の転換、職種の見直し等々について、納得を得るということで対応してきたわけです。
今後、AI等を導入するに当たっても、過去の対応も参考にしながら、必要な労使のコミュニケーションを図りながら進めていくことが重要であるということを、まず1点目として書いてございます。
当然、AIの影響は大きゅうございますので、経営者自身がマネジメントやAIに関する知識も求められますし、導入が具体的に進んでいく段階では、人事部門でもAIについて、しっかり理解していくことが必要ですし、人事労務業務そのものにもAIを活用していくことが今後見込まれてくる中で、ここの部門についてもAIリテラシーが求められてまいります。
今までの技術革新と違って、管理職も含めた幅広い職種・役職の業務が代替される可能性がありますし、また労働組合の組織率も過去と比べて変化してきておりますので、労働組合が存在しない職場における労働者の交渉力の問題、さまざまな検討が積み重ねられてきましたが、この技術革新が進展する中でどうしていくかということについても、労使間のコミュニケーションの在り方についての議論を深める必要があるという今後の課題がここで述べられてございます。
次のページが、AI等との協働に必要なスキルですけれども、仕事の変化に対応して必要なスキルを意識しつつ備えることが重要で、基本的な部分から、イノベーションの創出に向けて必要となる技能というものが上の2つに書いてございます。
それから、○の3つ目ですけれども、AI等が進展しても、人間にしかできない業務、むしろ人間がすることによって付加価値がある業務が残っていく。そうした業務に適用できるようなスキルを高めていく。それがより高い付加価値になり、経済成長の源泉となるということを記載してございます。
もちろん、下の最後のポツですけれども、AIを使いこなすスキル、それから人間にしかできないサービスを提供するスキルに、当然のことながら適切な評価がなされていくということが重要ですし、雇用の適切な評価・待遇については、モチベーションの向上、企業の魅力向上、人材確保につながっていくということを記載させていただいております。
次のページ、スキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援ということで、政府が取り組むような情報システムの整備等に取り組むこと。それから、教育訓練の内容も変わりますので、必要な教育訓練コンテンツを充実させること。また、企業でもどのような教育が必要なのか、在り方の検討が求められてきます。
また、人生が長くなり、就労期間が長くなる。キャリアチェンジの機会も多くなる可能性がありますので、全ての労働者がスキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援を受けられることが重要ですし、また働く以前の学校教育の段階から、基礎的なAIに関するリテラシー等々について身につけていくということが求められています。
また、そのような中で、労働者への支援、どういうことが求められるかですけれども、さまざまな要因からAIに対応できない労働者が少なからず生じる懸念もございます。そうした労働者が労働市場から排除されないで、社会に包摂されていくということにも留意が必要であるという観点をここに書いております。
次のページに行っていただきまして、3といたしまして、AI等が適切に活用されるための課題です。
まず、1点目はプライバシーの保護や情報セキュリティの確保です。AIで大きな情報をもとに分析・活用がされていくわけですから、情報、必要な個人データを安心して提供できるようにするための必要な環境整備が求められますし、それに伴う倫理観も不可欠になってございます。
2番目が企業の責任・倫理です。AIのアルゴリズム、データにはバイアスが含まれる可能性があります。それを理解した上で適切に説明できることが必要になりますし、逆の面としては、人間のバイアスをAI等によって補正していくということも記載されております。
(3)が円滑な労働移動の実現や新しい働き方への対応ということで、転職ニーズが高まっていくことを考えれば、円滑な労働移動の実現に向けた必要な整備が求められておりますし、予算事業の中でもありましたが、今後のクラウドソーシング等々の拡大に対応した必要な制度の在り方の検討が求められております。
最後、(4)です。AI等が雇用に与える大きな影響が想定される中で、個別の企業の内部だけで対応し切れる課題ではないので、さまざまな分野、社会全体でのビジョンを固めていくことが必要ですし、さまざまなレベルでの政労使間での対話を継続的に行っていくことが必要。また、中長期的な視点をもって対応を検討していくことが必要ということでございます。
最後に、おわりにとしまして、これを踏まえた労使間の議論ですとか、関係分科会での必要な検討について期待するということが書かれて締め括られております。
ちょっと雑駁ですが、説明は以上でございます。
○鎌田会長 続きまして、本報告書を取りまとめていただいた労働政策基本部会の部会長である守島委員より一言お願いいたします。
○守島委員 ありがとうございます。守島でございます。
今、御説明にもありましたように、今回の基本部会では、前回、昨年度の報告書で、たしか3つぐらいテーマを取り上げたのですけれども、その中で引き続き検討することが重要であろうと考えられた、AI等の技術革新の動向と、それの労働への影響ということについて、基本的には議論させていただきました。
具体的な方法論としては、導入されている企業さんとか業界の方々に来ていただいて、お話を聞くという方法で主に進めていったわけですけれども、結果として明らかになったことは、AI等を積極的に活用していくということは、日本の社会にとって、日本の経済にとって重要なことなのですけれども、同時に、そのためには労働者のスキルアップであるとかキャリアチェンジ、それから円滑な労働移動を実現していくということが必要であろうということが明らかになりました。さらに、それを行うためには、労使間のコミュニケーションをきちんと図っていって、労使間の協働を進めていくことが重要であろうという結論に至りました。
AIと言いますと、ちょっと前は黒船が来たみたいな印象が割合ありまして、何かわけのわからない怖いものが来たみたいな印象が比較的流布しておりまして、結果として、今ある仕事の半分ぐらいがなくなってしまうのではないかみたいな予測も立てられていたわけですけれども、この報告書も含めて、最近の議論というのは、どうやってAIを社会の中で、経済の中で使っていくことが重要なのだろうか。そういう方向にだんだん移ってきまして、さらにそのプロセスをちゃんと進めていくためには何が必要なのかという議論になってきたように思います。
今回の報告書もその路線に沿った、AIというものを社会のため、働く人のため、企業のためにどういうふうに使っていけばいいのかという問題点を幾つか指摘させていただいたように思います。この報告書ですけれども、今回、この場で議論していただいて御了承いただければ、この後、各分科会とか部会等で具体的な議論として落としていって、どういうふうにAIをいろいろな労働の場面で使っていくのか、労働政策にどういう形で使っていくのかみたいな話につなげていっていただければと思います。
また、社会的に見ても、この報告書をきっかけとして、私のこれは個人的な願いでもあるのですけれども、AIというものをどういうふうに導入していくのかということに関する労使のディスカッション、コミュニケーションを、この報告書をきっかけとしてさらに進めていただければと思います。
以上です。
○鎌田会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、ございましたら御発言をお願いいたします。
相原委員、どうぞ。
○相原委員 ありがとうございます。
今ほど守島先生からあったとおり、「AIが仕事を奪う」「大変な事態になった」という大合唱からは、少し冷静に議論ができる世の中の雰囲気にはなってきたと思っております。この報告書に書かれた、働く者がそのAIの技術を主体的に活かす社会であったり、また、それが働く人の知見を活かせる新しいデジタル化社会、この双方向の関係が大事だというのは、報告書に書かれたとおりなので、大変いい報告案を出していただいたと理解しているところです。
あわせて、御報告にもあったとおりですが、必ずしも職場には労働組合があるとは限りませんので、労働組合の有無にかかわらず、職場の対話、企業側と働く人たちの綿密な対話が積み重ねられてこそ、この新しいデジタル化社会の社会基盤が整っていくという、一つの重要な財産をつくり込む局面に来ているのではないかなと思うところです。
その延長線でいきますと、今回の働き方改革関連法において、旧雇用対策法が改正されて、労働政策の総合推進法へと姿が変わり、労働政策に関する国の責務規定が置かれました。しかし、私が申し上げたような集団的労使関係や労使コミュニケーションに関する規定は、その中には含まれておりません。労使コミュニケーションの重要性は報告書に書かれているとおりなので、国の責務としても、これらの労使コミュニケーションの促進が大事だという方向感で、何らかの規定を設けるということも、新しいデジタル化社会の中における基盤づくりということでは意味があるのではないかとも思うところです。
最後に1点、報告書に関連いたしますので申し上げたいと思いますが、人事労務に関係するAIの活用についての話もございました。人事労務がAIによる判断を利用する際に、企業が果たすべき役割・責任についても言及があるところです。この点で、先日、AIが計算した新卒の内定辞退率が不当に売買されていたということも明らかになっており、厚生労働省として適切に職安法に基づいて行政指導を行ったことも、報道などで承知するところです。
技術革新が進めば進むほど、労働行政としてもそれらを利用する企業サイドの倫理や責任などについても、広範に社会的な合意をつくっていく、もしくは倫理の基盤をつくっていく、ルールメイクしていく努力も今後は求められていると思っております。報告書全体は了とするところですが、1点、提起させていただきたいと思います。以上です。
○鎌田会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
中野委員、どうぞ。
○中野委員 ありがとうございます。
ただいまの報告書について、意見を申し上げたいと思います。今回の報告書ですが、AI等が雇用や働き方に及ぼす影響につきまして、分析の上で、今後の労働政策の方向性や課題を整理されておりまして、大変示唆に富んだ内容と受けとめております。皆様の尽力に改めてお礼申し上げます。
その上で、労働生産人口減少下の日本では、デジタル化の波は日本の産業構造に大きな変化をもたらしつつあります。企業は、こうした変化を見据えて柔軟に業務や働き方を改革していかなければならないという考えです。弊社グループの例でしかありませんが、例えば小売業の多くが行う交替制の勤務は、それぞれの希望がありますから、短時間で勤務表をつくり上げるというのは非常に至難のわざです。ところが、今、AIを活用したシフト編成の自動化というものを導入し始めました。業務効率が大いに上がったという実績も上がってきつつあります。
また、お客様の満足度を高める接客ツールということでも、紳士服をオーダーする際にお客様が求めるイメージを幾つか入力しますと、最適な数字を選んでくれる。これ自体は、たしか官民の取組だと思いますが、こういったものも店頭での導入が始められているのが実態でございます。
御承知のとおり、我が国は官民が連携してデジタル化に対応した、人が中心の創造社会、Society 5.0の実現を目指しています。その早期実現のためにも、報告書で示されているとおり、働き手のスキル向上とかキャリアチェンジに向けた支援の拡充、円滑な労働移動の実現等の課題につきまして、所管する分科会・部会で検討し、対応を進めていただきたいと思います。さらに、企業の変革を着実に前進させるためには、企業と、そこで働く多様な働き手のコミュニケーション、御発言ありましたが、こちらが一層重要になってまいります。
この点につきまして、労働政策基本部会において、企業の現状や先進事例を収集するなど、労使の参考となる情報を御提供いただければ大変ありがたく存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○鎌田会長 それでは、中西委員、どうぞ。
○中西委員 ただいまの中野委員の御発言と多少重複するところもあるかもしれませんが、私も報告書につきまして、多少の意見と要望を申し述べさせていただきたいと思います。
このたびの報告書は、経営者にとって大変興味深く、重要な内容であると認識しております。AI等の普及は、イノベーションの創出や労働生産性の向上により産業・就業構造の変化をもたらすと予想されていますが、それに伴う労働者に求められるスキルの変化等により、雇用のミスマッチが生じることも想定されることから、将来の雇用・労働政策に大きな影響を及ぼすものと存じます。このため、AI等の普及に適合した教育・訓練、またキャリア形成手法を確立するとともに、成長産業への円滑な労働移動により、雇用のミスマッチを解消することが重要な政策になってまいります。
したがいまして、厚生労働省におかれましては、AI等の普及に適合した雇用・労働政策の在り方や方向性を継続的に検討していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○鎌田会長 小杉委員、どうぞ。
○小杉委員 1つだけ、守島先生にお聞きしたいのですけれども、相原委員の問題意識にも共通しているのですが、労働者のプライバシーの保護とか、その辺は大事な課題だと挙げていただいたのですが、その中で個人データの提供という表現になっているのですが、今回の技術革新というのは、本人が提供する、しないの意思にかかわらず、収集されてしまうのです。収集されてしまう情報を倫理観という話で何とかなるものなのか、その辺、収集されてしまう情報についての議論というのはあったのかどうかだけ、お聞きしたいと思います。
○鎌田会長 守島委員、よろしいですか。
○守島委員 時間もありますので、簡単にお答えしたいと思いますけれども、正確に言うと、その議論は正面切って私たちはしませんでした。ですから、ここから申し上げることは私の個人的な感覚になるのですけれども、情報の収集に関してはかなり丁寧な議論をしないと、同意のもとに収集する情報というのもあるのですけれども、同意をとれば全ていいのかということ。ヨーロッパなどではそういう議論を始めていますので、そういう意味で言うと、情報の収集に関してもAIを使う。AIのある意味、前段階として情報を使うわけですから、収集するわけですから、そういうことについても、ぜひこれから議論していきたいと思っております。
○鎌田会長 ありがとうございます。
今、幾つか御意見がありましたが、事務局として何かコメントがありますか。
田中さん、どうぞ。
○田中政策統括官付参事官 いろいろ御意見ありがとうございました。
特に、この基本部会につきましては、中長期的な課題について議論するということで積極的に議論いただいたもので、その議論の結果につきまして、今日この場で御紹介させていただきまして、さまざまな視点で今後の施策に活かしていくべきという御意見をいただいたのかなと思っています。今日、いただいた御意見も含めまして、各分科会、それぞれの局長も出席していただいておりますので、今後の施策を考えるに当たっての視点として受けとめさせていただきたいと思いますし、また今後の基本部会の進め方につきましては、部会長、それから会長とも御相談しながら進めていきたいと思っております。
○鎌田会長 それから、労使双方からAI等の新技術導入に伴う労使間コミュニケーションの充実について、さらなる検討が必要との御意見があったように理解いたしましたが、これについて守島委員、いかがでしょうか。
○守島委員 ありがとうございます。
まさに今、会長がおっしゃったようなことなので、これから具体的には、基本部会の審議のために検討会を立ち上げて、労使双方の専門家を招いて、どういう問題があるのか、どういうことをやっていけば、労使がコミュニケーションを通じてAIという技術を現場に導入していけるのかということを検討する検討会を立ち上げたいと思いますので、それではいかがでしょうか。
○鎌田会長 ありがとうございます。
この点を含めて、何かほかに御意見ございますか。よろしいですか。
それでは、本報告書については、労働政策審議会令第9条に基づき、労政審として了承し、また先ほどのAI等の新技術導入に伴う労使間のコミュニケーションの充実については、守島委員がおっしゃったように検討会を立ち上げ、課題を整理するという方向で進めていただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鎌田会長 ありがとうございました。
労働政策基本部会では、AI等の技術革新と雇用・労働をめぐる問題について、精力的に御議論いただき、報告書を取りまとめていただいたことに、私からも感謝申し上げます。本報告書については、各分科会にも関係するさまざまな提言がなされておりますので、本日の御意見を踏まえ、今後、各分科会において報告書をごらんいただき、各分科会での議論に役立てていただきたいと思います。
また、先ほど議論がありましたように、引き続きAI等の新技術導入に伴う労使間のコミュニケーションの充実について、検討を進めていただきたいと思います。
最後に、新谷政務官から御挨拶があるとのことですので、よろしくお願いいたします。
○新谷大臣政務官 本日は、お忙しい中、労働政策審議会にお集まりいただきまして、また活発な御議論いただきまして、厚く御礼申し上げます。本日いただいた御意見を踏まえまして、今後の政策立案にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
また、守島委員を始め、労働政策基本部会において精力的に御議論いただき、報告書を取りまとめていただいたことについても厚く御礼申し上げます。AI等の新技術の導入に伴う労使間のコミュニケーションの充実につきましては、本日、皆様からいただいた御意見をもとに、今後新たな検討会を立ち上げ、そして実態や課題の把握を中心に検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に、労働政策を策定し、実施していくに当たっては、現場を熟知しておられる当事者である労使の参画を得て、十分な議論を尽くすことが重要であると承知いたしております。今後とも公労使の三者で構成された本審議会におきまして活発な御議論をいただきますよう、改めてお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
本日はまことにありがとうございました。
○鎌田会長 ありがとうございました。
それでは、本日はここで閉会させていただきたいと思います。活発な御議論ありがとうございました。
本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の安河内委員、使用者代表の伊藤委員に署名委員になっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の会議は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。

    (了)
 
 
                                                                                      
                                                                     


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