第15回過労死等防止対策推進協議会 議事録
労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)
○日時
令和元年10月16日(水) 15:00~17:00
○場所
厚生労働省 共用第6会議室
(中央合同庁舎第5号館3階公園側)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
(中央合同庁舎第5号館3階公園側)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○出席者
<専門家委員>
岩城穣委員、川人博委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員、山崎喜比古委員
<当事者代表委員>
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
<労働者代表委員>
北野眞一委員、則松佳子委員、村上陽子委員
<使用者代表委員>
佐久間一浩委員、山鼻恵子委員、輪島忍委員
○議題
・令和元年版過労死等防止対策白書について
・令和元年度の取組状況・予定について
・令和2年度概算要求について
・令和元年度の取組状況・予定について
・令和2年度概算要求について
○議事
- ○中窪会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第15回過労死等防止対策推進協議会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらずお集まりいただき、まことにありがとうございます。
初めに、委員の異動がございましたので、御報告いたします。全体資料の最後の95ページ、参考資料の委員名簿をごらんください。
労働者代表委員の白井桂子委員及び中川義明委員が退任され、本日付で後任に新たな委員が厚生労働大臣から任命されております。
まず、北野眞一委員です。
○北野委員 よろしくお願いします。
○中窪会長 則松佳子委員です。
○則松委員 よろしくお願いいたします。
○中窪会長 また、本日御都合により木下委員、八野委員、湊元委員が御欠席です。
さらに、事務局にも異動があったとのことですので、事務局から御紹介ください。
○小城企画官 前回5月9日の協議会以降、事務局に異動がありましたので、御紹介申し上げます。
大臣官房審議官の吉永です。
○吉永審議官 吉永でございます。よろしくお願い申し上げます。
○小城企画官 労働基準局総務課長の久知良です。
○久知良総務課長 久知良でございます。よろしくお願いいたします。
○小城企画官 労働基準局安全衛生部労働衛生課長の井内です。
○井内労働衛生課長 井内です。よろしくお願いします。
○小城企画官 内閣官房内閣人事局参事官の櫻井です。
○櫻井内閣人事局参事官 櫻井でございます。よろしくお願いいたします。
○小城企画官 総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長の飯山です。
○飯山安全厚生推進室長 飯山でございます。よろしくお願いいたします。
○小城企画官 事務局の紹介は以上です。
○中窪会長 それでは、カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、各委員にタブレットを配付して、ペーパーレスにより議論いただくこととされております。
また、机上に白書の冊子とタブレットの操作説明書を各1部お配りしておりますので、御確認ください。
タブレットの操作がわからない場合には随時職員をお呼びください。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入ります。去る10月1日に「令和元年版過労死等防止対策白書」が閣議決定され、公表されております。また、関係行政機関において随時対策を進めているところであり、令和2年度概算要求も行われております。
つきましては、まず厚生労働省から白書の報告と、今年度の対策の実施状況及び令和2年度概算要求の概要について、まとめて15分程度で御説明いただきたいと思います。その後、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順で対策の実施状況について、それぞれ約5分以内で御説明をいただいた後、一括して質問等の時間を設けたいと思います。できるだけ多くの委員から発言をいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いいたします。
○小城企画官 それでは、資料1の3ページをお開きください。過労死防止対策白書の概要でございます。令和元年版の白書につきましては、平成30年度の過労死等防止のための施策の状況を報告するもので、4回目となってございます。本年の白書のポイントは、昨年7月に変更されました過労死等防止対策大綱において、新たに調査研究の重点業種として追加された建設業、メディア業界についての調査分析結果を報告しております。
また、中小企業等のメンタルヘルス対策等の取組事例について、他の企業等の取組の参考となるようコラムとして多く掲載し、資料に一部を紹介申し上げております。
4ページをごらんください。大綱で定める数値目標に係る労働時間やメンタルヘルス対策の状況等について、現状を記載しております。
4ページ左図、1週間の労働時間60時間以上の雇用者の割合は緩やかに減少し、平成30年6.9%、397万人。
右図は年次有給休暇の取得率は、平成29年は51.1%と18年ぶりに5割を上回っております。
長時間労働の削減や休息の確保につながる勤務間インターバル制度につきましては、「制度を知らない」と回答する企業は全体の26.6%。制度の導入企業は1.8%となってございます。
5ページ、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合でございます。平成29年では58.4%。その右側を見ていただきますと、規模が小さい事業所ほど取組割合が低く、小規模な事業場における取組の促進が課題となっております。
右図、職場に仕事の不安や悩みなどの相談先がある労働者割合は72.5%。その下は、ストレスチェック結果を分析し、その結果を活用した事業場割合が51.7%に増加となってございます。
下の図は自殺者数を示してございまして、自殺者数は毎年減少しておりますが、勤務問題を原因、動機の一つとするものは横ばい傾向にあります。自殺者数に占める勤務問題を原因の一因とする者の割合を見ますと、9.7%と増加の傾向を示してございます。
6ページ、過労死等の現状でございます。労災保険が適用されます民間雇用労働者について見ますと、脳・心臓疾患に係る労災の認定件数は250件前後で推移し、うち死亡は100件前後。精神障害に係る労災認定件数は500件前後で推移し、うち死亡事案は100件弱程度となっているところでございます。
7ページ、過労死等をめぐる調査・分析結果でございます。大綱に基づく調査研究の重点業種である建設業、メディア業界につきまして、労災認定事案の分析、あるいは企業等へのアンケート調査結果を記載させていただいております。
2番目といたしまして、新たに追加収集した労災認定事案の分析結果についても御紹介をしております。
具体的には8ページからでございます。建設業につきまして、労災認定事案の分析結果によりますと、精神障害事案につきまして、発症に関与したと考えられる業務ストレス要因は、技能労働者と現場監督では異なる結果となっております。技能労働者では半数以上が労働災害関連。現場監督では長時間労働や業務量の変化等が多く示されてございます。特に現場監督の精神障害事案のうち半数が自殺事案であり、その自殺事案の発症に関与したストレス要因は、長時間労働に関連するものが多くなってございます。
9ページ、広告業、出版業、新聞業、放送業を対象とするメディア業界について分析しております。労災認定事案の分析結果によりますと、精神障害事案については、20代、30代の若い世代が多く、業種別では広告業、放送業、職種別では営業、メディア制作、デザイナーが多くなっております。精神障害事案の発病に関与したと考えられる業務によるストレス要因は、長時間労働に関連するものが多く、その他、仕事の量の変化や上司とのトラブルに関するものなどとなってございます。
10ページは、労災認定事案の追加収集・分析をした結果でございます。平成27年度から28年度までの労災認定事案を追加収集しております。平成22年以降7年間における全業種の過労死等の労災認定事案について分析したものです。特に精神障害事案を見ると、男女間で精神障害の発病に関与する業務による出来事の内容に差異が見られております。男性は「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」が23.1%と最も多く、長時間労働や対人関係に関するものが上位を占めております。他方、女性は「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が21.9%と最も多いほか、セクシュアルハラスメントや対人関係に関するものが上位を占めているところでございます。
11ページ以降は、大綱に定めた国が取り組む重点対策の状況を記載しております。過労死防止対策大綱に定められた長時間労働の是正、過労死等の防止、産業保健機能の強化、職場のハラスメント対策など、労働施策に関する基本的な事項を盛り込んだ労働施策基本方針を紹介するとともに、12ページには、大綱において労働行政機関等が関係法令に基づき対策を強力に推進することに対する重点的な取組内容を記載しているものでございます。
13ページは、過労死等防止調査研究センターにおける研究の概要をお示ししております。
14ページには、啓発といたしまして、全国各地の過労死を考える家族の会、過労死弁護団等と連携して実施しているシンポジウムの開催などを記載させていただいております。
15ページは、過労死された方の遺族や弁護士を講師として、大学・高校等へ派遣し実施している学生への啓発事業など、学生等への労働条件の啓発の取組や、11月、過重労働解消キャンペーンの取組を御紹介しております。
16ページは、勤務間インターバル制度の推進に関する取組と、中小企業の製造業とIT企業の取組事例のコラムを御紹介しております。
17ページは、働き方の見直しに向けた企業への働きかけや年次有休休暇の取得促進をお示ししています。
18ページにつきましては、メンタルヘルス対策につきまして、ポータルサイトでの周知や相談対応のほか、公務職場での取組事例もコラムで紹介しております。
19ページは、ハラスメント対策につきまして、本年5月に国会で可決・成立しました女性活躍推進法等の一部改正法やパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等の予防、解決の取組とともに、菓子業界団体のカスタマーハラスメント対策に取り組む例を御紹介しております。
20ページ、21ページは、商慣行・勤務環境を踏まえた取組でございます。トラック運送業における荷主と運送業者の協力による取引環境と長時間労働改善に向けた取組の状況をお示ししています。教職員に関しましては、在校等時間の上限の目安を定めたガイドラインの策定や、中央教育審議会の答申及びそれを踏まえた取組の状況をお示ししています。医療機関につきましては、その勤務環境改善のための取組の状況を示しております。
21ページにIT業界における受発注者の協働による長時間労働の是正のための取組、あるいは建設業における工期設定の適正化などを図るための取組などを記載させていただいております。
22ページでございます。個々の特性に応じた配慮を行うことが必要な労働者への取組を記載しております。中小企業における障害者に配慮したメンタルヘルス対策の取組事例もコラムで紹介しております。
23ページは、公務員につきまして、超過勤務の縮減やメンタルヘルス対策等の取組を記載し、消防職員の惨事ストレスへの対応等の取組をコラムで紹介しております。
24ページ、各種相談窓口や産業保健スタッフ等に対する研修の実施など、相談体制の整備を記載させていただいているところです。
25ページには、シンポジウムの開催状況及び過労死遺児の交流会など、民間団体の活動の状況を記載させていただいているところでございます。
28ページは、資料2といたしまして、過労死等防止対策推進法及び大綱に基づく施策の状況をお示ししています。大綱において国が取り組む重点対策とされている内容について、平成27年度以降の取組実績を経年的に取りまとめたものでございまして、後ほどお目通しいただければと思います。
57ページには資料3といたしまして、令和元年度の厚生労働省における過労死防止対策の実施状況を御紹介しております。令和元年度における厚生労働省における主な取組といたしまして、58ページ、11月の過労死等防止啓発月間に向けて広報活動を行うとともに、11月を中心に全都道府県でシンポジウムを48回開催予定でございます。今年の中央シンポジウムは11月6日に東京・イイノホールで開催いたします。
59ページでございます。11月に過重労働解消キャンペーンといたしまして、長時間労働削減等のための重点的な監督指導等の取組を集中的に実施することといたしております。また、10月27日に全国一斉の無料電話相談を実施する予定といたしているところでございます。
60ページでございます。過労死等防止調査研究センターにて実施している労災認定事案の分析など、研究を継続して実施していくこととしております。
61ページには企業等へのアンケート調査について、昨年度までに7つの重点業種・職種の調査を一巡したところでございますので、今年度は全業種の企業、労働者、法人役員、自営業者を調査対象として現在調査を実施中でございます。いずれも調査研究の結果につきましては来年度公表予定でございます。
62ページでは、長時間労働削減対策の取組を通年で実施しており、その概要を御紹介しています。
63ページ、メンタルヘルス対策につきまして、過労死事案等の調査分析結果からもその推進が重要ですが、小規模事業場における取組の促進が課題となっているところでございます。47都道府県に設置された産業保健総合支援センターにおける産業医や専門家等による各種支援、あるいは助成措置の活用、好事例等の周知等によりまして事業場の取組を支援しているところでございます。
64ページ、相談体制につきまして、特に「こころの耳」におきまして試行的にSNSによる相談対応を実施するよう、ツールも充実する予定でございます。
65ページでございます。過労死された方の遺族や弁護士を大学や高校に講師派遣した啓発事業につきまして、9月末現在、155回の授業申し込みを受けて、現在実施中でございます。
66ページ、商慣行等を踏まえた業種ごとの取組状況でございます。自動車運送業につきましては、昨年11月策定いたしました荷主と運送業者との協力による取引環境と長時間労働改善に向けたガイドラインの周知、セミナーの開催のほか、本年9月トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイトを開設し、荷主等への啓発を行っているところです。
建設業につきましては、建設工事における適正な工期設定のためのガイドラインを民間発注者も含め周知しているところです。
IT関係につきましては、企業への個別訪問によるコンサルティングなどのほか、発注者向けガイドラインの作成を予定しております。
次のページは医療関係でございますが、本年3月に取りまとめられました医師の働き方改革に関する検討会報告書におきまして、引き続き検討することとされている事項について、7月より具体的検討を進めているところでございます。
68ページには過労死遺児交流会について、8月18日に開催したことを御紹介申し上げております。
さらに、92ページ、資料8には、令和2年度の概算要求の状況を御紹介しております。過労死等防止対策推進法や大綱に定める調査研究、啓発、相談体制、民間活動への支援に関する必要な予算につきまして、今年度の事業を基本的に継続しつつ、事業拡充等を要求してございます。令和2年度の新規拡充の主な事業を紹介いたします。
93ページでございますが、勤務間インターバル制度を導入した中小企業への助成金。それから47都道府県に設置する働き方改革推進支援センターにおいて、専門家みずから個別企業を訪問し課題に対応する伴走型支援。あるいは医療機関におけますタスクシフティング等、医療機関の好事例の普及の支援、こうしたについて重点的な要求をしているところでございます。
以上で厚労省から説明を終わらせていただきます。
○中窪会長 ありがとうございました。
続いて、人事院からお願いいたします。
○役田職員福祉課長 それでは、人事院から一般職国家公務員の過労死等防止のための対策について御説明をさせていただきます。資料4、69ページをごらんいただければと思います。今年度におきましても長時間労働の是正等、こころの健康づくりの対策、パワーハラスメント防止対策、過労死等事案の分析、こういったことを柱とした対策を講じているところでございます。
1つ目は左上にございます長時間労働の是正についてでございます。国家公務員につきましても、民間労働法制の改正を踏まえまして、超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で定めまして、原則一月45時間、年360時間。他律的な業務の比重が高い部署に勤務する職員につきましては、1カ月100時間未満、かつ1年について720時間等々設定してございます。人事院としましても、他律的業務の比重が高い部署の範囲など、制度の運用状況を把握しまして、必要に応じて各府省を指導することとしております。
また、職員の健康確保措置につきましては、一月につき100時間以上の超過勤務を行った職員等に対しましては、職員からの申し出がなくても、医師による面接指導を実施する等、健康確保措置を強化しました。これらの措置は4月から施行してございます。
あわせて、面接指導の対象範囲が拡大されましたことから、本年度は人事院において面接指導に当たる医師を確保いたしまして、当該医師による面接指導を希望する府省の対象職員に対し、当該医師が面接指導を実施し、各府省における面接指導の支援を行っているところでございます。
さらに、年次休暇の使用を促進するため、本年1月から各省・各庁の長は、休暇の計画表の活用等によりまして、一の年の年次休暇の日数が10日以上の職員が年次休暇を5日以上確実に使用することができるよう配慮することとしております。長時間労働是正につきましては引き続き機会を捉えて取り組んでいきたいとしております。
右側の柱に参りまして、こころの健康づくり対策等でございます。まず、公務におけるパワハラの防止対策につきましては、現在人事院におきまして有識者による検討会を設置して検討を進めているところでございます。民間分野の法制は成立いたしましたけれども、それに基づきます指針が現在労働政策審議会において議論されていると承知いたしておりまして、その状況等も注視しながら議論を継続しまして、結果を踏まえ、公務におけるパワハラ防止対策を講じてまいりたいと考えております。
各種研修についても実施いたしております。健康管理制度説明会、こころの健康づくりの研修、e-ラーニングによる自習用教材を活用した研修、こころの健康づくりのための職場環境改善ファシリテータ研修、こういったものを行うことによって啓発に努めているところでございます。
周知という点でございますが、メンタルヘルスであればガイドブック。特に職員用、管理監督者用の2種類を作成してございますが、どちらにも過労死等防止のための取組を内容として含めておりまして、これを職員に配付をしているところでございます。
また、パワーハラスメントにつきましても同様にハンドブックを作成して配布しておりますほか、現在、いわゆるe-ラーニングによります自習用研修教材を作成しておりまして、これは年内に各府省に配布する予定としているところでございます。
4つ目の○、相談体制の運営でございます。これは霞が関にございます人事院の本院と9カ所にある全国の地方事務局等に設けておりまして、どの府省の職員の方でも利用可能となっております。
職場復帰相談室と申しますのは、メンタルでお休みされた方が職場に復帰されるに当たって専門家のアドバイスを受けるということを目的として設けているものでございます。
こころの健康相談室は、それぞれの府省においてこころの健康相談の体制がありますけれども、なかなか自府省では相談しにくいということで、そういった方のために設けているものでございます。
補足いたしまして、ここに苦情相談、パワーハラスメントとございますが、人事院におきまして受け付けております苦情相談のうち、366件がパワーハラスメントに関するものということで、いろんな相談事由の中で最も多いものとなっております。平成30年度に国会と内閣に提出いたしました人事院の年次報告書におきましては、パワハラを含む苦情相談制度を取り上げて公務における課題を浮き彫りにするとともに、それに対処するための取組や方策について言及したところでございます。
最後、左下に参りまして、過労死等事案の分析、公務災害相談窓口の周知につきましては、平成30年度は、平成27年4月から30年3月までの期間に公務災害と認定された事案及びされなかった事案について取りまとめ、平成22年4月から30年3月までの8年間に公務災害と認定された事案について分析を行ったところでございます。
また、各府省の公務災害相談窓口について、人事院及び各府省のホームページやイントラネット等で周知をすることとし、あわせて職員等から各府省に相談があった場合の対応について通知をしたところでございます。
以上でございます。
○中窪会長 次は内閣人事局、お願いいたします。
○櫻井内閣人事局参事官 内閣人事局からは資料5、70ページに基づきまして御説明を申し上げます。内閣人事局では人事院と連携しながら、国家公務員に対する啓発や相談体制の整備のための取組を進めているところでございます。
70ページ、令和元年度におきます過労死の防止対策の実施状況ですけれども、2つの柱といたしまして、ワークライフバランスの推進、次ページにあります心身の健康の保持増進を立てて取組を進めているところでございます。
1つ目のワークライフバランスの推進につきましては、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づきまして、超過勤務の縮減、年次休暇の取得の促進といった取組によってワークライフバランスを推進しております。
1ですが、今年度も7~8月を国家公務員のワークライフバランス推進強化月間として実施いたしました。右側中段のものは周知・啓発のために府省に配布いたしましたポスターでございます。この月間は平成27年度から実施しておりまして、今年で5年目となりますけれども、例えば終業時刻を普段より1時間早める「ゆう活」を始めとした働き方改革に取り組むことによって、長時間労働を打破することを目的としております。
なお、本年の「ゆう活」の実施結果につきましては、現在各府省にフォローアップを依頼しているところでございまして、取りまとめをしているところでございます。
2は、超過勤務の縮減と年次休暇の取得促進、WLBの推進のためのマネジメント能力向上のために、特に管理職に対する働きかけを進めているところでございます。
アは、超過勤務予定の事前把握の徹底でございます。これは管理職が部下の超過勤務の理由や見込み時間を事前に把握することによって、超過勤務の根本的な原因を取り除き、また超過勤務を縮減しようとする取組でございます。
年次休暇につきましても、連続休暇の取得を促進するとともに、計画的な取得のための計画表の活用といった取組を推進しております。
イです。働き方改革と女性活躍、WLB推進に係る管理職員向けのe-ラーニングも平成29年度から行っておりまして、本年度は約3.7万人の全管理職を対象として行っております。
ウです。対面形式によるWLB推進マネジメントセミナーも実施しておりまして、本府省及び全国の8ブロックで今年度合計約300名が参加見込みでございます。これにつきましては、管理職として求められる行動や役割について講義のほか、グループ討議を行うことでその定着を図っております。
続きまして、71ページ、心身の健康の保持増進に関しましては、管理職員などによる健康マネジメントの推進という観点で進めております。国家公務員に対する周知・啓発等の実施です。1番目ですが、管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーといたしまして、今年度全国6ブロックにおいて管理職員など合計約290名が参加する見込みでございます。こちらはメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーとしております。
続きまして、2のe-ラーニングを用いたメンタルヘルス講習やハラスメント防止講習につきましては、平成28年度から新任の管理者、課長補佐などにつきまして、心の健康づくりとハラスメント防止に関する研修の受講を必修化しております。さらに、昨年6月からは幹部職員及び課長級職員に対しましても、セクシュアルハラスメント防止のための研修について義務化されたところでございまして、各府省での取組に加えて、内閣人事局としては、e-ラーニングを用いた講習を提供しております。今年度は新任の管理職、課長補佐など約1万人を対象といたしまして、メンタルヘルス、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントの基礎知識や部下との相談対応方法などを習得するものを作成しております。また、新任の幹部職員や課長級職員約1,500人を対象として、セクシュアルハラスメントを始めとするハラスメント防止、問題が生じた場合の対処に関して幹部職員等が果たすべき役割と責任に対する理解を習得するためのものを作成しておりまして、本年10月下旬ごろから提供開始を予定しております。
3番、生活習慣病対策等の健康増進対策の推進でございます。過労死等の原因となり得る脳血管疾患や心臓疾患を予防する観点から、健康診断等の受診の結果、要医療または二次健診の対象となった職員に対する確実な受診等の指導を行っているところでございます。
最後に、国家公務員に対する相談体制の整備につきましては、各府省に配置されているカウンセラーを対象といたしまして、各府省等カウンセラー講習会を全国6ブロックにおいて行っており、合計約250名が参加する見込みでございます。各府省のカウンセラーの方につきましては、その基礎資格や経験がさまざまでございますので、よりカウンセリング能力を高めていただくために実践的な講義を実施しております。
人事局からは以上でございます。
○中窪会長 続きまして、総務省からお願いいたします。
○飯山安全厚生推進室長 総務省でございます。
それでは、資料6に基づきまして、総務省の令和元年度における地方公務員の過労死等防止対策の実施状況につきまして御説明を申し上げます。73ページをごらんください。地方公共団体における時間外勤務縮減の取組についてでございます。総務省から各地方公共団体に対しまして、労働時間の適正な把握、時間外勤務縮減を各種通知で要請しております。また、地方公共団体の人事担当課長等が出席する各種の全国会議においても要請しているところでございます。
下のほうでございます。地方公共団体と総務省の担当者が協力しまして、平成29年度から女性活躍・働き方改革推進協議会を立ち上げております。今年度につきましても具体的、実践的な取組手法につきまして意見交換、情報交換を行う場として、記載のとおり、分科会、市町村部会を開催、または開催予定としてございます。
74ページでございます。地方公共団体における「ゆう活」の取組としまして、平成30年度に作成しました「地方公務員における女性活躍・働き方改革推進のためのガイドブック」の改訂版を本年3月に作成し、その中で取組事例の紹介を行っております。5月には「ゆう活」等の取組を促す通知を発出するとともに、各種会議においても積極的な取組を要請してございます。
75ページ、上段は平成28年度から毎年実施しております地方公務員の過労死等に関する調査研究事業についてでございます。本年度におきましても、平成22年1月から平成30年3月までに公務災害と認定された事案につきましてデータベースを構築するとともに、職種別のうち一般職員等に係る事案を分析することとしております。
下段は、地方公共団体における安全衛生体制の整備状況とストレスチェックの実施状況でございます。どちらもほぼ100%に近づいておりますが、主に小規模の事業場において未達成の団体がありますので、引き続き助言をしてまいりたいと思います。
76ページ、上段は地方公務員に対する講義・研修の状況でございます。例年総務省自治大学校における講義、地方公務員安全衛生推進協会における研修会を実施しておりまして、本年度におきましても表のとおり実施または実施予定でございます。
下段は地方公務員に対する相談の取組でありまして、苦情相談窓口の設置につきまして各地方公共団体に要請しております。このほか、各地方公務員共済組合、あるいは地方公務員災害補償基金におきましてメンタルヘルス相談を実施しております。
総務省からの説明は以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
最後に文部科学省からお願いいたします。
○合田財務課長 文部科学省のほうから御説明申し上げます。
86ページをごらんいただきたいと思います。本年1月に中教審から学校における働き方改革の答申がございました。それにつきましては、本協議会で5月に御説明申し上げたところでございますが、その後の状況といたしまして、86ページにございますように、教師の勤務の長時間化の現状を踏まえた上で、真ん中に緑の箱が幾つかございますけれども、ここにある取組を現在総力戦で進めているところでございます。
上限ガイドラインの設定、学校・教師の業務の適正化ということで、御案内のとおり、現在教師・学校の先生方は、学校給食費の徴収でありますとか、登下校時の見回りといったことも担っておりますが、学校給食費については、引き落としをするような管理のガイドラインというものをお示しするなど、取り組ませていただいておりますし、留守番電話の設置もかなり広がってきてございます。川崎市などでも導入するということになっておりますが、これらの取組を進めること。それから教職員定数の改善や外部人材の活用を含めた条件整備。右側でございますが、休日のまとめ取りの推進。改革サイクルの確立ということで、本年度につきましては、教職員の在校等時間を客観的に把握していない基礎自治体名を公表するということで調査を進めてございます。
その下にございますが、中教審においてはさらなる検討を行ってございまして、教育政策の中身で恐縮でございますが、小学校の高学年における教科担任制の導入というものを検討いたしております。これによって先生方の持ちごま数は軽減されるということが見込まれるところでございます。
これらの取組をとにかくしっかり取り組んで結果を出していくということで、具体的には、例えば茨城県の守谷市などでは6月の在校等時間が上限ガイドラインを下回るという成果も出ておりますし、横浜市などでも完全に客観的に先生方の在校等時間を把握して、経年変化を見ていくという取組を進められているところでございますが、率直に申し上げてまだまだばらつきがあるというところでございます。そのことも踏まえまして、今臨時国会に提出をすべく現在政府の中で検討いたしておりますのは、このガイドラインを給特法上の指針に位置づけまして、法的根拠を持ってその実効性を高めていくということと、それから休日のまとめ取りという観点から年に5日程度。学校の場合は夏休みがございますので、休日のまとめ取りを行うということのために、1年単位の変形労働時間の適用を可能にしてはどうか、選択的導入を可能にしてはどうかということで、現在検討を進めてさせていただいているところでございます。これらにつきましては、1月の答申をしっかり踏まえまして、答申に書かれているようなさまざまな指摘をしっかり踏まえて制度設計をさせていただきたいと思っております。
なお、86ページの一番下にございますように、答申におきましては、3年後をめどに勤務実態調査を実施するということと、公立学校の教師に関する労働環境について、給特法等の法制的な枠組みについて検討ということが指摘をされているところでございます。3年後、令和4年になるかと存じますけれども、勤務実態調査を一つの節目にしながら、昭和46年の枠組みであるところの給特法につきましても見直しを検討していくということで議論をさせていただいているところでございます。
あと1点、87ページ以降でございます。途中の報告で、結果がなくて大変恐縮なのでございますが、本協議会における御議論、特に工藤代表の御指摘などを踏まえながら、公立の教師の公務災害認定における相談窓口の設置状況等について現在調査をしているところでございます。
90ページをごらんいただきますと、公務災害の可能性がある事態に至ってしまった場合の当該職員からの相談体制。その下に(4)とございますが、公務災害によって過労死等、そういうことが生じた場合の当該職員の家族や遺族からの相談体制ということで調査をさせていただいているところでございます。大変申し上げにくいことでございますけれども、こういう相談体制を組んでいるという自治体や教育委員会が少ないものでございますから、なかなか調査の意図とか趣旨というものを図る、ディスコミュニケーションと申しますか、図れないところがございまして、まだ自治体のほうと正確な数字が把握できてございません。このような相談窓口を設けているという御回答をいただいても、社会通念上設けているとは言えないという状況もございまして、今、もう一度整理をさせていただいております。これにつきましては、情報を把握次第、御報告を申し上げますとともに、私どもとしては県教育委員会の福利課などの組織がございますが、脳血管疾患ですとか心臓疾患などを原因とする死亡があった場合には、過労死という可能性もあるということで、家族と向き合い、支えるという体制が必要ではないかということで、結果を踏まえて各教育委員会に対する指導をさせていただきたいと考えている次第でございます。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
以上の各説明につきまして御質問や御意見等をいただきたいと思います。前回は個別に回答していただいたのですが、時間が足りなくなったりしたものですから、今回は複数の委員から御質問、御意見等をいただいて、まとめて事務局のほうから回答していただくという形で進めていきたいと思います。
それでは、どなたでも挙手の上、要点を簡潔に御発言をお願いいたします。では、川人委員、どうぞ。
○川人委員 川人でございます。
まず、今回の白書につきまして、従来にも増して充実した内容にまとめられたことに感謝したいと思います。特にコラムにつきましては、さまざまな事例の紹介も含めて充実したものになっていると思っております。それを踏まえて私のほうから2点指摘及び関連質問をしたいと思います。
第1点は国家公務員の問題についてであります。先週ある官庁の職員の公務上災害の申し立てをしました。当該省庁の事務次官が応対され、御遺族と対面されるという大変丁寧な対応をされたことについてはよかったと思います。ただ、この方は約5年前に亡くなられたのですけれども、十分な調査もないまま推移し今日に至った。5年前、亡くなられる前に100時間を優に超える時間外労働があったことが書類上も明らかであったにもかかわらず、時間外労働が続き、自死に至ったわけであります。
とりわけ指摘したいのは、彼の場合も国会待機に伴う過重労働、深夜労働が多かったという点であります。過労死防止大綱の中にも、取引環境や勤務環境ということで、関係先との関係が大変重要であると指摘されているわけですが、端的に申しまして、国会と国家公務員との関係については、これまで白書でも全く触れられていないわけであります。もしこれがタブーとなっているとすれば、それは非常に問題であると考えます。現実にこの方の場合、その省庁では「国会待機、残業確実、2時間睡眠」、こういうかけ声で懇親会などで余興が行われたということも聞いております。
したがいまして、現在の国会と行政との関係でいかに重要な立法府の活動であろうと、国家公務員の命や健康を害してまで国会待機をしなければいけないのかという問題について正面から議論をし、必要であれば国会に対しても是正の申し入れをしていただきたいと考えるわけであります。
この点について、内閣人事局になるのでしょうか、関係当局の現在の取組について経過を教えていただければと思います。
2番目の問題として民間の労災認定の問題について述べたいと思います。先ほど平成29年度の労災認定の状況についての報告がありましたけれども、平成30年度の労災認定につきましては、民間において認定数、認定率とも過去に比べて明確に減少しております。顕著な減少をしています。これにつきましては、労働時間を過少に認定する傾向が労基署にある、あるいはまたハラスメントについて十分調査・評価をしていない傾向がある、これらのことが労災認定の減少につながっていると考えております。
そこで、補償課のほうにお聞きしたいのですが、昨今から問題になっております労災認定基準の改正の作業については、現在どういう段階にあって、今後どのような予定になっているのか、教えていただきたいと思います。
あわせて、労基署の認定が裁判によって覆された事例が最近1年にどういう状況にあるのかも、統計があれば御説明いただきたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、岩城委員、お願いします。
○岩城委員 関連しますので、続けて質問させていただきます。岩城です。
1点目は、労災認定のための調査においてパワーハラスメントについても十分な調査を行い、パワハラがあったと認められる場合には、当該企業にパワハラ防止のための指導を行ってもらいたいという点であります。私たち過労死事件を取り扱う弁護士が労災申請を行うに当たっては、認定基準の要件、長時間労働などとともに、パワハラ、ひどい嫌がらせやいじめ、暴力を受けたと思われるケースが多くあります。ところが、パワハラがあったかどうかの調査は、上司や関係者が口裏を合わせて否定するような場合には容易でないと思われます。そのような場合に、例えば長時間労働やパワハラ以外の出来事が認められれば、それだけで労災認定を行い、パワハラについては十分な調査が行われないまま終わるというケースが少なくありません。
もちろん、労働災害の早期認定、補償という観点からはそれは理解できますが、パワハラの調査がおざなりになると、職場風土の改善が進まないということもあります。そこで、労災申請をする当事者や遺族からパワハラの存在があったと指摘された場合には、パワハラについても十分な調査を行い、それを踏まえてしかるべき指導を行っていただきたいと思います。特に本年5月にいわゆるパワハラ防止法が成立し、今後パワハラ防止の指針等が策定されていくわけですから、労災補償の担当部署と安全衛生の担当部署が連携して必要な指導を行っていくべきではないかと思いますが、そのような取組が行われていく見通しについてお尋ねしたいと思います。
もう一点は、いわゆるダブルワークの問題であります。兼業・副業、ダブルワークの許容拡大について現在議論が進められていると聞いていますが、どのような状況にあるでしょうか。特にこの協議会の目的である過労死の防止という観点からは、2つの会社での労働時間を合算すると過労死ラインを超えてしまうということのないようにすることが重要だと思います。そのための制度的な担保をどうするのかという点であります。
また、不幸にして2つ会社での長時間の過重労働があって過労死や過労自殺、精神障害等が起こってしまった場合、業務上外の判断をするに当たって両者の労働時間を合算するのかどうか。例えばA社で60時間、B社で40時間、合計100時間働いて過労死や過労自殺が起こった場合、一方の会社だけでは過労死ラインを超えていないが、両社を合算すると優に過労死ラインを超えるというケースは少なくないと思われます。
このような場合、合計100時間という長時間労働のリスクが発現したわけですから、国がそのようなダブルワークを容認する以上、労働時間を合算して業務上認定がなされるべきと考えます。さらに、両社の労働時間を合算して労災認定がなされるとした場合、休業補償や遺族補償を行うに当たって、その給付額を算出するための1日当たりの給付基礎日額を合算せず、1社分だけの日額で計算すると非常に給付額が少なくなってしまうことになります。1社で100時間時間外労働をしていた場合と2社合わせて100時間の時間外労働をしていた場合とで給付額に大きな差が出てくるのは合理的と言えるでしょうか。
私は、このような兼業の場合、企業の側に兼業の把握義務を課し、これらによってそれぞれの会社が他方の会社での労働時間を把握できた場合には、給付基礎日額を合算すべきではないかと考えます。また、少なくとも2つの会社に密接な関係があり、例えば会社が事実上一体であったり、資本関係が共通していたり、下請関係にあったような場合などは、経済的な利益が共同帰属していたわけですから、日額を合算しても報償責任の観点からは問題がないと考えますが、兼業・副業の容認に当たってそのような考慮がなされる予定であるのかについてお尋ねしたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。では、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 ありがとうございます。
私からは2点お伺いいたします。まず、国家公務員、地方公務員の公務災害についてですが、公務災害の認定数や、国家公務員の協議件数、地方公務員の受理件数が脳・心疾患、精神疾患ともに、長時間労働が問題視されている職場であるにもかかわらず大変少ないと白書を見て思います。この原因はどのような点にあるのかということと、地方公務員においては、公務災害制度自体を知らない人が多いのではないかとか、また、申請するに当たっても所属長を通さないと申請ができないなど、煩雑なことが原因になっているのかなとも思っております。
もう一点、教師の働き方について、過労死等防止という点で具体的に調査を行っていただきましてありがとうございます。引き続き調査結果のほうを待ちたいと思います。その上で、労働安全衛生体制についてお伺いしたいと思います。台風の点検などで屋根に上って校舎の点検をした先生が転落して死亡したという痛ましい事件が起きてしまいました。校舎の点検ですとか素人が命綱なしにヘルメットでということは大変危険だと思いますけれども、教師以外でできることがないかという点。
それから、今、民間のほうでもメンタルヘルスとかハラスメント対策について非常に対策がとられていますが、学校現場においてはどのような対策がとられているのかをお伺いしたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
寺西委員、どうぞ。
○寺西委員 ありがとうございます。
私からはパワハラ防止対策について意見を述べたいと思います。本日の資料の第2章の過労死等の現状から見まして、労災請求件数の推移を見れば、脳・心臓疾患はふえ続けています。また、精神障害にかかわる労災請求件数の推移も増加の一途をたどっています。自殺者数の推移は減少方向ですが、勤務間問題の原因となっている自殺者が顕著に増加していることが、今の働く職場の実態があらわれていると考えています。
また、過労死家族の会へ寄せられる相談もパワーハラスメントや嫌がらせ、いじめを受けてメンタルになったり、自殺した事例が多くなっています。毎月のように次から次と相談者があらわれることによって心を痛めているところであります。こうした現状、各地の労働局への相談件数もふえ続けていると認識しています。
今年5月に労働施策総合推進法の改正案が成立しました。パワハラ防止対策が大企業に義務づけられますが、現在労政審で内容について検討されていると存じています。長時間の過重労働とハラスメントは密接な関係にあります。こうした実態が具体的に改善される実効性のある内容にしていただきたいと考えています。
協議会においても来年度の予算措置に職場のハラスメント解決のための対策として周知・啓発、調査分析、相談体制ということを入れていただいていますが、この相談体制については、ハラスメントとかメンタルの問題はプライバシーをしっかり守っていただいて、相談者が不利にならないような体制をきちっととっていただきたいということをくれぐれもお願いしたいと思います。
パワハラは人権侵害であること、また健康障害や過労自殺につながる視点で審議していただきたいと考えています。
最後に、今年の6月にILOのハラスメント禁止条約が採択されました。日本の法律も明確に全ての働く人へ暴力・暴言などハラスメントを法律で禁止するという仕組みをつくっていただきたいと要望いたします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
宮本委員が先ほど挙げられていましたので、そこで1回切ってお答えいただいて、また後で出していただきます。では、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本でございます。
私は地方公務員のことについてお伺いしたいと思います。ふだん私は民間企業で産業医をしておりますが、今回台風15号と19号の被災ということもありまして、自分の勤めているところでの被害にめどが立ったということで、地域がかなり甚大な被害だったということもありまして、市のほうに働きかけまして、例えば過重労働になっている方の産業医面談などのニーズがないのかということで打診したところ、ぜひということでした。ただ、地方自治体ですから、産業医がいるはずということで、まずそちらのほうにお願いできないかと言ったら、予算の関係ですとか、定常的な契約しかしていない等に加えて、その先生自身が被災しているとか、地域医療を優先せざるを得ないということもあって、職員の過重労働の対応ということに手が回らないということで、実は私のほうがボランティアで放課後に自分の部下と一緒に対応しているというのがございます。
2週間で80時間ぐらい残業をしている方もかなりいましたので、こういう事態になると青天井になってしまうのではないかと思うのですが、そういったときに産業医面談等々の対応が全くできず、業務のほうは他の地域からの派遣というのはそれぞれやっておられて、そこはよろしいかと思うのですが、健康管理措置がうまくいっていないのではないかと思いました。こういったときに市民の方を優先するという形で、地方公務員の方のすごい努力があって、すばらしいなと思うのですけれども、公務員の方に対するケアをどういうふうにするのか。
例えば各自治体ごとだと身動きがとれない場合もあるかと思いますし、かといって、上層部の県とか国とかどこからか面談やケアの実施指示があっても、医者はどこから持ってくるのだとか、課題があると思います。この点、例えば国のほうが日本産業衛生学会産業医部会に頼むとか、何らかの手だてをして、長時間残業にならざるを得ない方々へのケアをやれる体制があるといいなと、今回ボランティアをしながら思っているところでございます。
また、自治体によっても、職員の健康管理に携わる保健師さんがいる自治体といない自治体では受入度が全く違うということもありまして、例えばどういう面談の対象者を集めてもらいたいというときに、対応できるところは保健師さんがいるところとか、そうでないと、誰がやるのだということから始まるというところもあって、この辺のきめ細かいサポートもどうしていいのか、特に今回19号は非常に広域なところで、かなり時間がかかるような被害が出ていますので、こういったところのサポートについて何か国のほうでお考えがありましたら、教えていただければと思います。
以上です。
○中窪会長 以上、5名の方から出ておりますので、それぞれについて事務局のほうから順次お答えをお願いしたいと思います。
○久知良総務課長 労働基準局総務課長の久知良でございます。
私のほうから、きょうこの場に直接の担当がいない案件についての答えをさせていただいて、その後、それぞれ各担当から答えをさせていただければと思います。
寺西委員からあったパワハラの問題でございます。パワハラについては、おっしゃったとおりで、今年の5月、法律の改正が行われ、6月に施行されたという状況でございます。今、まさに具体的なパワハラの定義の考え方ですとか具体的な措置の内容等を定める指針について、労働政策審議会の中の雇用環境・均等分科会のほうで御議論いただいているという状況でございます。現在進行中というお話でございますので、きょう御指摘いただいた御意見については担当の部局のほうにもお伝えさせていただければと考えております。
きょう直接の担当が来ていないという意味では、岩城先生のほうから御指摘のあった業務上外の判断のときの労働時間、負荷の合算ですとか給付基礎日額の問題についても、今、労働政策審議会の中の労災保険部会において、おっしゃられたような問題意識のもとでの検討をしているところでございます。今年の6月の段階で論点の整理をやった上で、さらに詰めた議論をしています。これもまた現在進行中という状況でございます。
私のほうからは以上です。あと、それぞれ担当のほうから答えさせていただきます。
○西村補償課長 補償課長の西村でございます。
川人委員から御指摘、御質問があったことについてお答えをしたいと思います。まず、認定件数及び認定率の問題につきましては、認定基準に従いまして各監督署、全国斉一で運用しております。これをしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
その上で、2つ御質問がございました。認定基準の関係の今後のスケジュール・取組と訴訟の状況についてでございます。
1点目でございますが、御案内のとおり、脳・心臓疾患、あるいは精神障害の労災認定基準につきましては医学的知見を収集し、その知見に基づいて専門の検討会で検討して策定されたものでございます。現在脳・心臓疾患の関係につきましては、昨年度から医学的知見の収集を委託事業でやっております。昨年度、そして今年度も前回の過労死協議会の後に委託業者と契約を結びまして、知見の収集をしているところでございます。これを踏まえて脳・心については必要な対応を検討していきたいと考えております。
精神障害につきましては、まさに来年度の予算要求をしたところでございます。医学的知見を収集すべく予算要求をいたしております。予算が通りましたならば、来年度1年をかけて平成23年度策定時に実施した調査等々を含めた医学的知見を収集して、その後の対応を検討してまいりたいと思っているところでございます。
2点目の訴訟の関係でございますが、平成30年度の訴訟につきましては、私どもで担当した訴訟全体の件数が166件でございました。このうち脳・心臓疾患に係るものが11件。精神障害に係るものが57件でございました。脳・心11件のうち国の主張が認められたものは11件でございます。精神につきましては、国の主張が認められたものが53件、国の主張が認められなかったものが4件という状況でございます。
以上でございます。
○川人委員 1点だけ。関連ですけれども、今年の5月にできました法律、ハラスメントの関係では認定基準の改正という問題が絡んでくると思うのですが、その点はいかがですか。
○西村補償課長 まさしくそのような問題意識は持っておりますので、現在指針について雇用環境・均等分科会のほうで議論されているということでございますので、その状況を見ながら今後どのように対応していくか、まさに検討しているところでございます。
○川人委員 わかりました。
○中窪会長 お願いします。
○櫻井内閣人事局参事官 内閣人事局でございます。
先ほどの川人委員からの国家公務員の時間外労働及び国会待機関係につきましてお答えをさせていただきます。国家公務員の超過勤務の縮減につきましては、先ほども若干申し上げたところでございますが、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づきまして、まず長時間労働を前提とした働き方を改めるという意識改革の観点。管理職を始めとしたマネジメント改革といった意識改革の部分と合わせまして、テレワークやフレックスタイムなど、働く時間と場所を柔軟化できるような具体的な環境の整備、超過勤務実施の際の事前の申し出等、適切な管理のための具体的な取組や仕組みを導入しているところでございます。
そのような中で、国会対応業務につきましては、超過勤務と大きく重なる部分があるところでございます。質問通告を含め、国会のあり方につきましては、国会がお決めになることでございまして、行政としてコメントすることは差し控えさせていただきたいのですけれども、人事局といたしましては、国会対応につきましては、業務の効率化という観点から、各省庁がどのような取組を行っているかについて実態把握に努めているところでございます。そのような中で、国会審議に備えた待機が長いといった御指摘が一般にあるところでございますが、現在、把握の対象といたしました省庁全てにおきまして、翌日の委員会、質疑者、通告の状況などに応じまして、待機するべき部署、部局をできる限り限定するといったことに努めていることがわかっております。
また、省庁によりましては、テレワークとも関係するのですけれども、国会答弁の資料とか進捗状況にリモートアクセスできるように環境整備をすることで、通告を待つためだけに長時間在庁することはなくして、帰宅後でも国会対応することを可能としたりしている省庁もあるということでございます。
このように国会対応に関します業務効率化を各省庁において進めているところでございますが、人事局といたしましても超過勤務の削減の観点を含めまして、効率化に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○中窪会長 どうぞ。
○阿部職員福祉局補償課長 人事院の補償課長でございます。
先ほど工藤委員から国家公務員の協議件数や認定件数が少ないのではないかという御質問がございました。実は一般職の国家公務員につきましては、協議件数は労災の請求件数と比べて少ないですし、認定件数も労災の認定件数と比べて少ないわけでございますが、一般職の国家公務員災害補償制度の対象となる職員数が約44万人でございまして、これは民間雇用労働者に比べて少ないということが原因にあると思っております。
なお、過労死等防止対策白書概要の6ページ目、第2章、過労死等の現状というところにございますとおり、一般職の国家公務員につきまして、100万人当たりの認定件数で比較しますと、脳・心臓疾患が4.5件、精神疾患が6.8件となっておりまして、この数字は労災の件数とそれほど変わらない数字になっているのではないかと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 総務省、どうぞ。
○飯山安全厚生推進室長 総務省でございます。
私のほうからも2つ御回答させていただきます。工藤委員のほうから地方公務員のお話がありましたが、地方公務員は警察であるとか、消防であるとか、あるいは学校の先生であるとか、その業務が民間あるいは国家公務員と違うものですから、多い少ないの比較というのは単純にはできないのかなと思っております。その上で、6ページの表にありますような数字になっているところであります。実際評価は難しいのですけれども、我々がすべきことは、いかにこの件数、過労死等をなくしていくかということだと思いますので、引き続き努力をしていきたいと思います。
宮本委員のほうから御質問がありました災害時における医療関係者のサポートの件ですが、台風15号、19号と来まして、今、地方公共団体は被災住民へのケアで手いっぱいの状態でして、今、ここで何かを言っても、まずは被災住民が大事ということで、なかなか目を向けてくれないという現状があります。
総務省としては、例えば佐賀の大雨とか、そういう大きな災害で被災した市町村に対しまして、職員のケアをお願いしますという文書を出しておりまして、各共済組合が相談窓口を持っていますとか、基金のほうでも相談窓口を持っています。それから、地方公務員安全衛生推進協会という一般財団法人で専門家の臨床心理士を派遣して個別面談を行うとか、研修会を行うという事業もしております。こういう事業を紹介しておりまして、発災後1カ月をめどに通知を出して、職員のメンタルヘルスケアに注視してくださいとお願いしています。
千葉のほうが、台風15号が来てから1カ月なのですが、19号が来てしまいましたものですから、今、状況を見ております。19号の状態を見た上で、千葉のほうにも通知を出しますし、今後被災のあった宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、長野県等には通知を出そうと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 どうぞ。
○合田財務課長 文部科学省でございます。
工藤代表のほうから御指摘があった点でございますが、今、お話がございました台風15号におきましても、お一人けがをなさったということでございますけれども、どうしても学校の先生方は自分の学校という意識を持って取り組まれるところでございますが、基本的に施設の管理というのは設置者の義務、責任でございますので、くれぐれもこういった形で無理があって公務災害ということがないように、しっかり取り組ませていただきたいと思っております。
もう一点工藤代表からお話がございました労働安全衛生の関係でございますが、御指摘のとおり、産業医の選任ですとか、衛生委員会の設置ですとか、あるいはストレスチェックの実施といったものが、50人以上の事業場については義務化をされておりまして、これは学校でも同様でございますが、現在でも8~9割程度の実施率ということで、これは大きな課題だと思っております。1月の答申でも指摘されておりますし、それから中教審には当時、日本医師会の横倉会長にも入っていただいておりまして、50人以下の学校についても、教育委員会として産業医の資格を持つ医師を選任し、域内の学校の教職員の健康管理等を行わせることについて御意見もいただきましたので、昨年度末に私どものほうからその旨、また、全ての学校でストレスチェックを実施することもあわせて、通知を出させていただいております。また、私どもとしては、ストレスチェックの実施状況等についても調査をいたしまして、市町村ごとに実施状況を公表するということに取り組ませていただきたいと思っております。大変大事な視点だと存じております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
さらに御発言があるかもしれませんけれども、ほかの委員の方からも御意見をいただきたいと思いますので、先ほど髙橋委員が、手を挙げられていましたか。お願いします。
○髙橋委員 髙橋幸美です。
今回のメディア業界の分析と結果について、広告業で働いていた24歳の娘を過労自殺で亡くした遺族として感想と意見を述べます。今回の調査は2010年から2015年3月までが対象で、娘の事件は入っておりませんが、本当に胸が潰される思いで読みました。メディアにおいて精神障害の認定が多く、精神障害の30名のうち17名が広告業です。年代別では20代が11名、30代が8名。自殺案件の4名は全て20代で、そのうち2名が広告業でした。娘が亡くなる前に2名が広告業で自殺で亡くなっており、対策がなされず、娘も亡くなってしまったということです。
精神障害で最も多いのは長時間労働によるものです。長時間労働になる原因は業務量の多さにあります。若い世代は業務量をコントロールすることは困難で、仕事の裁量はなく、仕事を選ぶことも断ることも容易にはできません。弱い立場の若者を守るためには、長時間労働や賃金未払い労働、いわゆる隠れ残業を規制していく必要があり、長時間労働が常態化している業界にこそ勤務間インターバル制度の導入の必要があると思います。勤務間インターバル制度については、啓発・周知というのは今、努力義務にとどまっております。助成金制度の効果が有効なのかどうか今後調査をして、続けていってほしいと思います。
メディア業界は何十年も前から長時間労働が問題視されております。今回の調査研究に基づいて長時間労働の削減に向き合い、業界全体で取り組んでほしいと思います。どの業界もそうです。1つの業界だけの取組で問題を解決するのは困難です。政府、経済界、社会全体で意識を変え、取組、若者の命を守ってほしいと思います。
また、前の協議会でも申しましたが、娘の会社は労基署の再三の是正勧告にもかかわらず、娘は労働時間を正確に記録することもできず、産業医の面接を受ける機会も奪われ、自殺に至りました。再三の指導にも改善しない事業所にはさらに罰則を設けるなど、監督の強化を望みますが、どうでしょうか。例えば違法な長時間労働を複数の事業所で行っている場合に、企業名を公表する制度を設けていただきましたが、これは社会的影響力が大きい企業を対象にしているのですから、1つの事業所だけでも行っていたら公表するべきだと思います。
なぜ入社前は健康だった娘が、会社に入った途端精神障害になってしまったのか。何十年も業界で原因が放置されたのか。全く納得ができません。建設現場なら高所から落下する危険があり、工場なら機械に挟まる危険があります。物理的な危険がないオフィスで若者が自殺で亡くなることに関して、さらに危機感を持ち、今後も1人も被災者が出ないように速やかに対策を講じてほしいと思います。
私からは以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、黒田委員。
○黒田委員 今の髙橋委員の前半のほうの勤務間インターバルについて、幾つか質問と意見を述べたいと思います。時間外労働の規制と、いろんな仕事の都合で時間外労働をせざるを得なかった場合、次の仕事までの間をあけるということが、ある意味では大変大事な側面かなと思うのです。
そういう面からして、法改正で今年から勤務間インターバルが努力義務という形で法制化されたのですが、先ほどの説明で白書を見ますと、全体的にはこの制度の存在とその意義をわかっている企業、理解している企業、知っている企業が、微々たるものでありますけれども、伸びていることは伸びているとは思うのです。知らないという企業が昨年の調査よりも10%ほど減っているという点は、私たちの努力の一つの成果だろうと思うのです。
ところが、実際上勤務間インターバル制度を導入している企業というのは本当に少ない。これは我々としても大変大きな問題かなと思います。産業的に見ても、サービス業だけでなくて、電気、ガス、熱供給など、比較的大きな企業が多いところですら、わずか0.5%の導入率となっている。これは我々としても大変由々しき事態ではないかなと思うのです。
質問ですが、報告書の15ページ、導入していない企業の理由というところで企業規模別の集計はあるのですが、産業別データが、昨年のものはあったような気がするのですけれども、記憶が定かでありませんが、今年はこれを落としてしまっている。ここはもうちょっと明示すべきではないかなと。全体のページ数の関係からこうしたのでしょうけれども、大事な点ですので、ぜひこれはやるべきかなと思うのです。特に導入していないところでの産業別のところについて、一体どういう業界が多いのかということを教えていただければなと思います。
2つ目です。来年度の概算要求に勤務間インターバルについて助成金を支給するとなっています。ここは大変歓迎すべきところかなと思うのですが、とりわけ中小企業に関して言えば、こうした問題について助成金があるということは、ある意味ではインセンティブになりますので、大変いい制度かなと思うのですが、残念ながらきょうの説明のところでどのぐらいなのか、どういう仕組みなのかというのがわからないので、教えていただきたい。同じように年次有給休暇に関しても助成金があるのですが、ここについてもどういう制度、助成金を想定されているのかということを考えてほしいなと思う。
最後は要望ですが、大綱でも2020年までに導入企業を10%にするという目標を持っていることからすると、これは大変展望のない数字になってしまっているのですが、この点から考えると、努力義務という今の状態を1つでも2つでも前に進めるような政策提言が必要ではないかと思うのですが、これは今後ぜひ検討していただければなと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
村上委員、どうぞ。
○村上委員 ありがとうございます。3点申し上げます。
皆様方と重なるところは申し上げずに、重ならないところで申し上げます。まず1点は、今回、白書とともに、各府省での対策の施行状況について御報告いただきました。毎回大変充実した取組をしていただいているなと思っているのですが、そのアウトカム、つまり、それらの取組によって、超過勤務の時間が短くなったとか、メンタルヘルスが改善したという効果のほうは、どのように把握されているのでしょうか。各府省においてしっかり把握されているのであれば、それは効果的な対策につながっているのでしょうが、その点は特段この協議会では御報告がないものですから、この点についてお伺いしたいと思います。
2点目は白書についてでありまして、今回の資料の8ページには、重点業種・職種として建設業についての分析が記載されております。技能労働者、現場監督それぞれについて分析がありまして、ストレス要因として、技能労働者については、労災による負傷がストレスになっているということですとか、現場監督の方については、極度の長時間労働、業務の変化などが原因となっているということでございます。こういった分析を拝見しますと、建設現場において働く人の命とか健康というものが本当に尊重されているのだろうかという疑問も覚えないではないところであります。安全にはコストをかけなければならないということとか、ゆとりを持った工期を設定しなければならないこととか、また、当たり前に労働時間の管理・把握をしていただくということ、それだけでも徹底していただければ、このような状況にはならないのだろうと思います。
資料には、工期のガイドラインの周知をされているということも書かれておりますし、また、今回の白書では日建連さんの取組も書かれておりまして、建設業界としてかなり努力をされているということは私どもも認識はしているのですが、発注者の方々がどれだけ認識されているのかというところが肝心ではないかと思っております。こうした対策の必要性や過労死事案の分析結果などは、発注者側の皆様にも周知をいただきたいと思います。
3点目は全体的な話ですが、先ほど地方公務員の話もありましたけれども、どんな仕事にも働く人がいるということを忘れないでいただきたいと思っております。過労死をゼロにするということを言い続けていかなければ、長く働くことを礼讃する風潮であるとか、あるいは長時間労働を強いる風潮がまた復活してしまうのではないかという懸念を持っておりまして、この協議会の場などを使いながら、政府の皆様方、関係者の皆様方から発信を続けていくことが必要ではないかと思っております。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 ありがとうございます。過労死家族を考える会で渡辺です。
私は、過労死で親を亡くした子供たち、遺児の交流会をずっとやっておりまして、今回の白書の238ページにコラムで載せていただいております。それから、皆さんのお手元の電子データですと、68ページに今回のイベントのことを載せていただいております。68ページに写真が出ています。子供たちの集合写真ですが、この子供たちはみんな過労で父親を亡くしている子供たちです。日本中にはもっとたくさんいるのですけれども、ほんの一部です。ほんの一部ですけれども、今回は約50名の子供たちが東京に集まって、遺児交流会のイベントをさせていただきました。
子供たちは本当に本当に喜んでおりまして、子供の生の声を伝える場が余りないので、この場でぜひ皆さんに聞いていただきたいのですけれども、「この会で友達がいっぱいできて楽しかった。また来年も来たい」「自分と同じような家庭の人と話したり、遊んだりしたのはとても楽しかったし、安心しました」。子供たちはこういう体験をした人が身近にいないので、自分たちだけかと思って苦しんでいるのです。こういう遺児交流会というのを企画していただいて、自分と同じような体験をした人がほかにいるのだと。出会うだけでも子供に安心を与えます。お母さんたちも「父親がいないとなかなか連れていけなかったことを経験させていただき、大変うれしかったです。子供たちも大満足でした」とか、「新たな御家族とお話しできて、労災認定されても、どこの家庭でも父親のいない子育て、それぞれ悩んで育て、頑張っているのだなと感じました」「こういう機会があって孤立しないで済みます」というようにたくさんの声をいただいております。皆さんの子供たちに対する御理解、御協力のおかげでこういう会を設けることができたことに本当に感謝しております。子供たちの感謝の気持ち、お母さんたちの感謝の気持ちを代表してここで皆さんにお礼を述べさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。年に1回ですけれども、防止法のおかけでこういうイベントの支援をしていただきまして、全国から同じ体験をした子供たちが集まってきて出会い、そして励まし合って成長していきます。
ですけれども、この子供たちは大事な家族を働き過ぎで失ったという経験をしております。労働している、悪いことをしていないのに命を失ったという経験をしております。それで、仕事に対してとても抵抗があったり、将来社会に出て働くということに対してマイナスなイメージを持っている子供たちもとても多いです。今回の企画のイベントの中で、職業体験施設で大人になったらこんな職業を体験するのだよというのをやらせていただきました。これは子供たちにとってはとてもいい経験になったと思います。働くというのは怖いこととか悪いことでなくて、楽しいことですとか社会に貢献することだ。それから自分の夢を叶えて、そして自分の楽しい生活を築いていくことだというふうに将来に少しでも夢や希望を持つことができたのだとしたら、本当にいい体験をさせていただいたと思います。
私はこの遺児交流会を10年以上やらせていただいているのですけれども、当時子供だった子が大きくなりまして、社会に出ていき始めています。こういう若い人たちのメンタルヘルスをぜひ守っていただきたいという希望があります。私は東京の家族の会もやっているのですが、家族の会に過重労働とかハラスメントで、働き始めて数年のお子さんを亡くされた御両親が涙ながらに訪ねてきて、子供を守り切れなかったという話を聞くにつけ、若者をどうしてもこの国では守っていかなければいけないという思いを強く持っております。
そこで質問なのですけれども、国のほうで若年層のメンタルヘルス教育をやっているということが白書に出ていましたが、実際にどんな取組をされているのかということと、10月27日に全国一斉の電話相談を行うということが書いてありましたけれども、これはどういうふうに周知して、本当に悩んでいる人とか困っている人とか、子供のことが心配な親御さんとかにちゃんと伝わるような仕組みができているのかということを質問させていただきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
まず、白書ですけれども、大変充実した白書ができて、積み重ねをして充実してきているのではないかなと思います。
その点で言うと、私どもの活動を171ページ、172ページにコラムで紹介をしていただいていたことに感謝をしたいと思います。特に172ページですが、川人先生、木下先生など、この協議会に御参画の先生方の御協力を頂き、過労死防止セミナーというものを開催いたしまして、150名の企業の実務の担当者が参加したということで、私どもとしてはこういう活動を続けてまいりたいと思っているところであります。
川人先生のご発言にありました国会待機の関係でございますけれども、実は私どももこういう活動の中から取引慣行の見直しということで、民間対民間の取引慣行でどんなものがありますかと企業側に聞いているのですが、その中に民間と各府省の取引の関係も意見が出てきていて、その中で、国会審議中、国会待機していてねと民間企業にも言われるというケースがございますので、基本的にそういうことについてトータルな見直しが必要なのではないかと思っております。その点で言うと、野党の先生も含めて、あり方ということも含めて検討するべきなのではないかと思っております。
取引慣行の見直しについて、厚生労働省に要請ということで文書をお渡しして、厚生労働省から各府省のほうに回していただいていると伺っておりますので、この場を借りて改めてお願いをしておきたいと思っているところでございます。
以上です。
○中窪会長 それでは、則松委員。そこで切ってまたお願いしたいと思います。
○則松委員 私のほうからは、特に学校の現場の者として意見を申し上げたいと思います。教職員に関する公務災害の申請の事案では、学校内の勤務以外に、自宅等で行う業務の負担が大きいために健康障害を発症している事例がたくさん報告されています。公務災害の認定においては、自宅等で行った仕事であっても、時間の記録や成果物によって勤務時間に該当するか否かが判断されているのが実態です。
また、文科省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの運用に係るQ&A」の中では、在校等時間は労基法上の労働時間ではないが、在校等時間を踏まえて医師の面談指導等の措置を講ずるように努めること、とされています。この考え方からいくと、自宅に持ち帰ってやっている仕事も同じ発想であるべきではないかと考えています。
私ども日教組でこの夏に行いましたWEB調査では、「退勤時間を早くするために自宅に仕事を持ち帰った」という回答が平均で20.3%ありました。健康確保の観点からは、勤務校舎での勤務時間だけでなく、自宅等で行った勤務時間の把握が不可欠であろうと考えます。また、医師の面接指導の対象者の選定は、在校等時間だけでなくて、自宅等で行った業務の時間も含めた時間数に基づいて行うべきであると考えています。
4月に改正労基法が施行されて、罰則つきの時間外労働の上限規制が導入され、民間企業では労基署による監督指導が厳密に行われています。一方、学校は、行政、各省もそうだと思うのですけれども、不夜城と言われたりします。10時、11時、12時まで電気がついている。周辺住民からもそういうふうに言われている状況にある中で、公務員についても労基法や安衛法の趣旨を踏まえて、労働時間管理の徹底と長時間労働の是正をしっかりと図って、過労死あるいは健康障害を出さないようにすることが重要だと改めて思います。
私は高校現場で働いた者ですが、これまでのさまざまな調査では、高校の職員の働き方の実態は出ていません。校種が違えばストレスのかかり方が違いますので、平均値だけを見ても実態はつかめないと思っています。今後、高校に着目されるときには、平均値以外の個別の状況も見ていただければと思います。
以上、意見として述べさせていただきました。
○中窪会長 ありがとうございました。
以上、6名の方から御意見、御質問をいただきましたので、これらについて事務局のほうからお願いいたします。
○久知良総務課長 では、また私のほうから総括的に御説明をさせていただきます。髙橋委員、黒田委員のほうから話がありました、まさに過労死をなくしていく、ゼロにするため長時間労働の規制であったり、勤務間インターバル制度導入の促進であったり、指導に応じないような悪質な事業主に対して厳しく対応するといったことも含めて、さまざまやっていく必要があるということだろうと思います。この4月から大企業について時間外労働の上限規制が導入されているところであり、また、来年4月には中小企業に対する時間外労働の上限規制の導入といったことも行われます。インターバルについては今、努力義務ということでありますが、初めて導入されたということでございます。まずは法律の改正を着実に施行していく、さまざまな取組を進めていくということを私どもとしてしっかりやっていかなければいけないと考えているところでございます。
その上で、個別の話で黒田先生からありました白書のほうで、産業別のデータについてはどうかという話でございますが、白書本文の14ページのところで勤務間インターバル制度を導入している企業の割合というデータを示させていただいておりまして、上のほうが人数ですが、下のほうに業種別における導入している企業、導入予定または検討している企業、導入の予定はない企業の割合を示させていただいているところです。
○黒田委員 先ほど指摘したのは、導入していない企業の産業別というところで、前のものを見ますとあったのですが、これが出ていないので、全体のページ数の問題もあるのかもしれませんけれども、大事なことですので、そこは改善してもらえるように、来年度お願いしたいなと思っています。
○小城企画官 補足を申し上げます。今の14ページの資料で、青の導入している、それ以外が導入していないということになりますので、今、先生御指摘のところはそのように見ていただければよろしいかと思います。
○黒田委員 理由のところはどうなのですか。15ページのところですけれども。
○小城企画官 これについては、白書にはここまでしか載せてございませんが、調査原票を見ればわかるかと思いますので、それはまた後ほど提供させていただきたいと思っています。
○久知良総務課長 引き続きまして、村上委員のほうから各省の取組の効果の把握のお話がございました。私どもだと、まさに民間に対する働きかけの効果ということになってくるのだと思います。それは、私どもで言えば、大綱に掲げられた目標に対してどれだけ進捗しているかというところで、民間について言えば一つの効果の把握ということで考えられるということであります。
それから、建設業の話もございました。これはまさに発注者の対策をしなければ、建設業における長時間労働を少なくするといったことが難しいというのは、御指摘のとおりだと思います。その点につきまして、これまでも国土交通省とも連携しながらやってきたところでございますが、まさに今回の分析の結果の周知といったことも含めて、発注者対策を国土交通省とも連携のもとでしっかりとやっていきたいと考えてございます。
私のほうからは以上でございます。
○黒澤労働条件政策課長 続きまして、事務局でございます。黒田委員から助成金に関して。今日、資料を配付しておりませんので、恐縮でございます。時間外労働等改善助成金というものがございまして、コースが4つございまして、1つは時間外労働の上限、36協定を下げる取組をした場合と、2番目として勤務間インターバルのコースがございます。これはインターバルの時間が9時間以上の制度を設けた場合と、さらに11時間以上の制度を設けた場合がございまして、11時間以上の制度を設けた場合のほうが助成金が高く、それによって間隔をなるべく長くしていただくという取組をしています。
そのほか、例えば休暇制度を設けた場合の職場意識改善コースでありますとか、あるいは中小企業の団体の方が取組をされる場合の団体向けのコースなどもございます。これらに関しましては、御指摘いただきましたように、来年度も続けて、さらに予算要求額なども増額をしまして取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○中窪会長 どうぞ。
○石垣監督課長 監督課でございます。幾つかお答えいたします。
髙橋委員から大企業で一定のルールに基づいて公表しているものについて、個別の事業場についても長時間労働などの違反があった場合に公表すべきだという御指摘をいただきました。私ども、確かに全国的に事業を行っているようなところで、複数の事業場で問題がある場合など、一定の場合につきまして公表するという制度をつくっておりますが、これについては、大企業でない個別の企業の場合、監督指導に入りましたときに、法違反の場合には是正勧告などをさせていただいて、しっかりと是正していただくように指導しておりますが、これについて繰り返し問題を起こすなどの重大、悪質な法違反の場合には送検ということもございまして、送検した場合には全て公表するという形でございますので、一つ一つの企業につきましても、法律上問題がある場合につきましては厳正に対処しておりますので、これからもそういうところはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
11月のキャンペーンで私どもは電話相談などを行いますけれども、渡辺委員からそれについてどのように周知しているかという御質問をいただきました。これについては、記者発表資料という形で報道機関の方々にお知らせなどをしている以外に、厚生労働省のポータルサイトに載せるとか、あるいはネット広告、リスティング広告などで周知をしますのと、厚生労働省もメールマガジン、Facebookなどを持っておりますので、いろいろなチャネルでお知らせをしているというところでございます。
先ほど総務課長からもお話がございましたけれども、建設業などの関係での発注者対策は重要だということで、これはいろいろな切り口でもやらせていただいておりますが、私どもは都道府県の労働局、監督署のレベルにおきましても、各地の国土交通省の関係機関、あるいは業界団体の皆様とも協力しまして対応をとっておりまして、きょうのお話も踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○中窪会長 どうぞ。
○井内労働衛生課長 渡辺委員のほうからございました若い人たちへのメンタルヘルス教育ということでございますが、これにつきましては、産業保健総合支援センターでメンタルヘルス教育というのを平成28年度より実施しております。具体的には全国の産業保健総合支援センターが研修を希望する事業所から依頼を受けるという形でございますが、保健師、心理士、社会保険労務士等の専門家が事業場を訪問いたしまして、ストレスの対処法、コミュニケーションスキル等、事業場の要望に応じたメンタルヘルス教育を提供させていただいております。平成30年度は1,151回研修を実施し、平成28年度は585回、平成29年度は892回ということで、御要望も増えてきているという認識でございます。これからもしっかりと対策として取り組んでまいりたいと考えております。
○中窪会長 どうぞ。
○合田財務課長 文部科学省でございます。先ほど則松副委員長からお話をいただいた件でございますが、持ち帰りにつきましては、在校等時間を少なくするために持ち帰りが増えるというのは本末転倒であるということは、上限ガイドラインのQ&Aにも書かせていただいたところでございます。
それから実際に把握が難しいということもございまして、テレワークなどを除いて、持ち帰りというのは在校等時間の対象にはいたしておりませんけれども、先ほどの御指摘を踏まえまして、持ち帰りが奨励されたり、前提とされないことに留意しながら、どういうふうに把握できるのかということについては、むしろ現場の先生方のお声もいただきながら取り組ませていただきたいと思っております。
その上で、先ほどアウトカムの話もございましたけれども、在校等時間は公表させていただく方向で考えさせていただいておりますが、いずれにいたしましても、3年後に行います勤務実態調査につきましては、平成28年の教員勤務実態調査は小・中学校のみでございましたが、高校も視野に入れて取り組ませていただきます。その際には中央値だけではなくて、分布ですとか、あるいは在校等時間に影響を与える要素というもの、回帰分析できるような情報もとって分析をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 よろしいでしょうか。では、佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 全国中央会の佐久間でございます。ありがとうございます。
2点ほど御質問させていただきたいと思います。先ほど出ましたインターバル制度の関係で、時間外労働等改善助成金の中に勤務間インターバル導入コースがあります。今年始まって、大体どのぐらいこの助成金を利用される方がいるのか。お伺いしたところでは、2,300件強が助成金の対象になっているとききましたが、単純にすると、1県当たり50件余りになります。全国的に見て、この県は多いとか、そういう特徴的な傾向がもしわかれば教えていただきたい。そこの中で、9時間以上、11時間以上という2つのパターンがありますけれども、利用される事業者の方々が設定するときに、平均的に11時間ぐらいを設定している傾向が多いのか。今、データが出ていなければ、感覚で構いませんので教えていただきたいと思います。
令和2年度からインターバル制度もまた進んでいくと思うのですが、助成の対象を9時間、11時間というラインを引きながら、コンサルタント費用とか、機器を入れたとか、もちろんそういうのも大切だと思うのですが、インターバル制度自体を導入したことによって助成金が出るというものにしていただく方向で、これから検討していただくとよいと考えます。長時間労働とインターバルというのは一つのセットということもあると思いますので、改善というか、将来に向けて検討していただきたいと思っています。
もう一点は、働き方改革推進支援センターの予算の関係です。これはアウトリーチ型を進め、中小企業に直接、出向いていただくということで、私たちにとっては非常に有意義な制度だと思っております。時間外労働の上限規制の本格導入が中小企業にとってはあと半年になりました。推進センターとか、社労士の先生方、労働局の方々も非常に忙しいとは思うのですけれども、ぜひこの半年にかけて、より積極的に働きかけをしていただければと考えています。
ありがとうございます。以上でございます。
○中窪会長 北野委員、お願いします。
○北野委員 ありがとうございます。
勤務間インターバル制度について、意見というか、皆さんと経験交流を含めて説明させていただければと思っています。企業が当該制度を導入しない理由としては、導入する必要性を感じないと。それは、導入しても発動することがないないのだ、そういう働き方になっているのだということなのだろうと思っています。しかし、私たちは、企業に対して、そうであれば制度として入れたらいいのではないか、発動した場合はその制度をしっかり適用すればいいのだと言わせていただいているところでございます。
ただ、実はこの勤務間インターバル制度を、とりわけ通信業の職場に入れようとしたのですが、当初、制度導入には社員である組合員のほうからも大きな抵抗がありました。それは事業特性上、通信、サービスをとめられないといった責任感、使命感みたいなものから、会社よりは職場の社員、組合員のほうの抵抗があったように見受けられます。
先ほど内閣人事局からも御説明がございましたように、マネジメントの問題だとよく捉えがちなのですが、社員も含めた意識改革をしないと、勤務間インターバルの普及促進も、過労死や長時間労働の問題も改善していかないと思っています。長時間で死にそうなぐらい働いている同僚がいても、それを注意できないというのが周りにあるということでございます。そういう意味では、マネジメント向上に向けた研修もいいと思うのですが、全職員を対象、企業であれば全社員を対象とした意識改革研修が必要だと思っておりますので、そういうことにも少し視点を当てた取組をぜひお願いを申し上げておきたいと思っていますし、もちろんメッセージの発信をお願いしたいなと思います。
それから、今回、建設業も新たな過労死等防止対策大綱の重点業種・職種に入ったのですが、ここでいう建設業は、どちらかというとゼネコン系の建設業だと思っています。我々の産業では通信設備の建設業もありまして、発注者とゼネコン系の建設業と違うのは、同一場所で工事をしません。いろいろな場所に移りながら1日に何件も通信設備の工事をするものですから、週休二日も入れた工期設定のあり方にもかかわってくるのでしょうが、次の現場に行かないと今日中に終わらないというものが時間圧、プレッシャーとしてあるということでございます。これに対する精神的プレッシャーと、さらには安全労働に対する影響もあるということも少し申し上げておきたいと思います。今後この問題を検討する上での材料にしていただければと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、今のお二人の委員からの御意見、御質問について、事務局のほうからお願いいたします。
○黒澤労働条件政策課長 インターバルに関しまして、佐久間委員から御指摘がございました。手元に実際の時間数のデータはないのですが、助成金の利用の状況に関しましては、昨年に比べてもかなり伸びてございまして、今年度は9月末の時点におきまして既に3,480件の交付決定をしてございまして、全ての県におきまして申請が行われているというところでございます。御指摘いただきましたように、この制度の意義なども含めて、この助成金をわかりやすく御説明を申し上げて、活用の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
また、北野委員から特にマネジメントの御指摘もございました。私ども厚生労働省では、インターバル導入に当たりまして、専門家の検討会を昨年度開いていただきまして、導入の手順のようなものも策定させていただいてございます。この中におきましても、まずは職場の労使において実態をきちんと把握して、その必要性をちゃんと共有した上で取り組んでいくということを掲げさせていただいてございますので、御指摘も踏まえて引き続き前向きな取組が進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。
最後に佐久間委員から働き方改革推進支援センターのお話がございました。中小企業の上限規制適用に向けまして、関係部署とも連携しながら全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
○中窪会長 そのほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○櫻井内閣人事局参事官 内閣人事局でございます。
先ほど北野委員からマネジメントのみならず、職員全体の意識改革ということで、全職員に関する研修が必要という御指摘をいただきまして、その辺、重要に受けとめたく存じております。先ほど申し上げたワークライフバランス月間等におきましては、全ての職員にそういった取組の重要性、実践の重要性ということで周知を図っているところでございますが、今後一層そういった観点も含めて取り組んでまいりたいと思います。
なお、先ほど村上委員から各府省における過労死、超過勤務削減等の効果をどう把握しているのかという御質問がございまして、お答えしておらず、申しわけございません。人事局におきましては、全ての期間、全ての府省の超勤の状況等については把握していないところでございますが、7~8月のワークライフバランス月間の取組については、そのフォローアップを行っておりまして、その期間に業務期間を縮減できたと感じますか、また、連続的な休暇を取得することができましたかといったことをフォローアップとして職員アンケートを行っているところでございます。
本年度の分はまだ取りまとめができておりませんけれども、一昨年、昨年といった形でそういったものを把握しているところでございます。残念ながらその月間、その期間に国会が行われていたかとか、府省によっては7~8月に何か大きな事案なり取組が必要であるということももちろんございますので、一律に一昨年から昨年が完全に縮減されたということまではまだ結果が出ていないところでございますけれども、引き続きましてそういった把握に係る取組もやってまいりたいと思っております。
○中窪会長 そろそろ時間も迫ってまいりましたが、何かこれだけはという方がいらっしゃいましたらどうぞ。
○川人委員 厚生労働省の関係者にお尋ねしたいのですが、採用活動におけるセクシュアルハラスメントは以前から問題になっております。さらに私どもへの相談例でいきますと、内定後の研修名目等の中でのハラスメントも問題になっております。現実にそういう過程で病気になったり、亡くなったりした方もございます。これらの方の問題について、現在厚労省としてはどこが相談窓口、監督部署になるのでしょうか。職業安定局、ハローワーク系になるのか、そうでないのか。もしこの問題について取組をしている部署がありましたら、教えていただきたいと思います。
○中窪会長 事務局のほう、いかがでしょうか。
○久知良総務課長 直ちに明確な答えができませんので、後ほどお示しさせていただければと思います。
○川人委員 現時点では明確な部署、相談窓口はないということなのでしょうか。今、設置されているものがあるのですか。例えば採用面接におけるセクハラとか、随分前から問題になっていますね。現時点ではその辺の相談窓口はそれ固有のものはなくて、一般の労働相談ということになるのでしょうか。私どもの相談の中でそういうこともこの間何件か続いておりますもので。きょう無理でしたら、またぜひ明らかにしていただきたいと思います。
○久知良総務課長 はい。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、そろそろ時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
関係機関におかれましては、本日出されました意見を踏まえ、今後対策をさらにしっかり行っていただきたいと思います。
それでは、最後になりますが、次回の日程について事務局から御説明をお願いいたします。
○小城企画官 次回は今年度の取組状況などを取りまとめる来年の4月ないし5月ごろに開催したいと思っています。日程等につきましては、追って調整の上、事務局より御連絡を申し上げます。
○中窪会長 それでは、以上で第15回過労死等防止対策推進協議会はここで閉会といたします。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。