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第17回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録
政策統括官付労働政策担当参事官室
日時
令和元年6月14日(金)10:00~12:00
場所
厚生労働省省議室(9階)
出席者
(委員)(五十音順)
石山委員、入山委員、大竹委員、川﨑委員、古賀委員、後藤委員、佐々木委員、武田委員、長谷川委員、守島部会長、山川委員
(事務局)
藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)、村山労働政策担当参事官、高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任)、新平労働政策担当参事官室室長補佐、吉村課長(雇用環境・均等局在宅労働課長)、矢野調査官(労働基準局労働関係法課)、名田企画官(職業安定局雇用政策課産業雇用政策)、立石室長(人材開発統括官付政策企画室)
石山委員、入山委員、大竹委員、川﨑委員、古賀委員、後藤委員、佐々木委員、武田委員、長谷川委員、守島部会長、山川委員
(事務局)
藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)、村山労働政策担当参事官、高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任)、新平労働政策担当参事官室室長補佐、吉村課長(雇用環境・均等局在宅労働課長)、矢野調査官(労働基準局労働関係法課)、名田企画官(職業安定局雇用政策課産業雇用政策)、立石室長(人材開発統括官付政策企画室)
議題
(1)報告書(案)について
(2)その他
(2)その他
議事
- ○守島部会長 それでは、定刻になりましたので、まだ1名おいでではありませんけれども、ただいまから第17回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただき、まことにありがとうございます。
ここまででカメラは終わりとさせていただきたいと思います。
本日は、所用により、大橋委員、冨山委員、森戸委員が御欠席でございます。
川﨑委員は、ここにありますように、テレビ会議で御出席でございます。
議事に入ります前に、本日の審議会の説明はタブレットでまたやらせていただきますので、事務局から使用方法等について御説明いただきたいと思います。
よろしくお願いします。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 本日の部会もペーパーレスで実施させていただきます。御不明な点がございましたら、職員にお声がけください。
本日の資料は「プライベートファイル」というフォルダに格納しております。資料1-1、1-2としまして、雇用類似の働き方に関する資料を格納しております。資料2は報告書(案)ですけれども、資料2-1は第16回部会からの修正履歴ありのもの、資料2-2は修正が反映されているものを格納しております。資料3としまして、報告書の参考資料集(案)を格納しております。第11回から第16回までの部会の資料につきましても格納しておりますので、適宜御参照ください。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題「報告書(案)について」に移りたいと思います。
まず、報告書(案)について御議論いただく前に、前回の部会でも複数の委員より御意見のあった雇用類似の働き方について、担当部局より検討状況の御紹介をいただきたいと思います。
それでは、吉村課長、よろしくお願い申し上げます。
○吉村雇用環境・均等局在宅労働課長 雇用環境・均等局在宅労働課の吉村と申します。
本日は、雇用類似の働き方につきまして、現在の検討状況について簡単に御説明させていただきます。
資料1-1と1-2を使って御説明したいと思います。
まず、資料1-1「雇用類似の働き方について(これまでの検討経緯)」という資料をご覧いただけますでしょうか。
資料の右下にページが振ってありますけれども、まず1ページ目をごらんください。検討経緯ということで、まず、平成29年3月の働き方改革実行計画の中で、雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、その実態を把握し、政府は有識者会議を設置し法的保護の必要性を中長期的課題として検討することが定められております。
こういったことを受けまして、少しページが飛びますけれども、ページ番号3という「『雇用類似の働き方に関する検討会』概要」という資料をごらんください。平成29年10月からこの検討会におきまして検討いただきまして、平成30年3月に報告書案を取りまとめていただいております。
これにつきましては、4ページになりますけれども、この労働政策審議会労働政策基本部会にも御報告をさせていただきまして、こちらの検討会の報告書も受けて、この基本部会においても、4ページの下線が引いてあるところですけれども、この雇用類似の関係につきましては、「法律、経済学等の専門家による検討に速やかに着手することが必要である」という御指摘をいただいております。
こういったことを受けまして、さらに5ページ目でございますけれども、新しく「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」を平成30年10月から立ち上げまして、6月12日までに12回議論をしているという状況でございます。
議論の状況につきましては、次の資料1-2をご覧いただけますでしょうか。「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会中間整理(案)」という資料でございます。これにつきましては、先日、6月12日に検討会を開催いたしまして、中間整理の案として御議論させていただいた資料でございます。これについては、6月12日に議論がありまして、次回、中間整理につきましてまた議論することになっておりますので、これで確定したものではないという前提で御説明させていただければと思います。
資料1-2の1ページ目は、これまでの経緯でございますので、資料1-1で御説明した内容が基本的に書かれております。
資料1-2の2ページ目でございますけれども、「第2 雇用類似の働き方に関する現状・課題等」でございます。これにつきましては、検討会で議論をするに当たりまして、関係団体などのヒアリングあるいは独立行政法人労働政策研究・研修機構での調査・試算結果といったものを参考に議論をさせていただいておりますので、その内容を御紹介しているものでございます。
1点、御紹介したいところが、資料1-2の3ページ目でございまして、上から2行目のところから、これはJILPTの試算でございますけれども、こういった雇用類似の働き方をしておられる方のうち、主に事業者を直接の取引の相手とされておられる方の数を試算しておりまして、こういった方につきましては、本業130万人、副業40万人、合計して170万人が試算結果として出ているということを御紹介させていただければと思います。
また、ヒアリングや調査を踏まえた結果につきましては、3ページ以降に書かれておりますけれども、主な内容といたしましては、例えば、3ページ目の(1)で契約条件の明示などの部分がございますけれども、この真ん中あたりで見ていただきますと、例えば、仕事の内容につきましては、「発注事業者が、一方的・定型的に決定する(選択や交渉の余地はない)」といった回答をされておられる方が約2割ほどおられるという状況ですとか、少し飛んでいただきまして資料の4ページ目でございますけれども、「(2)報酬の支払確保・報酬額の適正化等」のところで、トラブルに遭った経験についてお聞きしたところ、最もあったトラブルにつきましては、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」といった回答が2割ほどおられるといった回答が得られている状況でございます。
少し飛んでいただきまして、資料の10ページ目をごらんいただけますでしょうか。「第3 雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について」でございます。この部分で、これまで検討会の中で御議論いただいたことを踏まえまして、中間整理として議論の一定の整理をしているものでございます。まず、10ページ目の上から2行目当たりから「本検討会では」と書いてございますが、まだ各論点につきましては議論の収斂には至っていないということで、優先的に取り組むべき課題を中心に引き続き議論し、その対応の方向性を取りまとめることが必要であるという整理にできないかということで、案として提示をしているものでございます。
まず、10ページの「1.総論」で「(1)基本的な考え方について」でございます。冒頭に書いてある部分につきましては、要は、契約形態のいかんにかかわらず、労働基準法の労働者に該当すれば、労働関係法令の対象になることを大前提として書かせていただいております。その上で、労働者でない自営の方でも実態上は労働者と似たような働き方をされておられる方についてどのように考えるかということで議論を進めております。この部分につきましては、どういったアプローチがあるかというので3つあるのではないかということをまずは提示しております。10ページ目の真ん中あたりですけれども、1労働者性を拡張するというやり方、2労働者と自営の間の中間的な概念を定義して労働関係法令の一部を適用するというやり方、3自営の中で一定の保護が必要な方に保護の内容を考慮して別途個々具体的な措置を講じるというやり方、この3つのやり方について検討会の中での議論といたしまして整理しておりますものが、11ページ目の3行目「労働者性の拡張は」部分以降でございます。検討会の中間整理案としての書きぶりといたしましては、雇用類似の働き方に関する論点について対応の方向性をできる限り速やかに取りまとめるという観点から、当面は労働者性の拡張ではなくて、自営のうち実態上労働者と類似した働き方をする者を中心に検討することが適当であるという形で整理ができないかと議論をいただいているところでございます。
続きまして、11ページの「(2)『雇用類似の働き方』として保護すべき対象者について」でございますけれども、これについても、いろいろ議論がございますけれども、中心的な概念といたしましては、発注者から委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る方を中心として検討していくことが適当ではないかという形で整理案として出ているところでございます。その上で、12ページでございますけれども、保護の内容ごとに対象者の具体的な要件を検討することも考えられるということで、中身によってはさらに別の要素も加わることも考えられるのではないかということが記載をされております。
12ページの「2.各論」でございます。この部分につきましては、大きく9つの論点についてこれまで議論していただいておりますけれども、各論点につきまして大きく3つに整理ができないかということで議論をいただいております。1この検討会で優先的に取り組むべき課題、2ほかの検討の場で優先的に取り組むべき課題、3といたしまして1・2の検討状況や雇用類似の働き方の広がり等も踏まえつつ必要に応じて検討すべき課題の3つに整理してはどうかという議論をしております。
各論点につきましては、12ページ以降にそれぞれ書かれておりますけれども、まず、「(1)契約条件の明示、契約の締結、変更、終了に関するルールの明確化等」、13ページでございますけれども、「(2)報酬の支払確保・報酬額の適正化等」、16ページ、「(3)就業条件」の3つにつきましては、検討会で優先的に取り組むべき課題として整理してはどうかという議論をしているところでございます。
続きまして、18ページ目の「(4)スキルアップ・キャリアアップ」につきましては、雇用類似の働き方の対象者の範囲や属性、広がり、働き方や必要な能力の多様性等も踏まえつつ、必要に応じて検討していくことが適当という形で整理してはどうかという議論をしているところでございます。
18ページの「(5)発注者からのセクシュアルハラスメント等への対策」につきましては、今の国会で男女雇用機会均等法等の改正がなされておりまして、これを受けて、今後、男女雇用機会均等法に基づく指針等の議論を別の場で行って対策を議論する予定になっておるところでございますので、この検討会での議論を踏まえつつ、雇用類似の方に対するハラスメントを防止するための対応についても、別の場で検討していくことが適当であるということで整理ができないかという議論をしているところでございます。
19ページの「(6)紛争が生じた際の相談窓口等」でございます。これにつきましては、検討会で引き続き優先的に検討してはどうかという議論をしているところでございます。
20ページですけれども、「(7)発注者との集団的な交渉」でございます。これにつきましては、労働組合法の「労働者」の概念が労働基準法より少し広いということや、中小企業等協同組合法に基づいて自営の方が団体をつくって団体交渉ができるといったことも踏まえまして、両制度の趣旨の違いも踏まえつつ、必要に応じてということで整理をしてはどうかという議論をしているところでございます。
20ページの「(8)セーフティネット関係」につきましては、大きく2つに分けております。まず、21ページ目の「イ 仕事による負傷や疾病」という部分でございます。これにつきましては、仕事が原因で負傷した、あるいは疾病にかかった支援は優先的に検討をすべきですけれども、法制的・技術的な課題の整理が必要ではないかということで、検討会での議論を踏まえつつ、専門家等による場で議論をしていただくことが適当ということで整理ができないかという議論をしております。
22ページ以降に、「ウ その他のセーフティネット」が書かれておりますけれども、これにつきましては、対象者の範囲や人数規模、働き方の広がり等も踏まえつつ、必要に応じて検討していくことが適当ということで整理をしてはどうかという議論をしているところでございます。
22ページ目の「(9)マッチング支援」でございますが、これにつきましても、23ページの最後の段落に結論が書かれておりますけれども、雇用と雇用類似を行き来するような働き方も考慮しつつ、必要に応じ検討していくことが適当であるという形で整理ができないかという議論をしているところでございます。
24ページ目に、「3.今後の検討について」が書かれておりますけれども、検討会での議論を踏まえて、優先すべき課題を中心に、ガイドラインによる対応なのか、法的な対応なのかといった手法も含めまして、スピード感を持って検討していくことが適当であるという形で整理ができないかという議論を、今、しているところでございます。
25ページ目以降は、放送関係ということで少し分野を絞って、別途規制改革の関係で議論をしているところでございますので、説明につきましては省略をさせていただきます。
こちらからの説明は、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に関する質疑応答に入りたいと思います。
ただいまの御説明に関する質問や御意見のある方は挙手をお願いします。
○長谷川委員 長谷川です。
この報告書の22ページ、「ウ その他のセーフティネット」で「(ウ)出産、育児、介護等との両立」で、特に育児については社会一般的に保護すべきではないかという御意見があったみたいですが、この特に育児について社会一般的に保護すべきではないかというのはどういう議論なのか、教えてほしいのですが。
○吉村雇用環境・均等局在宅労働課長 御質問ありがとうございます。
ここの22ページ、育児については社会一般的に保護すべきではないか、これは委員から御意見として御発言があったところでございますけれども、私が理解するところといたしましては、この育児の関係につきましては、雇う・雇われていることにかかわらず、あるいは、雇用類似であるか、雇用類似ではない純粋に自営の方であるか、そういったことを余り区別することなく、一般的に働いている方全般について何らかの保護を考えていく必要があるのではないかという御意見ではないかと理解しております。
○守島部会長 よろしいですか。
○長谷川委員 よくわからないのですけれども、いいです。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
古賀委員、お願いいたします。
○古賀委員 この場で発言するかどうかは別にしまして、ボリューム感、こういう職種というか、こういう仕事についている方の報告もあったのですが、少し実態よりも私は少ないような感じがしますし、これからは絶対にふえていくわけですから、最後にもまとめとして書いてありますように、とにかくこれはスピードアップをして、何らかの保護的な法整備や何かをしなければならないということを、あえて改めてここで御要望をしておきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。
後藤委員、お願いします。
○後藤委員 20ページの「(7)発注者との集団的な交渉」については、全体的に労働組合として団体交渉等ができることが知られていないという、周知の度合いの程度にしか書かれていないように思うのですけれども、ここについてどういった議論がされたのかということをお聞かせいただけると助かります。
○吉村雇用環境・均等局在宅労働課長 ありがとうございます。
ここの部分につきましては、一つとしては現行の制度として労働組合をつくって交渉するというやり方、あるいは自営の方でも中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合をつくれば発注者の方と交渉をして協約を締結できるという制度があるのですけれども、そういったものが余り知られていないのではないかという御議論が1点ございました。
もう一点、大きな議論といたしましては、労働者であれば職場に出勤して働いておられるような形態がありますけれども、こういった自営というか、雇用類似で働いておられるような方々というのが、例えばですけれども、メールや電話等で注文を受けて働いておられるような場合につきましては、似たような働き方をしている方が見えないというところがございまして、そういった場合にどうやって仲間をつくってまとまっていくかといったところについても、これまでの働き方とは違うのではないかという御意見があったと理解しております。
○後藤委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。
よろしいですか。
それでは、この報告書案については、これで終わりにさせていただきたいと思います。
続きまして、この審議会自体の報告書案について御議論いただきたいと思います。
前回の部会では、皆様方に素案を議論していただきました。それをもとに報告書(案)をさらに事務局で作成していただきましたので、御説明をお願いしたいと思います。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 それでは、報告書(案)と参考資料(案)について御説明いたします。
資料2のうち資料2-1「修正履歴あり」というファイルをお開きいただければと思います。こちらは、前回お示しした素案からの修正履歴を記載しております。今回、報告書(案)につきましては前回の御議論などを反映して修正しましたので、修正点を中心に御説明したいと思います。
まず、表題は、前回、空白にしておりましたけれども、これまでの御議論を踏まえまして、働く人にとってもAI等の新技術を主体的に活用していくことが重要であるという人間中心の考え方に基づく方向性をお示しするために「~働く人がAI等の新技術を主体的に活用し、豊かな将来を実現するために~」としております。本日、御議論いただければ幸いです。
「はじめに」のところですけれども、前回、日本が今なぜ労働市場の問題を考えなければならないのかについて冒頭で触れてはどうかという御意見や、「おわりに」に前向きなメッセージを書いておりましたけれども、それを全体のビジョンの位置づけとして冒頭にしてはどうかという御意見がございまして、それを踏まえて再構成をしております。内容としましては、1文目は、今後の日本社会の展望として、「第四次産業革命がグローバル化と相まって進展し、仕事の在り方が変化する一方、人口減少の加速と「人生100年時代」における職業生涯の長期化に伴い、一つの組織で同じ仕事を続ける労働者の比重は低下すると見込まれる中、労働市場の機能を高めていくことが重要な課題となる」としております。2文目は、「AI等は、代替的なタスクから構成される雇用の場の減少をもたらす」という課題がある一方で、使いこなせば「労働生産性を向上させ、人口減少社会における経済成長を支える基盤となることが期待される」としております。3文目、「さらに」のところですけれども、労働者がAI等を主体的に活用できれば、労働者一人ひとりの幸福度を高め、日本の豊かな将来につながるものと考えられるとしております。
1.に移ります。見出しについて、「留意点」と書かせていただいておりましたけれども、「はじめに」に書いたメッセージと比べまして、当初から「留意点」と始まるのは合わない部分もあるかと思いますし、(1)~(3)の見出しも見ましても、それぞれ、課題も書きつつ、中立的な見出しにしておりますので、1.の見出しから「留意点」を削除しております。
(1)、2ページ目にお進みください。幾つか修正させていただいていますが、「はじめに」に記載したもので重複したものについては削除をしております。また、最後の段落の「職業生活を実りあるものとし」の後ですけれども、前回の御指摘を踏まえまして「ディーセント・ワークの実現を目指す」という文言を追加しております。
(2)ですけれども、前回御議論のありました女性あるいは非正規雇用労働者とAI等の新技術という観点について触れてはどうかという御指摘を踏まえまして、まずは事実関係を押さえるという趣旨で記載をしております。内容につきましては、「雇用形態別に見ると」というところですけれども、3ページ目にかけて、サービス、販売、事務職という職種の従事者に非正規雇用労働者が多く、それらの労働者をさらに性別で見ると女性が多いということを記載しております。データにつきましては、脚注4に具体的に記載しております。
4ページ目にお進みいただきまして、2つ目の段落、「今後、留意すべきは」というところですけれども、こちらについては、中小企業に対するメッセージを示すべきとの御意見、あるいは導入が進まない理由をもう少し書き分けると政策的な対応についてより明確になるという御意見を踏まえまして、まず、脚注10に幾つか導入状況あるいは導入されない理由に関する調査を記載し、これらを参考にしながら本文に記載をしております。「今後、留意すべきは」の後ですが、「業種、企業規模によって新技術の導入状況が異なる中」とした上で、その2行下ですけれども、導入が進まない理由としては、新技術の投資に資金的な制約がある場合もあれば、導入後のビジネスモデルが明らかでない場合、あるいは導入を検討していても導入のためのノウハウを有していない場合もあると考えられる、というようにしております。そこから4行下ですけれども、活用を進めていくための政策的な対応としましては、実証実験を進めることも有効との御意見がございましたので、例示に追加させていただきました。その下、「同時に」という段落を1つ増やしております。これは前回御欠席の委員から部会後に、地方のほうが人口の減少などの社会問題を抱えているので、その解決のために新技術の導入が進んでいくという観点を入れてはどうかという御意見を頂きましたので、追加させていただいております。追加の仕方について、さらに御意見を頂ければ幸いです。
5ページ目にお進みいただきまして、(3)の最後の段落のところですけれども、前回は「雇用の在り方について生じ得る変化の可能性をあらかじめ見据え」としておりましたけれども、これから起こる労働市場の変化はある程度見えているという御指摘を踏まえまして、「現在明らかになりつつある雇用をめぐる課題への対応を検討していくべき」といたしました。
次に、2.(1)です。6ページ目にお進みいただきまして、導入する方針を決定する際のことを書いておりますけれども、労使がポジティブな関係でAI等の導入について方針を決定することがよいとの御指摘もありましたので、改めて労働条件の改善という観点の重要性も踏まえ、「導入する方針を決定する際は、導入による賃金等の労働条件や労働環境の改善、導入に必要な教育訓練など、労働者にとって必要な取組」が進められるようにコミュニケーションを図るという内容にしております。6ページ目の一番下の段落ですけれども、ここは労使間のコミュニケーションの在り方について過去の議論の経緯に触れてはどうかという御意見を頂きました。まず、脚注15に、平成17年の厚生労働省の検討会と平成25年のJILPTの研究会を引用させていただきまして、その上で本文に、これまで積み重ねられた議論としまして、「就業形態や価値観の多様化、労働組合組織率の低下を背景に、労働組合が存在しない場合における労働者の交渉力をより高めるための方策について様々な検討が積み重ねられてきた」ことを記載しております。あわせて、今回の技術革新について、より労使間のコミュニケーションの在り方の検討が必要であるという旨の記述を膨らませております。
(2)に進みまして、7ページ目です。まず、下線を引いております修正点の1つ目ですけれども、基本的なITリテラシーの習得に加えまして情報の整理も必要という御指摘を頂きましたので、そちらを反映させております。次に、7ページ目の2つ目の修正点、「同時に」のところです。これまで職場に新技術が入った場合の必要な対応について中心的に御議論いただいてきたと思っておりますけれども、部会後にAI技術者のようなイノベーションを支える側の人材育成の観点も必要との御指摘もこちらに頂き、追記させていただいております。脚注17にありますように、6月11日にAI戦略が決定されておりまして、こちらで人材育成についても各種施策に取り組むこととされております。
8ページ目にお進みいただきまして、「例えば」という段落を追加しておりますけれども、前回、コールセンター業務ではAIが知識を補って経験の浅い人でも就業する機会が増えるという御意見もありましたし、知識を補う分お客さんの要望をくみ取る等の対人業務の能力を高めていくことが求められていくという御意見を頂きましたので、それを踏まえて修正をしております。また、非正規雇用労働者については、1.でも出てきましたけれども、非正規雇用労働者の方が多い職種で新技術の導入の影響が大きいという御議論もありましたので、「非正規雇用労働者の多いコールセンター業務」という形にしております。その次の段落は、生産性向上の成果が労働者に還元されていくというところですけれども、労働時間の短縮も還元されるという御意見を頂きましたので、反映しております。
(3)は「スキルアップに向けた支援」としていたところですけれども、新技術の活用が進む時代ではスキルアップだけではなくてキャリアチェンジが必要になってくる、特に「人生100年時代」では職業生活が長くなる中でキャリアチェンジの機会がこれまでよりも増えるという御指摘を頂きましたので、見出しの修正と、8ページの一番下の行に、「特に」という段落を追加させていただいております。8ページの(3)の3段落目、「また」のところですけれども、今回の技術革新に対応するための教育訓練については、より長い時間がかかるという御指摘も頂きましたので、「労働者が中長期的なキャリア形成を目的として受講できるような教育訓練の選択肢を十分に確保することが必要である」という観点を追加しております。9ページにお進みいただきまして、「さらに」の段落ですけれども、学校教育について、働くことと学ぶことが今はより近づいている中で学校教育の側にもメッセージが必要との御意見を踏まえまして、「新技術の進展に対応したより創造力の高い人材を社会に輩出するために、学校教育における職業教育の位置づけを高めることが求められる」としております。例として、実践的な職業教育を行う機関としましては、今年の4月から専門職大学が創設されましたけれども、その制度について活用の促進が目指されるべきという内容で書かせていただいております。
(4)にお進みいただきまして、ここは「労働者間の格差」としていましたが、「格差」という言葉についてはいろいろな意味があるという御意見もありましたので、見出しを「AI等の新技術が進む中での労働者への支援」と工夫させていただきました。また、労働者間の格差というよりはついていけないような人が働く場から排除されないようにスキルアップ・キャリアチェンジにつなげていくことが必要という御指摘でしたので、その流れがよりわかるように文章の構成を修正させていただいております。さらに、3段落目はセーフティネットの書きぶりについて少し充実をさせていただきました。
3.の課題のところですけれども、(1)と(2)、プライバシーやバイアスのお話のところですけれども、他省庁の議論を参照してはどうかとの御指摘がございましたので、脚注19、11ページの脚注20でそれぞれ御紹介させていただいております。
(3)、「労働移動の促進」としておりましたけれども、促進するというよりまずはスキルアップ・キャリアチェンジを進めていくべきとの御意見を頂きましたので、先ほどの2.(4)と同様に、ここも「労働移動の実現」という形で修正させていただいております。3段落目、雇用類似については今日御説明もありましたが、前回、公正な取引という事業者としての観点での検討の方向性についても御指摘いただきましたので、その旨の追記と、御指摘を踏まえまして、スピード感を持って検討を進めていくべきということを追記させていただいております。
(4)については、特段修正をしておりません。
最後、「おわりに」の3段落目ですけれども、AI等の議論に当たってはどのぐらいのスパンの話なのかということを設定して議論することが大事というお話を部会後に御示唆いただきまして、こちらの「ターゲットを設定する」というところに「一定の時間軸の中で」という言葉を追記しております。削除しておりますところは、冒頭に申し上げたとおり、「はじめに」に移動したところでございます。
13ページ以降は、開催要綱、委員名簿、開催実績を加えております。
報告書(案)については、御説明しましたほか、文言の適正化という観点で幾つか軽微の修正をさせていただいておりますけれども、主な修正箇所としましては、以上になります。
次に、資料3をお開きいただければと思いますけれども、こちらは参考資料集(案)としております。
中身としましては、報告書の内容を補強するようなバックデータや解説に加えまして、この部会で行いましたヒアリングの概要をおつけしております。お進みいただきまして1ページから3ページ目は、既に第11回でもお配りしたような資料も含めてバックデータをお配りしています。資料が横置きになりますので、必要でしたら横にしていただければと思います。
3ページの上は、本文にも追加いたしましたけれども、職業別に女性や非正規雇用労働者の構成を示すようなデータをおつけしております。
4ページと5ページの上は、本文にも引用いたしましたけれども、第12回で武田委員からプレゼンを頂きました資料を引用させていただいております。
5ページ下から7ページにかけては、部会で事務局からお示ししましたRPAやチャットボット等の説明資料になります。
8ページの上ですけれども、自動運転技術について、第15回で東大の須田教授から御説明いただいた資料をつけております。
その下、8ページの下は、第四次産業革命における産業構造の転換について、経済産業省の資料を抜粋させていただいております。
9ページ目は、第14回で北九州市から頂きましたプレゼン資料をお示ししております。
10ページ目は、業種や企業規模別の導入状況、11ページの上は、IoTやAI等を導入していない企業の導入していない理由を調査しているものがございましたので、こちらを引用させていただいております。
11ページ目の下と12ページの上は、新技術に対する意識に関するアンケートで、本文にも引用させていただいているものになります。
12ページの下は、スキルアップということに報告書(案)で多々言及がございますので、基礎的なものとしまして、人材開発施策の概要をおつけしております。
13ページ以降は、この部会で行いましたヒアリングの概要になります。
説明については、以上になります。
報告書(案)も資料も、他省庁に関係するものについては事前に調整させていただいております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、今、御説明がありました報告書(案)について、御議論いただきたいと思います。
何か、御意見、御質問がある方は挙手をお願いしたいと思います。
長谷川委員。
○長谷川委員 私の意見もきれいにまとめていただきまして、ありがとうございます。
この報告書の9ページ、これは私のところではないのですが、直した部分ですよね。「さらに、早期から準備として」というところで「専門職大学制度については」と書いてあるのですが、これはあのときに大橋先生がお話しした内容だと思うのですけれども、専門職大学を促進するというよりは、例えば、専門職大学があるのだけれども、しかし、それは本人が申し出なければ学位は出ないと。そうではなくて学位が出るように、自動的に学位が出るのではなくて、そういうものにもっときちんとした教育の裏づけを与えてあげるようなことを考えたらどうかとか、そういうふうにすると学ぶこととより近づくのではないか、これは職能だけではなくて農業にもほかにもあるのではないかというニュアンスでお話ししていたと思うのですよね。これだとそのニュアンスと若干違うのではないかと思ったのですが、もう少しここのところは書き方の一工夫があってもいいのかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
後藤委員。
○後藤委員 前回からの御修正をありがとうございました。
2点ありまして、一つは軽微なことなのですけれども、全編を通して「AI等」と言い切っているところと「AI等の新技術」と書いているところがあって、文言の整理をしていただいたほうがいいかと思います。
もう一つは、8ページに今回新たに追加していただいた上のところでコールセンター業務の例を引いていただいているのですけれども、AI等が入ってくると結果的には質の高い業務を遂行していくことになるということに鑑みると、そういった業務に非正規労働者がずっと固着化していってしまうことにもつながってしまうのではないかと少し懸念しておりまして、全体的にキャリアチェンジということがこの報告書の中にあるときに、AI等の新技術を入れていくとそのキャリアチェンジの中に非正規から正規に上がっていけるチャンスも生まれてくるのではないかということが、余りどこにも触れられていないような気がしますので、その点についても御検討、あるいはここで御議論いただいて何らかのそういう方向感も盛り込んでいただいたほうが、ずっと非正規雇用の方々の固着化を点検していけるようになっていけるのではないかと思いますので、それも御検討いただきたいなと思います。
以上です。
○守島部会長 どうぞ。
○村山労働政策担当参事官 先ほど長谷川委員から、また、今、後藤委員から御指摘いただきました点について、修文の経緯等について申し上げます。
まず、長谷川委員から御指摘のございました、専門職大学の記述の点でございます。長谷川委員から御指摘のあったとおり、前回、大橋委員から、例えば、職業能力開発総合大学校や農業者大学校といった学校教育法体系とは別途設けられている教育訓練施設において、卒業すれば無条件に学士等の学位が取得できるようにすれば、積極的な効果があるのではないかという御指摘がございました。
現状を申しますと、希望があって学位の取得を申請されれば、学士なら学士相当の履修をされているという認定がなされている一定の講座を履修されていれば、例えば、職業能力開発総合大学校であれば、その長期課程等を修了されれば、工学等の学士の学位の取得をされるという、この運用の改善は既になされており、幅広く提供をされているという実態を大橋委員は御存じの上で前日の発言をされた訳でございます。その上で、敢えて申し上げますと、無条件に学士の学位を授与できる位置づけということになりますと、施設の位置づけを、学校教育法の体系に全て持っていってしまうのがいいかどうかという、やや根本的な話にもなります。この点については、例えば、職業能力開発総合大学校であれば、職業能力開発法の体系の中に位置づけ、職業訓練指導員の育成など法に即した教育訓練体系の一環として築き上げられている経緯もある訳でして、そうしたバランスの中で学位についても考える必要があろうかと思います。前回のご指摘の御趣旨は踏まえつつ、先ほど長谷川委員から御指摘のありました実践的な教育訓練と学問との融合という観点から、例えば、専門職大学の記述などをもってその趣旨を踏まえようというのが今回の案でございまして、さまざまな御議論があるところだと思いますが、そうした経緯で記述しておりでます。
後藤委員から、2点の御指摘がございました。「AI等」と「AI等の新技術」の点に関しましては、確かに御指摘のとおり、いろいろな修文の過程で文言の整理がよくなくなっているというのは御指摘のとおりだと思います。例えば、最初のところできちんと長く書いた上で、以下はなるべく読みやすいようにする、という考え方もあろうかと思います。少し工夫した上で、また御相談させていただきたいと思います。
3点目でございます。いわゆる非正規雇用の方々、パート、有期、派遣といった働き方の方々が固着化することなくというのは、重要な御指摘であると思います。ここの部分の記述は、前回コールセンター業務のところに関しまして川﨑委員から頂戴した御意見を書いた部分でありますが、先ほど補佐から申し上げましたように、ここは1章と結びつけて書いております。他方で、非正規雇用労働者が多いと書くから、後藤委員の御指摘のような御懸念も生まれるという面もあるのかなと、伺っていて思いました。本日、川﨑委員も御出席でございますので、御意見も伺いながら、また修文を考えさせていただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
川﨑委員、どうぞ。
○川﨑委員 コメントをありがとうございます。
私がコメントをしたこのコールセンター業務に関しては、非正規に限定した話とは思っておりませんので、ここであえて非正規雇用者の多いという修飾語をつけなくても構わないのではないかと思います。
ただ、先ほどコメントがありました非正規雇用を特定の業務で固着化していくということ自体は、今後の労働市場を考えても避けるべきかもしれませんので、そこはまた別の段落でコメント等の反映を御検討いただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
続けて、どうぞ。
○村山労働政策担当参事官 後藤委員、川﨑委員の一致した御見解を踏まえて、修文を考えたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかの点でもよろしいですけれども。
川﨑委員。
○川﨑委員 先ほどと違う場所で、「はじめに」の段落のところで1つだけコメントをしたいと思います。AI等の新技術の捉え方に関するところなのですけれども、今後、日本が人口減少をしていく、少子高齢化がさらに進んでいく、あるいは人生100年という時代になってくるときに、AI等の新技術を活用することによって、人々の生活自体、社会自体をより生活しやすいようにしていく、あるいは人口減少であってもより経済的に発展していくことができるという、そっちの方向にまずは持っていくというメッセージがもう少し強く出るようにならないかと思います。
具体的に言うと、例えば、5行目は「AI等は、大体的なタスクから構成される雇用の場の減少をもたらす一方で」ということで、まず、AI自体が雇用の場の中でネガティブなイメージを想起させるような言葉が先に来ておりますけれども、できれば、この後段で書いてある人口減少社会における経済成長を支える基盤となるAIといったところを前面に出した上で、懸念点に関しては、こういった報告書の中で懸念点を軽減させていくものも必要だというトーンにできないかということを御検討いただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
それは、よろしくお願いいたします。
後藤委員、お願いします。
○後藤委員 今の川﨑委員の御指摘の点について、この報告書をまとめるスタンスが、AI等の新技術ができたときに、労働の世界に対してどういう影響があるのかということをまとめるための報告書からスタートをしているのではないかと思っていたのです。ですので、この中から「雇用の場の減少をもたらす」という懸念のところが丸々削られてしまうというのは本意ではないのではないかと思いますので、川﨑委員の御意見も踏まえつつも、ある程度、警鐘というか、懸念点もしっかりと書き込んでいただきたいなと思いますので、少し上手にバランスをとっていただけるとありがたいなと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
川﨑委員、どうぞ。
○川﨑委員 懸念点があるのは確かにそのとおりで、この懸念点を減らしていくためにどうAIを使っていくのかという観点がすごく大事だと思っているので、懸念点とよりいいものとが両立して出てくるようにというか、懸念点を減らすためのAI、AIに限定しない新技術とか、そういうところのメッセージで考えていただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
大竹委員、お願いします。
○大竹委員 私は、前回のバージョンに比べると随分明るい展望になったと思います。私の印象では、このくらいのネガティブなところは入っていても構わないと思います。全体を通して非常に明るいメッセージがあって、ただし、懸念もあるのでさまざまな支援が必要だということが非常にうまくまとめられているのではないかとは思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
今の点は、私は、雇用の場を減らすということだけではなくて、これは前期でオズボーンさんの発表があったときに議論をしたのですけれども、タスクが変わっていくのでスキルの返還変換やキャリアチェンジを求められるという、雇用の場合は減るということも重要ですけれども、同時に、そこのほうが労働政策上は重要な話かなと思うので、そこもぜひ書くのであれば書いていただきたいなという感じがします。
ほかにどなたか。
入山委員、お願いします。
○入山委員 2つあって、1つはすごくどうでもいいこと、細かいことなのですが、2ページ目、「ディーセント・ワーク」という言葉があって、私は実は初めて聞いたので、最近来ていなかったせいかもしれませんけれども、単純に注釈とか、これはどういう意味かと。皆さんは御専門家でわかっているのだと思うので、多分私も含めて一般の人は結構知らないのではないかという、それだけです。
もう一点は、私も明るいトーンはすごくいいことだと思うのですけれども、資料3で、例えば、実際に日本でもAIで働き方が変わってきている事例があって、例えば、石山さんの御出身ですけれども、リクルートさんなどは、ばんばんAIを入れて、生産性もめちゃくちゃ上がっているし、AIを事業サービスにして、それこそ、今まで非正規とか結構そういうので苦しまれていた方のキャリアアップみたいなものをがんがんやっているのですよ。そういう事例を紹介するとか、例えば、京都の宇治にヒルトップという会社があって、御存じかもしれませんけれども、今、日本中のメーカーさんがヒルトップモデルに励んでいるのですけれども、そこはいわゆるたくみのわざみたいなものを完全に機械学習で覚えさせてしまって、かわりにこれからヒルトップに来る人は全部クリエーティブな仕事をやるということをやって、今、物すごく業績もいいし、世界中から人を集めているし、京大からも人を採っているみたいなところがあるのですね。
もしかしたら、まさに今回はAIがポジティブにもネガティブにも我々の働き方にどういう影響を与えているかということなので、こういう大所高所の資料もいいのですけれども、悪い例もあってもいいと思うのですけれども、例えば、具体的にこういうことが起きていますみたいな、事例みたいなものがバイアスのない形で入っていると、読む方はよりイメージが湧くのではないかと思いましたというのが感想です。
○守島部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○村山労働政策担当参事官 ありがとうございました。
ディーセント・ワークに関しましては、前回の御指摘で挿入した文言でございます。確かに御指摘の点は重要な点だと思いますし、ILO等の場で公式に確認されている定義もあったかと思いますので、注釈をわかりやすい形でつけさせていただきたいと思います。
資料3につきましても、大変貴重な御指摘を頂きまして、ありがとうございました。この中に、例といたしましては、例えば、ものづくりと介護を連携した北九州市の例など、この場で委員の先生方に御確認いただいたような例も盛り込んでいないわけではございませんが、さらに明るい展望ということで何が追加できるのか、入山委員を初めお詳しい委員の御知見も借りながら、最終回に向けて調整してまいりたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。
佐々木委員。
○佐々木委員 「はじめに」のところの文言の話ですけれども、先ほどから出ているマイナス面とプラス面、これは後で具体的に提案をさせていただければと思うのですが、「AI等は、代替的なタスクから構成される雇用の場の減少をもたらす一方で」というところを、例えば「減少をもたらす懸念があるが、実は積極的に活用することで労働生産性を向上させ」とか、ここのつなぎを変えていくと随分ニュアンスが変わるのかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 直してほしいというわけではないのですが、この報告書の1ページ目のサブタイトルといいますか、「~働く人がAI等の新技術を主体的に活用し、豊かな将来を実現するために~」、「働く人」が「主体的に」と、議論してきたのはそういうことなのですけれども、議論の途中の中で、日本の経営者が、そういうもの、AIに対して対応が非常に遅いのではないかということなども議論してきたので、何かこれだと働く人だけが主体的に新技術を活用するのかと、読めないわけでもないのですけれども、ここでは、AIが入ってきたときに、スキルアップとスキルのチェンジですよね。今回の重要なことはアップとチェンジなのですよね。だから、途中から、スキルアップだけではない、チェンジを入れたということはとても重要だったと思うのですけれども、この「主体的に」というのは労働者ということなのだけれども、メッセージとして、私は企業もだよと言いたいのですよね。企業も頑張らないとこれはできないよというのが読み取れるといいなと思ったのですけれども、無理だったらいいです。
あと、全体的には、今日の見え消しで出てきたけれども、「留意点」とか、そういうものが小見出しから取れたことによって、ネガティブなものは少し取れたと思うのです。最初から「留意点」というよりは「活用」と。文章の中で、こういう活用をしてきたときにこういうことがありますよと、そういうものが小見出しから取れていったことはよかったかなとは思いました。
すごくこだわっているわけではないのですけれども、自分は中小企業の経営者がもうちょっと頑張らなければいけないのではないかと言ったこともあったので、一応発言します。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。ほかにございませんか。
今の長谷川委員の御意見は、私はそのとおりだと思うのです。ただ、そのときに、これは労政審の報告書ですから、経営者に対して求めるものが、AI等の新技術をもっと早く入れてくださいというメッセージだけではなくて、それプラスで、そのときにいろいろな形で働く場面が変わるのだから、そういう意味では、労働者をサポートして、ウイン・ウインの関係の中で、より高い生産性を実現するようなメッセージのほうがいいのではないかという感じはします。
○長谷川委員 言葉がいつも足りなくて、すみません。今、部会長が言ったとおりでございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
比較的修文的な要素が多くなってしまったので、もう少し根本的なところでも。完全にちゃぶ台をひっくり返すといろいろ時間的な問題はありますけれども、もうちょっと大きなポイントでも構わないのですけれども、どなたかございませんでしょうか。
石山委員にちょっとお伺いしたいのですが、この業界では「AI」という言い方をするのですか。
○石山委員 それはどういうことでしょうか。
○守島部会長 「学習する機械」とか、そういう言い方をする場合もあるように思うのですけれども、その辺のところはどうなのですか。本丸というか、中核におられると。
○石山委員 AIの研究者の中でもいろいろな立場をとる人がいるので、例えば、「AI」という言葉を統計的機械学習に限定したりとか、いろいろな考え方があるのですけれども、今回はどちらかというと雇用への影響との対比という世界観の中で語るとすると、文言としてはイメージをしやすい「AI」のままでいいのかなとは思いました。
細かい報告書の中身の各論ではない話でもいいのでというお話を部会長から頂きましたので、少しお話しすると、さっきお話が出たマイケル・オズボーンがうちの会社でも顧問をやってくれていて、よく話すことがあるのですけれども、「雇用の未来」の論文の後に有名な「The Future of Skills」という「スキルの未来」という論文を書いているのですが、その中で、いわゆる今後必要になっていくスキルについて上位に上がってきているものが、非認知スキル的なものに近いものが結構多かったりするのですね。こういったもののリカレント教育みたいなものが具体的にどうやったら身につくのかみたいなところがまだわかっていない部分があって、そういったものも今後いろいろと突き詰めていく必要があるのかなということが最近の自分の中のトピックとしてありましたので、すこし共有させていただければと思いました。戦略的学習力とか、心理学とか、そういうものが挙がってくるので、それはどうやって教えればいいのかみたいなことを企業の中でもう一つ考えていく必要があるのかなと思ったという次第です。
○守島部会長 ありがとうございました。
私は、今の点は結構重要だと思っていまして、教育の体系を変えていくというだけではなくて、教育のコンテンツももうちょっと見直していかないといけないのではないかというところにつながっていきますので、また石山委員からお話を伺って、少し今の非認知・認知という話を少し入れるようにしていただきたいと思います。
ほかに大丈夫ですか。えらく時間がまだ余っているのですけれども、よろしいですか。
また個別に御相談に上がるときもあると思いますので、そのときに言っていただければと思います。
それでは、まだ時間は少し早いのですけれども、今回の御議論はこれで終わりにさせていただきたいと思います。本日は、活発な御議論をありがとうございました。
事務局におきましては、頂いた御意見を踏まえて、次回に向けて最終的な報告書(案)を詰めていただきたいと思います。
また、その中で、その最終報告書(案)を踏まえて御議論を次回にお願いしたいと思っております。
事務局から、次回日程について御連絡をお願いいたします。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 次回の部会の日程ですけれども、6月26日の開催を予定しております。詳細につきましては改めて御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 それでは、本日はこのぐらいで閉会とさせていただきたいと思います。
本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により、部会長である私のほか、2名の委員に御署名を頂くことになっております。
つきましては、入山委員、大竹委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議は以上とさせていただければありがたいです。
ありがとうございます。