2019年5月22日 第43回労働政策審議会 議事録

 

 
2019年5月22日 第43回「労働政策審議会」議事録  
 
1.日時 令和元年5月22日(水) 9:58~11:58
 
2.場所 厚生労働省省議室(9階)
 
3.出席者
  公益代表委員
  鎌田会長、荒木委員、奥宮委員、小畑委員、小杉委員、城内委員、内藤委員、中窪委員、守島委員
  労働者代表委員
  相原委員、永井委員、中川委員、難波委員、野田委員、安河内委員、山中委員、山本委員
  使用者代表委員
  冨田委員、中西委員、中野委員、椋田委員、矢口委員
  事務局
  宮川厚生労働審議官、松村会計管理官、坂口労働基準局長、土屋職業安定局長、
  小林雇用環境・均等局長、吉本人材開発統括官、藤澤政策統括官(総合政策担当)、
  土田政策立案総括審議官、村山労働政策担当参事官
 
4.議題
  (1)会長の選挙
  (2)毎月勤労統計調査等について
  (3)令和元年度労働行政関係予算の主要施策について
  (4)分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議状況について
  (5)経済財政諮問会議及び未来投資会議の動向について
  (6)その他
 
5.議 事
○村山労働政策担当参事官 定刻より若干早くはございますが、全ての委員がおそろいでございますので、ただいまから第43回「労働政策審議会」を開催いたします。
 本年4月27日付で委員改選がありました関係で会長が決まるまでの間、事務局が議事を進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、冒頭、宮川厚生労働審議官より一言御挨拶を申し上げます。
○宮川厚生労働審議官 厚生労働審議官の宮川でございます。
 第10期労働政策審議会の委員の皆様方による初めての会合に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 人口減少社会、経済社会の急速な変化の中で、一人一人が生き生きと活躍でき、労働生産性を上げていくために、労働生産の重要性が非常に増していると認識しているところでございます。委員の皆様方には、幅広い御見識と豊かな御経験に基づく活発な御審議をお願いしたいと思います。
 まずは、毎月勤労統計調査などをめぐります政府統計の不適切な取り扱いについて、一言おわび申し上げたいと思います。
 今回のような事態を招きましたことにつきましては、公的統計あるいは厚生労働行政に対する信頼を失わしめるような行為だったことであり、大変遺憾であり、また、申しわけなく思っているところでございます。
 今後このような統計が適正に行われるようにするととともに、雇用保険等の追加給付ということをきちんとやっていくということが我々に課せられたものでございますが、再発防止あるいは失墜しました信用、信頼を回復するということのためのガバナンスの強化などに取り組んでまいりたいと思いますので、引き続き皆様方の御指導をお願いしたいと考えているところでございます。内容につきましては、また後ほど御説明させていただきたいと思います。
 今後の雇用労働情勢を展望いたしますと、少子高齢化の一層の進展あるいは65歳未満世代の急減という2040年に向けた人口構造の変化に対応いたしまして、我が国の成長力を確保するため、より多くの方々が意欲や能力に応じた社会の担い手として、より長く活躍できる社会というものの実現が求められていると考えております。こうした中、労働政策審議会において御審議いただきました働き方改革関連法案につきましては、本年4月1日より順次本格施行されているところでございます。
 厚生労働省といたしましても、関係省庁とも連携を図りながら円滑な施行等を通じまして、働く方がそれぞれの事情に応じて活躍できる社会の実現に向けて、働き方改革の推進にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 また、全ての世代が安心できる全世代型社会保障の実現のためには、より多くの方々に社会の担い手として活躍していただくことが重要と考えております。さまざまな立場の方々が個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できるような取り組みに努めてまいりたいと思っております。
 今国会に提出しております女性活躍推進法改正法案及び障害者雇用促進法改正法案につきましては、早期成立に向けて現在努力しているところでございますが、さらに70歳までの就業機会の確保、あるいは就職氷河期世代の方々の社会の担い手として活躍するための支援の検討にも取り組んでいるところでございます。
 こうした労働政策の策定及び実施に当たりましては、現場を熟知いたしました当事者である労使の参画を得て、十分に議論を尽くした上で、実効性ある施策をつくってまいりたいと考えておりますので、その意味で、公労使3者で構成されます本審議会の役割は非常に大きいものと考えております。
 本審議会の委員の皆様方におかれましては、労働政策の方向性について、有意義な御議論をいただきますよう改めてお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○村山労働政策担当参事官 それでは、傍聴席からのカメラでの撮影はここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いいたします。
 本日の審議会の説明は、委員の前にありますタブレットで行わせていただきます。厚生労働省では、政府全体の方針を踏まえ、審議会等のペーパーレス化を推進しており、本日の審議会もペーパーレスで実施させていただきます。使用方法についてはお手元に配付しています操作説明書を御参照ください。なお、ページ数の多い資料をごらんいただく際にスライドせずに任意のページを指定、表示する方法につきましては、操作説明書の裏面の一番上の2の(2)を御参照ください。御不明な点などがございましたら周囲の職員にお声がけいただければと存じます。
 それでは、議事に入ります前に、今般新たに委員に就任された方を御紹介させていただきます。
 お手元に資料1として、労働政策審議会委員名簿をお配りしております。第10期から新たに委員に就任された方を御紹介いたします。
 まず、公益委員でございます。
 日本大学理工学部特任教授の城内委員でございます。
 同じく公益委員で、一橋大学大学院法学研究科教授の中窪委員でございます。
 労働者代表委員につきましては、委員の異動はございません。
 次に使用者代表委員でございます。
 アメニティ計画株式会社の代表取締役の中西委員でございます。
 グローブシップ株式会社の代表取締役社長の矢口委員でございます。
 本日は御欠席でございますが、株式会社東京個別指導学院の井上委員、同じく本日は御欠席ですが、王子ホールディングス株式会社の進藤委員にも御就任をいただいております。
 本日は、任命辞令を委員の皆様の机の上に置かせていただいております。よろしくお願いいたします。あわせまして、労働政策審議会令、運営規程をお配りしておりますので、必要に応じて御参照いただければと存じます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、第1の議題「会長の選挙」です。
 会長につきましては、労働政策審議会令第5条に公益を代表する委員のうちから委員が選挙するとなっており、委員の皆様に選んでいただくこととなっております。委員の皆様、いかがお取り計らいいたしましょうか。
 荒木委員、お願いします。
○荒木委員 鎌田委員にお願いしてはと考えておりますが、いかがでしょうか。
○村山労働政策担当参事官 ただいま荒木委員から鎌田委員を会長にという御推挙がございましたが、鎌田委員が会長に御就任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○村山労働政策担当参事官 それでは、鎌田委員に会長に御就任いただきます。
 以後の議事進行に関しましては、鎌田会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
(鎌田委員、会長席に移動)
○鎌田会長 ただいま会長に推薦をいただきました鎌田でございます。よろしくお願いいたします。
 私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 これまで労働政策審議会は働く現場の実情に精通し、労働問題の当事者でもある労使双方の代表に専門的知見を有する公益代表を加えた3者構成原則のもと、実効ある施策の立案に向けて議論を重ねてまいりました。
 働き方改革関連法が4月から順次施行されておりますが、第4次産業革命も背景に今後働き方をめぐる新たなニーズが生まれ、それに伴い、さまざまな課題が提起されることと考えられます。このような変化の激しい時代であるからこそ、公労使の3者で構成される本審議会で建設的な議論を重ねることがますます重要になってくると考えております。公正な議事進行に努めてまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、座らせていただきます。
 労働政策審議会令では、私から会長代理を指名するということになっております。会長代理につきましては、守島委員にお願いしたいと思いますが、いかがいたしましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鎌田会長 それでは、守島委員、よろしくお願いいたします。
 次の議題に移ります。
 議題(2)「毎月勤労統計調査等について」事務局から説明をお願いいたします。
 どうぞ。
○藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)労政審を含めます総合政策と統計担当等を兼ねております政策統括官の藤澤と申します。よろしくお願いいたします。
 座って説明をさせていただきます。
 資料2をお願い申し上げたいと思います。
 資料のタイトルに「毎月勤労統計調査等について」とございますが、資料の2番目をお開きいただければと思います。
 初めに、政策立案や学術研究、経営判断の礎として、常に正確性が求められます政府統計につきまして、今般の事態を引き起こしましたことは極めて遺憾でございます。国民の皆様に御迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げたいと思います。
 資料の1ページ目からが毎月勤労統計調査でございますけれども、2ページ目をお願いしたいと思います。毎月勤労統計の調査の概要でございますけれども、毎月勤労統計は常用労働者5人以上を雇用する事業所の雇用、給与及び労働時間につきまして、毎月の変動を把握いたします全国調査と地方調査、また、1~4人を雇用します事業所については、毎年7月における状況を把握します特別調査の主に2本からなっているものでございます。
 資料の3ページをお願いしたいと思います。今般の事案の概要についてでございます。
 初めに1点目としまして、その調査の対象のうち「500人以上規模の事業所」について、私どもの公表資料では全数調査をしますということにしていたところでございますけれども、平成16年から現在まで実際は、東京都について抽出調査で行っていたということでございます。
 2点目といたしまして「500人以上規模の事業所」について、東京都のみ他の道府県と異なる抽出率でありましたけれども、平成16年から平成29年の間、公表する賃金等の全国データを作成する際に東京都の抽出調査の結果について、統計的処理(抽出率による復元)を加えることなく、全国調査の結果として取り扱っていたものでございます。
 また、東京都における「499人以下規模の事業所」等につきましても、平成21年から平成29年までの間、一部に異なる抽出率の復元が行われない集計となっていたものでございます。これらの結果、統計上の賃金額が低めになっているという影響があったものでございます。
 3点目といたしまして、確認できた範囲では、平成8年以降、調査対象事業所数が公表資料よりもおおむね1割程度少なくなっていたものでございます。
 4ページ目をお願いいたします。
 今般の事案への対応でございますが、初めに1点目といたしまして、公表値において行うべき復元を行っていなかった平成16年から平成29年までの期間のうち復元に必要なデータ等が存在する平成24年以降につきましては、改めて集計した結果を平成31年1月11日に「再集計値」として公表してございます。
 「きまって支給する給与」の「再集計値」とそれまでの「公表値」との乖離幅は、金額ベースでは平均0.6%となりました。なお、従来の公表値につきましては、時系列比較の観点から今後も引き続き提供していくこととしているところでございます。
 2点目といたしまして、全数調査の実施につきましては、速やかに東京都の500人以上規模の事業所の全数調査を履行するために、調査対象から除外をしておりました事業所を対象に厚生労働省による直轄調査を実施することが適当と考え、本年6月からの東京都分の全数調査の確実な実施に向けた準備を現在進めているところでございます。
 以上が、毎月勤労統計調査の事案の概要でございます。
 少しページが移りまして、7ページ目以降が賃金構造基本統計に関する事案でございますけれども、資料の8ページからご覧をいただければと思います。
 賃金構造基本統計の調査の概要でございますけれども、主要産業に雇用される労働者につきまして、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等について、毎年6月分を把握している調査でございます。
 資料の9ページをお願いいたします。今般の事案の概要でございます。初めに1点目といたしまして、調査計画では、調査員調査により実施をするということとしていたところでございますけれども、実際は調査票の配布・回収ともにほぼ全ての事業所について調査員調査ではなくて、郵送調査により実施をしておりました。なお、調査員は実際に任命されておりまして、事業所からの照会対応でありますとか調査票の審査、事業所への疑義照会、未提出事業所の督促などに携わっておりました。
 2点目でございますけれども、調査計画では提出期限について「調査票を調査実施年の7月31日までに都道府県労働局長に提出する」と規定をしていたものでございますけれども、実際はこれよりも早い提出期限を定めて、報告者であります事業所に通知をしている例があったものでございます。
 3点目でございますけれども、調査計画では、調査対象範囲に日本標準産業分類によります「宿泊業、飲食サービス業」を含めておりますけれども、そのうち産業小分類766番の「バー、キャバレー、ナイトクラブ」については抽出の母集団から除外をし、実際の調査対象とはしていなかったものでございます。
 資料の10ページをお願いいたします。今般の事案への対応でございますが、今申し上げました事案につきまして、3月13日付で厚生労働省から総務大臣に対し、「郵送調査」を基本としつつ、必要に応じて統計調査員等による実地回収を行う。
 2点目としまして、本社一括調査の実施。
 3点目といたしまして、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を調査対象から除外するということを内容といたしました調査計画の変更を申請し、3月18日には統計委員会に諮問されたものでございます。
 統計委員会からは「郵送調査」を基本としつつ、必要に応じた統計調査員による実地回収及び本社一括調査の実施については適当、またはおおむね適当とされたものでございます。一方で「バー、キャバレー、ナイトクラブ」につきましては、これらを含めて調査をした上で、影響等を検証すべきという内容でございまして、それらの内容は4月26日付で統計委員会から答申を得たものでございます。今、申し上げましたことを踏まえまして、今年、令和元年調査につきましては調査計画に沿って、適切に実施をしてまいりたいと考えております。
 以上が、賃金構造基本統計調査の事案の概要でございますが、3点目といたしまして、統計の点検検証につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 資料の12ページをお願いいたします。
 その概要でございますが、公的統計に対する信頼回復のために政府で行われました基幹統計の点検に加えて、統計委員会でさらなる点検検証に取り組むことを目的に実施されているものでございます。
 「検討の範囲」については、統計委員会に設置をされました「点検検証部会」において、基幹統計と一般統計の点検検証を行っており、厚生労働省では基幹統計の9統計、また、一般統計については70統計が対象とされております。
 資料の13ページをご覧いただきますと、5月16日の点検検証部会においては、今回の一斉点検で各省から報告のありました調査等の影響度について評価結果が取りまとめられております。厚生労働省では、利用上重大な影響が生じると考えられる数値の誤りは毎月勤労統計調査の1調査、また、利用上重大な影響は生じないと考えられる数値の誤りが一般統計調査で8調査となりました。それぞれ問題となりました事項について検討を行い、対応策を適切に実施してまいりたいと考えております。
 12ページに戻っていただきまして、これらを踏まえまして、5月23日の点検検証部会において第1次再発防止策の素案を決定し、5月中に統計委員会に報告、審議する予定と承知しております。また、6月以降にターゲット型統計点検審議を行い、6月から7月に第1次再発防止策等を取りまとめる予定と承知をしておりまして、厚生労働省としても適切に対応していきたいと考えているところでございます。
 厚生労働省の再発防止につきまして、大きな4番目、15ページ以降でございますが、資料の16ページでございますけれども、平成31年4月12日の衆議院厚生労働委員会で根本大臣から再発防止策について答弁をしております。
 1点目といたしまして、統計に関する認識・リテラシーの向上、例えば全職員に対する統計研修の実施や、他府省や民間の統計専門家などとの人事交流。
 2点目としまして、統計業務の改善、統計の調査の正確な公開や利用者の視点に立った統計の見直し等。
 3点目としまして、組織の改革とガバナンスの強化、統計を外部有識者により審議する仕組みの強化や民間人材の活用、あるいは内部組織の強化等についてしっかりと取り組んでいく。
 まずは、実施可能な事項に関して、順次実施できるよう準備を進めていく予定でございまして、既に実施をした例といたしましては、政策統括官から省内の統計担当の課室長を集めまして、研修を実施しているところでございます。
 大きな5番目でございますが、「雇用保険等の追加給付」について御説明を申し上げます。
 資料の18ページをお願いいたします。毎月勤労統計におけます今般の事案によりまして、同調査の平均給与額の変動を基礎としてスライド率等を算定しております。雇用保険制度等において給付額に影響が生じてございます。このため、平成16年以降にこれらの制度の給付を受給した方の一部及び助成金を受けられました事業主の一部に対し、追加給付が必要となりました。厚生労働省といたしましては、2月4日に公表いたしました工程表に基づき、追加給付を実施しているところでございます。今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 なお、21ページでございますが、追加給付に関する具体的な影響額や対象人員について記載をしてございます。
 また、22ページ以降でございますけれども、事業主向けの助成金につきましては、3月18日から、過去に支給を受けていらっしゃった方に対しては4月1日から追加支給を開始してございます。
 なお、助成金の追加支給に必要な支給申請書等につきまして、文書の保存期間は5年間でございますけれども、既に保存期間が満了しております平成23年度の支給申請書等につきまして、一部の労働局におきまして保存をされていない文書があることが確認されてございます。これらの労働局におきましては、各労働局が保有しております関連データ等を最大限活用いたしまして、想定される追加支給額の単価を下回らないように関連事項の数値を設定した上で、追加支給額を算定することとしているところでございます。
 以上、毎月勤労統計調査の事案の概要について御説明いたしましたが、最後に厚生労働省といたしましては、一連の統計問題を引き起こしたことへの深い反省に立って、統計に対する姿勢を根本から正し、これまでの要因の分析をしっかりした上で、再発防止を徹底することを通じて、所管統計に対する信頼の回復に努めていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○鎌田会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたら御発言をお願いいたします。
 相原委員、どうぞ。
○相原委員 相原です。
 資料2の関係で一言申し上げたいと思います。
 宮川厚労審からも冒頭の御挨拶でお話がありましたし、ただいま丁寧な御説明もありました。今回の事案につきましては、国内外にわたりまして、日本政府、さらには政府統計そのもの、そして政府統計から導き出される各種政策、施策に対する信頼を大きく損なうものであったという問題意識はまず共有したいと思います。
 その上で、長い期間にわたり、計画、さらには公開資料とは異なる方法で調査が続けられていたことは残念でありますし、大変遺憾であるということは改めて申し上げざるを得ません。
 また、追加給付に伴いまして、閣議決定後の予算案を修正するという大変異例な経過をたどったわけですが、追加給付の対象となります雇用保険や労災保険などは、まさに働く人たちのセーフティーネットです。既に公表されている給付のスケジュールの遵守はもとより、迅速かつ正確な給付の手続を進めていただきたいと考えます。
 資料の12ページ目以降も御説明を頂戴しましたが、総務省の統計委員会に設置されております点検検証部会で取りまとめ予定である再発防止策を徹底して、省庁の垣根を越えて政府一体となった対応を強く求めたいと思います。
 私からは以上です。
○鎌田会長 そのほかにございますか。
 冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 委員の冨田でございます。
 ただいま御説明いただきました、毎月勤労統計調査等につきまして、意見を申し上げたいと思います。
 私ども、公労使の3者で労働政策を議論していく場合のデータに基づく実態の把握というのがその議論の大前提になるということでございまして、こうしたことが起こったことについて大変残念に思いますし、ゆるがせにできないことだなと考えております。
 今、お話もいただきましたし、さまざまな対策を立てていただいているということでございますので、この際、厚生労働省の中でいま一度統計の重要性を再認識していただいて、これも御説明がございましたけれども、雇用保険や労災保険などの追加給付が早急に行われますように、ぜひその周知徹底、円滑な支払いをお願いしたいと思います。
 今後は、今も相原委員からもお話がありましたけれども、再発の防止が非常に重要だと思っております。政府の中におかれまして、ぜひ必要な体制の見直しを行っていただきたいと思いますし、統計に携わる方々の必要な人員の確保も非常に重要なことではないかと思います。集計する側、記入する側、双方の負担をどうやったら軽減できるかということも検討いただいていると思いますが、ぜひ実効性のある仕組みづくりをお願いしたいと思います。ネット調査の拡充などは当然御検討いただいていると思いますけれども、そうした無理のない形で調査を実施することができますように、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○鎌田会長 厚生労働省として、今、御意見に対してコメントはございますか。
 どうぞ。
○藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当) ただいま相原委員、冨田委員から御意見をいただきました。一部先ほどの説明と繰り返しになるかもしれませんが、申し上げたいと思います。
 政策立案や学術研究、経営判断の礎として、常に正確性が求められます政府統計において、今般の事態を引き起こしましたことは極めて遺憾でございます。国民の皆様に御迷惑をおかけしましたことを改めて深くおわびを申し上げたいと思います。
 まず、雇用保険、労災保険の追加給付でございますが、2月4日に公表しました工程表に基づいて追加給付を実施しているところでございます。引き続き円滑な支払いの実施に向けまして、今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 再発防止でございますが、これは先ほど申し上げましたように、総務省統計委員会におきまして、夏ごろをめどに第1次の再発防止策が取りまとめられる予定と承知をしております。政府一体で取り組んでいきたいと考えておりますが、厚生労働省といたしましては主に3点、統計に関する認識やリテラシーの向上、統計業務の改善、組織の改革とガバナンスの強化といった取り組みを進めているところでございます。先ほど申し上げましたように、統計を担当します省内の管理職の研修など早急にできることから進めていきたいと考えているところでございます。
 また、記入者負担についても御意見をいただきました。統計調査のオンライン化でございますけれども、厚生労働省の所管統計調査のうち6割以上がオンライン調査を導入しているところでございます。引き続き調査担当者の方々の負担の軽減も目指して、オンライン調査の推進を図っていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○鎌田会長 この件につきまして、私からも一言申し上げたいと思います。
 今、相原委員、冨田委員から御意見がありましたように、厚生労働省は御意見を踏まえながら雇用保険等の追加給付が適切に実施されることとともに、今後二度とこのようなことが起こらぬよう再発防止にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移ります。
 議題(3)「令和元年度労働行政関係予算の主要施策について」、議題(4)「分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議状況について」、議題(5)「経済財政諮問会議及び未来投資会議の動向について」を一括で事務局から御説明をお願いいたします。よろしくどうぞ。
○村松会計管理官 会計管理官の村松と申します。どうぞよろしくお願いします。
 私からは、資料3「令和元年度労働行政関係予算の主要施策について」に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。
 昨年9月の労働政策審議会におきまして、概算要求の内容について御説明申し上げたところでございますけれども、平成30年度補正予算などその後の主な変更点3点について、まず簡単に御説明を申し上げます。
 1点目として、資料の2ページ目でございますけれども、中ほど上のほうに、点線でくくっている箇所が平成30年度の補正予算の中身でございます。労働行政関係におきましては、2つ目の●のところに書いてございますが、事業場内最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者の取り組みに対する助成金として、5.5億円を追加計上しておりまして、今年度においても同様の支援をしていくこととしています。
 2つ目として、3ページ目、(障害者の就労促進)のところでございますけれども、公務部門における障害者雇用に関して問題が判明いたしたということで、公務部門の障害者雇用の推進のために各府省等向けのセミナー、職場見学会等を実施していくということで一定の予算を計上しているところでございます。
 3点目として、先ほど毎月勤労統計の関係の御説明がございましたが、この関係で雇用保険、労災保険給付等の追加給付に関し、本日の資料に具体的な記載はございませんが、追加給付費と加算額を合わせて約600億円、また、今年度の事務費約90億円について、追加計上をしているところでございます。
 改めまして全体像として、1ページ目に一般会計、労働保険特別会計、それぞれ計数を記載してございます。細かく御説明は申し上げませんが、働き方改革の関係で、時間外労働等の改善助成金や働き方改革推進支援センターの拡充など後ほど御説明を申し上げますけれども、中小、小規模事業者に対する支援の充実ということで、労災、雇用勘定ともにやや増加という姿になっております。
 2ページ目から主要施策の具体的な御説明でございますけれども、まず「働き方改革・人づくり革命・生産性革命」関連につきましては、全体の関連予算総額として、平成30年度の約3,200億から令和元年度は約3,800億円と増額となってございます。令和2年度から中小企業等についても時間外労働の上限規制等が施行されるということに伴いまして、特に中小企業に対する支援というものを拡充しているところでございます。
 具体的な中身でございますが、1つ目の項目として、1番目の●でございますけれども、働き方改革推進支援センターを47都道府県に設置してございますが、こちらのセンターでアウトリーチ型の支援の強化を図るための増額をしております。
 1つ飛ばして、3番目の●でございますが、時間外労働の上限規制、勤務間インターバルの導入、最低賃金・賃金の引き上げ、非正規雇用労働者の処遇改善などに当たっての助成金の拡充、新設を行ってございます。
 点線の下のところです。長時間労働の是正等々のところですが、1番目の●として中小の事業主団体等に対する時間外労働等改善助成金、団体推進コースと称しておりますが、これの大幅な拡充。具体的には、平成30年度に4億円であったものを令和元年度は30億円規模に拡充をしてございます。
 同一労働同一賃金の関係でございますが、非正規雇用労働者の待遇改善を推進していくために、先ほども申し上げた働き方改革推進支援センターにおける専門家による相談支援、非正規雇用労働者の正社員化等を推進するための助成金による支援を引き続き行ってまいります。
 1つ飛ばして(総合的なハラスメント対策の推進)でございますが、職場におけるハラスメントを防止するための普及啓発を集中的に実施するとともに、今年度からはハラスメント被害者からの相談に迅速に対応するために、労働局の相談体制の強化、また、平日、夜間、休日対応の相談窓口等の設置という内容を講じてございます。
 3ページ目でございますけれども、1つ目(医療従事者の働き方改革の推進)でございまして、1つ目の●として、医政局と連携をして、医師や看護職等の医療従事者の勤務環境改善に取り組む医療機関に対する相談支援を行っていくというものでございます。
 「多様な人材の活躍促進」でございますが、まず女性活躍の推進でございますけれども、ハローワークにおけるマザーズコーナーの増設、さらに男性の育児参加を促進するための全国的なキャンペーンを新たに実施することとしております。
 (若者・就職氷河期世代に対する就労支援)でございますけれども、「学卒者全員正社員就職」の実現に向けて、大学等との連携強化による支援対象者の確実な把握、就職実現までの一貫した支援の強化を図るものでございます。就職氷河期世代の無業者に対する就労支援施策として、地域若者サポートステーション事業の機能拡充も行っていくこととしております。
 (高齢者の就労促進)でございますが、1つ目の●として、初めて中高年齢者を採用する企業に対する助成金の拡充や、ハローワークの生涯現役支援窓口の増設などにより、高齢者の就労促進の推進を図っていくものでございます。
 (障害者の就労促進)につきましては、冒頭公務部門の取り組みについて御紹介申し上げましたが、民間部門に対しましても、そのニーズに応じた提案型のチーム支援を推進していくこととしてございます。
 外国人材の関係でございますが、1番目の●につきましては、4月から施行されております新たな在留資格により受け入れる外国人材の適正な雇用管理の確保に加えまして、多言語で対応できる相談体制の充実、さらに安全衛生教材の作成等を行うこととしております。
 4ページ目でございますけれども、人材育成の関係でありますが、リカレント教育の拡充等につきましては、1番目の●におきまして、一般教育訓練給付について訓練効果が高い講座を対象に給付率を2~4割に引き上げる。また、専門実践教育訓練給付についても対象講座を拡大していくこととしております。
 (人材確保支援の総合的な推進)につきましては、ハローワークの人材確保対策コーナーの拡充など、総合的な人材確保対策の推進、また、地方自治体と連携した雇用活性化施策の推進を実施してまいります。
 「生産性向上の推進」でございますけれども、働き方改革の取り組みについては先ほど申し上げたとおりでございますが、医療、介護、障害、保育、生活衛生といった厚生労働省の所管業界の生産性向上のための取り組みを進めることとしております。
 5ページ目に進みますが、「希望出生率1.8の実現」また「介護離職ゼロの実現」として、ハローワークにおける人材確保対策コーナーの拡充と人材不足対策を充実していくものでございます。
 最後に6ページ目でございますが、受動喫煙対策の推進、強化として、喫煙専用室等の整備に対する助成、個々の事業場に対する相談支援などを行ってまいります。
 以上、早足でございましたが、令和元年度の労働行政関係予算の主要施策についての御説明でございます。
 続きまして、資料4の分科会及び部会等の審議状況、資料5「法案の国会審議状況について」を各局から御説明を申し上げます。
○坂口労働基準局長 それでは、労働基準局長でございます。
 資料4をお開きいただきたいと思います。各分科会・部会の審議状況ということでございまして、まず労働基準局関係につきまして、資料4の1ページ以降で御説明をさせていただきます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。労働基準局所管の分科会等の審議状況でございます。1つ目の○が労働条件分科会の関係でございまして、これは高度プロフェッショナル制度につきまして、対象労働者の適正な労働条件の確保を図るための必要な事項を定めました省令案要綱及び指針案につきまして諮問をいたし、年末に御答申をいただいたものでございます。これらに関します施行規則等につきましては、本年3月25日に公布して、4月1日から施行されたところでございます。
 2つ目の○以降が分科会の労災保険部会の状況でございます。2つ目の○はいわゆる複数就業者への労災保険給付のあり方について議論を行ったものということで、現在も引き続き御審議をいただいているという状況でございます。
 3つ目の○につきましては、電子申請の利用促進を図るために労働保険等に関します一部の主要な手続につきまして、特定の法人が行う場合に電子申請によることを義務づける内容について御諮問をし、答申をいただいたものでございます。
 4つ目の○は、省令に規定します業務上疾病の範囲につきまして、「オルト―トルイジンにさらされる業務による膀胱がん」を追加することとして御答申をいただいたものでございます。
 4ページの一番上でございますけれども、一番上の○は先ほど統括官のほうからも御紹介がありました毎月勤労統計の関係につきまして、労災保険の追加給付に係ります所要の改正について御諮問し、答申をいただいたものなどでございます。
 2つ目の○でございますけれども、こちらのほうは最低賃金部会の関係でございまして、高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者につきまして、最賃法4条の規定を適用するに当たっての賃金の換算方法等について諮問をして、答申をいただいたものでございます。
 3つ目の○からが安全衛生分科会の関係でございまして、3つ目の○は労働条件分科会で諮問した高度プロフェッショナル制度関係等の内容でございます。
 次の○が伐木作業に関する安全対策の関係につきまして諮問し、答申をいただいたものでございます。
 次のページでございますけれども、同日に労働者死傷病報告の様式につきましても、改正について諮問、答申をいただいたものでございます。
 その次の○につきましては、先ほど申し上げましたオルト―トルイジンの関係につきまして、健康管理手帳の交付対象業務にするという内容について、諮問、答申をいただいたものでございます。
 最後に労働基準局所管の各分科会におけます目標の評価の関係については、別紙9のとおりでございます。
 以上でございます。
○土屋職業安定局長 職業安定局長でございます。
 引き続きまして、職業安定局の関係の審議状況について御報告申し上げます。資料は31ページからでございます。
 まず、障害者雇用関係でございます。昨年8月に公的部門におきます障害者雇用の不適切な計上が明らかになったことを踏まえまして、政府としての対応策である公務部門における障害者雇用に関する基本方針を策定するに当たりまして、昨年10月に障害者雇用分科会において御審議をいただきました。また、今年の2月には障害者雇用分科会の意見書として、「今後の障害者雇用施策の充実強化について」をおまとめいただいております。これは昨年7月まで開催をしていました研究会の結果を踏まえ、また、今回の公的部門について起きていることを踏まえた御審議をいただいた結果としての意見書でございます。
 これを踏まえた改正法の法律案要綱の諮問を申し上げ、答申をいただき、あわせて、昨年10月に策定をした基本方針についての更なる充実強化につきましても、障害者雇用分科会で御議論いただいたところでございます。これらに基づきまして、障害者雇用促進法の改正法案につきましては、3月19日に閣議決定をし、現在国会で御審議をいただいている状況でございます。
 次に労働施策基本方針でございます。働き方改革関連法の成立によりまして、雇用対策法が労働施策総合推進法に改まりまして、この法律のもとで労働施策基本方針を政府として定めるということになりました。9月に労働施策基本方針部会を新たに設置いたしまして、ここで御議論をいただき、答申をいただいて、12月28日に閣議決定をしているところでございます。
 働き方改革の関連では、同一労働同一賃金につきまして、特に派遣労働者の不合理な待遇差を是正するという観点から同一労働同一賃金部会で御議論いただき、これを踏まえて、職業安定分科会におきましても御議論をいただいたところでございます。
 次のページで「雇用保険制度等に関する検討」でございます。
 教育訓練給付の見直し等を内容とする省令案につきまして諮問をし、答申をいただいております。また、毎月勤労統計の不適切な取り扱いに伴う雇用保険などの追加給付につきましては、今年の1月に雇用保険部会及び職業安定分科会に状況報告を申し上げた上で、この対応に必要な告示の改正などにつきまして諮問を申し上げ、答申をいただき、3月18日以降に追加給付を開始しているところでございます。
 同じく雇用調整助成金等の追加給付につきましても、雇用対策基本問題部会と職業安定分科会に状況を御報告し、必要な告示の改正等につきまして答申をいただいて、これも既に施行しているところでございます。
 高齢者雇用対策でございます。高齢者の関係につきましては、特に70歳までの就業機会の確保について、現在政府の未来投資会議で御議論を進めていただいております。今後、これを踏まえた御審議をこちらの審議会でもいただくことになりますが、そのことを踏まえまして、高年齢者職業対策基本方針につきまして、その対象期間を1年間延長するということについて御議論いただき、答申をいただいて、1年の延長をしているところでございます。
 外国人雇用対策でございます。こちらも昨年秋の臨時国会におきまして、入管法の改正があり、外国人との共生に関する総合的対応策を政府として取りまとめたということを踏まえまして、外国人の雇用管理指針につきまして、見直しの御議論をいただきました。こちらも答申をいただき、4月1日から施行をしているところでございます。このほかに年度目標に関する評価の御議論や各種助成金の見直しについても、関係の分科会で御議論をいただいたところでございます。
 安定局関係は以上でございます。
○小林雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局でございますが、ずっと飛びまして、81ページまでスクロールしていただけますでしょうか。
 81ページ、82ページが雇用環境・均等局所管の分科会の開催状況でございます。
 まず、81ページ、雇用環境・均等分科会の関係で3点ございます。
 1つ目の○ですが、女性活躍推進法の施行後3年の見直しとハラスメント防止対策の強化ということでございまして、計9回の御審議をいただきまして、昨年12月14日に分科会の報告を取りまとめていただきまして、同日大臣に建議が行われております。
 それを踏まえまして、法律案要綱の形で年明けの2月14日にお諮りをいたしまして、おおむね妥当との答申をいただいております。法案の関係でございますが、3月8日に通常国会へ法案を提出しておりまして、現在参議院のほうで御審議をいただいておるところでございます。速やかな成立に向けて引き続き努力してまいります。
 2つ目でございますが、これは働き方改革関連法の関係でございますが、労働時間設定改善法に勤務間インターバル制度の努力義務が設けられたこと等を踏まえての改正でございまして、労働時間設定改善指針に必要な事項を盛り込むということで、昨年9月26日に答申をいただいております。
 3つ目でございますが、両立支援等助成金とキャリアアップ助成金でございます。今年度予算に盛り込まれております内容を反映させるということで、所要の省令改正を行ったものでございます。3月27日に答申をいただいております。
 82ページでございますが、同一労働同一賃金部会の関係でございます。
 働き方改革関連法の施行に向けまして、同一労働同一賃金の関係の省令・指針の改正、そして、ガイドラインの策定を行っております。法律の施行自体は来年4月ということでございます。今年度につきましては、この改正内容の周知に万全を期してまいります。
 家内労働部会でございます。今年度からの第13次の最低工賃新設・改正計画について御審議をいただきました。3月27日に開催をされております。
 最後でございますが、勤労者生活分科会の中小企業退職金共済部会でございます。これは3月に開催をされておりますが、特定業種退職金共済制度、特退共におきまして、電磁的方法による掛金納付を可能とするという制度改正などを御議論いただきまして、御答申をいただいております。この内容につきましては、現在政府全体として、デジタル手続法案が提出されておりますが、この内容に盛り込まれておるものでございます。
 以上でございます。
○吉本人材開発統括官 続きまして、人材開発分科会の関係でございます。
 スクロールをしていただきまして、103ページまで飛んでいただけますでしょうか。
 まず、1点目でございますが、教育訓練給付の対象となる教育訓練の指定基準に関する告示案についてでございます。
 教育訓練給付につきましては、一般教育訓練給付、専門実践教育訓練の給付というものがあったわけでございますが、昨年6月に「人づくり革命 基本構想」などにおきまして、一般教育訓練給付については対象を拡充するとともに、キャリアアップ効果の高い講座を対象に給付率を2割から4割へ倍増ということにされまして、これを受けまして、安定分科会の雇用保険部会とあわせまして、人材分科会のほうで検討を行っていただいたところでございます。
 ことしの1月に諮問いたしまして、具体的に申し上げますと、その講座の指定基準でございますが、業務独占あるいは名称独占の資格など公的資格の養成課程でありますとか、あるいは一定レベル以上のIT資格取得目標講座でありますとか、あるいは文科省が新たに創設をいたします短時間の認定プログラムなどを内容とする告示案を示させていただきまして、同日におおむね妥当という答申をいただいているところでございます。施行はことしの10月でございます。
 2点目でございますが、能開法の施行規則の改正案でございます。2件ございますが、1点目につきましては、能開法上、公共職業訓練施設におきます訓練は支障のない範囲、雇用保険被保険者あるいは被保険者であった者以外の個人事業主、家内労働者、外国人留学生等に対して、実施してよい旨の規定があるところでございますが、その実施に関する手続が整備されていなかったということで、それを整備するための省令でございます。1月24日に答申をいただいているところでございます。
 2点目でございます。これは定例的にやっているものでございますが、職業訓練の基準のアップデートをさせていただく省令案について、3月25日に諮問、答申をいただいているところでございます。
 次のページをごらんいただきますと、雇用保険法施行規則の改正案でございますが、これは今年度予算に盛り込んだ助成金の見直しについての所要の整備でございます。特定求職者雇用開発助成金のうち長期不安定雇用者雇用開発コースとしておりましたものをより仮名でわかりやすく利用しやすいような名前、あるいは要件に変更したといった中身でございます。3月25日に諮問し、3月27日に答申をいただいております。
 2018年度の年度目標に関する評価については別紙4のとおりでございます。
 最後に、技能実習制度におきます監理団体の許可についての御審議を監理団体審査部会でしていただいているところでございますが、随時部会を開催いたしまして、昨年度末時点で2,505団体の監理団体を許可する旨の答申をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当) 最後が政策統括官でございます。
 資料4の最後のページが127ページになっていると思いますが、最後のページをお願いいたします。
 労働政策基本部会でございますけれども、労働政策基本部会の報告書につきましては、昨年9月5日の労働政策審議会で了承いただきました。その報告書で整理をされました課題のうち「技術革新の動向と雇用・労働への影響」につきましては、今後多面的な角度から速やかに業種、職種ごとに具体的に実態把握をし、継続的に検証することが必要などとされましたことから、昨年12月から「技術革新の動向と労働への影響等について」をテーマに議論を再開いただいております。なお、部会の開催状況は以下に記載のとおりでございます。
 労働政策基本部会については以上でございまして、資料4と資料5につきましても事務局からの説明は以上でございますけれども、厚生労働省におきましては、労働政策審議会におけます各分科会、部会の審議を十分踏まえまして、労働行政を推進してまいります。
 続きまして、資料6「経済財政諮問会議及び未来投資会議の動向について」につきまして、村山労働政策担当参事官から御説明を申し上げます。
○村山労働政策担当参事官 それでは、資料6をタップいただきたいと思います。「経済財政諮問会議及び未来投資会議の動向について」でございます。
 御説明させていただくのは3点で、4月10日の経済財政諮問会議、5月14日の経済財政諮問会議、5月15日の未来投資会議のうち、本審議会に関係する部分について御説明を差し上げます。
 まず4月10日の関係でございますけれども、いわゆる民間議員ペーパーが通しページの3ページからございますので、そちらをお開きいただきたいと思います。
 経緯でございますが、この諮問会議の前の回、3月27日の諮問会議におきまして、Society5.0時代にふさわしい仕組みづくりとして、人的資本の関係の議論が行われた。その中で総理から就職氷河期世代への対応が極めて重要、関係府省は本格的支援に向けて早急に検討を進めていただきたい旨の指示があったという経緯があり、この民間議員ペーパーが出されました。
 そのポイントは、3~4ページに●が5点ございますけれども、1点目といたしまして、ハローワーク、大学・職業訓練機関、経済団体等が連携するプラットフォームの形成、その上で、地域ごとの事業実施計画等を立てて、不安定就業者を着実に減少させていくべき。
 2点目といたしまして、専門ハローワーク部署に専門家を置き、人生再設計、就職等へのアドバイス(リカレント教育の情報提供を含む)等の伴走型支援を行っていくべき。そして、出口一体型のリカレント教育を強化すべき。
 3点目といたしまして、民間事業者の協力を得て、成果報酬型の業務委託等により、取り組みの加速化を図ると同時に、新しい能力開発プログラムの充実を進める。
 次のページに進んで、4点目といたしまして、積極的な取り組みを行う企業を支援するため、インターンシップの推進、また、特定求職者雇用開発助成金など各種助成金の要件緩和等を進めていくべき。
 最後に、地方への人材移動の促進策と連携を図っていくべきという御提言がありました。
 これを受け、その日の会議で根本大臣からプレゼンした資料が通しページの7ページ目以降です。
 通しページの8ページのSociety5.0時代の人的資本投資という資料は先ほど申しましたように、その前の回の会議で提起された課題を受け、個人の能力開発、労働市場の基盤整備、企業の働き方改革を通じ、個人のステップアップを後押ししつつ、人口減少の中で、労働市場全体の人材の最適活用を進めていく具体的方針について御説明した資料ということです。
 就職氷河期世代関係は、9ページ、10ページです。まず9ページですけれども、ここで「これまでの取組」と「課題」として、現状と課題について説明をした資料ということでございます。
 1のとおり、フリーター等の数は平成18年以降の各種の再チャレンジ施策等によって36万人減少して、直近の35歳~44歳層で52万人ということですが、依然こうした方々が多くいらっしゃるということ。また、無業者数に関しては、おおむね横ばいという状況です。
 その上で、2のとおり「課題」として、取り残された方々が一定数存在していらっしゃる中で、職業能力開発機会が少なく、また、職務経歴、キャリアが積めていないということ。そして、人事慣行、採用慣行によって安定した職業に転職する機会が制約されやすいこと。また、収入が低く将来にわたる生活基盤やセーフティーネットが脆弱であること等が課題として考えられる旨を説明した上で、通しページ10ページのとおり、当面の考えられる対応方針として、3つの柱について説明したということでございます。
 1つ目の柱が「就職支援の充実・職業的自立の促進」です。全体として総合的なプランを立てて、計画的に取り組んでいくことが必要と申し上げた上で、無業者に対する生活困窮者自立支援等の自治体の取組とのワンストップ型支援を一層強化していく必要があるということ。
 ②のところで、不安定就労者に対するハローワークの担当者によるチーム支援、あるいは短期間で取得できる知識・技能・資格の習得を支援する訓練など、各種の支援を強化していく必要があるということ。
 ③のところで、経済界とも密接に連携し、求職者の正社員就職の実現につなげていきたいということを申し上げました。
 2つ目の柱「生活支援等の充実・強化」のところで、制度・予算両面からの取り組みの強化ということに関しまして、地域共生の観点も含めまして、4つのポツにございますような内容を申し上げたということでございます。具体的には、生活困窮者自立支援法にございます就職準備支援事業をできるだけ多くの自治体で実施していくということ。また、ひきこもり支援を強化していくということ。そして、介護、障害、子供、生活困窮等の相談窓口が分立しないよう一体化あるいは連携を強化して「断らない相談」を進めたり、また、訪問見守り、アウトリーチ等の「伴走型支援」を充実していくということ。そして、民生委員等の「多様な地域活動の普及促進」を図っていくことを申し上げました。
 3つ目の柱、医療、年金等のセーフティーネットの強化の観点から次期年金制度改正に向けて、年金制度機能強化法以来の流れとして、短時間労働者等へのさらなる適用拡大を検討していきたい旨を申し上げたということでございます。
 その上で議論があり、最後に総理から取りまとめの発言がございました。その中で「全世代型社会保障担当大臣のもとで、厚生労働大臣を初め、総務大臣、経済産業大臣、その他関係閣僚の協力も得て、就職氷河期世代の方々の活躍の場をさらに広げるための3年間の集中プログラムをこの夏までに諮問会議で取りまとめていただきたい」といった話がございました。この夏までにという趣旨は、その後の記者ブリーフィングで骨太の方針に明確に位置づけることであるという旨の説明がなされているところでございます。
 以上が、1つ目の会議体についての説明です。
 続きまして、通しページで39ページまでお進みいただきたいと思います。
 こちらが5月14日の経済財政諮問会議の資料の関係部分です。この回では、金融・物価集中審議が行われたましたが、その中で民間議員から出されているペーパーが41ページです。「金融・物価集中審議に向けて~内需の下支えに向けて~」ということで、民間議員お四方のうちお三方のお名前で出されたペーパーということです。
 「1.賃金・可処分所得の拡大等による経済の好循環の持続・拡大」として、最初にございますように、今後を展望した上で、内需のしっかりとした下支えが不可欠であり、ここ数年続いている賃上げの流れを継続して、可処分所得を増大させていくことが重要であるという認識のもとに、2つ目の●にございますように、賃金とりわけ最低賃金の引き上げについての提起がありました。そのページの4つ目の●にございますように、「この3年の最低賃金は年率3%程度を目途として引き上げられてきた。景気や物価動向を見つつ、最低賃金については、政府の取組とあいまって、より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指すべき」という提起がありました。
 続きまして、通しページで42ページ目です。「生産性向上への取組」として2つの柱、「(1)中小企業等に対する支援策」「(2)就業者及び非就業者に対する教育訓練・能力開発支援策」についての提起がございました。例えば中小企業等に対する支援策では、(1)の2つ目の●にございます助成金の関係や、3つ目の●にございます雇用保険の保険料の軽減措置に関する民間議員からの提起があったということでございます。
 この回に関しては、厚生労働大臣から特段のペーパーを提出したり、プレゼンを行っておりませんが、議論の流れの中で人材確保支援や能力開発にはしっかり取り組んでいくということ、影響率が大きい業種への支援策をきちんと考えていくことが必要であるということ、その際、特に下請の方々が価格転嫁をできる状況をつくっていくことが大切であるといったことについて、コメントとして大臣から申し上げております。
 また、議論の途中で総理からは、中小企業、小規模事業者の雇用維持努力を多とした上で、一方では、こうした最低賃金をマクロ経済政策として活用する考え方も示されている中で、よく議論を進めてほしいというお話があり、最終的に、総理の取りまとめの中では、最低賃金については、厚生労働大臣から適切なタイミングで諮問会議に報告をいただきたい旨の話がございました。
 以上が、2つ目の会議体についての報告です。
 続きまして、通しページで45ページまでお進みをいただきたいと思います。
 こちらが、5月15日に開催された未来投資会議のうち高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用等についての内容でございます。幾つかの資料を抜粋する形で配付をさせていただいております。
 まず、事務局である内閣官房の日本経済再生総合事務局から出された資料1、47ページ、48ページでございます。こちらが高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用の促進に関する事務局からの提起ペーパーでございます。
 初めに人生100年時代を迎えた認識を書いた上で、3つ目の○にございますように、70歳までの就業機会の確保を図りつつ、65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍のため、とり得る選択肢を広げる必要がある。
 4つ目の○にございますように、そのためには多様な選択肢を法制度上許容し、当該企業として、そのうちどのような選択肢を用意するか労使で話し合う仕組み、また、個人にどの選択肢を適用するか、企業がその個人と相談し、選択できるような仕組みを検討する必要があるという基本的認識のもとに、法制度上許容する選択肢のイメージといたしまして、下から2つ目の○のとおり「①定年廃止」から「⑦個人の社会貢献活動参加への資金提供」まで7つの選択肢のイメージが掲げられ、その中から当該企業で採用するものを労使で話し合う旨の考え方が示されております。
 次のページですけれども、こうした就業機会の確保を円滑に進めるためには、法制についても2段階に分けて、まず第1段階として努力義務の法制の整備を図ることが適切であるとした上で、その法制につきまして、先ほど7つの選択肢を明示した上で、70歳までの雇用確保の努力規定を導入するべきであるということ。
 ②でございますけれども、必要があると認める場合は、厚生労働大臣が事業主に対して、個社労使で計画を策定するよう求め、また、その履行確保を求めるような規定を設けることが必要であるということなどが書かれているところです。
 その上で、第2段階についての記述がなされております。
 また、下から3つ目の○のとおり、現在の段階的な高年齢者雇用確保措置の中での希望者全員に対する措置の取り組みに関しましては、改正を検討しないこととしてはどうかと書いた上で、一番下のところにあるとおり、手続としては、今年の夏の工程表つきの実行計画、成長戦略の中に上記方針を盛り込むということと、さらに労働政策審議会における審議を経て、2020年の通常国会において、第1段階の法案提出を目指す旨が書かれております。
 
 続きまして、通しページの50ページからが今年の夏の成長戦略の取りまとめの方向性についての文書でありまして、先ほど御説明した「高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用促進」も、一つの大きな柱として位置づけられているところです。
 こうした提起を受け、通しページで55ページが、「人生100年時代を見据えた多様な就労・社会参加の実現に向けて」という厚生労働大臣からのプレゼンペーパーです。
 進んで、56ページの「70歳までの就業機会の確保」ですけれども、2つの柱立てです。Ⅰつ目の柱は、先ほどの内閣官房の提起ペーパーと基本的に同様の70歳までの就業機会を確保する制度に関しまして、労働者目線で書き直した資料を提出しております。
 Ⅱの柱は「高齢者の活躍を促進する環境整備」といたしまして、「企業への支援」「労働市場の整備」「労働者本人への支援」「地域の取組への支援」といった4つの内容について説明をしたということでございます。
 通しページで57ページです。「多様な働き方に向けて~中途採用の拡大、副業・兼業の促進」といたしまして、人生100年時代に向けて、こうした環境整備が必要であるという基本認識のもとに、「中途採用の拡大」では、最初の◆にございますように「再チャレンジの機会を拡大するため、個々の大企業に対し、中途採用比率の情報公開を求める」等の提起、また、2つ目の柱の「副業・兼業の促進」に関しましては、2つ目の◆にございますように、複数の事業主のもとで働く場合の労働時間管理について、長時間労働を防ぎ、労働者の健康を確保することに十分留意しつつ、副業・兼業の促進に資するよう、健康確保の充実と労働時間管理のあり方について検討する等の事項が示されているところでございます。
 58ページの就職氷河期世代の関係の資料は、先ほど御説明を差し上げた諮問会議でのプレゼン資料を、改めて、未来投資会議に参画される委員の方々に御説明を差し上げた資料ということです。
 そして、最後の59ページが「『人生100年時代』への公的・私的年金制度の対応」ということで、この中に先ほど申しました就職氷河期世代対策という意味も含めました「多様な就労を年金制度に取り込む被用者保険の適用拡大」につきましても、より包括的な形で提起をしたということでございます。
 こうした議論の上で、この会議では、最後に総理の指示といたしまして、70歳までの雇用確保の努力を促す法案について、労働政策審議会における審議を経て、来年の通常国会に提出できるよう準備を進めてまいりますという旨が、労使を初めとする関係の参加者の前で表明されました。
 以上、資料6の説明です。よろしくお願いいたします。
○鎌田会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言をお願いいたしたいと思います。
 少し時間が押しておるようですので、一問一答形式ではなく、複数の方から御質問をいただいて、後に事務局からまとめて御回答いただくという方式でやりたいと思います。もし関連する場合には、関連するとお声をかけていただければまとめて回答をもらいたいと思います。それではどうぞ、自由に。
 安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 ありがとうございます。JAMの安河内でございます。
 私からは、いわゆる働き方改革について、2点御指摘をさせていただきたいと思います。
 1点目は、働き方改革関連法のうちの改正労基法部分が4月から施行されていますが、連合の労働相談には年次有給休暇の5日取得義務化に関する相談が寄せられております。内容としては、例えば夏季休暇あるいは年末年始の休暇において、既存の所定休日をなくしてその日を出勤日とし、その日に年次有給休暇を一斉取得させるという形で強制的に休ませるという相談が実際に寄せられています。こうした運用につきましては、働き方改革の趣旨に反するものであり、厚生労働省としてもしっかりと指導を行うべきではないかと思います。同時に、脱法的な運用を指南するような社会保険労務士の方が一部におられまして、こうした社会保険労務士の方についても、しっかりと指導、監督を徹底していただきたいと思います。
 もう一点は、同一労働同一賃金の関連でございます。法規定につきましては来年4月施行であり、労使では継続協議課題ということで、まさに今さまざまな議論を進めているところであります。ただ、先日連合で同一労働同一賃金に関する学習会を開催いたしましたが、参加者の方からは、とりわけ派遣に関する同一労働同一賃金の法規定の内容が非常に複雑でわかりにくいという声が多数上がっていました。
 この問題については、労使がしっかりと法改正の内容あるいはその趣旨を理解することが、法の実効性を担保するに当たって非常に重要な鍵になると考えます。また、賃金、手当など処遇全般の見直しについては、労使で時間をかけた議論が必要です。連合といたしましても、法内容の周知啓発に努めて参りますけれども、厚労省といたしましても、派遣で働く方々の処遇が確実に改善されるように周知、支援体制の強化をしていただきたいと思います。
 以上です。
○鎌田会長 ほかにございますか。
 中西委員、どうぞ。
○中西委員 ありがとうございます。中西でございます。
 私からは、2点意見を申し上げたいと思います。
 まず、1点目でございますが、働き方改革関連法の周知についてです。
 日本商工会議所、東京商工会議所が1月に公表した調査では、認知度は従業員規模が小さくなるにつれて低下し、半数以上の企業が対応の目途がついていないなど、中小企業における認知度と対応状況に課題がございました。
 こうした状況を受けまして、日商、東商は去る4月22日に厚生労働省と働き方改革の推進に向けた連携協定を締結いたしました。この協定にのっとり、日商、東商はセミナーの開催やパンフレットの作成、全国会議での周知など働き方改革の機運を全国515商工会議所、125万会員に広げてまいります。厚生労働省におかれましても、関係機関と幅広く連携し、引き続き中小企業への支援に力を入れていただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 2点目でございます。女性の職業生活における推進に関する法律等改正案と職場のハラスメント防止対策等についてでございます。
 女性活躍推進法等の一部改正案が国会で審議されておりますが、今回の法案では、女性活躍推進法の行動計画策定義務、情報広報義務の対象企業が拡大され、中小企業も対象となります。
 また、職場のパワーハラスメントにつきましては、企業に対する防止措置の義務化が含まれておりますが、全国多数の企業からハラスメントかどうかの判断、具体的には、業務上の指導等の線引きでございます。適正な処罰、対処の目安に関する判断に困っているとの生の声が商工会議所に寄せられてきております。法が成立いたしました際には、以上申し上げました点に留意され、周知や中小企業の支援に取り組んでいただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、日本商工会議所、東京商工会議所といたしましては、働き方改革と同様に厚生労働省と緊密に連携し、説明会、セミナー開催に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○鎌田会長 中野委員、どうぞ。
○中野委員 ありがとうございます。
 今ほどありましたが、経団連としても、女性活躍推進法やハラスメントの防止対策については、誰もがその能力を十分に発揮して、活躍できる就労環境の整備という意味で非常に重要だという認識をしております。
 もちろん法成立後の話ですが、省令と指針の議論が労働政策審議会で行われます。女性の活躍推進につきましては業種、業態にかかわらず、各社とも積極的に取り組んでいますけれども、例えば女性管理職比率などは業種により、従業員における女性の占める割合が改善途上にありまして、結果、大きな差があることも事実です。省令事項となります特例認定制度、プラチナえるぼしの基準策定におきましては、どの業種であっても、プラチナえるぼしの認定取得を目指す意欲を持つことができるよう御検討いただきたいと思います。
 また、パワーハラスメント防止対策の法制化につきましては、先ほどのとおり定義ですとか事業主が講ずべき措置の具体的内容など、多くのことがこれから指針で示されていくことと思いますけれども、各社において実効性ある取り組みが行われますよう定義の内容はわかりやすく、パワーハラスメントに該当する例、しない例などはパンフレット等を活用しながらより多く示していただき、各都道府県労働局におけます相談窓口におきましても、その対応レベルを上位平準化していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 私からは以上でございます。
○鎌田会長 もう一方、山中委員、どうぞ。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
 同じくハラスメント対策について、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 現在日本におきまして、就職活動中の学生やフリーランス、教育実習生を対象としたものなど、さまざまな場面でハラスメントが発生している現状にあります。現在参議院で審議中の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」のハラスメント防止対策については、被害者の範囲は職場の労働者のみとされており、現実に発生している事案に対応するものとはなっていません。
 現在審議中の法案成立後は、雇用環境・均等分科会で指針等の議論が行われることになりますが、あらゆるハラスメントの根絶に向けて、総合的かつ具体的な対策を講じるべきと考えます。また、ハラスメント行為そのものを禁止するさらなる法整備も含めまして、衆議院厚生労働委員会の附帯決議の内容も踏まえ、早期に検討を開始し、法律で足りない部分も含めて議論を行うべきだと考えております。
 以上です。
○鎌田会長 一応、これで事務局から回答いただきたいのは、ハラスメントに関して、ほかに関連で御意見がありましたらいただきたいのですが、よろしいですか。
 それでは、坂口局長、どうぞ。
○坂口労働基準局長 労働基準局長でございます。ありがとうございます。
 働き方改革関連法の関係について、幾つか御指摘、御質問をいただきました。働き方改革関連法につきましては、4月から施行しておりまして、労使の皆様、関係団体に御協力をいただきながら周知に取り組んできたところでございまして、改めて感謝を申し上げます。
 先ほど、中小企業さんに向けての周知、あるいは今後の取り組みということについての御意見、御要望も御頂戴しました。御紹介いただいたとおり日商、東商さんとは私どもとの関係で連携協定というものも締結させていただきまして、今後とも一層連携、協力をいただきながら推進に取り組んでまいりたいと思います。とりわけこういった取組を進めるに当たりましては、全国に設置しております働き方改革推進支援センターの活用ということが肝要かと思いますので、そういったところで私どもとしましても、助成金に関する活用の助言などきめ細かな支援ということを積極的に行ってまいりたいと思いますので、引き続き御要望もございましたように、私どもとしましても、各地の関係機関、団体との連携を図りながらしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。
 関連しまして、年次有給休暇の関係について御質問、御要望を御頂戴しました。御指摘のような運用につきましては、私どもとしましても、実質的に年次有給休暇の取得促進につながっていない、そして、法改正の趣旨に照らしても望ましくないものと考えておりまして、パンフレットあるいはリーフレットというものを用いまして、法改正の趣旨にそぐわないものであるということを御説明して、年休の取得促進について引き続き指導を行ってまいりたいと思っております。
 また、社会保険労務士の関係についても御指摘がございました。一般論といたしましても、社会保険労務士が制度上望ましくない対応を指南するということは不適切でございますし、法の趣旨を不正確に伝えること、あるいは公正さを欠く不適切な指導等を行うことのないようにということにつきましては、全国社会保険労務士連合会を通じて、再発防止に向けた取組を図るように指導しておるところでございまして、御指摘のような事例につきましても、連合会と連携をして、対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○鎌田会長 土屋職業安定局長、どうぞ。
○土屋職業安定局長 職業安定局長でございます。
 私からお答え申し上げます点は、派遣労働者の同一労働同一賃金の関係でございます。安河内委員から御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 派遣労働者の同一労働同一賃金につきましては、御指摘のとおり派遣という形態であるがゆえに労使協定方式を初めとして、その内容が複雑になっているという面がございます。ただ、やはり御指摘があったとおり、そこのところを労使の皆さん方に十分御理解をいただいた上で、十分な御議論をいただいて、対応改善に向けた取り組みを進めていただくということが大変重要だと思っております。このために、これまでもさまざまな周知のためのツールなどを用意してございますが、特に派遣業に関しては改正法に対応するためのマニュアル、不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアルという派遣業向けのものを作って普及に努めますとともに、リーフレットにつきましても、派遣元、派遣先、派遣労働者向けのそれぞれのリーフレットを作成するという工夫をさせていただいておるところでございます。
 あわせて、今後の取り組みとして、さらに周知、支援を強化していくために都道府県労働局の担当部局に特別相談窓口を設置するといったことも検討していきたいと考えておりますので、引き続き御意見を賜りながら進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○鎌田会長 小林さん、どうぞ。
○小林雇用環境・均等局長 まず、中西委員から女性活躍とハラスメント防止対策につきまして、中小企業が円滑に施行できるように周知と支援策に万全を期すようにというお話がございました。御指摘のとおりでございまして、行動計画につきましては、中小企業が計画策定の際の負担にならないように計画策定の支援ツールを開発したいと思っています。また、計画に基づく取り組みに対しては、助成措置を講じていきたいと思っております。
 また、パワハラ防止対策でございますが、事業主の方にわかりやすい指針にしていくということは大変重要な御指摘でございますし、ハラスメント防止対策のためのセミナーですとか、コンサルティングなどの支援措置も適切に行っていきたいと思っております。いずれにいたしましても、施行に当たっては中小団体とよく連携してまいりたいと考えておるところでございまして、よろしくお願いいたします。
 中野委員からプラチナえるぼしの認定基準やパワハラ指針の内容等について御指摘がございました。どの業種も認定を目指せるものにしていくことは非常に重要な御指摘でございます。また、パワハラ指針につきましても、定義あるいは例示などについてわかりやすいものにしていく。これも御指摘のとおりでございます。これらにつきましては、法律成立後に雇用環境・均等分科会でまさに御議論をいただく内容でございますので、御指摘のような内容も含めて、しっかり御議論をいただきたいと思っております。
 山中委員から、あらゆるハラスメントの根絶に向けての総合的かつ具体的な対策を講じるべきという御指摘がございました。この点はまさに国会で法律案について御審議をいただいておるところでございまして、法律で足りない部分についての御指摘もいただいておるところであります。法律で足りない部分も含めて、セクハラ指針、パワハラ指針に何を盛り込んでいくかということにつきましては、法律の成立後にまさに審議会で御議論をいただく内容でございますので、御指摘の点も含め、しっかり御議論をいただきたいと考えております。
 以上です。
○鎌田会長 それでは、難波委員。
○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。
 働き方改革とサプライチェーンの面から3点申し上げたいと思います。
 1点目は、資料3の2ページ冒頭の「働き方改革の推進と誰もが活躍できる労働環境の整備」の最初の部分に、中小企業・小規模事業者に対する支援が取り上げられています。加えて、予算部分におきましても、前年度対比で273億円増と拡充されており、これらについては、連合としましても、中小企業等で働く労働者の処遇の向上が春季生活闘争の中心に据える重要かつ喫緊の課題でもあり、評価したいと思います。
2点目としては、中小企業で働く労働者の処遇向上の前提となるのが中小企業の財務改善や長時間労働の是正でありますが、やはり親会社と子会社、あるいは元請と下請等々の関係が強いことから中小企業単体での努力だけでは難しい問題であるということです。そのため、サプライチェーン全体で取引の適正化等に取り組む中で解決を目指す必要があると思います。今回、働き方改革関連法によって改正された労働時間等設定改善法を受けて、厚労省と中小企業庁が1,066もの業界団体に対して、関係省庁連名で大企業に向けて、時間外労働上限規制適用によって懸念される短納期の発注等に対して配慮を要請されたことは時宜を得ており、評価をしたいと思います。今後もぜひ関係省庁と横断的に調整を行っていただき、連携した取り組みの継続を要請するものであります。
 3点目としては、取引関係で民間同士はもちろんでありますが、当然のこととして、官庁や地方自治体が発注元となる公契約もあるということです。中央省庁の公契約につきましても、受注量あるいは繁忙期対応、納期、費用負担などについて、適正な配慮が払われるよう全ての省庁に対して働きかけを行っていただきたいと思います。
 以上です。
○鎌田会長 中川委員、お願いいたします。
○中川委員 ありがとうございます。中川です。
 私からは「多様な人材の活躍促進」の中の(若者・就職氷河期世代に対する就労支援)についてお話をさせていただきたいと思います。
 就職氷河期世代への支援強化につきましては、労働側委員としましては、これまで分科会、部会で繰り返し求めてまいりました。今回資料6でも御説明をいただきましたけれども、政府として支援強化に具体的に取り組むことが示されたことは大変な前進であると受けとめております。
 一方で、就職氷河期世代の一部は40代後半になっており、支援はまさに待ったなしの状況です。30代後半から50代にかけての層は、国や自治体、NPOが若年者支援とする対象から外れてしまうということも考えますと、これを機にあらゆる世代でのきめ細かい支援を進めていただきたいと思っております。
 また、就職氷河期世代の支援対象者の置かれている状況はさまざまです。健康上の問題、ひきこもり、家族の介護など雇用支援だけではなく、メンタルヘルスの対策などの福祉支援、生活支援が必要な場合もございます。2019年3月に公表されました内閣府の「生活状況に関する調査」では、40代から64歳の中高年齢の方々のひきこもりの推計数が約61万人とされております。実際にひきこもっていた人の約4割、38.3%は40代です。今回就労支援と福祉支援のワンストップによる提供が盛り込まれていますけれども、ぜひとも今後各種支援の連携強化を進めていただきたいと思っております。
 私が働きます宮崎でも、ひきこもりの方の支援については、労働局、県、経営団体、労働組合がいろいろな取り組みを進めているところです。ひきこもりの方は早期の治療が必要ということで支援しているわけですが、全国平均でひきこもりの方が17.3カ月で復職ができる一方、宮崎の場合はその2倍の30.3カ月の時間を要しているということになっております。地域若者サポートステーションの方々のお話を聞きますと、1年間で300人の方から相談があり、1年かけて丁寧に社会復帰をしたのだけれども、1年後には320人の方々がまた入ってこられるということで、今、地域でも大変な状況になっているところです。地域サポートステーションで働かれる方々の業務のスキルアップや、休みもとりやすい環境をぜひともあわせて取り組んでいただきたいと思っております。
 以上です。
○鎌田会長 矢口委員、どうぞ。
○矢口委員 委員の矢口でございます。
 私から、中小企業の立場から2点申し上げたいと思います。
 まず、最初に外国人材についてでありますけれども、日商、東商が実施した調査では、人手不足を訴える企業が4年連続で上昇しておりまして、65%の中小企業が人手不足だということで、全国の中小企業にとって最大の経営課題になっております。そうした中で人手不足の解消を主な目的に4月から特定技能が創設され、多くの中小企業が外国人材に対しては高い期待と関心を寄せております。
 一方特定技能を含めた外国人材の雇用につきましては受け入れを検討しているものの、どこに相談していいのかがよくわからない、あるいはどのように準備すべきかがわからないといった、中小企業の経営者の方の声が各商工会議所に寄せられております。
 厚生労働省におかれましては、ぜひ法務省等と連携しまして、制度の幅広い周知はもちろんのこと、相談窓口の創設や企業と外国人材とのマッチング、さらには外国人雇用管理指針の周知など、全国の中小企業に向けたきめの細かい支援にぜひ取り組んでいただきたいと期待しております。
 2点目は、就職氷河期世代への支援策についてであります。その必要性につきましては、先ほど来からるる御説明をいただきまして、厚労省あるいは関係委員におかれましても十分認識していると理解しております。今申し上げましたけれども、その中で慢性的な人手不足に悩む中小企業が有力な受け皿の一つ、あるいは解決の一助になるのではないかと考えております。その観点から厚生労働省におかれましては、なかなか仕事におけるスキルや資格を得る機会に恵まれなかった就職氷河期世代を対象としたハローワークによる相談窓口機能の強化に加えまして、資格取得につながる職業能力訓練、開発業務の展開、ビジネススキル講座の開催、さらにはトライアル雇用助成金の支給対象期間の延長など、具体的な施策を検討していただけるように期待しております。
 私からは以上です。
○鎌田会長 椋田委員、どうぞ。
○椋田委員 私から資料6の関連で、3点お話をさせていただきたいと思います。
 第1は、通しページの47~48ページにございます高齢者雇用の促進です。
 意欲と能力のある高齢者につきましては、65歳を超えても活躍の場を提供したいと考える企業が今ふえています。他方高齢者といいますのは、意欲、能力、健康面で個人差が結構ありまして、働き方に対するニーズも多様となっています。そこで、できる限り各企業は労使の自主的な取り組みを尊重して、継続雇用制度におけます対象者基準の設定を初め、可能な限り柔軟で多様な選択肢を認めていただければと思っております。
 また、48ページの2つ目の②にございますように、努力義務段階において履行確保を求める厚生労働大臣による行政措置につきましては、企業実務上で特に懸念されるところでございます。行政措置発動の判断基準が必要と認める場合にはと書いてあるのですけれども、措置発動の判断基準が曖昧な状態では、取り組みの自由度が結果的に妨げられて、事実上の義務化となってしまうというおそれがあります。発動については極力限定的にすべきと考えております。
 2点目は、通しページの57ページにございます、中途採用の拡大についてでございます。根本大臣の御提案では、中途採用の拡大に向けて中途採用比率の情報開示を求めるとしてございます。ただ、この数字自身は例えば大企業におきましても、新しい事業を始めた年は高まったり、あるいは安定的な事業運営の年は低くなりますし、離職率の高い企業は高目に出てしまう一方、定着率の高い企業であれば低くなるということです。
 このように比率一つとっても読み方が非常に多様でありまして、一律横並びで示すことにどこまで意味があるのかを疑問に感じております。企業の実情を踏まえた慎重な議論が必要と考えております。そもそも何のための開示なのか。あるいはもし中途採用比率が高い企業をよい企業とお考えのようであれば、その理由をお示しいただければと思っております。
 最後に通しページの41ページの最低賃金について申し上げたいと思います。先ほど御説明がございましたように、より早期に全国加重が1,000円になることを目指すべきとあるわけですが、そもそも地域別最賃は、最低賃金法第9条が定めます決定の原則に基づいて決定されるべきと考えておりまして、その引き上げに当たりましては、企業の生産性向上が前提となります。
 ただ、地方の経営者からは、近年の生産性向上を大きく上回る3%の引き上げが人件費を増大させて、もはや限界との声も多く聞くところでございます。こうした最低賃金引き上げの影響を直接受けています地方あるいは中小企業の意見に真摯に耳を傾けるとともに、近年の引き上げが日本経済に及ぼした影響あるいは効果をまず検証する必要があると思っています。政府におかれましては、PDCAをしっかり回しながら実効性のある生産性向上策を着実に実施していただければと思っているところでございます。
 私からは以上です。
○鎌田会長 ありがとうございます。
 野田委員、関連でどうぞ。
○野田委員 ありがとうございます。
 高齢者雇用について、椋田委員からご発言がございましたので、関連で労働側の問題提起を申し上げたいと思います。先ほど事務局から報告があったところでございますが、未来投資会議で70歳までの就業機会の確保に向けた論議が行われています。意欲のある高齢者が年齢にかかわりなく働き続けられる環境の整備、この点については連合としても歓迎をしたいと思っております。ただしということになるわけでございますけれども、その実現に向けましては、権利の保障や十分な収入、そして、社会的な保護、さらに雇用の質の担保などディーセントワークの確立が非常に大事だと思っており、そのことが不可欠であることを申し上げておきたいと思います。
 その上で、今夏に工程表つきの実行計画を取りまとめた上、労政審で論議し、来年の通常国会での法案提出を目指すというご説明がありましたが、65歳ということで申し上げれば就労を希望しない方もいらっしゃるでしょうし、健康状態の個人差も相当あるのではないかと思っているところです。これらの点を十分に考慮した検討が必要であると思います。具体的には、現場、職場ということになろうかと思いますけれども、安全と健康の確保、さらには労働時間や業務範囲の柔軟な設定等々が大事であると思っておりますので、そういった論点を踏まえて、検討を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○鎌田会長 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 高齢者の就業に関連して確認したい点がございます。
 ペーパーだと47ページで、70歳までの就業機会確保というので、①から⑦の選択肢が示され、48ページでは第1段階の法制として、上記の①から⑦といった選択肢を明示した上で、70歳までの雇用確保の努力義務、努力規定とすると。このペーパーでは就業機会と雇用確保が使い分けられていると思いますので、雇用確保というのは①から④を指していて、⑤から⑦は雇用ではないと思いますので、努力義務の対象とするのは①から⑦の選択肢を示した上で、①から④について努力義務とするという趣旨なのか、そうではなくて、①から⑦の全部が努力義務ということなのか、どういう議論がなされているかを確認させていただきたいと思います。
○鎌田会長 時間も押していますので、ほかに御質問があれば、山本委員、どうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。連合の山本でございます。
 私からは、仕事と介護の両立について、意見を申し上げたいと思います。
 介護分野を中心に大幅な見直しが行われた改正育児・介護休業法が施行されてから約2年がたちますけれども、まだまだ仕事と介護の両立には課題が多くあります。2018年10月から規制改革推進会議保育・雇用ワーキング・グループにおいて、介護離職ゼロに向けた対策の強化として、介護休暇年5日、介護休業93日の期間延長などについて検討が行われております。
 連合も昨年末にヒアリングを受けておりますが、座長は両立支援制度の改正に非常に前向きな姿勢だったと聞き及んでおります。しかし、5月10日にまとめられたワーキング・グループの意見書で「介護離職ゼロに向けた一段の両立支援策」として提案された内容は、「介護休暇の時間単位取得の法令改正」と小幅にとどまっております。さらに5月11日の報道によれば、その改正は省令で対応し、2020年実施とされています。
 育児・介護休業法の省令改正ということになれば、労働政策審議会で議論ということになりますが、介護の両立支援制度には、介護休業期間の延長、有期契約労働者の取得要件の撤廃、短時間勤務制度の単独措置などまだ積み残された課題が多くあります。ILOの三者構成原則に基づき労働政策審議会で議論を行う際は、結論ありきではなく、施行後の実態把握をした上で、両立制度全体の検討・議論ができるようにお願いします。
 以上です。
○鎌田会長 永井委員、どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。
 私からは、副業・兼業について発言させていただきます。
 未来投資会議の資料にも記載がありますし、労働行政関係予算の主要施策にも記載があるわけですが、いま政府は副業・兼業の普及促進を掲げています。労働者が副業・兼業する理由はあると認識しておりますが、生活費を補うために雇用と雇用を掛け持ちしているケースが少なくなく、そうなりますと、長時間労働となるおそれもございます。また、労災補償や健康確保、社会労働保険適用などについては、まだ法的な整理が十分であるとは言えないという状況です。環境整備が整っていない現状では、政府が副業・兼業を制度で普及促進すべきではないと考えているところです。
 ただ、現在、厚労省の検討会等でいろいろな議論がされていることも承知をしております。この議論にあたっては、弱い立場の労働者の保護を図るという視点が不可欠です。労働者が健康で安全に働く環境を確保するという労基法の趣旨に照らせば、労働時間の通算に関しては、既に解釈が示されておりますように、異なる事業主のもとでの労働時間も通算することをまず徹底していただき、それに基づいて、時間外労働の上限規制や健康確保の措置についても、通算した労働時間に基づいた運用がされるべきと考えております。また、労災保険においても、賃金額の合算や労働時間の負荷についても合算することなどが必要と考えております。法制度の趣旨に沿った形で必要な保護が労働者に及ぶようにすることが重要であり、環境整備の促進を要請したいと思います。
 以上です。
○鎌田会長 ほかに御質問、御意見はございますか。
 なければ、事務局のほうから順次回答をお願いしたいと思います。
 坂口さん、どうぞ。
○坂口労働基準局長 労働基準局長でございます。
 私のほうからは2点、椋田委員のほうから最低賃金の関係についても御意見を御頂戴しました。いずれにしましても最低賃金につきましては、今後中央最低賃金審議会のほうで御議論いただくということでございますので、そこでしっかり公労使で御議論いただきながら今般の改定に取り組んでまいりたいと思っております。
 政策的には賃金の引き上げがしやすいような環境整備をしていくということが肝要かと思いますので、生産性向上の対策等々について、私どももしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 永井委員のほうから副業・兼業についての御指摘を御頂戴しました。副業・兼業につきましては、働き方改革実行計画におきまして、労働者の健康確保に留意しつつ、原則は副業・兼業を認める方向で副業・兼業の普及促進を図るということにされていることも踏まえまして、就業時間の把握あるいは健康管理等に関する留意事項を定めたガイドラインの策定、あるいはモデル就業規則の改定ということを行ってきているところでございます。
 御指摘の点につきましては、先ほどの未来投資会議での大臣の資料のほうにもございましたとおり、労働時間管理のあり方あるいは労災保険制度についての諸課題も含めて、有識者の検討会、審議会において、引き続き検討をいただいておるところでございまして、先ほどいただいた御意見等につきましても、そういったところでも御頂戴しておりますけれども、引き続き検討をしっかり行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○鎌田会長 土屋さん、どうぞ。
○土屋職業安定局長 職業安定局長でございます。
 まず、矢口委員から外国人材の受け入れについての御意見を頂戴いたしました。御指摘にありましたように4月から入管法の改正に伴いまして、特定技能という新しい在留資格ができまして、受け入れの形も変わってきているという面がございます。何より外国人材を受け入れていただくときに円滑かつ適切、そして雇用管理の改善を進めながら受け入れていただくということが大事だと思っていますので、制度の周知については法務省ともよく連携をしてまいりたいと思います。
 また、私どもの取り組みとして、相談対応あるいは雇用管理の指導、あるいはマッチングといったことについて、全国のハローワークあるいは外国人雇用サービスセンターといったところを拠点にその体制の強化をしてまいりたいと思っております。あわせて、外国人雇用管理アドバイザーを外国人雇用サービスセンターなどに配置をしておりますので、こういった支援の活用も皆様方に周知を申し上げていきたいと思います。
 雇用管理指針についても、先ほど申し上げましたように4月から改正したものを適用してございます。雇用管理指針についても、パンフレットの作成であるとかセミナーの開催ということを通じて、十分な周知を図ってまいりたいと思います。なお、来月は外国人労働者問題啓発月間ということでもございますので、今、申し上げたような取り組みを重点的に中小企業の皆様への御支援を着実に取り組んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 椋田委員、野田委員から高齢者雇用についてのお話がございました。先ほど資料6の中で未来投資会議での議論が村山参事官からも紹介がありました。御指摘にありましたような高齢者の雇用については、多くの方が意欲や能力に応じてより長く活躍できる環境整備が必要だということを大臣からの説明資料にも記載をさせていただいているところでございます。
 そういった基本的な考え方のもとで個々の高齢者の多様性を踏まえて、さまざまな就業、社会参加の形態も含めて、70歳までの就業機会の確保を図るというのが基本的な考え方でございまして、また、企業が取り得る選択肢もそういった観点から拡大を図っていくというのが基本的な考え方であると思っております。
 今後、未来投資会議での議論を踏まえて、労働政策審議会のほうでも御議論いただくことになりますが、その際には、それぞれ御指摘のありました履行確保の方法であるとか、あるいは安全や健康の確保といった観点も含めて、労政審でしっかりと御議論いただけるように私どもとしても進めてまいりたいと思っております。
 荒木委員から御指摘のあった点でございますが、御指摘のありました資料は内閣官房が事務局として提出した資料ということでございまして、私どもから直接その内容を御説明するという立場にないのですけれども、私どもの考え方としては、これも大臣のプレゼン資料、資料6の56ページのところでございますが、基本的には、先ほど申し上げたような70歳までの就業機会を確保する制度というのは、ここの図で示してあるような範囲で企業が取り得る選択肢を拡大していくということ。
 また、7つの項目がございますが、この7つに限らず、他にもあればこれから労政審の中でも御議論があるかと思います。そういった多様な選択肢の中からその下のところにありますように、企業から提示をしていただいて、個々の方とも相談を経て適用していくということ。それが努力義務の対象だと考えておるところでございまして、これから労政審で御議論いただくことではありますが、私どもとしては、内閣官房の御提案というのはこういう意味を持っていると受けとめているところでございます。
 中途採用について、椋田委員から御意見がございました。中途採用比率の情報公開につきましては、先ほどお話がありましたように、大臣プレゼン資料の中でも触れさせていただいているところでございますが、この点については、昨年11月に未来投資会議など幾つかの会議の取りまとめとして取りまとめられた経済政策の方向性に関する中間整理の中で、政府としては再チャレンジの機会を拡大するため、個々の大企業に対し、中途採用比率の情報公開を求め、その具体的対応を検討するとまとめられていることを踏まえて、こういう形で記載をさせていただいたものでございます。この点についても、今後、労働政策審議会の中で御審議をいただくことになろうかと思いますので、こういった未来投資会議の取りまとめなどを踏まえて、御審議いただけるように進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○鎌田会長 小林さん、どうぞ。
○小林雇用環境・均等局長 まず、難波委員からサプライチェーン全体での取り組みの必要性について御指摘がございました。時間外労働の上限規制が大企業に適用されるということで、中小企業のほうに無理な発注が行われるということが懸念されましたので、本年2月下旬から3月上旬に関係省庁と連携をいたしまして、1,000を超える業界団体に要請を行ったところでございます。今後フォローアップも予定しておりますが、業所管省庁あるいは中企庁など関係省庁と連携をしまして、必要な取り組みを継続してまいりたいと考えております。
 山本委員から介護の両立支援制度全体の議論の必要性について、御指摘がございました。御指摘のように規制改革推進会議からは、介護休暇の時間単位取得の指摘をいただいているわけでございますけれども、今後育児・介護休業法の施行状況などを見た上で、両立支援制度全体のあり方について御議論をしていただく必要がある。今後全体を検討課題としていただく必要があると考えております。そうした点はまさに労政審で御議論いただくことになりますので、引き続き適切な御議論をお願いしたいと考えております。
 以上です。
○鎌田会長 吉本さん、どうぞ。
○吉本人材開発統括官 就職氷河期対策について、中川委員、矢口委員のほうから御発言いただきまして、ありがとうございます。
 私どもとしても、就職氷河期世代の状況につきましては同様の認識を持っておりまして、特にほかの世代に比べて、そうした支援対象の方々が多いという規模、特に年齢的にも40代後半に至っておられるということに留意して、喫緊に対策の必要性があるといったことは同じ認識でございます。
 先ほどもございましたように、経済財政諮問会議のほうでの議論で指示を受けまして、現在は省内、関係省庁とも連絡をとりながら対策の具体化を急いでいるところでございます。先ほどプレゼンの資料も少しごらんをいただきましたが、支援の対象者の特性に応じたきめ細かなメニューといったものが必要だと考えておりまして、例えば無業者に対しましてはお話にもございましたように、今年度から若者サポートステーションで生活困窮者支援と一体化して実施できるようにいたしましたけれども、そうしたことのさらなる強化、また、不安定就労者に対しましてはハローワークでの支援に加えまして、ビジネススキルを含めました能力開発メニューの充実、さらにひきこもりの方々に対しましては、福祉サイドのさまざまな事業や機関がございますので、そうしたところの連携強化など、そうしたものをまとめ上げたプランをまとめてまいりたいと考えているところでございます。
 特に活躍の場という意味では、企業の皆様方の御協力が不可欠だと思っておりまして、先ほど矢口委員のほうから大変ありがたい御発言もございましたけれども、ぜひ経済界の御理解、御協力も得まして、私どもとしましては、そこに御要望に添った方々をうまく送り出せるように取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○鎌田会長 どうぞ。
○村松会計管理官 一点だけ。難波委員からございました中小企業と公務部門との契約、公契約に関して御意見がございました。
 中小企業に対する中央省庁や地方公共団体との契約につきましては、これまでも毎年中小企業庁がその基本方針を取りまとめておりまして、この中で発注見通しの公表や早期の発注等の取り組みによる平準化の実施、また、適正な納期、工期の設定など、中小企業が十分対応できるよう配慮することとされているところでございます。
 厚生労働省としても、今後とも引き続き中小企業庁と連携し、今般の働き方改革の観点に立って適切に対応してまいりたいと考えております。
○鎌田会長 ありがとうございます。
 以上、私のメモでは、一通り回答があったと思いますが、よろしいですか。
 どうもありがとうございます。
 以上をもちまして、本日予定していた議事が全て終了したと考えています。
 最後に何か御意見、御質問がございましたら御発言をお願いしたいと思います。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日はここで閉会させていただきたいと思います。長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。
 本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により、会長のほうから2名の委員に署名をいただくこととなっております。つきましては、労働者代表の相原委員、使用者代表の椋田委員に署名人になっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、本日の会議は以上で終了いたします。ありがとうございました。
 

    (了)
 
 
                                                                                      
                                                                       
 



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