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第16回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録
政策統括官付労働政策担当参事官室
日時
令和元年5月31日(金)14:00~16:00
場所
厚生労働省省議室(9階)
出席者
(委員)(五十音順)
石山委員、大竹委員、大橋委員、川﨑委員、後藤委員、武田委員、長谷川委員、守島部会長、森戸委員、山川委員
(事務局)
藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)、土田政策立案総括審議官、村山労働政策担当参事官、高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任)、新平労働政策担当参事官室室長補佐、矢野調査官(労働基準局労働関係法課)、名田企画官(職業安定局雇用政策課産業雇用政策)、吉田企画官(雇用環境・均等局総務課)、立石室長(人材開発統括官付政策企画室)
石山委員、大竹委員、大橋委員、川﨑委員、後藤委員、武田委員、長谷川委員、守島部会長、森戸委員、山川委員
(事務局)
藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)、土田政策立案総括審議官、村山労働政策担当参事官、高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任)、新平労働政策担当参事官室室長補佐、矢野調査官(労働基準局労働関係法課)、名田企画官(職業安定局雇用政策課産業雇用政策)、吉田企画官(雇用環境・均等局総務課)、立石室長(人材開発統括官付政策企画室)
議題
(1)部会長の選出及び部会長代理の指名について
(2)報告書(素案)について
(3)その他
(2)報告書(素案)について
(3)その他
議事
- ○村山労働政策担当参事官 それでは、委員の先生方、皆様おそろいでございますので、ただいまから第16回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたします。
本日は、4月の労働政策審議会委員の改選後、第1回目の会合でございますので、冒頭につきましては、私ども事務局のほうで進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、傍聴の方のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、先ほど申しましたように、4月27日付で委員改選が行われましたので、御報告いたします。
資料のほうは、マイプライベートファイルに1回戻っていただきまして、資料1をタップしていただきますと、そちらに新しい労働政策基本部会の委員名簿、4月27日現在のものを配付させていただいているところでございます。
本日は、所用によりまして、入山委員、古賀委員、佐々木委員、冨山委員が御欠席です。また、大橋委員におかれましては、所用のため、途中で御退席と伺っているところでございます。
議事に入ります前に、本日の審議会の説明はタブレットでいたしますが、御不明な点がございましたら、また職員のほうにお声がけいただければと思います。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 それでは、本日の資料について御説明いたしますけれども、資料はプライベートファイルというフォルダ内に格納しております。
資料1として、委員名簿。資料2として、第15回のヒアリングの概要。資料3として、報告書(素案)を格納しております。
さらに、第11回から第15回までの当部会の資料についても格納しておりますので、適宜御参照ください。
○村山労働政策担当参事官 では、最初の議題といたしまして、当部会の部会長の選出を行いたいと思います。
部会長の選出に関しましては、労働政策審議会令第7条第6項におきまして、当該部会に所属する労働政策審議会の委員、本審の委員の先生から部会長を選挙するということになっております。当部会におきましては、守島委員のみが該当されますので、引き続き守島委員に部会長をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(委員首肯)
○村山労働政策担当参事官 それでは、守島部会長、以後の進行をよろしくお願い申し上げます。
○守島部会長 皆さん方、お忙しい中、お集りいただき、どうもありがとうございました。ただいま部会長を仰せつかりました守島でございます。引き続き、皆様方の御支援をいただきながら部会を運営してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
最初に、労働政策審議会令第7条第6項の規定により、部会長が部会長代理を指名するということにされておりますので、この規定に基づき、引き続き、森戸委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○守島部会長 では、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に入りたいと思います。「報告書(素案)について」でございます。昨年12月から、当部会においてヒアリング等も交えながら、技術革新、AI等の動向と労働への影響について御議論いただきました。その議論の内容をもとに、事務局に報告書(素案)を作成させていますので、まず事務局からこの報告書(素案)について御説明いただきます。その後、報告書(素案)の内容について自由討議を行い、報告書の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。
それでは、事務局から報告書(素案)の御説明をお願いいたします。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 それでは、資料の3番目をお開きください。こちらは、これまで委員の皆様方に御議論いただいてきた内容を事務局にてまとめたものになっております。簡単に御説明申し上げます。
まず最初の「はじめに」のところですけれども、こちらには、これまでの議論の経緯を書かせていただいております。
次の1.のところですけれども、新技術の活用が求められる背景や留意点となるようなところを整理しております。
順に説明いたしますと、まず、(1)ですけれども、人口減少の中で、AI等の新技術の導入の必要性について記載しております。
まず、1つ目の段落ですけれども、日本の人口は、近年、減少局面を迎えており、人口構造も変化していくというところを押さえております。
次の段落ですけれども、こうした中で、第四次産業革命と呼ばれるような技術革新が非常に速いスピードで進行しているといったことを記載しております。こうした技術革新につきましては、さまざまな社会課題の解決や付加価値の創出につながるようなものであるということを記載しております。
次の段落では、したがって、このような新技術を人間が主体的に使いこなすことが可能となれば、人間の生活の質とともに労働生産性を向上させることも可能となるといったことを記載しております。
以上を確認した上で、その次の段落で2ページ目にお進みいただければと思いますけれども、労働力不足に対応することや、あるいは労働条件を改善していくということに新技術の活用が不可欠である。さらには、労働時間を短縮して生活時間をより豊かにしていくことによって、労働者の満足感や幸福感を高めることも期待されるというような、御議論いただいた内容を記載しております。
それから、(2)は、就業構造の変化に対応した新技術の導入というところをまとめております。
1段落目は、就業構造の変化についてデータ的なところを記載しておりますが、2段落目は、プレゼンいただいた今後の展望ですけれども、今後、事務職等が過剰となっていく一方で、技術革新をリードするような専門職が不足するという推計を御紹介いただきました。
3ページ目にお進みいただきまして、日本では、英米と比べて、定型的なタスクからなる職種の比率が高くなっているという推計も御紹介いただいたところです。
これらを確認いただきまして、その次の段落ですけれども、今後、職業のミスマッチの拡大を防ぎつつ、人手不足や心身の負担といった課題を解消していくために、新技術の活用を通じて省略化を進めたり、より快適な職場環境の実現を目指すといったことが求められるとしております。
その次の段落、「例えば」というところで、ヒアリングで御確認いただいたような内容を記載しておりますけれども、RPAや介護ロボットが働く人にプラスの効果を与えるという内容もありましたし、「さらに」というところですけれども、自動運転技術が今後発展していけば、交通事故を減少させる、あるいはドライバーの負荷の低減といったことも期待されるということを記載しております。
この項目の最後ですけれども、今後、留意すべき点としまして、社会的に対応が求められる分野においては、新技術の実装が確実に進むとは限らないという御指摘もいただいております。そのために、そうした分野で積極的な開発・実装が進むような政策的な対応についても検討することが必要であるとしております。
続きまして、(3)は「イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響」について、まとめております。ページをお進みいただきまして、4ページ目になりますけれども、イノベーションというものが起こってくれば、既存産業の在り方が大きく変化すると同時に、新産業が創出される可能性ということも部会で御指摘いただいたところです。
その次の「例えば」というところですけれども、「モビリティ革命」が起こっていけば、これまで安定的な雇用の場を提供してきた自動車関連産業に広く影響が及ぼされる一方で、いわゆる「モビリティ産業」が創出されるような可能性も指摘されるとさせていただいております。
最後の段落に飛んでいただきまして、このような産業構造の変化が雇用に与える影響については、現時点では正確に見通すことは困難であるという御議論をいただきましたけれども、一方で、方向性はある程度見えてきているということも御議論いただきました。そのため、将来、雇用の在り方について生じ得る変化の可能性をあらかじめ見据えて、対応を検討していくべきであるという形でまとめさせていただいております。
それから、2.には、具体的に新技術が入ってくることで、働き方がどのように変わっていくのかということを記載しております。
まず、(1)としまして、新技術が入ってくる段階における対応方針を労使で協議していくことが必要であるということを記載しております。
5ページ目にお進みいただきまして、ここでは、過去のME化等の経緯も書かせていただいておりますけれども、これらの対応を参考にしながら、新技術を導入する方針を決定する際には、導入によって労働環境の改善等、労働者がメリットを受けられるような導入のされ方がされるように、労使の一層のコミュニケーションを図りながら対応していくことが重要となるとしております。
また、その前提としまして、経営者であったり、次の段落ですけれども、人事労務部門においても、スキルや知識を高めていくことも必要としております。
それから、最後の段落ですけれども、このような前提を整えることに加えまして、労働組合の組織率が低下しているという現状もありますし、また、AI等の進展が管理職等も含めて幅広く及ぼされるということも指摘されておりますので、今日においては、さらに労使間のコミュニケーションの在り方について議論を深めていく必要があると提起させていただいております。
次に、(2)ですけれども、実際に必要なスキルについて御議論いただいたような内容をまとめております。
具体的には2段落目で、6ページにお進みいただければと思いますけれども、AI等の新技術をまずは使いこなして成果を上げることが求められるとしております。そのためには、基本的なITリテラシーの習得は大前提となるかと思いますし、さらに、そこから発展していったような職場においては、実際にAI等の新技術を業務に組み込んでいくためのより高度なスキルが必要となるとしております。
次の「一方で」の段落ですけれども、新技術が進展していっても、課題設定、双方向のインタラクティブな対応等、人間らしい又は人間にしかできない業務は残っていくということは、この部会でも御議論いただいたところです。そのため、こうした業務に求められるスキルを高めて、より創造性の高い業務を増やしていけば、付加価値を高めていくことが期待できると記載しております。また、機械による代替がこれから進んでいきますと、人間がサービスを行うこと自体が付加価値と捉えられることも考えられるということも御指摘いただいたところです。
最後の段落ですけれども、このようなスキルの獲得を広めていくために必要なものを記載しております。まず、企業においても社会においても、適切な評価がなされ、それが報酬やキャリアアップ等に反映されていくことが必要であるとしております。「加えて」というところですけれども、新技術の導入によって生産性が向上した分の成果が労働者にも適切に分配されることが必要との御指摘をいただきましたので、その点も記載させていただいております。
次に、(3)ですけれども、(2)で見ましたスキルを高めていくために必要な支援について記載しております。
1段落目、2段落目にまず1つ目のステップを書かせていただいておりますけれども、新技術の活用が進む時代において、タスクが変化していったり、あるいは必要なスキルとのギャップが生じてくるので、そういったことにまずは気付いてスキルアップを目指していくことが求められるとしております。
2段落目ですけれども、こうした気付きを促すためには、職業等の情報を広く見える化することが必要であるため、そういった支援にも取り組んでいくことが求められるとしております。
それから、3段落目が次のステップになりますけれども、求められる教育訓練の内容も、これからどんどん変わっていくものであることから、政府においては、教育訓練のニーズを的確に把握し、必要な教育訓練のコンテンツを充実させることが必要としております。また、企業においても、求められる教育訓練の在り方について検討を求めるとしております。
それから、7ページ目にお進みいただきまして、学校教育段階の準備も必要という御指摘をいただきましたので、社会にでる心構えを身につけるための教育にも取り組むことが求められるという記載をしております。
それから、(4)ですけれども、新技術が入っていく中で、それに取り残されてしまう労働者への対応ということを、項目を立てて書いています。労働者間に著しい格差が生じないようにすることにも留意が必要とした上で、2段落目の最後のところですけれども、労働者等のキャリア形成への支援や企業による能力開発への支援に向けた施策を強化することが必要であるとしております。
それから、3段落目、「また」のところですけれども、こうした支援等を行っても対応に困難を来す労働者等に対して、どのようなセーフティネットの在り方が求められるのかということについても、ここで問題提起させていただいているところです。
最後、3.になりますけれども、働く現場で出てくるような課題について、もう少し広い視野でまとめさせていただいております。
まず、(1)ですけれども、労働者のプライバシーの保護や情報セキュリティの確保が重要となってくるということについて記載しております。
8ページ目にお進みいただきまして、(2)AIによる判断に関する企業の責任・倫理としまして、AIの情報リソースとなるデータやアルゴリズムにはバイアスが含まれている可能性があるために、企業が果たすべき責任や倫理の在り方が課題となるとしております。ここでは、「例えば」という形でHRTechを記載しておりますけれども、リソースとなるデータの偏りがあれば、労働者等に不当な不利益を及ぼす可能性について、部会でも御議論いただいたところです。
「このため」のところですけれども、AIの活用について、企業が倫理面で適切に対応できるような環境整備を行うことが求められるとしまして、例えば、バイアスや倫理的な問題点が含まれているかを判断できる能力を高めることというような、具体的に必要なものを書かせていただいております。
その3段落目、「他方」というところですが、新技術を活用していくことによりまして、逆に人間がこれまでやってきた判断の中にバイアスが含まれていることも解析できる技術があるということも御紹介いただきましたので、その点も書かせていただいているところです。
(3)ですけれども、社会全体で受容する体制づくりを急ぐことが必要であるといたしまして、2点書かせていただいております。
まず1つは、労働者にとっても、自身の能力を生かすために転職ニーズが高まってくると考えられますし、また企業にとっても、必要な人材を確保していく必要が生じると考えられることから、円滑な労働移動の促進であったり、転職が不利にならないような制度の在り方についても進めていく必要があるとしております。
次に、3段落目ですけれども、新しい働き方が拡大していく背景としまして、雇用類似の働き方についても検討を進めていくことが期待されるという形でまとめさせていただいております。
(4)は、時代の変化を見据えた政労使のコミュニケーションの重要性といたしまして、9ページ目にお進みいただければと思いますけれども、新技術の発展が、産業構造そのものの転換を促して、働き方や雇用に大きな影響を与えることが想定される中で、良質な雇用機会をどのように確保していくのかといったことが、今後、重大な課題となるとしております。このような課題は、個別の企業の内部だけで対応しきれるものでもなく、新しい時代への変化が差し迫ってくる前にビジョンを固めていくことが必要となるとしております。
そこで、その次の段落ですけれども、このような時代の変化を見据えて、業種・産業、地域、全国といったさまざまなレベルで政労使間の対話を継続的に行い、中長期的な視点から対応を検討していくべきであるという形で投げかけをさせていただいております。こちらについても御議論を深めていただければ幸いです。
最後、「おわりに」の1段落目ですが、この報告書の性格としまして、方向性を示すものとして取りまとめたものとしております。
2段落目ですけれども、この報告書の内容を踏まえまして、労使においても議論が重ねられていくことが期待されますし、また、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても必要な施策が検討されることを求めたいと投げかけをしております。
最後の段落ですけれども、この基本部会におきましては、将来の変化を予測してターゲットを設定するようなことも必要だというお話をいただいております。AI等の活用によりまして、労働市場の変化に対応することもできるかと思いますけれども、それにとどまらず、労働者の幸福度を高めることや、日本の豊かな将来へつながるということも期待できると考えられます。今後の議論においては、こうした提起も踏まえた検討が期待されるという形で、この報告書を締めております。
以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明のありました素案について御議論いただきたいと思います。もう別にセクションごとにとか、限定しませんので、御自由にどこでも議論していただければと思います。
後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 御説明ありがとうございました。
これまでいろいろ議論した内容をしっかりとまとめていただいていると思いますし、特に我々働く者、雇用労働者の立場でも、思いをきちんと受けとめてまとめていただいているなと思いますので、ありがとうございました。
その上で、少しお話をさせていただきたいと思いますが、実りある職業生活といった表現があったのですが、この後に続いて、労働時間を短縮したり、労働者の満足感・幸福感を高めるということですとか、AI等の新技術が進展していくと、より人間らしい仕事が求められるということを考えますと、この全体にわたって、「ディーセント・ワーク」という言葉がどこにも入っていないので、世界的にも共通しているこの言葉を散りばめていただけると、より理解が進むのではないかなと思っております。
また、後段では、「労働者間の格差への対応」という記載がありますが、これまでのME化とかIT化前段の部分よりも、今後、労働者間の技術格差とか知識とか働き方の格差というものがもっと高度に進んでいくと考えると、それでもそこに追いついていけない人たちがいることへのセーフティネットをきちんとしていきましょうねという書き方はしていただいているのですけれども、それが「格差」ということではなくて、そこについていけない人たちが、働くという場から「排除」されてしまう可能性も大いにあるのではないかと懸念しておりますので、そういう意味では、排除することにつながらないようなことをもう少し踏み込んで記載していただくのがよろしいのではないかと思います。
一見すると、労働移動で何とか対応していこうとなっているのですけれども、そこの部分だけを見ると、労働移動をどんどん促進していって、合致する分野で働けばいいのではないかというような印象を受けます。、そこだけではなくて、本文の中にも書いていただいているのですけれども、キャリアチェンジをしていく。それが単に労働移動を促すということではなくて、きちんとサポートして、キャリアチェンジあるいはキャリアアップ、スキルアップ、スキルチェンジということのほうに比重が置かれるようなことも、あわせて進めていただきたいと思います。
それから、そうは言いながらも、一定のAIに依存しないでも働くことができるような分野があるかどうかわかりませんし、今後の検討課題だということを書いていただいているのですけれども、何となく人の「手仕事によるもの」も残していかなければいけないのではないかということも思っておりますので、そういうことに触れられるかどうかというのはあるのですが、その辺についても少し触れていただけるといいのではないかなと思っております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
大竹さん、お願いします。
○大竹委員 大竹です。
この報告書案には、今までの議論がきちんとまとめられていて、個別にも意見を聞いていただいて、それが反映されていると思います。その上で、私も気がついた点を幾つか申し上げたいと思います。
1つは、7ページの、今、御指摘があった(4)の労働者間の格差への対応というところですが、「格差」という言葉にいろいろな意味が入っていて複合的過ぎるかなと思います。例えば、AI技術者は、現在非常に人手不足で、高い給料で働ける。高くしないと採用できないという状況になっているわけです。そういう一種のスポーツ選手のようなスーパーエンジニアの賃金が上がっていくということについてまで、著しい格差を生じさせないというのは、少し言い過ぎのように思います。
ここでの「格差への対応」という意味は、御指摘あったとおり、AIに対応できない労働者、あるいはその仕事につけない労働者が生まれてくることによる格差ということだと思うのです。低賃金労働や失業という意味と高賃金のAI労働者をどちらも格差という一言で表現すると、人手不足のAI技術者をどう確保していくかという部分も、そこは賃金では差をつけないで対応しなさいという主張にも見えてしまいます。この点を少し工夫してはどうかと、改めて見直して思いました。
それから、6ページに戻っていただいて、上から2行目に、情報共有の効率化を目的とした携帯端末等の活用というのが、ITの活用には第一歩であると書いてありますが、もう少し基本的なところもあると思います。例えば、電子データを利用しやすいように整備しておくというのも必要な話で、人事部のいろいろなデータを見ていくと紙ベースしかないというところは実際にはたくさんあります。ですから、そのあたりをきちんとITで利用可能な形に整備していくというのは、基本的な条件ではないかと思いました。もしできれば、それをつけ加えていただければと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
長谷川さん。
○長谷川委員 これまでの議論のおかげで、いろいろな委員の皆さんの意見が入りながら全体が見えたのかなと思っています。
「イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響」について、こういう書き方でいいのですが、技術革新が進んでいくときに、大竹先生がおっしゃった総務などの事務部門の業務がかなりスリム化されると思います。そういうところで働いている人は派遣労働者とか女性が多いのですけれども、このAIと女性労働の問題を、私も議論しているときになかなかそこに触れなかったのですけれども、事務職で働いている女性がかなり影響を受けると思います。
そのときに、そういう人たちの仕事がどういうところにシフトしていくのかというのと、どういう能力開発といいますか、職業訓練をすればいいのかというのは、ここで触れておく必要があるのではないかと思います。あえて女性と言うのかという意見もあるかもしれませんが、触れておく意義は大きいと思います。自動車とか介護も出てきましたけれども、銀行の事務部門とか会社の総務部門、それから地方自治体の事務部門というのは、AIがきっちり入ることによって物すごくスリム化されるので、もう少し触れておいたほうがいいのかなと思いました。
冒頭のところに、「高齢者、障害者、育児・介護を行う労働者等、働くことに制約のある多様な人材に活躍の場をもたらす効果も期待できる」とありますが、このとおりだと思います。その一方で、AI化でスリム化するときに、こういう人たちがターゲットにならないようなメッセージを与えておくことが必要なのかなと思いました。でも、ここは委員の皆さんにも少し検討していただければなと思います。
次に、新技術を使いこなすスキルや人間にしかできない質の高いサービスを提供するスキルは、企業においても社会においても、適切な評価がされて、担い手の報酬やキャリアアップ等に反映されていくことが期待されるとなっているのですが、よく報酬が出る。そのとおりだと思います。
もう一つは、このことによって生産性が高まり、労働者に還元されるのは、報酬だけではなくて労働時間もあると思います。企業は、利益を内部留保としてため込んだわけですけれども、今回の場合は、働く人たちの労働時間にも還元する。報酬と賃金と労働時間に還元して、その労働時間に還元したものを子育てとか地域とかNPOの活動等に充てるということを明示していくことが必要なのではないかと思います。ワーク・ライフ・バランスと言えば全部そこで括ってしまいますけれども、そういうものがあるといいのではないかなと思います。
それから、スキルアップを行う際に、従来のME化とは違って、今回の能力開発は少し長い時間がかかるのではないかと思います。今までの厚労省のいろいろな能力開発などでの取り組みを見ると、2カ月とか意外と短い期間でした。今回は、中身によっては長い期間が必要なものもあるので、こういう問題についてもどこかで認識しておくことが必要なのではないか。なぜかというと、素案の最後の部分に、この報告書を受けて厚労省の審議会のいろいろな部会で議論が必要だとなっているので、そのときに従来の能力開発ではなく、非常に長い時間もかかるということについても出していくことが必要なのではないかと思います。
また、「雇用類似の働き方についても、その保護等の在り方についての検討の進展が期待される」と書かれていまして、雇用類似の人々の法的な保護というものが、今、検討されていますけれども、その検討結果に基づいて法律的な手当て、見直すべきものは見直していくということが必要で、この雇用類似の労働者の問題はもう少しピッチを上げる必要があるのではないか。私もこの審議会の前に雇用類似の検討会の報告書を見ましたけれども、あの報告書で実態はわかったので、その実態を受けてどこの審議会でやるのか、厚労省に考えていただきたいのですけれども、審議会で法的な保護の在り方について検討が必要なのかなと思います。
また、このような時代の変化を見据えて、業種・産業レベル、地域レベル、全国レベルで政労使の対話となっていましたけれども、まさにドイツではインダストリー4.0により、地域における労使対話を展開しているわけですね。国で見ているよりは、地域のほうがいろいろなことが見えるので、もう少し労使のコミュニケーションに地域の視点を入れていただきたいなと思います。
最後に、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても必要な施策が検討されることを求めたいと思います。この報告書では基本的な考え方をまとめたわけですから、これを受けて、労政審の本審も、そして各部会も分科会も、自分たちの分科会で何ができるのかというのをきちんと検討していただきたいと思います。
報告書が出たから終わりではなく、報告書の基本的な考え方を受けて、例えば条件分科会では何をやるのか、安定分科会では何をやるのかということについて、きっちりと課題を整理しながら作業に着手していただきたいというメッセージを出していただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
森戸委員、お願いします。
○森戸委員 素案をまとめていただいて、ありがとうございます。
私は、全体で一番思ったものというか、感想のようなものですけれども、あちこちに労使がどうのこうのという表現が出てきて、労使というのはどういう労使なのだろうというのが気になったところです。もちろん、一般的には集団的な労使関係のイメージかなと思うのですけれども、このテーマであるAI導入で職場がどう変わるか、労働にどういう影響があるかという局面における労使のコミュニケーションという問題について、何か特別なポイントとか考えなければいけないことがあるのか、そもそもそれ以外におよそ全ての問題について、労使のコミュニケーションの在り方全般についての問題がいろいろ議論されている中で、それと同じ話なのか、そこはわからないですけれども、結局、労使はどういうものを前提に書いているのかなというのが一番思いました。
それで、あちこちに労使と出てくるのですけれども、5ページあたりには、そういうことも踏まえて表現があって、最初のほうは、過去のME化やIT化のときは、集団的労使関係のもと、労使でこういうふうにやってきた。今度、AIの話も労使でコミュニケーションを図っていかなければいけないという流れですけれども、このセクションの(1)の最後の「こうした前提を整えることに」というところでは、しかし、組合組織率が低下しておりということなので、労使のコミュニケーションの在り方についての議論を改めて考える必要があると書いてあって、全体としては、何となく労使の在り方も変わっているから、そういうことは考えなければいけないということは一応書いてあると思いますけれどもね。
労政審の部会だから、労使というものがどういう変化をしていて、それがこのAI導入なり、AIによる職場の変化のときの労使のコミュニケーションの在り方ということにどういう問題が起きるのか。政策として、何かそこにサポートとか、そういうものがあり得るのかということが、本当はもうちょっと深く議論したいところなのかな、すべきところなのかなと思いました。
これは感想ですけれども、あとは「こうした前提を整える」というところで、労使間のコミュニケーションの在り方について議論を深める必要があるというのは、これはこれでいいのでしょうけれども、すぐこれと思いついかないのですけれども、過去に厚労省のいろいろな検討会とかで、一般的に従業員代表とか何かは、労使のコミュニケーションの在り方とか、時代の変化にどう対応していくみたいな議論はしていたはずなので、この素案は注が結構ついているから、ここにそういう報告書とかに注みたいなリファーがちょっとあっても、いいのがあるかどうかはすぐ思いつかないですけれども、いいのかなと思いました。
全体としては感想ですけれども、「労使が」と、割と気軽に書いてあるけれども、労使というものの在り方というものが、実はここでは一番重要な話かなと思ったという意見です。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
川﨑委員。
○川﨑委員 ありがとうございます。
これまでの議論を丁寧にまとめていただいて、ありがとうございます。議論の中でちょっと触れていなかったのですけれども、こうやってまとめて読んでまいりますと、AI等の新技術が入ってくることによって、特に前段のところにはなりますけれども、AIの新技術に対応できない労働者は、今後、より質の高い就業が困難になっていくので、そのためのセーフティネット、ないしは育成の機会を手当てしていきましょうという話が基本的な論調になっていると思うのです。
ただ、ちょっと振り返って考えてみましたところ、例えば弊社のコールセンターなどは人材難です。一方、AIを入れることによって、お客様からの問い合わせに対して、その答えるべき回答の選択肢をAIが出してくるということをやり始めてきています。そうすると、未経験、経験の浅い人たちでも就業機会がふえていくということが実はあります。
なので、「AI」対「人」ということで高スキルを求めていくというお話が基調にありましたけれども、ひょっとすると、AIのもう一つの可能性として、経験が少なくても、それを補うAIの使い方というのは可能性としてあるかもしれないので、そういうものがAIの今後の労働の局面で使う可能性として触れられるのであれば、どこか一言、そういう可能性も検討する余地があるのではないかみたいな触れ方をしていただいてもいいのかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、大橋委員、お願いします。
○大橋委員 どうもありがとうございます。
4点ばかり申し上げます。出られない回もあって、そのときは本当に申しわけなかったのですけれども、一応、議事録とかを読んでフォローしているつもりなのですけれども、ありがとうございました。
特に、7ページ目の3章に照らして、思ったところだけ申し上げますと、まず(1)のプライバシーの問題、あるいは(2)のAIによる企業の責任・倫理という話ですけれども、ここは、もしかすると労働政策の範囲外かもしれませんが、ほかのところで検討されているところが多分あると思っていて、そういうところはリファーしたほうがいいのかなと思います。場合によると、これは企業のほうで、例えば今の医学みたいな感じでAI倫理委員会みたいなものをつくってもらうこともあり得べしみたいな意見もあるのではないかと思っています。
企業のほうでも、AIはメリットもありますけれども、影の部分も当然あるので、そうしたものを押さえる意味でもきちんとした対応をとってくれというところは、多分あるのかもしれないと思いますので、そういうところまで踏み込んで書いていただく必要はないですが、他省庁での検討というのは多分リファーしていただくといいのかなと思いました。
あと、先ほどの政労使のところですが、私もちょっと思っているところは、私は、労働が直接専門じゃないので、間違っていたら大竹先生に直して頂けたらと思いますけれども、いろいろと副職とか雇用類似の考え方が出てきて、クラウドソーシングだ、シェアリングだということを今、実際に我々もUberのデリバリーとかを見たりすることが非常に頻繁にある。そうした契約関係を考えてみると、新たな形での組合がもしかすると必要となっているような事態なのかなという感じもします。何を言っているかというと、雇用されている側からすると、横の連携がないのです。交渉力はほぼないのではないかと思っています。
これは、従来の労働組合ではない考え方かもしれない。つまり、企業内とか産業内ではなくて、そういう人たちが横に連携することで、ある程度交渉力を強めていくみたいなことを、今「GAFA」対「中小企業」みたいな関係でも指摘をされていると思います。中小企業の中で、そういうものができないかみたいな声があったりすると思いますけれども、同じ話がここにも多分適用され得るのかなと。
そうすると、2つのやり方があって、法律的にきちんと手当てしてあげる。もしくは市場のメカニズムでもしやろうとすると、交渉力を発揮するために横の連携を強めるということが1つ解決策としてあるのではないかと思っている。そうすると、政労使のこれまでの考え方の延長線上にそれがあるのかどうかがよくわからなくて、もしかすると、そういうものは延長線上にないのかなという感じもするのですけれどもね。
そういう意味で言うと、政労使間の対話を深めるということは一体どういうことか。現状のものの対話の中から新しいものが生まれるのかもしれませんけれども、そこのあたりというのはもう少しはっきり。将来の大きな課題なので、将来に向けて考えていかなければいけない部分なのかなと思いました。
もう一つ、7ページ目に、学校教育段階における準備ということを書いていただいて、これはすごく重要なことだと思いますけれども、多分、これは文科省マターだからさらっと書いてあるのかなと思ったのですが、もっと強く言ってもいいのかなと思っていて、個人的には、学ぶ、学校教育と働くことが依然として分断しているような気がする。一案ですけれども、例えば職業能力開発大学校というものがあります。これは省庁の大学校だと思いますけれども、今は申し出ベースでしか学位はもらえないと思います。自動的に学位が来るわけじゃないという理解でいるのですけれども、そういうものにももっときちんとした教育の裏づけを与えてあげるみたいなことが考え得るのかどうか。
それというのは、まさに働くことと学ぶことがより近づくのではないかと思いますけれども、それは職能大学校だけじゃなくて、農業にもあるし、ほかにもあるわけですが、そうした、もっと教育の側が変わっていくべきだというところまで、もう少し強くメッセージとして発するぐらいでもいいのかなという感じを持ちましたということで、雑感で申しわけございませんが、以上、思ったことを申し上げました。
ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 前半では少しやさしく申し上げましたが、本来は雇用類似を検討する場合に、集団的労使関係の在り方は非常に重要なテーマだと思います。だから、例えばこちらの仕事からこちらの仕事に行くときの労働移動の仕方、それから職業訓練の在り方とか、そうした労働者を保護するために、現状の法律では労働基準法の労働者とか労訴法の労働者とか、それは労働組合に入れるかどうか、団体交渉ができるかどうかとか、いろいろな問題を抱えているわけですね。この問題は避けて通れないと思います。これまでのME化のときは、労使でうまくやってきたのです。企業の中で労働移動をうまくやったわけです。
今回は、議論にもありましたように、非常に難しいだろうと言われています。そうすると、雇用・就労形態の変化と同時に、集団的労使関係の在り方についても検討しなければならないのだと思います。森戸先生がおっしゃったように、この間、労働契約法の検討会のときもそういうものも検討されましたし、現在はそれよりももっと進んでいるわけで、それをどのような形で対応していけばよいのかというのは、関係する審議会がどのように受けとめるかと私が言ったのはそういうことなのです。
労働者性を拡大するとか、どうやって団体交渉に参加させるかということを含め、今、労働関係の法律だと全部個別法で規定されているわけですね。今回のパート・有期法であれば、パート・有期労働者からの意見を聞くことというのもあるし、労働基準法の36条であれば、過半数組合があれば過半数組合、過半数組合がないときは労働者代表とあります。あとは、労働時間設定改善法の中では、企業労使委員会というのもあるわけですね。また、労働安全衛生法は労働安全衛生委員会について規定しています。構成の仕方も選び方も全部違うわけですし、母数の中にどういう労働者が入るかも、現状となかなかマッチングしていないところがあると思います。
そういう問題を集団的労使関係として、どう敷衍して構築していくのかというのと、民主的な方法でどうやって意見を吸い上げていくのかということは、議論しなければならない課題なのではないかと思います。ただ、この報告書に詳細に書くかどうかというのは、そんなに細かいことを意見交換していませんので、私は労使関係の在り方とか雇用類似の在り方ということで散りばめたものを受けとめながら、しかるべきところで検討することが必要なのではないかなと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
石山委員、お願いいたします。
○石山委員 丁寧に取りまとめていただきまして、ありがとうございました。
2.の(1)の1段落目の最後のほうで、まさに労使の一層のコミュニケーションを図りながら対応していくことが重要であるとあるのですが、ここまでいろいろな先生方も御意見いただいたとおりで、労側にとっても負担が減るとか、労働時間が減らせるから、楽になるから入れてとか、テレワークしやすくなるから入れてほしいとか、いろいろなメリットがある点もたくさんあると思います。
なので、使側がこういうふうに入れたいから、入れられると困るということを防ぐようなコミュニケーションも当然必要なのですが、こういうふうに入れると労側にももっとメリットがあるので、こういうものを積極的に入れていってほしいというのがポジティブな関係で提案できるような構造になっていくと、より建設的なのかなと思いまして、そういった機能を持ち合わせていくみたいなことも、今後、検討できるといいのかなと思いました。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
山川委員、お願いいたします。
○山川委員 報告書自体、非常にわかりやすくて、そんなに大きなコメントはないのですけれども、1点だけ。私も余り頭の整理ができていなくてしゃべって、ちょっと申しわけないのですけれども、人生100年みたいな話をちょっと入れてもいいのかなと。つまり、職業生活がすごく長くなることと、その間にめちゃめちゃ技術が変化していくことがダブルパンチで来るということがあると思います。
私よりちょっと上の世代だったら、技術が変化しても、おれが、私がやっているもので何とか逃げ延びられるというのがあると思いますけれども、職業生活が長くなる、しかも技術がどんどん変化していくとなると、労働移動とか職業訓練の話に結びつくと思うのですけれども、そういうものはますます重要になるのかなと。
今、職業によって年齢構造がすごくばらばらですね。それはすごく不思議で、それこそチャットボットをつくっていますとか、すごく今風な会社の人事の方とお話をしていて、その社員の方、結構若いのですかと聞くと、いや、彼は全然上の世代ですと言うから、50代なのかなと思うと、30代ですとか言われてしまうわけです。チャットボットが20代の人にしかつくれないということはないと思うのだけれども、40とか私ぐらいの世代が、今の仕事は難しいからチャットボットをつくりたいなと思っても、どうやって訓練すればいいのかよくわからないみたいなところがあるので、職業生活が長くなるという観点もどこかに入れていただくといいのかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございました。
先ほどから皆さんから出ている、スキルアップとその次の格差の部分というのは、私のイメージだと構成を変えたほうがいいかなと思って、必要なのは、スキルアップという話よりはスキル転換なのです。それを今、山川委員が言われたように、人生を通じてスキルを変えていくという必要がどんどん出てきているねというのが、多分、人生100年時代で。スキルアップをするというよりは、スキル転換をするためにどう労働政策としてサポートしていけるのかというのが一つの大きな問題だろうし。
それから、スキル転換をしたときに、そのスキル転換に必ずしもついていけない人たちがいますというのが、その下の格差の項目になるような気がするので、ここはもう少しお考えいただくといいかなという感じはしています。
どうぞ、武田委員。
○武田委員 取りまとめていただきまして、どうもありがとうございます。
私は、全体としては、これまで議論したことがしっかり盛り込まれていますし、今、皆さんのお話を聞いていて、なるほどと思う追加の視点もありましたので、それらを若干御検討いただければ、報告書としてよりいいものになるのではないかと感じました。
私自身がコメントさせていただいたことは基本的に入っておりますけれども、「おわりに」のところか「はじめに」のところに入れて頂ければと思いますけれども、日本で今なぜ労働市場の問題を考えなければいけないかという点では3つ議論されています。
1つは、ここで全面に出されている技術の変化ですね。2つ目は、支え手が減っていくということ。3つ目が人生100年時代で働く期間も長くなるので、これまでと同様に1社で同じ職業でというのが難しくなること。この3つの変化が起きることは、前提として、なぜ労働市場の転換を考えていかなければいけないかというところで、前振りなのか、終わりのところなのか、触れておいてもいいかと感じました。
重要なのは、今、申し上げたような3つの転換がある中で、その環境変化にうまく適用できる労働市場をどうつくっていくかが問われていることを共有することが大事で、そこにうまく適用できれば、世界ではいろいろなことが起きていますけれども、日本は相対的に見れば健全な社会、健全で持続可能な社会を実現できるというメッセージ。つまり、労働市場の在り方が、今、申し上げた3つの環境変化にうまく適用できれば、持続可能な社会、健全な社会に資する点が「はじめに」か「おわりに」にあれば、より望ましいのではないかと思いました。
以上です。
○守島部会長 ほかに。時間はありますから。
長谷川委員。
○長谷川委員 全体的にこれを読んで、今、皆さんが言ったとおりに補足してもらえばいいと思いますけれども、先ほどの教育のところは、先生がおっしゃったとおりだと思います。
もう一つ重要なテーマは、私は経産省の業務所掌での対策だと思っています。この報告書は、経産省に対するメッセージがない。なぜかというと、日本の中小企業の経営者は、この間、人材育成をしてこなかったわけですから、経産省がもっと中小企業の事業主、そのような人たちに対するメッセージをもっと出さないといけないと思います。労働者は、高い学校教育を受けてきた人たちは、自分で頑張っていくと思いますけれども、大体の人は自分の会社・組織の中で、そういうものを身につけてやらなければいけないと思って頑張っていくわけですね。
そうすると、会社のトップクラス、経営者が、これからこうだというメッセージがないと、労働者にはそうした考え方は浸透しないので、私は厚労省が労働を扱っているところで、こういうAI社会における雇用と能力開発の格差を出さないようにどう対応するかということを出したことはいいのですけれども、基本的に経営者がそういう意識がないと、これは進まない。したがって、これを読んだときに企業の経営活動のことをずっとウオッチングしている経産省とか中小企業の事業主がそうだと思うようなメッセージが欲しいなと思いました。
具体的にどうかと言われると難しいのですが、厚労省は何をするか、今回の議論を通じて大体わかってきたし、文科省がこれからどういう教育をしなければいけないかも見えてくる。もう一つは、企業をどうしていくのか、日本の中小企業をどのように成長させていくのかというメッセージが欲しいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
今の点、結構重要。武田委員にお聞きするのが一番いいのかもしれませんけれども、AIの導入とか導入に関する対応みたいなところが、大企業と中小企業でこんなに違っているというデータとか報告書は世の中にあるのですか。
○武田委員 全てのデータを把握しているわけではないですけれども、各団体がそういう調査を最近始めています。例えば、私が知っている範囲では、大企業の調査という意味では、政策投資銀行が年に1回、設備投資に関するアンケート調査をやっていまして、その特別調査で、昨今の人手不足に対して企業がどう対応しているかアンケートを実施しています。
人手不足の対応に対して様々な回答があるのですが、そのうちの一つに、AIやIoTをどれだけ活用しているかという項目があり、極めて低いです。業務改善努力の回答率が一番高く、いわば現場のガッツで対応しており、AIやIoTの活用との回答率は極めて低い。ちなみに賃金上昇も高くない回答ですけれども、そういう調査があります。
また、中小企業に関して見れば、中小企業だけじゃなくて中堅クラスかもしれませんが、商工会議所なども、そうした取り組みに関するアンケート調査を行っていたと思います。そうした調査は比べていくことは可能なのではないかと思います。AIやIoTは意外となかなか活用されていません。活用できる人材が不足しているという問題と、活用の仕方が経営者に見えてきていない、まだ腑に落ちていないという両面あるように思います。
○守島部会長 ありがとうございます。そんな点も、もし可能であればぜひ入れていただきたい。
では、大竹さん、お願いいたします。
○大竹委員 3ページ目の「今後、留意すべき」というところが今の議論とかかわる話だと思うのです。新技術の開発・実装は利益が確実に見込まれる領域というところが書いてあって、それには2つの意味があって、見込まれることを知っている経営者と、それを知らない経営者があって、中小企業の経営者というのはそういうことをよく知らない。だから、導入しないという部分もあるのかなと思います。ですから、ここが経営者のリテラシーみたいなところによって格差が生まれているというのが1つ。
それから、資金制約もあると思います。新技術の開発・実装で利益が確実に見込まれるということを知っていても資金がないからできないということですね。
もう一つは、新技術の開発・実装によって利益が見込まれるかどうかが本当に不確実なのです。この場合は、実証実験を行って不確実性を減らすことが必要です。新技術の導入でうまくいくのではないかと思っているけれども、実例がなくて不安だというケースであれば、北九州のロボットを利用した介護事業のケースのように、実証して成功事例がでてくれば、新技術導入がうまくいくのだという知識が広まっていく。
本当に不確実なのか、知らないだけなのか、資金がないからなのかという3種類ぐらいに分けると、もう少し政策的なメッセージがはっきりするように思いました。
○守島部会長 ありがとうございました。
これは私の感想なのですけれども、最後の日本人の幸福度を高めというような、本当の最後のパラグラフがありますね。これは、最後に書いていないといけないですか。最初のところに、一種のビジョン的な位置づけとして持っていくことというのはできないですか。つまり、先ほども川﨑委員からお話があったように、これは結構ネガティブトーンと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、大変だ、黒船が来たぞというトーンで比較的入っているのですけれども、その黒船が来たことを利用して、どういう社会をつくろうかという部分がもう少し最初に出てきたほうが、こういう報告書には珍しいのかもしれませんけれども、そんなことが出てくるといいかなという感じが私はちょっとしました。
○長谷川委員 先生がおっしゃったこと、前回もそういう話をしましたね。AIを活用すると、お先真っ暗ではなくて、こういう社会になるという全体的なグランドデザインがないと、そこを理解するのはなかなか難しいですねという話を前回の部会で議論をしました。
○守島部会長 ありました。ただ、グランドデザインを書くのは結構大変なことだと思います。このぐらいの話であれば前へ持っていってもいいかもしれない。
ありがとうございます。
では、武田委員、お願いします。
○武田委員 今の話との関係ですが、私もそのご意見に賛成です。なぜかというと、逆の視点で見れば、正直、これは日本にとってチャンスなのです。人口が減少する。そして、超高齢化社会で、シニアは体力が衰える中で、それを補える技術が出てくるということですから、いろいろな意味でポジティブな面も当然あります。先ほども申し上げたように、そういう変化に適用した労働市場をつくることができさえすれば、日本はむしろ世界の中でも、より健全な豊かな社会を実現できる可能性を秘めているところが伝わるといいのではないかと思います。
2つ目ですが、大竹先生がおっしゃった分類、クリアでわかりやすかったと思いますが、最後におっしゃった実証は、私もとても重要だと思っています。中小企業は単体で投資のリスクを負ってやるのは、正直難しいと思います。だからこそ、最初はどこかで試験的に、北九州市みたいに前向きな地方自治体、あるいは国レベルでうまくそういう仕組みを幾つかつくっていき、現場でモデルケースをつくっていくことができれば、それを横展開していく。
そこで出てくるメリット、デメリットを整理して、何をアジャストすれば、より問題なく、ネガティブな面も克服しながら広げていくことができるのかわかります。労働市場について、実証をやっていくことが今、求められていると思います。それをもとに、中小企業も含めて広げていくことができれば、最後は民間のビジネスベースに乗ってくるのではないかと思います。そうしないと、日本全体の対応が遅れてしまい、特に中小企業は1社ではなかなか進められないのではないかと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
あと、森戸委員が最初に言われたことに近いのですけれども、AIとかITが入ってくると、雇用類似の働き方だけでなくて、ここにも書いてありますけれども、クラウドソーシングとか、個人と組織との関係みたいなものが大きく変わってくる可能性があるので、どういうふうにそれを解決していくのかというところまで書き込むのは、多分とても難しいだろうと思うのですけれども、そういう可能性があるので、いわゆる集団的労使関係であるとか、労働争議であるとか、そういうものももう一回見直していかないといけないという点も入れておいたほうが、私は皆さん方の議論を聞いていて、そういうふうに思いました。そこまでの波及効果があるだろう。
特に、それは厚労省マターですから、そこのところは少しメンションしておいたほうが、私はいいような気がしました。
ほかに、どなたか。大丈夫ですか。
では、村山さん。
○村山労働政策担当参事官 本日は、貴重な御意見を多々いただきまして、ありがとうございました。
字句の修正、具体的にいただいたところは、各委員の御指摘を極力踏まえて対応したいと思っております。
その上で、横串のテーマについて、今までの議論からさらに一段深めた御提起もいただきましたので、私どもからお話しするのは僣越なのですけれども、何点かについて、確認させていただければと思います。
第一に、後藤委員、大竹委員、長谷川委員を始め、多くの委員から格差の問題について御提起いただきました。本日の「素案」で、「著しい格差」と書いたのは、格差自体がということではないと感じ、こういうふうに書いた訳です。踏み込みと考え方の整理が足らなかったと思います。先ほどの大竹委員の御指摘をいただいて、確かにスキルがあって、稼げる人が稼ぐということは、これからの成長の源泉として大事なことであり、それを減殺しないような意味で、どういう表現にしていくか、考えなければいけないと考えました。
第二に、技術革新についていけない方々についての御指摘、本日も多々いただきましたけれども、具体の政策でなくても、より具体の対応策についてのメッセージを出せるかについては、次回でもいいのですけれども、委員の先生方の御意見をいただくことができればと考えています。
労働法制的に言えば、例えば労働市場の底が抜けないようにするための最低賃金の制度みたいなものはますます大事になりますよとか、あるいは教育訓練とかに関しても、やりたい人がやるではなくて、必要な方にきちんと必要なアナウンスが行くとか、労働政策的にはそういったことなのだろうと思いますといったことも考えられます。けれども、一方で本日の御意見も含めて、ついていけない人は、AI等の新技術が入ってくると、今までとは違うような規模で出てくるのではないかという話がある。
それに対して、全体に明るいメッセージあるいは未来志向のメッセージを出すべきではないかといった点については、また御意見いただければ、勉強させていただいて、できるだけ紹介していきたいと思っています。
第三に、長谷川委員から新しい貴重な御指摘をいただきました。長谷川委員の御発言をそのまま使うと、AIと女性の労働の問題についてです。例えばアルバイト的な働き方とか登録型派遣の方を恐らく念頭に置かれてのお話だったと思います。日本の場合、職務を切り出すとか分離させて、いわゆる非正規雇用と言われるような働き方の方々が担っている職場こそ、AI等による代替の可能性があるので、どういうふうにそれらの担い手の方々の教育訓練とか職種の再転換していくことが大事ではないかという提起について、おっしゃるとおりだと思います。
その上で、まとめ方として、「女性」というキーワードと、いわゆる「非正規雇用」という切り口と両方いただいたと思うのですけれども、どっちを軸にしてまとめるかによって、報告書の印象やメッセージがかなり違ってくる面もあると思います。
例えば、「女性」という切り口でいくと、テレワークのお話なども他の委員からも出ましたけれども、AIやICTの発達によって、いろいろな制約条件とかワーク・ライフ・バランスの観点からは、働く人にやさしい面もあるじゃないかというような面も出てくるというところもあると思います。
一方で、働き方のほうから言うと、今まで特に期待成長率が低下するような最近の状況の中で、いわゆる非正規雇用がふえてきた背景には、業務を切り出して、そこは比較的人件費が安い働き方に切り出すという動きがあったのは間違いないと思いますので、むしろそうした点に着目していくのかという見方も出ると思います。この辺のまとめ方は、いろいろ御指摘もいただきながら、新しいお話でしたので、打ち出していきたいと思います。
第四に、長谷川委員、森戸委員、また大橋委員からもやや違う角度から、政労使あるいは労使関係についての御指摘をいただきました。大橋委員から、そもそもきちんと整理すべきという御意見もいただきましたので、確認でございますが、まず、雇用類似の検討等をしている中では、アプローチは2つあると思っています。大橋委員に今日御指摘いただきましたように、シェアリングビジネスとかシェアリングエコノミーから入るときは、恐らく企業間の取引関係法制からのアプローチからどう考えていくのかという一つの道筋があると思います。
一方で、森戸委員、長谷川委員がおっしゃっていただいたような、労働法制あるいはその外縁のアプローチもあるだろうと思います。厚労省での検討会でも、取引関係法制等に詳しい委員にも来ていただいて、問題の仕分けとか整理を深めていただいておりますが、そうした理解でよろしければ、両方の面から少し丁寧に書かないと、ここは報告書として難しい部分もあると思います。このため、取引関係法制類似の大企業の下請たたき防止や、あるいは公正な取引みたいなものをどういうふうに保障していくのかという領域に近い話と、文字どおり雇用類似で、典型的な雇用労働関係ではないけれども、それに近いところに分類されるような問題と、少し丁寧に書き分けさせていただいて、誤解のないようにしていければと思います。
第五に、全体に石山委員、山川委員、武田委員からも、また、守島部会長からもいただきましたけれども、メッセージとしては、素案の前向きな最後の締めの文章は、今日、御欠席ですけれども、佐々木委員がぜひどこかにこういったメッセージをということでお寄せいただいたものです。さらにもっと前面にというのはありがたい御指摘でありますので、それを踏まえてどうするか考えていきたいと思います。
第六に、昨年度の第1回目のプロセスの中でも最後に御議論いただきましたけれども、標題は、今日はブランクになっておりますけれども、どんな標題で、この御議論の積み重ねを打ち出していくのかというあたりについては、今日の御議論も踏まえて、次回までに準備させていただきたいと思います。
第七に、他省庁の施策へのリファーといったところが不十分な点につきましては、今日まで準備不足で申し訳ありませんでした。事実経過だけ申し上げますと、実は今日書いている中身に関しては、関係省庁に全部見ていただく、御理解を求めるという作業をやっておりまして、こういう議論について各省とも好意的に受けとめていただいておりますので、さらに今日の御議論の状況も伝えながら、そこは深めていきたいと思います。
第八に、他の行政分野の話もかなり混じる報告書になって、労政審で取りまとめていただく報告書としては、やや通例とは異なる性格のものになりますので、できれば後ろに資料編のような形で、これまでヒアリングで確認していただいた具体的な事例とか、委員の先生方からプレゼンテーションしていただいた内容とか、あるいは本日も武田委員から御紹介がありました基礎的なデータのようなものでありますとか、そういったものに関しましては、全体として、後ろも見ながら前も読むと御理解も深めていただけるようなことも、また委員の皆様方の御指導をいただきながら進めることができればと思っております。
ほかにも多々御意見いただきましたので、できるだけ踏まえて修文したいと思います。可能であれば、非正規雇用と女性のあたりをどんな打ち出しにするかについてのお考え、イメージがもしあれば、教えていただければというのが率直なところでございます。
○守島部会長 お答えになりますか。
○長谷川委員 非正規労働者に女性が占める割合は大きいわけですね。それと派遣労働者とかパートとか有期契約労働者も同様です。確かに、有期契約労働者のところが最近、男性の契約社員も多くなってきているとか、高齢者も多くなってきていると言われていますが、女性が多いことは事実ですし、AIと女性労働をテーマに研究している方もいらっしゃるとお聞きしています。私は、女性労働者も、AIによる仕事の変化と自分たちということについて問題意識を持ってもらいたいと思っているので、どのような表現でどの程度書くかというのは少し慎重さが必要だと思いますけれども、私はあってもいいのではないかと思っています。でも、それは皆さんともう少し議論していただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかの方、いかがでしょう。山川委員。
○山川委員 女性が女性について語るのは、いろいろな派閥があるから極めて危険なのですけれども、私は個人的には「女性」という言葉は余り使ってほしくないというのがあって。結局、女性の問題は大き過ぎるじゃないですか。AIだけじゃないし、そもそも働き方改革のところからの話で、結局、女性が家事と育児ばかりやっているから非正規に行ってみたいな話で。その構造を維持したまま、女性をどう保護するのかと勘違いされても困るし。書いてほしくないというわけじゃないけれども、仮に「女性」という言葉を書くなら、かなり慎重に考えていただかないと、ビックピクチャーをなくしがちというか。
あと、女性のことについては、いろいろな人のいろいろな意見がすごくありますね。だから、結構難しいのではないかなというのが私の率直な、今、聞いただけでの感想になります。
○守島部会長 では、どうぞ。
○長谷川委員 パートタイム労働者の問題と言うと女性はすごく関心を持つ。それと、有期契約労働者の問題というとすごい関心を持つ。だから、この間の働き方改革で、パートとか有期の改正をやるときはみんな関心があった。ところが、司法制度改革というときは、女性の関心はずっと後だったのです。女性もしっかり入れろという話が後で出てくる。
今回のAIの問題というのは、先ほども言いましたけれども、銀行とか企業の総務とか地方自治体というところの事務職には女性が多く働かれています。その女性は大体非正規職員として働いているのですけれども、その方々が職種転換するときに、新たな職種に必要な能力を身に着けるのに非常に時間と費用がかかると思います。そういうことに対して、ポジティブに研修や訓練を受けて、自分たちも労働移動していく、新しい仕事につくという重大な時期なのですけれども、そのことを受けとめるメッセージみたいなものが私はあってもいいのかなと思っています。
いずれにしろ、そのときは余り関心がなくても、実際に労働移動が始まったり、合理化が始まったら、「どうしてくれるのか」となるのははもう目に見えています。恐らく労働組合は、合理化の協議の場面で、要員をどんなふうにして段階的に縮小していくかというときに、能力開発が必ず問題になってくることは目に浮かぶのですけれども、こういう議論をしているときには、そういう女性の声というのはなかなか出てこない。女性も二極分化しているので、非常に高いスキルを持って社会で活躍する女性と、最賃ぎりぎりのところで働いている非正規の労働者と、そこも男性と同じように分かれてきているので、書き方や表現の工夫は必要だろうなと思っています。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、大竹さん、お願いいたします。
○大竹委員 1つの書き方は、例えば3ページの上のほうで「定型的なタスクからなる職種」とあって、そこが影響を受けるというのが書いてあるので、長谷川さんがおっしゃったような非正規、派遣は、こういう分野では多いので、そこが影響を受ける可能性があるという書き方というのはありかなと思います。
似たような話は、さっきのコールセンターの話もそうですし、販売員などもそうですけれども、今までは、コールセンターでもいろいろなことを記憶していないとだめだった。販売員も商品知識がないとだめだと言われたのですけれども、全部コンピュータでやるので、人を怒らせないようにとか、お客さんの要望をうまく聞き出すという能力のほうがこれから大事だと。同じ仕事をしていても、必要とされる能力が変わってきているというのは事実なので、それも含めて、こういう職種では大きく変わってきている。
女性と書くかどうかは別ですけれども、ここで書いてある介護の話もそうですし、女性が働いている比率が高い分野で大きな影響を受けるというのは事実かなと思います。だから、節を分けて書くというよりは、この中にうまく書き込むというのは1つかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
川﨑委員。
○川﨑委員 ありがとうございます。
確かに大竹先生おっしゃるとおりのところはあるかなと思うのですけれども、今回、AIが入っていくことによって、事務職部分で働いている人たちの雇用がより不安定になっていくのではないか、そこに入る女性の問題がクローズアップされるのではないかというところが大きいバックグラウンドにあるかと思うのですけれども、女性に限定してしまうと、どちらかというといろいろな色がつくという懸念があるのも、そのとおりだなと思う。
そうだとすると、AIが労働に入ってくることによって、非正規雇用を含めて、不安定な就労関係にある人たちをどういうふうに減らしていくような、それがセーフティネットなのか、知恵なのかみたいなところへの着眼が必要だとか、そういうところで少し。それが女性に限定されるような形というよりは、幅広く、そういう問題が起こり得るみたいな観点のほうがいいのではないかという印象です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では。
○後藤委員 山川先生がおっしゃっていたことも、まさにそのとおりだなと思っているのですけれども、実際、現場で働いている方々の状況を見ると、結局、これからAI等の新技術が入ってきたものについていくためのエンプロイアビリティを高めていかなければいけないということにどう気づいてもらうかということだと思います。それは、性別に関係ないと言いつつも、例えば我々の組合員アンケートでは、ここまででいいやと思ってしまっている人たちというのは、相対的に女性が多いという結果も出ています。
ただ、確かにそれに直接触れるわけにもいかないのですけれども、報告書の中でこういう職業がAIに代替される対象となるとなったときに、これが自分のことなのだとどう捉えてもらえるかという表現が私自身もないのですけれども、もう少し自分事化して、自分の仕事が将来減っていく、あるいはスキルチェンジしていかなければいけないということを、もう少しいい意味で危機感を持って捉えてもらえるような表現ができればと思います。それが章立てを変えるのかというのはテクニックの問題だと思いますので、その辺はもう少しうまい表現を探していただいたほうが備えやすいのかなと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
私は社会科学者なので、データというものを割合重視するのですけれども、今、後藤委員が言われたようなことを盛り込んで、その部分をある程度表に出す。だから、女性がという話ではなくて、そういう側面がある、そこまででとめてもいいのかもしれないですね。そういう形の入れ方というのは、さっき大橋さんが言われたことも含めて、定型的な職種が多いというのもそうだし、女性とAIとの距離感が比較的あるというのがデータで出てくると、私は中立的に出てくるのではないかなという気はします。
今の点については、そのぐらいでよろしいですか。
ほかに。ありがとうございます。
それでは、一応、これで今日の議論は終わりにさせていただきたいと思います。本日は、大変活発な御議論をありがとうございました。
事務局におかれましては、御意見を踏まえて、次回に向けての報告書案をつくっていただければと思います。
次回は、これに基づいて、さらに議論を進めていくことになると思いますので、皆さん方、お忙しいとは思いますけれども、またぜひよろしくお願いしたいと思います。
では、最後に、事務局から、次回日程についての御報告をお願いいたしたいと思います。
○新平労働政策担当参事官室室長補佐 次回の日程ですけれども、6月14日の開催を予定しております。詳細につきましては、改めて御連絡さしあげますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
それでは、本日はこのぐらいで閉会とさせていただきたいと思います。
本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規定により、部会長である私のほか、2人の委員に署名をいただくことになっております。今回につきましては、川﨑委員、山川委員に御署名人になっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の会議は、これで終了といたしたいと思います。皆さん方、お忙しい中、どうもありがとうございました。