2019年05月30日 第15回食品衛生管理に関する技術検討会 議事録

日時

令和元年5月30日(木)10:00~11:13

場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館 ホール11A

議題

  1. (1)食品等事業者団体が策定した衛生管理計画手引書案の確認
       ・ソース類の製造
       ・ジビエ処理施設
       ・飲食店等でのソフトクリームの調理
     
  2. (2)その他

議事

議事内容
○五十君座長 それでは、定刻になりましたので、第15回「食品衛生管理に関する技術検討会」を開会いたします。
 本日は、朝倉構成員、池田構成員、河村構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、オブザーバーといたしまして、国立保健医療科学院の温泉川上席主任研究官と農林水産省食料産業局食品製造課食品企業行動室の清水課長補佐に御出席いただいております。
 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○福島HACCP企画推進室長補佐 ありがとうございます。
 それでは、資料の確認の前に、前回、名前だけ紹介させていただきましたが、本年4月1日付でHACCP企画推進室長に横田が着任しておりますので、御紹介させていただきます。
○横田HACCP企画推進室長 横田でございます。よろしくお願いいたします。
○福島HACCP企画推進室長補佐 それでは、資料の確認をいたします。
 本日は、ペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、資料については、厚生労働省のホームページに、昨日、掲載をしております。
 御用意している資料ですが、資料1として「ウスターソース類のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(案)」。
 資料2として「小規模ジビエ処理に施設向けHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(案)」。
 資料3として「ソフトクリームの衛生管理(小規模な一般飲食店でのソフトクリーム販売における注意ポイント)」。
 参考資料1といたしまして、本技術検討会の開催要領。
 参考資料2といたしまして、衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(第3版)を御用意しております。
 資料の不備等がございましたら、事務局のほうまでお知らせください。
○五十君座長 それでは、議事に入ります。
 本日は、食品等事業者団体が策定した衛生管理計画手引書(案)の確認です。
 確認の進め方は、いつものように手引書(案)を作成した事業者団体から10分程度で説明していただいた後、構成員の皆様より10分程度の質疑応答をお願いしたいと考えております。
 時間が超過しそうな場合は、途中で声をかけさせていただきますので、議事録に皆様の御質問を残すために、質問の要点、概要のみを御発言いただきまして、詳細につきましては、後ほど事務局にコメントとして御連絡をいただく形で進めたいと思います。
 それでは、事務局より説明願います。
○福島HACCP企画推進室長補佐 それでは、資料1のファイルをお開きください。
 こちらは、一般社団法人日本ソース工業会様が作成した「ウスターソース類のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(案)」となります。
 こちらにつきましては、団体様のほうから厚生労働省のほうに御相談いただきまして、本年1月に構成員の先生方と事前の意見交換を行わせていただきまして、その際の御意見を踏まえて修正いただいた手引書(案)について、本日、御説明いただこうと思います。
 それでは、一般社団法人日本ソース工業会様から御説明のほうをよろしくお願いします。
○一般社団法人日本ソース工業会 ソース工業会の堤でございます。よろしくお願いいたします。
 私のほうから、本手引書の対象品目、また、私どもの業界の実情を簡単に御説明させていただきます。
 今回の手引書、ウスターソース類という形で提言をさせていただいております。
 広い意味でソースというのは、液体調味料の総称ですので、トマトケチャップなりマヨネーズなり、そういったものもソースと呼ばれていますが、私どもは、いわゆるウスターソース類、これは食品表示基準の中でも別表で個別品表として定義をされてございます。
 いわゆるウスターソース、中濃ソース、濃厚ソース、市場では一般的に濃厚ソースのことは豚カツソースと呼ばれております3品目を定義してございます。
 また、私どもの対象業種となる業界の概況でございますが、なぜ、B基準なのかということでございますが、私ども日本ソース工業会、会員数は、現在、69社ございます。会員企業内の従業員数50名以下で製造している会社が約8割ございます。
 また、昨年の生産量を見ましても、ウスターソース類で約9万2000キロリットル。うち上位7社で7万7000キロということで、上位7社で約85%の生産量を占めている。残りの15%を62社で製造しているというような状況でございます。
 また、会員企業内のJASの認証工場を持っている工場が31社、5割弱ということでございまして、会員企業内のウスターソースを製造する会社の多くは、従業員数50名以下の工場で製造しているものでございます。
 本手引書は、私ども会員企業向けに作成をさせていただいてございます。
 具体的に中身につきましては、うちの小後摩のほうから御説明させていただきます。
○一般社団法人日本ソース工業会 日本ソース工業会の小後摩でございます。
 私のほうから手引書作成に当たって注意したポイントですとか、内容の検証をさせていただきました。そちらの状況を説明させていただきます。
 日本ソース工業会では、この手引書を作成する以前に、平成11年に食品産業センターさんの補助事業を活用して、ウスターソース類のHACCP導入マニュアルということで作成させていただいたのですが、対象業種の説明の中にもありましたように、非常に中小零細、50名以下の工場においては、多数を占めている業界においては、なかなかハードルが高いという思い込みや、用語の理解ができないというところで、はなから我々はそのレベルではないみたいな思い込みのところから普及がなかなか進んでいなかった実情がございます。
 そこで今回は、基準Bの考え方を取り入れたマニュアルということで、かなりシンプルに絞った形で用語についても片仮名語やアルファベットなどを極力排除しまして、精神的なハードルを低く、中身はきちんとやるというような方向性で作成をさせていただいております。
 ウスターソース類は、通常では、pHは3.8以下ということなのですけれども、中にはpHはお好みソース等なのですが、高いものもございます。ですが、そこのpH4.4以上になりますと、ボツリヌス等、非常に危害が想定されますので、そこは対象外として、そのpH4.4を超えるものはHACCPの管理が必要になるというところを明記させていただきました。
 4.6がボツリヌスの可能性というところなのですが、若干、アローアンス等を考慮いたしまして、pHは4.4未満ということで対象を絞らせていただきました。
 前回の非公開の会議の後で、構成員の先生方からいろいろ御意見を頂戴した中で、基本的なたてつけの部分から見直しをさせていただきました。
 対象とする範囲を明確にしたことによって、危害要因分析と重要管理点の設定をシンプルにさせていただきました。
 また、危害要因分析の結果、重要管理点とならなかった工程、OPRPに該当するような工程については、一般衛生管理もしくは品質管理で管理することになります。実際の製造工場では品質にかかわる部分、食品安全にかかわる部分の管理を同時に行っておりますが、この手引書において品質管理を盛り込むと安全性に対する焦点がぼやけてしまうということを考えまして、この手引書には記述をしないということにいたしました。そこが一番大きく前回の会議の後に見直した点でございます。
 具体的な点、5つだけ簡単に申し上げますと、まず、1つ目が、本手引書の対象は、pHは4.4未満のウスターソース類にしました。4.4以上のものはHACCPに基づく衛生管理が必要であるということを明記させていただきました。
 2つ目、危害要因をHACCPの危害要因に絞ったため、酵母による変敗等も若干前回は記述していたのですが、こちらは削除させていただきました。
 3つ目、重要な管理点となる工程としておりました、充填密封工程は、工程の手引書の対象を4.4未満ということにしたために、pHでコントロールできているということから、重要な管理点となる工程からは外させていただきました。
 4つ目、ウスターソース類は、それぞれの製品設計や製造工程によって各社いろいろノウハウがございます。確認事項の基準は、最低条件ではなく、例示という形で示させていただきました。
 5つ目、原料受け入れ時チェック表と重要管理点となる工程モニタリング記録の記録については、重要な管理点に絞り込んだ様式とさせていただきました。
 続きまして、検証を行っていただきましたことについて御説明いたします。
 会員企業のうち、関東と関西の事業者、従業員が20人以下の会社さんに3社ずつ計6社で1カ月実施していただきました。
 検証した結果、おおむね問題なく実施できたという報告を6社全てから受けております。報告の中に、自社の品質管理項目をプラスした様式を作成して実施して、このようにしたということの御報告をいただいた会社もございます。
 さらに、今後の普及の予定を触れさせていただきます。
 ソース工業会では、本手引書は会員向けにということで作成してございますので、説明会を会員企業向けに開催したいと考えております。ことしの10月に東京、大阪、まず、2会場で具体的に計画をしてございます。その後も毎年、その時期に合わせて関心のあるテーマを取り上げた研修会等も実施していますので、そのような機会を捉えて普及を図るなど行っていきたいと考えております。
 ウスターソース類は、それぞれ製品の設計や製造工程に違いがありますので、各社の具体的な必要項目は、各社でふやしていただいて使い分けていただくように説明をしたいと考えています。
 会員以外の企業様には、私どもホームページを持ってございますので、そちらのほうに載せたりですとか、厚生労働省さんのホームページを御案内するなどの形をとって公表をしたいと考えております。
 以上でございます。
○五十君座長 ありがとうございました。
ただいまの資料1の説明に関しまして、御質問や御意見がございましたらお願いします。
 では、荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 ありがとうございました。
 1つ、これは、福島室長補佐に伺っておいたほうがいいかと思うのですが、一般衛生管理か、一般的衛生管理か、どっちにするかという話は、両方混在はしているのですけれども、1つの手引書の中に混在しているのは避けたほうがいいかなと思っていまして、最近は一般衛生管理ということがふえていると理解しているのですが「はじめに」のところと「目次」の中に、一般衛生管理とタイトルがありながら、中が一般的衛生管理となっているところがあるので、エディトリアルですが、整合させていただきたいのですが、どうしましょうか、的は外しましょうか。
○福島HACCP企画推進室長補佐 ありがとうございます。
 実際に今、政省令の作成をしているところでして、そちらのほうで最終的にどういった記述になるかというところとも関係してくるかと思いますので、特にどちらかということでもないのです。それに合わせて、最終的には、全ての手引書について調整するような形になると思います。
○荒木委員 今のところは、文章の中ではそろっているほうがいいという程度と。
○福島HACCP企画推進室長補佐 そうですね。最終的な政省令に合わせて記載を合わせていただくということにしたいと思います。
○荒木委員 はい、わかりました。
 あと1点、記録の例で伺いたいのですが、毎回申し上げているのですが、逸脱があったときどういう活動をするのかということを記録に残していただきたいので、特に13ページの様式と、14ページの記入例で、ちょっとお話を伺いたいのです。
 殺菌のところは、実はpHを合わせた上で殺菌するのですね。ということは、pHの調整を失敗するということはあるのでしょうか。pHははかりながらやるのでしょうか、それともでき上がった後でpHをはかるのでしょうか。
○一般社団法人日本ソース工業会 基本的なウスターソース類の原材料の主なものに醸造酢がございます。それで、レシピどおりにきちんと調合すると、おのずとpHは3.8前後になるのですけれども、そこはpHを見ながら調整するというよりは、配合して調合した結果、逸脱していないことを確認するという扱いです。
○荒木委員 それは、殺菌よりも前に。
○一般社団法人日本ソース工業会 前です。
○荒木委員 でも、そこで逸脱があって合わないということは、普通に考えたら余りないですね。
○一般社団法人日本ソース工業会 現実的には、余りないです。
○荒木委員 したがって、殺菌が重要だということになりますね。殺菌工程は重要ですということで、CCPにしていただいているのですが、14ページの殺菌温度と殺菌時間の確認結果は、逸脱のない例なので、どこが一番、エラーを起こすとすると何でしょうかということなのです。温度が低かったとか、時間が足りなかったとか、どっちでしょうか。
○一般社団法人日本ソース工業会 私ども、技術委員会を中心に検討をさせていただいたので、ちょっと技術員のほうから説明をさせていただきます。
○一般社団法人日本ソース工業会 恐らくですが、調合のタンクでの昇温で、ここまで上がらないということが、このぐらいの温度なので、めったには起こらないと思うのですけれども、可能性としては起こり得るのかなというようなことです。
○荒木委員 HACCPというのは、通常起こり得る最悪の変動で、逸脱したときにどういう改善措置をとるかというので、これで全てが決まるのです。
 ということは、記入例には、こういうときが失敗なので、こんなときは、こんなふうに再殺菌したとか、そして、殺菌の時刻も、これは書いていないわけですけれども、例えば、再殺菌するときの時刻などが書いていないので、特に逸脱をしたときの処置方法に関しては、対象となった製品とか、再処理をした、その時刻などを記録していただきたいのです。
 そうすると、右端に全部罫線が入っているのが、実は、これは毎回申し上げているのですが、邪魔なので、ここをばっさりとっていただいて、逸脱のときにどういう処理をしたのかを書いていただきたいのです。
 だから、例えば、ストレーナーの目開きがおかしかったとき、どんなことを皆さんにしていただきたいのか。言葉ではなかなか書きにくいものを、こういう見本の中で示しておいていただきたい。こういう記録を残すと、結局バツがないようにと、失敗がないようにということですけれども、HACCPは必ず失敗がある、そのときどうするかというのがポイントなので、ぜひ記録様式の記入例を見直していただけるといいなと思います。
○五十君座長 どの手引書もそうなのですが、具体的な失敗例をわかりやすく入れていただけると、非常に参考になると思います。ぜひその点は検討していただきたいと思います。
○荒木委員 そのときに時刻が大事だと申し上げたので、例えば、記録者とか確認者の日付も注意が必要なのです。これだと、山田さんが記録をして、確認者が田中さんになっていますけれども、逸脱時の処置を山田さんができるようになっているのか、あるいは田中さんと相談してやったのか、あるいはバッチを保留しておいて翌日何か処置をしたならば、完了したのは翌日かもしれません。そういう日付と時刻、要はアリバイなのですが、これをそのときだけきちんと残すように書いていただくとわかりやすいと思います。
○五十君座長 よろしいですか。
○一般社団法人日本ソース工業会 ありがとうございます。そのように修正したいと思います。
○五十君座長 では、鬼武委員、どうぞ。
○鬼武委員 手引書の内容については、非常にわかりやすくまとまって、いいと思います。
 1つだけ、今回の範囲の問題で外れるpHが4.4以上のお好みソースみたいなものは該当しないということで、そのことを明記したということなのですけれども、それに関連して、69社さんで、実際にお好みソース類に対象とする商品を製造されているところは何社ぐらいあるのでしょうか。それとも、今回は、ほとんど対象にしていないということ自体は余りつくられていないということなのでしょうか。それとも特定の地域とかでつくっているとか、そういう状況が何かあるのでしょうか。関連しての質問なので、どういう扱いになるのかということ。
○一般社団法人日本ソース工業会 今、対象外になるようなお好みソースというのは、多分、69社のうち半分程度はつくっているとは思いますが、ただ、pHは、そんなに高くない商品だと思います。
 今、4.4を超えるような商品というのは、恐らく特定の都道府県でやられている商品で、多分5、6社あるのではないかと思います。
○五十君座長 よろしいですか。
○鬼武委員 わかりました。範囲で対象外のものがどういうふうに扱われていて、どういうことになっているかというのをお尋ねしたかったので、それは、また別途考えられるということですね、わかりました。
 ありがとうございました。
○五十君座長 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 そこで質問なのですけれども、4.4を超える場合は、何でフルセットでやってくださいというのかというハザードに対する重みづけというか、それがないのですけれども、そこは書いておいたほうがいいのではないですか。ボツリヌス菌の制御という観点からいって、4.4を超えたら考え方を取り入れてやってください。
 そうなると、先ほどのpHの調整だとか、そのあたりがCCPとなるのか、OPRPかわかりませんが、重要な管理の1つにはなってくるだろうということで、そこの科学的情報がないといけないかなと、ちょっと不足するかなという気がしました。
○五十君座長 先ほど解説のときにおっしゃっていたような内容を文面に入れていただければ十分と思うので、検討していただければと思います。
 ほかにございますか。
 富松委員、どうぞ。
○富松委員 1つ質問をさせてください。
 ウスターソースの表示基準には多分合わないと思うのですけれども、ゴマだの、タマネギの粒だのというのが入ると、もうウスターソースにならない、要は、それは即HACCPに基づく衛生管理をしろという解釈でよろしいでしょうか。
○一般社団法人日本ソース工業会 いえ、ゴマですとか、今、おっしゃったタマネギのみじん切りの細かいものみたいなものは、一部原料として使う事例はありますし、このウスターソース類の範囲に入ります。
○富松委員 それであれば、そこを明記されたほうがいいかなと、額面どおりに見て監視・指導を受けますと、ゴマが入っているから対象外ではないのみたいなことにはならないですかね。心配しているのは、それだけです。
○一般社団法人日本ソース工業会 ただ、今の定義の中で、ゴマやタマネギというのは、具体的にゴマとはなっていないですが、排除しない読み方になっているかと思います。
○富松委員 表示基準をながめると、ここに書いてあるとおりのことが書いてあったので、固形物が入っているのは、どういう扱いになるのだろうかと、きょうは、それを聞いてみようかなと思ってまいりました。
○一般社団法人日本ソース工業会 大きな固形物というよりは、すり下ろしてみたいな形なので、マルのままではないので、定義上は、そこまで読めるという判断をしております。
○五十君座長 恐らく1ページの表示基準のウスターソース類ということが、今の根拠ということになりますか。そうしますと、少しこれは違いますね。
○富松委員 パルプ質というのは書いてあるのですけれども、頭の中をよぎったのは、ゴマみたいなものが入っているというのをちょっと想定したもので、でも、ほぼ同じ危害要因で、同じように対応できるのかなと。
 ストレーナーのメッシュも例では2ミリ以下を使っていらっしゃる、ポールフィルターを使っているので、多分、そういうものも対象にしているのだろうなと思うと、この辺まで範囲に入りますというのを、この手引書で明記しておいたほうが中小の方は使いやすいのではないかと思いました。
○一般社団法人日本ソース工業会 ありがとうございます。
 ちょっと検討して補足の説明を入れたいと思います。
○五十君座長 よろしくお願いします。
 ほかにありますか。よろしいですか。
 それでは、質問がないようですので、次に参りたいと思います。どうもありがとうございました。
○一般社団法人日本ソース工業会 ありがとうございました。
○五十君座長 続きまして、資料2につきまして、事務局より説明を願いたいと思います。
○福島HACCP企画推進室長補佐 それでは、資料2のファイルをお開きください。
 こちらは、一般社団法人日本ジビエ振興協会様が作成しました「小規模ジビエ処理施設向けHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(案)」となります。
 こちらにつきましては、団体様のほうから厚生労働省に御相談いただきましてから、本年3月に事前の意見交換を行わせていただきまして、その際に、構成員の先生方からいただいた御意見等を踏まえて修正いただいたものになります。
 本日は、こちらの手引書(案)について、団体様のほうから御説明をいただきたいと思います。
 御準備ができましたら、日本ジビエ振興協会様、よろしくお願いします。
○日本ジビエ振興協会 日本ジビエ振興協会の、私、副代表理事をしている森田幸雄というものです。よろしくお願いいたします。
 まず、この手引書についての説明ということですけれども、手引書の対象商品ということになります。
 目次の下「1.はじめに」のところにも書いてあるのですけれども、本手引書は野生鳥獣(イノシシとシカ)を処理する、食品衛生法の食肉処理業の許可を有する施設で、従業員10名以下の施設用としました。また、自動車(ジビエカー)で解体する施設も対象というふうにしました。
 実際、昨年度の調査等では、ジビエを処理した施設は590施設がありまして、従業員10名以下というと、ほとんど99%は、そこに入るということになります。
 あとは、別口で、北海道等は、エゾシカを処理しているところで、大手のところは全部HACCPが、もう自治体で入っているものですから、10名以下という形でいけば、ほとんどのところが入るであろう、もっと大きいところは自治体関係でHACCPを入れてくれ、または入れてほしいという形で、10名以下という形にしたということになります。
 あと、私どもの業界内での位置づけということですけれども、実際、この業界、ジビエ振興協会自体も発足して3年目ということになりますけれども、主な会員は、もちろん個人会員としてジビエをやっている方々もいるのですけれども、多くが自治体ですね、町、市町村等または県とか、そういうものが多くなります。
 ということなので、本当に私どもがつくって、それをいろいろと研修という形ではやりますけれども、どこまで行くかというのは、今後、私どもも考えていかなければいけないかなと思っているということになります。
 あとは、自治体によって自治体自体が条例である程度つくっているものもあります。私どもは、ある面、そういうものがないようなところも含めてという形でもっていっているということになります。
 手引書を作成する上で、特に留意したポイントということですけれども、とにかく厚生労働省からはガイドラインというものが出ています。だけれども、それは、あくまでもガイドラインなので、果たしてどこまで盛り込むかということです。ですから、区画というところは、本来は入れたいのですけれども、食肉衛生法上の食肉処理業の基準等を見ますと、そういうことを一切言っていないようなものですので、その辺で苦慮したということになります。
 とにかく、加熱工程がない、処理工程ですので、食肉と同等、食肉処理、と畜処理という形で考えますと、もう一般衛生管理が、まず、メインなのだということです。
 あとは、糞便汚染等つかないというようなところ、ただ、それというのは、ゼロトレランスなのですけれども、はっきり言って、HACCPまたは衛生管理、この書類すら余りつけていない人にゼロトレランスという言葉、そういうものとか、どこまでやったらいいのかということで、とにかく枝肉がなったときに獣毛とか糞便がない、あらゆるところで、その後に消毒をしているものですから、では、洗浄、消毒というところをある程度重点ポイントにしようかなと思っています。
 ただ、あくまでも一般衛生管理、あと手技です。これでは書いていないのですけれども、手技的なものでいかに糞便汚染をしない枝肉をつくるのが重要かというところ、本当は、そのテクニックのほうが重要なのだということで、もちろん手引書というものをつくり、あとは公開して普及するのもありますけれども、もう一つ、ジビエ振興協会等では、ガイドラインに沿ったジビエ処理をするためには、こういうふうにしたらいいですよというような別口でつくろうと思っています。
 あと、もし、HACCPをやるのだったら、ある程度これがモデルプランですよというような危害要因分析等は、もう大体つくっておりますので、公開しようかなと思っております。
 ということで、まず、何も知らないような、失礼ですけれども、ある程度業態としては、そういうものですので、かなり抵抗はあるかもしれませんけれども、この様式と、この様式が来たら、これとこれをチェックする。一日の処理が終わったら、この書類を書いてくれと、1カ月ごとに検証ということで、これをチェックしてくださいというような、とりあえず様式をつくって、それをチェックすることによって、ある程度一般衛生管理が進むというようなこと、そういう形にしたというのが、この手引書を作成する上で苦慮したポイントということになります。
 結局、この中では、一番最初に、これは食品の中でも、かなりリスクが多い食べ物なのだということを、まず言って、その後に8ページぐらいで、とにかく5S活動が重要なのだと入れて、それから、一般衛生管理のポイントということですけれども、1から4を入れてということを書かせていただいたということです。そして、それのチェックをしてということです。
 さらに重要管理ということでは、施設によって異なるのですということです。逆に書いてしまうと、それのとおりしかやらないような気がしたものですから、過去に不良品等の苦情があった箇所を重要な管理とします。
 例えば、と体洗浄・消毒というところ、あと冷蔵、金属検出ということを例に示したということで、あくまでもここは例ですよという形で示させていただいたということになります。
 その後、17ページからということですけれども、計画に基づく実施ということで、これ自体が本当に様式を書いてくれと、様式を書くことである程度全部網羅できますということになります。
 ここの様式というのを、どこまで簡素化というか、少なくするかということなのですけれども、様式の項目です。ただ、ガイドラインが出ているものですから、ガイドラインを無視しろとも言えないので、とりあえず、ガイドラインどおりに書けば、全部これだけの項目ですよということで、ガイドラインに示されている項目については、それをチェックすれば、全部網羅できるようにつくったということになります。
 ですから、かなり細かくなっていますけれども、実は、日本ジビエ振興協会での認証というのが、おととしまだやっていたのですけれども、今、国産ジビエ認証にだんだん変わりつつありますけれども、そこのところでは、もうこの様式の前半部分は、これでやることによってジビエ振興協会の認定は得ますよということのシステムができているので、ある程度、やる気があるところはちゃんとしてくれるだろう。あとは、やる気のないところは教育という形で、これをやらないと、もう流通できないのだよというような形に、私どもは持っていきたいなと思っております。
 ただ、はっきり言いまして、ハンターさんが、この肉を分けてやっているのだというような発想のところというのは、本当に猟友会さんともいろいろと相談しながら全体的なレベルを上げる意味で、この様式を書いてくれと、書けば、ある程度全部チェックできるのだというような様式にしたというのが、本当に苦慮したポイントということになります。
 実際にオープンというか、いろんな方にお見せしましたけれども、やはり、こんなことができるのかということがあるのですけれども、リスクが高いものなのだということを考えると、消費者、本当に安全性の流通ということを考えると、逆にこのぐらいチェックしていただかないものは流通してほしくないなという面もあります。
 ですから、これは、日本ジビエ振興協会での意見という形になりますけれども、衛生重視という形で、このような形にした。だけれども、今後、これからの教育というのをしなければいけないというのがあります。
 あと、不足しているデータということですけれども、実際に、これをまず広報するというところも、私どものネットワークだけでは広報もできないということです。
 もう一つ、国産ジビエ認証の認証機関ができたものですから、そこにもいろいろと情報交換しながら、とにかく会員向け、プラス自治体、そして、多くのところでこういうものができたというのを広報しなければいけないというのは、これからの課題かなと思っています。
 ということで、今後の手引書云々というのは、もし、この手引書が公開まで行きましたら、ほぼ同時にガイドラインに沿った、ガイドラインどおりにやるためには、こんなことをソフト的にも、ハード的にもやったほうがいいですよというものを入れて、特に病気も含めたところでの危害要因分析です。実は、ジビエというのは、これだけのリスクがあるのだというところは、同時に公開していきたいと思っております。
 事務局からの説明は、以上になります。
○五十君座長 それでは、ただいまの資料2の御説明に関しまして、御質問や御意見がございましたら、お願いします。
 稲見委員、どうぞ。
○稲見委員 膨大な資料をどうもありがとうございました。
 1点、ちょっと確認させていただきたい部分があるのですけれども、7ページに、ジビエカーを用いた一般的な製造工程の図が出ておりまして、処理室の後に懸肉室に入って、冷蔵の後、熟成と書いてあるのですけれども、一般的に車でやったものは、速やかに処理施設に持っていくのかなと思うのですが、ここでもやはり熟成するほど長く置いておくことを想定されているのでしょうか。
○日本ジビエ振興協会 一応、中にある懸肉室に入れるということですので、行ったらすぐに食肉処理業のところに行って、すぐ分割できなければ冷蔵するということです。
 ということで、やはり、ここに1個必要ですね、申しわけございません。一応、ジビエカーの中にもちゃんと冷蔵施設がありますよということで、少し書いたということです。
 やはり、この処理業の中のところにもすぐに分割できなければ冷蔵というところが必要ですね。済みませんでした。
○稲見委員 ありがとうございます。
 あとは、少し細かいところなのですけれども「1.はじめに」のところをずっと読んでいきますと、真ん中辺に「1か月に1回、『処理施設の点検:別紙1』」とあるのですが、別紙1を見ますと、ちょっとタイトルが違っていたり、別紙2もタイトルが違っていたりしますので、もう一度、細かいところを直していただければと思いますので、よろしくお願いします。
○日本ジビエ振興協会 申しわけございません。ありがとうございました。
○五十君座長 ほかにはございますか。
 関根委員、どうぞ。
○関根委員 いろいろ御説明ありがとうございます。
 前回、私、出席をしていなかったので、多少重複したことがあったら申しわけないと思うのですけれども、前回、冷蔵庫の件で、5℃と10℃ということで御対応いただいたということで、今回、おまとめいただいているのですけれども、基本的には、このシカとか、イノシシの肉の処理で御使用になられる冷蔵庫は、基本5℃以下の管理をしてくださいという意味合いでよろしいのでしょうか。
○日本ジビエ振興協会 10℃以下が法的ですけれども、やはり、日本ジビエ振興協会としては、5℃ぐらいでやってくださいねとお願いしています。
 なぜかというと、冷蔵というところで、皆さんが熟成という言葉を使っているのです。ほとんどが熟成庫というような表現をするので、これは冷蔵庫ですよということを言っているので、あくまでも、ここの処理工程での12番の工程というのは、もう5℃以下でしてくださいねということは、こちらとしては言いたいと思っております。
 ただ、どこでどういうことになっているかわからないですけれども、ほとんどの訪問するところは熟成庫と言われている方が多いのかなと思うので、熟成ではなくて、ちゃんと冷蔵するのだというのを含めて、私は5度という形でもっていったということになります。
○関根委員 わかりました。
 それで、ガイダンスのほうには、多分、速やかに10℃以下にというような記載になっていると思います。それで、14ページに書かれている管理のポイントとおまとめいただいている一覧表を見させていただいたときに、24時間以内に肉の芯温を10℃以下にするというようなことで特記をいただいています。
 多分、速やかにという概念は、おおむねこの概念で運用していただければいいでしょうという御判断なのだと思うのですけれども、そういうことですね。
○日本ジビエ振興協会 はい。この辺につきましては、いろいろアメリカのものとかでも、ジビエの温度自体がまだ明確に、私どもも、このくらいのシカだったらどのくらいになるということのデータを得ていないものですから、一応、そういうところのものを準用したということになります。
○関根委員 ありがとうございます。
 それで、14ページの管理のところの改善措置に関連して、管理基準を逸脱している場合、枝肉の芯温を測定し、10℃以下なら作業を継続、10度を超えていたら枝肉は廃棄となっています。
 この運用上、例えば、処理をしてから2日たっています、3日たっていますという冷蔵庫に入っている枝肉の場合は、通常5度以下の冷蔵庫で運用されていれば、芯温10℃以下になっているはずなので、冷蔵庫の温度が5度以上になっていたときに、芯温10℃以上になっているかどうかを確認していただければいいと思うのですけれども、処理をして、例えば、24時間以内に冷蔵庫の温度が、基準の5℃以下になっていなかったと、その場合、どんなふうに御対応いただくのが一番いいのでしょうか。
○日本ジビエ振興協会 早目にカットしてしまったということにつきましては、あくまでも、10℃以下になる前に、5℃以下になる前に、当日の温と体カットということもありますので、もうカットしたら、その後の食品というところでちゃんと冷蔵庫に入って、いわゆるカットしてからの時間も含めて24時間以内に10℃以下にしなさいよという形になろうかと思います。
○関根委員 それで、例えば、最初カットする前は、冷蔵庫の温度が4℃という表示になっていましたと。それで、処理をした肉を入れたのですけれども、12時間後ぐらいに温度計を見たら9℃ぐらいになっていましたと、あれ、どうしようと思ったときに、では中心温度をはかってみましたと。まだ、全然10℃以下になっていませんというようなことがひょっとしたらあるのかなと、私は想定したのですけれども、そのときにどのような取り扱いをすればいいのでしょうかという御質問なのですけれども。
○日本ジビエ振興協会 本当にその辺が速やかにというところをどう解釈するかというところなのです。それで、24時間以内にというのは、ある程度、そういうアメリカの基準等をもってきたというのはあります。向こうは4.4℃以下ということになりますけれども、日本の食品衛生法では10℃以下というところです。
 ということで、もし、9℃だった場合ということでも、あと、肉もどこをはかって10℃以下とするかというのは、私も苦慮したところで、この書き方になったということです。
 済みません、宿題として。
○関根委員 非常に難しいですし、余り複雑になってしまっても、管理する上で本末転倒になるでしょうから、もともといろいろお考えいただいていたのだと思いますけれども、一応、このままだと、何となく廃棄しなければいけないという流れにはなってしまうので、余り複雑にならない程度で、その辺の取り扱いを特記事項として書けるような工夫ができれば、御検討いただけたらありがたいかなと感じました。
○日本ジビエ振興協会 どうも、痛いところを言っていただいて、済みません、実際に10℃以下になっていないと、1回10℃以下になって、それが上がることは、もうだめですよというような指導はしています。
 あとは、本当に温と体でカットした場合は、冷蔵庫に入れた時点から速やかに温度を下げてくださいということを書こうと思っております。
 検討します。済みません。
○五十君座長 よろしくお願いします。
 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 今のは、やはり、冷却の速度と、冷蔵時の温度が上がって、積分として何度以上になるというのと2つの側面があるので、そこを使い分けていただかないと、今の御質問のようになってしまうと思うのです。
 まだ、冷却の途中だったら冷やし込みをすれば助かるではないですか。それを温度が10℃になっていなかったら廃棄するとなったら、捨てなければならないものがたくさんあると。クリティカルリミットは、本当にマルかバツかを決めることなので、温度一本やりで決めてしまう場合は、改善措置の中で時間の要素を組み入れて、冷蔵庫に入れてから何時間以内であれば、適切に冷えている冷蔵庫にさらに入れて、冷やし込みをすれば助かるとしてもいいと思います。
 モニタリングの担当者が実施するCLが温度と時間の組み合わせになっていると非常に難しいので、こういうケースもあるのですけれども、その場合は、改善措置の中で、高かった温度と時間の累積を評価するとしていかないといけないかなと思います。
○五十君座長 今の点はよろしいですか。
○日本ジビエ振興協会 はい、工夫します。
○荒木委員 それから、42ページのところを見ていただきたいのですが、温度計の校正のところで、これがとても大事になるかもしれないと思ったのですが、電気ケトルはよろしいのですが、注意の2のところ、施設の海抜高度や気圧によっては、100℃にならないことがありますと、ならないことがありますではなくて、ならないです。
 これは、計算式があって、今、そういうサイトもあるのですけれども、実際にやってみると、海抜500メートルで98℃です。1,500メートルになると95℃ぐらいまで下がりますので、実際に山で猟があって処理するところの海抜は、かなり高いケースもあると思うので、実際に計算をして、こうなりますと言っておいてあげないと、うちの温度計は100℃にならないと言ってすごく悩むと思います。ここは参考を入れてあげる必要があると思いました。
○日本ジビエ振興協会 特に、ほとんどが山の施設ですので、何メートルだったらどのくらいという例示をします。
○五十君座長 ほかに、ございますか。
 鬼武委員、どうぞ。
○鬼武委員 御苦労されていろいろつくられて大変だったと思います。
 それで、ちょっとお尋ねしたいのが、4ページのところに書いてあるジビエの製品というのが、消費者だけに喫食するときに注意してくださいと書いてあるのですけれども、例えば、これがレストランとか、特別なジビエを扱っているお店とかにも行くケースはないのですか。これは、ここに「消費者は」と書いてあるけれども、消費者だけではない、どうでしょうか。
○日本ジビエ振興協会 そうですね、この流通を確保するというのがレストランですね。一般飲食店営業に卸すということになりますね。
○鬼武委員 そうですね、そこは少し修正していただきたいと思います。
 あと、上のところに、イノシシとシカの肉は、生は食べるなということを書いてあるのですけれども、実際にイノシシ、シカの血を何かに使うということもあるのですか、それはないのですか。
○日本ジビエ振興協会 私の知る限りは、血液はないですね。
○鬼武委員 わかりました。ありがとうございました。
○五十君座長 少し時間が押してまいりましたので、簡潔にお願いします。
 富松委員、どうぞ。
○富松委員 金属検出機についてお伺いしたいのですけれども、ガイドラインの中では、金属検出機により確認することが望ましいという言葉になっています。この手引書では金属検出器が必須になっていますが、これは可能なのでしょうかというのが1つ。
 もう一つは、ここの例に挙げられているテストピースが余りに小さいなと、本当に大丈夫なのかなと思います。意見は、それだけです。
○五十君座長 では、後程事務局と確認していただけますか。
 では、次に畝山委員、どうぞ。
○畝山委員 確認なのですけれども、対象がイノシシとシカで、イノシシとシカは、生きている状態で捕まえてそのあと処理することになっていると、たしか思ったのですね。
 9ページのところに「狩猟個体の受け入れの確認」というところがあるのですけれども、実は10と11ページでは、狩猟個体が猟銃個体になっていて、銃で撃って殺した個体みたいに思えるので、これは単なる間違いだと思うのですけれども、確認をお願いしたいと思います。
○五十君座長 確認をお願いできますか。よろしいですか。
○日本ジビエ振興協会 はい。
○五十君座長 ほかにはございますか。
 非常に細かいところで申しわけないのですが、2ページに「2.野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)等」のところの真ん中あたりに「内部寄生虫、外部寄生虫が100%感染・付着しています」という表現があります。これは、根拠がはっきりしません。100%という表現を使うと、これは手引書として公開されますのでご確認下さい。恐らく、ほぼ100%ということになるのですか。後の数字を見ますと、実際には九十何パーセントという数字が出てくるので、表現を少し検討していただきたいと思います。
 ほかにはよろしいですか。
 時間の関係で、後半、事務局と直接検討していただく項目がありますので、その点を含めてよろしくお願いします。
 どうもありがとうございました。
 続きまして、資料3につきまして、事務局より説明願いたいと思います。
○福島HACCP企画推進室長補佐 それでは、資料3のファイルをお開きください。
 こちらは、ソフトクリーム衛生協会様と日本ソフトクリーム協議会様が作成されましたソフトクリームの衛生管理のためのHACCPの考え方を取り入れた手引書(案)となります。
 こちらにつきましては、厚生労働省のほうに御相談いただきましてから、本年5月に構成員の先生方と事前の意見交換を行わせていただきまして、その際にいただいた御意見等を踏まえて修正いただいたものになります。
 本日は、こちらにつきまして、日本ソフトクリーム協議会様から10分程度で御説明をいただきたいと思います。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
○ソフトクリーム衛生協会 よろしくお願いします。
 私、ソフトクリーム衛生協会の事務局をしております、日世株式会社の野上と申します。
 飲食店におけるソフトクリーム調理に関する衛生管理の手引書の御説明のほうをさせていただきます。
 初めに、当文書作成に当たりまして御指導いただきました関係各所、関係各位に厚く御礼申し上げます。
 当文書の発行者であるソフトクリーム衛生協会は、全国に6地域あり、ソフトクリームの自主衛生管理を勧めることを目的とした任意の団体でございます。
 飲食店等のソフトクリームの販売店、原料メーカー、問屋が会員となって、管轄の行政及び食品衛生協会と連携し、自主細菌検査と衛生講習会の実施を主活動としております。
 毎年衛生リーフレット及びフリーザーの衛生管理点検表を作成し、講習会等で説明することで、衛生管理の向上に取り組んでまいりました。
 また、日本ソフトクリーム協議会は、ソフトクリームの品質向上と認知向上を目的とし、原料メーカー、フリーザーメーカーで構成される団体でございます。
 まず、この手引の対象ですけれども、飲食店で調理し、提供するソフトクリームとなります。乳などを主要原料として冷凍された食品であり、ソフトクリームフリーザーにアイスクリーム類評価の製造基準に求められる殺菌を行った原料を投入し、フリーザーを運転させることでソフトクリームができ上がります。
 お客様の注文に応じてフリーザーから抽出し、コーンやカップなどに盛りつけ提供、その場で喫食される食品となります。
 当文書は、加熱殺菌機能つきのソフトクリームフリーザー、原料メーカーで製造される殺菌済みのソフトクリームミックスを使用して、ソフトクリームを調理することを対象として作成をしております。
 フリーザーですが、現在、加熱殺菌機能が備わっており、営業終了時に殺菌スイッチを押すとフリーザー内の加熱殺菌を行い、殺菌後、冷蔵温度10℃以下に冷却し、営業開始前に製造スイッチを押し、冷凍され、ソフトクリームができ上がるという形になります。
 現在、市場の登録台数は約5万台と推測しており、そのうちの99%以上が、このタイプのフリーザーになります。
 毎日の分解洗浄が必要とされる薬剤殺菌タイプは0.3%程度と推測しております。
 ソフトクリームを扱う飲食店の形態は、たこ焼きや、うどん、そば店、ファーストフード、ファミリーレストラン、コンビニなど様態はさまざまですが、ソフトクリームの提供には、このフリーザーの設置は必須であり、ソフトクリームに関する管理事項は共通となります。
 この文書は、小規模な一般飲食店にてソフトクリームを扱う場合の衛生管理の注意点としてまとめました。
 一般飲食店でソフトクリームを1メニューとして扱うことを対象としておりますけれども、ソフトクリームのみを扱う場合の衛生管理としても適用できる内容にしております。
 当文書の構成といたしまして、2から3ページに衛生上の特性として、ソフトクリームの調理工程をまとめております。
 4ページ、5ページに、衛生管理に関する注意点を、次に、管理点検表の記載例、これは逸脱時の対応、前回行いました事前打ち合わせでも御指摘いただいた内容も盛り込んで記入例を作成しております。
 最後に解説として、フリーザーの衛生管理の内容のポイントを記載しております。
 また、参考資料として、ソフトクリームの法令関係やフリーザーでの作業工程の流れ、管理ポイント、点検表等の様式をつけており、最後に、現在国内にわずかに稼働しております、加熱殺菌機能のない、薬剤殺菌式のフリーザーの管理注意点も付録といたしました。
 約70年間で確認できたソフトクリームによる食中毒事例は、2010年に発生した殺菌機能の故障と見られる1件のみです。
 ソフトクリームの衛生上の特性として、ソフトクリームの調理工程は、殺菌済み原料ミックスを使用し、温度管理されたフリーザーの中で製造される商品であり、衛生管理の注意点としては、ミックス投入時や盛りつけ時の二次汚染の防止、フリーザーの洗浄殺菌、フリーザー内の温度管理が衛生管理のポイントとなります。
 このように、ソフトクリームは、一般衛生管理で対応できる食品と考え、CCPは設定しておりません。
 特にソフトクリームに関する一般衛生管理は、原料の受け入れ、二次汚染の防止、危惧の洗浄殺菌、従事者の手洗い等が重要度の高い項目となります。
 また、フリーザー内の中で調理が完結することから、特にフリーザーの正しい取り扱い、フリーザーが正常に稼働していることが重要となります。
 フリーザーが正常であることは、ディスプレイの表示やランプ点灯によって確認できます。異常があったときには、取扱説明書を確認したり、メンテナンス業者に連絡し、対応することとなります。
 手引書では、これらの注意する各管理項目について、いつ、どのように問題があったときに、どうするか、例を示して解説しております。
 当文書は、今後、原料ミックスやフリーザーの新機能の開発、店舗業態の変化等に伴い、内容の見直しも必要となります。状況に即した手引書に改訂してまいりますので、今後とも御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、以上でございます。
○五十君座長 ありがとうございます。
 ただいまの資料3の説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、お願いします。
 いかがですか。富松委員、どうぞ。
○富松委員 どうも御説明ありがとうございます。
 まず、1つ目、2ページ目の工程の説明の1のところなのですけれども、これは、文章が間違っていますね。たしか、ソフトクリームミックスは、前回のお話で、UHTとか冷蔵で90日間もつように処理されていると書いてあるのですけれども、68℃、30分の加熱殺菌と記載されています。それで常温充填できないので、多分、間違えているのではないかなと思うのですけれども、意見です。
 もう一つ申し上げたいのは、19ページに「分解洗浄後、薬剤殺菌タイプ」の図があるのですけれども、24ページの説明には、毎日営業終了後に分解洗浄を行って、薬剤洗浄をするとなっているのですけれども、このフローチャートだと、毎日は分解洗浄をやらないフローになっているので、間違えていませんかと、その2つです。
○五十君座長 よろしいですか。
○ソフトクリーム衛生協会 2ページの原料ミックスの加熱の内容に関しては、誤解がないような形で修正のほうを加えさせていただきます。
 フリーザーの薬剤殺菌タイプの分解洗浄の頻度ですけれども、ちょっと実務担当のほうから説明をさせていただきます。
○ソフトクリーム衛生協会 失礼いたします。
 19ページの作業工程の流れのほうは、加熱殺菌機能がついている、分解洗浄の初日だけ薬剤殺菌するタイプのフローです。ですので、初日以外は、加熱殺菌を繰り返すことになります。
 毎日分解洗浄するタイプのフローにつきましては、27ページに毎日の作業フローとして記載させていただいております。ちょっとまた、追加で説明が必要なようなので検討させていただきます。
○五十君座長 よろしいですか。
 ほかに御質問、御意見等ございましたら、お願いします。
 鬼武委員、どうぞ。
○鬼武委員 済みません、前回の事前打ち合わせのときに出ていないので重複していたら済みませんけれども、20ページのところ、今回、ソフトクリームという形で提供されている中に、いわゆる各提供する場で、自家製ソフトクリームというのは、いわゆるそういう呼び方でいいのですが、副原料、例えば、わかりませんけれども、乳の中に何を入れるのですかね、ジュースミックスみたいなものとか、抹茶を入れるのですか、そういうのを自家製ソフトクリームというイメージでいいのですか、どういうものを指すのですか。
○ソフトクリーム衛生協会 自家製ソフトクリームというのは、今、おっしゃられましたように、基本的には、そのままミックスを入れて機械で出せば、通常のソフトクリームが提供できるような商品として店舗様のほうに出しているのですけれども、お店のほうのオリジナルとして、そこにおっしゃられたとおり、例えば、抹茶パウダーを追加するとか、少しこだわりのある原料を加えるとか、お店のほうでオリジナルのレシピで提供されるお店もございますので、その説明として20ページのページを設けてございます。
○鬼武委員 これは、特殊というか、全体的には少ないと見ていいのですか、これだけあって、製品管理とか副原料の殺菌とか、いろいろ書いてあったので、少し気にはなったのですけれども、ここはそんなにハザードとしてもないし、リスクがないということでいいのですか。
○ソフトクリーム衛生協会 基本的には、お店のほうで判断いただいて、実施いただく内容になるのですけれども、当然のことながら、殺菌した原料を投入していただく必要がございますので、そういう工程としては、副原料の受け入れ、保管、投入というところを、ここの工程のほうに入れてございます。
 事例として多いかどうかというのは、割合的には存じ上げませんけれども、みずからこだわりのある原料を差別化して提供したいというお店さんは、こういうことをやられることも、結構事例としてはございます。
○五十君座長 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 その場合が、一番リスクが高いような気がするので、自家製ソフトクリームの乳及び、乳等省令の規格というものをどこかにちゃんと用意しておいて、こういう菌が出てはいけないのですよと、だから副原料は殺菌してくださいということを言っておかないと、何でも適宜混ぜられる可能性があって、一番怖いのは、そういう事態ではないかという気がします。
 20ページの一番下には、食品衛生法に基づく製造基準というのが、68℃30分または同等という話で書いてあるのですけれども、ゴールである自家製ソフトクリームの場合、成分規格等を満たしているか、特に注意する必要がありますというか、ゴールとしての規格を示しておいていただかないと、皆さんは当然のように思っているけれども、実際に、今、フードチェーンを動かしている方たちが、食品衛生法なりの規格基準については御存じないかもしれないと思います。
○ソフトクリーム衛生協会 わかりました。内容のほうを少し考慮いたします。
○五十君座長 恐らく今のご発言に関連すると思うのですが、副原料の殺菌と、ここに出てきています。液体物は、これでいいかもしれないのですが、固形物や粉原料を想定されていないようなプロトコールになっているのではないかと思います。そのあたりも少し検討をいただきたいと思います。
 ほかにございますか。
 富松委員、どうぞ。
○富松委員 質問ですけれども、11ページのところに書いてあるエラー表示のところなのですけれども、確認なのですが、一番リスクが高いのは、ミックスタンクの中の温度が十分に下がっていないこと。冷凍のところは、凍ったものが出てこなければ目視でわかるわけで、ミックスタンクの中の温度が、きちんとチルド状態になっているかどうかというのが、かなり大きなポイントだと思うのですが、このエラー表示は冷凍の部分も、それからチルドの部分も温度が目標値に達しなかったら、確実にエラー表示をしてくれるものなのでしょうか。
 特に、凍っているところは見ればわかるので、ミックスタンクのところの異常が間違いなく拾えるということを確認したいなと。
○ソフトクリーム衛生協会 エラーの種類には、さまざまなエラー項目がございまして、その中に、おっしゃられるように、いわゆる冷凍の部分の温度もございますし、上部のミックスタンクが冷蔵を保持しているかどうかというところもセンサーで確認してエラーが出るような仕様になっておりますので、そこの部分は大丈夫だと認識しております。
○富松委員 そこのセンサーは、定期的なメンテナンス業者の確認で維持していると、そういうロジックですね。
○ソフトクリーム衛生協会 はい。
○富松委員 もう一点、3ページの10に、手洗いの重要性が「必ず衛生的な手洗いを実施し、アルコール消毒を行いましょう」と、しっかり書いてあるのですけれども、4ページのところの「衛生管理に関する注意点」のところで、下のほうに手洗いの実施というのは別途書いてありますが、例えば、2つ目のカラムの「交差汚染・二次汚染の防止」のところには、ちゃんと手洗いをして、アルコール殺菌をするという文章を、しっかり手順として入れてあったほうがいいと思います。意見です。
○五十君座長 よろしいですか。
 ほかにございますか。
 特にないようでしたら、どうもありがとうございました。
○ソフトクリーム衛生協会 ありがとうございました。
○五十君座長 以上で本日確認していただく手引書(案)は全てということになります。
 その他、事務局から何かございますか。
○福島HACCP企画推進室長補佐 特にはございませんが、次回、第16回の開催については、先生方と調整の上、改めて御案内させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十君座長 それでは、本日の検討会は、これで終了いたします。
 長時間の御検討、ありがとうございました。