2019年5月9日 第14回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

○日時

令和元年5月9日(木) 10:00~12:00

○場所

厚生労働省 省議室
(中央合同庁舎第5号館9階公園側)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

○出席者

<専門家委員>
岩城穣委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員、山崎喜比古委員

<当事者代表委員>
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員

<労働者代表委員>
白井桂子委員、中川義明委員、八野正一委員、村上陽子委員

<使用者代表委員>
佐久間一浩委員、山鼻恵子委員、輪島忍委員

○議題

(1) 会長の選出、会長代理の指名
(2) 各省における過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について
(3) その他

○議事

○小城企画官 おはようございます。委員の皆様全員おそろいでございますので、これから会議を開催したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
平成30年12月17日付で委員の改選がございました。岩村前会長が退任されましたので、本協議会の会長を選出いただくまでの間、私が議事の進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
始めに、新たに就任された委員の御紹介を申し上げます。全体版資料を開いていただきまして、53ページの参考資料1「委員名簿」を御確認いただきながら、御紹介申し上げます。
まず、新たに就任された専門家委員の中窪裕也委員でございます。
○中窪委員 一橋大学の中窪です。どうかよろしくお願いいたします。
○小城企画官 当事者代表委員、工藤祥子委員でございます。
○工藤委員 神奈川過労死等を考える家族の会の代表をしております工藤祥子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○小城企画官 当事者代表委員、高橋幸美委員でございます。
○高橋委員 高橋幸美と申します。娘は高橋まつりと言います。大手広告代理店に就職した娘を入社9カ月後に亡くしました。過労自殺でした。私は、子供を亡くした遺族として、過労死を防止するために、微力ですが力を尽くしていきたいと思います。よろしくお願いします。
○小城企画官 当事者代表委員、渡辺しのぶ委員でございます。
○渡辺委員 東京過労死等を考える家族の会の代表をしております渡辺しのぶと申します。私は、夫を過労死で亡くしました。2000年のことでしたが、それから私の人生は全く違うものになりました。今、家族の会に所属しておりますが、ずっと家族の会で自分のことを助けていただき、それから今度は自分がほかの御遺族の力に少しでもなれるならと思って10年近く活動してきております。今回このような委員に任命されたことで、過労死をなくすために少しでも力を尽くしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小城企画官 皆様、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日は、使用者代表委員の小林委員は御欠席との御連絡をいただいております。
では、議事に先立ちまして、坂口労働基準局長より挨拶申し上げます。
○坂口労働基準局長 おはようございます。厚生労働省労働基準局長の坂口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年12月に委員の皆様が改選された後、初めて協議会を開催することとなりましたので、改めまして一言御挨拶を申し上げさせていただきます。過労死等防止対策につきましては、委員の皆様の御理解と御協力をいただきながら、過労死等防止対策推進法及び過労死防止大綱に基づきまして重点的な取り組みを着実に推進させていただいておるところでございます。
また、御承知のとおり、今年4月1日から施行されました時間外労働の上限規制、そして年次有給休暇の5日以上の付与、それから勤務間インターバル制度の導入の努力義務など、先般の働き方改革関連法によりまして改正されました労働基準関係法令の円滑な施行に取り組んでいます。
本日は、議事次第のとおり資料を御用意させていただいておりますけれども、公務員に対する取り組みも含めまして、これまでの各府省におけます過労死等防止対策の実施状況、あるいは今後の取り組みにつきまして御説明をさせていただきます。その後、委員の皆様から御意見を賜りまして、今後の過労死等防止対策にしっかりと生かしてまいりたいと思いますので、本日も皆様、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○小城企画官 本日の協議会につきましては、説明資料をペーパーレス化することとしております。各委員には配付したタブレットを用いて資料等を御確認いただきながら、御議論いただくこととしております。
資料につきましては、委員の皆様に事前にメール等で御案内したところですが、事務局提出の全体版資料のほかに、川人委員及び岩城委員から協議会宛てに提出された意見の資料がございます。
また、昨年5月、過労死弁護団全国連絡会議から提出されました脳・心臓疾患の労災認定基準等の改定を求める意見書の冊子につきまして、川人委員から追加提出がありましたので、委員の皆様には机上配付をいたしております。御確認いただきたいと思います。
タブレットの資料は、画面上のファイルを指で軽く1回タッチしていただくと表示することができますので、画面に表示されたものを確認ください。
なお、操作方法は、お手元の説明書に記載しておりますが、御不明の場合は御遠慮なく随時挙手により近くの事務局職員をお呼びください。
それでは、議事に入ります。
まず、議題の1つ目として「会長の選出」についてでございます。全体版資料の54ページに参考資料2-1、過労死等防止対策推進協議会令をお示ししてございます。協議会令第2条第1項におきまして「協議会に会長を置き、過労死等に関する専門的知識を有する委員のうちから、委員が選挙する」と規定されてございます。事務局からの提案でございますが、専門家委員である中窪委員に会長をお願いするのではいかがかと考えておりますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小城企画官 ありがとうございます。
それでは、会長は中窪委員にお願いしたいと存じます。
中窪委員におかれましては、恐れ入りますが、今後の議事進行をお願い申し上げます。
では、会長から一言御挨拶をよろしいでしょうか。
○中窪会長 改めまして、中窪でございます。今回新任の委員でありながら、僣越でございますけれども、こういう形で御選出いただきましたので、会長を務めさせていただきます。
過労死というのは非常に重い問題でございまして、現在でも相当数の方が過労のために亡くなったり、あるいは健康を害したりされているというのは大変なことで、私、労働法の教育・研究に携わってきた者として本当に心が痛むものがございます。
他方で、防止の重要性が国において認識され、こういう形でこの協議会が設置されて活動されてきたということは意義深いことでありますし、当事者代表の方も加わって議論をするという場は非常に貴重であると考えております。ですから、今後もこれまでの活動を踏まえながら、さらによりよい施策に結びつきますように、皆様の御協力を得ながら会を進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めることにいたしまして、次の件は「会長代理の指名」です。過労死等防止対策推進協議会令第2条第3項におきまして、「会長に事故があるときは、過労死等に関する専門的知識を有する委員のうちから会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する」と規定されております。そこで、会長代理につきましては、堤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○堤委員 よろしくお願いします。
○中窪会長 それから、カメラの撮影につきましてはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、議題の2つ目としまして「各省における過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について」です。これにつきましては、まず厚生労働省から10分程度で御説明をいただきたいと思います。その後、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の取り組みにつきまして、以上の順でそれぞれ5分程度で御説明いただき、その後に一括して質問等の時間を設けたいと思います。
それでは、最初に厚生労働省から御説明をお願いいたします。
○小城企画官 全体資料の2ページを見ていただきたいと思います。厚生労働省におきます過労死等防止対策の実施状況等でございます。3ページ、4ページにおきましては、過労死防止大綱において設定いたしました6つの数値目標に係る直近のデータなどを示しております。現状は、資料のとおり、6つの全ての目標につきまして、緩やかではございますけれども、その到達度は前年よりも高まっているという状況が見られているところでございます。時間の関係で詳細は割愛させていただきます。
次に、5ページでございます。昨年11月の前回協議会以降の主な行政の取り組み、新たな方針等について紹介することといたしております。5ページは労働施策基本方針でございます。働き方改革関連法の成立によりまして、雇用対策法が労働施策総合推進法に改正されました。同法の第10条1項におきまして、「国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならない」とされてございまして、厚生労働省では昨年12月28日に労働施策基本方針を策定し、閣議決定の上、公表しているところでございます。
6ページでございます。基本方針の第二章におきまして、1項といたしまして「労働時間の短縮等の労働環境の整備」を項立てしてございます。その中で長時間労働の是正、過労死等の防止、運送業や医師など業種等の特性に応じた対策の推進、産業医・産業保健機能の強化、職場のハラスメント対策などを労働施策の基本的な事項として記載するほか、8ページの第三章では、商慣行の見直しや取引環境の改善など、過労死防止や労働条件の改善にとって重要な施策が盛り込まれてございます。労働行政機関としては、この方針に沿って長時間労働の是正、過労死等の防止などに引き続き取り組むことといたしてございます。
9ページ以下につきましては、大綱に基づく委託事業等の取り組みをお示ししてございます。過労死等防止対策大綱に掲げる調査研究、啓発事業につきましては、過労死等事案の収集・分析、全国48カ所でのシンポジウムの開催、学生・生徒に対する過労死等の問題や、労働条件改善等の啓発のための講師派遣事業など、今年度も継続して実施する予定といたしてございます。
にあります過労死等の労働・社会面のアンケート調査につきましては、平成30年度に建設業及びメディア業界を対象に実施し、その結果につきましては、今年度版の白書において公表する予定としてございます。
大綱に掲げられた調査研究の7つの重点業種・職種を対象とするアンケート調査は、30年度までに一通り終えましたので、大綱の方針に沿いまして、一定期間経過後の繰り返し調査による経年的な変化等の比較検証を行えるよう、今年度から二巡目の調査を行うこととしていまして、今年度は全業種の企業、労働者、及び法人役員、自営業者を対象として実施する予定といたしております。
10ページでございます。過労死事案の収集・分析につきましては、平成22年1月から平成27年3月までの事案に加えまして、27年から30年までの過労死等事案の全数を追加収集して引き続き分析を行うことといたしております。
11ページ、相談体制でございます。労働局等行政機関はもとより、「こころの耳」などにおきましても相談ツールにSNSを加えるなど、充実して実施する予定といたしておるところでございます。
12ページ、労働基準監督署の取り組みということでございます。改正労基法等の周知をきめ細かに行うための相談・支援を主として行う体制を平成30年度に引き続きまして整備しております。また、今年度中小・小規模事業所への訪問による労働時間管理のノウハウ等のコンサルティングの事業を拡充した働き方改革推進支援センターとも連携した対応を実施してまいるところでございます。
13ページでございます。勤務間インターバル制度につきまして、昨年12月に有識者検討会報告が取りまとめられております。その中で制度導入の手順等を示した「導入に向けたポイント」が公表されております。この報告書に示された「導入に向けたポイント」を参考とするよう周知するとともに、助成措置の活用も図るなどして制度の普及に努めてまいります。
14ページ、15ページでございます。ハラスメント防止対策の法制化などを盛り込んだ女性活躍推進法等の一部改正法案が現在国会に提出され、審議中でございます。特に14ページのパワーハラスメントでございます。労働施策総合推進法においてパワハラの定義を明記し、パワハラ防止のための雇用管理上の措置を事業主に義務付けるとともに、労使紛争解決のための必要な措置に関する規定を整備する内容となってございます。
また、点線囲みの下の※印でございますが、取引先や顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)につきましては、指針において相談体制の整備などを行うことが望ましい旨を記載する予定としているところでございます。
16ページ、IT業界の対策でございます。IT業界におきましては、長時間労働の要因として、発注者等顧客に関連するものが多いと昨年の白書でも報告をしたところでございます。プロジェクトの現場で長時間労働の原因となる問題を抽出して、問題解決に役立つ、トラブル防止、生産性向上等の取り組みを「15の勘所」として整理し、企業セミナー等で周知してきているところでございますが、特に急な仕様変更や曖昧な仕様への対応など、仕事の受発注時に注意すべきポイントを昔話風にまとめた動画「日本現代話」を本年1月に配信するなど、発注者も含めた周知啓発に努めているところでございます。
17ページでございます。自動車運送業に関しまして、昨年5月、長時間労働是正の実現に向けて88の施策を掲げた政府の行動計画を策定しているところでございますが、特に20ページ、トラック運送業の取引環境と長時間労働の改善を図るために、平成28年度以降、全国で荷主とトラック運送事業者が協働して取り組んだ長時間労働是正のための実証実験の結果を踏まえまして、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」を策定し、昨年11月6日に公表してございます。荷主を含めた関係事業主にガイドラインを周知するとともに、コンサルティングなどを実施して、その横展開を引き続き図ってまいります。
21ページ、医師の働き方改革でございます。2024年まで時間外労働の上限規制の適用が猶予されている医師につきまして、地域医療体制の確保の観点などを勘案し、2024年から適用される医師の時間外労働の上限のあり方、労働時間の短縮方策などにつきまして、検討会報告が本年3月28日に取りまとめられたところでございます。
24ページを見ていただきますと、報告書では2024年4月以降診療に従事する勤務医の時間外労働の上限水準につきまして、一般労働者と同等の働き方を目指す観点から、労基法に定める月45時間、年360時間を原則としつつ、通常予見することのできない業務量の大幅な増加に伴い、臨時的に36協定で協定する限度時間を超えて労働させる必要がある場合の水準につきまして、緑色のAと書いてあるA水準を原則としつつ、緑色のB水準、オレンジ色のC水準、この3つの類型を示してございます。原則的な水準でありますA水準につきましては、臨時的な必要がある場合は、1カ月当たりの上限は単月で、原則100時間未満。1年当たりの上限は、連続勤務時間制限、あるいは勤務間インターバル9時間の確保などを努力義務として課した上で、年960時間を上限とする内容となってございます。
さらに、医師に上限規制が適用されるまでの間、地域医療提供体制における機能分化・連携、あるいは地域での医師確保などの対応策を最大限に実行した上で、都道府県単位での医師の地域偏在を解消する目標年2036年、2035年度末までに地域での医療提供体制を確保するため、やむを得ず必要な場合の経過措置としてB水準、また、一定の期間集中的に技能向上のため診療を必要とする医師向けのC水準を設けている。このような内容となっているところでございます。
27ページでございます。前回協議会におきまして助成金等支援措置に係る必要な予算の確保につきまして、御意見をいただいたところでございます。27ページの時間外労働改善助成金、あるいは御説明申し上げませんが、50ページ以下の資料6にあります過労死等防止対策予算のとおり、本年度必要な予算につきましては最大限確保してございます。
このほか、57ページ、参考資料3といたしまして、働き方改革関連法の労基法改正等パンフレットの抜粋をお示ししております。
また、66ページ、参考資料4といたしまして、過労死等防止対策大綱に基づく施策の実施状況についてお示しをしてございますので、御参照いただきたいと思います。
厚労省からは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、引き続きまして人事院のほうからお願いいたします。
○役田職員福祉課長 人事院職員福祉局でございます。
それでは、一般職国家公務員の過労死等防止のための対策について、御説明をさせていただきます。資料は資料2、28ページをごらんください。人事院では国家公務員の過労死防止につきまして、内閣人事局と連携して取り組んできております。今年度におきましても、長時間労働の是正、心の健康づくり対策やパワーハラスメント防止対策、過労死等事案の分析などを柱といたしまして対策を講じているところでございます。
1つ目の柱は長時間労働の是正等でございます。国家公務員につきましても、民間労働法制の改正を踏まえまして、超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で定め、原則を1箇月について45時間、かつ1年について360時間といたしました。他方、他律的な業務の比重が高い部署に勤務する職員に対しましては、1箇月について100時間未満、1年について720時間以下。2~6箇月平均で80時間以下。月45時間を超えることができるのは年6箇月以内と設定をいたしました。
また、職員の健康確保措置につきましては、人事院規則を改正し、1箇月について100時間以上の超過勤務を行った職員等に対しましては、職員からの申し出がなくても、医師による面接指導を実施する等、対策を強化いたしました。これらの措置は本年4月から施行しております。
さらに、年次休暇の使用を促進するため、本年1月から各省、各庁の長は、休暇の計画表の活用等によりまして、一の年の年次休暇の日数が10日以上の職員が年次休暇を5日以上確実に使用することができるよう配慮することといたしました。
次に、右側に参りまして、2つ目の柱、心の健康づくり対策、パワーハラスメント防止対策につきまして御説明いたします。公務におけるパワハラの防止対策につきましては、有識者による検討会を設置して検討に着手しております。現在参議院で審議中であります女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案の審議状況等も注視しつつ、検討会での議論を進めまして、その結果を踏まえ、公務におけるパワハラ防止対策を講じてまいりたいと考えております。
研修につきましては、キーパーソンをターゲットとして展開をいたしております。例えば各省の健康管理担当者に対します健康管理制度説明会、それから心の健康づくりの研修によります各府省における研修の講師の養成、eラーニングによる自習用教材を活用した研修、各部署における健康管理者、あるいは保健スタッフ等になる方を想定して行います実習形式の心の健康づくりのための職場環境改善ファシリテータ研修といったプログラムを行っております。そういった研修を本年度も人事院の本院と地方事務局で行うこととしております。
3つ目の○、周知という点でございますが、メンタルヘルスについてのガイドブックをつくって配布をしておりまして、職員用、管理監督者用のいずれにも過労死防止のための取り組みを含めております。
また、パワーハラスメントにつきましても、同様にパワハラ防止ハンドブックを作成し、配布をしております。
4つ目の○、各種の相談窓口を霞が関の人事院本院と全国の地方事務局、事務所の計10カ所に設けて運用してございまして、どこの府省の職員の方でも利用可能となってございます。
職場復帰相談室と申しますのは、メンタルに不調を来してお休みをされている方が職場に復帰されるに当たって、専門家のアドバイス等を受ける場という位置づけでございます。こころの健康相談室は、それぞれの府省におきましてもこういった体制はございますけれども、自分の所属する府省にはなかなか相談しづらいといった事情もあろうかと思いますので、どこの府省の方でも匿名で利用可能な窓口として設けております。
また、苦情相談の制度がございます。職員本人は匿名でも利用が可能でございます。相談には人事院職員が対応しております。さまざまな苦情の相談に乗っておりますが、パワハラに関する相談件数が全体の約4分の1を占めているという状況になっております。
最後、左下に行きまして、3つ目の柱、過労死等事案の分析、公務災害相談窓口の周知につきましては、平成30年度は、平成27年4月から30年3月までの期間に公務災害と認定された事案、及び認定されなかった事案につきまして取りまとめ等を行いました。また、2つ目の○ですが、各府省の公務災害相談窓口について人事院及び各府省のホームページやイントラネット等で周知をすることとし、あわせて職員等から各府省に相談があった場合の対応について通知をしているところでございます。
人事院からの説明は以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
続きまして、内閣人事局からお願いいたします。
○池田内閣人事局参事官 続きまして、内閣人事局から説明させていただきます。内閣人事局では人事院と連携しながら、国家公務員に対しまして啓発や相談体制の整備のための取り組みを進めております。資料の29ページをご覧ください。平成30年度における過労死等の防止対策の実施状況ですが、国家公務員に対する啓発、相談体制の整備という観点で2つの柱、Ⅰとして「ワークライフバランスの推進」、30ページにありますⅡとして「心身の健康の保持増進」を立てて取り組みを進めているところであります。
まず、1つ目の「ワークライフバランスの推進」は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、超過勤務の縮減、年次休暇の取得の促進といった取り組みによってワークライフバランスを推進しているところです。
としまして、昨年度も7月、8月を国家公務員のワークライフバランス推進強化月間として実施いたしました。右側中段にありますのが、昨年度の推進強化月間の周知・啓発のため、各府省に掲示したポスターです。推進強化月間は平成27年度から実施しておりますが、例えば終業時間を普段より1時間早める「ゆう活」を始めとした働き方改革に取り組むことにより、長時間労働を打破することを目的としております。
「ゆう活」については、法務省本府等において、推進強化月間中の第1・第3水曜日の状況を調べましたところ、「ゆう活」に取り組んだ職員の76%が定時に退庁し、また、職員全体の79%が20時までに退庁しておりました。参考として、推進強化月間前の6月27日の水曜日における職員全体の20時までの退庁割合が73%となっていることと比べますと、推進強化月間中の退庁の時間が早くなっており、一定の成果があったものと申し上げられます。
として、超過勤務の縮減と年次休暇の取得促進、ワークライフバランス推進ためのマネジメント能力の向上として、特に管理職に対する働きかけを進めております。まず、アにあります超過勤務予定の事前把握の徹底です。これは管理職が超過勤務の理由や見込み時間を事前に把握することによって、超過勤務の原因を取り除き、超過勤務を縮減するという取組です。また、年次休暇についても、連続休暇の取得を促進するとともに、計画的に取得するために計画表を活用するといった取組を推進しております。
また、イにありますとおり、働き方改革と女性活躍、ワークライフバランス推進に係る管理職員向けeラーニングも実施しております。これにつきましては、平成29年度から全管理職を対象として行っているところです。
また、こういったeラーニングに加えて、ウにありますとおり、対面形式のマネジメントセミナーも法務省本府及び全国の8ブロックで開催しております。昨年度は合計約280名が参加し、管理職として求められる行動・役割について、講義のほかグループ討議も行っております。
続いて、資料の30ページの「心身の健康の保持増進」でございます。こちらは管理職員などによる健康マネジメントの推進という観点で進めております。まず、公務員に対する周知・啓発等の実施として、として管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーがございます。平成30年度は全国の6ブロックで管理職員などを対象に、合計約300名が参加している状況です。これはメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーとなっております。
としてeラーニングを用いたメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習がございます。こちらは、平成28年度から新任管理職員、課長補佐などの者について、心の健康づくり、ハラスメント防止に関する研修の受講を必修化し、さらに昨年の6月からすべての女性が輝く社会づくり本部決定において、幹部職員及び課長級職員に対してもセクシュアルハラスメント・防止のための研修について義務化されておりますので、各府省での取組に加え、内閣人事局としてeラーニングを用いた講習を提供しております。平成30年度は新任管理職・課長補佐など約1万人を対象として、メンタルヘルス、セクシュアルハラスメント・、パワーハラスメント・、マタニティハラスメント・の基礎知識や部下との相談対応方法などの講習を実施いたしました。
また、幹部職員及び課長級職員を対象にセクシュアルハラスメントを・始めとするハラスメントの防止や、問題が生じた場合の対処に関して、幹部職員等が果たすべき役割と責任に対する理解を習得するものも実施したところでございます。
として生活習慣病対策等の健康増進対策の推進がございます。過労死等の原因となる脳血管疾患や心臓疾患を予防する観点から、健康診断等の結果、要医療・二次健診の対象となった職員の方へ確実に受診等の指導を行っているところでございます。また、公務員に対する相談体制の整備等として、各府省等カウンセラー講習会を全国6ブロックにおいて実施しております。これは各府省等に配置されているカウンセラーを対象に実施しており、合計で約180名が参加している状況です。カウンセラーの方は、さまざまな基礎資格や経験がございますが、よりカウンセリング能力を高めていただくための実践的講義を行っているところでございます。ただいま御説明いたしました取り組みについては、今年度も継続して行ってまいる予定となっております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
次は総務省からお願いいたします。
○上村安全厚生推進室長 総務省でございます。
それでは、資料4、31ページから御説明申し上げます。32ページをお開きいただきたいと存じます。地方公共団体におきます時間外勤務縮減の取組についてでございますが、労働時間の適正な把握及び時間外勤務縮減への要請を地方公共団体に対し行ってございます。1つ目といたしまして労働時間の適正な把握について。(1)は、厚生労働省策定の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を地方公共団体に周知いたしました。このガイドラインに基づく適切な対応を要請いたしたところでございます。
また、働き方改革法の施行に伴う対応につきましては、地方公共団体に同じく周知いたしまして、職員の健康確保に適切な対応を要請。これは平成30年9月14日付で通知を出してございます。
続きまして、時間外勤務縮減等の取組についてでございます。平成29年4月28日付の公務員部長通知でございますが、これは年間を通じた全庁的な時間外勤務の縮減に取り組むこと。特に職員の心身の健康や士気を確保する観点から、時間外勤務が多い部署や職員、時期等について、その要因を的確に把握し、重点的に縮減方策を講じることが重要であるということが1点。2点目といたしましては、平成30年4月27日公務員部長通知でございますが、時間外勤務縮減は、職員の心身の健康維持や過労死等の防止はもとより、質の高い行政サービスを提供するためにも重要であること。時間外勤務縮減や年次休暇取得促進の観点を踏まえた各団体独自の取り組みについても、「ゆう活」とあわせて積極的に取り組むことなどを要請してございます。
また、平成30年11月12日の公務員課長通知では、働き方改革法の施行に伴う対応につきまして、地方公共団体に周知をいたし、時間外労働の上限規制等に適切な対応を要請してございます。
4番目といたしまして、人事院規則の改正に伴う対応について地方公共団体に周知をいたし、時間外勤務命令の上限設定等の措置を講じるよう改めて要請をいたしてございます。
3つ目といたしまして、地方公共団体の人事担当課長等が出席いたします全国会議等において繰り返し要請をいたしてございます。例えば全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議でありますとか、全国人事委員会事務局長会議でありますとか、人事委員会ブロック会議、昨年度要請をいたした会議を列挙してございます。
続きまして、33ページでございます。地方公共団体と総務省の女性職員・活躍働き方改革の担当者が協働いたしまして、平成29年度より女性活躍・働き方改革推進協議会を立ち上げてございます。これは実践的な取り組み手法について意見交換、情報交換を行う場として分科会等を実施いたしております。分科会も都道府県及び政令指定都市の担当者を対象にしたものと市町村の部会ということで、それぞれより具体的な意見交換ができるような内容で進めてございます。これは本年度も引き続き実施する予定としてございます。
続きまして、34ページでございます。この協議会等で得られました情報をガイドブックにまとめたものでございます。例示で出しておりますのは、平成30年3月に公表いたしましたガイドブックの中から抜粋したものでございます。
続きまして、35ページ、地方公共団体における「ゆう活」の取り組みといたしまして、先ほど御紹介いたしましたガイドブックにて事例を紹介し、さらに「ゆう活」及び「ゆう活」の趣旨に即した取り組みを行うよう依頼をしてございます。また、先ほども申しあげましたが、人事担当課長等が出席する会議において繰り返し繰り返し要請をしてきたところです。その結果といたしまして、平成30年の実施結果をまとめてございます。都道府県におきましては、47団体中、朝方勤務を取り入れたところが40団体、定時退庁促進を進めたところが6団体。その他の取り組み、※印は下に例を書いてございますが、1団体という結果となってございます。
36ページは、「ゆう活」についての部長通知の該当部分の抜粋をしたものでございます。
続きまして、37ページは、地方公務員の過労死等をめぐる調査・分析の取組でございます。これは平成28年度より地方公務員の過労死等をめぐる調査・研究の実施をして、公務災害として認定された事案、認定されなかった事案についてデータベース等を構築いたし、その内容を分析してまとめてございます。28年度は、平成22年1月から平成27年3月までの事案190件について。29年度につきましては、平成22年1月から27年3月までに公務災害と認定されなかった事案386件について。また、労働・社会分野(教職員)に関する調査研究事業として、平成28年度の調査研究事業のうち教職員のところだけ焦点を当てまして、公務災害認定事案63件についての抽出分析を行ってございます。平成30年度につきましては、平成22年1月から29年3月までに対象を増やしまして、事案件数は321件を対象に分類をして分析をしてございます。
38ページは、地方公共団体における安全衛生体制の整備状況・ストレスチェックの実施状況について調査結果がまとまりましたので、表にしてございます。上のほうは平成29年度現在の安全衛生体制の整備状況で、いまだに整備等がされていない事業場があるということもありますので、その事業場に対して適切に対応するようお願いをした文書でございます。また、ストレスチェックにつきましても同様に調査をした結果を表にまとめてございます。
39ページは、地方公務員に対する講義・研修について、平成30年度の実績でございます。1つ目といたしまして、総務省自治大学校における講義を実施してございます。2つ目といたしまして、地方公務員安全衛生推進協会におけるメンタルヘルス・マネジメント実践研修会を30年度は19会場で実施いたしまして、約2,500名が参加していただいております。また今年度も同様に実施する予定でございます。
40ページ、地方公務員に対する相談の取組でといたしまして、苦情・相談窓口につきましては、昨年度、各人事委員会に対しまして、苦情・相談窓口の運用につきましてのヒアリング等を実施してございます。また、メンタルヘルス相談につきましては、地方公務員共済組合におけるメンタルヘルス相談を実施してございます。3番目、地方公務員災害補償基金におきましてもメンタルヘルスの相談を実施しております。基金のホームページを改修し、相談先の明示もあわせて実施しております。
最後になりますが、補償の請求書等の様式に基金に相談できる旨の明示もあわせて行っております。
総務省からの御説明は以上となります。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、最後に文部科学省からお願いいたします。
○合田財務課長 文部科学省初等中等教育局財務課でございます。時間も押しておりますので、手短に御説明させていただきたいと思っております。
42ページをごらんいただきますと、平成28年に公立の小中学校の教員の勤務実態調査を行わせていただきました。夏休みをならすと、小学校の先生は月57時間、中学校の先生は81時間という時間外勤務を行っているという深刻な実態が明らかになりました。
43ページにございますように、今年の1月に中教審において学校における働き方改革についての答申がなされたところでございます。この議論には連合の相原事務局長にもお加わりいただくなど、闊達な御議論をいただいたところでございます。
44ページをごらんいただければと思います。その中で、「学校における働き方改革の目的」の2つ目の○ですけれども、過労死の問題というのは大変大きく重く中教審でも受けとめられたところでございます。きょう御出席の工藤様がいつもおっしゃっておられますように、過労死等というのは、本人、遺族、家族だけではなくて、児童生徒や学校にとっても心の喪失感を含めた大変大きな損失である。勤務実態が把握されなかったことをもって公務災害の認定に非常に多くの時間がかかったということもあるということで、働き方改革を実現し、過労死の根絶を目指して総合的な取り組みを徹底して行う必要があるという御指摘をいただいたところでございます。
その上で、公立学校の教育職員につきましては、時間外勤務命令が出せるのが生徒の実習・学校行事など4項目に限られる。それ以外は、これまで自主的、自発的な勤務であるということがいささか強調されてきたところがございます。それもございまして、今回の働き方改革の重要な前提、土俵といたしまして、この1月にガイドラインをお示しさせていただいたところでございます。「超勤4項目」以外の勤務も含めて在校等時間ということで、客観的に把握する。それを月45時間、年間360時間以内にするというガイドラインを示させていただいたところでございます。
45ページをご覧いただければと思います。率直に申し上げまして、子供に関することは全て学校の先生にお任せという風潮がある中で、本来学校が行うべき業務なのかどうか、学校が行う業務だけれども、教職の専門職たる先生が行うべきものなのかどうか、そして先生が行う業務だけれども、ほかの専門職と連携することによって効率化、合理化が図れないかどうかということを強く説明しているところでございます。例えば登下校時の見回りや給食費の徴収というのは先生方の仕事ではないということを、私どもは学校現場や地域・保護者などにも示しているところでございます。
下にございますように、例えば統合型校務支援システムの導入によって、実際に年間120時間勤務時間が減少したり、部活動もガイドラインを遵守したり、あるいは部活動指導員を導入することによって年間280時間勤務時間が減少するという状況もございまして、我々は施策をフル動員していきたいと思っております。
46ページをご覧いただければと思います。学校の働き方改革につきましては、地域や保護者など社会の理解と支援が不可欠でございます。私どもが学校にお願いする業務のスクラップ・アンド・ビルドも徹底させていただきたいと思っておりますし、現在そのような取り組みを行っておりますが、46ページの下の右にございますのは、YouTubeに載せております私どもの学校の働き方改革のいわばプロモーション動画でございます。きょう御出席の工藤様にも御出演を賜ったわけでございますけれども、これもきょう現在約2.4万回再生をされているということで、私どもは何が教師の仕事であり、何が教師の仕事ではないかということをしっかりと社会に発信をしていきたいと思っております。この関係では各省様にもさまざまなお願いを既にさせていただいているところでございます。
47ページをご覧いただければと思います。もちろん、学校を支えるリソースの充実も必要でございます。小学校の先生方は特に1日4時間25分教壇に立っていらっしゃるという状況もございますので、小学校の専科教員の充実に1,000人など、教職員定数の1,456人の増。これは令和元年度予算でございます。
それから、下のほうでございますが、中学校の場合は部活動の負担が非常に大きいものでございますから、部活動指導員の配置。令和元年度予算では倍増の9,000人ということで、これらも合わせて2万人程度の外部人材を学校に導入するということで取り組ませていただいているところでございます。
48ページでございます。予算だけではなくて、制度改正も必要でございます。小学校の学級担任制を導入しようとすると、教職員定数の改善に加えまして、自治体や小中学校を超えて教職員の配置の流動化を図る必要がございます。教員免許、教職員配置、教育課程というものを一体的に見直すということで、4月17日に柴山文部科学大臣から中教審に新たな諮問をしたところでございます。
49ページをごらんいただければと思います。私どもは、働き方改革が教育委員会や学校において自走する仕組みが必要だと思っております。学校の働き方改革の状況を市区町村ごとに把握し、公表させていただきたいと思っておりますし、勤務実態調査も前回は10年のインターバルがございましたけれども、3年後に行うようにという御提言をいただいているところでございます。
なお、教員の働き方、労働条件については給特法という仕組みがございます。超勤を命ぜられる項目は限定されてございますが、勤務時間の内外を評価して、教職調整額4%を支払うという枠組みでございます。これにつきましてもさまざまな議論がございましたけれども、中教審におきましては、時間が大変大事なリソースであるという考え方が社会においても教員の間においても確立しないまま、これを見直すということは現状追認にならないか。あるいは、これは私どもの教育政策の問題でございますが、昭和46年にできた給特法という法律は、昭和49年にできましたいわゆる人材確保法という法律とセットで教員の給与上の優遇措置を定めてございますが、この見直しというものが教員の処遇改善につながるかどうかといった懸念もございまして、まず現在の枠組みで業務の適正化、明確化を徹底的に図っていく。その上で、49ページの一番下の○、労働法制や公務員法制の動向も見ながら給特法も含めた法制的な枠組みということも引き続き検討していくという方向をお取りまとめいただいたところでございます。
一年単位の変形労働時間制の導入などについても御提言をいただいているところでございますが、49ページの一番下にございますように、中教審の答申の最後に「子供たちを最前線で支える教師たちがこれからも自らの時間を犠牲にして長時間勤務を続けていくことを望むのか、心身ともに健康にその専門性を十二分に発揮して質の高い授業や教育活動を行っていくことを望むのか、その選択が問われている。」ということを社会に問いかけたところでございます。
私ども文部科学省といたしましても、教師が誇りを持って専門職として全力投球できるように、まなじりを決して取り組ませていただきたいと考えている次第でございます。
駆け足で恐縮でございますが、以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それぞれ御報告いただきましたけれども、これらにつきまして御質問や御意見等がございましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。では、川人委員、お願いします。
○川人委員 タブレットのほうに私と岩城委員から協議会への資料という形で別途提出をしております。 趣旨は、働き方改革において労働時間の短縮が至上命題となっているわけですが、この間、私どもが実務を通じて痛感している点は、労働時間の認定に当たって、労働行政の現場で実際よりも過少に労働時間を認定しているのではないかということであります。これは単に労災行政だけでなく、監督行政と一体となってこのような問題点が生じていると指摘したいと思います。
具体的には、特に出張業務において余りにも社会常識とかけ離れた労働時間認定がなされているという点です。図1という図面が資料の最後のほうに出てくるかと思いますが、端的に申しますと、3年前に過労で亡くなった方が、死亡2日前に横浜の自宅から東名高速を使って仕事をした後に、三重県のビジネスホテルで最後の仕事を行ったという事案でございます。約14時間の労働があると御遺族は主張していたわけですが、労基署のほうでは、これは4時間19分しか労働していないと。本人は社用車を使って得意先を回っていたわけですが、それらは全て単なる移動時間であるから、労働時間ではないと判断をし、かつビジネスホテルで会社宛てに業務上のメールを送ったにもかかわらず、成果物も明確でないから、これも労働時間ではない。このような判断になったわけです。
このような出張がこの営業職の方は、繰り返しありました。図2も同じなのです。この日は死亡5日前ですが、取引先の四日市で仕事を終えて、その後自宅まで社用車を運転して戻ったわけですが、四日市から自宅まで車を運転した時間は全て労働時間ではないと。このような認定をした結果、御遺族が主張した労働時間の約3分の1程度の労働時間しか認定せず、その結果、労災と判断されない。このような経過がありました。これは監督行政と労災行政が連携しながら出した事案だと聞いております。
さらに言えば、直行直帰、すなわち、この方が自宅から出発して直接現地に向かった。あるいは帰りも会社に寄らずに自宅に戻ったということが問題にされております。しかしながら、会社に朝早く寄って目的地に行くには約50分余計に早く起きて会社に寄らなければならない。帰りも50分余分に会社に寄って自宅に帰らなければいけない。形式的に朝、会社に寄るか、夜、会社に寄るということがなされていないからといって、それによって労働時間の認定に影響が出るというのも全く社会常識に反していると考えます。
監督課長及び労災補償課長のほうに質問ですが、このような出張業務における労働時間の認定というのは、今、私が申しましたようなケースについて全国的に統一して行われているのか。その場合、その根拠は何かということについて質問をしたいと思います。
もう一点指摘をしたい点は医師の問題です。問題点3として指摘した点です。医師の過重労働規制については、これまでも議論になりましたが、非常に残念なことに現状、超長時間労働と言うべきものが事実上容認される結果となっております。このこと自体大変重要な問題ですが、加えて、医師の場合には次のような問題があります。医師が大学病院に勤務しているときに、大学病院の中での仕事以外に、地域医療に貢献するためにさまざまな病院に出掛けてそこで仕事をする。あるいはがん検診などの公共的な仕事もします。ところが、具体的には現在、労働基準監督署は、そうした病院内の仕事以外の地域貢献の仕事は全て労働時間と判断しないで、労災行政の判断をしている。その結果、地域の医療に貢献した時間は一切捨象されて、労災ではないと判断をされている事例も生まれています。医師の過労死をめぐる問題、医師の過重労働をめぐる問題の場合に、とりわけこうした勤務先、直接給与を受けている労働以外にさまざまな地域医療に貢献しているわけですから、そうした労働も含めてどのような労働時間となっているか。医師の過労死を防止するためにはどうしたらいいか。そして、もし倒れたりした場合に労災認定はどうあるべきなのかということを真剣に再検討いただきたい。これも同じく監督課と労災補償課、その他関係部署の方に質問したいと思います。
最後に人員の問題について質問します。この間の現場の状況から考えますと、押し並べて全ての労災の審理期間が長くなっています。今、厚生労働省が通達で脳・心臓疾患は6カ月以内に結論を、精神疾患事案は8カ月以内に結論を出すよう通達を出しておりますが、この期限が守られずに、例えば精神疾患の事案では、2年以上かかってようやく結論が出るということが最近生まれています。そして各現場の状況を聞きますと、押し並べて人員難である、少ないということを現場の監督官などもこぼしていらっしゃいます。
このような働き方改革を実践していくために、厚労省全体としてどのように人員を確保して体制を強化しようとしているのか。この問題について、来年度の予算編成を含めてどのような計画になっているかについて、できれば局長から回答をいただきたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 以上、3点御質問が出たかと思います。出張のときの時間認定、医師の地域貢献の時間、迅速な判断のための人員ということですけれども、事務局のほうからお願いいたします。どうぞ。
○西村補償課長 補償課長の西村でございます。よろしくお願いします。
3点のうち2点について、川人委員から御質問がありましたので、お答えしたいと思います。1つ目、労災認定に当たっての労働時間が過少になっているのではないか、あるいは出張業務への移動の時間が適切に扱われていないのではないか、こういう御質問だと受けとめております。御案内のとおり、労災認定の労働時間につきましては、労働基準法の労働時間ということでございます。労働時間につきましては、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を言う。実際に従事していない時間が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が当該時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものとなっております。
個別の事案についてコメントは控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、出張時の運転時間とか移動時間につきましても、使用者の指揮命令下にあると言えるか。指揮命令下にあると言える場合には労働時間に該当すると判断している場合もあると承知しております。例えば使用者が移動手段や移動中の作業を命ずるなど、その時間、労働者に自由時間としての保障がなされていない場合には労働時間に該当するのではないかと考えられております。いずれにしましても、過労死等の労災請求がなされた場合には、客観的な資料等により、実際に働いた労働時間を把握して適正な労災認定を行ってまいりたいと思っております。まず、これが1点でございます。
2つ目でございます。医師、要するに、副業・兼業、ダブルワークの話と承知をしております。労災保険の認定や給付につきましては、個々の使用者ごとに判断をしております。個別の使用者ごとに指揮命令下において労働者が従事した業務に着目し、その業務に内在する危険が具現化したと認められるか否かについて判断基準としているところでございます。なお、このような取り扱いについては、形式的に事業場が別であるかではなくて、実態がどうかということで判断をしているところでございます。
いずれにしましても、複数就業者の労災保険給付のあり方につきましては、昨年の夏から労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会において労働者保護の観点等から御議論いただいているところであり、引き続き検討をしていきたいと考えております。
私のほうからは以上でございます。
○中窪会長 3点目についてはいかがでしょうか。
○富田総務課長 局長にということでございましたけれども、組織・定員を担当していますのが総務課長になりますので、私のほうから回答させていただきたいと思います。川人先生おっしゃるとおり、人員の確保というのは非常に重要な課題でございまして、特に労働基準行政は、昨今働き方改革関連法により上限規制が、戦後70年の労働基準法の歴史の中で初めて導入されて、それを適正に施行していかなければいけないと。それから依然として過労死、過労自殺、精神疾患の案件が非常に多くあるということから、現場の体制を確保するというのは非常に重要な課題でございまして、組織定員要求、令和元年度でございますが、働き方改革関連法の円滑な施行、あるいは外国人労働者対策ということもございますので、そういったことを重点に要求しております。
例えば労働基準監督官についてでございますけれども、平成31年度で3,013人の査定をいただいておりまして、平成30年度が2,991名でございますので、監督官については純増という形で確保ができたというところでございます。もちろん、これだけで十分な人員が確保できないということがございますので、監督官OBを非常勤として活用するなどして、事業場への指導、あるいは労災補償行政も含めて体制の確保を十分に進めていきたいと考えてございます。
○中窪会長 どうぞ。
○川人委員 関連して1点だけ。これはできたら監督課長も含めて聞きたいのですが、朝会社に寄ってから出張すれば指揮監督下に入っている。会社に寄らないで直接得意先に行けば指揮監督下に入っていないと。このように判断、解釈を本省はされているということでしょうか。労災課長さん、それぞれいかがでしょうか。朝会社に寄るか寄らないかによって労働時間でなくなったりするのか、そこの解釈は本省でやっているのだと思いますが。
○石垣監督課長 監督課長でございます。
まず、先ほど個別の事例のお話で御指名をいただいたのですが、移動に関する労働時間の考え方については、補償課長からお話を申し上げたところと重複いたしますので、特にお答えいたしませんが、労働時間に該当するか否かは労働者が使用者の指揮命令下に置かれた形で働いていたかどうかで個別具体的に判断するということでありまして、今、お話をいただきましたように、会社に寄ったか否かだけを捉えて指揮命令関係があるか否かを判断するのではなく、個別の事情のところをよく確認をさせていただかないといけないこともあろうかと思いますので、一概に申し上げられません。要するに、指揮命令下にあるかどうかというところを事実関係、個別に即して判断していくということだと考えております。
○中窪会長 それでは、岩城委員、どうぞ。
○岩城委員 弁護士の岩城です。
今日の資料が連名になっていることもあるので、続けて私からも3点お聞きしたいと思います。1点目は、今日の提出資料の4番の点です。現在うつ病や適応障害などの精神疾患に罹患しながら、無理をして働いている労働者の方はたくさんいると思います。それを踏まえて、新しい大綱の第4の国が取り組む重点政策の第3、啓発の(10)のウで障害者である労働者や傷病を抱える労働者への取り組みを推進すると記述されております。
ところが、現行の精神疾患の認定基準では、精神障害を発病していない労働者が、強の業務上の心理的負荷が加わって精神障害を発症した場合には、業務起因性を認め、労災として補償するとしながら、既に精神障害を発症しながら無理をして働いていた労働者が、同じ強の心理的負荷が加わって精神障害が悪化した場合でも労災として認めないという扱いをとっております。これについては後ろの図4というところにわかりやすく描いています。
これは誰が考えても不合理、不公平でありますし、既に精神障害を有していたことを理由に差別的取り扱いをするものではないか。憲法14条1項の法の下の平等や障害を理由とする差別の解消に関する法律第7条の趣旨に反するのではないかと考えております。私たちが今日配付させていただいた過労死弁護団の意見書の97から100ページに詳しく書いておりますが、この点について認定基準の改定を検討する必要がないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
2つ目が同じく問題点の5です。現在50代、60代の高年齢になっても若い人たちと同じように働く労働者、働かざるを得ない労働者も増えています。また、身体的なハンディキャップや傷病を抱えながら、健常者と同じように働く労働者も増えており、国もそのような人たちの勤労を奨励しています。それを受けて、新大綱では、高年齢労働者の過重労働防止のため、加齢に伴う身体機能の低下と高年齢労働者の特性に配慮するとし、また、障害者である労働者の過重労働防止のため、個々の障害特性や業務内容を十分考慮するとしております。ところが、現在の認定基準においては、100時間や80時間といった時間外労働時間の基準では、高齢者や障害者が疾病や基礎疾患、ハンディキャップなどを持ちながら働いていることは全く考慮されておりません。例えば60代の人にとっての月80時間の残業と30代にとっての月80時間の残業では、当人にとっての負荷が異なるということは言うまでもないと思います。
そこで、過労死弁護団の意見書の27ページ以下で、当該障害の程度に応じた業務を支障なく遂行できる者や、身体的機能が低下した中高年齢者である同僚等を基準にして、業務による過重負荷を総合的に判断すべきであると述べておりますが、この点について認定基準改定の必要がないかどうかについてお尋ねしたいと思います。
3点目ですが、4月1日から大阪の労働局内にある大阪労働局労災補償課高度労災補償調査センター、通称アークと呼ばれる部署で労災の調査が行われることになった。今後は大阪局管内の脳・心臓、精神疾患、アスベストの関係は、申請は所管の労基署が受け付けて、そのままアークに事案を送って調査し、結果をアークから所轄の労基署に返して、本人に通知するという扱いになったと聞いております。
また、これとは少し違うと思いますが、愛知労働局のホームページでは、愛知では名古屋北労基署内に愛知労災保険業務センターを設置し、愛知労働局管内各署の労災補償業務の一部の業務、各資料の提出依頼などを集約化して実施しますということが書かれております。
また、神奈川の弁護士の方からは、神奈川でも本人や関係者の聴取は労働局が一手に引き受け、労働時間の調査は監督課が行うということで運用の変更がなされたと聞いております。
これについて、以下の点をお尋ねしたいと思います。今、述べた大阪、愛知、神奈川のような調査体制の変更は、他の労働局についてもあるのかどうか。それから、具体的にはどのような変更があるのか。今の3つの事例でも少しずつ違うように思うのですけれども、具体的にどのような変更があったのかを御説明いただければと思います。また、これについて、本省からの通達や事務連絡などがあれば教えていただきたいと思います。
それから、このような変更は、法律で時間外労働の上限が今般定められて、それを超えると刑事罰が与えられることになったことと関連しているのでしょうか。
最後に、労災申請をしている過労死遺族たちにとっては、過重労働や心理的負荷の強い出来事の調査について、地元に精通した労基署ではなく、調査センターが形式的、画一的な調査を行い、突っ込んだ実態調査をしてもらえないのではないかという不安を感じておられますが、そのような心配はないと言えるのでしょうか。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございます。
それでは、3点。1と2は若干関連していると思いますが、精神障害に罹患している方、それから高齢者、障害のある方についての扱い。3番目として大阪、愛知等の新しい動きについて御説明いただきたいということです。では、お願いいたします。
○西村補償課長 3点についてお答えを申し上げたいと思います。
1点目は、精神障害者の労災認定について、精神障害をもともと持っておられる方と持っていない方で認定がされる、されないというのは不合理ではないか、こういう御質問だと承知をします。これにつきましては、精神障害の認定基準は平成23年に作成されておりますけれども、この精神障害の認定基準を作成するに当たっては、専門家の検討会が開かれ、その検討会報告書がまとめられております。結論から申し上げまして、その検討会報告書に沿った形で認定基準をつくっており、このような運用になっております。
その精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会の報告書の中に「既に発病している疾病の悪化の業務起因性」という項があるのですが、ここにおきまして、「一般に、既に精神障害を発病して治療が必要な状態にある者は、病的状態に起因した思考から自責的・自罰的になり、ささいな心理的負荷に過大に反応するのであり、悪化の原因は必ずしも大きな心理的負荷によるものとは限らない。また、自然経過によって悪化する過程においてたまたま業務による心理的負荷が重なっていたにすぎない場合もある。このような精神障害の特性を考慮すると、悪化の前に強い心理的負荷となる業務による出来事が認められたことをもって、直ちにそれが精神障害の悪化の原因であるとまで判断することは現時点では医学上困難である」。そういう報告書に基づいて労災認定基準が策定され、現在のそのような運用になっているところでございます。
委員御指摘の意見につきましては受けとめて、今後に生かしていきたいと思います。
2つ目、高齢者の関係の認定基準についてということでございます。高齢者や障害者についても同じ基準でいいのかという御質問だと理解をしております。現行の脳・心臓疾患の認定基準は、精神と同じように有識者による検討会の医学的、専門的な検討結果に基づいて策定したものでございます。特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、時間外労働時間数等を踏まえて判断をしているところでございます。
しかしながら、我々としては、障害者、高齢者を含めて、業務による過重負荷、脳・心臓疾患の発症に関する最新の医学的知見の収集に努めなければならないと考えているところでございます。
特に具体的には今年度、文献収集をして事例収集をしようと考えております。令和元年度の委託事業におきまして、脳・心臓疾患の認定基準が平成13年に策定されていますが、平成13年以降に発表された脳・心臓疾患等の発症と睡眠時間または労働時間との関係について述べた国内外の文献を収集して、医学専門家によるレビューをしたいと考えております。
3番目、大阪、愛知等々で労働局が調査をしているのではないかということでございますが、御指摘の労働局の調査等の事務処理の集中化につきましては、労災請求事案の効率的な処理の手法の一つとして、また労働局の監督署に対する支援として実施しているものでございます。このような場合におきましても、監督署長が労災保険給付の支給の決定をするということには変わりはございません。また、労働局がやっているから調査がきちっとされないのではないかという不安があるという御指摘もありましたけれども、この集中化につきましては、例えば小さな署で精神障害とか脳・心臓疾患事案を扱うということについては、年に数が少なく、要するに、一般的に小さなところでは慣れない職員が多い。そういうことであれば、逆に人員をある1カ所に投入して集中化して、それに精通した者がやるほうが効率的な処理に資するのではないか。また、先ほど時間がかかっているのではないかという御指摘もありましたけれども、効率化処理をして、さらに迅速な処理に資するのではないか、こういう観点から集中化の取り組みをしている局もあると承知しております。
そのほか、具体的にどこの局がやっているかにつきましては、全てを今、ここで申し上げられませんけれども、そういう工夫をして効率的、さらには迅速化処理に努めているというところでございます。
以上でございます。
○岩城委員 今の関連ですが、何か通達的なものがあるかどうかという点はどうなのでしょうか。何もなしで、各労働局に完全に自由に委ねているということなのでしょうか。
○西村補償課長 昨年度、平成30年10月9日付で「今後の保険給付の迅速処理に当たって留意すべき事項」という通知を各労働局に出しております。この中でそのような手法を講じることについては差し支えないという連絡をしております。
○岩城委員 時間外労働の上限規制をされたことは直接関係がないとお聞きしていいのでしょうか。
○西村補償課長 そのとおりでございます。
○岩城委員 今の関連で1点だけ。精神障害の悪化の点について、先ほどおっしゃったことに関しては、第5回の専門検討会の場で議論がされております。座長のまとめでは、「今日のところは、発病後にも心理的な負荷が非常に強い、ないしは極度の出来事があった場合には業務上であることを認めるということでは、大体の御意見が一致しているのではないか」というまとめがされていたのです。ところが、最後出された検討会報告書では極度の負荷があった場合に限るという形でまとめられている。これが非常に不合理ではないかということについて、私たちの意見書の99ページで紹介をしておりますので、お伝えをしておきます。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございます。
それでは、寺西委員からお願いいたします。
○寺西委員 ありがとうございます。全国家族の会の寺西です。私は、23年前に飲食店の店長だった夫を過労自死で亡くした遺族です。
私のほうから資料14ページの(2)のパワーハラスメント防止対策の法制化について意見を述べたいと思います。最後に1点確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。このパワーハラスメントの法案がまさに4月には衆議院を通過しまして、現在参議院、これから審議されるということは、ある意味一歩前進とは思っていますが、ここにも明記されていますが、から優越的な関係に基づいて行われることや、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、また、就業環境を害する、こうした3要素についてですが、パワハラの加害者が優位で、パワハラ防止という内容で、被害に遭った私の夫のような側から見れば、大変厳しい3要素であると指摘をしたいと思います。
過労自死というのはパワハラだけではなくて、夫の働き方を少し紹介しますと、飲食店の店長という立場から、達成困難な売り上げノルマを課せられたり、また、店長1人体制で、サポート体制のない中、長時間過重労働を強いられるということがありました。具体的には2週間連続勤務、そして1カ月350時間、年間4,000時間という長時間過重労働を強いられまして、目的達成のために本当に身を粉にして働かされる、そういうことを強要されてきました。幾ら残業しても店長手当ということで、賃金に反映されない状態でした。
このような無理なノルマとわかっているのに、執拗な叱責や、さらに人格否定があって、とうとう夫はうつ病を発症して人が変わったようになって、最後は無念な死を遂げたということで、本人の無念、また家族のつらさを思うと、今なおこの問題がさらに広がっていることを実感して、本当につらい思いをしているところであります。
このようにパワハラについて防止をしていただくことはいいのですけれども、これだけではなくて、過労自死というのは、ハラスメントの行為であり、それプラス残業の強制的な働かせ方とか、言動だけではないということが現実あるわけです。長時間労働とハラスメントというのは、過労自死問題についてはセットになってあります。
こうした仕事量の裁量がなかったり、また、自分の意思が反映されなかったりということで、法律をつくっていくに当たって、実効性あるものにしていっていただきたい。言動だけではなくて、現実に起こっている、例えば、残業の強制なども盛り込んでいただきたいと考えています。ぜひ法律の中に労働行政の機関、労基署がもっとこの問題に是正勧告できる、そうした制度も構築していただけるよう、まさに実効性あるパワハラ防止対策にしていただくことを強く要望しています。
最後、私のほうから1点。6年前になりますが、私たち全国過労死を考える家族の会は、欧州のジュネーブにて、法制定の段階で過労死を防ぐ法律をつくりたい、その中に過労自死を防ぐハラスメントも規制してほしいという旨の訴えを国連の社会権規約委員会にしてきました。そうしたところ、2013年の総括所見における勧告が出されまして、第7条の意義に沿った形で長時間労働を防止すること、及び職場におけるあらゆる形態のハラスメントを禁止することを目的とした立法、規制を講じることを勧告すると。かなり短く表現しましたが、本文はもっと長いのですけれども、このことについて、一時は厚生労働委員会で議論されましたが、今、御担当されている事務局の皆さん方は、こうした勧告が出たことは御存じなのでしょうか。
国連勧告というのは法的拘束がないことは承知していますが、私たちが実態を訴えて、国連がこうした総括所見を出されたことにすごく重みを感じますので、過労死防止法は成立しましたが、同時に出ているハラスメントについては現時点で入っていなかったので、今、ハラスメントの法制定が進んでいる中で確認させていただきたいと思いました。よろしくお願いします。
○中窪会長 ということで、パワハラに関して御意見と御質問がありましたけれども、事務局のほうでいかがでしょうか。
○岡雇用機会均等課長 雇用機会均等課長でございます。
御指摘がありましたように、パワハラを防止するための措置を講ずる法改正が今、国会のほうで審議されてございます。働き方改革実行計画に基づきまして、一昨年度、労働団体あるいは使用者団体の皆様にも入っていただきまして検討会、それから昨年度は労政審のほうで検討が重ねられてまいりました。
パワハラは指導との区別がつきづらいという御意見もございまして、法制化に対して非常に慎重な意見も強かったわけでございますが、人格を尊重するということで、最終的には防止措置を法制化しようということで、建議もまとめていただきまして、現在国会のほうで審議がなされておるところでございます。
また、セクハラは特にそうですが、国連等で日本は禁止規定がないということが指摘されておりまして、今回パワハラ、あるいはセクハラにつきましても禁止規定を設けるべきではないかということも審議会で議論がなされましたが、こちらにつきましては刑法あるいは民法などとの整理も必要だということで、今後の課題とされたところでございまして、まず事業主のほうに雇用管理上の措置を講じるということで、今、法律案の審議がなされておるところでございます。
ということで、いろいろ御意見があるところは承知しておりますけれども、これまでパワハラについては、法律上、何も規定がなかったところでございますので、法案が成立いたしましたら、まずはこれをしっかり施行することでパワハラの防止に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○中窪会長 勧告について認識されているという点は、そういうことでよろしいでしょうか。
○岡雇用機会均等課長 はい。
○中窪会長 では、高橋委員からお願いいたします。
○高橋委員 高橋と申します。
私の娘は、大学を卒業後に新卒として入社した大手広告代理店で過酷な長時間労働や厳しい上下関係、ハラスメントなどを強いられて、6カ月後に亡くなりました。24歳になったばかりでした。過労自殺でした。3年前の労災申請から始まり、労災認定、事業所の労働基準法違反の調査、刑事裁判までいろいろと対応していただきました。娘が亡くなっているのに刑事裁判では罰金が50万円という結論でしたが、人の命がかかっているのに余りにも軽過ぎると。本当に悔しい思いでおります。労務管理が事業所において軽視されることのないように、国として法改正を含めた今後の課題にしてほしいと思っております。
私が委員になって意見とお願いしたいことが3つあります。先ほどの話を含めてですが、労働基準法違反の監督指導に関してです。娘の事業所では労基署から再三の36協定違反の是正指導を受けていました。しかし、社員に勤務時間を正しく申請させない労務管理を会社の社風として何十年も続けていました。このような悪徳な事業所を絶対に許さないよう監督体制を強化して、違反を防止していただきたいと思います。労基法違反から過労死につながらないよう、意味のある監督をしていただきたいと思っております。
もう一つはインターバル制度についてです。過労死の防止に一番有効なのは原因を取り除くことです。長時間労働というものは心身に大変な負担を強います。娘の場合は入社した当初から長時間労働をしていました。二晩も徹夜をしていたり、ある時期は1週間で10時間しか寝ていないという状況でした。朝の4時または5時に退勤して、数時間後に出勤していました。食べることと同じように人は寝ることが生きるために絶対に必要なことです。インターバル制度においては、業種、職種、雇用形態を問わず、義務化に向けて進めてほしいと思っております。
27ページにありますが、インターバルの導入に関して、中小企業事業者への助成金という予算が今回設けられておりますが、9時間から11時間のインターバルから助成金が出ております。9時間という数字は、人が生命を維持するためにはとても少ないものだと思います。15時間勤務を許しているということです。8時間労働の原則プラス7時間。実質約2日間分の勤務時間を認めていることになります。この短いインターバルに関して助成をするというのはいかがなものかと疑問に思っております。12時間インターバルとか、ヨーロッパ並みにインターバルの義務化を実現して、健康と命を守る意味のあるインターバル規制になるように取り組んでもらいたいと思っております。
もともと15時間労働をさせていない事業所がこの助成を受ける場合、意味があるのかなと疑問に思いました。予算に対して上限を支給した場合、1,100事業所が受けられるという試算になるのかなと思ったのですが、もっと労働者の健康に留意した長い時間のインターバルに対して助成をしていただけるようにしてもらいたいと思いました。
3点目は、11ページにあります相談窓口をSNSのツールを利用して設置するというアイデアに関してです。これはとてもよいものだと思いました。私もSNSで相談を受けることがあるのですけれども、通常労働者は過労死防止の啓発のポスターを目にすることも余りないと思います。労働局のホームページにもなかなかたどり着くことはありません。SNSのアプリからメッセージを送った人が悩みを相談できるというものがあれば、労働環境で悩んでいる若い人たち、労働者がちゅうちょなく相談できると思いました。今年度に実施と明記されているのですが、相談はどういうふうにやられるのか、予算はどれぐらいなのか、聞いてみたいと思います。
もう一つ、相談窓口に関してですが、私が自分の職場の問題で労働条件相談ほっとラインに電話したときに感じたことが1つありました。相談を受けてくれる方が何者かわからなかったことです。私の状況に関して共感を示して、親身になって聞いていただきまして、とても励みにはなりました。具体的な内容に対して、それは労基署に直接行って相談してくださいということを結果的に言われましたので、自分で労基署の連絡先を調べて後日行ったわけですが、回答してくださった方が、私は本名を名乗って相談しました。そういう方はなかなかいないと思います。ほとんどの方が匿名で相談すると思うのですが、回答者は専門家なのか、労働局の職員なのか、委託を受けている社労士さんなのか、全くわかりませんでした。相談業務に関する教育を受けているのかというのもわかりませんでした。SNSの相談窓口や電話のホットラインなども、相談者が安心して信頼できるように透明性のあるものにしてもらいたいと思いました。
私からは以上になります。
○中窪会長 ありがとうございます。
3点ということで、労基法違反への監督強化や防止のための取組の強化。それからインターバルについて義務化の要望と9時間で助成対象にするのは少し低過ぎるのではないかという御意見。3つ目に相談窓口についてSNSや回答者の透明性といったことで、事務局のほうからございましたらお願いいたします。
○石垣監督課長 監督課長でございます。
今、いろいろと貴重なお話をありがとうございました。私の担当している部分としましては、36協定違反などの関係も含めた長時間労働に対する監督指導をしっかりと実施して欲しいというのが1点と、最後にお話をいただきましたほっとラインによる労働相談の関係の2点でございます。1点目の方のいわゆる長時間労働に対する監督指導でございますけれども、まず36協定の関係のお話をいただきました。これにつきましては、私どもが監督署の窓口で受理をしましたときに、法律上は届け出をいただくということにはなっているのですが、その際に要件などについては確認をさせていただきまして、企業の方にもよくお話を伺って対応するようにしております。まず入り口のところでしっかりと法令などに沿った形で対応されているのかというところは努めて確認をするようにさせていただいております。
また、その後にも実際企業の職場などでいろいろと問題が起きてしまうわけでございますので、個別には申し上げられませんが、私どもとしては、各種情報、いろいろな方から寄せられる情報や御意見をもとに、時間外労働や休日労働がかなり長時間にわたっていると考えられる事業場に対しては積極的に監督指導などをいたしまして、なるべく問題が起きないうちに長時間労働を是正させるという取組を組織全体として進めてきておりまして、これは今いただきましたようなお話も踏まえましてしっかりと取り組むように今後もやってまいりたいと思っております。
ほっとラインの関係で御活用いただきまして、ありがとうございました。相談は親身にしたということですが、どういう人なのかわからなくて、ちょっと不安というか、そういうことがあったということでして、確かにそういうお気持ちは、相談した方のお立場でお話を聞かないとわからないこともあると思いますので、私どもとしても、しっかりその辺、現場でどう改善をしていけるのかというところは、きょうのお話も踏まえて何か考えていきたいと思います。
ちなみに、労働条件相談ほっとラインについては、委託事業ということで実施をしているものでございますけれども、委託をするときの入札の条件といたしまして、相談に対応する方については、社会保険労務士ですとか、企業で相談対応した経験のある方ですとか、そういった専門家の方をしっかりと対応できるようにということを条件にしておりますので、その辺は相談された方にしっかり御対応できるような仕組みとしてはなっているわけですが、それをどのようにすれば安心してお使いいただけるかというところは、今後の課題としてよく検討していきたいと思います。
○高橋委員 ありがとうございました。
相談者の方が名前を名乗ったりということは大変難しいとは思いますが、このほっとラインのホームページなどに関して、今年度の委託業者はどこであるとか、担当社労士がお答えしておりますことを明記されていると、相談者はより安心できると思いました。
○中窪会長 どうぞ。
○神ノ田労働衛生課長 労働衛生課長でございます。
SNSを活用した相談につきまして御質問いただきました。こちらの事業につきましては、今年度の新規事業として取り組んでいくこととしていますが、まだノウハウ等が十分蓄積されていないということもありまして、まずは試行的にやっていこうということで考えております。やり方でございますが、予算上、11月の過労死防止啓発月間に合わせまして、5人体制で1日8時間という形で受入体制を組んで相談対応を行う見込みで考えております。その中で有効性等につきましてもしっかりと検証等も行いまして、この取り組みについて有効だということであれば、順次拡大を図っていきたいと考えております。
○高橋委員 ありがとうございます。
これから始めるということですが、電話で自分の声で話すというのは、若い人とか悩んでいる一労働者にとってとても敷居が高い、勇気が要ることだと思うのですが、SNSが本当に身近になっている今は、そういうところで自分の状況を発信されている方がたくさんいますので、そこが本当に救いを求められるような場になって、活用していけると、とてもいいなと思いましたので、どうぞよろしくお願いします。
○黒澤労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。
勤務間インターバル制度について御指摘いただきました。この4月から改正されて、施行されております労働時間等設定改善法におきまして、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務とされたところでございますが、先ほど御指摘いただきましたように、私どもはこの助成金も活用しまして導入促進に取り組んでいるというところでございます。
御指摘の時間数につきましては、先ほどの資料のほうにもございますが、助成金は9時間以上が支給対象でございますけれども、インターバルが11時間以上の場合には、助成の上限額を引き上げるという措置を講じておりまして、そのような枠組みによってインターバル時間数ができる限り長くなるように促しているというところでございまして、その点は御理解を賜れればと思います。
あわせまして、インターバルの時間を何時間とするか。これは先ほども御説明いただいたとおりでございまして、睡眠時間もございますし、さらには帰ってからの労働者の生活時間、あるいは通勤時間、さらにはその事業所の勤務形態との兼ね合いなどもあろうと思いまして、そういったものを含めて、どういったものが実効性あるものになるのかというものをきちんと職場の労使で話し合っていただいた上で、実効ある形で導入いただくということがとても重要であると考えてございます。
その観点から、実は助成金以外に、昨年12月、有識者の方々、あと労使も含めてお集まりいただいて検討会の報告書を取りまとめてございます。こちらはそういった時間数の設定なども含めまして、導入に向けたポイント、プロセスでありますとか、あるいは具体的な導入事例も集めまして、現在ホームページのほうで情報提供させていただいておるところでございます。先ほどの助成金とこちらの報告書の取りまとめ、さらには事例集も含めまして、この勤務間インターバル制度が実効ある形で普及していくように取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋委員 ありがとうございます。
インターバル規制を職場の労使にただ委ねていくのではなく、国として国民の健康を守るために、義務化に向けて今の取り組みを一歩としていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○黒田委員 もしも時間があれでしたら、家族の会を先に。僕、インターバルについて発言があるのですが。先にやっていただいたほうがいいかなと。
○中窪会長 そろそろ時間も終わりになって来ておりますけれども、インターバルについて、もし関連して御発言があれば。
○黒田委員 後で結構ですので。
○中窪会長 それでは、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 東京家族の会の代表をさせていただいております渡辺と申します。
私の夫は大手電機メーカーに勤めていました。毎日終電で帰ってきて、土曜も日曜も仕事をしている中で、脳に支障が起こりまして、脳出血で亡くなっています。私は当初から過労死だと思っていたのですが、国に過労死と認めていただくまでにはかなりの苦労がありました。当時専業主婦だったので、労災の手続とか、どこに相談に行ったらいいとか、全然わからない中からの出発であり、夫を亡くしたということで、翌日から生活にも困る。当時子供がまだ小さかったのですけれども、子供のこと、生活のこと、労災のこと、全部一人で抱えてやらなければいけないという体験をしてきました。
過労死の遺族はいつまでたってもつらいです。亡くなって時間がたっても労災のこととか裁判のこと、補償のことに日々直面しなければいけないので、死というものから遠ざかることができない。いつもそこに引き戻されて、苦しい中で闘っていかなければいけないという体験をずっとしてきました。
余りにつらいので、死別の悲嘆について研究したいという希望がありまして、大学院に入って死別悲嘆、死別が子供に与える影響などを研究しました。その中で、過労死の遺族はほかの遺族と違うつらさがある。それが子供にも影響を与えている。悪いことをして亡くなったわけではないのです。働いて一生懸命頑張って、その先に死があるという、納得できない、割り切れない。何で家族のために、会社のために、国のために働いて頑張っているのに死ななければいけないのか。そして、亡くなった後はみんながそれを認めてくれるわけではないのです。遺族が苦労して必死の思いでいろんなところに訴えて、私の場合は子供にも迷惑をかけたのですけれども、子供と過ごす時間を削ってまでいろんなところに出向いて相談してやっとかち取った生活保障です。
そういう中で、子供に影響が出ているということが自分自身、それから周りの御遺族を見ていてもよくわかりまして、遺児の交流会、子供たちを年に1回集めて、こういう体験をしたのは君たちだけではないのだよ、たくさんいるのだよ、でも、みんな頑張って生きているよという遺児交流会をずっと続けてきました。
おかげさまで過労死等防止対策推進法ができまして、遺児交流会に御支援をいただけるようになって、本当にそれは感謝しております。子供たちが来年また会おうね。お母さんたちが一年ぶりにあったときに、ああ、大きくなったね。その一年、みんないろんな苦労を抱えて、でも、頑張るという時間を過ごしてきた一年です。それで再び会って、みんなで励まし合うという経験を国の予算でやらせていただけるようになったこと、本当に感謝しております。子供たち、お母さんたちの代表としてこの場で感謝を述べさせていただきたいと思います。
15年ぐらい続けてきた遺児交流会ですが、本当に小さい子は生後4カ月でお父さんが亡くなる。もっとひどいのは、おなかにいるときにお父さんが亡くなるという子供たちもいるのですが、そういう子供たちが大きくなって思春期というものを迎えてきました。思春期になると、そこから先の自分の人生を考えるようになり、社会に出て働く、そうしなければいけないという事実に直面します。そのときに、自分の父親、母親が働いて亡くなるという体験をしていることは、子供にとって非常に不安、心配、恐怖のもとになって、ここから先、頑張って勉強して、いい大学に入って、いい会社に入って働こうという気持ちに取り組めなくなります。過労死の御遺族、お子さんは本当に苦労されているのですけれども、不登校のお子さんが多いです。思春期以上でこの課題に直面したときに外に出ていけなくなる子供たちが多いです。
そこで質問ですけれども、今、過労死の遺児の交流会、年に1回のものに予算を組んでいただいて、お金を支出していただいておりますが、大きくなった子供たちは、年に1回、子供が楽しみながらのイベントではもう救えないような心理状態になっております。その大きな子供たち、思春期の子供たちのケアのため、それから父親がいないで、母親が1人で子育てをしている中で、親子関係も微妙なひずみが生まれてきています。思春期に父親を乗り越えて成長していくという対象がないために、母と子でシンクロした心理状態でもがいている方たちもいらっしゃいます。そういう親子関係のケアのためにもぜひ予算を組んでいただきたい。こういうことができるかどうかというのを質問させていただきます。
それから、私は遺族の会にかかわって結構長いのですけれども、ここ数年、お子さんを亡くされて、御夫婦で入会される方がふえております。新入社員として会社に入り、1年、2年、3年ぐらいで自死なさったお子さんのお父さん、お母さんたちがいらして、泣きながらこんなことだったら、あの会社に入れなければよかったとか、起きられない子供を無理に起こして会社に行くように言わなければよかったという話を聞くと、若い人を本当に救えないのかと悔しいし、すぐに取りかからなければいけない課題だと思います。
若い人は長時間労働ももちろんですし、パワハラやモラハラでひどいことを言われたときに選択肢が少ないです。大人のようにほかに救いを求めるとか、会社を辞めるとか、そういう選択を考える間もなく、ここがだめなら死しかないという選択をしているというのが本当につらいのです。相談窓口としていろいろと取り組んでいただいていて、しかもSNSを加えてくださるということで、これは若者を対象として本当に有意義な活動になると思います。
11月を中心に、5人体制で8時間という返答をいただいたのですけれども、若い人がここにSNSを送れるような時間を考えていただきたいという要望が1つです。せっかくこのような有意義な取り組みをしていただくのに、若い人にどういうふうにしてこれをやっているということを周知していくのかというのを質問させていただきたいと思います。
例えば学校ですと、いじめダイヤルというのはカードにして、全生徒に電話番号配布みたいな取り組みで、いろんな学校のいろんな生徒に行き渡るような仕組みができていますけれども、今、働いている若い人たちにSNSで相談を受け付けているよというのを伝える仕組みを設定していないと、一部でやっているだけになってしまうのですが、これは本当に若い人の助けになる一つのツールだと思いますので、ぜひ多くの若者に届くような仕組みを考えていただきたいと思います。そして、ある程度Q&Aみたいなノウハウがまとまったら、よくある質問とか対処法という形でまとめて、今、悩んでいる若い人たちに届くような仕組みを検討していただきたいと思います。
厚労省とか国からのかたい感じではなくて、若い人が見やすいように、簡単に開けるような感じのものをぜひつくっていただきたいと思います。若い人がつらい選択をして将来をなくしたり、その御遺族が一生その苦しみを抱えながら生きていかなければいけない、こういった事案を少しでも減らして、若い人、過労死に遭った子供たちとか、今、大変な思いをして働いている若い人たちが安心して出ていって、安心して働けるような社会を築いていけるよう、ぜひお力を貸していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
御意見、御要望のほか、2点御質問があったと思いますけれども、事務局のほうからいかがでしょうか。大きくなったお子さんへの支援と、SNSについてより具体的に。どうぞ。
○小城企画官 時間もございますので、手短に。1点目で御質問いただきました遺児交流会の関係、特に思春期を過ぎた遺児の方々へのケアということでございます。これにつきましては、どういったニーズがあるのか、あるいはどのような対応の仕方があるのか、あるいは既存のサービスで対応できるのかといったことも含めて、十分精査しなければならないと思ってございますので、今後引き続き調整させていただければありがたいと思っています。
○渡辺委員 ありがとうございます。
○神ノ田労働衛生課長 衛生課長でございます。
先ほども申し上げましたとおり、SNSを活用した相談につきましては、これから大きくしていこうという段階でございますので、まずは今年度、啓発月間に合わせてしっかりやっていこうということで、その中でこういう取り組みをやっているということをしっかりとアピールしていきたいと思っております。
また、次年度以降しっかりとした受入体制を組むことができましたら、しっかりとそれを活用していただけるように、その事業に合わせた形での啓発にも取り組んでいきたいと考えております。
○渡辺委員 ぜひよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
予定の時間に来てしまったのですけれども、せっかくの機会ですので、どうしてもということであれば。では、お二人から手が挙がっておりましたので、工藤委員からお願いいたします。
○工藤委員 ありがとうございます。神奈川過労死等を考える家族の会の工藤です。
私の夫は公立学校の教師だったのですが、12年前に過労死いたしまして、来月で13回忌を迎えます。夫は体育教師でバリバリと元気いっぱいだったのですけれども、過重で過密な業務で、それが1人に集中して長時間労働が続いて、クモ膜下出血で突然他界してしまいました。夏休みは休みたいということだったのですが、それを待たずに亡くなってしまったわけですけれども、その後、公務災害の申請をして、一度公務外とされましたが、5年かかりまして支部審査会で認定されました。
我が家は公務災害の申請ができたのですが、仲間の先生方で申請すら出来ずに、泣き寝入りをした先生がたくさんいらっしゃいましたので、二度と教育の場で教師が倒れることがないように、先生の死や倒れる姿を子供たちに見せることがないようにとの気持ちで今回務めさせていただきたいと思います。
このような経験から教師の過労死等、公務災害について疑問に感じた点を手短に3点質問させていただきたいと思います。まず、文部科学省平成28年度教員勤務実態調査によりますと、精神疾患の先生が5,000人となっていまして、精神疾患で現職離職の先生が687名。死亡離職の先生が438名。これは小中高合わせてです。これだけたくさんいらっしゃるのですが、過労死防止白書のほうで地方公務員災害補償基金の公務災害の受理数、義務教育、それ以外の学校の教職員、脳・心疾患の受理数が9件。認定件数が16件。精神疾患に関しては受理数26件、認定数が5件。3桁と1桁、2桁というすごく大きな差があります。この乖離の原因についての御意見をお聞きしたいと思いますとともに、先ほど37ページで報告がありました分析について、具体的な防止法についても御検討いただきたいと思います。
2点目に、それと同時に、教職員の過労死等に関する原因の分析とか詳しい調査がなされておりますでしょうか。それについても教えていただきたい。また、何かあったときの教員のホットラインのようなものもあれば教えていただきたいです。
3点目は、先ほども御報告がありましたけれども、文科省の答申についてです。今回過労死等を入れていただいたことは、私たちにとって大変励みになりますし、文科省の本気度も感じられるような答申になったと思っております。一方で、50年前に出されました給特法についての話がなかなかされなかったということがとても残念に思いました。
教職員の中でもいろいろと意見があります。私の夫も公務災害時に時間外労働について、他界前6カ月間で300時間の時間外労働は証拠がないと認められなかったということも、労務管理の意識のなさによる原因が、給特法から来ているのではないかというふうに思っております。今回の答申も中長期的目標になりましたけれども、大変な財政も伴うことだと思いますが、今後どういうふうに給特法について見直しをしていくか。大体の見通しについてお伺いできたらと思います。
以上になります。ありがとうございます。
○中窪会長 教員の問題について3点。では、文科省のほうからお願いいたします。
○合田財務課長 ありがとうございました。手短に御説明申し上げたいと思っております。
1点目、学校教員統計で在職中に死亡した方の人数と過労死の認定を受けた人の乖離についてございました。率直に申し上げまして、在職中に亡くなられた方々は、交通事故の方もいらっしゃいますし、さまざまな事情がございますので、その原因とか背景について、御遺族の感情やプライバシーもありますので、全てにわたって調べるということは考えておりませんけれども、ただ、先程、お話がございましたように、特に公立学校の先生方については、地方公務員災害補償基金における公務災害の認定が適正にされるような仕組みや取り組みというのは、総務省と連携しながらしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
その観点で2つ目、原因分析ということでございますけれども、これは先程、総務省のほうからも、特に平成29年度に教職員に関する調査研究を行っているところでございまして、そのような情報も踏まえながら、特に私どもは教育委員会の中で、脳・心臓疾患、あるいは精神疾患等による病気とか死亡といった場合には、過労死等の可能性があるのではないかということを前提にした対応をするような取り組みを進めさせていただきたいと思っております。
なお、相談窓口というのは幾つかございます。公務員でございますので、当然人事委員会もございますし、地方公務員災害補償基金も相談窓口を設けていますけれども、公立学校共済組合におきましても相談を受け付けているところでございます。電話では年間5万件ほどの御相談をいただいておりまして、中でもメンタルヘルスに関しては1.2万件というものでございますので、それに加えて、教育委員会につきましても主導的な対応は可能ではないかと考えておりますので、そこは引き続きしっかりと御意見を賜りながら取り組ませていただきたいと考えております。
最後に答申のことでございますが、先程、お話がございましたように、給特法については中教審の中でも見直すべきであるという御意見もございました。今回は直ちに見直すということではなくて、まず学校において時間が大変重要なリソースであるということを確立するために、あらゆる手を総合的に徹底的に出していこう、取り組みを行っていこう、重ねていこうということになりましたが、私どもは毎年度各市区町村ごとに働き方改革の取り組み状況を公表させていただくということにしてございます。また、答申では3年後には勤務実態調査をしっかり行うようにという御提言をいただいたところでございます。私どもは、こういった毎年の働き方改革の取り組み状況の公表、あるいは勤務実態調査という節目を捉えて、この問題を重ねて中教審あるいは文部科学省の中でしっかり取り組ませていただきたいと思っております。
先ほど工藤様もおっしゃいましたように、財政措置にもかかわる大きな話でございます。かつ、これによって先生方の処遇がかえってマイナスになるということがあってはなりませんので、その辺も含めまして私どもはしっかりと取り組ませていただきたいと考えております。
以上でございます。
○工藤委員 ありがとうございます。
○中窪会長 それでは、村上委員、お願いいたします。
○村上委員 時間が超過している中、申しわけありません。何点か申し上げます。
まず、この協議会の運営についての要望でございます。これまでこの協議会に何回も参加してまいりましたけれども、なかなか2時間でぴったり終わるということはなかったものですから、あらかじめ時間を2時間半ぐらいに設定していただくということですとか、あるいは省庁の皆様方からの説明については、よりコンパクトにしていただくとか、あるいは質疑についてもある程度まとめて一括して御答弁いただくといった運営の工夫をしていただければと思います。
私ども労働者側委員もこの協議会は大変大事だと思っておりまして、それぞれの立場でこういったことを申し上げておくべきだということで準備してまいっておりますので、私も発言いたしますが、ほかの委員も発言させていただければと思っております。手短に申し上げます。
1点は医師の働き方改革についてでございます。この報告書の中身については、参加して意見を述べてまいりましたので、繰り返しませんが、要望であります。医療は過労死防止の重点職種ということでありますので、その中でも今回報告書を踏まえて、医療機関や医師をはじめとして関係者の方々にやっていただくことはたくさんありますし、また、厚生労働省におかれても医師の偏在対策であるとか医療の機能の集約化など、本当にやらなくてはいけないことがたくさんありますので、そういったことから考えますと、ドライバーでの「ホワイト物流」運動であるとか、あるいは先ほど文科省からもございましたが、大臣を本部長とした学校における働き方改革推進本部を省内に設置したということもございましたので、それと同レベル以上のことをやっていただく必要があるのではないかという要望であります。
また、医学部での医師養成の課程において、基本的なワークルールや労働法について学ぶ機会はないということですが、人の命や健康を預かる仕事だからこそ、過労死防止の必要性やそのための働き方のルールについて考える機会が必要だと思っておりますので、過労死防止の啓発事業の積極的な活用も含めて、医学部におけるワークルール教育というものも文科省、厚生労働省が連携し、推進していただきたいという要望です。
また、前半に時間をとって労災認定基準の問題もございましたけれども、この間、高齢者の問題も含めて協議会でも発言してまいりましたが、労災認定基準の性質であるとか運用の仕方などについて、昭和60年の通達の趣旨が徹底されるよう、改めて通知を出すことも必要ではないかと思っておりますので、この点も要望しておきたいと思います。
以上です。
○中川委員 あわせて、私のほうから、先ほど高橋委員のほうからもございましたが、勤務間インターバルについて、今、どのような労使議論がされているかというのを労働組合の立場で発言させていただきたいと思います。私は自動車の産別、労働組合の労働条件を担当しているのですけれども、こういった議論は春闘の場でされておりまして、春闘は賃金・一時金のみならず、こういった個社の働き方について相当議論しております。我々自動車の産別としての上限規制、いわゆる労働時間を引き下げるというところに加えて、勤務間インターバルについても方針を掲げております。
具体的な導入組合数が1,100組合あるのですが、幾つかというのは集計中ですけれども、大手の完成車メーカーのみならず、部品企業、販売みたいなところについてもこの4月から導入するとか、もしくはトライアルを始めるという議論をしております。その中では、そもそもの導入目的に加えて、制度適用時の運用ルール、そういったところの具体的な議論をされていると聞いております。とりわけこういった働き方改革にかかわるところについては、長時間労働の是正に向けてということで言うと、労使は立場が当然違うのですが、方向としては同じ方向を向いてしっかり議論されているのではないかと受けとめています。
そのような意味では、この協議会での中身がどういうふうに発信されるか、広く世間にどう発信するかというのが重要と思いますので、引き続き、我々労働組合でも労働者の立場に寄り添って発言していきたいと思います。
○白井委員 済みません。手短に申し上げます。
私は公務員の立場から申し上げたいと思います。勤務間インターバル制度についてです。中川委員が申し上げましたように、今、導入について合意をしていくというところがなされているところです。ただ、この制度を規定する労働時間等設定改善法につきましては、国家公務員、地方公務員、船員は適用除外となっております。適用除外となっておるときには、私どもは条例等で定めることになっておるのですが、なかなかこの議論が進んでおりません。全くと言っていいほど進んでいないです。私は、勤務間インターバルを入れようということで交渉しましたけれども、全く必要性等をおわかりになっていないような状況がございました。人事院、総務省の方々に申し上げたいと思いますが、これにつきましては、公務員はそういうところから言わないと、なかなか条例とかを定められないということがございますので、ぜひぜひ御検討いただければなと考えております。
以上でございます。
○八野委員 労働側、八野です。よろしくお願いいたします。
学校の教員について御意見を申し上げたいと思います。文科省の資料が44ページ以降に載っておりまして、中教審、またはガイドラインというものが策定されて提起を受けているわけですが、これの実効性をどう高めるのかということが非常に重要でありまして、勤務時間の管理の徹底、健康確保をどう図るかということになると思いますが、これを受けて、1カ月が45時間、1年は360時間を超えないようにということになっています。
先ほどありました2016年度、平成28年度の教員勤務実態調査を見ていきますと、こちらは労働側の推計ですが、小学校の教員の3割、中学校の教員の6割が月80時間以上の時間外をしていると推計されます。そういうものをどうしていくのか。ガイドラインができたというだけでなく、実効性を高めるということで、留意事項の中にも書いてあるICTやタイムカードなどによる勤務間管理の徹底がこれから非常に重要になってくると思いますし、教員勤務実態調査を定期的に行って勤務時間の実態と時間管理の状況をしっかりと把握していただきたいと思っております。
また、先ほど委員からもありました給特法のところですが、連合でも教員1,000名を対象に教員の時間管理に関するアンケートを行いました。時間管理の中の1点として、教職の調整額を除くと、事実上、割増賃金を払わなくてもいいという制度になっていて、その辺も長時間労働の是正に結びついていないということがあります。これは、そういう観点から給特法の枠組み自体を見直していくということが非常に重要なのではないかという要望を申し上げておきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
○黒田委員 時間なのですが、私、一言だけ申し上げたいのです。それは勤務間インターバルについて、です。先ほど労働側の委員も出されていましたが、この協議会の努力のおかげもあってか、認知度が高まっているという事実はあると思うのですが、この調査は就労条件総合調査からの引用ですから企業調査です。逆に言うと、労働者側にどれだけ認知があるのかというのは大変難しい面があろうかと思うのです。EUが11時間の勤務間インターバルを義務づけていますが、「勤務間インターバル」という言葉自体が大変わかりにくい言葉ではないでしょうか。厚労省の文書では説明されてはいるのですが、EUの「勤務間インターバル」というのは実は休息時間を11時間とらなければならないという単純な規定なのです。裏返すと、24時間から11時間引くと、会社にいる拘束時間は13時間を超えてはならないという規定になる。冒頭、川人委員から質問がありましたけれども、要するに、拘束時間、裏返すと休息時間を11時間にするということは大変大事なことであり、現状では努力規定になっていますが、この協議会でもこれを義務化していく方向へと確認すべきではないでしょうか。私たちがここで、いろんな困難があると思いますが、努力していくべきではないかということを申し上げたいと思います。
○中窪会長 ありがとうございました。
いろんな御意見、御要望をいただきましたけれども、使用者側からも。では、時間をいつも延長しているのが通常だと今、お聞きしましたものですから、どうぞ。
○輪島委員
使用者側も一言だけ申し上げたいと思います。資料1の8ページの第三章のところに商慣行の見直しということが出ております。私ども経団連としても一昨年、長時間労働につながる商慣行の是正に向けて、ここに御同席をいただいている日本商工会議所、全国中小企業団体中央会とともに、112の使用者団体が共同宣言をして公表し、周知活動を行っています。例えば残業ゼロなどの取り組みにあたって、個別の企業、一企業だけではできない困難な長時間労働の是正につながる商慣行の見直し、サプライチェーン全体の見直しということも大変大事だと思っておりまして、経済界も一丸となって取り組みをしているというところでございます。
それは、今、中川委員もおっしゃったように、民間の中でBtoBというところでの取り組みが一義的には始まっているというところで、さらに私どもの会員企業の中から話が出てきたのは、官公庁との間の取引、つまり、BtoGも予算の関係とか年度末に集中するとか、民間企業でも国会待機を命ぜられるとか、そういうこともあるということで、3月には厚生労働省の政策統括官宛てに要請書をお渡ししているところであります。この点も含めて官民一体となった働き方改革の環境整備ということも、せっかく各省庁が御参画でございますので、ぜひお取り組みいただきたいと思っているところでございます。
以上です。
○中窪会長 どうぞ。
○佐久間委員 時間が過ぎていますのに申しわけございません。
私からも3点ほど意見を申し上げたいと思います。まず、14ページ、ハラスメント対策の中で、カスタマーハラスメントの関係が記載されております。中小企業の事業者は相談できる費用とか体制もできておりません。事業として実施する場合には、厚生労働省、または中小企業庁にも関連するのかもしれませんけれども、このようにカスタマーの著しい迷惑行為などがもしあった場合、事業者からの相談ということで働き方改革推進支援センターにも相談できるのかもしれませんが、専門的知識を持った外部の相談体制がないと、経営者だけでなく、従業員、労働者のほうにそのままクレームが持ち込まれてしまって、すごく迷惑がかかるということが発生するのではないかと思います。中小企業側としてはこれから、フリーランスも多くなってくる時代ですので、そういう事業者が相談できる弁護士とか、無料相談体制とかの構築をお願いしたいというのが1点でございます。
それから、次は、インターバル制度の関係です。先程のご意見の中には、インターバル制度を義務化したいという話もありますが、この大綱ではまず認知度を80%、そして導入を10%以上にしていこうということを決定しました。インターバル制度の導入を推進していくためにも、先ほどの時間外労働等改善助成金を労働局とか、または36協定を届けたときとか、こういう助成金が利用できるのですよ、こういう制度があるのですよということを、国側(ハローワーク、労働局、労働基準監督署)でもよろしいと思いますので、中小企業のほうにこういうのを使えるので、やってみたらどうですか、導入してみたらどうですかということをぜひ訴えていただきたいと思います。
もう一点です。公務員の関係で年休取得が記載されております。28ページの資料の左側のほうに他律的な業務の比重の高い部署とあります。他律的なというのは、何となくわかる気はするのですが、厚労省などはこういう業務が非常に多いと思います。その下の○の2つ目のところに「5日以上を使用することができるよう、配慮する」という形になっているのですが、本年4月より、中小企業事業者は5日間が義務になりまして、罰則の適用ということもございます。公務員の場合にも、有給休暇を取得できるようにというか、配慮だけではなく、取得できなかった場合には、何かお考えがあるのか。例えば、障害者の雇用の関係ですと、聞くところによると、庁費を削減するといったことも出たようでございます。その辺でもっともっと有給休暇男を取得できるような工夫についてお考えがあるのか。これは今日でなくても構いませんので、また教えていただければと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
さまざまな御意見、御要望をいただきましたが、事務局から。それでは、どうぞ。
○富田総務課長 村上委員から協議会の運営の仕方について御指摘いただきました。本日はもう20分も超過しているところでございまして、各委員全員に御発言いただきたいところ、十分な発言時間がとれなくて、そこは事務局として事前の準備が至らなかったということで、反省しております。非常に申しわけございませんでした。
今後につきましては、資料のつくり方、あるいは時間の設定、あるいは各委員に平等に発言いただけるような機会をどういうふうにできるかということについては、座長ともよく相談してやっていきたいと思いますので、申しわけありません。
今、さまざまな御意見をいただきまして、十分な御回答ができないかと思いますけれども、御要望につきましては受けとめまして、行政に活かしていきたいと思います。
○中窪会長 総務省、人事院のほうで公務員についてございましたら。
○役田職員福祉課長 人事院でございます。
まず、インターバル規制について、公務も導入すべきではないかという御意見を頂戴いたしました。退勤、役所を出る時間と出勤する時間の間に一定の時間を設けるということは、疲労蓄積防止とか健康の保持の観点から非常に重要だと我々も認識をしております。
言い方は異なっておりますけれども、公務の世界で早出遅出勤務という言い方をしておりまして、例えば前の日、国会待機などで深夜に帰った場合には、翌日は午後から出てきてもいいですよというような弾力的な勤務時間の割り振りについては、現行制度でもできるようになっておりますが、こういった取り組みについて、今回インターバルの議論も高まっておりますので、各省にも伝えつつ、健康保持に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
他律的業務の関係で、年休の取得について御意見がございましたが、基本的には公務員も労働者でございますので、民間労働法制と同じような対応を求めていくということが基本だと思いますが、他方で、公務の特殊性といいますか、国民の生命とか財産を守るための業務に従事している職員も多数ございますので、そういった特殊性も踏まえつつ、できる限り同じような待遇ができないかということについては、御意見も踏まえながらまた検討してまいりたいと考えております。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、まだいろんな御質問、御意見があるかと思いますけれども、時間も超過いたしましたので、本日はここまでとさせていただきます。委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきまして、大変ありがとうございました。関係機関におかれましては、本日出された意見を踏まえ、今後、さらに対策をしっかり行っていただきたいと思います。
それでは、最後になりますが、次回の日程について事務局から御説明をお願いいたします。
○小城企画官 次回につきましては、11月の過労死等防止啓発月間の前の10月ごろに開催することとしております。日程につきましては、追って調整の上、事務局より御連絡させていただきたいと思います。
○中窪会長 それでは、以上で第14回「過労死等防止対策推進協議会」は閉会といたします。本日は、お忙しいところ、どうもありがとうございました。