第71回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

日時

平成31年3月1日(金)10:00~10:30

場所

専用第21会議室(17階)

議事

 
○宇野勤労者生活課長 始まる前に私から一言、運営についてお話をさせていただければと思っております。
昨日、内藤部会長から、御家庭の御事情によりまして御欠席される旨の御連絡がございました。労働政策審議会令第7条第6項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という規定がございます。
これについて、部会長から鹿住部会長代理のお名前をいただいておりますので、今回は公益委員でいらっしゃる鹿住部会長代理に部会長の職務を代行していただくということで進めさせていただければと思っております。
鹿住部会長代理、よろしくお願いいたします。
○鹿住部会長代理 本日はよろしくお願い申し上げます。
それでは、第71回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を始めます。
本日は、内藤部会長、白土委員が御欠席となりますが、労働政策審議会令第9条の規定(全議員の3分の1以上(最低10人)または公労使委員の各3分の1以上(最低各2人))により定足数を満たしております。
本日の議題ですが「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(中小企業退職金共済法の一部改正関係)について(諮問)」となっております。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は、以降撮影は御遠慮ください。
(カメラ退室)
○鹿住部会長代理 それでは、次第に沿って議事を進めてまいります。
議題1は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(中小企業退職金共済法の一部改正関係)について(諮問)」に入ります。
この件につきまして、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 私のほうから、資料の参考1と資料2を使いまして御説明させていただきたいと思います。
非常に長い法律名ですが、いわゆる略称としましては「デジタル手続法案」と言われていますけれども、その中に中小企業退職金共済法の一部改正を盛り込む形で一括改正することとしており、今回諮問させていただきたいと思っております。
まず、その内容につきましては、参考1を御覧いただければと思います。
参考1の内容につきましては前回、11月9日のこの部会で御説明させていただきました。その後、法制的な作業を進めまして、今回諮問させていただきたいということでございます。
内容につきましては、現行の掛金納付方法を見ていただきますと、書いてありますとおり、現在は共済契約者が、共済証紙を購入して、被共済者に賃金を支払う都度、共済手帳に就労実績に応じて共済証紙を貼付して、これに消印する方法によって掛金を納付してございます。
今回の改正は、制度の規模が大きく、業界として労働者の出入りが頻繁で、元請、下請が重層化した現場が多くある建設業退職金共済制度におきまして、現行の証紙貼付方法に追加する形で、電磁的な方法による掛金納付を可能とするものでございます。
具体的には、厚生労働大臣が指定する特定業種における掛金納付については、共済契約者が電子情報処理組織を使用して、厚生労働省令で定めるところにより、被共済者の就労の実績を独立行政法人勤労者退職金共済機構に報告する場合には、証紙貼付方法に代えて、厚生労働省令で定めるところにより、現金により納付することができるという内容の改正でございます。
まず、「厚生労働大臣が指定する特定業種」ですけれども、これは大臣告示で建設業を指定することを予定しております。
また、「共済契約者が電子情報処理組織を使用して、厚生労働省令で定めるところにより、被共済者の就労の実績を機構に報告する場合」という部分につきましては、電磁的方法下におきましては、共済契約者は建退共事業本部へ専用サイトを通じて被共済者の就労実績を報告することを想定しております。
このため、厚生労働省令では、就労実績に係る具体的な報告内容ですとか、就労実績報告の期限等を定める予定としております。
後段の「厚生労働省令で定めるところにより、現金により納付することができる」という部分でございますけれども、これは前例である「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」の第21条第2項ただし書きの書きぶりにならい、厚生労働省令で定めるところにより、現金により納付することができるという規定とさせていただいております。
今回の改正につきましては、次の2つ目の丸にございますとおり、いわゆる「デジタル手続法案」の中で規定の一部を改正することとしております。
デジタル手続法案の概要につきましては、2枚目を御覧いただければと思います。これは現在検討されているところでございますが、行政手続の利便性の向上ですとか、行政運営の簡素化・効率化を図ることを目的としまして、行政手続オンライン化法、住民基本台帳法、マイナンバー法等の一部を一括して改正するものでございます。
この中に関係する法律として、中小企業退職金共済法の一部改正も盛り込む方向で今、調整しているということでございます。
1ページ目に戻っていただきまして、参考1の※4を御覧いただきますと、「デジタル手続法案」は、情報通信技術を活用し、行政手続等の利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を図るものであり、特定業種退職金共済制度における電磁的方法による掛金納付の導入と趣旨や目的、方向性を同じくするものであることから、中小企業退職金共済法を「デジタル手続法案」により一括改正する旨、ここに記しております。
最後に施行日でございますけれども、一番下にございますとおり「デジタル手続法」の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日としております。これは、電磁的方法による掛金納付を導入するめためのシステム導入につきまして、少なくとも1年半程度の期間が必要であると見込まれているためでございます。
以上が、この法改正の内容です。資料2が今、御説明しました改正についての厚生労働大臣からの諮問文です。
別紙にその法案要綱をおつけしております。
この法案要綱について読み上げさせていただきます。
○伊藤勤労者生活課企画係長 それでは、読み上げさせていただきます。
 
情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(中小企業退職金共済法の一部改正関係)
 
第一 中小企業退職金共済法の一部改正
厚生労働大臣が指定する特定業種に係る特定業種退職金共済契約について、共済契約者が電子情報処理組織を使用して、被共済者の就労の実績を独立行政法人勤労者退職金共済機構に報告することとした場合には、現金をもって掛金を納付できるものとすること。
第二 施行期日
第一は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
 
○宇野勤労者生活課長 以上です。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鹿住部会長代理 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問などありましたらお願いいたします。
小川委員、お願いいたします。
○小川委員 今回の諮問について今、御説明をいだたいた厚生労働大臣からの諮問についてですけれども、妥当と考えます。
前回の部会でも申し上げましたけれども、建退共の掛金納付の電磁的方法の導入については、建設業界統一のシステムで本人認証を行った上で就業履歴や資格を蓄積、登録する建設キャリアアップシステムとの連携、建退共制度の一層の普及促進が期待され、適正かつ確実な掛金納付による労働者の退職金充実などにとって意義があり、必要な法令改正を含めた早期の実現をお願いしてきたところです。
なお、共済契約者については、小零細の事業所が、被共済者には中高年も多いということがありますので、電磁的方法による掛金納付に当たっては、いわゆるデジタルデバイドへの配慮として、現行方式での運用にも十分な配慮を望みたいと思います。
○鹿住部会長代理 事務局のほうから何かコメントがございましたらお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 小川委員、ありがとうございました。
ただいまの御意見、コメントも踏まえまして、答申いただければ、その後は国会審議もありますけれども、着実にこちらのほうも進めさせていただきたいと思っております。
○鹿住部会長代理 ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。
藤川委員、お願いいたします。
○藤川委員 藤川でございます。
今般の改正につきましては了ということにさせていただければと思っております。
加えまして、運用について少しお願い申し上げたいと思います。
デジタル化ということでございますので、それにつきまして、より多くの方々が建退共に加入いただくということが一つの目的だと考えておりまして、その中には、4月から入管法が変わりまして、外国人の労働者の方々が、特にこの建設業界は今、人手不足ということでございますので、多く就業される可能性があるのだろうと思っております。
一つは、諸外国には退職金という制度に余りなじみがない方もおられますでしょうし、日本語のリテラシーという意味では、少し日本語の理解をされておられない方も出てくるかと思いますので、ぜひ、そういう方に対しましての広報、周知、そして、せっかく掛けていただいている退職金が未払いにならないようなフォローも含めまして、お願い申し上げたいと思っております。
以上でございます。
○鹿住部会長代理 事務局のほうからお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 藤川委員、ありがとうございました。
本当に御指摘のとおり、今回、入管法の改正ですとか、その前の技能実習制度も含めて、建設業は外国から来られて働く方が増えているということは我々も認識しております。
御案内のとおり、建退共制度は国籍を問わず対象としております。ですので、外国人材の方につきましても、建退共制度の対象となります。 実際に私も、退職金をまさかもらえると思っていなかったのに、建退共に加入すると給与プラス退職金までいただけ、非常にいい制度だということで、技能実習の外国の方も喜んでいるという話も伺っておりますので、機構とも連携しながら、きちんと共済契約者、あとは外国人材を含む被共済者に対して、制度の周知、広報をしっかり取り組んでいきたいと思っております。
一番重要なことは、共済契約者の理解だと思いますけれども、プラス、実際に退職金を受け取る被共済者に、こういう制度があるのだということを知っていただく必要があると思います。
建退共のほうでは、今回のそういった制度の改正も踏まえまして、外国人向けの広報資料を作成することを予定しております。
まずは英訳版を作成する予定ですが、アジアの方も多いものですから、他の言語まで範囲を広げることが重要だと思っていますので、この辺はよく機構と連携しながら、着実に進めていきたいと思っております。
○鹿住部会長代理 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はありますか。
久保委員、お願いいたします。
○久保委員 施行日が、公布の日から起算して2年ということなのですけれども、ぜひ2年も含めて、事業主さん並びに外国人を含めまして、労働者に対して制度、システムを含めた周知方法を十分に考えてやっていただきたい。ぜひよろしくお願いいたします。
○鹿住部会長代理 お願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 久保委員、ありがとうございます。
全くおっしゃるとおりでして、こちらも遺漏なきよう、まず、システムの構築について問題がないようにきちんとやっていかなければいけないと思いますし、実際に利用者の方々がきちんと使えるような形で、就労実績報告の部分の中身も含めて、きちんと検討していきたいと思います。
また、建設業キャリアアップシステムとも連携するというふうになっておりますので、そのあたりも、よりユーザーサイドに立った、使いやすいものになるように、機構とも連携しながら、検討していきたいと思っております。
○鹿住部会長代理 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。
川野委員、お願いいたします。
○川野委員 関連してということになるかと思いますけれども、今ほど来、周知を含めて御説明をいただいたところでございますけれども、この行政手続のデジタル化においては、法律が改正されて2年以内に施行という期間設定の中において、1年半のシステム構築の時間を有するということです。長い期間システム構築に時間がかかる。加えて、そうしたシステム構築に多大な投資が必要になるのだと思います。
今ほど来ありますとおり、このデジタル化が行政側や機構側のために簡素化・効率化するのではなくて、あくまでも利用者側のメリットとして享受できるというか、それが実感できるようなものにならなければいけないと思いますし、そのことによって利用者の拡大が図れる。いわゆる費用対効果という部分については、長い期間や、投資額も相当な額に及ぶであろうことを考えると、双方が整っていかなければいけないと思っているところでございます。
加えて、中小企業経営者の方々の高齢化は周知のとおりでございまして、そうした中において、IT機器、または、先ほど説明があったように、専用サイトに入って手続をするということについて、使い勝手のよさとかわかりやすさということも一定の工夫が必要なのかと思っておりますので、よりいっそうの利用促進策に工夫を加えていただくようお願い申し上げたいと思います。
○鹿住部会長代理 事務局からお願いします。
○宇野勤労者生活課長 川野委員、ありがとうございます。
全くおっしゃるとおりでして、このシステムの導入に当たっては費用がかかりますので、電磁的方法の導入によって、共済契約者、企業の方々の利便性の向上のみならず、実際にその先にある被共済者、労働者の方々に、確実に退職金が支払われるようになることが重要だと思っております。
今回のシステムで一番重要なことは、今までは機構において掛金納付状況を瞬時に把握できなかったのですが、今後はそれがリアルタイムで把握できるようになるという部分でございます。これが退職金の支給漏れを防ぐことになり、被共済者のメリットとなるかと思います。
あと、御指摘いただいたように、実際にそういったメリットを踏まえて、どうやって周知というか、実際に使っていただくことになるかというのは、先ほど来御説明しましたとおり、ユーザーサイドに立って我々も検討していきたいと思いますし、幸い、建設業キャリアアップシステムという、業界全体で行われているシステムとも連携しますので、まさにそこと協力しながら、この建設業退職金共済制度へのさらなる加入促進にもつながるように進めていきたいと思っております。
○鹿住部会長代理 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、部会として、厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛てに報告することといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鹿住部会長代理 ありがとうございます。
それでは、諮問どおりで妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛てに報告することにいたしたいと思います。
事務局で報告案を用意していだたき、読み上げていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
(答申配付)
○伊藤勤労者生活課企画係長 読み上げさせていただきます。
 
平成31年3月1日
 
勤労者生活分科会
分科会長 内藤 恵 殿
 
中小企業退職金共済部会
部会長 内藤 恵
 
「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(中小企業退職金共済法の一部改正関係)」について
 
平成31年3月1日付け厚生労働省発雇均0301第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。
 

 
厚生労働省案は、妥当と認める。
 
なお、労働政策審議会令第7条第7項により部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。
このことから、御承認いただければ、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることになります。
○鹿住部会長代理 ありがとうございます。
ただいまの事務局の説明のとおり、実質的にはこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることとなりますが、ただいま朗読していただきました文案でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鹿住部会長代理 異議なしと認めます。ありがとうございます。
それでは、この内容で厚生労働大臣宛てに答申することといたしたいと思います。
本日の議題につきまして、御意見は出尽くしたと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。
本日の議事録の署名委員は、川野委員と須永委員にお願いいたします。
最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
○髙橋勤労者生活課長補佐 次回の中小企業退職金共済部会でございますけれども、3月8日の金曜日、午後3時から5時、場所はTKP新橋カンファレンスセンターホール5Bの予定となっております。
詳細については、追って御案内を差し上げます。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○鹿住部会長代理 それでは、本日はこれで散会といたします。
ありがとうございました。