第72回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

日時

平成31年3月8日(金)15:00~15:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール5B

議事

 
○内藤部会長 それでは、定刻より多少早いようでございますが、委員の皆様、おそろいになりましたので、ただいまから第72回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を始めます。
本日は、山本委員、花井委員が御欠席でございます。また、関委員は御所用のため、少し遅れての御参加となります。
労働政策審議会令第9条の規定(全委員の3分の2以上(最低10名)または公労使委員の各3分の1以上(最低各2名))により、定足数は満たしております。
本日の議題ですが、「平成31年度の付加退職金支給率について(諮問)」及び「その他」となっております。
本日の部会の説明は、タブレットを使用して行うことになっております。事務局のほうから、何か御説明があればお願いいたします。
○高橋勤労者生活課長補佐 本日の部会でございますけれども、ペーパーレスで実施させていただきます。お手元にはタブレットを配付しております。
簡単に操作の御説明をさせていただきます。現在、プライベートファイルというフォルダが開いた画面になっているかと思いますけれども、説明者が指示いたしますので、その資料を指でタップして開いていただければと思います。指を上下していただきますと、ページをめくることができます。戻っていただく場合には、左上のマイプライベートファイルというところを、また軽くタッチしていただきますと戻れます。
しばらく資料を開いておりますと、このマイプライベートファイルという表示が消えることがございますけれども、再度資料に触れていただけばまた戻ってまいります。
そのほか、何か御不明な点がございましたら、近くに職員を配置しておりますので、お申し出いただければと思います。
また、雇用環境・均等局長の小林でございますけれども、国会の用務の関係で少し遅れて参ることになっております。
よろしくお願いいたします。
○内藤部会長 それでは、次第に従って議事を進めてまいります。
議題1「平成31年度の付加退職金支給率について(諮問)」に入ります。
この件につきまして、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされておりますので、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 では、私のほうから説明させていただきます。
まず、参考1を開いていただけますでしょうか。付加退職金の御説明の前に、マーケットの動きを簡単におさらいさせていただきたいと思います。
参考1の2ページ目で、ベンチマーク収益率の推移ということで折れ線グラフを示させていただいております。これは、各年度初めを起点にしまして、その収益率を折れ線グラフで示しているものでございます。
平成29年度ですと、特に赤い部分、国内株式(赤い線で四角い箱)と外国株式(赤い線で×)のグラフを見ていただきますと、収益率が大きく上がっているのがわかると思いますが、30年度につきましては、この赤いところが、特に年後半部分について大きく下がってきているということでございます。
外国株式につきましては、その後回復しておりますが、国内株式につきましては、まだ収益率がゼロよりも下の水準になっているという状況でございます。
この動きにつきましては、平成31年2月分まで示しておりますけれども、昨日の直近の動きを見ましても、3月7日時点でも、国内株式のベンチマークであるTOPIXは、2月末に比べて0.4%減少という形で、2月末よりも減っているような形になっております。
そういう形で、全体的に厳しい市況だということをまず御理解いただければと思っております。
この資料を見ていただきまして、またマイプライベートファイルを押していただいて、資料2をご覧いただければと思います。
今回の諮問に関しての資料の1ページ目ということで、諮問文をおつけしております。「記」ですが、平成31年度付加退職金の支給率につきましては、0とすることについて、審議会の意見を求める内容となっております。
次の2ページ目をご覧ください。
収支状況でございます。平成30年度の見込みですけれども、運用収入、一番右側の上から3つ目ですけれども、185億円になっています。29年度、28年度は1,000億円を超えている額でしたので、今回の30年度は大幅な減額ということになっております。これは、先ほど背景として御説明した参考1の資料の指標の動きがその原因となっております。そのため、今年度の収入見込みが4,315億円、支出の見込みが4,580億円、差し引き、当期損益金の見込み額は、下から2つ目の数字で265億円のマイナスとなっております。
この収支の算定方法につきましては、3ページ目をご覧いただければと思います。
掛金収入、退職金支出につきましては、30年11月末までの実績値をもとに、30年12月から31年3月までの推計値を加算しております。
責任準備金は、この1の推計値の計算に基づきまして算定しております。
運用収入が今回、一番のポイントなのですけれども、自家運用につきましては、ここに書いてありますとおり、30年12月末に保有している資産、31年1月~3月の購入予定資産を元に、運用収入を推計しています。
委託運用は例年どおりなのですけれども、31年1月末の時価額をもとに、2月の収益率は、2月のベンチマーク収益率を用いております。また、3月については、収益率ゼロとして試算したものでございます。
こうした試算をもとに計算した、先ほどの2ページ目の数字を見ていただきますとわかりますとおり、損益金がマイナス265億円でございますので、付加退職金の支払いに充てるべき利益の見込み額がないということでございます。したがって、平成31年度の付加退職金支給率は0ということで諮問させていただきたいと思っております。
なお、最後の4ページ目でございますけれども、昨年度、この部会の場でお決めいただきました、現行の付加退職金支給ルールを図示した資料でございます。これを見ていただきますとわかりますとおり、利益額をどういうふうに分配するかという内容でございまして、今年度につきましては残念ながら利益額が出ておりませんので、今回は0ということで諮問させていただきたいと思います。
御審議のほどよろしくお願いいたします。
○内藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問などございましたらお願いいたします。
小野委員、お願いいたします。
○小野委員 今の資料2ですけれども、結果自体はいいと思うのですけれども、1つだけ質問があります。2ページの平成27年度の運用費用ですけれども、これが前後と比べると541億円と大分大きいのですけれども、それはどういった理由によるものかをお伺いしたいということです。
○宇野勤労者生活課長 小野委員の御質問にお答えいたします。
27年度の運用費用が大きい理由ですけれども、委託運用でマイナスの運用収益を計上した場合には、運用費用という形で計上されています。自家運用のプラス収益というのは運用収入に計上されるために、収入と支出の両方を出すことになっております。
○江尻勤労者生活課数理係長 補足させていただきます。
平成27年度につきましては、先ほど課長からもありましたけれども、運用費用等のところが541億円となっておりまして、こちらは委託運用のときのいわゆる運用損をここに計上することになっております。そのため、ここが少し大きくなっているということでございます。
○小野委員 ということは、運用収入のほうにはマイナス計上されていないということですか。
○宇野勤労者生活課長 そういうことでございます。
○小野委員 わかりました。以上です。
○内藤部会長 ありがとうございました。
ほかに委員から、何か御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。
労働側、使用側、いかがでいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
では、委員から特に御意見、御質問がほかにはないということですので、部会として厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛て、報告することにいたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○内藤部会長 それでは、諮問どおりで妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛て、報告することにいたします。
事務局のほうで報告案を御用意いただき、読み上げていただきたいと思います。
(答申文 配付)
○江尻勤労者生活課数理係長 それでは、読み上げさせていただきます。
平成31年3月8日、勤労者生活分科会分科会長、内藤恵殿。
中小企業退職金共済部会部会長、内藤恵。
「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率」について。
平成31年3月8日付け、厚生労働省発雇均第0308第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。

厚生労働省案は、妥当と認める。
以上になります。
なお、労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。このことから、御承認いただければ、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることになります。
○内藤部会長 ありがとうございました。
事務局の御説明のとおり、実質的にはこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることになります。
ただいま朗読していただきました文案でよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○内藤部会長 ありがとうございます。では、皆様異議なしと認めます。ありがとうございました。
では、この内容で厚生労働大臣宛て答申することにいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、続いて、議題2「その他」でございます。この件につきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 御答申いただきまして、ありがとうございました。
今、御答申いただきました平成31年度付加退職金支給率につきまして、実はこれに関連して定める告示が9本ございます。この9本の告示を御説明させていただきたいと思っております。資料3をごらんいただければと思います。
1ページ目から2ページ目にかけて9本の告示が並んでおります。この見方といたしましては、例えば1番に書いてあります告示ですと、告示の標題がございまして、その後4行ほど告示の内容がございます。その後の括弧で一番右下のほうに書いてある、過去勤務期間に応じて0~0.06というのが、その告示の内容の数字でございます。1番であれば0~0.06、2番は0、3番は1%ということになっております。
これらの具体的な内容につきまして、3ページ目から、簡単でございますけれども、告示の概要を説明させていただきたいと思っております。
まず、3ページ目、1というのは、先ほどの1ページから2ページ目の番号です。この番号につきまして、それぞれで概要をつけております。
3ページ目の1の告示ですけれども、これは共済契約者、企業さんが新規に中小企業退職金共済に加入する際、もう既に勤務されている従業員がいらっしゃる場合に、その勤務されている従業員、被共済者ですけれども、その方々の過去の勤務期間分の掛金を最大10年間分まで納めることができます。その10年間分納めるときに、利率をどういうふうに計算するか。予定運用利回りの増加分に加え、付加退職金の増加分がございますので、付加退職金の増加分をどのように設定するかということでございます。
具体的には、被共済者の勤務年数に応じまして、みなし加入月というものを決めます。これは、例えば勤務期間が5年前だと5年とか、最長10年ですが、そこでみなし加入月を設定しまして、そのみなし加入月から実際にその企業さんが中小企業退職金共済に加入した月の期間に応じまして加算が決まります。ですから、実際には、告示のほうは、1年であれば何%、最長である10年だったら何%と決めていきます。
この例は、平成31年上半期に加入しまして、過去勤務期間5年の場合の例でございます。共済契約者に納めていただく必要があるのは、この平成26年度以降、5年分の掛金でございます。この掛金には、さかのぼる年数に応じまして利回りが掛けられます。この利回りに加えまして、付加退職金が支給される年度については、付加退職金による増加分も納めていただく必要がございます。この付加退職金が支給されるということでございますけれども、付加退職金はみなし加入後43月以降が対象となります。
ですので、このお示ししております例ですと、26年度、27年度は、付加退職金は本来支給されている年度ですが、これらの期間は43月以降ではないものですから、ここは該当せず、30年度は43月以降でありますので、30年度のみ付加退職金の増加分が加えられます。ということで、それに応じまして、付加退職金の増加分を過去勤務の通算期間ごとに定めるのが1の告示でありまして、具体の率としましては0~0.06の範囲となっております。一番長い10年で0.06ということで率を決めさせていただいているのが、この告示でございます。
続きまして、4ページ、5ページ目の2つ目、3つ目の告示は、両方とも退職金を分割してお支払いする場合に関する率について定めたものでございます。
4ページ目は、いわゆる退職金を分割した場合の支給額についてでございます。退職金を分割支給する場合は、一時金として支給する退職金額を分割支給の期間、5年か10年を選ぶのですが、それに応じて、利回り分を合わせて支給することとされております。5年分割ですと、1年に4回、計20回支給しますけれども、毎回の金額は一時金として支給する金額の、本来1000分の50ですが、プラス1ということで、その1000分の1部分は利回り分という形になっております。
分割支給額につきましては、利回り分に加えて、分割支給期間中に見込まれる付加退職金相当分として、厚生労働大臣の定める率を乗じて得た額を毎回支給することとされております。この2番目の告示はその率を定めるものですが、期待収益率と採算利回りがほぼ均衡しており、そもそも将来の付加退職金支給を見込める状況になっていないという現状を踏まえまして、定例として0と定めておりますけれども、今年度も0として定めさせていただきたいと思っております。
なお、この告示を毎年度定めている理由ですけれども、対象となる方が変わるためでございます。告示の対象者は、29年度末以前に退職し、31年度より分割退職金の申請を行った方、31年度中に退職して、32年7月末日までに請求した方。あと、昨年度の告示に含まれていない、30年度に退職して、30年8月から31年3月31日までに請求した方になっております。
続きまして、5ページ目は、3つ目の告示でありますが、退職金を分割して受給している被共済者が亡くなった場合に、残りの退職金額を一括して遺族等に支給するに当たり、残りの額を現在価値へ割り戻す率を定めるものでございます。先ほどの2つ目の告示でありましたとおり、将来の付加退職金に相当する額の率を0とするために、割引率は予定運用利回りである1%ということになっております。対象者は、先ほどの告示と同様になっております。
続きまして、6ページ以降は、告示の数が多いのですが、企業年金制度などいろいろな制度と中退共制度との資産移換の関係で、付加退職金に相当する率をどういうふうにやるかということでございます。実は、この他の退職金制度、年金制度から中退共に移換された資産の取り扱いにつきましては、その資産を中退共の掛金納付月数に通算できるパターンと通算できないパターンがあるのですが、通算できないパターンだとすると、全額を中退共の掛金とは別に運用いたします。
また、6ページにありますとおり、通算できるパターンであっても、残余額がある場合には、残余額はまた別途運用するというルールになっております。今回の4つ目以降の告示、4から9までの告示は、この、別に運用する場合に、予定運用利回り、現在、年1.0%ですが、予定運用利回りに付加退職金に相当する利率を加えた利率で運用しますけれども、その加えた利率を何%にするかというものでございます。
6ページと7ページ、2つパターンがありますけれども、いずれにしても、今回の告示というのは通算できなかった部分についての付加退職金に相当する利率を決めるものでございまして、来年度の付加退職金支給率は0となるために、この告示の利率は0%となります。これは、6ページも7ページも共通のものでございます。また、適格年金ですとか廃止特退共ですとか特定業種退職金共済ですとかDB・DCですとか、いろいろな制度がございますので、告示の本数が増えていますけれども、考え方としましては、今、申し上げた内容となっております。
以上、簡単ではございますけれども、平成31年度付加退職金支給率に関連して定める告示を説明させていただきました。なお、告示の内容につきましては、参考2の3ページ以降に実際のものがございますので、もしお時間があればご覧いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○内藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの付加退職金の支給に関連する告示の件、御説明につきまして、御意見、御質問などおありになりましたら、お願いいたします。御質問あるいは御意見ございましたら、どうぞ御自由にお手を挙げてお願いいたします。よろしゅうございましょうか。御意見ございませんでしょうか。
それでは、本日の議題につきましては、御意見が特にないということでございますと、少し早いのですが、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
それでは、本日の議事録の署名委員は、小川委員と久保委員にお願い申し上げたいと思います。
では、何か事務局のほうからございましたら、お願いいたします。
○小林雇用環境・均等局長 最後に一言、御挨拶申し上げます。
本日は、遅れて大変申し訳ございませんでした。また、付加退職金の支給率をお取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
実は、2年ごとに委員をお願いしている関係がございまして、今度の4月で2年の今期の任期が到来するということでございます。そのため、本日が恐らく任期最後の部会ということになろうかと思います。
2年間、大変お力添えいただきましたことに御礼申し上げますとともに、今期で御退任される委員の方もいらっしゃいますが、長年にわたり大変御貢献いただきましたことに、この場をお借りして御礼申し上げます。
私どもといたしましては、中退制度の安定的な運営に向けまして、今後ともしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、引き続き御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○内藤部会長 御退任の委員から何か御挨拶いただく必要はございますか。よろしゅうございますか。
それでは、本日はこれにて散会といたします。
お忙しい中、ありがとうございました。