第137回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

平成31年2月28日(木)17:00~19:00

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省省議室(厚生労働省9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○阿部分科会長 本日はちょっと、準備の関係で大変遅くなり申し訳ありませんでした。それから皆様の前にマイクがある席とない席とありますし、また、そのマイクがきちんと入るかどうか分からないので、いつもより少し声を張っていただき大きな声を出していただければと思います。すみませんがよろしくお願いいたします。それでは、ただいまから第137回労働政策審議会職業安定分科会を開催したいと思います。本日の委員の出欠状況ですが公益代表の太田委員、桑村委員、労働者代表の林委員、使用者代表の今木委員、吉岡委員が御欠席です。鎌田委員は所用により遅れての御出席と聞いております。
 それでは、議題に入ります。最初の議題ですが、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針の一部改正案について」です。本件につきましては2月25日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに諮問を受けており、同日に開催された雇用対策基本問題部会におきまして、あらかじめ本議題に関する議論を行っていただいております。事務局より説明をお願いいたします。
 
○外国人雇用対策課国際労働力対策企画官 タブレットのプライベートファイルという書類があり、1から6までの資料のフォルダー番号があります。資料としては1-1から1-3が資料です。参考資料は1-1から参考1-3があります。参考資料1-1が、この指針について雇用対策基本問題部会で議論していただいたときの経緯をまとめたものですので、背景として参考資料1-1から順に説明したいと思います。
 04とある参考資料1-1をお開きください。部会での議論の経緯があります。昨年11月に基本問題部会で議論を開始していただき、その後1月そして先日2月25日まで、計3回に渡って議論していただきました。そもそもこの雇用管理指針ですが、平成19年に厚生労働大臣の告示として出されており、2枚目のスライド、趣旨・目的の所にあるように外国人を雇用している事業主が雇用管理の改善及び再就職の援助に関して、適切に対処するために定められたものです。そしてハローワークにおいて、外国人材を雇用する事業所を訪問する際、本指針に基づき必要な助言及び指導を行っております。
 左側に現行の指針の項目がマル1からマル6まで並んでおり、マル1外国人の募集及び採用の適正化に関する事項としては、募集にあたり業務内容、賃金、労働時間、関係法令の適用に関する事項などを明示する。求人の申込みにあたり国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしない。在留資格上、従事することが認められる者であることを確認する。公平な採用選考に努めるといったことが既に定まっております。マル2適正な労働条件の確保ですが、国籍を理由として賃金、労働時間等について差別的取扱いをしてはならない。主要な労働条件について外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付する。適正な労働時間の管理を行うほか、外国人労働者の旅券等を保管しないようにするといったことが定められております。
 マル3安全衛生の確保ですが、外国人労働者が理解できる方法で安全衛生教育を行う。労働災害防止のための指示等を理解できるよう、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努めること。健康診断を行うといったことが定められております。マル4雇用保険、労災保険、健康保険および厚生年金保険の適用ですが、例えば被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続等必要な手続をとる、あるいは脱退一時金について教示することが定められております。
 マル5の適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等ですが、多様な人材が能力発揮しやすい環境整備に努める。教育訓練の実施、苦情・相談体制の整備、母国語での導入研修の実施等に努めるといったことが定められています。
 マル6解雇の予防および再就職の援助では、安易な解雇等を行わないようにするとともに、やむを得ず解雇等を行う場合は、外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うように努めるとされております。
 このように、労働関係法令の中で特に外国人について留意してほしいこと及びこの指針独自の規定として、外国人ならではの、例えば旅券の保管をしない、あるいは母国語等で研修するといったことがこの指針の中身となっております。
 3ページは、参考となる条文を付けております。労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、昔は雇用対策法と言われておりましたが、第7条、事業主の責務という条文があります。「第7条、事業主は」で始まっております。3行目の所で「雇用管理の改善に努めるとともに」という文章があります。最後の行ですが、「外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない」という条文です。事業主の努力義務が、ここで定められております。
続く第8条において厚生労働大臣は、第7条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するとされており、この第8条を受けて定められたものがこの指針です。
 そしてハローワークは第28条第2項第1号に基づき、当該外国人の有する在留資格、知識経験等に応じた適正な雇用管理を行うことについて必要な指導及び助言を行うとなっており、この規定に基づいて指導・助言などを行っているということです。以上が、参考資料1-1です。
 次に参考資料1-2を御覧ください。昨年末の臨時国会で成立した改正入管法関係の資料をまとめております。ごく簡単に概要を説明いたします。1つ目のスライドは特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の概要です。これは昨年末閣議決定により新しい在留資格、特定技能の制度運用の基本方針が定められたものです。1の制度の意義ですが、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野を特定産業分野と称して、そこにおいて一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる仕組みを構築することが定められております。
 2の矢印3つ目の所、受入れ見込数とあり、その特定産業分野ごとに分野別運用方針が定められ、向こう5年間の受入れ込み数が記載されると定まっております。右側の3ですが、求められる人材に関する事項として、特定技能1号、特定技能2号と2つの区分があります。1号については技能水準と日本語能力水準について、試験等で確認すること。そして在留期間は通算で5年を上限とすること、家族の帯同は基本的に不可とされています。そして特定技能2号については、在留期間の更新が必要とありますが、更新をすれば特段の上限がないこと、家族の帯同は可能となっています。4、関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項です。1つ目と2つ目の矢印は、これは悪質な仲介事業者(ブローカー)等とありますが、これを排除するための取組ということで、国内においては法務省、厚生労働省等の関係機関が連携を強化すること。国外においては送り出し国政府との二国間取決めなどの政府間文書の作成といったことを講じることが定められております。人手不足状況の変化等への対応ですが、人手不足状況に変化が生じたと認められる場合には、必要に応じて関係閣僚会議において、受入れの一時停止や、特定産業分野の省令からの削除といった措置を検討することが定められております。そして向こう5年間の受入れ見込み数は、大きな経済情勢の変化が生じない限り、本制度に基づく外国人受入れの上限として運用するとされております。
 5、制度の運用に関する重要事項です。1つ目の矢印は1号特定技能外国人に対する支援が義務づけられているということです。生活オリエンテーションや生活のための日本語習得の支援、外国人からの相談・苦情対応といったことが支援の内容として位置付けられております。そして特定技能外国人は転職が可能となっておりますので、転職の際ハローワークを利用する場合には、ハローワークとして希望条件、技能水準、日本語能力等を把握し適切に相談・紹介を実施するといったことが記載されております。その下の矢印の雇用形態ですが、フルタイムとした上で、原則として直接雇用とされております。特段の事情がある場合については、例外的に派遣を認める。この派遣を認めることについては、あらかじめ分野別運用方針に明記することが定められております。
 2つ目のスライドは、特定産業分野は現在14分野が定められており、その分野ごとに分野別運用方針が定められています。それを一覧にしたものが、こちらです。介護、ビルクリーニングから、外食業、飲食料品製造まで14の分野が定められております。
 4ページは、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策です。こちらは特定技能だけではなく、他の技術、人文知識、国際知識といった在留資格など外国人材全てを対象にして外国人材の受入れ・共生のための総合対応策として昨年末にまとめられたものです。関係省庁の施策がいろいろ盛り込まれておりますが、例えば左側の(1)マル1に行政・生活全般の情報提供・相談を多言語で行うワンストップの窓口として「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設けると記載があります。そして右側(6)の所が、労働関係の施策です。1つ目の労働基準監督署、ハローワークの体制強化、技能実習機構の体制強化といったこと。あるいはマル2ではハローワークにおける多言語対応の推進と地域における再就職支援といったことが盛り込まれております。
 (7)は、社会保険への加入促進の関係です。例えば、医療保険の適正な利用の確保といった取組が盛り込まれております。
 2つ下の新たな在留管理体制の構築の(2)ですが、在留管理基盤の強化として1つ目の○、法務省・厚生労働省の情報共有を更に進めて、外国人の在留状況・雇用状況を正確に把握するといった取組も盛り込まれております。
 最後のスライドですが、現在法務省において策定中の特定技能の外国人材受入れに関する省令の内容を記載した概要資料ですので、参考までにお付けしております。
 続きまして、参考資料1-3です。1枚目が在留外国人の数の推移です。平成29年末で256万人の総在留外国人がおります。総在留外国人はこちらの注にありますように、中長期在留者とありますが、中長期在留者とは3か月以上滞在する方となっております。国際比較について右側の棒グラフにありますが、平成26年においては我が国は1.7%程度が人口に占める外国人の割合となっていました。
 2つ目のスライドは、入管法上の在留資格の一覧です。左側の青いボックスで表されたのは就労が認められる在留資格です。(活動制限があり)と書いてありますが、在留資格はそれぞれに定められた目的となる活動で、あらかじめ認められた目的で滞在する場合に限って入国が認められるということです。基本的に就労を目的とした在留資格は、こちらとなります。右側の緑の着色した部分、身分・地位に基づく在留資格は(活動制限なし)とあり、就労することも、しないことも自由と。就労する者はどのような形でも働けるという在留資格です。永住許可を受けた方あるいは日本人と結婚された方、あるいは日系三世の方といった方々がこちらの在留資格に当たります。
 そして、その下の青字の所は、特定活動という在留資格で、ワーキングホリデーあるいはEPA、そういった方々、いろいろな形の方々がこちらの特定活動で在留しております。
 オレンジが、就労が認められない在留資格です。ここには留学とあり、留学の場合を含めて※とあるように資格外活動許可を受けた場合は、一定の範囲内で就労が認められるとされております。
 3ページ目が、そうした方々が実際どれだけの数が働いているかをまとめた資料です。これは厚生労働省の外国人雇用状況届の昨年10月末の数字を集計したものです。マル1が先ほどの青字で着色した就労目的で在留する方々であり、27万7,000人。マル2が身分に基づき在留する方で49万6,000人。マル3が技能実習で30万8,000人。マル4が特定活動で3万6,000人。マル5が資格外活動で主として留学生のアルバイト等ですが34万4,000人となっております。
 4ページ目が、こうした在留資格の経年での変化を見たものです。2008年には50万人を切る状況でしたが、2018年には146万人と、大幅に増加しております。特に近年では、資格外活動、ピンクで着色した部分と、黄で着色した技能実習のウエイトが増えている状況です。
 5ページ以降は、国籍別などのデータがありますが割愛いたします。
 次に、資料1-1をお開きください。01の資料です。1ページ目に厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問の文書を付けております。以下、別紙として、告示案要綱を付けております。資料1-3の概要で説明いたします。03の資料ナンバー1-3をお開きください。こちらが先ほどの縦書きの要綱の概要です。参考の1-1の所で説明したように募集・採用から解雇等いろんな場面で雇用関係の重要な事項を、外国人を雇っている事業主向けに集めたカタログのようなものでありますので、その場面場面に応じて今回新たに付け加える事項としてまとめた資料です。募集・採用の所ですが、違約金、保証金の徴集等を行う職業紹介事業者等からあっせんを受けないこと、というのは悪質なブローカーを使わないという趣旨です。そして労働条件の変更明示等を母国語や平易な日本語などにより外国人労働者が理解できるように行うことという規定も、今回新たに付け加えるとしております。
 その下の労働条件・安全衛生等ですが、労働条件の明示につきましてはモデル様式の活用や母国語や平易な日本語等での説明といったことを盛り込んでおります。次の項目の適正な賃金の支払いとありますが、これは従来なかった項目で、労働基準法や最低賃金法の規定の内容を取り込んでおります。最低賃金額以上の賃金を支払うこと、基本給、割増賃金等の賃金について適正に支払うこと。労使協定に基づき、食費、居住費等の控除を行う場合、不当な控除額にならないようにすること。そして強制貯金の禁止といった事項を今回新たな項目として追加いたしました。
 適正な労働時間等の管理につきましては、時間外・休日労働の上限規制の順守、労働時間の状況の客観的方法での把握、年次有給休暇の適切な付与の事項を追加しております。
 そして関係法令等の周知ですが、従来は関係法令だけでしたが、新たに就業規則や労使協定の周知を追加しております。事業の附属の寄宿舎の適正化につきましても、新たに労働基準法の内容の項目を追加しました。
 その次は雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇の確保です。いわゆる同一労働同一賃金の規定の内容を新たに項目として追加しております。
 安全衛生の確保につきましても、近年の安全衛生法の改正で取り込まれた長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックといった事項を設定しております。また母性保護に関する措置の実施という項目も、既存の法令の内容を取りまとめて新たな項目として追加しました。
 解雇・雇い止めにつきましては、この指針は19年にできたものですが、その後の労働契約法で追加された解雇権乱用法理や解雇・雇い止め法理の内容を事項として追加しました。また労働基準法や男女雇用機会均等法にある解雇制限の場合や妊娠・出産等を理由とした解雇等の禁止といった事項も、今回新たに追加することといたしました。
 右側は労働保険・社会保険の項目です。労働保険については2つ目、農業では強制的な保険適用のない事業所がありますので、その場合は暫定任意適用事業所とされておりますが、労働者の希望に応じた加入の申請を行うといった事項を追加しております。
 社会保険につきましては、離職時の健康保険の被保険者証の回収、そして国民健康保険・国民年金の加入手続の周知、健康保険や厚生年金が適用されていない事業所でありましたら国民健康保険や国民年金に加入することを支援するといった事項を追加しました。そして帰国の際には脱退一時金が年金から出されるわけですが、その場合の留意事項、あるいは労働災害以外のけがや疾病についての傷病手当金が支給され得るようなこと、あるいは障害年金が支給され得ることについての周知といった事項も今回新たに追加しております。
 その下の人事管理・生活支援等の項目ですが、人事管理につきましては社内規程の多言語化、あるいは2つ目のポツにあるように評価や賃金決定、配置等の人事管理に関する運用の透明性・公正性の確保といった事項を今回新たに追加しております。
 生活支援については行政機関や医療機関、金融機関等に関する情報提供等、安心して日常生活を営むための支援の事項を今回盛り込んでおります。苦情・相談体制も新たな項目として起こしました。
 帰国等の援助については帰国費用を支弁できない場合の援助、あるいは一時帰国を希望する場合の休暇取得への配慮といった事項を今回追加しております。
 そして請負を行う事業主に関する事項として、業務を行う事業所において適切な管理がなされること、そして安定的な雇用関係となるよう配慮することといった事項を追加しております。
 また最後の枠ですが、在留資格に応じた措置として特定技能、先ほども御紹介した改正入管法に基づく特定技能については、法務省において入管法令の中で雇用契約の基準や支援・届出の基準、あるいは報告の義務といったことがありますので、そうしたものについて留意する必要があること、また留学生については非常に数も多くなっておりますので、例えば資格外活動の許可は28時間までとされておりますが、その範囲内で就労させることや就職の際には在留資格の変更が必要であることといったような事項を盛り込んでおります。以上が概要です。
 恐縮ですが、資料1-1にお戻りください。今説明したものを縦書きの要綱にしたものですが、ページをめくっていただき最後が18ページですので、17ページをお開きください。第3その他という項目があります。こちらが条文で言いますと附則あるいは施行期日に該当するところで、告示をお認めいただいた場合には平成31年4月1日から適用したいと考えております。そしてただし書で第2の規定は32年4月1日から適用することとあります。第2の規定が2つ前の15ページです。条文で言うと第2条に当たりますが、こちらはいわゆる同一労働同一賃金についての規定を追加する箇所です。こちらは働き方改革の法律で、32年4月からとなっておりますので、その法律の施行に合わせてこちらの告示でも32年4月1日からということで規定の適用の時期を1年ずらすことで、適用日を書き分けております。以上が、こちらの告示の説明になります。
 なお先ほど分科会長からありましたように、去る2月25日の部会におきましておおむね妥当との報告をいただいたところです。よろしくお願いいたします。
 
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。久松委員どうぞ。
 
○久松委員 資料1-2、指針の9、10ページの部分である労働・社会保険の適用等について意見を述べさせていただきます。現在国内では約30万8千人の技能実習生が就労しています。この中で個人経営で農業を営み、常時5人未満の労働者を使用している事業所については、暫定任意適用事業者でありますから、労働保険の加入は任意となっていますが、相当数の技能実習生が就労していると思います。そうした事業所については、労働者の希望に応じて加入申請を行うとありますが、どれだけの実効性があるのかについて疑問が残るという点が1つです。
 また、参考資料1-2の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」には、社会保険の加入促進策として、「法務省から厚生労働省等への情報提供等による社会保険への加入促進」とありますが、いずれにしても絵に描いた餅とならないように、暫定任意適用事業者については農林水産省や受入れ団体とも連携しつつ、周知徹底・啓発をお願いをしたいということで意見とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○阿部分科会長 御意見として承りますが、事務局から何かコメントありますか。
 
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の古舘でございます。まず冒頭会議室のセッティングが遅れまして大変申し訳ございません。御指摘いただいたとおり外国人の方に対する社会保険の適用は重要な課題だと思います。新しい在留資格の関係については、今御指摘いただいたように法務省と連携を図って、法務省から情報提供をいただいて、加入状況確認しながら適用促進を図るというような新しい仕組みを導入しようと考えております。また、労災保険の関係については、暫定任意適用事業所がありますが、労災保険加入ができていない所については、それに替わる措置を構じることということが法務省令の中で検討されております。そうしたところの周知にも取り組みたいと考えております。また、雇用保険、労災保険いずれも、従業員の過半数や2分の1以上の方の希望があれば加入申請を行うというルールになっておりますので、そうしたところも含めてしっかり周知に取り組んでいきたいと考えております。
 
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。髙松委員どうぞ。
 
○髙松委員 同じく今の1-2の指針の見直し、11ページです。5番に「適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等」について記載がされていますが、人事管理のところでかなり具体的な加筆をいただきまして、「円滑に職場に適応できるよう、社内規程その他文書の多言語化等、職場における円滑なコミュニケーションの前提となる環境の整備」について記載をいただきました。飲食業やコンビニといったところでは資格外、特に留学生が非常に多く、出身国も非常に多様化している状況です。
 私が所属するUAゼンセンでもそうした業界の組合が多いのですが、労働組合としても外国人の労働者を少しでもサポートするための取り組みを行っています。昨年、ラーメンのチェーン店で9千人の組合を結成したのですが、そのうち3千人が外国人の組合員になりまして、そうした組合員向けにベトナム語や中国語でのリーフレットやQ&Aなどを作成しています。こういうものを作るだけでも相当な手間と費用が掛かっているのですが、こういうものをしっかりと企業が整備していくこと、努めていくことと書いてありますが、国としてもどう支援をしていくのか、あるいはどうサポートしていくのかということも非常に重要です。特に中小にとっては負担が大きいと思います。是非企業に対しての万全のサポートをお願いしたいと思います。
 
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承りますが事務局からコメントがあればお願いします。
 
○外国人雇用対策課長 ありがとうございます。企業における取組についても、重要なことと思います。厚生労働省のほうでは、労働条件通知書ですとか就業規則について、モデルを作っているのですが、こういうものも多言語化に取り組んでおりまして、ホームページにも掲載しております。そうしたものも活用していただきたいと思いますし、今後どのようなサポートができるかは、引き続きしっかり検討していきたいと考えております。
 
○阿部分科会長 では正木委員どうぞ。
 
○正木委員 関連しまして、今の1-2の最終ページ、19ページ。第8、職業安定機関、労働基準監督機関その他関係行政機関の援助と協力となっておりまして、私どもの中でも議論しても実はここの部分が1番大事ではないかという話が出ておりました。これからホームページ等にいろいろ載せたりされていかれると思いますが、特に自治体、地域のそれぞれの監督機関、職業安定機関に周知徹底のほうを是非やっていただいて、それぞれの地域の事業者の方が行政機関に「これはどうしたらよいのでしょうか」という御相談などしたときに、援助と協力を積極的にいろいろなツールを使ってしていただけるようにお願いしたいと思います。
 
○阿部分科会長 では御意見として承ります。その他いかがでしょうか。柴委員どうぞ。
 
○柴委員 私からもこの指針を事業者が理解するための方策について申し上げたいと思います。本指針は全ての外国人労働者に対する一般的な措置内容について規定しているものですが、例えば外国人留学生がアルバイトを行う場合は、資格外活動であるため、その労働時間が1週28時間以内に限られるなど在留資格ごとに事業者が構ずべき内容も異っています。今回新たに在留資格別のガイドラインを策定することまで求めるものではありませんが、在留資格ごとのガイドブックなどがあれば事業者の理解も深まると思われますので、その作成について御検討いただけたらと思います。
 
○阿部分科会長 では御意見として承りたいと思います。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。梅田委員どうぞ。
 
○梅田委員 私も資料でいきますと1-2になりますが、8ページになります。8ページの中段に安全衛生の確保の項目があります。私、手元に平成29年の外国人労働者の死傷災害発生状況というデータを持っておりますが、平成29年で約2千5百件となっていまして、今後外国人労働者の方々が増加することを踏まえますと、特に死亡災害を発生させないことが重要になってくると思います。さらには慣れない生活環境に適応する必要があるということで、メンタル不調も心配されるのではないかと思っています。こういった課題に対して指針には相当記載をいただいておりますが、さらにそれを補完するという意味で、安全衛生に関わる分かりやすい法制度の情報を参考資料として指針に添付してはいかがでしょうか。さらには事業主に対しては、例えば必要な保護具の貸与を行うといったことや、実際に機械作業を行う際の多言語対応やイラストでの周知といったことなど、日本人労働者への対応と同様、作業の危険性を十分に理解できるような対応を着実に行っていただくよう御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として承りますが、事務局からコメントがあればお願いします。
 
○外国人雇用対策課長 安全衛生対策は、外国人の方は、コミュニケーションが困難な場合もありますので、特に重要かと考えております。部会のほうでも御報告をさせていただいておりますが、担当部局のほうでも死傷病報告の見直しを行いまして、外国人の方の災害発生状況を正確に把握できるようにするといった取組を進めております。また、予算措置になりますが、外国語によるテキストや、外国人の方でも理解できるような視聴覚の教材などの作成、普及ということに取り組んでおりますので、そういったところとも連携を図っていきたいと考えております。
 
○阿部分科会長 ではよろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。村上委員どうぞ。
 
○村上委員 基本問題部会に参加しておりますので、内容については特段申し上げることはないのですが、先ほど正木委員がおっしゃったように、この指針を改訂したら、次はそれをどれだけ周知するのかということが大変に重要だと思っております。昨日、法務省の入国管理政策懇談会でも入国管理計画を入国在留管理計画に改めるための議論を行ったのですが、その際にも使用者側の委員の皆様から、自分たちの団体としてはしっかりと情報を下ろしていくが、団体に組織されていない事業者もたくさんいるということで、是非政府一体となって様々なツール使いながら周知をいただきたいというようなお話がございました。また、懇談会では、法務省も単に管理だけするのではなく、こういった雇用管理指針も周知の中身に加えていただくことが必要ではないかということを申し上げてまいりました。関係行政機関の援助と協力という中では厚生労働省だけでなくて、是非とも様々な政府機関が一体となって周知をいただきたいと思っております。以上です。
 
○阿部分科会長 ありがとうございました。では是非お願いいたします。ほかには特段よろしいですか。それでは特にこれ以上ないようでしたら当分科会は厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
                                  (異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは報告文案の配付をお願いします
 
                                (報告文案配付)
 
○阿部分科会長 お手元に配付されました報告文案により、労働政策審議会会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
 
                                   (異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきます。こちらで議題は用意しているものはこれで終わりですが、その他何かあればお伺いしたいと思いますが、委員のほうから何かございますか。特によろしいでしょうか。それではこれにて終了させていただきたいと思います。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほかお二人の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の村上委員、それから使用者代表の熊谷委員にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。本日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。