第19回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

日時

平成30年12月4日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室(中央合同庁舎第5号館18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○内藤分科会長 少し定刻より早いようですが、10時より御参加の委員が全員おそろいになりましたので、ただいまから第19回労働政策審議会勤労者生活分科会を始めさせていただきます。
本日は、権丈委員、高木委員が御欠席、小原委員が交通事情によりまして少し遅れて御参加とのことでございます。労働政策審議会令第9条の規定(全委員の3分の2以上(最低14人)または公労使委員の各3分の1以上(公益は最低3人、労使は最低2人))の御出席をいただいておりますので、定足数を満たしております。
本日の議題ですが、議題1として、財形制度をめぐる現状とこれまでの対応について、議題2としては、労働政策研究・研修機構による「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」についてとなっております。本日の議題に入ります前に、委員の異動がございましたので、御紹介いたします。岩本秀治委員の後任として、一般社団法人全国銀行協会理事の辻松雄委員です。
○辻委員 全国銀行協会理事の辻です。よろしくお願いします。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。安藤栄二委員の後任として、一般社団法人全国労働金庫協会常務理事の佐藤憲仁委員です。
○佐藤委員 労働金庫協会の佐藤です。よろしくお願いいたします。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。春日部美則委員の後任として、日本ゴム産業労働組合連合中央執行委員長の石塚宏幸委員です。
○石塚委員 ゴム連合で委員長をしています石塚といいます。よろしくお願いします。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。宮本進平委員の後任として、全国生命保険労働組合連合会中央書記長の日下部大樹委員です。
○日下部委員 生保連の日下部と申します。どうぞよろしくお願いします。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。以上の委員が新しく御就任になられました。
それでは、続いて、事務局の異動もございましたので、事務局から説明をお願いします。
○宇野勤労者生活課長 私は本年7月31日付で着任いたしました勤労者生活課長の宇野と申します。よろしくお願いいたします。
では、私から、今年度着任いたしました事務局の紹介をさせていただきます。雇用環境・均等局長の小林でございます。
○小林雇用環境・均等局長 小林です。よろしくお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 また、本年7月31日付で大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当)として本多が着任しておりますが、本多は国会用務が入りましたので、本日欠席させていただいております。事務局を代表いたしまして、局長の小林より御挨拶申し上げます。
○小林雇用環境・均等局長 おはようございます。本日はお忙しい中、勤労者生活分科会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
今日は、財形制度の関係と非正規雇用労働者の福利厚生の関係に大きく分けて御説明させていただきたいと考えております。高齢化が進む中で、勤労者の資産形成に関する金融商品も多様化し、選択肢も増えてきているという状況でございます。
そういう中にあっての財形制度でございますけれども、給与天引きという非常にシンプルな制度でございますし、それから、税制上の優遇措置も講じられておるということがございますので、私どもとしては、引き続き大切な制度ということで対応してまいりたいという認識でおるところであります。
それから、非正規雇用労働者の福利厚生の関係でございますけれども、御案内のとおり、非正規雇用が4割に達するという状況の中で、これから同一労働・同一賃金の取り組みも積極的に進めていこうというのが今の状況でございまして、財形制度を含めて、福利厚生もその対象に入ってくるということだろうと思います。この関係では、JILPTに実態調査をしていただきまして、その結果が取りまとまりましたので、今日はその御紹介をさせていただければと考えております。
しばらく間が空きましたわけでございますけれども、ぜひ今後に向けて活発な御意見、御提言をいただければと思いますので、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます
○内藤分科会長 ありがとうございました。それでは、本日の分科会は前回と同様、タブレットを使用して行うこととなっております。事務局から何か説明があれば、お願いいたします。
○木村勤労者生活課長補佐 課長補佐の木村でございます。本日もペーパーレスで会議を進めさせていただきたいと思っておりますので、タブレットの説明を若干させていただきたいと思います。お手元にタブレット操作説明書が配付されておりますので、御参考にしていただければと思います。
また、タブレットのほうなのですけれども、既に分科会の資料のフォルダーが画面に表示されていると思います。指で触れますと見たい資料が開きます。下を見たい場合は、指でなぞっていただければ下を見られます。拡大したいときは、2本の指で引っ張っていただくと拡大・縮小ができます。また、消したいときは、左上の青字の労働政策審議会勤労者生活分科会というところを触れていただけると、元の画面に戻ります。しばらく触れないと消えることもありますので、その際は挙手でお知らせいただければ職員がお伺いします。また、操作がわからない場合もそのようにしていただければと思います。
また、発言の際は、マイクの青いボタンを押してから御発言いただけると大変助かりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。それでは、次第に従って議事を進めてまいります。議題1「財形制度をめぐる現状とこれまでの対応」について、事務局から説明をお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 では、私から資料2と資料3を御説明させていただきたいと思います。まず、資料2をご覧いただければと思います。
表紙の後、1ページ目をご覧いただければと思います。財形制度は大きく分けて貯蓄制度と融資制度がございますが、1ページ目は財形貯蓄制度の概要でございます。財形貯蓄制度は、右の図にありますとおり、勤労者が事業主を通じまして給与等の天引きによって積み立てていく点に特徴がございます。左側にありますとおり、使い途を限定しない一般財形貯蓄、60歳以降の年金支払いを目的とする財形年金貯蓄、住宅の取得や増改築等を目的とする財形住宅貯蓄の3つの貯蓄がございます。このうち財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄につきましては、合わせて550万円まで利子等が非課税となっております。
続いて2ページをご覧いただければと思います。2ページは財形持家融資制度の概要を載せております。財形持家融資制度は、右の図にございますように、各財形貯蓄取扱金融機関にある財形貯蓄残高を原資としまして、勤労者退職金共済機構等の実施機関が資金調達をして貸付を行う仕組みとなっております。左側にございますように、融資方法は3つございます。主なものは勤労者退職金共済機構が事業主等を通じて行う転貸融資となってございます。融資限度額は財形貯蓄残高の10倍、上限は4000万円、また貸付金利では5年固定でございまして、平成30年10月現在の金利は0.71%となっております。この0.71%ですが、団体信用生命保険料は含まれてございません。また、最長35年間の返済期間を設定しております。
続いて3ページをご覧ください。上段は財形持家融資制度の対象となる住宅の要件をお示ししております。それぞれ新築、中古、改良(リフォーム)という形になっております。リフォームは、例えば、外壁塗装のようなものも対象となってございます。
一方、参考といたしまして点線以下にありますのが、財形のうち住宅貯蓄につきまして非課税で払い出しができる適格払出しの増改築等工事、リフォーム要件を抜き出しております。こちらは同じリフォーム工事ですが、財形持家融資と比較しまして、対象となる要件が異なっております。これは、対象工事の要件が国の住宅ローン減税と統一されているためで、より厳格な要件となっておりまして、先ほど申し上げました、例えば、外壁塗装はこちらの対象となっていないところでございます。
続きまして、4ページをご覧いただきますと、4ページは財形持家融資制度の特例措置をまとめてございます。上段は政策的な特例措置でございます。子育て勤労者や中小企業の勤労者を対象に、当初5年間、通常金利から0.2%引き下げる金利優遇措置を平成31年3月31日まで実施しております。また、中段から下は、自然災害における特例措置を記載しております。これは近年、自然災害が多発していることを受けまして、これまでですと自然災害の都度、特例措置の適用の有無を検討してまいりましたけれども、恒久的に対応することとしました。1つ目は、現在、財形持家融資を利用されている方を対象に、罹災割合に応じまして返済期間の延長等を行う措置でございます。2つ目は、自然災害により住宅に被害を受けた勤労者が新たに財形持家融資を利用する場合に、0.2%の金利引下げを行う措置でございます。激甚災害の指定の場合には10年間行うことになっております。
続きまして、5ページから、勤労者の貯蓄をめぐる状況についてお示ししてございます。5ページは国民全体の金融資産の状況でございます。さまざまな金融資産、金融商品がございますけれども、ここにありますとおり、現金・預金が過半数を占めているような形になっております。
続いて、6ページでございます。6ページは世帯主の年齢階級別世帯当たりの金融資産額の推移でございます。これは2人以上世帯を限定して見たものでございますけれども、この金融資産額は、オレンジ色が貯蓄現在高、緑色が負債現在高でございます。貯蓄から負債を引いたものが金融資産として折れ線グラフで示してございます。これを見ていただきますと、50歳代以降は、ここ24~25年、ほぼ横ばいで推移しておりますけれども、40歳代以下は減少傾向にございます。この減少傾向の理由は、緑色の負債が増えているということでございまして、これは恐らく住宅ローンが借りやすくなっている部分も当然影響していると思いますが、一方でオレンジ色の貯蓄現在高も低下傾向にあるところが見られておりますので、若い世帯ほど金融資産の形成が重要になってきていると言えるかと思っております。
続きまして、7ページをご覧いただければと思います。7ページは、各財形貯蓄の契約件数と貯蓄残高を載せております。下の表の一番下には平成29年度がございますけれども、契約件数は3つの財形とも減少傾向でございます。また、貯蓄残高は一般財形が増加しておりますが、年金、住宅は減少しているという傾向が続いておりまして、合計では契約件数、貯蓄残高も減少してございます。直近では、合計で契約件数781万2000件、貯蓄残高は15兆9275億1500万円となってございます。
続きまして、8ページをご覧いただければと思います。8ページにつきましては、就労条件総合調査の推移を示したものでございます。このページにつきましては、5年に1回の調査でございますので、前回の分科会で出した資料と同じ値になっております。直近の平成26年ですと、財形貯蓄の事業所導入割合は41.4%、企業規模別の導入率ですとか、企業規模別・制度のある企業の労働者に対する一般財形契約労働者割合は、企業規模が小さいほど低く、減少幅も大きいという傾向は、前回の資料と変わっておりません。
続きまして、9ページ、10ページの2ページでは、前回の分科会における指摘事項についてお示ししてございます。
まず、9ページでございますけれども、昨年度の分科会におきまして、財形年金貯蓄の加入年齢要件が55歳未満になっていることにつきまして、年齢要件の引き上げを検討すべきではないかという御指摘をいただいております。財形年金貯蓄の現行要件は、加入年齢55歳未満の他、1人1契約、積立期間5年以上、受給開始年齢は60歳以降等がございます。また、据置期間といいます、年金受給開始日までの間、積み立てをしなくてもよい期間を最大5年以内で設けることができます。これらを踏まえますと、転職時の二重契約の防止という観点で、加入年齢の要件引き上げに当たっては、受給開始年齢要件とか、据置期間のあり方についても併せて検討する必要があると考えております。
まず、中頃の○1「現行加入年齢要件」の場合を見てみますと、積立期間中の場合は、例えば、A社で1契約目の財形に加入しまして、50歳で積立期間中にB社に再就職した場合、据置期間を最大5年とったとしても、受給開始年齢60歳には到達しないため、受給資格を満たすことはできません。その結果、B社で預替え等の継続処理をするか、A社契約分を解約した後にB社で新規契約をするかのどちらかとなり、二重契約をすることはできない要件設定になっております。一方、据置期間中は、例えば、57歳でB社に再就職した場合、加入年齢要件に抵触するため、二重契約をすることはできないという形になっております。
一方、下の○2の図のように、仮に加入年齢要件のみを55歳未満から60歳未満に変更したとしますと、据置期間中にA社で1契約目の財形に加入し、57歳の据置期間中にB社に再就職した場合は、A社分については55歳まで積み立てを継続すれば、据置期間を5年とることで60歳に到達し、財形年金の受給資格を満たすこととなります。また、B社についても加入年齢要件を満たすことになってしまい、1人1契約という財形法違反の恐れが出てきてしまいます。これは、財形加入時に加入者が事業主を経由して金融機関に提出する申告書が、税務署ではなくて金融機関で保管する仕組みが法令で定められているため、国では二重契約防止のチェックをすることはできない状況となってございます。このため、加入年齢要件引き上げに当たっては、受給開始年齢要件や据置期間のあり方についても併せて検討しなければならないことに留意しなければいけないことをお示しした資料でございます。
続きまして、10ページでございます。昨年度の分科会で、平成29年度税制改正で措置されました非課税財形貯蓄の災害等の事由による非課税払出特例について御紹介いたしました。その際、利用するための手続や必要な書類を示すことが必要ではないか、そうやって利用しやすいように周知すべきではないかという御指摘をいただきました。その御指摘を踏まえまして、利用手続や必要な書類等を詳細に記載したリーフレットを作成しましたので、御紹介したということでございます。
続きまして、11ページをご覧いただければと思います。11ページは勤労者の持家をめぐる状況についてでございます。まず、国全体の住宅ローンの新規貸出額ですが、平成7年ごろをピークに徐々に減少しております。直近では20兆円前後で推移しておりまして、平成29年度の新規貸出額は21.4兆円、貸出残額は191.9兆円となっております。
続きまして、12ページをご覧いただければと思います。12ページは財形持家融資制度をめぐる状況です。平成15年以降、減少が続いておりまして、平成29年度の貸付決定件数、これは一番下の表でございますけれども、623件、貸付決定額は102億円、融資残高は7025億円となっております。
13ページに、直近5年間の財形持家融資の内訳と転貸融資の内訳がございます。左側を見ていただきますと、転貸融資が多くを占めているのがわかるかと思います。また、右側を見ていただきますと、転貸融資のうち、金利優遇措置の占める割合が直近の平成29年度では74%と4分の3近くを占めております。
資料2の最後、14、15ページですけれども、勤労者退職金共済機構の取組みをまとめてございます。前回分科会におきまして、第4期中期目標をお示ししたところでございます。上の囲みにございますとおり、財形部分については大きく3つのポイントがございます。それを受けまして、平成30年度の取組みについて、14ページの下段に御紹介しております。1つ目は、適切な貸付金利の設定となるよう不断の見直しを行うという部分。2つ目が、子育て勤労者・中小企業勤労者、これは先ほど御説明しましたとおり、今年度末までの特例措置となっておりますので、この延長を検討するという点。3つ目といたしまして、普及広報活動として、全国の主要駅等へのポスター掲示ですとか、コンビニエンスストア等を活用したチラシの配布、地下鉄の車内モニターの動画配信等、さまざまなメニューによる広報を行うとしています。また、この広報につきましては、効果検証が必要でないかという御指摘をいただいておりますので、広報の実施と併せまして効果検証を行うこととしております。
15ページには、中期目標で掲げた数値目標について、平成30年度の進捗状況をまとめてございます。これは7カ月分、10月末までの実績でございます。この中では、特に上から3番目にございます新規融資の件数につきましては、昨年度を上回る件数となってございます。以上が資料2の説明でございます。
続きまして、戻っていただいて、資料3をご覧いただけますでしょうか。資料3は、財形制度の現状や課題を把握するために勤労者生活課で財形制度を取り扱っています金融機関にヒアリング調査を行ったものでございます。この調査は今後とも順次実施していきたいと思っておりますけれども、11月までに行ったヒアリング結果の概要について、御報告申し上げたいと思っております。
まず、【最近の財形の動向】についてでございますけれども、一番上の○にございますとおり、この財形は元本保証型であるという点ですとか、手軽に給与天引きでできるという点は、若者や金融リテラシーに乏しい方々でも資産形成を始められるという特徴がある。そういう意味では、NISAやiDeCoなど、他の金融商品とは違った社会的な意義があるという御意見を複数の金融機関からいただいております。また、金融機関で保有している財形の残高は依然として大きく、一般財形の貯蓄残高も増加している金融機関もあるという御意見もいただきました。
一方で、上から3つ目の○にございますとおり、今の低金利下でございますと非課税メリットがないこと、また、4つ目の○にありますとおり、職場での加入促進が行われなくなったことなどが最近の契約件数が減少している理由と御指摘をいただいてございます。
また、5つ目の○にございますとおり、これは事業主の給与天引きでございますので、ポータビリティ自体は、財形制度の中では確保はしているのですが、金融機関と直接契約されるiDeCoと比べますと、財形のポータビリティは見劣りするのではないかという御指摘もいただいております。
また、6つ目の○にございますとおり、企業、金融機関、双方の事務負担が大きいという御指摘がございます。あとは、全体としまして家計所得が増えていませんので、商品が多様化しても、より有利な商品を利用しようとするのではないかという御指摘もいただいてございます。
次に、【制度の改善点、要望】につきましてでございます。財形に比較的合っていらっしゃる若者、若年労働者ですとか、非正規労働者に財形貯蓄の存在を積極的に情報提供すべきだという御指摘を複数からいただいております。また、電子化による必要書類の削減ですとか、事務負担の簡素化等、より柔軟な制度に改正してほしいという御意見も複数いただいております。また、企業の財形貯蓄を取り扱っていらっしゃる中からの御意見ですが、財形年金・住宅の非課税措置部分につきまして、マイナンバーの記入が求められていますけれども、企業の財形制度担当者にとって、マイナンバーを取り扱うこと自体が情報保全のための負担が大きいという御意見もいただいております。
一方で、制度の改善に伴ってシステム改修となると新たな投資が必要になってきますので、システム改修が伴わないような制度改正にとどめてほしいという御意見もいただいております。
最後に、【財形年金貯蓄の年齢要件について】の御意見を伺っております。財形年金貯蓄の利用者の方々は、公的年金の受給までのつなぎなどの理由からか、60歳から財形年金の受給を希望する方が多いと伺っております。制度自体は60歳以降、65歳でも70歳でも御本人が受給開始年齢を設定できるようになっているのですが、実際、受給を希望されている方は60歳が非常に多いということでございます。
また、加入年齢の引き上げにつきましては意見が分かれておりまして、2つ目の○にございますとおり、50代後半から自分自身の老後の資産形成を考え始める傾向があるだろうということで、55歳以降でも新たに加入できるようにすべきではないかという御意見もある一方で、50代後半の新規加入のニーズがあるのかという疑問がある、必要性を感じないという御意見もいただいたところでございます。
以上、議題1に係る資料についての説明でございました。
○内藤分科会長 ありがとうございました。ただいま事務局から議題1についての説明がございましたが、御意見、あるいは御質問などおありでしたら、お願いいたします。いかがでございましょうか。八野委員、よろしくお願いいたします。
○八野委員 今回、いろいろ調査結果をわかりやすく御報告いただいて、私も何回か出ているのですが、かなり理解が進んだかなと思っています。資料にありましたように、国民の貯蓄志向は依然として5割以上あって、高いと。そういう中で、特に、先ほどございました20代、30代の方の負債額が多くて、結果、逆転していると。貯蓄が少ないということだと思います。住宅ローンの話もございましたが、最近はカードローンとか、カーローンも含めて、そういう消費者ローン的な負債が結構あるのではないかというのがわかるわけでございます。特に、今、非正規職員が非常に増えている中で、非正規の方の計画的財産形成、御挨拶で局長がおっしゃっていましたが、これをもっと大々的に進めていくことが必要だと思います。
そういう中で、先ほど企業規模ごとの財形制度の実施率が出ておりましたね。これから見ましても、300人弱のところで50%ぐらいあるということで、企業側というか、雇用者側はかなり制度を作っておられると。それに対して、実際の従業員の方の契約率が非常に少ない。20%に満たないというところなので、やはりここを高めていく。以前は企業の制度をもっと充実するのではないかという意見もあったし、私もそう思っていたのですが、これだけやっておられるところがあれば、あとはこれをしっかり運用することだと。そういう意味では、労働者の方の契約率を上げていくことが大事だと。
そのために、1つは、やはり広報が足らないということで、今回、いろいろなところで広報するということが独法からも出ておりますが、ぜひ進めていただきたい。そういう中で、資料2の10ページのところで、非課税の払い出しについて御説明いただいたわけでございますが、前回ちょっと御意見を言って、今回、要件等もはっきり書いていただいた。災害の場合の罹災証明でいいとかいうことで書いていただいたので、パンフレットとかリーフレットとか、広報もポイントを明確に書いてあげないと、ただ財形制度がありますよ、年金型、住宅型、非課税550万円ですよと言っても、どういうときにそれが払い出せるのかと。特に目的財形ですから、当然、それ以外には使えないと思っておられますから、そういう意味で今回、平成29年度要望で災害に関して制度拡充していただいたというのは非常に大きなことだと思うのです。
ですから、広報の仕方もありますし、さらにもう一つは、今、子育て支援というのも社会的に大きなテーマでございますので、この非課税払い出しの中でないのが教育関係ですね。例えば、教育資金とか、単身の方だって、今の時代ですから、スキルアップのためにいろいろ経費を使われることはあるわけで、そのときに50万円、100万円と必要になってくることもあるわけで、今、高額医療で200万円がとれているように、そういう教育関係で、例えば、100万円でも、そういうものが払い出しできますよとなれば、特に年金型のほうが増えるのではないかと思いますので、ちょっと長くなりましたが、私としては広報をしっかりすることと、あと、制度改善で、この部分は財務省も認めた部分ですから、更に教育資金の穴を空けられれば拡充するのではないか。それを言わせていただきます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局から、よろしくお願いします。
○宇野勤労者生活課長 八野委員、貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。2点御指摘いただいた、1点目の広報は、今回、資料を作成する中で、あるいはヒアリングを通じて、広報の必要性は非常に感じておりまして、これは今までの反省もあるのですが、確かに、今、御指摘があったとおり、財形制度が3つありますとか、融資がありますとか、そういう広報ではなくて、何のメリットがあるのかとか、一体どういうケースだったらどうなのかというところを、もっとポイントを突いてやるべきではないかと思いました。そういう意味では、今回、金融機関のヒアリングをさせていただいて、金融の現場のほうから、財形制度はこういうデメリット、今、低金利の中で、商品としてはなかなか厳しい部分もあるのですが、一方で元本保証型であるとか、若者や金融リテラシーに乏しい方でも手軽に給与天引きでできるので資産形成がしやすいとか、こういった部分をもう少し我々はポイントを突いて周知・広報すべきだなと改めて感じましたので、今後の周知につきましても、そういったところを中心に、独法とも相談しながらやっていきたいと思っております。
2点目につきましては、非課税払出特例、資料2の10ページにございますけれども、実は他の制度とかの並びもございますので、ここの拡充はかなりハードルが高いところでございますけれども、確かに御指摘いただいたとおり、子育てという部分も今、社会的な要請もございますので、今の御意見も踏まえながら、今後の政策の企画立案とか、検討作業をさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、御感想等ございませんでしょうか。佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤委員 労金協会の佐藤といいます。資料2の14ページ、勤労者退職金共済機構の関係で、普及広報活動の効果検証を行うとのことですが、具体的にどのような形で行うのか、わかれば教えていただきたいということと、今、ご意見が出たように、勤労者に加入していただくような形を幅広くとるですとか、財形制度自体の広報のいろいろな活動を行う中で、例えば、金融機関側でアピールが足りないですとか、そういう効果検証も過去にやっているなら別ですが、あったほうがいいと思います。
○内藤分科会長 事務局からよろしくお願いします。
○宇野勤労者生活課長 今の佐藤委員の御質問にお答えします。どうもありがとうございます。まず、1点目の勤労者退職金共済機構の行う効果検証ですが、具体的にはモニターを選びまして、広報する前の印象と広報した後の印象を比較するという形などで効果検証を行いたいと思います。実際やってみて、これだと不十分ではないかとか、専門的な立場からいろいろあると思いますので、まずお示ししながら御意見を伺いたいと思っております。
2点目の金融機関の広報について効果検証ということなのですが、この制度自体は金融機関の方々の、まさに自発的な御協力のもとに行っていただいている制度でございまして、例えば、特にこちらから補助金を出しているとか、そういうこともございませんので、それに対して効果検証というのはちょっとおこがましいかなと思うのですが、今回ヒアリングを通じまして、こういう財形制度について御理解を図っていく中で、もしここでいろいろ御協力いただけるのであれば、それはぜひ一緒に連携してやっていきたいと思います。そういったような呼びかけをやっていきたいと思いますが、効果検証という形で、上から目線的なことはなかなか難しいかなとは思っております。以上です。
○内藤分科会長 ご質問ありがとうございました。他に御意見、御質問ございませんでしょうか。中島委員、お願いいたします。
○中島委員 中島でございます。ありがとうございます。資料3の金融機関ヒアリングの財形の動向の一つ目のポイントで、財形制度の社会的な意義についての指摘のそのとおりだと思うのですが、ここに書かれているようにいろいろな商品が増えてきている中で、一般従業員から見ると、それぞれの性格とか、メリット、デメリットが見えづらくなっているのではないかと考えます。加えて、DCの年金教育が努力義務で強く要請されている中で、DC年金にフォーカスした内容になりがちで、財産形成の仕組みの全体像をどう示していくのかを、御検討いただけないかと考えます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。いかがでございましょうか、事務局。
○宇野勤労者生活課長 中島委員、ありがとうございます。まさに御指摘のとおり、ある意味、耳が痛いところでございまして、どうしても縦割りの部分がございますので、それぞれの制度で企業にお願いしている部分があると思います。おっしゃるとおり、それぞれの商品に特徴がございまして、できた経緯もございますので、そういったものを踏まえながら、どういった形で企業にお願いしていくのか。つまり、その商品自体の意味とか、意義とか、特徴とか、そういったものを重点的にお願いしていく必要があるのかなと思っております。そういう意味では、今回、財形というのは、どちらかといえば金融リテラシーが乏しい方、その上として、DC型の中で金融教育をしていきながらやっていくという部分があると思いますので、そういった特徴を整理しながらお願いしていきたいと思っておりますので、どうかまた、いろいろ御指摘いただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見などございますか。冨田委員、お願いいたします。
○冨田委員 冨田でございます。ありがとうございます。私から、資料2の9ページにありました財形年金貯蓄の加入年齢の引き上げについて、一点意見を申し上げさせていただければと思います。
この加入年齢の引き上げを毎回御要望申し上げているところなのですが、今回、非常にわかりやすく問題点を指摘していただきまして、現行は難しいけれども、逆に言うと、支給年齢の開始のあり方や据置期間のあり方を含めて検討すれば、制度上、枠組みとして引き上げられないわけではないと受けとめさせていただきました。今、国の諮問会議の中でも、70歳までの就労確保の件が検討されていて、その中でも年金との接合の話も出ているやに聞いておりますし、それから、資料3にありました金融機関のヒアリング調査の結果においても、財形貯蓄の年齢の引き上げについては、つなぎの部分や年齢の撤廃などもヒアリングの中から意見として出ていることも踏まえますと、なかなかすぐにというのは難しいのかもしれませんが、実質的にどうすればできるのか、具体的にどういう形で年齢を引き上げるのかということについて、そろそろ実質的な検討に入っていただけるとありがたいと思っておりますので、意見として申し上げさせていただきます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。いかがでしょうか、事務局。
○宇野勤労者生活課長 冨田委員、ありがとうございます。今まで加入年齢の引き上げにつきましては、さまざまな御意見をいただいております。今回、資料として、加入年齢引き上げに伴う課題を整理させていただきました。御指摘のとおり、据置期間ですとか、受給開始年齢の扱いとか、それと併せてトータルで検討する必要があることはお示しさせていただきました。もし制度を変えるとなると、まず財形法の改正が必要になってきます。あと、年金貯蓄なものですから、非課税措置と連動していますので、税制改正も必要になってきます。そういう意味では、手続的には、正直、ハードルは高い部分ではございますけれども、まず財形自体の意義を踏まえて、かつ今、御指摘いただいた最近の未来投資会議も含めて、高齢者雇用のあり方部分、そういったものを我々もきちんと情報を把握、研究しながら、一体この制度はどうあるべきかということをきちんと考えながら、またこの分科会の場でお諮りしたいと思っております。
○内藤分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いします。他に御意見ございますか。花井委員、お願いいたします。
○花井委員 質問と意見、要望を述べさせていただきたいと思います。質問としまして、先ほどの3つの財形について、財形年金貯蓄が減少しているという、その要因をどんなふうに見られているのかということです。
それから、その前のページの年齢ごとの貯蓄と負債の関係ですが、先ほどカードローン等々のお話が出ていましたが、30歳から39歳で、2014年にどーんと負債が増えているというのは、意見ですが、もしかして奨学金の負債ではないかなと考えました。この表を見ますと、若い人たちの負債の大きさが明確になっているかと思います。それがだんだん少なくなって、ようやく50代になって減ってくるという、この状況から見ても、冨田委員が発言されましたように、この間、何度もお願いしてまいりましたが、加入年齢の引き上げ、据置期間とのセットだということ、ハードルが高いことも理解いたしますが、今後、就労の年齢も引き上がる、そういう状況にあり、ぜひとも御尽力をいただけないかという要望でございます。以上です。よろしくお願いいたします。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局いかがでしょうか。
○宇野勤労者生活課長 花井委員、ありがとうございました。御質問の件の、まず、財形の年金貯蓄の減少の部分は、我々、十分分析はできていないのですが、今、金利の部分のメリットはない、まさにマイナス金利とかでほとんど金利がつかないものですから、もう一つ、年金貯蓄とか、いろいろな商品が増えていく中で、相対的に商品としての競争力の低下が1つあるのかなと。もう一つは、もしかしたら周知の部分も含めて足りないのかもしれませんけれども、そうした部分で契約が増えていないのではないかと分析しております。
あと、2点目の6ページの資料でございます。我々も十分分析ができていませんが、30歳から39歳の部分は確かにおっしゃるとおり、2009年から2014年で増えていました。ここが奨学金の影響なのかどうなのか、そこまではわかりませんけれども、いずれにしても、この世代という部分の負債は当然あるかと思います。多分、50代のバブル崩壊前に就職したという時代と、その後の世代は当然、世代間の影響は何かしらあるのではないかと。その中で奨学金等がもしかしたらあるのかもしれません。そこはまだ十分に分析できておりません。
最後の御要望につきましては、先ほど冨田委員にお答えしたとおりでございますけれども、我々といたしましては、その辺の状況を踏まえて、ハードルは高いということではあるのですが、きちんと検討はしていきたい、その上でまたいろいろ御相談させていただきたいと思っております。
○内藤分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いします。他に御質問、御意見、いかがでございましょうか。小野委員お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。年金財形と住宅財形の加入年齢の話で、一応、公益側という立場から、私も御意見申し上げたいと思います。確かに法律を見ると、第6条に明記されているということなのですけれども、これが明記されたのは、恐らく財形年金で言うと昭和57年ですかね、その時期に55歳という設定がなされたのではないかと思います。それ以降を考えますと、労働法制であるとか、社会保障法制は相当程度変わってきているということで、40年にもならんとするような規定が見直されないこと自体、少しお考えになったほうがいいのではないかと思います。特に、財形制度は、いわゆる非正規雇用の方々にも適用可能だと標榜されているということですし、そもそも55歳というのはかつての正規雇用者の定年年齢というイメージが強いので、そこを考えると、少し検討なさったほうがいいと思います。
ちなみに、年金の分野ですと、DC制度が、加入とか拠出の可能期間は、基本的には60歳までとなっておりましたけれども、一部限定的に65歳まで継続拠出することができるようになりましたし、この年齢をさらに65歳まで引き上げようという動きもあるように聞いております。そういう意味では、加入年齢とはいえ、55歳というのはどうかと感じた次第でございます。
それから、もう一点、御指摘申し上げたいのですが、今までの御議論で出てきたように、契約件数が減ってきているというのは、他の制度と比べて相対的に魅力が落ちているということで、確かに広報は必要かもしれないのですけれども、構造的な改革も必要になってくるのではないかと思っております。昨年も申し上げたのですけれども、職場を離れたときに、新しい職場があればいいのですけれども、ない人もいらっしゃる。あっても、財形制度がない企業だったりすることも考えると、例えば、個人型確定拠出年金は基本的にポータビリティが確保されているということもあります。離職したときに引き続き財形の口座をキープできるような、特に非課税の口座をキープできるような仕組みは考えてみる必要があるのかなということですね。
それから、もう一つ、財形制度は、特に私が入社したころは、金融機関の方々が職場の食堂などに来て勧誘をされていたという時期だったわけです。今では基本的にどこの会社でもそんなことができなくなってきているのだろうと思うし、加入が進まない一つの要因になっているのではないかと思います。
アメリカの例で、これも昨年お話ししたことなのですけれども、2006年の年金保護法というのが私的年金分野の法律がございまして、確定拠出年金の加入の仕方に関して、今までは労働者が手を挙げて加入するという形になっていたものを、自動加入といって、拒否しなければ自動的に加入するということで貯蓄を促進することができるようになりました。なおかつ、同じ法律で、税法上も50歳以上の方々の拠出限度額が加算されるという措置もなされておりまして、政府としても貯蓄を促進するということをやってございます。そういったことも含めて、いろいろ考えないと、現在の傾向はなかなか変えられないというか、変えるのが難しいのではないかという気がいたしました。以上でございます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局からいかがでございましょうか。
○宇野勤労者生活課長 小野委員から貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。おっしゃることは一つ一つがもっともな御意見で、本当に我々もきちんと検討しなければいけないなというのを一つ一つ感じました。
最初の年齢の部分につきましても、小野委員御存じのとおり、この55歳未満というのは加入年齢であって、年金と違いまして、60歳でも、65歳でも、70歳でも、御本人が希望すれば積み立ては可能なのですが、55歳という加入年齢をどう考えるかという部分につきましては、今の時代の中で合っているかどうかという部分はきちんと我々も検討していかなければいけないとは思っております。
また、契約の部分につきまして、構造的な改革というのは全くおっしゃるとおりで、我々もヒアリングしていく中で、これまでと違った、もちろん金利の部分という経済合理性の部分もあるのですが、営業の部分のスタイル、これは金融機関の方々に伺ってみますと、単に財形という問題ではなくて、金融機関の側の金融商品にとっても、今、おっしゃったような、職場に入れないとか、ネットがこれだけ盛んになっているとか、そういう部分があって、金融商品の売り方自体、あと財形のあり方自体も含めて、そこは今、変革の時だということも実は御指摘もいただいております。我々はそういうところも踏まえて、財形制度を今後どう考えていくのかはきちんと検討していきたいと思っております。またいろいろ御指摘いただければと思います。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。他に御意見、御感想、いかがでしょうか。辻委員よろしくお願いいたします。
○辻委員 全国銀行協会の辻です。2点ほどお伺いしたいのですけれども、まず、現行の加入年齢要件を調べていただきましてありがとうございます。問題は、二重契約のところだけと考えてよろしいのでしょうか。それがまず1点です。
それと、先ほど自然災害の話が出たのですけれども、財形の持家融資制度の4ページで、自然災害を受けた方について、当初5年ないし10年間、通常金利から0.2%引き下げるといった措置をしていただいて、これはこれでウエルカムな話なのですけれども、民間金融機関や労金もそうなのですけれども、自然災害に遭った方に対して、金利の引下げやリスケの他にも債務免除をすることもありまして、できましたら、この制度についても債務免除ができるようにすれば、被災者の負担が減りますので、その辺、御検討いただければということであります。財形持家融資制度につきましては転貸融資が多いというのも存じ上げておりまして、一部は直接融資ということで、国家公務員共済とかを通じてということで、多分、こちらはそれができるのかなと思っておるのですけれども、転貸融資のほうも含めて御検討いただければということであります。その2点です。
○内藤分科会長 ありがとうございました。どうぞ、事務局、お願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 ありがとうございます。まず、1点目の加入年齢の部分についての課題ですけれども、我々が今、明示的に把握しているのは、加入年齢の単なる引き上げのときの二重契約部分が、実は昔、トライしたことがありまして、それに対して、税務当局からここの部分等への指摘を受けて、結果的に改正が認められなかったという経緯もございます。この部分は、今日の御意見も踏まえましてさらに検討しまして、他に課題がないかどうか、例えば、積立期間、据置期間のあり方等についても、実際、現場でどうなっているのかも含めて、もう少し調査が必要ではないかと思っていますので、その段階でもしかしたらまた御協力いただくかもしれませんけれども、お願いしたいと思います。
2点目の御指摘の点は、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が平成27年12月に出ていると認識しております。この中では、御指摘のように、災害によって融資が返済できないような方に対して、いわゆる破産とかではなくて、債務整理を別にするような形で、民間金融機関も入って決めていると聞いております。御指摘いただいたとおり、財形持家融資は通常融資と違いまして事業主を経由するという転貸融資でございますので、このガイドラインが直接適用されるかどうかという部分につきまして十分な検討が必要ではないかということでございまして、ここにつきましては、今、我々のスタンスといたしましては、個々の具体的な債務者からの申し出に応じまして速やかに対応するということでやっております。実際、今のところ、申請は1件もございません。ということでございますので、今の御指摘も踏まえまして、今後、よりスムーズに、どうやったらできるのかを含めて検討していきたいと思っております。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、御質問ございますか。布山委員お願いいたします。
○布山委員 ありがとうございます。今回の資料は、非常にわかりやすく作成いただきましてありがとうございます。資料3の金融機関のヒアリングの調査で示されている内容は、これまでこの分科会で各委員が発言してきた内容と同様なのではないかと思います。そういう意味では、問題点は多分、皆さん共通して認識しているのだと思います。これまで皆さんから幾つか御意見ありました。今、対案がないので感想じみてしまいますが、問題点は皆さん把握していて、共通認識がある中で、今の中で議論しても、多分同じようなことが次回もという形になるので、その中で財形の制度を広めていくには、一歩進めたような形の検討がもしかしたら必要なのではないかと思っています。この分科会の中だけではなく、先ほどお話があったように、他のところの関連ももちろんありますので、ここだけの議論ということにはならないかもしれませんが、財形のあり方そのものをどうするかを考えなければいけない時期にそろそろ来ているのではないかと思いました。以上です。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局からお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 布山委員、ありがとうございます。確かに御指摘のとおりでして、今までいただいた御意見を改めてもう一回、金融機関のヒアリングでも把握したところでございます。この制度自体、法律の制度、あと税の制度がございまして、クリアすべき部分がたくさんありますので、その中でどうやって一歩二歩進めていくか、それは大きい改正になるのか、まずは運用改善なのかわかりませんけれども、1つでも2つでも、我々としましては成果として出すように努力していきたいと思いますので、また御指導いただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見ございますでしょうか。小原委員、お願いいたします。
○小原委員 大阪大学の小原でございます。きょうはすみません。なかなか飛行機が降り立たなくて、申し訳ありませんでした。
先ほど小野委員からあったところ、私もずっと資料を見させてもらって思っていて、全体的に財形だけではなく、貯蓄率は決して下がってきているわけではないと思うのですけれども、貯蓄性向は高いと思うのですけれども、金融機関を使った、いわゆる貯蓄が減ってきている中で、デフォルト設定で強制貯蓄と昔は呼ばれていた、デフォルトから貯蓄をしないというのを取るという、コンピューターと同じものですね、最初にウインドウズのソフトが入っていて、要らないのを消してくださいという、あのタイプのことをやったほうが、無理やり入らされたのだけれども、10年後にその人たちが幸せだったと回答するみたいな統計を使って、多分、海外は示しているのだと思うのですね。プランとしてこういうのがありますよということを出していると思うのですけれども、先ほど広報の話がずっとありましたけれども、何かいいよというより、自分の10年後の将来にとっていいよという見せ方も広報としてはあるのかなと。他の人と比べてではなく、今、入らないより、入ったときの10年後の自分がいいよという話も絡むのかなと思って聞いていました。
2つ目が統計の話なのですけれども、EBPMを言われていて、この話も恐らく、制度を変えようと思ったら、統計、絶対出せという話になると思うのですけれども、6ページ目の貯蓄のデータの読み方は若干危険だと思っていまして、というのも、1989年に30歳未満だった人は、10年後には次の年齢層に入るわけですね。10年後のグループに入って、また10年後には40~49歳のグループに入るので、線のつなぎ方としては、その世代はこうつながっていくのです。だから高くはなっているはずで、つないだ先の型抜きは確かに違うと思うのですね。私が手元のデータで見ている感じだと、やはり貯蓄できなくはなっているような気がするのですけれども、全体的に30代が下がってくるというより、同じように貯蓄は積み上げていっているというのは、傾向としてそんなに大きく変わらなく出るのではないか。傾きは多少弱くなると思うのですけれども。なので、見せ方はちょっと違うかなという気はしました。
もう一つは、この統計が2人以上世帯でいいのかと。財形で狙っている対象世帯が必ずしも2人以上になる必要は全くなくて、単身でも当然いいですね。まして対象になるところが、必要としている層を、例えば、非正規でとか考えると、2人以上という家計を形成していない可能性もたくさんあるので、基礎統計としては、去年もあったのかもしれないのですけれども、次の労働政策研究・研修機構からの資料にたくさん非正規の話があったと思うのですけれども、全体としては、1人世帯の貯蓄の状況という資料も今後は必要になってくるだろうなと思って、そこは感想までです。以上です。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局の方から、いかがでしょうか。
○宇野勤労者生活課長 小原委員、ありがとうございます。全く御指摘のとおりでして、先ほど小野委員からも御指摘あったとおり、デフォルトの問題、今、行動経済学でも、いろいろ議論されていまして、確かにデフォルトでやって、手を挙げた方だけ免除するという形のほうが、加入率の引き上げという中では、制度としてはより加入させやすいし、かつ金融機関にとっても営業はしやすいというメリットはあると思いますけれども、一方で、これも釈迦に説法ですけれども、そういったような義務化、義務化ではないのですけれども、デフォルトを設定すること自体、今の法律の体系上、どういう形なのかという部分は我々もまだこれから検討しなければいけない部分もございます。あとは、財形貯蓄という自発的な部分と、また年金という、より公的な部分に近い部分の性格の違いとか、いろいろ検討すべき部分はあるかなと思います。
ただ、人間の行動の方法としてのスタイルとして、やりなさいというのではなくて、デフォルトでやって嫌だったらやめましょうというのと、どちらかがいいのかという部分は、検討には値する話だと思っております。恐らく財形も実際には、先ほどお話ありましたけれども、昔は、入れよというのは、若い人はわからないので、先輩たちがそうやってきたことが、多分、その後、助かったということになったのではないかと思います。ヒアリングさせていただきますと、特に金融機関でも、ある一定年齢の方々は、財形で助かったという御意見をたくさんおっしゃっていましたので、そういう意義をもっと若い方に伝えていくためにはどうすればいいのか、おっしゃったとおり、10年後、20年後をどうしていくかを含めて、我々は工夫が必要かなと思っております。
あと、統計部分については全く御指摘のとおりでございます。世代部分は、そのとき、そのときの30代を見ていますので、当然、世代で見なければいけない部分、あと単身世帯も見ていかなければいけない部分はあります。労働統計だと、世代のところは、所得とか資産は弱いものですので、ここの部分は我々もきちんと検討しながら、より精緻なものにしていきたいと思っていますので、また御指導いただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、御感想ございませんでしょうか。辻委員、よろしくお願いします。
○辻委員 先ほどから行動経済学に基づくデフォルト設定の話が出ているのですけれども、それも気をつけないと、まさに契約自由の原則があるわけですし、かつ、この金利の低いのに何でこれをやらなければいけないのだと、これはやりたくない、むしろiDeCoをやりたいのだという人たちのほうが多いかもしれないので、そこは御注意されたほうがいいと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。では、今の御意見も加味して御検討を賜りたいと存じます。他に御意見、御感想はございますか。井上委員、よろしくお願いします。
○井上委員 金融機関のヒアリングの調査の結果の中で、制度の改善点・要望というところの2つ目に、電子化による必要書類の削減や事務負担の簡素化等というコメントがあるのですが、これはまさに企業の側にこの財形制度を活用してもらうという点で、より力を入れてやっていく必要があるのではないかと思いましたので、お伝えいたします。以上です。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
○宇野勤労者生活課長 井上委員、ありがとうございました。ここも御指摘のとおりでして、企業の方、金融機関の方にお願いしているという意味では、電子化とか、事務負担の簡素化というのは重要な観点ではないかという部分でございます。ただ、この部分、いろいろ調査というか、調べてみますと、非課税措置であるがゆえの制約という部分がございまして、書類一つ取っても、実は税制改正要望が必要だったりとか、簡単なようで実はクリアしなければならない部分が幾つかあるのです。そうは言っても、財形制度の活用を図る上ではこの辺は重要だと思いますので、また関係機関からもいろいろ御要望もいただいていますので、御要望を踏まえながら、1つでも2つでも、必要書類の削減とか事務負担の簡素化を実現したいと思いますので、また御指導お願いしたいと思います。
○内藤分科会長 よろしくお願いいたします。他に御意見ございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。それでは、続いて議題2に移ります。議題2は「労働政策研究・研修機構『企業における福利厚生施策の実態に関する調査』について」です。それでは、事務局から御説明をお願いします。
○宇野勤労者生活課長 ありがとうございます。続きまして、私から資料4を御説明させていただきたいと思います。この分科会は、財形制度だけではなくて、福利厚生も分科会の所管となってございますけれども、今回、労働政策研究・研修機構で「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」を実施していただきましたので、それを御報告したいと思います。
この調査でございますが、1ページ目にございますとおり、勤労者の福利厚生は、皆様御存じのとおり、法定福利費自体が増加していますとか、あとは非正規雇用労働者が増加していますとか、こういった変化の中で、各企業は今、福利厚生制度・施策の現状についてどう取り組んでいらっしゃるのか、また従業員のニーズはどうなっているのかを探るためにJILPTに依頼したものでございます。
アンケート調査につきましては、全国の10人以上規模の民間企業1万2000社に対して行いまして、有効回答率は23.4%。また、その企業で働く従業員約5万4000人に調査いたしまして、有効回答率は15.4%となっております。あわせまして、下にありますとおり、ヒアリング調査を20法人に行っております。これは、アンケート調査で抽出した企業に加えまして、中小企業向けの福利厚生を公益的な形でやっています勤労者福祉サービスセンターにもヒアリングしまして、その会員企業にもヒアリングしております。
2ページ目でアンケート調査、具体的なものについて幾つか御紹介させていただきたいと思います。まず、上段の方ですが、福利厚生制度・施策の実施企業割合についてでございます。これをご覧いただきますと、一番多いのは慶弔休暇制度、続きまして慶弔見舞金制度、その後、病気休職制度となっています。50%を超えていますのは、この3つでございます。
なお、財形貯蓄制度でございますけれども、一番下にありますけれども、33.7%となっております。ちょっと古い、平成26年の就労条件総合調査では41%となっていますけれども、就労条件総合調査は30人以上の規模の事業所に調査したものになっておりますが、こちらの調査は10人以上規模の事業所ですので、その部分と、あと経年変化、その他の部分で数字が異なっているのかなと分析しております。
下段が福利厚生制度・施策の目的でございます。5割を超えていますのが、従業員の仕事に対する意欲を向上、従業員の定着、人材の確保、この3つでございます。
続きまして、3ページをご覧いただければと思います。3ページでは、上段が福利厚生と賃金原資の関係でございます。質問としましては、福利厚生を可能な限り抑制しまして、その分、賃金に当ててほしいという意見についてどう思いますかと聞いたところでございます。「そう思う+まあそう思う」と答えると、福利厚生は余り重視していないことになりますし、「そう思わない+余りそう思わない」という話になりますと、福利厚生重視という形になります。規模計は一番下になっていますけれども、規模計では、「そう思う+まあそう思う」が47.1%、「そう思わない+余りそう思わない」が46.7%でほぼ拮抗しておりますけれども、企業規模が大きくなればなるほど、オレンジ色の福利厚生重視の方が増えている状況でございます。
続きまして、下段のアウトソーシング、カフェテリアプランの実施・導入状況でございます。Aがアウトソーシングのみ実施、Bがカフェテリアプランのみ実施、Cが両方やっているということで、AプラスCがアウトソーシング、BプラスCがカフェテリアプランという形になっております。実際の規模計ですと、アウトソーシングの実施割合は15%、カフェテリアプラン導入企業は1.3%となっております。これは規模が大きくなればなるほど、それぞれ割合が高くなる傾向にございます。
続きまして、4ページをご覧いただければと思います。福利厚生施策があるという企業における非正規従業員への適用状況でございます。ちょっと見にくくて恐縮なのですが、上のほうの数字、5%未満の制度・施策とか、5~10%未満の制度・施策とか並んでいますけれども、これは企業のそれぞれの福利厚生の制度が導入されている割合です。例えば、ストックオプション制度を見ていただきますと、実際、実施されている割合は5%未満なのですが、実施されている企業の中で非正規に適用されている状況は括弧内にありまして、20%でございます。ストックオプションをもし実施していれば、20%の企業が非正規に適用していると見ていただくことになります。
左側の財産形成とか、食事とか、健康管理は、福利厚生の目的別というか、性格別にグルーピングしたものでございます。これを見ていただきますと、非正規に適用されている割合が高いもの、上位6つを赤字で示していますが、食堂ですとか、メンタルヘルス相談とか、診療所、運動施設の設置、企業内保育施設、運動会等のレクリーション活動の実施とかありますけれども、食堂とか、運動施設、診療所みたいに施設系の施策については、一回造ってもらったものはなるべく使っていただきたいということがあるのでしょうが、適用割合が比較的高い形になっております。一方、導入の割合が高いものとして、例えば、上から5つ目のグループの休暇制度の一番右側にあります病気休暇、慶弔休暇、こういったものは、非正規の適用割合は大体半分以下という形になっております。そういう意味では、非正規の適用状況は4割にとどまっているという部分があるかと思います。財形貯蓄につきましては、財産形成というグルーピングの中では一番高い数字、20~40%未満でございますけれども、非正規に適用されている割合は38.9%となっております。
続きまして、5ページで、それぞれ、アウトソーシングとか、カフェテリアプランの課題を挙げております。アウトソーシングにつきましては、「特に問題はない」が一番高いのですが、課題といたしましてはコスト高になるという部分があります。カフェテリアプランにつきましても「特に問題はない」が一番高いのですが、課題としては、「現行の福利厚生施策が少ない」という御意見となっております。
続きまして、6ページの従業員調査の結果でございます。上段ですが、特に必要性が高いと思う制度・施策について挙げております。一番高いのは「人間ドック受診の補助」、続きまして「慶弔休暇制度」、次は「家賃補助や住宅手当の支給」となっております。財形貯蓄制度につきましては、下にありますけれども、11.4%となっております。
下の段で、ヒアリング調査の主なものを2つ挙げております。1つは、先ほど申し上げました地場の中小企業向けの福利厚生メニューを提供します勤労者福祉サービスセンターの徳島の例でございます。ここは公労使が運営母体となっておりまして、幅広いネットワークを通じてニーズを把握しまして、オリジナルのクーポン券として、高速バス割引や映画館の割引など、地域のニーズをサービスに反映していると言っております。これは地場の中小企業が会員となりまして、会員企業の会費ですとか、あとは地方自治体からの補助金を一部もらっているところがあると聞いていますけれども、そういったもので運営していると聞いております。
また、事例2は、そういったサービスセンターの会員企業の中では、こういうサービスセンターのサービスだけではなくて、複数の福利厚生サービスを使って、健康診断ですとか、食事会とか、そういったものを実施していまして、零細規模ということですが、従業員の定着ですとか、人手不足の解消を図っていると聞いております。以上、簡単ではございますけれども、資料4の説明でございます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、あるいは御質問等ございましたら、お願いいたします。では鹿住委員お願いいたします。
○鹿住委員 大変興味深い調査結果、ありがとうございました。先ほどの4ページのマトリックスなのですけれども、財形貯蓄の制度とも関係しまして、非正規の従業員の方への財形制度の適用も比較的高いと伺っているのですが、そこでちょっと疑問に思いましたのが、先ほどの1人1契約という原則ですね。非正規で、いろいろな形態でお働きの方がいらっしゃると思うのですが、例えば、大学の教員で言いますと、非常勤講師の方でホーム校を持たずに、いろいろな大学で非常勤をされている先生もいらっしゃるのですね。全部が私立大学でしたら私学共済で一本化されるので、どこかでわかると思うのですが、国立大学でもやっていますし、私学でもやっていますし、あるいは専門学校でもやっていますということになると、それぞれで非正規の方も財形ができると、事実上、重複契約もできるのかなと思うのですが、その辺の確認ですとか、管理ですとか、そういったことはどうされているのでしょうか。別に大学の教員でなくても、複数の勤務先で働いていらっしゃる非正規の方もいらっしゃるかと思うのですが。
○内藤分科会長 ありがとうございました、鹿住委員。事務局お願いします。
○宇野勤労者生活課長 鹿住委員、ありがとうございます。今、御指摘の点ですけれども、実際は、ここにありますとおり、財形貯蓄制度はまだまだ非正規に適用が低い部分がございますので、複数の職場で働いていらっしゃる方々が課題として上がっているとは聞いていないのですが、今後、非正規に適用するに当たっては、そういった課題もあるかと思います。複数の職場につきましては、これに限らず、労働時間の問題ですとか、いろいろな課題がありますので、我々も財形の貯蓄自体、重複の部分について問題がないかどうか、今後ウォッチしていきたいと思います。
なお、非課税貯蓄の部分については1人1契約なのですが、一般貯蓄であれば複数契約しても良いものなので、そこを補足させていただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、御質問ございませんでしょうか。小原委員、お願いします。
○小原委員 質問になりますが、4ページの表を見て、こんなにたくさん非正規の方にも適用されるのだと、すごくびっくりしたのですけれども、ちょっと気になるのが、このアンケート調査の配布の仕方で、参考というファイルの中に調査概要というのが載っているのですけれども、1社当たり、30人未満は3人の従業員を選んで配って、30~99人のところは6枚配ってとか書かれているのですね。そうすると、人事課とかに調査票が回って、6名お願いしますと、ランダムにやって、別にそれで問題ということではなくて、高めに出やすいのかなという気はちょっとしました。企業に調査票を配って労働者にばらまいてもらうと、大抵、仲のいい、すなわち、よくできる、あるいはよく会社のことを知っている、長く働いている人がつかまえられる可能性が多くて、そうすると、統計としては、高く出ておかしいのではないかというのではなくて、最近、気づいたときに統計のことを言っておかないと、後で、これが元になるとすれば、今年、いろいろな目に遭ってきたのですけれども、言っておいた方が良いのではないかと。つまり、高いのだったら高いでいいと思うのです。だから、高めに出やすいのですというのが認識としてあった上での数字だったらいいと思っていて、統計が間違っているとかいうことは私は全く思っていなくて、すごく面白かったのですけれども、その可能性があるのかなというのが質問です。
○内藤分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○宇野勤労者生活課長 ありがとうございます。実は、この部分、私の説明が不十分だったのですが、これは企業に聞いている調査なのですね。企業の人事部に聞いて、非正規に適用されていますかと聞いています。先ほどの3人とか6人というものは、従業員側の調査で、サンプルのおっしゃるとおりの部分は、本来の部分は厳密に考えるべきだと思うのですが、調査の限界という部分の中で、そこは留意しながら数字は見る必要があるかと思いますが、ここは企業に聞いています。
○小原委員 失礼いたしました。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御質問ございませんでしょうか。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 4ページの表の非正規の方を対象とした財形貯蓄制度の38.9%という数字の関係で、改めて企業の皆さんに非正規の方への適用を広めていただく余地としてみると、単純に言って61%の企業がやられていないということだと思いますので、無期雇用化が広がっている中で、金融機関としても、少しでも前に進めるような取り組みをしていかなければならないと思いました。厚生労働省さんでも、広報のチラシを作っていただいているので本当にありがたいのですが、しっかりとやっていかなければならないと思いました。
それと、先ほど小野委員からありました、財形をキープできる仕組みの話ですが、転職等により転職先に財形制度がない場合、全部解約しなければならないといったことがあるものですから、そういったところも何か対応があれば、従業員もやりやすいでしょうし、企業側も福利厚生の一環として取り組みやすいのではないかと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局、お願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 佐藤委員、ありがとうございます。非正規への適用につきましては、課題というわけではないのですが、制度上の制約といたしまして、計画的に財産形成するという制度の趣旨から、一般貯蓄であれば3年以上の積み立て、年金貯蓄と住宅貯蓄だったら5年以上の積み立てが必要でございます。ただ、これは別に雇用契約期間と直接リンクしてはございませんので、例えば、自分は1年契約だけれども、今後転職しても積み立てていくのだというのであれば、それは申し込んでやっていただけば良いという形なのですが、この理解という部分は企業によって違うということがございますので、今、御紹介いただきましたとおり、非正規にも適用されますというチラシを以前作りまして、ホームページにも掲載させていただいていますけれども、労働金庫はこのチラシを使って周知していただいていると聞いていますので、また引き続きよろしくお願いできればと思っております。
あと、もう一つ、ポータビリティというところで、今のところ、財形制度という、企業が天引きするという、企業の関わる制度の下では、我々としましては最大限ポータビリティを図るように工夫はしているつもりです。例えば、今までのA社であれば定期預金でした、でも、転職先のB社では生命保険しかありませんという場合でもポータビリティは確保できる形になっています。一回下ろしてできるようになる。ということで、この制度の中ではポータビリティは最大限やっているつもりなのですが、各委員から御指摘いただいていますけれども、企業とのつながりという部分でポータビリティという部分と、一方で企業が関わって天引きするという制度の良さという部分を、どう天秤で量っていくかということなのかなと思っております。我々も調査とか研究しながら、いろいろ御意見を伺いながら、この制度を今の新しい時代の中でどうやったら良いのかという部分は模索しながらやっていきたいと思いますので、また御意見をいただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、御感想等ございませんでしょうか。小野委員、お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。1つ質問なのですけれども、従業員調査に係る部分ですけれども、参考資料を拝見しますと、男女別とか、正社員、パート・アルバイトとかいう雇用形態別の結果が示されておりまして、男女差はそれなりにある項目はあるのですけれども、正社員とそれ以外、パート・アルバイトという区分との間で拝見していますと、ほとんどの福利厚生施策に対して、同等程度のニーズか、ないしはパート・アルバイトの方が低いという結果が示されているかと思うのです。冒頭ございましたとおり、雇用形態の多様化ということを踏まえて、福利厚生に関して今後施策を考えていかないといけないとは思うのですけれども、こういった結果を踏まえて、現在、どんなことをお考えになっているかをお伺いしたいということでございます。
○内藤分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 御質問ありがとうございます。おっしゃるとおりで、雇用形態の多様化の中で、福利厚生のニーズという部分は、多分大きく変わっているのだと思います。例えば、福利厚生という部分を重視していくのか、それとも、福利厚生ではなくて、賃金という部分、先ほど人事部に聞いた調査としては拮抗していると思いますけれども、従業員の方々からしますと、雇用形態によっては、福利厚生のところにメリットを感じるのか、それとも賃金に感じるのか、もしくは福利厚生のメニューの中でも多様性があるかと思います。そういった部分は、今後、福利厚生の施策、これはどちらかと言えば我々は、何かしらの補助とか支援とかいうよりは、こういう調査をしながら必要なところをやっていく、あるいは企業と対応しながら、より良き部分について一緒に考えていくという部分だと思います。今回の調査の中では、まだ報告書ができないものですから、プレスリリースだけなので、今はまだJILPTのほうで整理されていますので、今、御指摘いただいた部分も含めて、雇用形態の多様化とか、フリーランスが増えているとか、そういった部分も含めて、どういった福利厚生のニーズがあるのか、そこは我々も研究していきたいと思っております。
○内藤分科会長 ありがとうございます。他に御質問ありますでしょうか、それでは、鹿住委員お願いいたします。
○鹿住委員 先ほどの財形でも、若者の認識というか、認知が低いということだったのですが、実は、昨日授業で、就職するとき必要な情報は何か、特に中小企業に関してということで聞いたら、学生が福利厚生に関する情報が欲しいと言ったのですね。では、福利厚生ってどういう情報が欲しいのかと聞くと、ほとんどが休暇制度しか頭になくて、例えば、住宅手当というのがあるのだよとか、財形とは言いませんでしたけれども、社内預金とか、例えば、人間ドックに補助が出るだとか、いろいろある、昔は社宅とか寮とか、物理的な施設みたいなものもあったしという話をしていたら、まず、全然知らないのですよ。
恐らく昔は家庭で親御さんと、うちの会社はこんなのがあってとか、あるいは子供のときに親の勤めている会社の保養所に一緒に行ったとか、親の社員旅行に子供も連れていってもらったとか、あったと思うのですけれども、今は大分そういうのが少なくなったとか、形が変わってきて、しかも親御さんも自分の勤めている会社のこととか、家であまりお話をされないと伺っていて、調査の中にも、企業が福利厚生を充実させる目的として、社員の採用促進ということもあったのですが、実は割と学生は知らないです。福利厚生って、実際、会社が何をやっているのかということすら。なので、キャリア教育とも違うのかもしれませんが、そういうことも少し知って、もちろんそれだけで会社を選ぶということではないのですが、そういうことも念頭に入れて自分の職業生活をイメージするとか、考えるとかいうのを、何かどこかで学ぶ機会があったほうがいいのかなと思いました。せっかく企業側がいろいろ用意しても、恐らく学生のほうはあまりそういうのは知らないし、気にしていないのが現実かなと思います。
○内藤分科会長 いかがでしょうか、事務局。
○宇野勤労者生活課長 貴重な御意見ありがとうございました。確かに、今の御指摘で、今の若い人はそうなのだなと思う反面、自分自身も若いときはどうだったかというと、入ってみて初めて、ああ、こんなこともやってくれるのだと思ったというのもありましたので、今の若者対策ですとか、求人の情報の提供とか、いろいろな部分で、福利厚生という部分でどこまでできるかわかりませんけれども、貴重な御意見と思いまして、この調査を踏まえまして、今後何ができるか、またいろいろ考えていきたいと思います。ありがとうございました。
○内藤分科会長 ありがとうございました。辻委員、お願いいたします。
○辻委員 非正規従業員、派遣社員含めて、貯蓄ができるほど所得があるのかという問題は別にあるとは思うのですけれども、こういうニーズがあるということで、一方、だんだん財形の取扱件数が減っているものですから、そもそも企業側も、それから、金融機関側も、ノウハウがわからなくなってきている、取り扱いをどうしたらいいのだという状況が生まれていまして、そうすると、例えば、確かにコストが高いという話が一つ、理由では出ているのですけれども、財形の事務を取り扱う専門の会社を厚生労働省で作っていただいて、そこにアウトソーシングするという形で、非正規の方も救っていくという方法は、すみません、全くのアイデアしかないのですけれども、そういうやり方もあるのかなと思ったのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
○内藤分科会長 事務局からお願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 辻委員、ありがとうございます。確かに貴重な御意見で、なるほどなと私も思いました。現行制度ですと、中小企業については労働保険事務組合などを行っているような団体に事務代行はできるのですけれども、使いやすいとか、使いにくいとかいろいろありますので、貴重な御意見として、また今後、この制度をどう考えていくかという中の一つの項目として検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○内藤分科会長 ありがとうございました。他に御意見、あるいは御感想でも。冨田委員、お願いいたします。
○冨田委員 冨田です。私から、この資料の見方について2点ほど教えていただければと思うのですが、参考資料の回答者の属性のところで、従業員調査のほうだと思うのですが、就業形態の中に派遣社員に該当するものがないということは、派遣の方は従業員ではないという認識で渡されていない、それとも派遣元で常用雇用されている方だと、正社員という位置づけもあるかと思うのですが、派遣の方の取り扱いがこの調査上はどうなっていたのかというのが1点目です。
それから、企業の回答のほうで、非正規労働者にも対応があるといったお答えのところなのですが、その企業における非正規労働者がどの雇用形態の方を指しているのかというような、これに続く詳細調査があるのかどうかをお聞かせいただければと思っています。実は、労働組合側でも、60歳の定年後の再雇用の方と、60歳前の現役世代の方と、求められる福利厚生は違うと思いますし、雇用形態によっても相当求めるものが違うと思っていまして、そのあたりのニーズがこの調査から把握ができるのかどうかということも含めて、見方を教えていただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございました。事務局、お願いいたします。
○宇野勤労者生活課長 貴重な御意見ありがとうございます。こちらの調査は、御指摘のとおり、派遣は派遣会社との関係になっていますので、派遣労働者は入ってきていないのだと認識しています。おっしゃるとおり、非正規とばくっとやっていまして、同じ非正規の中でも、60歳以降の方等、多様な部分がありますので、詳細な部分を私どもも知りたいというか、分析したいと思います。そこはこの調査元のJILPTとも相談しまして、報告書の中でどこまで分析できるのか、できないのか、恐らく客体の部分の統計上の処理の方法もありますので、それを踏まえまして、問題意識を伝えていきながら、どこまでできるか、やっていきたいと思います。我々としましては、財形で、非正規の適用割合というのですか、これも実は恥ずかしながら初めてこういった数字も見ましたので、まず非正規ということで今回はここでお示ししたということで御理解いただければと思います。
○内藤分科会長 ありがとうございます。他に御意見ございますでしょうか、八野委員お願いいたします。
○八野委員 この調査は本当に有意義だと思うのですけれども、これは何年かごとにまた継続されるのでしょうかということと、あと、回答者の属性、特に従業員のほうを見ますと、正社員が8割、その他が全て非正規かどうかは別として、比率がそうなっていることとか、また、企業に渡して、企業から従業員に渡していただいているという中で、回答率と、憶測ですが、正社員のほうが回答率が高いのかどうかわからないのですけれども、これはマクロ的な調査なので、いろいろな議論をするにはもうちょっと堀り込む必要があると思うのです。そういう意味で、またやられるなり、追跡なり、次回やられるのであれば、それは御判断でしょうけれども、非正規職員的な方に絞ってやってみることも必要なのではないかなという気がします。この調査自体は非常に面白いですが、実態は、制度としてはこうなっていますけれども、本当にそうなのかというところは少し疑問な点が多いと思いますので、そういう詳細調査が今後やられるなら必要ではないかと。的を絞ってやっていただくと。極端なことを言うと、50代の方は要らないのかなとか、そうすると、60歳以上の人は要るのかなとかあるのですが、年齢はともかくとしまして、就業形態自体は絞ったほうが、もう少し鮮明に結果が出るのではないかと。参考意見でございます。
○内藤分科会長 ありがとうございます。いかがでございましょうか、事務局。
○宇野勤労者生活課長 八野委員、ありがとうございます。御指摘のとおりでして、この調査自体、先ほど小原委員からも御指摘いただきましたけれども、この調査の方法としましては、従業員については企業経由でやっているという、これはある意味、制約でございますので、当然、この結果についてはそこを留意すべきですし、回答が出てきた部分のサンプルとしましては、たくさん答えていただいた方が正社員が多かったとかいう部分も含めて、結果については、サンプルとしてのバイアスは一定程度考えなくてはいけないと、それは全く御指摘のとおりだと思います。
その上で、この調査自体は、福利厚生的な調査というか、労働条件の調査というと、公的な統計ですと、先ほど財形の実施率でお示ししました就労条件総合調査というのが大体毎年やっている調査でして、例えば、有給休暇の取得率とか、裁量労働制の適用割合とか、そういうのはその調査でやっているのですけれども、今、統計自体、広げるのはなかなか厳しいものなので、こういった深掘りの調査は5年に1回ぐらいしかできない。5年に1回だとしても、お示ししたような調査しかできないものなので、今、JILPTでは、こういうのは我々のほうからお願いして、要請調査という形で特別にやってもらえるという方式がございます。今回、その方針に従って、要請調査に基づいて単発で行った調査でございます。今日いただいた御意見も踏まえまして、より深掘りしていくのか、さらに経年変化を見ていくのか、多分、それは調査目的によって変わってくると思いますので、そこは今日の御意見とか、今後の状態を踏まえながら、我々も引き続き、次に一歩二歩どうやって進めていくかについて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○内藤分科会長 ありがとうございます。他に御意見、あるいは御感想、御質問ございましょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、本日の議題につきましては、各委員の方々から御意見が出尽くしたかと思われますので、本日の分科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。多くの御意見を賜りましたので、事務局でも引き続き御検討のほど、お願い申し上げます。本日の議事録の署名委員は、花井委員と中島委員にお願い申し上げます。それでは、本日はこれにて散会といたします。お忙しい中、誠にありがとうございました。