人材育成事例130
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冷間鍛造金型の設計・製作・販売 温間鍛造金型の設計・製作・販売 塑性加工製品の製造・販売 |
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●従業員の成長が、会社の発展につながると信じて、会社経営を行なっていること。
したがってキャリア支援も、従業員の自主性と創造性を重視していること。 この基本的な考え方に基づき、実施される当社のキャリア形成支援の取り組みには、次のような特徴があります。 ●入社前の採用選考の過程から、キャリア形成支援を意識して求職者と向き合っており、キャリア目標の共有を始めること。
●入社の段階から、リーダー養成の段階を経て、経営者となるまでの各段階で、キャリア目標の確認、評価を行なう仕組みがあること。
●キャリア目標の変更が容易で、柔軟な組織を持っていること。
具体的には、階層を経営陣と従業員の二階層のみとし、部や課といったセクションを持たず、従業員が自由に所属を変更できるグループやプロジェクトチームにより、会社の運営を行なっているのが特徴です。 この柔軟な組織により、各人のキャリア目標に合わせた柔軟な働き方ができています。 |
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キャリア目標の設定に関しては、採用時に内定を出す時点で「したい仕事」を確認し、入社後の大まかなキャリアパスを伝えることから始まります。 「したい仕事」と「したい職種」とは異なり、会社の業務による区分というよりも、従業員のキャリアの選択に重きをおいています。したがって、入社直後に必ず「したい仕事」に就くということではなく、将来のキャリアを見据えた中で、計画的に「したい仕事」に就くことができるよう、会社と従業員が協力して、キャリアパスを考えることになります。異動の際にも「したい仕事」が考慮されます。またキャリアパスの途中で「したい仕事」を変更することも許されます。したがって、当社の従業員は、全員が「したい仕事」と関わりを持って業務を行なっているというということになります。 従業員の全員が入社前から「したい仕事」を明確に意識していることから、当社での職業能力開発や自己啓発は自分のキャリアパスとの関係がはっきりしています。社内では、技術研修、技術の研究会、様々な分野の勉強会などが開催され、従業員は自由に参加できます。 現在行なわれている会社主催の勉強会は、冷間鍛造講習会、工程設計勉強会、新興国市場への販売開拓研修、グローバル人材育成研修、営業力トレーニングです。社員が自主的に行なっている研究会は、技術継承研究会、社内用語集作成委員会です。これらは、年齢・勤続年数・専門職種に関係なく参加できます。当社では、従業員の自主性と創造性を重んじるために、命令ではなく自発的な意思による組織運営を目指しています。 そこでの職業能力評価の目的は、キャリア目標そのものの評価とキャリア目標に対する達成度合の評価です。経験や知識の習得によってキャリア目標の変更が必要となった場合には、キャリア・コンサルタントと相談しながら、キャリア目標と予定していたキャリアパスの変更を行ないます。 会社の基本的な考え方の中に「好きな仕事」をする時にこそ、その人の能力を最も引き出せるというものがあります。そこで採用選考過程を通じて「したい仕事」「好きな仕事」を見つけることを支援しています。入社後は、「したい仕事」を中心として仕事をしていきますが、「したい仕事」が変化した場合には、キャリア・コンサルタントと相談して、仕事や方向性を変えていくことも可能です。また「自分の働き方は自分で決める」ことを、会社が支援する仕組みがあります。具体的には以下の通りです。 ●働く日と休む日を投票によって決めています。毎年、従業員の投票によって勤務カレンダーが選択され、稟議を経て決定します。パートタイマー、正社員および役員が一人一票の投票権を持っています。
●始業時刻を選択できます。理由に関わらず、一ヶ月単位で、五つの勤務時間帯から選択することができます。約3割の従業員が基本の勤務時間帯と異なる時間帯を選択しています。
●ユニフォームは、着用する従業員自らが選定した複数のラインナップから、自分で選ぶことができます。
●設備投資計画は、年に一度、全従業員から必要な設備についてアンケートを取り、計画を策定しています。
当社では、理想的な職場環境は、従業員が自由に働き、個性と能力を発揮できる職場だと考えています。その理想実現の合言葉が「責任ある自由」です。当社の人材育成方針は下記のとおりです。 1.仕事は管理しても、人は管理しない組織を作る。
2.従業員一人ひとりが自分の将来を考え、理想を実現できる組織を作る。 3.後継者の育成に努める。 上記の方針に従って、次のような方策を用意しています。
1.極力階層を減らした組織を作る。
2.採用プロセスを通じてキャリア形成支援を行なう。
3.従業員が、持続性ないしは継続性を持って、自己のキャリア開発に取り組みめるよう、本人の希望を重視して関連した職務に継続的に就けるよう支援し、経験を積み、キャリアを発展させられるようにする。
4.従業員が、業務遂行に必要となる知識・スキルを習得できるよう支援する。
5.すべての従業員に、将来経営者になる機会を与える。
階層を少なくすることで、社長や役員と従業員との距離が近くなり、方針や方策を伝えやすくしています。具体的には、役員と従業員とのコミュニケーションが社内で業務時間内に頻繁に行なわれ、方針や方策の伝達の場となっています。また、部や課といった固定されたセクションを作らず、業務の分担は、時に応じて設置されるグループやプロジェクトチームによっています。一人の従業員が、複数のグループやプロジェクトチームに属することも、移動することも自由です。各グループやプロジェクトチームでは、自薦他薦でリーダーが決められますが、それは管理職ではなく、あるグループのリーダーが、別のグループではメンバーとなることも、普通に行なわれています。また、すべての従業員に将来経営者になる機会を与えるために公募制の「取締役補佐制度」を設けています。 |
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●成果の見える化
社内で行なわれている様々なプロジェクトチームの活動、社員同士の自主的な活動(社内の草刈り、稟議書作成研修会など)の記録が採られていないため、上がっている成果とその原因の因果関係の分析が十分ではありません。そのため、活動の記録を残すことにより、成長プロセスが見える状態をつくり、人材育成方針に沿ったキャリア形成支援ができているかどうかの確認を行なっていきたいと考えます。
●企業規模拡大への対応 これまでの当社のキャリア開発支援は、従業員の自主性と創造性を尊重しながら、小規模企業の特徴を生かして、経営陣、従業員、キャリア・コンサルタントが、互いにコミュニケーションを取りつつ、従業員一人ひとりに合わせた形で行なってきました。
しかし会社の発展とともに、将来従業員の増加に伴い、自主性と創造性を損なわない、よりシステマチックなキャリア支援方法を開発していく必要があると考えています。 将来に備えて、現状の認識とともに、制度や規則の作成と見直しを図って行きたいと考えています。 ●キャリア・コンサルタントの育成、カウンセリング能力の向上 組織の拡大、職務の拡大に伴い、キャリア・コンサルタントのキャリア支援は一層重要度を増していきます。
社内の経営資源を活用しつつ、キャリア・コンサルタントの育成を図るとともに、キャリア・コンサルタントの一層のスキルの向上に努めたいと思います。 |