第135回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

平成30年12月21日(金)18:00~20:00

場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省職業安定局第1・2会議室(厚生労働省12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○阿部分科会長 それでは、ただいまから第135回労働政策審議会職業安定分科会をを開催いたします。議事に先立ちまして、当分科会に所属する委員の交代がありましたので、御報告をいたします。当分科会の使用者代表委員として、松井委員に代わりまして、伊勢湾海運株式会社 代表取締役社長の後藤委員が御就任されております。また、本日は御欠席ですが、労働者代表委員として、松原委員に代わりまして、全日本電機・電子情報関連産業労働組合連合会 書記次長の梅田委員が御就任されております。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の桑村委員、労働者代表の梅田委員、柴委員、髙松委員、使用者代表の今木委員、河本委員、熊谷委員、吉岡委員が御欠席となっております。なお、河本委員の代理として全日本空輸株式会社の秋田様が、熊谷委員の代理として日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様が出席されております。
それでは、議事に入りたいと思います。まず最初の議題は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備及び経過措置に関する省令案要綱」等について(諮問)です。本件については、11月27日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、11月27日の同一労働同一賃金部会において、あらかじめ本議題に関する議論を行っていただいております。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
 
○需給調整事業課調査官 需給調整事業課の古屋と申します。働き方改革推進法に伴う省令告示の改正等について、御説明いたします。働き方改革推進関連法案の先の通常国会での成立を受け、同一労働同一賃金部会において、関連する省令告示の改正等について、8月30日から11月27日まで7回にわたり御議論を頂き、11月27日に諮問、同日に「おおむね妥当」との部会報告を頂いております。なお、12月4日に需給部会にも御報告しております。諮問と部会報告については、資料No.1-1と資料No.1-2として配布しておりますので、御確認ください。
内容について、御説明いたします。まず、資料No.1-3を御覧ください。今回の法改正では、企業内における正規と非正規の労働者の間の不合理な待遇差の是正を目指し、パート法、労働契約法、労働者派遣法を改正しております。ポイントについては、不合理な待遇差を解消するための規定の整備と、労働者に対する説明義務の強化、行政による履行確保措置と行政ADRの整備です。施行期日は派遣法の改正については平成32年4月1日であり、施行日をまたぐ契約から適用されるものです。
2ページ目を御覧ください。有期・パート労働者の不合理な待遇差を解消するための規定の整備についてです。均等待遇規定について、これまで有期雇用労働者にはなかったものを新たに対象とすることと、均衡待遇規定について、それぞれの待遇ごとに待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化しております。
3ページを御覧ください。派遣労働者については、今回の改正で2つの待遇方式を定めております。1つ目は派遣先の労働者との均等・均衡待遇、もう1つは、一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかの確保を義務化しております。また、派遣先の派遣料金の額について配慮義務を追加しております。まず、派遣先均等・均衡方式では、派遣先の労働者の待遇に関する情報提供が新たに義務となり、教育訓練、それから福利厚生の施設利用については派遣先の配慮義務から義務となっております。
続いて、協定方式についてです。協定対象派遣労働者の賃金について、同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同等以上の賃金額として、職務の内容・成果・能力・経験等の向上があった場合に賃金が改善されることとなる内容とする協定を過半数組合又は過半数代表と結ぶこととしております。
4ページ目を御覧ください。労働者に対する説明義務についての規定です。労働者派遣法については、新たに待遇差の内容、待遇差が生じる理由についても労働者の求めによる説明を義務付け、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いを禁止しております。
5ページ目を御覧ください。派遣労働者の関係の制度についても、調停制度が適用されるように規定を整備しているところで、待遇差の内容や理由に関する説明についてもADRの対象に追加しております。
参考資料No.1-1で、法改正の内容について、派遣元と派遣先で事業主が実施すべき内容について、まとめておりますので、適宜、御参考いただければと思っております。
続いて資料No.1-4を御覧ください。改正法の具体的な手続については省令告示等に定めることとしており、派遣法の関係については、1.2.3.5.がこれに該当します。具体的な内容については、追って御説明いたします。
資料No.1-5の1ページを御覧ください。まずは協定方式について御説明いたします。労使協定の締結主体である過半数の労働者代表の選出方法について、労働基準法の管理監督者ではなく投票・挙手等の民主的な方法による手続により選出された方で、派遣元事業主の意向で選出された方ではないこととするものです。また、過半数代表などへの不利益取扱いの禁止、協定に関する事務の円滑な遂行に向けた配慮を派遣元に求める旨を規定するものです。
2ページを御覧ください。協定に関する書面は、有効期間終了日から3年間保存とするものです。また、派遣先での対応が必要となる教育訓練や給食施設等の業務の円滑な運営に資する福利厚生施設は労使協定の対象から除外します。協定の記載事項には、対象となる派遣労働者を一部に限定する場合には、その範囲と理由を追加するとともに、特段の事情がない限り、契約期間中の派遣先の変更を理由とする待遇方式の変更は不可とするものです。
3ページを御覧ください。職務の内容等を勘案した賃金決定の例外になる手当について、通勤手当、家族手当などについては例外とすることを規定するものです。賃金については、派遣労働者の就業の場所と同一の地域、同種の業務で働く同程度の能力・経験を有する一般の労働者、これは無期フルタイムの方ですが、この方と同等以上の額とするということを省令で定めるものです。具体的な内容については、職業安定局長通知で示すところです。
具体的な内容について、御説明いたします。資料が変わって参考資料No.1-2の1ページ目を御覧ください。こちらでは、賃金水準の計算方法の概念図を示しております。賃金水準については、職種別に賃金を把握できる政府統計として、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計を用いることとしております。比較する一般労働者の給与水準については、基本給と賞与等を合計したものを時給換算した額です。賃構については、経験年数と通勤手当を補正し、職安統計については経験年数と賞与を補正しております。
具体的な数値については、参考資料No.1-3-1を御覧ください。1ページ目から3ページ目までが賃構です。それから参考資料No.1-3-2、4ページ目から12ページ目までが職業安定統計に基づくものです。こういった額について、全国平均ですので、地域差を補正する必要があります。この地域差について補正する数値が、13ページ目以降の参考資料1-3-3にある地域指数です。こちらについては都道府県別とハローワーク別の数値を示しております。派遣元については、こうして出している職種別の賃金額と地域指数の数値を掛けて計算し、個々の派遣労働者の賃金が同等以上であるかどうかを確認して、いずれの派遣労働者もこれを上回っていることが必要となっております。
参考資料No.1-2に戻ります。2つ目のポツに示しておりますが、賃構等で把握できる職種と派遣労働者が実際に行う業務との間に乖離があるような場合については、公的統計や、あるいは一定数のサンプルがある独自統計を使用することを可能としております。
続いて2ページ目を御覧ください。退職手当については、3つの方法で計算していただくこととしております。1つ目は給付水準を比較する方法、もう1つは退職手当に掛かる平均的費用を給与に上乗せする方法、3つ目は退職手当に掛かる平均的費用で制度に加入する方法、このいずれかで比較することとしております。使用する数値については、先ほどの参考資料1-3-4、25ページ目以降に示しておりますので、後ほど御参考にしていただければと思っております。こうしたデータについては、毎年6月から7月に公表し、翌年4月から、示した統計を踏まえた賃金の適用をしていただくという予定です。
また戻って資料No.1-5の4ページ目を御覧ください。協定には有効期間を定めることとしております。それから、事業主ですが、この協定について書面の交付、(2)で示しているように、労働者が希望した場合にはFAX又は電子メール、SNSといった手段、(3)のイントラネット、(4)の派遣元の事業所の掲示等によって、雇用する全ての労働者の周知を行うこととしております。なお、電子メール等については、記録を出力して、書面を作成できるものに限りますし、(4)については、協定の概要について、書面の交付、FAX、メール等により、併せて周知する場合に限ります。
5ページ目を御覧ください。派遣元は協定を毎年の事業報告書に添付するとともに、協定対象派遣労働者の職種ごとの人数と賃金の平均額を報告することとしております。
6ページ目を御覧ください。協定対象派遣労働者に対する安全管理の措置と、給付のうち腰痛対策のベルトのような職務の内容に密接に関連するものについては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理と認められる相違等が生じないようにすることが望ましいということを派遣元指針に規定するものです。これについては、同一労働同一賃金ガイドラインで、派遣元事業主の通常の労働者との均衡を図ることとする内容を補足するものです。また、派遣先において、利用について配慮すべき施設の具体例を追加しておりますので、御覧いただければと存じます。
続いて7ページを御覧ください。派遣先から派遣元への待遇情報の提供についてです。派遣先は契約の締結に当たり、その待遇情報を派遣元に提供する比較対象労働者を規定するものです。省令においては(1)として、職務の内容、並びに職務の内容と配置の変更範囲が、派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者がいる場合は、その労働者と、そのような労働者がいないような場合については、通常の職務の内容が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者と、こういった方々がいないような場合については、これらに準ずる労働者と比較することとしております。(3)に示した、準ずる労働者の内容については業務要領で示す予定であり、業務の内容又は責任の程度が同じ労働者、そういった方がいないような場合については、職務の内容と配置の変更範囲が同じ通常の労働者、こういった方がいないような場合については、これらに相当するパート・有期雇用労働者、こういった方々がいないような場合については、同じ職務に従事させるために、新規に通常の労働者を雇い入れる場合の方が、これに当たることとする予定です。また、情報提供する待遇情報については、1人のものには限らず、複数人や、雇用管理区分、過去1年以内に雇用した労働者、モデル賃金なども可能とすることとする予定です。
8ページを御覧ください。情報提供の内容についてです。派遣先から派遣元については、2つのパターンに分けて、情報提供する事項を示しております。まず、(1)ですが、協定対象派遣労働者に限定しないような場合については、イからホのような内容を示すこととしております。続いて(2)のように、協定方式に限定することを契約に定めるような場合については、教育内容、福利厚生施設の内容等を契約前に情報提供することとしております。具体的な情報提供の内容等や様式、記載方法などについては、今後、示して周知していく予定です。
続いて9ページを御覧ください。情報提供に関する手続については、書面の交付などによって行い、派遣元と派遣先は、その書面等を派遣終了後、3年間保存することとしております。派遣先は比較対象労働者に関する情報に変更があったときも、遅滞なく同様の対応をすることとしております。なお、協定対象派遣労働者に限定しないような派遣契約で、現に協定対象派遣労働者のみを派遣するような場合については、派遣先は新たに派遣先均等・均衡方式の派遣労働者が含まれることになったときに、遅滞なくその情報を提供することとしております。
11ページを御覧ください。派遣契約が終了する日前1週間以内の契約で、待遇の変更がなくても法に定める待遇が確保されており、派遣契約であらかじめ定められている範囲内の場合は、比較対象労働者の待遇情報変更時の情報の提供は不要としております。
12ページを御覧ください。比較対象労働者の待遇等の情報については、法に基づく秘密保持義務の対象として、個人情報に該当する情報の保管や使用は、待遇の確保等の目的に限られ、該当しない情報についても同様の適切な取扱いとするものです。
続いて13ページを御覧ください。派遣先との均等・均衡方式の待遇の相違の内容と理由の説明についてです。派遣元においては、比較対象労働者の情報に基づき、待遇の相違の内容と理由について説明します。説明すべき内容は、(1)待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項の相違の有無と、(2)待遇の個別具体的な内容又は待遇に関する基準です。派遣元は待遇の相違の理由の説明に当たっては、待遇の性質や目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明することとしております。
14ページを御覧ください。説明については、派遣労働者が内容を理解できるよう資料を活用し、口頭により説明することを基本として、ただし、説明すべき事項を全て記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合については、そういった資料を交付する等の方法でも差し支えないこととしております。
15ページを御覧ください。協定方式での待遇の内容と理由等の説明に関する事項についてです。派遣元事業主は、賃金が協定で定めたもので公正な評価に基づいて決定されていること、協定で定める賃金以外の待遇が派遣元の通常の労働者との間に不合理な相違がないように決定されていること等について説明することとしております。
16ページを御覧ください。比較対象労働者の情報の変更の際は、派遣労働者の求めがない場合であっても、比較対象労働者との待遇の相違が内容と理由について情報提供することが望ましい旨を規定するものです。
17ページを御覧ください。協定の締結の有無や、あるいは対象労働者の範囲、有効期間の終期については、あらかじめ関係者に知らせることとして、常時インターネットの利用より関係者に情報提供することとしております。
18ページを御覧ください。派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度や、協定対象派遣労働者に限るか否かについて、派遣契約の記載事項に追加して、責任の程度については派遣元や派遣先の管理台帳の記載事項にも追加するものです。
19ページを御覧ください。派遣元は雇入れ時に、あらかじめ労働者に対して労働条件に関する事項を説明することとされております。明示すべき労働条件については、労働基準法に基づく義務があるもの以外に、昇給・退職手当・賞与の有無、協定対象派遣労働者であるか否か(協定対象の場合は当該協定の有効期間の終期)、苦情の処理に関する事項とするものです。派遣労働者が希望した場合は、文書以外にファクシミリや電子メール等でも可能とするものです。
20ページを御覧ください。派遣時には雇入れ時の明示事項のうち、(1)から(6)に示したものについては、明示は不要とするものです。ただし、賃金、昇給、賞与に関する事項については、派遣時にも明示することとなります。なお、緊急時に事前の文書交付等が行われるような場合は、事後に派遣労働者からの請求があったときや、あるいは派遣期間の1週間経過後に、遅滞なく文書の交付等により明示しなければならないこととしております。
22ページを御覧ください。調停に関しては、男女雇用機会均等法施行規則の規定の一部を準用して所要の読替えを行います。
23ページについては、派遣先の料金の配慮について、締結時や更新時だけではなく、それ以降も必要である旨を規定するものです。
続いて、ガイドラインについて資料No.1-6に沿って御説明いたします。このガイドラインについては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で待遇差が存在する場合に、どういった待遇が不合理で、どういった待遇が不合理なものでないかといったことを示したものです。既に公表された案を基に同一労働同一賃金部会において御議論いただいたものです。ガイドラインについては、国会の審議などを踏まえた記述の追加や、派遣労働者の記述の追加などを行っております。
1ページから2ページ目までの目次に示しているように、目的と基本的な考えを示して短時間・有期雇用労働者、派遣労働者について対応すべき事項を記載しております。ガイドラインの構成は原則となる考え方を示し、「問題となる例」と「問題とならない例」を示しておりますが、その間には一概に決めることができない領域があり、最終的には裁判において判断されることとなるものです。
2ページを御覧ください。第1の「目的」の第2パラグラフについてですが、派遣労働者については間接雇用という特性がありますので、短時間・有期雇用労働者とは異なり派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の差別的取扱い等の解消を目指すべきものとして、協定対象派遣労働者については派遣法の規定に沿った運用を求めております。
4ページを御覧ください。第1パラグラフですが、今回の同一労働同一賃金の趣旨については、非正規雇用労働者の待遇の改善ですので、労使合意なく正規雇用労働者の待遇の引下げで不合理な待遇差を解消することは望ましくないこととしております。
4ページの「以降、」に、指針案のうちの第4の派遣労働者と第5の協定対象派遣労働者の部分について御説明いたします。対比表の形式で示していますので、両方を御覧いただきながら御確認いただければと思います。まず、4ページから5ページ目については労働者派遣法での協定方式と、派遣先均等・均衡方式との考え方を示しております。
6ページを御覧ください。1の「基本給」については、趣旨、性格が様々ですが、その趣旨、性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給という基本的な考え方となっております。派遣労働者については、派遣先均等・均衡方式の場合、有期・パート労働者とは異なり、派遣先で雇用される通常の労働者との比較となります。
具体的には6ページ目以降に示しております。(1)基本給ですが、能力又は経験に応じて、8ページ目の(2)で業績又は成果に応じて、10ページ目の(3)で勤続年数に応じて支給するものについて、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給としております。また、11ページの(4)に、派遣先と派遣元が勤続による能力向上に応じて昇給することとしているとき、同様の勤続による能力向上があったときは、その部分について、派遣先の通常の労働者と同一の昇給を行い、一定の相違があるような場合は、それに応じた昇給を行うこととしております。派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の賃金決定のルールに相違があるような場合については、(注)に示したように、職務内容、職務内容配置の変更範囲、その他の事情の客観的、具体的な実態ということに立ち返り、不合理でないということが求められており、その際、「将来の役割期待と異なる」という主観的又は抽象的な説明では不十分としております。続いて12ページには、短時間有期雇用労働者について、長澤運輸事件の最高裁判決を踏まえ、記述を追加しております。
13ページの2の「賞与」については、会社(派遣先)の業績への労働者の貢献に応じて支給するような場合について、同一の貢献に対しては同一の違いがあれば違いに応じた支給を求めているところです。
続いて15ページの3を御覧ください。(1)の役職手当についてです。派遣先の通常の労働者と同一の役職に就く派遣労働者については同一の、役職の内容に一定の相違があるような場合は、その相違に応じた役職手当を支給することとしております。16ページの(2)の特殊作業手当から、(10)の地域手当等までについては、支給要件に該当すれば同一の支給を求めているところです。
22ページの4を御覧ください。福利厚生については、(1)の給食施設、休憩室、更衣室といった福利厚生施設については、派遣先が派遣先の通常の労働者と同一の事業所で働く派遣労働者に同一の利用を認めることとし、派遣元については法に基づく義務がある旨を記載しております。(2)の転勤者用社宅、(5)の法定外休暇等については、派遣先の支給要件や勤続期間に該当すれば同一の、(3)の慶弔休暇等は、派遣先労働者と同一の、(4)の病気休暇については、期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者の場合は期間を踏まえて付与することとしております。
25ページを御覧ください。5のその他についてです。(1)の教育訓練については、現在の職務に必要な技能又は知識を習得するためのものについては、派遣先は派遣元からの求めに応じて、同一の業務内容であれば同一の教育訓練を実施することとしております。派遣元事業主についても、教育訓練に関する義務がある旨を記載しております。(2)の安全管理については、派遣先の通常の労働者と同一の業務環境の派遣労働者には、同一の措置と給付をすることとしております。なお、法定の義務である派遣法第45条等の規定に基づく措置については、派遣先と派遣元、双方で履行することとしております。
最後に、26ページ目以降の第5の協定対象派遣労働者についてですが、賃金については法律等で御説明した内容と同様です。説明については以上です。よろしく御審議いただきますよう、お願い申し上げます。
 
○阿部分科会長 それでは、本件について、御質問、御意見等がありましたら御発言ください。
 
○林委員 説明ありがとうございます。資料1-6の同一労働同一賃金ガイドラインの所ですが、非常に細かく、多岐にわたって記されているように思いますけれども、パート有期労働者のガイドラインをそのまま引き写したというような感が否めない部分があります。また、このガイドラインが派遣労働者の実態に合っているのかというと、少し齟齬があるような印象を受けます。例えば、13ページの賞与の記載について、派遣先及び派遣元の事業主が、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支払っている場合というような一文がありますけれども、ここで言う会社の業績というのは派遣先の業績ということを示しているのだろうと思っておりますけれども、そもそも派遣会社などが派遣労働者の賞与を派遣先の業績等で支払っている場合が本当にあるのかどうか。これは余り実態に即していないのではないかという思いがあります。このように、全体的に派遣のガイドラインが難解な印象が否めず、実態に即していない印象を受けてしまいますので、今後、運用していく中で、適宜、見直していっていただきたいということを述べさせていただきます。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。事務局、何かありますか。
 
○需給調整事業課長 林委員の御指摘はごもっともでございます。まずは、分かりやすく周知する方法というものをきちんとやって、施行までに動かしていきたいと思っておりますし、実態に照らして、この実例については、またいろいろ労使の御意見も頂きながら、分かりやすくしていくところは不断に取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。
 
○久松委員 労使協定方式に関してですが、派遣労働者の賃金は、一般労働者の賃金水準を上回る額にする必要があることになっておりまして、今回、示されたその基準となる一般労働者の賃金水準を見ていくと、参考資料1-3-1、参考資料1-3-2にあるとおり、賞与分を加味しても時給が800円台や900円台というような職種もあり、必ずしも高い賃金水準が示されているというようには思えません。
厚生労働省が毎年公表している労働者派遣事業報告書を見ると、派遣労働者の平均賃金は、1日当たり約1万2,000円、また、1日8時間として時給換算すると1,500円という数字ですから、今回の数字よりも高い水準になっていると思います。このことによって、派遣元や派遣先の会社が、今後、今回の一般労働者の賃金水準というものを悪用し、派遣労働者の賃金が現在の賃金より低下させるようなことがあってはならないというようにも思います。また、この基準によって、派遣労働者の賃金が低位水準化につながるようなことがあっては本末転倒であるというようにも思っています。厚生労働省としては、この数字の意味を正しく周知していきながら、派遣労働者の賃金改善につながるような政策誘導をしていくべきだと思いますので、意見として、よろしくお願いします。
 
○阿部分科会長 事務局、何かありますか。
 
○需給調整事業課長 久松委員から御指摘のあった派遣労働者の実態調査の賃金というのは、御案内のとおり、平均の賃金で、一方、こちらの示しております賃構ないしハローワーク業務統計で示している基準値の賃金というのは、これは、言わば、原則これを下回るものは認められないといった額になっております。そこは性質の違いがありますというところはきちんと明確に周知をした上で、いずれにしても、これを理由に派遣労働者の賃金額を引き下げるということは、それは制度の趣旨の求めるところではありませんので、あくまで不合理な待遇格差の解消ということが今般の制度改正の趣旨なのだというところも含めて、適切に周知はやっていきたいと思っております。
 
○阿部分科会長 よろしいですか。
 
○久松委員 はい。
 
○阿部分科会長 では、森下委員、どうぞ。
 
○森下委員 ちょっと気になった点がありまして、資料1-5、8ページぐらいから派遣元への情報提供について書かれておりますけれども、企業にとっては待遇に関する情報提供というのは、ある意味で企業の大切な資産でもあるわけですが、ちょっと見方が違うのかもしれませんけれども、派遣元がこの情報をどうやって保持できるのか。もし、漏えい等があったり、例えば、同業の方への信頼がおけないような情報提供などをなされたという場合についての罰則とかペナルティーについて何も触れられていないというところが大変気になるところなのですが、雇用に関する部分だけに目がいっていて、機密保持と言う観点がここではスルーされているのかなと思っていまして、その辺についてどういうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 
○阿部分科会長 それでは、御質問ですので、事務局からお願いします。
 
○需給調整事業課長 森下委員の御指摘の部分については、同一労働同一賃金部会でも非常に突っ込んだ意見交換がありました。それで、1つは、待遇情報というのは、派遣法においては派遣元に対して秘密を守る義務というところはかかっております。それは、派遣事業者と、そこの従業員、その従業員の中には派遣会社にとっての従業員というのは派遣労働者も含めて従業員という形になりますので、そういった方については、業務上知り得た秘密を漏らしてはならないという義務がかかっている。それを違反した場合は、派遣労働者が漏らしたときに派遣労働者に対しての指導までは難しい面もありますが、少なくともそれを含めて総体として派遣会社においては、そういった義務というのがかかっております。そこで適切な管理をやっていない、みだりに外に漏らしているということであれば、それは派遣法に違反するという形になってまいりますので、そういうところも運用に当たってきちんと周知した上で、派遣会社は重々認識しているとは思いますが、そういったところも踏まえて、適切に管理してもらうように働き掛けをしてまいりたいと考えております。
 
○森下委員 適切な管理という意味合いは分かるのですが、やはり企業にとっては漏えいしてしまうと、これは非常に大きな問題となるので、もちろん派遣元というのは大小様々な会社があるかと思いますが、今、企業では情報セキュリティに関しては非常にシビアな取扱いがされるようになっておりまして、出入業者ももちろんですけれども、大手企業にあってはこういう情報漏えいが致命傷になるといういろいろな事例も出ておりますので、その辺を明確に、派遣元に対して又はそこで働く事業者と同時に従業員の方に対しても、単なる情報漏えいのペナルティーということではなくて、具体的な何か施策がないと、これからの派遣先と派遣元との関係が、うまくいかなくなってくるのかなということも含めて懸念するところです。
 
○阿部分科会長 では、御意見として伺いましょうか。
 
○需給調整事業課長 派遣会社にも、そういったところは適切に伝えてまいりたいと思いますし、1つのやり方として、秘密保持契約を労働者派遣契約と合わせて締結していただくという対応も考えられるのではないかと思っております。
 
○阿部分科会長 では、ほかはいかがですか。特にありませんでしょうか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を、おおむね妥当と認め、その旨を、私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
 
(報告文案配布)
 
○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、 労働政策審議会会長宛て報告することとして、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。
次の議題に移ります。雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、本日開催された雇用保険部会において、あらかじめ本議題に関する議論を行っていただいております。それでは、事務局より説明をお願いします。
 
○雇用保険課長 事務局、雇用保険課長です。よろしくお願いいたします。資料2-1と2-2を用いて御説明いたします。資料2-2を御覧ください。今回お諮りする省令案要綱の内容は大きく3点です。
1点目は、雇用保険に関する手続について、資本金1億円超等の法人について、電子での届出を行うよう義務付けるという内容です。2点目は、教育訓練給付のうち、一般訓練給付は、従来、講座費用の2割給付ですが、特にキャリアアップ効果の高いもので、厚生労働大臣が指定する講座については、講座費用の4割給付とする内容です。3点目は、教育訓練給付のうち、専門実践教育訓練給付について、これまでは、最長3年間の講座が対象でしたが、最長4年間の講座を対象として追加し、これに対して給付をするという内容です。
いずれも施行期日は平成31年10月1日、ただし、1点目の電子申請の義務化については、平成32年4月1日です。3点目の支給上限額を引き上げる件については、平成31年4月1日です。これは専門職大学の開校する日に合わせております。以上の省令改正について、本日15時より開催されました雇用保険部会において「妥当」との結論を頂戴しております。以上です。
 
○阿部分科会長 それでは、ただいまの説明について御質問、御意見ございますでしょうか。
 
○林委員 1点、意見を述べたいと思います。今の御説明の中にありましたように、雇用保険部会、それから人材開発部会でも既に議論されているということですので、全体を通して異論はありません。ただ、こうしたリカレント教育は非常に重要だとは思っておりますが、自己啓発だけに頼るのではなく、企業の教育訓練への支援についてもきちんと拡充施策を取っていくべきではないかと考えております。制度を作って終わりとならないように、PDCAサイクルをしっかり回していただいて、改善すべきところは改善しながら、メリハリのある運用をお願いしたいということで1点、意見として述べさせていただきます。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 
○雇用保険課長 頑張ります。ありがとうございます。
 
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。
 
○正木委員 ただいまの1番、電子申請の義務化と書いてありますが、内容的には原則化ということではないかと思います。これについては、本年6月に経団連と日本商工会議所、経済同友会でデジタル・ガバメントの実現に向けた緊急提言を出しており、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップという、デジタル化の3原則に基づく国・地方を通じた行政サービスの100%デジタル化を強く期待しており、その方向に沿ったものと思っております。早く、こういったことができて、100%のデジタル化が実現することを期待しております。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますがよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
 
(報告文案配付)
 
○阿部分科会長 お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告させていただきます。
では、次の議題に移ります。次の議題は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について」です。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。事務局より説明をお願いいたします。
 
○雇用保険課長 事務局、雇用保険課長です。本件について資料3-1から参考資料2-1を用いて御説明いたします。まず、参考資料2-1を御覧ください。雇用保険の保険料率については、本体部分と二事業部分の2つに分かれているところです。これは積立金、又は雇用安定資金の残高によって料率を変更することができることとなっております。5、6ページに、その弾力条項と今般の決算額に基づく式を記載しております。5ページに、本体については弾力値が3.52で、最大4/1000料率を下げることができます。
同じく6ページの二事業部分の料率については、弾力値は2.22です。これは法令の規定により、3/1000に下がることとなります。本日15時からの雇用保険部会において、この状況を御説明し、本体の料率の引き上げについて御異存がなく、また、二事業の弾力条項に基づく3/1000に下がることについても御異存はなかったところです。以上を踏まえ、資料3-1の告示案要綱は、平成31年度の労働保険料を平成29年度、平成30年度と同様の9/1000とすることとした内容です。以上です。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について御質問、御意見があれば御発言ください。
 
○村上委員 今回の雇用保険料率の弾力条項については、その要件を満たしておりますし、雇用保険部会の中でも了承ということですので、この料率を6/1000に維持することについては異論はありません。ただ、来年度までの時限的な措置でありますので、それ以降は速やかに引き上げるものと認識しておりますし、国庫負担の本則復帰の問題も忘れずに対応していただきたいと考えているところです。
また直接、この問題に関わるわけではありませんが、現在、マルチジョブホルダーの雇用保険適用に関する検討も行われており、就労形態が多様化していく中で、雇用保険の適用対象を広げてセーフティネットを拡充していこうとする動きは歓迎したいと思っております。リカレント教育の拡充はもちろんですが、セーフティネットの拡充や給付の改善などの動向も十分に踏まえながら、制度を適宜、見直していくことが必要だと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として賜ります。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
 
(報告文案配付)
 
○阿部分科会長 お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。本日、予定されている議題は以上で終了いたしました。全体を通して、皆さんから何も御質問、御意見がなければ、本日の分科会はこれで終了としたいと思います。よろしいですか。それでは、本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっております。
つきましては、労働者代表の勝野委員、使用者代表の後藤委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。本日も年末のお忙しい中、しかも夜分にお集まりいただき、ありがとうございました。