2018年10月18日 第31回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(第58回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会【合同開催】) 議事録

日時

平成30年10月18日(木)13:00~14:30

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13A

議事

 
○田中課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第58回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と第31回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同委員会を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、委員会開催に際しまして、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会委員に新たに御就任いただきました委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介申し上げます。お名前を申し上げますので、一言ずつ御挨拶をいただければと思います。
新宿区保健所長、高橋郁美委員。
○高橋委員 新宿区保健所長の高橋でございます。全国所長会のほうから代表として参りました。よろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク専務理事、福島慎吾委員。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。よろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 東京都福祉保健局技監、矢内真理子委員。
○矢内委員 東京都福祉保健局技監の矢内でございます。全国衛生部長会からの委員となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 ありがとうございました。
また、難病対策委員会の委員を務めておられました村田美穂委員が9月9日にお亡くなりになりました。この場をかりまして、慎んで御冥福をお祈り申し上げます。
続きまして、本日の委員の出欠状況を確認いたします。
大澤委員、尾花委員、駒村委員、鶴田委員、西澤委員、本田麻由美委員、安達委員、井田委員、岡委員から御欠席の御連絡をいただいております。
また、小幡委員から、10分程度おくれるとの御連絡もいただいております。小国委員におかれましては、御出席の予定とのことでございます。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事進行につきましては千葉委員長にお願いをいたします。
○千葉委員長 それではまず、資料の御確認をお願いします。
○田中課長補佐 お手元の資料をごらんください。
1枚目、議事次第、2枚目、委員名簿、3枚目、座席表に続きまして、本体資料として、
資料1 指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析への対応について
資料2-1 「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究(仮)」について(案)
資料2-2 「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究(仮)のイメージ」
資料2-3 「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究(仮)」への協力についての同意書(案)について
参考資料1 これまでの議論の整理-NDBと介護DBの連結解析について(平成30年7月19日医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議資料)
参考資料2-1 前回(平成30年3月2日)の合同委員会における主な御意見(平成30年4月18日第55回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会・第29回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催)資料)
参考資料2-2 「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究(仮)」の同意説明文書(案)
を御用意しております。不足等ございましたら、挙手をいただければと思います。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。チェックをお願いいたします。
それではまず、議事(1)「指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析について」、討議をしたいと思います。資料につきまして、事務局から説明をお願いします。
○田中課長補佐 まず、この検討がなされることになった背景について簡単に御説明させていただきます。
現在、厚生労働省保険局が事務局を務める医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議におきまして、NDBと介護DBとの連結について議論を行っており、先般、さきの公的データベースとの連結についても、本年秋を目途に検討する旨、当該有識者会議のとりまとめの中で示されたところでございます。
参考資料1にこの会議の「これまでの議論の整理」という資料を準備しておりますので、適宜御参照ください。このとりまとめに基づき、NDB及び介護DBと難病DB及び小慢DBを連結させることについて検討するよう、厚生労働省保険局より依頼がございました。
平成30年6月20日に開催されました前回の合同委員会において、「指定難病患者のデータベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の在り方について」をとりまとめたところでございます。ほかのDBとの連結については、中長期的に検討していくこととしておりました。
そこで、今後の進め方について、両委員会の委員長であります千葉委員長、五十嵐委員長にお伺いさせていただいたところ、NDB及び介護DBと、難病DB及び小慢DBを連結させることについても、まずはDBの利活用に向けたガイドラインの作成を目的とした「指定難病患者のデータ及び小児慢性特定疾病児童等データ等の提供に関する有識者会議」において検討することとしてはどうかとの御意見をいただいたため、当該有識者会議において2回にわたり御議論をいただいたところでございます。その結果、10月10日に開催された第2回有識者会議において、資料1にお示ししているような形でとりまとめをされました。
本日は、この有識者会議においてとりまとめをされたこの件につきまして、皆様の御意見をいただきたいと思っております。
それでは、資料1について御説明をさせていただきます。
まず、「対応方針」でございますけれども、
難病患者データベース(以下「難病DB」という。)及び小児慢性特定疾病児童等データベース(以下「小慢DB」という。)をNDBと連結することにより、治療法及び処方と患者の症状の関連を分析することが可能となり、新薬の開発や治療法の確立につながる可能性がある。
また、介護DBとの連結により、早期の積極的な介入の有用性等を難病患者の症状から評価することで、症状軽減につながる可能性がある。
一方で、難病DB及び小慢DBを他のDBに連結させるに当たっては、それぞれのDBの目的及び扱う情報の違いに十分配慮するとともに、未だ難病DBと小慢DBが連結されていないことに留意する必要がある。また、難病の希少性に鑑み、個人情報保護や情報セキュリティの観点からも、連結のあり方を慎重に検討する必要がある。
そのため、今後、難病法・児童福祉法の見直しの検討を行う際に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会と社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会との合同委員会において、まずは難病DB及び小慢DBの連結の具体的な方法等を整理した上で、両DBをNDB、介護DBに連結解析することについて検討することとしてはどうか。
とさせていただいております。
2番の「個別の論点」でございますが、四角に書いてある内容が保険局の有識者会議のほうでまとめてほしいと言われている内容になっております。
まず1つは、NDB、介護DBとの連結解析の具体的なニーズについて、関係者間で共有されていること。この具体的なニーズについては、以下のとおりと考えられます。
【NDBとの連結におけるニーズ】
○難病患者の症状軽減と関連する本来の適応とは異なる処方(例:ある種の降圧薬がある難病の症状軽減と関連する等)について分析が可能となり、既存薬の適応拡大及び難病に関連した新規創薬が行われる可能性がある。
○各指定難病に対する早期の積極的な介入の有用性等について評価することが可能となり、効果的な治療法の確立につながる可能性がある。
【介護DBとの連結におけるニーズ】
○早期の積極的な介入の有用性等を難病患者の症状から評価することで、症状軽減につながる可能性がある。
【NDB・介護DBの両方との連結におけるニーズ】
○患者の受けている医療及び福祉の全体像の把握(医療費は低いが介護負担が重い等)が可能となり、患者が抱える問題をより俯瞰的に把握できる可能性がある。
○長期の療養を要する難病患者に対して早期の積極的な治療介入等を行うことで、要介護認定にどのような影響があるか検証することができる可能性がある。
とニーズのほうはまとめさせていただきました。
(2)収集・利用目的が法令等で明確に定められ、連結解析の根拠についても位置づけることが可能であること
(3)第三者提供の枠組みが法令等で定められ、連結解析に係る第三者提供の根拠についても位置付けることが可能であること
を保険局からは求められております。これにつきましては、
○難病DB及び小慢DBにおける収集・利用目的・第三者提供の枠組み等について、現状、法令では定めてはおらず、「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」及び「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」にて利用目的等を定めている。
○難病DB及び小慢DBについては、患者の同意に基づき情報提供を受けているが、現在のところ、他のDBとの連結解析については明示的に同意を得ていない。
○NDB及び介護DBに登録された情報を難病及び小慢に関する調査研究に利活用するに当たっては、難病法に基づく難病DB及び児童福祉法に基づく小慢DBの目的とNDB、介護DB等のDBの目的との整合性を留意し、提供先の範囲や研究目的について、慎重に検討する必要がある。
○難病DB及び小慢DBで保有する情報は、希少な疾病に関するものであり、遺伝子検査の内容や家族歴など、患者本人以外にも家族に影響を与える情報も含まれている。そのため、個人が特定されるリスクに配慮した厳正な運用を確保することが必要である。
とさせていただいております。
続きまして、
(4)NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること(共通の識別子の生成に必要な情報が収集されていること、システム面の対応が可能であること等)
こちらについては、
○指定難病及び小児慢性特定疾患については、患者数が少ないため、個々の確実な連結が必要不可欠であり、氏名・生年月日等の情報による結合ではなく、確実に結合できる識別子により連結解析を行うことが必要である。
○他のDBとの連結を前提としていないため、連結へ向けて必要な項目を取得するなど、個票等の様式の変更等を検討する必要がある。
とまとめさせていただきました。
こちら、有識者会議においてまとめた資料につきまして御意見をいただければと思います。
資料については以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースにおけるNDB、介護DBとの連結解析への対応についてということで、有識者会議で今の時点でとりまとめられたところをお話をいただきました。これは、その有識者会議の内容といいますか、出されたものを本会で検討するということになっておりましたので、ここで御意見をいただきたいということであります。
全体的に見ていただきまして、何か。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
前回までの議論では、データベースの統合については、当面の課題と中長期的な課題の2つに分けてやろうと。当面の課題についてはお互いに共通の認識を得たと思いますが、中長期的な課題については、保険局から指摘されての動きだとは思いますが、データベースを早く統一化して、新薬の開発とか治療の開発につながることはいいことだと思いますけれども、石川先生も常々言っているように、希少疾患の個人情報の保護とかその辺がおろそかにならないような仕組みをしっかりつくっていかなければいけないということ、その辺をここの委員会ではしっかり提言していくべきだろうなと思います。
基本的な方針は、僕は賛成です。
○千葉委員長 まず厚労省のほう、いかがですか。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございました。保険局から言われてという御指摘、ごもっともかなとは思うのですが、一方で、今、厚労省の中、それから省を超えても、ビッグデータの活用ということは議論が進んでいる中で、この難病のデータベースについても、やはり基本方針にあるように、患者様の治療法の開発などにつながるよいデータベースにしていきたいと事務局も考えておりまして、今回、かなり、今まで中長期的と整理されていた部分をこのような形でお諮りすることになったことについては御理解いただければと思います。
ただ、「対応方針」にもございますように、今すぐにというものではなくて、まずは、この難病法、児童福祉法の見直しの検討を行う際にしっかりこの合同委員会において整理した上で今後の検討を決めていくというふうに明示はさせていただいておりまして、今すぐにこの連結というのが技術的にも難しいということは、こちらの委員会の全体の意見としてお伝えさせていただきたいと、そういう趣旨の紙になっております。
細かな内容について修正するべき点がございましたら御指摘をいただければと思います。
○千葉委員長 今の点に関連して、どうぞ。
○五十嵐委員長 羽鳥先生の御心配はもっともでして、この有識者会議でも全く同じ議論が十分になされました。特に小慢の患者さんのように、患者さんの数が日本全体で10例以下のような場合には、特にプライバシーには相当な注意をして利用する方向性を考えていこうという議論が出ました。それから、データの提供先につきましても、とりあえずは研究者、あるいは国から資金を得ている研究班を中心に提示することとしています。将来的にはわかりませんけれども、しばらくは製薬会社等に出すことはしないでいこうという意見もございました。この有識者会議でも羽鳥先生と同じ心配がされており、それに対して議論がされました。このまとめには示されておりませんが、そのような経緯があったことを御報告させていただきます。
○賀藤委員 済みません。僕は介護DBというのはよくわからないのでちょっと教えていただきたいのですが、介護DBと小慢DBとつなげるメリットはどこにあるのでしょうか。というか、介護と言われても、小児の介護をしている人いますが、成人、いわゆる老人期の介護とは社会的条件もいわゆる福祉的なものも全く別条件でされているところがあって、この介護DBがここにぽんと出てきて、小慢と言われてもちょっと違和感があるので、ちょっと僕の基礎知識が足りないかと思いますが、ちょっとお教えいただきたいのです。
○田中課長補佐 その辺について、有識者会議の中でも小慢と結びつけるメリットについてというような御議論、少しあったかと思うのですけれども、確かに、対象となる患者さん、大きく現状では違うのですけれども、小慢においても、かなり長期予後がよくなってきている中で、長期的に見て、その患者様たちの福祉的なニーズとかそういったものを拾い上げられる可能性はあると。ただ、具体的に何かこういう研究が進むのではないかというようなところまで、申しわけありません、今お答えするのはちょっと難しいのですが。
○賀藤委員 というのは、これは厚労省の研究班の研究でもあるのですけれども、いわゆる病的ケア児の親御さんがどこに相談しているかというと、介護ステーションに相談しているのは半分以上もありません。ないはずです。そこ、データベースだったはずです。
○石川委員 それは私はちょっと大きな誤解だと思うのですね。というのは、今、リハビリテーションだとかそういうものの進歩は著しくて、こういう障害を持っているとこういうリハビリテーション受けると、例えば介護の分野でも要介護度が進まないで、維持あるいは改善するということは幾らでもあるわけですね。だから、例えば肢体不自由のお子さんだとかそういった方が、こういうリハビリテーション、これからリハビリテーションもっと進むと思いますけれども、介護DBというのは、基本的にはレセプトと、それから要介護度ということで、この2つでやるのが介護DBですけれども、いろんな形でリハビリテーション入ってきますので。
それから福祉用具についても、一時的には福祉用具は余りデータベースに乗せないという方向があったのですけれども、私なんかの意見では、それを乗せるべきだということで変わってきているのです。福祉用具の利用がどのように肢体不自由だとかそういう障害を持っている方にとって生活ADLが改善するかということもデータベースで出てくるのですよ。
○賀藤委員 多分、見ているデータベースが違うのだろうと思います。僕の言ったのは、厚労省のいわゆる病的ケア児の研究班のデータでは、どこに相談していますかというデータとすると、介護というステーションには出ていなかったということがあります。
○石川委員 ですから、介護DBと、いろんな難病だとか、私なんか、難病の連結というのが出たときに、最もそれを最初に想起しました。つまり、介護DBは悉皆性があるデータベースで、これと結びつけるのはすごく難しいのですけれども、すぐにはできないと思いますが、しかし、難病の方が、障害を持っている方がどうやってその介護DBと結びつけて、リハビリテーションのデータ、福祉用具のデータ、そういったものと結びつけて、よくなっているとかそういったことについて、僕はデータ出てくると思うのですね。それをちょっと考えて、僕なんか、連結については大いに結構ではないかなと思いました。
○賀藤委員 まだ時間がかかる、ここ数年でいろいろ変わっていけばいいのですけれども、今の現状ではどうかなあと。
○千葉委員長 どうぞ。
○竹内委員 成人の立場で、難病DBとこのNDB、あるいは介護DBを結びつけることは、個人情報保護は図らなければいけませんけれども、今、データがあって、それを連結しないと、非常に重要な情報をそのまま見捨てることになります。今困っていらっしゃる患者さん、治療法のない患者さんに何とかしてあげたいという立場からすれば、個人情報保護には適切に対応した上で、データを結合するということは一刻も待っていられない、中長期という時間的余裕すらないのではないかなと思います。
○千葉委員長 恐らく、賀藤先生、その点については反対されているわけではないと理解しましたけれども。
○賀藤委員 全然反対していないです。
○千葉委員長 テクニカルなところということですね。
○賀藤委員 現状はある程度改善しないと。僕は小児科医ですが、議論でいつも子供が置き去りにされてくるのです。いつもそうです。
○竹内委員 成人でもそういう方がたくさんいらっしゃいます。
○千葉委員長 私も、非常に詳しくは知らないのですけれども、恐らく介護と小慢という関係と、介護と難病とで少し現時点では温度差もあるのかなあと。したがって、ここでもうたわれていますけれども、まず、小慢と指定難病のデータベースの突き合わせが必要であるということが報告のところでもうたわれていましたけれども、そこも考えながらということではないかと私も理解したのですけれども、厚労省のほう。
○田中課長補佐 介護DBの中には65歳以上の要介護認定に合わせてデータが入っているのに加えて、40歳以上の特定疾病のデータも入っているので、40歳というと、その小慢の患者様、20歳までのデータがございますので、もう少し長期的な予後が、60歳までというとかなり先な感じがしますけれども、実は40歳以上の特定疾病のデータは入っているので、少しそういったものに活用できるのではないかと。今、御指摘のありました福祉の状況などについて確認できる道が可能性があるのではないかということで御提案をさせていただきました。
賀藤先生の御意見、こちらのほうでも十分に検討させていただいて、前向きに皆様から御意見をいただいたと感じてはおります。
○千葉委員長 ほかのところで、どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。
個人情報の保護を踏まえながら、データをどのようなところに提供するかというのは、審査会をつくることが決まっていたと思うのですが、ここのところの議論は今後どうなっていくのでしょうか。例えば介護DBのことに関しては、先ほど賀藤先生からご意見があったように、私自身も詳しくないので、その審査会にそういう人がいなければ判断できませんし、審査会のあり方というのもどうあるべきかというのはしっかり議論していかなければいけないなと思っています。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございます。審査会については、現在、先ほどからお話ございました有識者会議において、今後審査会を設置して、まずは当面の利活用の審査基準を審査していただくというふうになります。このNDB、介護DBとの連結については、まだまだ、連結するかも含めて、まずはこちらの合同委員会で十分議論を経た上で進めていく話と。そのときにまず御議論いただくことになると思いますが、NDB、介護DBも、全て審査会、有識者会議を通して提供の可否については議論させていただいているところでございますので、同様のスキームはこの難病においても当然行われるべきと考えています。
まずは、この審査会は当面の利活用ということなので、介護のデータベースについて詳しい先生方にお入りいただくかどうかということはもう少し先のところかなと思いますが、いただいた意見を踏まえて、今後の長期的な方向性の中に認識を入れたいと思います。
○千葉委員長 今の御意見と最初の羽鳥委員の御意見をお聞きしていますと、今回、有識者会議での検討結果の報告ということでありますが、これは、ある意味、途中経過であって、これがファイナルな報告ではないということで、有識者会議はまだこの後も続くということですよね。したがって、途中経過の報告という理解ということでよろしいですね。
○田中課長補佐 有識者会議は引き続き、現在、審査の基準や審査会のあり方等について御議論をいただいているところでございます。一方で、このNDBとの連結の対応について、今後の方針について、我々としては、御説明させていただいた医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議に、我々、この難病と小慢のデータベースの連結については意見をちょっと申し上げたいと思っておりまして、このデータベースとの連結解析への対応については今回とりまとめを行っていただき、まずは保険局にこのデータベースの連結解析について、一旦の回答はさせていただきたいと。
○千葉委員長 そういう趣旨だということで御理解いただいたらと。私の理解でも、審査会の開催については、その有識者会議で今後も議論されていくと理解しております。
どうぞ。
○小幡委員 方向性は私も当然だと思うのですけれども、NDB、介護DBに連結させないという、ここだけ独立させるということはむしろ有用ではないと思うので、考えるべきことは、どのようにすれば一番リスクが少ない、つまり、難病と小慢という特殊性に鑑みて、より個人情報保護との観点でリスクの少ないやり方を考えなければいけないのではないかと、そういう感じだと思うのですが、ちょっと1点だけ。この有識者会議の、資料1の最後の(4)のところですが、1つ目の○、「患者数が少ないため、個々の確実な連結が必要不可欠であり」、ちょっと済みません、技術的にわかりにくいのですが、非常に患者数が少ないので、ちょっと個人情報保護やっていると心配なのは、連結のさせ方というか、情報の出し方をかなり注意しないといけないという、そっちの方向の話が出てくるはずだなと思うのですが、ちょっとここらあたりの趣旨がわかりにくいなというところがございます。
○千葉委員長 どうぞ。
○田中課長補佐 こちら、技術的に連結させることが可能かということを保険局のほうから回答をちょっと求められている部分がございまして、この患者数が少ないために個々の確実な連結が必要不可欠というのは、例えばお名前や生年月日、それから、例えば出生地などで連結をした場合に、一つの難病や小慢のデータに幾つか、例えばそれだけの要素では、もしかして間違ったデータがNDBなり介護DBのデータがくっついてしまう可能性というのが否定はできないだろうと。
そうなると、例えば10や20というようなすごく数の少ないデータベースの情報に間違ったレセプトの情報がくっついてしまうと、例えば薬の効果とかリハビリの効果などを判定するのに非常にデータが不正確になるだろうというような意味で、こちらの連結が必要不可欠と書いてございます。これは公表するときの何か手法について書いているのではなくて、技術的に連結が、今、正確に連結することが可能なシステムかという点だけについてちょっと回答は書いているところですが。
○小幡委員 書き方の問題、技術的な話だろうと思いますけれども、表現がちょっと誤解を招きやすいかなと。
○田中課長補佐 書き方についてはまた改めさせていただきます。
○千葉委員長 そうですね。ここは非常に重要なポイントで、患者数が少ないがゆえに個人が特定できないということをしっかり考えていくと同時に、逆にそういうしっかりした連結が必要であるという、裏腹ですけれども、そこの両方をしっかりと記述していただくことが重要かなと思いますね。ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○石川委員 元来、NDBと介護DBというのは、出てくる、発出して、そのハッシュ関数というのは2回かけて、データベースの段階では個人になかなか戻れないということになっているのですね。しかし、難病だとか小慢の場合には、申請書がそのままデータベースという形になっているわけですね。ですから、そこでは、ラベルといいますか、要するに整理番号ということについては、名前だとかそういったものが直結するような形でデータベース入っていると思うのです。そうすると、このNDBと介護DBというのは、言ってみると悉皆性があって、患者さんとかそういった方の承諾なくデータベースで集めているということなのですね。
ただ、こっちは、申請書、いきなりデータベースになる可能性があって、データベースになりますよとかいうことをちゃんとお聞きしないとそっちにならない、悉皆性でないわけですね。それで、先ほど言ったように、こっちのNDBだとか介護DBというのは氏名だとかそういったものがわからないような形になっていて、こちらははっきりとわかるというところで、データベースの性質が全く違うので、連結するのはすごく難しい。だから、この(4)というのが出てきて、技術的にはまだ難しいと。
ここで最初の○で書いてあるのは、確実な識別子というのは、私たち前から言っているような、本当に唯一無二の、要するに国民の一人一人にある医療等IDみたいなものがないと、これは確実に結びつかないということ、そういう意味に解釈しています。ですから、これはなかなかまだまだ難しいかなと思っています。
○千葉委員長 今おっしゃられた点がまさに、難病と小慢のデータベースと、介護、NDBのデータベースとの大きな違いということでしょうね。一方では個人の名前がはっきりわかる形で出されてきていて、同意書も出されている。一方は同意書とかそういうことなしにデータベース化されているという大きな違いがありますので、そこをどうしていくかというのは恐らくこの中の非常に大きな課題だと思いますね。ほかはよろしいですか。
最初に御意見いただきました点については、やはり私も、今回差し当たってということでありますけれども、大きくは当面の課題とその見直しの最終段階での課題というものについては、連動していますけれども、ある意味でちょっと分けて考えていくことも必要かなあと思っていまして、余り慌て過ぎてはいけないけれども、ここの難病と小慢の有識者会議が始まって、ナショナルデータベースと介護DBの有識者会議が一方であって、そこがお互いに話し合いといいますか、通じ合っていないとうまくいきませんので、そこを推進するという意味においてきょうのお話をお認めいただいたらよろしいのかなと考えますが、大筋として認めていただくということでよろしいですね。
(「はい」と声あり)
○千葉委員長 ありがとうございました。
それでは、続いて議事の(2)の「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究について」に入りたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いします。
○田中課長補佐 それでは、「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究について」御説明させていただきます。まず、本議事を御議論いただくに至った経緯について御説明をさせていただきたいと思います。
参考資料2-1をごらんください。こちらに過去の平成30年3月2日の合同委員会における主な御意見という、合同委員会の過去の資料を参考資料としてつけさせていただいております。
この中で、委員より「指定難病患者データベースに登録するデータについて、その信頼性を担保するための方策を検討するべきではないか。」との御意見をいただきました。これは、医療費助成と重症度、それから診断基準というものが結びついているために、このデータについて少し信頼性が落ちるのではないかという御意見をいただいたために、検討が必要な事項として事務局がまとめさせていただいた内容になっております。
こうした御意見を踏まえて、指定難病患者データベースの信頼性等について検討をすべく、厚生労働省難治性疾患政策研究事業の指定研究班「指定難病の普及・啓発に向けた統合研究」において、この指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究をぜひ実施させていただきたいと事務局としては考えております。今回、その研究について御議論をいただき、この研究を進めさせていただければということでお諮りをさせていただきたいと。
まず、資料2-1をごらんください。「指定難病患者データベースの信頼性・有用性に関する研究(仮)について(案)」とさせていただきました。これは今申し上げた背景がありまして、研究の目的等について、この後御説明させていただきます。
まず、この「研究の目的」は、指定難病患者データベースの信頼性の検証と、研究利用における経年データの有用性に関する検証、また副次的な目的として、レジストリとの連結・解析による研究的付加価値の創出に関する検証が可能と考えております。
経年データについては、小児慢性特定疾病の同意書のほうには、中にこの経年データが取得される旨書いてあるのですけれども、難病のほうには経年データを追うだけの同意書が今整っていないと。これについては早急に整えるべきという御意見をこの合同委員会でいただいておりまして、この経年データがどれぐらい有用かということもぜひ検証させていただきたいと思っています。
また、「研究対象」については、以下2つのレジストリに登録されているものであり、平成27~平成29年における指定難病患者データベースに登録されている者のうち、当該研究への協力に関する同意が得られた者のデータを解析対象として、指定難病患者データベース及び当該レジストリの連結・解析を通じ「1.目的」に記載した検証を行うこととしたいと。
対象となる研究班について、1ページおめくりいただきたいのですが、対象疾患としては、HTLV-1関連脊髄症とウェルナー症候群を対象とさせていただきたいと思います。この2つのレジストリについては、既に研究者の先生方が研究班の中でしっかりしたレジストリをお持ちであると。このレジストリに登録されている患者様で、同意を得られた患者様から、指定難病患者データベースに入っているデータと突合させるという同意を得た上で、登録されている項目の比較、それから、照らし合わせて信頼性の検証等を行わせていただきたいと考えております。
それについて「研究方法」が3.のほうに書いておりますが、まずは、厚生労働省の指定難病データベースに登録されているデータを当該研究班が取得することと、指定難病患者データベースから得られたデータとレジストリに登録されているデータを用いて解析を行うこと。同意についてはいつでも撤回が可能なこと。ただし、データを既に解析している場合や、研究成果を既に公開している場合等においては、必ずしもデータを削除できない可能性があることについて、まず同意を得る。
その上で、対象者から、当該研究への同意を得た後、研究班は指定難病患者データベースに登録されている当該患者の情報とHAMねっと及びウェルナー症候群レジストリに登録されている当該患者の情報について指定難病患者データベース及び各レジストリを管理する主体から提供を受ける。
HAMネットの連結解析は聖マリアンナ医科大学において、ウェルナー症候群レジストリとの連結解析についは千葉大学において行う。
解析する項目は、生年月日、性別、出生地、日常生活動作、生活の質、家族歴、発症年月、社会保障、生活状況、主要所見、検査所見、症状の概要、発症と経過、治療、重症度分類に関する事項などについて検討を行うとさせていただいております。
実際には、難病のデータベースとこの研究班が持っているデータベースで取得している項目が全てにおいて一致しているわけではないので、同じ項目でその信頼性を比べられるというものはそんなに数多くないのですが、一方で、ADLや検査所見、主要所見などについては、その信頼性を確認するだけの項目があるということで、こちらの2つについて、まずは行わせていただきたいと考えております。
資料2-2に、今、御説明したイメージが書いてございます。ちょっと資料が大きくてびっくりするかもしれないですが、イメージとしてこちらのポンチ絵を用意させていただいております。
また、資料2-3にこの研究への協力についての同意書の(案)も添付させていただいております。
まず、こちらの同意書は、指定難病患者データベースのデータを研究に活用しますという厚生労働大臣宛ての同意書になっております。
こちら、1枚おめくりいただきますと、同意の撤回についても、同意の撤回書(案)もあわせて御提示させていただきたいと思います。
一方で、研究者の先生方の持っているデータベースの提供の同意書については、参考資料2-2。こちらは研究の同意説明文書(案)ということで、患者様にこの研究についてわかりやすく説明した資料になっております。
ここの最後の5ページになりますが、まず、研究への協力の同意書、それから同意の撤回書等のひな型が添付されておりまして、2つの同意書に御記入をいただいた患者様のデータについて解析をするというようなデザインにさせていただいております。
現在、有識者会議において、このデータの第三者提供ということについて御議論いただいている中では、安全管理の基準、それから、公表の方法などについて十分に注意をするべきという御議論がなされているところでございまして、本研究の結果の公表については、有識者会議において今議論していただいているところなので、この議論を踏まえた上で改めて、この結果の公表などについては両委員長に御相談をさせていただきたいと思っております。
また、データの管理については、現状、NDBガイドラインに準じる基準を必要な安全管理の基準とさせていただきたいと思っておりまして、必要に応じて厚生労働省から解析する両大学への監査も行うこととさせていただきたいと思っております。
資料の説明は以上になります。
○千葉委員長 ありがとうございました。このような研究を展開させたいというところで、研究班を立ち上げるに当たって皆さんから御意見をいただきたいということです。
今、データベースの連結という話をしておりますけれども、そもそもデータベースの質がもう一つよくないと、いろいろ議論したところでほとんど意味がないわけでありまして、一方でそれぞれのデータベースを充実させていくというのは極めて重要というところで、難病のデータベースというものの充実を図るという目的で、既にある研究班、特に2つの研究班では、患者さんの把握といいますか、しっかりとしたそれぞれの班におけるデータベースというのが構築されているので、それと難病のデータベースとを比較することでいろいろ問題点とかそういうものが抽出されてくるであろうということで、こういう研究班を立ち上げたという御趣旨だと思います。基本的にそれでよろしいですね。
○田中課長補佐 さようでございます。御存じのとおり、今、指定難病、331ございまして、そのうちのわずか2つで、本当にさまざまな病気が入っている中で、この2つだけをやる意味というのを御説明するのはなかなか難しいのですが、一方で、この信頼性の検証についてはきちっとした上で今後のデータベースの議論をしたいという事務局の思いでございます。本当にしっかりした信頼性がこうだという結果が出るかどうかは、やってみないとわからない部分もあるとは思うのですが、ただ、この委員会でいただいたデータの信頼性に疑問があるという御意見にぜひお応えしていきたいというところでございます。
○千葉委員長 比較としては、やはりしっかりしたデータがあるものと難病データベースを比較することで難病データベースがどのようなものなのか見られるというのは非常に理にかなっていると思いますので、というところで。
それともう一つ、質問ですが、したがって、この同意書というのは、難病のほうの患者さんに対して同意を得るということですが、実際、これはもう既にデータベースとして入っておられる患者さんにもう一度こういう同意書を得ると、そういうことですね。
○田中課長補佐 さようでございます。臨床研究をする際には、指定医を介して再度同意をとることがあるということは、今の同意書の中に明示してございます。今回は、指定医を介して再同意をとるという方法ではなく、このレジストリの担当をしている研究者の先生から再同意をとるということで、若干指定医を介さない点は異なるのですが、一方で、臨床研究においては、そういった再同意をとるということは同意の中で読み込めるだろうと我々のほうでは判断しているところでございます。
○千葉委員長 そういうことであります。この点について。
どうぞ。
○本間委員 事務局に伺いたいのですが、いわば実験的にこの2つの疾病についてデータベースの利活用をやってみようということですが、この研究成果といいますか、利活用の成果について、時期的なめどというのがあったら教えていただきたい。何年後とかですね。それから、その研究の成果が、こういう点がうまくいった、こういう点がうまくいかなかった、主にこれはこの研究内容そのものよりも、このデータベースの利活用に関して、こういう点は割とスムーズにいったとかいかなかったとか、そういうのを含めた御報告といいますか、そういうのも我々も知りたいので、後々参考になるわけですからね。その辺の2つについては、何かめどみたいなものがあったら教えていただきたいのですが。
○田中課長補佐 まず、この研究について、各倫理委員会を各病院等で通していただく必要がございます。それには2~3カ月かかるのではないかと。それ以降、患者様から再同意をとるというプロセスがあって、早ければ春ぐらいには一定のデータがまとまればと思っているところでございます。
こちらの研究については、今年度研究をしていただくということで研究班にお願いしておりますので、今、難治性疾患政策研究事業、年度のその研究報告書については、3月31日までの研究成果を大体5月の下旬ぐらいにまとめて報告書を御提出いただいておりますので、大体それぐらいまでには結果をお出しいただき、こちらの公表についてもやはり御議論をいただく必要があると思っておりますので、こちらの委員会で御報告する場を設けさせていただきたいと思っております。
○千葉委員長 今年度の研究としてやるということですね。
○田中課長補佐 さようでございます。
○千葉委員長 結構急がないといけない。しばしば厚労省の研究班への依頼は急に起こることが多いのですけれども。
どうぞ。
○石川委員 このときも、私、見たと思うのですけれども、データベースの信頼性ということについては、例えば患者さんのその状態、病状だとかそういったものだけでなくて、経済的な観点だとかそういったものもあって、要するに申請書みたいなものが出ていて、それでデータベースは本当に信頼できるのかという御意見だったように思えるのです。誤解があったらちょっと言っていただきたいと思いますけれども、もしそうだとしたら、この2つで果たしてそういったことが追求できるかどうかということですね。
私は小児科医でございますし、第一線でやってきて一番大きかったことは、例えば小児喘息というのが小慢であって、それがすごく数が多いために、一定、かなり条件が厳しくなったということがございました。そのときに、申請をする、しないということについてはいろんな思惑が入ってきまして、医療経済的な思惑ですね。つまり、今までも出ていましたけれども、小さい子供についてはいろんな助成が、乳幼児助成があるので申請しないとか、そういったこともありましたし、それから、この子はすごくお金がかかる内容なのでということで、とにかく申請はしたほうがいいということで申請という形になったりということもあったと思うのですね。難病のところではどうなのかということは私はよくわからないのですけれども、そういったこのデータベースの信頼性というふうに私は御意見をちょっと聞いたのですけれども、これはどうでしょうか。
○田中課長補佐 難病については、小慢と医療費助成のための基準というか、認定の基準というのが少し難病のほうが厳しくなっておりまして、重症度分類が全ての疾患に入っているということ、それから診断基準も、小児慢性特定疾病に比べて少し厳しくなっているというところはございます。特に重症度については、毎年確認をした上で申請していただくのですが、この委員会の中では、その重症度の判定について、やはり少し緩くなっているのではないかという御意見だったと記憶しております。
その際には、特に経済的な状況について、患者様の特殊な状況みたいなことについては言及はなかったのかなと。ただ、医療費助成を受けられるか受けられないかというその観点からというふうには認識はしているところでございますが。ただ、例えば基準もさまざま、疾患の特異性に勘案して重症度分類などは今作成されているところなので、疾患によっても大分基準が異なるというのが現状でございます。
その中で、本当に検査のデータとかそういったものと比べたときに、その基準がある程度妥当なものなのかということを検証したいと。ただ、同じ項目がそのまま入っているわけではないので、若干確実に比べられないものというのもあるとは思いますが、その点は勘案した上での結果ということはちょっと御理解いただきながら説明させていただければと思います。
○千葉委員長 その点については、指定難病のほうは、経済的なというよりは、軽症、重症で分けられてしまうというところで常に議論になっていたのは、軽症患者さんのデータがもうとれないのではないかということだったのですね。それについても、このような2疾患を代表的に検討することで、きちっととれているものに対して、指定難病のデータベースがどの程度のものかというところで、恐らくその要素も多少結果としては出てくるのではないか。それはそれで違いというところが明らかになればよろしいかなあとは思いますけれどもね。
福永先生。
○福永副委員長 ちょっと具体的な話になるのですけれども、指定難病の臨個票の作成にこの両研究班の代表者はかかわっていたのかということと、もう一つは、各研究班のいわゆる調査票というのがあるわけでしょうけれども、それと指定難病の調査票との整合性というか、具体的にはかなり同じような情報というか、一緒になるようなのがあるのか、あるいは、全く違うということはないでしょうけれども、そのあたりはわかっているのでしょうか。
○田中課長補佐 ある程度は、例えば検査の所見などについては、同じような内容のものが含まれているということは確認できているのですが、一方で、御存じのとおり、重症度分類については、難病は症状が変化するということを勘案して、ここ半年のうちで一番データの悪いときを入力、もしくは重症度基準の判定に用いてよいと現在の臨床調査個人票はなっております。
なので、そこについて、同じ時期の検査データを比べられるかというと、半年のうちで一番悪いときのデータがいつなのかということが臨床調査個人票の中には明記がないというところはございます。なので、申請日のデータではなくて、例えば半年前のデータである可能性とかそういったところは、現在の臨床調査個人票では限界があるということをわかった上で、比較できる項目があるということは確認をしています。
御指摘のあった、この研究班の研究者が臨個票の作成にかかわったかということについては、後日確認させていただいて、改めてお答えをさせていただければと思います。
○千葉委員長 恐らく同じ研究班なのでかかわっておられるのではないかと思いますけれども、私も確実なことは言えませんので。
どうぞ。
○羽鳥委員 ありがとうございます。
特に指定難病の場合には、今やっている調査が横断的であると。経年データがとれないということですけれども、例えばこの聖マリから出ているHAMねっとのほうの話の参考資料2-2を見ますと、そのデータベースの構造が明らかになっていないですよね。また今回も同じように横断研究するだけだったら余り意味がないだろうなと思うのです。経年的なデータがちゃんととれるのかどうか、その辺のデータベース構造を示してほしいなと思いますけれども、この同意説明文書の中では特に書かれていないような気がします。
それから、この6ページにありますけれども、事務局とか研究組織代表、研究分担者、それから個人情報管理が全部聖マリですけれども、こういう仕組みでいいのか。COIとか、いろいろ、もうちょっと複数の機関が関与するほうがいいという場合もあるのではないか。お互いにチェックするという意味も含めて、いかがでしょうか?それから、先ほど、悉皆性のある全てのデータがとれるならいいですけれども、そうではないと。そうすると、任意のデータ提出になると意味のある研究になるのかどうか。要するに、1万のデータがあったら、そのうち100を取り出すのだったら、100分の1が抽出が適切なのか、適切な抽出になっているのかどうか、それをどうやって担保するとか、何かもうちょっと工夫があるのでしょうけれども、お示しいただけたらと思います。
以上です。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございます。まず、経年的データについては、こちらの2つのデータベースを我々のほうで今回研究の対象とさせていただいた背景には、毎年データを更新しているというデータベースになっておりまして、この両データベースについては経年的データが既に入っていると。今回、「研究の目的」にもございますが、経年データの有用性についてもあわせて検証するということで、こちらと難病のデータベースをつなぐことで、わずか、こちらから御提供できるのが3年ですが、そういったところの有用性についても一緒に検討できると考えているところでございます。
もう一点、今のこのデータベースがどうなっているかということについてはもう少し説明を加えていただくように、私どものほうでも研究者のほうに御依頼をさせていただきたいと思います。
それから、聖マリアンナの先生方のみの研究組織という御指摘をいただいているのですけれども、実際には、HAMねっとというのを管理している事務局が聖マリアンナにあるだけで、研究分担者の先生方は医療機関としては幾つかに分かれていると。ウェルナーについては、千葉大がこの研究の事務局は担うということになっていますが、17の医療機関で共同にデータを集めるような形になっているとは聞いています。
この研究組織自体は研究事務局の中を書いているのかなと思いますが、そこについてはもう一度確認させていただきたいと思います。
あとは、適切な抽出かどうかというところですけれども、やはり再同意をとれないとこの研究が進められないというのが大前提にございまして、その患者の抽出方法は、まず再同意がとれた上で考えていかないといけないのかなと思いますが、そもそも、我々の資料2-1の2枚目に対象のレジストリとある中で、このレジストリの登録患者数が、HAMねっとについては545名、難病の受給者数、これが平成28年ですが、739名と。この中から再同意をとれる数というような形になっておりまして、実際にはその抽出の条件を厳しくするというよりは、まず再同意をとれた方から比較するというのが適切かなとは思っています。
また、ウェルナーについては、そもそもの受給者証の保持者が71名、レジストリの登録者の数が31名ということで、実際にどれぐらいの患者様で比較できるかというのは、かなり数が少ないお話になるかなあと感じているところではございます。
○千葉委員長 この研究代表者の方というのは、私は、この指定、HAMならHAMの指定難病の班長さんもしくは班員の方と理解していたのですけれども、そういうことですね。
○田中課長補佐 さようでございます。
○千葉委員長 したがって、今回の研究班については、当然、この疾患の指定難病の研究班とタイトに結びついてなされるという理解ですよね。
○田中課長補佐 さようでございます。研究自体のまとめは指定班、こちらに名前のある指定難病の普及啓発に向けた統合研究の中でやっていただくということになっておりまして、HAMねっととウェルナー症候群の研究者の先生には、研究協力者という形でこの研究に御参画をいただくという研究班のたてつけになっています。
○千葉委員長 確かに、御指摘にあったように、同じ大学、同じ施設の方ばかりの名前が表に出てくると若干の誤解を生んだりする可能性もありますので、できれば研究班全体でやる仕事であるというか、研究であるというあたりがわかるようにしていただくとよろしいかなあとは思いますね。
ほか、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
患者としましては、やはり研究が治療開発に進むということは非常に願っていることだと思いますし、また、個人情報等も非常にしっかりとやっていかないと、希少なゆえに特に心配なところがあるのですけれども、このデータベースの信頼性については、このデータベース自体が医療費助成と直結しているというところに、非常に課題が大きいために出てきた話だと思います。
この患者レジストリというのは、先ほどからもお話が出ていますように、その疾病の特色に合わせたり、その研究の内容によって項目というものが定められているだろうと思うのですが、日常生活の状態というのをしっかりと十分に反映されているものだとすれば、項目の比較は、先ほどおっしゃったように違いがあってなかなか難しいかとは思いますけれども、そのあたり、非常に丁寧に比較をしていただき、臨個票の項目自体がこの患者の日常生活の状況を反映できているものなのかどうかという、そのような観点からの検証というものもこの研究によって行っていただけるといいなと思います。
患者自体の状況が臨個票の中でしっかりと評価できるものになっていないと、重症度分類にもかかわってしまっていますので、その点も検証いただけるといいなと思いますし、あと、この同意書ですけれども、患者が改めて説明されて同意をするというところに非常にハードルも高いところだと思いますので、患者にとってわかりやすく、丁寧な説明の上で同意をとっていただきたいなと思います。
ほかになかなか検証するところがないかと思いますので、ぜひ丁寧に早くこういう結果が出てくるといいかなと思っております。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
最後のところは、この2疾患とも比較的希少疾患ですので、せめて半分ぐらいの患者さんには御同意をいただきたいなと思うし、そうでないとちゃんとした比較にならないのではないかなと懸念しますので、大事なポイントだと思います。よろしくお願いします。ほか、いかがですか。
どうぞ。
○竹内委員 今の森さんの意見と関係した質問ですが、患者さんの同意書を拝見していて、特にこのHAMねっとのところは、ADL、QOL調査が含まれていますのでかなり質の高い情報が得られるのかなと思いました。このレジストリは、例えば統合した場合に、もう少しこういうところのデータが欲しいとなった場合に、レジストリ内で二次調査ができるような、そういう仕組みのレジストリなのでしょうか。例えば今まではデータがなかったのだけれども、その研究者にリクエストすればそのデータが出てくるような、そういうレジストリでしょうか。
○田中課長補佐 ちょっとそれは、我々、少なくとも難病データベースはそのようになっていないのですが、向こうの研究班のほうには確認をさせていただいて、改めてと思いますが、ただ、一方で、研究の倫理審査を通っている内容なので、それを逸脱することは難しいのかなと思いますので、まず、その研究の倫理審査委員が通すときの研究デザインに入っていないことについては難しいと思っています。
○竹内委員 そのあたりを調べておいていただいて、このレジストリの持つポテンシャルといいますか、どこまでできるのかということを明らかにしておいていただけるとより議論が明確になるかなと思いました。
○田中課長補佐 はい、わかりました。
○千葉委員長 今回の検討では、同意をいただいた方のもともとあった指定難病の中にあるデータを活用させていただくという趣旨であって、それからさらにその方々に指定難病のほうからお伺いするというものではないと、そういうことですよね。それでもって現時点での指定難病データというものがどの程度のものなのかということを判断するというのが、本来、今回の目的であると理解していただいたらよろしいかと思います。
○竹内委員 具体的には、指定難病データの質を検証するときに、レジストリデータでそれが十分検証できるかどうかが問題になります。レジストリ側のデータが本当にそこまであるかどうか。レジストリ側のほうのデータがどの程度リッチかということによって検証できるかどうかが決まるので、その点を確認しておいていただきたいなと思ったのです。
○千葉委員長 そこは、私の理解では、厚労省で検討して、この2つがかなりデータとしてきちっとあるというところで選出されたと理解しますが、いかがですか。
○田中課長補佐 はい、さようでございます。
○千葉委員長 余り私が言うことではないかもしれませんが。
○田中課長補佐 今さまざまな研究班でレジストリが構築されている中で、毎年毎年きちっとデータをリニューアルしていただいている、再同意がとれる体制であるとか、情報がかなりしっかり入手されているということでこちらの2つについて対象とさせていただいた経緯はございますが、竹内先生からいただいたことについては研究者にお問い合わせをさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 一方で、先生おっしゃられるように、リファレンスとしてあるこの研究班のデータがそれこそどのぐらいのものかというところの判断は非常に重要だと思いますので、一緒にあわせてよろしくお願いいたします。ほか、よろしいですか。
どうぞ。
○及川委員 済みません。1点ちょっと確認ですけれども、今のお話でいきますと、データ同士を突き合わせるという形だと思うのですが、参考資料2-2の同意書の2ページの5番の「この研究の方法」というところの最後に「必要に応じてあなたに追加で調査を行うことがあります」という文言が入っているのですけれども、これはどういうことでしょうか。ちょっと御説明いただければと思います。
○竹内委員 まさに私が今お伺いしたところですね。追加調査が可能かどうかという。
○田中課長補佐 この同意書というか、説明では「追加で調査を行うことがあります」となっておりますが、具体的に何か意識しているかどうかということの確認は、済みません、まだ事務局でしていないので、確認をしてお答えをさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 この点、よろしくお願いいたします。ほか。
どうぞ。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
先ほどのデータベースのような大きな話を具体的に進めていくためには、やはりできるところから少しずつ進めていくということが大事ですし、現実的だと思います。また、患者側から見ても、きちんとこの趣旨が伝われば協力してもらえる内容だと思いますので、しっかりと検証につなげていただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。ほか、何か御意見ございますか。
いろいろ建設的な御意見をいただいたと思いますが、例えば、お話があったように、前から議論があります軽症者が外されるというところで、詳しいデータベースとどのように乖離というか、差が出るのかとか、あるいは経年的なデータというものがどの程度とれているのか、あるいは今後どうすべきかといったような問題。それから、先ほど出ました日常生活のバーデンといいますか、障害度、困難度というものがきちっととれているかどうかとかいうようないろんな観点が見られるのではないかと思います。
正直なところ、指定難病の臨床調査個人票がデータベースとなるわけですけれども、非常に大きな問題を秘めていまして、一方で、簡素化というキーワードがあるわけですね。特にもう何万人もいらっしゃる指定難病の場合には、一人のお医者さんが100枚以上も臨個票を出さなければならないというところで、できるだけ簡素にしたいと、してほしいというような要望があって、一方では、データベースとしては非常に充実したものをつくりたいという要望があって、この2つは、正直いって相反するポイントなのですね。したがって、そこ2つを勘案して落としどころをどこに持っていくのかというのは非常に大きな課題だと思います。
そのようなことも、この研究の中で何かしらアンサーといいますか、ヒントというものが出てくればなあと、私個人的にはそのようにも思いますので、とりあえず、最後に述べられたように、始められるところから手をつけていって、こういう調査をした上で、今後データベースをより活用できるものにしていくという方向性が出てくればいいなと思います。
ということで、皆さん御同意いただけると思いますから、このような研究を開始するということにつきましては、御異論はないと思いますが、よろしいですね。
(「はい」と声あり)
○千葉委員長 ありがとうございました。それでは、そういうことでお話を進めていっていただきたいと思います。
きょう御議論いただく課題はこの2つでありましたが、ほか、特に何かございますでしょうか。
では、事務局のほうからお願いします。
○田中課長補佐 委員の皆様、本日は、お忙しい中ありがとうございました。また、非常に有意義な御意見をたくさんいただきましてありがとうございました。いただいた御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
次回の委員会の日程につきましては、決まり次第、改めて御案内を申し上げます。
なお、この後、引き続きまして、14時30分から第59回「難病対策委員会」を開催させていただく予定としておりますので、難病対策委員会の委員の先生方におかれましては、引き続きの御参加をお願いいたします。
事務局からは以上になります。
どうもありがとうございました。