第27回厚生科学審議会感染症部会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

平成30年11月29日(木)10:00~12:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

(1)感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化等について
(2)風しんの発生状況等について
(3)報告事項
  ➀ HTLV-1の啓発について
  ➁ 後天性免疫不全症候群及び梅毒の届出様式の改正について
  ➂ スペイン風邪100周年について
  ➃ 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きの改定について
  ➄ コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生状況について
(4) その他

議事

 
○井口結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第27回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 開会に当たりまして、健康局長より、御挨拶を申し上げます。
○宇都宮健康局長 おはようございます。健康局長の宇都宮でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、皆さん、業務の御多忙の中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろから感染症対策につきまして、御尽力、御協力いただいておりますことを、この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。
 さて、先生方、御存じのように、現在、我が国には風疹がはやっておりまして、累積で2,100件を超えました。週ごとの統計を見れば、後ほど説明があると思いますけれども、大体150~200件前後で推移して、横ばいぐらいの感じで、ある程度落ちついているかのようにも見えますが、まだまだ予断を許さないところでございます。
 また、2012年のときには、2,300ちょっとぐらいの発生でありましたけれども、その翌年に、一気に1万4000件以上にふえたという事例もあることから、たとえここで今年度はおさまったとしても、来年、ワールドカップ、あるいは再来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、きちんと対策をとっておかなければ、皆さん、安心して、競技、あるいは観戦をすることに専念できないことになってしまいますので、皆さんが安心してそういうことができるように、どういう手を打ったらいいかということにつきまして、本日は、専門的な見地から忌憚のない御意見をいただければと思います。
 あわせまして、発生動向調査、サーベイランス機能、海外の方々もたくさんいらっしゃるということで、その強化についても、御議論いただきたいと思います。
 本日は、活発に御議論いただきまして、実りある結果が出ることを期待させていただきます。よろしくお願いいたします。
○井口結核感染症課長補佐 続きまして、事務局に異動がありましたので、御報告いたします。
 結核感染症課課長補佐に、私、井口が異動となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の出席状況について、御報告いたします。
 本日は、岩本委員、賀来委員、調委員、菅原委員、廣田委員、山田委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
 現時点で、定足数以上の委員に御出席をいただいておりますので、会議が成立しておりますことを御報告いたします。
 資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料8まで、また、参考資料1、参考資料2を御用意してございます。
 不足の資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○井口結核感染症課長補佐 以降の議事運営については、倉根部会長にお願いいたします。
○倉根部会長 おはようございます。
 それでは、本日の議題を確認したいと思います。
 議題は「(1) 感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化等について」「(2) 風しんの発生状況等について」「(3) 報告事項」「(4) その他」となっております。
 委員の皆様には、忌憚のない御意見をいただくとともに、また、円滑な議事進行にも御協力をお願いいたしたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。
 議題の「(1) 感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化等について」ということで、事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○嶋田結核感染症課専門官 事務局です。結核感染症課の嶋田です。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1を御用意ください。感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化等についてです。
 まず最初の4ページほどは、前回の9月27日の感染症部会の資料の振り返りとしまして、御用意させていただきました。
 2ページ目のところに、東京大会において、我が国で配慮が必要な感染症ということと、その次のページに、研究班による検討として、競技会場関連の医療体制と東京大会中の理想的なサーベイランスについての図があります。
 東京大会において求められるサーベイランス体制としまして、質の高い包括的なシステムである感染症発生動向調査システム、NESIDの最大限の活用が基本ということが、研究班より検討されておりました。
 前回は、こちらの5ページ目のところの論点で、自治体間で即座に感染症の発生情報を共有する仕組みは十分かということと、感染症を探知するシステムの構築及び検査・治療体制は十分か、国内機関、国際機関との連携体制は十分かというところで、論点として御議論いただきました。
 そうしたことを踏まえまして、今回は、研究班からの御提言及び前回の感染症部会における議論を踏まえた事務局からの御説明をさせていただきます。
 7ページ目です。1点目、自治体間で即座に感染症の発生情報を共有する仕組みの整備についてということとして、8ページを見ていただくと、前回と似たような資料になっているのですが、自治体間の情報共有に関する見直し案として、自治体間で即座に感染症の発生情報を共有できる仕組みを整備する、NESIDのサーベイランスシステムに搭載されているファイル共有システム(自治体間内部での共有)を活用し、感染症情報を共有してはどうかということです。こちらは、今、厚労省で、全数対象の疾患として88ありますが、実際、都道府県で患者情報を共有するものとしては、今、これらの対象疾患の項目を限定したものを考えております。
 9ページ目により具体的なことが書いてございまして、自治体間の情報共有の見直し案の具体的なイメージとしまして、NESIDのファイルの共有システムですが、一旦厚生労働省、国立感染症研究所に集まった情報をアップロードしまして、これらの個人情報を除く患者の情報を都道府県、指定都市で閲覧できる、情報共有できるようになっています。
 今後は、調整事項として考えていかないといけないのですが、対象となる疾患は、全数の88疾患ではなくて、ある程度研究班の提言によって絞った感染症が大事だと思いまして、研究班の提言等によるものとしましては、麻疹、風疹、侵襲性髄膜炎菌感染症、中東呼吸器症候群、腸管出血性大腸菌感染症、これらを考えておりまして、また、患者情報としましては、もちろん個人情報を除いたものですが、麻疹、風疹の場合としましては、発生動向ID、診断週、病型、都道府県などがありまして、今後、この辺のどういった情報を共有するかということを調整事項とします。
 こういったことを想定される効果としましては、迅速に情報共有を行い、感染症発生動向を的確に把握することができるということと、これらにより、自治体による迅速な疫学調査実施、関係機関への注意喚起や情報交換等が可能となり、広範囲な地域単位において、感染症対応が可能となることが期待される。つまりサーベイランスの基本として、見つけて、それの対応することがよりしやすくなると考えております。
 10ページ目です。2点目ですが、感染症を探知するシステムの構築及び検査・治療体制の整備につきまして、11ページ目のところですが、前回の疑似症の定点見直しについてですが、前回の研究班の検討結果としましては、課題として、目的や報告の定義が幅広いこと、医療機関の届け出に対する負担感が大きいこと等のため、見直しが必要です。
 また、自治体リスク評価の結果では、疑似症サーベイランスの徹底を図ることが重要とありまして、広範であった疑似症の定義を変更し、公衆衛生インパクトの高い重症例に絞り込んで、早期探知のための疑似症定点の届け出基準に関する見直しの検討を進めるとしています。
 現行としましては、発熱と呼吸器の症状や発熱と発疹ですが、これを新しい疑似症サーベイランスの案としましては、感染症を疑わせるような所見、かつ症状が重篤、これについては、集中治療、その他これに準じる医療が必要と医師が判断したもの、そして、直ちに特定の感染症と診断することができない場合に、その視点で届け出をしてくださいと考えています。
 なお、点線の下のところに、見直し案の情報のイメージがあり、これらの新サーベイランスのところを盛り込んだ内容になっておりますが、条文案については、今後の法技術的な修正があり得るということです。
 12ページです。疑似症の定点の見直しに関する調整事項としましては、現時点では、疑似症の医療機関の選定について、診療科目中に内科、小児科を含む病院、診療所、または、内科、小児科、皮膚科を含む医療機関ですが、今後、検討が必要な事項としましては、新たな疑似症の定義案における定点医療機関の選定基準について、自治体や医療機関、その他関係機関と調整を行う必要があるということです。これについては、感染症発生動向調査の実施要綱の改正による規定が予定されています。
 また、2点目としましては、疑似症サーベイランスにおける病原体検査体制についてです。現行としましては、疑似症定点に届け出られた病原体検査について、自治体、保健所、地方衛生研究所及び国立感染症研究所間の役割分担が明確化されていないという指摘がありまして、今後、検討が必要な事項としましては、疑似症が届け出られた際に、どのような検査を自治体で行い、どのような検査を国立感染症研究所で行うかといった、一定の方向性を検討することが必要だと考えています。これにつきまして、研究班等において、関係機関に意見を聞きながら検討を進める予定です。
 次のページは、室長の磯貝より、説明があります。
○磯貝感染症情報管理室長 結核感染症課の磯貝でございます。
 2-3でございますが、これは国立感染症研究所の村山庁舎内にあります、いわゆるBSL4施設に関する御説明でございます。BSL4施設については、ラッサ熱などの重篤な感染症の原因病原体を安全に取り扱うことができる高度に管理された安全施設でございます。
 この資料は、11月15日の国立感染症研究所の村山の施設運営連絡協議会で、国立感染症研究所から説明した資料でございます。
 感染研の村山庁舎は、平成26年までの西アフリカで発生したエボラ出血熱の大規模な流行を受けまして、平成27年8月に感染症法上に基づく南米出血熱等の一類感染症の病原体の所持の指定を受けたところでございます。なお、現在まで、病原体を所持している事例はございません。
 今後、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、多くの国の訪問客の増加が認められます。こうしたことから、これらの感染症の発生のリスクの増加が懸念されております。
 こうした中、国際的に脅威となる一類感染症の検査体制の充実・強化を図るため、国立感染症研究所におきまして、海外から病原体の分与を受けることを考えていると表明いたしました。
 これには2つの大きな理由がございます。
 1つは、多くの先進国が実施している検査法を整備するとともに、我が国で検査に従事する人材の技能を向上させることにより、こうした一類感染症の診断のための検査精度の向上を図ることでございます。
 2点目でございます。患者が他者に感染リスクがないことを検査で確認し、行った治療法の有効性を判断するということでございます。いわゆる中和抗体法関係の検査法の確立でございます。
 以上の理由から、今後、輸入の禁止を解除するために、厚生労働大臣による指定を受け、その後、海外から病原体の分与を受けることを考えていると、感染研から説明がございました。
 しかしながら、今後、地域住民や武蔵村山市を初めとする関係者の理解を得た上で、手続を進める必要があると考えております。
 以上でございます。
○嶋田結核感染症課専門官 続きまして、事務局からの説明の3点目です。14ページの国内機関、国際機関との連携体制の構築についてというところで、15ページ目ですが、感染症部会における議論、研究班、自治体リスク評価結果を踏まえ、以下の事項において、関係機関とともに実現可能性を含めた検討をしてまいりたいということです。
 具体的な対応案としましては、東京都を含む全国の自治体の感染症発生動向及び東京大会関係者、例えば競技選手や大会スタッフや観客等に関する感染症発生動向に関する情報を集約し、関係機関で共有できる体制に関して、調整を進めるということで、具体的な検討事項案としましては、感染症の情報対象となる医療機関の選定、医師の届け出事項、関係機関相互間の体制構築を考えております。
 また、今後、オリパラまでに予定される国際的な会合などにおいて、強化サーベイランス案の試行を検討することを考えています。
 最後は追加ですが、スケジュール案についてです。こちらはあくまで案としましての今後の変更の可能性がありますが、東京大会までに国際的な会合がありますので、それらに向けて、試行していきたいと考えております。
 事務局からは、以上です。
○倉根部会長 今、事務局から、資料を使いまして説明していただきました。ありがとうございます。
 それでは、今の説明を受けたことに関しまして、委員の皆様から、御質問、あるいは御意見はございますでしょうか。
 矢内委員、どうぞ。
○矢内委員 御説明をありがとうございました。
 まず1点目、自治体間の情報共有の見直し案については、NESIDを使った情報共有が進められるということで、東京都といたしましても、2020年の大会に向けて、このような体制が一刻も早く構築されることを希望しています。
 また、この中で患者個人情報を除く、12個のいろいろな項目以外にも、例えばマスギャザリング、ラグビーのワールドカップやオリンピックの大会会場での観戦等についても、情報として追加をご検討いただければと思います。
 2点目は、スライド12にございます疑似症定点の見直しに関する今後の調整事項ということで、今後、疑似症定点医療機関の指定について規定されるということですけれども、国でどういった医療機関を選定するかについて、はっきりお示しをいただきたいと思っております。
 例えば感染症指定医療機関やたり、感染症科を有する医療機関であったり、あるいは2020年大会の指定病院等マスギャザリングに関係するような医療機関を指定していただければ、医療機関の理解、ご協力が得やすく、また、組織委員会との調整も円滑に進むことができることと、医療機関の統一的な基準が設けられることで、サーベイランスの精度が上がっていくと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○倉根部会長 事務局、ただいまの委員のコメント、意見に関しまして、何かございますか。
○嶋田結核感染症課専門官 矢内先生、ありがとうございます。
 全くおっしゃるとおりで、1点目の個人情報を除く患者情報については、そういったマスギャザリングとして、どこに行ったのかという情報も当然大事だと思いますので、こうした情報を入れるかどうかも検討していきたいと考えております。
 2点目の疑似症定点の医療機関の選定についてですが、こちらについてもおっしゃるとおり、医療機関の選定基準については、きちんと調整していく必要があると考えていますので、今後、事務局で検討しますので、よろしくお願いします。
○倉根部会長 ほかにございますか。釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 今の御指摘は大変大事だと思います。まず自治体間で迅速に情報が共有されるシステムができることは、非常に大事でありますが、共有された情報のうちで一般に公開される、あるいは医療機関等も情報を周知すべきという内容が出てまいりますと、例えば患者さんの行動の様子などがどうなのか、どこに行って、どういうふうに接触があった可能性があるところを公表すべきと判断を自治体がなさる場合に、自治体がどこまで情報を開示するかを悩まれるところがあると思うのです。ですから、そのあたりについては、国ではっきりした指針をお示ししていただいて、都道府県が公表をする場合に、資するような指針をもう少しお示しをいただいたらどうかと感じておりますので、発言をさせていただきました。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○嶋田結核感染症課専門官 釜萢先生、コメントをありがとうございました。
 こちらについて、患者情報としましては、都道府県、指定都市で閲覧できる情報としましては、基本的には都道府県間でクローズなものとなっていて、一般的に公表されるものではないですが、公衆衛生上、必要な情報については、感染を防ぐ点について、もしかしたら、公表せざるを得ない情報もあるかもしれませんが、ただ、そちらについても、自治体と連携しながら、対応することを検討していきたいと思います。
○倉根部会長 三宅課長、どうぞ。
○三宅結核感染症課長 国が率先して情報を公開しなければいけないのは、先ほどの自治体の情報共有だけではなくて、情報の公表という観点に関しましては、国が発表せざるを得ないエボラとか、そういうものが中心になる情報の公表の考え方について、整理をしているところで、別途、ここでも御相談をしているところですが、それを基本として、ほかの疾患も少しずつ考えていただきたいですし、はしかと風疹については、自治体間の共有が重要で、何県かで広がって発生する場合もありますので、そこについては、我々としても、指針等でもう少し工夫できないかと考えていますので、また御相談をさせていただきたいと思います。
○倉根部会長 大石委員、どうぞ。
○大石委員 感染研の大石です。
 その点に関しまして、これまでにも感染研で自治体の了解を得ながら、患者さんの情報について公表してきました。しかし、自治体の同意が得られないことで、公表ができなかったこともありました。これから自治体間のコンセンサスを明確に、47都道府県でも1自治体だけでも拒否されると、うまくいかないという事態が発生するので、明確な指針をつくっていただき、それに従っていただくという形が望ましいのではないかと思います。そうでないと、情報共有は困難だと思います。
 以上です。
○倉根部会長 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 川崎の岡部です。
 今の情報共有の部分の対象疾患ですけれども、確かにここにある麻疹、風疹、侵襲性髄膜炎菌感染症、MERS、腸管出血性大腸菌感染症、非常に重要な疾患が含まれていると思うのですけれども、それ以外の疾患あるいは不明疾患が広域に出たり、例えば関東近県で出たりするときに、疾患をここで限定してしまうと、後で出てくる不明の疾患であるとか、重症疾患というときに、逆に情報がとれなくなって、これは報告疾患の中に入っていないのということで、すぱんと落とされる可能性があるので、そういったときに、きちんと調整をして、新たなものでも加えることができることも、ぜひ工夫をしておいていただきたいと思うのです。
○倉根部会長 この点、事務局、いかがでしょうか。
○磯貝感染症情報管理室長 実際の運用についても、ぜひ検討させていただきたいと思っております。
○倉根部会長 山中委員、手を挙げておられました。どうぞ。
○山中委員 医師との共有化の問題につきましては、患者というか、人の動きが大変広域化しておりますし、食べ物の流通も広域化しているという点では、以前からこれは課題だということでお願いをしているところでありますので、ぜひこれは進めていただきたいのですけれども、例えば感染症があちこちである程度出始めて、いわゆるクライシスマネジメントとして対応しなければならない場合は、自治体だけでは、全体像が見えなかったりしますので、迅速な対応策として、例えば全体を見ていらっしゃいます感染研ですとか、厚労省から適切なアドバイスなどを受けられるような体制も、一緒につくっていただければありがたいと思います。
 先ほど公表、プレスのお話しがありましたけれども、麻疹、風疹に関しての公表の基準は、自治体では大変悩ましいところであります。でも、自治体で公表したことは、自分たちが対応するに当たって参考になりますので、いろいろな自治体の公表、プレスなども見るようにはしているのですけれども、できればそれを一カ所で閲覧できるようなサイト、例えばH-CRISISにそういったサイトを置くとか、そういったことも御検討していただければと思います。
 疑似症サーベイランスですけれども、先ほど矢内委員がおっしゃったように、定点医療機関の指定に関しましては、今回も重症だということでありますので、ICUなどを持っている医療機関なのですが、できれば感染症の専門医の先生がいらっしゃるところが望ましいのだと思いますけれども、そうなりますと、医療機関が限定されますので、ある程度の医療機関にお願いするとすれば、いわゆる専門医に御相談できるような、そういった体制も御検討していただければと思っております。
 保健所に疑似症サーベイランスとして届けられてから、保健所が検査をすべきかどうかという判断をしたり、あるいはエボラのときは、検体の搬送も警察に通報して、先導していただくこともありましたし、細かい検査が終わるまでの患者さんをICUに入れておいたらいいかどうかということで、院内感染対策上の課題もありますので、具体的には、研究班でいろいろ御検討いただくことではありますけれども、そういったところまで御検討いただければ、ありがたいと思っております。
 以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 事務局、何かございますか。ないですか。
 ほかにございますか。大石委員、どうぞ。
○大石委員 研究班で、新疑似症のサーベイランスのシステムについては、各自治体だけではなく、医療機関にも相談をしております。感染症専門医は、今のところ、東京とか、大阪などの主要都市だけですけれども、アドバイスがもらえる体制を構築しています。専門医のネットワークの中からアドバイスが得られる体制を確保していきたいと思います。
○倉根部会長 脇田委員、どうぞ。
○脇田委員 疑似症サーベイランスで、病原体検査体制についてなのですけれども、感染研におきましては、現在、原因が不明な感染症の検査体制についての強化を行っております。診断がつかない感染症で、新しい基準になりますと、重症で感染症と診断することが難しい。
 特定の感染症の検査を行って、陰性になるわけですけれども、我々としましては、網羅的な検査法を開発しております。最近も重症の感染症疑いの患者さんで、その枠組みで検査をして、非常にまれな感染症を診断したという例がございます。それが直ちに治療につながって救命ができたということがありますので、こういった新しい基準になりますと、患者さんの生命にかかわるような状況も想定されますので、そういった検査体制になるべく早く持ち込めるような体制をつくることが大事だと考えております。
○倉根部会長 味澤委員、どうぞ。
○味澤委員 情報の共有と検査を迅速にすることは、非常にいいと思います。ただ、私は臨床医なので、治療をどうするかということは大事なポイントで、まだそこまで至っていないのかもしれませんけれども、オリンピックは2年後なので、東京都としては、昨年度から感染症の専門医ではない研修医の先生に対して、こういう輸入感染症ですとか、麻疹など、そういったものを含めて、感染症対策のティーチングをやっています。去年は30人弱で、ことしも30人弱ぐらいの研修医の先生に、こういうときにはこういうことを考えるとか、感染症の対策をどうしたらいいか、そういったことも感染症の医者がいる病院だけに来るわけではないと思いますので、そういった対応も大事ではないかということなので、参考までです。
○倉根部会長 岡部委員、手を挙げておられましたが、どうぞ。
○岡部委員 疑似症サーベイランスにおける病原体の検査体制は、先ほど脇田先生がおっしゃったように、不明のものを調査していくことが大切で、既存のものについては、ある程度振り分けができると思うのですけれども、不明のものについては、感染研も大変ですが、そういうものを引き受ける、あるいは迅速にやることが必要かと思います。
 それから、地方の衛生研究所も、衛生研究所間の能力差というと、ちょっと失礼ですけれども、できる部分とできない部分があるので、むしろできない部分を強化していくことは、地域でやったほうがより早く診断に結びつくので、そういったようなことを全体のこととして考えていただければと思います。
 もう一点、よろしいですか。
○倉根部会長 どうぞ。
○岡部委員 17ページのスケジュール案のところなのですけれども、今後のスケジュールですが、特にラグビーワールドカップとか、東京大会のオリンピックがあるのですけれども、ここのところを見ると、下のところにサーベイランス強化の実施、その前の準備の記載があるのですが、サーベイランス強化の実施は、東京大会終了と並行して終わることになっているのです。
 これは前にも申し上げたのですけれども、感染症は、必ず一定の潜伏期間が必要なので、この図を素直に読んでしまうと、東京大会が終わったらサーベイランス強化もおしまいと読めるので、これはむしろ幅を持たせるべきだと思います。その上で、さらに東京大会後もそれを財産として残していって、活用できるようにするということで、実際は、もうちょっと幅を広くやる必要があると思います。
○倉根部会長 この点、事務局、いかがでしょうか。表の読みですが、実際には潜伏期もありましょうし、その後もいろいろなイベントもありましょうし、ここで切れたような印象は、余りよくないと思うのです。
○嶋田結核感染症課専門官 東京大会においては、もちろんサーベイランスの強化を実施していますが、新しい疑似症の定点は、その後も続けていくということです。
 あとは、先ほどにもありました検査のことなのですが、こちらもどういう検査が国立感染症研究所で行うとか、逆に集中し過ぎてもいけないと思うので、どこを自治体間でお願いできるかということも、研究班において、関係機関に意見を聞きながらの検討を進める予定としています。ありがとうございます。
○倉根部会長 越田委員、手を挙げておられました。どうぞ。
○越田委員 私も山中先生がおっしゃったようなことと全く同感です。実際にいろんな自治体がいろんな手法でいろんな情報をリリースしているのです。こういう情報を一定の基準でリアルタイムにリリースしていただけるとありがたいです。我々は毎日ネットを見ているわけではないので、ここのサイトに飛び込めばわかるという情報サイトがあれば、大変助かります。よろしくお願いいたします。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 きょうの資料1の13ページです。検査体制等の充実・強化についてですが、先ほど事務局から説明がありましたように、海外から国際的に脅威となる一類感染症の病原体の分与を受ける必要があります。輸入の禁止を解除するために、厚労大臣の指定を受け、その後、海外から分与を受けることを考えているということでありまして、諸外国の対策の状況を踏まえて、我が国もこの体制が必要であると思います。御地元の理解を得ることが大変大事でありますけれども、ぜひこの方向で進めていただきたいと思います。意見を申し上げました。
○倉根部会長 大曲委員、手を挙げておられました。どうぞ。
○大曲委員 疑似症定点の指定に関してなのですけれども、今、御議論があったとおりだと思って伺っておりました。現場の人間の観点から御提案するとしますと、我々も感染症疑い例、原因がわからないものの相談の枠組みがありまして、受けているのですけれども、感染症医がいないところ、あるいは感染症の指定医療機関ではないところからの相談がむしろ多い印象を持っています。恐らく診断に苦慮するのだろうと思います。
 1つあるのは、そういった医療機関でこそ、診断不明例が発生し得ることは、定点の選択の上では、重々検討が要るのだろうと思います。もう一つ、想定し得るのは、恐らく定点を指定したとしても、定点以外のところで、疑似症の定点の定義を満たすような事例が発生することは、十分あり得る話でして、そういう事例に対して、行政的な検査のサポートといったところが落ちてしまうようだと、よろしくないと思いまして、そのような事例が起こり得ることも御検討いただいて、それを何か拾い上げるような仕組みがあればいいと思って、伺っておりました。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 ただいま各委員から多くの意見をいただきました。今回、事務局からお示しいただいた案ですが、きょうは、方向性といいますか、こういう形で進めていくことでいかがだろうかということを委員の先生方に御了解をいただければと思っています。
 ただ、確かに個々に見ますと、それぞれの細かい現実的といいますか、現場の懸念もございましょうし、それから、こういうふうにしていただければということも、確かにいっぱい意見としてもいただきました。
 今回、議題(1)については、方向性としては、こういう形で進めていく。しかし、もう少し具体的なところについては、さらに突っ込んだ議論なり、整理なりが必要であろうというまとめになろうかと思いますが、そういう方向で御了解いただくということで、よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○倉根部会長 それでは、事務局でも、ただいまいただきました御意見、あるいは懸念、現場の御意見も含めまして、整理をしていただければと思います。そして、方向性としては、この形で進んでいくということでお願いしたいと思います。
 それでは、議題(1)はこれで終了いたします。
 次は、議題の「(2) 風しんの発生状況等について」であります。
 事務局から資料2の説明をお願いいたします。
○繁本結核感染症課長補佐 事務局です。
 資料2を御準備ください。風疹の発生状況等についてです。
 2ページ目ですけれども、風疹についてですが、概要としまして、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴として、無症状の方も多いですが、妊娠中の女性が感染しますと、お子さんに先天性風疹症候群が出現することがあります。
 感染力が強いと書いてありまして、基本再生産数は大体6~7と言われております。
 3ページ目は、風疹の累積報告数の推移でございます。赤い折れ線グラフは、ことしの累積報告数です。46週時点で2,186人、2012年の同時期の報告数よりもふえてございます。
 4ページ目ですけれども、風疹の週別の報告数になります。約11週間にわたり、100例以上の報告がございます。直近ですと、123例の報告があります。まだまだ予断を許さない状況と考えております。
 5ページ目ですけれども、都道府県別の累積の風疹報告数でして、直近4週間は、赤、黄、青、緑と色分けしてございます。直近4週間で報告が伸びているところについては、棒グラフの色で発生数の大小が見てとれるのではないかと思います。
 6ページ目でございますが、風疹の検査診断例の報告数です。性別・年齢階級別です。前回の感染症部会でも、この傾向は同じなのですけれども、41歳から45歳の男性を中心に
その上下の年齢層で発生が多く見られております。
 7ページ目ですけれども、都道府県別の風疹の累積報告数の数値を記載しております。東京は716例で、次点で千葉県249例、神奈川県275例と続いておりまして、その後、埼玉、愛知、大阪、福岡の順に多くなっております。
 8ページ目は、年齢・年齢群別の風疹の抗体保有状況です。おおむね抗体保有率は90%を超えておりますけれども、男性の35歳から54歳のところで、抗体保有率が90%を下回っている年齢群がございます。これが現状でございます。
 9ページ目は、第26回の感染症部会後に行った風疹の対策についてというスライドですが、現在、当面の対策として、10月2日に通知を発出いたしまして、5都県、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知で抗体検査を推奨したり、予防接種を推奨したりしているところです。
 現状、前回の部会以降の届け出数の増加、累積患者数の増加等を踏まえ、他の地域でも届け出数が5都県と同様規模の水準に達している地域が出現しています。また、現在、原則として、全例に対して、積極的疫学調査を行っていただいて、遺伝子のウイルス検査を行って、ウイルスの型を見ることを行っていただいているところです。これはことしの1月1日に風疹の患者数が減少していたことを踏まえて、風疹に関する特定感染症予防指針に基づいて、行っていただいているものです。
 対応方針といたしまして、届け出数が増加していた地域に、今、当面の対応を5都県に行っているのですけれども、これを拡大したらどうかということを考えております。また、上記の当面の対応を行うような発生数が増加している自治体においては、ウイルス遺伝子検査のウイルスの型を見る検査を全例に行うことが困難になってきた場合は、我々としては、個別にきちんと相談に応じまして、柔軟な対応を行うことを可能にしてはどうかと考えております。
 以上が当面の対策の修正になります。
 次のページから、4ページにわたって、今後の対策についての検討をしていただきたいと思います。
 10ページ目の現状・課題ですが、今般、風疹の届け出数が増加しております。大都市を中心に11月21日の時点で2,186例が報告されております。まだまだ注視が必要な状況とみております。
 今後の風疹流入・感染伝播のリスクがありまして、2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが予定されており、厚生労働科学研究班の松井班で、風疹輸入例の増加と感染伝播の懸念がある感染症として、先ほど議論していただいた資料1にも記載してあります。
 今般の風疹の届け出数の増加の背景として、男性が8割と多数を占めており、中でも30代から50代の男性の患者数が多くなっております。この原因としては、この世代に風疹に対する抗体価の低い方が多い。そして、定期接種の機会が一度もなかった39歳から56歳について、他の世代に比べて抗体価が低いことがわかっております。また、職場などの感染が拡大しやすい集団、そういったところにこういった方々がおられる例が見られます。ちょうどその層に男性が1610万人おられるということです。
 11ページ目になりますが、対応方針としまして、1つ目は、風疹の感染拡大が続きますと、妊婦さんの感染が発生して、そこから先天性風疹症候群が発生する可能性があります。このことから、今後の対策の方向性としては、風疹の感染の拡大自体を防止することで、妊婦さんへの感染、CRSの発生を予防していくということを考えております。
 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、輸入例の増加、そこからの感染伝播が懸念されると指摘されておりますので、2020年7月までに風疹の感染拡大を終息させるための取り組みを進めていくことを考えております。観光立国を目指す我が国として、今後、さらなる訪日外国人が増加する状況も考えますと、当該大会の後も感染拡大が生じないような取り組みを進めていく必要があるのではと考えております。
 12ページですが、WHO等によると、風疹の感染拡大を防ぐ集団免疫の閾値の最低ラインになるのですけれども、85%とされています。
 参考資料の15ページに、基本再生産数と集団免疫の閾値についての関係が記載してございます。
 日本全体では、抗体保有率は既に95%の水準に届いているのですけれども、先ほど申しました、定期接種の機会が一度もなかった39歳から56歳の男性については、抗体保有率が低くて、約80%となっています。
 我が国においては、30代、50代の男性を中心に患者数が増加しておりますので、こうした抗体保有率の低い集団の存在で感染拡大が起きていることが考えられますので、まずはこの対象というのは、抗体保有率が低い39歳から56歳の男性に絞って、特に重点的に対応することにしてはどうかと考えております。
 具体的なタイムスケジュールなのですけれども、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までに、39歳から56歳の男性の抗体保有率を85%とすることを目標としてはどうかと考えております。この取り組みを先に進め、2021年度末までに、39歳から56歳の平均が80なのですけれども、当然ばらつきがありまして、一番低い世代もあります。その一番低い年齢のところも抗体保有率85%以上とすることを目指してはいかがと思います。こうすることで、39歳から56歳の世代の集団としての抗体保有率は90%以上の水準になる見込みです。
 13ページです。ワクチンをいかに届けるかなのですが、抗体保有率が低い層でも、8割の方は抗体を保有しておられますので、ワクチンをいかに効率的に活用するかという観点から、抗体検査を行って、抗体がない方にワクチンの接種を進めていくという対応にしてはどうかと考えております。
 また、ワクチン接種に先立って、抗体検査を実施する場合は、抗体検査を実施する必要がある人数は、先ほどのグラフでいいますと、全体では1600万人おられ、こうした多数に上りますので、抗体検査が適切に実施できる対策を構築してまいりたいと考えております。
 参考資料になるのですけれども、18ページ目ですが、風疹の抗体検査の実施体制なのですけれども、通常の需要は、ほぼEIA、もしくはHIが主流になっていると思いますが、取り組みを進めてまいりますと、需要が伸びて、供給をしていかないといけなくなると考えております。
 19ページ目になるのですけれども、HI法が大体スタンダードになっているのではないかと思うのですが、通常は8倍から2,014倍まで、8本の検査を行うのですけれども、今回の取り組みについては、抗体があるか、ないか、高いか、低いかを見れば十分ですので、8倍と16倍と32倍の3本の検査を観察すれば、十分ではないかと考えております。そうすると、HIの供給量もかなり確保できるのではないかと考えております。
 さらに20ページなのですけれども、対応1は、今、申しましたHI法による簡便な定性的な判断になりますが、対応2としまして、HI、EIA以外にも、ラテックス法であるとか、蛍光抗体法などがありますので、そういったものを用いることで十分な供給を満たすことができるのではないかと考えております。
 事務局からは、以上になります。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 今、事務局から、風疹の発生状況のサマリーの部分、前回の感染症部会後の対策の進みについて、今後、対策をどうしていくかというところで、大きく分けると3つの説明があったと思います。
 まず現在のデータそのもので、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、前回の部会後に行った風疹の対策も含めて、今後の対策についての事務局としてのまとめの案、考え方の案をいただきましたけれども、委員の先生方から御質問、あるいは御意見はございますでしょうか。
 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 ありがとうございます。
 当面の対策では、既にやっているところはしっかり広げていくわけですけれども、今後の対策についてです。まず抗体検査を先にやって、抗体の低い方に予防接種を行う方針は、現実的で妥当だと思います。自治体によっては、抗体検査がなくても、接種料金を補助するところがマスコミで取り上げられているので、そういうところをまねるところも出てこないでもないのですけれども、ワクチンの供給量とのバランスをきちっととる必要があると思うので、抗体価を調べて、対象者にしっかり確実に予防接種を行うという方式がよろしいと思います。
 そのことを踏まえた上で、10ページでありますけれども、赤で囲ってある39歳から56歳までが予防接種の対象で、男性がそういうふうになるということでございますが、その前のスライドの6ページをごらんいただきますと、26歳から39歳までの男性の部分も、かなり風疹に罹患しているデータがはっきり出ているので、きょう、お示しいただいた案では、私は不十分だと思います。
 10ページに戻りますが、青で囲ってあるところで、左から2つのカラムのところは、3期、4期をやりました。その結果、非常によい状態での抗体価ができておりますが、黄色で囲ったところ、左から言うと、3つ目、4つ目のところで、28歳から39歳までの部分に手をつけないというのは、抗体の足りない年齢をずっと後までにその年代を温存してしまうことにつながって、今回の機会を逃すと、ここに接種をしっかり行うチャンスがなくなってしまいます。ですから、ぜひここを含めて、2021年末までに全部やるというわけにはいかないかもしれませんけれども、少なくともここもきちっと踏まえて、接種ができる枠組みをおつくりいただきますように、ぜひ事務局にお願いいたします。
 先日は、宇都宮局長さんに時間をとっていただいて、要望を申し上げましたけれども、私どもとしては、ここのところに手をつけていただきたいとお願いを申し上げます。
○倉根部会長 それでは、先ほど手を挙げていた岡部委員、お願いします。
○岡部委員 ありがとうございます。
 風疹の累積の数を拝見すると、3ページ目になりますけれども、以前に比べると大したことはないという印象を持たれると思うのですが、局長が先ほどおっしゃったように、これはもしかすると、前哨戦かもしれないということなので、来年、再来年に向けての警戒ということでは、今の取り組みを強化していただけるということは、大変結構なことだと思います。
 5ページの図を拝見すると、都市別になっていて、関東が増加していて困ったものだということがありますが、関東から首都圏に飛んでいって、愛知が含まれていると思うのですけれども、やはり大きいところの大阪、福岡にだんだん週別の状況がふえてきているのではないかということもありますし、今後のことを考えるならば、この地域においても、従来の関東並びに愛知県のところから、もう少し西の首都圏に関しても、ワクチンということに対して、少し枠を広げてもいいのではないかと思います。
 ただ、そのときに、どうしても全体量のワクチンの状況が心配になってきます。川崎市は、きのう、市議会を通って、補正予算で30代から50代の男性に対しても、広く検査を無料にして、ワクチン代もサポートするということが決まったのですけれども、通ることを願いながらもどきどきしているのは、全体の生産量なので、現在の生産状況も踏まえてどういうふうになっているのかということをお尋ねしたいところです。
 今後の対応方針のところで、11ページ目ぐらいから12ページ目にかけて、特に12ページのマル3とマル4で、それをベースにした抗体価の達成率ですか、その辺を目標にしていることは、大変結構なことなので、ぜひこういうことを進めていただきたいと思うのです。
 4番目の下の※のところに書いてありますが、この目標は、確かに2020年は1つの目安ですけれども、余りこういうことを言ってはよくないのかもしれませんが、ここで達成が十分できなかったとしても、そこで挫折したり、諦めるのではなく、今後についても、そのデータを見ながら、対応方針を例えば前回、申しましたけれども、対応方針を5年計画とか、そういったような形でのこの先ということを見据えていただければ、大変ありがたいと思います。
 もう一つのコメントは、釜萢先生がおっしゃったように、現実としては、本当は抗体検査をやらないほうがずっと利便性もあるし、簡単に早くできることもありますけれども、現在のところ、先ほどの話にも関連するように、無駄打ちといいますか、抗体を持っている方にも全員やるということになると、相当限られた資源(ワクチン)としても無駄遣いになる可能性があるので、現状としてはやむを得ないと思います。
 しかし、抗体検査なしにもできるのだということも、将来的には考えなければいけないと思いますが、それに絡んで、ワクチン接種の方が成人でふえてきたときに、その方々がワクチン接種に容易に行ける環境づくり、これは厚労省とか、役所だけの考えではなくて、企業とか、そういうところの御理解が要ると思うのですけれども、わざわざお金を出して、休みをとっていくということは、働いている者にとっては、大変なことだろうと思いますし、そこは上司であるとか、会社であるとか、あるいはそういう組織が理解をしなければいけないので、まずそれを厚生労働省で範を示していただきたいと思います。いっぱい職員の方がおられると思うのですけれども、厚生労働省が先頭を切って、働いている方々もワクチンにアクセスが容易になるように、そういう工夫をしていただきたいと思います。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 越田委員、どうぞ。
○越田委員 私も岡部先生のおっしゃることに全く同感です。本年10月2日に厚労省の労働基準局から、職域における風疹対策の協力依頼という文書が出ております。私は、金沢市役所の産業医も兼ねておりますので、早速、これを受けまして、平成26年に結核感染症課から出されております「職場における風疹ガイドライン」の中に掲載されているセルフチェックリストを安全衛生委員会の皆さんに配りました。職域で全ての職員にチェックしていただいて、特にチェックリストを回収することは致しませんが、自分で気づいていただいて、気になる方はまず抗体検査をしてほしいという発想で、まず職域から啓発をして参りたいと考えています。
 10ページに書いてございます表を見ますと、黄色にしろ、赤にしろ、多分働いていらっしゃる方、ないしは主婦の世代だと思うのです。そうしますと、主婦は、今、妊娠すると必ず風疹抗体検査をしますけれども、職域ではそういうチャンスがないのです。職域をもっとここに入れ込むことも大事ではないかと思っております。
 金沢市の安全衛生委員会でこのことを申し上げて、人事課長命令で職員個々人が必ずチェックリストをすることと提案しました。それをもって、各自が気づき、考えて、抗体検査をするなり、予防接種するなりすればいいと思っています。それが1点目です。
 2点目は、妊婦さんの抗体検査についてですが、妊娠するたびに何回検査をやっても、抗体価が上がってこないことがあります。1人目のときは8倍、出産後に予防接種をしましたが、2回目の妊娠のときに、検査しても検査結果上では抗体価が上がってこない。もう一回接種が必要かとのことで、産婦人科の先生の中には何回もワクチンをしている可能性があるのではないかと思います。きちんと2回接種したら、一応大丈夫だと言ってさしあげればいいです。今、ワクチンが足りていない状況で、十分量がない中で、必要最低限のワクチン量で効果を求めるには、我々がメッセージとして発信する必要があるのではないかという気がいたします。
 また輸入例の風疹が入ってくる可能性があると思いますので、渡航をするときには、検査をするなり、ワクチンをすることを旅行会社とか、あるいは海外に社員を派遣しているような会社には、メッセージとして伝えることも大事ではないかと考えます。麻しんは、去年海外からの輸入麻疹として流行いたしましたけれども、風疹もだんだんそのような時代になると思います。渡航する前には必要ならMRワクチンを接種してからいくことも発信していいのではないかと思いました。
 もう一点、検査法ですけれども、現在、自治体では、PCR法は都道府県の衛研でやっていただいております。ところが、検査件数が少ない間はいいのですが、検査依頼が増えて参りますと、その都度、保健所職員が検体の移送に関わり、もちろん衛研もその分、しっかりと検査はして下さいますが、相当の労となります。確かに全例PCRは必要ではありますが、周りに風疹の方がいて、感染経路も明らかであればIgM等で判断ができることにして、必ずしもPCR検査が必要ではないのではないでしょうか?
 以上です。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 大石委員、どうぞ。
○大石委員 ありがとうございます。
 今回、厚生労働省でこういう予防接種施策を一歩踏み出して考えていただいたことには、大変感謝をしています。今回の提案としては、1回も接種していなかった年代にということであります。これは予防接種法に基づく基本理念で進められているということで理解はするのですけれども、10ページにある1回も接種していない年代は79.8%、そして、ちょっと下の年代は、中学校のときに1回個別接種の機会を与えた年代では89.9%となっています。感染症流行予測事業の8ページにあるグラフを見ると、30代の男性は、90%には至っていないという気がいたします。
 感染症流行予測事業では約3,000名の成人の血清を調べているわけですが、国民全体を代表するわけではないかもしれないことも考えるべきと思います。その理由としては、先ほど釜萢委員が指摘されたように、6ページにある患者の男女の報告数では、明らかに30代の患者さんがかなり発生していることから、30代男性の感受性者の存在を強く認識していく必要があろうと思うのです。
 予防接種施策としては、予防接種法のもとにこのような方針になるのかもしれませんけれども、今、起こっている風疹国内流行というバイオロジカルなイベントは、これまでの行ってきた予防接種施策が大きく影響して、起こっているわけです。予防接種法に基づく施策が基本かもしれないのですけれども、もう少し柔軟に予防接種の在り方を考えていくことが求められているのではないかということが、私の考えであります。そういうことで、12ページの一番下のところにありますけれども、取り組みの進捗等を踏まえて、対策の随時見直しということで、ここに30代の男性を対象とした接種ということも、今後、検討していただきたいと思います。
 もう一つは、抗体検査を行って接種を行う方針について、ワクチンドーズを減らすために必要不可欠なものかもしれません。しかし、これについては、岡部委員もおっしゃっていたように、接種動向に結びつけることが非常に難しくて、職域の方々に対して、これをしっかりやっていく事が重要です。予防接種施策が決まったけれども、結局、抗体検査まではいっても、接種はできていないという状況は、高い確率で起こるのではないかということは、私の懸念です。
 先週末にAMEDの予防接種の研究班で市民公開講座を開催したときに、産業医の筑波大の堀先生に来ていただいて、いろいろなディスカッションをする機会がありました。堀先生は職域で健診として抗体検査を実施することについても、まだまだハードルがあること、また、職域での抗体検査実施を決めるとすれば、12月中に会社で決めないと、次年度の4月以降の実施はできないとのことでした。
 また、感染研では、抗体検査方法をEIA、HIにこだわる必要がなくできるような体制をとっておりますので、この点も周知しておきたいと思います。
 長くなって恐縮ですけれども、4点目、PCRについては、1カ月ぐらい前から、某自治体からは、PCR検査がいっぱいいっぱいで何とかならないのかという相談がありました。現場では、既に通知等があって、原則、PCR実施ということになっていて、勝手に変えることができないとのことでした。厚労省から通知等で連絡していただくことが必要です。私は先ほどの検査診断について、全例PCRをしないこともあり得ることについては賛成であります。
 以上でございます。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 ありがとうございます。
 先ほど越田委員がおっしゃった企業へのアプローチは、非常に重要だと思うので、もう一回、強調したいところなのです。ただ、風疹は、外から入ってくる可能性が麻疹のようにあるとおっしゃっていたのですが、既に今の風疹ウイルスは、外から持ち込まれているものなので、はしかの状態のようになっているという考え方が必要で、また基本的には、海外に行く方も気をつけていただきたいのは共通です。
 PCR等々のことですけれども、それは感染症法改正の時にこの委員会で既に承知していることだと思うのですが、PCR検査の受け入れ、実施には限界があり、そこの検査機関で依頼検体全部を対応できなかったときとか、あるいは集団発生のときにまで全部やる必要はないのだという申し合わせをここでちゃんとしていると思うのです。
 ただ、自治体は非常に真面目なところがあって、それから、現場の先生方からやってくれないかというと、断る理由がなくなってしまったとか、そういうことがあるのですけれども、再度、そこは確認をして、例えば集団発生の20例と疑いの80例を含めて、100例全部のPCRを行うことは非現実的なので、そこは現実的な対応ができるのだということを、もう一回、大石先生がおっしゃったようなことで、連絡をきちんとしておいたほうがいいと思います。それはキャパシティーによるという考え方も重要であると思います。
○倉根部会長 山中委員、どうぞ。
○山中委員 働き盛りの方々にどう予防接種するかですけれども、県型の保健所でしたら、地域職域連携会議がありまして、そこには労働基準監督署の方もいらっしゃっておりまして、労政に関しては、そういった方々の御指導の力は、大変あるのではないかと思っておりますので、厚生労働省ではありますけれども、そういった方々のお力を借りることも1つの方法だと思っております。
 また、CRSをなくすという意味では、保健所は、病院の立ち入り検査等でお邪魔して、この間も行ってまいりましたけれども、妊婦さんの抗体検査で陰性の方の御主人、御家族に対して、市町村で女性をやっているので、ぜひそういったものを受けてくださいと御指導されているかとお伺いしたら、ちゃんとやっていますというお返事をいただいたので、そういったことも医療の現場で、多分妊婦さんの御主人であれば、モチベーションは高くなっているはずですので、そういったことも地道ではありますけれども、遣っていただくことも必要なのではないかと思います。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 矢内委員、どうぞ。
○矢内委員 他の委員と重なりますので、簡潔にします。まずワクチンの供給体制ですけれども、対策に一歩踏み出す際に、ワクチンが足りないことになってしまうことを非常に危惧しております。ぜひ今後のワクチンの供給体制について、どのように増産していくのかについて、具体的なスケジュール、量等を、お示しをいただければと考えます。
 2点目は、抗体検査でございますけれども、先ほども御発言がありましたが、39歳から56歳に限定して検討しているということかと思いますが、8ページの抗体の表を見てみましても、実際に30代から下がっているのは明らかですし、東京都の患者の発生状況を見ても、40代、30代、20代と患者の発生が集中しております。広い世代で抗体検査が受けられるように御検討いただければと思います。
 3点目ですけれども、抗体検査について、現在の妊婦及び同居者への抗体検査の補助制度を確保した上で、新たな対象についても、何らかの形で、国で補助制度を実施していただければと思います。
 職域の働きかけについては、東京都でもさまざま実施していますけれども、実際には小企業でこういった体制をつくることは難しいという御発言もいただいています。厚生労働省で職域に対する働きかけを強く求めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はないでしょうか。
 私からちょっと伺いたいことがあるのですけれども、今後、かなり数多くの検査をするときに、今度は、検査キットの供給体制はどうなりますかということで、後でまとめてでもいいのですが、そこが足りないと、検査しようにもできないことがあると思います。
 あと、働き盛りの年代の方は、今の仕組みでいうと、一度行って、再度行くという2回行くことになります。ですから、その場で10分、1時間なり、30分なり待っていれば、答えが出て、そこで接種できるというキットがあれば、30分であれば待つ、1時間であれば待つことはできるのであろうと思いますけれども、もう一度、来てほしいということでは、なかなか来ない方もいると思いますが、そういう検査キットがあれば、そういうキットの導入も必要になるのではないかと考えている次第です。
 ほかに御意見はございますか。
 今まで随分多くの御意見をいただきましたが、現段階でコメントできる、あるいは事務局としてリスポンスできるものがありますか。お願いします。
○井口結核感染症課長補佐 事務局でございます。
 キットの供給量についてでございますけれども、18ページに模式図で書いてございますが、こちらのように、今、通常の需要でありますと、キットの供給も、検査会社さんの体制についても、間に合っている状態でございます。今後、抗体検査を広く周知していくに当たって、特に検査ですと、ピークがございますので、例えばその月にずっと平均的に抗体検査が行われればいいのですけれども、例えば職域に絡んでいただきますと、6月が多いとか、そういうことも考えますと、ピークの最大瞬間風速に耐えられるのかという懸念はございます。
 我々でキットメーカーさんであるとか、抗体検査をしていただく検査センターさんとお話しをさせていただいておりまして、例えば19ページにありますような、HI法の8を見るのではなくて、3か2にして見る方法であるとか、先ほど大石委員からも言及がありましたけれども、HI法以外に既に読みかえが調べられている方法が幾つかございますので、それらの供給もあわせますと、抗体検査の需要に対応できるという感触を持ってございます。
 それから、いわゆる迅速キットでございますけれども、現時点で例えば血液を垂らして、すぐに結果が出るものは、残念ながらございません。一方で、先ほど申し上げました、EIA法、HI法以外のもので、比較的早く出るものがあると聞いておりますので、例えば採血をして、その日のうちに結果がわかることができないかどうか、引き続き、追及していきたいと思っております。
○倉根部会長 大石委員、どうぞ。
○大石委員 今、井口課長補佐からの説明にあったHIの3点を見るという、簡易法と言われていますけれども、これをすることで、検査会社として安価に実施できるとか、そういう話ができているのでしょうか。そこがよくわからないのです。
○倉根部会長 事務局、どうぞ。
○井口結核感染症課長補佐 事務局でございます。
 今の段階ですと、模式的に申し上げますと、96穴のプレートの中で横8列分が8倍から1,024倍のところで見ていただいております。これを3つのウエルでいいとしますと、大体2.3倍の検体数が1つの96穴プレートで使えますので、そうなりますと、1つの反応で2.7倍ぐらいの方の検査ができます。したがって、1つのキットで行えるものも2.7倍になりますし、反応時間としても、2.7倍になりますので、検査のスピード、抗体検査のキットの有効活用という意味でも、両方とも効率的にできるのではないかと考えております。
○大石委員 メーカーと価格設定なども相談されているのですか。
○井口結核感染症課長補佐 まず3ウエルでというところについて、今回、審議会の中でこれが科学的によろしいのかというところを御確認いただいた上で、キットメーカーさんとも、少しお話しをさせていただこうと思っています。
○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。事務局、どうぞ。
○賀登予防接種室長補佐 予防接種室でございます。
 ワクチンの供給に関して、少し説明させていただきます。
 MRワクチンですけれども、相場観としまして、おおむね月々20万本ぐらいが通常出ている状況でございまして、その状況に追加して、9月27日の本部会の御議論を踏まえまして、10月以降、東京や千葉などの5都県に対して、ワクチンの追加的な供給をしております。今、今後のさらなる対策を検討いただきましたけれども、その際には、ワクチンの需給状況については、重要なファクターだと認識しております。
 それに当たりまして、ワクチンの増産について、メーカーと交渉を進めさせていただいておりまして、一定の増産が可能である見込みだと認識しております。
○倉根部会長 課長、どうぞ。
○武田健康課長 健康課長でございます。貴重な意見をありがとうございました。
 私からは、予防接種法に関しまして、説明をさせていただければと思います。
 資料ですと、13ページ、今後の対策のところに御紹介させていただいているのですけれども、今回の風疹の流行を受けまして、ワクチン接種の予防接種法上に位置づけについても議論していくという中で、本日も御議論いただきましたように、実務上も効率的な枠組みで実施できるような方策について、考えていくところがポイントだと思っています。予防接種基本方針部会等において、本日、委員の先生からいただいた御意見を十分に踏まえながら、感染症部会とも連携をしながら、今後の対策についての議論を深めてまいりたいと考えております。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 三宅課長、どうぞ。
○三宅結核感染症課長 今後の対策は、いろいろ御議論いただいたのですけれども、1つ気になったのは、9ページの当面の対応の話でございますが、先ほど岡部委員からも行っていただいたとおり、最初からPCRを導入したときから原則であり、私自身も増えたらやめるということは、ここでわざわざ発言させていただいたときもあります。それぐらいで十分だと思っていたのですけれども、さらに市町村から都道府県に、何らかの通知等が欲しいということで、我々も少しやろうと思っているのです。
 ただ、逆に対応方針で、上記の当面の対応を行う自治体においてはということで、今、考えると、限定を狭めてしまって、自治体が困るのであれば、ここを批判していただいて、やめろと言っていただいて、先ほど越田委員から、金沢もうまくやっているということで、まさに柔軟な対応は、先ほど言った流行でも、同居の家族でわかっている方などは、もうやらないでいいとか、最初にうまく合理的に減らして、それでもだめならどうかというフローチャート的なことは、感染研さんでも話し合ってやっていますので、上記の当面の対応を行う自治体においてはでいいのか、それ以外もやったほうが安全というのは、お教えいただければと思いました。
○倉根部会長 今、課長から御意見あり、御意見の聴取もありました。
 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 風疹に限らず、いろんな感染症がアウトブレイクしたときに対応しなければいけない部分なのですけれども、柔軟な対応を可能にしてはどうかという言葉も問題なのですが、従来のここで行った議論を再確認していただければ、私はいいと思います。
 できるところは、できれば科学的なバックグラウンドをとったほうがいいのでやりますけれども、私たちのところでも、緊急にやらなければいけないもの、もうちょっと緩目に2~3日結果を待ってもらいたいものとか、そういう工夫は、臨床側とのやりとりをずいぶんできるようになっているので、そこは各自治体によって、違いは出てくると思います。
 ただ、やめてはいけないのだというところが出てきているのは、最大の大変なところだと思うので、そこをもう少し柔軟に考えないと、今後、パンデミックの時などにもつながる話ではないかと思います。
○倉根部会長 越田委員、どうぞ。
○越田委員 同様で、まず風疹らしいと、医療機関から届け出がありますと、保健所の保健師は容器を持って医療機関に参りますが、実際には風疹ではないことも多々あります。ですから医療機関でも、IgG、IgMを検査していただくことも大切ではないかと思います。
 確かにPCR診断は有用で、確定診断にはなりますが、検査費用は全て行政が支出しています。費用のことはいいのですが、医療機関で検査されて、IgMが上がっていますという報告される例もあるのです。その様な場合は改めてPCR検査を行うことはしません。実際には、自治体ではケースに応じて柔軟に対応しているのが現状です。
○倉根部会長 ほかにございますか。釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 今、越田委員からの御指摘は、そのとおりだと思いますが、厚労省とよく御相談をして、医療機関の現場で不適切な対応にならないように、このような流行時でありますので、もう一度、そこはしっかり情報を出したいと思います。
 今、せっかく発言の機会を与えていただいたのですが、風疹の抗体の検査をした結果、風疹のワクチンを打つとなりますと、接種を担当するのは、医師が基本的にいたしますので、その場合に職域で特に規模の大きなところでは、産業医を中心にそういう機会を設けられる場合もあると思いますが、それはごく一部であって、大部分は、それぞれの個人が接種を受けに行くという形になるわけで、その場合には、職場の御理解はぜひ必要ですし、接種をお引き受けする医療機関も、それなりの準備をしっかりしないと、数がかなり多くなってきた場合に対応できないことがあります。
 仕事をしておられる世代の方々ですから、例えば夜間とか、休日等の接種の機会を地域で設けてほしいということも、今後、出てくるかもしれない。それについては、医師会としても、それぞれの行政としっかり連携をとって、全面的に体制を整えるために努力したいと思っております。
 その上で、一言、申し上げたいことは、予防接種は、健康な方に接種するので、接種後に健康被害というか、体調を崩されたような場合の対応が必要ですので、例えば夜間とか、休日に接種する機会をつくった場合には、その後方で何かあったときにしっかり対応できる医療機関を確保することは不可欠でありますので、そのことも指摘しておきたいと思います。
 以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。ただいま、御意見をいただきました。
 ほかにございますか。岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 たびたび済みません。どなたも御意見をおっしゃっていないので、先ほどのHI法の3点に絞るということですけれども、本来はずっと見ていくほうがより正しいのはわかるのですが、目的は、ある程度のスクリーニングをするということなので、こういうスクリーニングの目的であるならば、ガチョウの貧血を防ぐ意味でも、これはガチョウの血球を使っているので、余り使ってしまってしまうと足りなくなるということですけれども、その意味では、こういう絞るやり方はやむを得ない、とって可能な方法であると思います。
○倉根部会長 ほかはいかがでしょうか。
 ただいま事務局から示されたことに関しまして、多くの意見をいただきました。少しまとめてみますと、現在、5つの都府県で行ってきたのだけれども、西の府県で、大阪府であったり、福岡県であったり、患者発生が多いところについては、そこに加えるべきではないかという意見もあったと思います。
 それから、釜萢委員からも話がありましたけれども、まず39歳から56歳の男性をターゲットとして、そこの抗体保有率を上げていく、85%、あるいはその先の90%に上げていくという意見を示されましたが、さらにそこに30代、あるいは20代の患者発生が明らかにある年代についても、十分考慮すべきではないのかという御意見をいただいております。
 また、事務局からそれを推進するに当たっては、風疹の予防接種を予防接種法に位置づけてはどうかという検討が必要だろうということであります。
 その世代が何歳から何歳までと区切るのは、これからの議論になろうかと思います。職域との連携をきちんとするべきだろうとの意見もありました。それについては、会社の理解もあるだろうし、各地域や会社での決め方、あるいは御理解が十分に要る必要があるのではないかということだと思います。
 渡航業者へのメッセージについても、十分出す必要があるのではないかという御意見がありました。
 ワクチン接種の前に抗体検査を行うことについては、現実的にはしようがないという言い方も変ですが、現実的なことではないかという意見がありました。抗体検査を行って、さらにワクチン接種を行うという2段階が十分機能するように考えていくことも必要ということではありました。
 もう一つ、現在の方法については、1,024倍まで測定しなくても、科学的にはやるべきなのだろうけれども、目的が防護免疫を十分持っているかどうかということを調べるのであれば、そこまでの倍数をしなくてもいいのではないかということがあったと思います。
 全例PCRについては、既に当面の対応を行う自治体においてはということで、できる限りやるという理解はされているということでありました。一方、どこまでPCRをやる、あるいはどういう状況であればPCRまでやれるのかというのは、各自治体にとっては判断が難しい面もあろうかと思いますので、ここについては、ある程度の国としての考え方を出していただけるといいのではないかということでありました。
 ワクチンの増産についてもコメントがありまして、ワクチンの供給面についても、事務局からコメントがありましたが、これについてもよろしくお願いいたします。
 ここら辺の御意見が出たと思いますが、私の言ったまとめに入っていないご意見がありましたら、言っていただきたいのですが。事務局としましても、今回のまとめの中に、さらにこれらの意見を取り込んだ形で、案をまとめていただければと思います。ですから、きょう、ここで決めるということではなくて、この方針は、この方針でいくのだろうということでよろしいと思うのですが、現実に動かしていくとなると、さらなる疑問、懸念も出ますし、ルールの決め方もあるということでありますので、そこも含め事務局としてのまとめを、よろしくお願いしたいと思います。
 現段階でのコメントはございますか。
 それでは、そういう形でお願いしたいと思います。
 それでは、議題の「(3) 報告事項」に行きたいと思います。
 マル1からマル5について、事務局からの御説明をお願いいたします。
○井口結核感染症課長補佐 「(3) 報告事項」の「マル1 HTLV-1の啓発について」でございます。
 資料3をごらんください。資料3は、日本HTLV-1学会が、ことしから、11月10日を世界HTLVデーと制定したことにあわせて、HTLV-1の認知拡大及び理解促進を目的としたイベントとして、HTLV-1対策講演会を鹿児島県との共催で実施いたしました。
 次に資料4をごらんください。こちらもHTLV-1の関連でございますけれども、HTLV-1の認知拡大及び理解促進を目的とした普及啓発資材として、オリジナルの漫画を作成いたしまして、ウエブサイトやSNSを通じて、情報発信をいたしました。漫画については、厚生労働省のウエブサイトでダウンロードが可能でございます。引き続き、より多くの皆様にHTLV-1について、正しく知っていただけるよう、努めてまいります。
 続きまして「(3) 報告事項」の「マル2 後天性免疫不全症候群及び梅毒の届出様式の改正について」でございます。
 資料といたしましては、資料5でございます。後天性免疫不全症候群及び梅毒の届け出様式の改正についてですが、本年4月26日に開催いたしました、第24回の感染症部会において、後天性免疫不全症候群及び梅毒の届け出様式の改正に関して、御議論をいただいたところでございます。
 その御議論の内容を踏まえまして、告示改正を含む所要の手続を行いまして、届け出様式の改正に関する通知を10月18日付で発出いたしまして、その適用が平成31年1月1日から始まりますという御報告でございます。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室長補佐 続きまして、資料6を見ていただければと思います。
 「(3) 報告事項」の「マル3 『スペインインフルエンザから100年』に向けた啓発事業について」事務局から御報告させていただきたいと思います。
 背景としましては、本年が、1918年のスペインインフルエンザから100年という時期になっておりまして、来年は2009年に起きました、新型インフルエンザA(H1N1)の流行から10年という節目になっております。
 我が国では、2012年に新型インフルエンザ等対策特別措置法、また、それに引き続きまして、2013年、新型インフルエンザ等対策政府行動計画、新型インフルエンザ等対策ガイドラインを定めております。
 それも踏まえまして、本年は、先ほど申し上げました、節目の年ですので、今後の対策の重要性を再確認する機会とするために、国民向けの情報の充実及び医療従事者向けの情報提供の実施を行いました。
 国民向けの情報の充実としましては、2月に感染症研究所が主催するメディアセミナーにおいて、説明させていただき、また、今年は内閣府の政府広報オンラインに掲載されている、新型インフルエンザの内容を、新型インフルエンザの概要、対処方法、関連する対策とその理由及び2009年の発生時の状況なども含めて、一般の方でもわかりやすいように改訂いたしておりまして、11月8日に掲載を行いました。これは内閣官房の新型インフルエンザ等対策室と連携して実施しております。
 実際に掲載されたものに関しましては、参考資料2に掲載しております。
 医療従事者向けの情報提供としまして、毎年実施しておりますが、10月28日に、医療従事者向けの新型インフルエンザの診療と対策に関する研修を行わせていただいております。今回は、内閣官房と共同で行わせていただきました。
 研修内容は、これまでの新型インフルエンザ及び現在の国の対策、鳥インフルエンザの現状など、例年より多くの専門家により解説を行っていただきました。
 以上でございます。
○繁本結核感染症課長補佐 続きまして「(3) 報告事項」の「マル4 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きの改定について」でございます。
 資料7をごらんください。
 こちらの手引なのですけれども、平成16年1月30日に、感染症法に基づく、感染症の病原体に汚染された場所等の消毒・滅菌に関する取り扱いに関して、決められたものでございます。
 現在、平成16年当時と比べまして、感染症の分類が異なってまいりましたし、また、発出されてから、12~13年たつ間に、消毒薬も変わってきてございます。
 今回の主な改正点は、感染症法に基づく感染症の分類に従って、各項目を再分類しています。また、消毒薬等の薬剤を、現在、使用されているものに改めております。
 本年中の改正を予定しております。
 以上です。
○嶋田結核感染症課専門官 続きまして、資料8を御用意ください。
 「(3) 報告事項」の「マル5 コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生状況について」です。
 ことしの5月から7月にかけて、9回目のエボラ出血熱がコンゴ民主共和国で発生しました。一旦、収束したのですが、次、別の地域、コンゴ民主共和国の北東部の北キブ州において、10回目のエボラ出血熱が発生したことが、2018年8月1日、同国保健省及び世界保健機関より発表されています。
 11月20日までに、219人の死亡例を含む、患者386人の発生を報告していまして、エボラワクチンの接種を開始したと発表されております。
 こうしたことを踏まえまして、厚生労働省としましては、宣言された翌日の8月2日に、検疫所、医療機関、国土交通省にエボラ出血熱の注意喚起を含んだ事務連絡を発出しております。
 資料8については、以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 何か御質問はございましょうか。
 1つ、私から伺っていいですか。「(3) 報告事項」のマル3です。議題のほうは「スペイン風邪」となっていますけれども、資料6は「スペインインフルエンザ」となっています。いつもスペイン風邪という言葉を聞いているような気がします。スペイン風邪という言葉が正式用語なのか知りませんが、これはどちらでもいいのですか。
 岡部先生、どうぞ。
○岡部委員 2009年の新型インフルエンザのときから、ずっと議論があるところで、一般的にスペイン風邪と言っているのですが、あれはスペイン型のインフルエンザの発生であるということで、当時の新型インフルエンザ委員会では、できるだけ、スペインインフルエンザという表現を使ってほしいという申し入れをしたと思います。
○倉根部会長 わかりました。
 そうすると、議事次第のスペイン風邪は、これはこれでまたよろしいということですね。
○岡部委員 一般の方がどういうふうに理解できるかということを含めれば、風邪という表現もやむを得ないと思うのですけれども、できれば、スペインインフルエンザという表現をしていただければと思います。
○倉根部会長 事務局、どうしましょうか。変えますか。それともこのままにしておきますか。
○竹下新型インフルエンザ対策推進室長補佐 今のオンラインのほうには「スペインインフルエンザ」で登録をさせていただいています。
○倉根部会長 ほかにいかがでしょうか。荒川委員、どうぞ。
○荒川委員 資料5に関してでも、よろしゅうございましょうか。
○倉根部会長 どうぞ。
○荒川委員 感染症法上の5類感染症、HIV感染、梅毒の届出の基準等改正の点でございますけれども、ここ一両日、報道で、梅毒が増えているということが取り上げられ、で、11月18日に国立感染研から報告されている速報では、今年1月から6,096例とすでに、6,000例を超えたということです。昨年1年で5,820例でしたので、明らかに増えているということで、その状況の中で、今年春から改正の議論がされていて、来年1月から施行されるわけですけれども、このたびの梅毒での改正は、かなり画期的なものであると評価させていただいております。
 新旧対照表となっていますが、3ページの検査方法ですけれども、これにはPCRが入っています。梅毒トレポネーマのPCR検査はまだ保険収載されていないのですけれども、今後、必要な検査だと思われます。特にごく初期の梅毒で、血清の梅毒抗体がまだ上昇していない段階で、病変がある場合、PCRが確定診断につながりますので、これから保険収載に向けて、さらに開発を進めていただきたいと思います。
 新旧の旧のほうに記載されている、墨汁法とか、ガラス板法という、現実的に行われなくなっている検査法が削除されたことも、臨床現場に即したものであると思います。
 また、発生の届け出票ですが、6ページにあるように、感染原因・感染経路の具体的な項目が増えました。また、過去の治療歴の記載によって、再感染か否かがわかるようになりました。
 さらに妊娠の有無の記載が義務づけられて、妊娠ありの場合は、週数まで書き込むようになりまして、このことにより、妊娠期梅毒の実態が明確になると考えられます。これは新しい考え方にのっとった、画期的な改正だと思います。
 ただ、活動性の梅毒で、治療対象になるもののうち、届け出対象にならないものがあることは留意すべきと考えます。症状があっても、ごく初期で、RPR、TP抗体、この2種類の血清抗体が陽性でない場合がその1つです。
それから、潜伏梅毒で、治療が必要なのだけれども、症状がない場合においては、RPR値が希釈法では16倍以上、自動化法では16単位以上が、そういう場合の届け出基準なのですが、その基準値未満であれば、治療が必要でも、届け出対象にならないわけなので、そういうことを正確に医師に理解してもらうことが必要であると思います。
 これらのことは、基準をよく読み込めば、理解はできるのですけれども、誤解されないよう、こういったことの周知は、例えば日本性感染症学会のガイドライン等で注意喚起するということが、適切だと思っております。2018年度中に改訂版が発行予定の日本性感染症学会のガイドラインでの梅毒の項では、そのようなことも盛り込まれる予定です。
 一番理想的なのは、活動性梅毒と届け出対象梅毒が完全に一致することでありますけれども、今、それを行っても、従来との報告数の対比ができないので、急ぐ必要はないと思っております。そういったことを、もう一度、よく認識して、改正された方式にのっとった報告で、実態把握をより詳細にしていくということが大切だろうと思います。
 なお、来年1月からの改正の通知につきましては、日本性感染症学会のホームページの最新ニュースにアップロードするとともに、11月24日、25日に東京で開催されました、日本性感染症学会第31回学術大会で、休憩時間に広報させていただきましたことをご報告させていただきます。
○倉根部会長 ありがとうございました。
 ただいまのコメントに関して、事務局からございますか。よろしいですか。
 ほかにございましょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで、本日用意された議題は終わりました。
 1つ、御提案なのですが、次回、感染症部会を行うときに、どうしてもワクチンの話が出てまいりますので、予防接種基本方針部会と合同で行うのがいいのではないかという提案でございます。本日、ここに参加していただいている委員の方の何人かは、基本方針部会の委員としてやっておられる方もおりますが、そのような方向で進めるということで、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根部会長 部会としては、そういうふうに考えておりますが、これを踏まえまして、また事務局で御配慮いただければと思います。
 それでは、事務局から何かございましょうか。
○井口結核感染症課長補佐 承りました。次回は、予防接種基本方針部会との合同開催とさせていただき、風疹について御議論いただけるように、案を取りまとめたいと思ってございます。
 事務局からは、以上でございます。
○倉根部会長 ありがとうございます。
 本日は、風疹、感染症発生動向調査の機能強化について、特に多くの時間を費やしまして、委員の先生方からは、たくさんの貴重なコメントをいただきました。ありがとうございました。
 それでは、これをもって、本日の部会を終了したいと思います。ありがとうございました。