第8回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発振興課

日時

平成30年12月5日14:00~16:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(中央合同庁舎5号館18階)

議事

○伯野研究開発振興課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから、第8回厚生科学審議会臨床研究部会を開催させていただきます。本日は、部会の定数14名に対しまして、11名の委員の方々に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、川上委員、新谷委員、藤原委員におかれましては、欠席されるとの御連絡を頂いております。
まず、事務局より、委員及び事務局の交代について御報告申し上げます。臨床研究部会委員につきましては、川西先生と鹿野先生が御退任され、今回から新たに2名の委員に御参加いただいております。簡単で恐縮ではありますが、御紹介をさせていただきます。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部審査企画課長の前田大輔先生でございます。続きまして、本日は御欠席されておりますので、お名前のみの御紹介となりますが、公益社団法人日本薬剤師会副会長の川上純一先生が御就任されております。以上、2名の先生に御参加いただいております。
続きまして、事務局につきましても人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。医政局長の吉田、大臣官房審議官の迫井、医政局研究開発振興課治験推進室長の吉田でございます。申し遅れましたが、私は医政局研究開発振興課長の伯野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議資料についてですが、先ほど御説明がございましたが、厚生労働省全体の取組といたしまして、ペーパーレス化を進めております。これに伴いまして、今回からの取組として、当部会でもペーパーレスとし、お手元のタブレットを操作して御覧いただきますようお願いいたします。操作等で御不明な点などございましたら、適宜、事務局のほうでサポートさせていただきますので、挙手等でお知らせいただければと思います。なお、タブレットを御覧いただきまして、資料でございますが、上のほうから資料0が次第で、資料0の01と02がございまして、資料1、2、3とございます。参考資料としては、参考資料1と2-1、2-2、2-3、2-4、更に参考資料3という形で入っているかと思いますが、お手元で不足等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
円滑な議事進行のため、頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 部会長の楠岡でございます。本日は、師走のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、早速議事に入らせていただきます。議題1は「臨床研究部会長代理の指名について」です。厚生科学審議会令第6条第5項には「部会長に事故があるときは、部会に所属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されており、部会長が部会長代理を指名することになっております。この部会長代理につきましては、これまで川西先生にお願いしておりましたが、先生の御退任によりまして、今回新たに指名させていただく次第であります。つきましては、部会長代理を藤原委員にお願いしたいと思っております。藤原委員におかれましては、本日御欠席されておりますが、事前に御意向を確認したところ、お引き受けいただけるとの返事を頂いておりますので、御本人が欠席されている状況ではございますが、この際、部会長代理に藤原委員を指名させていただきたいと思います。あとは、事務局のほう、よろしくお願いいたします。
○伯野研究開発振興課長 了解いたしました。
○楠岡部会長 それでは、続きまして、議題2「臨床研究・治験活性化に係る今後の方針について」、事務局より説明をお願いいたします。まず、資料1と資料2について説明をお願いします。
○吉田治験推進室長 それでは、事務局から説明いたします。タブレットの上から4つ目、04の資料1の、今後の部会の進め方(案)のファイルを開いていただければと思います。「臨床研究・治験活性化に関する今後の進め方(案)」ということで、実は昨年の第4回の臨床研究部会において、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の総括を行っています。また、その後の臨床研究法の施行等の最近の臨床研究を取り巻く環境の変化などを踏まえて、今後の臨床研究や治験の活性化に係る方向性について、この部会で御議論いただいて、臨床研究部会の考え方について、一定の取りまとめをしていただきたいと思っています。今日は、そのキックオフと考えていて、その取りまとめの大枠として、この四角で囲んだ部分、このように考えているところです。
まず、「1.今後の臨床研究・治験活性化に係る方向性について」、「2.臨床研究の拠点の在り方について」、これは1.の議論の一環として、臨床研究中核病院等の臨床研究拠点に求める機能等について、今後の方向性を御議論いただくということを考えています。「3.その他」ということです。
スケジュールですが、今日12月5日がトータルでいくと第8回、事実上の第1回と考えていただいて、今年度内の3月までに4回程度開催させていただきます。そして、3月のときに中間取りまとめを予定しています。このときには、この大枠の1.を中心に中間取りまとめをしていただければと思っています。そして、年度を明けまして、夏頃をめどに2.の大枠を含めて全体の取りまとめをしていただくと、このような予定で考えているところです。
次に、05資料2の「臨床研究・治験活性化施策の方針について」というファイルを開いてください。この資料2は、今日の議論をしていただくためのきっかけとなる資料を事務局で用意しました。めくっていただきまして、まず、昨年度の第4回の臨床研究部会のおさらいからしたいと思っています。
3ページ、「活性化計画策定の経緯」とあります。平成9年の新GCPの導入後、「治験の空洞化」ということが問題視され、3回にわたって治験等活性化計画というものを講じました。その結果を受け、昨年の第4回の部会で、その第3次の計画である「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」について、その集大成という意味での取りまとめをしたところです。
4ページです。第4回部会での整理として、主に3点あります。1点目は、5か年計画2012を総括し、計画の履行状況について確認したということ。ここでは、5か年計画2012に掲げた多くの項目で達成又は取組の進捗が確認されたと結論付けられています。
5ページ。2点目として、部会では臨床研究・治験施策に関する臨床研究部会の位置付けを確認しました。すなわち、今後もまた、いわゆる何か年計画というものを作っていくのかどうかという点に関してですが、これについては適時検討、意見を反映して進めていく会議体としてこの部会を活用して、随時検討・随時実施していくものとして議論を扱っていくと、このような結論付けがされています。
3点目として、今後の課題については、次の2つの基本的な考え方に基づき整理することにしたとされています。考え方1は、質の高い診療を患者・国民に提供するためには、質の高い臨床研究が必要。考え方2として、臨床研究・治験の推進には、実施する医療機関との協力はもとより、国民・被験者からの理解・協力が不可欠というものです。
6ページです。この第4回部会で、その時点での再整理された今後の課題ということで、一定の取りまとめをしています。これは、5か年計画2012における残余課題と、環境の変化を踏まえた今後の課題のその時点での再整理ということです。
まず、1)臨床研究に係る法制的な整備。1として実施基準の整備、2として認定臨床研究審査委員会の整備とありますが、これについては臨床研究法の施行により対応済みです。
2)臨床研究・治験の実施体制の整備ということで、これについては臨床研究法の施行に伴う中核病院の認定基準の改定があります。これについても、医療法施行規則の改正により対応済みです。
また、2)の2臨床研究中核病院による他の臨床機関の支援・公益機能の強化と拡大、3)の国民・患者への普及啓発、この2つについては赤の点線で囲っていますが、これから更にやらなければいけない課題という形で認識されています。
7ページ、8ページを御覧ください。これらを踏まえて、今日のキックオフの議論をしていただくに当たって、その議論のきっかけとなるような項目、たたき台を事務局のほうで用意しました。8ページです。臨床研究・治験の活性化に係る論点案ということで、全部で7項目挙げました。まず、1.現状を踏まえた臨床研究の拠点の在り方をどう考えるか。例えば、臨床研究中核病院による他の臨床機関の支援や公益機能の強化と拡大の方策としてどのような取組が必要か。2.臨床研究・治験を実施する医師や研究支援人材については、育成した人材が活躍できる環境整備、いわゆる出口についてどのような取組が必要か。3.小児疾患、希少・難治性疾患など、治験が進みにくい分野の臨床研究について、更にその促進をするためにはどのような取組が必要か。4.国民が臨床研究・治験を理解し参画することを促進する方策として、どのような取組が必要か。5.質の高い診療につながる研究を促進するための方策について、どのような取組が考えられるか。6.臨床研究法施行後、各研究者が適切に臨床研究を実施できるための支援や、運用上の考え方の整理が必要ではないか。7.このほか、臨床研究・治験の活性化のために必要な方策としてどのような取組が考えられるか。
これらについて、今日は初日ということで、フリーディスカッションに近い形で先生方の率直な御意見を頂ければと思っています。説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。
○伯野研究開発振興課長 ここで、医政局長の吉田でございますが、他の公務のため退席をさせていただきます。
○楠岡部会長 それでは早速ですが、資料2を中心にいろいろ御議論いただきたいと思います。昨年の夏に、この臨床研究部会が発足いたしまして、臨床研究法に基づく省令等を設定するために、委員の方々にはお忙しい中、毎月1回程度集まっていただき、臨床研究法に係る御議論をいただいたわけであります。ちょうど1年ぐらい前になると思いますが、その中の第4回のところで、少し臨床研究法から離れて、これからの臨床研究・治験活性化に関してどうするかという御議論をいただいたことを覚えておられるかと思います。御承知のとおり、ずっと臨床研究・治験活性化に関しては、3か年計画とか、5か年計画が作られてきて、一番最後が臨床研究・治験活性化5か年計画2012です。これも5か年計画でしたので、2016年度に一旦終了した格好で、2017年度に臨床研究部会が発足したときには、そういう5か年計画的なものがない状態であったわけです。
そのときの第4回の議論におきまして、今までは活性化計画等を作るに当たって、検討会等を組織し、そこで議論いただくということ、したがいまして、作るときに検討会は作られるのですが、その後のフォローアップとか経過に関してはなかなかその検討会を持続させることが難しく、ある意味、作って5年後にもう一回総括するみたいな形になってしまう。今の非常に変化の激しい時代に、持続的に状況を見ながら方針を立てていくにはそぐわないシステムになっていたということを踏まえまして、今後、活性化等に関する議論はこの臨床研究部会で行い、そこで議論いただいたことを厚生労働省に実施いただき、また次の臨床研究部会の場で、それをチェックしていくという形で、PDCAを回していこうという話になったかと思います。
臨床研究法が今年の4月から施行され、いろいろまだ解決していない課題はたくさんございますけれども、そこは、今進めていく中で、その臨床研究法も踏まえて、臨床研究・治験をこれからどうやっていくかを考えておかないと、やはり困るということで、今日、御議論いただくというような位置付けでございます。
これからいろいろ御意見を賜りたいと思います。資料2の8ページに1から7の論点を挙げていただいておりますけれども、その中で特にどの部分に関わるところということをお示しいただきながら、御意見を頂ければと思っております。特に順番にとかいう話ではございませんので、どの論点からお話いただいても結構です。現状、臨床研究・治験活性化において問題になっている点とか、あるいは評価できる点等がございましたら、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○山口委員 山口でございます。資料2の8ページの論点案のところについて2つ、意見を述べたいと思います。まず、1つ目の、臨床研究中核病院による他の臨床機関の支援・公益機能の強化と拡大の方策ということです。確か、今、12病院ある中で、できればこういう議論をしていくときに、それぞれの病院が今どれぐらいの進捗状況にあって、どれぐらい臨床研究に取り組んでおられて、例えば得意な分野がどのようなところなのか、どこを強化しているのかなど、そういった実態を、是非、この検討会で出していただきたいと思います。そうすれば、より具体的に方策を考えていけるのではないかと思いますので、次回以降で結構ですけれども、そういう資料があれば見える形で出していただきたいということが1つ目です。
そして2つ目として、一応、一般市民の立場でここに座っておりますので、4番目の、国民が臨床研究・治験を理解し参画することを促進する方策についてです。これはずっと言われていることだと思うのですが、治験や臨床研究という言葉は聞いたことがあるけれど、誰かにそれを説明できるほどの知識にはなっていないというのが一般的な現状だと思います。私はこれを一般常識にできるぐらいにしていかないことには、例えば欧米では生物統計家というのは当たり前に研究のときにはいる人だという認識を一般の方が持っているのに、日本の場合は全然そういうことに至っていないとか、例えば利益相反でも、ないことが良いことと考えている風潮にあるなど、正しい知識が全然広がっていない。そういう現状がある中で、本当に届く情報として、どう伝えていくのかを真剣に考えていかないといけないのかなと思っています。
これは厚労省の問題ではないと思うのですが、今、薬の教育が中学生の段階で入れられるようになってきて、薬物や危険ドラッグについては伝えているのですけれども、薬を開発するということも薬の教育の1つに入っていると思いますので、例えばそういったところで、薬がどうやってできていくのか、治験や臨床研究、更にはそれはどういうふうに倫理的に行われていて、そこに必要とされている専門家がどういう方なのかというような、一般的な基本知識となるように教育の中に盛り込んでいく。やはり学生のときに習えば、生物統計家などの専門家を目指す人も出てくるかもしれませんので、そういったことを提案していくことも1つではないかなと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。薬の教育のことは、ずっと前からやはり課題にはなっていて、一時、小学校、中学校には学校薬剤師という方がおられて、そういう方々に薬のでき方みたいなものを講義といいますか、何か機会をみて話してもらえばどうかとかというような意見も出たことがあるのですが、結局、余り実現化しないままに立ち消えになったようなところもありますので、またこれも考えなければいけません。
○山口委員 おっしゃるとおりで、やはり日本が研究ということをこれからもっと進めていくということになれば、やはりそれを支える若い人たちにどんどん知ってっていただくことは、私は不可決だと思っています。是非、そこは強力に進めていただきたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○花井委員 1点は、今の教育の面なのですけれども、実は中学校3年生に薬害教育のためのパンフレットを配っています。当然、薬害を言うためには医薬品の審査という問題が必要なので、そこにはPMDAも含めて薬品の審査の制度というのは一応書いているのです。薬害というのは、何か薬が怖いという印象の講義ではなくて、医薬品の理解というところでやっていただくので、以前から学校薬剤師さんを含めて、薬の開発のプロセス、それで結果的にこういうことが起こったということをやって、いろいろとあの手この手で医薬のほうでホームページに上げて、その先生が教えやすいようなツールも提供しています。もし、特に研究のところも含めて、またそういうのが御利用いただけたらというのが1点です。
それからもう1つは、臨床研究を進めていく上で、特に臨床研究中核病院を検討したいときの環境が、結構いろいろな研究不正というのがあって、その研究の在り方について社会から注目が集まったという経緯があります。具体的には、今、裁判でやっている研究不正の話も含めての話なのですが、そのときに各問題のあった病院のヒアリング等々行って、何が起こったのかという調査をしたわけです。そのときに分かったことは、そのときの報告にも書いていますが、臨床研究をする主体側の臨床研究に対する認識が余りにも悪いと。
具体的に言いますと、まず、リサーチクエスチョンを構想します。その次にそのリサーチクエスチョンを実証するにはどのようなプロトコルがあってできるかということを考えます。その上で、これをやることの医薬に対する貢献とか社会的意義は何か、倫理的問題は何かということを理論をもって検討をして、いわゆる研究計画書を記述するというのが研究者の基本的スキルなわけです。当時、やはり、責任を持ったいわゆる教授級の人たちが、そういうようなコンセプト自体を理解してないような、つまり、教える側の人間がもうその有り様では困るだろうということがありました。あれから何年かたってますので、その後、これは文部科学省の管轄でもあるのですけれども、やはりその研究をする学生さんたちに研究を教える側が、どのようにあれ以降、良くなったかということを何か分かるものがあれば教えてほしいというのが1点です。それも今、山口さんがおっしゃられたように、今後、資料があれば次の辺りから、臨床研究に対する教育が良くなったのか、悪くなったのか、変わってないのかということをちょっと見ておく必要があるかなと。
それからこれは各論になりますけれども、8ページの3.の難病の話で、今御案内のとおり、臨床研究はビッグデータという、こういうリアルワールドデータ(RWD)という何か意味不明な横文字の言葉が使われていますけれども、要はレジストリー、つまりデータの質を確保したレジストリー、それが願わくば悉皆性があるものというのが、皆さん、研究には必要なのです。そのときに、まず6.の場合、6.というか一般の治験に国民の理解というものもあるのですけれども、レジストリーという、ある種のデータを集めようとすると、こういう希少疾病の場合はやはり患者会というか、ある程度、患者側の組織というか、患者側のコミュニティがその必要性を理解して、それでもみんなで登録しようよという話にならないとなかなか難しいと。
難病法施行以降、基盤研究所のほうでそういう事業をやっているのですけれども、やはり難病関係の人の話を聞いても、その意義というか、レジストリーに参加する意義が十分に理解されないところがありますので、やはりそういう難病とか、小児疾患とか、こういった割と慢性的な疾患の場合は、患者組織とどう連携するかということも、今後、重要になってくるのではないかと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
○羽鳥委員 6ページの臨床中核病院による他の臨床機関の支援についてです。山口先生もおっしゃいましたが、この決められた12の臨床研究中核病院が他の大学病院などと、どういう支援をやっているのかをやはり明示していただきたい。というのは、私の知っている範囲ですけれども、東北のある大学病院では、研究をするに当たって中核となる所から支援をなかなか受けにくいということもあるので、受ける側の方のヒアリングも、是非、やっていただいて、中核病院の支援機能が有効に働いているのかどうかはやはりチェックしていただきたいと思います。
それからもう1つ、花井委員がおっしゃった難病・小慢について、私も難病・小慢の委員会に出席していますが、難病の患者さんは希少疾病である場合も多く、製薬メーカーもなかなか開発に至らないこともあるので、患者さんから、登録してもいいから新薬を創出してほしいという希望があります。もちろん、お互いに理解を深めるということも大事ですけれども、そういう研究の在り方があってもいいのではないかと思うのです。個人のプライバシーを強調して、病態像がわからなくなってしまっては新薬の開発につながらないこともあります。
○楠岡部会長 ありがとうございます。清水先生、教育の話と、それから、今、ダブル拠点になられて御苦労されている点もあるかと思います。そのお立場から是非、お願いします。
○清水委員 京都大学医学部附属病院は、臨床研究中核病院であると同時に橋渡し拠点という、いわゆるダブル拠点になっていて、その中でもこういう自施設以外への支援というのは強く求められていて、できる限り御支援したいという思いを拠点側は持っております。ただ、どの程度のことをしているかということに関しては、中核病院あるいは橋渡し拠点、TR拠点になっている所に関しては、今のところ、AMED事業の革新的医療技術創出拠点プロジェクトのメンバーに自動的になっていて、そこの成果報告会等は毎年行われているので、どの程度の支援をどういう所にしているか、あるいはその実績としてどういう成果が上がっているかということに関しては簡単に資料を出せる状態になっていると思いますので、それは次回にでも出していただければと思います。ただ、他施設に対する、要するに拠点以外に対する支援というのは確かに必要で、この、特に臨床研究法が施行されて以来、そういう支援組織なしに研究するというのは非常に難しい状況になっているのは事実だろうと思います。
一方で、中核病院への指定の条件等の見直し等もされたところでありますけれども、依然として幾つかの項目が、自拠点の所から臨床研究は何本あるのかとか、あるいは、それに関する論文が何本出ているかとかというのは、これは毎年、調査がありまして、1年単位でそれをちゃんと満たしていますよねという、満たしていなかったら取り消されるのかどうかは知りませんけれども、満たせない状態がずっと続くと、それは拠点として成り立たなくなっていくような状況だと思いますので、どうしてもそういう部分をまずクリアしていかないと拠点として維持できないという実情があるので、他拠点のものを支援して自拠点がおろそかになると拠点として成り立たなくなるという変な事情があります。むしろ、他拠点のものをどれだけ支援しているかということも評価項目にしていただくような方向のほうがいいのかもしれないと思います。
ただ一方で、支援をするのにも、主に人的ですけれどもリソースが必要で、現実問題として、自拠点のものを支援するのですら足りないのではないかと。自律を強く求められているので、支援を受ける側から支援に掛かる経費を負担していただきながらやるというメカニズムになっているのですが、必ずしも潤沢な資金があるわけではなくて、やればやるほど、逆に貧乏になってしまうという状況に多くの拠点がなっているという状況です。拠点側としても、拠点をサスティナブルに維持しつつ、なるべく広く、その拠点外、内外問わず、必要なサービスというか支援を提供できるような状態にしていくためには、「今後」のところにもその議論が出てくると思うのですけれども、拠点を維持していくためのリソースをどういう形で維持するべきなのかということは、是非とも御議論いただきたいと思います。
次に教育の部分ですけれども、これに関しては、もちろん、初等中等教育レベル、今の中学校とかというお話も出ていましたが、それも非常に重要だと思いますし、国民に広く御理解いただくためにも、理解というか、後に出てきますけれども、患者さんというか、広く研究者以外のそういう医療を受ける立場の方の協力がないと、臨床研究・治験というのは成り立たない話なので、共にやっていくという姿勢でないといけないと。そういったことを理解していただくためにも、どういうメカニズムなのか、薬はどうやって開発されていくのか、あるいは、いわゆるエビデンスはどうやって蓄積されて、それが実臨床にどう反映されていくのかというようなことについて、やはりかなり早い時期からコンスタントに、その時期、時期に応じて、必要な教育を是非ともしていかなければいけない。これは多分、厚労省サイドというよりは文科省サイドの教育の話になるのかもしれないですけれども、これは是非、どういう形でもできる限り取り組んでいかなくてはいけない課題です。
ところが、今度は、医師側に対する教育、医学部の教育に関しても、今、日本の大学病院はいわゆる認証評価を受けるのを順次やっていて、京都大学も昨年受けたところです。国際標準の医学校として認められるための基準を満たしているかどうかということを認証していただくわけですが、その中にEBMという項目はあるのですけれども、医薬品の開発とかそういうような項目というのは、もともとコア・カリキュラムというか、そういうものに含まれていないのです。これはもう、ダブル拠点というかTR拠点が始まったときからの課題で、そもそも医師側が、そういう開発がどうやってやられていくのかということに関する理解が大部分の人に欠除していると。研究ってどうやってやるのだという、その研究の組み立て方に対する教育というのもほとんどされていないというのに等しいと。それは今般のそういうスキャンダラスなことも踏まえてだと思いますけれども、徐々に改善されつつあるとは思いますが、まだまだそれに関しては決して十分とは言えない状況であろうと。
一方で、今度、医学校の立場から言うと、臨床実習の時間の必須化とか、そういうようなことがあって、どんどんやらなければいけないことが増えていて、その中にどうやって詰め込むのだという議論もあるぐらいです。これは本当に全部やれるのだろうかと、そういったところも含めて、やはり抜本的な改革的なことが必要な時期に来ているのではないかと。ただ、これはやはり医学教育全体のことに関わることなので、文科省も巻き込んで、そういう議論をしていかなければいけない状況なのだろうと思います。ですから、その辺は、御期待に沿えない状況にまだあるということはおわびしなければいけないのかもしれないですが、そういう状況です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。今、渡部委員も東京大学の臨床研究中核病院で支援する場で働いておられると思いますが、御意見をお願いします。
○渡部委員 私どもの所も清水先生の所と全く同じ状況で、他施設も支援しなければいけないというのは、十分に認識しているところではあるのですが、中核病院の要件を満たすというところでも、なかなか苦労している状況です。あの要件に関しても、最低ラインを満たしているだけだと、他施設の支援にまでリソースを回すことがなかなかできないという大変苦しい思いをしているところです。最低ラインを満たしているだけでも、マンパワーを上げれば何とか解決ができるのではないかとは考えているのですが、これは2番の人材育成にもつながるかもしれません。第4回の部会のときにも申し上げたのですが、例えばCRCですと、養成研修等で何人育成をしましたというデータはあるのですが、では、どのくらい定着して、その人たちが活躍しているのかとなると、そこはまだ分からない状況で、なかなか定着もしていないではないかと。CRCを例に挙げましたが、そういう試験を支援する人たちが定着して、十分に力を発揮するという体制ができれば、もっといろいろな他施設の支援などにも力を向けることができるのではないかと思っています。
本年、日本臨床薬理学会で学会認定のCRCを対象にしたアンケートを実施していて、700人弱の認定CRCの方から回答を頂いているのですが、御自身の施設でキャリアラダーがあるかないかというアンケートの項目があり、回答としては20%の人が「ある」と答えただけでした。人材を育成して、その人たちがステップアップしていくというのが、まだまだ整っていないので、是非、そういったところも活性化できるといいと思っております。
3番に関しては、治験に関しては、最近、難病とかニッチな領域の患者さんを対象とするような試験が増えていて、それこそグローバル試験であるとか、そういったものも多いのですが、いざそれを実施してみようとすると、日本の医療事情になかなかそぐわなくて、患者さんや実施する医師とかコーディネーターに関しても、苦労しながら、なかなかエントリーも進まなくて、困ってしまう案件も増えているような気がしております。
これはグローバルだとなかなか難しいところだと思うのですが、円滑に実施するには、やはり患者さんの意見も取り入れながらプロトコールを立案するとか、今後そうしたことも必要なのではないかと思います。製薬協でもペイシェント・セントリシティとか、たしかそうした活動を始められていると伺っていますので、難病とかの試験だと、患者さんも巻き込んだプロトコール立案をするとか、是非、そういった仕組みができないかと最近思っているところです。
4番の国民に理解していただくことに関しても、中核病院や一部の大学病院などは、市民公開講座や文化祭などでブースを設けて、そういった宣伝活動をするという試みも草の根ではしているのですが、結局、興味を持っていただいた方に寄っていただけるだけで、興味を持たない方は、特に知らないまま過ごされているという状況ですので、是非、薬の開発とか、そういったものを満遍なく周知できるようなシステムがあるといいと思っております。すみません、雑ぱくですが、以上です。
○楠岡部会長 最初のほうでおっしゃっていた臨床薬理学会のアンケート調査ですが、キャリアパス、キャリアラダーがあると答えられた方、そのCRCは、企業、CROとかSMOに属しておられる方か、あるいはアカデミアとか、一般病院とか、その内訳みたいなものは。
○渡部委員 内訳のデータもあるのですが、国立大学病院のコーディネーターが一番多くて、もちろん私立大学とか、SMOのCRCも学会認定のCRCには含まれていますので、それなりの割合があります。
○楠岡部会長 会社ですと、そういうラダーみたいなものを作って、より上位のポジションに付けていくというシステムがあるのに対して、アカデミアとか一般の病院ですと、そこがなかなかできていない。企業とそうでない所でのラダーの有り無しの差は何か出ていますか。
○渡部委員 すみません、そこまでは情報を持ち合わせていないのです。
○楠岡部会長 分かりました。ありがとうございます。あと、実はがんセンターが臨床研究中核ですが、今日、藤原先生はお休みですが、藤原先生のほうから関連する項目で御意見をもし何か事務局で預っておられるようでしたら、御紹介いただければと思います。
○吉田治験推進室長 藤原先生は欠席で、一応、事務局で代読をお願いしますということで、メモを預かっております。
1つ目は、臨床研究の拠点の在り方についてという御意見です。シーズ開発を主体とする早期臨床開発に力点を置きすぎた整備となっているのではないか。診療ガイドラインを変革するような研究結果の出る既承認薬・医療機器等を用いる比較試験のような後期臨床開発を十分に実施できる整備が必要だ。RWD推進やサイバーセキュリティー強化をうたいつつも、大規模医療機関のICTの関連整理費は公的予算からは十分に担保できず、診療収益から徐々に整備を行っているのが現状なので、抜本的な対策が必要だ。例えば、ナショナルセンターと国立病院機構傘下の大病院では、電子カルテを共通化し、部門別システムも共通化するなどし、RWDを輩出する大規模改修を行うなどがあるのではないか。また、医療ビックデータの利活用の推進には、フィンランドで制定されているような「社会健康情報の二次利用に関する法律」の立法が必要と。
2つ目の意見として、研究支援人材について。近年の臨床研究は多様化しており、旧来の医療職の枠組みとは外れる人材の活躍が必須である。大学には教育職という俸給表が存在するため、比較的これらの人材の雇用は容易であるが、国立病院機構傘下の病院やナショナルセンター病院、多数の大学付属病院以外の教育医療機関での雇用は難しい。人事院の俸給表の改定により、新しい職種の活躍の後押しができるのではないか。
3番目の意見は、国際化についてです。PMDAの国際戦略でのアジア重視やユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの注目が高まる中、我が国の臨床研究で培ったノウハウを、これからの世界経済を牽引するであろう東南アジアへの移転を図る必要性は高い。アジアとの国際共同臨床試験を各国規制当局への申請に耐え得るレベルで実施可能な体制整備が必要だ。さらにPMDAでの承認審査結果をアジアで共通に利用できるよう各界が協力して推進すべきとも考える。
4つ目の意見として、臨床研究法の問題点です。特定臨床研究を薬事承認申請の添付資料として活用できる薬機法関連法令の改定が必要だ。また、適応外使用の臨床研究を、一律厳しく規制する現行法の枠組みについては、今後の法改正において改正すべきと考える。
5番目の意見として、国民への情報提供策ですが、jRCTの整備を進め、国民が臨床試験を容易に検索できる体制の整備が必要だ。EMAが長年実績を持っている不承認・申請取り下げ品目の審査報告書を、我が国でも実現すべきだ。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。引き続いて御意見はありますか。
○国忠委員 いろいろな所から教育に関して製薬協としてもやっていかなくてはいけないことがあると思ったのですが、実際に製薬協全体としてやっている部分もありますし、あるいは会社単位で薬の博物館みたいなものを作って、そこで実際に薬の開発等はどうやって進んでいるのかというのは、いろいろな意味で小さい子供たちに教育させてもらっています。それが夏休みの自由研究の題材になったりして、そういう面で草の根のレベルから少しずつやっているのは間違いないと思います。
さらに、私たち製薬協としては、CRCの在り方会議などを通じて、実際のCRCたちとどうやれば臨床研究・治験がうまく動くかについて、ずっと話合いをしていますので、そういうことも役に立っているのだろうと思います。もちろん、アカデミアあるいは当局、そういう方たちが教育をやることも必要だろうと思うのですが、私たち産業側としてもその一部の役割を担って、産官学協同でやるまでには至らないとしても、それぞれがやっていかなくてはいけないのだろうと思っています。
それと、幾つか先生方の御意見を聞いている中で、これからのリソース、今の藤原先生のお話にもありましたが、研究支援人材といいますか、そういう人たちの育成に関して、何かせっかくそういう人材を育成しても、うまく活用できていないみたいなお話をよく聞きます。実際に製薬協もAMEDの事業、楠岡先生も入っておられて、我々も一緒に参加してやらせていただいているのですが、生物統計家育成事業をやっているわけですが、実際に2つの大学院で生物統計家を毎年10人ずつぐらいマスターの学生がこれから出てくるのですが、いろいろ聞いてみると、今後、その人たちがちゃんと私たちが求める医療現場で生物統計家として採用されるかどうか、ちょっと分からないというか、何のために、私たちも協力して、かなり資金も出してやっているわけですが、そういう面で、せっかくつくっている人材がうまく活用できないのを何とかしないと、宝の持ち腐れになってしまうし、これから生物統計家の大学院などに行くのはやめてしまおうという人も出てくるかもしれないし、あるいはもっと悪い状況というのは、そういう病院で雇ってもらえないのなら、企業へ行ってしまうぞなどと、そう考えられるのも困ってしまうので、その辺少し対策を考えておかなくてはいけないのではないかと今思いました。その2点ぐらいです。あとでまた話します。
○楠岡部会長 ほかにいかがですか。
○掛江委員 少し論点が変わってしまうのですが、3番の小児疾患について、少しだけコメントさせてください。一般に薬の開発のときには、小児の適応をわざわざ取ってくださる薬は余りない状況にあるわけですが、これをいわゆる昭和55年通知に基づいて、臨床のみならず臨床研究においても柔軟に運用していただいて、今まで何とか小児領域は成り立ってきたのだと思うのですが、臨床研究法が特定臨床研究を区分する際に、「未承認適応外の医薬品の臨床研究」という基準をそこに持ってきてしまったがために、添付文書上で「小児の適応あり」と記載されていない薬剤については、臨床研究の審査において「適応外の医薬品の臨床研究」であると判断されてしまう可能性が高く、二の足を踏んでしまう状況にあると聞いています。特定臨床研究になることが足かせになるとは私は思わないのですが、ただ、適応外であることが悪目立ちすることによって、臨床研究において混合診療の問題もまた再浮上してくる。そうすると、そういったことを危惧する施設であるとか審査委員会が、今まで柔軟に運用されていた小児領域の従前から臨床で使われてきた薬剤を使う臨床研究についても、混合診療を避ける形で、臨床研究においてかかる通常の保険診療分の診療費も含め全額、研究者負担を指示してくるようになったケースもあると聞いています。そうすると、資金的に小児の臨床研究が立ち行かなくなってしまうのではないかと、そういった困った状況があることを聞いています。
臨床研究法の施行規則を作っていただく際には、厚生労働省研究開発振興課でもいろいろと検討してくださったと思いますし、QAの中で特定臨床研究とするのか非特定臨床研究とするのかについては、「認定委員会での審査意見業務の実施に当たり、業務規程に定めることによって、非特定臨床研究と同様の審査上の取扱いをしても差し支えない」というAを出してくださっていると聞いております。ただ、実際に、「業務規程に定めることにより」と言われても、どのような規程を定めることが許容されるのかとか、具体的な方策が分からないところで、なかなか小児領域が自ら勝手に緩和規程を作るわけにもいかず、せっかく検討していただいたQAの対応策もうまく使えていない状況であると聞いています。
そこでお願いですが、せっかくこの3番で、「小児疾患、希少疾患の臨床研究にはより一層の促進が必要」とお示しいただいているわけですので、こういった小児疾患、希少疾患、難病疾患の領域の臨床研究の実態の詳細を一度調査していただいた上で、より一層の推進という観点から、どのような具体的な方策、手続ができるかを、是非、検討していただけないかと感じているところです。
○楠岡部会長 ありがとうございます。今の点に関しては、事務局で、緩和要件とかに関して、具体的に何か今出ているものがあるとか、今後、検討されているような内容とかは。
○伯野研究開発振興課長 臨床研究法でいろいろな手続が煩雑になるということで、決して緩めるという観点ではないのですが、簡素化できるところは簡素化して、効率化できるところは効率化するという観点で、事務連絡等を出させていただいております。今、おっしゃっていただいた件は、業務規定上の、このようにすればこういう手続を少し簡略化できるのではないかといった形で出させていただいているものだと思うのですが、その点について、こちら側からもう少し具体的に提示をすれば、そういった効率化がより進むということであれば、御意見を頂きながら、どういったことができるのかを検討したいと思います。
○楠岡部会長 あともう1つ、特定臨床研究に関するイメージというとおかしいですが、何か極端にすごく難しいというイメージが付いて回っているような感じがします。実際、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の中で、侵襲を伴い、介入を行う研究というものの大部分が、今の臨床研究法の臨床研究に該当するわけで、その中の未承認とか適応外とか、スポンサーが付いた部分だけは特定研究として別に扱いましょうと、そういう仕切りです。
ただ、特定臨床研究になると、いろいろな罰則が付いたりとかいうことがあるので、すごくものものしいという感じを受けると思うのですが、実際上行っている内容としては、指針のときに行っていたことと、プロセスは変わりましたが、それほど変わらない。臨床研究・治験活性化協議会という大学病院とかナショナルセンターが65ぐらい入っている所でのアンケートでも、半分以上の所が、今後、今まで指針でやっていて、特定臨床研究にならない研究、いわゆる臨床研究で努力義務が掛かっている部分は、今後、どちらかというと、指針ではなくて、臨床研究法の努力義務に移っていくとおっしゃっている所が多かった。したがって、違いがそれほど認識されないというか、今後、特別何か変わったことをしなくてはいけないという認識ではない。
ただ、まだいろいろなプロセスに多少混乱もあるので、すぐには踏み出しにくいところはあるかと思いますが、そこはいずれ落ち着いてくるのではないか。しかし、特定か特定でないかの切り分けのグレーゾーンがまだ残っていて、そこで迷っていてなかなか一歩進みだせない例もあるようです。特に、今走っている研究で特定臨床研究に該当するものは3月末までには特定臨床研究に移らなくてはいけないというタイムリミットがある中で、いろいろな状況はあるかと思いますが、ここはある程度慣れというと変ですが、そこは徐々に移っていくところが出てくるのではないか。
特定臨床研究が少しまがまがしいというとおかしいですが、何かそういうイメージを持ってしまって、できれば特定でないほうがいいみたいな、あるいは指針でやりたいという傾向がまだ残っているのは、確かだと思います。清水先生、いかがですか。
○掛江委員 特定か非特定かということに関しては、私も先生の御意見に賛同しています。そもそも、非特定であったとしても努力義務として本法を守るべきですので、そこに余りこだわりはございません。ただ、前半で申し上げましたように、やはり昭和55年通知で柔軟に運用していただいていた小児の未承認薬の取扱いを、この新しい法律の区分けの中でどう扱えばいいか。55年通知の柔軟な運用を踏襲していただけるのかいただけないのかという辺りが、余りはっきりしなかったものですから、やはり資金的に、まず混合診療はいけないからということで、小児領域に関しては全てを研究者負担でなければ何もできない、例えば、幾つかの薬を使う治験でも、1剤でもそういったものが入っていたら、小児の適応を持っていないもの、添付文書上確認できないものがあったら、身動きが取れなくなってしまうという状況があると聞いていますので、何らかの方策をご検討いただきたい。もちろん、ルールを緩和していただくのか、資金を援助していただくのか、いろいろな推進の後押しの方法はあるかと思うのですが、大きな目で一度御検討いただいて、3番の課題としてご対応いただければと思っているところです。
○清水委員 臨床研究法の対象、要するに、実施基準に従ってやるかどうかということ。要するに、特定であろうがなかろうが、いわゆる臨床研究という括りになる、法律上の臨床研究の括りに入るものについてどうかということは、実質的には、今、楠岡部会長のおっしゃるとおりなのですが、実態としては、やはり大部分の研究者の方が、これまでやらなくて済んでいたことをいっぱいやらなければいけないと。とても医師あるいは歯科医師だけの力では研究できないと。これまでも一部CROなど、あるいは自分たちの研究団体を立ち上げるなどをしてそういう支援を受けつつやってこれた状態だったのが、もうここへくると、本当に中核病院のAROのような組織の力を借りないと、今までは医師主導治験とかいうぐらいまでになるとそれは当然必要なのだと思っていましたが、この法対応でやろうと思うと、やはりそういう支援がないととてもできないと。乗せ換えなければいけないけれど、とてもそれだけの体力がないからもうここでやめようかという判断になった研究も幾つかあったと聞いていますし、今後、新たに立ち上げようとされた先生がそこでヘジテートされて、支援を受けるための資金もどこかで獲得していかないとやれないという状態なのです。
今度、支援する側の組織の立場で申し上げると、それまでそういったものを支援しなくてもやれていたのが、支援しないと立ち行かないという事情が分かって、支援組織としての需要が非常に増えているということは認識できるのだけれども、先ほどの議論と一緒で、そこまでリソースがないよねと。とても支援しきれないので、ちょっとそれは待ってもらわざるを得ないという状況が並立していて、2、3年たつともう少し状況が良くなるのかもしれないですが、現状では、やりたいとおっしゃる先生がおられても、ちょっとこちらとしても、そこまで今、手が回らないので待ってくださいか、本当に全部外部のCROにお願いしてくださいという形にならざるを得ないという状況になっているのかと。
それから、今の未承認あるいは適応外の医薬品医療機器の使用についてですが、これはやはり、私個人的には、厳密な立場から言って、それをするのであれば、当然、きちっとした研究としてやって、未承認でも使っているという形で正式にやるべきだろうと。ただ、こういう形で法的枠組みもできて、しっかりとほぼ治験並みの管理ができる状態まできているのに、それを、研究であって、未承認のものを使うのだから、自由診療枠で全てのプロセスについて研究者負担ないしは患者さん負担でやってくださいと。これは、協力を求めて、患者さんに協力をしていただいて研究を進めるので、保険適用できないから全部自由診療で医療費払ってくださいということはとても申し上げられる立場ではない。そうすると、研究者がその資金を獲得しなければいけない。それはまた非常に大きな問題なので、ここまで整備されて、もう少し実施の実態の調査も必要かもしれませんが、個人的には、ここまで来ているのだから、やはりこれはきちっとした評価療養という。
要するに、評価療養の意味合いにもよるわけですが、それは結局、ガイドラインが変わるような研究であろうが、治療向上を目指すようなベストプラクティスを追求するような研究であろうが、結局それは評価していることになるわけですから、そこは評価療養の中に、こういう特定臨床研究でやられているものについては、やはり混合診療を認めるという立場で進んでいただいて、その上で、正式に臨床研究法対応できちっと研究するというのが、私は一番筋が通っているのではないかと思うのです。それを、今まで何となくそういう形で、グレーというか、柔軟運用という言葉でやられてきたことがいけなかったとまでは申し上げないですが、何となく問題を先送りしているだけで、そこはやはり、これだけのもののきちっとした管理上で、見える化された透明性を高めた形で研究ができるようになる環境が整備されたのだから、やはりそれは、評価療養と位置付けていただいて、保険適用できる部分については保険と併用して研究を進めるということを認めていただくのが筋ではないかと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますか。PMDAのほうはいかがですか。今、臨床研究法、あるいは臨床研究中核病院等がスタートしたこの状況で、臨床研究法に関して、いろいろな点にこれからPMDAも関わってくるかと思いますが、今はそういうところはまだ来ていないというか、PMDAに報告が上がってくるとかいうのはもう少し先というような状況ですか。
○前田委員 そうですね。PMDAの立場としては、どちらかというと治験の部分の推進という形でこれまで関わりが多かったところなのですが、臨床研究法のところは、皆さん御承知のように疾病等報告という形で厚生労働大臣に報告されるものをPMDAが受け取る形をしております。現時点、それほど報告が上がってきている状況にはないというところで、今後、恐らく特定臨床研究に切り替わる中で、より一層の報告が上がってくる形になるのかとは想像しております。
○楠岡部会長 あと、これは中核病院だけではなくて橋渡し研究拠点にも関わることですが、やはりシーズを市場へ出していこうとすると当然治験が必要であり、それは、特にまだこれからのものに関してはほとんど医師主導治験という形になるので、プロトコールの妥当性とか、あるいはいろいろ評価する指標の妥当性というのはPMDAに相談してくださいと、我々、PS、PDも研究者に勧めています。その辺り、今、PMDAとして相談案件がすごく増えてきて、今後は大変だとかということはまだないと思っていていいのですか。それとも、結構大変になりつつあるというか、その辺りはいかがですか。担当が違うかもしれないのですが、いかがですか。
○前田委員 臨床研究法が施行されたことによって、医師からのプロトコールが増えたという、ちょっとその辺の状況は私は把握しておりません。ただ、やはりPMDAとしては、医薬品開発、最終的に薬事承認を取るという目的がある中で、最短でかつ確実性の高い開発プランというか助言を差し上げるという形にしているので、今のところ、臨床研究という相談をダイレクトに持って来られたときに、最終的にどういった形で助言を差し上げるかについては、まだ余り議論が十分に進んでいないところではないかと考えております。
○国忠委員 薬事承認を取る上で、私たち製薬会社も、もちろん治験をやらなくてはいけないというのは十分に分かってはいるのですが、先ほど清水先生がおっしゃった、ここまでしっかりした治験並みの管理ができている試験が臨床研究でやれているのなら、評価療養として認めるべきだとおっしゃいましたが、私たちも、ここまでしっかりした管理ができている臨床試験の結果があるのであれば、それが薬事承認の検証試験としてはちょっと無理でしょうが、最初の瀬踏みの試験であるとか、あるいはもうちょっと言えば、条件付き承認の、条件を解除するための試験ですとか、そういうところで臨床研究の結果は十分に活用できるのではないかと思います。
8ページ目の最後の7番に書いてあります、「薬事申請へのデータの活用等」ということに関して、これからいろいろ検討していだだきたいと思うのと、先ほど藤原先生が御意見として、薬機法を改正しないとこれは絶対に使えないのだとおっしゃっていましたが、必ずしも、そういうものなのかなと。もちろん、先ほど申し上げました、治験のデータというのは薬機法を変えていかなくてはいけないのでしょうが、この臨床研究の成果というのは、何と言いますか、厚労省の中で、医政局と生活衛生局の話合いの中で、何とか活用できる道を探っていただける方策というのがあるのではないかと思いたいのですが、もし今、お答えいただけるものがありましたらお答えいただけないでしょうか。
○伯野研究開発振興課長 現時点で決まったことがあるわけではないのですが、当然、特定臨床研究において、ある程度の手続を踏んでやってもらっているというところがありますので、そこを何とかうまく薬事に活用できないかという話は、こちらからも医薬局にもお伝えしておりますし、引き続き、どういったことができるのか検討してまいりたい。ただ、薬事的にはGCPとの違いがやはり残っているのは事実ですので、そこをどう埋めて、埋まったものについてどう活用できるのかという視点なのかと思っております。
○花井委員 そもそもそれが医師主導治験というコンセプトだったとは思うのですが、おっしゃるとおり、今、臨床研究の質が法的な統制を受けて質が高まり、信頼性が高まることによって、その薬事承認に利用できないかという議論は理解はするのですが、その前に、何かというとICH-GCP基準というのが出てくるのですが、今、サイトビジットで、いろいろな、いわゆる国際的な審査機関の、つまり主にはGMPなのですが、GCPにおいても、例えば品目ごとにいちいちサイトを見に行くという話ではなく、やはりある程度ちゃんとしている所は治験もちゃんとできるし臨床研究もちゃんとできる。そういう所のある程度の質があれば、それはGCP並みの治験ができている、若しくは、臨床研究もGCP並みで同じ基準をクリアできるのだというところを、法律的には、再生医療等においては、一部、サイトビジットをPMDAがやっているわけですが、そういう形で、サイトごとにちゃんとできる所、できない所というのを基準を決めてやっていただいて、そういう整備の中で、治験と臨床研究を統一していくというか、そういうことを是非、やっていただきたい。
ですから、PMDAも再生医療においては、いわゆる培養施設については、若干基準は変えているわけですね。ですから、大学内の培養施設と、それから民間の培養施設ではやはり、実はダブルスタンダード基準にもなっていて、それがいいのか悪いのかというと、結局のところ、大学内の、いわゆるラボ的なところを全部GMP基準に近くしてしまうと大変なことになる、コストもというところで、やはり、ある程度大学とか研究する施設側の体力がないところを鑑みて少し緩めているのが今の状況です。ですから、そこに対してちゃんとしたバジェットを出さずに、いろいろ仕事はやって基準を守れと言われているので先ほどからのような議論があるのだから、ある程度、私たち患者からすると、最低限のクライテリアというのは、基準というのはあるべきで、それはもう治験もGCPも患者からすれば一緒なわけです。これが医師主導治験ですとか臨床研究ですとか治験ですと言っても同じことなので、そこに基準が幾つかあるということ自体が、患者側の立場からすれば本来は理解し難いはずなのです。
ただ、いろいろな事情の中で、今、そうなっているのですが、今後はちょっとPMDAでも、そういう臨床研究のサイトをちゃんとオーソライズできるような法整備をしていただいて、そういうところでやったところであれば、先ほどおっしゃられたようなことで、もうこれは、いわゆるICH-GCPクオリティだということで利用できるとか、そういった立て付けを整理していただきたい。これは医薬とやはり医政が連携してやっていただきたいと思いますので、是非、よろしくお願いします。PMDAの仕事は、多分それで増えてくると思うのですが、あと、それが品目ごとにいちいち行くよりは楽にもなることなのです。PMDAはそれは可能ですよね。答えられないですか。いいです、すみません。
○楠岡部会長 ほかによろしいですか。医療機器に関してはいかがですか。
○増田委員 医療機器のほうでは、治験・臨床研究というよりは、どちらかというと治験のほうで、大きな患者さんを対象にするわけではなくて、割と小さな部分を対象にしたりする場合もあります。あと、我々が一番困っているところで言いますと、どの病院に我々が開発している患者さんがいるのかが全く分からない。ですので、ある病院と契約をして治験を始めたら、なかなか患者さんが集まらない、一生懸命やって2年もたってしまった、そろそろもう限界だという場合もある。ですので、レジストリーの中にも、どのぐらいまで登録して、どのぐらいまでだったら自由に使えるかというところを決めて、割とそういう患者さんがどの病院におられるのかというところまで、患者さんの名前は分からなくても、この病院だとこういう患者さんが数十名おられる、通院されていますと。であれば、そこの患者さんに対して、我々は「治験をお願いできませんか」という話を持って行くことができる。そうすると、その患者さんに対して、病院から「どうですか」という話が来て、その中で、治験とはこういうものです、医療機器を開発するときにこういう段階があって、こういうのをやらないといけないから参加されませんかということも御説明はできる。そうすると、我々、企業からのアクセスもできるようになるし、患者さんの治験に対しての教育というわけではないですが、いわゆる、自分たちの目の前にある自分の疾患だとか、家族の疾患において、こういうのが必要なのだという理解が深まっていくのもあるかと。
そういうところで、レジストリーに関して幾つかの階層付けみたいな形で、ここまででしたら使えます、自由に企業側に提供しても特に問題のない範囲です、個人情報にも関わりません、また、指針の範囲内です、ここまででしたらいいです。その後、実際に患者さんに組み入れするかどうかというところに入るときには、当然、GCPなり指針なりという形でそこでやっていくというような、もう少し細かいレジストリーが欲しいです。
いろいろな学会などがレジストリーを作られているのですが、そこへいちいちアクセスするというより、どこかにガチッとセントラルに何かそういうのがあって、そこにアクセスさえすれば、ここに患者さんがいますというのが分かれば、非常に我々としては動きやすい。我々が治験をするときに、必ずしもダブルアームでするわけではなくてシングルアームでヒストリカルのデータを使ったりというのもありますので、そういう所にもアクセスできる、どういう患者さんがどこにいるというのは、我々にとっては非常に大きな情報になりますので、そういうところを何とかお願いできないかと。我々のほうでそういう情報を集めるのはやはり不可能に近い部分がありますので、そこは研発課さん主導でそういうものを何か進めていただければ非常に有り難い。当然、そういうものに関しては我々も協力は惜しまないとは考えておりますので、御検討いただければ有り難いと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。田島委員、倫理委員会等にもたくさん参加されていると思いますが、何か御意見ございますか。
○田島委員 論点2の所で、研究支援人材の活躍できる環境整備ということなのですが、いろいろ臨床研究中核病院等で、この臨床研究を進めるときのネックについてのお話を伺うと、CRCさんの確保が非常に難しくて、やりたいことが思うようにできない実情があるとおっしゃっています。結局、採用もなかなか大変ですが、何とか採用してもすぐに辞めてしまわれるという実態があるとお聞きしています。やはり、何が問題かというと、待遇の問題とか、あるいは労働時間の問題とか、その辺のことがあると思いますので、CRCさんを育成して、また現場で十分活躍していただけるような、先ほどのキャリアラダーの問題などもいろいろ効果はあると思うのですが、そういうことの整備をする必要があるのではないかと感じております。
それから論点4の所で、国民の理解を深める方策として私が常日頃感じておりますのが、一般国民が、臨床研究や治験について考える機会として最も数が多いのが保険加入のときではないかと思います。結構多くの方が医療保険に加入されて、がん保険等の保険加入の際に、先進医療特約というのを保険会社が勧めますので、それに加入される。保険会社の説明が、必ずしも知識が正確でないために、先進医療というのは非常に先進的な進んだ医療で、ただ、保険適用がないので自費で医療を受けなければいけないから、その費用が掛かるので、是非、この特約には加入すべきですよという程度にとどまっていて、本来でしたら、その場で先進医療の内容についてもっと臨床研究も絡めてきちんと説明すべきですし、それができれば、一般国民のこのような問題についての理解ももっと深まっていくのに残念だなとは思っております。ただ、これは厚生労働省マターではないと思いますので、金融庁でもっときちんと説明すべしという指導をしていただける問題でもないのかと思うのです。ただ、その点、すごく有効な機会にできるのではないかと感じているところです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。あと本日、新谷委員と川上委員は御欠席ですが、もし事務局で意見を預かっておられるようでしたら御紹介いただけますか。
○吉田治験推進室長 欠席されている新谷委員から、やはり事務局代読という形でメモを預かっておりますので、代読させていただきます。まず、「2)臨床研究・治験の実施体制の整備」ということです。臨床研究中核病院による他の臨床機関の支援・公益機能の強化と拡大について、例として提示いただいている事業についての現状の情報を少し提供いただきたいというのが1点目です。
もう1つが、「臨床研究・治験の実施体制の整備」について、医療情報利用のインフラが整っても、データを扱える生物統計家の育成が追い付いていない現状があり、中核病院などの生物統計家も他の施設の支援には手が及ばず、東大・京大の生物統計家育成事業だけではまだ不十分である点を御理解いただいた上で、今後の対策を検討いただく必要があります。
次の意見が、「臨床研究・治験活性化に係る論点案」の「2.臨床研究・治験を実施する医師や研究支援人材」についてです。雇用のための費用及び安定したポストの確保が難しい点が課題である。例えば、米国では複数の研究費を足し合わせて一人分の雇用費用を捻出することができるが、日本の科研費などではそれが許されていない。よって、長期的に雇用するためには施設の職員として雇用する必要があるが、その一方で、5年、10年の雇用期間の制限があり、アカデミアで臨床研究を支援するための人材がそのポジションを希望しないという現状がある。今後の人材育成を考えるに当たり、この点についての検討が必要と考えます。また、研究代表医師となる立場の、現場の研究者の育成がまだまだ不十分である点も継続して検討していく必要があると考えます。
「6.臨床研究法施行後・・・」及び「7.このほか、臨床研究・治験の活性化のために必要な方策として・・・」の意見として、臨床研究法施行後、製薬企業が関与する研究が観察研究へシフトしている印象があります。市販後調査のデータを用いて有効性の検討を試みているものを目にしましたが、市販後調査では対照群のセッティングが不可能であり、介入群のみによる有効性の主張は統計学的には無意味です。また、市販後調査は同意を取得しておらず、臨床研究のような扱いに切り替えることについて倫理的に問題がないかは疑問です。臨床研究法施行により、国内の臨床研究が過剰に縮小されることは避けなければなりませんが、コントロール群のない疫学研究や市販後調査などの質を向上させるための取組について検討すべきではないかと考えます。ということです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。いろいろ御意見を頂きました。ほかに何か追加とかございますでしょうか。
○花井委員 やはりお金の話が一番重要かと思います。なので、前に臨床研究中核の法制化の議論のときには、国の事業で臨床研究中核と早期探索臨床試験拠点というバジェットがあり、それが臨床研究中核の上に乗っかるというように思われてきました。ただ、普通に考えるとあれから大分絞っているから、その後、相当余分にお金が今の臨床研究中核に下りていなければおかしいのに、多分そうなっていない。その辺の経過はよく分かりません。そのことをあげつらう気はないのですが、やはり国としていわゆる欧米ばかりが中国に大きく遅れを取っているという現状を本気で是正する気があるのかないのかになると結局思います。そのときに、やはり最低限、臨床研究中核なり、今はナショセンでも割とそういう議論をしているのですが、結局そういうことを国が支援するしかない。
先ほどの評価療養、混合診療の議論は、ある種実態を反映した議論ではあるけれども、本来筋の違う議論で、やはり評価療養というのは基本的には本来、国民の医療をカバーするために、ゆくゆくは保険でカバーするものを前段階として導入しているものであって、決してそれを研究で使ってもいいという話ではないわけです。ただ、そのように国民医療費に依存しなければ研究できないと言っている時点で、本来は筋の違うおかしな話で、何から何まで無いところに何とか捻出するという話を前提としていれば、それは無理ということになるので、獲得するかどうかは今後の議論だと思うのですが、予算面でやはりどの程度の足りなさなのかという足りなさ感を出してもらってもいいと思います。本来、これだけの人員を雇うのにこれぐらいの金額が要るけれども、今はこれだけでやっていますと、この差はどうしようもないというところを政府として明確に出していただいて。
でも、嫌ならもういいのです。日本は別に、ヨーロッパで開発して日本で研究しなければいいだけの話になるわけで、それでは駄目だと言うのは誰なのですかというところで、それをちゃんと政府に対して言えるような資料を作って、ここで取りまとめるときには、欧米に追い付くのか追い付かないのか、追いつく気があるのかないのかをちゃんと問うようなデータを出していただければと思います。どちらに聞いたらいいのだろう、足りないほうに聞いて、出すほうが今どれだけ出せるか、難しいかもしれませんが身も蓋もない現実を見てちょっと話をしたほうがいいのかもしれないと思いました。以上です。
○清水委員 先ほどの評価療養云々の話は、要するに混合診療の枠組みとして認めてあげたらいいという話なので、お金の問題であって、足りないところを何とかしようという問題でもある。要するに、制度的に評価療養にして保険併用を認めるというのは、保険併用を認めるために評価療養にしなければいけないという前提でそう申し上げたので、別の枠組みで保険適用できる部分を保険適用と併用してやっていいという制度にすればいい話ではないか。そこは誤解があるといけないので。
ただ、今の人材の確保の問題と資金というか、コストの問題なのですが、厚生労働省から詳しい御説明があるかもしれませんが、中核病院整備事業の時には1拠点当たり年間5億円ぐらいの経費で、橋渡し拠点のほうが2億円ぐらいの経費で整備されていました。ところが、多分1つは仕分けにあったという、似たようなものが2つ並行して走っているので、ダブっているのではないかという議論で一部つぶされたということ。
それから、もともと、整備するときにはそれだけ出すけれども、整備が終わったら自前で維持してねという、これは多分財務省側からの強い要請だと思います。なので、それの整備が終わった時点で、もともとそういう政府系の資金はゼロになるということが前提で、受けるほうも、例えば整備してそれだけの必要な人材を抱えたはいいけれども、それがなくなったときに本当にそれを維持していけるのか、というような議論があったのも確かです。現実にそういう整備費というか、拠点の維持費に相当するようなものは実質的にほとんどない。何か事業を行うという名目で資金が出ていますけれども、それもどんどん減る方向にあり、こういう支援組織は研究費を獲得した所から支援資金としてもらいなさいとか、病院のほうでそういうものが必要だと認めるのだったら病院経営の中で何とか捻出しなさいということになっている。これは本論に立ち返れば、きちんと政府が拠点としてそういうものを維持して、臨床研究のアクティビティー、医療開発のアクティビティーを日本は高めるべきだということであれば、そこには資金投入していただくべきだろうというのが極めて私は正しいと思いますが、現実はなかなかそう行っていないというところだと思います。
あと、藤原先生から、大学等は教員という俸給表があってという、これ自身も定員外の人数が大学として増やせるわけではないので、それに準じた形で非常勤的なものをそういう研究資金等で雇用してやっているので、どうしても教員としてやれる部分という点で言うと、統計家の先生など、教員で雇用して病院で活躍していただくことが多分できると思いますが、しかし、CRCやデータマネージャー、スタディーマネージャーとかアプリケーションマネージャーといったところで、必ずしも教員である必要がないというか、教員の人がそういう職務でやるというのももちろん部分的にはありなのですが、研究職や教員職ではなく、やはりきちんとしたキャリアとしてそういう職種を認めてあげるべきだと思います。それについてはむしろ、大きなナショセンとかのほうが、医療職としてそういう者を雇用できる枠が大きい。どちらかのところにいると、あちらのほうが雇用しやすいという議論になってしまうのですが、やはり、それぞれの所でなかなか制度上パーマネントに抱えられる人材が増やせないというのが実情です。大学は法人化されて以来、ずっと人件費の削減を強く言われて、定員削減に相当するプレッシャーをずっと受けているという状況ですので、それをどうやって打破していくか。本当に必要な者を必要な所に配置するというのは、やるべき話だと思うのですが、なかなかそれが実現できないというのが現実です。
是非、この部会としても、どうあるべきかという議論をしていただいて、やはりサスティナブルにそういう支援組織がないと質の高い研究はできないし、ましてやそれを医療の向上に結び付けることもできないので、それでいいのですかという議論になるのではないかなという気はしています。
○山口委員 今の花井委員と清水委員の御意見、私も賛成です。例えば生物統計家ということが今プロジェクトで作られたとしても、結局ポストがないという話をよく聞きます。ポストがないということは、やはりなり手が増えてこないわけです。なぜポストがないのかというと、やはりそこにお金が付かないからだと思うのです。だから締める。締めるばかりでは進められることが進められないと思いますので、中間取りまとめと取りまとめをするのであれば、是非、その点を提言の中に入れていただきたいと思っております。
○楠岡部会長 いろいろ御議論いただき、ありがとうございました。8ページの1から7のところで言うと、まずは臨床研究中核病院の現状といいますか、それに関して中核病院、拠点の在り方そのものが別のテーマにもなっておりますので、どこかでそういうデータを一度お出しいただく必要があるかと思います。
私自身もAMEDの事業で臨床研究中核病院を訪問させていただいておりますけれども、すごくたくさんの業務をこなさなければならなくて、このままでいくと中核病院がつぶれてしまうのではないかという危惧感を得るぐらいの状況に今なりつつある。1つは、本来のARO機能、要するに臨床研究を支援する、自分の所だけではなくて他の施設の研究も支援していくというところの中で、モデルとしては支援要員がいて、その方が支援することで対価を頂いて、そして回っていくという立て付けなのですが、2番目に関係しますけれども、やはり研究支援人材が非常に足りない。拠点の中で育てながら支援をやっていくというような状況なので、当然ながら再生産のペースが非常に遅いので、結局外への支援が十分できない。そうするとお金が入ってこない、そうするとまた次へ回っていかないという、まさに何人かの委員から御意見があったような形で、本来であればうまく回ればどんどん拡大していくではずが人材の問題がボトルネックになっていると思います。
もう1つは、臨床研究中核病院には期待が大きい分だけ、いろいろなこと、例えば患者申出療養、あるいは先進医療の下審査であるとか、いろいろなことが課せられてきている。そもそも臨床研究中核病院になるときにはなかったはずの話が今どんどん出てきているという形で、それも臨床研究中核病院にとっては負担になっているところもあろうかと思います。実際、今、臨床研究中核病院は、事業としてお金が付いてきてやっているものと、そうではなくて、中核病院だからということで義務化されているようなもの、あるいはそれ以外のところの問題について、各中核病院から少しヒアリング等をしていただいて、何かその辺を取りまとめ、あるいは代表的な所から次回でも来ていただいて、少し現状をお話いただくことが必要かと思います。
2番目の人材育成に関しては、これもずっと同じ話が続いているわけですが、やはり育てても居付く場所がないというのも一つ大きな問題になっているところで、キャリアパス等をどうしていくか。今まではどちらかというと人材を作るということだったわけですが、その後のところをこれから少し考えていく必要があるかと思います。
3番目は、先ほど掛江委員からも御意見がありましたが、今、難病の薬の開発がもう変わってしまってます。かつては疾患モデル動物を作るとか、あるいは実際に患者さんにいろいろな薬を試してみるというようなことが必要だったのが、今は患者さんから得たiPS細胞でスクリーニングをかけて、既存薬をリポジショニングして、あと患者さんに試すだけになっているのだけれども、レジストリーなどと関連する話ですが、患者さんがなかなか見つからず、それで試せないというのがボトルネックになるという状況が出ています。開発のプロセスもかなり変わってしまったことに対応して、その中でどうやっていくかという問題があろうかと思います。
4番目の国民の理解、これは本当に昔から続いている話で、治験とかが社会的に取り上げられるときは大概悪いことが起こったときだけで、治験がいかに大事かということを知っていただく機会がなかなかないということもありますので、これも引き続き大きな課題だと思っております。
質の高い診療については、AMEDがもともと開発をメインにしているので、どうしてもイノベーションを中心にしていて、既存薬の再評価などというような、イノベーションとは直接つながらないところに関しては、若干、力が入っていないような印象も受けます。海外でのいろいろな臨床研究の発表で多いのはガイドラインに載っている治療が、例えば高齢者ではどちらがいいのかとか、糖尿病を持っている人の場合はどちらがいいのか、ガイドラインには同等に書かれているのだけれども、実際、ほかの疾患との兼ね合いでどちらがいいのか。これは多分、リアル・ワールド・データにも関わってくるところだと思いますが、そういう研究もやはり必要で、ガイドラインを精緻化するための研究をどうするかという5番のところもやはり重要なところかと思います。
あとは実際に研究を進めていく研究者の育成ということ、あるいはそれが実際にサポートを受けられる環境を作っていくようなところ、あとは先ほど幾つか議論がありましたいろいろな法律や制度との兼ね合いをどうしていくか。
最後の7番は、先ほどからありますように、薬事上の問題とか、あるいは診療報酬と絡めるのがいいのかそうでないのがいいのか。いろいろ御議論があるかと思いますが、研究に対するお金がいわゆる研究費以外のところからもある程度集まってくるような形になれば、それをもってまた研究を進めていく力になるかと思います。本日いただいた意見を、ざっと私のほうでまとめさせていただくと、今のような形になるかと思います。これらの点に関し、次回以降、テーマを取り上げて議論を進めていくことになるかと思いますので、よろしくお願いします。
次に、議題3の「臨床研究法附則第2条への対応について」、まず事務局から説明をお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 それではタブレット番号の06、資料3をお開きください。「臨床研究法附則第2条への対応について」御説明いたします。まず、水色の枠でございます。本年4月1日の臨床研究法施行により、医薬品等の臨床研究に対して一定の規制が設けられたところですが、これに加えて、法律の附則第2条においては、「政府は、この法律の施行後2年以内に、先端的な科学技術を用いる医療行為その他の必ずしも十分な科学的知見が得られていない医療行為についてその有効性及び安全性を検証するための措置について検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする」とされているところです。
本規定を受け、その下の黒枠ですが、この規定でいうところの「医療行為」につきましては、まず、1の研究として実施されているものであって、臨床研究法の対象外のものとして、手術・手技に関する研究などを、それから2の診療として実施されているものであって、保険適用が認められていないものとして、現行の再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象外である細胞加工物を用いない遺伝子治療などを検討の対象として考えているところです。なお、※の部分になりますが、遺伝子治療などの診療に関する検討につきましては、本部会とは別の枠組みで御議論いただくことを考えております。
その下の○になりますが、先ほどの1の手術・手技に関する研究につきましては、今年度、国立保健医療科学院の佐藤政策技術評価研究部長の御協力を得つつ、国内外の規制状況などの調査を行うこととしております。この調査結果も踏まえつつ、来年度以降、医学系指針の見直しの必要性等につきまして、本部会において御議論いただきたいと考えているところです。事務局からの御説明は以上になります。
○楠岡部会長 ありがとうございます。この附則第2条に関し、一番最後にありましたが、今、厚生労働科学研究を進めていただいておりますので、これの結果を踏まえて、31年度以降に議論をするという方針ということです。これにつきまして何か御意見はございますでしょうか。この方向で進めるということでよろしゅうございますか。それでは、事務局におきましては、今のようなところで進めていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
最後、議題4「その他」です。これにつきまして事務局からお願いいたします。
○吉高研究開発振興課長補佐 続きましてタブレット番号の12、参考資料3をお開きください。まず、1ページ目は、11月30日時点の「臨床研究法の施行状況について」ということで、法に基づき厚生労働省が整備したデータベース(jRCT)に登録された実施計画の数です。特定臨床研究が88件、非特定の臨床研究が3件の計91件となっております。それから、法に基づき厚生労働大臣の認定を受けた認定委員会の数については、国立大学法人を中心に計84機関となっているところです。
2ページ目は、先ほどの認定委員会の設置に関する参考資料です。全認定委員会の設置状況を地方厚生局の管轄別にまとめたものです。
3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは今年度予算で行うこととしております「臨床研究審査委員会審査能力向上促進事業」の御紹介になります。まず「背景・目的」の部分になりますが、臨床研究法の施行に伴い、特定臨床研究につきましては、国が認定した委員会における審査が義務付けられたこと、それから、法制度の在り方を検討しました検討会の報告書におきましても、委員会が適切に審査を行うことができるよう、様々な支援方策の検討をしていくことが求められているところであり、国としても委員会の審査能力の向上を図るため、適切な支援を行っていく必要がございます。
これを受けまして、「概要」の部分になりますが、本事業の中で大きく3つの取組を行うこととしております。まず左側の模擬審査ということで、具体的には本事業に参加していただく30の委員会に対して5種類の疾患分野、がん・高リン血症・循環器病・糖尿病・認知症を想定しておりますが、この分野別に作成された架空の研究計画書を審査いただき、その結果を委員会同士で共有、意見交換などしていくこととしております。
また右上にありますとおり、全委員会の議事録を確認するなどして審査意見業務の状況を把握すること、それからその下にありますとおり、法令の定めを満たす標準的な業務規定モデルを手数料区分も含めて作成するなどしていくこととしております。
続きまして4ページです。こちらはjRCTのWHOによる承認に関してです。四角枠の2つ目の○になりますが、医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)による論文投稿に関する勧告におきまして、臨床研究につきましてはWHOが定める基準を満たしていることが認められたprimary registryなどへの登録が求められているところです。臨床研究法に基づき我が国が設置したjRCTにつきましても、このWHOのprimary registryとしての承認に向けた手続を法施行以後進めてきたところですが、本日付けでWHO側から、時差の関係で若干遅れますが、承認された旨の公表をいただく予定でございます。これによりまして、jRCTに登録されている臨床研究につきましては、WHOによる承認前に登録されたものも含めまして、ICMJEに参加する学術雑誌への論文投稿が可能となりますので、この場をお借りして御報告させていただければと思います。事務局からの説明は以上になります。
○楠岡部会長 ありがとうございました、ただいまの点に関して何かありますか。
○山口委員 1ページ、jRCTでの公表状況の数を見て、かなり少ないことにちょっと驚きます。ただ、私が審査委員を務めている大学病院の説明会のときに、対象になる研究の数は結構な数が上がっていました。これは、今の段階ではこれだけの数ですけれども、もしかしたらまだ3月末までということになると駆け込みで登録ということがあるのか、現状の予想みたいなことがもし分かれば教えていただきたいと思っています。
それから認定臨床研究審査委員会ですけれども、臨床研究法を作るときに、大体想定として国が約50ぐらいとおっしゃっていたのが、今、83にまで増えている。倫理審査委員会も本当に数がたくさん増えていることで、この数というのはこれ以上に増えていく可能性があるのかどうか、ある程度で数は絞っていくという方向性なのかということをお聞きしたい。
それを踏まえて、これは法に基づいた委員会ですので届出をしないといけないさまざまな基準があるわけですが、非常に増えている倫理審査委員会をやはりある程度整理していくことも、この検討会で話し合っていく必要があると思っています。その辺りの事務局の考えを少し聞かせていただきたいと思います。
○伯野研究開発振興課長 1点目の、今後、CRBのほうに駆け込みのようなことが起こり得るのかという状況ですが、CRBにお伺いすると、既にかなりの件数対応しているというお話も伺っていますので、先生御懸念の駆け込みが生じる可能性があるかと思っております。ですので、我々としてもできるだけ早く、研究者の方々には出していただきたいという周知に努めているところです。
審査委員会の数については、おっしゃるように当初の想定より少し多いというのは御指摘のとおりかと思います。しかし、現状の駆け込み等を考えると、逆にこれぐらいあってもいいのかなというように現時点では思っていますが、中長期的にどうかというところは御議論の一つかと思います。ただ、徐々に増えてきましたが、現状は、少しプラトーになっているような状況ではあります。
○山口委員 公表に関しては、私の受けている説明ではやはりそろそろ期限にしないと、2、3か月この後の手続が必要だということで、余り駆け込みがぎりぎりになると、それができなくなるのではないかと思っていますので、是非、その辺りの周知をお願いしたいと思っています。
それから、審査委員会を今からまだ作る予定だとおっしゃっている病院などもあって、やはりほかに頼むと結構費用が高い、結構な金額を要求されるのでとおっしゃっている所もあります。その辺り、状況を見ながら進めていかないといけないのかなと思っています。
○清水委員 掛け込みがという話なのですが、実は京大病院の認定審査委員会については、審査体制自身は4月に整って、5月ぐらいから審査できる状況になっていました。やはり、乗せ換えをしようと思うとCOIマネジメントのを作ったりとか、それを今度は機関としてそういうものをマネージするための組織替えなどが必要だったこともあり、本格的に審査ができるというか、審査案件が上がってくるようになったのは比較的最近です。年に12回開かなければいけないという制約もあって、ここのところは1か月に1回ではなく1か月に2回開いていただいてこなしていただいている状況です。
当然、審査が終わって、各医療機関の長の承認を得ないと登録できないので、審査が終わってすぐというわけにいかないので、きちんと間に合うように各研究者の先生方にもお願いをしてというか、御相談をしながら京大で進めているので、年度内に全て完了、乗せ換えなければいけないものは完了できるという見込みで今進んでいます。ですから、登録に関しては年度末に関してガガガッと増やさざるを得ない状況かと思います。
実情はそういうところなので、いろいろ横で中核病院間でのお話を伺っていても、多くの所がそういう状況で、これから年度末に向けて乗せ換え案件の登録が順調に増えるというと語弊がありますが、ぐっと増えてくるだろう。皆さん、間に合わなくなることはないところで進んでいると思いますが、多施設共同研究などの非常に数の多い場合、全ての所がそろうまで待っていられないので、整ったところでまず登録をして、また変更でいかなければいけないという考えでおられる所も幾つかあるようには伺っています。本当に4月になってしまって、まだ間に合わなかった所はどうなるのかという議論も一部に出ていて、その辺についても既に……サイドと相談されている所もあると聞いています。全体が間に合わないということは多分ないと思うのですが、一部積み残しが起こるということは懸念をされているということです。
○楠岡部会長 ほかによろしゅうございますか。それでは、今、いろいろ御意見が出ましたところを参考に進めていただければと思います。
以上で、本日予定しておりました議題は全て終了いたしました。
○清水委員 ちょっとよろしいでしょうか。先ほど、こういう支援組織の整備のお話のところで申し上げようと思って忘れたのですが、昨年と今年、2年続けて日本人のノーベル賞受賞者が画期的新薬の開発で出られたということは非常に喜ばしいことだと思います。どちらも、最終的な医薬品としての開発が実は必ずしも国内で完了せずに、グローバルの大きなところに先を越されたというのも事実です。
両方の面でこういうことを許してはいけないということを私としては思います。2つの面があって、やはり基礎研究に対してもっとこれ以上厚くしなければいけない。種がないところには花は咲かないので実はなりませんから、種をたくさん作るという点での基礎研究の支援というのも非常に大事だと。多分、受賞者のお二人の先生は基礎の先生、私の師匠でもあるのですが、基礎の先生なので、私の思いとしても基礎研究に対する支援強化というのは今後もどんどんしていただかないといけない。
一方で、今の私の立場から言うと、といって治験とか、そういうところに持っていくのにはお金が掛かるから、それを全部基礎研究のほうに持っていけというのも暴論であって、ちゃんと基礎研究で育ってきたものを最後にちゃんと花を咲かせるためにも、あるいは国民医療に還元することを完遂させるためにも、臨床研究の基盤というのはきちんと整備されなければいけない。整備されつつあるので、これが維持できない状況にしてしまうのは望ましいことではないと思いますので、今後の議論も踏まえた上で、先ほどの花井委員などの御指摘にもあるように、きちんとそれを維持・活性化できる体制を取つていただくよう、御議論を是非よろしくお願いしたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにございますか、よろしゅうございますか。
それでは最後に、事務局からもし伝達事項があればよろしくお願いいたします。
○伯野研究開発振興課長 次回の開催につきましては、来年1月23日を予定しております。開催時間、場所等につきましては改めて御連絡を申し上げます。以上です。
○楠岡部会長 以上で、本日はこれで閉会とさせていただきます、本日はどうもありがとうございました。