第26回厚生科学審議会感染症部会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

平成30年9月27日(木)10:00~12:00

場所

AP新橋虎ノ門 A会議室(11階)

議題

    1.   (1)感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化について
    2. (2)エボラ出血熱患者発生時の情報公開の基準について
    3. (3)風しんの発生状況等について
    4. (4)報告事項 
    5.  ➀感染症法の規定に基づく規制除外対象病原体等
    6.  ➁季節性インフルエンザ対策
    7.  ➂後天性免疫不全症候群及び梅毒における届出の改正
    8.  ➃黄熱ワクチンの接種体制
    9.  ➄韓国におけるMERS輸入例の発生
    10.  ➅コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生
    11.  ➆レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針の一部改正
    12. (5)その他

議事

 
○野田結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第26回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
開会に当たりまして、健康局長の宇都宮より御挨拶を申し上げます。
○健康局長 皆さん、おはようございます。7月31日付で健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
本日は先生方、大変御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
また、平素より感染症対策について御尽力、御協力いただいておりますこと、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
さて、本日議題が幾つかございますけれども、特に3つ挙げられております。
1つ目のサーベイランス機能の強化ということでございますが、これは2年後のオリンピック・パラリンピックに向けて、いかに強化していくかという観点から、ぜひ御議論いただければと思います。
2つ目のエボラ出血熱患者発生時の情報公開の話でございます。これは既に一類感染症に関する検討会で御議論をいただいたものでございますけれども、さらに御議論を深めていただきたいということでございます。
その検討会の冒頭でも申し上げたのですが、ちょうど4年前に私は国立国際医療研究センターに異動した、そのときにエボラの疑似症の患者さんが発生いたしまして、大曲先生のいらっしゃる感染症病棟に入っていただいたのですけれども、内緒にしているはずなのに、いつの間にか病院の周りにマスメディアの方々が集まってこられて、報道されている。その隔離病棟、病室の中は外から隔離されていて、モニターで外と会話をしたりするわけなのですが、その画面が普通のテレビも映るのです。患者さん御本人が自分がどうやって報道されているか見てしまうというか、そういうことがございます。
結果的にその患者さんはエボラではなくてよかったのでございますが、実際の本当のエボラの患者さんが出たときに防疫、感染症拡大防止の観点、それから、同時にその患者さんあるいは御家族のプライバシー、個人情報保護の問題、非常に難しい問題だと思いますが、そういうこと、両者についてどのようにバランスをとるかという点を含めまして御議論をいただければと思います。
3つ目の風しんでございますが、御存じのように今、関東を中心に風しんが増加しております。今後さらなる増加を抑えるために、いかに効率的、効果的にこの段階でたたいていくかという観点も含めて、御議論いただけたらと思います。
その他報告事項等ございますけれども、本日ぜひ忌憚のない御意見を交わしていただいて、実りある会にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○野田結核感染症課長補佐 委員の出席状況を御報告いたします。
本日は、賀来委員と菅原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、清水委員におかれましては到着がおくれておりますので、御報告をさせていただきます。
現時点で定足数以上の委員に御出席をいただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。
次に、資料等の確認をいたします。議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1~12、参考資料1~8を御用意しております。
不足の資料等ございましたら事務局までお申しつけください。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○野田結核感染症課長補佐 以降の議事運営につきましては、倉根部会長にお願いいたします。
○倉根部会長 おはようございます。今日もどうぞよろしくお願いします。
それでは、先ほど宇都宮局長からもお話がありましたけれども、議題を確認しておきたいと思います。
議題(1)「感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化について」、議題(2)「エボラ出血熱患者発生時の情報公開の基準について」、議題(3)「風しんの発生状況等について」、議題(4)「報告事項」、議題(5)「その他」となっております。
本日、議論の進行の都合上、まず議題(3)を御審議いただきたいと思います。その後、議題(2)、議題(1)とさかのぼっていきたいと考えております。そして、その後また報告事項に戻るということでございます。委員の皆様にはぜひ忌憚のない御意見をいただくとともに、円滑な議事進行もよろしくお願いいたします。
それでは、まず議事に入りたいと思います。議題(3)「風しんの発生状況等について」を事務局から資料3の説明をお願いし、資料4の説明を参考人としておいでいただいております国立感染症研究所の多屋先生にお願いをしたいと思います。
それでは、事務局、お願いします。
○結核感染症課長補佐 資料3、風しんの発生状況等について御説明させていただきます。
まずめくっていただいて1枚目、風しんについてですけれども、風しんの症状につきましては無症状から重篤な合併症まで幅広い症状がございますが、特に問題になるものとしまして先天性風しん症候群がございます。これは風しんに対して免疫のない女性が、特に妊娠初期に罹患した場合に、お子様に目や耳や心臓の障害が引き起こされることを申します。
風しんと、先天性風しん症候群の発生報告数ですが、一番下の表になりますが、2008年以降、風しんが全数報告されております。2012年、2013年に発生数がふえておりまして、このとき先天性風しん症候群のお子様も4例、32例と報告がございました。
2ページ目ですが、風しんの累積報告数の推移でございます。近年、一番多かったのが2013年、オレンジの線になりますが、1万4344人、次いで青い線になりますけれども、2012年の2,386人です。それ以外の年は割と報告数は少なく、ことしの29週までは例年どおり少なかったのですけれども、30週ごろから報告数が増加し始めておりまして、ことしは37週までに642人の報告がございます。これは昨年の約7倍の報告数になります。
3枚目は風しんの発生数の週別の報告数になります。30週以降ふえてございますが、特に36週、37週につきましては、1週間に100例以上の報告がございました。
4ページ目は1週目から37週目までの累計の報告数になります。多いのは東京、千葉、神奈川といった関東の都県、それと愛知で30例以上の報告が見られます。
5枚目は色づけがされているのですけれども、赤が37週、黄色が36週ということで、特に東京、千葉ではごく最近も報告数がかなりたくさん見られてございます。
6枚目は性別・年齢階級別のグラフになります。青が男性で赤が女性です。男性に多く、女性に少なく、男性の中でも特に30代、40代、50代、こういったところの報告数が多く見られます。一方、女性については20代の報告が多い状況です。
7枚目は年齢・年齢群別の風しんの抗体保有状況です。赤い線、HIで1:8以上、風しんの抗体価があると考えられるグループになるのですけれども、おおむね90%以上の抗体保有率でございますが、緑で色づけされた部分、30~59歳のところに関しては、女性の赤い線はほぼ100%、90%ぐらいのところを推移しているのですけれども、上の図、男性のグラフに関しては30~59歳のところで80%台に低下している年齢群がございます。
8ページ目、その男性の30~59歳の年齢区分がどこに位置するかと申しますと、男性は定期接種がなかった。女性については中学生のときに学校で集団接種を行っていたということで、女性については免疫はある程度保持されていますけれども、男性については予防接種を受ける機会もありませんでしたし、風しんにかかることもなく経過された方がおられるということで、先ほどのグラフのような抗体保有率になってございます。
最後のページになるのですけれども、こういった状況でございますので、今後の風しん対策の案なのですが、まずは先天性風しん症候群を防ぐための対策が重要と考えておりまして、現在の風しんの発生動向を見ますと関東圏が中心と、あとは愛知県がございますが、報告数の増加が続いています。
こうした発生動向を踏まえまして、まずは以下の取り組みを進めたいと考えております。1つは風しんの症状、感染力、妊婦への影響等について正しく理解していただけるように周知を行います。
2番目、妊娠を希望する女性、妊婦とその同居家族に対して抗体検査を受けていただくように周知しまして、3番目、抗体検査の結果、抗体価が低かった方に予防接種が受けられるように環境整備を行ってまいります。
それから、風しん排除のための対策としまして、これらに続いて予防接種の実施体制の強化等について今後検討していきたいと考えております。
事務局からは以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。
それでは、多屋参考人、引き続いてお願いいたします。
○多屋参考人 それでは、資料4に沿ってお話をしたいと思います。
今の資料3と重なるところもありますので、それは少し省略しながらお話したいと思います。
2ページ目と3ページ目のグラフをごらんいただきながら進めさせていただきたいと思います。
まず、今、御紹介がありましたように、今年の累積報告数は642人ですが、毎週100人以上増えている状態は変わりありません。そして、風しんに関する特定感染症予防指針というものが平成26年3月に告示されているのですが、そこでは早期に先天性風しん症候群の発生をなくすとともに、平成32年度までに風しんの排除を達成するということが目標として掲げられております。しかし、風しんの排除を達成するためには、今の流行が1年以上続きますと、土着株ということになってしまいまして、そうなると3年間検出されないということを証明しなくてはいけなくなりますので、この流行が1年以内にもしとまらなければ、2020年度、平成32年度の風しん排除が不可能となってしまいますので、何とかしてこの流行をとめたいと思います。
次に、妊婦への感染を防止させることが今、喫緊の課題であると思うのですが、妊娠・出産年齢の女性や妊婦の周りには、先ほど御紹介いただきましたように特に30代から50代の成人男性が多く居て、そこに感受性者が多く蓄積されたままになっていますので、その方々が免疫を持っていただかない限り流行をとめることは難しいだろうと思っています。2013年の流行以降は、非常に少ない数で推移してきたのですが、この5年間、抗体保有率は全く変わっておりません。
そして、図1、図2-1、図2-2というのが現在の急増している状況をあらわしていますが、これは毎週火曜日か水曜日にホームページに公表しているのですけれども、このカーブが寝てきたら、患者さんが少なくなっていると思っていただければと思います。週ごとの報告数だけを見ますと少し増減がございますので、累積報告数の傾きが緩やかになってきたら、少し流行が落ち着いてきているという風にご覧いただければと思います。
次に図3ですけれども、2008年から全数届出疾患になっています。今年までの10年間のグラフですが、赤が風しんでグレーが先天性風しん症候群になっています。風しんの流行のピークから5~6カ月を経て多く出産がありますので、そのころに先天性風しん症候群の報告が多くなります。現在、赤の丸で囲っていますけれども、この状況をとめなければ来年、再来年の風しん流行が心配となります。対策が行われなければ2012-2013年と同じような流行が起こってしまうことを心配します。
これまで風しんは1982年からサーベイランスが行われてきましたが、大体流行が2年から3年連続して起こることが多いものですから、そこは心配しております。
次に図4、図5、図6、図7をごらんいただきたいのですが、先ほど厚生労働省から御紹介がありましたように、日本地図の赤い色が風しんの患者さんの数を円であらわしたものになります。確かに東京、千葉、神奈川、埼玉、茨城といった関東地方からの報告が多いのですけれども、各地方で患者さんの報告が見られるようになっており、現在まだ報告がない都道府県が11県のみとなっております。
次に、3ページ目の年齢のグラフですけれども、これも先ほど御紹介がありましたが、今、28歳以下の男女というのは2回のワクチンを定期接種として受ける機会がありましたので、ワクチンの効果によって患者数が少ないということがまず1つと、風しんの報告患者は成人が95%を占めます。男性と女性に差があるのは定期の予防接種の制度の違いによるからです。男性は特に今年40代が多く、次に30代なのですけれども、予防接種歴を見ますと黄色が予防接種歴なし、紫が予防接種歴不明で、青い色が途中、散見されていますけれども、1回だけの接種の方で、2回接種を受けている方の発症はゼロとは言いませんが、極めてまれな状態となっております。予防接種歴なし、あるいは不明が93%を占める状況です。
図11は、どこで感染したかをグラフ化したものですが、赤で色づけているのが海外、国外で感染したと報告されている方で、これが2%と極めて少なく、ほとんどの方が日本国内で感染を受けていることがわかります。
次に4ページ目に行きたいと思います。これは予防接種法に基づいて実施されている感染症流行予測調査事業の2017年度の結果をあらわしたものになります。特に今、患者さんの中心は、過去にワクチンを受けておらず、風しんウイルスに感染したことがない、抗体を保有していない集団なわけですけれども、成人男性は30代後半、40代、50代前半で特に抗体保有率が低く、ここには数百万人規模の感受性者が残されたままです。
図13をごらんください。これは性・年齢別にこの10年間の抗体保有率を示したものです。特に青い折れ線グラフ、1962年から1978年度生まれの男性の抗体保有率は、この10年間変わらず80%のままです。ですので、抗体検査を受けるというだけでは対策にはつながりません。抗体検査を受けて低ければワクチンを受けるというところまでされて、初めて抗体保有率が上がってくるということをもう一度、皆さんに理解していただく必要があると思います。
図14がそのことをあらわしていますが、折れ線グラフが前年、2017年の抗体保有率を男女別にあらわしたもので、赤が女性で、青が男性となっています。
その下の棒グラフが、ことしの患者さんの報告数で、青が男性でピンクが女性なのですけれども、青の折れ線グラフ、抗体保有率が低い年齢層の男性に患者さんが多く発生しているというのがわかります。
次に図15は、女性の抗体保有率を抗体価別にあらわしたものを載せていますが、先ほど厚生労働省から御紹介いただきました抗体保有率の男女別のグラフをご覧いただくと、もう少しよくわかるかもしれないのですが、資料3の7ページ目に上が男性、下が女性で抗体保有率を載せていただいていますけれども、30代、40代、50代の男性というのは、恐らくこれまでに風しんにかかって抗体を獲得した方が多いのだと思います。ですので、赤と黄色と青の折れ線グラフは、ほぼ同じ割合を示しています。かかって免疫が得られた方は、比較的高い抗体価を持っていらっしゃる。
一方、女性はワクチンを1回受けて抗体を持っている方が多いです。確かに陽性という観点で考えれば、95%以上の抗体保有率ですが、妊婦健診のときに風しんの抗体価が低いですと言われるのはHI抗体価16以下の場合となります。このグラフで見ますと、16以下というのは赤い折れ線グラフと青い折れ線グラフのちょうど間にあるところがHI抗体価8あるいはHI抗体価16と言われる人になりますので、妊婦健診で低いと言われる方は20代前半だと20%、20代後半だと24%、30代前半で16%、30代後半で12%、40代前半で16%、40代後半で19%と、妊娠・出産される年齢の女性では、これぐらいの割合の方が抗体価が低いと言われているということにも注意が必要かと思います。妊娠20週までに風しんウイルスに感染した場合に、お腹の赤ちゃんへの影響が心配されます。
次に、最後5ページに行きたいと思います。5ページは先ほども既に御紹介いただきましたが、定期の予防接種の制度によって今の抗体保有率が説明できるというグラフとなっています。今年9月1日現在で、56歳5カ月以上の女性はワクチンを受けていませんので、この方々はかかっていなければ免疫を持たない。特に39歳5カ月から56歳5カ月の男女に大きな差があることが図16でわかります。39歳5カ月以上の男性と56歳5カ月以上の女性は、定期の予防接種の機会がなかった。そして、30歳11カ月と39歳5カ月の黄色の部分は、確かに中学のときに1回、男女ともが定期接種の機会を持ったのですけれども、集団接種が行われなくなり、保護者と一緒に医療機関を受診して受けるということになりましたので、中学生はなかなか医療機関には保護者と一緒には行ってくださらず、接種率が伸び悩みました。非常に低い接種率であったということから、2年ほど経過措置も設けていただいたのですけれども、この年齢層の予防接種率は十分高いものにはなっていません。また、28歳5カ月から30歳11カ月の幼児期に個別接種1回のところも、接種率はそれほど高くなかったものですから、ここも今、患者さんとして発症されている方が多いということがわかります。
2回接種も高校3年生、中学1年生、小学校入学前1年間のどこかの時期に受けるのですけれども、高校3年生で2回目を受ける年齢層の5学年分の方については、接種率が8割ぐらいだったということも理解しておく必要があるかと思います。
以上のようなことから、近年の風しんの患者さんは小児から成人へとシフトしています。妊娠20週ぐらいまでの女性が風しんウイルスに感染すると、胎児への感染が起こって先天性風しん症候群の赤ちゃんの出生という可能性がございます。妊娠中はワクチンを受けられません。また、受けた後は女性については2カ月間、妊娠を避ける必要があることから、女性は妊娠前に子供のころも含めて2回の風しん含有ワクチンを受けておいてほしいこと。妊婦の周囲の方については、免疫を持たないのであれば、この流行状況だと今すぐワクチンを受けておいてほしいこと。30代から50代の男性で風しんにかかったことがなく、ワクチンを受けていない、あるいは不明であれば、早目に麻しん・風しん混合ワクチンを受けておいてほしいということが勧められます。
風しんはワクチンで予防可能な感染症です。どうか今すぐ妊婦さんの周り、そして、妊娠を希望するとか希望しないにかかわらず、女性は妊娠前に2回のワクチンを受けてほしいこと、流行を直ちにとめる政策をすぐに構築してほしいと思います。それにはワクチンが必要だと考えております。
以上、簡単ですが、私から資料4の説明を終わらせていただきます。
○倉根部会長 どうもありがとうございました。
事務局からの資料3の説明、それから、多屋参考人からの説明がございました。本日は資料3の最後の9ページに今後の風しん対策の案というものが示されておりますが、ここも含めてぜひ委員の皆様の御意見あるいは御質問をいただければと思いますが、何かございましょうか。まず大石委員、どうぞ。
○大石委員 風しんの発生状況について、資料としては提出できないのですけれども、状況についてコメントをしたいと思います。
首都圏で発生した症例が届出されているわけですが、届出票の中に感染経路あるいは感染源のリンク記載箇所が有ります。麻しんの届出では平成26年に通知が出て、この感染経路ついてできるだけ届けるようにということが書かれているのですが、風しんについてはまだそれが出ていないのが現状であります。しかし、今年改訂した風しんの感染症予防指針でも1例出たらすぐ対応するという方針は、麻しんと同様に実施することになっています。このため、自治体の方も麻疹と同様に考えて届出をされておられると思います。現状の風疹の発生動向のデータを見ると、ほとんどの症例で感染源不明、或いは感染源についての記載がないというのが現状のようです。
数値としては表せないのですけれども、我々しっかり認識していかないといけないのは、麻しんと風しんが全く違う病気であるということです。風しんは御存じのとおり無症候感染があって、症状が出ない人が感染源になり得るということと、発症する1週間前から感染が起こり得るということでありまして、そういったことが多分こういう今の風しんの感染者のリンクの追えない状況になっているのだろうと考えます。このことはみんな思っているのですが、疫学データとしてなかなかそれを示すことができないということであります。
結果として我々は風疹の発生動向を示しておりますけれども、正直言って、感染拡大に対してなすすべがないということであります。一生懸命メディアを通して啓発はしているところですが、麻しんと風しんが同じように感染拡大防止のための対策ができるかといったらできないんだということも、しっかり認識しておく必要があるということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。
岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 私は今、木曜と金曜日に品川のビル診で患者さんを診ています。自分の専門のHIV感染者を診るためなのですが、ことしの連休の前は麻しんが沖縄で出て、沖縄に遊びに行く人たちが麻しんのワクチン目的でいっぱい来ましたので、私も手伝って診察をしました。今は風しんで男も女もかなり来られて、特に男性は奥さんが妊娠しているとか、これから妊娠する可能性があるので奥さんに言われて来たという人がいます。実際に先週もそういう方を診察しました。
そういう点から資料3について、良いデータだと思うのですけれども(事務局資料の7ページ)一般のクリニックだと、まず抗体価をはかろうとなったときに、検査会社に検体を出します。検査会社では倍々希釈ではなく、自動化法でIgGとIgMに分別して結果が出ます。要するに抗体測定の仕方がHIではないわけです。検査会社の検査法でやったときに、この図はどうなるのかと知りたいと思います。あるいは8倍とか16倍という抗体価が市中でよくやられている検査ではどのぐらいの値になるのかというのがわかると、たいへん参考になります。それが1点目です。
2点目は質問です。先週、実際に奥さんがちょうど妊娠しているという男性が来ました。その方は4年前にアメリカ留学をした際、先方にの規定で風しんワクチンをどうしても打たなければいけなかった。接種した4種類のワクチンの中に風しんがあったということをよく覚えていました。「まず抗体価をはかろうよ」といって今週、抗体価が出た後再受診することになっています。陰性の女性が妊娠しているあるいは妊婦を持つ旦那さんに生ワクチンを打って良いのか。よいうのが質問です。恐らくワクチンの家族内感染はないのでしょうけれども、わかっていれば、教えていただきたい。
○倉根部会長 事務局いかがでしょうか。岩本委員から2つコメントがございましたけれども、多屋参考人、レスポンスをお願いします。
○多屋参考人 御指名なので、最初の質問なのですけれども、今日はお持ちしていませんが、国立感染症研究所のホームページの風しんのサイトの真ん中から少し下のところに、測定方法が違った場合の読みかえというものを出しております。前回、2013年に風しんが流行しましたときに、HI法で使う血球が足りなくなって、HI法以外の方法で測定した場合にどうかという検討をしたことがあります。よく使われているEIA法ですと、16以下は8.0未満が大体同じぐらいの抗体価に相当すると書いてあります。他の方法も全部読みかえを書いてありますので、もしよかったら御活用いただければと思います。
2つ目の御質問なのですけれども、たくさん同じ御質問をいただきます。ありがとうございます。そこで、これも前回の流行のときに感染研のホームページに風しんQ&Aというものをつくって載せているのですが、Q4-2に家族に妊婦がいる場合、風しんの予防接種を受けてもよいでしょうか。接種を受けた者から妊婦に風しんワクチンのウイルスが移る可能性はありませんかというQを設けておりまして、その回答としては、その心配はまずないと言ってよいでしょう。としています。ただし、確認する方法が麻しんの場合はおサルさんを使って検討などもされています。風しんはそういうことができないのですが、多分その心配はないと思います。
1つ、今の風しんの流行ですと、1日、東京に出張に来られただけで感染して、関西のほうで発症されている人もいらっしゃるぐらいです。もし風しんのワクチンを受けるのが全く初めての方でウイルス血症が起こるような状態になっていたということであれば、感受性者ということになります。今の流行状況ですと自然感染を受けてしまいますので、その方が自然感染をして風しんを発症してしまうことのほうが、リスクとしてはかなり大きいのではないかということをQAのAのほうに書いてございます。ですので、もしワクチンを1歳以上で2回受けたことがない妊婦さんの家族は、風しん予防と麻しん予防の両方の観点からMRワクチンを選択することをお勧めします。妊婦自身は風しんの予防接種を受けることができませんという回答にしておりますので、もしよろしければ使っていただければと思います。ありがとうございます。
○倉根部会長 越田委員、手を挙げられておられたので。
○越田委員 私は1つの中核市、47万の人口の都市をお預かりしているのですけれども、保健所で風しんの抗体検査をしております。過去3年間の検査をさっくりと見てきたのですけれども、26年から28年の3年間の間に1,431名の方が抗体検査を受けていらっしゃいます。そのうち今、多屋先生がおっしゃったようにEIA法をHIに読みかえた形で、陰性と陽性、陰性と低力価と高力価に分けますと、陰性が11%です。低力価が24%、高力価が65%、これは全国的に大体似たようなトレンドかなと思っておりますし、EIA法とHI法と差はそんなにありません。ほとんど似たような形のポピュレーションになっているというのが1点目です。
それから、金沢市では母子集団健診事業を行っていますので、ある日の3カ月健診に訪れた親御さんの母子手帳を全部見ました。またこの日は52名の方が来られていまして、お母様に風疹ワクチンの接種回数もお聞きしました。1回も打っていないお母様は3人、1回だけ打った方は12人、2回だけは9人です。何と3回打った方が8人いらっしゃる。そして、不明・わからないという方が13人いらっしゃるわけです。自分の接種歴を把握していないことが問題です。これが現状で、概ね全国的にも似たような妊婦さんの状況ではないかと思われます。接種歴不明も大きな問題ではありますが、1回しか接種していないとか、あるいは一度も接種していないお母さん方は風疹ウイルスに対して、感受性が非常に高い状況ではないかと思います。
金沢市としましては、確かにこのお母さん方もそうなのですけれども、男性にもワクチン接種をしていただこうということで、今年度から麻しんと風しんワクチン接種費用の成人への助成を始めました。抗体検査は実は保健所でやっているのです。しかし、予防接種業務は保健所ではなくて市町村業務として本庁舎でやっておりますので、予防接種をした方には償還払いなのですけれども、本庁舎に領収書を持ってきなさいとご説明しています。MRを打った場合は3,000円キックバック、風しんだけだったら2,000円キックバックしますという仕組みを今年4月から導入しました。そうしましたら結構接種を行って下さいました。特に風しんの場合は抗体検査をして低いことという条件を一応つけてあるのですけれども、6月、7月までに129名、麻しんも373名が受けてくださいました。ですから抗体検査もいいのですが、抗体検査した後ワクチンを接種するという仕組みが必要ではないか。あるいは抗体検査はいいからワクチンをするという仕組みをしないと、絶対に感受性者は減らないと思うのです。
産婦人科の先生方と話をする機会があるのですけれども、お母さんには母子手帳を見て風しんの抗体価をご説明する際に、同時にお父さんの状況も聞いてしまったらどうかなと思うのがまず1点。それから、もしそこで低ければ、あとは自治体でいろいろな対策を立てていらっしゃると思うのですけれども、お父さんに対して何らかの予防接種を勧奨するというような仕組みがあるといいのではないかと思います。せっかくの機会なのでその世代のお父さんも一緒に対象とするということを私は提案したいなと思っています。
それから、産婦人科の先生方からは、一体何回打てばいいんだ、抗体価が上がるまで打ち続けねばならないのかということを時々聞かれます。感染環境学会の表だけが先走ってしまいましてまだ抗体価が上がらないから3回目を打ちましたとか、4回目を打ちましたということをおっしゃるのですけれども、これも少なくとも2回きちんと打っていれば大丈夫だということをお伝えしておく必要があるのではないかなと思っております。
以上です。
○倉根部会長 ありがとうございます。
岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 前々から風しんの重要性というのは、こういうところでは伝わっているのですけれども、それがなかなか外に行かない。最近はメディアがよく取り上げてくれていますが、それは流行があるから取り上げているのであって、日常のことはなかなかニュースになりにくいということもありますけれども、正常のときにどうやるか、ここが重要であり、厄介なところです。また今、出ているような抗体陰性者には陰性だということだけではなくて、ワクチン接種を確認する。ワクチンをやってくださいと言うためにはワクチンがないといけないのですが、我々もできるだけワクチンを打ってくれと強調すると、今度はすぐワクチンはなくなってしまうという生産・流通の問題がどうしても絡んでくるので、そこの解決がまず必要だろうと思います。
もう一点は、ワクチンを接種しに行く環境がなかなか整わなくて、抗体が陰性であるということがわかっても、行くには仕事を持っている者はお休みを取らなければいけないし、休むためには手続を取らなければいけない。有休はどうなっているのかという話になります。これは今やイクボス宣言とか働き方改革ということをやっている中で、健康を守るためにやすみをとることへの理解をするという社会の仕組みが必要ではないか。つまり健康診断に行くのは特別な休みを取るのだけれども、予防接種に自分が行ったり子供さんの付き添いに行くというのは風しんだけに限らず、そのようなことを社会として行うべき1つの動きとして捉える必要がある。
たしか以前に国家公務員は予防接種を子供さんが受けに行くか、あるいは本人が受けに行くときは休暇扱いを容易に取るか、あるいは休暇として特別休暇にするとか職免にすることができるというアナウンスがされたことがあったと思います。そのような制度を一度改めて流したと思うのです。しかし、それが全然どこでもわかってません。私もこう説明するときにどうだったかなと思うぐらいなのですけれども。一度そのような仕組みができ、これがうまくスタートするかなと思ったけれども、公務員の中でも民間でも実際はまったく浸透していないと思います。そういうところの工夫をぜひもう一度やっていただきたい。つまり、こういう専門家集団だけでやってはもう間に合わない、社会の理解が必要という段階に来ている。
もう一つ。2020年のオリンピックは大きい目標であり、確かにそこに目標を設定したというのはわかりやすいのですけれども、2020年までできないからもうだめだとか、あるいは2020年だけに特化してやるのではもう時間的に無理である。そういう悲観的な話を言うではなくて、2020年は1つの目標だけれども、長期設定で例えば5年かけるとか、10年かけるということでもいいと思います。
はしかが日本がエリミネーションを達成したのも、5年間かけて中1、高3で3期、4期という制度を取り入れて、海外からは何をやっているんだルーズなやり方でと言われましたけれども、それが相当功を奏したというのがありますので、多屋先生もよくおっしゃっているけれども、これを今の短期間で早く潰そうというのは、もちろん1つは急性のものに対する考えとして必要ですが、もう一つ、5年間かけてどうするのか、10年かけてどうするのか、それで日本からCRSをなくそうというのが考え方として必要ではないかと思います。
以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。
矢内委員、どうぞ。
○矢内委員 東京都でございます。
風しんの流行につきましては東京都としても非常に憂慮しており、都民向けあるいは職域向けの広報とで、抗体価が低い年代への抗体検査の呼びかけをしているところです。
抗体検査に続いてワクチンを打っていただくことが重要ですが、東京都では、妊娠を希望する女性に対するワクチン接種を抗体検査に引き続いて行う区市町村に対しては、都独自の補助制度を持っております。ワクチンを受けていただきたいのですが、先ほど岡部先生からもお話がありましたが、やはりワクチン接種を呼びかけると、定期接種が確保できないというようなお話を地域で伺っているので、ぜひ国でもワクチン接種に関する財源の確保、また、ワクチンの安定供給・確保ということについてしっかりとした方針を示して、対策をとっていただきたいと思っております。
そのほか、抗体検査についてはでが都内全区市町村で抗体検査を実施していますが、抗体検査を受けないでワクチン接種がいいと思うのですが、まずは抗体検査を受けていただくための広報を、東京都だけでやっても全国的な展開にならないと効果が上がらないと思います。ぜひ国のほうでも普及啓発に一層、力を入れていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○倉根部会長 今、2つ岡部委員からも矢内委員からもワクチンの供給の問題が出ているのですけれども、事務局、そこの点はいかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 予防接種室長でございます。
MRワクチンの供給ということでお話を申し上げたいと思います。
MRワクチンに関しましては、これは皆様御存じのとおりでございますけれども、毎月およそ20万本ぐらいが定期接種と通常の任意接種も含めて供給されている状況でございます。ことしの状況を見ますと、MRワクチンのうちの麻しんの成分の関係でございますが、4月、5月に麻しんの発生に伴う需要の増がございまして、月々で見ますと20万本程度の出荷だったものが4月、5月に関しましては50万本、2~3カ月分が出ていくという状況がございました。そういった状況を受けまして今、各社ともにMRワクチンに関しまして最大限、増産を続けていただいているところでございまして、現在の状況を申し上げますと、もちろん定期接種と通常行われている任意接種を維持するだけの供給というのは十分確保できてございますけれども、ことしの4月、5月にあったような供給の増というものがまたありますと、その定期接種を麻しん、風しん対策の根幹であります定期接種を守るということを優先に、また考えていかなければならないのかなということでございます。
現在は麻しん、風しんのワクチンにつきまして、可能な限りの増産をお願いしているところでございますけれども、委員から御指摘がありますのは、そういった通常の努力を超えるような、もっと何百万本単位ということでの増産についての検討をするようにということではないかと考えておりますが、その部分に関しましては各メーカーからも意見をお聞きしながら、どういった対応ができるかということに取り組んでございます。
○倉根部会長 ありがとうございました。
山田委員、どうぞ。
○山田委員 先ほどから幾つか出ていると思うのですけれども、風しん対策案の中の2番目に抗体検査を受けていただくよう周知という、これが随分気になっているのです。
東京都とか金沢市あたりでは保健所がやると言っていますけれども、多分、有料になるのではないかと思うし、東京都は無料ですか。基本的に無料ですか。そうするとモチベーションはいいとしても、結局でも2段階なので、それこそ先ほどからいろいろ出ているように、打ってしまったらどうかと。対策の案としても抗体検査を推奨するというよりも、ワクチン接種を推奨する。そのために何が必要かという議論をしたほうが手っ取り早いのではないかと思うのです。
働く男性にどうやって接種するかですけれども、これは経営団体とかそういうところの協力を求めるとか、会社でやってもらうとか、場をつくってもらうとか、いろいろな工夫ができると思うので、要は緊急事態なので緊急事態をどう乗り切るかというときに、ワクチン接種が有効だと言いつつ、なぜワクチンを打たないのか。抗体検査をして抗体が陽性であってもワクチンを打ったって問題ないわけですから、そういうふうにしてはどうかなと思います。
○倉根部会長 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 今、山田委員からも御指摘がありましたように、抗体検査をしなくてもワクチンを接種するという方向に将来はぜひ持っていくべきだと思いますが、岡部委員が言われたように、2020年というのは大きな我が国にとってはオリンピック・パラリンピックの大事な年ですが、それまであと2年しかない、2年もないぐらいなので、やはりもっと長い目で見なければいけないということで、先ほど予防接種室長からも話がありましたが、ワクチンの増産は方向を決めて実際に生産量がぐっと確保できるまでには大分時間がかかるし、通常の定期接種のほかに必要なワクチンを供給することになると、それには準備に時間がかかりますから、しかし、一方で非常に感染が広がってきて、今日もマスコミも来ておられると思いますが、国民的な関心も広がっている今の時期をぜひ有効に使って、まず短期的にできることと、将来を見据えてしっかり計画を立てることを分けて考えて、そして、今できることはなるべく先天性風しん症候群を極力出さないために、現在あるワクチンをいかに有効に、必要なところに、一番有効に振り分けるかというところと、将来に向けての計画と分けて考えるべきだと私は思います。
そのことについては厚労省もいろいろ検討しているやに聞いておりますが、ぜひその方向で定期接種ができなくならないように、現在の余力の中でどういうことをやったら一番うまくいくのか。そして、それと同時に将来に向けて山田委員が言われるように余り抗体検査にかかわらず、必要なところにしっかりあまねくワクチンができる方策を立てる。この2本で考えていくべきだと思います。
○倉根部会長 今、そういう関連した御意見が出ましたけれども、事務局、この件いかがでしょうか。ワクチンをどのような方に打つのか。江浪室長からお願いします。
○江浪予防接種室長 ほぼ釜萢委員から御説明をいただいてしまいましたので、ほとんど繰り返しのようなことになってしまいますけれども、抗体の保有率が低いとされる年代を、何歳から何歳までの男性とするのか、女性にするのかで考え方があるわけですが、例えば事務局の資料の7ページにある年齢別の風しん抗体保有率というものを見た場合に、30代から50代までの30年の男性の世代が抗体保有率が低いんだということでありますと、ここの人口、男性だけでもおよそ1,500万人いらっしゃることになります。
ここの接種をいずれかのタイミングではやっていかなければいけないのではないかという御指摘と思いますけれども、当面、今、行えることとなりますと、1,500万人の接種はなかなか現実的ではないというところがございますし、また、30代から50代の方々におきましても、このグラフにありますとおり8割が抗体があるという中で、どういうふうに効果的にここを埋めることができるのかというところが大きな課題だと考えております。
釜萢委員から御指摘がありましたとおり、予防接種室としましてはまずは定期接種が必ず円滑に行われるという部分を十分に確保した上で、今、増産をお願いしている部分をどういうふうに有効に使えるか。そのときに釜萢委員から御指摘があったように、恐らく段階というものがあるのだろう。今、ある程度感染が拡大されることが危惧される地域があるのであれば、そういった地域においては恐らく一番守らなければならない、事務局資料の最後のほうにあります先天性風しん症候群を防ぐための対策ということに、まずはワクチンの供給に万全を期していくということではないかと考えております。
また、実際に感染の拡大が危惧されるときに、今、大分ふえてきているところなのかもしれませんけれども、またこれが例えばおさまるようなことがあったとした場合に、もう一回、感染が拡大することを防ぐためにはどうすればいいのかとなったときに、それはそのときにまたこの3000万人を全部埋め尽くさないと、直ちに流行を阻止することはできないということなのか、それとももう少し効果的にそのワクチンを投入する方法があるのかということにつきましても、並行して検討していきたいと考えてございます。
○倉根部会長 山田委員、関連のことでしょうか。
○山田委員 お二人のおっしゃることはよくわかるのですけれども、基本的にここの最後の対策案というのはCRSを防ぐための対策ということで、2番目のところでは妊娠を希望する女性あるいはその同居家族というふうに絞り込んでいるわけです。だからハイリスクグループに対して、そこに対応しましょうということで1,500万人を対象にしろという話ではないわけで、そのハイリスクグループの方たちへの対応でなぜ抗体検査をワンステップ入れるか。そこでどれだけのワクチンのセーブができるのかというところが明確ならばいいのですけれども、仮に現在余力のあるワクチンをもって増産等はするにしても、このハイリスクグループに対して抗体検査というワンステップを置くのではなくて、一気にワクチン接種にしてしまったほうが対策としても時間的にも早いし、いかがなものなのでしょうかということです。
○倉根部会長 事務局どうぞ。
○江浪予防接種室長 今後の風しん対策案の中で掲げてあります対象に関しましては、マル2のところでございますけれども、妊娠を希望する女性、妊婦及びその同居家族に対しというところでございます。
妊娠を希望する女性というところが1つ課題というところでございまして、妊娠が可能な女性という、そもそも妊娠する可能性のある年代の女性ということになりますと、先ほどの7ページの資料に戻りますと10代後半から例えば40代、ずっと妊娠する可能性がある女性ということでありますと幅広い年代が対象になり得るということでございます。
その女性に関しまして見てみますと、先天性風しん症候群に実際に感染した場合に、先天性風しん症候群になることを阻止できる高いレベルの抗体保有率ということになりますと、多屋先生から御紹介いただきました感染症研究所の資料にありますとおり、この世代でも2割ぐらいの方が対象となり得る。一方で8割の方は十分守られているという状態にあるというところで、このハイリスク者を守るという対策の中でも、特に妊娠を希望する女性の部分に関しましては、ポテンシャルとして数は非常に多いというところで実際にワクチンを有効に、効果的に供給する際に、まずは抗体検査を行うということで現時点では考えてございます。もちろんそのワクチンが十分、増産できて、ある程度の期間をかけながら接種をする機会を設けるということ自体、そういうタイミングが来れば、そのときはまた別の問題ではございますけれども、当面この対応を行っていく際には定期接種を守りながら限られたワクチンを有効に投入するという観点からは、妊娠する可能性のある女性、妊娠を希望される女性に関しましても、できれば抗体検査を行った上でと考えてございます。
○倉根部会長 先ほど大石委員が手を挙げておられたので。関連のことでよろしいですね。
○大石委員 感染研の大石です。
事務局としていろいろなことを配慮されて、少しずつ施策を進めようとされているということはよく理解できます。しかし、今後の風しん対策案の中で2012年、2013年、そして今回、流行の中心が30~50代の男性、そして若い女性の年代もあるのですが、主には男性成人の感受性者が多く蓄積していることで国内流行が起こっているという事実を認識すべきです。この点がはっきり案の中に書かれていないと思うのです。多分、3番のところで抗体が低かった人が予防接種を受けられる環境整備を行う。ここの部分がこのことを斟酌して書かれているのかなと思うのですけれども、やはりそこの認識を、これは事実ですから、これまでのエビデンスですから、そこは明確に記載する必要があると思うのです。
そして、蓄積した感受性者を減らすため、あるいは感受性者をなくすために何をすべきなのか。岡部委員も矢内委員もおっしゃったように、国として時間をかけてでも感受性者をなくすという方針を示さないと、国民はなかなか理解できないと思います。抗体検査に行くと行っても、私の親族ですら全然意識が低くて、父顔だから言うことを聞くみたいなところがあって、なかなかメディアでどんなに言っても伝わらないのです。さらに接種費用が1万円もかかると一般の方にはなるとなかなか難しいことです。財政的な問題があることは十分理解するのですが、明確な感受性者を減少させるという基本方針を決めて、そして、これに対してどう予防接種施策を進めるのだというプロセスをしっかり示していただくべきです。
しかし、予防接種施策決定後にも多分ハードルがあると思うのです。国が施策を決めたとしても、実際に国民の接種動向に結びつくかというと、必ずしもそうではないのです。成人の肺炎球菌ワクチンはB類の定期接種になっていますけれども、接種率としては40%で停滞しています。あれだけマスメディアで宣伝してくれているのですが、そんなものです。まだまだ長い道のりがあるということは考えつつも、段階的に対策を進めていっていただきたいとうのが、私からの意見です。
以上です。
○倉根部会長 事務局、どうぞ。
○三宅結核感染症課長 結核感染症課でございます。
今後の風しん対策につきましては今、大石先生や、釜萢先生、いろいろな方から言っていただいているわけですけれども、本当におっしゃるとおりだと思います。排除に向かうために30代から50代の男性にどう立ち向かうか、そういうところも必要なわけでございますが、そういう中で我々としては2つに時期を分けざるを得ないだろうと考えています。それはやはり今の中でワクチンの需給状態を見ながらやれることと、大増産をある程度しっかりかける中でできることというのを分けて考えざるを得ない。
そして、さらに言えば増産をしっかりかけた後に結局使われなかった、流行が去るとみんなさっと引いていくという経験も企業にしてもいろいろあったようですので、そうしますとこの短期間的に何ができるかというところについては、CRSを防ぐためにやるというのが一番いいのではないかと思っています。
そして、決して忘れてはいけないのが、それで済まさないという決意として風しん排除のための対策として、上記に続く対策として予防接種の実施体制の強化などについて検討するというのも、事務局としてもここを重視するんだと。これについて今後、次回以降にでもどういうふうに流行がさらになるのかというのは、もう少し詳細な分析をしていきたいと思いますし、増産なり需給状況、いろいろな保障なりそういうこともいろいろ鑑みながら、しっかり考えていかなければいけないところだと思っていますので、それについて順次、その辺について皆さんと御報告しながら議論していきたいと思っています。
我々としてはとりあえず、現状で何をしなければいけないかということについては、このCRSを防ぐための対策として、しっかりこれを中心にやっていくのがいいのではないか。そういうことで決して逃げるつもりはないですし、決して明示はしないで済む問題ではないというのは、大石先生の御指摘のとおりだと思っています。
○倉根部会長 今、課長から最後のまとめもいただいたような形になりましたけれども、先ほど岡部先生、手を挙げておられたので、これだけできょう終わるわけにはいきませんので、まず岡部先生の御意見を最後にして、次に進みたいと思います。
○岡部委員 時間のないところ済みません。今、課長から急にやらなければいけないこと、それから、長期にわたってやることのお話があったので一言。国内におけるはしかのエリミネーション活動は前に私、申し上げたことがありますけれども、三宅さんが課長補佐のときに火をつけたというようなことがあります。ですから、ぜひこの点においても御理解をいただいているのではないかと思って期待しているところなのです。また全部にワクチンをやるというところはピンポイントでやるのか、あるいは絨毯爆撃でやるのがいいのかというのは、限られた資源その他があるので、そこは十分検討をしていただいたほうがいいだろうと思います。
それから、国任せだけではいけないので、我々のようなところとか、あるいは医師会の御協力とか、いろいろなところの理解、協力をいただかなければいけないと思うのですけれども、例えば私のいる川崎市では市長さんが若い方で、自分は実は接種年代ではなかったというので、では確認してみようと。母子手帳には記載がなかったので、ワクチン接種を受ける、と記者会見でおっしゃっていただいています。自治体ではそういうトップに立たれる方へのアプローチをぜひやっていく必要があるのではないかと思います。自治体側の努力も十分にやらなければいけないと思います。
○倉根部会長 ありがとうございます。議論がなかなか尽きないところではありますが、次の議題もございますので、まず本日は特に、先ほど表でも出てきましたが、東京、千葉、神奈川、埼玉、愛知といった県については、CRSを防ぐための策をとる必要があるのだろうと思いますので、まず本日示された今後の風しん対策を進めていくということで、この委員会としてはいかがでしょうか。その上で中長期的な今後5年になるのか、将来的なものも含めて御議論をいただくって、きょう御議論をいただくというよりは、この会も含めて御議論をいただくということにはしたいと思います。御意見いろいろ出ましたので、そのまとめを事務局でしていただき、そして、そこの確認については私が確認をし、そしてこの方向で進めていきたいということで感染症部会としては了承したいと考えます。
多屋参考人、どうぞ。
○多屋参考人 最後に一言、どうしてもお願いしたいことがあるのですが、抗体保有率の意見が出ていたと思うのですけれども、第3期、第4期をやった当時は、こんなに抗体保有率が低くなかったですから、もっと高い抗体保有率のところにワクチンを導入していますので、ここまで抗体があるから要らないのではないかというのは、もう一回考えてほしいと思いました。
あと、今、喫緊の問題として妊婦さんにはどうしてもかかってほしくないのですけれども、今、妊婦健診で風しん抗体価を測定するのが10週とか12週とかなのです。なので本人が自分の抗体価が低いということを知るのが14週とか15週とか遅いので、妊娠かなと思ったときに、カップルで風しんの抗体価があるかどうかを今の流行中だけでも見ていただけないかなと。すぐに予防対策をとっていただけないかなと思うのと、風しんにかかったら絶対に職場を休んでほしいと思っているのです。学校は出席停止ですが、職場はそういう制度がないので、かかったまま職場に来られていたという方がどうしてもいらっしゃるので、それだけはなしにしてもらえないかなということと、1回だけでいいので職場健診に風しん抗体価を入れていただけないかなというふうに思っていまして、貧血とか肝機能異常とかの検査は毎回、年に2回あるのですごくお金がかかりますが、1人1回だけでいいんです。自分の風しん抗体価を知りたいから受けに行こうと思っても、成人男性に抗体検査に行ってくださいと言うこと自体が非常に難しいので、今年度、1回、職場健診に知らない間に風しんの抗体価がわかる検査というのを今年1回だけでも入れていただけないかなというのが最後のお願いです。よろしくお願いします。
○倉根部会長 事務局としていかがでしょうか。ここですぐレスポンスできるのか、あるいは少しもむ必要があるのか。
○三宅結核感染症課長 まさに今後の対策の1つとしてしっかり考えていきたいと思っているところですけれども、特に職域の健康診断の中に入れるという案は我々も考えております。ただ、健康診断そのものは春と秋が大体のシーズンですので、来年度以降のところにどうにかできないかなと思っておりますが、確かにおっしゃるように今後の我々の抗体検査の補助事業の中にも、来年度事業の中にはそういうことができないかということは潜り込ませてございますし、費用が非常に少なくできますので、医療機関でやるのも健診の1項目でやるほうが10分の1とか8分の1ぐらいの値段でできますので、そういうことは考えたいと思いますし、今回このCRSを防ぐための方策としては、今、少し御示唆いただきましたように妊娠の方々に対する対策、それから、職場での対策というのは関係各課とも今、話しておりますので、そのような方向で何らかの短期的なことについて、とりあえずできることはやりたいと思っております。
○倉根部会長 ありがとうございます。
それでは、課長からのそういうレスポンス、御返答もございましたので、まずこの委員会としては今のお話も含め、この対策案については御了解いただくというふうにしたいと思います。
それでは、議題(2)に移りたいと思います。エボラ出血熱患者発生時の情報公開について、これは事務局から御説明をお願いします。
○嶋田専門官 資料2を御用意ください。「公衆衛生上特に重要である感染症の国内発症例が発生した場合の情報の公表に係る基本方針(たたき台)について」です。
こちらは公衆衛生上特に重要である感染症、エボラウイルス病のようなものが初症例した場合に、国が感染症の発生状況に関する情報を公表することになります。以下、国がこれらの感染症にかかわる情報を公表するに当たって、基本的な考え方を基本方針として定めて、今後、実際に公表を行うことになった場合に本方針に沿って対応することとします。
こちらは2週間前の1類感染症にかかわる検討会でこちらの資料を出してもらいましたので、今回は先生方には基本方針の内容について御意見をいただければなと思っています。
基本方針についてですが、国は公衆衛生上特に重要である感染症の国内初症例が発生した場合に、感染症法基づいて感染症の発生状況等に関する情報を積極的に公表することとしていますが、一方で、個人情報の保護にも十分に留意しなければなりません。こうした上で「公衆衛生上の対策の必要性」と「個人情報の保護の必要性」を考えた上で、「公衆衛生上の対策の必要性」が高いと判断した場合に、公衆衛生上の対策が必要な情報をきちんと伝えるようにしていきます。
一方で、それぞれの感染症によって「他者への感染力」「他者への感染経路」「他者に感染させ得る時期」に違いがあるため、こういった特徴も考えて公表すること、公表しないことを考えていきたいと思っています。
裏面になりますが、これが前回の1類感染症の検討会でもお示ししましたエボラ出血熱の場合のたたき台についてです。今後これで決まったわけではなくて、今後また関係省庁等と調整してブラッシュアップしていきたいと考えています。
以上です。
表面の基本方針についての御意見を特に伺えればと思っています。よろしくお願いします。
○倉根部会長 ありがとうございました。
今、基本方針についての御意見ということなので、きょうの委員会の目的としては、この基本方針がいかがであろうかということを見ていただきたいということでございます。御意見ございましょうか。
味澤委員、どうぞ。
○味澤委員 病気によって感染させる期間というのはかなり異なりますから、それをマスコミとかに伝えるときに、どの時期が感染させるリスクが高いのかということをはっきり知らせてあげるというのが個人のプライバシーも兼ねて非常に大事だと思います。今までですと、接触しただけでも次の人に移すのではないかというようなことを言われる人もいますので、こういうたたき台をつくるのは非常にいいことではないかと思います。
○倉根部会長 ほかに御意見いかがでしょうか。
私から1つ質問というか、裏のページのエボラ出血熱の特徴ということが2ページ目の上のところに、他者への感染力が弱いという、これは感染症に関する検討会の分離なのだろうと思いますが、感染力という言葉、このウイルスとしての感染様式がこうだから、他の飛沫感染なりするものに比べればというような意図なのだと思うのですけれども、何となく違和感があるので、これは資料になるのでもう少し書きようがないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○嶋田専門官 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりで、弱いと表現したのは他者への感染経路が主に接触感染ということと、感染される時期が発症後に限られるということで、麻しんや風しんなどに比べて広がりにくいという意味で弱いという表現をしたのですが、また言葉の表現については検討していきたいと考えています。
○倉根部会長 ちょっと細かいことでありましたけれども、ほかいかがでしょうか。岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 1点だけ、今、味澤先生がおっしゃったことと同じなのですけれども、「発症後に限られる」ということについてのコメントです。いつまでというのがないと、エボラに感染した方が発症後ずっと感染性を持つという誤ったメッセージとなり、長期にわたって差別に遭う可能性があります。ちょっと古い話ですが、SARSのとき抗体が出きた人について議論しないまま終わってしまいました。エボラは抗体ができた時期には、もう感染者は感染原因とならないということを、明記したほうがいいと思います。
○倉根部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見ございますか。山中委員、どうぞ。
○山中委員 基本方針のマル1、マル2にちょこちょこ出てくる言葉なのですけれども、言葉尻で申しわけありませんが、公衆衛生上の対策の必要性という言葉と、個人情報の保護の必要性、どちらも必要性という言葉にしてありますけれども、私ども現場にいるとどちらも必要なわけなので、その必要性と必要性を比較するというよりは、むしろ公衆衛生上のリスクの高さですとか、あるいは個人情報保護の重要性ですとか、そういったところで比較を実際はするのだろうなと思っておりますので、必要性と必要性の比較という言葉でないほうが、私どもにとってはわかりやすいかなという感じはいたしました。
○倉根部会長 事務局いかがでしょうか。
○野田結核感染症課長補佐 今回御意見をいただきまして、特にこれは実際にはほかの関係省庁もございますので、そこで調整をしていくという手順も踏みますので、今回、御意見をいただきまして修正した上で、さらに関係省庁等からも御意見をいただいていきたいと思います。その上でより適切な文言、例えば先ほどの他者への感染力という部分についても、そこは誤解を生むという部分であれば修正していく必要があると思っておりますので、そこについては今回、忌憚のない御意見をいただければと思っております。
○倉根部会長 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 基本方針が出てくるのはいいことだと思うのですけれども、例としてエボラ出血熱を出されたのでしょうが、これが独り歩きしないように。先ほど味澤委員もおっしやったように、病気それぞれによってかなりの違いがあるので、例えばペストの場合はどうするんだとかいうのも出てくるので、あくまでこれは一例であるということで言っていただければと思います。
○倉根部会長 事務局どうぞ。
○野田結核感染症課長補佐 岡部先生、ありがとうございます。今回エボラを例に出させていただきましたが、今後の方向性としましては基本方針を御了承いただいて、ある程度固まった上で、今回、エボラを例に出しておりますけれども、それ以外にも例えばMERSですとか鳥インフルエンザ、麻しんなどについても、全ての感染症についてこれを作るというのはなかなか難しいですが、特に主要なものについては幾つか事例については作っていきたいと考えております。
○倉根部会長 ありがとうございます。
ほかございましょうか。大曲委員、どうぞ。
○大曲委員 国際医療研究センターの大曲です。
実際に私が診療の中で対応したのは疑似症の対応だけなのですけれども、そのときの経験がもし参考になればと思いまして共有します。私たち診療する側からこの文章の意味を考えたときに非常に重要な点がありまして、医師、患者関係を築くときに患者さんに属する情報がどう扱われるかということは、実はその後の信頼関係の構築と、いかに適切な診療といいますか、安全な診療を行うかということは非常に重要なのです。そこの同意が得られないと検査もやらせていただけないですし、治療も進まないということになります。そもそも入院したくないなんてこともあり得ます。ですのでこういう基準をつくっていただくことは非常に重要でして、あなたの場合はこういう病気を疑っているから、このあたりの情報が公開されますよという基準があって説明ができると、我々としては非常に説明がしやすくて納得も得られやすいと思います。
その中で1つだけ気をつけなければいけないのは、我々の経験でもあったのですけれども、例えば確定の検査をするためのPCRの結果ですとかは、当然、行政の検査機関で検査が行われるのですけれども、その結果というのは非常に長く流れるのです。前回の反省では、実際に患者さん御自身の行政検査の結果をお知りになる前に実際に報道がなされたということがあって、すごくお怒りになったのです。2度ほどありました。ということで、これに入れるのにそぐう内容かどうかはわからないですけれども、そうした行政検査に属するような検査内容の報告のタイミングといいますか、端的に言えば早く患者さんに知らせて、その後にということなのですけれども、そういった点の考慮も必要かなと思いまして発言しました。
○倉根部会長 ありがとうございます。
越田委員、どうぞ。
○越田委員 2点だけ。1点目は、仮にエボラで公開情報は都道府県で非公開情報とするのは市町村なのですが、保健所単位で動くことになると全て大本営の県庁から発表するという仕組みにしていい疾患と、場合によっては市町村の保健所が対応しなければいけないという疾患もあると思います。先ほど岡部先生がおっしゃいましたけれども、これはあくまでも例であってということで、このようにしたいと思います。
もう一点は、ここに余り書かれていないのですけれども、患者さんのお名前だとか個人情報もそうなのですが、患者さんの属性ですよね。学校に行っているとか、職場がどこであるということも個人情報の1つとして捉えておいたほうが、診療する側としては有益な情報提供であることがあると思います。医師会の先生方からも言われるのですが、診療に必要な情報を非公開とされると支障をきたす。医療機関に限定して公表することはできないのかと。今後、感染症の診療に有益な情報は速やかに公開することができないかなと思います。そういった意味でも国のほうで何らかのガイドラインを出していただきたいなと思っています。
○倉根部会長 ありがとうございました。
今、多くの意見をいただきまして、方針としてこのようなものをたたき台としてつくっておられる。先ほど事務局からも報告がありましたけれども、各省庁との議論も出てくるということでありますが、この方向性、こういうものをつくっていくということ、そして、今回出てきたたたき台としてあるというものの方向性について、この委員会としては御了解いただければと思います。
そして、今、多くの御意見をいただきました。そこについてもまた事務局で再度検討し、そして変更が必要である部分については変更していただき、私のほうでもそれを確認していただくという形で、今回この議案については御了解をいただきたいと思っております。ありがとうございます。
それでは、次に、またさらにさかのぼりまして議題(1)であります。感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化についてであります。これは資料1に基づいて事務局からの説明をお願いいたします。
○嶋田専門官 資料1をごらんください。「感染症の発生動向調査(サーベイランス)機能の強化について」です。これは主にオリパラに関係することです。
こちらのサーベイランス強化については、国立感染症研究所の感染症疫学センターの松井班が検討をしておりまして、2ページになりますが、まずロンドン五輪の反省点として幾つか人員配置であったり、症候群サーベイランスにおける報告基準の明確化であったり、幾つか反省点が挙げられています。
3ページ、松井班で検討されている東京大会において我が国が配慮が必要な感染症として、このエクセルの表に幾つか挙がっていますが、特に右側の大規模事例の懸念かつ高い重症度のあるものとして、麻しん、髄膜炎菌、中東呼吸器症候群(MERS)、それから、季節的なものもあると思いますが、腸管出血性大腸菌感染症などが挙げられました。
また、4ページは理想的なサーベイランスとして、感染症情報を上げていく場として3つ主に考えておりまして、1つは実際の競技会場、左側であったり、あとは組織委員会が指定する大会指定病院と、大会指定医療機関以外の競技会場周辺の地域の病院やクリニックだったり、こういったところから情報が上げられていくのが理想的なサーベイランスとして考えられています。
少し話が飛んでしまうのですが、資料の5ページ目のところ、ことし2月にWHOの外部評価官がきちんと国際保健規則を遵守しているかどうかというので合同外部評価、JEEの評価がされまして、そのときにもサーベイランスについてのいろいろ提言がありました。その中でも強化すべき点として、今回のようなイベントベースサーベイランスの確実な運用のためのガイダンスを作成されているかどうかであったり、複数の自治体にまたがる感染症事例の情報共有であったり、こういったところが今後、強化すべき点として指摘されています。
こういった研究班にJEEの評価を踏まえまして、6ページになりますが、東京大会において求められるサーベイランスの対象としましては、基本的には質の高い包括的なシステムである感染症発生動向調査システム(NESID)を最大限活用していこうということで、それぞれ全数把握対象疾患であったり定点把握疾患、疑似症定点についていろいろ検討されることがありました。
具体的には7ページからになりますが、まず1つは自治体間で即時に感染症の発生情報を共有できる仕組みを見直してはどうかということで、こちらのNESIDの運用方法見直しを検討してはどうかということです。こちらはこの図の黄色いところ、提案部分が黄色いところですが、都道府県間の患者情報の共有をできるような仕組みを見直したらどうかというのが1つです。
8ページの三角のピラミッドが書いてある絵のところなのですが、こちらは疑似症定点についてです。現在のところ、疑似症定点は設定されているのですが、省令の定義が幅広いことであったり、医療機関の届け出に対する負担が大きいことであったり、本来の機能を十分果たしていないことが指摘されていまして、この疑似症の症例定義を見直してはどうかと考えています。今のところはサーベイランスとしましては熱と呼吸器の症状、または熱と発しんというものですが、この新しい変更案としては、今のところ感染症を強く疑う、かつ、症状が重篤。具体的には集中治療室、ICUに準じるような医療が必要であった場合で、そのときに直ちに特定の感染症と診断することができないという場合に、この時点で疑似症として上げてくださいと考えております。
このメリットとしましては、公衆衛生のインパクトが高い感染症を早期に探知できるということと、重症例に限定することで届け出の対象を絞ることができるということです。
続きまして最後の提案のところになりますが、競技会場から情報収集を検討するということで、この図にありますが、国立感染症研究所に東京大会の関連施設、東京都及び全国の自治体の感染症の発生動向を一気に集約できるような体制の構築を検討してはどうかというのが研究班からの御提案です。
また、10ページのところですが、自治体における感染症リスクのリスク評価とまとめの結果がこちらに書いてありますが、東京大会に向けて必要な対策について自治体からも主な御意見がございまして、その中でも全数報告の周知であったり、自治体間のサーベイランス情報の共有であったり、疑似症のことについても御意見がございました。
こうした上で最後のページなのですが、論点のところで、今日はこちらの論点の御意見をいただきたいのですが、こういった論点で十分かどうか、また、その他にも論点としてサーベイランスを強化していく上で、挙げた論点以外にも御意見がないかどうかというのを今回伺いたいと思っています。
以上です。
○倉根部会長 ありがとうございます。
今、事務局からも説明がありましたが、今日はこの内容全てをここで御了解いただくというものではございません。こういう方向で現在、進めておるということなので、この経過といいますか、プロセスでこの委員会で了承いただけるかどうかということが最終的なところでありますが、そこにプラス、さらにそのプロセスの御理解とともに、今、事務局からありましたけれども、11ページに論点が幾つかございますので、そこについてこういう論点が必要ではないか、あるいはこれはどういう意味であるのかという御意見をここでいただければということでございます。
何かございましょうか。岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 非常に良い提案だと思うのですけれども、質問を申し上げたいのですが、これはタイトルは感染症の発生動向調査機能の強化なのですが、中に書いてあるのは競技会中のサーベイランスの強化に限っているのです。例えば疑似症サーベイランスは非常に今のところ問題点があると思っているのですけれども、この改善はオリンピックが終わってしまうと元通りになるのか、あるいはもう少し先のことを見据えて1つのきっかけとしてオリンピックを使っているのか、その辺は明確に答えていただきたいと思います。
○倉根部会長 事務局どうぞ。
○野田結核感染症課長補佐 疑似症サーベイランスにつきましては、今、御指摘がございましたように、今回のオリンピック・パラリンピックへの対応をきっかけとして改正したいと考えておりますが、これはオリンピック・パラリンピックが終わった後なくなってしまうわけではございませんで、これをきっかけに改正をして、その後も使い続けていきたいと考えております。
○倉根部会長 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 そうであるならば、大会会期中のことと、その後やることについては検討を継続するとか、そのときに欠点があった場合は改善に持っていくというふうな利用をしていただければと思います。
○倉根部会長 事務局いかがでしょうか。
○野田結核感染症課長補佐 まさにオリンピック・パラリンピックに向けて、最良のものを事務局としては作っていきたいというところがございますが、一方でオリンピック・パラリンピックでいろいろと問題が出る可能性もございますので、その場合にまた感染症部会に諮らせていただいた上で、改正していくことはあり得ると考えております。
○倉根部会長 ほかいかがでしょうか。事務局どうぞ。
○三宅結核感染症課長 おっしゃるとおりで、できればレガシーにしていきたいというのはありますし、今、野田が言ったとおり継続的に改良していくつもりもございますし、もう一つ言えばラグビーのワールドカップをテストケースにして、より良いものをオリパラまでに完成させて、それが完成ではない。さらには継続していきたいというつもりではおります。
○倉根部会長 大石委員、どうぞ。
○大石委員 そういうことでありましたら、運用は来年とかそういった段階で開始されるという理解なのでしょうか。
○野田結核感染症課長補佐 特に疑似症サーベイランスにつきましては、形についてまず御議論を感染症部会で、今回ではもちろん終わりませんので、次回以降も議論いただく必要がございます。早急に詰めた上で、可能であればもちろんラグビーのときに運用できるような形にしていきたいと考えております。
○倉根部会長 山中委員、どうぞ。
○山中委員 感染症の情報の共有、NESIDに関しましては、都道府県でどこで感染症が起きているかがわからないという点では、ぜひこういう仕組みを変えていただきたいと思っております。とりわけ麻しん等が発生した場合、なかなか保健所長会の所長間のクローズドなメーリングリストとかではある程度情報は行き来しているのですけれども、国としてきちんとそういう情報の共有化を図っていただくことは、特に重要だと思います。
また、オリパラに向けては確かに東京とか開催地のお話ではありますけれども、いわゆる観戦に来た、競技を見にいらっしゃる海外からの方、それから、国内の方々も、国内をいろいろな形で移動します。応援に行って、例えば青森に戻ってきて、そこで発症して感染拡大ということも十分あり得ますので、ぜひこのところは重要な観点ですので、いろいろなところからまた御意見を聞いていただいて、情報共有する中身につきましても、先ほどのエボラの公表基準よりはもっと具体的なクローズドの情報共有だと思いますので、そういったところを御検討いただければありがたいと思います。
○倉根部会長 ほかいかがでしょうか。大曲委員、どうぞ。
○大曲委員 1点だけ、疑似症のサーベイランスの点は非常に賛成でして、実は8ページのこの新しい基準に当てはまるような事例というのは確かに年に何例かあるので、非常に苦慮します。というのも感染症法で扱われる疾患のどこにも落ちないからなのです。ですのでその間の感染症防止対策と診断に非常に困りますし、実はそういう相談が来るのです。そういう意味ではこれを早く対応していただくのが非常にいいと思っておりまして、その中でも特に検査診断のところで、特に感染症法で今、扱っていないような病気の可能性が十分ありますので、それをどう探知するかという観点でも御議論をいただければと思います。
○倉根部会長 脇田委員、どうぞ。
○脇田委員 今、大曲委員から御指摘がありましたように、不明熱を発症するような感染症、そういったもので原因がわからないものを感染研の方でも検査をして、最新の検査技術をもって、今までなかった感染症の診断に至る。それで患者さんの命を救えるというような事例も最近ありますので、こういった仕組みを使って不明感染症に対応していく仕組みをつくっていくことが重要だと考えております。
○倉根部会長 ありがとうございました。
調委員、どうぞ。
○調委員 この疑似症サーベイランスは以前からIHRでも各国に求められてきたものが、現状では自治体間ですごく報告にばらつきがあるということで、よりサーベイランスとして成り立つようなものに変更していくというのは非常に重要なことだと思っているのですけれども、医療機関の疑似症定点の数が5,000医療機関ぐらいあって、年間0~1件程度と書いてあるのですが、そうすると日本全体で年間どれぐらいの数が疑似症として上がってくるのかということが想定されているのかということと、リスクアセスメントが必要になってくる可能性があると思うのですけれども、それを以前のお話ではリスクアセスメントを各自治体でやるというようなことも伺ったことがあるような気がするのですが、自治体でやっていくのか、それとも国でリスクアセスメントするのかということも御質問したいと思います。
○倉根部会長 事務局いかがでしょうか。
○野田結核感染症課長補佐 オリンピック・パラリンピックに向けたリスクアセスメントについては、今回、自治体の方で行っていただいたというところでお示しいただいたところがございます。
疑似症サーベイランスにつきまして御質問をいただいたことにつきましては、8ページ目のところに小さく書かせていただいておりますが、年間の見込みといたしましては1医療機関当たり0~1件ぐらい出てくるのではないかと推測しております。一方で現行の疑似症サーベイランスにつきましては、医療機関は約5,000という形でやっておりますが、今回新しく御提案させていただいております疑似症サーベイランスにつきましては、特に集中治療に準じる医療が必要であるということを要件にしていきますと、恐らく医療機関についても大幅に見直しをしていく必要があるのではないかと考えておりますので、すなわち年間0~1件ということで、仮に0.5件だとしても日本全国で年間2,500件出るかというと、そういうわけではないとも考えております。医療機関につきましては、もう少し検討しないといけないと考えております。
○倉根部会長 山田委員、コメントとしては最後のコメントとしたいと思います。
○山田委員 オリンピック・パラリンピックに向けてサーベイランス機能の強化ということなのですけれども、先ほども議論があったと思うのですが、その後のレガシーとして基本的に日本国のサーベイランス体制の強化ということを今後続けていくのだとすると、オリンピックに向けて強化すべきことと、今後とも続けていくこととあって、それをやるために予算と人員の配置というのが必要になると思うのですが、オリンピックであればそのときだけで済むのですが、そこのところからレガシーとして残していくのだとすると、それをどうやって継続的に維持していくのかというのは非常に重要になってくると思うので、その辺のところをぜひ御検討いただきたいと思います。
○倉根部会長 事務局、何かございますか。
○野田結核感染症課長補佐 まさに今回御議論いただきまして、仕組みについてつくっていきたいと思いますが、その中でどうしても予算が発生する場合がございますので、そこにつきましては自治体等の御意見を伺いながら進めていきたいと考えております。
○倉根部会長 ありがとうございます。
それでは、この議案につきましては、方向性としてはこういうプロセスで進めていくことを御了解いただければと思います。ただ、今、委員からもいろいろなコメントをいただきました。そこにつきましては、このプロセスを進めていくに当たって十分考慮して進めていただきたいということでございます。
また、恐らくこの案件についても、またここで御議論いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ここまでが審議事項でありましたけれども、次に報告事項に移りまして、報告事項1~3について事務局から御説明をお願いします。
○磯貝感染症情報管理室長 資料5をごらんください。案件につきましては、感染症に基づく病原体規制に関する報告でございます。
病原体のうち、バイオセーフティー、セキュリティーの観点から特定の病原体を所持する場合には、例えばバイオセーフティーレベルに関する施設基準あるいはソフトウエアの使用の基準が適用されております。今回、御報告させていだきますインフルエンザAウイルス(血清亜型がH7N9)についても、同法感染症に基づく病原体規制の適用を受けております。
一方、感染症法6条に基づいて人を発病させるおそれがほとんどないものについては、一定の要件のもとに感染症法上の規制を除外することができることになっております。具体的な除外の対象となる病原体の考え方につきましては、平成18年6月28日の第28回の厚生科学審議会感染症分科会で御審議していただいた3つのカテゴリー、例えば薬事法の承認を受けた医薬品とか、病原体の中で弱毒株と認められるものであって、例えばワクチンや治療法の開発に用いられるもの、そういったものが対象となっております。
先般、規制の除外につきまして一般財団法人日本ワクチン産業協会から申請がありました。内容を審査した結果、規制除外手続をパブリックコメントを含めて完了いたしましたので、報告いたします。
資料5の裏のほうをごらんいただきたいと思いますが、具体的な病原体、インフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスに関する株が書いてございます。これにつきましては本株は前回、6月15日に開催されました感染症部会におきまして、プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針に関して、備蓄候補株として御審議していただいたものでございます。本株については遺伝子操作、リバース・ジェネティクス法によって弱毒化したプレパンワクチン製造株として、WHOが推奨したものであることを補足させていただきます。
以上でございます。
○嶋田専門官 続きまして、資料6をごらんください。季節性インフルエンザの対策についてです。
2つございまして、1つ目が季節性インフルエンザ罹患者数の推計方法の見直しについてです。季節性インフルエンザは、発生動向把握のため全国5,000カ所の医療機関が定点医療機関として指定され、患者さんの届け出が実施されていますが、例年、インフルエンザの流行菌は定点医療機関からの報告数に加え、週ごとの全罹患者数が推計され、感染研のホームページに公表されています。従来この罹患者数の推計は医療機関の施設数を用いていましたが、医療機関の規模が適切に反映されず、推計が過大となる傾向が指摘されておるため、前回の感染症部会において2018、2019シーズンからは外来患者延べ数を用いた推計方法に変更することが了承されています。
なお、次のシーズンからとこれまでのシーズンの推計の数値の比較を行う場合には、2017、2018シーズン以前の罹患数に0.66を乗ずる必要があるということで、下のカラムのところのようなものをしています。
続きまして、季節性インフルエンザ罹患の治癒証明の取り扱いについてもありまして、取り扱いについては医療機関に過剰な負担をかけるおそれがあるため、新型インフルエンザの対応も参考にインフルエンザQ&Aに追記することとしています。それぞれ従業員、成人に対してと保育園児、学校に行くお子さんについてのQ&Aを載せていまして、公表は30年の今冬のインフルエンザ総合対策の公開時とします。予定としては10月中旬としています。
続いて資料7も同じようにインフルエンザですが、インフルエンザに関する特定感染症予防指針の一部改正についてです。こちらについても以前の予防接種・ワクチン分科会の予防接種基本方針分科会及び4月の感染症部会における議論を踏まえて、インフルエンザに関する特定感染症予防指針を改定しました。概要としましては、第1の原因の究明のところに、病院で診断された場合に当該患者の検体または病原体の一部の提出義務について記載されているということと、新型インフルエンザの内容については、新型インフルエンザの対策政府行動計画に基づくので、こちら指針中の新型インフルエンザに関する記載は削除されています。
資料7については以上です。
資料8は、後天性免疫不全症候群の発生届及び梅毒の発生届についてですが、改正の概要としましては、届け出の際に後天性免疫不全症候群の発生届出を改正しまして、診断時のCD陽性Tリンパ球数(CD4値)を記載項目として追加しています。また、梅毒の発生時の届け出についての改正については、性風俗の従事歴や利用歴の有無であったり、口腔咽頭病変、先天性の梅毒を見つけるための妊娠の有無であったり、過去の感染症及びHIV感染症の合併の有無を記載項目として追加しています。こちら通知日が平成30年10月上旬が予定となっていまして、適用期日が来年、平成31年の1月1日となっています。
早口ですが、資料8まで終わっています。
○倉根部会長 ありがとうございました。
今、資料5~8を説明いただきました。
何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、次に移ります。次は報告事項4~7でございます。資料9~12を御説明ください。
○嶋田専門官 続いて事務局から資料9から説明させていただきます。
資料9につきましては、黄熱ワクチンの供給に関する検疫所の対応についてということで、こちらのプレスリリースをごらんください。黄熱についてですが、今のところはアフリカ、中南米の地域で流行している蚊媒介の感染症ですが、こちらのアフリカ、中南米の流行地に入国する場合にはWHOのIHRにのっとり、黄熱の予防接種の証明書の提示を求めることがありまして、国内においては検疫所、厚生労働省が指定する医療機関で接種することができます。
我が国においては、サノフィ株式会社が製造販売している黄熱ワクチン、YF-Vaxといいますが、そちらが販売承認されている唯一のワクチンですが、現在、製造元である米国のサノフィパスツール社の方針により、YF5黄熱ワクチンの製造を中止し、新たな製品に切りかえる準備が進められていたのですが、新製品の切りかえまでに想定以上の期間を要するということで、このため、11月ごろから黄熱ワクチンの欠品が生じる見込みとなっております。そのため2018年11月ごろからサノフィ社の協力を得て、国立国際医療研究センターが中心となり、また、検疫所も参加し、臨床研究法に基づきフランスのサノフィパスツール社が欧州等70を超える国と地域に供給している黄熱ワクチン、Stamarilと言いますが、こちら同じワクチン株を使って予防接種を行うこととしています。先月、8月27日に認定臨床検査審査委員会の承認を受け、実施に向けた準備をしています。
参加機関としましては、17の検疫所と現在の黄熱ワクチンの接種医療機関である国立国際医療研究センター、東京医科大学病院、日本検疫衛生協会の東京診療所の全20施設を予定しております。こちらの施設で黄熱の予防接種は可能となる予定です。
続きまして資料10ですが、こちらは韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の患者発生についてです。状況としましては、2018年9月8日に韓国においてMARSの患者さん、輸入例が確認されました。こちらの患者さんは60代の男性で、仕事のために8月16日から9月6日までクエートに渡航しておりまして、9月6日から同月7日にかけてドバイを経由して韓国に帰国しています。8月末ぐらいに下痢の症状があり、韓国に帰国後、この下痢を主訴にソウル市内の病院を受診したところ、発熱と肺炎が認めたため即座にソウルの国立大学病院の隔離センターに転送され、9月8日にPCRでMARS陽性が確認されています。
韓国当局、韓国CDCでは濃厚接触者21名を同定し、14日間の自宅隔離を行っております。現時点では発症者なく、そのほか乗客など115名について健康観察中ということです。既に14日間の健康観察は終わっております。
また、参考資料5にこの件につきましての全国の自治体に情報提供を行っておりますので、御確認ください。
続きまして、資料11です。こちらはコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生状況ですが、前回の6月の感染症部会のときには、次のページのところに書いてあるのですが、コンゴ民主共和国の赤道州で9回目のエボラ出血熱が発生したことが9月8日に発表されて、その後、7月24日に終息宣言が一旦されました。その間には33名の死亡例を含む54名のエボラ出血熱が報告されたのですが、また8月1日に次は別の地域、北キブ州というウガンダに近いようなところで、また新たにコンゴ民主共和国でエボラ出血熱が発生したことがWHOから報告されています。9月10日までに92名の死亡例を含む患者132名の発生が報告されておりまして、現時点では9月24日現在までで患者数が151名、死亡数が101名と今も落ち着いていない状態です。こちらにつきましても日本の対応としましては、厚生労働省として一般国民に対しホームページを通じて注意喚起を行うとともに、検疫所、国土交通省、そして医療機関に事務連絡をしております。こちらについては参考資料6をまたごらんください。
一番最後は資料12です。レジオネラを予防するための必要な措置に関する技術上の指針の一部改正について、前回6月の時点ではこちらの改正をすることを報告させてもらいましたが、8月3日に通知しております。今回は加湿器の項目を新たに追加した件ですが、それぞれ老健局さんであったり、子ども家庭局であったり、関連の部署を通じてそれぞれ通知をしています。また、ここに入れていないですが、加湿器のメーカー団体にも経産省を通じてこの通知を連絡しております。
以上、報告事項です。
○倉根部会長 報告事項4~7について説明をしてもらいましたけれども、この4つにつきまして何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、報告事項を終了したいと思います。
以上で本日用意された議題は全て終わりましたけれども、その他、事務局あるいは委員の方々から何かございましょうか。事務局、何かございますか。
○野田結核感染症課長補佐 次回の開催につきましては、追って連絡をさせていただきたいと思います。
○倉根部会長 本日はどうもありがとうございました。風しん初め、他の議題につきましても多くの意見、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。また今後ともよろしくどうぞお願いをいたします。
それでは、本日はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。