2018年4月18日 第29回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(第55回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会【合同開催】) 議事録

日時

平成30年4月18日(水)13:00~15:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール14A

議事

 
○田中難病対策課長補佐 ただいまから第55回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会・第29回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催)を開会いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
初めに、委員会開催に際し、難病対策委員会委員に新たに就任いただいた委員がいらっしゃいますので、御紹介いたします。一言ずつ御挨拶を頂けますでしょうか。まず、新宿区の保健所長の髙橋郁美委員です。
○髙橋委員 保健所長会から出させていただきました、新宿区保健所の高橋でございます。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 続いて、慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科教授の竹内勤委員です。
○竹内委員 竹内勤です。以前、慶應大学病院長を務めておりました。現在は慶應義塾大学常任理事リウマチ・膠原病内科の教授をしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田中難病対策課長補佐 また、事務局の職員に異動がありましたので、御紹介いたします。4月1日付けで難病対策課長補佐に着任した竹之内です。同じく谷口です。
本日は前回に引き続き、難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会を合同開催し、データベースの当面の利活用の在り方について、御議論いただきたいと思います。本日の委員の出席状況は、駒村委員、本田彰子委員、本田麻由美委員、及川委員、小国委員から、欠席の御連絡を頂いております。なお、石川委員からは、少し遅れての参加になるということを伺っております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行については、千葉委員長にお願いいたします。
○千葉委員長 まず資料の確認をお願いします。
○田中難病対策課長補佐 お手元の資料ですが、1枚目は議事次第、2枚目は委員名簿、3枚目は参考人名簿、続いて座席表となっております。その後、本体資料として資料1-1「前回の合同委員会における主な御意見」、資料1-2「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用の在り方について(案)」、資料2-1「厚生労働大臣が定める者の一部を改正する件(案)の概要」、資料2-2「新旧対照表」となっています。不足等がありましたら、事務局にお申し付けください。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。それでは、今日は前回に引き続いて、データベースの利活用の在り方について御議論いただきたいと思います。本日の流れは、まず前回の合同委員会における主な意見を事務局から報告していただいて、補足等チェックをしていただきます。その後、これまでの合同委員会での議論に基づいて、事務局で取りまとめ案を作成していただいていますので、これをたたき台にして当面のデータベースの利活用の在り方の取りまとめを受けて議論をお願いいたします。まず、資料1-1「前回の合同委員会における主な御意見」について、事務局から説明をお願いします。
○田中難病対策課長補佐 資料1-1を御覧ください。前回、平成30年3月2日の合同委員会における主な御意見として、1.中長期的に検討が必要な事項、2.当面のデータの提供に当たり検討が必要な事項。この2つにまとめさせていただいております。
まず、1番目の中長期的な検討が必要な事項として、自治体の事務負担を軽減する方策として、難病医療費助成の支給認定に係る一次診断機能の付与を検討してはどうか。軽症者にも登録してもらための方策として軽症者の登録証の導入を検討してはどうか。データの信頼性を担保するための方策を検討してはどうか。今後の運用状況等も踏まえ、データ登録の項目についても改めて検討してはどうか。このような御意見を頂いております。
続いて、2番目の当面のデータの提供に当たり検討が必要な事項として、まず1情報の提供先です。提供先は公益的な研究を主に行うような機関にしたらよいのではないか。提供先に学会も入れたほうがよいのではないか。現在の同意書に基づけば、提供先に企業を含めることは慎重に考えたほうがよいのではないか。このような御意見を頂いています。
2提供する情報の範囲については、難病は症例数が非常に少ないため、完全に匿名加工を行うことはできないという前提で考える必要があるのではないか。遺伝子検査のデータについては、家族への影響も含めて慎重に検討する必要があるのではないか。経年的データを結合して提供する場合や、医療機関(主治医名を含む)を提供する場合は、改めて患者に同意を得るのが適当ではないか。このような御意見を頂きました。
3利活用の目的・方法については、小慢と難病のデータベースは、症例によっては結合することを前提として提供の在り方を考える必要があるのではないか。ほかのデータベースとの結合も、場合によっては考える必要があるのではないか。臨床研究への利活用は慎重に検討したほうがよいのではないか。このように意見を頂きました。
4審査会の設置についてです。審査会を設置して、個々の申請ごとに具体的に検討し、認めるか認めないかを個別に判断することとしたほうが、最終的には患者の利益に資することができるのではないか。データベースの利活用もによって得られた研究成果等の公表の仕方についても、個人情報がしっかりと保護されているか、個別に審査したほうがよいのではないか。匿名加工を行う範囲も含めて審査したほうがよいのではないか。個人情報の漏えいの防止など安全性を確保するための措置についても審査したほうがいいのではないか。このような意見を頂きました。この安全性を確保する措置とは、具体的には、例えばデータを取り扱うコンピュータなどがインターネットに接続されていないものを使うというようなことが、ほかのデータベースの安全性の確保の所では具体例として挙げているところがあります。その点を補足させていただきます。
5として、そのほかです。先般の個人情報保護法の改正により、医療情報が要配慮個人情報になったことも踏まえ、同法に沿った運用とすべきではないか。まずは試行的に運用してみて、状況に応じて適宜見直していくこととしてはどうか。患者にも何らかの方法で情報が提供されるようにしてほしい。合同委員会での議論を基にワーキンググループなどを設置して、運用に向けてのガイドライン等の案を作った上で合同委員会で再度議論することとしてはどうか。以上になります。
○千葉委員長 ありがとうございます。報告にあったように、前回は1と2に大きく分けて、1.中長期的な検討が必要な事項と、2.当面のデータの提供に当たり検討が必要な事項と大きく2つに分けてディスカッションをしていただいたと思います。したがって、まとめも2つに分けてしていただいていますが、大体、前回の議論が網羅されているように私自身は思いますが、何か追加やコメントがありましたらお願いいたします。ただし、これは前回の意見の取りまとめですので、ここでこの点を深くディスカッションするということはなしとさせていただきたいと思います。
○村田委員 「データの信頼性を担保するための方策」に入るのだと思いますが、前回の最後のところで、西澤先生が少しおっしゃっていたのですが、データそのものが難病医療費助成の支給のための診断書であるというところにかなり大きな問題がありまして認定をするときに、成人においてはお金が絡むので、そのためにかなり甘くなっていることがあります。これが1つです。
一方で、小児に関しては、小児は医療費の自己負担がほとんどありませんので、そもそも小児の場合、その疾患であっても出さない方が相当おられまして、医療費としてはもともと無料に近い、これを出すと診断書料だけは取られるという形になりますので、むしろ負担が増えるというような印象になりまして、当院でも小児の特定疾患は相当おられますが、これを出している人はほとんどいないのです。
というような現状があるというデータであるということを認識した上で、このデータをどう動かすかを考える必要があると思います。
それと、小児と成人の違いということから、小児が18歳か20歳になって、医療費がかかるようになった途端にその病気がどんと増え始める可能性がありますので、そういう現状もあるということも十分にお知らせした上で使うようなデータになるということです。あと、成人の特定疾患に関しては、疾患の患者数がかなり様々で、非常に少ない疾患に関しては診断書の内容が非常に細かくても、みんな一生懸命書くのです。ところが、正直言いましてパーキンソン病などはかなり患者数が多いものですから、1人の先生が書く枚数最負多いので、余り詳しいものにしてしまうと、とても負担が上がるということで、割と簡単になっています、枚数は多いのですが。
そういう難病のレベルがかなり疾患によって違うということも御理解いただいた上で、データを動かすということを考えたほうがいいと思いました。
○千葉委員長 これは前回も議論に挙がっていた点だと思いますが、厚労省からはいかがですか。
○田中難病対策課長補佐 頂いた御意見は様々な場所でも頂いている御意見かと存じます。このデータの1つは、指定難病に関しては医療費助成と結び付いていることで重症度の分類などについて正確なデータが取れていないのではないかというお話ですが、基本的に我々としては、1人の指定医のみならず、都道府県で審査会等も置いた上で、医療費助成について決めておりますので、そのデータが余りにもおかしなものについては、やはり審査会のほうで確認していただいているということで、たった一人の先生が決めているわけではないというところで、データの信頼性については担保できている部分があるのではないかと考えています。
ただ、一方で頂いた御意見は、ほかの所からも聞いているものもありますので、中長期的な検討が必要な事項として、今回、今後は難病法の中に書いてある見直しの中で、このデータをどのように取っていくかということも合わせてご議論をしていきたいと考えています。
一方で、小児慢性については、前回も加藤先生からも御意見がありましたが、ほかの医療費の助成制度が出ていることで、このデータベースへの登録数が少ないという話は伺っております。
これについても、どのような形でこの登録を進めていくかというのは、難病の継承者の方の登録をどうするのかというのと同じようなお話かなと思いますので、その点も含めて、中長期的な検討が必要な事項として、今回まとめさせていただいているところです。
○千葉委員長 今の指定難病と小児慢性疾患では、データの質にさがあるのは、当然だと思いますし、一方で指定難病の中でも先ほどおっしゃったように、患者数の多い疾患と希少疾患で、実際にデータの質、量がかなり違っているということがあります。要するに、これも課題ということだと思います。ほかにいかがでしょうか。
○羽鳥委員 2ページ目の一番上の臨床研究への利活用、慎重にと書かれていますが、研究が進まなければ、難病の治療にもつながっていかないので、もう少し前向きの書きぶりのほうがいいかなと思うので、最後のまとめのときには御配慮いただきたいと思います。
○千葉委員長 おっしゃるとおりだと思いますので、これはよろしいですね。ほかによろしいですか。では次に、今の前回の意見等も加えて、資料1-2「指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用の在り方について(案)」を作成していただいていますので、これについての説明をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 資料1-2ついて御説明します。今までの議論を踏まえ、事務局から指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの当面の利活用の在り方についての案を提示しています。1番として、「はじめに」で、このデータベースは法律の中でどのように位置付けられているかに触れております。平成27年に施行された難病患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」)に基づく、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針として、国は、指定難病の患者の診断基準や重症度分類等に係る臨床情報等(以下、「指定難病患者データ」と言う)を適切に収集し、指定難病患者データに係るデータベースを構築すること、また指定難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、個人情報の保護等に万全を期すこと、医薬品等の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備するとともに、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、ほかのデータベースとの連携について検討することとされております。
また、小慢に関しては、平成27年に改正された児童福祉法において、国が小児慢性特定疾病治療等についての臨床データを収集し、小児慢性特定疾病児童等に係る医学的データベースを構築すること、個人情報の保護等に万全を期すこと。そして、指定難病患者データベースと連携することと記載されています。
続いて、これらに基づき、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データについては、法施行以降、新しく構築されたシステムの下に臨床調査個人票又は医療意見書によりデータを収集しているところであり、今後、収集したデータを順次データベースへ入力し、平成30年度後半以降、データベースに収載された情報を研究への利活用に提供することを目指しています。
こうした状況を踏まえ、今までの議論を踏まえて、以下のとおりに内容についてまとめています。2としての「当面の利活用に当たっての基本的な考え方」の中で、1難病又は小児慢性特定疾病の研究に有効活用できるものであること、それから希少な疾病であることにより個人が特定されやすいという難病及び小児慢性特定疾病に特有な性質に鑑み、個人情報の保護等に万全を期すことと述べています。
3として、「当面の利活用の具体的な方向性」については、1.データの利用に関する同意という項目で、現在もそれぞれの同意書がどのようになっているかということを書いています。まず、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの利用については、医療費助成の申請時に臨床調査個人票又は医療意見書を提出する際に、当該データを研究に利用することについて包括的な同意を得ています。そのため、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の範囲は、患者から同意を得た範囲、(すなわち申請書又は同意書に記載された説明内容の範囲)が原則となっています。
なお、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第4条において、行政機関は、個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に対して、その利用目的を明示しなければならないとされており、上記の同意書等による説明が、同法における利用目的の明示に相当する。また、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースに収載されている情報は、病歴等を含むことから、同法に規定する「要配慮個人情報」に該当するが、上記のとおり、当該データの研究への利用について患者から同意を得ていることから、当該同意を得た範囲での提供は可能であるというように位置付けております。
2)情報の提供先については、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データについては、現在の申請書又は同意書により、「厚生労働省の研究事業等の基礎資料」又は「小児慢性特定疾患治療研究の基礎資料」とすることで患者の同意を得ていることから、その利用・提供先は、原則として、厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業を実施する研究機関に限定すべきである。ただし、上記以外の者が実施する研究であって、その目的が難病の研究の推進に寄与すると考えられる場合は、個々の利活用の申請ごとに、研究目的、個人情報の管理措置等について厳誠に審査した上、情報の提供の可否を決定することが適当であるとさせていただいております。
3)提供する情報の範囲についてです。指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースを基に提供する情報の範囲は、個々の調査事項又は研究内容から判断して、必要最小限とすべきである。また、提供に当たっては、個人情報保護の観点から、希少な疾病であることにより個人が特定されやすいという難病特有の性質に配慮しつつ、必要な匿名加工を行った上で研究に有益な情報を提供することが望ましい。そのため、原則として、名前や住所の削除など、容易に個人が特定されないよう、必要な匿名加工を行った上で、個々の利活用の申請ごとに、匿名加工の方法、研究成果の開示方法等を厳正に審査した上、情報提供の可否を決定することが適当である。その際、特に遺伝子検査の内容や家族歴等については、本人以外にも家族に与える影響も考慮する必要があるとしております。
4)利活用の目的については、指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データについては、現在の申請書又は同意書により、「厚生労働省の研究事業等の基礎資料」又は「小児慢性特定疾患治療研究の基礎資料」とすることで患者の同意を得ていることから、その利用目的は、原則として、各疾病の疫学調査等の研究や学術目的としての利用に限定すべきである。臨床研究等の実施に関して協力を求めるなど、現在の申請書、又は同意書により、同意を得た目的以外の目的で情報を利用する場合は、改めて当該研究者から指定医を介して患者に説明を行い、同意を得ることが必要であるとしております。
5)研究成果等の公表の方法です。データベースの利活用によって得られた研究の成果については、難病研究の推進及び難病に関する国民の理解の促進を図る観点から、患者を含め、広く国民に周知することが適当である。一方で、研究成果の公表に際しては、本データベースの情報が要配慮個人情報を含み、個人が特定されることのないよう特段の配慮が必要である。
6)審査会の設置。上記2)から5)までのとおり、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の推進を図るとともに、個人情報の保護に万全を期すため、有識者で構成される審査会を設置し、個々の利活用の申請ごとに、上記の情報の提供先、提供する情報の範囲、利活用の目的、公表の方法等を総合的に審査し、情報提供の可否を判断することが適当である。
4番の今後の進め方についてです。以上の内容を踏まえ、審査会の審査基準、運営方法等、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用の運用に係る詳細については、臨床データの利活用、個人情報保護等の有識者で構成される検討会を立ち上げ検討することとし、その結果を厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会及び社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾病児童への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会に報告することとする。
最後に、5番その他として、前回、前々回と御意見を頂いた中で、中長期的な検討が必要な課題について記載しています。上記の1から4までのほか、合同委員会の議論においては、指定難病患者データベース及び小児慢性特定疾病児童等データベースの利活用における中長期的な課題として、以下の指摘があった。これらについては、今後も本合同委員会において適宜検討を行っていくこととする。指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベースの統一化を検討してはどうか。医療等IDなどを用いて、難病に関連する各種データベースを連結する方策を検討してはどうか。地域自治体の事務負担を軽減する観点から、現在の登録方法を見直し、オンラインシステムや難病医療費助成の支給認定に係る一次診断機能の導入を検討してはどうか。データベースへの登録率を向上させるため、軽症者に登録するインセンティブを付与するための方策や、臨床調査個人票や医療意見書を作成する医師に対するインセンティブを検討してはどうか。登録されるデータの質を向上させるための方策を検討してはどうか。これらの検討及び当面の利活用の運用状況も踏まえ、登録項目や同意書の見直しも検討してはどうかとしております。事務局からは以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。案を御提示いただきましたが、今回は、「データベースの当面の利活用の在り方についての案」ということです。ですから、先ほど前回のディスカッションのまとめで御説明がありましたように、1と2に分けてあって、中長期的に検討が必要な事項と、当面のデータの提供に当たり検討が必要な事項とありましたが、今回の案については、2の部分に相当するということで御認識いただきたいと。1の部分については、この案の一番最後に御説明があったように、5のその他、中長期的に検討が必要な課題という所に、今後のこととしてまとめていただいていると。そういう御理解でお願いしたいと思います。
それでは、この案に対して御議論いただきたいと思います。今日、これについていろいろ御議論いただいた上で、再度検討していただいて、最終案にまとめていただくというような形になろうかと思います。流れとして、また順にディスカッションをしていただいたほうがよろしいかと思いますので、最初のほうから順番にお願いしたいと思います。1の「はじめに」は、特に御議論するようなものではなさそうに思いますが、それと2の「当面の利活用に当たっての基本的な考え方」というのも、ここは非常に根本的な大事なところですが、大きく2つ、利活用のことと個人情報の保護に万全を期することが書かれていますが、ここで特に何かコメント等はありますか。恐らく議論の論点は3番以降になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですね。
それでは、3番以降のディスカッションをしたいと思います。3番目は具体的な方法というところで、そこが6つに分かれておりまして、ここが最も重要だということだと思います。その1、2、3、4、5、6の1番は同意に関する事項、2番はデータベースの情報の提供先、3番は情報の範囲、4番は利活用の目的、5番が公表の方法、6番が審査会の設置となっています。順番にいきたいと思いますが、1番目の「データの利用に関する同意」について、何か御意見はございますでしょうか。
○森委員 JPAの森です。同意書なのですが、例えば成人のほうの同意書などは、都道府県によって書きぶりが違うのでしょうか。これはまた調査をしていただきたいなと思います。やはり研究に役立つものであるということがはっきりと患者のほうに分かるような形で説明がされていないと、同意せずに医療費助成の手続だけをされているという方も結構おられるようですので、せっかくの貴重なデータとなる臨床調査個人票ですので、是非、研究に結び付くような説明をなされたものがほしいと思っております。
○千葉委員長 これはちょっと私も認識していませんでしたが、同意書は都道府県で同じではないかと思いますが、どうですか。
○田中難病対策課長補佐 こちらのほうでは臨床調査個人票と同じ形で提示をしておりますので、基本、各自治体同じ内容と考えていただいて問題ないと思います。
○千葉委員長 そこは重要なポイントですが、ほかに何か御意見の追加はありますか。
○坂上委員 読売新聞の坂上といいます。これは患者本人の同意となっているのですが、小児の場合はどのように行うのでしょうか。例えば御両親の同意でいいのでしょうか。小児の場合の同意についてしっかり書いておいた方がよいと思います。
○田中難病対策課長補佐 小児については、年齢によって保護者の方の同意を頂いている部分ですが、何歳から同意を取るべきかということは、前々回の委員会でも少し御議論になったかと思うのですが、その点については見直しが必要ではないかという御議論を頂いております。この点については、現在の運用を進めていく方向なのですが、ここの記載については少し工夫をさせていただきます。
○千葉委員長 実際にはそのようになっているわけですが、ここでの記載というところで、患者、あるいは家族という辺りをどのようにここへ入れ込むかという話になろうかと思います。ですから、ほかに何かありますか。
○石川委員 日本医師会の石川です。遅れて大変すみませんでした。2ページの下の所に「包括的な同意を得ている」と書いてあるのですが、我々はエコチル調査など、色々な調査をやっていて、最初は同意を得たのですが、途中から、より病気がはっきりしてきて、同意を取り下げたいということは結構あることなのです。特に病気の進展がいきますと、いろいろなことが分かってきたりしますので、その場合に再度、患者さんにこの研究利用とか、そういったものについて、もう一回説明して、同意を取り下げたいといった場合もあるということです。ちゃんと、そういう道を作っておいて、そのときは研究の途中で使えなくなるというと、研究としても被害があるかもしれませんので、きちんと説明して、これはどういう意味のある研究なのかを再度説明して同意を得る努力をすることが必要なのではないかと思うのです。それは患者さんの権利も守れるし、研究のほうもきちんとできることになると思うので、そういうことも1つ入れておいたほうがいいのではないかと思うので、よろしくお願いしたいと思います。
○千葉委員長 それはごもっともな御意見だと思いますが。
○田中難病対策課長補佐 多分ほかのデータベース等では、最初に同意を取った後、そのままずっとそれが維持していくところなのですが、こちらの臨床調査個人票や医療意見書は1年ごとに申請をしていただいているので、その都度、患者様の意思の確認をしているところだとは思うのです。一方、今、石川先生のほうからも御指摘を頂いたとおり、きちんと説明してという部分が少し足りないのではないかということで以前、JPAの森様からも御指摘を頂いたところだと思うので、先ほどあったような研究にちゃんと利用しているということや、それが有効であるということを説明できるようなものを準備することは検討してまいりたいと思います。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。1年ごとの同意書を取るわけですね。ただし、おっしゃられるように、辞退したいとかいう場合に対して、そういう道を作っておくことも重要だと思いますので、その点についても御検討いただきたいということです。
○竹内委員 今のに関連しますが、説明者の範囲と、あるいは説明補助者を用いてもいいのかどうなのかということも考えておかれると。説明を丁寧にしなければいけないという観点で、現在の例えば主治医というだけでいいのか、説明補助者を許すのかどうかということも考えておいていただくといいのかなと思います。
○田中難病対策課長補佐 現状では各都道府県の申請の窓口で同意を取られているケースが多いと認識をしており、実際には主治医の先生が臨床の場で、あれだけの量の臨個票をお書きいただくことが困難なので、患者さんの目の前で書いているわけではないと。なので、同意書については、自治体の窓口で同意を取っている、若しくは患者さんが臨個票を頂いた後に御自身で記載をしているというケースが多いのではないかと思っています。説明者については、現在は特段、何も記載がないところです。
○竹内委員 むしろそれが問題なのではないでしょうか。説明者がきちっと説明して、患者さんが納得いただいた上でないと、なかなか情報が活用できませんので、自治体の職員がされるというのは、その方も規定しなければいけないし、通常の同意の形とは違うのではないかと思います。
○千葉委員長 その点については、この案と、少し離れるような本質的な問題ではないかと思いますね。ですから、重要な御指摘だと思うので、これは指定難病の制度そのものの中で検討していただくというか、そこが重要ではないでしょうかね。私もその点について必ずしも深く認識していたわけではなくて、私自身、実際に患者さんの申請書を書いておりますが、その点に余り深く考慮したことがなかったというのが現状ですので、少しきちっと検討していただいたほうがよろしいかと思います。
○田中難病対策課長補佐 同意の記載の所に、説明を適切に行うといった文言は入れさせていただくとともに、中長期的な検討として、同意の取り方をどのようにしていくかということは改めて検討させていただきたいと思います。
○千葉委員長 よろしいですか。ほかはいかがですか。
○村田委員 今の点について教えていただきたいのですが、今の現状は同意書が患者さんに渡されると思うのですが、同意をされなくても、私どもは同意書とは関係なく患者さんが診断書をお持ちになるので書いていますので、同意書とは関係なく認定はされるわけですよね。そうしますと、先ほどの途中からというのもありましたが、新規のときには同意いたしました。次からは同意しませんでしたというようなときに、このデータをこの方は同意していないからということで、外すことは現実的に可能なのですか。
○田中難病対策課長補佐 今、現状でも同意をされなかった患者様のデータについては、データ登録センターのほうには送付されないようになっています。申請を受け付けた都道府県のほうで、同意の有無で、送付するもの、しないものということは分けておりますので、登録センターには同意が取れたもののみが現状、行くようになっていると。単年ごとにその同意が取れているので、単年ごとに、それは行っているところですので、医療費助成等とは関連していないということ。それから、同意が取れなかった方については登録がされていないということになります。
○村田委員 そうすると、特定疾患のこの枠組みのサービスを享受しているというか、使われている方の人数というのは、行政的に必要だと思うのです。その人数は取るけれども、もうちょっと細かいデータベースに関しては使えないということでよろしいわけですか。
○田中難病対策課長補佐 人数の中身も同意をしただけのデータベースになっておりますので、全ての医療書をお持ちの方のデータベースではないということです。
○村田委員 医療書をお持ちの方の人数とか、そういうのは別に把握されているということですか。
○田中難病対策課長補佐 それは衛生行政報告令のほうで、医療書を持っている方の人数は把握しております。
○村田委員 今後は、どのぐらいの方が同意してくださるかというのも分かってくるわけですね。
○田中難病対策課長補佐 今、データを入力しているところですので、どのぐらいの方が同意しているかということは分かってくると思うのですが、同意している、していないのところの分け方とかで、多少の誤差は出ることはあるかもしれませんが、基本、何割ぐらいの方がということは、疾病登録センターに登録された数と衛生行政報告令の数から算出はできると推定しております。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
○小幡委員 ちょっとものごとが複雑になったので、ここではそこまで言わなくていいのかなと思いつつ、今そういう話になっているので発言しますが、同意は単年度ごとだからという話でしたが、こういうデータベースは常にあり得るわけで、一応、自分が一度した同意の撤回というのは、一旦同意したのですが、やはりやめてほしい、データを止めたいということはありますね。しかも、小児の場合は年齢で、保護者はいろいろで、その辺を皆さん難しくやっていらっしゃると思いますが、御本人が自分で決定できるようになったときに、自分では本人が撤回したいとか、そういうなかなか難しい状況があって、希少疾病などでないと個人情報を完全に分離した形でのデータとしてだけ生き伸びさせて、そこで使うということができるのですが、子供のような場合、無理な場合ということも考えられると、そういう難しさは一部あるということだけ。ただ、それを全部、ここに書くのはなかなか難しいかなと思っておりますので、ただちょっとそういう難しい問題があるということだけ御指摘させていただきます。
○千葉委員長 今はコメントを頂いたということでしょうけれども。
○石川委員 日本医師会の石川でございます。今もう既にある、この間、御説明がありましたが、例えばナショナルデータベース、MID-NETも使えるようになっております。やがて介護データというのも使えるようになると思うのですが、これらは全てデータベースとして利活用するときは匿名化されて出てくるのです。これはそういうことは書いていない。そういうことはできないと思うのです。医療情報の中には匿名化すると、全く使いものにならないというか、利活用できないものもあると思うのですがその点のところで、患者さんには、これから5月11日に次世代IT基盤法の施行で、今まで代理機関と呼ばれた匿名加工事業者というのが出てくるのです。そうすると、データベースはもっといろいろな医療機関で医療情報を出して、それで匿名加工して利活用するという方向で、日本の社会はこれから進むわけです。そういったとき、これは匿名化ではなく匿名化しないで使うということになっていると思うのです。そこのところは、ほかのものとは全然違うのだということを、御本人、あるいは家族に理解していただいたほうがいいと思うのです。そのために、病状が進んでいって治療とかそういったことをやっていくときに、周囲の人との関係性などで、「やっぱり私はこれはちょっときついわ」と。要するに、自分のデータが匿名化でなくて、学会だとかそういった所で使われるとは言っても嫌だということが当然出てくるというのが、先ほどの私のあれで、1年ごとの確認でもそれでもいいかどうかということなのです。「もういつでも下りるよ、この研究から下ろしてもらいたい」と。それも、今の社会保障の制度の中で、この制度を受けられないということではなくて、研究に利活用するということだけは下りるということもありあり得るということを、きちんと明示しないと、今後はいけないのではないかなと思っています。
○千葉委員長 この点は、今回の案というところから、もう少し本質的な議論になっていると思います。ですから、ここで全てかなり深くディスカッションするのはなかなか難しいことだと思いますので、これは課題としてちょっと置いておきたいと思います。先ほども前回のディスカッションにもありましたように、希少難病ということで、患者さんの数が非常に少ない場合に、匿名化ということが非常に難しいことが想定されるということをディスカッションされていますし、今おっしゃられたお話と深く関連すると思います。ですから、ここは重要なポイントとして、今後は難病対策委員会等も含めて検討させていただきたいということでよろしいですね。
後がありますので、2)のほうに移らせていただきます。情報の提供先ということで、この点について何か御意見はありますか。
○本間委員 あせび会の本間と申します。この情報提供先の上と下というのですか。これはどういう機関が提供できて、どういう機関はできないかというのが具体的には書いていないのですが、やはり具体的なイメージはちょっと持ちたいと思いまして、この文面をそのまま読めば、提供先は例えば何々研究班とか、今日、出席されている先生方の所属病院とか機関とか、そういった所は提供先なのかなというのは、何となく私も想像がつくのですが。それ以外の都道府県とか、メディア、患者会、学会、その辺は、下のほうの「ただし」以下の所にカテゴリー的に入るのかなと想像するのです。その辺のイメージというか、線引きというか、その辺は事務局のほうで何か考えがおありだったらお聞かせ願いたいのですが。
○田中難病対策課長補佐 過去2回の議論を含め、学会を申請、利用する提供先として入れてほしいという御意見もあったかと考えていますが、まず現在の同意書で見られるのは、1.でいう現状をまず書かせていただいた上で、「ただし」ということで、今おっしゃったような様々な所からの御要望があった場合には、審査会の所で審査をするべきであると。そのときには、やはり研究の目的や管理措置等について厳正に審査をするということで、今この段階で、どこに線を引くということは、事務局としては明示をすることは難しいのですが、実際には今、御指摘のあったような機関からの申請を最初から受け付けないというものではないというような書きぶりをさせていただいております。
○小林委員 そうしましたら、そういう提供先を公表したりするようなことはあるのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 基本的に研究については、この後段の所で、研究結果の公表ということを設けておりますので、こういう研究をしていただいた成果を、ある程度公表していただくことを考えておりますので、その際に提供された提供先は併せて公表されるものと認識しております。
○千葉委員長 非常に厳密に記載されているわけではないけれども、基本的には先ほど本間委員がおっしゃられたようなことでよろしいかなというか、そういう理解ということでよろしいかと思いますが、この点についていかがですか。前もディスカッションされたのですが、五十嵐先生、お願いします。
○五十嵐委員長 4ページを見れば分かるのですが、3ページの今の2)の情報の提供先の2つ目の点の3行目に、「厳正に審査した上」の所に、「審査会において厳正に審査した上」というように書けば、より理解できるのではないかと思います。もちろん、4ページまで行けば分かるのですが、ここに文章を入れたらどうでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 ありがとうございます。そのように修正させていただきます。
○千葉委員長 4ページの6)「審査会の設置」という所ですね。ここの「審査会」という言葉を具体的に入れてはどうかという御意見でしたが、よろしいですね。
○井田委員 慈恵医大の井田でございます。なかなか文面で詳しく書くのは難しいと思うのですが、ちょっとイメージだけお伺いしたいです。この審査会というのは、どういうメンバーをイメージされているのかということと、申請書類の具体的フォーマットはあるのかの2点です。具体的なものをお見せいただかないと、厳正な審査は本当に行えるのか少し不安です。
○田中難病対策課長補佐 4番に、今後の進め方の中で、検討会を立ち上げるというようにしております。この検討会では、審査会でどういう基準で審査をするかというガイドラインのようなものを定めていただくとともに、審査の申請書についても併せて御検討いただく予定としております。今、NDBや研究者が利用できるデータベースの雛形というか、そういったものがありますので、そういうものを参考にしながら、希少な難病特有の配慮をしたような形の申請書を作成いただくと。それを再度、こちらの合同委員会にお諮りした上で御議論し、最終的には皆様に御提示し、研究者等の先生方から御申請いただくというのを考えているところです。
○井田委員 そうすると、ここでは討論しなくて、別の作業部会みたいなもので検討して、この会議で承認を得るという形ですね。ありがとうございます。
○千葉委員長 今のお話は、4ページの4の今後の進め方の所にありますが、部会を設けて、そこでより具体的なことを検討して、まとまったものをまたここに挙げてもらって最終的にと、そういう流れと理解しましたが、よろしいですね。ほかにいかがでしょうか。
○石川委員 日本医師会の石川です。私は今までNDBだとかMID-NETだとか、そういうのに全部関わってきたので、先ほどお示ししましたように、これは余り匿名化が厳重にはできないというデータベースですので、最初に外形的にどういう部屋で、具体的に言えば、どういう部屋でこのデータを扱えるのだと。そのデータ以外の所では扱えないのだとか、きちんと何名の研究者がちゃんと名乗り出ていて、それ以上は使えないのだということを外形的には一応やっておかないと、後で問題になるのです。というのは、結構、学会の先生方には力が強いとか、声の大きい人もいるので、最初に外形的に決めておかないと騒動になったりするのです。何でうちでは使えないのだとかですね。そこはきちんとやって、私たちは日本医師会でも、一番奥の部屋に鍵もかかって、そこには携帯電話を持ち込んではいけないとか、インターネットから全て切っているちゃんとしたパソコンが2台以上あるとか、そのような外形的にきちんとやって、このデータベースをいじってもらうことをやって、そこはちゃんとやっておいたほうがいいと思います。細かなことを言うようですが、それは最初に決めておいていただいて、審査会で必ず模擬申請をしてもらって、何回かやったほうがいいと思います。
○田中難病対策課長補佐 御指摘いただいた点については、1-1のほうにも、安全性を担保するための措置ということについても審査をする、というように御意見を頂いており、これについては適切にその中にきちんと含めてまいりたいと思っております。
○千葉委員長 今の御指摘は、提供先、あるいは提供することについての一定の基準をきちんと作っておいたほうがいいのではないかという御意見だったと思います。非常に重要な御指摘だと思います。ほかにいかがですか。
○小幡委員 念のため確認ですが、この「情報の提供先」に、現在の申請書又は同意書によりということで、厚生労働省の研究事業等の基礎資料又は小児慢性特定疾患うんぬんとありますが、これは指定難病データのほうは「厚生労働省の研究事業等の基礎資料」と書いてあって、小児慢性のデータのほうは「小児慢性特定」と、そのように雛形がなっていると、そういう趣旨ですね。
○田中難病対策課長補佐 それぞれの同意書に、括弧書きで右肩に記載があります。
○小幡委員 中長期的なところで同意書の文言の見直しとかいうのもあると思うので、片方には厚生労働省の研究事業と書いてあって、今、2つ目のポツの所は、研究事業等ということで読むことになるのだと思うのですが、小児慢性のほうは厚生労働省のということはないですよね。だから、結論的にはこういう形でよろしいと思いますが、私も厳正な審査という所は審査会を入れていただいていいと思いますが、ちょっとばらついているというか。ですから、同意書の書きぶりも、もうちょっと考えていったほうがいいかなと思います。
○田中難病対策課長補佐 御指摘いただきましてありがとうございます。同意書の書きぶりについては、小児慢性と指定難病は異なっており、それについては今後どのようにするかということを検討してまいりたいと。ただ、実際、当面の利活用については、現在、同意が取れているのが、この同意書だということを御理解いただいた上で、今後はこの同意書をそろえていく、それから必要な文言を追加していくということは考えてまいりますが、現在データベースに入れているものがこの同意書で取れているということは皆様に御理解いただきたいと思います。
○千葉委員長 正に当面のということと、中長期的なということですので、中長期も視野に入れてということでお願いしたいと思います。ほかによろしいですか。
○森委員 提供先ということではないかも分からないのですが、データベースが更新されたときには、研究班などには更新されたということは通知などはされているのでしょうか。難病も研究が非常に重要ですし、研究開発というのはやはり積極的に進めていただきたいので、その辺を国のほうでも一層に支援を強めていただきたいと思います。
○田中難病対策課長補佐 我々厚生労働省の政策研究班に関しては、今年度に入ってから説明会を開催しており、このデータベースが既に入力等が始まり、後半以降には提供が可能になるということは、検究班全てに周知をさせていただいているところです。こういった周知を是非進めて、皆様に利活用いただけるような形で周知を進めてまいりたいと思っております。
○千葉委員長 よろしいですか。いろいろ御意見を頂きましたが、皆さん、重要な御指摘だったと思います。基本的には原則としてということで、厚生労働省又は厚生労働省が補助を行う研究事業ということですが、その下に正に「ただし」とありまして、それについては後の、恐らく審査会の設置の4の所に絡んできて、個々に検討してということでまとめていただいていいのではないかと思いますが、よろしいですね。
続きまして、3)の所に移りたいと思いますが、提供する情報の範囲ということです。ポツが2つありますが、これについて御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○井田委員 慈恵医大の井田です。2つ目のポツの一番下ですが、「遺伝子検査の内容や家族歴などについては、本人以外にも家族に与える影響も考慮する必要がある」と記載があります。これは具体的に、どのような方策をお考えでしょうか。これはまた検討会で検討するのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 具体的には、検討会で御検討いただくものかなと思っています。実際には公表できる内容が、個人が全く同定されないようなものなので、この遺伝子異常の方がこの病気の中の何割ぐらいとか何名ぐらいいらっしゃるとか、そういった疫学情報であれば、影響も少ないだろうと。一方で、何か影響を与えるような出し方というものが、どういったものなのかというのは、具体的には専門家の先生方に御議論を頂く必要があるのではないかと思います。
○井田委員 先天代謝異常症などの場合には、遺伝子を基にして表現型や予後はどうなるかは非常に知りたい点です。また、薬への反応性などは遺伝子に規定される場合があるので遺伝子と臨床情報のリンクは非常に大切なのです。ですから、疫学だけでは研究には結びつきにくいと思います。この点を是非十分に考慮していただくようお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 頂いた御意見を検討会で、専門家の先生方と議論を深めてまいりたいと思います。
○千葉委員長 今のお話は、正に研究を医療に還元するというところで、実際に該当するのは各研究班のみならず、研究所や大学、並びに更に言えば、企業の話も絡んでくると思います。ですから、これは今回の場合には、基本的に企業という所までは想定していないと。前回のディスカッションでも、そういう流れがあったと思います。正に将来的には、その辺りは考慮していかなければならない問題だろうと思います。
○小林委員 先ほどから出ています小児の場合の話と今の話にも関連があるのですが、調査は連結して登録されていくわけです。例えば、去年私の子どもが登録されて、翌年また登録するという感じで、データとしては累積されていくわけです。
○田中難病対策課長補佐 小児慢性特定疾病については、経過を追うというように同意書の中に記載がありますが、指定難病については連結をするということについて全く言及されておりません。基本的には、同意書の中にないので、いわゆる指定難病では今、単年のデータのみが活用できる部分です。つまり、過去のデータと経年的な経過を追えるという同意は残念ながら取れておりませんので、指定難病に関しては、この経年的データを追うことは現時点では難しいと考えています。
一方で、小慢については同意が取れておりますので、そこは経過を追うというところで読み込めるのではないかと、事務局では考えているところです。
○小林委員 分かりました。そうすると、子どもが小さいときは、親御さんが回答していくわけですが、子どもが成人になって、今度は子どもが同意書にサインをするときに嫌だとなった場合に、過去のデータはどうなるのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 基本的には同意が取れているデータは、それまでに研究として使われている部分については回収をすることは非常に困難なので、そこまでの研究については当然そのままデータを使わせていただくと。ただ一方で、新たなデータについては同意が取れていないということですので、それ以降の研究については結び付けはしないと。ただ、例えば数年たって、やはり研究に参加したいといったときには、同意が取れていれば何か方法があれば、当然過去の取れていた時期のデータと結び付けることは可能ではないかと考えます。
○小林委員 それに同意しなかった場合は、過去のものは消えてしまうのですか。それとも、残っているのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 そこまでは現時点では想定をしていないので、データ登録センター、疾病登録センターに確認をさせていただきたいと思います。
○小林委員 そういうことも、またこれから検討会で考えることになるのでしょうか。分かりました。
○千葉委員長 今の御指摘は、2つポイントを含んでいます。おっしゃるように、小児から成人に移行する場合にどうなのかという問題と、成人の場合には今の時点で年度を超えて連結できていないわけです。ですから、それは一方で、この指定難病のシステムの中で、年を超えた連結といいますか、経過が分かるというようなシステムにすべきであるという御意見は以前から根強くあり、私もそうすべきだと考えております。その2つの課題が残されていると理解できると思います。ただ、ある意味この案の範囲を超えてしまって、かなり根幹に関わる問題になると思うのです。ですから、そこも含めて専門委員会でも御議論を頂くことになろうかと思います。重要な御指摘だと思います。
ほかにはいかがでしょうか。今は、遺伝子検査のことについてお話を頂きました。それから、その前に書いてありますが、「必要な匿名加工を行った上で研究に有益な情報を提供するように」という文言があります。これは、先ほど石川先生からも御指摘いただいたところですが、そこも含めて何かありますか。
○竹内委員 2つ目のポツの3行目に、「そのため、原則として、名前や住所の削除など容易に個人が特定されないよう必要な匿名加工を行った上で」とあります。そうすると、原資料はどこかに残っていて、その上で名前と住所を削除して、データベースを構築するという考えでよろしいですか。
○田中難病対策課長補佐 現在、既に疾病登録センターには、個人の情報が載ったものが登録されております。ですので、もう既に情報がセンターに登録されているものがありますが、そこから提供する際には個人の情報が特定されないような配慮をしたものを提供するという流れになっております。既に、データベース、疾病登録センターの中には、それが残っているところです。
○竹内委員 そのデータセンターの中に残っているデータで、私たちが常にお願いしているのは、紐付けをしていただきたい。例えば長野県に住んでいた方が転居して、東京都にいらした。転居にともなって東京都にも申請し、結果として重複して登録されたり、あるときには別の所で、別の名前で指定難病として登録され、東京都に来たときには、また違う病名で登録されたりなど、紐付けができていないと、不正確なデータになってしまうことがあります。その辺りは、データセンターの中で、全国のデータの紐付け、個々の名寄せはできているのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 100%はできていないと認識しています。つまり、紐付けをするために必要とされる全ての情報が入っているわけではなく、名前などは入っていないので、今、入っている情報としては生年月日、申請された都道府県、出生地といったものが入っています。そういったものを使って、紐付けをすると。これは100%ではないので、名前などは情報センターには現在はありません。
○竹内委員 そうですか。
○石川委員 今のことについてコメントです。先ほど、5月11日に次世代医療基盤法が実施されることになり、代理機関という匿名化された医療情報が使えるようになります。それと同時に、既に私たちは3月の段階で、厚生労働省で、夏までの間に「医療等ID」について、ある程度きちんと、部分的にですが、今年度中にできるような方向で検討されています。そういうものができれば、個人と一意性のある符号、番号が作られますので、それはデータセンターにおいても同じです。ですから、これはもうどこに行かれても追いかけられます。もちろん見えない符号ですので、簡単には分からなく、個人にはすぐには結び付きません。そういうもので、今後は研究用の医療等IDということで格納される予定になっていますので、それはいずれはできるようになると思います。
○竹内委員 私も、それを想定して今質問したのです。やはり次世代医療基盤法を見据えて、名寄せができるようなシステムにしておけば、患者さんに同意を得るときにも安心するのではないかと思うのです。ですので、匿名化しないということではなく、このようなシステムを用いてデータを利活用するという方向で検討をお願い致します。
○田中難病対策課長補佐 ありがとうございます。そちらの点も検討させていただきます。
○千葉委員長 現状の指定難病の制度では、先ほどお話のあった年度を超えた、あるいは都道府県に移転した場合の連結はできていないと。それは、従来から非常に大きな問題として長年言われてきた問題です。正に、そこを1つの目標としなければならないということで、現在厚労省でもいろいろな研究班などを作っていただいて、そのためにどうしていこうかという議論がなされているところであると理解しております。これも、非常に重要なポイントだと思います。ほかにはよろしいですか。
○井田委員 患者さんや病状の経年変化はすごく重要だと思っています。今、初めて指定難病では経年変化を検討できるシステムになっていないという事を聞いてびっくりしました。そもそも、研究は患者さんの治療法の開発や将来的にどうなるかということが一番重要だと思うのです。この患者さんはどうなっていくのか。あるいは治療をしたけれども、その後どうなっていったかというような経年変化を見ないと、ただデータを集めているだけになってしまいます。是非、努力していただいて、創薬などに結び付く貴重なデータになるよう、何とか工夫していただきたいと思います。新しく次世代基盤法ができたので、データを有効に生かすことが大変重要だと思います。是非御検討をよろしくお願いいたします。
○千葉委員長 是非よろしくお願いします。よろしいですか。それでは、残ったものについては、最後に時間がありましたら御議論いただくことといたします。
次は、4)利活用の目的に移ります。この点について御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岡委員 東京大学の岡です。利活用の目的の2番目のポツの「臨床研究等の実施に関して」というのは、例えば新しい薬ができて臨床試験をしているときに、どういう患者さんがいらっしゃるかといったようなものを、データのほうから患者さんにアプローチするという道筋もあり得るという理解でよろしいでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 現在の指定難病の同意書の中に、新たに臨床研究等を実施する際には、新たに、この当該研究者から指定医を介して、患者に更に同意を求めるとするということの記載があります。この記載に基づけば、新たに何か臨床治験を研究班などが医師主導の治験を計画したといった場合にその患者様にアプローチをする方法としては、指定医を介して再同意をすれば、その患者様にアプローチをすることができるという記載になっております。指定難病については、そのような記載があるということで、この2ポツ目を載せております。
一方、小児については、そういった記載はないので、指定難病についてはこの2ポツの方法でアプローチすることは可能だと、事務局では考えております。
○岡委員 分かりました。特に治療法といったときには、とても大事な記載ではないかと思います。今までは、主治医の情報も含めて開示されないのかなと思っていました。要するに、どなたが主治医か、どなたが診断書を書かれたのかというところまでは、場合によっては提供することがあり得るという理解でよろしいですか。
○田中難病対策課長補佐 研究者に提供するかは審査会の判断だとは思うのですが、基本的には研究者の先生が要望をすれば、申請を頂いて再同意を取り、その患者様についてはアプローチ可能というような形かとは思います。実際に、どの医師に掛かっているかというリストを提示することはちょっと難しいのかなとは思っているのですが、再同意をする方法については、こちらに書いてある方法を取っていただければ可能なのではないかと考えております。
○千葉委員長 よろしいですか。これは最終的な話としては、先ほどの薬剤開発などの話のときに、患者さんのリクルートといいますか、御協力をお願いするという流れを、将来的には考えているわけです。現状の同意書に基づいて考えると、ここまでかなというお話だったと思いますが。
○石川委員 この2番目のポツは大変難しく、データが大きいと実際には当該研究者から指定医を介して、患者に説明をもう一回するということは、ほとんど不可能に近いです。それから研究をされていますと、途中で思わぬことに気が付いたりして、最初の目的よりも違う研究をやりたいということが当然発生してくるのです。そうすると、最初の計画書と違う目的外のものが出てきてしまったりするのですが、その場合にどうするかというと、これはやはりもう一回審査会に掛けてもらったほうがいいと思います。
それから、こういう場合には実際には審査会で判断して、データが大きくなってしまうので患者さんの所まで行けないのだと思うのです。ですから、ここの書きぶりは少し書き直していただいて、そこで審査会を使ったほうがいいと思うのです。そのほうが、研究者の方たちは結構自由な発想で、途中で目的が新しいものになったとしても、審査会に戻して検討してもらって進めるほうが、いろいろと発展するのではないかと思います。
○千葉委員長 やはり先ほども審査会という話がありましたが、4番の最後は、この案でいきますと、その文言を入れたほうがいいのではないかという御指摘かと思います。
○田中難病対策課長補佐 ありがとうございます。検討はさせていただきます。
○千葉委員長 ほかはよろしいですか。ですから、ここも結構、6)に掛かってくるということで、非常にリジッドなものではないし、そういう記載がなかなかできないというところで、やはり最初の審査会の設置に関わってくるかなと思います。
続いて、5)研究成果等の公表の方法です。これは、先ほど少し周知という話が出てきておりましたが、この点について御意見を頂ければと思います。
○小林委員 先ほど、研究班で成果をというお話でしたが、普通は研究班というと2、3年やりますよね。それは、最初には私たちには分からないわけです。そうすると、2年も3年もたてば、やっとこのように出るということなのですが、例えば途中で年に1回、こういう研究班が動いているというようなことを公表したりするようなことはないのですか。
○田中難病対策課長補佐 現在、政策研究班に関しては、国立科学院のデータベースがあり、研究班の1年ごとの研究成果報告書を公表しております。インターネットで、1枚紙に、この研究班が、この1年どのような成果を上げたかを出していただいており、その報告書の中に載っております。それは、どなたでもアプローチができるようなものとなっております。一方、例えば治療などに関わるAMED研究についても、AMEDのほうで一般の方向けに成果報告会を開催していただいております。そういった中で、報告については出るのではないかと思っております。
○小林委員 それは、こういうデータを使ったものだというようなことが、何かの形で出ているということなのですね。
○田中難病対策課長補佐 研究がされていれば、出ていると考えておりますが、実際には残念ながら、まだ運用が始まっていませんので、過去のもので、このデータベースを使ったという研究はないということです。
○千葉委員長 よろしいですか。これは正に、厚労省の研究班の中に、広報というか、広く指定難病の制度等を普及活動をしていくための方策を考える班があります。今おっしゃったようなことについては、いろいろとディスカッションしていただいて、できるだけ出てきたデータを広く知っていただくような方策を検討していただくのがいいのではないかと思います。
○小林委員 先ほどから申し上げているのは決して後ろ向きに意見を言っているのではなくて、患者の側としてはいろいろな研究がどこでどのように行われて、将来的に私たちの所にどのように返ってくるのかということに、とても関心を持っていますし知りたいという意味で、どういう形で公表されていくのかをお聞きしたいです。
○坂上委員 今の御意見の中で、6)審査会の設置にも関わるのですが、例えば審査会で採択されたということを患者会にもお知らせすることができれば、どのような研究が今後、行われるのか、分かると思います。もし、採択されなかった場合、その理由を示してもらえたら良いと思います。その辺りも審査会の設置の部分で御検討いただければと思います。
○田中難病対策課長補佐 頂いた御意見を検討させていただきます。なおNDBなどについては、成果を広く周知をするということで、まとめて公表がされているとも聞いておりますので、そういったことも含めて事務局で検討をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 保健医療科学院にアクセスをするのは、割りと研究者は容易なのですが、一般の方々は難しいかもしれませんね。ですから私もパッと思ったのは、難病情報センターのホームページ辺りを活用したりということも、1つの方策かなと思いました。そういうことも含めて検討していただく必要がありますね。ほかに何かありますか。
○岡委員 本質的な議論ではないのですが、今、座長がおっしゃったように、そのような公開をしていただくと、最初に小児慢性特定疾患のエントリー率が悪いというお話がありました。やはり、患者さんにどういう形でフィードバックできるのかということがないと、小児の医療が無料の地域で小児慢性特定疾患を出しづらいという部分が既にあります。そういう意味で、患者さん方にこういう形のフィードバックができて、あなたのデータがこういう形でいかされるといったようなことが見えるようにしていただくことは、とても大事かなと思いました。コメントです。
○千葉委員長 ありがとうございます。貴重なコメントを頂きました。ほかにはよろしいでしょうか。次に移ります。6)審査会の設置については、先ほどから幾つか御意見が出ていました。それぞれについて検討すべきことについては、審査会を設けて、そこできちんと審査をすべきであるという御意見が出されており、全くそのとおりだと思います。この点について、当然、皆さんは審査会の設置は合意されると思いますが、どのような審査会であるべきだといったようなことも含めて、何か御意見はありますか。
先ほど、こんなことを議論すべきであるというようなお話も頂きました。利活用の目的や、公表のこともそうですし、範囲、提供先、これは全てそれぞれ個別の問題が生じた場合には、審査会で検討するという流れになろうかと思うのです。
○羽鳥委員 この審査会は、かなり重いポジションだと思うのです。たくさんの研究が上がってきたときに、この1つの審査会で全部こなせるのかどうか。例えば、10も20も上がってきたときに、毎日毎日やらなければ駄目なのではないかという感じもします。イメージとして、何人ぐらいの先生でどのぐらいの頻度で、年間何回ぐらい開催されるのでしょうか?
○田中難病対策課長補佐 まず我々としては、このデータベースの検討会を立ち上げて、ガイドラインのようなものを作っていただくと。この検討会の先生方に引き続き審査会にもお入りいただくものだと考えております。頻度等については、実際に申請が上がってきて、その数に対して考えていくところだとは思うのですが、常に、年中議論するのはなかなか難しいと思いますので、やはり年に何回か期間を設けて、年に何月と何月に申請を受け付けますというような形を取らせていただければと思っております。
○賀藤委員 成育の賀藤です。審査会は当然設置なのですが、審査会で行った審査の結果の報告については、やはりこの検討会に定期的に報告していただくことは絶対必要で、逆に、審査会の委員の、いわゆる審査した内容の研究とCO1については、それが妥当性があることはやはりこの検討会で評価を受けてオーソライズされることはきちんとしておいたほうがいいかとは思います。
○田中難病対策課長補佐 ありがとうございます。そのように追加の記載をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 この審査会の位置付けにもからんでくる話になりますね。ですから、決めたことをそのままではなくて、きちんと挙げていただいてアップロードするシステムが必要であろうということで、私もそのように思いますが、ほかは何かありますか。
○尾花委員 埼玉医大の尾花です。この審査会というのは、例えば研究の内容によって審査員が代わるとか、そういったことというのは想定されていますか。
○田中難病対策課長補佐 基本的に、今回この審査会は研究のデザインや内容について審査をするものではなくて、データーの取り扱いが適切なものなのかとか、情報の範囲が求められている個票等、欲しいと言っているデーターがその研究に必要最低限なものなのかといったところを審査をするものであって、研究の内容を個別グラデーなく内容について審査をするものではないと考えております。例えば、分野が神経領域のものだから、この先生にお入りいただくということは考えておりません。
○千葉委員長 恐らくそういう医療の専門家、成人の専門家、それから小児の専門家並びに法律の専門の方とかにも入っていただかなければいけない会ではないかと思いますが、そういう人選については御検討いただくとしまして、何かそこら辺も含めて御意見があれば出しておいていただいたらと思いますが、よろしいですか。この6)に、ある程度、連関すると思うのですが、次の4番の「今後の進め方」のところで、先ほどいろいろな御意見が出ていまして、具体的な御意見もいただきました。ただし、この時点では、この案の中に全て具体的なところを盛り込むことは難しいと思いますし、実際には、これは大筋を記載した案であると理解しております。そうしますと正に、この4番の今後の進め方の中でいろいろ具体的なことについて検討していただくことが必要であろうと思います。ここについて何かございますか。
 
○春名委員 高障求機構の春名です。先ほどのお話ですと、この検討会を立ち上げて、それでその後、引き継ぐ形で、その審査会の中で実際にいろいろ審査をしながら先に詰めていくみたいなイメージなのかと思いました。やはり最初の検討会の段階で個人情報保護の対策は当然重要なのですが、それとバランスを取るような形で、この良いデーターベースですので、このデーターベースの利活用について、もっと積極的に推進する方向で、より使ってもらうことだとか、成果を出して患者さんや臨床のところに活用していただくような方法とか、このデーターベースには今現在こういうデーターベースがあって、その活用を考えていただくとか。あと、こういう申請や管理法は駄目なのだけれども、こうやってもらえればいとか、そういうちょっとしたノウハウとか、そういうことなども検討していいただければ、この後更に、ここに戻って来ていろいろ検討するときにとても役に立つのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 いただいた御意見について、今後設置予定の検討会等でQ&Aを出すとか、そういったことで対応できないかということを、また御提案させていただきたいと思います。
○千葉委員長 できるだけ活用できる方向で考えていただきたいという、そういう御意見であったように思います。十分御考慮いただきたいと思いますが、ほかはよろしいですか。先ほどからいろいろな、もっとここを具体的に詰めるべきだというような御意見をいただきましたが、そこら辺をこの委員会で今後の進め方の中の小委員会といったところで進めていただくことになりますが、よろしいですか。
そうしましたら、今日のお話あるいは、この案は当面のということです。最初にお話がありましたように、現在の同意書に基づいて可能な範囲でという趣旨で案を出していただいたと思うのです。御承知のように5年後に見直しというのがありますので、そのときには今日頂いた課題もかなりそこに関わってくると思いますが、不都合なところや改善すべきところを結構大きく見直していくという作業になると思うのです。その積み残しの部分も、ここの5番に書かれてあります。これは、先ほどの前回の「主な御意見」の1とも重なってくるわけです。鶴田委員のほうから御意見があると伺いましたので、どうぞ。
○鶴田委員 検討事項なので、今後の要望として聞いていただければと思います。まず小児慢性疾患から指定難病に移行する患者さんが多いことから、この統一化は図っていただきたいというのが要望です。その際に、都道府県番号1~47
であるとか、登録の年である1900何年、2010年、2020年であるとか、その後に病名、個人情報とか、DPCコードのようにコーディングすれば可能だと思うのですが、現時点で統一化できない理由は何ですか。その難しさというのは何ですかというのが質問の第1点目です。
第2点目は、前回の資料1-1の意見の中に、患者さんへの情報提供とありましたが、では患者さんは具体的にどんな情報を求めるのかを担当に聞きましたら、多分、患者さんは疫学情報であるとか、予後であるとか、そういうものを知りたいのではないかと言いました。研究成果というのは必ずしもパーマネントファクトではない。例えば、『ネイチャー』や『ランセット』で出た論文が、何年後まで正しいとは限らないという意味での、パーマネントファクトではない。先ほどもありましたように、登録する、しないとか含めて疫学情報にしてもバイアスが掛かっているようです。都道府県の立場から見ると、疾病対策課長は医者であったりするのだけれど、そのほかの人たちはほとんどが事務職の人で、3年ぐらいで代わるので、その時々で出て来た質問に対し、患者さんがいろいろ質問することに対して厚労省なり、行政が答えたQ&Aを出していただけると、職員が代わっても対応できるのではないかと思いますが、そういうことも検討していただけますか。
○千葉委員長 いかがですか。
○田中難病対策課長補佐 まず1点目、小慢から指定難病に関しての統一化についての御要望は、御意見として承ります。一方、そのコード化というお話がございましたが、何が困難かという大前提に、小慢と指定難病のデーターベースを結びつけるという同意をいただいておりませんので、その2つを結びつけることの、より具体的な検討には今までは入っていない状況です。何が困難かということは、このデーターベースを連結するという、統一化を含めてデーターベースを連結することが必要なのではないかと、今回いろいろなところで御意見をいただきましたので、それぞれのこちらのデーターベースの議論の最初のときにも研究班にいらしていただきましたが、小慢と指定難病の登録センターの方たちに、この2つのデータを結びつけるためにはどういった問題があって、どういったことをすれば結びつけられるのかというような、より技術的な面での検討は、我々の指定班のほうでしていただくこととしております。
一方、申し訳ありません。その患者さんへの情報提供という中で、Q&Aというのは、何に関するQ&A、自治体に関する質問とございましたが、我々としては厚生労働省や各自治体にお問合せいただく内容は、例えば臨床調査個人票の解釈であったり、その記載方法、若しくは疾病の診断基準等に関するお問合せをたくさんいただいているのですが、これについては既にQ&Aを発出させていただいているところです。一方、このデーターベースに関するQ&Aというのはまだ走っていない話なので、特段いただいているものではないのですが、Q&Aについては、何についてのQ&Aの公表ということなのかを、もう一度御説明をいただきたいと思います。
○鶴田委員 今までの疾病に対するQ&Aが全部出来ているのであれば、それで結構です。もし、このデーターベースに対するQ&Aについて言えば、今から質問が出て来るのだろうと思います。そうした質問に対して都道府県の担当が答えるとすれば、厚労省に聞かれたQ&Aを教えていただければ、それでもいいのだと思います。担当窓口にいろいろな質問が来ると思います。それに対して答えられるものを用意していただけると、担当としてもありがたい。要は、担当者が代わったら、全く知らない人が来るのです。そういう意味で、やっていただきたいと思います。お願いします。
次に、1番目の回答については新規に申請する人から新たな制度を作るというのもあるかと思います。例えば新規に小慢を申請された人は2018年何月、都道府県コード、病名、個人コードとかつけて管理することは不可能ではないと思うのですが。
○田中難病対策課長補佐 分かりました。Q&Aについては、検討させていただきます。また、そのコードについてもそれぞれの登録センターのほうに確認をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 今日いろいろ出された意見の中に、今後の中長期的な課題というのが結構含まれていたと思うのです。5番に書かれている内容を見ていただきますと、上の1番目、2番目は、いろいろ議論がありましたが、小児慢性と成人の連結です。2番目も、難病における各種データーベースの連結ということで、やはり連結というのがキーワードになっています。正に今後の課題ということです。3番目は、それを支えるためのシステムと言えると思います。オンライン化して、そういう連結が非常に多くなるようにといったようなことが書かれてあると思います。4番目以降は、軽症者の拾い上げというところが記載されています。データーの質の向上、それから今日いろいろなところに掛かってきていますが、今の同意書ではこういうことができますというお話がありましたが、正に同意書の見直しです。今後、小児と成人とを合わせる形で検討していかないと、やはり新しいこういうデーターベースの構築はできないということは、皆さん方、今日のデスカッション中で御認識いただいたと思うのです。ですから、こういうことを今後となっています。それ以外に、中長期的な目標としてこういうことを掲げておいたほうがいいのではないかというようなことがありましたら、御指摘いただきたいのです。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。難病も小慢も、患者さんの治療に貢献するというのが一番大きな目的だと思うのです。プライバシーを守ることは当然ですが、基本は治療に貢献することがあるのだということをうたって、同意を取りやすくする努力もされたほうがいいのではないかと思います。先ほども小児の場合軽症者が登録しない。小児は窓口支払いがないので登録してもしなくても、ということという事になってしまいます。研究の発展のために登録していただくのかということはしっかりうたって、患者自ら、あるいは御父兄の方が自ら積極的に登録するようなシステムにしていってもらわないと、やはりデータの数が集まらない、あるいは信頼性というか質が上がらないのではないかと思いますので、その辺を是非、御検討いただきたいと思います。
竹内先生から御指摘もあります悉皆性です。ある県で、別な病名で登録されたり、あるいは小児と成人でまた違う病名になってしまったりとか、そういうことのないように、日医や日本医師会で推進している医療等IDも含めて疾患性の担保をやっていかないと、いくらデーターベースを作ってもまた役立てることが出来なくなります。
それから成人の指定難病の場合も、単年度でしかデーターが取れないというのはだめで、継年的にフォローアップする仕組みが必要です。同意書も両方に解決するものであってほしいと思います。
○千葉委員長 よろしいですか。貴重な御意見いただきましたが、どうぞ。
○益子委員 宮前区役所保健福祉センターの益子です。このデーターベースの活用は将来的に医薬品等の開発も含めた患者さんの治療等に資することを考えれば、今の段階では研究や学術学的なものに限るのでしょうけれども、やはり将来的には、プライベートカンパニーへの活用も視野も入れるべきではないでしょうか。そういう人たちにも開放するようなことはいかがですか。
○千葉委員長 いかがですか。私もそんなふうに思いますが、特に将来に向かって、やはりポジティブな方向性で考えていくべきであるという御意見だというように理解しました。
○田中難病対策課長補佐 いただいた御意見を今後、同意書の見直しが、なかなか現状ではそこまで行けないというのは、現状の同意書では難しいということなので、中長期的な同意書の見直しも含め、その中でそういった企業への提供等も検討していくべきものと、事務局でも考えております。
○千葉委員長 どうしても現在の同意書を基本にしてということことが引っ掛かってくるので、何となく消極的といいますか、そういう印象を拭えないわけではないと、私自身も感じていて。何となく皆さんも、もうちょっと元気の出るようなというような雰囲気があるのではないかと思います。ですから、そこは是非、今後に向かって、皆さんできるだけ協力できる方向でというようにおっしゃってくださっていますので、難病医療の発展に資するという観点を是非入れていただけたらよろしいかと。そういう御意見だったと思いますが、よろしいですか。
○竹内委員 慶応の竹内です。今、この申請書の締切り時期がかなり1か月ぐらいに集中しています。現場では、その申請書の書類の作成に手間取っているのです。できれば、例えば患者さんの誕生月とか、一年中ばらけて申請ができるような形、場合によっては4段階も含めてなのですが、もうちょっと標準化していただくような工夫を是非お願いしたい。それが可能になれば、現場で同意書を取ることも可能ではないかとも思いますので、是非御検討いただければと思います。
○田中難病対策課長補佐 御意見ありがとうございます。今後その辺も含めて自治体や現場の先生方の御負担軽減というのは大きな問題で、これがデーターの信頼性にも結びつくものと考えておりますので、いただいた御意見をしっかりと検討してまいりたいと思います。
○千葉委員長 そろそろ時間になってきましたが、全体を通して何か御意見ございますか。いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございます。今回の案についてということのみならず、今後この指定難病制度、それから小児慢性と指定難病の関係ということについて、中長期的な御意見や御要望をたくさんいただいたと思いますので、今回の案と中長期ということを合わせて、事務局のほうでも是非、御検討いただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、その他で、事務局からよろしくお願いしたいと思います。特にないですか。
○谷口難病対策課長補佐 事務局から資料2-1、資料2-2について説明させていただきます。児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病医療費助成制度においては、医療費支給認定を受けた保護者の所得に応じて負担上限月額を設けています。この負担上限額については、児童福祉法施行令において小児慢性特定疾病による身体の状況や、小児慢性特定疾病に係る治療の内容に照らして療養に係る負担が特に重いものとして、厚生労働大臣が定めるものについては負担上限月額を他の患者より軽減することとしており、具体的にどのような症状を呈する方が負担上限月額の軽減の対象になるかについては、厚生労働大臣が定めるものにおいて規定しているところです。この告示の規定の一部については、身体障害福祉法施行規則別表第5号の身体障害者障害程度等級表における判定基準を参照して定められています。
今般、最新の医学的知見等を踏まえ、「視覚障害の認定基準に関する検討会」において審議された結果、等級表における視覚障害の判定基準について見直すこととされました。これを踏まえ、今般、身体障害者障害程度等級表における判定基準を参照して規定された本告示においても同様の改定を行うこととしています。
具体的な内容としては、現行の告示第2号イの表、眼の項において、「両眼の視力の和が0.04」という基準を用いていますが、これは身体障害者の等級表に当てはめると、身体障害等級第2級以上に該当する者を指しています。今般の等級表の改正に伴い、これまでと同様に、障害等級第2級以上に該当する者と同等の者を指すようにするため、「視力の良いほうの眼の視力が0.03のもの又は視力の良いほうの眼の視力が0.04、かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの」に改正することとしています。今後、本改正についてパブリックコメントを実施の上、身体障害者の等級表の改正に合わせて、本年7月1日に施行する予定としています。
○千葉委員長 これは、これでよろしいですね。御報告ということでした。それでは、事務局からお願いします。
○田中難病対策課長補佐 次回の委員会の日定ですが、決定次第また御案内を申し上げます。事務局からは以上になります。本日はありがとうございました。
○千葉委員長 どうもありがとうございました。いろいろ貴重な御意見をいただきました。これを基に案をもう一度練っていただいて、次回に提出していただくというような、そういう形になろうかと思います。その間も、またそれぞれの委員の先生方御意見ございましたら、是非事務局に御連絡いただければと思います。感じたことですが、やはりこういうデスカッションをするにつけても、今後は質の高いデーターの収集がないとデスカッションしても余り意味がないですので、これは中長期的な問題になると思いますが、連結等も含めまして是非検討すべき問題かと感じました。それに合わせて、同意書の見直しは中長期的にも非常に重要であるというように認識した次第です。本日はどうも御苦労様でした。ありがとうございます。