小宮山大臣閣議後記者会見概要

H24.2.17(金) 8:50 ~ 9:04 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は冒頭私の方から2件、お話をします。 一つは御承知のように、社会保障・税一体改革大綱を、本日閣議決定しました。社会保障・税一体改革につきましては、今年の1月6日に、政府・与党社会保障改革本部で素案を決定しましたが、関連法案の提出に向けて準備を加速し、今後更に与野党協議を呼び掛けていくために、大綱として閣議決定をすることになりました。厚生労働省としては、改革の実現に向けて、引き続き関連法案の提出などの準備を着実に進めていきたいと思っています。 そして2点目、先日御質問も頂きましたが、岩波書店の募集採用についてです。先日、岩波書店の著者等の紹介を応募要件とする募集採用についての報道がありました。厚生労働省では、企業に対して、応募者の基本的人権を尊重し、広く門戸を開き、適正や能力に基づいた公正な採用選考を行うよう、周知啓発をしています。こうした立場から、東京労働局とハローワーク飯田橋ですが、厚生労働省は、岩波書店に対し、事実関係の確認を行い、併せて、公正採用選考の趣旨を説明しました。具体的には、2月3日から13日までの間に、複数回、岩波書店から事実確認などを行いました。その結果、今回の募集方法は、応募者の熱意や意欲を把握したいという意図によるものであるということ、そして、紹介を選考の基準とはせず、筆記試験と面接試験により厳正に選考する考えであることを確認しました。また、厚生労働省の説明等も踏まえて、著者等の紹介を得ることが難しい希望者についても、採用担当部門でしっかり話を聞いた上で、応募機会の確保を図っていることが明らかになりました。このように、岩波書店の募集採用活動の考え方や実態について、一定の確認を行いましたが、今後も、岩波書店の対応が公正採用選考の趣旨に沿っているか、しっかり注視していきたいと思っています。 以上です。

質疑

記者:
岩波書店の採用に関してですが、話を聞いて、特に問題はないというお考えだということでよろしいですか。
大臣:
そうですね。ただ、著者などの紹介がないと受けられないというような誤解を招くということもありますし、そういう意味では、今回複数回対応した結果、公正にできるように、岩波書店でも、更にやり方などを改良、改善して努力するということですので、本当にそういう形で行われるか、実態をこれからも注視していきたいということです。
記者:
今後も注視していくということは、これで終わりということではなくて、経過をまだずっと見ていくということになるのですか。
大臣:
そうですね。実際にどういうふうに行われるのかを、それはいつどうするということではありませんが、こういうふうに会社側からは回答がありましたので、そうできるかどうかを見ていく、ということです。
記者:
確認ですが、今の時点では、岩波のホームページでやっていた募集というのは特に問題があるというふうには認められない、という見解を厚生労働省は今日お示しをした、ということでよろしいのでしょうか。
大臣:
そうですね。「厳正に」、これがどういうふうに皆さんに受け取られるかですが、著者などからの紹介ということは、それだけ岩波に入りたいという熱意を持って、いろいろな形でそういう紹介を得ていたという、そういう意味合いと、それから、これは選考の基準ではなくて、しっかりと選考の基準は筆記と面接試験でやるということですので、そういうことであれば、現時点で何かに違反しているということではないでしょう。ただ、それがないと受けられないと、報道を見て思われた方に対しては、これは公正な選考を妨げることになるので、特に著者などのツールのある人はたくさんいないかもしれませんし、その場合には、ちゃんと採用担当部門で話を聞いて、応募機会はちゃんとできるようにするということですので、現時点では、何かについて問題ということではないと思います。ただ、こういう報道があって、皆さん本当にそうなのかなと思われるところもあるのかなと思いますし、こちらとしても、そういうことで調査をして確認をしたので、その確認がしっかりと履行されるかどうかは、当然のことながら注視をしていくということです。
記者:
ただ、今回こういうのが問題ないということで一定の受け止めが出ると、危惧されているのが、では他の会社もそういう明記をするのが広がってくるのではないかという危惧もあるのではと思うのですが。
大臣:
そうでしょうか。分からないですが、そういうことがあれば、その時にまた一つ一つちゃんとチェックをさせてもらいます。
記者:
食品の新基準値なのですが、昨日、放射線審議会からの了承する答申が出ましたが、厳しすぎると言った意見が出ました。それに関して改めて大臣の所感と、関連して放射線審議会の中村前会長が、学会に対して反対意見を誘導するような内容のメールを送っていたということに関しての所感と、厚生労働省として例えば文部科学省と協議してなにかしらの対応するのかどうかお聞かせください。
大臣:
食品の安全基準については、再三申し上げているように、暫定規制値でも安全なものなのですが、さらに、今は放射線量などが落ち着いてきている中で、食べ物のことというのは、生活している皆さんにとって、特にお子さんをお持ちになっている方にとっては切実な問題ですから、安全に加えて安心もしていただこうということで、厚生労働省としては今回の基準を作ってきました。それに対して、文科省の審議会は放射線の専門家が集まられたということで、生活者のことと、どれだけ近いのかという感じはありますが、今回、こういう内容で了承するということがメインだと思います。それに加えて厳しすぎるのではないかという御意見も頂いていますが、私は厳しすぎるとは思っていません。これは、福島県の農産物などについても、十分に農水省とも協議をして、これで問題ないということでやってきていますので、そういう意味では、予定どおり進めさせていただきたいと思っています。パブリックコメントも取っていますが、それでも、もっと厳しくして欲しいという意見が圧倒的に強いというふうに聞いていますので、今回の厚生労働省でまとめた新しい基準値というのは妥当なものだと思っています。 前会長が、パブリックコメントに意見を、というのは、あってはならないことだと思いますが、当面、文科省と一緒に何かしようということではありません。
記者:
関連ですが、放射線審議会の前会長がパブリックコメントを出していこうというメールを送ったということ、厚労省でも色々な場面でパブリックコメントを使っていると思いますが、パブリックコメントがどこまで許されるのか、例えば動員して反対運動とか。
大臣:
それは、本来のパブリックコメントの趣旨には反すると思います。
記者:
今日、大綱が閣議決定されたと思うのですが、今後の与野党協議の見通しと、大臣からどのように野党側に協力を求めていくおつもりですか。
大臣:
野党側に協力を求めるのは党でされることだと思います。閣議決定されていないものを協議できないとおっしゃっている方も野党の中にはおられるので、そういう意味では閣議決定いたしましたから、協議をしていただきたいと思っています。具体的には、各党間で行われるので、民主党の方で働きかけをすると思います。
記者:
関連してですが、大綱の中でいくつか残っている法案提出に向けて、パートの社会保険適用拡大ですとか、パート法の改正ですとか、後期高齢者の辺りが残っていますが、特にパートの適用拡大で経営者側の反対が非常に強くなっていて、一部には、負担の緩和として金銭的な補償的なものが欲しいという声も聞こえてくるのですが大臣のお考えはいかがでしょうか。
大臣:
いわゆるパートの適用拡大、短時間労働者への社会保険適用拡大は、今回、社会保障の充実していく部分の一つの大きな柱ですので、多様な働き方という面からも、貧困格差を無くしていくという面からも大事な政策ですので、しっかりと関係の皆様には経過措置をとるということなども含めて丁寧に説明して、御理解をいただき、提出していきたいというふうに思っています。最終的に370万人という数字ですとかが先に出てしまっていて、そうすると会社側の持ち出しがこんなに大きくなるみたいなことが、少し前に出すぎているように思いますので、そういう意味では、最初は段階的に進めるということと、色々な対応をお話をして、理解を得て、この国会に提出をするという予定どおりにやってきたいと思います。
記者:
段階的という中に、または経過措置という中に、企業側が負担の重くなる金銭的なことについて、そこに対しての補填的なことは視野に入ってますでしょうか。
大臣:
今、色々考えていますが、財務省との調整もありますので、まだここで私が申し上げる段階ではありません。
記者:
岩波書店の件ですが、基本的には問題ないということで、今後も注視していくということですが、やはり誤解を招くということ自体は、これで応募を断念する人が出てくるわけで、問題なしとは言えないと思うのですが、そのへんについては、是正等について何か今後やっていく考えはあるのでしょうか。
大臣:
申し上げたように、岩波書店の方でも、これを選考の基準としないということですので、そうしたことをしっかりと入社試験を受ける方達に伝えてもらうということだと思います。
記者:
今回の岩波は、改善しますということを言っているわけですが、問題ある行為であったことは、問題あるというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
大臣:
先程申し上げたように、これが無いと受けられないというふうに誤解をするという可能性はあるので、問題が全くなければ、そういう事実確認などをしないわけですから、事実確認をしたということは、問題なしということではなかったと。ただ、その結果こういう形でやりますということだったので、それではしっかりとそれをやってくださいということで、注視をしていくといくことです。

(了)