長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.7.30(金) 9:33 ~ 10:00 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。閣議では有効求人倍率について私から発言を致しました。6月の有効求人倍率が0.52倍と先月よりは0.02ポイント改善をしたという報告を致しました。その一方で失業率ですが、これは原口大臣から報告がありましたが、若干悪い数字となっているところであります。これに関しましては、季節調整値で求職理由別の失業者数を5月と比較すると、非自発的離職による方が4万人増加をしているということ、自発的離職による方は同じ水準だということで、これは先月も申し上げたと思いますが、4月、5月については非自発的離職による人は横ばいだけれども、自発的離職の方が増えたということで、つまり職を求めて自ら辞められる方が増えた傾向があると申し上げましたが、その傾向が6月を見ると若干異なるような状況になっているということであります。いずれに致しましても、雇用情勢は基調は持ち直しの動きが続いているわけでありますが、失業率、有効求人倍率は数字は良いものと悪いものが混在しているということでありますので、力強い雇用政策はこれからも続けなければならないと考えております。就業者数で言うと、6月の数字ですが、5月と比べると4万人増となっているということもあります。後は、日銀短観6月分ですが、雇用の過不足感ということで、過剰であるかと雇用について聞くと3月よりも2ポイント過剰感は縮小していると、こういうような数字もありまして、我々としてはいずれにしても雇用政策を緩めることなく続けていくということであります。 もう一つ、今日政令の閣議決定がございまして、組織を若干変更を致しました。職業安定局の中に派遣・有期労働対策部という部署を新しく設置しました。「派遣」という言葉がついた部署は部というレベルでは初めてではないかと思います。ここで労働者派遣法の改正、あるいは有期労働の方々の諸施策が厚生労働省内にありますが、それをとりまとめるという機能もございますし、来年国会でも議論になるであろう求職者支援制度の恒久化についても議論をするということで、非常にこれからの雇用政策の中核の一つとなるセクションであると考えております。働き方が多様化する中でこういう部門についても、厚生労働省の真ん中の組織としての位置付け、真ん中の業務としての位置付けというのを明確にしていきたいと考えております。

質疑

記者:
完全失業率は4ヶ月連続悪化で、有効求人倍率は2ヶ月連続改善と、ここの数字の違いはどのように分析されていますか。
大臣:
御存知のように有効求人倍率は景気と一致指数であると、完全失業率は遅行指数であると、景気回復をしても遅れて改善するということでありますので、基本的にはそういう流れではないかと思います。ただ、個々の一つ一つの月だけを見ると今申し上げたような形でない数字の動きもありましょう。ただ、基調としては回復に向かっていると考えておりますので、やはりあくまで景気回復の途上ということでの色々な数字、相反する数字も出ておりますが、そういう認識をしております。ここは先程も申し上げましたように、雇用政策については手を緩めることなく進めていくということであります。
記者:
東京都内で111歳の男性の遺体が白骨化した状態で見つかった事件で、遺族年金とか老齢福祉年金が30年程前に死亡していたにも関わらず支給されていたということがわかったのですが、これについてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。生存確認、本人確認ということの対応はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まだ詳細な報告を受けてませんので、私も報道だけでそれを拝見しているというところで、年金の事実関係のところで確認をして、改善する必要があるもの、あるいは通常と異なるようなことがあれば速やかに発表をして改善をしていきたいと思います。
記者:
一部報道であったのですが、全建国保の関係ですが、全建国保の偽装加入といいますか国から不正に受けていた補助金、大臣も色々調べるという話を以前にされていたと思いますが、その補助金の額が一部報道では90億円という話もありますが、いくら位になるのかというのを今の時点で把握されているのかということと、それに対しては返還請求を求めていく方針なのかどうか伺います。
大臣:
東京都、あるいは会計検査院などの関係部局とも協力をして、基本的にはあってはならないことをされておられるということでありまして、監督もきちんとしなくてはいけないということであります。詳細な金額についてはこれから精査をして、そして関係部局、あるいは関係の東京都などとも議論をして、最終的な方針を決定していきたいと考えています。まだ確定的なことは申し上げられないという段階です。
記者:
昨日、民主党の両院議員総会がありまして、菅総理大臣が続投の意向を表明して、9月の代表選挙でも立候補するということを表明されました。改めて大臣は代表選挙に対してどのように臨まれるのか伺えますでしょうか。また、両院議員総会で色々と執行部、政権に対しての批判もありましたがこれについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
代表選挙は9月にあるということでありまして、党員サポーターの選挙というのはこれまで党員サポーターを集める時に「投票も可能です」ということを申し上げて、これは他の民主党議員もそういうことで集めている議員も多いと思いますが、そういう機会がなかったということで、9月はそれをきちんと実施するということであります。ただ、もちろん対抗馬が立候補されるされないはその方々の御判断でありましょうから、私自身は昨日実質的に菅代表が立候補される宣言をされたと思っていますので、もちろん菅代表を応援したいと思っております。昨日の両院議員総会に私もずっと出席していましたが、マスコミフルオープンのところで色々な議論が出ましたが、それを全て国民の皆様にも表に出して、かなり激しい議論についても公開をしていくということは民主党文化の一つだと思っています。事前に何か打ち合わせをしてということはしないということですので、そういう意味では個々の議員がそれぞれ選挙区で支援者の方、有権者の方と色々議論をした上でそこに集まって意見を開陳をされておられると思います。それがすべてフルオープンで公表されるということ、そして最終的には意見が収斂したということについては私は民主党の一つの姿であると思います。ただ、今後はもちろん私もこの内閣の一員でありますから、皆様とお約束をした点、あるいはこれから実行しなければならない問題は山積していますので、一つ一つ着実にやっていくということで、ある意味では一つのまとめが出来たのではないかと思っています。
記者:
大臣が菅総理の続投、代表選挙で支持をされる理由を教えて下さい。
大臣:
菅総理は「脱官僚・政治主導」ということで野党時代も含めてそういう理念で政治をされてこられたということでありまして、そういう理念。後は、まだ総理大臣になって時期が成果を発揮するには短すぎるのではないかと思っておりまして、そういう意味で菅総理を支持をしていこうと考えています。
記者:
全建国保の件でお伺いをしたいのですが、全建国保側が調べたところですと不正受給が約90億円だったという調べですが、それについてさらに厚生労働省の方で精査をするということでしょうか。
大臣:
まずその報告の中身を良く見ていくということでありまして、直ちにつきかえして云々ということを考えているわけではありません。まず報告を分析して、関係部局、関係組織とも話合ってどういう対応をするかということを決めていく過程にあるということです。
記者:
不正に補助金が受給されていたということであれば返還を求めるのが当然のことだと思いますが如何でしょうか。
大臣:
そういうことも含めて関係法令を良く見て適切に対応して参ります。基本的にはあってはならないことをされておられるということですので、それは法令に基づいて厳正に対処をするということです。
記者:
話が変わりますが、児童虐待の全国の児童相談所の対応件数が4万2千件で過去最高を更新しました。一方で児童相談所が家の鍵をこじ開けて入る強制立入調査が21年度に1件しかありませんでしたが、こういった現状をどうお考えでしょうか。
大臣:
児童相談所を含めて強制措置をする時は、1件1件慎重な議論があってそういう対応がなされていると思っております。やはり、これだけ数があり、そして、実際に痛ましい事件が起こっているということで、前回も児童相談関係の地方自治体の方を集めて議論をし、今後各部局で議論をしておりますが必要な改善があれば進めて行くということです。我々としても一つ一つ現状把握をして改善が必要であれば改善をして行くということになると思います。ただ、これも非常に難しい点もありますので、児童相談所で働く皆様とも密に連絡を取って対応措置を決めて行きたいと思います。
記者:
核になります児童福祉司の方の専門性を、どのように高めて行こうとお考えでしょうか。
大臣:
やはり、資格を取っていただいて、その道で一定の成果を上げるまでは非常に時間が掛かるところでもありますので、今の体制で不十分であれば硬直的に考えるのではなくて、当然ニーズに応じた資格を持った方の養成の量も考えながらやっていく必要があると思います。それぞれ、児童相談所について今後政務三役で現場に行こうという話もしておりますので、それをきっかけにもう一度いろいろ見直して行くことも必要だと思っております。
記者:
話が戻りますが、全国建設工事業国民健康保険組合が補助金返還を求められた場合組織の存続が難しいという話もあるのですが、大臣自身もそういう認識をお持ちかということと、もしそうだとすると、解散になった時に加入者が困らないような対応策をお考えなのか、それとも不正は不正で厳正に対処して行くのかその辺の対応を含めてお聞かせください。
大臣:
今、議論の過程ですので、適切な結論を出すということしか申し上げられません。もちろん適切な結論の時に、それが与える影響もよく考えなければならないわけです。それとは別の話として法令は適切に運用、実施されなければなりません。その後、大きな影響が出る場合は、別の施策でそれを支える必要があるのかどうかを含めて今過程ですので、結論が出れば速やかに公表をして実施をして行きたいと思います。
記者:
一昨日ですが若手PTでの発表の中で、政務三役に対して厳しいアンケート結果が出ましたが改めてそれについて大臣のお受け止めをお願いいたします。
大臣:
若手チームの提言というのは6チームあって、いろいろな幅広い提言がありましたがその一点がかなりクローズアップされたということです。それぞれの提言については今担当部局で実現可能性や、どうやって実現すればいいのかということを検討しております。今おっしゃっていただいた件については、我々も役所文化を変えるということで、厚生労働省の方に聞くと政務三役から具体的な指示というのは今までに比べると非常に多いということで、これはもちろんそうだと思います。ただ、具体的な指示というのが、例えば、人事評価基準を変えるとか、省内事業仕分けをするための組織を作るとか、特に天下りについてはかなり厳しい措置をするとか、あるいは国民の声を聞くというのもこれまでそういう統計や、集計がなかったということでそれは新たな業務を生んでいると思います。ただ、それについては国民の声を聞くことで同じような御指摘をいただいて、それを改善することで御指摘がなくなるということです。それは業務量についても、国民の皆様にとっても非常にメリットのあることだと思っております。いずれにいたしましても、役所文化を変えるということで我々は取り組んでおります。幹部の方とは毎週月曜日に朝礼をして、何度も何度も意見交換をして発想を共有していると思っておりますが、まだまだ日本全国に多くの職員がおり浸透させる必要があると考えております。それについて、なぜこういう指示を出して、役所文化を変えるということを申し上げているのかと、これまで厚生労働省の信用は地に落ちた部分もありますから、それを立て直すということを申し上げて、今後は国民の御負担をお願いしなければならない時に天下りや、無駄遣いがたくさんあるということでは理解が得られないということです。我々が直接省内の皆様にお会いするということは難しいわけですので、幹部を通じてさらに強烈にその背景、考え方を伝えなければならないと思っております。
記者:
それに関連してですが、厚生労働省は以前から残業が非常に多い役所として有名だったのですが、新しい体制になって更に残業が増えたというデータが組合の調査で分かったのですが、これまで残業を減らすような努力を政務三役でされていたのか、もしもそうでなければこれからそういうことを考えて行くことがあるのか教えてください。
大臣:
そのアンケートを私も詳細には拝見しておりませんが、労働組合がやって厚生系は横ばい、労働系は残業時間が増えているという結果が出たということです。昨日も幹部と話をいたしましたが、労働系は新たな雇用施策を矢継ぎ早に打ち出しているのでその影響もあるのではないかということです。いずれにいたしましても、残業時間というのは多いと私も思っておりまして、我々も担当部局に改善を指示をして取り組んでいるところです。一番業務として指摘をされるのが、国会待機の問題があります。それについてはいちいち待機をしないでも、メールで連絡が常に取れる体制であればいいとか、いろいろ各部局で帰りの施錠時間を少しでも短縮しましょうということで、その目標を朝礼でも各部局から出していただいてどうすればいいのかという議論もしているところです。必要のない業務、そして、無駄な事業をなくして行くことが重要でして、ある意味では省内事業仕分けを通じても無駄な事業をなくすことは職員の負荷も軽くなりますし、税金もそこで助かります。また、不必要な天下り団体があることで、そこで流れる金もありますし業務も付随して参りますので、それについて厳しくメスを入れて行くことで適正な業務量にして行きたいと思います。その一方で、部局間のばらつきも感じておりまして、法案を抱えている部局はその時期集中して忙しくなります。当初私も感じましたのは、縦割りでなかなか人がスムーズにそこに集中して、ある意味で助っ人として支援が回らないということもありました。それは我々も改善をすべく法案が集中する部局には、出来る限り人が回るような形をこれまでも実践して来ておりますので、そういうことを通じて少しでも改善する必要があります。 もう一つは人材が不足している部分もありますので、社内の研修制度も充実して的確に業務が出来るような体制、今は部局の基礎知識がなく人事異動で放りこまれて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと言えば体裁はいいのですが、なかなかそこで業務がスムーズに行かないということもありまして、圧倒的に厚生労働省は研修が不足しておりますので、そういうことを含めて役所文化を変えることは、国民の皆様にとっても税金の無駄遣いがなくなるということでしょうし、職員の皆様にとっても不必要な業務がなくなるということですので、それについてはきちんと説明をしながら取り組んで行きたいと思います。

(了)