長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.6.4(金) 9:55 ~ 10:15 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
大変遅れて申し訳ございません。今日は民主党の代表選ということもありまして遅れました。閣議と閣僚懇談会を終えて参っております。総理からは今日の閣議で辞職をするという御報告がございまして、閣僚の皆さんに対してねぎらいのお言葉をいただき、そして、今後政権を担っていく人へのメッセージということで、「10年後20年後の日本を見据えた政権運営をして欲しい」というような言葉もございました。 それと、昨日、雇用戦略対話がございまして、最低賃金の件でございますが、これについては2020年までの一つのビジョンということで、これは経済成長が前提となっておりますが、名目で3%、実質2%の経済成長を新成長戦略などで達成をするという前提で最低賃金を800円に引き上げる、これを速やかに、出来る限り早期に全国最低800円、そして全国平均1,000円の実現を目指していくということについて決定が成されました。細川副大臣からも会見があったと思います。

質疑

記者:
8ヶ月余りの短命政権ということになったのですが、大臣自身、この8ヶ月余りの鳩山政権をどのように総括されているのか、また、御自身の仕事をどのように総括されているのか伺えますでしょうか。
大臣:
生活者の立場に立つ信用出来る政府をつくるということで政権交代を致しまして、官僚主導政治、つまり自動操縦運転で自動的に物事が決まっていて、大臣や総理大臣は主要なポイントについて少々口を出すと、こういうような政権が続き、それが国民の皆さんの意識と大きく乖離をしてきたということが一つ大きな問題ではないかと思います。そういう意味では、政治家が外部の方も内部の方も含めて、独自のブレーン、情報網を築き、そこで官僚の方の情報も合わせて、多方面の情報を取って意思決定をしていく、その前提となる現状把握ということを徹底的に追及をしていくと、こういうようなことが私自身は8ヶ月余りという短い間でしたが方向性を埋め込むということは出来ているのではないかと思います。役所文化を変えるということについては非常に時間がかかるものでもございます。長年続いてきた役所の仕事の仕方、情報の上げ方というものは一朝一夕に変わるものではありませんので、今までの自動操縦運転の政権運営に対して一定の楔を打ち込んで、政治家がきちんと判断を出来る、そういう土壌は出来つつあったと考えています。一つは人事が大変大きいものだということを痛感しているところでありまして、大きな人事というのは年に1回あるわけでございますが、やはり本来は総理大臣がせめて人事を2回以上やるということでないとその考え方が役所に浸透しにくいのではないかと痛感をしておりますので、民主党政権は変わらないわけでありますので、腰を据えて、次の新総理には人事を何度かやって、そして役所文化を変える、その考え方を埋め込んでいくという作業が引き続き望まれると思います。
記者:
大臣御自身は厚生労働行政についてはどのように総括されていますか。
大臣:
厚生労働行政もそのスジの流れで、やはり現状把握が最も重要だと。省の目標でも「不足する7つの能力」ということで、非常に能力が不足するということについては官僚の方はプライドが傷ついた想いをされた方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり実態把握能力が低いということは認めざるを得ないのではないかということで、局ごとにも取り組みが始まっております。国民の声を聞いて毎週、まだ不十分な面もありますが改善点を出していく。初めて局の目標を決める、人事評価基準を変える、そして週1回政務三役の前で幹部が集まって、今週の目標を数字も含めて具体的に議論をして情報共有をする。何よりも「生活者の立場に立つ信用される厚生労働省」という目標に向かって取り組んできたつもりであります。あらゆる大きな制度の改革が進行中でありまして、年金制度改革、後期高齢者医療制度の改革、あるいは障害者自立支援法の廃止による新しい制度の改革、年金記録問題の進め方、あるいは幼保の一体的な新しいシステムの改革、あるいは労働行政におけるハローワークの役割を大幅に見直して職業訓練以外の役割も持たせる改革、あるいは能力開発に関する改革等々が進行中でありまして、その根幹に利用者、生活者の立場に立ち制度を大幅に見直していくということがあるわけです。その集大成が「少子・高齢社会の日本モデル」ということでありますが、それについては白書で御提示をして一定程度をかけて議論をすると、こういう土俵をつくりつつあると、こういう状況であります。大幅に制度を変える仕組み、その段取りなどは着々と組織の中に埋め込んで進んでいると考えております。 何よりも省内事業仕分け室を設置致しまして、省内で自ら不要な事業、ムダを削るということを徹底的に取り組む、自発的に取り組んでいくという試みもまだ緒に就いたばかりですが、一定程度進んでおりまして、これを定着させて成果がきちんと出るには実際には時間がかかりますが、それを埋め込むことは出来たのではないかと考えています。 何よりも具体的に言えば、子ども手当、1万3千円ということで、この金額にしても色々な御批判をいただきましたが、これについては子どもにかける予算が日本は少なすぎる、先進国に比べても少ない、これが結果として少子高齢化、合計特殊出生率が先進7カ国で最低と、こういう現状を生み出したと考えていますので、これは大きな第一歩であります。子育てビジョンでも目標値を設定し、介護、グループホーム等の老人福祉施設の数値目標も設定をし、介護の待遇改善の目標も設定し、求職者支援の恒久的措置の検討も平成23年度に向けて進み始めているということで、大きく変わりつつあるその仕組み、仕掛けを埋め込み、これまでの路線から急転換の部分もあって役所の中には戸惑いもあったかもしれませんが、それについて大変良く協力をしてもらい、理解が進みつつあると考えております。
記者:
まだ進行中のものがたくさんあるという話もありましたが、新政権になっても大臣としては厚生労働行政に携わりたい、大臣として引き続き職務を果たしたいという想いはありますでしょうか。
大臣:
これは新しい総理が熟慮をして決定される専権事項だと思いますので、それはその総理がどう考えられるかということによると思います。私がコメントする立場にはないと思います。
記者:
9時から民主党の代表選挙の立候補の届け出が始まりまして、菅副総理と樽床議員が立候補されたのですが、大臣自身はどなたを代表として推されるのか、また、その理由をお聞かせください。
大臣:
今回の代表選は総理大臣を実質的に決める選挙ですので、やはり経験、あるいは政権の中に入っての活躍ぶりなど見て、失敗は許されない内閣総理大臣ですので、菅直人さんに投票しようと考えております。
記者:
この8ヶ月あまりを経験され、政治主導という観点で今後もし再任されれば「ここはもう少しこうしようかな」とか、あるいは別の方がなられるとして、そういう方には「こういうことをもう少し気を付けた方がいいよ」というアドバイスがあればお聞かせください。
大臣:
やはり、役所文化を変える時に注意をしないといけない点は、私はかつていろいろな企業なり、組織なりを見て参りましたが、非常にうるさい社長が来てその時は多少組織は変わったが、その人がいなくなるとまた元に戻るということがありました。私が心がけたのは、それを組織の中に一定程度続く恒常的な仕組みとして埋め込んで行くということです。ある意味役所は前例主義を重んじる文化もございますので、前例として新しい組織を作って役所に入れ、あるいは人事評価の基準を入れる、部局の目標もこれまで建てておりませんでしたが、今後それが続くようにするということを心がけて来たつもりです。願わくば誰が大臣になってもそれが続いて行き、10年後にも事業仕分け室が機能して、省内である程度無駄が捻出出来るような仕組みが続いて行くことを期待しておりますし、独立行政法人など天下りについても公募、あるいは補助金カット等々を導入しております。独立行政法人は政府全体で仕組みがございますが、それ以外についても厚生労働省独自の仕組みを入れさせていただいておりますので、それが永続的に続くような仕掛けをしているつもりです。そういうところが大きなポイントではないかと思います。
記者:
実際に大臣がやられて来たことですが、大臣が仮に再任された場合「ここはこういうふうに工夫した方がいいな」と今思われていることは。
大臣:
先ほどと同じですが、どういう御判断を新しい総理がされるということで、私が再任されるされないということを申し上げる立場にはないと思います。
記者:
大臣が8ヶ月お仕事をされて来て、官僚観というのは変わられたのでしょうか、また官僚はどういう存在に映ったでしょうか。それと、8ヶ月で「ここが出来なかった」ということがあればお聞かせください。
大臣:
やはり、官僚観については外から見ている時と、中に入った時とは違っておりました。外から見ると、非常に前例踏襲主義ではあるが、一つ一つは緻密に情報分析をしているのではないかと。ただかたくなに前例を守って国民の意識と乖離しているのではないかという思いもありましたが、中に入ってみると以外にがらんどうでした。つまり、緻密なデータと見えたものがその根拠が非常に乏しかった、あるいは現状把握をきちんとしている資料の様に見えて、実は非常に不適切な手法で統計を取っていたことなどがあります。文書の書き方一つとっても、国民の皆様が読んでも中々理解不能な文章が多いということで、そこを不足する7つの能力ということで是正して行こうということで取り組んでいます。その「7つの能力」は外から見ているのと、中に入って見たのとで驚いた点の一つです。 また、ここが不十分だったということですが、やはり、少子高齢社会の日本モデルを、一年程度かけて国民的議論で打ち立てて行くということが緒に就いたばかりで、有識者の人選が今途中経過ですので、これについてはいずれ日本はトータルパッケージで国民の皆様に示すべき時期、これはとっくに過ぎているのかもしれませんが、それを示さないといけないと考えております。これについては新しい総理にどなたがなるのか分かりませんが、認識されるのではないかと思います。
記者:
代表選についてですが、昨日の菅さんの会見では小沢幹事長に距離を置くことを明言されておりましたが、そのことについてどのようにお考えですか。
大臣:
ことの経緯から言って、両院議員総会で私も直接お伺いしましたが、小沢幹事長と共々身を引くというお話をされておりますので、その話の筋としてそういう話が当然出ると考えております。今後は一定の若い世代と、それより下の世代が責任をもって担って行くことが必要でしょうし、これまでの体制を一定程度改善、見直して行くということも必要ではないかと考えております。

(了)