長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.1.12(火) 16:35 ~ 17:05 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。今日は2時から閣議がありましたので、閣議はそれほど時間がかかりませんでしたから、2時間少し色々な議論をしたということで、まず初めには閣僚が一人5分間ずつ色々な課題を報告をして、その後皆さんでディスカッションをしたという形になっております。閣僚の個別報告の時間の方が長かったところであります。そういう意味では一つ一つの個別政策の議論はありませんでして、色々な概要の議論ということになったわけであります。私の方からは三点ということが予めありましたので、一つは厚生労働省として役所改革を進めなくてはならないということで、当然浪費やムダ使いというものを徹底的になくしていく取組みということと、これもよく申し上げておりますが、実態把握能力、制度改善能力、コミュニケーション能力というものに対してまだまだ不十分なところがありますので、そういうものも人事評価基準の見直しなどもてこにそれを改善していくという点。もう一つはナショナルミニマムの指標作り、基準作りということをきちんと中長期的課題としてもやらなくてはいけないということ。そして最後に、これは一番重要ですが、少子高齢化社会、先進国の中で日本が一番初めに突入をしているところでありますが、それについてふさわしい制度はどうあるべきなのか、あるいはそういう社会というのはどうあるべきなのか、あるいはその現状を逆に成長戦略に生かせないのかどうかと、こういう観点をきちんと提示をして、先進国や他の国もいずれは日本並みの少子高齢化になる国もある可能性もありますので、そういう国のモデルとなるような体制を作っていくと、こういうようなことをお話したところであります。

質疑

記者:
大きく二点伺いたいのですが、一点目が閣僚懇での議論についてですが、大臣の方から報告をされた三点についての他の閣僚の方々からのコメントがあったのかどうか、どういう内容だったのかという点と、それを受けて何か方向性が見えてきたようなことがあったのか。もう一点目は、今日の閣議でもお話があったかもしれませんが、政治主導を強化するということで、通常国会に政務官や副大臣を15人程度増員するという法案を出す方向ということですが、厚生労働省としてはどういう増員を求めていくのか、お考えがありましたらお願いします。
大臣:
こういう報告に対して閣僚の皆さんからムダ使いを見直すということはどの役所も当然の話で、「これは一生懸命お互いがんばりましょう」というような話と、後は社会保障の中でも色々な改善をする部分もあるのではないかというような話がありまして、例えば「幼保一元化」という話もそれを積極的に進めましょうということでありまして、この内閣では平成23年の国会に幼保一元化に関連する法案を提出するということは決めておりますので、精力的に今年議論を致しましょうという話になりました。さらに、日本は病院で亡くなる方が半分以上になると、ただヨーロッパ諸国などでは病院でお亡くなりになる方が半分以下という数字もありますので、そういう意味では病院一辺倒ではない多様なあり方を模索する必要があるのではないかと、これについては今も厚生労働省で議論をしていますが、さらに在宅医療や在宅介護体制、あるいは介護の施設等の拡充などさらに取り組まなければならないと私も考えたところであります。さらに、医療ツーリズムと言いますか、海外からの方を日本国の医療施設にお呼びをして医療を受けていただくというような成長戦略、というような議論もありまして、それも検討して参りましょうというような話になりました。財源についてもかなり大変という話も、これは厚生労働省分野だけでなく全般的に出ました。これについて色々な議論がありましたが、私が申し上げたのは、国民の皆様方が社会保障などで御負担をいただいていますが、その負担が基本的には1:1の対応で社会保障のサービスにきちんと結びついているのだと、途中で中抜きされたりムダ使いで使われていないと、こういうことが実感いただくような、そういう浪費の削減ということを徹底的にやり続けることが必要だと、今の段階でもまだ不十分な点があると考えておりますので、それをきちんと実行していくということが必要であるというようなことも私から申し上げたところであります。 そして、副大臣、政務官を増強するということでありますが、これは今日は「そういうことになりました」と「法案を提出します」という報告はありましたが、閣僚懇談会での個別の議論にはなかったわけですが、私としては厚生労働省でも政務三役の人員の増強ということは望んでおりますので、ただ数は省庁ごとに分配されるとそれほど多くはないということだと思いますが、そのような形で実現を図っていきたいと考えております。
記者:
今日の2時間に渡る議論、こういうスタイルに対する大臣としての評価と、副大臣、政務官の増強を考えているというお話でしたが、具体的に何人程度でどの分野を担当していただきたいというお考えはありますでしょうか。
大臣:
こういうことはもっと頻繁にやったら良いのではないかという話も出まして、他の省庁の話も分かり非常に良いことではないかと考えております。例えば中井大臣がやられておられる死因究明の問題についても厚生労働省が絡む話ですし、直嶋大臣がやられておられる成長戦略についても医療・介護の分野もかぶさるわけで、あるいは前原大臣がやられておられる観光についての成長戦略、これについても医療の関係も海外の方の部分もかぶさるわけで、あるいは総務大臣がやられている地方と国の役割の見直し等々、大臣が縦割りになってはいけませんので、そういう意味では他の省庁との連携、情報交換も含めて意義があったのではないかと考えております。具体的なものですが、厚生労働省はおそらく政務三役の数が増えるのではないかと思いますが、増えたとしても今段階では一人程度になるのではないかと思いますが、それでも非常にありがたいことであります。議論の途中ですが、そういう機会を使って、毎週実施をしていて今日も朝礼を省内で局長以上の方とやりましたが、そういう中で役割分担も見直しも含めて、政務三役と役所との関係も強化をしていきたいと考えております。
記者:
今日は政務三役会議のブリーフも兼ねているということですが。
山井政務官:
今日は時間があまりなかったので政務三役会議も20分位しか出来なかったのですが、簡単に御報告申し上げます。一つは先ほどまで後期高齢者医療制度の検討会を行っておりましたが、今後の後期高齢者医療制度改革のあり方について議論を致しました。二番目は診療報酬についてです。診療報酬改定の中医協の議論が本格的にスタート致しますので、その診療報酬改定のあり方について議論をしました。三つ目は介護保険改正。これは来年の通常国会で介護保険改正を行うかもしれませんので、今国会ではありませんが、そのことも視野に入れて医療と介護の連携、介護保険はどうあるべきか、介護の賃上げはどうあるべきか等々について議論をさせていただきました。短時間でしたので今申し上げたように後期高齢者医療制度のこと、診療報酬のこと、介護保険改正について、この三つを議論させていただきました。
記者:
今日内閣府の方で「障がい者制度改革推進会議」の1回目がありましたが、発達障害の扱いについて今後新しい政権ではどのようにしていくか基本的なお考えがあるのかお聞かせ下さい。
大臣:
今日の会合の報告をまだ受けておりませんので、そこで色々新しい論点が出されたという風にも聞いておりますので、その報告を受けて我々としてもどういう扱いにするかというのは考えていきたいと思います。
山井政務官:
私は今日出席させていただきましたのでお答えしたいと思います。おそらく今日の会議のメンバーに発達障害の方々の代表が入っておられなかったからではないかと理解しております。その御指摘は当たっていると思っておりまして、御存知のように今日始まったのは親会議でありまして、今後その下に作業部会や分科会を作って、障害者自立支援法に替わる新しい制度のあり方などを議論することになると思います。そういうことですので、今日の親会議には今おっしゃった発達障害関係の方や、他にも「この関係が抜けているのではないかな」というところは正直言ってあります。そういうことで全てを網羅出来たわけでは構成員の数に限りがあるので出来ませんでしたが、今おっしゃった発達障害の関係団体の方も含めて、今回の親会議で抜けておられる団体の方々に関しては、御存知のように内閣府がやっていることですから厚生労働省として直接的な指示をする関係にはありませんが、そういう方々も分科会や作業部会では入る形になるのではないかと推測しております。特に厚生労働省の管轄から言いますと自立支援法のことに直接的にはなりますが、自立支援法においては谷間のない制度作りをするということで、「谷間」というと何かと言えば、正に今おっしゃった発達障害の方々とか難病の方々とか、そういう方々を包括する新しい制度を作っていくことになると思います。繰り返しになりますが、親会議にはそういう方々は入っていませんでしたが、作業部会ではそういう方々にも入っていただいて議論をすることになるのではないかと思っております。
記者:
それを強力に厚生労働省側からプッシュしていかないと、今のままでは障害の定義とか、特別支援教育の問題も項目に入っていますが、関係者が入っていないので私は大変驚いたのですが、その辺はどのようにアプローチして行くのでしょうか。
山井政務官:
私も今日出席させていただいて、私のスピーチの中でも申し上げたのは、今日のメンバーは限られた数で、「入れて欲しかった」という団体の方々を多々聞いておられますので、そういう方々の部分も代弁していただきたいと申し上げたとともに、今後の作業部会、あるいは分科会の中でより幅広い方々を谷間が出来ないよう委員に含めて行く必要があります。障害者自立支援法であれば、実際に法改正の際に提出するのは厚生労働委員会ですので、そのことも留意して行きたいと思っております。御指摘の想いは共有しております。
記者:
関連ですが、本日の障がい者制度改革推進会議ですと、夏までに基本方針を取りまとめて閣議決定するという話でした。障害の範囲を見直すと財源に直結しますが、4年後の見直しまでに、来年度予算で何らか考えていくような行程は厚生労働省として持っているのでしょうか。
山井政務官:
まさに、今日第1回会議が始まったところですので、今の障害程度区分のことを含めて大きな論点になって来ると思います。その中でも再来年度予算に関係してくる議論もありますので、そこはまだ再来年度予算の段階でここをいじるということは全く決めておりませんが、最終的な法改正までにその途中の段階でここを修正する議論が出てくると思いますが、それはどの部分を法改正の前に修正する可能性があるかどうか、あらゆる部分が想定されると思っております。
記者:
関連ですが、障害者自立支援法に発達障害者の人も障害者サービスを利用出来るような法改正を、前政権が考えていたのですが、もしもその法案が通っていれば今年度から、発達障害の人も自立支援のサービスを使えたと思うのですが、その辺について作業を急ぐお考えはありますでしょうか。
山井政務官:
その点のみならず、今御指摘いただきましたように前政権が出そうとしていた改正法案の中で多少前進になるところもあったわけですが、その部分が逆に遅れることがないように根本的な法改正は期間が掛かりますが、出来る限りで対応出来ないか検討して行きたいと考えております。
記者:
政府として、特別会計の見直しにさらに取り組むという話が出ていると思いますが、今日の閣僚懇談会で特別会計に絡んで大臣から御発言があったのかということが一点と、今後さらにここに踏み込んで行くということについて、年金特別会計とか、雇用保険特別会計とかありますが大臣はどういう問題意識をお持ちなのかお聞かせください。
大臣:
これは他の大臣からもあったと思いますが、特別会計にきちんとメスを入れて行くということを続けるということで、私からもそういう話を申し上げました。そして、こういう分厚い資料をお配りしておりますが、閣僚懇談会でも配布してこういう手法で取り組んでいるという報告と、さらに、これを進化、深掘りして行くという話の中で、特別会計の中からもいろいろな団体にお金が出ている部分もありますので、本当にそれが適正なのかどうかということを見て行くということです。77頁ですが、図解ですが省内で事業仕分けを恒常的に出来ないかどうかということで、若手のAチーム、Bチームという事業仕分けの時に現地にいろいろ行ってもらって、現場を見て、若い感性で指摘をするという厚生労働省のチームですが、これを3チームにしてこういう体制で独立行政法人、公益法人を含めた形を恒常的にやるような仕組みも出来ないかどうか議論しているところです。
記者:
来週から通常国会が始まるのですが、厚生労働省として提出する目処の立っている法案はどの程度あって、どのような法案でしょうか。
大臣:
検討中ということもありますが、基本的には子ども手当の法案、あるいは積み残しになっておりました社会保険病院の法案。あるいは、雇用保険の要件緩和、31日以上にする法案等々、全部で10本まではいきませんが、まだ当然確定はしておりませんので、いろいろ説明を国会、あるは与野党ともした中で取り組まなければならないということです。予算関連法案は2月中旬が締め切りで、予算非関連法案が3月中旬の締め切りとなっておりまして、そういう段階です。
記者:
関連で年金絡みの法案は準備されているのでしょうか。
大臣:
年金絡みの法案については、一つは一部報道もありましたが、過去の国民年金の納付は2年よりも遡って納められないという時効がありましたが、これを一定の要件でもう少し前まで納められるようにしていくという法案も検討しているところです。
記者:
時効の延長は2年から10年ということになるのでしょうか。
大臣:
今のところはまだ確定ではありませんが、10年ということを現時点では考えています。
記者:
医療と介護についてですが、先ほどの山井政務官、それから今日行われた高齢者医療制度改革会議で足立政務官からもお話がありましたが、医療の提供体制について早めに検討する場を立ち上げたいという話と、医療、介護全体的な制度改革について今年やって行くという話がありましたが、その辺の具体的イメージとか、検討の場をいつ頃作っていくのか説明していただきたいのですが。
大臣:
来年末が診療報酬改定になり早いものですが、また丁度、来年末に介護の診療報酬改定も同時にあるということで、非常に一体とした取り組みが実行性ある形で出来る時期が目前に迫っているということもあり、医療の話と介護の話を併せて一つの会議体で出来ないかということを、長浜副大臣、足立政務官、担当部局とともに議論しているところです。状況が確定いたしましたら発表して行きたいと考えております。
記者:
提供体制の話はそれとは別でということでしょうか。
大臣:
基本的にはそれも含めた形で、介護との連動性も含めた議論が出来ないかということを考えているところです。
記者:
春くらいまでには立ち上げたいということでしょうか。
大臣:
今年度中です。立ち上げは春より前に立ち上げるということです。
記者:
先ほどの高齢者医療制度改革会議の中でも、夏前までの一定の中間報告の目処に対して一部の委員の中からは、議論がまだ進んでいない中で、そのタイムスケジュールということに難しいのではないか、もう少し議論を深めた方が良いのではないかという意見も出ていたのですが、そこのスケジュールは夏前までに何か取りまとめをして、前に進みたいということなのでしょうか。
大臣:
今日の検討会でもスケジュールが議論になったと思いますが、新しい制度を入れる時に準備を含めて逆算するとそうゆっくりは出来ないということです。ただ、過去の後期高齢者医療制度の議論がある意味で、これだけ制度が出来たあと反発を受けたというのは、十分な議論、時間ということもあるかもしれませんが、というより「聞くべき人の御意見を、きちんと聞いてこなかったのではないか」という反省もあります。いずれにしても何かその期間に生煮えでも決めなければならないというものではありません。一つの目処として示しているところです。いずれにしても、今我々も議論をしておりますのは、国民的な大きな議論をいただくために、世論調査というか、アンケート調査をかなり大規模にするにはどうしたらいいか、多くの皆様から御意見を聞く手法はどういうものがあるかということを、後期高齢者医療制度の反省に立ってその部分を重視して行こうということで、一つの目処の話で決して生煮えのまま見切り発車するということではありません。いずれにしても国民の皆様の御意見、専門家の御意見を聞くような体制を取っていくことが優先課題だと考えております。

(了)