長妻大臣閣議後記者会見概要

H21.12.15(火) 11:42~ 12:14 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会、その後に障がい者制度改革推進本部、そしてその後に成長戦略策定会議という会議にも出席をしてこちらに参りました。 閣議では予算の基本方針というものが決定されまして、「コンクリートから人へ」ということの中で、財政上の制約もある、国債発行を抑制的に考える必要がある等々の説明があり、閣議決定をされたわけであります。 もう一つは、第二次補正予算についてですが、厚生労働省分を抜き書きしてお示しをしております。まず一つは、ハローワークに初めて「住居生活支援アドバイザー」という方を263名配備をして、ワンストップ・サービスは12月21日前後に、前回は77カ所のハローワークで開催させていただきましたが、ありがたいことに自治体等の御協力で77カ所以上のハローワークで開催をさせていただきます。それと同時に「住居生活支援アドバイザー」というのはワンストップ・サービスを開催しなくても生活保護や住宅手当、他の行政機関が提供しているサービスも一度に説明出来るような人を配備をするということが予算として付きました。もう一つですが、生活保護受給者の方々で就労が出来る方は出来る限り就労をしていただくお手伝いをしようということで、面接のアドバイスやハローワークに同行していったり、きめ細かなアドバイスを行ったり、そういう就労をサポートする就労支援員を、これは非常に効果があるということで、これまで550名だったものを、今回2,500名増員しまして、3,050名を自治体の福祉事務所等に配備をするということであります。生活保護の方々で働ける可能性のある方々が働いて自立をしていただくことを後押しするということであります。住宅手当受給者の方を対象とする住宅確保就労支援員についても、1,250名増員を致しまして2,500名を配備をすることとしております。次ですが、ハローワークに新卒の方々に対する対応ということで、「高卒・大卒就職ジョブサポーター」を更に310名増員をするということで、618名の方が結果として増員後928名になる。こういう形でございます。そして、「育児・介護休業トラブル防止指導員」について、これは新規でございますが、都道府県の労働局の雇用均等室に1人ずつ47名を配備していきます。後は、この前に経済対策で発表させていただいたものに沿った予算になっているところであります。 その後の障がい者制度改革推進本部におきましては、私から発言を致しまして、障害者自立支援法を廃止をして、その後に制度の谷間のない応能負担を基本とする新しい制度を作るということで、それについて推進本部の中に、検討会議あるいは検討部会を設置して、障害者の当事者の方々にも加わっていただいた上で議論を深めていきたいという話をして了承されたところであります。 その後の第1回成長戦略策定会議ということで、年内に大枠を決めるということでございます。私の方からは、省内に設置を致しました「医療・介護・子育て「未来への投資」プロジェクトチーム」のご紹介も申し上げながら、社会保障をコストと捉える側面もあるけれども、「未来への投資」ということで、成長に結びつく分野も多々あるのではないかというお話もさせていただいたところであります。

質疑

記者:
予算の関係ですが、民主党が自治体などの陳情を踏まえて来年度予算への反映を政府に求める重点要望について、民主党から政府への提出が先送りになっておりまして、だんだんスケジュールが後ろにずれていまして、本当に予算の年内編成が間に合うのかという懸念も上がっていますが、税制改正、予算編成作業への影響について大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
党から色々な御要望を受けたものを政府に出されるということは聞いておりますが、その時期等について詳細なスケジュールを承知しておりませんけれども、いずれにしましても、そういう要望も受け止められるところは受け止めていくということで、それぞれ各分野で急ピッチで調整や意見交換が進んでおりますので、年内編成という前提で取り組んでおりますので、多少後ろにずれることがあったとしても年内編成というのは変わりないと思います。
記者:
大臣自身は間に合うとお考えですか。
大臣:
そうですね。間に合わせなければならないと考えています。
記者:
天皇陛下と中国の習近平副主席との特例会見を巡って、昨日、民主党の小沢幹事長が今回の特例会見は政治利用だという懸念を表明した宮内庁長官に対して、事実上の辞任要求を、強く求めるような言い方をされたのですが、今回の件について改めて、大臣御自身は政治家として政治利用に当たるとお考えになるかどうか、今回の推移についてどうお考えになるかお聞かせ下さい。
大臣:
外交については基本的には担当大臣にお任せをしているということでもありまして、その担当大臣が色々な情勢を勘案して適切に判断されたと考えております。
記者:
政治利用には特に当たらないとお考えですか。
大臣:
そうですね。私は当たらないと考えています。
記者:
今日、自民党の方で役員連絡会という会合がありまして、偽装献金絡みで秘書が略式起訴された二階選対局長が役職辞任を申し出て今日付で了承されました。自民党は首相自身の政治資金絡みで追及を通常国会で厳しくすると思いますが、それを前もって自民党が先にけじめを取る形で今回の二階氏の辞任となったのですが、今後の通常国会も含めて政局への影響と鳩山政権の支持率の影響について大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
そういう自民党の御判断をいうのは概要の詳細や中身を詳細に把握しているわけではありませんので、何ともコメントのしようがないわけですが、いずれにしても、総理大臣という職については国会でもあらゆる角度で質問を受けるし、記者の皆様方からも、あらゆる角度でいつでも質問を受ける体制があるということで、その中で必要があれば説明をされていくと考えております。同時に、この経済の対策というのも喫緊の課題ですので、実績を国民の皆様に見せて、仕事ぶりも更に高く評価いただくということも併せて重要であると思います。
記者:
先程の習近平副主席との会見の件ですが、宮内庁長官は「こういうことは二度とやってほしくない」と。一方で小沢幹事長は「一役人がそういう意見を言うのは辞任をしてからにしろ」というような意見の対立があったのですが、それぞれの意見については大臣はどのようにお感じになられましたか。
大臣:
それぞれの具体的な背景や発言の前提となる情報を私も全て承知しているわけではありません。その意味で先程の繰り返しになりますが、担当の大臣、あるいは官房長官が色々な情報を基に判断をされたと考えておりますので、私はそういう意味では適切な判断ではないかと考えております。
記者:
関連してですが、普天間基地を巡る問題でアメリカとの約束を反故にして、一方で中国に対しては大議員団を連れて行き、かつ特例会見という措置に出たと。一部で二重外交ではないかという非難もありますが、そういった鳩山政権の外交姿勢についてどう評価をされますか。
大臣:
今回は、ある意味では、政治利用ではないと総理も言われておられるわけでありまして、それとは切り離した形で考える必要があると思いますし、この政権でも最も重要な二国間関係というのは日米同盟であると私は理解をしておりますので、そういう意味では基軸というのは変わらないわけでありまして、ただ東アジア共同体というアジア全体の構想も一方であるのは事実でありますので、そういう外交の基本姿勢の中で関係各大臣が適切に判断をされていると考えております。
記者:
鳩山政権が発足して100日に近づいていますが、普天間の問題では大胆であるべきところで大胆さに欠け、今回の天皇陛下の特例会見に関しては慎重であるべきところで慎重さに欠けるのではないかという指摘も出ていますが、先の選挙で「民主党」と書いた人にとって、今の政権運営は期待通りになっていると思われるかどうか、その辺の評価はいかがでしょうか。
大臣:
8月30日の熱い選挙ということで、私も選挙期間中に多くの方から具体的なお話をいただきまして、それは各大臣が脳裏に焼き付いていると思います。その期待と現実の中で、出来る限り期待に応えていこうという努力を各分野でされておられる。ちょうど3ヶ月になろうかと思いますが、その中で、私も含めて皆さん期待に応えるべく全力を尽くしていると考えていますので、後は御評価いただくのは私の方から言うのはおこがましいところでありまして、国民の皆様お一人お一人に我々が努力をしている姿を見ていただいて、どう御判断いただくかというのは皆様次第であると思います。いずれにしても、我々としては現実の制約の中で出来る限りの対策を取り、期待に応えるべく取り組んでいるということは事実でありますので、こういうことも御理解をいただきたいと思います。
記者:
普天間に関してお伺いしたいのですが、今日、基本政策閣僚委員会で移転先は当面決めないということで、先送りということですが、沖縄県民の間から「早く決めて欲しいという声」もあがっておりますし、アメリカからは今月中にという話も出ておりますが、こうした今回の決定についてどうお考えでしょうか。
大臣:
まず、担当大臣がおられるわけで、その大臣が持っている情報量と、私が持っている情報量はおそらくかなり違うと思います。その意味でこの内閣はつかさつかさでそれぞれ担当分野を持ち、ただ、国務大臣として全体政府の責任を負うということですので、私としては今の対応ぶりを見守っていくという立場です。
記者:
行政刷新会議の事業仕分けに対する、異議申し立ての各省からの仕分け結果の申し立てが14日で締め切られたわけですが、厚生労働省としてどうしても概算に盛り込みたいということで、受け入れを拒否した事例があるのでしょうか。あればその理由をお聞かせください。
大臣:
例えば、診療報酬に関して漢方薬を保険外適応にするお話もありましたが、これについては効率的な使用というのが前提になりますが、そういう前提の下でなかなか直ちに受け入れることは難しいと。いずれにしてもこれは中医協で御議論いただかなければならないので、今の段階ではそういうような立場です。あとは、食育を推進する推進員についてですがこれも詳細に調査をして、厚生労働省の調査チームも現地にいってお話を聞いて参りましたが、これについては予算を圧縮した上で非常に伝統のある方々がかなり地域に根付いた取り組みをされており、それが医療費の低減に病気の予防で結びついているという部分もあると思いますので、それについては予算を縮減して残せないかという話を申し上げているところです。
記者:
もし可能であれば、個別の資料の内訳、金額とかも出していただければと思いますが。
大臣:
その時点で、我々が考えている姿勢、立場というのはお示ししたいと思います。
記者:
年金記録についてですが、日曜日も言及されましたが、全件照合というのは変わらないということで、その場合予算額はどのように変わるのか、1年目、2年目、3年目、4年目の照合で今の時点でどのように見通されているのかお聞かせください。
大臣:
紙台帳の照合というのは、全件4年で実施するということに変わりはありません。若干誤解があるのは、8.5億件という紙台帳の数字というのは、皆様方にも改めてお示ししているところですが、あるいは前政権でも厚生年金のサンプル調査をした時もダブりの部分の枚数もお示しをしていると思います。例えば、厚生年金の紙台帳につきましては、紙台帳の現物を写真で撮影してそれをマイクロフィルムにしております。その撮影した原票である紙台帳も残っているというケースもありまして、それは写真撮影をしたものと原票が全く同じものですので、それはダブルカウントになります。そういうものもダブりを無くすと今の確認された時点では、8.5億件というのが、5.4億件になるということです。ですので、ターゲットとしてはこの5.4億件を照合する必要があるということです。その中で特殊台帳である3千3百万枚はほぼ照合が終わりました。そして、もう一つ5.4億件の中の被保険者名簿という地方自治体が保存している国民年金の控えの様な名簿ですが、それについてもダブりがあります。地方自治体もマイクロフィルムで保管している部分もあって、そこの枚数というのは詳細には判明しておりませんが、いずれにしましても先週金曜日発表させていただいたサンプル調査の結果を見ても、かなりの方が照合すれば年金額が増えると。逆に言えば年金額が減るミスが発生しているということがありますので、これはさらに全件照合する必要性があると考えておりまして、それを照合して行くということです。ただ、初めの2年間でかなり集中的に山を作って、照合をして行こうということも検討いたしましたが、優先順位の付け方として片っ端からやるというよりは、セグメントというか、分類をして、例えば、年齢の高い紙台帳というのは齟齬率、ミスの率が高いということで、そういうものを優先的に照合しながら全件照合して行くという形で出来る限り予算を効率的に使って行くという発想に立っております。同時に来年から「紙台帳検索システム」が稼働しますので、今度は相談に来られた方は記録が存在すればその場で紙台帳のイメージデータがコンピューターの画面に表示されますので、相談に来られた場合その場で相談員が照合するということもあります。そういう作業の下でも件数が減ってきますので、いろいろな手段を使ってこちらから国民の皆様にお知らせすると。これも既に特殊台帳は照合がほとんど終わりまして、照合して受給額が増える方にはこちらからお知らせの手紙をどんどん出しておりまして、増える金額も具体的に書いてお出しさせていただき、そういう方からも再裁定の申込みがかなり来ておりますので、実際紙台帳が受給に結びつくということは作業の中に組み込まれて今やっており、そういう考え方で取り組んで行きたいと思います。
記者:
子ども手当の財源ですが、理想は全額国費だとおっしゃっておりますのが、今の状況の中で実際に国費から取るとしたらどこを想定されているのかということが一点と、今実際に国債費も44兆円と厳しい中で、大臣がおっしゃる二者択一とおっしゃる場合には、総務省と並行線を辿っておりますが現実的な落としどころはどの辺であるべきだとお考えでしょうか。
大臣:
当然、マニフェストは子ども手当だけではありませんし、それを調整するのは私と総務大臣だけでもありません。それと同時に財源についても今日も予算編成の基本方針の中で、特別会計をさらに精査しようということも入っております。そこからどれだけ精査すると出てくるのか、あるいは税制改正で例えば、国であれば所得税の部分がどれだけ変化をするのか、あるいは地方の税がどれだけ変化するのか等々、全体の要素があります。その全体の要素を大きなマニフェストについては菅大臣が全体を見て判断していくということになっております。そういう意味では、私としてはいろいろな主張を菅大臣、内閣の皆様にも御理解いただくべくお話を申し上げているという段階です。あとは全体の状況がどこから決まるのかということもありますが、全体の状況の中で今後調整を進めて行くということになろうかと思います。
記者:
そうすると、地方負担はあまり求めたくないという立場でしょうか。
大臣:
これもかねてより申し上げているのですが、私としても概算要求でも国費で全額要求をしているところでして、それが貫けるのであればそれにこしたことはないわけです。ただ、全体の財源、44兆円国債という制約の中で全体の財源として、今一つ一つ確定する状況ですので、その全体像の中で私としもいろいろやり取りしながら判断していくということになると思います。
記者:
予算編成についてですが、先週、長浜副大臣と、足立、山井政務官が財務省に折衝に行かれましたが、ゼロ回答という対応だったのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
なんとか御理解いただけるように、コンクリートから人へという予算の基本方針もありますので、私も不必要なものを過度に要求するというつもりは全くないわけでして、これもかねてより申し上げておりますが、補正予算の執行停止、行政刷新会議からの御指摘、独自の削減努力を含めて8月の自民党が出した概算要求から比べると、厚生労働省だけでも1.2兆円削減しているということです。これも、まだ終わりではなく、日々努力を続けるということを財務省にも申し上げて御理解をいただくべく、適正な必要最小限のものを要求させていただいているということと、その意義を説明していく努力が必要だと思っております。いずれにしましてもまだ決定ということではありません、交渉は続いておりますので我々の考え方を御理解いただくべく、説明を続けて行こうと考えております。
記者:
来年度予算に関連してですが、先ほど税制改正の全体の中でというお話もありましたが、税制改正が18日閣議決定の方向ですが、そうすると厚生労働省で言えば、子ども手当であるとか、診療報酬ですとか主なものについては、党の要望それから税制改正大綱の決定を受けて、その調整後決着という日程を考えていらっしゃるのか、その前に決着もあり得るのかお聞かせください。
大臣:
これは政府全体の中での調整ですので、私が考える日程がそのままそうなるというわけではありませんが、いろいろな所与の条件がある中で、一つ一つ確定しなければならないのも事実ですので、やはり確定をして行く順番というのは同時なのか、ある程度時期があるのかというのは交渉ごとですのでどういう状況にあるか分かりません。重要なのは子ども手当に関しましては来年度からお約束をしたものを支給することが前提で議論しておりますので、その配分をどうするかという議論です。それはいずれ適正な形で決着が付くと考えております。
記者:
二次補正に関連してですが、子ども手当のシステム経費、127億円とあるのですが、子ども手当はまだスキームも協議中でして、子ども手当関連法案を出すことになると思いますが、本来であれば来年度の予算に盛り込むのが筋ではないかと思いますが、これを補正に入れた理由をお聞かせください。
大臣:
関係各方面の御理解をいただき、今後とも説明を続ける必要がありますが、来年度からの支給ということになりますのと、いろいろその準備ということもあります。その意味では準備を早め早めにすることも必要なことですので、その意味では第二次補正予算に関係当局とも議論をさせていただいて、盛り込ませていただいたということで、準備を早めにするための必要な経費であるということで、今後とも関係各方面に説明をして行きたいと思います。
記者:
子ども手当の財源について、マニフェストの工程表では7.1兆円の国費の中の2.7兆円との位置付けなのですが、地方負担を入れるということはマニフェスト違反になるということにはならないのでしょうか。
大臣:
繰り返しになりますが、厚生労働省、私としても全額国費で概算要求をしておりますので、それで交渉するというのが前提です。ただ、その中で非常に予想外の税収の落ち込み、9兆円あまりの税収が落ち込んだということもあり、そういう財政上の制約の中でまだ決定していることはありませんが、いろいろな議論や、案を閣僚の間で話し合われているのが実態ですので、まだ決定しているものではありません。

(了)