長妻大臣閣議後記者会見概要

H21.10.27(火)10:45 ~ 11:18 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。閣議におきましては厚生労働省の関係では臨時国会に提出させていただく2本の法律が正式に閣議決定をされました。これは御存知のように、「新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案」というものと、「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」という二つの法案でございます。インフルエンザにつきましては縷々説明を申し上げております。二つ目の「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」でありますが、これは社会保険病院、あるいは厚生年金病院等については地域の皆様や病院で働く皆様から将来どうなるのか心配される声がございます。そのため、この法案によって、地域医療の確保の観点から引き続き存続させるための新たな受け皿となる新法人を設立するというものであります。国会において御審議をいただいて、両法案の早期成立を図っていきたいと考えているところであります。

質疑

記者:
昨日、首相の所信表明演説がありましたが、それに対する御感想をお願いします。
大臣:
私も閣議でその原稿を拝見しましたが、初めて拝見した時は感動する部分もあり、涙が出る気持ちになるような、鳩山総理の思いが深い部分については感動した部分もありまして、従来でありますと、箇条書き的に色々な省庁の政策が羅列されるような所信表明演説というのも何度も聞いておったわけでありますけれども、政権交代後の今回の鳩山総理の所信表明というのは、御自身の理念というのが全面に打ち出され、私自身はこれまでと違い良い所信表明演説だったと思います。
記者:
行政刷新会議の事業仕分けのワーキンググループから新人議員がメンバーから外されることになったということについて大臣のお考えはいかがでしょうか。
大臣:
詳しい経緯というのはマスコミ報道でしか知っておりませんので、そういう意味ではコメントし難いのですが、いずれにしても、仙谷大臣は事業仕分けも含めた行政刷新に並々ならぬ意欲を持っておられますので、行政刷新の中核の仕事の一つとして事業仕分けというのは、今後とも体制を整えて強力に続けていくということは間違いありません。厚生労働省としても、「事業仕分け担当の政務官を出して欲しい」という御要請で、山井政務官を担当として、全面的に協力をするという立場でありますので、これからも事業仕分けも含め、行政のムダの削減に取り組んでいきたいと考えております。
記者:
人手の部分ではどうでしょうか。
大臣:
人手についても、事業仕分け自体も私もかつて参加しましたが、何も全部議員がやるという仕事ではございませんで、元首長の方々、あるいは普通の市民の方々、あるいは研究所の方々、シンクタンクの方々等々広く一般の方も含めた作業だと思っておりますので、そういう意味ではこれに共感されておられる方も多いと思いますので、人手というのは工夫次第では多くの方の御協力が得られると思います。
記者:
新型インフルエンザのワクチン法案の関係ですが、これからワクチンを打たれる方がたくさんいると思いますが、「少し不安だな」と思われる方もいらっしゃると思いますが、今回の法案が成立したことでの位置付けというのをあらためて教えて下さい。
大臣:
この法案について色々な論点がございますが、基本的には副反応が万が一出た場合におきましても、給付補償をするという条項もございます。しかし、基本的にはそういうことが出来る限りないように、ただ、季節性インフルエンザのワクチンも含めて一定程度の副反応というのはこれまでもございますので、それについて周知を十分させていただいた上で、既に接種が始まっておりますので、その方々についての副反応情報というのもきっちりと集めていく努力を続け、それを国民の皆様方にお知らせをしていくという不断の努力が必要だということは当然だと考えております。
記者:
亀井郵政担当大臣が講演で、長妻大臣の方からのお話で、「全国の郵便局を年金記録の確認等に活用出来ないか」という話があって検討しているということなのですが、どのようなやりとりがあったのかと、御見解をお願いします。
大臣:
確か何かの会議の前後で、雑談的に亀井大臣から「郵便局を年金で活用をする」という趣旨のありがたいお話があり、どういうことが考えられるのかという話になりましたので、私自身が申し上げましたのは、「年金通帳」というものを将来的に発行をしたいということで、社会保険事務所にもATMを置く予定にしておりますが、社会保険事務所は御存知のように300少しということで、数が少ないわけであります。そういう意味ではATMの印字をする装置のネットワークが色々な組織にあり、郵便局にもそういうネットワークがありますので、そういうネットワークと接続出来れば、かなり印字をする場所が広がるのではないかと、そんなような話を申し上げました。ただ、これはまだ事務方が詰めている段階でありまして、技術的にそういうネットワークの接続というのが可能なのかどうなのか、あるいは経費がどれだけかかるのか、あるいはプログラムを作成する期間というのがどれだけかかるのか、あるいは秘密保持義務、当然ATMは個人情報の固まりですので、それを社会保険庁と接続をすることの是非等々も含め、クリアしなくてはならない論点というのはかなりあると承知をしておりますので、事務方も含めた交渉に入ったという段階で、結論はこれから出れば発表をしていきたいと考えております。
記者:
審議会や諮問機関の委員の関係で伺いたいのですが、例えば労働政策審議会のような審議会の委員は前政権時代に選ばれた人だと思いますが、そうしますと審議会が民主党の政策と必ずしも合致した結論を出すとは限らないと思いますが、例えば審議会の委員を任期途中で差し替えることは有り得ますでしょうか。
大臣:
今の所は考えておりません。基本的に審議会のメンバーの方々というのは精力的に御議論をいただいておられるという意識を持っておりまして、そういう意味で一つ一つ審議会の御議論も見ていくということも我々続けて参ります。もう一つ、審議会では議題設定も一つ大きいテーマだと思います。審議会があっても、例えば「どういうテーマで議論をして下さい」と、その議題設定の一定の方向が予め決まっているものであれば、その方向の御議論になるということがこれまでもあったわけで、その議題設定を鳩山内閣の政策に沿ったような、そういう御判断をいただく。当然議題設定についても疑義をいただくような、自由闊達な御議論をいただくような過程で、政権にとって進めなければいけない政策についての御意見を聞く工夫というのが出来るのではないかと考えております。
記者:
母子加算と子ども手当はメドがつきまして、これから待機児童の解消策というのが大きな課題になってくると思いますが、マニフェストにありますように、小中学校の余裕教室や廃校を利用した認可保育所の増設や、「保育ママ」の増員というのが、今後どのようなスケジュールで進めていこうと考えておられるのか、今の時点でのお考えをお伺いしたいのと、保育所の設置基準の権限を自治体に委譲するという話もありましたが、これはいつまでに決定をするのでしょうか。現時点での考えをお願いします。
大臣:
マニフェストで小中学校の余裕教室や廃校を利用した認可保育所の増設を謳っております。これについて従来の数字でございますが、これはちょっと古いので新しいデータで現状把握をしなくてはならないと思っていますが、平成18年5月1日時点で、公立小中学校の余裕教室、いわゆる空き教室という教室の数で言うと、2,523教室があります。全体の教室の約2%ですが、その中で児童福祉施設に転用されている教室が1,327教室あると。これは平成5年度から平成17年度の累計ですから分子分母が違うのですが、そこまでしか政府は把握していないということです。つまり児童福祉施設への転用と言った時に、その中には保育所も入っている。他の施設も入っています。まず、我々が指示をしておりますのは、余裕教室や廃校を利用したところに保育所を増設したのが具体的に何件、何教室あるのか、それが進まない理由は何故なのか。こういうことを現状把握をするということで、今現在サンプル的に上がってきているものとしては、廃校をそのまま保育所に転用している事例としては、平成14年度から平成20年度まででございますが、9校ということで、非常に数も少ないという意識を持っておりますので、これについて出来る限り、概算要求でも予算要求をしておりますので、さらに工夫をして進めて行きたいと、文部科学省とも連携をする話でございますので、まずはきちんと現状把握をして対応をしていきたいと思います。既に空き教室等を活用して保育所を設置する場合の改修費等の補助というのは概算要求で申し上げておりますので、効果的に使うということです。もう一点は「保育ママ」でありますが、これも私どものマニフェストでも「保育ママ」の増員ということを掲げております。これは平成22年度からは法制化をする、法律が施行されるということになるわけでございまして、保育師に限らず研修によって市町村長が認めたものに資格要件ということで要件緩和があるという非常に追い風がございます。20年度の数字では、「保育ママ」の実数が130人、その方々が実績としては児童を491人保育しているということで、数がまだ少ないわけでございまして、今後NPO法人等への御協力もいただいて、「保育ママ」を育成、紹介をしていただくような事業が必要だということで、概算要求でも14億円程度の予算をつけさせていただいているところでありまして、いずれにしましても、最新の数字というのが中々把握されていませんので、これも指示を出しておりますが、実態と何が障害になっているのか、そして成功事例を国民の皆様方にお知らせしていくと、こういう取り組みが必要だと思います。そして、第三次勧告の話だと思いますが、保育所等の規制緩和ということでありまして、この緩和について保育所だけではありません。セットで障害者施設、あるいは御高齢者の施設の、それらの施設に入っておられる方に対して職員は何人かというのは、保育所以外のかなり数が多い施設とも連動する話となっております。面積の要件も保育所以外の施設にも広範囲に及ぶ話であります。ただ、これはメリハリをつけて、例えば、保育施設でも面積要件ではない要件、例えば、「必ず校庭が必要」やそういうものに関しては一定程度第三次勧告の考え方というのはとれると思いますが、今申し上げたような人員の問題や面積については、一つ一つ施設を確認した上で、御回答をしていこうと考えているところであります。
記者:
大臣就任直後に役所の人事評価の取り組みとして、無駄の排除など、3つ独自の視点を導入されました。まだ、時間が経っていないですが、この間に補正予算の見直しですとか、概算要求などがありましたが、手応えですとか、内部の反応ですとかがあればお聞かせください。
大臣:
例えば、天下りについては、5代続けて指定席化している天下り団体について、基本的には全額執行停止して欲しいという指示をいたしましたところ、半額が停止になりました。あるいは天下り団体を受け入れている独立行政法人を含めて2割カットして欲しいということを申し上げましたら、丁度1割がカットされたということです。偶然なのかどうか分かりませんが指示したものの半分ということで、それでも1千億円以上のお金だと考えております。これについて、概算要求を出す前までには急ピッチで一律に指示をいたしました。そして、今もその時に設置した事務次官をトップとする削減チーム、これはもちろん今も動いており、メンバーも決定し、官房長、会計課長もメンバーに入り、私も細かく指示をしているところです。例えば、予算の横串である「目」別に、庁費ですとか、補助金ですとかについて一律削減の考え方で、厳しく経費を見直して欲しいと指示をしております。さらには、事務費についても厳しく見直して欲しいという指示と、具体的な指摘もしております。ただ、やはり、天下りを受け入れている団体についての削減というのは、なかなか腰が重いという印象もありますので、我々も厳しく必要性の低いものについては削減する。局ごとに削減率を出していただこうということで、指示をしておりまして、そういう意味では局ごとも含めて、無駄の廃止の観点から競い合っていただくということも必要だと考えております。
記者:
先ほどの、保育所の施設基準の面積要件についてですが、面積要件については一つ一つ確認した上で回答したいということでしたが、11月4日が回答の締め切りだと思いますが、11月4日の回答の時点では、明確に自治体に基準の設定をゆだねるということにはならないことになるのでしょうか。
大臣:
その締め切りが迫っているのは承知しております。まだ、検討の時間が一定程度ありますので、その中で急ピッチで検討しているということです。まだ、どういう結論なのか、その締め切りまでどういう問題点、論点があるのかということの洗い出しをしている段階です。
記者:
一つ一つ確認するというのはどういう意味でしょうか。
大臣:
第三次勧告の案件というのは、施設も保育所だけではありません。「例えば保育所」という例示なのですが、そこには先ほど申し上げましたように、老人福祉施設の面積要件も、職員配置の要件もあります。あるいは障害者施設でも面積要件がありますし、職員の配置基準もあります。今も3つだけ申し上げましたが、それ以外にも多くの施設の要件が緩和されるということになりますので、それぞれどういう論点があるのかということを見極めるということで、責任ある回答をして行きたいということです。
記者:
その件に関して原口総務大臣とは、近く協議される御予定はございますでしょうか。
大臣:
それはございません。
記者:
無駄の削減についてですが、概算要求で政権交代前には廃止するべきだと主張されていたものが、概算要求の中に含まれているということが、例えば「雇用能力開発機構」の交付金などがあるのですが、これは減額されたとは言え、1千億円くらいのものが、600億円くらい要求されております、これはなぜでしょうか。
大臣:
報道でも御指摘をいただきました。一つは、今おっしゃられた「雇用能力開発機構」ということで、言うまでもなく無駄のオンパレードがこれまであった組織でもあります。そういう意味で一定程度は削減しましたが、これもそれで打ち止めではもちろんございません。12月末までにさらに効率的に進めるには、どうしたらいいかということで見直し作業をしているところです。そして、もう一つ指摘があった年金保険料を流用した教育の問題ですが、これについては事業仕分けを我々も野党の時点でしまして、教育について流用というのはおかしいのではないかということで、当然今回の概算要求でも年金教育については年金保険料を流用しないということにさせていただきました。この2つ以外でも、今後12月末までに詰めるべき案件というのは数多くありますので、その具体的な横串で削減すると同時に、具体的テーマの案件も一つ一つ見直していくという作業をしております。
記者:
「雇用能力開発機構」に対する交付金とは、廃止、つまり、ゼロに向かって行くという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
基本的にそこでやっている業務ですが、雇用が厳しいので、天下り団体に任せるか任せないかは別にして、必要な業務も一部あります。職業訓練の業務もありますので、その業務をどこに任せるのかという議論もした上で、交付金の支払い先や、効率的な使い方を考えて行きたいと思います。いずれにせよ、改革が前政権よりも後退することがあってはならない、「雇用能力開発機構」は前政権でも内部で揉めた曰く付きの機構だということは認識しておりますので、抜け道を作るようなことは許さないという厳しい姿勢で取り組んで行きたいと考えております。
記者:
「ミスター検討中」というニックネームが最近広まっておりますが、どう感じてますか。
大臣:
これも官僚の方が一部言われていることを聞いておりますが、やはり、すぐに結論が出せるものもありますが、じっくりと制度の改革などを考えなければならないこともあります。そういう意味では、その都度判断出来るものは即答しますが、じっくり考えて、つまり、制度というのは2、3年で終わってしまうものではありません。同じ制度が、一回新しい制度を変えたのであれば少なくとも数十年以上続くべきものだと考えておりますので、拙速に判断をして、進めて、結局はまた見直しするという失敗は許されないと思っております。特に社会保障の分野ではそういう意識を持っておりますので、そういう意味ではきちんと議論をして、それを多くの方の意見を聞いて、段階を踏む必要があると思っておりますので、そういうテーマによっては慎重な言い回しになると御理解いただければと思います。
記者:
直接所管ではないのですが、JALの救済について、JALの企業年金については問題になっているのですが、これについての大臣の御所見と、具体的に財務省や国交省から企業年金について、様々な案が水面下でささやかれており、これに対して、「特別立法」ですとか、「確定給付企業年金法」の改正なども取りざたされているのですが、具体的に何か働きかけがあったかどうか教えてください。
大臣:
他の省庁からJALの年金について、何か働きかけがあったということはありません。私もその中身というのは一部マスコミ報道を含めて、事務方からも概要の説明は受けました。私も説明を求めて聞きました。これについて、企業年金、つまり、年金の問題ですので、私自身も強い関心を持っておりますが、どういうふうに国土交通省を含め方針を考えておられるか、ということを正式に聞いておりませんので、その判断の準備はしておりますが、どういう方針なのかということも見極める必要があります。もう一つは、企業経営ですので日々動いているものです。どれだけの緊急性があるのか、どれだけの時間軸で検討時間があるのかを含めて、説明があった場合には細かく検討して行きたいと思います。
記者:
先ほどの予算削減の話ですが、局ごとの削減率ということもおっしゃっておりましたが、目標設定でどれくらいということと、数値目標をお考えでしたらお聞かせください。
大臣:
数値目標というのは、出来れば多く削減するにこしたことはございませんが、それを含めて一つ一つ、どこの部分が削減出来るのかどうかを見ております。予想以上に削減出来る部分もあると思いますし、予想以上に削減出来ない部分もありますので、それらを見て目標があれば作るということです。目標だけではなくて、何割一律というような目標は前回立てさせていただきましたが、そういう手法を含めて今は個別のところを見ている段階ですので、それらについて一つ一つ見てから判断したいと思います。
記者:
無料低額宿泊施設について、明日、告訴が千葉と埼玉である予定ですが、その問題にどう取り組んで行くのか改めてお聞かせください。また、その後、今週立ち上げた検討会の進捗状況を教えてください。
大臣:
これはまさに、いわゆる貧困ビジネスというもので、悪質なものについては断じて許すわけにはいかないと考えております。その中で、当局も動きが出てきておりますので、今、山井政務官がおられますが、山井政務官をトップとして検討チームを立ち上げたところです。
山井政務官:
一言申し上げますが、第一回の省内の無料低額宿泊施設の会議を開くべく、今日程調整をしているところです。第一回目は現場の方々の声を聞きたいと考え、今日程調整中です。

(了)