田村大臣会見概要

(令和2年10月2日(金)  11:00~11:14)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は私の方から二点ご報告をさせていただきます。令和2年8月の有効求人倍率は前月より0.04ポイント低下し、1.04 倍となりました。また、総務省から本日公表されました労働力調査によれば、令和2年8月の完全失業率は、0.1ポイント上昇し、3.0%となっております。
 雇用情勢ですが、求人が減少から増加に転じておりますが、求人が求職を上回って推移しておりまして、求職者が引き続き増加しており、厳しさがみられます。
 有効求人倍率が1倍を下回る地域が増加している等、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響がございますので、より一層注意する必要があると考えています。

 それからもう1点ご報告です。9月25日金曜日の感染症部会での議論を踏まえ、本日より、鼻腔検体を用いて、PCR・抗原定量・抗原簡易キットのいずれによる検査も活用できることとしましたので、ご報告いたします。
 鼻腔検体については、今まで鼻の奥にまで綿棒をグッと入れて鼻咽頭というところから取っていたわけですが、鼻咽頭検体とは違い、鼻から2cmぐらいのところに綿棒を入れて採取することができるということでございます。
 これを使って、抗体の簡易キット等を使うと、短時間で結果が出るということでございますので、場合によってはご本人が取っていただくということもございます。そのような場合には、医療機関の方々、正面にいていただくと困りますが、仮にくしゃみなんかがあっても大丈夫なところに控えていただきながら、そういう場合にはサージカルマスクとか手袋のような形で、完全な防護体制でなくても対応できるということです。
 もちろん、より慎重な対応をしていただいた方が感染に対するリスクは減るわけであります。そのような幅広い活用ができると考えております。
 併せて、唾液検査ですとか多様なことを今まで進めてきましたが、鼻腔の検査ですと、同じメーカーですとインフルとコロナ両方に検体が使える、検体を付けたものを液に浸けて、液に浸かったものをそれぞれに垂らすみたいな形になると思いますが、それを置いて1回でインフルそれからコロナ、これが両方検査できるというような利点もございます。
 そういう意味では、是非ともいろいろな形でより利便性を上げていただきながら、検査を行っていただきたいということになろうと思います。新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針に、しっかり載せておりますので、御議論いただいたものの取りまとめを関係者に周知させていただきたいと思います。
 私からはこの2点ご報告ということで、皆さま方のご質問をいただきたいと思います。

質疑

記者:
冒頭発言でもありました、コロナによる雇用への影響について伺います。8月の有効求人倍率の状況が出て、解雇や雇い止めが見込みも含めて6万人を超えて、製造業では1万人を突破しました。公明党などからは雇用調整助成金の特例措置を3月末までに延長すべきだとの声も挙がっていますが、今後の対応についてどうお考えかお願いします。
大臣:
以前も厚生労働省からこれに対しては発表もさせていただいていると思いますが、雇用調整助成金自体の延長でありますが、これは雇用情勢が大きく悪化しない限り、来年から段階的に通常に戻すということになっています。翻って言いますと、雇用情勢が今より大幅に悪化するということになれば、当然のごとく、これは延長という話になってくるわけです。
 例えば4月、5月が緊急事態宣言で、ちょうど雇用調整助成金の特例措置が実施され始めたころです。このような状況になれば、それは当然のようにという話になると思いますが、いずれにいたしましても、これから年末に向かって、雇用情勢をしっかり注視してまいりたいと思いますし、そのような中で、今申し上げたように必要性があれば、延長も検討させていただくということになろうと思います。
記者:
今の質問に関連して伺います。仮に延長を判断されるに当たっては、どのような指標だったり、数値などを勘案しながら判断をされるお考えかお願いします。
大臣:
やはり有効求人倍率、求職者数、求人数、そして失業者数、失業率、こういうようなものが一つ大きな指標といいますか、判断材料になってくると思います。
 それから、当然休業者数というものも大きな判断材料になってくると思います。それぞれ総合的に判断して、最終的な決定をしてまいりたいと思います。
記者:
そうすると、今の状況は大臣としてはどのように評価されていますでしょうか。
大臣:
雇い止め、それから解雇等の状況というものを、こういうものの見込みを見ると、6万人ぐらいで、直近も1万人強増えているということ。ただ、急激にこれが毎月と比べて増えたというよりは、毎月そのような形で、1万人前後で推移してきているという状況です。決して急激な改善はしていないと思います。
 ただ一方で、冒頭申し上げたとおり、急激な悪化状況というよりかは、何とか失業率も0.1ポイントの悪化等の状況ということで、各企業のいろいろなご努力等によりまして、欧米で見られるような急激な悪化というものは、なんとか持ちこたえている状況であります。
 様々な理由があってそのような状況であると思いますが、これからの経済の動き、感染状況の推移、こういうものをしっかりと見据えながら最終的には適切な対応をしてまいりたい。
 併せて申し上げれば、当然のごとく前回も申し上げましたが、コロナ禍においてなかなか以前のような経済活動ができない業種というものもあるわけでありまして、それぞれの企業でご努力いただいておりますが、ご努力の限界といいますか、なかなかご努力しきれない時があるということで、ご努力の限界がある場合に関して、どうしても人員整理という話になるわけですが、そういう場合に関してはスムーズな転職ができるように、ハローワーク等の機能の強化でありますとか、また能力開発等、こういうものを通じて働く方々が次の仕事へ移りやすい環境というものをしっかりと整えていきたいと思っております。
記者:
雇用情勢が大幅に悪化すれば、雇調金の特例を延長するというお考えがあるということでしたが、その場合の延長の仕方というのは、パッケージでの特例の延長なのか、もしくは少しずつ減らしていった形での特例の延長でしょうか。
大臣:
今の状況でも、12月といいますか1月以降ですか、仮に大幅な悪化が見舞われなかったとしても、急激に元に戻すというようなことは申し上げていないわけでありまして、雇用情勢がコロナ以前に急激に戻るというのはなかなか期待するのは難しい状況だということは我々も感じておりますので、仮に現行制度を元の方向に戻していくとしても、段階的にそれは、例えばリーマン時並みのような雇調金の対応にするとか、いろいろな考え方があると思いますので、よほど急激に、あまり考えられませんが、急激に良くならない限りは段階的に元に戻していくということはご理解いただければありがたいと思います。
記者:
1日から始まった出入国制限の緩和についての関連ですが、現在、海外から行き来するのは成田とか羽田と関空に限られていますが、地方空港でも感染防止策がとられれば、国際路線の再開というのを期待する声があがっておりますが、地方空港の国際便を受け入れるにあたっての課題はどのようなものか教えていただけますでしょうか。
大臣:
国際便ということになると検疫体制という話になりますし、検査体制というものがまず十分に対応できるかということになると思います。検査能力しかも時間的に1日かかったりというわけで、以前そういうような状況の中で、結構滞留といったらあれですけれど、空港の近くでお待ちをいただくというようなこともあったわけです。
 今かなりそれが解消されて、時間的には早い時間で検査結果が分かるもの、そういうような機械の導入を各空港の中、検疫でしておりますので、そういう検査体制、それから検査体制は機械だけでなく、待機でありますとか担当する検疫官の方でありますとか全体の体制が、今般、今受け入れているところにおいては1日1万人対応というところまで来ましたので、そういう方向の中で順次開放していくという話になってきているわけであります。
 開放といいますか、要するに受け入れる形になっているわけですが、そういう体制がしっかりとれるかどうかということが一つの大きなポイントになってくると思います。
記者:
そうするとやはりまだ時間がかかるというようなご認識でしょうか。
大臣:
現状、徐々に広げていっているというのが今般の対応でございますので、地方空港の色々なご要望等、それからこれはやはりその地域の空港のみならず行政と相談しなければいけない部分もありますから、そういうことを踏まえた上で色々と調整しながら、要望があれば対応してまいりたいと思います。
記者:
不妊治療の助成拡充について、昨日、所得制限を撤廃するという報道がでておりましたが事実関係についてお伺いいたします。
大臣:
ご承知のとおり所得制限を撤廃するかどうかというのは予算にも絡んでくるわけでございますので、まだ年末に向かって予算要求までいっておりませんので、言うなれば所得制限を撤廃しないことを前提に検討しているわけではありませんが、予算でありますとか種々のいろいろな問題点等を検討する中において、今議論をしているとご理解いただければありがたいと思います。
 決定したということではないとご理解いただきたいと思います。     
記者:
日本学術会議の件で伺います。菅首相が昨日、日本学術会議の審判員について、会議が推薦した候補者のうち、6人を任命しませんでした。これについて、学問の自由の侵害だとの批判も出ていますが、これについての受け止めや大臣のお考えを教えてください。
大臣:
これは所管が私ではありません。昨日官房長官からコメントがあったと思いますので、そちらでご対応いただければと思います。

(了)