加藤大臣会見概要

H30.2.16(金)9:32 ~ 9:55 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。閣議での発言はございません。明日17日土曜日に、大阪府大阪市において、政府拉致問題対策本部と大阪府、大阪市、府内全市町村との共催により、「国民の集い」を開催し、私も主催者として参加する予定です。資料はお手元にお配りをしている通りです。大阪府では、平成24年以来3回目の開催となり、拉致問題の解決のためには、世論の喚起が大きな後押しとなります。皆様の積極的な参加をお願い致します。私からは以上です。

質疑

記者:
まず、裁量労働制のデータに関してお伺いします。国会での答弁の撤回にも繋がっておりますが、そもそもこうしたデータが作られて国会に提出された経緯を教えてください。また、精査し直すデータについて、法案に影響はないのか、ご所見をお願いします。次に、旧優生保護法についてですが、与野党で議連もしくはPTを作る動きがあります。厚生労働省としての受け止めと、今後の対策について、また与党から求めがあれば実態調査等をするのか、ご所見をお願いします。
大臣:
裁量労働制に関して、厚生労働省が調査したデータを踏まえてお示しをし、答弁したわけでありますけれども、国会でのご指摘を受けて、精査に時間がかかっているところでありまして、そうした精査が必要なデータをお示ししたことに対して撤回させていただき、それによって国会、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことはお詫びを申し上げたいと思います。その上で、経緯ということでございますが、今それも含めて精査をさせていただいております。来週の月曜日には精査させていただいた結果と、またデータを出してほしいということでありましたので、個人情報あるいは特定の企業がわからないような形にして、データを提出する準備をさせていただいているところです。法案については、委員会で同じようなご質問がありましたけれども、労働政策審議会においても、正確に言うと対比をしたデータは出していませんが、多面的なご議論をいただいた結果、「概ね妥当」という答申をいただいているところであります。それを踏まえて、法案を提出すべく作業を進めているところであります。
旧優生保護法について、ご質問があった議連の動きでありますが、報道については承知しておりますけれども、私どもは直接承知しておりませんので、議連についてコメントすることは差し控えたいと思います。その上で、旧優生保護法下で行われた不妊手術については、これまでも当事者の方からご相談・ご要望があれば私どもの担当者が直接お話をお伺いするなど対応をしてきたところであります。引き続き、そうした対応をしてきたいと思います。
記者:
求めがあれば全国調査等をされるご予定はあるのでしょうか。
大臣:
今は個々の方々からご要望があれば、ご要望に沿ってお話を伺わせていただくという形で引き続き対応していきたいと思います。
記者:
裁量労働制のデータ問題についてお伺いします。今回の調査について、野党の求めに応じて開示されたということですが、一見してすぐ疑義が生じるデータかと思いますが、厚生労働省としてこのデータは何かおかしいと気付いたのはいつでしょうか。
大臣:
国会でもご指摘いただいて、今調査をさせていただいているということでございますので、その段階でご指摘を受けて精査をさせていただいているということです。
記者:
国会での指摘を受けるまでは、このデータに不自然な点があるということに気付かなかったということでよろしいでしょうか。
大臣:
気付いておりません。
記者:
野党側は、データそのものがねつ造だったのではないかという指摘をしております。データが意図的に改変された、あるいは大きな誤りがあった場合、大臣としてどのような責任を取ることをお考えでしょうか。
大臣:
精査した結果を来週月曜日に出させていただきますので、まずしっかりとご報告をさせていただきたいと思います。
記者:
野党側からは、裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の導入を一連の法案から切り離して議論すべきという声が改めて出ておりますが、この点について大臣のご所見をお願いします。
大臣:
先ほど申し上げたとおりですが、高度プロフェッショナル制度、裁量労働制の対象拡大についても、様々な視点に立ってご議論していただいたわけであります。その上で、労働政策審議会で「概ね妥当」という答申をいただいておりますので、出させていただいた要綱に沿って法案を提出すべく準備をさせていただくということであります。
記者:
裁量労働制について伺います。昨日の国会答弁で、労働基準局長からだったと思いますが、今回の労働時間等総合実態調査のデータ以外で、裁量労働制の方が一般労働者より働く時間が短くなるようなデータは承知しておられないという答弁があったかと思います。厚生労働省として、他に裁量労働制の方が一般労働者より短くなるというデータがない中で、大臣個人としては、裁量労働制の導入によって労働時間は短くなる可能性があると今でもお考えでしょうか。また、実際に長時間労働になっている、適正な裁量労働制が運用されていないという指摘がたくさんありますけれども、そういった事業場に対して改めて長時間労働の抑制、是正に向けてどのような取組を進めるのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
局長の答弁を一言一句覚えておりませんが、私の認識について申し上げると、一般の労働者と裁量労働制で働いている方の時間を比較したデータとしては、JILPTが作っているものしか承知しておりませんし、そこにおいて平均値を比較すれば、一般の方の方が長いということ、これは事実だと思います。ただ、長いか短いかと言われたときに、どう比較するのか。例えば、JILPTのデータでも一定より短いところの企業で働く方もかなりいらっしゃるわけでありますから、そこはどのように判断するのかというのはあると思います。不適切な事案についてはいくつかあり、本来、裁量労働制が適用できないにもかかわらずしているもの、業種的にできないもの、具体的な時間の指示をしているものがあります。また、みなし時間と実際に働いている時間の乖離があまりにも大きいものについてもしっかり時間を把握して、現在も指導しているところであります。今回の要綱では、現行の裁量労働制も含めて、労使委員会で厚生労働省が出した指針に従ってしっかりと委員会決議をしてもらうということ。また、その指針を踏まえて、労使委員会に対して指導していくという根拠を入れるということでありますから、そうした法律をベースによりしっかりした対応をしていきたいと思います。また、一方で、野村不動産等の事案もございました。もう一度、点検指示をしているところでありますし、引き続き、監督体制を強化して、そうしたことも含めてしっかりした指導をしていきたいと思います。
記者:
裁量労働制について、先ほど大臣がおっしゃったJILPTのデータがある中で、どうして厚生労働省のデータを説明に使ったのでしょうか。
大臣:
説明に使ったというのではなく、そういうデータもあるということを申し上げたのであって、JILPTのデータを否定したわけではありません。たまたまそういうデータが手元にあった、そういう表があったということで使わせていただいたのですが、野党からご指摘いただいたように、その数字についていろいろ疑問点が出されておりますので、私どもとしてそのご指摘を踏まえて精査をさせていただいております。また、精査に時間を要するようなデータをお示しして答弁したことに対しては撤回をさせていただいて、お詫びさせていただいたという経緯です。引き続きしっかり精査をして、月曜日の早々になると思いますが、個々のデータも含めて予算委員会で説明したいと思います。
記者:
このデータは、大臣が説明しているときはあまり不自然だとは思わなかったのでしょうか。
大臣:
このデータをそこだけつまんで見ていましたので、私自身はそういうデータがあるということでそれをそのままお示しさせていただいたということであります。私の段階で何か作って、加工したデータをお示ししたわけではありません。残念ながら、これまでも使っていたデータをそのまま使っていたということであります。
記者:
本日閣議決定された高齢社会対策大綱についてお伺いします。今回の内容の中で、年金の受給年齢に関して、70歳以降も選択できるという方針が示されました。高齢者の雇用促進の中での対応なのだと思いますけれども、そもそも国民の間では受給開始年齢の一律の引上げが今後あるのかという点に関心があると思いますが、現在の財政検証の中ではそういった可能性もどうなのかという点は整理はされていると思いますけれども、現状、受給開始年齢の一律の引上げに対する厚生労働省の考えと、今後の方針についてお聞かせください。
大臣:
ご指摘がありました2つの点は時々混同することがありまして、現在、65歳で支払うことをベースに作られているわけでありまして、今回はそれをベースに60歳まで繰り上げる、あるいは70歳まで支給時期を遅らせる、この70歳までの時期をさらに75歳とかもう少し先かもしれませんが、選択肢を広げていこうというのが今回の見直しであります。それについては、元気で働く方が増えてきている状況の中、あるいは人生100年という時代を迎えようとしているわけでありますから、選択肢の幅を広げていくことについては、しっかり検討していきたいと思います。ただ、検討するに当たっても、年金の財政と非常に絡む話でありますから、財政検証をしながらやっていく必要があるのだろうと思います。65歳でもらえるというそのものの時期をずらすという話については、今は全く考えておりません。いずれにしても、財政検証をしていく中で、財政検証の制度に則って、しっかりチェックしていきたいと思います。
記者:
65歳までの段階的な引上げというのは、男性だと2025年、女性だと2030年で完成すると思いますが、今後の財政検証次第では、受給開始年齢の引上げはあり得るのかということは一般論としてあると思いますが、その点はいかがでしょうか。
大臣:
あり得るということではなくて、財政検証においては、働く方の実質の可処分所得に対して、高齢者の方が受け取られる割合を見て、50%を1つの目安としているわけでありますが、今後の財政検証の中で、平均寿命がどうなっているのか、被保険者の方がどう増えているのかといったことも含めて検証していくということでありますから、検証をした上でまた議論をしていくということであって、直ちに引き下げることに繋がるとか繋がらないとかというものではありません。
記者:
裁量労働制について、今大臣のお話の中で、労働時間等総合実態調査が使われたことについて、たまたまそのような表があったので使ったとおっしゃられておりましたが、大臣個人としてはおっしゃるとおりかもしれませんが、今回問題になっている法定外の1時間37分でありますとか、9時間37分という大臣が言及されている数字は、調査表自体には載っていない数字だと思いますが、こちらが出てきた経緯としては、意図を持って表に出てきた数字であると思いますけれども、従来公表されているデータには載っていないわけでありますから、国会答弁の中で出てきたことには意図があったと思います。前大臣の時代から続いている答弁でありますが、改めて今回この1時間37分であるとか9時間37分という公表されていないデータを答弁で用いられた厚労省全体としての意図をお聞かせいただきますでしょうか。
大臣:
厚労省全体の意図というのは非常に難しいですが、私の意図としては既に公表されているデータを申し上げたということであります。それから、今お話がありました平成25年度労働時間等総合実態調査結果という冊子があります。その中には、一般労働者の方の一日の時間は入っていないということはそのとおりでありますけれども、それがどういう形になってでてきたのかは私も今調べているところでありますが、私がスタートした時にはもはやそういう説明であり、かつ1時間37分は法定外ということなので、法定の8時間を足して9時間37分という形で説明をしていたので、それをこのまま説明に使い、それを踏まえてデータを示させていただいたことに尽きるということであります。
記者:
関連してお伺いしますが、これまでの平成27年の厚生労働委員会や過去にこの同じようなデータを取り上げて説明をされたこともあったかと思いますけれども、1月29日の答弁については総理を含めて撤回されるということでしたけれども、過去の答弁は撤回されるお考えはないのでしょうか。
大臣:
国会でもそういうご質問をいただきました。私にそこまでの権能があるのかどうかということはわかりませんが、実質的に申し上げれば、同じデータを用いて答弁しているわけでありますから、実質的には取り下げたということだと思います。形式的にどうなのかということはにわかに私としては判断出来ませんが、ただはっきりしていることは、それと同じデータを用いて私並びに総理がデータをお示しし答弁したことについては撤回させていただいたということでございますので、その延長線上でそちらだけはそうではないということには私はならないと思います。
記者:
関連してお伺いしますが、2015年に同じような答弁を塩崎前大臣がされているということで、その時にはその答弁の正しさというのは検証出来なかったということでよろしいでしょうか。バックデータが公表されていないことに基づいて国会答弁をされた時に、我々は正しいのかどうかという検証が出来なかったわけでありますけれども、そのような形で答弁したことについて、大臣は既に引き継がれた数字をおっしゃったということはそれはそうだと思いますけれども、その前の段階で裁量労働制の方が短いというデータがあると塩崎前大臣はおっしゃっておりました。その根拠が示されていないのでその段階で正しいかどうかは誰もわからなかったわけでありますが、そういったことが正しかったかどうかということについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
バックデータというかお示ししているのはその全てデータを平均したり、いろいろなデータ上の処理をして出したその数字だけしかもともと出しておらず、一週間とか一ヶ月とか細かいデータを出しているわけではなくてその数字だけ出しているわけであります。ですから、その調査に則って実際一日も資料としては取っていたわけでありますから、それをベースに同じように集計して出した数字ということなのだろうと思います。
記者:
一日の表に15時間以上働いている人が9人いるということが冊子に載っていれば、その時点でこの根拠の部分で何か疑義があるのではないかとわかったと思います。それを今回初めて示されたのでこれがおかしく、それに基づく1.37がおかしいのではないかと気づけたと思います。そういったものを示さずに手元に非公表にしておいたまま、その結果としての数字を出しておけばそれが正しいかどうかということは誰も検証出来ない状況になってしまうと思いますけれども、そのようなやり方についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今お手元の数字ももともとはデータで最初にお出しをした中にも入っていなかったと思います。冊子の中には時間区分ごとには入っていないと思います。それを出してほしいということで出しているわけでありますし、それから一日ごともどのタイミングで出したのかよく私もわかりませんけれども、出してほしいということでお出しをさせていただいたわけであります。私どもは何も隠しているつもりもありませんし、こうやって出させていただきました。ただ、どうして冊子の中に一日を出していないのかというのは、実は平成17年度も調査をやっておりますが、その時も同じような調査をしながら、一般労働者の方の一日分というものは出していないわけでありますので、そこはどうしてそういうことにしたのかについて私はわかりません。
記者:
表に出してしない調査結果を基に答弁した場合に、答弁が正しかったかどうか、疑義が無かったどうかなどを我々はどう確認すればよろしいでしょうか。今回は野党の求めに応じて出して、野党側から疑義が生じて再調査し、2015年の段階の答弁ではもとの数字は誰も見られなかったわけであります。
大臣:
その時に、ご要望があったらおそらく同じ資料を出していたと思います。私どもはその資料を出さないというやりとりをしていたわけではなくて、どうなっているのかというご指示があったからお出しをしたので、出したのが今回初めてなのかその前に出しているのかそこは分かりませんが、私どもとしてはデータを隠すつもりもありませんし、たまたま何で調べてはいるけれども公表しなかったのかということは当時の経緯はわかりませんけれども、一日一日ということでこのようなデータはあるというところだったのかなと推測はしますが、推測でしかございません。ただ、その段階でこのデータしか示さずに、お手元にあるような一時間ごとにどうなっているのかということについて出しませんということにはなっていなかっただろうと思います。ご指摘があれば壇上に出させていただいていたのではないかと思います。
記者:
今回精査中のデータは何らかの間違いだった場合に、実態調査の全体のデータは正しいのかどうかという再確認が必要になると思いますけれども、そうしたことを行うお考えはありますでしょうか。
大臣:
今回のいろいろなご質問に今精査をして来週月曜日にお答えをするということでありますので、それを踏まえてまたご指摘があれば対応していきたいと思います。

(了)