塩崎大臣会見概要

H29.7.21(金)11:02 ~ 11:14 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。特に私からはございません。

質疑

記者:
先日、神奈川県内の病院で入院中に身体拘束を受けたことが原因でニュージーランド人の男性が死亡した件で、遺族が会見を開きました。その中では、諸外国に比べて日本では身体拘束の時間が長かったり、回数が多かったりするという指摘がありました。遺族側は安易な身体拘束をしないように制度改正などを求めております。日本での詳しい実態調査などはまだ明らかになっていない点もあると思いますが、今後の国の対応についてお伺い致します。
大臣:
ニュージーランド国籍の若い男性が精神科病院で身体拘束の後に死亡された事案について、一昨日、ご遺族が記者会見をされたことは承知しております。事前にもお話を聞いておりました。改めて、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。記者会見におきましては、特に日本の精神科病院では身体的拘束が多いという指摘がなされたという理解をしております。精神科病院での身体拘束に関しては、精神保健福祉法の改正の委員会審議の中でも、何度か取り上げられた問題でもあります。その精神保健福祉法上、精神保健指定医の診察によって、患者の医療と保護のために必要と認められる場合に限って、必要最小限の範囲で行われるという法律上の定めになっております。一方で、この10年間で身体拘束の事案が2倍になっているということで、ハイペースで増えているということであります。身体的拘束の件数がなぜ増えているのか、このことはしっかりと分析をしなければならないということで、厚生労働省において実態調査を行っております。この結果を踏まえて、必要な検討を行ってまいりたいと考えています。そういった実態がなぜ、日本でだけ増えているのかというご指摘もあるので、しっかりと調べて対処していきたいと思います。
記者:
児童虐待の関連でご質問です。医師の調査で、病院のなかで、虐待をきっかけに入院した子どもが、治療後も病院から受け入れ先が無いという理由で出られないという結果が全国で過去2年間で300人以上という調査結果が出ました。中には、最長で9か月間、病院から出られず、専門家によると子どもの発達に影響があるということと、病院のリソースの問題点もあるのではないかという指摘もあるとのことですが、それについて大臣の受けとめと、今後の厚労省の対応についてお聞かせ下さい。
大臣:
これは、番組で取り上げられたと言うことは私も聞いております。残念ながら、内容については見ておりませんが、大体の話は聞いております。この適切な受け入れ先が見つからないことを理由に、病院への一時保護委託がいたずらに長期化することは望ましいはずがないわけであります。速やかに適切な生活の場における専門的な支援につなげていけることが重要であって、改正児童福祉法の哲学でいけば、子どもの健全な養育を受ける権利を行使するためには、まずはうまくいくならば実親が一番いいわけで、うまくいかないケースで虐待が多いということであれば、家庭環境で育てるということは、里親あるいは特別養子縁組といったかたちで育てるのが、我々が通した法律でありますので、そういう意味でこういったかたちで施設の変形のようなもので、児相がなぜこういうような放置をするのか、私には理解が出来ないのであります。ここのところは、実態把握をしなければならないと思っています。何の実態把握かと言いますと、なぜ児相がこういうようなかたちを放置しているのか、忙しいという話もありますが、忙しくて子どもをこういうように放置するというのは、病院側にも迷惑をかけているわけでありまして、何よりも子どもの健全な養育、発育のためにも良くないということであります。この一時保護委託が病院で行われているという実態をしっかりと調べていく、どこで、なぜこういうかたちになっているのかを調べたいと思っております。一時保護が達成された後の速やかな支援、つまり里親、あるいは見込みが無い場合には特別養子縁組といったことにつなげていかないといけませんので、改めて改正児童福祉法の哲学を児相には徹底をしていかなければならないと思っています。新たな社会的養育の在り方に関する検討会で、いま議論をまとめ中でありますが、最後の段階に来ていますが、家庭と同様の養育環境を確保するための特別養子縁組や里親などの社会的養護の受け皿をどうやって増やしていくのか、安易に施設にとりあえず預けることでごまかさず、あるいは一時保護施設に入れっぱなしということにしないようにしなければならないので、一時保護からの速やか、かつ適切な移行ということを我々は子どもに一番合ったかたちで実現をしていくということが大事だろうと思います。
記者:
ニュージーランド人男性の身体拘束の関係ですが、ご遺族が会見で病院側の対応にも不満があるということをおっしゃっていて、ニュージーランド大使館を通じて日本政府に対応を求めているというお話がございました。ニュージーランド政府側から日本政府に対してそのような話があったのか、またそれを受けて、今後、当該病院に調査や対応を求めるお考えがあるかどうかお伺いします。
大臣:
当然のことながら、これは病院の監督は神奈川県でありますので、神奈川県と私どもも協力して事実関係の把握をしっかりするということが第一で、それに相勤めているところであります。その結果を踏まえて、我々としては適切な対応を行っていきたいと思いますので、ニュージーランドから情報提供の要求は来ているとは聞いておりますが、中身をしっかりと我々も調べたうえで、神奈川県と連携して、そのファクトファインディングは何であるかという中身をみることが大事だと思いますので、そのうえで適切に対処していきたいと思います。
記者:
昨日、新国立競技場の建設工事に従事した新入社員の男性が過労自殺したのではないかということで、労災申請が出ていることが明らかになりまして、今後各地で五輪関係の工事が厳しいスケジュールで行われることとなると思います。まず、事案に対する受け止めと今後何か対応をとられることがあればお考えをお願いします。
大臣:
新卒1年目の作業員が過労によって自殺をされたということは、これは重大な問題がまた発生してしまったと思います。ご遺族は労災請求をされていると聞いておりまして、亡くなられた方のご冥福をお祈りを申し上げるとともに、この労災認定については当然、新宿労働基準監督署において適切に調査をして対応していきたいと思います。この会社は上野にございますので、労災認定は上野労働基準監督署でございますが、しかし、労働の実態については新宿労働基準監督署が所轄であるということでございます。既にこの自殺事案を受けまして、7月19日に新宿労働基準監督署が現場ということで調査に入っております。新国立競技場の建設現場の設計見直しがありましたことはご案内のとおりでございまして、特に他の競技場ももちろんでございますが、ここについては特に工期が短くなっておりますから、このような事案が他に無いかどうか、工事現場そのもの全体を見ていかなればいけないと思います。やはり皆でしっかりと成功に導こうとしているオリンピックの競技場の工事現場で、不幸なことが起きるということはあってはならないわけでございますので、我々としてはしっかりと調査してこのようなことが二度と起きないようにしていきたいと思っております。建設業はご承知のように、時間外労働に対する大臣告示の適用除外になっているという青天井の世界であります。業界特有の課題も当然元請け、下請け、二次、三次、四次、五次そのような方々が競技場でも働いていらっしゃるという中で、不幸なことが起きないようにするためには国土交通省ともしっかり連携して、労働時間の短縮に取り組んで、やはり働く方々も働く喜びを感じていただきながらオリンピックを成功に導きたいと思います。

(了)