食事にひそむキケン~おいしく安全に食べるヒント~

第9回テーマ:魚 フグ

たびたびニュースになる食中毒事件。発生しやすい時期や調理・保存方法などのポイントを押さえておけば防げるはず。
それぞれの時期に起きやすい食中毒と、その予防方法などについて紹介します。

フグは専門店のものか流通品を


日本では毎年フグによる食中毒が発生しており、死亡例も報告されています。フグは、体内にテトロドトキシンという猛毒を持っており、フグ毒による食中毒になると食後20分から3時間ほどでしびれや麻痺の症状が現れます。麻痺は口唇から四肢、全身に広がり、重症の場合は呼吸困難で死亡することがあります。

フグ毒は、塩もみをする、水にさらす、加熱するなどの調理をしても無毒化されることはありません。
フグによる食中毒防止のために、厚生労働省では、食べることができるフグの種類、その部位、漁獲海域、「ふぐ処理者」の遵守事項などを定めています。

フグは、フグの種類の鑑別や有毒部位の確実な除去などができる専門の知識・技術を持っている「ふぐ処理者」(都道府県知事などが認める者)が処理して提供すること、または「ふぐ処理者」の立ち会いの下で処理して提供することになっています。フグを食べる際は、「ふぐ処理者」がいる専門施設(専門店)で食べるか、スーパーなどで販売されている流通品を食べるようにしてください。

規制があるにもかかわらず、フグの食中毒が毎年発生している原因は、フグの処理の資格を持たない素人による調理が大部分を占めています。素人が自分で釣ったフグを調理して食べたり、ほかの人に提供したりすることは危険なので、絶対にやめてください。

また、釣ったフグを「ふぐ処理者」のいない飲食店に持ち込んで調理してもらい、食中毒になった事例もあります。もしフグを釣り上げた場合は、「ふぐ処理者」のいる飲食店に持ち込むか、海に戻すようにしましょう。

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出典: 広報誌『厚生労働』2024年12月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省