新型コロナウイルス最前線

第32回 5類感染症移行後の変更点のまとめ

5月8日に、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが「2類相当」から「5類感染症」へと変更になりました。新型コロナウイルス感染症に関する、よくある質問の内容をQ&A形式でまとめました。

厚生労働省HP:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html


Q1:5類移行後の医療提供体制について教えてください。
A1
これまで発熱された方は、新型コロナウイルス感染症専門の医療機関を受診していましたが、幅広い医療機関で新型コロナウイルス感染症の患者が受診できるように、これまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促す取り組みを進めています。
具体的には、季節性インフルエンザの診療体制を念頭に、外来については最大約6.4万施設、入院については全病院約8,200施設での対応をめざします。
なお、外来に対応する医療機関の情報を都道府県のHPなどで公表するとともに、受診・相談センターの情報については、厚労省のHPでも公開しています。


Q25類移行後の医療費について教えてください。
A2
新型コロナウイルス感染症に関する医療費は自己負担分を公費支援していましたが、移行に伴い、季節性インフルエンザなどと同様に健康保険が適用されて、1割から3割を自身で負担していただくことが基本となります。
ただし、急激な負担の増加を避けるため、引き続き、新型コロナウイルス感染症の治療薬や入院される方の医療費は、9月末まで軽減されます。その後の取り扱いについては、感染状況を踏まえて改めて検討することにしています。


Q3:ワクチン接種について教えてください。
A3
ワクチン接種は、65歳以上の高齢者や、基礎疾患をお持ちの方、医療や介護の従事者などは1年に2度、そのほかの方は1年に1度となります。費用は、今年度末まではこれまでどおり自己負担なしで受けることができます。


Q4:感染者数などの把握について教えてください。
A4
移行前は法律に基づく届出などから、感染者数や死亡者数の総数を毎日把握・公表していましたが、移行後は定点医療機関からの報告に基づき、毎週月曜日から日曜日までの1週間の患者数を公表しています。これらに加え、重症者数や新規入院者数、病床や救急などの医療体制、血清疫学調査や下水サーベイランス研究などの重層的なサーベイランス体制を構築して流行状況を把握し、必要な対策を講じていきます。
また、変異株の動向についても調査を継続していきます。


Q5:定点医療機関や公表データを見る際のポイントを教えてください。
A5
定点医療機関は、内科定点と小児科定点を合わせて全国約5,000カ所がインフルエンザ/COVID-19定点として指定されています。これは、感染症発生動向調査実施要領に基づいて、保健所の管轄単位で人口および医療機関の分布などを勘案して、各都道府県が選定するもので、インフルエンザ定点と同一の定点医療機関となっています。
また、これまでのデータを活用しての定点把握に基づく全国の総患者数の推計については、5類移行に伴い、①限られた医療機関から、より幅広い医療機関で検査・診療を受けられる体制を整備しつつあること、②行政の強い関与がなくなり、季節性インフルエンザと同様に、より個人の判断で検査・診療を受ける仕組みとなったこと、③医療機関を受診せずに健康フォローアップセンターに登録する仕組みがなくなったことなど、国民の行動に影響を与える前提が大きく変化しているので注意が必要です。
なお、5類移行前からの感染動向を一定程度類推できるよう、参考値として、いわゆる第8波時点※の定点医療機関からの報告数についても示しています。
※昨年10月3日~今年5月7日まで。


Q6:新型コロナウイルスに感染したかも? と思ったときは、どのように対応すればよいでしょうか。
A6
あわてず症状などを確認し、国が承認したキットを用いてチェックしましょう。高齢の方など重症化リスクの高い方や、症状が重い方は医療機関にご連絡ください。自治体の電話相談窓口も継続しているので、ご活用ください。

自治体の電話相談窓口
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html


Q7:新型コロナウイルスに感染した場合、外出自粛が求められますか? どのくらいの期間、注意が必要ですか?
A7
5類移行後は、一般に保健所から新型コロナウイルス感染症患者の「濃厚接触者」として特定されることはありません。また、「濃厚接触者」として、法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられます。
一般的に新型コロナウイルス感染症発症2日前から発症後7~10日間は、ウイルスを排出しているといわれています。発症後3日間は、感染性のウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少します。特に発症後5日間は他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えることや、5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されることを情報提供しています。症状が重い場合は、医師に相談しましょう。
また、学校においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナウイルス感染症による出席停止期間としています(学校保健安全法施行規則。なお、保育所などでも同様の期間を「登園のめやす」として示しています)。


Q8:症状が長引く場合は、どのように対応すればよいでしょうか。
A8
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について、実態把握などのための研究を推進するとともに、罹患後症状に悩む方に適切な医療が提供されるよう取り組みを進めています。症状が改善せず続く場合は、かかりつけ医や地域の医療機関などに相談するようにしましょう。
各都道府県において、罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を公表しています。最新の情報を罹患後症状特設ページで確認することができます。

罹患後症状特設ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html
 

出典 : 広報誌『厚生労働』2023年7月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省