技術・製品情報  給水管及び給水用具の性能基準の解説  厚生労働省給水装労データベース
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3.水撃限界性能基準


(水撃限界に関する基準)
 水栓その他水撃作用(止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用をいう。)を生じるおそれのある給水用具は、厚生大臣が定める水撃限界に関する試験により当該給水用具内の流速を2メートル毎秒又は当該給水用具内の動水圧0.15メガパスカルとする条件において給水用具の止水機構の急閉止(閉止する動作が自動的に行われる給水用具にあっては、自動閉止)をしたとき、その水撃作用により上昇する圧力が1.5メガパスカル以下である性能を有するものでなければならない。
 
(解説)
 本基準は、給水用具の止水機構が急閉止する際に生じる水撃作用により、給水装置に破壊等が生じることを防止するためのものである。
 
1.適用対象
 水撃限界性能基準の適用対象は、水撃作用(止水機構を急に閉止した際に管路内に生じる圧力の急激な変動作用をいう。)を生じるおそれのある給水用具であり、具体的には、水栓、ボールタップ、電磁弁、元止め式瞬間湯沸器等がこれに該当する。
 なお、本基準は水撃発生防止仕様の給水用具か否かの判断基準であり、水撃作用を生じるおそれのある給水用具がすべてこの基準を満たしていなければならないわけではない。なお、水撃作用を生じるおそれがあり、この基準を満たしていない給水用具を設置する場合は、別途、水撃防止器具を設置するなどの措置を講じなければならない。
 
2.試験条件
(1)試験装置
 水撃限界性能試験においては、水撃圧の測定を正確に行うため、試験条件には充分注意する必要がある。特に、圧力測定計器については、通常のブルドン管圧力計では正確な測定が困難であるため、圧力センサー及びオシログラフ式記録計等の水圧の変動に対する応答性に優れ、かつ水撃圧の最大値を正確に記録することが可能なものを使用しなければならない。
 また、配管の長さ、径、材質等についても、水撃圧の減衰等に影響を及ぼすおそれがあるため統一的な条件設定を行った。
 
(2)試験条件
 型式承認基準においては、通常の使用状態における水圧として、動水圧0.15MPaの条件で通水することとしていた。しかしながら、水撃圧の発生はむしろ流速と密接に関係することから、水撃限界性能基準では、通常の使用状態における流速として2m/秒を試験条件として採用した。ただし、試験装置の関係上、流速を2m/秒に設定することが困難な場合もあることから、試験条件として動水圧0.15MPaを採用してもよいこととした。
 なお、湯水混合水栓等において、同一の仕様の止水機構が水側と湯側に付いているような場合は、いずれか一方の止水機構について試験を行えばよいこととし、試験の効率化を図っている。
 
3.判定基準
 水撃作用により上昇する圧力を1.5MPa以下としたのは、上昇する圧力がこれ以下であれば、通常の使用状態において、加わる水圧は耐圧性能試験における試験圧力(1.75MPa)の範囲内におさまり、水撃防止器具を設置するなど別途の措置を講じなくても支障がないことによるものである。なお、上昇する圧力とは、水撃圧の最大値と通水時の動水圧の差をいう。
 なお、型式承認基準においては、給水用具の止水機構を急閉止したときに上昇する圧力が、自動閉止の場合は0.45MPa以下、手動閉止の場合は1.5MPa以下としていたが、構造・材質基準は給水装置に係る必要最小限の基準として設定するものであることから、自動閉止の場合も、手動閉止の場合も判定基準は同一とした。

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