第9回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和5年2月15日(木) 10:40~13:00

場所

AP新橋 Aルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス)
 

議題

  • (1)医薬品の安定供給について
  • (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。本日、10名の構成員の先生方が会場での御参加、井上構成員、堀構成員がオンラインでの御出席との御連絡をいただいてございます。
 また、本日は、本田厚生労働大臣政務官が遅れて御出席される予定となってございます。
 なお、本会議は、前回同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、YouTube配信方式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料について御確認をさせていただきます。会場におられる構成員の皆様方のお手元には、本日の議事次第のほか、資料1~2、参考1として開催要綱、参考2として構成員名簿を御用意させていただいてございます。過不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 よろしいですか。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長によろしくお願いいたします。
○遠藤座長 皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず「議題1 医薬品の安定供給について」を本日は議題としたいと思います。事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料1につきまして御説明をさせていただきます。
 資料1の2ページ目を御覧ください。こちらは前回までの検討会でもお示ししております医薬品のライフサイクル及び課題の図でございますが、今回はこのうち、後発医薬品、下の課題の欄では安定供給についてテーマとさせていただいております。
 次の3ページも同様でございまして、現行の薬価算定ルールの中ですと、価格帯集約を含めました後発医薬品の薬価算定改定ルールが該当することとなります。
 4ページ目は以前にまとめております論点でございますが、赤囲みのとおり、今回は「(2)医薬品の安定供給について」、そのうち、特にマル1産業構造やビジネスモデルを起因とする課題。こちらについてテーマとしております。
 さらに、次の5ページには本検討会の前半で寄せられました御意見について記載をさせていただいております。
 続いて、6ページからが今回の議論に関する資料となっておりまして、最初に本資料の目次をお示ししております。最初に後発品企業のビジネスモデルを御紹介し、2.では現状を御説明、3.以降はそれらを要因分析する形で資料を構成させていただいております。
 8ページを御覧ください。最初に、後発品企業のあるべきビジネスモデルについてお示しをさせていただいております。
 左側は前回の検討会でお示しをしております先発企業のあるべきビジネスモデルのイメージ図でございますが、今回は同様に、右側に後発品企業のビジネスモデルについて記載をしております。令和3年に策定をしております医薬品産業ビジョン2021の記載を踏まえまして、後発品企業に求められる役割として、品質が確保された医薬品を低価格で安定的に供給することが求められており、さらに価格以外の価値により競争が行われることが期待されるとしております。
 続いて、9ページからは現状の御説明でございます。
 まず、10ページ。こちらは前回までの検討会でもお示しをしておりますが、後発医薬品の市場規模に関する資料でございまして、医療用医薬品のうち、左側のグラフが数量ベースでの後発医薬品の割合。およそ半数程度が後発品となっている結果となっております。また、右側は金額ベースのグラフですが、こちらはおよそ16%程度となっております。
 次の11ページも以前にお示しをしているグラフでございますが、赤い棒グラフが後発医薬品の品目数、黄色い折れ線グラフの後発医薬品への置き換え率とともに増加傾向にございます。後発品を製造販売する企業は青い棒グラフで、わずかに減少する傾向にございます。
 続いての12ページからは後発品メーカーの概況に関するデータをお示ししておりまして、四角囲みの下に※で注釈をつけておりますが、各企業が取り扱う医薬品品目のうち、95%以上が後発品またはその他品目で構成されている企業について、主に後発品を扱う企業と定義をさせていただいた上で、そのような企業が後発品を取り扱う企業全体のうち、およそ6割程度を占めていることを示したのが左の円グラフでございます。また、右側は品目数で、主に後発品を取り扱う企業による品目が全体の75%を占めているのが示されております。
 続いて、13ページで、こちらは後発品メーカーを企業形態で分けますと、ほとんどが株式会社でございました。また、右側の上場・非上場のグラフですが、左から順番に、後発品を取り扱う全ての企業、中央が主に後発品を扱う企業、右側がそれ以外の企業となっておりますが、主に後発品を扱う企業が、非上場の企業がやや多い傾向がございました。
 さらに、次の14ページで、企業規模別の分類で、真ん中の主に後発品を扱う企業の場合は中規模または小規模の企業が多い傾向がございました。右側の取扱品目数につきましては、左側の主に後発品を扱う企業では下の青い部分、取扱品目数が少ない部分、または上の取扱品目数が多い企業。この両極端に偏っている傾向がございました。
 続いて、15ページで、左から順番に、こちらは大規模、中規模、小規模企業ごとに取扱品目数を色分けしたもので、当然、大規模企業は取扱品目数が多い傾向がございました。また、中規模企業と小規模企業の間では大きな違いはない傾向でございました。
 次の16ページには、参考としまして後発品企業のトップ10を取扱品目数順で、売上げ、営業利益、従業員数等の情報を記載しております。
 さらに、次の17ページにはグローバルに展開する海外のジェネリックメーカーのトップ10について概況をお示ししております。右側の製品ポートフォリオの欄に記載をしておりますとおり、先発医薬品やバイオ医薬品、OTC医薬品、それから、API、原薬の製造など、幅広い分野の製品を扱っている企業が多くなっております。下には比較として国内企業2社についても情報を同様に記載をさせていただいております。
 続きまして、次の18ページからは現在、後発品業界において顕在化している問題・課題を挙げておりますが、大きく、品質管理の不備、供給不安、採算性の低下の3つに分けて順に資料を掲載させていただいております。
 次の19ページからは、まず、品質管理の不備に関する資料としまして、一昨年、2021年の小林化工株式会社における業務停止処分以降の医薬品の製造所における製造管理・品質管理上の不備に対する医薬品医療機器等法に基づく行政処分について一覧でお示しをしております。こちらでは後発医薬品メーカー以外にも、先発医薬品やOTC医薬品を中心に、製造販売する企業も含めまして記載をしておりますが、多くの企業において処分が行われております。また、こちらで行政処分が行われておりますのは、違反の隠蔽ですとか記録の改ざんなど、悪質性の高い重大な違反があったものになりますが、これ以外にも行政指導レベルでの違反が指摘され、製品の回収が行われているケースもございます。
 続いて、20ページで、こちらは行政処分事例の背景としてどのような原因があったのかについて、一番最初の小林化工の事例における外部委員会による調査結果報告書より抜粋する形で記載をさせていただいております。1つ目は、経営陣が社内での不適切な管理を放置していたことが根本的な原因とする、製薬企業経営者としての自覚の欠如及び誤ったガバナンス。2つ目は、従業員の増加に対して必要な教育が十分に実施されていない点。3つ目は、出荷スケジュールの遵守が製造現場にプレッシャーとしてのしかかり、重篤な管理不備を誘発するまでに至っているという過度の出荷優先の姿勢。4つ目は、工場の中で品質管理部門や品質保証部門の人員よりも製造系の従業員を増員したことによる、バランスを欠いた人員配置。企業内のこういった状況が重大な違反につながったことが指摘をされております。
 続いて、21ページには別の報告書の抜粋でございまして、日医工における行政処分を受けまして、当該業者を所管しております富山県庁の薬事審議会において、日医工の不正の内容について調査や検証を行い、再発防止に向けた提言をするとともに、その結果を報告書として取りまとめられたものでございます。この報告書の最後の欄に、関連する制度について要望・提言等を行う記載がございましたので、そちらを抜粋して記載をさせていただいております。
 具体的には、日医工の事例の背景として、アンダーラインの部分ですが、薬価の極端な低下により、共同開発を行わなければ採算が取れない、または安定供給に資する生産体制を構築するために必要な利益を確保することが難しいケースが生じる可能性があったのではないか。品質確保の観点からさらに踏み込んだ薬価制度などの見直し、生産体制に応じた品目数の制限や先発医薬品に対するジェネリック医薬品の銘柄数の制限などを考慮することを期待するといった指摘がなされております。
 次の22ページに関しましては、現在の流通現場で発生しております医薬品の出荷停止や出荷調整が発生する仕組みについて図で御説明をさせていただいております。左側が製薬企業でございまして、A~Dの4社が同じ成分規格の製品を販売している場合を表していまして、そのうち、一番下のD社で問題が発生し、製品回収、リコールを行うとともに出荷が停止した場合を仮定しておりまして、その分、トータルの供給量が減少することになりますので、使用量・必要量は変わらないために、ほかのメーカーであるA~Cの3社への注文が増加することとなりまして、これらのメーカーが通常以上の生産・増産を実施しつつも、在庫がなくなることを防ぐために出荷量の制限を行うことになりますので、これを限定出荷と呼んでおります。
 この出荷中止ですとか限定出荷の現状に関するデータが次の23ページでございます。こちらは昨年8月末時点のアンケート調査結果となりますが、赤囲みの部分のとおり、現在、全体では約28%、後発医薬品では約41%という、多くの品目において出荷中止または限定出荷が行われております。一方で、その下のカテゴリー別の表ですが、8割程度の品目では通常どおりの出荷量を維持していること。また、右下の表では自社の事情ではなく、前のページでの御説明の事例のように、他社品の影響で限定出荷を実施しているケースが多いことがデータとして示されております。
 次の24ページで、業界団体であります日本ジェネリック製薬協会が行ったアンケート結果でございます。製造販売している品目のうち、薬価に対する原価率が6割、7割、8割を超えている品目数がどれくらいあるかを集計したもので、販売管理費や消費税などを含めると、赤字になるとされる目安でございます原価率8割を超えている品目数が全体の3割程度を占めている結果が得られております。
 ここまでが現状に対する御説明でございまして、次の25ページ以降からは背景・要因となる各種課題についての資料を掲載させていただいております。
 まず、26ページを御覧ください。こちらでは課題の全体像の概要をお示ししておりまして、順番に御説明をさせていただきますと、まず、左上の制度特性としまして、先発品の特許切れ直後に、後発品の新規収載時に一定の利益が確保できる薬価となること。また、共同開発によって参入障壁が低下していること。一方で、安定供給継続義務もあるといった要因から、右側の欄にございますように、多くの企業が新規収載品を上市することにより、一社当たりの製造が多品目になってしまうこと。
 また、臨床現場への供給を続けるためにも少量でも生産を続けることとなる。その結果、右側にございますように、長期的には低価格品目を多品目で、また、少量生産という非効率な生産となることで低収益の経営体制となりやすいこと。さらに、コスト低減のために、製造能力の限界に近い稼働状態になりやすいといった問題があると考えられます。
 また、下半分で、後発品の薬価の低下に関する記載でございまして、後発品につきましては、新薬に比べて医療機関や薬局からの値引きの圧力が強い傾向があること。また、後発品同士は主に価格による競争、差別化が行われる傾向があることから、後発品の価格や薬局等への納入価格が大きく引き下がる傾向がございます。この結果、同様に右側の低収益の経営体制につながり、低収益を補うために新しい品目を上市し、それがさらに多品目・少量生産に影響するという負の循環に陥ってしまう構造があると考えております。
 次の27ページ以降は今、御紹介しました内容をそれぞれ資料で御説明をさせていただいております。まず、27ページ以降は制度の特性について御紹介をさせていただいております。
 28ページは、基本的な情報としまして、まず、現在の後発品の薬価算定ルールについて記載をさせていただいております。新しく後発医薬品が保険収載される場合には、対応する新薬、先発医薬品の薬価に0.5を掛けた0.5倍の額。例外として、内服薬であって、1つの成分規格に10社以上の後発品が多数参入した場合には0.4倍と、減額した額とすることとされております。
 続いて、29ページからは4ページにわたりまして後発医薬品の薬価算定ルールのこれまでの変遷をお示ししております。非常に細かいため、詳細な御説明は割愛させていただければと存じますが、概略としましては、この29ページの表の一番上の昭和51年当時でございますけれども、当時は先発医薬品と後発品が同じ薬価が設定されておりましたが、一方で納入価格が異なることで大きい薬価差が生じることが問題視されまして、これ以降、先発薬と後発薬が個別の薬価が設定されることとなりまして、その後は、一番左側の欄でございますが、平成8年には後発品の薬価が先発品の0.8倍で設定される。
 さらに、その次のページで、平成16年には先発品の0.7倍。
 さらに、その次の31ページでは、平成26年に0.6倍という形で順次、後発品の算定価格の引下げが行われている状況でございます。
 そして、平成28年には現在と同じ先発品の0.5倍の価格が設定されております。
 続きまして、33ページを御覧いただければと思います。こちらは通常、1年に2回行われます後発品の薬価収載のタイミングごとに、新たに収載された後発品の品目数を棒グラフで表したものでございます。青い棒が収載のタイミングごとに収載されました品目数、赤い棒グラフがそのうち、同一成分規格に多数の品目、平成24年からは10品目以上ですが、それ以前は20品目以上という基準でございましたが、1つの成分規格に多数の品目が集中して薬価の減産が行われた品目数を赤い棒グラフとして表しております。御覧いただきましたとおり、平成24年以降は1つの成分規格に10社以上が参入するようなケースが多く発生していることがお分かりいただけるかと思います。
 次の34ページでございます。共同開発についての解説をさせていただいております。2005年に薬事法の改正が行われまして、医薬品製造の委受託が可能となったことと併せまして、後発品についても共同開発が認められるようになりました。これによりまして開発コストや参入障壁が低くなりまして、図に例示しておりますような様々な製造モデルが実施可能となっております。この図のうち、マル3、マル4の形がいわゆる共同開発と呼ばれる製造方法・開発方法となります。
 次の35ページには、共同開発を行う際の承認申請の手続について記載をさせていただいております。医薬品の承認を受ける際には費目ごとに、ここに掲げておりますような規格及び試験方法、安定性試験、生物学的同等性試験の結果・データなど、各種資料を提出し、審査を受ける必要がございますが、平成17年以降は、下の図のように、複数社で契約を結んだ上で、特定の企業が提出した資料を共同で、複数の会社で利用して承認申請を行う、いわゆる共同開発ができるようになっております。
 次の36ページには、これも昨年の検討会でお示しした資料でございますが、後発医薬品の品目数の推移と、下の灰色の棒グラフの部分がそのうちの共同開発の品目数を表しておりまして、直近では後発品全体の3割程度を共同開発品が占める形となっております。
 また、次の37ページには毎年ごとの後発医薬品の収載品目数と共同開発品の割合をお示ししておりまして、オレンジがその年に収載された後発品全体の品目数、青の棒グラフがそのうちの共同開発品目数となっておりまして、灰色の折れ線グラフが割合としておりますが、おおよそ半数以上が共同開発品目となっている状況でございます。
 次の38ページで、こちらは共同開発に対する最近の指導に関する資料で、令和3年7月に通知を発出しておりまして、四角囲みにございますように、共同開発の場合であっても自社開発と同様に製品データを作成・把握する責任があることから、それらを担保できているかという点について承認審査の中で審査・確認を行うよう対応の厳格化を行っております。
 続いて、39ページでございます。こちらは参考情報としまして安定供給に関する指導について記載をさせていただいております。平成18年の局長通知におきまして、下線部分のとおり、後発医薬品の薬価収載を行う際には、企業に対して、正当な理由がある場合を除き、少なくとも5年間は継続して製造販売すること。また、常に必要な在庫を確保することを求めております。
 さらに、次の40ページでは、より具体的な記載としまして、平成25年の「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」や平成26年の業界団体による「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」におきまして平均2か月以上をめどに在庫を確保することとされております。
 続いて、41ページからはもう一つの要因でございます低収益構造につながる薬価の問題について資料を掲載しております。
 42ページには平成5年からの薬価改定時の平均乖離率を示しておりまして、近年は7~8%程度で推移しており、言い換えますと、薬価改定のたびに一定の薬価の下落が続いている状況となっております。
 43ページには、参考として財形ごとに主要な薬効分類別の乖離率について直近の乖離率の推移をお示ししております。
 次の44ページでございますが、左の表のとおり、カテゴリー別の乖離率を指数で表しております。令和元年度から令和3年度までの3年間につきまして、最も乖離率の低い新薬創出等加算品、いわゆる新薬を100とした場合、それぞれの品目カテゴリーごとの平均乖離率を表しておりまして、後発医薬品はおおよそ300近くとなっておりますので、いわゆる新薬に比べまして値引きの幅が3倍近くの価格で取引されていることが明らかとなっております。
 理由としましては、右側の業界アンケートの結果にございますとおり、新薬についてはメーカーの価格戦略などによって値下げ幅が比較的小さいことに対しまして、後発薬は同種同効薬が多く競争が激しいこと。また、下に注釈がございますけれども、いわゆる総価取引によるまとめての値引き交渉の中で調整弁として活用されて、相対的に乖離が大きくなってしまっていることが指摘をされております。
 続いて、45ページでは総価取引の実態に関するデータをお示ししております。卸売販売業者を対象に実施されたアンケート調査の結果で、この表は総価取引から除外した製品カテゴリーについて質問したアンケートとなっておりまして、表の上にございますマル1、マル2で、新薬創出等加算品などの新薬を総価交渉から除外して取り扱っている企業数が多い一方で、赤い囲みの部分のとおり、後発医薬品を除外している企業は少ない。結果として、後発品が総価取引の対象となっていることがアンケート結果から明らかとなっております。
 一方で、46ページでございますけれども、この取引方法に関する指導状況をお示ししておりまして、通知として発出しております「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」。こちらにおきましては、可能な限り、総価取引ではなく、品目ごとに価格交渉を行う単品単価交渉、単品単価契約を行うよう求めております。こちらも参考としてお示しをさせていただいております。
 また、次の47ページは、また別のお話になりますけれども、こちらも参考で、後発医薬品は、先ほどから申し上げているとおり、価格が重視される傾向がございますが、一方で各メーカーの努力によって、服用や調剤のしやすさといった製剤上の工夫、付加価値とともに開発されている製品もあることを御紹介させていただいております。
 続いて、48ページからは、御説明してまいりました要因から発生している状況、悪循環の状況について御説明をさせていただきます。
 まず、49ページでございます。こちらは平成26年度以降に薬価の削除、つまり、市場からの撤退が行われた品目につきまして、それぞれの品目が薬価収載から何年後に撤退しているかをヒストグラムで表したものでございます。結果としては、薬価収載から10年までの間、比較的早期に市場撤退を判断する品目が多い傾向があること。また、オレンジ色の部分が共同開発品でございますけれども、これらもより早期に撤退する傾向がある形となっております。
 続いて、50ページでございますが、別の切り口としまして平成24年という特定の年に収載された品目を例示とさせていただきまして、平成24年に収載されました全ての後発品について、それらが2年ごとにどれだけ市場撤退して減っていっているかをグラフにしたものでございます。結果として、令和4年までの10年間で、内服薬では約20%、注射薬では約31%、外用薬では15%程度の品目が撤退している結果でございました。
 また、次の51ページには、この同じ後発品の集団につきまして全く同じ期間で平均を取って、最初の年を1とした場合に薬価がどれだけ下がっているかをグラフで表しております。一番左の内服薬では下落幅が大きく、10年間で約半額の54%まで。注射薬の場合は、途中で一部の品目に不採算品再算定が行われた結果、若干上昇しておりますが、最終的には94%。外用薬については約74%まで下落している結果になっておりました。
 続いて、52ページでございます。こちらも以前の検討会でお示ししておりますが、ある後発品メーカーの取扱品目を利益率の高いものから並べた場合のグラフで、2015年時点では赤字品目が120品目程度だったものが、新しい製品の発売と薬価改定を繰り返した結果、2021年時点では全体の取扱品目数が増えるとともに、赤字品目も約220品目と増えている状況となっております。
 次の53ページはまた別の観点の資料で、後発品企業の製造能力に関する資料でございます。日本ジェネリック製薬協会(JGA)を通してアンケート調査を行いまして、各後発品企業の自社工場において最大の製造能力に対して2023年度の製造計画の稼働率を割合で示しております。その結果、円グラフのとおり、90%以上と、最大製造能力と同程度の製造数量で製造する計画の企業が半数以上となっておりまして、製造力があまりない状況がうかがえるデータとなっております。
 続いての54ページですが、こちらも以前の検討会でお示ししている資料ですが、単一の製造ラインで複数の品目を切り替えながら製造した場合のイメージ図を記載しておりまして、下の図のとおり、洗浄・切替えに伴う稼働停止が発生してしまうため、多数の品目を製造する場合には理論的には生産効率が落ちることになってしまいまして、多品目・少量生産を行っている製造所の場合、製造能力の余力が少なくなりやすいことを御説明しております。
 次の55ページも再度御紹介する資料でございますが、後発医薬品の原薬につきましては、左の表のとおり、多くを輸入に頼る状況になっておりまして、具体的には右のグラフのとおり、韓国、中国、インドなどからの輸入が多くなっております。
 その原薬と調達時の課題につきまして、次の56ページに記載をしておりますが、少量生産を行う場合、大量生産に比べて、原薬の調達も小ロット、小口になってしまうということで、その場合、原薬の調達価格が上昇したり、海外の原薬製造業者にとっての優先順位が低下することによって供給が遅延したり途絶したりするリスクが増加してしまうという、少量生産が安定供給上のリスクにつながってしまう問題についても指摘がなされております。
 続きまして、57ページからは、関連する事項としまして、オーソライズド・ジェネリックについての御説明をさせていただいております。
 58ページには概要をお示ししておりますが、このオーソライズド・ジェネリック(AG)につきましては、明確な定義はございませんけれども、先発品のメーカーから許諾を得て製造される後発品のことを指しておりまして、真ん中の表のとおり、有効成分のみが先発品と同一である通常の後発品と比べまして、AGの場合は添加物や製造方法なども先発医薬品と同一で、例のマル2、一番下の場合ですと製造する工場も同じとなります。
 また、特徴としましては、医師や患者にとっては、後発品と比べて、先発品との共通点が多いこと。AGを製造するメーカーにとっては、ほかの企業の後発品よりも早期に販売を開始できる場合があること、シェアを獲得しやすいこと、また、先発品のデータを使用しまして承認申請ができますので開発コストが安価であることといったメリットがございます。また、薬価につきましては通常の後発品と同様の取扱いとなっております。
 次の59ページには、参考としまして米国の制度を記載しております。米国では通称ハッチ・ワックスマン法という法律に基づきまして、後発医薬品の承認の取得を促進する観点から、最初に承認を取得した後発医薬品に対して180日間の販売独占権が与えられておりますが、オーソライズド・ジェネリック(AG)の場合には、先発品メーカーの許諾を受けているために、この期間内であっても販売を行うことができるとされております。
 続いて、60ページには現在のAGの状況についてデータでお示しをしておりまして、左上の表のとおり、現在は150品目程度のAGが薬価収載されておりまして、一番右の表のとおり、先発企業と資本関係にあるグループ企業がAGを販売しているケースが多くなっております。
 次の61ページはAGのシェアの推移を個別の品目の事例でグラフにしておりまして、それぞれ左上が、AGが後発品よりも先に承認された事例。右上が、後発品と同時。左下が、後からAGが販売されたケースの3つをお示ししておりまして、いずれにつきましても通常の後発品に比べてAGが高いシェアを取っていることがお分かりいただけるかと思います。
 続いて、62ページには、バイオ医薬品につきましても、通常の後発医薬品に相当するバイオシミラーと、先発メーカーから許諾を得て発売されるバイオAGの2種類がございまして、先ほど御説明しました化成品のAGと同じような構図となっていることをそれぞれ御紹介をさせていただいております。
 続きまして、後発医薬品企業のビジネスモデルの問題とは直接の関係にはございませんが、安定供給に対する取組に関しまして簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 64ページを御覧ください。こちらは一連の後発品メーカーにおける薬機法違反、行政処分の発生以降、多数の品目において限定出荷・出荷中止が発生した後の対応をまとめたものでございます。
 まず、供給上の問題として、薬局や医療機関等が正確な医薬品の供給状況を把握できないため、先々の医薬品の確保に不安を感じて平時よりも多くの注文を行うということで、さらに需給のバランスが崩れて流通が逼迫する事態が生じておりました。
 これを踏まえまして、各製薬企業に対しましては各品目の供給状況の医療現場への情報提供の徹底を指導するとともに、業界団体を通じた供給状況の把握と公表などを実施しております。また、個別銘柄ごとに平時に比べた出荷量の確認を行いまして、供給状況の見える化を行い、企業への限定出荷の解除依頼などを行ってまいっているところでございます。
 次の65ページには、さらなる対応としまして、昨年の臨時国会で成立しました感染症法等の改正法案による新たな取組について記載をしております。医薬品の供給不足、またはそのおそれがある場合には、生産・輸入などの状況に関する企業への聴取を行う旨やその情報の公表義務などを法律の中で規定をしております。
 また、さらに次の66ページでは、足元の後発医薬品を中心とした供給不安に対する取組としまして、現在行っております業界団体による各社の供給情報の収集・公表の取組を強化しまして、より迅速かつ頻回の調査及び情報提供を行う事業を来年度開始することとしております。
 さらに次の67ページには、類似の施策としまして、ワクチンの供給・在庫状況を把握するためのV-SYSというシステムがございますが、そちらの概要について参考情報としてお示しをしております。
 続いて、資料の最後の論点でございますが、69ページにお示しをさせていただいております。これまで御説明してまいりました課題等を踏まえまして主な論点をお示しさせていただいております。
 まず初めに(後発品産業のビジネスモデルについて)としまして、品質が確保された医薬品を長期的に安定供給する観点から、現在の少量多品種生産という後発品企業のビジネスモデルをどう考えるか。また、安定供給問題が生じている中、製造能力の強化という観点から、今後のビジネスモデルや産業構造全体の在り方をどう考えるかという全体的な論点をお示しをさせていただいております。
 その上で2つ目のポツでございますが、少量多品種生産というビジネスモデルの背景や結果として生じていると考えられる以下の実態について、長期・安定的な医薬品の供給を図る後発品企業に期待される役割に照らし、どのように考え、また、どのような方向に改善していくべきかとしまして、➢を5つ挙げさせていただいておりますが、個別のテーマを例示として挙げさせていただいております。
 先発品の特許切れ直後の利益率が高いため、多くの企業が参入し、激しい価格競争が行われる実態。例えば1成分当たりの銘柄数の適正化や、共同開発といった参入障壁を下げる仕組み、薬価の在り方等についてどう考えるか。
 2つ目は、早期に市場から撤退する企業の存在。他方で、赤字不採算となっても安定供給を継続する企業もあること。
 3点目は、限られた製造ラインで少量・多品種の生産を行うことによる、生産効率の低下や品質管理及び安定供給上のリスクの増大。品質を確保しつつ、より効率的な製造方法への移行を促す方策の在り方についてどう考えるか。
 4点目は、採算性の観点から原薬・原材料の多くを海外に依存している実態。サプライチェーンを強靱化するための取組の在り方についてどう考えるか。
 最後は、市場流通の中で、ほかのカテゴリーに比べ、総価取引の対象となる品目が多く、言わば調整弁として、より多くの価格引下げが行われている実態。
 こちらにつきましては、流通に関する議論につきましては次回の検討会でも御検討いただく予定としておりますので、そちらで併せて議論をさせていただきたいと考えております。
 また、次のポツでございますけれども、後発品産業を育成する観点から、オーソライズド・ジェネリック(AG)やバイオAGについてどう考えるか。
 次のページに続いておりますが、また、安定供給に係る取組に関しましては、医薬品の供給不安が発生した場合に備え、その医薬品の安定確保を図る観点から、供給情報の収集・共有の在り方についてどう考えるかという点についても論点として挙げさせていただいております。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの資料の御説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。ジェネリック産業に関する非常に豊富な資料を頂きまして、大変、私も勉強になりました。
 これにつきまして、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
 それでは、香取構成員、お願いします。
○香取構成員 非公開でしたけれども、この前にジェネリックメーカー3社からのヒアリングがありまして、こちらも大変示唆に富んだお話があって、勉強になりました。今日の資料も大変よく整理されていて、私も大変勉強になりました。
 最後に論点の方向性が出ていますけれども、ほぼ今日の資料の中で明らかなことは結構たくさん出てきているのではないかと思うので、幾つか質問と、この資料を頂いた上での私のコメントをお話ししたいと思います。
 前回の長期収載品の議論の中でも、後発品の比率が80%に到達していることを考えると、やはり後発品に関する様々な産業政策・医薬品政策については新しいステージ、次のステージに行かないといけないのではないか。私もそういうことだろうと思っています。
 その前提で考えますと、議論もありましたように、安定供給の問題をどう考えるかということと、そもそも、この資料の中でも後発品産業の育成が書いてありますけれども、どういう育成をするのか。数がたくさんあればいいのか、あるいは今日のヒアリングにあったように、それぞれ後発品企業にも役割というか、企業の特質があるわけで、それぞれに沿った育成の仕方があるだろう。先発品・後発品にかかわらず特定の分野に特化している企業もありますし、先発品メーカーや後発品メーカー同士の製造受託という形で機能するところもありますし、大手で幅広く後発品全体を扱っている企業もある。そういった企業の形態に応じた産業育成の考え方を整理したほうがいいのではないか。
 そのことを前提に幾つか御質問をするのですが、今日のお話を聞いていると、例えば多品種少量生産の問題であるとか、言葉は悪いですけれども、ヒット・エンド・ランで食い逃げするみたいな生産の仕方をしていることの背景に、やはり現在の薬価算定の方式と改定の方式、それから、共同開発などに見られるような薬機法上の規制の変更が非常に大きく影響しているのではないか。先ほどありましたが、平成24年の薬機法の改正の後、共同開発の品目が一気に増えているわけですが、そもそもこういった改正をした背景は何かということとも関係するのだと思います。今、後発品企業数が190社ですけれども、この数は、分かりませんが、諸外国との比較で見ても明らかに過剰に多いということなのではないかと思います。
 これは後のAGの話とも関係するのですが、16ページに、グローバルのジェネリックメーカーは、フルライン生産というか、ポートフォリオが幅広いという話があったのですけれども、ここに例示されている企業はそうなのですが、これは欧米市場、アメリカの市場とヨーロッパの市場は価格の決め方が全然違うので、多分、市場構造も違うと思うのですけれども、一般的にこういうふうに言えるのだろうか。もしそうだとすると、それとの比較で、やはり日本の後発品の市場構造は相当特殊だということになるのだろうと思うのです。
 一方で、企業規模の小さい企業がたくさんひしめいていて、他方では大きい企業、たくさんの品目を持っている企業がある。先ほどの話だと、かなりの部分が非上場企業、というものはすごく特殊なのではないか。多品種少量でたくさんの企業があること自体が、今日のお話の中にもあったように、供給不安の問題であるとか、製造管理とか品質管理の不備につながっていると認識すべきなのではないかと思います。
 これは私の感想ですけれども、共同開発もそうなのですが、割とたくさんの数の企業が参入することを慫慂しているような制度になっているのです。そうすると、市場で過度の競争が起こる。言葉は悪いですけれども、あえてそういう構造をつくって、競争によって薬価が下がっていくような政策を取ってきたということなのではないかと思います。それはそれで一つの政策目的があったのかもしれませんけれども、今から振り返ってみれば、薬価の価格が下がっていくような制度を仕組むことを安定供給の問題とか安全性の問題よりも優先させてきたと言ってもいいのではないか。そうだとすると、そもそもの後発品比率80%到達の話からすればここは大きく考え方を変えていく段階に来ているのではないか。
 その意味で言うと、共同開発もそうですが、これは何のために認めたのか。例えば参入するメーカー数を増やすことが安定供給につながっているのかと考えると、決してそうはなっていない。と考えると、これを認める意味、あるいは認め続ける意味が本当にあるのか。要は安定供給のことを考えれば、当該成分の医薬品がどれだけ市場で必要で、どれだけのボリュームの製造能力が確保できるかということになるわけですから、メーカーの数が増えたからといって総体としての提供量が増えるわけではないことは既に明らかになっているのですから、むしろ、諸外国のように必要なボリュームが確保できるだけの企業数あるいは総量が確保できるような、安定供給ができるような体制の中で適正な競争が起こるように、企業数を一定コントロールするという考え方ものがあってもいいような気がします。
 それから、非常に私は疑問なのですけれども、38ページに安定供給義務についての規定があるのですが、これによると、5年間の製造販売を義務づける。もう一つは、一定の在庫を持つこと、となっているのです。このルールで安定供給義務を考えたら、どこかの会社が倒れて供給が滞り、発注がわあっと来たら、企業はどういう対応をするかといえば、安定在庫の確保が義務ですから、自分が供給できない分は受注しないという行動に出るに決まっているわけですよ。安定供給義務の中に生産能力、ボリュームの規定が全然ないわけですよ。かつ、それぞれの企業は製造能力の限界いっぱいで生産するという前提でビジネスモデルをつくっている。ということになれば、需要の変化に対応できないからこれは絶対、安定供給できない。この規定自体が安定供給を阻害すると言ってもいいような話なのではないかという気がするので、これもやはり見直す必要があるのではないか。
 さらに言えば、今日のヒアリングでもありましたが後発品メーカーは後発品メーカーで、例えば剤形の工夫であるとか、後発品メーカーとしての研究開発の投資というものが一方であるわけですよ。そうすると、これができる企業とできない企業は明らかに分かれるはずなので、そういう意味でも今の190社はどう考えるのかということを行政当局としてはお考えになる必要があるのではないかと思います。
 それから、AGについては後で議論になると思うので、そのときにもお話ししようかと思いますが、患者の立場からすれば、AGの後発品とその他の後発品があるとなれば、より品質が高いと思われるAGが選択されるのはある意味当たり前ですね。資料にもあるように、当局も「価格ではなくて価格以外の品質での競争を促する」と言っているですから、AGが選択されるのは当然で、市場で選択されるのであれば価格は高くなってもおかしくないので、AGに関して価格の高止まりという薬価政策上の問題からの問題があると言われていますが、むしろ、AGの何が問題なのかということになるのではないかと思います。
 そもそも、資料にありましたように、後発品については市場で価格を決めると言っていますが、初収載時に0.5掛けとか0.6掛けとかという価格設定をした上で競争させているわけですね。A Gについても特別扱いはしていない。同じ価格でそろえるわけですね。同じ0.5掛けで算入させて、市場で競争させているんですから、実勢価格を前提とするという建前で薬価制度ができている限りにおいて、そのこと(AGの価格高止まり)の何が問題なのかという議論になってしまうと思います。AGをどう扱うかについては別の観点から議論する必要があるのではないかと考えます。
 長くなりましたけれども、私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御意見ではありましたけれども、何か事務局、コメントはありますか。特段なければ。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 お答えできることも幾つかは。
○遠藤座長 では、適宜。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 全て順に、網羅的にということではないのですが、例えば共同開発の観点で、価格低下政策だったかどうかについては明らかでありませんが、当時、ジェネリックの供給量を伸ばしたいという発想があった。そのために参入障壁を下げる。少なくとも共同開発をすることによって、他業種なり他分野からの参入をそこは慫慂するということであったのはあり得ると思います。
 ただ、その後はきちんと自社生産をし、きちんとした医薬品の製薬企業としてきちんと成り立ってほしいということに多分、期待をしていただろうということは当時の考え方だと考えております。
○香取構成員 そうなのですけれども、実際問題を言えば、安定供給につながっていないですね。全体の後発品市場の規模があり、それに対してどれくらいの供給量を確保するかという、そこがないですから、さっき言いましたが、参入企業数が増えれば供給が増えるというものではなくて、現実には供給は増えていないことから考えると、政策として当初の目標が達成されているとは言えない。むしろ、過当競争を生んで薬価が下がっているだけなので、現実にこういう問題が起こっていることを考えると、私は見直す必要があるのではないかと思います。
○遠藤座長 では、事務局、続けてお願いします。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 すみません。ありがとうございます。
 先ほど審議官から申し上げたとおりなのですけれども、先ほどのヒアリングでもございましたし、香取構成員からも御発言がございましたように、まさにステージが変わっているのだろうということで、その新しいステージに即する形で、これは薬価も薬事も、それから、先ほども御指摘ありました、私どもからの通知ですが、安定供給義務の話も中身についてやはり見直しをかけていかなければいけないタイミングなのだろうということは我々も全くそれは同感でございます。
 その上で1点だけ、これは先ほど海外のメーカーについてのお話があったと思うのですけれども、正直申し上げて、我々も全ての海外メーカーの状況を把握できているわけではございませんので、これは典型だと胸を張って言えるだけの材料はないのですが、一般的にやはり欧米では、先ほどの資料にもありましたように、多くのポートフォリオを持っていて、その都度、状況に応じて、ポートフォリオを変えることによって経営戦略を変えていくという形で対応していることは聞いているところでございます。
○香取構成員 ごめんなさい。だとすると、そういうポートフォリオが変更できるような一定の企業規模があることが前提ですね。そういう産業を育てるというふうに考えるかどうかもありますけれども、後発品企業といえども、こういうことが可能であるような一定の規模の企業があって、いろいろな形で受注生産したり役割分担したりという一種、重層的な産業構造というものをある程度頭に置いて考えることが必要ではないか。そういう踏み込んだ産業政策を考えなければいけない段階に来ている、ということなのではないかと思います。これは私の意見です。
○遠藤座長 ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。
 それでは、坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 そもそも、共同開発であったり多品種少量生産であったりということについて、現実について正しく捉えて議論されているのかなという疑問を感じます。
 まず、共同開発のことですけれども、恐らく皆さん方がイメージしているのは、共同開発ができるようになって、質の悪い中小企業がどんどんジェネリック業界に参入してきた。だから、けしからぬというお話をされているように私は印象を持つのです。これは事実でしょうか。
 実は、ジェネリックメーカーの小さいところは共同開発以前からあって、共同開発に参入してきたのはむしろ新薬メーカーなのですよ。先ほどのヒアリングでもありましたけれども、新薬メーカーは実はジェネリックを作れないのです。同じ体内動態のものを作るのは、実は技術力がないと作れないのです。ある意味、リバースエンジニアリングです。だから、先ほどのヒアリングのような会社に頼んで作ってもらう。それが認められたから参入してきた。実は、共同開発はそちら側が多いのですよ。ですから、そもそも共同開発によって悪い会社が参入してきたという前提で議論すると、産業政策の議論としてもおかしなことになる。
 それから、多品種少量生産が何で問題なのかについても違うと思います。そもそも多品種少量生産は医薬品以外でも一般的になっていますし、医薬に限定して言えば、例えば今日の資料の中にあるようなグローバルなジェネリックメーカーはどのくらい作っているか。大手のジェネリックメーカーであれば、製品も成分数で1000ぐらいは作っています。包装の数でいくと、恐らく1万ぐらい作っています。量として言うと大体、日本の市場と同じくらい、1000億錠ぐらい、場合によってはもっと作っている。このくらい、多品種で大量生産なのですよ。
 問題は、こういった多品種の製品について、正しい製造工程管理ができているかどうか。これはできています。大手の会社でも、恐らく日本の会社もきちんとできています。むしろ、できていないのは少量しか作っていないいいかげんな会社なのです。そういった会社をどう淘汰するかという議論をしなければいけない。
 併せて、では、多品種少量生産をやめたらどういうものをやるのですか。例えば売上げの小さいような、コストの高いようなオーファンドラッグもジェネリックもやらなくていい。そういった産業政策を日本は取るのか。随分、変な話になるのではないかと思うのですよ。
 それで、多品種少量生産はなぜ問題かというと、今日の資料の中にもありますけれども、物すごく緻密な工程管理をしているために遊びがないのです。ですから、ほかの会社で何かあった場合に何らかの理由で需要が一気に拡大すると、そこで遊びがないために一緒に連鎖的に供給不安を起こしてしまう。つまり、今日のヒアリングにもありましたが、今のいっぱいいっぱいのキャパシティーを、もっと余裕を持った形の製造キャパシティーにすれば多品種少量生産であっても問題にはならないと私は考えます。
 それから、企業数に関しても、海外と比べてどうなのかという議論がありますけれども、古いデータになりますが、私が平成25年だったかな。中医協で報告したことがあるのですけれども、実は日本の会社はそれほどめちゃくちゃ多いわけではないです。例えばヨーロッパでも、ヨーロッパは一つの市場としてありますが、その中でも各国ごとに小さい市場で売っている会社が結構ありますので、会社数でいくとそれほど日本より少ないわけではない。
 問題は日本の市場の中で、繰り返しますけれども、質がよくない、あるいは売り方に品位がないような会社が小さいところにある。そういったところの日本市場独特の中での幾つかの企業が問題を起こしているところについてどうするかという議論にしなければいけないと思っています。
 まず、その点について指摘しておきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。ジェネリックにお詳しいお立場から御意見いただきました。
 それでは、成川構成員、先ほどお手を挙げておられましたので、お願いします。
○成川構成員 ありがとうございます。
 今回、ジェネリックに関して様々な角度からデータをまとめていただきましてありがとうございました。頭の整理もできましたし、理解も進みました。
 その上で、最後の論点の紙を見ながらお話をさせていただいているのですけれども、少量多品種生産というビジネスモデルの転換期にあるのではないかということは私も同意いたします。ただ、強制的に企業の数を絞ることはできないと思いますので、要するに品質が確保されたジェネリック医薬品を、安定的にきちんと供給していただける会社が結果的に残れるような施策をするということなのだと思っています。そのために何か薬価の面で下支えができればいいのかなと考えておりました。
 一つは、私、新薬創出加算のときの議論では企業の要件は要らないのではないか、むしろ、物の価値で判断をすべきではないかと申し上げました。一方、ジェネリックについては別の意見を持っていて、逆にジェネリックというと有効性・安全性は先発品と同じであることが基本ですから、安定確保医薬品とか、そういう意味での差別化はあるかもしれないけれども、基本的には物の評価ではなく企業としての評価といいますか、品質の確保、安定供給についてしっかり体制をつくってやっていただいているという企業に対して何か報いるような制度ができたらいいのかなと考えております。
 それに加えて言いますと、先ほどの医政局長通知で、安定供給義務の5年というのは直感的に短いなという感じがして、具体的なことを言えば、10年ぐらいきちんと供給していただける覚悟を持って市場に入ってきてほしいなと思いました。
 2つ目の点で、共同開発についての御意見が幾つかありましたが、私の記憶ですと、もともと共同開発は新薬について大昔から認められていた。ところが、後発品についてはそれが認められなかったものを、薬事法の改正で製造委託が全面的にできるようになったとか、当時の規制改革の後押しなどもあって、後発品にも共同開発ルールを拡大したという理解をしております。
 ただ、それによって見かけ上、銘柄数が増えて、以前の卸業界からのヒアリングでもかなり在庫の管理とか、そういうところでも負荷をかけていることも事実だと思うので、何か歯止めをかける必要はあるのかなと思っています。一つは共同開発をすると開発経費が低減されることがあるわけですから、何か薬価の初期の価格設定について別のルールをつくることはあってもいいのかなとは思っているところです。
 それから、オーソライズド・ジェネリックについても一言申し上げますと、確かに発売の時期によらず市場シェアを取っていることが今日の資料でよく理解でき、今の議論にあったように、患者さんや医療従事者からはそれが好まれるということも事実だと思っています。AGですと、やはり開発費用が低減されるので、薬価を最初から安くする手もあるのかもしれないのですけれども、そうすると逆にさらにシェアを取ってしまうことになりますので、そこはどう考えたらいいのか、難しいところです。視点を変えると、逆にオーソライズした先発品の薬価について何か特別なルールをつくってもいいのかなとは思っているので、またそのあたりは議論させていただきたいなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに。
 それでは、小黒構成員、どうぞ。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 私も、実は香取先生が言われていた話で、この安定供給の要件の局長通知はやはり見直す必要があるのではないかなと思います。
 それを前提として少し幾つかお伺いしたいと思います。まず一つは、局長通知の文章を読むと製造販売業者というふうに書いていますので、1社ごとに要件を課するになっているように思いますが、その理解で間違いないでしょうか。要は何をお伺いしたいかというと、安定供給の意味をどういうふうに考えて制度設計をしているかという話です。
例えば先ほども香取先生が言われていましたが、薬で同じような成分で作られているものも結構あります。安定供給の対象でも複数を収載して別々の社が製造しているケースもあるわけですね。にもかかわらず、1社ごとに個別にこういうふうに要件を課しているのかという点が気になります。
 なぜ、そういう話を聞くかというと、これは先ほどもグローバルな話が出ていましたけれども、私は日本の企業の行動はかなり特殊だと思っていまして、いわゆる経済学で非常に議論しにくい側面があると思います。どういうことかというと、例えば欧米であれば一定の利益率がなければ、新たな企業は参入してこないわけですが、日本の場合はそうではなくて、どちらかというと売上げの見通しが立てば参入してくるような側面もあると思います。場合によっては極端な事例では、利益率がゼロでも参入してくるようなケースもあります。そうすると、当然ですが、競争多寡(競争過剰)になるわけです。けれども、日本人が非常にすごいと思うのは、例えばJRの時刻表などを見ても、あんなに分単位で動いている国は多分ないのだと思うのですが、それをやってしまうがゆえに、逆に一定の限界を超えると、競争多寡で問題が起こるということがあると思います。
 そう考えると、やはり制度設計を考えるときにどういうふうに厚生労働省でもレギュレーションをしていくのかというのは結構重要だと思うのですけれども、そこで伺いたいのは、22ページのケースみたいなものがあったときに、これをどうやってコントロールするのかが重要になります。要するに例えばある製品を10社ぐらいが作っているときに、これは10社全部やろうと思うと、普通に経済学的なロジックで考えるとゲーム論みたいな状況になって、お互いの行動を見合いながら戦略行動するのだと思います。そうすると、非常に厚生労働省もレギュレーションしにくい状況になるのではないでしょうか。
 見方を変えれば、先ほどの局長通知みたいなものをグルーピングしていただいて、具体的にどういうふうにするかは私も分かりませんけれども、何らかのビークル(例:法人格があるもの)をつくってもらう方法もあると思います。そこに要件を課して、各社、そこに入ってくださいと。このビークルをレギュレーションしますが、あとは自由にやってくださいという形にすれば厚生労働省としても監督しやりやすいのだと思うのですが、このような方式の可能性はどう考えていらっしゃるのかお伺いしたいです。
 いずれにせよ、もともとの制度設計がどういう哲学で、どういう考えによってレギュレーションしているのかが気になります。繰り返しになりますが、どういう哲学というのは、安定供給というものは何なのか、どういうメカニズムを想定して各社ごとにレギュレーションをかけることになったのか。もし、それが何か今、うまく機能していないのだとすると、私のアイデアですけれども、もう少しグルーピングした形でレギュレーションをするのも一つのアイデアかなと思っていまして、もし何か考えがあれば、教えていただければと思います。
○遠藤座長 何かコメントはありますか。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 すみません。城です。
 現状から見たときに、さすがに違和感が出てきたということは分かります。経緯からいくと、まず、ジェネリックそのものは確かに成分としては同じ成分を用いていますが、製造方法もそれぞれですし、合成法も違いますし、そういうこともあって、各社ごとの承認になっています。それで、各社ごとに収載をしていますので、これは安定供給義務をかけて、そして、ちゃんと安定供給できなかった場合にはその後の収載で、ある種、ペナルティーがかかることもありますので、各社ごとの責任という形を当初は取ったのであろうということでありまして、それ以上のものではなかったと思います。
 グルーピングしてということも今、お話がありまして、これは検討できるのかできないのかも考えてみなければいけないと思います。現状は同じ成分であった。共同開発の場合は分かりませんが、同じ成分であっても全く別の製造所、別のところでそれぞれがやっていますので、それぞれに連帯責任を課するような形ができるのかどうかを多分、当初、そういった発想になっていなかったのはそんなことだったのだろうと思いますが、さっき香取先生がおっしゃったように、ジェネリックは置き換え需要ですので、必要量はそこそこ分かるものでもあるわけですので、安定供給をするときにそういった量の概念をこれまで収載のときには持っていなかったものを入れていくことは一つの形ではないかなと考えています。
○小黒構成員 すみません。補足すると、私は数量を結構、厚労省が決めて書くのは結構難しいと思っていまして、それはやはり患者の需要とか需要の供給の関係で決まるのですけれども、ある程度、似た薬剤で、例えばいろいろな組織体が法的にあると思うのですが、そういったものに一回グルーピングしたものでつくってもらって、そこに厚労省が監督するというやり方のスキームは法的には可能なのではないかなと思っていまして、もし可能であれば何かそういうことも検討してはいかがかという提言です。
○遠藤座長 どうぞ。
○香取構成員 今の小黒先生の話ですけれども、そもそも薬価をつけるときに類似薬効というものをやっているのでしょう。あれは要するに、同じ薬効群という一つのグルーピングの中で代替可能な医薬品だからこそ、そういう価格設定をするわけですね。僕の理解だと、基本的にそのグループは同じ薬価がついているはずですよね。
 そうすると、少なくとも市場が共通の医薬品が何かということについては、これは医政局ではなくて保険局のことだけれども、一定やっているわけです。とすれば、どういうやり方をするかは判断ですが、代替需要のある部分についての一定のグルーピングは恐らく可能なはずです。これは、薬務局だった時代の薬事規制のルールでつくっているものだから、個別企業・個別品目についてしかコントロールが利かないのでそうなるのだと思うのだけれども、産業政策であるとか、薬価政策でもいいけれども、市場政策として考えればそういうコントロールは可能だろうと私も思います。
○遠藤座長 どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 すみません。ありがとうございました。
 今、香取構成員からもございましたように、正直申し上げて、この通知が出た頃は今、足元で起こっているような安定供給の問題が顕在化している段階でつくられたものではないので、安定供給がまさに問題となっている今の時点でこの通知を見てみると、むしろ、安定供給を阻害してしまうのではないかという御指摘は、ある意味、当たっているかなと私どもも考えているところでございます。
 先ほど小黒構成員がおっしゃっていただいたように、安定供給をどう考えるかが物の本質だと思っておりまして、それは先ほど城審議官から申し上げましたし、坂巻構成員からもございましたけれども、やはり個々の企業のキャパシティー、製造能力をどう高めていくかを一つの視点として考えないとこれからはいけないのではないかとは思っているところでございます。
 その上で、具体的な手段として、先ほど成分で見るという、これは実際、安定供給への対処として我々も同じ成分の中にある医薬品でどう代替するかという手法で実際に臨んでおりますので、特に後発品については同一成分規格という一つの類型で考えていくのも一つの考え方かなという感じはしています。
○小黒構成員 すみません。補足なのですが、やはりぎりぎり合理的に考えると、各社に課している限り、自分の企業でぎりぎりのラインまで在庫は持つかもしれないけれども、あと、何か大きなショックが起こったときまで想定して考えることは多分、企業行動とはしないのではないかと思うのです。今、それをビルトインするためのメカニズムがないので、それをどうビルトインするかがポイントではないかと思います。
○遠藤座長 よろしいですね。何かありますか。
 どうぞ。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 おっしゃるとおり、例えば成分といいますか、物によっては、例えば輸液であるとか、それぞれが安定供給のために全体でカバーできるようなお互いのあれは、協議会か、アライアンスか、そういう形で、西日本、東日本を分散しながら在庫を持って供給するような契約を結んで、お互いでカバーする。そういった形もございます。ただ、殊、ジェネリックの同一成分に関しては現状はないということだと思います。
○遠藤座長 オンラインで井上構成員が先ほど来、お手を挙げておられますので、井上構成員、よろしくお願いいたします。
○井上構成員 ありがとうございます。また例によって、この検討会の中で唯一、あまりこの業界に詳しくないのですが、やや外の業界を参考した形で御発言をさせていただきたいと思います。
 伺っていて、気になる点はこの産業をどうしたいのかというのはもう一つ見えない部分です。現状が望ましい姿として保護したいのか、それとも、これは最適状態から大幅に乖離しているので大きな変化を促したいのかという、そこはやはりはっきりすべきなのではないか。為替問題等で原薬の価格上昇への対応の緊急的な一時的薬価の改定はあっても、長期的な利益率確保のための薬価の引上げ等はある意味で現状の変化を促す政策ではなくて、むしろ、これは現状維持の強い動機を製造企業に与えてしまうのではないかと考えています。
 そうした施策をとったとして、今後の人口減少とか財政の中で現状の維持を今後20年できるかといえば、到底、それは可能と思えないわけです。むしろ、創薬ベンチャー支援など、新陳代謝が望ましいと考えるならば、さらに今後、競争が激しくなってくるということで、そういうふうに考えると業界構造の改革はやはり待ったなしのではないかなと受け止めています。
 その中で、本日の議題にもある望ましいビジネスモデルをどうするかという話なのですが、これを行政が示すこと自体に非常に強い違和感を覚えています。そもそも、企業の超過利潤は他社と異なる戦略とか企業行動、また、他社と異なる経営資源への投資があって初めて生まれるものなので、各企業が同じようなビジネスモデルを取れば、それはコスト削減、価格競争以外に選択肢はないことになりますので、むしろ、行政としては各社に他社との差別化を図る多様なビジネスモデルを採用せよというメッセージを発信すべきではないかと考えます。そういう意味で言うと、先ほど共同開発もなぜ認めたのかという話もありましたけれども、ある意味で企業の一つの戦略選択肢ですので、これを規制するかどうかはやや私自身は慎重でもよいのかなという受け止め方をしております。
 そうした中で、安定供給の問題なのですが、これは安定供給義務の規制緩和にも関わる問題ですが、今、日本は政府・行政を挙げて、DXを推進しているわけです。そうした中で、事務局の資料の66ページにあるような、財務状況確認が3か月から1か月に短縮しましたという改善としての御報告なのですが、現状のDXの標準で言えば、やはりこれは毎日状況を把握すべきではないかと思います。サプライチェーンの問題は、基本的に情報の不足、伝達の遅れ、それに伴うリードタイムの問題ですので、これをまず徹底して改善するため、DXに資源注入すべきではないか。これがまず安定供給の第一歩ではないかと考えます。これは昨日、事前説明で事務局にもそう申し上げたところ、なかなか予算措置が認められないということですが、まさにこの部分が企業にとっては現状では独自に準備できないものでありますから、行政でイニシアチブを取るべき問題ではないかということです。
 ただし、この情報インフラの整備はやはり生産者・卸が皆、利益を受けるわけですから、これに対しては企業にコスト負担を要求すべきで、そこにコスト負担してちゃんと参加することのインセンティブをつけることが必要と考えます。例えばコストを負担して参加していない品目等については、いろいろな管理上の扱いに差をつけて、小売や病院等でそうした管理されていない医薬品を避けるような形につなげ、生産者や卸に強い参加動機づけをしていくべきだろう。そうした形で企業にも運営コスト負担を要請しながら、サプライチェーンの情報の問題を解決していくべきではないかと考えております。もちろん企業にとって、これはコストアップになるわけですが、それを負担可能な企業規模に上昇させていく動機づけにもなると考えています。
 もう一つは薬価差の問題なのですけれども、基本的には、私はずっと、これは市場の均衡価格の問題ではないか。これは違うのかもしれませんが、その部分は一部ある。そういう意味で言うと、利益確保のために薬価設定をしていきますというメッセージはやはり非常に間違えたメッセージになるので、むしろ、そういう利益確保のための薬価設定がないという前提の下で利益確保できる体制を企業に本気で取り組んでもらうことを検討してもらう時期ではないかと考えています。
 生産能力の余裕が必要であるとすれば、企業規模の適正化に向けた再編を促すべきで、これは過去の様々なM&A、産業再編の歴史で言うと、基本的にはある産業における規制緩和や大きな価格変動がきっかけになりますけれども、その後の約5年以内にほぼ、該当する産業の半分以上の企業が再編する、それが5年程度で一巡してしまうことが過去の歴史の繰り返しになっています。ですから、やはり大きな産業再編は、ここからスタートさせるとすれば、5年ぐらいで一気に進むことを前提に政策を考えていく必要があると考えていますが、これは行政側にもそれなりの覚悟が必要だと思います。
 こうした状況の中で、適正化していくためには複数の政策のミックスが必要であろうということで、かつこれをだらだらやるのではなくて時限的に行っていくのがやはり必要なのではないか。例えばM&Aのような、一応、産業再編の期間は5年ぐらいというものが過去の経験で分かっているわけなので、そういう意味で言うと、一定以上の規模、インパクトのある組織再編に対して助成金を付与するであるとか、またはポートフォリオの適正化のために再編する際には、赤字品目に対して5年を待たずに撤退オプションを認めるであるとか、一方で同時に、安定供給義務を5年ではなくて7年または10年など、コミットを要請してはどうか。そうすると、特許切れ直後の参入コストが上がりますので、過当競争の緩和につながるのではないか、または参入するための規模確保のための企業再編の動機づけになるのではないかと考えます。
 長くなりましたが、まとめると、5年程度の時限措置によって企業再編を促進して、企業規模を拡大させる。これを通して投資余力を持たせ、安定供給と企業の利益率確保を同時に実現するような政策ミックスが望ましいのではないか。これが最終的には、過当競争を緩和することで、薬価においても製造業者が一定の価格交渉力を持てる。規模の上昇は当然、価格交渉力の上昇に結びつきますので、そうした一定の価格交渉力を持てる状況を確保する。そうした状況を確保して初めて、これは新規参入者、創薬ベンチャーの参入も、動機も高まるので、そうした参入を促して、産業全体の新陳代謝を続けながら産業の強靱化を図れないか。そういうものが他の業種で言うと一般的なので、そうしたことがやはり望まれるのではないかと考えています。
 基本的に、経済学の中で規制業種は、一般的に企業が独占で価格を上げて、独占利潤を上げるという予測がありますが、一方で、規制業者ではむしろ企業側は何もしない。保護されているので、これはクワイエット・ライフ(Quiet Life)問題と言われるのですけれども、できるだけ努力をしないという問題もあるので、やはりそうしたものに対して少し、本当に望ましい姿に対して強化を促すのであれば、ある程度、時限的なインセンティブを与える中で産業再編を促していくのではないかと考えました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。業界再編成は、なかなか厚労省の持っている政策手段の中で積極的に行う、有効に行うのはなかなか難しい課題であるわけですが、それに対してもいろいろと御示唆をいただいたと理解させていただきます。
 それでは、先ほどお手を挙げておられました芦田構成員、どうぞ。
○芦田構成員 座長、ありがとうございます。
 話を先ほどの局長通知のところへ戻してしまって恐縮なのですけれども、この局長通知は安定供給を義務づけているというふうに書かれているので、それが目的の一つだろうと理解しています。一方で49ページの「薬価削除した品目における薬価収載期間」というデータを見ると、5年未満に薬価削除されたものが非常に多いです。局長通知には5年間の安定供給を義務づけるとしておきながら、実は5年未満で、薬価削除、撤退している品目が非常に多い。
 そういう意味では、この局長通知が実は守られていない例がたくさんあると読み取れます。5年未満に撤退してしまったようなものに対して何かペナルティーのようなものが科されているのでしょうか。ペナルティーといってもいろいろな種類があると思います。例えば、次の新しい薬価収載は何年間できないとか、いろいろな手段があると思いますが、そもそもペナルティーを科しているのかどうか。もしそういうものがないとすると、あまりこの局長通知の強制力も高くないのではないと思ったのですが、その点はいかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 最初の資料の御説明のときに申し上げておくべきだったのかもしれませんが、ここはおよそ合併によって品目の整理がされたものなどが入っているのが大半で、中身はそういう形になっています。
 それとは別に、ペナルティーについては、自主的に次のものを辞退してもらうとか、そういうものは一応ありますが、こちらからかけるペナルティーはないですね。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 資料の御説明の補足をさせていただきます。恐れ入ります。
 すみません。39ページで、説明が不足しておりまして申し訳ございません。先ほど御紹介させていただきました局長通知の下の欄に新しい、直近で発出させていただいている通知を記載しておりまして、こちらの中では下線で引かせていただいておりますが、収載から5年を超えない範囲内で欠品ですとか出荷調整、回収等で供給不足を生じさせた製造販売業者については念書を提出していただくということで、その念書の中で、供給不足を生じさせた場合には、当該発生日以降の初回の薬価基準収載について自発的に見送っていただくことをお願いさせていただく取扱いを実施しているところでございます。
○遠藤座長 芦田構成員、どうぞ。
○芦田構成員 分かりました。そういうものがあることは理解しました。先ほど成川先生もおっしゃっていましたが、後発品医薬で安定供給が課題という認識であれば、やはり企業に何らかの要件を設けることも一つの方法だと思います。その要件をクリアしたからには何らかのインセンティブ、逆にそれを満たさない場合には何らかのペナルティーを科すというような政策もあっていいのではないかと思います。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 先ほど来の局長通知の話なのですけれども、ここもきちんと認識していただきたいのですが、なぜこういった通知が出たのかというと、平成18年の頃はまだジェネリック医薬品に対する信頼がものすごく低くて、それこそ小さいところが売り逃げをしょっちゅうしていたわけです。ですから、5年間は継続して発売しろという義務を課したわけです。
 併せて、次の在庫についても、平成25年で、この頃もやはり小さいジェネリックメーカーが発注してもすぐに持ってこない。だから、ちゃんと発注してすぐに持ってこられるように、ある程度の在庫を置いておきなさいという趣旨でつくられたものなのですよ。
 ですから、この安定供給に関しては3つぐらいに分けて議論しなければいけなくて、過去の安定供給の背景。これは現実に今、起きているところに関して言えば合っていないので、それは見直さなければいけないのは御指摘のとおりだと思います。
 2番目の現在起きている安定供給に関しては、これはやはり品質製造問題の不祥事で起きているので、この品質製造問題に関してどのように解決するのかについて、これは議論をきちんとしておかなければいけない。ただし、これは期待というか、これはいずれ解決しなければいけないし、解決されるわけです。
 それで、次のステージで、ここはサプライチェーンの強靱化という議論をやはり考えていかなければいけない。日本はこの議論、例えば今日の資料に入っていないわけですけれども、国際的な状況を見ますと、例えばヨーロッパであれば2020年11月に欧州医薬品戦略が公開されて、これは全部で4つの大きなポイントがあるのですが、その一つが危機への備えと対応メカニズムの強化、多様で安全なサプライチェーンの構築、医薬品不足の対応というものが入っています。これをベースにして医薬品の安定供給に関する構造対話が今、行われていますが、この中で堅牢なサプライチェーンの定義、それから、必須医薬品の特定とEU域内での製造能力の把握、脆弱性の原因の分析、技術革新。こういった4つについて議論されています。
 こういった海外の議論と比べてみると、いかにも今の日本の置かれている状況がもちろん、企業のジェネリック医薬品の不祥事というレベルの低いところからスタートしてはいるのですけれども、もう少し先のグローバルな医薬品の安定供給、サプライチェーンの強靱化。そういったところで議論をしていかないと、周回遅れの議論をまた続けるのかなという印象を私は持ってしまいます。
 すみません。以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかに御意見等はございますか。
 それでは、三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 どうもありがとうございました。また、資料もありがとうございました。
 やはり安定供給の一番の大本は品質管理だと思っていまして、ものづくり日本というものは品質の力があって、そういった意味では19ページにありますが、薬機法違反で物すごく多くの企業が大きな問題を起こしているのは非常に問題で、お聞きしたかったのが、業務停止とかとありますけれども、この辺りは違反の程度ですね。品質の悪さの程度も含めてかもしれませんが、それはどう違うかというのは、また後ででも結構なのですが、お聞きしたいなと思っています。
 そういった意味では、本当にこのあたりは、先ほど成川先生がおっしゃった企業要件を厳密にするというお話もありますし、まさに芦田先生がおっしゃったみたいなペナルティー、先ほどのヒアリングでもペナルティーみたいなお話がありまして、私もちょうど芦田先生と同じことを考えたのですけれども、実際、やはり品質が悪いものが出てしまって、それが多量で、多くの問題が起こって、出荷停止になってという話になっているわけですから、そういうふうに考えますと、こういった出荷停止の大きな問題を起こした会社に対してはペナルティーとして、まさに芦田先生がおっしゃったみたいに、新規収載を、例えば適当な話ですが、1年資格停止とか半年とかというものも十分考えてもいいのかなという感じがいたしました。
 ただ、もちろん、こういった政策の場合にはやはり報酬とペナルティーという話なものですから、これも成川先生も言われたような話だったと思うのですけれども、ちゃんとしているところに対しては何かインセンティブを与えるみたいなことも多分、セットとして考えるのがいいかなという感じがいたしました。
 あと、もう一点だけなのですけれども、44ページに乖離率が大分違うというお話がありまして、先発品に関して、100に関して283とか3倍みたいな話がありまして、7%乖離率で100が5%としたら3倍で15%とかという話になるわけですが、この1週間ぐらいである新聞記事に出ていたのですけれども、大手ドラッグチェーンの調剤部門の粗利が38%とか39%となっていまして、記事が出ていたのですが、粗利ということは小売マージンで、まさにいわゆる乖離率ということなものですから、そういった意味では物すごく取られていて、そういうふうに考えますと、その辺も何か資料があればいいなと思いまして、まさに香取先生が資料2で出されていますように、薬局とか医療機関とか診療所でまた違うとか、何かそういったところがあればありがたいなという話をしました。
 それに関わる話なのですが、今回のこの会議、私も出させていただきまして、メーカーさんのお話とか卸さんのお話を伺っているわけですが、薬局の方のお話はなかなかない感じがありまして、何か機会があれば薬局の方の多分、御意見もいろいろあるかと思うのですよ。そんなことがお聞きできる機会があったりしたらありがたいなと思いまして、あと、やはり流通というものは、メーカー、卸、小売、消費者、患者なわけですから、小黒先生が前におっしゃっていたかと思いますけれども、例えば消費者の意見、患者の意見とか、それもどこかから聞ける機会とかがあればいいかなという感じがいたしました。
 要望みたいな感じですが、簡単ではないかと思いますけれども、何か御検討いただければありがたいなと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 貴重な御意見、どうもありがとうございました。
 できるだけ多くの方の御意見を頂戴したいと思いますが、菅原構成員、お願いします。
○菅原構成員 ありがとうございます。私も先生方の御発言を聞きながらどのようにしたほうがいいのか、いろいろ考えていました。資料の8枚目、この後発品医薬品のビジネスモデルをどういうふうに考えるかというところで、2つの大きな目標である「低価格」で「安定的」にという、ここをいかに両立させるかという非常に難しい方程式を解くのだと考えております。
 先ほどのヒアリングの中にもありましたけれども、「低価格で」という部分に関しては製造コストの低減が恐らく一つのポイントになっていて、お話の中で生産ロットのスケールがやはり大きくなればかなりの効率化が図れて費用の低減はできる、製造コストの低減が図れる。それから先ほど来、いろいろと話題になっている共同開発に関しても、これは企業側からしてみると費用低減の一つの大きなファクターになっているということだと思うのです。
 だからここの部分の製造コストの低減を図るためにどうすればいいか、なのですけれども、やはり一定の企業要件で効率化の再編を促すことが私は必要ではないかと考えています。というのは、市場のメカニズムに任せていくことが私も基本的な線だと思うのですが、これまでの後発医薬品の市場の構造は長期にわたって、本当に10年、20年というスパンの中で、かなり同じような議論がされてきたわけですけれども、なかなか再編されていく流れにはつながっていないように思います。
 井上先生の先ほどの御指摘もありましたように、やはりドラステイックに再編していくためにはそれを促すための何らかの呼び水、仕組みが必要で、そういった意味では参入時の供給義務の長期化だとか、ある一定程度の供給義務のハードルを考え直して上げていく。そのことによって、それに対応できなければそこから退出していただくような仕掛けがそろそろ必要ではないかというふうに考えています。もちろん、そこのハードルを越えていけるようなものに関しては何らかのインセンティブを考える。これは時限的かもしれませんけれども、そういう議論が私もあっていいと思っています。
 もう一方の安定的にというところの一つのポイントは、企業側からするとやはり一定の収益がある程度の予見性を持って確保できる点に尽きるのではないかなと思います。そういった意味では、先ほど小黒先生あるいは香取先生からもありましたけれども、これは城審議官のお話の中で、ジェネリックの市場は置き換え需要だから、ある程度、市場規模が予見できる点がやはり先発品と違うところだと私自身も認識をしております。予見可能な市場規模、一定の必要量が分かるとすれば、あとはそこの各領域別の製造のコスト構造ですね。先ほどのヒアリングの中にもありましたが、各社は自分たちの製造コストの状況については当然詳細に分かっていますから、市場規模と製造コストの見合いでどのぐらいのロットになっていけば原価が落ちてくるのか、ある程度把握できれば、産業組織論的に言えば市場の中にあるべき適正な企業数、国民的に見て安い値段で安定的に供給できるような適正数が、一定程度見えてくるのだろうと思います。
 その後に考えるべきこととして、放っておけばこれまでのように単品単価ではなく総価取引の調整役になってしまっている後発医薬品の在り方を考えると、これはもちろん、一方で直していかなければいけない流通の問題であるわけですけれども、バイイング・パワーがやはり相当強いわけですから、これをすぐに直していくことはなかなか難しい。そういうことを織り込めば、ある一定回数の診療報酬改定、薬価改定の後にはその後の薬価改定から除外をするような考え方、あるいはある一定回数の改定が終わった後は、レートベース方式といいますか、原価を基に公正報酬率規制に移行して、ある一定の原価に対しプラスアルファの利益率をオンして安定供給を促していく考え方も私はあってもいいのではないかなと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 それでは、三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 ありがとうございます。
 今回の話につきまして、基本的にやはり、この3年間起こった大変すさまじい後発薬の供給不足と現場の混乱がありますから、それについて、基本的に一体、何があったのか、なぜあそこまで混乱が広がったのか、そして、収束になぜ2年も3年もかかるのかについてしっかりと分析しておく必要があると思います。
 それで、先ほど22ページで図示をしていただいたのですけれども、恐らくこれだけでは説明できないものがきっとあると思います。ただ、私は恐らく、今回の問題につきましては、先ほど構成員の先生方の御意見とも重なるのですが、3つの次元に分けて考えたほうがいいと思います。
 一つは、ある意味で従来型の後発薬に対する政策とか業界構造が持っていた問題が今回噴出した。それが日医工の問題であり、富山県の薬事審議会が非常にいいレポートをつくっていらっしゃいまして、それを読むと、本当にこんなことが現場で許されていたのかという内容もあります。明らかに薬機法違反が横行していたということがあり、GMP・GQP法令違反が日常的に行われていたという話で、これについては、既に新しい通達をお出しになっていますけれども、これからも厳しい薬事監査を行う、あるいは例えば、参入要件について、企業要件を加えていく必要があるということだと思います。これについては恐らくどなたも反対されないだろうと思います。
 ただ、あと2つ次元が残っていて、私が心配しましたのは、このいわゆる後発薬の国内の供給不安問題と原材料・原薬のまさに輸入あるいは海外調達の問題、いわゆる一種の国の経済安全保障に関わる問題が同時に起こっていたということです。それが例えばセファゾリン不足の問題であったのです。そして、それは先ほどのメーカーの方のヒアリングにもあったのですけれども、それは新薬なのか、長期収載品なのか、後発薬かという次元を超えて、共通した問題としてきちんと捉えるべきであり、これは坂巻先生がおっしゃいましたように、医薬品のサプライチェーンの強靱化というきっちりとした政策をつくっていく必要があります。
 そこで、国内問題と海外からの原薬・原材料調達問題の2つをまず分けて整理していただきたい。まず、問題点を整理していくに際して、一番危ないものを別枠にしていただいて、これらにはきちんとした枠組みを構築し、制度的に整理していただく。これは国の経済安全保障法制度と連動すると思います。それから、いわゆる後発薬の混沌とした状況は、先ほど香取構成員がおっしゃいましたように、いろいろな形を取りながら、それを整理していく話を少し、同時進行なのですが、政策の次元を分けて進めていただく必要があるのではないかと思います。
 そして、やはり3つ目の次元があって、これは前回のバイオシミラーの議論とか、これは坂巻先生が御専門であるわけですけれども、なぜ、日本でバイオシミラーができないのか。今日、メーカーさんのお話を伺ってきた印象なのですが、先ほど厚労省が提示されている後発薬のビジネスモデルで、今後は持続性困難というか、これはあり得ないようなモデルになってきている。もちろん、従来型の分野においては、これで十分なのかもしれないですが、新しい分野の新薬の特許が切れたときに、果たして日本からそれに対応できるような後発薬メーカーがちゃんと生まれてくるのだろうか。
 それはバイオ医薬品の話に出ていましたように、日本に研究開発・創薬、あるいは生産基盤がなければ実は後発薬も出ないというのが前回のお話だったと思います。そうしますと、恐らく3つ目の話があって、まさに後発薬について、これまで安くて、あまり付加価値が高くない医薬品みたいな言い方をしてきたのですが、それは大きな間違いであって、治療の現場においていろいろ組合せで使っていらっしゃるわけですから、非常に重要な後発薬もあります。もちろん非常に重要な新薬があることを考えますと、その特許が切れたとき、日本はどうするのかという話が出てきそうです。そうすると、重要後発薬の戦略的基盤整備。これはひょっとしたら医薬品ベンチャーと同じかもしれませんが、それと同じような形で、しっかりともう一つ政策基盤をつくっておかないと危ないのかなという感じがいたします。
 この3つの次元をやはりきれいに整理しながら政策を進めていく必要があるのでないかというのが私の今日の感想でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。政策の視点について大変重要な御指摘をいただいたと思います。
 それでは、川原構成員、その後、オンラインで手を挙げておられます堀構成員の順番にいきます。
 では、川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 本日は幅広い資料の提供をありがとうございました。
 53ページで製造能力の状況について御説明いただきましたが、これを見て驚いたのですけれども、90%以上の稼働率のところが半分以上を占めるとのことでした。先ほど、小林化工で過度の出荷優先があって、それがまた事故に結びついた事例からすると、この高い稼働率がずっと維持されるというのは、また同様の事例が繰り返されないかという懸念があると思ったところです。
 また、もし分かればお聞きしたいのですけれども、この53ページで70%未満という会社が5社あるとのことですが、現在の状況を鑑みると、ある程度、高い稼働率にどこもなるのではないのかと思うのですが、5社が70%未満とのことであり、何か要因があったのかどうか、もし分かれば教えていただきたいのが一点です。
 2点目が、16ページの資料で売上と利益の状況が書かれています。それで、後発メーカーに規模の経済が働くのかどうか分かれば教えていただきたいと思っています。新工場を造ったりですとか新しいラインを造ったりするためには当然、投資が必要で、その投資コストの回収のためには、体力も必要で、売上と利益が必要だと思うのですけれども、売上規模の大きいほうが利益も大きくなるという関係性が見られるのかどうか。
 この16ページの表だけではなかなか判断できないのと、あと、単年度ではなくて、複数年度見ることによって、規模の経済があるのかどうかを見た上で今後、再編を捉えるときに、どれぐらいの規模の部分の後発メーカーを増やしていくか、何かそういった議論につながればいいと思って、御質問させていただきました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。今、いただきました御質問のうち、まず1点目、53ページの製造能力に関するデータでございますが、こちらは集計といいますか、企業の回答の方法が若干、解釈が異なる部分があるやもしれませんが、基本的にはその次の54ページでもお示しをしておりますとおり、製造の合間の稼働停止だとかの影響もございます。また、機器のメンテナンス等の影響もございますので、必ずしも本来の製造所の製造能力を100%、個社の事情によりますけれども、発揮できない状況もあるということで、企業あるいは製造所によっては70%未満となっているケースもあると聞いているところでございます。
 それから、もう一点の御質問の16ページですか。規模の点につきましては、御指摘いただきましたように、一般論で申し上げれば、今日のヒアリングの中でもございましたように、規模の経済といいますか、大量に製造すれば、その分、コストが下がり、利益も出しやすいといった傾向はございますけれども、実際の営業利益の出方につきましては、個社のそれぞれ事情がございますので、一概には言えないような状況でございます。
○遠藤座長 川原構成員、いかがでしょうか。
○川原構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 それでは、お待たせいたしました。オンラインで御参加の堀構成員、お願いいたします。
○堀構成員 本日は非常に詳細な資料をありがとうございました。
 根本的なことになってしまうかもしれないのですけれども、最初のビジネスモデルのところについてお伺いしたいのですが、左側は、前回も出されておったと思うのですが「先発企業のあるべきビジネスモデル」で、右側が「後発品企業のあるべきビジネスモデル」となっています。個人的な疑問にもなるのですけれども、前回はこの左側に「先発企業のあるべきビジネスモデル(収益構造)」となっていました。確かにどういうところで利益を上げて、どういうふうにやっていくかというところは何となく見えるような気はします。
 一方で、この右側にある「後発品企業のあるべきビジネスモデル」で言いますと、もちろん、井上先生がおっしゃるように、個々の企業がそれぞれの戦略でビジネスモデルをつくるべきだと思うのですが、ここでは、全体としての方向性が示されているものと解釈しています。そう見たときに、この右側にビジョンが書かれているのですけれども、これは何を売って、どのような価値を付加し、そこから収益を上げるのかという、ビジネスモデルとしてどのようなものを推進したいのか、後発品企業に対するメッセージとしてよく分からないなと。ビジネスモデルではなく、厚生労働省の政策として後発品の品質を確保して低価格なものに誘導したいという法・規制のあり方を示しているということでしょうか。これを見たときに、後発品を専業にしているような企業もあれば、そうでない企業もあると思いますが、あるべきビジネスモデルに向けて企業に伝えたいメッセージは何か、受け取る側からするとわかりづらいのではないかと。
 何を言いたいかというと結局、新しい事業展開・再編、トランスフォーメーションは恐らくこれからの未来を考えるときに必要になっていくと思うのですが、そのときにどういうふうに自分たちはトランスフォーメーションをしていけばいいのかというと、そういうことが分かるような何かビジネスモデルのあり方を、すぐには難しいかもしれないですが、見せていかないと企業側もついてこられないのではないかなと思いました。
 もう一点は、今、私が言ったことと若干矛盾するのですけれども、先発企業といっても、後発品企業、後発品を作っているところもありますし、後発品専業もあればそうでないというお話も今日の資料の中で非常にありましたので、ビジネスモデルを展開していくためのトランスフォーメーションを支援するような施策とか、それは厚生労働省ではなくて、ひょっとすると別の省庁の得意分野なのかもしれませんが、今回のこういうサプライチェーンの標準化という議論のDXをどう進めるかとかもそうですけれども、厚生労働省だけでなくて、ほかの省庁とも横断的に、一緒に戦略的にやっていく視点も薬価や規制をどうするとかというときに非常に重要だと思います。つまり、従来の薬価や規制に依存しない事業ビジネスモデルを展開していくためのトランスフォーメーションをどう支援するかという視点もどこかにあったらいいのではないかなと思いました。
 以上です。コメントです。
○遠藤座長 御意見として承りました。
 事務局、何かありますか。よろしいですか。
 では、あればコメントをお願いします。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 ありがとうございます。
 井上先生からもありましたし、途中、何名かいただきましたけれども、ビジネスモデル、特にこれがビジネスモデルなのかについて言えば、このビジョンにおいても、どちらかというと目指すべきというよりは、最低限満たしてもらわなければいけないことをまだ書いている状況に近いかなと私は理解をしていました。
 それで、明確に書かれていませんが、特許期間満了後ということが書いていますが、特許期間満了後ですので、先発メーカーは、当たり前ですが、特許期間中の勝負になりますので、サイクルを早く回してきちんと出していくことになりますけれども、特許期間終了後ですので、これは「安定的に供給する」と書いていますが、これは長期にわたり、別に期限がないのが本来の姿であってもいいかなというぐらい、安定的に、長期に、大量に供給していただくことはせめてやってほしいというのがこの当時の話だと思います。
 その上で、それぞれのビジネスモデルをちゃんと確立してほしいということであって、これがビジネスモデルだということが実は書かれてはいないということなので、先ほど井上先生からもありましたけれども、今の状況でいいのかというお話について言えば、我々も相当変えていただかなければならないだろうと考えております。どういう手段があるかというのは、厚労省はなかなか手段が即、思いつかないわけですが、先ほどいただいたお話も含めて、そこをしっかり考えていかなければいけないというのが、すみません。現状でのコメントになります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大体皆さん、一通り御意見を承りましたが、追加でございますか。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 まだ予定の時間まであるので、ちょっと言わせてください。
 1つ目は、先ほど感染症法の改正に伴って医療法の中で情報の提供を義務づけたということなのですけれども、やはり情報提供を義務づけて、それをどう使うのかをもう少し具体化しないといけないのではないかなと思います。
 こちらも海外の状況を見ますと、ECが今年3月に新しい法律改正で改めて企業に情報提供を義務づける形になっています。これもグローバルな動きを見たときに、日本でもやはり情報の提供サイトについての具体化をもう少し議論していただきたい。
  それから、AGに関して、私がいろいろと文句を言って資料を用意していただいたわけですけれども、先ほどシェアに関してはお話がありましたが、実は価格に関しても、私個人でデータを分析したところ、価格が高止まりする傾向があるのですよ。それは何が悪いのか。品質に対して、それを評価している中の市場がそういう価格をつけているのだという御意見もあろうかと思いますけれども、一つは医療費コントロール効果がうすまるということもあるし、何よりもやはりジェネリック医薬品全体における健全な競争を阻害していることに問題があるのだろうと私は思っています。
 具体的にどうしたらいいのか、既に成川構成員でしたか。先発品で何らかの対処をするということもあり得るのではないかということがありましたけれども、やはりジェネリック医薬品の市場が健全に競争するためにはAGの在り方については引き続き検討していただきたいと思っています。
 3つ目で、今日の資料になかったのですけれども、前回、菅原構成員からお話がありましたが、特許が切れて、先発品が撤退した場合に、情報の移譲をどうするのかという話がございました。実際にこのことは既に起きているわけですけれども、正直言ってうまくいっていないのが事実です。
 また、恐らく2024年度でしょうか。G1ルールの前倒しで撤退する品目が23品目とかと言われていますけれども、かなりの数が撤退する中で情報の移譲がどうなるかについて、現状はうまくいっていないのが私は事実だと思っていますので、これに関しては情報の移譲に関するガイドラインを早急に制定する。そういった議論をぜひスタートするべきではないかということを3つ目として申し上げたいと思います。
 すみません。以上です。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょう。
 三村構成員、どうぞ。お願いします。
○三村構成員 最後の安定供給について、一言だけコメントさせていただきます。
 今回、厚労省がやっていらっしゃることなのですけれども、基本的にはいわゆる医薬品の供給安定のための基本的スキームがあって、その3つのステップをどういうふうに踏んでいくかというなかで、最後のステップが一番難しくて、まさに需給調整をどうするかということですが、第1ステップ、第2ステップについては、ある意味で少しずつ進んでいらっしゃると評価しております。
 一つは、国の調査権限なのですけれども、基本的にはある一定のいわゆる品目指定された商品については、きちんとした情報収集、それに関して企業側がそれに対応するということですから、これはまずワンステップを踏んでいらっしゃる。
 2つ目は、先ほど日薬連の対応期間はもう少し短くていいのではないかというコメントをいただいていますが、まず、基本的には川上段階におけるリスク情報の開示。これをまず、2つ目としてやっていただけることになったと思います。
 問題は3つ目というか、第2ステップの3つ目で、川中における、ある意味での供給の透明化、見える化ということです。そうしないともし何かあったときに困ります。ただ、例示されたワクチンのようにきれいな統合システムができればいいのですが、ワクチンは特殊な状況でありますから、そう簡単ではないということになります。まずは当面で結構なのですけれども、厚労省が通達でおやりになっていた、いわゆるイレギュラーな発注抑制・重複発注の制限は、サプライチェーンを安定化させるために、安定確保医薬品あるいは必須医薬品についてはぜひ続けていただきたい
 そして、例えば中立的第三者を通して、各企業の在庫情報とか、あるいは受発注情報を共有し、ある程度、見えるようにしていく可能性もあるかもしれないと思います。ただ、その場合も、基本的に明確な品目指定とか、それに対して国としてもある程度関与していただく必要があると思います。ただ、この22ページにあったような混乱した状況を今、少しでも改善する当面の措置としては、まずはそこまではできるのかなという感じはいたしました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。お一人ですか。
 それでは、小黒構成員、お願いします。
○小黒構成員 簡単な、手短な事務局に対する質問なのですけれども、17ページ目で、この表の見方が後から気づいてよく分からなかったのですが、インドの上から4番目のところは売上げに占める後発割合が100%になっています。ですけれども、欄を見ると先発薬のところに○がついているのはどういう理由なのか分からず、教えていただけないでしょうか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 申し訳ございません。事務局でございます。
 すみません。すぐに事実確認ができませんので、確認をさせていただきまして、後日、先生方には御連絡をさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
○小黒構成員 分かりました。
 特段あれですけれども、堀先生とか菅原先生がおっしゃられた業界再編の話とかも含めて、下側とかでほぼ100%に近いものもあるので、やはりその辺のメッセージ性はどういうふうに持っていくかは非常に重要かなと思いました。
○遠藤座長 重要な御指摘ありがとうございます。事務局、適切な対応をよろしくお願いいたします。
 大体、御意見はよろしゅうございますか。まだ御発言されたい方は、よろしゅうございますか。
 それでは、一通り御意見を頂戴いたしました。どうもありがとうございます。
 また、本日は資料2として香取構成員から資料提出がされておりますので、香取構成員からこれについて御説明をお願いできればと思います。お願いいたします。
○香取構成員 すみません。この機会があると思ったのでさっきは手を挙げなかったのですけれども、1点、先ほどの井上構成員のお話にあったように、かなり大きな産業構造を変えていくための取組が必要だと思うので、例えば先ほどからいろいろ、安定供給はこういう理由でやりましたとか、共同開発はこういう理由でやったのでこうなっていて、という話がありますが、そういう経緯の話ではなくて、その結果、何が起こっているか、どういう効果になっているかを考えて、やはりいろいろなことを見直していく必要があると思います。
 それと、まさに三村先生が言ったように、どのステージで議論するのか。安全保障という観点で議論すべき議論と、産業構造で議論すべき議論と、個々の企業の行動をどうやって変えていくかという問題と、それぞれあるのだろうと思います。そうすると安定供給の問題は、個々の企業の問題でもありますけれども、基本的には市場全体の構造の中でどういうふうに確保していくかになるので、その観点から、今やっていることがどういう意味を持っているかというふうに考える必要があると思います。
 もう一つはバイオシミラーの話ですけれども、きっとバイオシミラーのベンチャーもきっと必要だという話になるだろうと思います。バイオの話は言ってみればガソリン車の世界がEV車とPHEVになるような話なので、そういうものとして別に一回、議論をしたほうがいいのではないかと思います。
 その上で私が今日お願いした資料ですけれども、この後、この検討会は薬価あるいは薬価制度の話に入っていくと思うのですが、もちろん、産業政策とか、流通の問題もあり、薬価だけで物事が解決できるわけではないので、これもまた一つの分野ではあるとは思いますが、薬価制度で医薬品の公定価格を決めている以上、企業行動に決定的な影響も与えますし、先ほどの安定供給のこともそうですけれども、安定的な収益構造が確保できなければ企業は生産をしないので、安定供給ということを考えても薬価制度をどう考えるかは非常に大きい問題だと思います。
 その意味で、今日も少し資料が出ていましたけれども、ファクトとして今までどういう政策を取ってきて、そのことによって例えば薬価差がどうなったかとか、その帰属先がどう変化したのかとか、そういうことを一通りファクトとして整理する必要があるのではないかということで資料要求をするものです。
 今日の議論の中でも幾つか既に出されている資料もありますので、それはそれで結構ですし、特に今回議論になった後発品については制度がどういうふうに変わってきたか、昔は統一名収載ですから新薬と同じ値段がついていたわけで、今から考えると信じられない時代ですけれども、それがどうやって変わってきたかを整理してほしいということです。
時系列のイメージは1980年代、それこそ薬価差1兆何千億円とかと言われていた時代、統一名収載とか基準包装とかをやっていた時代です。それが1990年代から2000年代に様々な改定方式改革があって、バルクラインからRゾーンになり、今は調整幅になっているわけですが、この間、どういう改定があったか。2010年代に入ってからは調整幅をずっと下げてきて、現在は2%まで来ているわけですが、それぞれの改定で、例えば薬剤費の総額がどうなったのか、いうところの乖離率はどう変わっていったのか、それを腑分けしてお示しいただくことができないかということです。
 一つは、医薬品の総額、「薬価基準によって償還されている医療用医薬品の費用総額(=保険薬剤費)」がどのように推移してきたのか。どれぐらい薬剤費総額がコントロールされているか。昔は医療費の30%とか40%とかと言われていたわけですから、今、それがどうか。ここでの議論は薬価制度との関連ですから、薬価基準によって召喚されている医療用医薬品の総額が問題です。いわゆるDPCは別に問題にならない(ので除外していい)と思っています。
 2つ目は、薬剤費の構成がどう変わっているか。医薬分業をずっと進めてきたわけですし、疾病構造が変わることで薬効群ごとの需要が変わっているはずなので、例えば納入先である病院・診療所・薬局にどういうふうに薬剤が納入されていったか。医薬分業が進んだ以上、薬局での納入額が増えているはずなので、どういうふうに変わったか。あるいは疾病構造が変わることで昔は例えば2抗生物質が多かったわけですけれども、今はそうではなくて、別の分野に変わっていることもあるでしょう。さらに言えば、今日の議論でもありましたが、いわゆる新薬、特許切れの新薬、長期収載品、後発品で、それぞれがどう変わっていったのか。後発品が増えているということでしょうけれども、一方で高い価格の新薬も入っているわけですから、全体の構造がどう変わっているか。
 同様に、乖離率が開設主体別にどう変わっているか。恐らく病院と診療所と薬局、さらに言えば薬局の中でも個別薬局とボランタリーチェーンと大規模薬局では乖離率が違っているはずなのです。病院でも規模の大小で違っているはずで、一律に薬価差と言いますが、それぞれ状況も違っていますし、これ自体も変化をしているはずなのです。それから、今日も資料が出ていますけれども、新薬と特許切れと長期収載品と後発品で乖離率がどうなっているのか。さらに言えば、内服と注用、外用、それから、基礎的医薬品(局方品・輸液等)、希少医薬品、それぞれ価格の動き方は違っているはずなので、それぞれに乖離率がどうかを示していただきたい。
 何でお願いするかというと、医薬品の市場というのは、縦、横、斜めに一様ではないはずで、本来、価格政策を考える、産業政策を考えるのであれば、そういう一様ではない市場ごとに見る必要があるのではないか。薬価のことだけを考えても、薬効群ごと、納入先ごとに競争条件とか取引条件が違っている。さらに言えば、これは地域差という問題も本当はあるはずで、これはなかなか出ないのかもしれませんけれども、そういったものによって、やはりいわゆる乖離率は影響を受けているはずなので、それをずっと見ていきたいと思うからです。
 いわゆる薬価差についてですが、乖離率が下がっているということであれば全体として薬価差も縮小しているはずなのです。既に後発品比率が80%になりましたが、この間、先ほどの資料でもわかるように乖離率は大体7~8%で動いていないのです。乖離率が薬価改定しても変わらないということは、薬価差問題については、そこから財源を出すことも含めて、一定、対応の限界にきていると思うので、その前提で今起こっていること、安定供給の問題とか、研究開発力の問題とか、あるいは国際競争力の問題とかを横目でにらんでどう考えるか、検討する必要があるのではないかと思います。
 特に、今や、薬価引き下げ分を診療報酬で返さないという取り扱いになったわけですけれども、診療報酬で返さないことに対して、医療側からあまり議論が出てこないにならないというのは、実は薬価差が出ているところは医療機関ではなくて、もっと別のところということなのだろうと思います。先ほど薬局の人からもヒアリングしたほうがいいという話がありましたが、ここは改めて議論したほうがいいのではないかということです。
 4つ目は、中間年改定ということで部分改定をしたわけですけれども、今回の中間年改定についても、診療所とか病院、薬局別にどうなっているかとか、前回調査とどこが違っているのかとか、あるいは薬効群別にどうか。0.625という数字の根拠も知りたいところですが、政治的に決めた、そういうことなのでしょうけれども、やはり今回の中間年改定のデータについても少しそういうものを見た上で、全体としてこの問題をどう考えるか。
 長い歴史を見れば、この間これだけ大きく制度改正をしていろいろなことが変わってきているので、恐らく世の中の人が持っている薬価差のイメージとか後発品企業のイメージと現状はかなり違っているのではないかと思います。
ということで、データをしっかり出した上で議論ができるようにということで、非常にビジーな資料を要求して申し訳ないのですけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 これは、私はどちらかというと専門のところもあるもので、ざっと見て、どこまで出せるかなという気がします。ある程度、相場は分かるのですけれども、このとおりでいきますと、仮に統計があったとしても特別集計しなければいけないものが大分ある。その辺をどう考えるかは、事務局としては工夫をしていただければと思います。
 それと関連で、最初のページで「DPC下の医薬品には」云々というところがありますけれども、これは要するに、改定によって医薬品の伸び率がどう変わったかを知りたいということがここの主たる目的ですね。
○香取構成員 はい。これは薬価改定との関係での薬剤費総額ということで、産業として医薬品がどれだけ使われるかということで言えばDPCも入れないといけないわけですけれども、ここで議論したいのはそこではないので、DPC下の医薬品は別に。
○遠藤座長 ここで議論したいのは、費用総額の医療用医薬品の推移を見たいということですよね、つまり、薬剤費の伸び率ですね。
○香取構成員 要するに、DPCの医薬品は薬価がついていないので、そこは外していい。そういう意味です。
○遠藤座長 ただ、日本で使われている医薬品を調べたいということではない。
○香取構成員 はい、そうではないです。
○遠藤座長 DPCは一気になったわけではありませんから、DPCの普及に伴い薬剤費は徐々に減っていった。でもそれは薬価政策と関係なくですね。
○香取構成員 そうです。
○遠藤座長 だから、そうなって、その時期は。
○香取構成員 それはそれでも構わないという意味です。
○遠藤座長 そうすると、薬価政策が与えたと薬剤費の伸び率ということではなくなりますね。
○香取構成員 そういう意味です。DPCのことは考えなくてもいいということが言いたいだけです。
○遠藤座長 要するに、包括化が、療養病床もそうなのですけれども、そこは全部包括化になってしまいますので、薬剤費としては集計していないわけなので。
○香取構成員 そうです。だから、それはそれでも構わない。
○遠藤座長 だから、それは除くという理解ですか。
○香取構成員 そういう統計が取れるのであれば取ってほしいということです。
○遠藤座長 分かりました。
○香取構成員 要するに、出荷額ベースで考えたときの医薬品の工業生産で出てくる数字と、保険薬剤費で出てくる数字は元々ずれています。
○遠藤座長 薬事生産で見ると輸入プラス国内生産マイナス輸出で理屈上は国内消費額が出せますが。
○香取構成員 ですから、薬事工業生産で出てくる数字と、保険薬剤費として出てくる数字は、保険で出てくるのは薬価でついているだけですから、当然、乖離してくるのですよ。その乖離はさらに広がっているわけです。DPCとか包括化が進んでいるので。で、私が言っているのは、欲しいのは薬価基準で算定されている薬剤費なので、薬事生産統計とずれていてもそれはそれでも構わないという意味です。
○遠藤座長 そうすると、ここは何をどうやったりしてやるかですけれども、ひとつ考えてみていただければと。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
 今日は今後の進め方、それから、業界再編とは何かも含めて大変重要な御指摘をいただいたと思います。様々な御意見が出ましたので、本日の資料提供も含めまして、本日の御意見、事務局としてはまとめていただいて、次回以降の議論に資する資料をつくっていただければと思います。
 それでは、このぐらいでよろしゅうございますか。
 どうもありがとうございます。それでは、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
 事務局から何かございますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第10回検討会につきましては、3月17日に開催予定でございます。詳細につきましては、厚生労働省事務局よりメール等にて御連絡をさせていただく予定でございます。
 また、本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、長時間どうもありがとうございました。これにて本日は終了したいと思います。