2024年12月12日第1回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和6年12月12日(木) 10:00~11:09

場所

厚生労働省仮設第2会議室

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
  •  元山 斉
構成員以外の関係者
  •  川辺 健一郎(東京都総務局統計部人口統計課長)
事務局
  •  森川政策統括官
  •  河野政策立案総括審議官
  •  古瀬企画調整担当参事官
  •  飯島統計企画調整室長
  •  長山審査解析室長
  •  角井雇用・賃金福祉統計室長
  •  細野雇用・賃金福祉統計室長補佐
  •  境谷雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について
  2. 2 その他

議事

議事内容
※第1回WGにかかる資料の差し替え(16~19ページの下段「乖離率の二乗平均の平方根」の部分に一部誤り)に伴い、下線を引いている箇所については、正誤情報を参照の上、適宜お読み替えください。
○飯島統計企画調整室長
 定刻になりましたので、ただいまから、第1回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。私は、統計企画調整室長の飯島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、本ワーキンググループの初回となりますので、委員の方々の御紹介をさせていただきたいと存じます。参考資料3の「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループについて」を御覧ください。本ワーキンググループの構成員及び主査は、本年11月15日に開催しました第29回厚生労働統計の整備に関する検討会において座長から指名されており、構成員については、参考資料3の1のとおりとなっております。
 各構成員の皆様方の御紹介をいたします。慶應義塾大学商学部教授の風神委員です。明治大学政治経済学部教授の加藤委員です。加藤委員には、今般、主査をお引き受けいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、独立行政法人労働政策研究・研修機構副主任研究員の高橋委員です。獨協大学経済学部教授の樋田委員です。青山学院大学経済学部教授の元山委員です。最後に審議協力者として、東京都総務局統計部人口統計課の川辺課長に御参加いただいております。
 構成員及び審議協力者の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、事務局の紹介をいたします。政策統括官の森川です。政策立案総括審議官の河野ですが、本日は公務により少し遅れての参加となります。
 続いて、企画調整担当参事官の古瀬です。審査解析室長の長山です。雇用・賃金福祉統計室長の角井です。
 それでは会議の開催に当たりまして、政策統括官の森川から御挨拶を申し上げます。
 
○森川政策統括官
 森川でございます。本日はお忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。先生方におかれましては、令和3年度から約2年半にわたりまして、このワーキンググループに10回にわたり精力的に御議論いただき、報告書をまとめていただきました。   
改めまして御礼申し上げたいと思います。
 本報告書におきましても御指摘がありましたけれども、母集団労働者の推計で用いている雇用保険データ、これは制度変更もあります。そのような制度変更はもう既に令和10年10月からの適用拡大が予定されておりますけれども、そういった影響を受けるということもございます。実態との乖離が大きくなる可能性を御指摘いただいていたところですし、現実に、本年の母集団労働者の入れ替えに伴うギャップ修正では、大きなギャップが表れ、その修正後も足下でこの影響が出始めているという状況になっております。
 このため、母集団労働者推計を実態にいかに近づけるかという観点から、更なる改善を図る必要があろうかということで、改めて御議論、御助言を賜れればと考えております。
 皆様方におかれましては、専門的な見地から御議論、御助言等をよろしくお願いしたいと思います。
 
○飯島統計企画調整室長
 次に、本日の出席状況ですが、全ての委員の皆様に御出席いただいております。
 それでは、以後の進行については、加藤主査にお願いいたします。
 
○加藤主査
 皆様、おはようございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本ワーキンググループ主査の加藤です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 先ほど、森川政策統括官からもお話がありましたように、毎月勤労統計調査を巡る事情は非常に難しい状況があります。多くの先生方には、この状況を良く御理解いただいていると思いますが、なかなか解決が難しい課題と思っております。引き続き、どうぞ御議論のほどよろしくお願いいたします。それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
 本日の議題です。「1.母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について」、「2.その他」となっております。本日のワーキンググループは12時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定のある方は御退席いただいても結構です。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。まず1つ目の議題「母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について」です。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 私から説明したいと思います。資料は右上に「資料」と記載のある「母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について」です。その他、参考資料として、前回のワーキンググループの概要と報告書を付けております。それから、参考資料3として、本ワーキンググループについてです。
 それでは、資料に沿って説明します。1ページです。まず、母集団労働者数補正の課題について、前回のワーキンググループでも議論となり、幾つか御指摘があったところです。
 1つ目の丸については、現行については雇用保険データを用いて補正しており、その適用率は「0.5」となっております。2つ目の丸について、これもワーキンググループで御指摘いただいたところですが、これまで「0.5」を一律にやってきているのですが、それについては一定の合理性があったという結論となりました。ただ、産業別等で見ると、やはり最適にはなっていなかったというところもありましたので、こちらについてはもう少し精査してはどうかという御指摘がありました。それから3つ目の丸、事前に政策の影響が見込まれるデータを利用することについては、その影響の大きさを十分に勘案し、慎重に対応すべきというところで、これは雇用保険法の適用の拡大等があった場合についてを想定しています。
 課題についてです。今回、令和6年1月にベンチマーク更新を行ったのですが、こちらのギャップがかなり大きかったということがありました。具体的には括弧書きに書いてあるとおりです。ベンチマークでの乖離の要因については、様々あると思いますが、1つは、雇用保険データの影響を受けたというところ、もう1つはベンチマークで用いている経済センサスの結果についても一定の影響があったのではないかと考えております。
 具体的にどれぐらいのギャップがあったかは2ページ目に書いています。
 こちらは既に公開になっているものですが、例えば、右から2列目の、きまって支給する給与の寄与度分解の所を見ていただくと分かりやすいと思いますが、一番上の調査産業計では2.48%の乖離がありました。その乖離の内訳を見ると、大きかったのはMの「宿泊業,飲食サービス業」で、こちらが1.61%ということで、全体の半分以上の寄与があったということでした。
 事業所規模別で見ると、これが5~29人規模、一番下になりますが、1.90%ということで、こちらも半分以上の寄与があったということです。
 3ページです。現行のKが「0.5」というものと、Kを「0」、全く適用しないという所の差がどれぐらいあったかということで、前々回の令和4年1月分から令和6年1月分までの差を見たものが青と赤で示しているとおりですが、差は約65万人です。一方、令和6年1月を起点にして、これまでを試算したものですが、もう既にこれだけの差が出ているということになっております。
 具体的な数字は、4ページになります。上半分は事業所規模5人以上で、令和4年9月の所を見ると、この差が26万人ぐらい出ていました。それで令和6年9月の最新を見ると、既に19万人出ているということになっています。前回よりも少し差は小さいものの、このまま次のベンチマークまで行くと、かなり乖離差が発生するのではないかということが分かります。
 下側が5~29人のもので、同じく令和4年9月で見ると27万人、令和6年9月で見ると20万人というところで、5~29人の所で乖離差が出ているのかなという感じです。
 この約65万人の内訳を見たものが5ページになります。こちらも右から2列目の差分の所を見ると分かりやすいと思いますが、全体で約65万人のうち、大きい所で言うとM「宿泊業,飲食サービス業」が19万人、その3つ下の「医療,福祉」が12万人ほど出ています。規模別で見ると、5~29人が66万人ということで、やはり、こういう産業や規模でギャップが出やすいということが分かるかと思います。
 6ページですが、振り返りとなりますが、雇用保険データの新設・廃止はどのような形で適用しているのかの説明になります。これは前回のワーキンググループでも少し触れさせていただきました。赤の箱については、新設された事業所の被保険者です。こちらがbになっています。一番下側のグレーの所が廃止の所、これがdになっていますが、これをマイナスにします。青の所は、例えば規模が1~4人事業所が被保険者を雇って5人以上に昇格したような事業所について入れています。こちらの労働者数をcにしています。あと、eについては逆の動きで5人以上から1~4人の事業所に落ちた場合、こういう所をマイナスにして、eとしております。こちらを下の箱に書いてあるとおり、本月末労働者数にa分のb+c-d-eという形にしておりまして、これにKとありますが、今回議論する適用率になります。したがって、今回はK以外の所については、このフレームは変えずに、Kの適用率をどうするかという議論になります。
 実際に具体的な数字を7ページ以降に示しております。細かいのですが、4つ分けておりまして、左上が令和2年、下が令和3年、右側が令和4年、令和5年となっております。
 見方としては、左上で言いますと、例えばCの「鉱業」で見ると、まず、丸1の新設・規模の上昇で71万人、丸2廃止・規模の縮小で-52万人、増減で19万人、本月末が2万9,000人ほどありますので、割合については増加が0.24%、減少が-0.18%で、増減割合が0.06%となっております。こちらに適用率のKを掛けている、今は「0.5」ですが、このような形で毎月やっているというイメージになります。
 比較的大きな所を黄色でマークしていますが、これを見ると、入れ替わりが激しい「建設業」のような産業が大きくなっております。トータルで見たのが一番下の欄になりまして、0.04%ですので、平均して毎月0.02%ぐらい修正しているというようなイメージになります。
 今言った「建設業」ですとか、あるいはその右隣の令和4年を見ると、Mの「宿泊業,飲食サービス業」あるいは令和5年などを見るとNの「生活関連サービス業,娯楽業」とか、こういう所が比較的大きな変動を示しています。
 8ページが、それを規模別で見たものになります。規模別は上から令和2年、3年、4年、5年とありますが、どの年も5~29人が大きくて、これも一番右側の列を見ると分かるとおり、0.20%から0.27%と比較的に大きな増減割合になっています。
 9ページは、今回、議論すべき論点について書いています。先ほどから言っているとおり、今まで一本化していたKの設定を、産業・規模別に、これは80区分ありますが、こちらに最新のデータを用いて毎年設定してはどうかということを提案しています。制度改正等で明らかに被保険者数が変動することが分かっている場合については、適用率は設定しなくても良いのではないかということで、括弧書きで書いています。
 したがって、今回は、こういう大きな変動などがない場合について、どのような方法をするかということで、この下側の四角で書いてありますが、丸1、丸2とありまして、丸1は、Kの設定についてどのようなデータを使うかということで、3つの必要要件を書いています。産業・規模別の労働者数の把握ができること、全国の労働者が対象になっていること、定期的に更新されていることです。
 それから、丸2のKの設定方法ですが、これは後で図で説明いたしますが、データの2時点間、始点と終点間の変動率を勘案して各産業・規模別にKを設定して、そのKを実際の毎月勤労統計調査の母集団労働者数の補正に使っていく、すなわち、ベンチマークを発射台とした毎月の集計にこれを用いて推計した結果と、ベンチマークの結果の乖離を検証したいと思っております。間隔については1年から5年の5区分を試算します。
 10ページです。実際にそのデータを何にするかということで、事務局としては、この4つぐらいあるのではないかということで書きました。上から、労働力調査、次に実際に毎月勤労統計調査の抽出に使っている事業所母集団データベース、雇用保険データ、労災保険データです。御存知のとおりですが、労働力調査については世帯調査の標本設計された調査です。対象は4万人です。メリットは、常に新しいデータはあるのですが、デメリットとして、標本調査であることや、世帯調査であること、企業の産業であり事業所の産業情報と差異がある可能性があります。あと、規模については、企業規模になっております。また、公表数値は万人単位になっています。
 事業所母集団データベースについては、メリットが大きいかなと思うのですが、経済センサスがあった年についてはそれを使っております。ベンチマークは経済センサスを使っておりますので、比較的に水準は近いのですが、デメリットとしては、2年程度公表が遅れるということがあります。
 その下の雇用保険データについては、これは常用労働者ではなくて被保険者が対象になっているということがあります。メリットとしては、最新のデータは取れるということになります。それから、雇用保険データは毎月の新規や廃止のデータも使っていますので、ここで使うと二重の補正が掛かると考えております。
 労災保険データは、カバレッジは広いのですが、規模別の集計がないとか、あとは産業別も16大分類までなっていないというところはデメリットとなります。
 それで、具体的にどういう推移になるかということで、11ページ以降に書いています。
 11ページは全体の労働者数です。左側は水準です。右側が2018年を起点にした伸び率です。水準は定義が違いますので、こういう形になっています。ちなみに、母集団データベースのグラフの2021年に×の形がありますが、これは経済センサスの実際の数値になります。右側を見ると、伸び率はそれぞれなのですが、ぴったりした動きにはなっておりません。
 12、13ページが産業別で見たものです。12ページは「製造業」と「医療,福祉」になっています。「製造業」を見ても、下がっている所や上がっている所とばらばらです。「医療,福祉」は比較的伸び率については同じ方向を向いております。
 それから、13ページが「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」ですが、下の「宿泊業,飲食サービス業」は今回の毎月勤労統計調査のギャップが大きく出たところなのですが、母集団データベースは経済センサスに合わせていますので、右側の事業所母集団データベースの伸び率がガクッと下がっている2021年はセンサスの影響だと思われます。労働力調査も同様に下がっていますので、方向的には同じ結果になっています。
 14ページが、規模5~29人で見たものです。こちらも事業所母集団データベースの伸び率を見ると、2021年でグッと下がっているということが分かります。
 以上が、このデータベースの4種類の動きでした。
 15ページですが、こちらは具体的な「Kの検証について」です。分かりにくいのですが、中ほどにあるイメージで説明したいと思います。これは間隔を2年にしたイメージです。丸1各間隔の変化率に最も近くなるKの値を設定して、この黒丸になっているところがデータの具体的な値で、2016~2018年の2年間の伸び率を算出します。一方で、毎月勤労統計調査でもKを0~1の間で設定してそれぞれを計算したときの伸び率が出ますので、その伸び率を比較し今回のデータベースの伸び率に近いKを設定していくというようなイメージになります。その近いイメージになったKを下にある丸2にあるとおり、毎月勤労統計調査の補正に用います。それぞれ上のK1であるとおり、そのK1で適用しながら毎月推計していきます。データベースは毎年新しいものが出ますので、この2年間の間隔が1年ずつずらして算出します。そうしますと、毎年、最適なKになります。これを80区分で行いますが、0とか1にぶれるものもありますし、ばらばらという感じになっておりました。それで、毎月推計をしていきまして、最後に2021年6月の母集団推計まで行い、これはベンチマークの終点になりますが、この値とベンチマークの基準点、星印になっていますが、こちらとの乖離を確認するというような形になります。
 これを各データ4種類でやったものが16ページ以降になります。16ページが労働力調査の結果です。試算0からありますが、これは現行の結果です。現行の産業計で見ると、4.41%のギャップがありました。それを今回の労働力調査で試算1が間隔が1年、試算2が間隔が2年として順次やっていったところ、調査産業計の数値を見ると試算5が0.19%になっておりまして、こちらの当たりが一番良かったというような結果になっております。下側が規模別になっています。まず、産業別の結果を説明いたしますと、次の17ページの母集団データベースで見ると、一番良かった試算1の値が2.22%になっており、若干、悪くなっています。
 18ページが雇用保険データです。こちらは比較的良かったのですが、一番良かった試算3の値が1.24%になっています。
 最後に19ページの所で見ると、こちらは労災保険データで先ほど申しました産業別でしっかり検証できないものですから、ちょっと粗くなりますが、一番良かった試算1の値が2.56%になっています。
 今の数字だけ見ると、労働力調査が良いのですが、一方で、毎月勤労統計調査は産業・規模別でも見ますので、産業・規模別それぞれで見たばらつきも、一応、考慮に入れたいということで、16ページに戻っていただきまして、一番下の表で乖離率の二乗平均の平方根を算出しています。これは80区分それぞれの乖離がありますが、ウエイトを付けずに単純に二乗平均してそれを平方したものになります。そうしますと、現行の試算0については19.05%に対して、試算1~5を計算しましたが、17%中ほどぐらいです。17ページを見ると、こちらも17~18%ぐらいで推移しておりました。18ページの雇用保険データも17%中ほどぐらいです。最後に19ページを見ると、これは18%を超えていて、ばらつきが大きくなったという結果になりましたので、議論の際には、こちらも考慮していただけると大変助かるかと思っています。
 20ページについては、これは常用労働者の中に被保険者がどれぐらいいるかというものですが、産業別、規模別で算出しました。これも前回のワーキンググループの中では少し触れておりますが、経済センサスと雇用保険データとそれぞれ産業別で見たものですが、把握の仕方が若干違いますので、被保険者の方が、つまり分子の方が大きくなることもありましたので、そこはそういうふうにして見ていただければと思います。例えば、Cの「鉱業」については、常用労働者1万4,900人に対して被保険者が2万9,000人ということで、右側を見ると割合がおよそ198%になってしまいます。こういうのは括弧にしています。それで見ると、例えば、Mの「宿泊業, 飲食サービス業」は36.01%、また0の「教育,学習支援業」は35.77%ということで、こういう産業が被保険者数が少ない産業と言えるかなと思います。あとは、規模5~29人のところも42.28%と比較的少ないということが言えるかと思います。
 最後に21ページです。これは参考ですが、先の国会において成立した雇用保険法の改正の概要です。赤で囲っているとおり、適用が拡大されるというところで、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更するということで、ホームページには推計すると480万人ほど増えるというようなことが書いてありました。施行については令和10年10月1日からとなっております。
 それから、席上配付資料が最後にありますが、こちらも参考で計算してみました。実際に先ほど言ったKがどのぐらいの数になるのかということで、これもイメージを持っていただきたいと思いまして付けたのですが、例えば、1ページ目は労働力調査のものでして、なかなか集計対象の数が多くあるので、集約してここではまとめておりますが、これは試算2の間隔が2年間のもので、80区分あるのですが、80区分の表は見るのが大変なので、産業と規模で集約して書いています。この2年間のそれぞれのK、K1~K6の6区分ですが、それを全部足し合わせたものです。足し合わせたものでおおまかな分布を見たものでして、表にあるとおり、0、0.1、0.2とありまして、最大が1ということです。Kを設定する際、計算すると0以下や1以上になることもありますが、それは0や1にしております。そうしますと、大体、0か1になってしまうというような傾向がありました。現行は、今、「0.5」ですので、「0.5」は0.1%ほどしかありませんでした。これが労働力調査です。
 以下、事業所母集団データベース、雇用保険データ、労災保険データとなっております。見てのとおり、やはり、0か1になっていることが分かると思います。私の説明は以上になります。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問等をいただきたいと思います。非常に難しい、データベースをどうするか、Kをどう設定するか、設定するときに間隔をどうするか。さらに、産業別、規模別にきちんと出していかなければいけない、様々な制約の中で何か選定をしていかなければいけないということです。それでは、委員の皆様方から御自由に御意見、御質問いただければと思います。どなたからでもかまいませんので、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 
○樋田委員
 よろしいでしょうか。御説明ありがとうございました。今回の話は、これまで全産業、規模を問わず一律にKを「0.5」と定めていたところ、事業所母集団データベースなどの利用可能なデータを使って、産業・規模別の80区分について計算を行い、より精度の高い労働者数の推計を目指す取組だと理解しました。前回のワーキンググループでも労働者数の推計について検討しましたけれども、労働者の推計精度に効いてくる要因というのは、今回のKだけではなくて、いろいろなものが考えられると思うのです。そういったものを一度に解決するのは難しいと思いますので、今回はまず1つ目の取組ということで、このKについて検討して、それを改善していこうという流れなのかなと理解しましたので、是非、K以外についても継続的な取組をお願いできればと思いました。
 それで、今回の個別の内容ですけれども、どのデータを使うのがより適切なのかということですが、今回ベンチマークの更新時のギャップの縮小がターゲットです。ベンチマークを一度更新した後に、労働者数を毎年推計し、次のベンチマーク更新時のギャップが小さいことが望ましいわけです。毎月勤労統計調査の母集団労働者数は経済センサスをベースにしていますので、経済センサスに性質が一番近い、事業所母集団データベースを使うというのが一番妥当なのではないかと思いました。11ページ以降のグラフを見ましても、他の方法の場合に、数値の水準や変化の傾向も大分違うところもあります。これは仕組みからいっても、事業所母集団データベースを使うのが一番妥当なのではないかという印象を持ちました。
 あと、どの期間を選ぶのかというのは、今回は決められないかなと思います。ギャップの大きさについては二乗誤差で計算をされていて、二乗誤差を単純平均で集計しているというお話がありました。単純平均で全体の分布の状況を見るというのは理解できるのですけれども、どれを使ったら良いのか、どの期間を使ったら良いのかというのを考える上では、やはり産業別のサイズ・重要度を考慮する必要があると思うのです。そういった意味では、単純平均ではなくてウエイトを使って集計をしてみて、どのような状況になるのかをもう少し丁寧に見たほうが良いのかなという印象を持ちました。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。すみません、樋田先生に今回の議論を非常に良くまとめていただきました。議論すべき点としては、大きく言えば、データベースをどうするかという話と、それから、その期間をどのように考えていくのかということに集約されると思います。
 まず最初に、Kの前提となるデータベースをどうするかということについて、先生方、ほかの委員の方々から御意見等を頂けないでしょうか。風神委員、よろしくお願いいたします。
 
○風神委員
 御説明ありがとうございました。今、主査のほうからデータベースを何にするのかということでしたので、私の理解としては、雇用保険データを基に、新設や廃止をしたり、規模が変わったときに、それをどの程度反映するのか。今までKは0.5でしたけれども、今回の議論では、産業によって、やはりもう少し細かく値を決めていったほうが良いのではないかという点から考えて、頂いた資料を拝見しますと、やはり定義が異なりますので、いろいろな定義によって労働者の水準というのは異なっているかと思います。その中で、産業別で見たときに傾向が似ているものがより良いのではないかという点に着目して、資料を拝見していました。その中で、雇用保険データをもう一回使うというのは先ほどの御説明にもありましたけれども、やはり雇用保険データをどの程度反映するのかというのを出すのに、雇用保険データを基にするというのは、やはり少しいかがなものかという印象を持ちます。労災保険のほうは、なかなか産業の区分が異なっているという点や、規模が取れない点ということでしたので、そうすると、資料の12ページ辺りを拝見していると、労働力調査というものと、事業所母集団データベースの傾向が比較的似ているのではないかという印象を持ちます。事業所母集団データベースというのは、経済センサスの基にもなっているということですけれども、一方で、労働力調査というのは国勢調査を基にした、サンプリングではありますが、この資料を見ていると、事業所母集団データベースと傾向は似ているので、ある意味では代表性というのは担保されているのではないか。今回の試算では、労働力調査は当てはまりが良いということと、事業所母集団データベースですと2年遅れということがあるので、その辺りをどの程度加味して、どちらを選んでいくのかというところになろうかと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかに御意見、いかがでしょうか。高橋委員、お願いいたします。
 
○高橋委員
 どの統計を使うかですけれども、資料の13ページを見ていただくと、乖離が多い所ですけれども、「卸業,小売業」とか「宿泊,飲食業」の雇用保険データの労働者数というのが、ほとんど動いていません。だから、これらの産業の事業所の新設・廃止は雇用保険データでは把握できていない。それに、法改正の影響も受けやすいこともありますので、雇用保険データは使わないほうが良いのではないかと思います。そもそもですけれども、6ページの計算のフレームワークでbやdを雇用保険データから取ってきているので、ここの産業に乖離が出てしまうので、Kの問題ではなくて、bやdに雇用保険データを使っているところが乖離の原因なのかなと思います。でも、フレームワークは変えないということですので、本来はどうすれば良いかというと、事業所母集団データベースがある期間は母集団データベースを使って、それがない期間の新しいところというのは、雇用保険データを使わないのであれば労働力調査を使っていくしかないのかと思います。事業所調査と世帯調査を混ぜて使うというのは良くないので、本来は事業所のデータ同士である労災保険データを使いたいわけですけれども、産業規模のデータが取れませんので、消去法で労働力調査しかないのかなと思います。
 このフレームワークですけれども、ここの「b+c-d」、この「×K」のここを全部本来は労働力調査や事業所母集団データベースに寄せたほうが、乖離が生じづらいということと、3ページの図の現行の雇用保険データを使った補正によって生じる差よりも、ベンチマーク更新時の修正のほうが、修正しなければならない労働者数のほうがはるかに大きい訳ですので、事業所母集団データベースの労働者数の伸びというのをコンスタントに使っていけば、毎年ベンチマーク更新をしているようなものなので、そうすれば5年に一度の大きな修正が必要なくなって、そこも利点ではないかと考えています。
 今回の話にコメントしているわけではなくて、今後の話になるのですけれども、できれば、そうやっていったほうが乖離が生じづらいし、ベンチマークごとの、更新ごとの大きな乖離も生じないので、そうやっていくのが今後は良いのかなと思っています。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかに御意見、いかがでしょうか。元山委員、お願いいたします。
 
○元山委員
 詳細な資料をありがとうございました。今回、Kをどうするかということで、まずはデータベースの議論ですが、事務局の方にまとめていただいて、先生方も議論しているように、雇用保険データは二重の補正が掛かる点が少し理論的には安心ができなくなるところで、労災保険データは規模別の集計が取れないということ。事業所母集団データベースが一番母集団の概念に近い一方で、2年程度遅れて公表、一方、労働調査は直近のデータが得られるけれど、標本調査、世帯調査等の問題があると思います。ただ、労働力調査は標本調査といっても完全失業率を公表するために、規模の大きいデータを取っているので、労働力調査も悪くないと考えます。他の先生もおっしゃっていましたが、事業所母集団データベース、経済センサスを使って労働力調査で変えていくというのもあるのではないかと思っています。私は、これは調整するファクターですので、1つのデータに限ることはなく、事業所母集団データベースで得られたKの結果と、労働力調査で得られたKの結果を、加重平均でも単純平均でも良いので合わせる、そういうやり方もあるのではないかと思いました。
 期間の選び方に関しては、これからの議論ということで、今ここでは控えます。利用可能性やメリット、デメリットもあるのですが、何よりも誤差に基づいて判断をするのが良いのではないかと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。労働力調査に関しても、何人かの委員の方々からお話がありました。私自身の考え方としては、多くの方と同じように、事業所母集団データベースなのだろうと。労働力調査も非常に魅力的ですが、サンプルの入れ替えがあって、その度にまた見直しをしなければいけないということで、万人単位、実際に総務省統計局にお願いすればもう少し細かい数字が出るのでしょうけれど、基本的には万人単位である。あと、皆様方が御指摘されるように、世帯調査であるということの乖離の問題ですね。これをなかなかうまく調整していくというのはどうなのだろうかという気もしております。実際問題、Kをどのような形で、期間を含めて、どのようにしていくのかということが絡んでくるのですが、これまでの意見の中で、もし事務局のほうから何かお考えとかがあればお話いただければと思います。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 事務局といたしましては、まず手間の問題が当然出てきます。ですので、元山先生がおっしゃったように、例えばハイブリッド的なものというのももちろんあるかと思います。あるいは、この年はこのデータ、この年はこのデータとかと分けてやるということもあるかもしれませんけれども、やはり手間と、これはかなり複雑な計算と言いますか、慎重にしかも短時間にこれを算出、分析しないといけないため、余りリスクが高まるようですと場合によっては集計の結果に影響が出てくる可能性もありますので、できれば、ある調査一本でいきたいと考えております。
 それから、これは言ってしまうと身も蓋もないかもしれませんけれども、結局ここできちんとやった場合も、次のベンチマークでギャップが小さくなるかということは、保証がないことが悩ましいところです。ですので、我々としては、今回、Kは0.5ということをこれまで検証をしてこなかったということが問題であり、Kはこういう形できちんと計算されていますよということをここで整理しておきたいというのが実はあるところです。
 したがいまして、もちろん労働力調査でも良いのかもしれませんけれども、統計1本でしていただけると大変助かると考えております。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。
 
○森川政策統括官
 余り議論に制約を掛けたくはないのですけれども、ただ、当初の目的が、いかにベンチマーク更新でのギャップを小さくするか。推計の方法はいろいろあろうかと思いますので、そこは、なぜこれを使っているのか、目的に対して手段は何がベストか、そこをいろいろ議論していただいているので、ここは仮に実際にベンチマーク更新の際にぴたりと合う保証がなかったとしても、我々は最善の努力を、実態に近付ける最善の努力を、手間は掛かったとしてもしていかなければいけないと思います。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。政策統括官がおっしゃったように、私も個人的には、考え方はしっかり、このようにしてやっているんだということが前面に出ないといけないと思っております。
 以上、これまでの議論は議論として、さらに委員の皆様方から、これに加えて何かございますでしょうか。風神委員、いかがでしょうか。労働力調査と事業母集団データベースとの関係について、更に何かもしコメント等ございましたら、いただければ有り難いのですが。
 
○風神委員
 ありがとうございます。労働力調査ですと今回の試算の当てはまりが良かったということと、直近のものが得られるというメリットがあるかと思います。一方で、今議論が出てきたように、世帯調査であるということがありますので、2年遅れというのはどの程度考えるべきものなのか。他方で、世帯調査であることと、やはり事業所調査という違うものを混ぜるということのデメリットのほうが大きいのか、その辺りをもう少し皆さんと議論できたら良いかと思いました。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりではないかと思います。元山委員、先ほどのコメントに加えて何かございますでしょうか。
 
○元山委員
 特にはございません。今後、幾つかこういう計算をしてくださいというような提案をするかもしれませんが、その際は、よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 樋田委員、高橋委員、もしよろしければ何かコメント等ございますか。樋田委員、何かございますでしょうか。
 
○樋田委員
 私は追加では特にありません。元山委員が先ほどおっしゃった、ハイブリッドというのは、確かに推計精度を求めるというのには可能性がある方法かなと思ったのですけれども、多分手間が掛かるということと、労働力調査の精度が高そうに見えるのは、産業規模計のトータルの数字のずれが小さいからではないでしょうか。二乗誤差でトータルの誤差を考えれば、ほかのデータに比べてそれほど有利ではないと思うのです。それを考えると、作業負担と毎月勤労統計調査の仕組みという点でも事業所母集団データベースが一番適していると思います。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。高橋委員、何か。
 
○高橋委員
 ちなみに労災保険データは、特別集計をしたとしても規模については分からないものなのかということ。だからこのために特別集計をしてもらえるのであれば、毎月勤労統計調査にも貢献すると思いますので、すぐは難しいのかということが分かれば、教えていただければと思います。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。今、高橋委員から労災保険データの規模別、あと産業別はどうなのかという話もあるかと思いますが、あと、また事業所母集団データベースを使ったときの、これは風神委員からの御意見ですが、2年程度遅れるということの問題。さらに労働力調査を使った場合の標本調査と世帯調査の乖離、この辺りはどういうふうに考えていけば良いのか。もしかすると、今日すぐに全部結論を出さなくても、こういった宿題を頂いた上で、改めてということになると思うのですけれども、何か事務局のほうでありますか。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 高橋委員からの御指摘ですけれども、特別集計をして出せるのか、ちょっと確認をしないといけないと思います。ただ、産業については、日本標準産業分類に基づいた形ではなく、またいくつかの産業はサービス業で一本となってしまいますので、大分丸まって集計されているところです。
 それから2年遅れてしまうということなのですけれども、実は今回の令和6年1月のベンチマークでは、令和3年の経済センサスを使っています。そこで既に遅れているものを使って集計をやらざるを得ないということも事実です。したがって、御指摘のとおり2年の遅れがどれだけこの設定に影響するのかというのは、そこまではなかなか難しいのですけれども、事務局としましては、既にベンチマークで遅れたもの、古いものを使いながらやっているということもあります。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。元山委員、何かありますか。
 
○元山委員
 動きとして、事業所母集団データベースと労働力調査が合っているのでという話もありましたが、それで検証して確認をお願いしたいことがあります。
 席上配付資料で1月辺りの平均値とその分布を見ると、労災保険だけが少し真ん中の値にぶれているのがあって、それ以外は0や1に、両極端にぶれているということがありますが、パーセンテージだけではなくて、時系列ごとにグラフを見て、各統計で求めたKというのが、どれぐらい時点時点で近いのか、又は乖離があるのかというのを、ちょっと確認できればうれしいなと思ったのですが、それはできるでしょうか。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 それをまとめたものがこの表なので、それを時系列でやるのは可能です。例えば、今見ているものは試算丸2ですが、6年分のKがありますので、それを並べて見るというイメージでよろしいでしょうか。
 
○元山委員
 そうです。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 分かりました。ではそこは次回のワーキンググループでお示しします。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。今までの議論を整理しますと、基本的に事業所母集団データベースを使うのが主だと。ただ、風神委員が御指摘のように、2年遅れの問題、今回答させていただきましたし、また更に言えば、労働力調査を使ったときの標本調査、世帯調査の差とか、様々なデメリットがある。ですので、例えば、今日ここでどのものに決めるかということではなくて、事業所母集団データベースを一応ターゲットとして考えていく。ただそのときのメリット・デメリットについては、更に少し検討していただくという流れで、この母集団の話については進めたいと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、もう1つの議題と言いますか、事業所母集団データベースを前提とするとは言いながら、Kの設定の仕方、どのような形で設定するのか。1年から5年までいろいろありますが、例えば、これも本来的には母集団を決めて、そしてそのデータを基にKがどういっているかというのを見るのが一番やりやすいのかとは思うのですけれども、事業者母集団データベースを前提としたということを想定した上で、Kの設定の仕方というものについても、御議論いただければと思っています。
 これはKの設定については、個人的には、単純に乖離が大きい少ないだけではなくて、考え方というのも示していかなければいけないのかなと思っています。すみません、まとめ方が余りうまくないかもしれませんが、このKの設定についても、委員の皆様方から何か御意見等を頂ければと思います。どなたからでもお願いできればと思います。先ほど樋田先生からも少しお話を頂いたのですが、樋田先生、このKの設定について更に何か、まず樋田先生から口火を切っていただけると助かりますが、いかがでしょうか。
 
○樋田委員
 御説明、いろいろと補足の情報を頂いて、ありがとうございます。Kの設定の仕方といいますのは、具体的には期間を何年にするかということだと思うのです。私は今回の資料に加えて、やはり産業ごとのサイズというのがかなり違うと思うのです。ですので、今回の単純集計の数字だけで考えるのはなかなか難しいので、加重平均をした形で、どのぐらいの差が出るのかというのを比較した上で、見たほうが良いのかなと思いました。
 それから、先ほど、元山先生から御指摘がありました、Kの時系列変化というのも確かに重要な要素かなと思いました。そういった意味では、今回、このKの期間を決めるのはなかなか難しいのかなというところで、追加の情報を頂いてから、それを拝見しながら検討させていただきたいと思いました。以上です、よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。そのときに、例えばこのデータベースについては全て同じような形でやりましょうか。それとも事業所母集団データベースを前提として、これを時系列で出すと、グラフの数も相当多くなるという気もするのですが、まずは事業所母集団データベースを前提として、今、先生がおっしゃったようなウエイト付け、更には元山先生のおっしゃった時系列ということで整理しましょうか。それとも全て必要ということになりますでしょうか。
 
○樋田委員
 私は事業所母集団データベースだけで良いのかなと思いますが、ウエイトを付けて二乗誤差を計算したときに、もしかすると様子がずいぶん変わってしまうということも、可能性としてはないわけではないと思います。細かい集計については、事業所母集団データベースと労働力調査だけでも良いと思うのですけれども、全体像を見るためにウエイトを付けたときの二乗誤差の計算は、ほかのやり方についても見ておいたほうが良いのかなと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。いかがでしょうか。ほかの委員の方々、何かコメントがございましたら。高橋委員お願いします。
 
○高橋委員
 雇用保険データを使わないのであれば、何年間も期間を取る必要はなくて、毎年なのかなと、考え方としては一年ごとにKを設定していけば良いのかなと思います。雇用保険法の法改正の影響を受けないので。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。いかがでしょうか。元山委員お願いします。
 
○元山委員
 いろいろと計算ありがとうございました。樋田先生もおっしゃっていたように、これは産業ごとの規模のウエイトを付けて集計したほうが良いと思います。あと、各産業ごとに眺めるという観点からすると、二乗ではなくて絶対値を取った絶対誤差でも良いのかなと。二乗すると1から大きくなったものが過大になるので、絶対値で比較しても良いのかなと思いました。
 あとKの決め方なのですが、やはり時系列的な動きで決める、いろいろ判断をしたいと、これも樋田先生がおっしゃっていたことなのですが、これは最終的なベンチマークとの比較ということをしていますが、1年間、2年間のみではなくて、例えば過去2年間の移動平均や、過去3年間の移動平均。移動平均だと外れ値に引っ張られるようであれば、移動中央値(移動メディアン)のような形を採用することで、少し安定化が図れる可能性もあるのではないかと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。いかがでしょうか。風神委員お願いします。
 
○風神委員
 ありがとうございます。私も細かく見ていくのか、あるいは測るときに1年ではなく2年3年という、離れたところの視点と集計を見るということは、何らかのスムーズ化みたいなことを考えるというイメージを持ちまして、そうするとどこかの産業だけだったり規模だけに何らかの外れ値があったときをどうにかしたいというようなイメージで話すのかなということを前提に考えますと、次の会議のときに時系列の資料があるならば、そのときに見たいと思いましたが、何かショックのときに外れ値みたいなものがどの程度出るのかどうかというのを、やはり見るのかなというような印象を持ちました。すみません、同じことをくどくど言ってしまいました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます、非常に重要なことだと思います。ここまでの議論で、事務局のほうから何かございますでしょうか。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 元山委員に確認ですが、今先生がおっしゃいました、1年、2年ということよりも、平均を取っていくということだったと思うのですが、その平均というのは、例えば2年とか3年とかということになるのでしょうか。
 
○元山委員
 そうですね。例えば、1年ごとに計算して、それの過去2年の平均を取るなどが考えられると思います。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 1年ごとに出したKの値の平均ということですね。過去2年間と比べてということですね。
 
○元山委員
 そうです。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 分かりました。そうするとKのぶれが少し抑えられるという、そういう御趣旨ということですね。
 
○元山委員
 そうです。風神先生もおっしゃったように、ある種のスムージング(平滑化)を掛けた形になります。
 
○加藤主査 
 要するに、1年ごとにやったときに、K1、K2、K3、K4と出た場合に、何年間やるか分からないですけれども、例えば、K1とK2の移動平均を取ってみて、その値をどんどんと毎年毎年変えて行くという、多分、そういうイメージですよね。 
 
○元山委員
 はい。そうすると少なくともぶれは小さくなります。
 
○加藤主査
 ぶれはそうですね。そのときにどの程度の間隔を取るかという問題と、やはりその移動平均を取るのかどうなのかという話も考えていかなければいけないということになっていきますね。
 
○元山委員
 はい。いろいろと追加で計算していただく形となってしまいますが。
 
○加藤主査
 可能でしょうか。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 可能は可能でございますが。そうしますと、やはりそれもそれぞれの4つのデータでやったほうがよろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 見ますかね。一応、事業所母集団データベースでまずはやってみるということで、いかがですか。なかなかこれを全部やるとなると、相当な手間のことは言ってはいけないのかもしれないですけれど、次のワーキンググループまでに整理するとなりますと、どうでしょうか。事業所母集団データベースを前提として進めてということでもよろしいでしょうか。
 
○元山委員
 私は異存ありません。もし可能であれば、労働力調査も見てみたい気もします。それに関しては、もちろん実際の作業のスケジュールもあると思いますので。
 
○加藤主査
 それは事務局のほうにお任せしますので。
 
○角井雇用・賃金福祉統計室長
 分かりました。
 
○加藤主査
 これ以外、ほかにいかがでしょうか。非常にセンシティブで難しい議論ではあるかなと思っていますが。風神先生お願いします。
 
○風神委員
 事務局の手間が掛かるというのは重々承知しているのですけれども、先ほど出たKの時系列で見るというのを、移動平均の細かいことはやらないにしても、労働力調査のデータというか時系列でどういうふうに動くのかというのは、やはり事業所母集団データベースと労働力調査と、もし両方出せるのであれば、両方見た上で、最終的に我々としてどちらにするのかという議論をしたほうが、手間が掛かるのは重々承知なのですが、粗くないのかなという気がしました。
 
○加藤主査
 承知いたしました。それでは、両方の統計を使ってということと、同時にウエイトを付けて時系列でということで、宿題を頂いたと考えています。なかなかどのような形で進められるか分かりませんが、まずはそれを事務局のほうにお願いをするということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 これまでの議論は、データベースとKの設定の仕方だったのですが、これ以外、それも含めてで構わないのですが、委員の皆様方から更に何かコメントや御意見、御質問等ありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、以上の点を宿題とさせていただき、事務局のほうにはちょっと手間が掛かるかもしれませんが、お願いをするということで、それを含め、改めて議論をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に議題2として「その他」となっていますが、事務局から何かございますか。
 
○飯島統計企画調整室長
 事務局からは特段ございません。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。まだ1時間ちょっとしか経っていないので、大変申し訳ないのですが、それでは本日予定していた議題は以上となりますが、全体を通して何か、やはりこれは言い残しておきたいということがありましたら、お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日の議題は全て終了となります。それでは事務局のほうにお返しします。
 
○飯島統計企画調整室長
 皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございました。これをもちまして、第1回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを終了させていただきます。
 次回の開催日程については、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 
(了)

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