第3回第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会議事録(2022年11月7日)

日時

令和4年11月7日(月)15時00分~17時00分

場所

オンライン会議
株式会社三菱総合研究所4階会議室

議題

1.検討会とりまとめ案について

議事

議事内容
○大山主査 本日はお忙しい中御参加いただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、「第3回 第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会」を開会いたします。
構成員の皆様におかれましては御多忙の折御参加をいただき、誠にありがとうございます。進行を務めさせていただきます厚生労働省保険局保険課でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。まず初めに、発言の仕方などを御案内いたします。会議中の御発言は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かいましてうなずいていただくということで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきますので、カメラのほうはオンにしていただきますようお願いいたします。
それでは、これ以降の進行を座長にお願いいたします。古井座長、よろしくお願いいたします。
○古井座長 皆さんお疲れさまでございます。本日もお忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。それでは早速ですけれども、本日は検討会のとりまとめ案について構成員の皆様より御意見をいただければと存じます。
それではまず資料1と2につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○大山主査 事務局より資料1、資料2について説明をさせていただきます。資料の位置づけについてまず御説明させていただきます。資料1「現状の課題と今後の論点・対応策及び留意点について、第3回第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会事務局資料」というものがお手元にございますでしょうか。こちらにつきましては、第2回の検討会の中で現状の課題、論点、そして想定される対応策の案などをお示しさせていただきましたが、第2回の検討会において構成員の皆様からいただきました御意見、御示唆、留意事項等を記載させていただき、議論の過程を記録させていただく位置づけの資料でございます。
続きまして資料2でございます。「第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会(とりまとめ案)」と記載させていただいております資料がお手元にございますでしょうか。こちらについては、先ほどの議論の過程の中で現状の課題、そしてそれに対する対応策につきまして、とりまとめ案としてまとめさせていただいたものです。検討会のとりまとめにつきましては、こちらの様式でとりまとめの内容とさせていただきたく、本日、皆様に説明の上。御意見をいただきたいと思っているところです。
それでは内容について資料1に沿って御説明させていただきます。
まず、現状の課題、今後の論点・対応策につきまして、第1回、第2回の検討会の中で6つの切り口について皆様に御議論をいただきました。
1つ目計画策定・公表、2つ目事業メニュー、3つ目事業アプローチ、4つ目事業実施方法、5つ目評価指標、6つ目保険者間連携でございます。第1回、第2回の御議論の中でそれぞれの切り口に対する謙譲の課題、そして今後の論点を確認させていただいた上で、想定される対応策について事務局のほうから御提示させていただいたものについて、皆様に御意見をいただいたところでございます。この過程を簡単に御説明させていただきます。
まず計画策定公表でございます。こちらについては計画の策定及び公表について今後の論点に記載させていただきましたとおり、保険者における効率的・効果的なDH計画のPDCAを実現するためにはどのような方策があり得るかということを皆様に御議論いただきました。その中で計画策定の考え方、計画策定の体制、計画策定の支援という切り口を提示させていただいた次第でございます。
また、健保・企業の懸念にも配慮してどのような公表のあり方が適切かということを論点として提示させていただきました。こちらにつきまして第2回の検討会の中で、皆様と目線を合わせさせていただいた対応策といたしまして、財政上の制約や既存のエビデンスレベルを勘案した上で優先順位を付けるべきであることを、指針第四の二「実施計画に基づく事業の実施」及びDH計画策定の手引きで記載を追加してはどうかということで意見をいただきました。
また、共同策定した保険者で概ね全ての保健事業を共同実施することを条件に複数保険者によるDH計画の共同策定・実施・評価を許容することを指針上で明記するということを確認させていただきました。
またデータヘルス計画第2期と同様にデータヘルス計画策定のための研修事業を実施するということを確認させていただきました。
そして、取組が進んでいない健保組合向けに平易な分析機能をDHポータルサイトに実装してはどうかということを確認させていただきました。
また、データヘルス計画の公表におきましては、企業ブランドに配慮しつつ、「データヘルス計画」で公表範囲を限定的に定義した上で、DHポータルサイトに実装し、健保組合同士においては相互閲覧ができるような機能を実装するということを確認させていただきました。
4ページ目、5ページ目は第2回の検討会の参考資料を再掲させていただいたものでございます。
その上で、6ページ目でございます。第2回における構成員意見の概要として、様々構成員の皆様から御指摘、留意事項などを御示唆いただいたところでございます。例えば津下座長代理におかれましては、人事異動が発生しても計画策定のノウハウが継承されるような、あるべき体制を明記したほうがいい。(例えば、チームで作成、議事録を残すなどして、DH計画の策定過程が残るようにする等)公表については加入者属性を考慮して公表し、保険者間の誤解を招かないような配慮が必要ということを御示唆いただきました。
また、根本的にDH計画は単なる医療費削減計画ではないことを丁重に伝えていく必要があるということを御示唆いただきました。
五十嵐構成員におかれましては、DH計画策定の手引きの記載について、「既存のエビデンスレベルを勘案した上で」という表記は注意が必要であることを御示唆いただきました。エビデンスレベルを勘案できない保険者が計画策定を行わなくなることを懸念しており、一方で先進的な組合においてはエビデンスレベルを勘案してほしいため、そのさじ加減が涵養であるということを御示唆いただきました。
今村構成員におかれましては、DH計画の共同策定によって小規模保険者が計画を策定できるようになるとは思う。一方で、大規模保険者の人事異動によるノウハウが蓄積されない等の課題は、共同策定では解決できないということを御示唆いただきました。
河本構成員におかれましては、DH計画は自組合の課題に対して優先順位付けをして、身の丈に合った事業を計画するべきだという趣旨を指針や手引きに記載するべきであるということを御示唆いただきました。そのためにも自組合の現状分析に使える平易な分析機能をDHポータルサイトに実装することは必要な基盤整備であると考える。分析結果の利活用の仕方も手引きで示すことが望ましいと御示唆いただきました。
また、計画策定時にアウトプットとアウトカムの設定に悩む組合が多いため、手引きの改定に当たっては、実践的な解説も記載してほしいというふうに御意見をいただいております。
そして最後に、第3期のデータヘルス計画と第4期の特定健診・保健指導計画を一括で作成する機能があると良いのではないかということも御意見をいただいているところでございます。
次に末原構成員でございます。DH計画の共同策定は、効率的な計画策定に繋がるという趣旨に同意する一方で、計画を共同策定することが、事業の実施を各保険者に強いることに繋がり、一部の健保の財政を圧迫することがないように、共同策定をしたとしても、それぞれの事業の実施要否については、各組合に対し一定の裁量を持たせるということに留意が必要であるということを御示唆いただきました。
次に中島構成員から、国としての健康づくりの方針を提示し、重点項目や優先順位の高い課題を明記してほしいという御意見をいただきました。その上で各保険者では、現状と照らし合わせてDH計画を策定していくべきだという御示唆をいただいております。
また、健康日本21、医療費適正化計画等、他の方針や計画と整合を取りながら進めていくべきであり、それに向けたスケジュールも提示されたいという御意見をいただいているところでございます。
そして冨山構成員でございます。産業保健師やICT関連等の専門職のメンバーは、異動が少ないためノウハウやナレッジが蓄積しやすい。また、企業側の産業医や産業スタッフとの連携も取りやすい傾向にある、といった御意見もいただいているところでございます。
こちらの構成員意見につきましては、とりまとめの内容に一部反映させていただきつつ、手引きの改定、ポータルサイトの改修、指針の改定等の中で個別に留意すべき事項として事務局として留意させていただきながら、対応を進めていきたいと考えているところでございます。
次に事業メニューでございます。資料8ページ目を御覧ください。事業メニューにつきましては、一部の事業メニューの指針上の位置づけが不明瞭ということ、そして保健事業の優先順位付けに資する情報が不足しているということで、保健事業のメニューとして指針及びデータヘルス・ポータルサイトの事業分類に何を追加するべきか、そして指針で示す保健事業のメニューについて、指針の中でどこまでその優先順位に踏み込み、手引きの中でどのような参考データを示すことが適切かということを論点として挙げさせていただき、皆様に御議論いただきました。
その上で想定される対応策として、健康課題や加入者属性の分析等を踏まえて事業メニューの選択をするということを大前提に、先進的な健保における取組等を踏まえた事業メニューを指針上に新たに提示、好事例を手引きに記載、そして対応する事業分類をデータヘルス・ポータルサイトに実装してはどうかということで確認をさせていただきました。具体的なメニューといたしましては、
 40歳未満の事業主健診データを活用した若年層対策
 女性特有の健康課題
 ロコモ対策
 歯科疾患対策
 メンタルヘルス対策
 重複多剤等を含むセルフメディケーション対策でございます。
次に指針上での優先順位付けにつきまして、大規模実証事業やAMED事業の成果に基づき、指針上で事業の推奨度を一定色分けして提示してはどうかということで確認させていただきました。
加えて、疾患領域ごとの保健事業の関係性と実施状況のマッピングや、令和3年度のPFS補助事業の報告書に基づく成果などを、データヘルス計画作成の手引きで補足させていただくということを確認させていただきました。
9ページ目、10ページ目につきましては、第2回検討会の参考資料を再度掲載させていただいております。
その上で11ページ目でございますが、第2回における構成員の意見概要について趣旨も含めて御説明させていただきます。津下座長代理におかれましては、手引きに推奨する保健事業を記載する際は、保険者の強みに寄り添って、保健事業を類型化するべき。例えば「保険者が実施しやすい事業:がん検診や特定健診などの国が政策目標を掲げているもの」、「加入者を追跡する事業:保険者が加入者データを把握して、リスク保有者に対して実施するもの」などということを御示唆いただいております。
次に五十嵐構成員から以下の留意点をいただいております。大規模実証やPFS補助事業の推奨度を指針で色分けする際に組合や事業者による自己評価ではなく、客観的な評価が必要であるということを御示唆いただいております。特に、費用対効果は通常の臨床研究よりも、評価基準が十分に成熟していない分、自己評価のみでの色分けは横並びの比較が難しくなる可能性がございます。推奨度の色分けの基準について、ある程度の客観性を保つ必要があるという留意点を御示唆いただきました。
次に今村構成員からいただいたご意見でございます。メンタルヘルス対策に関する事業は、保険者が産業医・産業保健師等の事業主側との共同体制をとることや、カウンセリング強化の支援をすることで効果が出る。また、歯科疾患については、例えば口腔ケアによって高齢者の誤嚥性肺炎を防ぐ研究結果等が出ていることに鑑みれば、若年時から口腔ケア等のリテラシーを高める等の対策を講じることで、将来の医療費を適正化する可能性があるのではないかということで御示唆をいただいているところでございます。
中山構成員からは、エビデンスレベルにも段階が存在していることに留意すべきであるという御示唆をいただきました。保険者に対して、学術論文化されているものの範囲に制限するのか、新しい魅力的な取組までを含めてほしいのか、この点について整理する必要があるというふうに御示唆をいただいています。
次に秋山構成員から留意点をいただいております。メンタルヘルス対策は労働安全衛生の観点から取り組まれることが多く、保険者の事業メニューとして指針上に新たに提示したとしても、保険者にて共通的に対応できることは限定的であることには留意が必要である。
また、重複多剤については併用禁忌についても着手すべきだと考えているが、健保から医師や薬剤師に服薬情報等を提供する手段が十分に整備されていない。今後データの取扱いが変わり、医療提供者側から個人の医療データが見えるようになると、保険者以外のプレイヤーも関わりやすくなることが見込まれるのではないかといった御示唆をいただいております。
最後に河本構成員から、事業メニューの選択に際しては、時間軸を踏まえた短期~長期のアウトカムの設定が必要であることを御示唆いただいています。
歯科疾患対策は、短期的には治療の掘り起こしのために医療費は増加するが、中長期的には医療費適正化に資することが見込まれるということで、その取組の趣旨について御示唆をいただいたところでございます。次に事業アプローチでございます。資料13ページを御覧ください。こちらにつきましては、共同事業に関する普及の実践が課題ということ。PFSについてはモデル構築をしている状況ということ。外部委託事業者の発掘や選定が限られたマンパワーとノウハウでは混乱というところを、現状の課題認識等で確認させていただきました。
こちらにつきまして、保健事業全般の横串のアプローチとして、共同事業とPFS委託事業につきましては、そのメリットや前提条件を指針の留意事項に追記し、好事例を手引きに記載。そして実施状況の把握機能などをデータヘルス・ポータルサイトに実装していく。そして民間のヘルスケア事業者、民間委託事業者に対する研修会の実施等を確認させていただいたところでございます。
繰り返しになりますが、共同事業のさらなる普及のため、共同策定した保険者で概ね全ての保健事業を共同実施することを条件に、複数保険者によるデータヘルス計画の共同策定・実施・評価を許容することを指針上で明記したらどうかということで確認させていただきました。
また、PFSモデル事業につきましては、その結果得られた知見からガイドラインを策定するということを確認させていただいております。
また、外部委託事業者に関する成果も含めた情報提供機能をデータヘルス・ポータルサイトに実装してはどうかということで、対応策を確認させていただいたところでございます。
次に14ページ目を御覧ください。こちらにつきましては、適切な効果検証を促進するための根拠が薄弱であること、また企業側の理解を得てコラボヘルスを推進することができる環境整備が必要であること。そしてBCP事業継続計画の観点からオンラインでの事業実施やリモート環境での事業管理が課題であることを確認させていただきました。
その上で想定される対応策といたしまして、望ましい効果検証に関して、指針第四の三「事業の評価」の中で記載を追加してはどうかということを確認しております。
次に、事業実施前に検証デザインを検討することの重要性や、ハイリスクとポピュレーションアプローチで求められる検証手法の相違があることも含め、効果検証につきましては、既存のガイドラインを参照または将来的な整備を検討してはどうかということで、方向性を確認させていただきました。
次にコラボヘルスのための企業への具体的な働きかけ方法について、健康スコアリングを用いたお願いなど、データヘルス計画作成の手引きに追記してはどうかということで確認させていただいております。
そして保健事業の事業継続の観点からの検討の重要性について、指針第五の四「健康情報の継続的な管理」と五「事業主との関係」の間に記載を追加してはどうかということで、方向性を確認させていただいたものでございます。15~18につきましては、第2回検討会資料の再掲でございます。
その上で、構成員意見の概要でございます。津下座長代理から、効果検証のための具体的な手順を明示しておく必要がある。先ほども繰り返し申し上げたように、ハイリスクアプローチの対象者の選定基準、該当者の人数、性別、年齢など効果検証のために必要な情報が何かを明示するということ。一方でポピュレーションアプローチであれば、個人は追跡せずに集団での健康データがどのように変化したのかを追うなどが効果的であることをアドバイスとして明示するということ。
上記に関係して、スコアリングレポートの活用方法も改めて明示する必要があるのではないか。
外部委託事業者の情報をポータルサイト上に実装する際には、情報の更新頻度やルールを明確にしておくということを留意事項として、御示唆いただいたところでございます。
また五十嵐構成員からは、PFS事業については削減した医療費を原資に事業を運営することが目的ではなく、短期的・中期的なアウトカムを設定し、その改善に対して、「納得して」支払われることが目的であることに留意が必要であることを御示唆いただきました。
次に今村構成員から、PFSモデル事業において成果を求める際に、健康維持を大前提とすることに留意が必要であるということを御示唆いただいております。例えば、2cm.2kgの達成を目的としたとき、達成者の中に病気や医薬品の副作用で痩せた人たちが含まれている可能性があることに留意し、それらは本来の目的に合致しないということを改めて認識する必要があるということを御示唆いただきました。
次に河本構成員からは、民間委託事業者向けの研修会では、そもそも各組合が自組合の現状を分析し、同質性のある組合が課題を持ち寄り、共通の課題に対して事業を設計するという、組合発信型のあるべき姿を重点的に周知・説明してほしいということをいただいております。
緊急時の保健事業の継続では、その根本にあるBCP策定と関連する。保険者は保健事業の継続だけでなく、保険給付などの優先順位の高い業務が存在することに留意することを御示唆いただいております。
次に冨山構成員からは、共同事業において幹事健保へのインセンティブの付与を検討してほしい。また、共同事業をワンストップで(経理から実務まで)サポートしてくれるように事業者へ教育・周知などを実施してほしいということをいただいております。
次に、コラボヘルスを企業側へ浸透させるために、当組合では企業側のキーパーソンとの連携、エビデンスの提示、持続可能な組織づくりを実施しているため、そういった好事例などは手引きなどを通して情報を共有したいということで御意見をいただいているところでございます。
次に事業の実施方法でございます。事業の実施方法につきましては、結果を出せる保健指導等、効果のある保健事業とはどういうものか、ということで定量・定性分析の結果から明らかになった、事業の効果を高める実施方法・実施体制を、第3期に向けてどのように扱っていくべきかということで、22ページ目以降にある分析の結果等をデータヘルス計画作成の手引きの中で追記するという方向性を確認させていただいたところでございます。
22~25ページにつきましては、第2回検討会の資料の再掲でございます。こちらにつきましては構成委員からの意見でございます。
まず今申し上げました4枚の資料を中心とした成果の記載でございます。こちらの資料内のグラフについては、縦軸横軸の配置等を検討の上、見やすく分かりやすいものにできるといいということを、津下座長代理から御示唆いただいております。
また、特定保健指導の2cm・2kgにつきましては3か月で評価できる指標として採用されていることに留意が必要という御示唆をいただいております。本当に結果を出すというのは、やはり保険者としてはもう少し長い目で見る視点、または追跡して疾病発症まで見るという視点を忘れないような記載が欲しいということを御示唆いただいているところでございます。
中島構成員からは、特定保健指導が2cm・2kgを基準としたアウトカム指標になることから、効果が上がる保健指導の要素について国が情報を収集して、保険者等に横展開をしていただくことが肝要であるということを御示唆いただいているところでございます。
次に評価指標でございます。28ページ目を御覧ください。こちらにつきましては、共通の評価指標を指針や手引きにおいてどう位置づけていくべきかということを皆様に御議論いただきました。こちらにつきましては、共通の通指標の概要について指針に記載し、具体的な項目につきましては手引きに記載し、実績値の表示及び目標値の登録画面をデータヘルス・ポータルサイトに実装し、かつ、その集計値につきましては、NDBデータによる集計が可能な指標については、国が実績値をデータヘルス・ポータルサイトに抽出・集計し、プリセットするということ。そして加減算等で用いる共通評価指標につきましは、目標水準の参酌基準を設定し、任意の入力であることを前提に目標設定を必須化してはどうかということを確認させていただいたところでございます。
29ページ目は第2回の検討会でも掲載させていただいた、共通の評価指標の一覧とその入力状況を再度掲載させていただいております。
その上で、30ページ目でございます。第2回における構成員の意見の概要といたしまして、津下座長代理から共通評価指標のプリセットを行い、保険者には目標値の検討に注力してもらいたいということ。
そして今村構成員からは、データから読み取れる情報や意味付けにおいて、基本的な部分のミスリードが起きないように、そのデータを年齢階級別に見ることの必要性や、性年齢調整を行う必要性の検討等、データの取扱いについて留意すべき点ということを示す必要があるのではないかということを御示唆いただいております。
秋山構成員からは、現状の共通の評価指標の23個というのはあくまでレパートリーであり、自組合の健康課題に応じて、活用する指標を選択いただくものであることを丁寧に周知すべきであることを御示唆いただいております。
人材不足等の環境下にある健保において、全ての指標に対応することは困難であり、今後、国側において指標の追加・整理等を検討する際には、その内容が複雑多岐にわたるものにならないよう留意すべきであるということを御示唆いただいているところでございます。
次に河本構成員から、現行の共通の評価指標はアウトカムを重視し、特にハイリスクアプローチに関するものが中心であるが、ポピュレーションアプローチに関する中間アウトカム指標である、例えば健康リテラシーがどれくらい向上したか、どれくらい行動変容へ繋がった等も重要な指標であるということを御示唆いただいております。
NDBデータによるプリセットについては早期に実現をするようにということで、御意見をいただいているところでございます。
中島構成員からは、指標の1つである後発医薬品の使用割合について御意見をいただきました。保険者の努力で上げられるところまで上がってきているような印象を受けており、地域レベルにおける横断的取組が必要であるということを御示唆いただいているところです。
最後に保険者間連携でございます。保険者間連携につきましては、データの利用という観点、また加入者への意識付けという観点で、保険者間を移動する加入者に対して切れ目のない予防健康づくりを推進するためにはどのような方策を取るべきか、ということを論点として挙げさせていただきました。こちらにつきましては、繰り返しになりますが、共同作成した保険者で概ね保健事業を共同実施することを条件に複数保険者によるデータヘルス計画の共同策定等を許容することを、指針上で明記してはどうかということを記載させていただいています。
また、国保・後期における特定健診・保健指導等の事業について、国保・後期に被保険者をバトンタッチするための保健事業の周知協力を指針または手引きに記載してはどうかという考えでおります。
そして自治体事業のデータヘルス・ポータルサイトへの登録機能など、使用促進のための方策を検討していくということを方針として確認させていただいたところでございます。
33ページ目は保険者間連携についての好事例を第2回で掲載させていただきましたが、それを改めて掲載させていただいています。
最後に第2回における構成員意見の概要でございます。津下座長代理からは、被用者保険における健康づくりの効果は、データをつなぐことで見えてくる。そこにもう少し被用者保険が関心を持っていただくと、健康づくりの価値というのがより実感できるのではないか、といった御意見をいただいております。
今村構成員からは、資料中では障壁がなくなったかのような記載を書かれているが、データが仮に物理的につながったとしても、保険者間の連携は現状全く取れていないということを改めて認識すべきであるということを御示唆いただきました。
また、中島構成員からは、今後は40歳未満の方の健診データも保険者が入手をして健康づくりに生かしていくということになっており、労働安全衛生法に基づいて、事業主健診データを保険者が入手しようとする際に、円滑に入手できるような体制を作っていただくことが涵養であるということを御示唆いただいたところでございます。
長くなりましたが第2回検討会での議論の経緯につきましては、以上となっております。その上で第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会のとりまとめ案を資料2で記載させていただいております。こちらにつきましては、例えば計画策定においては、データヘルス計画の策定についてということで上段で現状課題について記載させていただき、下につきましては先ほどの資料でも御説明させていただいた、今後の対応策について記載させていただいているところでございます。
2ページ目では計画策定、公表について、まず計画策定についての現状とそれに対応する対応策について記載させていただいております。
次に3ページ目でございますが、データヘルスの計画の公表について上段で課題を記載させていただき、下で対応策を記載させていただいております。その下段でございますが、事業メニューについて新たな保健事業の位置づけの明確化について上段で課題を記載させていただき、次ページで想定される対応策を記載させていただいているところでございます。
次に2.保健事業の優先順位付けについて、でございますが、こちらも上段で現状課題を記載させていただき、その下に対応策を記載させていただいています。
次に、Ⅲ.事業アプローチについては、共同事業及び成果連動型民間委託契約方式による事業について、その普及やモデルの構築という観点から現状課題を整理させていただき、その下段には対応策を記載させていただいています。
次に、保険者による外部委託事業者の選定についてという観点でも、現状と対応策をこちらの記載に整理させていただいているところでございます。
その次に保健事業の効果検証についても記載させていただき、さらにその下ではコラボヘルスや保健事業の継続性担保について記載させていただいているところです。
次に6ページ目最下段でございますが、事業の実施方法についてという項目では、効果的な保健事業の実施について現状の課題を整理させていただき、その下に想定される対応策を記載させていただいています。
次にⅤ.評価指標でございます。共通の評価指標に関する現状の課題をこのページの中で整理させていただき、8ページ目以降でこれらに対する対応策を記載させていただいているところでございます。
最後に保険者間連携についての現状の課題等を整理させていただき、その下で下記の対応を行うこととするというふうに記載させていただいているところです。こちらについて想定される対応策を記載させていただいたところでございます。
とりまとめ案については以上でございます。1枚目の資料1の中で先般から皆様に議論をいただきました検討会での検討の経緯を記載させていただき、資料2でとりまとめ案として御提示させていただいたものです。事務局の説明は以上でございます。
○古井座長 御丁寧に御説明をありがとうございました。それでは早速これより先生方から御意見、御質問いただきたいと思いますが、今日は全ての構成員の皆様から御意見をいただきたいと存じます。別添の構成員名簿の順に恐れ入りますが、発言をお願いしたいと存じます。ちなみに私の手元に渡されたメモにお1人当たり5分程度と書いてありますので、それも御参考いただきたいと思います。
それではトップバッターとして五十嵐先生、よろしくお願いいたします。
○五十嵐構成員 五十嵐でございます。とりまとめと意見のくみ取りをいただいてありがとうございました。4ページの優先順位付けとして二つ例示がある中で、両方とも私が専門の「費用対効果」という文言を入れていただいております。もう1つがPFSのところ、3番の事業アプローチについてということですけれども、こちらも現状はモデル事業を構築している段階であるという記述をいただいていると思います。
文書として上位に「とりまとめ」、その下に「手引き」がある中で、とりまとめ文に盛り込めることには量的にも限りがあることは、もちろん理解しております。それでも、もし仮に1~2行追記ができるとすれば、前者の費用対効果に関しては「通常の臨床研究と違って評価基準がまだ確立していないことに留意すべきである」や、「さまざまな研究を評価するために、ある程度統一的な基準の設定が必要である」のような内容を追記いただけるとありがたいと思います。
後者のPFS事業に関しても、医療費を削減して浮いたお金で事業を回す…のではなく、健康アウトカムの改善も含めた、広い領域で「成果」を設定する。その成果に応じて納得して費用が支払われる。あらかじめ基準を定めておいて、お互いが納得できる形で支払が行われる…これを担保できるような費用や効果の測定が重要である…のような話を入れていただけると大変ありがたいと思います。
両者の話には共通点があり、いろいろな健康増進系の介入の中で、医療費削減が見込めるものは、皆が思っているほど多くはなくて、むしろ稀である。ただ、「削減できなかったからダメ」のようなルールを作ってしまうことは、いい加減な推計をしてムリヤリ医療費削減という結果をひねり出す動きを助長してしまうことになります。それゆえ、PFSや費用対効果が目指すべきものは医療費削減ではなく、きちんと効果や費用を追跡して数値化することである。もちろん、費用対効果にしてもPFSにしても妥当な結果であるということを言うためには、ある程度の一定水準以上の正確さを持った計量、あるいは定量をしてくださいというところに尽きると思うので、そうしたニュアンスをとりまとめ文にも盛り込んで頂けますと、非常にありがたいと思います。
あわせて、通常の取り組みからさらに一歩進んだ内容を、アプリや加入者への通知などを活用しつつ実施しようとしている事業者、ある意味で余力がある事業者について、このような進歩的な取り組みについてもある程度言及を頂けると、そのような熱心な事業者の背中を押して上げる効果が出てくるかなと思っております。
ただ単に費用を見るだけでなくて、ある程度の正確性を持って費用と効果を見てねというのは、多分費用対効果のところとPFS両方に当てはまるし、ある程度先進的な取組、ほかではできないことを明らかにするみたいなことをプロモートする視点、「データヘルス計画でもこんな記述がありますよ」と熱心な方々が引用して主張できるような部分が加わると、より良いかなというところかなと思います。以上です。
○古井座長 ありがとうございます。考え方の明示と少し柔軟性も持たせるというお話ですね。貴重な提案をありがとうございました。
それでは今村先生お願いします。
○今村構成員 全体に話をよく聞いていただいてとりまとめに反映していることに心から感謝申し上げたいと思います。
ほぼ全ての意見に共通する意見としては、分析する側の皆さんのノウハウや知識の蓄積をしっかりしてもらいたいというのが全体に言えていることです。たくさんの保険者の方々の分析を今まで支援させていただいて、実感として最初の段階ではほとんど保険者さん御存じないのを頑張って非常に高い分析までできるところまで持ち上げるんですけれども、皆さんことごとくおられなくなって、次の方は一から全部お教えすることになります。するとまずは分析のやり方とかデータの扱い方から皆さん失敗されてきて、最後には分析した結果を読み間違うというようなことを皆さんされるので、それでノウハウが失われないようにということを申し上げているわけです。
実際どんな失敗があるかというのを追跡調査していく中で、もともとの群を追いかけていくということに保険者の皆さんは不慣れです。何回も申し上げていますけれども、たばこを吸っている群と吸っていない群で健康状態を比較したら、吸っている人のほうがはるかに健康です。それはやはり病気の人はたばこをやめているからなんです。
昔どこかの国で戦時中の軍隊の死亡率とその国全体の死亡率を比較したら、はるかに軍隊の死亡率のほうが低いというような結果を出した国がありました。それは若くて元気な人たちの戦争での死亡率のほうが低いに決まっているわけです。そういうことを追跡していく中で、ちゃんと比較しないと分からないですということをまずは理解してもらいたいと思います。
例えば保健指導をする、しないということを比較という話と、その前の特定健診を受けたことを比較しようと、2つを1つのフレームで比較しようとすると二層抽出になってかなりレベル値は高いものになります。ところがこれを分析する段階でそのまま粗集計をしてしまうと、恐ろしく偏ったデータを集計してしまうというようなことが起こります。これはほぼ全ての保険者の方を支援する際にこの失敗は起こっているので、そういう面からノウハウがちゃんと蓄積される、そして最後に出てきたデータを読み間違わないということにぜひ力を入れてもらいたいと思います。
あと2つほど、医療費の削減、医療費の適正化計画ということですけれども、医療費の削減が目的ではないということを意識してもらいたいと思っています。別にこれは反旗を翻すつもりはないのですけれども、医療費だけを削減しようと思うと、たばこをがんがん吸ってもらってお酒をがんがん飲んでもらって60代でぽっくり逝ってもらうというのが、一番安いです。それを防ぐということは、80代まで行ってがんで死ぬということだと、どう考えても医療費は高くなるのではないかと思います。
ただ、医療費の削減というよりは適正な医療費の使い方という意味では、病気を減らすこととかQOLが上がるという意味で頑張って60歳まで働いた人がそこで死んでしまうのはあまりだから、余生が楽しめるように病気を減らすというような効果で、その時点での医療費が削減できるように頑張るということが大きな目的だと思います。生涯にわたって全医療費が削減できるかのようになってしまうと、それはそれで不幸なことだと思います。
ですから基本的には医療費を削減するというよりは、国民の幸せのために保険が適正に使われるという観点からの医療費適正化ということを、ぜひ念頭に置いてやってもらいたいというふうに思っています。
もう1つ何だったかな、もう1個言おうと思ったのですけれども。
○古井座長 今村先生、よろしければ後でお話いただくことでも大丈夫です。
○今村構成員 後で復活というか、医療費のことで忘れてしまいました。すみません。
○古井座長 大事なポイントだと思います。ありがとうございます。すべてを直接手引きには書けないかもしれませんが、本質論をどうもありがとうございました。
それでは津下先生、お願いいたします。
○津下座長代理 ありがとうございます。これまでの課題、そして対策について構成員の発言を整理していただいて、また実現可能な対応策について指針レベルとかポータルサイトに実装とか研修とか、様々なレベルに区分けして整理していただいて分かりやすくなったかなと思います。
今後、指針、ポータルサイト、手引きなど具体的な内容に落とし込むところがすごく重要になってくると思います。そこの段階では、保険者、ここに来た人が初めて見ても分かるように、できるだけ簡単なものとかモデルを示したり、そんな形で作っていただくといいのかなと思います。
また、このデータヘルス計画について、今村構成員がおっしゃったこととも関連するのですけれども、テータヘルス計画は被保険者の健康保持増進のためにレセプト分析をしたり、現状把握するとか効果を見る目的で、レセプト分析をする、健診データを分析するということです。分析ありきということではなく、加入者の健康保持増進、元気に次の保険者に送り出して、そして可能な範囲で後期高齢者への支援金が減るというような、国全体の大きな取組の中で保険者がプレイしているんだということを押さえておく必要があります。大きな目標は後期高齢者、退職されてからでも医療費が少なく、そして元気に活躍できる、そこになってくるのだろうと思います。
保険者間連携のところにも記載していただきましたけれども、保険者として病気がある人の医療費を減らすのではなくて、ならないようにするというところ、その場面において被用者保険は非常に重要です。
また、先ほど健康日本21の会議もあったんですけれども、就労世代の健康づくりというのが高齢者の健康状態に直結するという考え方の下、データヘルス計画を進めていただくのがいいのかなと思いました。
この書きぶりについて1点ですけれども、主語が明確ではない部分があるかなと思います。下記の対応を行うこととする、ということで国が指針に書き込むとか、国がというものもありますし、例えば研修会を実施するというのは、誰が実施することなのか。健保組合とかそういう単位なのか、または国なのか、各保険者なのか。その主語についてもう少しきちんと考えていくことで誰がこれをするのかということが、より明確化できるかなというふうに思いました。以上です。
○古井座長 津下先生、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、保険者の皆様からですが、まず初めに秋山構成員様、よろしくお願いいたします。
○秋山構成員 とりまとめ等ありがとうございました。話が大きなところもあると思うのでとりまとめのないコメントになってしまうかもしれません。今、先生方がいろいろと話をされている中で、医療費削減のところだけでなくという言葉を多くいただきました。単一健保は母体企業が保険料の半分を持っているということもございますので、企業の目で健保を見られることが多いです。その場合に費用対効果の説明を求められるところがあります。費用対効果を数字で説明することは出ない部分を定性的なもので説明することが多いですが。先ほど津下構成員からありましたけれども、健保は今言われているように、第1ステージ、第2ステージ、第3ステージ、という人生100年の中のステージの第2ステージの役割を担っています。それは当然第3ステージとか今後に結びつけていくべき保健事業というのがあると思います。半分の保険料を負担しているということは、単に社員のためだけでなく、日本の健康を推進するためにも出しているということを認識出来るような部分も織り込んでいくということもあってもいいのではないかと思いました。
今回、とりまとめいただいている中で1つ思うのは、先ほど言ったように、将来に向けた保健事業というのも当然あるべきでしょうから、そういう意味ではロコモという将来的な健康維持に向けた保健事業を現に取り込んでいる健保は多くあるので、そういうところも入れて重視していくということが今後あるのではないかと思います。
それ以外では具体的な話になるのですけれども、19ページで冨山構成員のほうから話のあった、共同事業のときの幹事会社の負担軽減という話です。それが今回のとりまとめ案の中に見当たらなかったので、実際にやるとどうしても私がとりまとめますということの負担が大きいのでなかなか言い出さない。言い出したところにみんな乗っていくというのが現時点では傾向がありますので、ここのところ、行政的な手続きの簡素化というのも1つあると思います。それは厚労省側の検討いただける内容なのか、そういうところも見ていただければと思いました。
とりまとめ案の中で3ページの最後のところに、継続的に取り組むことで保健事業の成果が出やすい歯科、メンタルと書いてありますが、保健事業の成果が出やすいというところが、私が取り組んでいる中ではなかなか感覚的に合わないところがあります。
例えば歯科診療も昔の虫歯治療などの支出が減ってきて、歯の状態を保持する、そういうふうな支出に置き換わっていって総額てきにはあまり変わらないという状況もあるのではないかと思います。そういう意味では、ここの成果が出やすいというのは、具体的にやっている保険者としては思い至らないところがあります。何か実例があれば教えていただければと思います。
とりまとめ案の4ページのところ、全体文書の構成ですけれども幾つか矢羽根で書かれている中にコラボヘルスがなくて、後ろではコラボヘルスというのは7ページ目にあります。前の4ページのところでいろいろなもののうちの1つにコラボヘルスが出ていないのはなぜかなと思いました。そこは何か意図があるのであれば聞いておきたいというところです。
非常にいろいろな簡素化を考えていただいており、先ほどコメントの中でも実際に知見を維持する体制が大事だということがいわれています。これは大事だと思うのですけれども、一方で、そのためにこうすべきだということを書かれると、2人とか3人でやっている健保では、全体に合わせてそういう体制でやっていきましょうということは困難である場合も考えられるので、もう少し大きく、そういうことを意識した保健事業への取組、継続的な保健事業への取組という形でやっていただくのがいいのではないかと思います。私からは以上です。
○古井座長 ありがとうございます。今の最後の話は、一個一個の健保に持たせるというよりは全体でノウハウを共有する仕組みを作るとかそういうことも含めてですか。
○秋山構成員 今正解はないと思います。連携して行うとういうのは思った以上に難しいのではないかと思います。業種が同じで連携するということがあるかもしれませんが、こまめにほかの健保さんと連携して行うというのは難しいと思います。こういう課題もあるので、それについて検討してくださいという一つ一つの健保が意識を持っていただくというほうが、私なんかは正解でないかと思います。
○古井座長 どうもありがとうございました。
失礼しました。私のほうで順番を間違えてしまいまして、中山先生、よろしくお願いいたします。
○中山構成員 本当に事務局のほう、とりまとめいただきありがとうございました。非常に適切な形になってきていると思います。私のほうから気づいた点を2つです。
私自身は初めにお話ししたようにデータヘルス計画に直接関わったことはありません。厚労省、経産省の大規模実証やAMEDの健康づくり、予防医学のヘルスケア社会実証事業というところでどんな取組をしているかということで、幾つか発言させていただきました。
その中でPDCAサイクルという言葉がよく出てきます。特に今日もパワポのほうには幾つか出てきていてよく使われるのですけれども、PDCAサイクルは具体的に何をやるのかということが意外にちゃんと分かっていないような気がします。みんな言葉だけは言うのですけれども、データヘルスにおけるplanは何、doは何、checkって何、actは何ということをちゃんと整理をしていくと、現場の人たちも混乱しないでいろいろなことが共有できるのではないかと思いました。
PDCAサイクルを回していくことがちゃんと全体が見られるような人材を育成して、交代交代になってしまいますけれども、それを継続していければいいなと、言葉の共有が大事かなと思いました。これが1点です。
2点目は先生方の言葉からも幾度も出てきた、医療費だけのためではないわけです。そもそも健康とは何だろうかという問いかけが次に原点だと思います。健康の取組をするときに意外に健康とは何かということをちゃんと議論をしないままにヘルスの話をするということをあちこちで感じております。個人レベルでの健康というのは何なのか、そして企業にとって望ましい健康な企業というのは何なのか。まさに健康経営とは何なのかということを常に頭に置けるような書きぶりをしておいていただければと思いました。以上です。ありがとうございました。
○古井座長 中山先生、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、河本構成員様、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。まずとりまとめ大変御苦労様でございました。私からは意見と要望、質問も1点申し上げたいと思います。
まず複数の保険者による、計画の共同策定という件です。この共同策定というのは保険者の事務効率化に資するということではあるのですけれども、データヘルス計画がレセプトのような、データ分析に基づく計画であるということを考えると、計画策定に当たって、参加組合同士が要配慮個人情報であるレセプト情報などを基にした課題の洗い出しを行うということになるわけです。これには関係法令に基づいた手続きが必要になるということ。
これに加えて共同実施が画一的な保健事業とならないように、組合の自主性とか自立性が担保できるようなことを、留意事項など手引きの中で明示をしていただきたいと考えています。
また、とりまとめ案の中で、概ね全ての保健事業を共同で実施し評価することなどの条件を検討するという記載がございます。現実的に取り組む組合というのはかなり限定されるのではないかと思います。例えば同業同種の組合、あるいは加入者数や予算が同規模といった共通項のある組合同士がターゲットになるというふうに考えられます。その辺りを手引きで補足していただければというふうに思います。
それからとりまとめ案の4ページとか7ページに女性特有の健康課題やロコモ対策という記載をしていただいております。こうした課題が今後保険者に求められることは、私どもからも提案させていただいたところです。書きぶりの話になるのですが、男性特有の健康課題もあり得るという指摘もありそうなので、例えば女性特有の健康課題など性差に応じた健康支援やロコモ対策とか、今のは一例ですけれども、そういう記載に変えていただくということも御検討いただければと思います。
それからこれも要望になるのですけれども、前回の検討会で第3期のヘルスデータ計画と第4期の特定健診保健指導計画の作成に当たって、重複する事務を回避する観点から両計画を同時に作成できる機能が欲しいということを申し上げて、今日の資料1の6ページにも記載していただいております。かなり実務的な話ではございますけれども、とりまとめの中でもそういった記載を何らかの形で入れていただければと思います。
また、関連してデータヘルス計画の作成に当たって健診等実施計画、あるいは健康日本21、こういったほかの計画とか方針とも整合性を取って策定する必要があるということだと思います。関係省庁、部局との組織横断的な調整とか、あるいは他の検討会での検討の適切な反映、そういった点についても何らかとりまとめの中で触れていただければというふうに思います。
最後質問です。とりまとめ案7ページの共通の評価指標の中で、未設定の指標の例として先ほど出ておりましたコラボヘルスが挙げられております。コラボヘルスの取組は大変重要ですし、指標化の検討も必要だと思います。一方でなかなか指標化が難しいのではないかというふうにも感じております。どのような指標を考えておられるのか、イメージがあったら教えていただきたいと思います。私からは以上です。
○古井座長 ありがとうございました。それでは続きまして末原構成員様、お願いいたします。
○末原構成員 東京実業健保の末原でございます。私からは1点、とりまとめ案6ページの4番になります。コラボヘルスや保健事業の継続性担保についてということで、黒ポツの1つ目、企業側の理解を得てコラボヘルスを推進することができる環境整備が必要である。3つ目のポツで健康スコアリングレポートの活用や事業主側のキーパーソンとの連携等、コラボヘルスのための企業への具体的な働きかけ方法について手引きに追記するということで、コラボヘルスが叫ばれて相当期間がたちましたが、保険者からの働きかけにより、従来からの加入者が行動変容への意識を後ろから強力にバックアップしていくために、事業主の理解協力は必要不可欠なものと考えております。このデータヘルス事業が継続成長していくためにも、事業主側への働きかけの手法等について、指針にどれだけ書き込めるかはあるのでしょうが、明記していただけるのは、事業所を複数抱える保険者にとって非常に意味のあることだと思っております。
また、この取組、働きかけは事業主側の反応様々あるというふうにも考えております。少し話がそれるかもしれませんが、先々保健事業が保険者からの一方通行、金太郎飴みたいな形ではなく、事業所、企業がその規模、業態に合った保健事業を独自に選択、取り組める環境、仕組みを構築していくということも必要になってくるのではないかと考える次第でございます。これについて今現在、日本も少子高齢化の中で労働人口を確保していくという観点からも働く人というところに着目すれば、別の角度から国の施策とかフォローとか支援もあっていいのではないかと考える次第でございます。以上でございます。
○古井座長 非常に重要な視点をありがとうございました。
続きまして中島構成員様、お願いいたします。
○中島構成員 協会けんぽの中島です。私から2点申し上げます。主に事務局への質問になりますが、4ページの事業メニューについて、これらを踏まえ下記の対応を行うとして、対象とする保健事業が幾つか挙がっています。今後、健康局の次期国民健康運動づくりプラン等でポピュレーションアプローチを中心とする施策において重点的に取り組むべきことが整理され、また、保険局の医療保険部会では、医療費適正化計画が来年度各都道府県において策定され、その中で保険者に取り組んでほしい、また保険者が取り組むべき保健事業についてもリストアップされていくと思います。そうした健康局における今後の施策の方向性、保険局の医療保険部会で示される保険者として取り組むべき保健事業が出てきた段階で、4ページの矢羽根にあるような施策はどのような関係性になるのかお示しいただきたいというのが1点です。
2点目は、5ページの保険者による外部委託事業者の選定について、外部委託事業者に関する情報提供機能をポータルサイトに実装し、成果等の情報や更新頻度のルールも明確化するとなっています。この中には、特定保健指導を外部委託するという場合も含まれると思いますが、それを前提にしますと、協会けんぽでも特定保健指導の約半分は外部委託で実施しています。保険者が外部委託先を選定するに当たって、その外部委託事業者に関する情報は大変重要なものでございます。そういう意味では、ここでいう実装される情報の項目、さらには詳しさといったものについてはどういうものが考えられるのでしょうか。
一方で、事業者サイドも自らの事業者情報をどこまで公開、提供するかということはお立場があるわけです。医療機関の情報についてもその情報を提供する際には当然診療側の御意見もあり、議論をして今の状態になっています。こうした情報提供については、事業者サイドも各段の御協力をいただかないと進まないと思われ、そういう意味では、我々にとっては、外部委託事業者に関するアウトカム指標も含めた、また更新頻度も新しい情報が業者選定に有効に使えるということが期待されます。
こういう情報提供の項目、さらには詳しさについて事業者サイドと保険者との間の意見交換、調整する場を厚生労働省は取り持っていただけると思っていますが、そのことの確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○古井座長 ありがとうございました。後ほど事務局よりまとめてコメントをいただければと思います。
それでは最後になりますが、実務者の代表者として冨山構成員様、よろしくお願いいたします。
○冨山構成員 日本産業保健師会とデパート健保の冨山と申します。よろしくお願いいたします。まず4ページ目にあります個別の矢羽根のメンタルヘルス対策の部分です。こちらも前回、前々回どなたかがお話しされておりましたが、メンタルヘルス対策に関しては、皆さん御存じのとおり、企業側の労働安全衛生の観点が大事です。健保側も、傷病手当金の支給が始まると1年6か月間、めいっぱい利用するケースがふえているので、同じくメンタルヘルス対応は非常に重要だと思っています。この点に関して実務者として、企業と健保がお互いに理解と連携、そして、的確な役割分担が必要だと強く感じています。産業保健師等の専門職のマンパワー不足というのは1回目から何回も言及しておりますけれども、産業保健師はデータヘルス計画の策定や既存の保健事業の推進だけでなく、メンタルヘルスへの対応も寄与できると思っています。
1つ、これは質問になるのかもしれません。40歳未満の事業主検診のデータの活用についてです。これは150条の改正によって健保からデータの提供を依頼した場合は事業主が応じなければならないとなりました。当健保は特定健診開始以降ほとんど40歳以上への対応でしたが、企業側と話をすると40歳未満へのニーズも期待もとても大きいと感じています。ただ、健保がデータを保持する、そもそもの法律を私が理解出来ていないもかもしれませんが、見あたらない現状です。単一健保であれば、共同実施、共同利用ということで進められるかと思うのですが、総合健保、また協会けんぽさんですと、共同実施、共同利用というのがなかなか難しい形になります。その点が今後40歳未満の対応を進める上で、悩ましいところなので御教示いただければありがたいです。
また、先ほど津下先生がおっしゃっていた保険者間の連携についてです。私は行政の保健師の出身なんですが、行政で糖尿病教室を実施していたときに、何でこんなに立派な企業の人たちがそろいもそろってひどいデータなのか?産業保健はどうなっているのか?と思って、産業の現場に入りました。その経験から私は保険者間の連携の必要性は十二分に理解していて、ここに関してはしっかり取り組むべきだと思っています。ただ、実際健保の立場になると健保側のメリットがどうしても感じにくく、優先順位的に特定保健指導などの他の取り組みを優先させてしまうことがあります。保健者間連携については、ぜひ何かもう一歩具体的なものであったり、インセンティブであったり、モチベーションが上がる何かがあるといいなと感じています。
最後に、先ほどコラボヘルスが重要だと皆さんおっしゃっていました。私も実務者としてコラボヘルスができているか、できていないかであらゆる事業に関して進行具合が違うと思っています。コラボヘルスでポイントとしている点は、例えばキーパーソンを健保・企業でお互いに認識しているか、そして、それは担当者レベルのキーパーソンとトップダウンの利く経営者レベルのキーパーソンの両方がいるのか、データ分析はその企業の自分ごとになっているのか、また、コラボヘルスを推進する組織はあるのかなどといった点です。そういったコラボヘルスの下地づくりから初めて特定保健指導や重症化予防対策を取り入れています。手引きにはコラボヘルスで何をするかだけでなく、どうやってコラボするかを掲載したいところです。以上です。ありがとうございます。
○古井座長 ありがとうございました。今村先生、もし、先ほど言い漏れたことがあればお願いします。
○今村構成員 最後の1つ申し上げさせていただきます。3つ目として病気を減らすということがすごく大切です。それこそ費用対効果の高い病気を減らすということをぜひ事業としてやってほしい。そういう中で私は実際に医療費が減るのは、口腔ケアと精神だというふうに思っています。そういうところは力を入れてほしい。
先ほど歯科の費用対効果が見えにくいという話がありましたけれども、私が提案したのは口腔ケアという表現の中で、まずは誤嚥性肺炎や認知症というのは、口腔ケアをすることで減るということがもう分かってきています。オペ前に口腔ケアをすればその後の合併症も減るということです。要は口の中の状態がよかったら病気が少なくなるということだと思います。その最たるものが、歯の本数が一番関係が深いということです。就労時期でいうと、歯の本数を残すような対策に力を入れてもらったほうが、報告書として体裁が良いという話があったので、歯科という話にはなっています。基本的には、口腔ケアをすることで病気そのものが減る。それによって、これは死なない病気なのでかからなくっていい病気にかからないので医療費も本人もハッピーというような話だと思います。
精神も直接命が縮まるというよりは、病気の状態が長くなるという特徴があって、傷病手当金などもそうですから、医療費に対しての負担はものすごく大きいです。産業保健が主体だというのも分かるのですが、実際には企業の中でいじめがあったり、人とのトラブルがあって、そのときにちょっと介入してその人が悩まずに済めば、精神病にならなくて済むというケースが多々あります。例えば鬱になりかけている人を励ましてはいけないというようなことを企業の立場の人も知らないし、それを励まさないだけでも病気にならないということも知らない。保険者もそれは知るべきだし、そういうふうに病気にならない。しかもお金がかかるような病気、死なないけれどもお金がかかるような病気にならないというのは、1つ費用対効果という意味でも医療費適正化という意味でも意味があるのではないかと思って、今回も御提案させていただきました。こういった観点も今後考えていただければと思っています。3つ目をさっきは度忘れしてしまって申し訳ありません。
○古井座長 貴重な御意見をありがとうございました。津下先生、お願いします。
○津下座長代理 ありがとうございます。今、委員の皆様の御意見を聞きながら言い忘れたなという話をしたいと思います。まず、冨山構成員から話がありましたように、地域側から見た視点です。私は地域職域連携の推進のための研究の代表を務めております。先日ワークショップで協会けんぽの皆様に参加いただきました。そうしましたら、地域の側から見たら働く場とか事業所の健康づくりとか課題とかそういうことが見えた、また、地域のデータを見たことによって働く世代が非常に重要なのだということを、協会けんぽの参加者が認識をして、自分たちの仕事は大事だという再認識につながったというコメントがありました。
これは自治体でも予防のセクターと介護とか医療費のセクターが一緒に会議をすると、予防は何となく結果がすぐ見えないという感じもあります。それをやらなかった結果がこうだということ、その後の状態を知ることで、予防に対するモチベーションを上げることができるのかなというふうに思います。
地域職域連携という枠組みを自治体は用意していますので、そこに積極的に健保さん、保険者の皆さん、被用者保険の皆さんが関心を持っていただけるといいかなと思いました。これはガイドとか手引きの参考資料ぐらいかなとは思いますけれども、そういう自治体での健康推進の取組、健康日本21の取組、そういうことにも関心を持ってもらうことや、そして被用者保険のところで抱えている課題なども逆に地域の資源も使えるということを知っていただく機会にもなります。そういうことをお知らせできるといいかなと思いました。
2点目ですが、PCDAを回す事業で何とかの有所見率はやってすぐ結果が出るとか、加入者全体で見ることはなかなか難しいです。例えば重症化予防とかであれば、一定の検査値以上の人の人数が何人いました。その割合を減らすとアウトカムに行きたいのですけれども、アウトカムに行く前に分母が何人いました、その人たちにどれだけ関わりました、いわゆるアウトプットを見ていくことが重要です。多数の事業所別に参加率をみて、それを上げるという視点で見ていくと、取組が届いていないところがわかり、そこに対してより積極的にかかわる必要が見えてくる。つまり、チェックしてアクトに動くと思います。アウトカムだと時間がかかるとか、すぐに手応え感がない場合も少なくないです。特定健診、保健指導でも結局実施率を上げるというのは、戦略を立てやすい部分もあります。PDCAを回すというところで言えば、まず分母、つまり対象者数を把握して、それが事業所別にどのくらいなのかを把握して、そこの中での参加を促していくというようなやり方が考えられます。
さっきのメンタルの話でいうと、メンタルの危なそうな人を抽出するというのは、保険者としてはしにくいかなと思うところがあります。メンタルが問題であればポピュレーション アプローチ、ヘルスリテラシーを高める取組に対して保険者が実施するとか、またはそういう取組に参加している事業所の健康管理担当者を増やしていくとか、そういう評価しやすい項目を立てるというのをヒントとして入れていくといいのではないかなと思いました。
具体的に、どうやってPDCAを回していくかとか、いろいろな健康課題に対してハイリスクアプローチ、つまり対象者を限定してアプローチをするのか、一定の年齢層や性別にくまなくリテラシーを高めるのかというような戦略を考えながら、事業メニューを羅列的ではなく構造的に示していることができたらいいのかなと思いました。
もう1つ最後に、先ほどの健康日本21でライフコースとライフステージがあって、一定の年齢というのはライフステージなんだけれども、ライフコースは多様な生き方とか職場とか転職とか、就労だけでなくていろいろな働き方がある。そういうライフに対応したアプローチというのも議論になっていました。それがどう生かせるかなということを今思いながら伺っていました。それも出始めのところなので、今後のヒントのところに出てくればいいのかなと思いました。以上です。
○古井座長 どうもありがとうございました。ほかによろしいですか。一旦、厚労省さんからコメントをいただきたいと思います。では大山様、よろしくお願いいたします。
○大山主査 厚生労働省事務局でございます。様々な御意見、御示唆、そして留意すべき事項、懸念点等、様々いただきまして誠にありがとうございます。皆様からいただきました積極的な御意見や、懸念される点の御意見に対し、この場で事務局から陳腐なコメントを申し添える必要もないと思いますので、いただいた御意見につきましては、貴重な御意見としてまずは一旦受け止めさせていただいて、とりまとめの中にどのように反映していくか、そして具体的な対策についてどのような反映をしていくかということを、一度課内、局内のほうでも検討させていただきたく、その上で御相談させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
その上で個別に明確に御照会、そして明確に強い御懸念としていただきましたものについて、1つずつコメントさせていただきたいと思います。
まず、五十嵐構成員からいただきました、費用対効果については、その検証結果や研究結果というのは玉石混淆でございますので、どこまでを参照しどこまでを参照すべきではないかということ、それにそもそも留意点があることは重々事務局としても理解をしたいと思っているところでございます。
また、今村構成員からいただきました人事ローテーションでこれまでの蓄積がリセットされてしまうような状況というのは、避けるべき事項だと思っております。そこについても何かしらお示しができるような対応を進めていきたいと思います。
また、追跡調査の際に得られたデータの意味の取り違えや誤った比較等が発生しないように、そういったことも丁寧に手引き、もしくは今後の対応の中で示していければと考えているところでございます。
津下座長代理からいただきました、基本的なところで大変恐縮でございます。とりまとめにおいて主語を明確にするというところで、基本的には主語はほぼ厚生労働省や国ということになるかとは思いますが、もう少し分かりやすく明示的に書くように、こちらのとりまとめ案を調整させていただきたいと思います。
秋山構成員からいただいた事業のメニューにはコラボヘルスという文言がなく、評価の指標で未設定のものにはコラボヘルスがあるというところですが、紛らわしい表現をしてしまい申し訳ありません。事業のメニューについてはコラボヘルスというのは、事業のアプローチ方法、推進の方法と認識しております。そこについては、メニューとしてはコラボヘルスという文言を列挙しておりませんが、評価の指標としてコラボヘルスの進捗度合いを測るということは重要な観点であると思う一方で、指標がないという観点から評価指標の現状ないものについてはコラボヘルスということを記載させていただいているところでございます。こちらの回答にもし不足があれば御指摘いただければと思います。
中山構成員からいただきました、PDCAが重要と示すものの、P・D・C・Aの各ステップで何を具体的にすべきか、ということをきちんと明確に記載していく、示していくということの重要性について、重々こちらも受け止めたく存じます。
また河本構成員からいただきましたコラボヘルスの指標は何を想定しているかということでございますが、率直に申し上げますと現在これが望ましい、適切なのではないかというアイデアは事務局のほうではない状態でございます。例えば、事業主と保険者が年間何回打ち合わせをしたかとか、そういったことが指標として考えられるかもしれませんが、それも適切かどうかと言われると、正直適切ではないと事務局では思っています。コラボヘルスという進捗度や進展度を測っていくために適切な指標を今後検討していく上で、現状は何もないという状況について共有・整理させていただいたというものが、現状でございます。結論は、想定される指標は現状ないというところでございます。
また、性差に応じた健康課題というふうに記載をもう少し整えるというというところも御指摘のとおりだと思いますので、こちらも個別に調整させていただければと思います。
また、一括作成機能のことについても、とりまとめの中にどのように触れていくかということを検討させていただきたいと思います。
次に末原構成員からいただきました、コラボヘルス、事業主への働きかけということでございますが、本件はデータヘルス検討会の方針ということでございます。事業主との連携についてどこまで記載ができるかということは、なかなか難しいところではございます。そもそも別軸で産業保健のあり方なども今検討されるところに鑑みれば、事業主に対して保険者が行っているデータヘルス計画、データヘルス計画に基づく保健事業の重要性などを認知させる場というのは、現状ほかにもございます。そういうところできちんと連携し周知していく、何か一助となるようなものを厚生労働省としても打ち出せればと思っているところでございます。
次に中島構成員からいただきました、御照会2点でございます。次期国民健康づくり運動プランのところと医療費適正化計画のところでございますが、こちらについて医療保険者として、保険者が取り組むべき、もしくは取り組むことが推奨されるというものが明示的に列挙されるということであれば、新たに追加する事業メニューの中に記載していくものというふうに認識しております。こちらにつきましては、健康局の検討会、また医療保険部会での議論の状況を確認させていただきながら、そのとりまとめの内容と整合を取らせていただきたいというふうに考えているところでございます。
次に外部委託につきまして、外部委託事業者は特定保健指導を始め、例えば重症化予防事業、がん検診事業、歯科疾患対策事業というふうに様々な事業の切り口に分類して、その上で取り組める事業者のほうを情報収集したいと思っているところです。ただ、この事業者をどのように登録していくかというところは、御指摘のとおり何でもかんでも登録をすればいいというわけではないですし、情報の鮮度もしっかりと管理しなければいけないというふうにこちらも認識しているところでございます。
こちらにつきましては現在、経産省等の知見も借りながら、どのようにしていくかというのを具体的に検討していきたいというフェーズでございます。例えば複数の保険者から推薦を受けている事業者を優先的に登録するとか、事業者の成果につきましては、データヘルス計画等の中でどういった保険者のどういった事業に関与しているかということを記載する項目を設けるとか、そういったことを想定しているところでございます。それが登録をする事業者が十分な情報提供といえるかどうかというところは、経済産業省とも連携し個別の事業者にもヒアリングをさせていただきながら、丁寧に調整させていただきたいというふうに考えているところでございます。
こちらの回答に不足があれば御指摘いただければ幸いでございます。
また冨山構成員におかれましては、末原構成員とも同じくコラボヘルスというのが保健事業を推進する重要なエンジンとなるということを重々承知したところでございます。こちらにつきましても、データヘルス計画という文脈の中でどのように推進していけるかということを、引き続き検討してまいりたいと思っているところでございます。
かいつまみながらでございますが、事務局からは以上でございます。私の回答に不明点、不足があれば御指摘をいただければ幸いでございます。
○古井座長 ありがとうございました。先生方から最後に何か今のことに関しても含めて、コメントとか御意見等ございますでしょうか。
○中山構成員 ただいまの大山さんの回答を理解いたしました。特に外部委託事業者に係る情報公開のあり方について経産省とやっていくということ、大変歓迎でございます。ただ、その際には保険者として事業者のどういう情報が欲しいのかということをしっかりくみ取っていただいて、そして事業者サイドと保険者サイドが本当にしっかりした信頼関係が構築できて、保健事業が展開できるようにしていただきたいと思っております。今後保険者サイドがどういう情報を欲しているのかということもお聞き取りいただいて、経産省とも打ち合わせをしていただければありがたいです。以上です。
○大山主査 ありがとうございました。重要な観点として受け止めて、今後の検討に役立ててまいりたいと思います。ありがとうございます。
○古井座長 ありがとうございました。今日御参加いただいている先生方は全てこの分野、業界に精通するステークホルダーの先生方で、またこの被用者保険のデータヘルスの検討会は、一番先行しております。そういう意味で皆さま方からいろいろな会議等でも御発言いただいて、今日の趣旨などを広めていただければありがたいと存じます。
最後に私から所感になりますが1点述べます。今日中山先生からデータヘルス計画で目指すことを改めて明示することが大事だという話があったと思います。そのとおりかと思いまして、1つは被用者保険というのは、国民の健康づくりの起点を担っているということ、それから企業活動と、それを支える働き盛り世代が力を発揮できるためのコラボヘルスというのが大事なキーワードであること。確かにコラボヘルスは難しいのですが、例えば企業には連携を進めるキーパーソンがいるとか、職場の状況をデータで把握することが一歩になるなど、コラボヘルスを進捗させるためのプロセスの要点があるのかと思います。またこれだけ社会が多様化していますので保険者だけでなく、産業保健スタッフをはじめいろいろな関係者が多面的に働き盛り世代に関わっていく。その中で、データを持っていて国民皆保険制度を担っている健保組合の皆さんは重要な位置にあるのではないかと、改めて感じたところです。
また、五十嵐先生から、実施すべき事業は明示するのだけれども、あまり硬直化しないように、ある程度柔軟性を持ってというのはよく理解できましたので、事務局の皆さんは大変だと思いますが、整理していただけるとありがたいと思った次第です。
本当に長時間ありがとうございました。それでは、事務局のほうにお返しいたします。
○大山主査 ありがとうございます。本日は、貴重な御意見を様々いただきまして誠にありがとうございました。なお、本日の資料につきましては、現行のデータヘルス計画の見直しについてこれまで皆様からいただいた御意見を整理させていただいたものでございます。一方で、現在医療情報部会では、令和6年度からスタートいたします医療費適正化計画の見直しも議論されているところです。健康局においては次期国民健康づくり運動プランの策定に向けた検討が進められているところでございます。これらの見直しの内容によっては、保険者の取組に影響を与える可能性も十分にあることから、こうした議論の状況も踏まえつつ、最終的なとりまとめにつきまして行いたいと考えております。
こちらにつきまして今後の具体的な進め方につきましては、古井座長とも相談しつつ、皆様に改めて御連絡をさせていただきたいと考えておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは少し早くなりましたが、第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会第3回を閉会させていただきます。本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございました。
(了)