加藤大臣会見概要

(令和5年5月12日(金)8:38~8:50 衆議院第16委員室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭は特にございません。

質疑

記者:
明日から2日間、G7長崎保健大臣会合が開かれます。主な議題と議長国として具体的にどういった内容を取りまとめたいかお聞かせください。またコロナ禍の教訓を生かして議論されるとのことですが、例えばワクチンの途上国への供給など今回のパンデミックで具体的にどのような教訓があったかご見解を教えてください。
大臣:
前回申し上げましたが今回のG7長崎保健大臣会合の議論の柱は3つあります。1つ目が将来の健康危機に向けた予防・備え・対応の強化、2つ目がより強靱・公平・持続可能なUHC達成への貢献、3つ目がこれらを下支えするためのヘルス・イノベーションの促進であります。今般のコロナパンデミックでは、例えばワクチンの研究開発は比較的しかも当初の予測以上に早く進んだわけでありますが、開発されたワクチンが途上国の方々になかなか行き渡らなかったようなケースもあったと認識しております。今後のパンデミック対応では診断薬、ワクチン、治療薬の研究開発に始まり、製造されて調達し流通を経てそれぞれの方々のもとに届いていく、発展途上国を含め広く人々に行き渡るところまでの全てのプロセスでの取組を加速化させる必要があると考えており、またこうした取組が重複なく効率的・効果的に行われていくことが必要であります。今回のG7では、このような製造から流通に至る「アクセス&デリバリー」を位置付け、その改善に焦点を当てて各国、国際機関、更にG7やG20といった国際的な議論の場が連携していくための方向性を議論していきたいと考えております。
加えてコロナパンデミックでは世界中の保健システムに深刻な影響を与えました。逆にコロナに集中するがためにそれ以外の保健サービスを通常通り行い難くなった。例えばHIV、結核、マラリアといった既存の感染症あるいはAMR、非感染性疾患など、従前から取り組まれてきた保健課題への対応が残念ながら後退してしまっている状況もあります。こうした状況をまず我々でしっかり認識を共有するとともにこの遅れを取り戻し、そして2030年に明確にゴールが提示されておりますUHC達成に向けて有事にも平時にも資する保健システム強化の観点からG7でも議論をしっかり進めて行きたいと思います。
記者:
健康保険法などの改正案がこの後の参院本会議で可決、成立する運びとなりました。出産育児一時金の財源を75歳以上も負担する支援金の仕組みには、野党からは「手当てなき負担増だ」と批判もありましたが導入の意義を改めてお聞かせください。また今後の少子化対策の財源確保に向けても今回のような世代間の支え合いの必要性について、お考えをお聞かせください。
大臣:
本格的な少子高齢化・人口減少時代を迎える中で少子化の流れを変え、子育てを社会全体で支えていくことがまず大事であります。今回提出した法案では子育てを社会全体で支援する観点から、まず出産育児一時金を大幅に引き上げる、それと併せて後期高齢者医療制度創設前には出産育児一時金の費用も含めこどもの医療費については高齢者世代を含め全世代で負担を行ってきたという経緯を踏まえ、後期高齢者医療制度においても出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを導入することとしました。今回の見直しにあたっても全ての方に一律に保険料を上げるということではなく、低所得層の負担増が生じないよう賦課限度額や一定以上の所得のある方の保険料率を引き上げる形で負担能力に応じた負担としております。まさに子育てを社会全体で支援する、併せて年齢に関わらず負担能力に応じて負担していただく全世代型社会保障の構築の考え方に資する見直しであると考えております。昨日、参議院厚生労働委員会において可決いただき、今日、本会議でご議論いただくと承知しております。引き続き丁寧に説明していきたいと思います。また少子化対策あるいはこども・子育て政策の強化についての財源等についてはこども未来戦略会議において議論を深めているところでありますので、引き続き議論をしっかり進めて行きたいと思います。
記者:
先日の会見でも出た少子化対策の財源について大臣のお考えを改めてお聞きしたいと思います。今の医療や年金、介護の保険料からこども政策に流用する余地はないとおっしゃっておりましたが、こども政策の財源を社会保険料として集めることやその方法として医療保険等の必要な社会保険料に上乗せして集めることについては大臣は否定されるものなのでしょうか。改めてお考えをお聞かせください。
大臣:
先般もテレビ番組の中でも申し上げましたが、まず既存の仕組みというのはどういうものなのか、年金、医療、介護それぞれが必要な保険サービス、そしてそれに充当するために保険料を皆さんから頂戴している、したがってそういった仕組みでありますからそこに他に回せる部分はそもそも制度的にないと申し上げました。ただこれから先の財源についてはまさにこども未来戦略会議で議論いただく中においては、歳出の改革にはじまり税や社会保障やそれ以外も含めて幅広い議論を進めてく、その時にも申し上げましたしその考え方は変わっていません。
記者:
社会保険料を使うということはしないということでしょうか。
大臣:
社会保険料を使うというよりは議論としては社会保険料方式ということだと私は認識しておりますが、使うというと今の医療保険から持っていくということではなくそこは医療保険は医療保険でやっておりますが、その仕組みというものを作る中で税方式と社会保険方式といくつかいろいろなやり方があります。どれをとるかについてはまだ幅広く議論をしている段階だと認識しております。
記者:
社会保険方式をとる場合に既存の医療などに上乗せするということも形としてあり得るのでしょうか。
大臣:
上乗せという言い方が正しいのか平行して徴収という形が正しいのか、それはいろいろな言い方があると思います。いずれにしてもそこは決まっていませんから決まっていないことを前提に申し上げるのは適切で無いと思います。
記者:
マイナ保険証について質問させていただきます。マイナ保険証を病院で利用したことをきっかけにマイナンバーカードに別人の情報が紐付けされていたことが発覚するという事案があることが取材でわかりました。厚労省ではこうした事案について把握されていますでしょうか。またこの事案を把握された際にはどのように対応されますでしょうか。
大臣:
そういった事案があったことは我々も認識しております。それはマイナンバーを入力する際に本人の請求ではなくてそれを受けた形でされていたとか、入力時におけるミスがあってマイナンバーカードにそれ以外の人の情報がくっついていたというケースだと認識しておりまして、今一斉にチェックをしてまた今後はこうしたことが起こらないように入力時において十分に配慮をしてもらう、これを徹底させていただいているところであります。
記者:
この事案の問題点はどういうところだとお考えでしょうか。
大臣:
ですから入力時において間違った形で行われていたというところが問題でありますから、そうしたことが起こらないようにまず今起きているものは是正し、それから起こらないようにこれからも注意していくということだと思います。
記者:
相談窓口のようなものを開いたりという点は今のところいかがでしょうか。
大臣:
それについてはマイナンバーカードの方でいろいろな相談を受けている、今でもご指摘があればそれに対してお答えしたり、またそうした課題が出ればそれに対して対応させていただいているところであります。
記者:
今のマイナンバー保険証の事案なのですが、厚労省が把握している範囲で何件そうした事案があったのでしょうか。
大臣:
今手元に数字が無いので、また必要ならば後で事務方からご報告したいと思います。
記者:
WHOがサル痘の緊急事態を終了すると宣言されましたが、大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣:
サル痘に対しては我々も懸念を持ちながら対応させていただいておりますが、全世界でということでは終焉しているということだと思いますが、それぞれ地域においては引き続きしっかりと留意していく必要があると思います。
記者:
お年寄りやこどもにコロナワクチンを接種する計画は決まっていますが、依然としてワクチンは感染を押さえ込む切り札とお考えでしょうか。
大臣:
本年度の接種の方針については、先般の審議会で重症者を減らすことを主な目的としつつ一定の感染予防効果も期待されるということ、またそれを踏まえて全ての方への接種の機会を確保することが望ましいということで、現在、来年3月末まで特例臨時接種をして、一般の方広くは9月を目途に接種を開始する。ただ高齢者など重症化リスクが高い方などには秋を待たずに5月8日から接種を開始する。それについては負担はない形で行いますということを今申し上げているところであります。令和6年度以降どうするのかということについては審議会においてまた更に検討していきます。

(了)